令和3年2月3日判決言渡令和2年(行ケ)第10091号審決取消請求事件口頭弁論終結日令和2年11月24日判決原告株式会社ベガスベガス訴訟代理人弁護士小林幸夫藤沼光太訴訟代理人弁理士佐々木 實押本泰彦被告株式会社ダイハチ訴訟代理人弁理士岡本武也石原啓策小早川 俊一郎 主文 1 特許庁が取消2016-300169号事件について令和2年6月26日にした審決を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文第1項と同旨第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等⑴ 原告は,以下のとおりの登録第5334030号商標(以下「本件商標」という。)の商標権者である(甲2,3)。 商標別紙1記載のとおり登録出願日平成21年8月18日 設定登録日平成22年7月2日指定役務第41類「セミナーの企画・運営又は開催,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,遊戯用器具の貸与」⑵ア被告は,平成28年3月9日,本件商標の指定役務中「娯楽施設の提供」に係る商標登録について,商標法50条1項所定の商標登録取消審判(以下「本件審判」 めの施設の提供,遊戯用器具の貸与」⑵ア被告は,平成28年3月9日,本件商標の指定役務中「娯楽施設の提供」に係る商標登録について,商標法50条1項所定の商標登録取消審判(以下「本件審判」という。)を請求し,同月23日,その登録がされた(甲3)。 特許庁は,本件審判の請求を取消2016-300169号事件として審理し,平成29年5月9日,本件審判の請求は,成り立たない旨の審決(以下「第1次審決」という。)をした。 被告は,第1次審決の取消しを求める審決取消訴訟(知的財産高等裁判所平成29年(行ケ)第10126号)を提起し,同裁判所は,同年12月25日,第1次審決を取り消す旨の判決(以下「前訴判決」という。甲12)をした。 その後,原告は,前訴判決を不服として上告受理の申立て(最高裁判所平成30年(行ヒ)第90号)をしたが,平成30年9月25日に上告不受理決定がされ,前訴判決は確定した(甲13)。 イ前訴判決の理由の要旨は,①第1次審決は,原告の2015年(平成27年)7月22日の発寒店の折込チラシ(以下「本件折込チラシ1」という。甲11・審判乙55)記載の「ベガス発寒店ファンのお客様へ」の部分に使用された「ベガス」の文字部分が出所識別機能を果たし得るものと認定した上,本件折込チラシ1に本件商標と社会通念上同一と認められる商標が付されていると認定したが,上記文字部分は,店内改装のため一時休業する店舗の名称を一部省略した略称を表示したものにすぎず,本件折込チラシ1に係る娯楽施設の提供という役務の出所自体を示すものではないと理解するのが自然であるから,本件折込チラシ1に上記文字部分を付 する行為は,本件商標について商標法2条3項にいう「使用」をするものであると認めることはできない,②原告の同年1月5日の苫小 いと理解するのが自然であるから,本件折込チラシ1に上記文字部分を付 する行為は,本件商標について商標法2条3項にいう「使用」をするものであると認めることはできない,②原告の同年1月5日の苫小牧店の折込チラシ(以下「本件折込チラシ2」という。)に本件商標と社会通念上同一と認められる商標が付されていると認定した第1次審決の判断には誤りがある,③したがって,その余の点を判断するまでもなく,原告が本件審判の請求の登録前3年以内の期間(以下「要証期間」という。)内に本件審判の請求に係る指定役務について本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していることを証明したものと認められるとした第1次審決の判断に誤りがあるというものである。 ⑶ 特許庁は,前訴判決の確定を受けて,取消2016-300169号事件の審理を再開し,令和2年6月26日,「本件商標の指定役務中,第41類「娯楽施設の提供」についての商標登録を取り消す。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,同年7月4日,原告に送達された。 ⑷ 原告は,令和2年7月31日,本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。 2 本件審決の理由の要旨本件審決の理由は,別紙審決書(写し)記載のとおりである。 その要旨は,①本件折込チラシ1に「ベガス」の文字部分を付する行為は,本件商標について商標法2条3項にいう「使用」をするものであると認めることはできない,②本件折込チラシ2には,本件商標と社会通念上同一と認められる商標が付されていないから,本件商標について同項にいう「使用」をするものであると認めることはできない,③別紙2の原告の2014年(平成26年)6月6日の北仙台店の折込チラシ(以下「本件折込チラシ3」という。