平成20(少コ)2309 損害賠償請求事件(通常手続移行)

裁判年月日・裁判所
平成20年12月15日 東京簡易裁判所 その他
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判決文本文3,679 文字)

-1-平成20年12月15日判決言渡東京簡易裁判所平成20年(少コ)第2309号損害賠償請求事件(通常手続移行)判決主文 被告は,原告に対し,95万0482円及びこれに対する平成20年7月25日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用はこれを5分し,その4を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1請求被告は,原告に対し,108万3482円及びこれに対する平成20年7月25日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,原告が,訴外甲と被告との間の後記1(1) 記載の交通事故(以下「本件事故」という。)により原告が所有する車両(以下「原告車」という。)が損傷を受けたとして,被告に対し,民法709条に基づき,その修理代金と代車料,及び修理後の車両価格が本件事故当時の車両価格より下落したことによるその下落部分(評価損)等の賠償を請求する事案である。 前提となる事実以下の事実は,当事者間に争いがないか,後に掲げる証拠及び弁論の全趣旨により明らかに認められる。 (1)本件事故の発生(甲1)ア日時平成20年7月25日午後5時20分ころイ場所東京都墨田区a-b首都高速A号線下り線-2-ウ原告車原告所有の普通貨物自動車エ同運転者甲オ被告車普通乗用自動車カ同運転者被告キ事故態様首都高速A号線下り線を走行中の原告車が渋滞で停車したところに,被告車が前方不注視により追突した。 (2)損害原告車は,本件事故により車体の後部左側に損傷を受けたため修理をし,その修理代金として77万6982円(消費税込み)と代車費用と で停車したところに,被告車が前方不注視により追突した。 (2)損害原告車は,本件事故により車体の後部左側に損傷を受けたため修理をし,その修理代金として77万6982円(消費税込み)と代車費用として7万3500円の合計85万0482円を支出した(甲2)。 (3)前記修理代金及び代車費用の額及びその支払について,被告は,原告が本件事故後,被告契約の保険会社との間で協定しており特に争っていないが,評価損の発生の点が解決していないとして現在まで支払をしていない。 (4)評価損について原告は,平成19年9月19日,新車であった原告車を購入し,平成20年1月17日初度登録された。本件事故当時,原告車の総走行距離は1万3293キロメートルであった(甲3,10,18)。 争点 本件事故による原告車の評価損の有無及び金額 主張の要旨(1)原告の主張ア原告車は,本件事故後の修理によって外観及び機能上欠陥は認められないが,本件事故により事故歴,修復歴を有することとなり,商品価値の下落が見込まれることになり,評価損(いわゆる格落ち損)はこのような場合にも認められるものである。 イ原告車は,例えばピラー,フレーム,フロアなどの車体の骨格部分まで-3-著しい損傷を受けたことにより,中古車市場では修理後も潜在的な欠陥が残存している可能性があるなどの理由で事故歴(あるいは修復歴)ある車両として扱われ,商品価値は減少している。 ウまた,原告車は,初度登録後6ヶ月経過で走行距離も1万3000キロメートル余りと少なく,ベンツ,BMW等の高級車ではないものの人気ある商用車で,市場価値が非常に高い。 エ以上により,原告は,被告に対し,民法709条に基づき,前記原告車の修理代金77万6982円の約30パーセントに当たる評価損23万3000円に加え,請 人気ある商用車で,市場価値が非常に高い。 エ以上により,原告は,被告に対し,民法709条に基づき,前記原告車の修理代金77万6982円の約30パーセントに当たる評価損23万3000円に加え,請求拡張分の前記修理代金及び代車費用7万3500円の合計108万3482円並びにこれに対する本件事故日である平成20年7月25日から支払済みまで民法所定の年5パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める。 (2)被告の認否・反論ア本件事故態様は前記のとおり認め,原告車の修理代金及び代車費用についてそれぞれ支払義務あることは認める。 