令和4(ネ)4161 損害賠償請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和7年2月26日 東京高等裁判所
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判決文本文46,049 文字)

主文 1 一審被告の控訴に基づき、原判決を次のとおり変更する。 2 一審被告は、次の一審原告らに対し、次の金員及びこれに対する平成27年9月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑴ 一審原告F(一審原告番号4-1)につき216万8339円 ⑵ 一審原告G(一審原告番号4-2)につき30万5000円⑶ 一審原告J(一審原告番号6)につき903万0816円⑷ 一審原告P(一審原告番号11-1)につき52万8289円⑸ 一審原告Q(一審原告番号11-2)につき17万円⑹ 一審原告R(一審原告番号13)につき55万円 ⑺ 一審原告V(一審原告番号18)につき144万6712円⑻ 一審原告W(一審原告番号20-1)につき1365万5342円⑼ 一審原告X(一審原告番号20-2)につき68万5000円 3 前項の一審原告らのその余の請求及びその余の一審原告らの請求をいずれも棄却する。 4 一審原告らのうちの(別紙)請求金額等一覧表(控訴審)の「控訴審請求額(円)」欄に金額の記載のある者の本件控訴をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は、一審原告らのうちの(別紙)請求金額等一覧表(控訴審)の「原審認容額」欄に金額の記載ある者らと一審被告との関係では、第1、2審を通じて、別紙訴訟費用負担一覧表記載のとおりとし、その余の一審原告 らと一審被告との関係では、控訴費用を当該一審原告らの負担とする。 6 この判決は、2項に限り、本判決が一審被告に送達された日から14日を経過したときは、仮に執行することができる。ただし、一審被告が(別紙)担保金額一覧表記載とおり各担保を提供するときは、同一覧表記載の各一審原告との間で仮執行を免れることができる。 た日から14日を経過したときは、仮に執行することができる。ただし、一審被告が(別紙)担保金額一覧表記載とおり各担保を提供するときは、同一覧表記載の各一審原告との間で仮執行を免れることができる。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 一審原告ら⑴ 原判決中、一審原告らのうちの(別紙)請求金額等一覧表(控訴審)の「控訴審請求額(円)」欄に金額の記載のある者の敗訴部分を取り消す。 ⑵ 一審被告は、一審原告らのうちの上記⑴の者に対し、(別紙)請求金額 等一覧表(控訴審)の「控訴審請求額(円)」欄記載の金員及びこれに対する平成27年9月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 一審被告⑴ 原判決中、一審被告の敗訴部分を取り消す。 ⑵ 上記取消部分に係る一審原告らの請求をいずれも棄却する。 第2 事案の概要等(原判決で用いられた略称(県名の省略、距離標の数値の意味を含む。)は、特に断りのない限り、本判決においても同様に用いるものとする。以下同じ。) 1 事案の概要 平成27年9月に発生した台風18号の影響により、関東地方において記録的な降雨(本件降雨)が観測され、本件降雨の影響により一級河川である利根川水系鬼怒川の水位が高くなり、茨城県常総市(常総市)内の流域において、溢水し、又は堤防が決壊し、これによる流入水が常総市内に広がる氾濫(本件氾濫)が発生した。一審原告らは、当時、常総市内若宮戸地区(鬼怒川の左岸 24.50km地点から26.00km地点までの区間の付近。以下「若宮戸地区」という。)、同じく上三坂地区(鬼怒川の左岸21.00km地点付近。 以下「上三坂地区」という。)、同じく水海道地区(以下「水街道地区」という。)に居 00km地点までの区間の付近。以下「若宮戸地区」という。)、同じく上三坂地区(鬼怒川の左岸21.00km地点付近。 以下「上三坂地区」という。)、同じく水海道地区(以下「水街道地区」という。)に居住し又は主たる事業所を有していた者である。 本件は、一審原告らが、鬼怒川を管理する一審被告に対し、若宮戸地区で発 生した溢水(本件溢水)について、堤防の役割を果たしていた砂丘(本件砂丘) を保全するために本件砂丘を含む区域について河川区域に指定されるべきであったにもかかわらず、これがされていなかったこと(そのために、太陽光発電事業者の掘削(以下「本件掘削」という。)によって本件砂丘の地盤高が計画高水位を下回るものとなってしまったこと)、又は、若宮戸地区が無堤防地区であったにもかかわらず、本件溢水までに優先して堤防を整備するものとしていな かった鬼怒川の改修計画(本件改修計画)が格別不合理であること、上三坂地区で発生した堤防の崩壊(本件決壊)について、上三坂地区には現況堤防高の低い箇所があったにもかかわらず、本件決壊までに優先して堤防を整備するものとしていなかった本件改修計画が格別不合理であることをもって、一審被告による鬼怒川に係る河川管理についての瑕疵があったと主張し、これらにより、 本件氾濫が発生して浸水による家屋や家財の損傷等の損害を被ったとして、国家賠償法2条1項に基づき、それぞれ(別紙)請求金額等一覧表(控訴審)の「請求金額(円)」欄記載の各損害金及びこれらに対する本件氾濫の発生日である平成27年9月10日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求 める事案である。 原審は、若宮戸地区の本件溢水に関し、本件砂丘が河川区域として まで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求 める事案である。 原審は、若宮戸地区の本件溢水に関し、本件砂丘が河川区域として指定されていなかったことが一審被告の河川管理の瑕疵に当たるとして、一審原告らのうちの(別紙)請求金額等一覧表(控訴審)の「原審認容額(円)」欄に金額の記載のある者(若宮戸地区一審原告ら)について、民訴法248条によるなど して認めた家屋、家財に係る損害額等及び慰謝料の合計金額として同欄記載の金額及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度でその請求を認め、上三坂地区における本件決壊については、本件改修計画が格別不合理であるということはできず、一審被告の河川管理の瑕疵があったとはいえないとして、若宮戸地区一審原告ら以外の一審原告らの各請求をいずれも棄却した。 これに対し、一審原告らのうちの(別紙)請求金額等一覧表(控訴審)の 「控訴審請求額(円)」欄に金額の記載のある者と一審被告がそれぞれ本件各控訴を提起した。 2 関係法令等の定め及び前提事実は、次のとおり訂正するほかは、原判決「事実及び理由」欄の第2の1及び2に記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決3頁12行目と13行目の間に次のとおり加える。 「 河川法13条1項は、河川管理施設について、水位、流量、地形、地質その他の河川の状況及び自重、水圧その他の予想される荷重を考慮した安全な構造のものでなければならないと、同条2項は、そのうちダム、堤防その他の主要なものの構造について河川管理上必要とされる技術的基準は政令で定めるとそれぞれ規定する。 河川管理施設等構造令(以下「構造令」という。)18条1項は、堤防は、護岸、水制その他これらに類する なものの構造について河川管理上必要とされる技術的基準は政令で定めるとそれぞれ規定する。 河川管理施設等構造令(以下「構造令」という。)18条1項は、堤防は、護岸、水制その他これらに類する施設と一体として、計画高水位(高潮区間にあっては、計画高潮位)以下の水位の流水の通常の作用に対して安全な構造とするものとすると、構造令19条本文は、堤防は盛土により築造するものとすると、構造令20条1項本文は、堤防の高さについて、計画高水流量 に応じ、計画高水位に次の表(省略)の下欄に掲げる値を加えた値以上とするものとすると、構造令21条1項本文は、堤防の天端幅について、堤防の高さと堤内地盤高との差が0.6メートル未満である区間を除き、計画高水流量に応じ、次の表(省略)の下欄に掲げる値以上とするものとすると、構造令22条1項は、盛土による堤防の法勾配について、堤防の高さと堤内地 盤高との差が0.6メートル未満である区間を除き、50%以下とするものとするとそれぞれ規定する(構造令の制定当初にも、数値等の違いはあるものの、堤防の高さ、天端幅、法勾配に関する規定が存在した。乙38、弁論の全趣旨)。」⑵ 原判決3頁14行目の冒頭に「ア 」を加え、18行目の「(中略)」を「(政 令で定めるこれに類する土地及び政令で定める遊水地を含む。(中略))」と改 め、20行目と21行目の間に次のとおり加える。 「 また、河川法施行令1条1項1号は、河川法6条1項3号の政令で定める堤外の土地に類する土地について、地形上堤防が設置されているのと同一の状況を呈している土地のうち、堤防に隣接する土地又は当該土地若しくは堤防の対岸に存する土地とすると規定する。 イ河川法25条は、河川区域内の土地において土石(砂を含む。以下同じ。) 同一の状況を呈している土地のうち、堤防に隣接する土地又は当該土地若しくは堤防の対岸に存する土地とすると規定する。 イ河川法25条は、河川区域内の土地において土石(砂を含む。以下同じ。)を採取しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、河川管理者の許可を受けなければならず、河川区域内の土地において土石以外の河川の産出物で政令で指定したものを採取しようとする者も同様とすると、同法26条1項前段は、河川区域内の土地において工作物を新築し、改築 し、又は除却しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、河川管理者の許可を受けなければならないと、同法27条1項は、河川区域内の土地において土地の掘削、盛土若しくは切土その他土地の形状を変更する行為(前条1項の許可に係る行為のためにするものを除く。)又は竹木の栽植若しくは伐採をしようとする者は、国土交通省令で定めるところに より、河川管理者の許可を受けなければならないが、政令で定める軽易な行為についてはこの限りでないとそれぞれ規定する。」⑶ 原判決7頁2行目の「付則」を「附則」と改め、21行目の「証拠」の次に「(書証については断りのない限り枝番を含む。以下同じ。)」を加える。 ⑷ 原判決8頁10行目と11行目の間に次のとおり加える。 「 鬼怒川については、昭和41年12月28日告示(同年建設省告示4225号)によって河川法6条1項3号の区域の指定がされたが、本件溢水が発生した左岸25.35km地点付近では、鬼怒川の低水路から本件砂丘までの間の土地は河川区域として指定されたものの、上記地点を含む本件砂丘は河川区域として指定されず、このことは本件溢水が発生するまでの間に変わ ることはなかった(甲1の2、甲17、乙6の1~3、乙60の1~2、弁 して指定されたものの、上記地点を含む本件砂丘は河川区域として指定されず、このことは本件溢水が発生するまでの間に変わ ることはなかった(甲1の2、甲17、乙6の1~3、乙60の1~2、弁 論の全趣旨)。」⑸ 原判決9頁4行目の冒頭に「鬼怒川の流域の」を加える。 ⑹ 原判決11頁1行目の「同年」を「平成27年」と改め、10行目末尾に「なお、平成に入ってからは、鬼怒川の平方地点及び水海道地点において毎秒3000㎥を上回る流量が記録されたことはなかった(乙25、47)。」 を加え、12行目の「常総市若宮戸地区」を「若宮戸地区」と、14行目から15行目にかけての「左岸25.35km地点付近には」を「左岸24. 50km地点から26km地点までの区間に私有地である」とそれぞれ改め、19行目の「あったが、」の次に「本件砂丘は、河川区域に指定されていなかったため、」を、21行目末尾に「被告(国土交通省)は、同年7月、当該太 陽光発電事業者との合意の下、本件掘削によって掘削された場所に平均Y. P.21.3mの高さまで大型土嚢を2段積んだ。」をそれぞれ加え、23行目から24行目にかけての「本件溢水が生じた」から24行目末尾までを「左岸25.35km地点に近い左岸25.25km地点の痕跡水位はY.P. 22.01m、同じく左岸25.50km地点の痕跡水位はY.P.22. 13mであった(甲2、乙7)。」と、25行目の「常総市上三坂地区」を「上三坂地区」とそれぞれ改める。 ⑺ 原判決12頁11行目から12行目にかけての「層厚によって」を「層厚によっては」と改める。 ⑻ 原判決13頁24行目の「洪水に」を「洪水を」と改める。 ⑼ 原判決15頁25行目の「乙74」を「甲52、乙74、93、100~102」と改める。 を「層厚によっては」と改める。 ⑻ 原判決13頁24行目の「洪水に」を「洪水を」と改める。 ⑼ 原判決15頁25行目の「乙74」を「甲52、乙74、93、100~102」と改める。 ⑽ 原判決16頁7行目と8行目の間に次のとおり加える。 「 治水経済調査は、堤防やダム等の治水施設の整備を行う当該河川整備計画によってもたらされる経済的な便益や費用対効果を計測することを目的とし て実施されるものであり、治水経済調査マニュアル(案)はその際に用いら れる指針として「河川事業の評価手法に関する研究会」による検討の結果を踏まえて作成されたものである。」