甲14の1,2)の裏面には,「ベガス北仙台店/パチンコ・ ものであると認めることはできない,③別紙2の原告の2014年(平成26年)6月6日の北仙台店の折込チラシ(以下「本件折込チラシ3」という。甲14の1,2)の裏面には,「ベガス北仙台店/パチンコ・スロット/11機種導入」と記載されている部分が認められ,この部分には「ベガス」の文字部分が使用されているが,本件折込チラシ3に上記文字部分を付する行為は,本件 商標について同項にいう「使用」をするものであると認めることはできない,④別紙3の原告の同年7月27日の北仙台店の折込チラシ(以下「本件折込チラシ4」という。甲17)には,「ベガス北仙台店今月の新台ラインナップ」と記載されている部分が認められ,この部分には「ベガス」の文字部分が使用されているが,本件折込チラシ4に上記文字部分を付する行為は,本件商標について,同項にいう「使用」をするものであると認めることはできない,⑤その他,要証期間において本件審判の請求に係る指定役務について本件商標の使用をしたことを認めるに足りる証拠はない,⑥したがって,原告は,要証期間内に,日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件審判の請求に係る指定役務について本件商標(社会通念上同一のものを含む。)の使用をしていることを証明したものと認められず,また,原告は,上記指定役務について使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていないから,同法50条の規定により,上記指定役務についての本件商標の商標登録を取り消すべきものであるというものである。 3 取消事由本件商標の使用の事実に係る判断(本件折込チラシ1及び2に係る判断を除く。)の誤り第3 当事者の主張 1 原告の主張⑴ 本件折込チラシ3及4における本件商標の使用についてア原告は,原告の北仙台 用の事実に係る判断(本件折込チラシ1及び2に係る判断を除く。)の誤り第3 当事者の主張 1 原告の主張⑴ 本件折込チラシ3及4における本件商標の使用についてア原告は,原告の北仙台店の新聞の折込チラシとして,平成26年6月6日に本件折込チラシ3(甲14の1,2)を,同年7月27日に本件折込チラシ4(甲17)をそれぞれ頒布した。 別紙2の本件折込チラシ3の裏面(甲14の2)には,「ベガス北仙台店」,「パチンコ・スロット」及び「11機種導入」との記載があり,別紙3の本件折込チラシ4(甲17)には,「ベガス北仙台店今月の新台ラインナ ップ」との記載があり,本折込チラシ3及び4には,「ベガス北仙台店」の標章が付されている。 本件折込チラシ3及び4には,「ベガス北仙台店」の標章が付された同一紙面に「パチンコ」,「スロット」,「11機種導入」との記載があることからすると,需要者,取引者は,本件折込チラシ3及び4を「娯楽施設の提供」に関する広告として頒布されたものと認識するのが自然である。 そして,店名の前にその店舗の所在地を記載して表記することが一般に行われていることからすると,「ベガス北仙台店」の標章に接した需要者は,「ベガス」の文字部分が出所識別機能を果たしていると認識するのが自然であるから,「ベガス北仙台店」の標章は,別紙1記載の「ベガス」の片仮名を横書きに書してなる本件商標と社会通念上同一の商標であるといえる。 そうすると,原告が「ベガス北仙台店」の標章が付された本件折込チラシ3及び4を新聞の折込チラシとして頒布した行為は,「娯楽施設の提供」の「役務に関する広告に標章を付して頒布する行為」(商標法2条3項8号)に該当するから,原告は,要証期間内に日本国内において,本件審判の請求に係る指定役務について,本件商 行為は,「娯楽施設の提供」の「役務に関する広告に標章を付して頒布する行為」(商標法2条3項8号)に該当するから,原告は,要証期間内に日本国内において,本件審判の請求に係る指定役務について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用したものといえる。 