イ原告車に評価損が発生したことは否認する。 一般に評価損は,修理してもなお外観や機能に欠陥が生じ,又は事故歴により商品価値の下落が見込まれる場合に認められると解されているが,事故に遭い車両の修理が必要となるすべての車両について認められるわけではない。評価損は,現在の修復技術をもってしてもなお残存する「外観や機能上の欠陥」がなければならず,「商品価値の下落が見込まれる場合」に認められるに過ぎない。本件の原告車については,本件事故によって具体的にどのような欠陥が生じるかは明確ではない。 ウ商品価値の下落が見込まれる場合についても,原告車は他社に有償で貸し出し,作業員や荷物の運搬に用いている商用車であって,将来転売することの蓋然性は低いと言わざるを得ず,初度登録から事故までの期間や走-4-行距離から見ても,新車と言える程度にはなかった。評価損が通常認められているのは,登録後間もない車両で,比較的市場価値の高いと見られる高級車に限られており,原告車はこれには該当しない。 第3当裁判所の判断 評価損については,①修理によっても技術上の限界等から外観や機能に回復できない欠陥が残存する場合と,②外観や機能は特に問題 高級車に限られており,原告車はこれには該当しない。 第3当裁判所の判断 評価損については,①修理によっても技術上の限界等から外観や機能に回復できない欠陥が残存する場合と,②外観や機能は特に問題ないが,事故歴があるという理由で当該車両の交換価値が下落する場合が考えられ,いずれの場合についても,評価損として判断される損害を賠償すべきであると考えられる。 そして,②のような,車両の交換価値が下落したことによる評価損は,車両の所有者が事故によって評価損に相当する損害を潜在的に被っており,将来転売する可能性が考えられる場合には,当該車両を売却し損害として顕在化していない場合であっても,事故による損害を被っていると解するのが相当である。 この点に反する被告の主張は採用できない。 そして,評価損の発生の有無及び金額については,事故による損傷の部位・程度,修理の内容や修理に要した費用,事故当時の車両時価額,初度登録からの経過年月数,走行距離,車種等を総合的に考慮して算定されるべきである。 以上の考え方を前提に,本件事故による評価損について検討する。 (1)証拠によれば,確かに原告車は,建築業者に有償で貸し出し貨物の運搬等作業用に使用している国産ワンボックスの商用車であることが認められ,原告主張のように,リース期間が終了する2年後に転売する蓋然性が高いとは言えない。しかしながら,その点のみをもって原告が転売する可能性が殆どないとまで断定することはできない。 また,本件は追突事案で同乗者も怪我を負ったほか,車両の重要部分に及ぶ程度の損傷を受けているおそれがないとは言えないこと,修理に77万円余り要していること等が認められ,特に,本件事故当時,初度登録から6ヶ月余りと極めて短く,走行距離も1万3000キロメートル余で比較的短い-5-ことを考慮すると, とは言えないこと,修理に77万円余り要していること等が認められ,特に,本件事故当時,初度登録から6ヶ月余りと極めて短く,走行距離も1万3000キロメートル余で比較的短い-5-ことを考慮すると,原告車が商用車であることを重視して評価損を否定するのは相当とは思われない。 (2)以上の諸点に弁論の全趣旨を総合考慮した上,民事訴訟法248条の趣旨に照らすと,原告車の評価損は10万円(修理費用77万6982円の約13パーセント)と認めるのが相当である。 なお,原告は,本件評価損として修理代金の30パーセントを請求しているほか,具体的な減価損の額として,財団法人日本自動車査定協会東京都支所作成の「中古自動車事故減価額証明」(甲10)を提出しているが,本書面は中古車の商品価値の差(価格差)を算定しているもので,価格査定の根拠や理由が必ずしも明確なものとはいえない面もあり,その査定上の減価を直ちに原告の損害とすることはできない。 以上により,原告の請求は,当事者間に争いがない原告車の修理代金77万6982円と代車費用7万3500円,及び評価損として10万円の合計95万0482円及びこれに対する本件交通事故の日である平成20年7月25日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,その余は理由がない。 よって,主文のとおり判決する。 東京簡易裁判所民事第9室中島寛裁判官

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