平成14(わ)1375 逮捕監禁,強盗致傷,道路交通法違反,業務上過失傷害被告事件

裁判年月日・裁判所
平成15年12月19日 神戸地方裁判所
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判決文本文10,104 文字)

主文 被告人を懲役6年に処する。 未決勾留日数中280日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,第1(平成14年11月29日付け起訴状記載の公訴事実)かつて暴走族仲間であったAを拉致監禁して同人から金員を強取しようと企て,B,C,D及びEと共謀の上,平成14年1月9日午後7時30分ころ,兵庫県a市b町c番地先路上において,前記A(当時17歳)に対し,被告人においてその頭髪を掴み,前記Bにおいてその右肩付近を掴んで,前記Eが運転する普通乗用自動車の助手席に前記Aを強いて乗車させ,同人を逮捕して同車を発進させ,走行中の同車内において,被告人において前記Aの頭髪を左手で掴み,「よう逃げてくれたな。」などと怒号しながら,手拳でその顔面等を多数回にわたり殴打する暴行を加え,同日午後7時45分ころ,同人を同市d町e番地所在の当時の被告人方に連行し,同所において,被告人及びDにおいて,こもごも前記Aの顔面等を多数回にわたり手拳で殴打し,その腹部等を足蹴にするなどの暴行を加えてその反抗を抑圧し,前記Aから現金約2万5000円を強取し,引き続き,前記Aを継続して監禁し,同人から更に金員を強取しようと企て,同日午後10時ころ,前記4名のほか,同所を訪れたF及びGと共謀の上,前記Aに対し,被告人及び前記Fにおいて前記Aの顔面等を手拳で殴打するなどの暴行を加え,前記暴行脅迫によりすでに反抗を抑圧されている状態にあった同人に現金350万円を交付するよう要求し,さらに,被告人らにおいて前記Aを裸にして写真を写し,「逃げたら,この写真,その辺に貼り付けるからな。」などと脅迫し,同月10日午後1時40分ころ,前記Gが運転し,前記F及び前記Eが乗車する 求し,さらに,被告人らにおいて前記Aを裸にして写真を写し,「逃げたら,この写真,その辺に貼り付けるからな。」などと脅迫し,同月10日午後1時40分ころ,前記Gが運転し,前記F及び前記Eが乗車する普通乗用自動車の後部座席に前記Aを乗車させるなどして,同日午後2時30分ころ,同人を同県f郡g町h番地所在のi号の同人方に連行し,同人から金員を強取しようとしたが,降車した同人が隙をみてその母親に助けを求め逃走したため,その目的を遂げず,もって,同月9日午後7時30分ころから同月10日午後2時30分ころまでの間,同人の自由を不当に拘束して逮捕監禁するとともに,同人から現金約2万5000円を強取するなどし,その際,前記各暴行により,同人に安静加療約2週間を要する顔面及び頭部打撲,右母指挫傷,右上腕・右胸部・両大腿部打撲,腰部打撲挫傷の傷害を負わせた第2(平成15年1月31日付け起訴状記載の公訴事実第1)公安委員会の運転免許を受けないで,平成13年11月28日午後4時50分ころ,兵庫県a市d町j丁目k番地付近道路において,普通貨物自動車を運転した第3(平成15年1月31日付け起訴状記載の公訴事実第2)前記第2記載の日時ころ,業務として前記第2記載の普通貨物自動車を運転して,同市d町l方面(北)から同町m方面(南)に向かい進行し,前記第2記載の場所先の信号機により交通整理の行われている交差点入口付近で一旦停止した後発進するに当たり,同交差点の対面信号機の表示に留意し,これに従って進行すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り,同交差点内で右折のため停止中の車両に気をとられ,同交差点の対面信号機が赤色を表示していることに気付かないまま漫然発進し,時速約15キロメートルで進行した過失により,折から同交差点出口に設置された横断歩道を青 