主文 1 原判決を次のとおり変更する。 2 控訴人が被控訴人に対し平成8年3月22日付けでした審査決定中,原判決別紙目録1記載の土地についての平成6年度固定資産課税台帳の登録価格のうち金10億1864万円を超える部分を棄却した部分を取り消す。 3 被控訴人のその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は第1,第2審を通じてこれを10分し,その1を控訴人の,その余を被控訴人の各負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 控訴人(一) 原判決を取り消す。 (二) 被控訴人の請求をいずれも棄却する。 (三) 訴訟費用は第1,第2審とも被控訴人の負担とする。 2 被控訴人(一) 本件控訴を棄却する。 (二) 控訴費用は控訴人の負担とする。 第2 事案の概要及び争点 1 事案の概要(一) 本件は,原判決「(別紙)」1記載の土地(以下「本件土地」という。)の所有者である被控訴人が控訴人に対し,本件土地の平成6年度の固定資産課税台帳の登録価格11億0432万円が適正な時価を上回るとして審査の申出をしたところ,控訴人が被控訴人に対し,平成8年3月22日付け審査決定(以下,原判決に倣い,「本件決定」という。)をもって,本件土地の平成6年度の登録価格を10億7576万円と一部減額変更した(以下,本件決定に係る価格を「本件決定価格」という。)が,その余の審査申出を棄却したため,被控訴人は,本件決定価格も適正な時価を上回るとして,控訴人に対し,同価格のうち,平成5年度の本件土地の登録価格である9960万3000円を超える部分につき,または,これと選択的に,平成6年度の本件決定価格の全部につき,そのいずれかの取消しを求めた地方税法(以下「法」という。)434条に基づく審査決定取消請求行政事件である。 (二) 原判決は,被控訴人の主 ,これと選択的に,平成6年度の本件決定価格の全部につき,そのいずれかの取消しを求めた地方税法(以下「法」という。)434条に基づく審査決定取消請求行政事件である。 (二) 原判決は,被控訴人の主張する本件決定の違法事由の主張を概ね排斥したが,本件決定価格が本件土地の適正な登録価格か否かの判断において,登録価格は,基準年度に係る賦課期日における適正価格であるとした上,本件土地の価格決定過程において,平成4年7月1日時点(以下「価格調査基準日」という。)における鑑定評価額に同日から平成5年1月1日までの時点修正率を乗じ,更に7割評価通達(その特定は後記のとおり。)に従い約7割を乗じて控訴人が算定した平成6年1月1日時点での標準宅地の主要街路路線価580万円は,平成5年1月1日から平成6年1月1日までの公示地及び正面路線の各地価下落率に照らし,高きに過ぎると認められるところ,本件決定は一体として不可分である上,上記標準宅地の正確な地価下落率を判定するに足りる証拠がないから,上記標準宅地の路線価をもとに本件土地の価格を算定した本件決定は全部違法であるとして,選択的併合に係る被控訴人の請求のうち,本件決定の全部取消請求を認容したため,控訴人が控訴提起した。 2 前提となる事実(一) 被控訴人は,平成6年度の固定資産税の賦課期日(平成6年1月1日)において,本件土地の所有者であった者で,平成6年度の本件土地の固定資産税の納税義務者であった。 (二) 本件土地の平成5年度の土地課税台帳の登録価格は,9960万3000円であったが,平成6年度は基準年度に当たり,その評価替えがされ,東京都知事は,本件土地の平成6年度の価格を11億0432万円と決定し,東京都渋谷都税事務所は,これを土地課税台帳に登録した。 (三) 被控訴人は,平成6年4月18日,控訴 たり,その評価替えがされ,東京都知事は,本件土地の平成6年度の価格を11億0432万円と決定し,東京都渋谷都税事務所は,これを土地課税台帳に登録した。 (三) 被控訴人は,平成6年4月18日,控訴人に対し,上記登録価格を不服として審査の申出をし,控訴人は,平成8年3月22日,本件土地の平成6年度の登録価格を10億7576万円と変更し,その余の審査申出を棄却する旨の本件決定をした。 (四) 本件決定において準拠された告示,通達等は,以下のとおりである(乙1ないし3)。 (1)① 固定資産評価基準(昭和38年12月25日自治省告示第158号,以下「評価基準」という。)② 自治事務次官依命通達「固定資産評価基準の取扱いについて」(昭和38年12月25日自治乙固発第30号,以下「取扱通達」という。)③ 自治事務次官通知「『固定資産評価基準の取扱いについて』の依命通達の一部改正について」(平成4年1月22日自治固発第3号,以下「7割評価通達」という。)④ 自治省税務局資産評価室長通知「平成6年度評価替え(土地)に伴う取扱いについて」(平成4年11月26日自治評第28号,以下「時点修正通知」という。)(2) 東京都特別区においては,東京都知事が固定資産の価格を決定するものとされ,評価の方法については,上記(1)の評価基準,7割評価通達等の内容を取り込んだ「東京都固定資産(土地)評価事務取扱要領」(昭和38年5月22日主課固発第174号主税局長決裁,以下「取扱要領」という。)及び東京都土地価格比準表(以下「比準表」という。)によることとされている(乙4,8。以下,評価基準,取扱通達,7割評価通達,取扱要領及び比準表を「評価基準等」という。)(五) 本件決定価格の具体的算定根拠は,以下のとおりである(上記評価基準等のほか,甲1,乙5,6,9) ,8。以下,評価基準,取扱通達,7割評価通達,取扱要領及び比準表を「評価基準等」という。)(五) 本件決定価格の具体的算定根拠は,以下のとおりである(上記評価基準等のほか,甲1,乙5,6,9)。 (1) 控訴人は,本件土地が登記簿上及び現況ともに宅地であり,主として市街地的形態を形成する地域における宅地に該当するところから,市街地宅地評価法により評価した。 (2) 本件土地付近は日常生活圏の中心地で,概して街路沿いのみに多種類の店舗が連なっているが,高度商業地区,繁華街に比べ投下資本量が少ない店舗が連なっている地区に該当するところから,控訴人は,本件土地が属する地域の用途地区区分を普通商業地区として評価した。 (3) 控訴人は,(2)の状況類似地区ごとに区分した上,本件土地の所在する地区の標準宅地を渋谷区α12番5に所在する土地(以下「本件標準宅地」という。)と選定した。 (4) 控訴人は,本件標準宅地に沿接する主要な街路の路線価を,価格調査基準日である平成4年7月1日時点での不動産鑑定価格988万円を活用し,平成5年1月1日までの地価動向を勘案し,マイナス16・0パーセントの時点修正を行い,その7割程度の580万円をもとに580万点とした。 (5) 控訴人は,(4)の主要街路と本件土地の正面に沿接する正面路線とを比較し,街路条件81パーセント,交通・接近条件103パーセント,環境条件100パーセント,行政条件94パーセントを乗じた格差率78パーセントを(4)の主要街路路線価に乗じて,本件土地の正面路線の路線価を452万点と付設した。 (6) 正面路線からの本件土地の奥行は15・5メートルであるから,奥行価格補正率は1・00となるところ,控訴人は,(5)の正面路線の路線価にこれを乗じて本件土地の単位地積当たりの評点を452万点と算出した 正面路線からの本件土地の奥行は15・5メートルであるから,奥行価格補正率は1・00となるところ,控訴人は,(5)の正面路線の路線価にこれを乗じて本件土地の単位地積当たりの評点を452万点と算出した。 更に,控訴人は,この評点に本件土地の地積238・00平方メートルを乗じて本件土地の総評点を10億7576万点と算出し,評点1点当たりの価格1円を乗じて本件土地の評価額を10億7576万円と算定した。 3 争点本件争点は,原審以来の(一)ないし(四)であるが,原判決が被控訴人の選択的併合に係る請求中,本件決定の全部を取り消したことから,(五)が当審における新たな争点となった。 (一) 時点修正通知に基づく本件土地の評価の適法性の有無(争点1)(二) 7割評価通達に基づく本件土地の評価の適法性の有無(争点2)(三) 評価基準等の合理性の有無(争点3)(四) 本件土地の評価の個別的違法の有無(争点4)(五) 本件決定の一部取消しの可否(争点5) 4 当事者の主張争点に係る当事者双方の主張は,次のとおり付加するほか,原判決の「事実及び理由」中の「第二事案の概要」のうち「四当事者双方の主張」欄に記載のとおりであるから,これを引用する。但し,原判決28頁4行目の「従っているといって」を「従っているからといって」と改める。 (一) 控訴人(1) 争点1について① 法349条1項は,「『登録価格』を基準年度に係る賦課期日における価格」と規定しているものではなく,「『課税標準』を基準年度に係る賦課期日における価格」と規定しているに過ぎないから,「『登録価格』を基準年度に係る賦課期日における価格」と規定していることを前提とする原判決は,同条の文理に反するほか,本訴の審理対象が,課税標準(法附則による負担調整措置により登録価格よりも相当低額となる 価格』を基準年度に係る賦課期日における価格」と規定していることを前提とする原判決は,同条の文理に反するほか,本訴の審理対象が,課税標準(法附則による負担調整措置により登録価格よりも相当低額となる。)が賦課期日の価格として相当か否かに限定されていることを看過するものである。 ② 法附則17条の2,18条は,平成5年3月31日に改正され,平成6年度の固定資産税額を決定するに当たり設けられた措置であることからすれば,立法者は,改正時点において不動産の価格傾向を全国的に把握し,価格調査基準日の価格を基礎にして,平成6年度から平成8年度までの固定資産の課税標準を決定することを予定していたことは明らかである。 ③ 価格を登録しなければならない平成6年2月末日の時点では,地価公示価格は公表されていない。この公示価格は鑑定によって定めることとなるが(乙1),鑑定自体,鑑定時点における価格を評価するもので,将来の価格変動を評価の要因として含まないことは当然であるから,登録価格を基準年度に係る賦課期日における価格とする解釈は,不動産鑑定士にすら不可能な将来(価格調査基準日である平成4年7月1日から平成6年1月1日まで)の価格変動の推定を求めることになり,不当である。 (2) 争点5について仮に,本件土地の固定資産税の評価額が,適正な時価を上回るとしても,その上回る部分のみが違法となり,当該部分を取り消せば足りると解すべきである。 ① 原判決は,行政事件訴訟法33条2項が,裁決が取り消されたとき,裁決をした行政庁は,判決の趣旨に従い,改めて審査請求に対する裁決をしなければならないところ,一部取消の判決がなされた場合には,改めて行った決定と,訴訟の対象とならなかった残部の両方が存在し,この間の理論的整合性が期し難い結果を招来することを根拠としている。 し なければならないところ,一部取消の判決がなされた場合には,改めて行った決定と,訴訟の対象とならなかった残部の両方が存在し,この間の理論的整合性が期し難い結果を招来することを根拠としている。 しかし,取消判決の拘束力とは,司法審査を実効あらしめるため,同一処分の蒸し返しを禁止するものであり,取消の対象を全部とするか,一部とするかとは無関係である。一部取消判決がされた場合にも,この判決の趣旨に従い,判断内容を尊重した新たな裁決をすることは当然に許される。 評価自体の違法(価格の違法)を主張して,そのうちの一部についてのみ不服を主張し取消しを求めることは,処分権主義にもかない,これまでの学説,判例がこぞって肯定するところ,全部取消判決により,評定すべき価格が一義的に定まらない場合には,紛争が裁判所と固定資産評価審査委員会との間を往復することになって,紛争の早期かつ抜本的解決を図ることができなくなる。