昭和50(ネ)2316 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和52年4月14日 東京高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      1 本件控訴を棄却する。      2 控訴費用は、控訴人の負担とする。          事    実 第一当事者の求める裁判  一 控訴の趣旨  1 原判決を取消す。  2

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判決文本文5,571 文字)

主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は、控訴人の負担とする。 事実 第一当事者の求める裁判一控訴の趣旨 1 原判決を取消す。 2 被控訴人は、控訴人に対し、金八、八八一、一〇〇円及び内金七、八〇一、〇〇〇円に対する昭和四八年五月八日から右完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。 3 訴訟費用は、第一審、第二審ともに被控訴人の負担とする。 4 主文2につき仮執行の宣言を求める。 二控訴の趣旨に対する答弁控訴棄却の判決を求める。 第二当事者の主張一控訴人 1 控訴人は、昭和四八年四月一〇日に、訴外清水建材重機株式会社に対して、金七、八〇一、〇〇〇円を貸付けた。 2 その際、訴外会社は、控訴人に対して、同社が被控訴会社に対して有する昭和四八年三月二一日から同年四月二〇日までの工事代金債権を右貸金債権の担保とする目的で、右工事代金債権の代理受領権限を付与した。 3 右工事代金債権の額は、少くとも金七、八〇一、〇〇〇円を越えていた。 4 被控訴会社は、右担保の趣旨を知りながら、昭和四八年四月二〇日に右代理受領を承諾した。なお、その際、被控訴会社担当者は、事情の説明を求めた控訴人の代理人田子璋弁護士に対して、被控訴会社が訴外会社に対して反対債権を有して居り、将来、相殺をするようになることを窺わせるような事情は一切述べなかつたばかりか、却つて代理受領の方法で控訴人が訴外会社に対して融資して呉れるように要請した。 5 よつて、控訴人は、被控訴会社に対して前記工事代金七、八〇一、〇〇〇円の支払を求め得べきところ、被控訴会社は、前記工事代金の支払期日である昭和四八年五月七日に、同社が訴外会社に対して有する別紙目録記載の債権と対当額で相殺する旨の意思表示をしたと主 、八〇一、〇〇〇円の支払を求め得べきところ、被控訴会社は、前記工事代金の支払期日である昭和四八年五月七日に、同社が訴外会社に対して有する別紙目録記載の債権と対当額で相殺する旨の意思表示をしたと主張して支払を拒絶した。 6 しかし、被控訴会社の前記代理受領の承諾によつて、控訴人と被控訴会社との間に、被控訴会社は代理受領によつて貸金債権の満足が得られるという控訴人の利益を承認し、正当な理由もないのに右利益を侵害しないという趣旨の契約が成立したものであるから、被控訴人は右契約の趣旨に反して控訴人の右利益を侵害することのないようにすべき義務がある。従つて、相殺を主張して支払を拒んでいる被控訴会社の態度は、信義則に反し禁反言の法理にもとる不当の所為であつて、右相殺をもつて控訴人に対抗しうべき限りでない。 7 仮にそうでないとしても、被控訴会社の担当者は、代理受領の承諾をするに際し、被控訴会社が訴外会社に対して反対債権を有することを知つて居り、また、後にこれをもつて代理受領を承諾した債権と相殺されることを認識しながら、控訴人にこれを秘して承諾したものであり、その結果、控訴人は訴外会社に貸付けた金七、八〇一、〇〇〇円と同額の損害を蒙つた。右の損害は、被控訴会社の被用者がその事業の執行につき第三者たる控訴人に加えたものであるから、被控訴会社は、控訴人に対してこれを賠償すべき責任がある。 8 よつて被控訴会社は控訴人に対し、控訴人による代理受領を承諾した訴外会社の被控訴会社に対する工事代金七、八〇一、〇〇〇円及びこれに対する支払期日の翌日たる昭和四八年五月八日以降完済までの遅延損害金を、または前項7の不法行為による損害賠償金及びこれに対する不法行為後の遅延損害金として右と同額の金員を支払う義務があるものというべく、なお、控訴人は本件訴訟を弁護士に委 八日以降完済までの遅延損害金を、または前項7の不法行為による損害賠償金及びこれに対する不法行為後の遅延損害金として右と同額の金員を支払う義務があるものというべく、なお、控訴人は本件訴訟を弁護士に委任するための費用として金一、〇八〇、一〇〇円の支出を要することとなつたのでこれを加え、被控訴会社に対して、金八、八八一、一〇〇円及び内金七、八〇一、〇〇〇円に対する昭和四八年五月八日から右完済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求めるため本訴請求に及んだ次第である。 