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主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人の負担とする。理由 上告代理人片山通夫の上告理由第一点について。所論は、原判決は、被上告人の請求の原因たる賃貸借期間満了の関係について判断を遺脱し審理不尽又は理由不備の違法があると主張する。しかし原判決の引用する第一審判決の事実摘示によれば、被上告人は、期間満了による契約終了を原因として本件家屋明渡を求めるとともに、「仮に本件賃貸借が期限の定めがないとしても、右内容証明郵便乃至訴状の送達は解約の通知であり、既に六個月を経過した今日では契約は解約により終了しているのであるから、これを原因として本件家屋の明渡しを求める」と主張している。これに対し原審は、本件賃貸借は昭和二八年二月一日以降期間の定めなき賃貸借になつたと判断し、昭和二八年七月四日被上告人が内容証明郵便を以てした本件家屋明渡請求並びに更新拒絶の意思表示は、本件賃貸借契約解約申入の効力を有するものと解すべき旨判示したのは、被上告人の「期間満了による賃貸借終了」の主張を排斥した上、「解約申入による賃貸借終了」の主張の当否を判断しこれを理由ありとしたこと明らかである。従つて原判決の理由に所論のような違法は認められない。同第二点について。所論は、原判決が甲第二号証をもつて解約の申入と認定したことは違法であると主張する。しかし賃貸借契約の解約申入は、もとより要式行為ではないから、契約の存続を欲しない意思が表示されていれば足りる。被上告人は、本件内容証明郵便によつて賃貸借の更新を拒絶する旨を表示したが、もし期間の定めのない賃貸借とすれば、さらにその存続を欲しない意思をも明らかにしたものと認められる以上、- 1 -当然「本件賃貸借を解約する」という意思表示を包含するものと解することを 表示したが、もし期間の定めのない賃貸借とすれば、さらにその存続を欲しない意思をも明らかにしたものと認められる以上、- 1 -当然「本件賃貸借を解約する」という意思表示を包含するものと解することをなんら妨げるものではない。 期間の定めのない賃貸借とすれば、さらにその存続を欲しない意思をも明らかにしたものと認められる以上、- 1 -当然「本件賃貸借を解約する」という意思表示を包含するものと解することを 表示したが、もし期間の定めのない賃貸借とすれば、さらにその存続を欲しない意思をも明らかにしたものと認められる以上、- 1 -当然「本件賃貸借を解約する」という意思表示を包含するものと解することをなんら妨げるものではない。この趣旨に出でた原審の認定は相当であつて所論のような違法はない。同第三点について。所論は、原判決は、被上告人の申し立てない事項について判決した違法があると主張する。しかし所論の理由のないこと、所論第一点について説示したとおりである。同第四点について。所論は、原判決は「共同経営」の形式をとつた事実を認定しながら、それがいかなる法律効果を生じたか、若し生じないとすれば、何故か、について判示しないのは、理由不備、審理不尽の違法があると主張する。しかし原判決は、所論の証書ないし事業共同契約書は、当事者が形式上差入れたもので真実そのような合意があつたものではないと認定した趣旨であること行文上明らかであるから、かかる書面上の記載が、法律上その効力を生じ得ないという趣旨であるこというまでもない。かかる場合、法律上効力を生じ得ない旨を一々判示しなければならないものではない。所論は採用できない。同第五点について。所論は、違憲をいう点もあるが、その実質は、原判決が本件解約申入の正当性を判断するにつき上告人側の事情について審理を尽さなかつた違法があると主張するに帰する。しかし原判決は、上告人が、兄Dの営業を手伝つていた後、独立して雑貨商を営むため、兄Dが借り受けていた本件家屋を引き継いだのであるが、兄Dが借り受けた当時から、被上告人亡夫Eが早晩教職を退けば明渡す約束で何時までも賃借できない事情にあつたことを認定した上、上告人は、営業が緒についたところで困窮の程も察するに難くはないが、かかる事情の下においては、「本件家 被上告人亡夫Eが早晩教職を退けば明渡す約束で何時までも賃借できない事情にあつたことを認定した上、上告人は、営業が緒についたところで困窮の程も察するに難くはないが、かかる事情の下においては、「本件家屋を明- 2 -渡しても一時兄Dの許に復帰した上で後途を策することもできるものというべく」と判断し、結局被上告人の解約申入について正当事由あるものと断定したのであつて、所論のような審理不尽があるとは認められない。 亡夫Eが早晩教職を退けば明渡す約束で何時までも賃借できない事情にあつたことを認定した上、上告人は、営業が緒についたところで困窮の程も察するに難くはないが、かかる事情の下においては、「本件家屋を明- 2 -渡しても一時兄Dの許に復帰した上で後途を策することもできるものというべく」と判断し、結局被上告人の解約申入について正当事由あるものと断定したのであつて、所論のような審理不尽があるとは認められない。同第六点について。所論は、原判決は、上告人の権利濫用の主張について判断するところがないといい、かつこの理由をもつて原判決の違憲を主張する。しかし原審が、被上告人に借家法一条の二の「正当の事由」がありと判断するに至つた詳細な説示を精読すれば、所論の解約の申入が権利濫用にあたらないと判断した趣旨を含むことを看取するに難くなく、かかる場合原判決が明らかにこれを排斥する判示をすることは望ましいけれども、原判決のようにたまたまこれを明示しなかつたからといつて、これをもつて直ちに判断遺脱というのはあたらない。さればこの理由を前提とする違憲の主張も採用のかぎりでない。よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官小林俊三裁判官島保裁判官河村又介裁判官垂水克己裁判官高橋潔- 3 - 裁判官高橋潔
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