控訴人においては,裁判所がその裁決の一部を違法とする判断を示した場合,実務処理上現実に,判決の説示するところに基づき,その趣旨を尊重して改めて裁決を行っていることは,原審以来繰り返し主張し,また,その結果を申出人及び評価庁である東京都知事に通知する取扱を現実に行い,これを実務上定着させていることが窺える(乙71)。 これによれば,訴訟の対象となった取消に係る部分,取り消されなかった部分と,訴訟の対象とならなかった残部との間に整合性を欠く事態を生ぜしめることはないであろうことが予測できる。 この点について,原判決の疑念は理論的には否定できないとしても,少なくとも現実には,上記にみたように,控訴人において,改めて判決を遵守した裁決が必ずなされている実務が定着していることに鑑みて,払拭されてよいと考える。 ② 仮に,本件土地の固定資産税評価額が,平成 なくとも現実には,上記にみたように,控訴人において,改めて判決を遵守した裁決が必ずなされている実務が定着していることに鑑みて,払拭されてよいと考える。 ② 仮に,本件土地の固定資産税評価額が,平成6年1月1日時点における適正な時価であるべきだとしても,以下のとおり,本件決定価格は適正な時価を超えないから,本件決定に違法性はない。 (ア) 本件標準宅地に近接する地価公示地は(渋谷5-9)ではなく,(渋谷5-2)である。都市計画法上の用途地域は商業地域であり,(渋谷5-2)と同一だからである。 この(渋谷5-2)の平成5年1月1日から平成6年1月1日までの下落率は,1350万円から945万円でマイナス30パーセントである。 (イ) 地価公示地である(渋谷5-9)の下落率だけでは本件標準宅地の具体的な下落率を認定できないとしても,本件土地を中心とした半径500メートルないし1キロメートル内にある地価公示地及び東京都基準地(商業地)の地価動向が参考にされるべきところ,これによれば,地価の下落率は以下のとおりである(乙35,36)。 a 半径500メートル以内の地価公示地6地点の平均・・マイナス33・3パーセントb 同5地点平均・・マイナス32・7パーセントc 半径1キロメートル以内の地価公示地9地点平均・・マイナス33・1パーセントないし33・4パーセントd 半径500メートル以内の東京都基準地2地点平均・・マイナス28・0ないし28・2パーセントe 半径1キロメートル以内の東京都基準地7地点平均・・マイナス30・6パーセントf 同上8地点平均・・マイナス30・5パーセントg 以上aないしfの平均値・・マイナス31・2パーセントところで,これらの中には,マイナス30パーセントを超えるものがあるが,地価変動率がマイナス30パーセント 均・・マイナス30・5パーセントg 以上aないしfの平均値・・マイナス31・2パーセントところで,これらの中には,マイナス30パーセントを超えるものがあるが,地価変動率がマイナス30パーセントを超えても直ちに評価額は違法となるものではない。評価の性質上,鑑定士の鑑定にもある程度の裁量があり,10パーセント程度の開差が存する場合も少なくないこと,土地の価格の形成要因には各種のものがあり,適正な時価は一義的に定まらないことなどによる。 ③ 仮に,30パーセントの下落率を超える部分が違法となるとしても,地価下落率のうち上記gの31・2パーセントを採用すれば,本件標準宅地の主要街路路線価は,980万円×(1-0・160)×(1-0・312)=570万円となり,本件土地の評価額は10億5672万円となるから,本件決定のうち,これを超える部分のみが違法となるにすぎないというべきである。 (二) 被控訴人(1) 争点2,4について7割評価通達の直接の目的は,土地基本法16条の趣旨を踏まえて,地価公示価格等の公的土地評価の均衡化を目指すものであって,賦課期日までの時点修正を直接の目的とするものではない。すなわち,土地の価格が下落しても適正な時価を超えないようにとの配慮から定められたものではなく,7割評価通達の適用による時価との差額の3割を価格調査基準日から賦課期日までの地価の下落を穴埋めするために使用することは許されないのである。 