イこれに対し本件審決は,①本件折込チラシ3に付された「ベガス北仙台店」の標章について,本件折込チラシ3の裏面の上部には,大きく「ベガスベガス北仙台店」という文字,さらに,本件折込チラシ3の表面の下部には,登録商標であることを示す「Ⓡ」の文字を付した「ベガスベガス」という文字が大きく付されているほか,「VEGASVEGAS」,「ベガスベガス北仙台店」という文字も併せて記載されていることからすると,本件折込チラシ3に接した需要者は,同チラシにおいて,パチンコ,スロットマシンなどの娯楽施設の提供という役務に係る出所を示す文字は,同 チラシにおいて多用されている「ベガスベガス」又は「VEGASVEGAS」であって,1箇所だけで用いられた「ベガス」の文字部分は,店舗の名称を一部省略した略称を表示したものにすぎず,本件折込チラシ3に係る上記役務の出所自体を示すものではないと理解するのが自然であるから,本件折込チラシ3に「ベガス」の文字部分を付する行為は,本件商標について商標法2条3項にいう「使用」をするものであると認めることはできない,②本件折込チラシ4に付された「ベガス北仙台店」の標章について,本件折込チラシ4の下部には,登録商標であることを示す「Ⓡ」の文字を付した「ベガスベガス」という文字が大きく付されているほか,「VEGASVEGAS」,「ベガスベガス北仙台店」という文字も併せて記載されていることからすると,本件折込チラシ4に接した需要者は,同チラシにおいて,パチン という文字が大きく付されているほか,「VEGASVEGAS」,「ベガスベガス北仙台店」という文字も併せて記載されていることからすると,本件折込チラシ4に接した需要者は,同チラシにおいて,パチンコ,スロットマシンなどの娯楽施設の提供という役務に係る出所を示す文字は,同チラシにおいて多用されている「ベガスベガス」又は「VEGASVEGAS」であって,1箇所だけで用いられた本件文字部分は,店舗の名称を一部省略した略称を表示したものにすぎず,本件折込チラシ4に係る上記役務の出所自体を示すものではないと理解するのが自然であるから,本件折込チラシ4に「ベガス」の文字部分を付する行為は,本件商標について,同項にいう「使用」をするものであると認めることはできない旨判断したが,以下のとおり本件審決の判断は誤りである。 (ア) 本件折込チラシ3及び4に付された「ベガス北仙台店」の標章中の「ベガス」の文字部分が,店舗の名称を一部省略した略称の表示であることや,「ベガスベガス」又は「VEGASVEGAS」の文字部分が役務の出所を示す表示であることは,「ベガス」の文字部分が役務の出所識別機能を果たすことを否定する理由にはならない。 すなわち,例えば,店舗の名称である「スターバックス」の略称であ る「スタバ」,「ファミリーマート」の略称である「ファミマ」,「ミスタードーナツ」の略称である「ミスド」も商標登録(甲42ないし44)されており,これらの略称に触れた需要者は,それぞれ「スターバックス」,「ファミリーマート」,「ミスタードーナツ」と同一の出所を想起する。 また,「ファミリーマート」及び「ミスタードーナツ」の公式ホームページ(甲45ないし47)には,「ファミリーマート」又は「ミスタードーナツ」の商標ととともに,商標登録された略称の 所を想起する。 また,「ファミリーマート」及び「ミスタードーナツ」の公式ホームページ(甲45ないし47)には,「ファミリーマート」又は「ミスタードーナツ」の商標ととともに,商標登録された略称の「ファミマ」又は「ミ「ミスド」も併せて使用されており,これらのホームページを見た需要者は,当該略称からも,「ファミリーマート」や「ミスタードーナツ」と同一の出所を想起する。これらと同様に,略称はそれ自体で出所識別機能を果たすから,需要者が「ベガス」の文字部分を「ベガスベガス」又は「VEGASVEGAS」の略称又は愛称であると認識するのであれば,「ベガス」の文字部分から「ベガスベガス」又は「VEGASVEGAS」と同一の出所を想起するのが通常である。 さらに,同一のチラシ内に使用された複数の標章がそれぞれ出所識別機能を果たすことも通常である。そして,原告のみならず,多くの企業は,ブランドの正式名称より短く覚えやすいブランドの略称を正式名称と共に用いて何の略称であるかを周知させて,ブランディングを行うことがあるところ,本件審決の判断を前提とすると,ブランドの正式名称と共にブランドの略称を使用した場合,略称に常に出所識別機能が認められないということになり,不使用取消審判による商標登録の取消しを免れるためには,未だブランディングが十分でなかったとしても,略称を単独で用いなければならなくなるが,このことは,ブランディングのための企業の経済活動を著しく制限することになりかねず,実務上不都合が生じるおそれが高い。 (イ) 商標法50条1項,2条1項及び3項には,商標の使用の態様を限定する文言はなく,また,同法26条1項6号は,「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる態様により使用されていない商標」に 2条1項及び3項には,商標の使用の態様を限定する文言はなく,また,同法26条1項6号は,「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる態様により使用されていない商標」について,商標権の効力が及ばない旨を規定し,商標的使用であるかは,商標権の効力の範囲の制限の問題としている。 