- 1 -令和7年12月16日宣告令和7年(わ)第587号各公務執行妨害、傷害被告事件 主文 被告人両名をそれぞれ懲役3年に処する。 被告人両名に対し、この裁判確定の日から5年間、それぞれその刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人両名は、共謀の上、令和7年5月8日午前10時54分頃から同日午前11時20分頃までの間、第1 東京都立川市内の市立小学校2階の教室において、同校教諭C(当時58歳)が同校児童への指導に従事していた際、被告人Aが、Cに対し、その顔面を拳で複数回殴るなどの暴行を加え、もって同人の職務の執行を妨害するとともに、前記暴行により、同人に全治まで約1か月間を要する鼻骨骨折等の傷害を負わせ、第2 不審者が同校に侵入した旨の連絡を受けて前記教室に駆け付けた同校教諭D(当時46歳)が、同校児童の安全の確保を図るため、被告人両名を制止し説得していた際、Dに対し、同校2階廊下において、被告人Bが、Dの顔面を拳で複数回殴る暴行を加えた上、同校1階廊下において、被告人Aが、Dの顔面等を複数回殴るなどの暴行を加え、もって同人の職務の執行を妨害するとともに、前記各暴行により、同人に全治まで約2週間を要する顔面打撲等の傷害を負わせ、第3 前記第2記載の連絡を受けて同校2階廊下に駆け付け、同所における暴行を目撃した同校校長E(当時62歳)が、同校児童の安全の確保を図るため、被告人両名を制止し説得していた際、Eに対し、同所において、被告人Bが、E- 2 -の顔面を拳で1回殴るなどの暴行を加えた上、同校1階職員室において、被告人Aが、Eの股間及び左脇腹を1回ずつ膝蹴りするなどの暴行を加え、もって 、Eに対し、同所において、被告人Bが、E- 2 -の顔面を拳で1回殴るなどの暴行を加えた上、同校1階職員室において、被告人Aが、Eの股間及び左脇腹を1回ずつ膝蹴りするなどの暴行を加え、もって同人の職務の執行を妨害するとともに、前記各暴行により、同人に全治まで約2週間を要する顔面打撲、股間部打撲及び左側腹部打撲等の傷害を負わせ、第4 同校1階廊下において、前記第2記載の連絡を受けて同所に駆け付けた同校教諭F(当時37歳)が、同校児童の安全の確保を図るため、被告人両名を制止し説得していた際、被告人Aが、Fに対し、同人の右肩を刺股で1回殴る暴行を加え、もって同人の職務の執行を妨害するとともに、前記暴行により、同人に全治まで約2週間を要する右肩打撲の傷害を負わせたものである。 (量刑の理由)本件は、被告人両名が、共謀の上、公立小学校の校舎内において、授業を行っていた同校教諭Cに判示第1の暴行を加え、さらに、不審者が同校に侵入した旨の連絡を受けて駆けつけてきた同校教諭D、同校校長E及び同校教諭Fに対しても判示第2ないし第4の暴行をそれぞれ加え、これらによりCらの職務の執行を妨害するとともに、Cに対して全治まで約1か月間を要する傷害を負わせ、D、E及びFに対してそれぞれ全治まで約2週間を要する傷害を負わせたという事案である。 被告人らは、平日の日中に本件小学校を訪れるや、多数の児童がいる授業中の教室に怒鳴りながら乱入し、Cに対して被告人Aがいきなりその顔面を複数回殴るなど暴行を加え、その後、被告人らを制止し説得しようとしたD、E及びFに対しても、被告人BがD及びEの各顔面を拳で殴り、被告人Aが、Dの顔面等を蹴り、Eの股間等を膝蹴りし、Fの右肩を本件小学校管理の刺又で殴るなどして本件各犯行に及んだものである。いずれも無抵抗な者 に対しても、被告人BがD及びEの各顔面を拳で殴り、被告人Aが、Dの顔面等を蹴り、Eの股間等を膝蹴りし、Fの右肩を本件小学校管理の刺又で殴るなどして本件各犯行に及んだものである。いずれも無抵抗な者に対する一方的な暴行である上、被告人らは、校舎内を移動しながら暴れ回り、多数の児童が体育館に避難を余儀なくされるなど学校内を大混乱に陥れたものであって、犯行態様の悪質性は高い。また、本件各犯行により4名の教員が負傷し、その中でも鼻骨骨折等の傷害を負ったCの被- 3 -害結果は重く、これに加え、本件各犯行が本件小学校の児童に与えた精神的衝撃、地域住民や一般社会に与えた不安等も看過することはできない。さらに、被告人らは、本件の犯行動機等について、当公判廷で、被告人Aの知人の子どもが本件小学校でいじめを受けており、そのことで学校側と話がしたかったなどと供述するが、そもそも授業中の教室に乱入して教員に暴力を振るうなどとは言語道断であり、本件当時は飲酒の影響があったという被告人らが供述する事情を踏まえても、本件各犯行を正当化する余地はなく、犯行動機等において酌量すべきものはない。 共犯者間の責任の軽重については、被告人Aと被告人Bは被告人Aが経営する飲食店の経営者と従業員の関係にあり、本件小学校に赴く過程においては、被告人Aが被告人Bを誘い、これに被告人Bが付き従った様子が見受けられるものの、本件当時は被告人B自身も主体的に暴力を振るっていたと認められるのであって、主従関係にはなく、共犯者間の責任に特段の差異はないといえる。 以上によれば、本件の犯情は悪く、被告人両名の刑事責任を軽く見ることはできない。 もっとも、DないしFの各傷害については比較的軽傷にとどまっていること、被告人両名において、反省の態度と謝罪の意思を示し、被害弁償について真摯 悪く、被告人両名の刑事責任を軽く見ることはできない。 もっとも、DないしFの各傷害については比較的軽傷にとどまっていること、被告人両名において、反省の態度と謝罪の意思を示し、被害弁償について真摯に対応していること、いずれも前科はないこと、被告人Aにおいては、妻が監督を誓約していること、被告人Bにおいては、職場の上司が監督を誓約していることなど、各被告人のために酌むべき事情が認められる。 以上の事情を考慮し、被告人両名に対しては、それぞれ主文の刑に処した上、いずれも情状によりその刑の執行を猶予し、社会内での更生の機会を与えるのが相当と判断した。 よって、主文のとおり判決する。 (求刑各被告人につき懲役3年)令和7年12月16日東京地方裁判所立川支部刑事第1部- 4 - 裁判官河畑 勇
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