したがって,賦課期日における適正な時価を算定するためには,平成4年7月1日の価格調査基準日の価格に,平成6年1月1日までの時点修正を加えて算定された価格に,更に7割評価通達を適用すべきなのである。 (2) 争点5について登録価格が適正な時価を超えていて違法である場合,審査決定の取消判決の拘束力として,価格の決定 の時点修正を加えて算定された価格に,更に7割評価通達を適用すべきなのである。 (2) 争点5について登録価格が適正な時価を超えていて違法である場合,審査決定の取消判決の拘束力として,価格の決定者の措置を介在させるか否かの問題とは別に,そもそも,審査決定の一体不可分性が検討されなければならない。 審査決定は特定の土地の価格評価が適法であるか否かを認定するものであり,評価は1つである。次に,裁決主義が採用されている下で,審査決定が判決により取り消されると,行政事件訴訟法33条2項により裁決がされていない前の状態に戻り,固定資産評価審査委員会は改めて審査請求につき審理をすることになるが,この審理の対象は審査請求そのものであり,審査請求の全部であってその一部ではないのである。 審査決定は不可分であり,その取消判決の効力も,審査請求全部を不可分のものとして審理の対象とすることになるのであるから,原判決の立場は相当であり,審査決定を可分なものとしている裁判例は,法434条,行政事件訴訟法33条2項の解釈を誤っている。 第3 当裁判所の判断当裁判所は,被控訴人の請求は,本判決主文1の(一)の限度で理由があるが,その余は理由がないものと判断する。 すなわち,当裁判所は,原判決と同様,本件土地の固定資産税評価額は,平成6年1月1日時点における適正な時価でなければならないと判断するものであるが,その価格は,本件土地に最も接近した本件標準宅地をもとに算定すべきであり,7割評価通達の適用によっても補えない部分すなわち,下落率が30パーセントを超える部分については,7割評価通達を適用するのではなく,現実の地価下落率に基づく減価計算を要するものと判断する。そして,原判決と異なり,裁決に対する行政取消請求事件であるとの点を考慮しても,本件訴訟のように,本 いては,7割評価通達を適用するのではなく,現実の地価下落率に基づく減価計算を要するものと判断する。そして,原判決と異なり,裁決に対する行政取消請求事件であるとの点を考慮しても,本件訴訟のように,本件不動産の価格の評価が問題とされているような場合には,本件決定のうち,上記によって算定された価格を超える部分につき審査申出を棄却した部分についての一部取消を認めることを相当と判断するものである。 その理由は,以下のとおり付加,訂正するほか,原判決の「事実及び理由」中の「第三争点に対する判断」欄に記載のとおりであるから,これを引用する(なお,この判断と矛盾する原判決の「事実及び理由」の「第一請求」欄のうち,原判決3頁6行目から同8頁6行目までも削除する。)。 1 原判決72頁7行目から73頁2行目までを次のように改める。 「(1) そこで,平成5年1月1日から平成6年1月1日の賦課期日までの本件土地の地価の下落率につき検討するに,乙35,36(枝番を含む。)及び前記検討結果は以下のとおりである。 ① 公示地(渋谷5-9)・・・マイナス40パーセント② 公示地(渋谷5-2)・・・マイナス30パーセント③ 本件標準宅地に沿接する正面路線の相続税路線価・・・マイナス34・6パーセント④ 半径500メートル以内の地価公示地6地点の平均・・マイナス33・3パーセント⑤ 同5地点平均(①を除く)・・マイナス32・7パーセント⑥ 半径1キロメートル以内の地価公示地9地点平均・・マイナス33・1パーセントないし33・4パーセント⑦ 半径500メートル以内の東京都基準地2地点平均・・マイナス28・0ないし28・2パーセント⑧ 