加えて,不使用取消審判は,行政により商標権者の財産である登録商標を取り消すという重大な処分であり,取消しを認めるべき商標であるか否かについては,厳格に解さなければならず,条文上根拠のない限定解釈により,同法50条所定の「使用」の態様を限定することは,商標権者の予測可能性を奪うものであり,許されない。 このような商標法における「使用」の文言の統一的解釈の必要性及び商標権者の予測可能性の担保の見地に照らすと,同法50条所定の「使用」は,形式的に同法2条1項及び3項の「使用」に当たるか否かによって判断すべきであり,出所表示機能を果たし得る使用態様に限るとの解釈は採用すべきでない。 したがって,仮に本件折込チラシ3及び4における「ベガス北仙台店」の標章の使用が娯楽施設の提供の役務の出所識別機能を果たし得る使用態様でないとしても,商標法50条の「使用」に当たると解すべきである。 (ウ) 以上によれば,本件折込チラシ3及び4における「ベガス北仙台店」の標章の使用は商標法50条の「使用」に当たらないとの本件審決の前記判断は誤りである。 ⑵ 甲4ないし10,27及び30における本件商標の使用について甲4の折込チラシの「A氏明日,ベガスに来店。」の記載部分における「ベガス」の標章,甲5の折込チラシの「ベガス大谷地に夏到来!!」の記載部分における「ベガス大谷地」の標章,甲6の折込チラシの「ベガス大谷地からの ありがとう。 ガスに来店。」の記載部分における「ベガス」の標章,甲5の折込チラシの「ベガス大谷地に夏到来!!」の記載部分における「ベガス大谷地」の標章,甲6の折込チラシの「ベガス大谷地からの ありがとう。」の記載部分における「ベガス大谷地」の標章,甲7の折込チラシ及び甲8の折込チラシの各「ベガス札幌店のファンのお客様へ」の記載部分における「ベガス札幌店」の標章,甲9の折込チラシの「狸のベガス!!」の記載部分における「ベガス」の標章,甲10の折込チラシの「狸小路4丁目のベガスが!」の記載部分における「ベガス」の標章,甲27の折込チラシの「ベガス米沢店来店取材決定!」の記載部分における「ベガス米沢店」の標章及び甲30の折込チラシの「ベガス米沢店来店取材決定!」の記載部分における「ベガス米沢店」の標章は,いずれも本件商標と社会通念上同一の商標である。 そして,甲4ないし10,27及び30の折込チラシは,要証期間内に頒布された「娯楽施設の提供」の役務に関する広告である。 そうすると,原告が甲4ないし10,27及び30の折込チラシを頒布した行為は,「娯楽施設の提供」の「役務に関する広告に標章を付して頒布する行為」(商標法2条3項8号)に該当するから,原告は,要証期間内に日本国内において,本件審判の請求に係る指定役務について,本件商標と社会通念上同一と認められる「ベガス」の標章等を使用したものといえる。 ⑶ 小括以上によれば,本件商標の商標権者である原告は,要証期間内に日本国内において,本件審判の請求に係る指定役務について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用したものといえるから,本件商標の使用の事実を否定した本件審決の判断には誤りがある。 2 被告の主張⑴ 本件折込チラシ3及4における本件商標の使用の主張に対し 一と認められる商標を使用したものといえるから,本件商標の使用の事実を否定した本件審決の判断には誤りがある。 2 被告の主張⑴ 本件折込チラシ3及4における本件商標の使用の主張に対しア本件折込チラシ3の裏面には「ベガス北仙台店/パチンコ・スロット/11機種導入」と記載されている部分が,本件折込チラシ4には「ベガス北仙台店今月の新台ラインナップ」と記載されている部分がある。 しかし,一方で,本件折込チラシ3及び4は,本件審決が認定するように,いずれも,登録商標であることを示す「Ⓡ」を付した「ベガスベガス」の大きな文字や,「VEGASVEGAS」,「ベガスベガス北仙台店」の大きな文字を,これらの文字と比して小さな「ベガス北仙台店」の文字に近接させた構成であり,「ベガス北仙台店」の文字は,常に「ベガスベガス」,「VEGASVEGAS」,「ベガスベガス北仙台店」の文字と併せて使用されており,「ベガス」の文字が単独で使用されていない。 加えて,本件折込チラシ3及び4が示す店舗の場所に存在するのは,「ベガスベガス北仙台店」という名称の店舗であって,「ベガス北仙台店」ではないこと,本件折込チラシ3及び4の頒布地域は,店舗を利用する可能性の高い「ベガスベガス北仙台店」という店舗を知っている需要者が存在する限られた地域であることを考慮すると,本件折込チラシ3及び4に接する需要者は,「ベガス北仙台店」に含まれる「ベガス」の文字は,「ベガスベガス」又は「VEGASVEGAS」の店舗名称を一部省略した略称等を表示したものにすぎないと理解するのが自然である。 