二被控訴人 1 控訴人の主張事実1は知らないが、同2のうち代理受領権限付与の事実は認める。 2 同3は否認する。被控訴会社が昭和四八年三月二一日から同年四月二〇日までの工事代金として訴外会社に対して支払うべき金額は、右期間内の下請労賃、外注輸送費計六、〇一〇、六二〇円から工事完了まで被控訴会社が留保することになつている工事出来高の一割と立替金計三四七、四一七円を控除した金五、六六三、二〇三円である。 3 同4のうち、被控訴会社が控訴人主張の日時に本件代理受領を承諾した事は認めるが、その余の事実は否認する。 4 同5のうち、被控訴会社が控訴人主張の如き反対債権をもつてする相殺の意思表示をなした事実は認める。右相殺により控訴人主張の工事代金債権は消滅した。 5 同6から8までは争う。 第三証拠(省略) 理由 第一控訴人の訴外会社に対する融資原審証人Aの証言により真正に成立したものと認められる甲第一号証並びに原審証人B、同Aの各証言及び控訴本人Cの原審における尋問の結果を綜合すれば、控訴人が昭和四八年四月一〇日に訴外会社に対して金七、八〇一、〇〇〇円を貸付けたことが認められ、他に右認定に反する証拠はない。 第二訴外会社の 及び控訴本人Cの原審における尋問の結果を綜合すれば、控訴人が昭和四八年四月一〇日に訴外会社に対して金七、八〇一、〇〇〇円を貸付けたことが認められ、他に右認定に反する証拠はない。 第二訴外会社の控訴人に対する工事代金受領の代理権の付与とその被控訴会社による承諾一右金七、八〇一、〇〇〇円を借受ける際に、訴外会社が控訴人に対して、同社が被控訴会社に対して有する昭和四八年三月二一日から同年四月二〇日までの工事代金受領の代理権を付与し、被控訴会社が昭和四八年四月二〇日に右代理受領を承諾したことは、当事者間に争がない。そして、原審証人Aの証言により真正に成立したものと認められる甲第二号証、原審証人Dの証言により真正に成立したものと認められる乙第一号証の二並びに右各証言及び控訴本人の原審における尋問の結果を綜合すれば、右代理権授与は、控訴人が訴外会社に対して有する貸金債権を担保するためになされ、被控訴会社は控訴人の申出に応じ、担保の趣旨であることを了解して代理受領を承諾したものであることが認められる。 二してみれば、控訴人は、被控訴会社に対して代理受領の趣旨に従い、訴外会社が昭和四八年三月二一日から翌月二〇日までの間に被控訴会社の注文に応じて実施した工事出来高に相当する請負代金の支払を控訴人になすよう求め得べきところ、それが金六、〇一〇、六二〇円であることは被控訴会社の自認するところであるが、それ以上の金額に達している旨の控訴人の主張を肯認するに足る適確な証拠はない。 被控訴会社は、また、「工事完了まで出来高の一割に相当する金員を被控訴会社で留保でき、これと立替金を併せて計金三四七、四一七円を前記出来高より控除する。」と主張するが、右留保の合意や立替の事実を認むべき何らの証拠もないので、右主張もまた採用し得ない。 従つて、被控訴会社 留保でき、これと立替金を併せて計金三四七、四一七円を前記出来高より控除する。」と主張するが、右留保の合意や立替の事実を認むべき何らの証拠もないので、右主張もまた採用し得ない。 従つて、被控訴会社は、控訴人に対し金六、〇一〇、六二〇円の請負代金を支払う義務があることとなり、その弁済期が昭和四八年五月七日であることは、被控訴会社の明らかに争わないところである。 第三被控訴人のした相殺とその効果一原審証人Eの証言によりいずれも真正に成立したものと認められる乙第五、第六号証、原審証人Dの証言により真正に成立したものと認められる乙第八号証、原審及び当審証人Dの証言並びに当審証人Fの証言を綜合すれば、被控訴会社は昭和四六年五月一五日に訴外会社に対し三箇月後に返還する約定で金四、〇〇〇、〇〇〇円を貸付け、更に同年七月三〇日に同年一二月に返還する約定で金三、五〇〇、〇〇〇円を貸付けたが、その支払のないまま訴外会社は昭和四八年四月末に倒産し、その代表者は一時所在不明となつたこと、被控訴会社は、昭和四九年一月三一日に、訴外Fを介し、右二口の貸付金合計金七、五〇〇、〇〇〇円とその他の債権(別紙債権目録表示)とをもつて、被控訴会社の訴外会社に対する前記請負代金債務と対当額で相殺する旨の意思表示を書面で訴外会社代表者になしたこと、以上の事実が認められる。 <要旨>二ところで、代理受領の承諾の効果は、債権譲渡の際の債務者の異議を留めない承諾と同様に解すること</要旨>は出来ず、一般に、債権担保を目的とする代理受領の承諾をした第三債務者は、債務が有効に存在しその支払を現実になすべき関係にある限り、その履行を直接自己の債権者に対してなすこと等によつて正当の理由がなく代理受領権者の利益を害してはならない拘束を負うものと解すべきであるが、承諾前から有する反 の支払を現実になすべき関係にある限り、その履行を直接自己の債権者に対してなすこと等によつて正当の理由がなく代理受領権者の利益を害してはならない拘束を負うものと解すべきであるが、承諾前から有する反対債権をもつて相殺をなしうる利益(受働債権のうえにあたかも担保権を有するにも似た地位)まで喪失すると解することは、特段の事情のない限り、(甲第二号証、承諾書に振込銀行の指定があることをもつては、未だ特段の事情があるとはなし難い。)、推測される第三債務者の合理的意思に反し、相当ではなく、従つて、前記相殺を主張して支払を拒んでいる被控訴会社の態度が控訴人主張のように信義則に反し禁反言の法理にもとる不当の所為であるとは言えない。証人B及び控訴本人は、原審において、被控訴会社の経理課長であるDが控訴人の代理人である田子弁護士に対して代理受領の方法で控訴人が訴外会社に対して融通してくれるよう要請したと供述するけれども、右各供述は証人Dの原審における証言及びそれにより真正に成立したものと認められる乙第一号証の一と対照するとき、容易に措信し難いし、仮にその要請があつたと仮定しても、如上判示の観点からすれば、相殺の主張を直ちに不当としてその効果を否定すべき理由は見出し得ない。 三従つて、控訴人が被控訴会社に対して請求している訴外会社の請負工事代金債権は相殺により消滅したものというほかはない。 第四不法行為の成否被控訴会社の担当者(証拠に照らし、前記Dを指す趣旨と解される。)が右代理受領の承諾をするに際し、被控訴会社が訴外会社に対して有する反対債権をもつて代理受領を承諾した債権が相殺され消滅すべきことを認識しながら控訴人にこれを秘して承諾した旨の控訴人の主張については、これを肯認するに足りる何らの証拠もなく、却つて、原審証人D、同G、同Bの各証言及び 理受領を承諾した債権が相殺され消滅すべきことを認識しながら控訴人にこれを秘して承諾した旨の控訴人の主張については、これを肯認するに足りる何らの証拠もなく、却つて、原審証人D、同G、同Bの各証言及び右D証言により真正に成立したものと認められる乙第一四号証を綜合すれば、被控訴会社が代理受領を承諾した工事代金の支払を拒絶するに至つたのは、右承諾後、代金支払期日までの間に、前叙のとおり訴外会社が倒産しその代表者が所在不明になるという不測の事態が生じ、被控訴会社の債権の回収が困難となつたために執られた措置にほかならないことと認められる。 従つて、不法行為の使用者責任を問う控訴人の主張もまた採用し得ない。(ちなみに、相殺したことをもつて不法行為となし得ないことは前述したところから明らかである。)第五結論よつて、その余の点に就て判断するまでもなく、控訴人の本訴請求を棄却した原判決は相当であるから、本件控訴を棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法第八十九条の規定を適用して、主文の通り判決する。 (裁判長裁判官室伏壮一郎裁判官横山長裁判官三井哲夫)(別紙)債権目録一、 金四、〇〇〇、〇〇〇円(昭和四六年五月一五日貸付金)一、 金三、五〇〇、〇〇〇円(昭和四六年七月三〇日貸付金)一、 金一七、二一二、二〇〇円(昭和四六年五月三一日付債務弁済譲渡担保契約に基く貸付金合計内訳次の通り。)(イ) 金七、一一二、二〇〇円貸付日昭和四七年一一月三〇日、弁済期同年四月三〇日(ロ) 金四、四〇〇、〇〇〇円貸付日昭和四八年一月三一日、弁済期同年四月三〇日(ハ) 金九〇〇、〇〇〇円貸付日昭和四八年一月三一日、弁済期同年四月三〇日(二) 金三、八〇〇、〇〇〇円貸付日昭和四八年三月三一日、弁済期 付日昭和四八年一月三一日、弁済期同年四月三〇日(ハ) 金九〇〇、〇〇〇円貸付日昭和四八年一月三一日、弁済期同年四月三〇日(二) 金三、八〇〇、〇〇〇円貸付日昭和四八年三月三一日、弁済期同年六月三〇日(ホ) 金一、〇〇〇、〇〇〇円貸付日昭和四八年一月三一日、弁済期同年四月三〇日一右の(イ)から(ホ)までの各貸付金に対する貸付日から弁済期まで約一割の割合による約定利息及び弁済期の翌日以降右完済に至るまで年一割の割合による遅延損害金

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