半径1キロメートル以内の東京都基準地7地点平均・・マイナス30・6パーセント⑨ 同上8地点平均・・マイナス30・5パーセント 都基準地2地点平均・・マイナス28・0ないし28・2パーセント⑧ 半径1キロメートル以内の東京都基準地7地点平均・・マイナス30・6パーセント⑨ 同上8地点平均・・マイナス30・5パーセント⑩ 以上④ないし⑨の平均値・・マイナス31・2パーセント(2) このうち,⑦及びこれを含む平均値である⑩が採用できないことは前示したとおりであり,当裁判所は,③,④又は⑥のいずれかを採用すべきであり,このうち,本件土地に最も近接する本件標準宅地の主要街路の相続税路線価の下落率である34・6パーセントを採用すべきものと判断する。その理由は,相続税路線価も価格そのものの正確性については地価公示価格に劣るものの,地価公示価格の標準水準を反映しているものであり,それのおよそ8割とされているものであるから,その下落率については正確性を有しているものと解されるところ,その下落率は,周辺数地点の地価公示価格の平均下落率(④,⑥)とわずかの隔たりがあるに過ぎないこと,個別的な土地の適正な時価が問題とされる場合において,土地の用途,利用状況,環境など地域としての同質性が重要視されるところ,本件土地に最も近接するのは本件標準宅地であることなどである。 これによれば,本件土地の平成6年度の価格は,価格調査基準日における本件標準宅地の主要街路路線価988万円をもとに,平成5年1月1日までの地価動向マイナス16・0パーセント,平成5年1月1日から平成6年1月1日までの地価動向マイナス34・6パーセント,本件標準宅地と本件土地との交通,街路,環境,行政各条件を考慮して決定されるべきであり、これによれば,本件土地の価格は,10億1864万円と算定される。 (計算式) 988万点×(1-0・16)×(1-0・34)=547万点(上位3桁有効)547万点×0・81×1・03 べきであり、これによれば,本件土地の価格は,10億1864万円と算定される。 (計算式) 988万点×(1-0・16)×(1-0・34)=547万点(上位3桁有効)547万点×0・81×1・03×1・00×0・94=428万点(上位3桁有効)428万点×238=10億1864万点10億1864万点×1円=10億1864万円(3) 控訴人は,① 法349条1項は,『登録価格』を基準年度に係る賦課期日における価格と規定しているものではなく,『課税標準』を基準年度に係る賦課期日における価格と規定しているに過ぎないから,『登録価格』を基準年度に係る賦課期日における価格と規定していることを前提とする上記の判断は,同条の文理に反するほか,審理対象が,法附則による負担調整措置により登録価格よりも相当低額となる課税標準が賦課期日の価格として相当か否かに限定されていることを看過するものである,② 立法者は,改正時点において不動産の価格傾向を全国的に把握し,価格調査基準日の価格を基礎にして,平成6年度から平成8年度までの固定資産の課税標準を決定することを予定していたから,3割以上の土地下落があった場合でも7割評価通達を適用すれば足りる,③ 手続的に,価格を登録しなければならない平成6年2月末日の時点では,地価公示価格は公表されていないし,この公示価格は鑑定によって定めることとなるが,鑑定自体,将来の価格変動を評価の要因として含まないことは当然である,などと主張して,登録価格を基準年度に係る賦課期日における価格とする解釈は,誤りであると主張する。 しかしながら,前記「法令の定め等」にみたとおり,固定資産の課税標準は,当該固定資産の基準年度に係る賦課期日における価格であり,右の価格とは適正な時価であって,土地課税台帳等に登録されたものであり,現行法のも ら,前記「法令の定め等」にみたとおり,固定資産の課税標準は,当該固定資産の基準年度に係る賦課期日における価格であり,右の価格とは適正な時価であって,土地課税台帳等に登録されたものであり,現行法のもとでは,暫定的に,法附則17条,18条2項による負担調整措置により課税標準となるべき額がこれに一定割合を乗じて求められることとなってはいるものの,この負担調整措置が存在しないとすれば,課税標準,登録価格は適正な時価として原則として同一となるはずのものである。 