⑾ 原判決16頁13行目の「考えられるが、」の次に「堤防は、治水の歴史的な産物であるため、堤体内の土質材料を正確に把握することが難しく、堤防の相対的な安全評価をすることができたとしても、絶対的な安全度評価を行 うことは不可能に近いことから、」を加え、15行目の「定規断面」から17行目末尾までを「具体的には、河川整備基本方針で定められた計画高水量及び計画高水位に従って、構造令に基づき最低限確保すべき高さ、天端幅、のり勾配等を満たし、当該河川の過去の洪水実績等の経験を踏まえて定める堤防の断面形状である計画断面形状が確保できる(内包される)高さとなるま でその高さをスライドする(下げる)こととする(以下、このスライドすることを「スライドダウン評価」といい、スライドダウン評価後の堤防の高さを「スライドダウン堤防高」という。)。」と改める。 3 争点⑴ 若宮戸地区の本件砂丘を含む区域について河川区域に指定されていなかっ たことが河川管理の瑕疵に当たるか否か⑵ 若宮戸地区が無堤防地区であったにもかかわらず、本件溢水までに優先して堤防を整備するものとしてい 砂丘を含む区域について河川区域に指定されていなかっ たことが河川管理の瑕疵に当たるか否か⑵ 若宮戸地区が無堤防地区であったにもかかわらず、本件溢水までに優先して堤防を整備するものとしていなかった本件改修計画が格別不合理であるといえるか否か⑶ 上三坂地区には現況堤防高の低い箇所があったにもかかわらず、本件決壊 までに優先して堤防を整備するものとしていなかった本件改修計画が格別不合理であるといえるか否か⑷ 一審被告が賠償すべき損害の範囲 4 争点に対する当事者の主張(当審における主張も含む。)は、次のとおり訂正するほかは、原判決「事実及び理由」欄の第2の4に記載のとおりであるから、 これを引用する。 ⑴ 原判決18頁4行目の「若宮戸地区の」から5行目末尾までを「若宮戸地区の本件砂丘を含む区域について河川区域に指定されていなかったことが河川管理の瑕疵に当たるか否か」と改める。 ⑵ 原判決20頁1行目の「被告が」から2行目の「こと」までを「一審被告により若宮戸地区の本件砂丘を含む区域が河川区域に指定されていなかった こと」と、7行目の「あったから、」から21頁7行目末尾までを「あった。」と、8行目の「ウ以上を前提とすれば、」を「 そうすると、」とそれぞれ改め、10行目から11行目にかけての「そして、」から15行目の「無関係である。」までを削除し、18行目及び19行目を次のとおり改める。 「 イ次に、河川法6条1項3号は、同項柱書の「河川区域」の一類型とし て「堤外の土地(政令で定めるこれに類する土地(中略)を含む。 (後略))の区域のうち、第1号に掲げる区域と一体として管理を行う必要があるものとして河川管理者が指定した区域」をもって河川区域とし、これを受けた政令である河川法施行令1条1 土地(中略)を含む。 (後略))の区域のうち、第1号に掲げる区域と一体として管理を行う必要があるものとして河川管理者が指定した区域」をもって河川区域とし、これを受けた政令である河川法施行令1条1項1号は、「地形上堤防が設置されているのと同一の状況を呈している土地のうち、堤防に隣接する土地又 は当該土地若しくは堤防の対岸に存する土地」をもって、「これに類する土地」(以下、河川法施行令1条1項1号所定の土地を「堤防類地」ということがある。)の一類型として定めている。そして、その文言から明らかなとおり、同号は土地の「地形」すなわち自然のままの形状が、河川法上河川管理施設である「堤防が設置されているのと同一の状況」、すな わち、構造令で求められるのと同程度の高さ(隣接する上下流の堤防と同程度の高さ)及び強度(質)が確保されたものであることを要求するものと解される。本件砂丘は、高さの点(一部計画高水位を下回っている地点があったこと)からも、強度(質)の点(砂粒等が自然に堆積して形成されたものすぎず、流水による浸透作用や浸食作用に耐え得る土 質ではなかったこと)からも、堤防と同様・同等の効用を有する土地で あるとは認められないから、河川法6条1項3号所定の「地形上堤防が設置されているのと同一の状況を呈している土地」に当たらず、河川区域として指定する要件を満たさない。 また、河川区域の指定は、それが土地の所有権等に対する強力な制限となり、当該土地の地価の下落といった事態も招来し得るものであり、 かつ、これが長期間にわたるものとなる可能性がある。加えて、河川法の規定も、河川管理行為によって私権を制限することに対しては謙抑的な態度を示していることから、河川管理実務においては、河川管理者の裁量による判断として、新た るものとなる可能性がある。加えて、河川法の規定も、河川管理行為によって私権を制限することに対しては謙抑的な態度を示していることから、河川管理実務においては、河川管理者の裁量による判断として、新たに河川法6条1項3号に該当する土地として河川区域の指定がされるのは、堤防の設置に伴い、同項1号の土地(低 水路)と同項2項の土地(堤防敷)との間に存する土地(高水敷)が生じた場合に、かかる高水敷について指定したり、堤防を整備するのに伴ってこれに隣接する土地を河川法施行令1条1項1号の堤防類地として指定したりする場合がほとんどであり、河川区域の指定がされるのは、早くてもその範囲を定めることができる程度に河川管理施設の設置範囲 が定まった後とされている。加えて、河川には、自然条件を前提として管理がされている区間や、堤防整備の計画はあるものの未整備の無堤防状態となっている区間があるところ、自然公物である河川は、その性質上、改修計画の策定時からその状況が変化することがあり、その全ての区間について、改修計画に基づいて実施される治水事業とは無関係に、 それぞれの土地について治水安全度を低下させる行為等が行われないか否かを注視し、監視し続けたり、当該地形を保全するためだけに予め河川区域の指定をしたりすることはおよそ困難であり、これは河川管理者に不可能を強いるものである。このように、具体的な築堤計画を離れて、あるいは、抽象的な改修計画の段階において、河川区域の指定をするも のとした場合、河川管理実務上、不都合、不合理が生じ、ひいては適正 な河川管理を阻害させることになりかねないことから、上記のような河川区域の指定は、河川管理の一般的水準の在り方として採用の余地がない。 ウ平成26年3月頃の本件掘削の前の時点において、 な河川管理を阻害させることになりかねないことから、上記のような河川区域の指定は、河川管理の一般的水準の在り方として採用の余地がない。 ウ平成26年3月頃の本件掘削の前の時点において、本件砂丘の地盤の一番低い箇所は、おおむねY.P.21.36mであった。本件降雨に よる若宮戸地区の痕跡水位は、左岸25.25km地点付近においてY. P.22.010m、左岸25.50km地点付近においてY.P.22.130mであり、本件掘削前の時点での地盤高の一番低い箇所を約0.65から0.77m超えていた。また、本件砂丘には、本件掘削から本件降雨までの間に土嚢が設置されていたにもかかわらず、本件溢水 は生じてしまったことや、本件氾濫の際、上三坂地区における本件決壊のほか、7か所で溢水、23か所で漏水が生じており、同時多発的に水防活動を必要とするような異常事態が発生していたとからすると、仮に本件砂丘が河川区域に指定されており、これにより、本件掘削がされずに当該部分の地盤高が低下していなかったとしても、本件溢水という結 果を回避することはできなかった。 エしたがって、若宮戸地区の本件砂丘を含む区域が河川区域に指定されていなかったことが河川管理の瑕疵に当たるとの一審原告らの主張は失当である。 ⑵ 若宮戸地区が無堤防地区であったにもかかわらず、本件溢水までに優先 して堤防を整備するものとしていなかった本件改修計画が格別不合理であるといえるか否か」⑶ 原判決21頁21行目の「ア 」の次に「本件氾濫当時、鬼怒川の河川整備計画は未策定であった。しかし、」を加える。 ⑷ 原判決22頁5行目の「作成されたもの」から6行目の「未策定であった。」 までを「作成されたものである。」と改め、11行目の「イ 」の次に「若宮 未策定であった。しかし、」を加える。 ⑷ 原判決22頁5行目の「作成されたもの」から6行目の「未策定であった。」 までを「作成されたものである。」と改め、11行目の「イ 」の次に「若宮 戸地区には堤防が築かれていなかったところ、」を加え、15行目の「そして、」を「また、本件掘削前の若宮戸地区の左岸25.35kの現況地盤高はY. P.21.36mであって、同地点の計画高水位Y.P.22.39mを1. 03m下回っており、しかも、」と、18行目の各「堤防高」をいずれも「地盤高」とそれぞれ改め、22行目末尾に「加えて、若宮戸地区は、その地形 的特徴から、そこで溢水や決壊が発生して氾濫となった場合、氾濫した水が最下流の市街地まで及ぶため、氾濫被害の防止において重要な地区であった。」を加える。 ⑸ 原判決24頁3行目の「施工し、」の次に「更に掘削により河道を整正し、下流区間については、堤防の拡築、護岸等を施工し、」を加える。 ⑹ 原判決25頁12行目の「上三坂地区の」から13行目末尾までを「上三坂地区には現況堤防高の低い箇所があったにもかかわらず、本件決壊までに優先して堤防を整備するものとしていなかった本件改修計画が格別不合理であるといえるか否か」と改める。 ⑺ 原判決27頁19行目の「現況余裕高がない」を「現況堤防高が計画高水 位を下回った」と改め、22行目と23行目の間に次のとおり加える。 「左岸20km地点から21km地点までの区間は平成23年度に用地買収をほぼ終えていた。」⑻ 原判決27頁23行目の「」を「」と改める。 ⑼ 原判決28頁10行目と11行目の間に次のとおり加える。 「エ鬼怒川の250m間隔の距離標毎の現況堤防高流下能力と計画高水位流下能力を比較すると、前記ウの現況堤 」を「」と改める。 ⑼ 原判決28頁10行目と11行目の間に次のとおり加える。 「エ鬼怒川の250m間隔の距離標毎の現況堤防高流下能力と計画高水位流下能力を比較すると、前記ウの現況堤防高と計画高水位を比較した場合と同様に、上三坂地区の左岸20km地点から21km地点までの区間において、その差が小さい箇所が連続していた。また、より詳細な測量結果によれば、左岸20.98km地点において、現況堤防高流下能 力の前提となる現況堤防高が、平成17年度の測量では計画高水位程度 であり、平成23年度の測量では計画高水位を下回っていたことからすると、本来であれば上記の区間を優先して堤防を整備すべきであったのに、優先度の低い他の区間の堤防整備を優先し、上記区間の堤防整備を後回しにするという本件改修計画は格別に不合理である。」⑽ 原判決28頁11行目の「エ」を「オ」と改める。 ⑾ 原判決29頁8行目の「防止という」を「防止のため」と改め、12行目の「原因である。」の次に「また、堤防の質の問題として堤体内への河川水の浸透に対する安全性を考慮するとしても、この安全性は、スライドダウン評価におけるような単なる堤防の幅という一般的、形式的なものによって評価することはできず、堤防の具体的な調査に基づいてこれを評価すべきである。」 を、19行目の「ア 」の次に「争点⑵における一審被告の主張のとおり、」をそれぞれ加える。 ⑿ 原判決30頁10行目の「治水安全度が低い区間について、」を「治水安全度が1/10未満の区間を優先しつつ、」と改める。 ⒀ 原判決31頁22行目の「されており、」から23行目の「適切でない。」 までを「されている。そうすると、」と改める。 ⒁ 原判決34頁1行目と2行目の間に次のとおり加える。 」と改める。 ⒀ 原判決31頁22行目の「されており、」から23行目の「適切でない。」 までを「されている。そうすると、」と改める。 ⒁ 原判決34頁1行目と2行目の間に次のとおり加える。 「ウ上三坂地区及び水街道地区に住居所を有する一審原告らの損害及び因果関係に関する仮定的な主張仮に上三坂地区における本件決壊について一審被告の河川管理の瑕 疵が認められないとしても、上三坂地区及び水街道地区に住居所等を有する一審原告らが受けた浸水被害は、一審被告の管理についての瑕疵によって発生した若宮戸地区における本件溢水と上三坂地区における本件決壊が相まって生じたものであり、本件溢水のみによってはこのような甚大な被害は生じなかった。したがって、一審被告の河川管理の瑕疵に よって発生した若宮戸地区における本件溢水と、上三坂地区及び水街道 地区に住居所を有する一審原告らが実際に受けた浸水被害による損害との間には相当因果関係がある。 更に仮に本件溢水と上三坂地区及び水街道地区に住居所を有する一審原告らが実際に受けた浸水被害による損害の全てとの間に相当因果関係が認められないとしても、本件溢水によって氾濫した水の量は264 2万㎥、本件決壊によって氾濫した水の量は1277万㎥であったことからすると、上記の一審原告ら生じた浸水被害のうちの67.4%(2642万㎥/〔2642万㎥+1277万㎥〕)については、若宮戸地区における一審被告の河川管理の瑕疵が寄与したものと評価することができるから、一審被告は上記の一審原告らに生じた浸水による損害のうち の少なくとも3分の2相当額を賠償する責任を負う。」⒂ 原判決35頁7行目末尾に改行の上、次のとおり加える。 「ウ上三坂地区及び水街道地区に住居所を有する一審原告 た浸水による損害のうち の少なくとも3分の2相当額を賠償する責任を負う。」⒂ 原判決35頁7行目末尾に改行の上、次のとおり加える。 「ウ上三坂地区及び水街道地区に住居所を有する一審原告らの損害及び因果関係に関する仮定的な主張について若宮戸地区における本件溢水について、一審被告が国家賠償法2条1項 に基づく責任を負うことはないから、本件溢水によって上三坂地区及び水街道地区に住居所を有する一審原告らが浸水被害を受けたとしても、これによる損害を賠償する責任を一審被告が負うことはない。 