そうすると,本件折込チラシ3及び4において,「ベガス北仙台店」の文字又はこれに含まれる「ベガス」の文字は,分離独立して観察することはできないから,役務の出所識 いと理解するのが自然である。 そうすると,本件折込チラシ3及び4において,「ベガス北仙台店」の文字又はこれに含まれる「ベガス」の文字は,分離独立して観察することはできないから,役務の出所識別標識としての機能を果たし得ないのみならず,商標法2条3項各号の「使用」に形式的・外形的にも該当せず,「全く使用されていない」と判断すべきものである。 仮に本件折込チラシ3及び4において「ベガス北仙台店」の文字又はこれに含まれる「ベガス」の文字を分離独立して観察することができたとしても,「ベガス北仙台店」の文字は,本件商標と社会通念上同一の商標であるとはいえいないし,また,「ベガス」という略称等表示の使用をもって,本件商標についての「使用」であると認めることは,「ベガスベガス」又は「VEGASVEGAS」とは異なる「ベガス」に係る信用までを保護するこ とを意味することになるから,不使用取消審判制度の趣旨に照らして相当でない。 イ以上によれば,原告による「ベガス北仙台店」の標章が記載された本件折込チラシ3及び4の配布は,本件商標についての商標法2条3項及び50条の「使用」に該当しないから,これと同旨の本件審決の判断に誤りはない。 ⑵ 甲4ないし10,27及び30の折込チラシにおける本件商標の使用の主張に対し甲4ないし10,27及び30の折込チラシの各構成(いずれの店舗のチラシも,登録商標であることを示す「Ⓡ」を付した「ベガスベガス」や,「VEGASVEGAS」,「ベガスベガス北仙台店」の文字が併せて使用されており,「ベガス」の文字が単独で使用されていない。)を踏まえれば,前記-1 アで述べたのと同様の理由により,上記各折込チラシに接する需要者は,「ベガス」の文字は,「ベガスベガス」又は「VEGASVEGAS」の店 」の文字が単独で使用されていない。)を踏まえれば,前記-1 アで述べたのと同様の理由により,上記各折込チラシに接する需要者は,「ベガス」の文字は,「ベガスベガス」又は「VEGASVEGAS」の店舗名称を一部省略した略称等を表示したものにすぎないと理解するのが自然であり,また,「ベガス」という略称等表示の使用をもって,本件商標についての「使用」であると認めることは,「ベガスベガス」又は「VEGASVEGAS」とは異なる「ベガス」に係る信用までを保護することを意味することになるから,不使用取消審判制度の趣旨に照らして相当でない。 したがって,上記各折込チラシに「ベガス」の文字部分を付する行為は本件商標についての商標法2条3項及び50条の「使用」に該当しない。 ⑶ 小括以上によれば,原告が要証期間内に日本国内において本件審判の請求に係る指定役務について本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用したものとはいえないから,原告主張の取消事由は理由がない。 第4 当裁判所の判断 1 本件折込チラシ3及4における本件商標の使用の有無について⑴ 本件折込チラシ3及び4の配布について証拠(甲14の1,2,15ないし19)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア原告(商号「株式会社ベガスベガス」)は,遊技場の経営等を目的とする株式会社である。 イ原告は,平成26年6月頃,株式会社東急エージェンシー(以下「東急エージェンシー」という。)及び株式会社永井印刷(以下「永井印刷」という。)に発注して,別紙2の本件折込チラシ3(甲14の1,2)を制作及び印刷し,同月6日,仙台市内において,山新折込センターを介して,本件折込チラシ3を「河北新報」に折り込んで2万9000枚配布した。 また,原告は,同年7月頃,東 チラシ3(甲14の1,2)を制作及び印刷し,同月6日,仙台市内において,山新折込センターを介して,本件折込チラシ3を「河北新報」に折り込んで2万9000枚配布した。 また,原告は,同年7月頃,東急エージェンシー及び永井印刷に発注して,別紙3の本件折込チラシ4(甲17)を制作及び印刷させ,同月27日,本件折込チラシ4を「河北新報」に折り込んで3万4300枚配布した。 ⑵ 本件折込チラシ3についてア本件折込チラシ3(甲14の1,2)は,両面印刷の1枚のチラシである。 本件折込チラシ3の表面(甲14の1)には,別紙2のとおり,上部において,「ベガスベガス北仙台店」との見出しが付され,中央部において,大きな文字で「本日6日FRI金午前11時開店予定」と記載され,その下には,「開店時間が通常と異なりますのでお間違えの無いよう,ご案内申し上げます。」