右折のため停止中の車両に気をとられ,同交差点の対面信号機が赤色を表示していることに気付かないまま漫然発進し,時速約15キロメートルで進行した過失により,折から同交差点出口に設置された横断歩道を青色信号に従って左方から右方に横断歩行中のH(当時7歳)を前方約6.2メートルの地点に迫ってようやく認め,急制動の措置をとったが間に合わず,自車左サイドミラーを同人に衝突させて路上に転倒させ,よって,同人に全治約5日間を要する頭部打撲の傷害を負わせた第4(平成15年1月31日付け起訴状記載の公訴事実第3)前記第3記載の日時場所において,前記第2記載の普通貨物自動車を運転中,前記第3記載のとおり,Hに傷害を負わせる交通事故を起こしたのに,直ちに車両の運転を停止して同人を救護する等必要な措置を講じず,かつ,その事故発生の日時及び場所等法律の定める事項を直ちに最寄りの警察署の警察官に報告しなかった第5(平成15年1月31日付け起訴状記載の公訴事実第4)公安委員会の運転免許を受けないで,平成14年2月16日午後3時6分ころ,神戸市n区o町p番地付近道路において,普通貨物自動車を運転した第6(平成15年1月31日付け起訴状記載の公訴事実第5)公安委員会の運転免許を受けないで,平成14年8月30日午前10時26分ころ,神戸市q区r町r所属山陽自動車道上り13.0キロポスト付近道路において,普通貨物自動車を運転したものである。 (証拠の標目)―括弧内の数字は証拠等関係カード記載の検察官請求証拠番号―省略(争点に対する判断)第1 弁護人は,判示第1の事実(以下「本件犯行」という。)について,外形的事実をおおむね認め,逮捕監禁罪の成立は争わないものの,被告人らがA(以下「被害者」という。)に対して加えた暴行脅迫の程度はその反抗を抑圧す 判示第1の事実(以下「本件犯行」という。)について,外形的事実をおおむね認め,逮捕監禁罪の成立は争わないものの,被告人らがA(以下「被害者」という。)に対して加えた暴行脅迫の程度はその反抗を抑圧するに足りる程度に至っていないから強盗致傷罪は成立せず,恐喝罪と傷害罪が成立するにすぎない旨主張し,被告人は,当公判廷において,判示事実の一部を否定する供述をするほか,弁護人の主張に沿う供述をするところ,当裁判所は,前掲関係各証拠によれば,判示の事実が優に認められ,これらの暴行脅迫は被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものと認めるに十分であるから,強盗致傷罪が成立すると判断したのであるが,以下,その理由につき補足して説明する。 第2 前掲関係各証拠によれば,次の事実が認められる。 1 被告人,被害者及び共犯者の関係被害者は,共犯者B,同C,同Dらとともに暴走行為等を通じて交友を結ぶ被告人をリーダー格とする不良グループの一員であり,共犯者F,同G及び同Eは,Fをリーダー格とする別の不良グループを構成していたが,本件犯行直前ころ,Fらのグループと被告人らのグループとの間には交流が生まれていた。 2 犯行に至る経緯被害者は,平成13年夏ころ,被告人の所有する自動車を勝手に乗り回し故障させたとして,被告人やその関係者から激しい暴行を受けて被告人から修理代を要求され,交通事故の示談金であると嘘をついて両親から被告人に対し55万円を支払わせたが,これらの金は前記自動車の修理代に充てられることなく,被害者も含めた被告人グループの遊興費として費消された。 被害者は,その後被告人を避け連絡を絶つようになったが,被告人は,立腹し,再び被害者から金を巻き上げようと考え,平成14年1月上旬ころ,Fに対し,被害者を見つけて捕まえてくれば報 れた。 被害者は,その後被告人を避け連絡を絶つようになったが,被告人は,立腹し,再び被害者から金を巻き上げようと考え,平成14年1月上旬ころ,Fに対し,被害者を見つけて捕まえてくれば報酬を支払う旨持ちかけた。 3 本件犯行の外形的事実平成14年1月9日午後7時ころ,Fは事情を知らない被害者の知人を介して被害者をF方付近におびき出した。Fからその旨連絡を受けた被告人は,BとともにEの運転するG所有の判示普通乗用自動車(以下「本件自動車」という。)