この点を措くとしても、本件溢水と上三坂地区及び水街道地区に住居所等を有する一審原告らが受けた浸水被害との間には、本件溢水がなければ 当該被害が生じなかった(本件決壊のみでは損害が生じなかった)という事実的因果関係があるという立証がされていないし、これを前提とする相当因果関係も立証されていない。また、一審原告らの主張する氾濫した水の量については確たる根拠がない上、一審原告らの個別の事情にかかわらず、氾濫した水の量の割合から損害額を算定するという一審原告らの主張 自体が合理性を有するものとはいえない。 したがって、一審原告らの仮定的な主張は理由がない。」第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は、一審原告らの請求は、(別紙)請求金額等一覧表(控訴審)の「控訴審認容額(円)」欄に金額の記載のある一審原告らにおいて、国家賠償法2条1項に基づいて同欄記載の金額の損害賠償金及びこれに対する本件氾濫発生 の日である平成27年9月10日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり、その余の請求はいずれも理由がないものと判断する。その理由は、以下のとおりである。 2 認定事実及び本件改修 日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり、その余の請求はいずれも理由がないものと判断する。その理由は、以下のとおりである。 2 認定事実及び本件改修計画の内容次のとおり訂正するほかは、原判決「事実及び理由」欄の第3の1及び2に 記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決35頁19行目の「結果であり、」から20行目末尾までを「結果であった(甲1)。そして、本件砂丘の存在を考慮しない場合、無堤防地区である若宮戸地区の地盤高(現況堤内地地盤高に当たるもの)は、場所によっては計画高水位を2m以上、下回っていた。」と改める。 ⑵ 原判決37頁1行目の「接していた。」を「接し、ほぼ鬼怒川の流形に沿った形状をしており、かつては、左岸25km地点付近において、その幅が約400m、最高点が標高約32mであった(甲63、弁論の全趣旨)。」と改め、10行目の「甲2」の次に「、63、乙19、88」を加え、13行目の「見られなかった。」を「見られず、本件砂丘についても、遅くとも同年頃 から本件掘削がされた平成26年3月までの間は、鶏舎が存在したほか、その他の建物の建築と除却はあったものの、その形状自体には大きな変化はなかった(甲63、乙89)。」と改める。 ⑶ 原判決38頁21行目の「H-Q算定方式により」を「、堤防をスライドダウンした上で余裕高(1.5m)を差し引いた高さをH1としてH-Q式 に代入することにより」と改める。 ⑷ 原判決39頁7行目及び8行目の各「m㎥」をいずれも「㎥」と、21行目の「別紙6のとおりである。」を「本判決(別紙)概要図のとおりであり、本件降雨以前における鬼怒川の堤防整備状況(平成23年度定期縦横断測量データ)は、計画堤防高以上 ㎥」をいずれも「㎥」と、21行目の「別紙6のとおりである。」を「本判決(別紙)概要図のとおりであり、本件降雨以前における鬼怒川の堤防整備状況(平成23年度定期縦横断測量データ)は、計画堤防高以上を確保している割合が約70%(計画高水位(HWL)以上が約98%)であった(乙53)。」とそれぞれ改める。 ⑸ 原判決40頁10行目の「ただし、」を「なお、第2案は河川区域を本件砂丘の尾根まで拡大するというものであり、」と、15行目の「平成24年」を「平成26年」とそれぞれ改め、20行目と21行目の間に次のとおり加える。 「⑼ 鬼怒川河川維持管理計画(甲31) 「効率的・効果的な河川維持管理の推進について」(平成23年5月11日付け国土交通省河川局通知。乙75)は、河川維持管理を適切に実施するため、河川整備計画における河川維持管理の内容を具体化するものとし、おおむね5年間に実施する具体的な河川維持管理の内容を定めた河川維持管理計画を作成し、同計画に基づいて河川の維持管理を行うものとして おり、これに基づいて国土交通省関東地方整備局下館河川事務所が平成24年3月に作成した鬼怒川河川維持管理計画(甲31)では、若宮戸地区は堤防整備不必要区間とされていた。 ⑽ 『平成27年9月関東・東北豪雨』に係る洪水被害及び復旧状況等について(甲2) 国土交通省関東地方整備局が本件氾濫(本件溢水)後に作成した平成29年4月1日付けの「『平成27年9月関東・東北豪雨』に係る洪水被害及び復旧状況等について」(甲2)では、左岸25.35km地点(若宮戸地先)等の被害状況の調査結果として、若宮戸地区には、鬼怒川沿いに実態的には堤防のような役割を果たしていた地形(以下「いわゆる自然堤防」 という。)が形成されていたとされている。」 点(若宮戸地先)等の被害状況の調査結果として、若宮戸地区には、鬼怒川沿いに実態的には堤防のような役割を果たしていた地形(以下「いわゆる自然堤防」 という。)が形成されていたとされている。」 ⑹ 原判決40頁21行目の「⑼ 堤防決壊の原因に関する知見(甲49)」を「⑾ 堤防決壊等の原因に関する知見(甲49、65、乙19、103)」と、24行目の「堤防決壊による洪水」を「堤防越水による決壊」とそれぞれ改め、25行目と26行目の間に次のとおり加える。 「 また、県の管理に係る河川では、平成4年から令和3年までの間に3件の 漏水による堤防の決壊が発生しており(乙103)、本件降雨による洪水の際も、鬼怒川において発生した堤防決壊は上三坂地区の1か所だけであったものの、漏水が23か所、堤防・河岸洗堀が31か所、法崩れ・すべりが7か所発生している(甲65、乙19)。」⑺ 原判決42頁19行目の「しかし、」の次に「証拠(乙9)及び弁論の全趣 旨によれば、「河川改修事業における事業の効率性及び透明性の確保について」(平成22年5月26日付け国土交通省河川局治水課長通知)は、河川法に基づく河川整備計画が未策定の場合には、おおむね20から30年間の整備内容を想定し、これを河川整備計画に代わるものとして事業再評価を実施するものとするとしており、本件各事業再評価資料は、これを受けて作成さ れたものと認めることができる。」を加える。 ⑻ 原判決43頁4行目の「すぎず、」の次に「実際の河川の改修は、」を加え、同行目から5行目にかけての「改修計画については別途検討されること」を「改修計画に基づいて行われること」と改める。 3 争点⑴(若宮戸地区の本件砂丘を含む区域について河川区域に指定されてい なかったことが河川管理 ての「改修計画については別途検討されること」を「改修計画に基づいて行われること」と改める。 3 争点⑴(若宮戸地区の本件砂丘を含む区域について河川区域に指定されてい なかったことが河川管理の瑕疵に当たるか否か)に対する判断⑴ 判断枠組み(判断の準則)について原判決「事実及び理由」欄の第3の3⑴アに記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決44頁25行目の「(」の次に「最高裁昭和53年(オ)第492号、第493号、第494号同59年1月26日第一小 法廷判決・民集38巻2号53頁、最高裁昭和63年(オ)第791号平成 2年12月13日第一小法廷判決・民集44巻9号1186頁、」を加える。 ⑵ 若宮戸地区における本件溢水に係る河川管理の瑕疵の有無についてア若宮戸地区の24.5km地点から26km地点までの区間は、その上流堤防と下流堤防が途切れた無堤防の状態であったところ(前提事実⑷ア、認定事実⑵)、昭和41年の河川区域の指定においては、本件砂丘を含ま ない形でその指定がされており(前提事実⑵ア)、本件砂丘の存在を考慮しない場合、無堤防地区である若宮戸地区の地盤高(現況堤内地地盤高に当たるもの)は、場所によっては計画高水位を大幅に(計画高水位を2m以上)下回っていた(認定事実⑴)。一方で、本件砂丘は、上記の河川区域の指定以前から、若宮戸地区の左岸24.5km地点から26km地点ま での区間に存在し、上流側の端である左岸26km地点付近及び下流側の端である左岸24.6km地点付近においてそれぞれ上流及び下流の堤防と接していて、ほぼ鬼怒川の流形に沿った形状をしており(認定事実⑵)、本件砂丘の地盤を現況堤防高とした場合には計画高水位をおおむね上回っていた(認定事実⑴)。そうすると、本件砂丘 上流及び下流の堤防と接していて、ほぼ鬼怒川の流形に沿った形状をしており(認定事実⑵)、本件砂丘の地盤を現況堤防高とした場合には計画高水位をおおむね上回っていた(認定事実⑴)。そうすると、本件砂丘は、鬼怒川の河川水を本件 砂丘の東の市街地側に流入させないようにする機能を担っており、いわゆる山付堤(丘陵地と平野部が接する付近で、平野部には堤防が築かれているが、丘陵地部分では丘陵地が堤防としての役割を果たしているもの。甲30)として、実態として堤防と同様の役割を果たしていたものと認めるのが相当である。 そして、本件砂丘に関しては、国土交通省の行った「実態的に堤防のような役割を果たしている地形の調査結果について<直轄管理区間>」(認定事実⑶)や国土交通省関東地方整備局が本件水害の後に作成した「『平成27年9月関東・東北豪雨』に係る洪水被害及び復旧状況等について」(認定事実⑽)において、本件砂丘が「いわゆる自然堤防」とされていた こと、平成23年度事業再評価資料では、本件砂丘が「山付堤」と表示さ れていたこと(認定事実⑸ア)、鬼怒川の6km地点から30km地点までの区間の現況地盤高の調査では、若宮戸地区の現況堤防高として、本件砂丘を含めた地点を測量した結果が採用されており(認定事実⑴)、若宮戸地区については、本件砂丘を含む範囲の現況地盤高に基づいて治水安全度の評価がされ、その結果、平成23年度事業再評価資料では、治水安 全度が当面の目標である1/30以上であるとして、当面の7年間及びおおむね20年間から30年間までの整備区間に含まれず(認定事実⑸ア)、平成26年度事業再評価資料でも、その一部についてのみおおむね20年間から30年間までの整備区間とされただけであり(認定事実⑸イ)、平成24年3月策定の鬼 までの整備区間に含まれず(認定事実⑸ア)、平成26年度事業再評価資料でも、その一部についてのみおおむね20年間から30年間までの整備区間とされただけであり(認定事実⑸イ)、平成24年3月策定の鬼怒川河川維持管理計画においても、堤防整 備不必要区間とされ(認定事実⑼)、実際、前記の河川区域の指定から本件溢水までの間に堤防の整備はされていなかったこと(前提事実⑷ア、認定事実⑵)、その他、若宮戸地区の左岸24.5km地点から26km地点までの区間については、平成16年3月当時、無堤防区間であるとして築堤詳細設計が行われ、地山(本件砂丘)の尾根をベースに設定した堤防法線 形が検討されており、25.5km地点から26km地点までの区間については、背後の地山が高く、計画高水位以上となっていたことを理由に、堤防整備の対象外とされていたこと(認定事実⑻ア)、また、平成27年度には、自然堤防(本件砂丘)の一部が民間開発により掘削されたことなどを理由として堤防整備について検討され、本件砂丘を生かした築堤計画や 本件砂丘の掘削状況を考慮した堤防整備が検討されていたこと(認定事実⑻イ)からすると、鬼怒川の堤防整備は、長年にわたり、本件砂丘が実態として堤防の役割を果たしていることを前提として行われていたものと認めるのが相当である。 したがって、前記のとおり、堤防が存在しなかった鬼怒川左岸の若宮戸 地区においては、洪水による氾濫を防ぐため、実態として堤防の役割を果 たしている本件砂丘の機能を維持、保全する必要性があったものと認めるのが相当である。 イ次に、河川法6条1項は、その1号及び2号において、法律上当然に河川区域となる場合を定めるのに対し、3号においては、「堤外の土地(政令で定めるこれに類する土地(中略)を含む。 のが相当である。 イ次に、河川法6条1項は、その1号及び2号において、法律上当然に河川区域となる場合を定めるのに対し、3号においては、「堤外の土地(政令で定めるこれに類する土地(中略)を含む。(後略))の区域のうち、第1 号に掲げる区域と一体として管理を行う必要があるものとして河川管理者が指定した区域」として、河川管理者の指定によって初めて河川区域となる場合を定めている。そして、ここにいう「堤外の土地に類する土地」について、河川法施行令1条1項1号は、「地形上堤防が設置されているのと同一の状況を呈している土地のうち、堤防に隣接する土地(後略)」と 規定している。 前記アにおいて説示するところに加え、本件砂丘が、本件降雨に際して本件溢水に至ったものの、決壊には至っておらず(前提事実⑷ア)、相応の強度(質)を有するものであったと認められることからすると、本件砂丘は「地形上堤防が設置されているのと同一の状況を呈している土地のうち、 堤防に隣接する土地」に当たり、また、昭和41年の鬼怒川の河川区域の指定に際し、本件砂丘と鬼怒川の低水路との間の土地(高水敷)が河川区域に指定されていたことや(前提事実⑵ア)、証拠(甲42)及び弁論の全趣旨によれば、若宮戸地区で鬼怒川の溢水や破堤が発生すると、氾濫した水が鬼怒川左岸側の広い範囲に広がり、多数の地域住民らの生命・身体・ 財産に重大な被害が及び得る可能性があったものと認めることができることからすると、本件砂丘は「(河川法6条)1号に掲げる区域と一体として管理を行う必要があるもの」に当たり、河川区域(3号地)として指定される要件を満たしていたものと認めるのが相当である。 