【DRY-RUN】主 文 本件抗告を棄却する。 理 由 本件抗告の趣意は、別紙特別抗告の申立書記載のとおりである。 所論は、要するに、(一)原裁判所が勾留期間延長の裁判をなす
主 文 本件抗告を棄却する。 理 由 本件抗告の趣意は、別紙特別抗告の申立書記載のとおりである。 所論は、要するに、(一)原裁判所が勾留期間延長の裁判をなすためには、大阪 地方裁判所裁判官の勾留期間延長請求却下の裁判を取り消す旨の有効な裁判の存在 を前提とするところ、本件においては、かような裁判を前提としていないから、原 裁判所の勾留期間延長の裁判は無効である。また、(二)原裁判所が勾留期間延長 の裁判をなすには、それが勾留期間(延長期間を含む)満了前になされることが必 要であるところ、本件においては、勾留期限は昭和四二年一二月九日であつて、原 裁判の勾留期間延長の裁判は、早くとも、それ以後である同月一〇日午前〇時三分 頃になされたのであるから、かかる裁判は無効である。従つて、かような無効な裁 判による勾留は違法であり、ひいては憲法三一条、三三条、三四条に違反する、と いうのである。 そこで、一件記録及び当裁判所の事実取調の結果によれば、本件の経過は次のと おりであることが認められる。すなわち、原裁判所の裁判長原田修は昭和四二年一 二月九日午後一〇時三〇分頃合議部を構成し、まもなく合議に入り、同日午後一一 時三〇分ないし四〇分に合議が成立したため、裁判長は検察官に対し、口頭で「前 の裁判を取り消して期間を延長する。」旨告げ、同席していた陪席裁判官高井清次 が「延長期限は昭和四二年一二月一五日までである。」旨補足したが右告知は同月 九日午後一一時四〇分よりは遅かつたが同日午後一二時前であつた。一方裁判長は A、B両書記官を呼び、勾留期間延長の旨を勾留状裏面に記載するように命じ、両 書記官は手わけして四通の勾留状裏面に所定の記載をした上裁判長の記名押印を得 て、さらに交付年月日及び書記官の記名押印をなし、B書記官がこれを一括して検 間延長の旨を勾留状裏面に記載するように命じ、両 書記官は手わけして四通の勾留状裏面に所定の記載をした上裁判長の記名押印を得 て、さらに交付年月日及び書記官の記名押印をなし、B書記官がこれを一括して検 - 1 - 察官に手渡したが、それは同月九日午後一二時の二〇秒か一五秒前であつた。以上 の事実が認められる。 右の経過によれば、原裁判所が勾留期間延長の裁判をなすにあたり、その前提で ある勾留延長却下の裁判を取消す決定を告知するにつき、謄本送達の方法によらず して単に口頭で告知したにとどまることは、裁判告知の方式に違背し違法であるこ とを免れない。しかし、右取消決定の告知は実質上なされているのであるし、原裁 判所の勾留期間延長の決定は、当然にこれと矛盾するさきの勾留延長却下の裁判を 取り消す趣旨をおのずから示しているものでもあつて、緊急を要した本件の具体的 事情のもとにおいては、右の方式違背は、ただちに勾留期間延長の決定を無効なら しめるものとはいえない。また、右の経過によれば、原裁判所は、本件の勾留期限 である、一二月九日午後一二時より前に勾留期間延長の裁判をしているのであるか ら、この点については原裁判所の手続には所論の瑕疵は存しない。 従つて、右勾留期間延長の決定の無効を前提とする所論違憲の主張は前提を欠き、 刑訴法四三三条の抗告の理由に当らない。 よつて、刑訴法四三四条、四二六条一項に従い、裁判官全員一致の意見で、主文 のとおり決定する。 昭和四二年一二月一三 最高裁判所第三小法廷 裁判長裁判官 松 本 正 雄 裁判官 田 中 二 郎 裁判官 下 村 三 郎 裁判官 飯 村 義 美 - 2 裁判官 田 中 二 郎 裁判官 下 村 三 郎 裁判官 飯 村 義 美 - 2 -
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