本訴が,この登録価格を争うものであることは,法434条の規定から明らかである。 また,手続的,時間的制限から,賦課期日における適正な時価の算定を不要とする控訴人の主張は,前記の法の明文規定に明らかに反し,採用できない。評価基準等により,価格調査基準日を賦課期日より前に遡らせることは,技術的理由により許容されるが,この技術的,手続的な便宜措置により,課税標準,登録価格が当該固定資産の基準年度に係る賦課期日における適正な時価でなければならないとする法の大前提が破られてよいとする道理は全くない。 (4) 被控訴人は,7割評価通達は,土地の価格が下落しても適正な時価を超えないようにとの配慮から定められたものではなく,価格調査基準日から賦課期日までの地価の下落を穴埋めするために使用することは許されず,平成4年7月1日から平成6年1月1日までの時点修正を加え,適正な時価として算定された価格に更に7割評価通達を適用すべき旨主張する。 確かに,被控訴人主張のとおり7割評価通達の直接の目的は,土地基本法16条の趣旨を踏まえて地価公示価格等の公的土地評価の均衡化を目指すものであって,賦課期日までの時点修正を直接の目的とするものではない。しかし,7割評価通達の適用の結果算出された価格が,個別的な固定資産の賦 趣旨を踏まえて地価公示価格等の公的土地評価の均衡化を目指すものであって,賦課期日までの時点修正を直接の目的とするものではない。しかし,7割評価通達の適用の結果算出された価格が,個別的な固定資産の賦課期日における客観的価格を上回らなければ,当該固定資産の価格は適法と認められると解されるほか,本件では,上記のとおり土地の下落率という客観的な時点修正のための数値を適用して本件土地の賦課期日における価格を求めたものであるから,7割評価通達の適用の違法は本件に関してはそもそも判断の限りではないことに帰する。」 2 争点5について当裁判所は,審査決定に対する行政取消請求事件であるとの点を考慮しても,本件訴訟のように,固定資産の価格の評価が問題とされているような場合には,本件決定のうち,上記によって算定された適正な時価を超える部分につき審査申出を棄却した部分についての一部取消を認めることを相当と判断するものである。 その理由は,以下のとおりである。 (一) 本件訴訟の訴訟物は,審査決定の違法性一般であるが,具体的な審理の対象は,被控訴人の主張によれば,審査決定に係る本件決定価格の適否である。 (二) このように,審査決定の価格が金額で示され,その適否が金額の高低をもって争われる場合には,訴訟物は審査決定の違法性一般であるとはいえ,審理の直接の対象は,審査決定に係る価格の適否に限定され,この判断の結果を踏まえて,審査決定の違法性の有無が判断され,主文に掲げられるという論理的過程をたどることになる。 (三) ところで,この種の訴訟において,納税義務者は,適正な時価として自らが主張する価格を超える部分のみの審査決定の取り消しを求め,これを超えない部分を審理の対象としないこととして,審理対象及び勝訴の範囲を画することができることはいうまでもないところである 価として自らが主張する価格を超える部分のみの審査決定の取り消しを求め,これを超えない部分を審理の対象としないこととして,審理対象及び勝訴の範囲を画することができることはいうまでもないところである。 (四) これに反し,納税義務者が,審査決定の全部について取消を求めている場合で,裁判所が審査決定に係る価格中,一部適正な時価を超えている部分があると判断した場合,審査決定の不可分一体性から,違法部分を理由中の判断で示し,審査決定の全部を取り消す判決をすることも論理的に矛盾することはなく,これを肯定する見解も成り立ち得るものであって,このような見解を直ちに誤りであるとする積極的な理由は見出せない。 (五) しかしながら,全部取消判決は,一見,審査決定中,時価を上回らない適法な価格の認定判断部分まで結果的には取り消すこととなるかに誤解されるおそれがあるほか,審査決定という包衣をまとってはいるが,審理の直接対象が価格の適否という可分なものとなっていることからすれば,理由中の判断を主文にも反映し,審査決定中違法部分を明らかにすると共に,これにより取消の範囲を宣明することとなる一部取消判決を肯定することもまた合理的な見解として是認されてよいものと解され,少なくとも,このような見解を否定し切る理由も見い出し難いのである。 (六) なお,控訴人は,原審以来,一部取消判決が出された場合にも,必ず当該判決を尊重して当該判決の説示に従った審査決定を行うのが現状である旨繰り返し主張しているところ,当審において,当裁判所の釈明に応じて控訴人から提出された乙71(決定書)によれば,控訴人においては,裁判所がその審査決定の一部を違法と判断した場合には,判決の説示に基づき,その趣旨に沿った審査決定を改めて行い,申出入及び評価庁である東京都知事に通知する取扱を行っているこ よれば,控訴人においては,裁判所がその審査決定の一部を違法と判断した場合には,判決の説示に基づき,その趣旨に沿った審査決定を改めて行い,申出入及び評価庁である東京都知事に通知する取扱を行っていることが審査手続実務の中で定着していることが推察され,また,事実上とはいえ,そのような取扱の実施は,控訴人に限らず,全国の固定資産評価審査委員会において広く行われているものと推察される。 もとより,上記の取扱は,事実上判決尊重の趣旨で控訴人内部でされる取扱処理でしかないとはいえ,この取扱処理の実務への定着化により,一部取消判決に拘束力を持たせるに近い効果を生ぜしめているとみることもできるのである。 このようにみていくと,判決が一部取消に止まるか,全部取消をするかに拘わらず,訴訟の対象とならなかった残部がある場合にも,再度の審査決定において取消判決の判断が反映され,その間に整合性を欠く事態はおそらく生じ得ないであろうと思われるし,また,現実に,控訴人において今後ともそのような取扱の定着が持続していくことも確実なものとして予測されるのである。 (七) そこで,全部取消判決をするか,一部取消判決をするかは,上記検討のうち,審査決定の一体不可分性を貫くか,直接の審理対象の可分性を肯定し,(五)の付随的効果を重視するかの政策的判断によるものという他はないが,価格の違法を主張して,そのうちの一部についてのみ不服を主張し,その取消を求めることは,処分権主義の趣旨にもかない,納税義務者が全部取消を求める場合でも,一部取消判決ができるとすることも,長年に亘り実務において採られてきた選択肢であり,これが定着していることをも考慮すれば,敢えて,一部取消判決が可能な場合に,全部取消判決をするまでの必要性及び合理的根拠はないものと判断される。 第4 結語よって,被控訴 られてきた選択肢であり,これが定着していることをも考慮すれば,敢えて,一部取消判決が可能な場合に,全部取消判決をするまでの必要性及び合理的根拠はないものと判断される。 第4 結語よって,被控訴人の請求は,主文2の限度で理由があるからこれを認容するが,その余は理由がないからこれを棄却することとし,これと一部異なる原判決を主文のとおり変更することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第12民事部裁判長裁判官伊藤瑩子裁判官秋武憲一裁判官三代川俊一郎(別紙)目録 1 東京都渋谷区α七番一宅地二三八・〇〇平方メートル 2 平成五年度登録価格九九六〇万三〇〇〇円 3 平成六年度登録価格一一億〇四三二万〇〇〇〇円 4 審査決定後の価格一〇億七五七六万〇〇〇〇円
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