ウ一方、本件砂丘は私有地であり(前提事実⑷ア)、本件砂丘を含む鬼怒川 と市街地との間の砂丘が昭和 当たり、河川区域(3号地)として指定される要件を満たしていたものと認めるのが相当である。 ウ一方、本件砂丘は私有地であり(前提事実⑷ア)、本件砂丘を含む鬼怒川 と市街地との間の砂丘が昭和55年頃までの間に大きく減少していたこと からすると(認定事実⑷)、本件砂丘については、更に人為的な改変がされる可能性があったものと認めることができる。 エそして、本件砂丘について河川区域に指定すること自体、堤防等の施設設備の整備等とは異なり、技術的制約が問題とならないことはもとより、莫大な予算を必要とするものでもなく、河川全体の治水事業との関係で格 別の財政的制約が問題となるものでもない。また、長い工期を要するというような時間的制約があるわけではないし、いずれにしても、本件砂丘について、これを河川区域に指定するために必要な時間がなかったなどという事情を認めることもできない。さらに、本件砂丘については、その上に鶏舎その他の建物が存在する時期があったものの(認定事実⑷)、前記アで 説示するとおり、本件掘削がされるまでは、実態として堤防としての機能が維持された状態にあったものと認めるのが相当であるから、河川区域の指定によって本件砂丘の堤防としての機能を維持する限度での利用の制限がされたとしても、土地所有者等による土地の利用に格別の不利益、不都合等が生じるような状況にあったと認めることはできず、その他、本件砂 丘について河川区域として指定することについて、格別の社会的制約があったことを示す具体的な事実を認めることもできない。 オ以上によれば、本件砂丘は、実態として鬼怒川の河川水の市街地への流入(氾濫)を防止する堤防としての役割を果たしており、鬼怒川の堤防整備は、長年にわたり、本件砂丘が実態として堤防の役割を果たして オ以上によれば、本件砂丘は、実態として鬼怒川の河川水の市街地への流入(氾濫)を防止する堤防としての役割を果たしており、鬼怒川の堤防整備は、長年にわたり、本件砂丘が実態として堤防の役割を果たしているこ とを前提として行われていたことからすると、堤防が存在しなかった鬼怒川の左岸の若宮戸地区においては、実態として堤防の役割を果たしている本件砂丘の機能を維持、保全する必要性があったというべきであって、本件砂丘につき、河川区域(3号地)として指定される要件を満たしていたものと認めるのが相当である。そして、私有地である本件砂丘については、 掘削等による改変がされ、堤防としての機能が損なわれてしまう可能性が あったところ、河川区域として指定することについて、技術的、財政的、時間的又は社会的な格別の制約があったと認めることができないにもかかわらず、平成26年に本件掘削がされるまでの相当な長期間にわたって、河川区域としての指定がされていなかった。このような本件砂丘の役割その他の社会的条件及びその程度のほか、鬼怒川の自然的条件等の諸般の事 情を総合的に考慮すると、若宮戸地区においては、本件砂丘について河川区域に指定されていなかったため、本件掘削によって本件砂丘の地盤高が計画高水位を下回ることとなり、同種同規模の河川の管理の一般水準及び社会通念に照らし是認し得る安全性を備えてはいない状態となっていたものと認めるのが相当であり、これは鬼怒川に係る河川管理についての瑕疵 に当たるものというべきである。 一審被告の主張に対する判断ア改修中の河川の管理の瑕疵に係る最高裁判所の判決との関係について一審被告は、既に改修計画が定められ、これに基づいて現に改修中である河川については、その計画が全体として格別不合理なものと認 断ア改修中の河川の管理の瑕疵に係る最高裁判所の判決との関係について一審被告は、既に改修計画が定められ、これに基づいて現に改修中である河川については、その計画が全体として格別不合理なものと認められな いときは、その後の事情の変動により当該河川の未改修部分につき水害発生の危険性が特に顕著となり、当初の計画の時期を繰り上げ、又は工事の順番を変更するなどして早期の改修工事を施工しなければならないと認めるべき特段の事由が生じない限り、その部分につき改修がいまだ行われていないとの一事をもって河川の管理に瑕疵があるとすることはできない旨 判示する最高裁判決(最高裁昭和59年1月26日第一小法廷判決・民集38巻2号53頁、最高裁平成2年12月13日第一小法廷判決・民集44巻9号1186頁参照)を引用した上で、本件溢水当時、鬼怒川は改修計画に基づいて現に改修中の河川であり、本件改修計画において、若宮戸地区が堤防整備の必要な区間とされ、本件氾濫当時、現に築堤のための測 量や堤防の整備等の作業が進められていたことからすると、上記の最高裁 判決が判示するところに従って河川の管理の瑕疵の有無を判断すべきであって、河川管理者の河川管理権限の不行使の適不適をもって直ちに河川管理の瑕疵の有無を判断すべきではなく、若宮戸地区の本件砂丘を含む区域が河川区域に指定しなかったことが河川管理の瑕疵に当たるとの一審原告らの主張は失当である旨主張する。 しかし、上記の最高裁判決の判示は、河川の未改修部分から氾濫したことについて、その未改修部分につき改修がいまだ行われていないことが河川管理の瑕疵であると主張された事案において、そのような瑕疵の有無を判断するための基準を示したものである。これに対し、本件は、実態として堤防としての役割を果 につき改修がいまだ行われていないことが河川管理の瑕疵であると主張された事案において、そのような瑕疵の有無を判断するための基準を示したものである。これに対し、本件は、実態として堤防としての役割を果たしていた本件砂丘が掘削されてしまったために 本件溢水が発生したことについて、本件砂丘が河川区域として指定されていなかったことが河川の管理についての瑕疵であると主張されている事案であり、その性質上、上記の最高裁判決の判示において示されている技術的制約は問題とならず、格別の財政的制約、時間的制約及び社会的制約も認められないという点において、上記の最高裁判決とは事案が異なるとい うべきである。もとより、鬼怒川が改修中の河川であることは一審被告の主張するとおりであり、その管理の瑕疵として、本件溢水までの間に若宮戸地区における堤防の整備をするものとされていなかった本件改修計画が格別不合理なものであるか否かが別途問題となり得ることは確かであるが、仮に本件改修計画自体が格別不合理なものであるとは認められないという 場合であっても、このことをもって直ちに、本件砂丘について河川区域の指定がされていなかったことが河川管理の瑕疵に当たらないということになるわけではない。 したがって、一審被告の主張が、鬼怒川が改修中の河川であることから、その改修計画が格別不合理なものでない限り、河川区域の指定の適否にか かわらず、その管理の瑕疵があるということができないというものである とすると、これを採用することはできない。 イ本件砂丘の河川区域の指定の可否について一審被告は、堤防類地に当たるものとして河川区域(3号地)に指定するためには、当該土地の「地形」、すなわち、自然のままの形状が、河川法上河川管理施設である「堤防が設置されて の指定の可否について一審被告は、堤防類地に当たるものとして河川区域(3号地)に指定するためには、当該土地の「地形」、すなわち、自然のままの形状が、河川法上河川管理施設である「堤防が設置されているのと同一の状況」、す なわち、構造令で求められるのと同程度の高さ(隣接する上下流の堤防と同程度の高さ)及び強度(質)の確保されたものであることを要するところ、本件砂丘は堤防と同程度の高さ及び強度(質)の土地に当たらないから、河川区域として指定する要件を満たさないと主張する。 しかし、堤防類地として河川区域(3号地)に指定するために、当該 土地が構造令で求められるものと同程度の高さ及び質(強度)の確保されたものである必要があると解すべき法令上の根拠はないというべきである。 したがって、一審被告の上記主張は、その前提を欠くものであって、これを採用することはできない。そして、本件砂丘が堤防類地として河 川区域(3号地)に指定する要件を満たすものであることは、前記⑵イで説示するとおりである。本件砂丘の一部には、治水安全度が1/30の基準に満たない箇所があり、また、若宮戸地区の一部に改修(築堤)の計画が存在していたことは確かであるものの(認定事実⑹ウ、⑻イ)、上記のとおり説示したところによれば、これらによっても、本件砂丘が 実態として堤防と同様の役割を果たしていて、「地形上堤防が設置されているのと同一の状況を呈している土地のうち、堤防に隣接する土地」であって、「(河川法6条)1号に掲げる区域と一体として管理を行う必要があるもの」に当たることは直ちに否定されるものではないというべきである。一審被告が指摘する本件砂丘の強度(質)の点(乙82~84) についても、本件砂丘については、本件降雨によって本件溢水は生じた 」に当たることは直ちに否定されるものではないというべきである。一審被告が指摘する本件砂丘の強度(質)の点(乙82~84) についても、本件砂丘については、本件降雨によって本件溢水は生じた ものの、破堤というべき状態にはなっていないことからすると(前提事実⑷ア)、一審被告の上記指摘は「地形上堤防が設置されているのと同一の状況を呈している土地のうち、堤防に隣接する土地(後略)」に当たるという前記認定を左右するものではないというべきである。 また、一審被告は、河川区域の指定について、土地の所有権等に対す る強力な制限となることを考慮する必要があるとか、河川管理の実務においては、河川区域の指定は基本的に河川管理施設の範囲が定まった後にされるという実情にあるなどとして、改修計画に基づいて実施される河川全体の治水事業とは無関係に河川区域の指定をすることは、河川管理の一般的な水準として採用することができないと主張する。 しかしながら、一審被告が主張するように、河川区域の指定については、堤防を整備することによって新たに堤外の土地が生じて1号地と一体として管理を行う必要があると認められる場合において、当該堤外の土地を河川区域(3号地)として指定したり、堤防を整備するのに伴ってこれに隣接する土地を河川法施行令1条1項1号の堤防類地として指 定したりするという実情があるとしても(乙85、86、90)、河川区域(3号地)として指定する要件を満たすにもかかわらず、上記のような場合以外には河川区域として指定することができないなどという格別の制約があるものということはできず、その指定について、河川全体の改修計画における他の区間の整備との先後を考慮する必要があるものと いうこともできない。前記⑵の説示において指摘する本 いう格別の制約があるものということはできず、その指定について、河川全体の改修計画における他の区間の整備との先後を考慮する必要があるものと いうこともできない。前記⑵の説示において指摘する本件砂丘に関する諸事情に鑑みると、一審被告が主張する一般的、抽象的な河川管理や河川区域の指定についての実情を考慮したとしても、実態として堤防の役割を果たしていた本件砂丘については、河川区域として指定してその機能を維持、保全する必要性があったものと認めるのが相当であるから、 やはり、その指定がされていなかったことは河川の管理についての瑕疵 に当たるものと認めるのが相当である。 したがって、一審被告の上記主張は、前記⑵の判断を左右するものと認めることができず、これを採用することはできない。 ウ結果回避可能性について一審被告は、本件掘削前の本件砂丘の高さと本件氾濫における若宮戸地 区の痕跡水位との関係や、本件降雨による鬼怒川の他の溢水及び水防活動の状況からすると、仮に本件砂丘が河川区域として指定されており、本件掘削がされなかったとしても、本件溢水という結果を回避することはできなかったと主張するが、この主張は採用することができない。その理由は、後記5⑴アで説示するとおりである。 4 争点⑶(上三坂地区には現況堤防高の低い箇所があったにもかかわらず、本件決壊までに優先して堤防を整備するものとしていなかった本件改修計画が格別不合理であるといえるか否か)に対する判断上三坂地区における本件決壊に関し、本件改修計画が格別不合理であると認めるに足りる証拠はなく、一審被告の河川管理の瑕疵があったと認めることは できない。その理由は、次のとおり訂正するほかは、原判決の「事実及び理由」欄の第3の4に記載のとおりであるから、 ると認めるに足りる証拠はなく、一審被告の河川管理の瑕疵があったと認めることは できない。その理由は、次のとおり訂正するほかは、原判決の「事実及び理由」欄の第3の4に記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決50頁25行目の「⑴」の次に「ア」を加える。 ⑵ 原判決51頁13行目を次のとおり改め、25行目の「ところ、」の次に「鬼怒川の改修に係る経緯・状況と本件各事業再評価資料(甲7、8)及び本件 再評価根拠資料(甲41、乙73)の内容によれば、」を加える。 「⑵ 本件改修計画における治水安全度の設定の不合理性の有無」⑶ 原判決52頁7行目から55頁4行目までを次のとおり改める。 「 認定事実⑹及び⑺のとおり、本件改修計画における各地点の治水安全度を評価するための最小流下能力は、治水経済調査マニュアル(案)に 記載されているように現況堤防高からスライドダウン評価を行い、スラ イドダウン堤防高から更に1.5mを控除した高さを基礎として算出されている。 前提事実⑹アのとおり、治水経済調査マニュアル(案)は、堤防やダム等の治水施設の整備を行う当該河川整備計画によってもたらされる経済的な便益や費用対効果を計測することを目的として実施される治水経済 調査に用いられる指針として、「河川事業の評価手法に関する研究会」による検討の結果を踏まえて作成されたものであるが、証拠(甲52、乙74、93~97)及び弁論の全趣旨によれば、上記研究会は工学や河川堤防の決壊のメカニズムとその対策を含む学識経験者等によって構成されている。