,「新台情報は裏面をチェック!」と記載され,下部において,赤色を背景とする白抜き文字で「ベガスベガスⓇ」の文字が大きく記載され,さらに,その下には,「VEGASVEGAS」,「北仙台店」,その住所等の記載があり,その右側には,「ベガスベガス北仙台店店舗マップ」 が記載されている。 次に,本件折込チラシ3の裏面(甲14の2)には,別紙2のとおり,上部において,「ベガスベガス北仙台店」及び「新台入替しました」との2段書きの金色の大きな文字の見出しが付され,その左下側において,外側の線が太く,内側の線が細い二重の円の中に,3段書きで上から順に「ベガス北仙台店」の黒色の文字,「パチンコ・スロット」の赤色の文字及び「11機種導入」の赤色の文字が記載され,さらに,中央部から下部において,パチンコ台及びスロットマシンの図形が,3段にわたり,1段目は3台,2段目及び3段目は各4台掲 コ・スロット」の赤色の文字及び「11機種導入」の赤色の文字が記載され,さらに,中央部から下部において,パチンコ台及びスロットマシンの図形が,3段にわたり,1段目は3台,2段目及び3段目は各4台掲載されている。 イ(ア) 前記ア認定のとおり,本件折込チラシ3の裏面に記載された二重の円の中には,3段書きで上から順に「ベガス北仙台店」の黒色の文字,「パチンコ・スロット」の赤色の文字及び「11機種導入」の赤色の文字が記載されている。 二重の円の記載部分における最上段の「ベガス北仙台店」の文字は,色彩が異なる2段目及び3段目の各文字と分離して観察することができ,「ベガス」の片仮名の文字部分と「北仙台店」の漢字の文字部分からなる独立した標章として認識できる。 そして,二重の円の記載部分全体から,「ベガス北仙台店」の標章は,「パチンコ・スロット」が「11機種導入」された店舗の名称を表示する標章であり,「ベガス北仙台店」において「パチンコ・スロット」の遊技機が設置され,その遊技機を提供する役務が受けられることを理解できることからすると,本件折込チラシ3は,「パチンコ・スロット」の遊技機の提供の役務に係るチラシであって,本件折込チラシ3に記載された「ベガス北仙台店」の標章は,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができる態様で使用されているものと認められる。 次に,「ベガス北仙台店」の標章の構成中,「ベガス」の文字部分は, それ自体が「ラスベガス」を想起させる造語であるものと認められ,また,本件折込チラシ3の表面及び裏面に「ベガスベガス北仙台店」の文字が表示されていることからすると,本件折込チラシ3に接した需要者は,「ベガス」の文字部分は,「ベガスベガス」の略称としての意味合いも有するものと認識すると認められる。 「ベガスベガス北仙台店」の文字が表示されていることからすると,本件折込チラシ3に接した需要者は,「ベガス」の文字部分は,「ベガスベガス」の略称としての意味合いも有するものと認識すると認められる。 一方で,「ベガス北仙台店」の標章の構成中の「北仙台店」の文字部分は,「北仙台」の地域にある店舗の意味合いを有し,単に,上記役務の提供の場所を表示するものと認識され,役務の出所識別標識としての機能があるものとはいえないことからすると,「ベガス北仙台店」の標章の構成中の「ベガス」の文字部分は,その文字部分のみから役務の出所識別標識としての機能を有するものと認められるから,要部に相当するものである。 そこで,「ベガス北仙台店」の標章中の「ベガス」の文字部分と別紙1記載の「ベガス」の片仮名を横書きに書してなる本件商標とを対比すると,両者は,字体の違いはあるが,構成する文字が同一であり,「ベガス」という同一の称呼が生じること,「ラスベガス」を想起させる点において観念が共通することからすると,「ベガス北仙台店」の標章は,本件商標と社会通念上同一の商標であると認められる。 (イ) 以上によれば,原告が平成26年6月6日に山新折込センターを介して「ベガス北仙台店」の標章が記載された本件折込チラシ3を「河北新報」に折り込んで2万9000枚配布した行為は,「パチンコ・スロット」の遊技機の提供の役務に関する広告としてのチラシに本件商標と社会通念上同一の商標を付して頒布した行為(商標法2条3項8号)であると認められるから,本件商標の「使用」に該当するものと認められる。 ⑶ 本件折込チラシ4についてア本件折込チラシ4(甲17)は,片面印刷の1枚のチラシである。 本件折込チラシ4には,上部右側において,「ベガス北仙台店今月の新台 認められる。 ⑶ 本件折込チラシ4についてア本件折込チラシ4(甲17)は,片面印刷の1枚のチラシである。 