でF方に向かい,同所付近で同車を停め,後部座席に身を潜めて待ち受け,同日午後7時30分すぎころ,Eに声をかけられて本件自動車に乗り込もうとして被告人らに気付いた被害者に対し,被告人においてその髪の毛を掴み,Bにおいてその右肩を掴むなどして,被害者を本件自動車の助手席に引きずり込んで同車を発進させ,被告人方に向かう走行中の本件自動車内で,被告人において被害者が被告人を避けているとして判示のとおり怒号するなどしつつ被害者の顔面等を手拳で多数回にわたり殴打する暴行を加えた。 なお,被害者は,本件自動車内において,携帯電話を手探りで操作し110番通報を試みたが,通報は失敗に終わった。 同日午後7時45分ころ本件自動車が被告人宅に到着すると,被告人は被害者の髪の毛を鷲づかみにして本件自動車から降ろし,B,Eとともに,あらかじめ被告人やBから連絡を受けていたC,Dの待つ被告人宅へ被害者を連れ込んだ。被告人は同所において被害者の顔面等を多数回手拳で殴打し,その腹部を足蹴にするなどしたほか,被害者にナイフを突き付けて着用していたダウンジャケットを無理矢理脱がせたり,あるいは,被害者の携帯電話を調べて被害者が110番通報しようとしていたことを知って立腹し再び被害者を殴るなどし,Dに か,被害者にナイフを突き付けて着用していたダウンジャケットを無理矢理脱がせたり,あるいは,被害者の携帯電話を調べて被害者が110番通報しようとしていたことを知って立腹し再び被害者を殴るなどし,Dにおいても被害者に対し殴る,蹴るなどの暴行を加えた。その後,同日午後8時15分ころ,被告人が被害者に対し財布を出せと命令し,被害者がズボンポケットから出した財布を取り上げて,財布内から現金約2万5000円を取り出してこれを奪った。さらに被告人は被害者に対しナイフをちらつかせ,タバコの火をその顔に近づけ,あるいは,その頭をペットボトルで殴るなどし,「わしらを怒らせた分,金払え。なんぼ払うんや。」などと申し向けて金員を要求した。同日午後10時ころ,被告人宅にやって来たF及びGが被告人らと合流したが,その際被害者は唇などから出血し全く抵抗する気力もない状態であったにもかかわらず,Fにおいて,被害者を殴る蹴るなどし,このころまでに,被害者に借用書を書かせ,350万円を支払う旨の約束をさせた。その後も,被告人において被害者を全裸にしてその姿を写真撮影し,被害者に対し,「逃げたら写真をその辺に貼り付ける。」などと脅迫した。 被害者は,被告人らからの暴行が止んだ後も被告人宅に監禁され続けたが,母親に対し,携帯電話で「ラチられたからメール死んでもかえしてくんなぁ」(翌10日午前2時21分),「メール絶対返してくんなぁバレるから保護管に言うてぇ」(同日午前2時25分)などと助けを求める電子メールを送信した。 1月10日午後2時30分ころ,F,G及びEの3名は車で被害者を被告人宅から被害者宅に連行し,その母親に対し被害者が事故を起こしたなどと嘘を言わせて同女に350万円を出させようとしたが,不審に思った被害者の母親がFを外させて被害者と二人 Eの3名は車で被害者を被告人宅から被害者宅に連行し,その母親に対し被害者が事故を起こしたなどと嘘を言わせて同女に350万円を出させようとしたが,不審に思った被害者の母親がFを外させて被害者と二人で話したところ,被害者は,声を出して母親と話そうとせず,携帯電話の電子メールを使い,母親に対し,声を出さないよう,また自分を早く保護司のところに連れて行くよう頼み,母親が被害者の顔をみたところ,大粒の涙を流し,肩を震わせて声を押し殺し泣いている状況であった。その後,母親が被害者をその担当保護司方に連れて行ったが,被害者はその際も尾行してくる車両がないかとおびえていた。被害者はその後担当保護司方で被害を告白し,当初仕返しが怖いとして被害申告をためらっていたが,保護司などに説得され,その日のうちに兵庫県a警察署に被害届を提出した。 