前提事実⑹イ、ウによれば、治水経済調査マニュアル(案) に記載されたスライドダウン堤防高を前提として算出した最小流下能力に基づく治水安全度の評価は、堤防の高さだけでなく、堤防の質 されている。前提事実⑹イ、ウによれば、治水経済調査マニュアル(案) に記載されたスライドダウン堤防高を前提として算出した最小流下能力に基づく治水安全度の評価は、堤防の高さだけでなく、堤防の質も含めた機能を評価するというものであり、堤防が、治水の歴史的な産物であるため、堤体内の土質材料を正確に把握することが難しく、堤防の絶対的な安全度評価を行うことは不可能に近いことから、堤体内への河川水 浸透に対する安全性を確保するため、河川整備基本方針で定められた計画高水流量及び計画高水位に従って、構造令に基づき最低限確保すべき高さ、天端幅、のり勾配等を満たし、当該河川の過去の洪水実績等の経験を踏まえて定める堤防の断面形状である計画堤防断面形状が確保できる高さまでスライドし(下げ)、この高さに基づいて評価水位(流量)や 最小流下能力を算出するというものである。そして、認定事実⑾に加え、証拠(甲49、乙102)及び弁論の全趣旨によれば、堤防の決壊は、越水のみならず、漏水を主原因又は複合的原因として発生することがあるとされており、実際、前提事実⑷イ及び認定事実⑾のとおり、利根川水系において過去約80年間に発生した堤防決壊の事例には、越水による 堤防決壊に比べると数自体は少ないものの、漏水による堤防決壊が合計 4箇所生じていること、同様に数は少ないものの、平成31年から令和3年までの間に、県の管理に係る河川において3件の漏水による堤防の決壊が発生していること、そして、本件降雨による洪水の際にも、鬼怒川において発生した堤防決壊は上三坂地区の1か所だけであったものの、漏水は23か所、堤防・河岸洗堀は31か所、法崩れ・すべりは7か所発 生しており、本件決壊についても、主要因ではないものの、堤体の一部を構成し堤内地側に連 上三坂地区の1か所だけであったものの、漏水は23か所、堤防・河岸洗堀は31か所、法崩れ・すべりは7か所発 生しており、本件決壊についても、主要因ではないものの、堤体の一部を構成し堤内地側に連続する緩い砂質土を被覆する粘性土の層厚によって発生した越水前の浸透によるパイピングが本件決壊を助長した可能性を否定できないとされていることなどからすれば、パイピングや堤体内への河川水の浸透等による漏水を原因とする堤防決壊の危険性を全く無 視することはできないというべきである。構造令でも、計画高水流量の多さに応じて堤防の天端幅として要求される長さが長くなっており(構造令6条)、基本的に堤防の法勾配が2割以上の緩やかな勾配とすることとされていること(構造令7条)に照らせば、パイピングや堤体内への河川水の浸透等を原因とする堤防決壊を防止する観点から、安全性を確 保するために堤防に一定の幅があることが要求されているものと認められる。そうすると、堤防整備においては、堤防の高さが重要であるのと同時に、越水以外による堤防決壊を防止する観点から、堤防の幅も考慮することが必要であるというべきである。 エ以上によれば、治水経済調査マニュアル(案)に記載されているよう に、堤防の漏水(河川水の堤体内への浸透)等を考慮し、スライドダウン堤防高を前提として最小流下能力を算出し、これに基づいて治水安全度を評価することは、十分な合理性を有しているものと認めるのが相当である。したがって、上記のような方法で治水安全度を評価したことをもって、鬼怒川に係る本件改修計画が格別不合理なものであると認める ことはできない。また、安全な堤防整備の観点からすれば、1.5mの 余裕高を考慮することも、不当ということはできない。 ⑶ 本件改修計画の格別 計画が格別不合理なものであると認める ことはできない。また、安全な堤防整備の観点からすれば、1.5mの 余裕高を考慮することも、不当ということはできない。 ⑶ 本件改修計画の格別不合理性の有無」⑷ 原判決55頁5行目の「検討するに」を「本件改修計画が格別不合理なものであるか否か検討するに」と、8行目の「存在する」から10行目の「実際、」までを「存在するところ、」と、11行目の「計画に伴い行ったこと」 を「計画があったこと」と、13行目の「改修計画の」から14行目末尾までを「これらの鬼怒川の実際の改修状況をもって、本件改修計画が格別に不合理なものであると認めることはできない。」とそれぞれ改め、22行目の「また、」の次に「本判決(別紙)概要図のとおり、」を、25行目の「報告書」の次に「(甲27)」をそれぞれ加える。 ⑸ 原判決56頁1行目の「しかしながら、」の次に「証拠(甲40)及び弁論の全趣旨によれば、上三坂地区については、平成23年度の詳細測量結果が判明するまでは現況堤防高が計画高水位を下回る地点は確認されていなかったのであり、同詳細測量結果により判明した計画高水位との差も数cmにとどまるものであった。そして、」を加え、5行目の「されており、」から6行 目の「ものである。」までを「されていた。」と、9行目の「そのような」から10行目末尾までを「このように改修を実施するものとした本件改修計画が、格別不合理なものであると認めることはできない。」とそれぞれ改め、21行目と22行目の間に次のとおり加える。 「⑸ 一審原告らの主張に対する判断 ア一審原告らは、河川の改修計画の策定において、様々な要素を考慮しなければならないのは当然であるとした上で、国土交通省が作成した平成4年から令和3年まで ⑸ 一審原告らの主張に対する判断 ア一審原告らは、河川の改修計画の策定において、様々な要素を考慮しなければならないのは当然であるとした上で、国土交通省が作成した平成4年から令和3年までの30年間における国内河川の堤防決壊をまとめた文書等(甲54~58)によれば、その原因のほぼ全てが越水であることなどからすると、河川の改修計画における治水安全度の評価は、 現況堤防高とその流下水量によって行うべきであるのに、本件改修計画 における治水安全度の評価は現況堤防高ではなくスライドダウン堤防高を前提として算出した最小流下能力に基づいて行われており、河川の水位(流量)がスライドダウン堤防高(流下能力)を超えたとしても絶対に越水が起こらないことなどからすると、上記のような治水安全度の評価を前提とする本件改修計画は格別不合理なものであると主張する。 しかし、一審原告らの上記主張に理由がないことは、前記⑵で説示したとおりである。 イ一審原告らは、堤防の質の問題として堤体内への河川水の浸透に対する安全性を評価するとしても、この安全性は、スライドダウン評価のように単なる堤防の幅という一般的、形式的なものによって評価すること はできず、堤防の具体的な調査に基づいて評価すべきであるとして、スライドダウン堤防高を前提として算出した最小流下能力に基づいて治水安全度を評価した本件改修計画は格別に不合理であると主張する。 しかし、スライドダウン評価は、堤防の高さだけではなく、質を評価するものとして、十分な合理性を有することは前記アで説示するとおり である。そして、治水経済調査マニュアル(案)は、堤防が歴史的産物であって、断面形状及び構造について理論的な手法により照査しても既設の堤防の全ての安全性を把握できるものではな 説示するとおり である。そして、治水経済調査マニュアル(案)は、堤防が歴史的産物であって、断面形状及び構造について理論的な手法により照査しても既設の堤防の全ての安全性を把握できるものではないことから、堤体幅によってこれを評価するものとしているところ、このような考え方は、十分に根拠があるものということができることからすると(乙99)、堤防 の質(漏水・浸透に対する安全性)をその幅(断面形状)で評価すること自体は格別不合理なものであるということはできない。一審原告らは、距離標で250m間隔となる地点毎に、堤防の形状や基礎地盤及び堤体の土質条件の調査をして堤防の安定性(力学的強度)の検討を行い、河川水の浸透に対する危険性(安全性)を検討することは、技術的にも財 政的にも問題はなく、仮に上記地点から外れた部分についての検討が必 要であるとしても、堤防幅が極端に狭い部分や過去の漏水の実績と内容、法裏尻地先を含む堤防の形状を調査して選び出して検討を行うことは可能であるなどと主張するが、長大な延長にわたって設置されている堤防の堤体内の土質材料や基礎地盤の性状を個別具体的に把握することには限界があり、実際には相当な困難があるものと推認されることからする と、堤体内の河川水の浸透に対する安全性を堤防の幅によって評価するというスライドダウン評価が格別不合理なものであるとまでは認められず、これを前提として算出された最小流下能力に基づいて治水安全度を評価した本件改修計画について、これが格別に不合理なものであると認めることはできない。 ウ一審原告らは、鬼怒川で実施されている重要水防箇所の設定が現況堤防高や現況の堤防断面、天端幅に基づいて行われており、スライドダウン堤防高に基づいて行われていないことも指摘するが、 い。 ウ一審原告らは、鬼怒川で実施されている重要水防箇所の設定が現況堤防高や現況の堤防断面、天端幅に基づいて行われており、スライドダウン堤防高に基づいて行われていないことも指摘するが、証拠(甲59~61、乙106の1及び2)及び弁論の全趣旨によれば、堤防高(流下能力)に係る重要水防箇所は、現況堤防高と計画高水位の差を基準とし て設定するものとされていることは確かであるものの、そもそも重要水防箇所は、高水及び高潮時における水防活動をより的確かつ迅速に実施するための基準として、あらかじめ水防上特に注意を要する箇所を定めているものであって、堤防の整備の要否を検討するために定めているものではなく、また、重要水防箇所については、上記の堤防高(流下能力) のほかに、スライドダウン評価において堤防断面(堤体幅)が考慮されているのと同様に、堤防断面や天端幅の不測の程度を基準とする設定も行うものとされているものと認められることからすると、堤防高(流下能力)に係る重要水防箇所の設定がスライドダウン堤防高を基準としてされるものではないということによって、本件改修計画が格別に不合理 ではないという前記判断は左右されないというべきである。 エ一審原告らは、右岸16.5km地点から18km地点までの区間における圏央道橋梁架設に併せた堤防の整備を優先したことについて、上記区間は、上三坂地区に比べて、現況堤防高流下能力と計画高水量流下能力との差が、上流側はかなり大きく、下流側でも全体として大きいだけではなく、スライドダウン堤防高を前提として算出した最小流下能力 と計画高水量流下能力との差も大きかったから、堤防の整備を行うとしても、圏央道の橋梁の橋脚の部分を行えば十分であり、その上下流の部分を行う必要性はなく、特に 高を前提として算出した最小流下能力 と計画高水量流下能力との差も大きかったから、堤防の整備を行うとしても、圏央道の橋梁の橋脚の部分を行えば十分であり、その上下流の部分を行う必要性はなく、特にその上流側の部分を行う必要は全くなかったと主張するが、証拠(乙77、78、107)及び弁論の全趣旨によれば、一審被告は、上記区間の堤防整備について、圏央道の橋梁架設に 伴って堤防が整備される上流端から一部堤防が整備されて堤防が高くなっている樋󠄀管までの約200mの区間について、これを効果的かつ効率的に整備すべく、治水安全度が低い下流についての堤防整備と一連区間として用地を取得し、堤防の整備を行ったものと認められるところ、このような整備の効率も河川の改修計画の合理性を判断するに当たっての 考慮要素になるものであり、これを踏まえると、一審原告らが主張する右岸16.5km地点から18km地点までの区間における流下能力や整備の実施状況をもって、本件改修計画が全体として格別に不合理であると認めるには足りないというべきである。 オ一審原告らは、右岸13km地点から16.25km地点までの区間 の堤防整備が上三坂地区よりも優先されたことについても、上記区間は、上三坂地区と比べて、現況堤防高流下能力と計画高水量流下能力との差が大きいだけではなく、スライドダウン堤防高を前提として算出した最小流下能力と計画高水量流下能力との差も大きかったことからすると、上三坂地区に優先して整備する必要はなかったと主張するところ、証拠 (乙91)及び弁論の全趣旨によれば、上記の区間について、改修工事 が行われていないにもかかわらず、平成24年以降に治水安全度が高くなった箇所があったものの、一審被告は、そのような箇所についても、治水安全度は 趣旨によれば、上記の区間について、改修工事 が行われていないにもかかわらず、平成24年以降に治水安全度が高くなった箇所があったものの、一審被告は、そのような箇所についても、治水安全度は1/10ないし1/15程度と依然として低く、また、自然作用により一時的に稼働状況が変化して治水安全度が高くなったとしても、土砂の堆積等により再び治水安全度が低くなる可能性があること から、堤防の整備の必要性の程度に変わりがないとして、用地取得が完了した段階で堤防の整備を実施したものと認められるところ、このような判断に基づく堤防の改修計画が格別不合理なものであるとまでは認めることができない。 カ一審原告らは、20.0km地点から21.0km地点までの区間の 用地買収が平成21年度末までにほぼ完了していたとの事実(甲69)も指摘するが、本件氾濫時までに、上記の区間の用地買収が完了していたものと認めることはできず(乙108)、買収が可能であったのに一審被告がこれを怠ったなどという事実を認めるに足りる証拠もないし、いずれにしても、単に上記の区間の用地買収がほぼ完了したことをもって、 本件決壊までの間に上三坂地区の21.0km地点の改修するものとされていなかった本件改修計画が全体として格別に不合理なものと認めることはできない。」 