本件折込チラシ4には,上部右側において,「ベガス北仙台店今月の新台ラインナップ」との横書きの赤色の見出しが付され,その下に,パチンコ台・スロットマシンの図形が,4段にわたり,各段5台ずつ掲載され,上部左側において,「元B」,「Cさんが」及び「北仙台店に来店」との縦書きの3段の文字が記載され,下部において,大きな赤色の文字で「7月27日[日]朝8時オープン」と記載され,その下側において,赤色を背景とする白抜き文字で「ベガスベガスⓇ」の文字が大きく記載され,その右側には,「VEGASVEGAS」,「北仙台店」の文字が,さらに,その右側には,「ベガスベガス北仙台店店舗マップ」が記載され,その下側には,住所等が記載されている。 イ(ア) 本件折込チラシ4に記載された「ベガス北仙台店今月の新台ラインナップ」との横書きの赤色の見出し部分においては,別紙3のとおり,「ベガス北仙台店」の文字と「今月の新台ラインナップ」の文字との間に間隔があり,「ベガス北仙台店」の文字を分離して観察することができ,これを「ベガス」の片仮名の文字部分と「北仙台店」の漢字の文字部分からなる独立した標章として認識できる。 そして,「ベガス北仙台店今月の新台ラインナップ」との横書きの記載部分及びその記載部分の下にパチンコ台・スロットマシンの図形が,4段にわたり,各段5台ずつ掲載されていることから,「ベガス北仙台店」の標章は,パチンコ台・スロットマシンの「新台」が設置された店舗の名称を表示する標章であり,「ベガス北仙台店」において「パチンコ・スロット」の遊技機が設置され,その遊技機を提供する役務が受けられることを理解できることからする トマシンの「新台」が設置された店舗の名称を表示する標章であり,「ベガス北仙台店」において「パチンコ・スロット」の遊技機が設置され,その遊技機を提供する役務が受けられることを理解できることからすると,本件折込チラシ4は,「パチンコ・スロット」の遊技機の提供の役務に係るチラシであって,本件折込チラシ4に記載された「ベガス北仙台店」の標章は,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができる態様で使用されているもの と認められる。 次に,「ベガス北仙台店」の標章の構成中,「ベガス」の文字部分は,それ自体が「ラスベガス」を想起させる造語であるものと認められ,また,本件折込チラシ4の下側において,「ベガスベガスⓇ」の文字が大きく記載され,その右側には,「VEGASVEGAS」,「北仙台店」の文字が,さらに,その右側には,「ベガスベガス北仙台店店舗マップ」が記載されていることからすると,本件折込チラシ4に接した需要者は,「ベガス」の文字部分は,「ベガスベガス」の略称としての意味合いも有するものと認識すると認められる。 一方で,前記-2 イ(ア)と同様の理由により,「ベガス北仙台店」の標章の構成中の「ベガス」の文字部分は,その文字部分のみから役務の出所識別標識としての機能を有するものと認められるから,要部に相当するものであり,「ベガス北仙台店」の標章は,本件商標と社会通念上同一の商標であると認められる。 (イ) 以上によれば,原告が平成26年7月27日に山新折込センターを介して「ベガス北仙台店」の標章が記載された本件折込チラシ4を「河北新報」に折り込んで3万4300枚配布した行為は,「パチンコ・スロット」の遊技機の提供の役務に関する広告としてのチラシに本件商標と社会通念上同一の商標を付して頒布した行為(商標法2 チラシ4を「河北新報」に折り込んで3万4300枚配布した行為は,「パチンコ・スロット」の遊技機の提供の役務に関する広告としてのチラシに本件商標と社会通念上同一の商標を付して頒布した行為(商標法2条3項8号)であると認められるから,本件商標の「使用」に該当するものと認められる。 (4) 被告の主張について被告は,①本件折込チラシ3及び4は,登録商標であることを示す「Ⓡ」を付した「ベガスベガス」の大きな文字や,「VEGASVEGAS」,「ベガスベガス北仙台店」の大きな文字を,これらの文字と比して小さな「ベガス北仙台店」の文字に近接させた構成であり,「ベガス北仙台店」の文字は, 常に「ベガスベガス」,「VEGASVEGAS」,「ベガスベガス北仙台店」の文字と併せて使用されており,「ベガス」の文字が単独で使用されていないこと,本件折込チラシ3及び4が示す店舗の場所に存在するのは,「ベガスベガス北仙台店」という名称の店舗であって,「ベガス北仙台店」ではないこと,本件折込チラシ3及び4の頒布地域は,店舗を利用する可能性の高い「ベガスベガス北仙台店」という店舗を知っている需要者が存在する限られた地域であることを考慮すると,本件折込チラシ3及び4に接する需要者は,「ベガス北仙台店」に含まれる「ベガス」の文字は,「ベガスベガス」又は「VEGASVEGAS」の店舗名称を一部省略した略称等を表示したものにすぎないと理解するのが自然であることからすれば,本件折込チラシ3及び4において,「ベガス北仙台店」の文字又はこれに含まれる「ベガス」の文字は,分離独立して観察することはできないので,役務の出所識別標識としての機能を果たし得ないのみならず,商標法2条3項各号の「使用」に形式的・外形的にも該当せず,「全く使用されていない」と