第3 被告人は,以上の認定事実について,捜査段階では概ね認めていたが,公判段階に至り,①平成13年ころの暴行及びその際被告人が被害者に命じて55万円を無理矢理用意させたことにつき,暴行はさほど強くなかったし,55万円は被害者が自主的に用意した旨,②Fらに対し報酬を約して被害者を見つけるよう依頼したことはない旨,③Eが運転する自動車に被害者を拉致監禁して被告人方に連行する際被害者に対し暴行を加えていない旨弁解し,④犯行2日目である平成14年1月10日午後1時40分ころ,G,F及びEが被害者を自動車に乗車させるなどして同人方に連行し,同人から金員を強取しようとしたことについても,寝ていたので全く知らないなどと供述する。 しかし,これら被告人の供述は,被告人において取調べや実況見分の際に説明した内容を特段の理由なく覚えていないと強弁するなど事実の歪曲をしている部分や,その供述内容自体が不自然,不合理な部分が多く,共 しかし,これら被告人の供述は,被告人において取調べや実況見分の際に説明した内容を特段の理由なく覚えていないと強弁するなど事実の歪曲をしている部分や,その供述内容自体が不自然,不合理な部分が多く,共犯者や被告人の捜査段階における一致,一貫する供述部分とも全く反するなど信用しがたいものである。 また,②については,報酬を伴うような依頼がなければ,Fらが,何の面識も利害関係もない被害者に対しあらかじめ計画した嘘を言って同人を被告人のために呼び出すとは考えがたく,これを認めるF(検察官請求証拠番号28),G(同83)の各供述は相互に一致しているなどその信用性は十分である。④については,被告人がFらにおいて被害者を同人宅に連行したことを具体的に知らないとしても,それまでの経緯に照らすと,被告人がFらと共謀して被害者から350万円を奪い取ろうとしていたことの認定の妨げにはならない。なお,被告人は,捜査段階における各供述調書につき,他の者の供述に合致するよう捜査官に無理矢理供述させられたかのような弁解をするが,被告人の捜査段階における供述には他の者の供述と食い違う点も数多く録取されているのであって,被告人の公判段階での弁解が信用性に乏しいことをも併せ考えると,到底採用できない。 弁護人は,被告人と被害者が暴走族仲間であったことや被害者の日常の行動に問題があったことを指摘し,また被害者の公判廷における供述が不真面目であったとして,このような被害者の供述は捜査段階のものを含め信用できない旨主張するが,被害者の日常の行動に問題があったとしても本件についての供述が信用できないことになるわけではなく,被害者の供述は被告人や共犯者の捜査段階での供述と概ね一致している上,被告人と被害者とのそれまでの関係に加え,被害者の母親等関係者の供述に照らし被害者は の供述が信用できないことになるわけではなく,被害者の供述は被告人や共犯者の捜査段階での供述と概ね一致している上,被告人と被害者とのそれまでの関係に加え,被害者の母親等関係者の供述に照らし被害者は本件の後被告人を極度に恐れていたことは明らかであること等に鑑みれば,判示認定に沿うその供述の骨格部分の信用性は十分であり,弁護人のこの主張も採用できない。 第4 判断 1 強盗罪における暴行脅迫は,被害者の反抗を抑圧するに足る程度のものであることを要し,その判断は,行為者の数,年齢,性別,体格,被害者の年齢,体格,行為者と被害者との関係,犯行の時刻,場所,凶器の有無等種々具体的な事情を総合考慮して決するべきところ,本件においては,被告人を含め共犯者が合計7名おり,被害者はこれら多数の者が周囲で監視する状況下で次々と暴行脅迫を加えられたこと,ナイフをちらつかされていること,本件犯行現場が被告人の自宅であって,監禁罪の成立は弁護人及び被告人も認めているところであって,被害者が被告人宅から脱出することが困難な状況にあったことは明白であること,被害者が本件自動車内において110番通報を試みていること,被害者が母親に対し,電子メールで助けを求めていること,共犯者らにおいて異口同音に暴行を加えられ被害者が抵抗できない状態にあった旨供述していること,被害者は被告人から以前にも激しい暴行を受け金員を交付させられた経験があることなど,前認定の事実を総合考慮すると,被告人らが被害者に対し加えた暴行脅迫の程度はその反抗を抑圧するに足りるものであったと明らかに認められる。 