5 争点⑷(一審被告が賠償すべき損害の範囲)に対する判断⑴ 一審被告の河川管理の瑕疵と相当因果関係のある損害を被った一審原告ら の範囲ア原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑴で説示するとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決57頁11行目の「浸水被害」から22行目末尾までを「若宮戸地区においては破堤に至らなかったことや溢水断面積及び溢水量に照らし、本件溢水が発生した左岸25.35k ら、これを引用する。ただし、原判決57頁11行目の「浸水被害」から22行目末尾までを「若宮戸地区においては破堤に至らなかったことや溢水断面積及び溢水量に照らし、本件溢水が発生した左岸25.35km地点付 近はもともと本件砂丘を含めても現況地盤高が計画高水位を約1m下回っ ており、本件溢水の水位も若干下回っていたこと(原判決別紙7参照)を考慮しても、土のうを積むなどの水防活動により、本件溢水による被害の発生を回避することが可能であったと認めるのが相当である。この判断は、当審における一審被告の主張、立証によっても左右されない。」と改め、58頁21行目の「認められ、」の次に「上記一審原告らの主張する浸水被害 への影響については、本件溢水及び本件決壊によってそれぞれ氾濫した水の量やその流れ、上記一審原告らの住宅等の位置、地形等によって判断されるべきところ、これらについて具体的な主張、立証がされていないことからすると、」を加え、22行目の「認めるに足りる証拠はない。」を「認めることはできない。」と改める。 イ一審原告らは、上三坂地区及び水街道地区に住居所を有する一審原告らについても、若宮戸地区の本件溢水がなく、上三坂地区の本件決壊だけであったならば、甚大な浸水被害を受けていなかったから、本件溢水と上三坂地区及び水街道地区に住居所を有する一審原告らの浸水被害との間には相当因果関係があると主張するが、本件溢水がなければ上三坂地区及び水 街道地区に住居所を有する一審原告らに同程度の浸水被害が生じなかったと認める足りる証拠はなく、上記の一審原告らの主張を採用することができないことは、前記アで訂正の上、引用する原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑴ウで説示するとおりである。 また、一審原告らは、若宮戸地区におけ 証拠はなく、上記の一審原告らの主張を採用することができないことは、前記アで訂正の上、引用する原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑴ウで説示するとおりである。 また、一審原告らは、若宮戸地区における本件溢水によって氾濫した水 の量と上三坂地区における本件決壊によって氾濫した水の量の割合から、上三坂地区及び水街道地区に住居所を有する一審原告らが実際に受けた全ての浸水被害の3分の2については一審被告が国家賠償法2条1項に基づいて賠償する責任を負うと主張するが、寄与度割合による損害賠償額の認定は、各事象と損害との間にそれぞれ相当因果関係があることが前提 となるところ、これを認めるに足りる証拠がないことは上記のとおりであ って、上記の一審原告らの主張はその前提を欠くものとして、これを採用することができない。 ⑵ 本件氾濫によって若宮戸地区一審原告らに生じた損害ア一審原告F(一審原告番号4-1)の損害 避難生活による積極損害 6万4000円 一審原告Fが本件氾濫によって被った避難生活による積極損害としては、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵アに記載のとおりであるから、これを引用する。一審被告は、上記引用に係る一審原告Fのホテルへの宿泊やその費用の支払についての立証が足りないと主張するが、一審被告の上記主 張は採用することができない。 住宅の被害 71万6839円a 住宅補修費用 71万6839円一審原告Fが本件氾濫によって被った住宅補修費用に係る損害としては、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事 実及び理由」欄の 71万6839円一審原告Fが本件氾濫によって被った住宅補修費用に係る損害としては、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事 実及び理由」欄の第3の5⑵アaに記載のとおりであるから、これを引用する。一審被告は、上記引用に係る一審原告Fの住宅の修理やその費用の支払についての客観的証拠が提出されていないと主張するが、上記引用のとおり、本件氾濫によって一審原告Fの住宅が半壊と認定されていることや、上記修理の見積書(甲損4の8)の費目や金 額等からすると、住宅の修理やその費用の支払に係る一審原告Fの主張や一審原告Gの証言等は相応の合理性があるというべきであって、一審被告の上記主張は採用することができない。 b 住宅の片付け・清掃費用 0円これを裏付けるに足りる的確な証拠はない。 家財の被害 316万2500円 一審原告Fが本件氾濫によって被った家財の被害に係る損害としては、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵アに記載のとおりであるから、これを引用する。 ただし、原判決60頁6行目の「いずれにしても、」を「仮に家財を再取得した際の領収書等が存在したとしても、直ちに、これと同等の家財を 本件氾濫前に保有していたものと認めることができるわけではないし、この再取得に係る家財の他には本件氾濫によって損傷したものがなかったと認めることもできず、」と、22行目から23行目にかけての「同資料の別表に基づき原告らの損害を算定すること」を「国税局資料は確定申告における所得税の雑損控除の計算方法に関するものであり、また、 その別表2の家族 」と、22行目から23行目にかけての「同資料の別表に基づき原告らの損害を算定すること」を「国税局資料は確定申告における所得税の雑損控除の計算方法に関するものであり、また、 その別表2の家族構成別家財評価額は、各人の具体的な所得や保有資産の多寡、生活歴、居住の経緯及び趣味嗜好等が考慮されたものではなく、統計データ等に基づき、その平均値又は中央値等に基づく数値であるものと認められることからすると、その性質上、国税局資料に基づいて算定した金額をそのまま損害額として認定することはできないとしても、 国税局資料に基づいて算定される金額を踏まえた上で、その他の事実関係や主張、立証の状況も考慮して損害額を認定すること」と、原判決61頁5行目の「されており、」から8行目末尾までを「されているから、国税局資料に基づいて算定される一審原告Fの家財の被害額は460万円となる。そして、この金額を踏まえ、本件氾濫による被害を受けた後 の一審原告Fの住宅内の状況(甲損4の1・2)のほか、本件溢水によって被害を受けた家財の特定やその取得状況、金額、取得からの経年等についての具体的な主張、立証がほぼされていないこと、その他、本件に表れた諸事情を考慮すると、本件氾濫によって一審原告Fが被った家財の被害に係る損害としては、上記の国政局資料に基づいて算定した金 額の70%に相当する金額を認めるのが相当である。一審原告Fが家財 の損害額として主張する316万2500円は上記金額とおおむね一致することからすると、上記の一審原告Fが主張する金額をもって、本件氾濫によって一審原告Fが被った家財の被害に係る損害と認めるのが相当である。」とそれぞれ改める。 慰謝料 12万5000円 一審原告Fが本件 って、本件氾濫によって一審原告Fが被った家財の被害に係る損害と認めるのが相当である。」とそれぞれ改める。 慰謝料 12万5000円 一審原告Fが本件氾濫に伴って避難生活を余儀なくされたことに係る慰謝料としては、2万5000円を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵アaに記載のとおりであるから、これを引用する。 また、本件に表れた一切の事情(甲損4の1)を考慮すると、一審原 告Fについては、本件溢水に起因して避難生活を余儀なくされたことによるもの以外の精神的苦痛に係る慰謝料として、10万円を認めるのが相当である。 損害の填補 -210万円当事者間に争いがない(以下の若宮戸地区一審原告らについて同じ。) 弁護士費用 20万円弁論の全趣旨によれば、一審原告Fは本件訴訟の提起及び追行をその訴訟代理人弁護士に委任したことが認められ、これに要した弁護士費用のうち、損害額の約1割に相当する上記金額は、本件氾濫と相当因果関係のある損害と認められる(以下の若宮戸地区一審原告らについて同 じ。)。 合計 216万8339円イ一審原告G(一審原告番号4-2)の損害家財の被害 15万円証拠(甲損4の1・3・7、一審原告G本人)及び弁論の全趣旨によ れば、本件洪水によって一審原告Gの住宅は半壊と認定され、一審原告 Gは本件氾濫後にボイラーやエアコンについての工事費用を78万1763円とする見積りを取得したものと認めることができ、これ れば、本件洪水によって一審原告Gの住宅は半壊と認定され、一審原告 Gは本件氾濫後にボイラーやエアコンについての工事費用を78万1763円とする見積りを取得したものと認めることができ、これらの事実からは、本件氾濫によって一審原告Gがその住宅に設置して所有するボイラーやエアコンが損傷したことが推認される。そして、一審原告Gが住宅に付属されていた家財としてのエアコンが取得された時期は不明で あるが(甲損4の1)、証拠(甲損4の1・10)及び弁論の全趣旨によれば、取得から相応の年数が経過していてもおかしくはないものと推認されることからすると、本件氾濫によって一審原告Gが被った家財の被害に係る損害としては、上記見積りに係る金額の約20%に相当する15万円を認めるのが相当である。一審被告は、上記引用に係る一審原告 Gのボイラー等の設置工事やその費用の支払が明らかではないとも主張するが、上記引用のとおり、本件氾濫によって一審原告Gの住宅が半壊と認定されていることなどからすると、一審原告Gの主張及び供述するボイラー等の設置(工事)やその費用の支払が事実に反するものであると認めることはできず、一審被告の上記主張は採用することができない。 慰謝料 12万5000円一審原告Gが本件氾濫に伴って避難生活を余儀なくされたことに係る慰謝料としては、2万5000円を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵イaに記載のとおりであるから、これを引用する。 また、本件に表れた一切の事情(甲損4の1)を考慮すると、一審原告Gについては、本件溢水に起因して避難生活を余儀なくされたことによるもの以外の精神的苦痛に係る慰謝料として、10万円を認めるのが相当である 本件に表れた一切の事情(甲損4の1)を考慮すると、一審原告Gについては、本件溢水に起因して避難生活を余儀なくされたことによるもの以外の精神的苦痛に係る慰謝料として、10万円を認めるのが相当である。 弁護士費用 3万円 合計 30万5000円 ウ一審原告J(一審原告番号6)の損害避難生活による積極損害 14万9784円一審原告Jが本件氾濫によって被った避難生活による積極損害としては、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵ウに記載のとおりであるから、これを引用 する。 住宅の被害 300万9420円一審原告Jが本件氾濫によって被った住宅の被害に係る損害としては、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵ウに記載のとおりであるから、これを引用する。 ただし、原判決64頁18行目の「平屋」を「2階建」と改める。 家財の被害 655万円一審原告Jが本件氾濫によって被った家財の被害に係る損害としては、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵ウに記載のとおりであるから、これを引用する。 ただし、原判決64頁24行目及び65頁2行目の各「12」をいずれも「14」と、同頁12行目の「したがって、」から14行目末尾までを「そうすると、被害割合を65%に修正して国税局資料に基づいて算定した一審原告Jの家財の被害額は936万円{(1150万円+130万円+160万円)×65%}となる がって、」から14行目末尾までを「そうすると、被害割合を65%に修正して国税局資料に基づいて算定した一審原告Jの家財の被害額は936万円{(1150万円+130万円+160万円)×65%}となる。そして、この金額を踏まえ、損傷 を受けた家財の特定やその取得状況、金額、取得からの経年等についての具体的な主張、立証がほぼされていないこと、その他、本件に表れた諸事情を考慮すると、本件氾濫によって一審原告Jが被った家財の被害に係る損害は、上記の国政局資料に基づいて算定した金額の約70%に相当する655万円と認めるのが相当である。」とそれぞれ改める。 車両の被害 7万6148円 一審原告Jが本件氾濫によって被った車両の被害に係る損害としては、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵ウに記載のとおりであるから、これを引用する。 一審被告は、上記の車両被害に係る修理費用の支払についての客観的証拠が提出されていないと主張するが、これが事実に反するものであると 認めることはできず、一審被告の上記主張は採用することができない。 