ス」の文字は,分離独立して観察することはできないので,役務の出所識別標識としての機能を果たし得ないのみならず,商標法2条3項各号の「使用」に形式的・外形的にも該当せず,「全く使用されていない」と判断すべきものである,②仮に本件折込チラシ3及び4において「ベガス北仙台店」の文字を分離独立して観察することができたとしても,「ベガス北仙台店」の文字は,本件商標と社会通念上同一の商標であるとはいえないし,また,「ベガス」という略称等表示の使用をもって,本件商標についての「使用」であると認めることは,「ベガスベガス」又は「VEGASVEGAS」とは異なる「ベガス」に係る信用までを保護することを意味することになるから,不使用取消審判制度の趣旨に照らして相当でないとして,原告による「ベガス北仙台店」の標章が記載された本件折込チラシ3及び4を配布した行為は,本件商標の「使用」に該当しない旨主張する。 しかしながら,①については,本件折込チラシ3の裏面の二重の円の中に記載された「ベガス北仙台店」の文字を本件折込チラシ3の他の記載部分から分離して観察することができるかどうかは,その文字の大きさ,間隔, 配置,色彩等の態様に照らして外形的に把握すべき事柄であることからすると,原告の「北仙台店」の店舗の名称は,「ベガスベガス北仙台店」であって,「ベガス北仙台店」という名称の店舗は存在せず,「ベガス北仙台店」は「ベガスベガス北仙台店」の略称であることや,「ベガス北仙台店」の文字に含まれる「ベガス」の文字は,「ベガスベガス」の略称として理解されることは,前記-2 イ(ア)認定のとおり,「ベガス北仙台店」の文字を本件折込チラシ3の他の記載部分から分離して観察することができることを否定すべき理由になるものとは認められない。本件折込チラシ4の ことは,前記-2 イ(ア)認定のとおり,「ベガス北仙台店」の文字を本件折込チラシ3の他の記載部分から分離して観察することができることを否定すべき理由になるものとは認められない。本件折込チラシ4の「ベガス北仙台店」の文字についても,前記-3 イ(ア)認定のとおり,これと同様である。 また,一つの広告に特定のブランド名の商標とそのブランド名の略称の商標が記載されることは,取引上普通に行われており(甲45ないし47),そのいずれもが同一の事業者の出所識別標識として認識され得ることは,特段不自然ではないから,本件折込チラシ3に「ベガスベガス北仙台店」の標章の記載があり,これが出所識別標識としての機能を果たし得ることは,「ベガスベガス北仙台店」又は「ベガスベガス」の略称としての「ベガス北仙台店」の標章又はこれに含まれる「ベガス」の文字部分が出所識別標識としての機能を果たし得ることを打ち消し,又は否定すべき理由になるものとは認められない。 次に,②については,本件折込チラシ3及び4記載の「ベガス北仙台店」の標章が本件商標と社会通念上同一の商標であると認められることは,前記-2 イ(ア)及び-3 イ(ア)認定のとおりであり,また,同一の事業者が特定のブランド名の商標とともに,そのブランド名の略称の商標を保有し,そのいずれをも使用することが不使用取消審判制度の趣旨に反するものとはいえない。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 (5) 小括 以上によれば,原告は,要証期間内である平成26年6月6日及び同年7月27日に,日本国内において,本件審判の請求に係る指定役務「娯楽施設の提供」の範疇に含まれる「パチンコ・スロット」の遊技機の提供の役務に関する広告に本件商標と社会通念上同一の商標の 6日及び同年7月27日に,日本国内において,本件審判の請求に係る指定役務「娯楽施設の提供」の範疇に含まれる「パチンコ・スロット」の遊技機の提供の役務に関する広告に本件商標と社会通念上同一の商標の使用をしていたことを証明したものと認められるから,その余の点について判断するまでもなく,原告主張の取消事由は理由がある。 2 結論以上のとおり,原告主張の取消事由は理由があるから,本件審決は取り消されるべきものである。 よって,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第1部 裁判長裁判官大鷹一郎 裁判官小林康彦 裁判官高橋彩 (別紙1)本件商標 (別紙2)本件折込チラシ3(裏面) (表面) (別紙3)本件折込チラシ4
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