2 弁護人は,犯行当日被害者は被告人や共犯者と共に寝る等行動を共にし,犯行2日目の朝には被告人の父親が買ってきた朝食を被告人や共犯者と一緒に食べており,被告人の父親において被害者を単に共 る。 2 弁護人は,犯行当日被害者は被告人や共犯者と共に寝る等行動を共にし,犯行2日目の朝には被告人の父親が買ってきた朝食を被告人や共犯者と一緒に食べており,被告人の父親において被害者を単に共に過ごしている被告人と同じグループの者の一員であるとしか思えなかった旨供述している等として,被告人らの被害者に対する暴行,脅迫の程度は被害者の反抗を抑圧する程度には至っていなかったと主張する。 しかし,被害者は判示の経過で被告人を避けていたところを被告人や共犯者によって拉致されて被告人方に監禁され,前認定の執拗な暴行,脅迫を加えられて現金約2万5000円を奪われ,その後も被告人ないし共犯者らによって拉致監禁されていたものである上,被告人の捜査段階における各供述調書など前掲関係各証拠によれば,被告人は,被害者に対し前記のような暴行,脅迫を加えて現金を奪った後,被告人の供述によれば被害者が被害を申告等しないよう被害者に対しなだめるような発言もしていたというのであって,このような状況下では,反抗を抑圧され後難を恐れた被害者が,被告人の父親の面前では単に仲間と一緒にいるような態度を示していたとしても不思議ではないし,そもそも,被告人の父親は,被告人が認める被害者に対する監禁や暴行の事実自体にすら気がついていなかったものと認められるから,弁護人主張の父親のみた様子が,被告人らの暴行,脅迫が反抗を抑圧する程度に至っていなかったのではないかとの疑問を生じさせるものとは到底いえない。弁護人の主張は採用できない。 (法令の適用)被告人の判示第1の所為のうち,逮捕監禁の点は刑法60条,220条に,強盗致傷の点は同法60条,240条前段に,判示第2及び第5の各所為はいずれも平成13年法律第51号による改正前の道路交通法118条1項1号,64号に,判 ち,逮捕監禁の点は刑法60条,220条に,強盗致傷の点は同法60条,240条前段に,判示第2及び第5の各所為はいずれも平成13年法律第51号による改正前の道路交通法118条1項1号,64号に,判示第3の所為は平成13年法律第138号による改正前の刑法211条前段に,判示第4の所為のうち,救護義務違反の点は平成13年法律第51号による改正前の道路交通法117条,72条1項前段に,報告義務違反の点は同法119条1項10号,72条1項後段に,判示第6の所為は道路交通法117条の4第1号,64条にそれぞれ該当するところ,判示第1の逮捕監禁と強盗致傷は1個の行為が2個の罪名に触れる場合であるから,刑法54条1項前段,10条により1罪として重い強盗致傷罪の刑で,判示第4の救護義務違反と報告義務違反は1個の行為が2個の罪名に触れる場合であるから,同法54条1項前段,10条により1罪として重い救護義務違反罪の刑でそれぞれ処断することとし,各所定刑中判示第1の罪については有期懲役刑を,判示第2ないし第6の各罪についてはいずれも懲役刑をそれぞれ選択し,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により最も重い判示第1の罪の刑に同法14条の制限内で法定の加重をし,なお犯情を考慮し,同法66条,71条,68条3号を適用して酌量減軽をした刑期の範囲内で被告人を懲役6年に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中280日をその刑に算入し,訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。 (量刑の理由)本件は,被告人が共犯者らと共謀の上,かつての暴走族仲間を拉致して被告人方に連れ込んで監禁し,同人に対し暴行脅迫を加え現金を強取するなどし,その際傷害を負わせた逮捕監禁,強盗致傷の事案(判示第1),被告人が3回 人が共犯者らと共謀の上,かつての暴走族仲間を拉致して被告人方に連れ込んで監禁し,同人に対し暴行脅迫を加え現金を強取するなどし,その際傷害を負わせた逮捕監禁,強盗致傷の事案(判示第1),被告人が3回にわたり普通貨物自動車を無免許運転した道路交通法違反の事案(判示第2,第5,第6)及び無免許運転中小学生1名をひき逃げした業務上過失傷害,道路交通法違反の事案(判示第3,第4)である。 判示第1の事案を中心に犯情を見ると,被告人は,同事案においては,被害者が被告人の自動車を壊した等として被害者から金銭を強取したものであるが,仮に被告人の主張するように被害者に何らかの落ち度があったとしても,些かもその犯行を正当化する理由となりえないことは明らかである上,むしろ,被告人は被害者の行動に問題があると因縁をつけて金員を強取したものと認められ,動機に酌量の余地はない。被告人らは被害者を拉致して被告人宅に監禁し,密室において,無抵抗の被害者に対し,長時間にわたり一方的に殴る蹴るなど強度の暴行を加えたものであって,危険な犯行であるし,被告人は,被害者が携帯電話を使って110番通報しようとしたことを知ってさらに被害者に暴行を加えたり,ナイフを用いて被害者を脅すなどしたほか,被害者を裸にしてその写真を撮影して脅すなどの行為に及んでいるのであって,犯行態様は卑劣でまことに悪質である。加えて,被告人は,判示第1の犯行を計画し,共犯者らを唆して本件犯行に加担させ終始主導的立場で犯行に及んでいるもので,本件共犯者の中でもその責任は格段に重いというべきである。そして,顕著な常習性の認められる各無免許運転,判示第3の事故を惹起しながら,被害者を救護したり警察官に報告することなく逃げ去った業務上過失傷害,道路交通法違反の点,加えて,判示第1の犯行後被告人は捜査機関に出頭 常習性の認められる各無免許運転,判示第3の事故を惹起しながら,被害者を救護したり警察官に報告することなく逃げ去った業務上過失傷害,道路交通法違反の点,加えて,判示第1の犯行後被告人は捜査機関に出頭することなく逃亡していたこと,この間判示第5,第6の各犯行に出ていること等も併せ考えると,被告人の規範意識は著しく鈍麻しているというほかはなく,その犯情はよくない。 さらに,判示第1の被害者の処罰感情には厳しいものがあるが,被告人は被害者に対し慰謝の措置をとることなく,公判廷でも被害者に対する不満を露わにして,被害者にも原因があったことをことさらに強調する発言に及んだほか,判示の程度の暴行脅迫は反抗を抑圧するに足りるものではなかったと強弁し,事態を矮小化する不自然な弁解を繰り返して恥じるところもなく,遺憾ながら自己の責任を真摯に顧みる態度に欠けているというほかない。 これらの諸点に照らすと,被告人の刑事責任は重大である。 他方,被告人が判示第1ないし第5の各犯行時には少年であったこと,判示第1の犯行について,被害者の言動にも被告人らにつけ込まれる行状があったこと自体は否定できないこと,判示第3の犯行については,被告人の父親が被害者側に対し誠意ある対応をしたためもあって被害者側の処罰感情は厳しくないこと,判示第2ないし第4の犯行については,犯行の約1時間後に警察署に出頭していること,被告人が未だ若年であること,被告人の父親が被告人の監督を誓約していること,被告人には内妻とその間に生まれた幼児がいることなど被告人のためにしん酌すべき事情も認められるから,これらの事情を総合考慮し,主文の刑に処するのを相当であると判断した。 よって,主文のとおり判決する。 平成15年12月19日神戸地方裁判所第1刑事部 主文 これらの事情を総合考慮し、主文の刑に処するのを相当であると判断した。よって、主文のとおり判決する。 平成15年12月19日 神戸地方裁判所第1刑事部裁判長裁判官杉森研二 裁判官橋本一 裁判官沖敦子

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