休業損害 50万3717円一審原告Jが本件氾濫によって被った休業損害としては、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵ウに記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、 原判決66頁14行目及び17行目の各「12月」をいずれも「11月(12月支払)」と改める。一審被告は、一審原告Jが契約を締結していた長周期システム製造業務の納期が平成27年9月30日までであり、その後に月額58万6740円の報酬を得ることになっていたものとは (12月支払)」と改める。一審被告は、一審原告Jが契約を締結していた長周期システム製造業務の納期が平成27年9月30日までであり、その後に月額58万6740円の報酬を得ることになっていたものとは認められないと主張するが、上記の契約の当事者間で別途取り交わされ ていた購買覚書(甲損6の16)の期限が平成28年2月28日までとなっていたことなどからすると、本件溢水の直後である平成27年10月及び11月(12月支払)の2か月についても従前と同程度の報酬を得ることができたとして、実際に得ることができた報酬との差額が休業損害として発生したとする一審原告Jの主張は十分な合理性があるとい うべきであるから、これを否定する一審被告の上記主張は採用することができない。 慰謝料 51万円一審原告Jが本件氾濫に伴って避難生活を余儀なくされたことに係る慰謝料としては、41万円を認めるのが相当である。その理由は、原判 決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵ウaに記載のとおりであるから、 これを引用する。 また、本件に表れた一切の事情(甲損6の1)を考慮すると、一審原告Jについては、本件溢水に起因して避難生活を余儀なくされたことによるもの以外の精神的苦痛に係る慰謝料として、10万円を認めるのが相当である。 損害の填補 -258万8253円弁護士費用 82万円 合計 903万0816円エ一審原告P(一審原告番号11-1)の損害避難生活による積極損害 32万8289円 一審原告Pが本件氾濫によって被った避難生活による積極損害と 03万0816円エ一審原告P(一審原告番号11-1)の損害避難生活による積極損害 32万8289円 一審原告Pが本件氾濫によって被った避難生活による積極損害としては、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵エに記載のとおりであるから、これを引用する。 家財の被害 300万円 一審原告Pが本件氾濫によって被った家財の被害に係る損害として、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵エに記載のとおりであるから、これを引用する。 ただし、原判決68頁19行目の「以上によれば、」から21行目末尾までを「そうすると、被害割合を65%に修正して国税局資料に基づいて 算定した一審原告Pの家財の被害額は435万5000円{(1100万円+240万円)×65%÷2}となる。そして、この金額を踏まえ、本件氾濫による被害を受けた後の一審原告Pの住宅内の状況(甲損11の3)のほか、損傷を受けた家財の特定やその取得状況、金額、取得からの経年等についての具体的な主張、立証がほぼされていないこと、そ の他、本件に表れた諸事情を考慮すると、本件氾濫によって一審原告P が被った家財の被害に係る損害は、上記の国政局資料に基づいて算定した金額の約70%に相当する300万円と認めるのが相当である。」と改める。 休業損害 0円上記損害を認めることができない理由は、原判決の「事実及び理由」 欄の第3の5⑵エに記載のとおりであるから、これを引用する。 慰謝料 15万円一審原告P 認めることができない理由は、原判決の「事実及び理由」 欄の第3の5⑵エに記載のとおりであるから、これを引用する。 慰謝料 15万円一審原告Pが本件氾濫に伴って避難生活を余儀なくされたことに係る慰謝料としては、5万円を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵エaに記載のとおりであるから、 これを引用する。 また、本件に表れた一切の事情(甲損11の6)を考慮すると、一審原告Pについては、本件溢水に起因して避難生活を余儀なくされたことによるもの以外の精神的苦痛に係る慰謝料として、10万円を認めるのが相当である。 損害の填補 -300万円弁護士費用 5万円 合計 52万8289円オ一審原告Q(一審原告番号11-2)の損害家財の被害 300万円 前記エ(イ)と同旨の理由により、一審原告Pと同居していた妻である一審原告Qにも本件氾濫によって家財の損害が生じたことが推認され、本件氾濫によって一審原告Qが被った家財の被害に係る損害は、300万円と認めるのが相当である。 慰謝料 15万円 一審原告Qが本件氾濫に伴って避難生活を余儀なくされたことに係る 慰謝料としては、5万円を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵オaに記載のとおりであるから、これを引用する。 また、本件に表れた一切の事情(甲損11の6)を考慮すると、一審原告Qについては、本件溢水に起因し 理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵オaに記載のとおりであるから、これを引用する。 また、本件に表れた一切の事情(甲損11の6)を考慮すると、一審原告Qについては、本件溢水に起因して避難生活を余儀なくされたこと によるもの以外の精神的苦痛に係る慰謝料として、10万円を認めるのが相当である。 損害の填補 -300万円弁護士費用 2万円合計 17万円 カ一審原告R(一審原告番号13)の損害慰謝料 50万円一審原告Rが本件氾濫に伴って避難生活を余儀なくされたことに係る慰謝料としては、40万円を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵カaに記載のとおりであるから、 これを引用する。 また、本件に表れた一切の事情(甲損13の1)を考慮すると、一審原告Rについては、本件溢水に起因して避難生活を余儀なくされたことによるもの以外の精神的苦痛に係る慰謝料として、10万円を認めるのが相当である。 弁護士費用 5万円合計 55万円キ一審原告V(一審原告番号18)の損害住宅の被害 19万8712円一審原告Vが本件氾濫によって被った住宅の被害に係る損害として は、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実 及び理由」欄の第3の5⑵キに記載のとおりであるから、これを引用する。一審被告は、一審原告Vの住宅の被害についての立証が は、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実 及び理由」欄の第3の5⑵キに記載のとおりであるから、これを引用する。一審被告は、一審原告Vの住宅の被害についての立証がないと主張するが、上記引用のとおり、本件氾濫によって一審原告Vの住宅が半壊と認定されていることやその固定資産評価額からすると、本件氾濫によってその35%に相当する金額程度の補修費用を要する住宅の被害 を被ったものと推認することができるから、一審被告の上記主張は採用することができない。 家財の被害 63万円一審原告Vが本件氾濫によって被った家財の被害に係る損害としては、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び 理由」欄の第3の5⑵キに記載のとおりであるから、これを引用する。 ただし、原判決72頁22行目の「その他」から24行目末尾までを「そうすると、被害割合を30%に修正して国税局資料に基づいて算定した一審原告Vの家財の被害額は90万円(300万円×30%)となる。 そして、この金額を踏まえ、損傷を受けた家財の特定やその取得状況、 金額、取得からの経年等についての具体的な主張、立証がほぼされていないこと、その他、本件に表れた諸事情を考慮すると、本件氾濫によって一審原告Vが被った家財の被害に係る損害は、上記の国政局資料に基づいて算定した金額の約70%に相当する63万円と認めるのが相当である。」と改める。 慰謝料 48万8000円一審原告Vが本件氾濫に伴って避難生活を余儀なくされたことに係る慰謝料としては、38万8000円を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵キaに記載のとお 00円一審原告Vが本件氾濫に伴って避難生活を余儀なくされたことに係る慰謝料としては、38万8000円を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵キaに記載のとおりであるから、これを引用する。 また、本件に表れた一切の事情(甲損18の1)を考慮すると、一審 原告Vについては、本件溢水に起因して避難生活を余儀なくされたことによるもの以外の精神的苦痛に係る慰謝料として、10万円を認めるのが相当である。 弁護士費用 13万円合計 144万6712円 ク一審原告紫峰園(一審原告番号19)の損害認定事実原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵クに記載のとおりであるから、これを引用する。 車両の被害 55万円 一審原告紫峰園が本件氾濫によって被った車両の被害に係る損害としては、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵クに記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決74頁18行目の「原告V」を「一審原告V本人」と、21行目の「認められる。」を「認められるものの、車両の取得 時期等が明らかにされておらず、当該修理に係る見積書(甲損19の21)によっても、その修理の全てが本件水害と相当因果関係があるものであるか明らかではないことからすると、一審原告紫峰園が本件氾濫によって被った車両の被害に係る損害としては上記の修理費用の約8割に相当する55万円を認めるのが相当である。」と改める。 その他の事業用資産の被害 1464万1591円a 井戸の修復費用 の被害に係る損害としては上記の修理費用の約8割に相当する55万円を認めるのが相当である。」と改める。 その他の事業用資産の被害 1464万1591円a 井戸の修復費用 143万4645円一審原告紫峰園が本件氾濫によって被った井戸の修復に係る損害としては、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵クaに記載のとおりであるから、 これを引用する。ただし、原判決74頁24行目の「甲損19の2な いし5」を「甲損19の3~5」と、75頁6行目の「ことを」を「ことや従前の井戸の設備の設置時期等が明らかではないことなどを」とそれぞれ改める。 b 土入れ機、煙霧器等 72万円一審原告紫峰園が本件氾濫によって被った土入れ機、煙霧器等に係 る損害としては、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵クbに記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決75頁10行目の「甲損19の6、」の次に「甲損19の29、」を加え、14行目の「INK」を「INX」と、20行目の「原告紫峰園」から26行目の「ついて は、」までを「これらの農機具については、一審原告紫峰園が本件氾濫より前から所有しており、」と、76頁1行目の「ことが認められるが、」から6行目末尾までを「ものと認めるのが相当である。」と、8行目の「のうち、」から9行目の「につき、」までを「は、一審原告紫峰園が」と、11行目の「ことを勘案しても、」を「ことや、従前の上記各農機 具の設置時期等が明らかではなく、証拠(甲損19の29)及び弁論の全趣旨によれば、相当以前に購入 でを「は、一審原告紫峰園が」と、11行目の「ことを勘案しても、」を「ことや、従前の上記各農機 具の設置時期等が明らかではなく、証拠(甲損19の29)及び弁論の全趣旨によれば、相当以前に購入されたものがあるものとうかがわれることなどを勘案すると、」と、12行目の「7割である144万8300円」を「約2割に相当する72万円」と、13行目の「認められるが、」から14行目末尾までを「認めるのが相当である。」とそれ ぞれ改める。 c ガラス温室修理 68万0400円一審原告紫峰園が本件氾濫によって被ったガラス温室修理に係る損害としては、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵クcに記載のとおりであるか ら、これを引用する。 d ハウス加温機、暖房機 87万1797円一審原告紫峰園が本件氾濫によって被ったハウス加温機、暖房機に係る損害としては、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵クdに記載のとおりであるから、これを引用する。 e トラクタ、田植機 170万円一審原告紫峰園が本件氾濫によって被ったトラクタ、田植機に係る損害としては、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵クeに記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、78頁3行目の「②」を「③」と、 9行目から10行目にかけての「5割である415万0050円」を「約2割に相当する170万円」と改める。 f 栽培ベンチ、鉄骨ハウス修繕 692 行目の「②」を「③」と、 9行目から10行目にかけての「5割である415万0050円」を「約2割に相当する170万円」と改める。 f 栽培ベンチ、鉄骨ハウス修繕 692万8310円一審原告紫峰園が本件氾濫によって被った栽培ベンチ、鉄骨ハウス修繕に係る損害として、上記の金額を認めるのが相当である。その理 由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵クfに記載のとおりであるから、これを引用する。 g 作業所の補修 49万3479円一審原告紫峰園が本件氾濫によって被った作業所の補修に係る損害として、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判決の 「事実及び理由」欄の第3の5⑵クgに記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決78頁23行目と24行目から25行目にかけての各「シャフター」をいずれも「シャッター」と改める。 h 自動灌水装置 16万2000円一審原告紫峰園が本件氾濫によって被った自動灌水装置に係る損害 としては、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判決 の「事実及び理由」欄の第3の5⑵クhに記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決79頁13行目の「上記の」から15行目の「こと、」までを「一審原告紫峰園が従前所有していた自動潅水装置は平成16年1月に製造されて同年2月10日に購入されたものであって、その使用期間は11年に及んでいたこと(甲19の30)、」 と改める。一審原告紫峰園及び一審被告は、当審においても、それぞれ上記認定とは異なる金額を主張するが、いずれも採用することができない。 i 土壌消毒器 たこと(甲19の30)、」 と改める。一審原告紫峰園及び一審被告は、当審においても、それぞれ上記認定とは異なる金額を主張するが、いずれも採用することができない。 i 土壌消毒器 45万円一審原告紫峰園が本件氾濫によって被った土壌消毒器に係る損害と しては、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵クiに記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、80頁1行目の「あることから、これが新品であることを勘案しても、」を「あるとしても、一方で、これが新品であることや、従前の上記土壌消毒器の購入時期や価格についての主 張、立証がされていないことを勘案すると、」と、2行目の「7割である159万4191円」を「約2割に相当する45万円」と改める。 j 育苗ハウス等修繕 81万6480円一審原告紫峰園が本件氾濫によって被った育苗ハウス等修繕に係る損害として、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判 決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵クjに記載のとおりであるから、これを引用する。 k フォークリフトの損傷 38万4480円一審原告紫峰園が本件氾濫によって被ったフォークリフトの損傷に係る損害としては、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、 原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵クkに記載のとおりであ るから、これを引用する。一審原告紫峰園は、当審において、本件氾濫前に一審原告紫峰園が所有していたフォークリフト(1991年11月製造)に類似するフォークリフトが平成27年当時に77万円で売却されたと記載された書面 する。一審原告紫峰園は、当審において、本件氾濫前に一審原告紫峰園が所有していたフォークリフト(1991年11月製造)に類似するフォークリフトが平成27年当時に77万円で売却されたと記載された書面(甲損19の31)を提出するが、フォークリフトの耐用年数のほか、上記の各フォークリフトの状態が明ら かでないことからすると、上記の書面をもって、上記の認定は左右されないというべきである。 l 商品としての苗類等の被害 0円一審原告紫峰園が本件氾濫によって被ったと主張する商品としての苗類等の損害については、これを独立の損害として認めるのではなく、 売上げの減少による損害に含めて評価すべきものと認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵クlに記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決80頁26行目の「・27」の次に「・36」を加え、81頁25行目の「いないこと」から82頁3行目の「できない。」までを「いないことなど からすると、」と改める。一審原告紫峰園は、当審において、本件氾濫前1年間に購入したヘゴ支柱の本数や鉢の数に関する証拠等(甲損19の32~36)を提出するが、これらによっても、上記判断は左右されるものではなく、上記の損害について民訴法248条を適用すべきであるという一審原告紫峰園の主張についても、これを採用するこ とはできない。 休業損害及び収入減の損害 100万円一審原告紫峰園が本件氾濫によって被った休業損害及び収入減の損害としては、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵クに記載のとおりであるから、これ を引用する。ただし、原 よって被った休業損害及び収入減の損害としては、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵クに記載のとおりであるから、これ を引用する。ただし、原判決82頁23行目の「がある。」から83頁1 行目の「証拠はない。」までを「があるものの、このような格別な企業努力がされたと具体的に認める足りる証拠も、それがなければ売上げを確保することができなかったと認めるに足りる証拠もないというべきである。」と、3行目の「失って」から8行目末尾までを「失ったこと自体は認められ、これによって一定の売上げの減少が生じたものと推認するこ とができるから、一審原告紫峰園の平成27年の売上額とその前年及び前々年の売上額も考慮すると、一審原告紫峰園の本件氾濫による収入減に係る損害として100万円を認めるのが相当である。」とそれぞれ改める。 上記損害額合計 1619万1591円 損害の填補 -2142万9000円合計 -523万7409円以上のとおり、一審原告紫峰園に生じた損害は全て填補されている。 ケ一審原告W(一審原告番号20-1)の損害避難生活による積極損害 26万7230円 一審原告Wが本件氾濫によって被った避難生活による積極損害としては、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵ケに記載のとおりであるから、これを引用する。 住宅の被害 572万0112円 一審原告Wが本件氾濫によって被った住宅の被害に係る損害としては、上記の金額を認めるのが相当である。その理 を引用する。 住宅の被害 572万0112円 一審原告Wが本件氾濫によって被った住宅の被害に係る損害としては、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵ケに記載のとおりであるから、これを引用する。 一審被告は、一審原告Wの住宅の工事に係る代金の支払についての客観的証拠が提出されていないと主張するが、前記における引用のとおり、 本件氾濫によって一審原告Wの住宅が大規模半壊と認定されていること のほか、証拠(甲損20の5・9・10・17・18、一審原告X本人)及び弁論の全趣旨によれば、上記の工事の契約書(甲損20の9・10)や領収書(甲損20の18)が作成されていることからすると、現に上記工事に係る代金の支払はされたものと認めるのが相当であり、一審被告の上記主張は採用することができない。また、証拠(甲損20の4・ 5)及び弁論の全趣旨によれば、上記住宅は本件氾濫の約1年半前に建築費用3200万円で建築された木造2階建ての建物であり、国税庁資料によれば、本件氾濫によって被害を受けた時点での価値がおおむね3000万円(3200万円-(3200万円×0.9×償却率0.034×2年)であったことからすると、前記のとおり大規模半壊となった ことにより上記の程度の工事費用を要するような損害が発生したというのは、十分に合理性がある。 家財の被害 437万円一審原告Wが本件氾濫によって被った家財の被害に係る損害としては、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び 理由」欄の第3の5⑵ケに記載のとおりであるから、これを引用する。 ただし、原判決84頁15行目の「以上に 係る損害としては、上記の金額を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び 理由」欄の第3の5⑵ケに記載のとおりであるから、これを引用する。 ただし、原判決84頁15行目の「以上によれば、」から17行目末尾までを「そうすると、被害割合を65%に修正して国税局資料に基づいて算定した一審原告Wの家財の被害額は624万円{(800万円+160万円)×65%}となる。そして、この金額を踏まえ、損傷を受けた家財 の特定やその取得状況、金額、取得からの経年等についての具体的な主張、立証がほぼされていないこと、その他、本件に表れた諸事情を考慮すると、本件氾濫によって一審原告Wが被った家財の被害に係る損害は、上記の国政局資料に基づいて算定した金額の約70%に相当する437万円と認めるのが相当である。」と改める。 車両の被害 200万円 一審原告Wが本件氾濫に伴って被った車両の被害に係る損害としては、200万円を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵ケに記載のとおりであるから、これを引用する。 ただし、原判決84頁24行目から25行目にかけての「上記車両の被害による損害額は」を「本件氾濫時点での上記車両の減価償却後の価額 は」と、原判決85頁1行目の「が相当である。」を「となる。そして、上記車両の被害に係る損害額を減価償却の方法によって定めることは相当ではないものの、この価格のほか、その前提となった上記車両の購入価格や購入からの期間等を考慮すると、上記車両は本件氾濫の時点で200万円程度の価値があったものと認めるのが相当であり、一審原告W の妻である一審原告Xは、本件氾濫による浸水によって上記車両が動かなくなって使用するこ 慮すると、上記車両は本件氾濫の時点で200万円程度の価値があったものと認めるのが相当であり、一審原告W の妻である一審原告Xは、本件氾濫による浸水によって上記車両が動かなくなって使用することができなかった旨供述等するところ(甲損20の1、一審原告X本人)、この供述等が事実に反するものと疑わせる証拠はないから、上記車両は廃車になったもとして、上記の200万円をもって、一審原告Wが本件氾濫に伴って被った車両の被害に係る損害と認 めるのが相当である。」とそれぞれ改める。 慰謝料 62万5000円一審原告Wが本件氾濫に伴って避難生活を余儀なくされたことに係る慰謝料としては、52万5000円を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵ケaに記載のとおりで あるから、これを引用する。 また、本件に表れた一切の事情(甲損20の1)を考慮すると、一審原告Wについては、本件溢水に起因して避難生活を余儀なくされたことによるもの以外の精神的苦痛に係る慰謝料として、10万円を認めるのが相当である。 損害の填補 -56万7000円 弁護士費用 124万円合計 1365万5342円コ原告X(原告番号20-2)の損害慰謝料 62万5000円一審原告Xが本件氾濫に伴って避難生活を余儀なくされたことに係る 慰謝料としては、52万5000円を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵コaに記載のとおりであるから、これを引用する。 また、本件に表れた一切の事情(甲 慰謝料としては、52万5000円を認めるのが相当である。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵コaに記載のとおりであるから、これを引用する。 また、本件に表れた一切の事情(甲損20の1)を考慮すると、一審原告Xについては、本件溢水に起因して避難生活を余儀なくされたこと によるもの以外の精神的苦痛に係る慰謝料として、10万円を認めるのが相当である。 弁護士費用 6万円合計 68万5000円第4 結論 よって、原判決は、その一部が相当ではないから、一審被告の控訴に基づき、原判決を前記第3の趣旨のとおり変更し、一審原告らのうちの(別紙)請求金額等一覧表(控訴審)の「控訴審請求額(円)」欄に金額の記載のある者の本件控訴はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第15民事部 裁判長裁判官中村也寸志 裁判官齊藤充洋 裁判官三井大有 (別紙省略)

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