令和5年1月20日宣告令和4年(わ)第743号、同第871号、同第969号逮捕監禁被告事件判決 主文 被告人を懲役3年に処する。 未決勾留日数中90日をその刑に算入する。 理由 【罪となるべき事実】被告人は、その営む障害児支援事業で受任する児童の支援を実施していたものであるが、第1 児童の指導のためにその親から受任したとして計画した児童に対する逮捕監禁の遂行を企て、平成29年10月6日午後8時20分頃、(住所省略)のD方において、在宅していた息子のC(当時13歳)に対し、「抵抗したらボコすぞ。」などと申し向けながらその両手首及び両足首を結束バンドで縛り、両眼辺りに粘着テープを貼り付けるなどした上、Cを屋外に連れ出して付近に停車させた普通乗用自動車の後部座席に乗車させ、同車を運転して発進疾走させ、その頃から午後10時30分頃までの間、Cの同車からの脱出を著しく困難にさせて福岡県筑後市ab番地の自身の父親方まで連行し、引き続き、その頃から翌7日午前7時30分頃までの間、前記粘着テープによる目隠しがされたままのCを、同所家屋玄関の土間に寝かせて監視し、Cの同所からの脱出を前同様に困難にさせ、もって以上の暴行脅迫を通じ、Cを不法に逮捕監禁した。 第2 平成29年10月7日午後6時30分頃、事業の関連先に同道して自動車内に待機させていたCが、車外に出たことから更なる逮捕監禁 を企て、福岡県糟屋郡c町内の駐車場に駐車中の普通乗用自動車の後部座席に乗車させたCに対し、その両手首及び両足首を結束バンドで縛り、両眼辺りに粘着テープを貼り付けるなどした上、同車を運転して発進疾走させ、その頃から午後8時頃までの間、Cの同車からの脱出を著しく困難にさせて せたCに対し、その両手首及び両足首を結束バンドで縛り、両眼辺りに粘着テープを貼り付けるなどした上、同車を運転して発進疾走させ、その頃から午後8時頃までの間、Cの同車からの脱出を著しく困難にさせて福岡県筑後市の前記父親方まで連行し、引き続き、その頃から翌8日午前7時頃までの間、前記粘着テープによる目隠しがされたままのCの両手首及び両足首を結束バンドで縛り、施錠をした同所家屋玄関の土間に寝かせて監視し、Cの同所からの脱出を前同様に困難にさせ、もって以上の暴行脅迫を通じ、Cを不法に逮捕監禁した。 第3 前同様に受任したとして計画した児童に対する逮捕監禁の遂行を企て、事業に関連して知り合った小学校教諭のHと共謀の上、令和2年11月14日午前8時10分頃、(住所省略)のG方において、ソファーに座っていた息子のF(当時15歳)に対し、「何で俺らがここに来たか分からんか。」「分からんとか。」などと被告人が言いながら、Fの顔面を平手で複数回叩き、その両手首を結束バンドで縛り、両眼辺りに粘着テープを貼り付け、頭部に袋様のものを被せ、頭部を手拳で数回殴るとともに、両足首にHが荷造りベルトを巻き付けるなどした上、午前9時10分頃、Fを屋外に連れ出して付近に停車させた普通乗用自動車の後部座席辺りに乗車させ、被告人及びHが乗り合わせる同車を発進疾走させ、その頃から午前10時50分頃までの間、Fの同車からの脱出を著しく困難にさせて福岡県筑紫野市de番f付近の山道まで連行し、同時刻頃、同所で降車させたFに対し、前記粘着テープを剥がして地面にひざまずかせながら「埋めるか、川に溺れさせるぞ。」などと被告人が申し向け、Fの背部を1回膝蹴りし、顔面を平手で1回叩き、前同様に乗車させたFの両眼辺りに粘着テープを貼り付 けるなどし、被告人及びHが乗り合わせる るか、川に溺れさせるぞ。」などと被告人が申し向け、Fの背部を1回膝蹴りし、顔面を平手で1回叩き、前同様に乗車させたFの両眼辺りに粘着テープを貼り付 けるなどし、被告人及びHが乗り合わせる同車を発進疾走させ、その頃から午後1時5分頃までの間、Fの同車からの脱出を前同様に困難にさせて福岡県久留米市g町h番地ij号の指定障害児通所支援事業所「I」まで連行し、もって自身の事業拠点である同事業所までの以上の暴行脅迫を通じ、Fを不法に逮捕監禁した。 第4 前同様に受任したとして計画した児童に対する逮捕監禁の遂行を企て、その母親のB及びHと共謀の上、令和3年10月9日午前零時17分頃、(住所省略)のB方において、ベッド上にいた息子のA(当時14歳)に対し、「動くな。」「手出せ。」などとHが申し向け、Aの下半身を手で押さえ付け、両足首に荷造りベルトを巻き付け、両手首を結束バンドで縛るとともに、「しゃべると殺すぞ。」「あほか、死ね。」「暴れたら殴るぞ。」などと被告人が申し向けながらAの上半身に馬乗りになり、両眼辺りに粘着テープを貼り付け、頭部に袋様のものを被せ、頭部を手拳、手掌又は園芸用鋼管で複数回殴るなどした上、午前零時35分頃、Aを屋外に連れ出して付近に停車した普通乗用自動車の後部座席辺りに乗車させ、被告人及びHが乗り合わせる同車を発進疾走させ、その頃から午前2時44分頃までの間、Aの同車からの脱出を著しく困難にさせて福岡県筑紫野市de番f付近の山道まで連行し、同時刻頃、同所で降車させたAに対し、被告人が前記粘着テープを剥がしながら「ここに捨てていくぞ。」「ここに手と足縛って転がして埋めるぞ。」などと申し向け、午前2時52分頃、前同様にAを乗車させて乗り合わせる同車を発進疾走させ、その頃から午前3時26分頃までの間、Aの同車からの 捨てていくぞ。」「ここに手と足縛って転がして埋めるぞ。」などと申し向け、午前2時52分頃、前同様にAを乗車させて乗り合わせる同車を発進疾走させ、その頃から午前3時26分頃までの間、Aの同車からの脱出を前同様に困難にさせて前記「I」まで連行し、もって同事業所までの以上の暴行脅迫を通じ、Aを不法に逮捕監禁した。 【量刑の理由】 13歳から15歳までの児童3名に対し、1名については2回の機会にまたがって、逮捕監禁に及んだ犯行4件の事案である。発達障害を有する児童等の支援事業を手掛ける被告人が、小学校教諭の共犯者を共謀に加えるなどして計画し、主導し、自らも主な暴行脅迫を行っている。児童に規律正しい生活を送らせるための指導又は療育などと位置付け、これにすがる親から報酬を受けて行う事業の1つにしていたと認められる。その態様は、不意を突くようにして住まいへ乗り込み、自傷他害等の危険がおよそ見て取れない被害者を様々に威圧して手足を拘束し、自動車に乗せて連行したり玄関の土間に寝かせたりし、自由を奪うものであって、犯行が一晩続いた件複数を含む。拘束下の移動時に目隠しをし、途中で山道に連れて行って放置をほのめかすなどの暴行脅迫は、恐怖や屈辱を負わせる程度が強く、人格を無視している。指導又は療育等の正当事由を見出す余地はなく、手っ取り早く制裁又は威嚇を加えて服従させる目的で、成長途上の者に対する悪質な逮捕監禁を繰り返した非人道的、常習的犯行の事案である。 2名の被害者との間で先方に解決金を支払うなどし、宥恕を得た示談の成立があるから考慮したが、本件に現れた被告人の規範無視の態度は著しく、反社会性が際立つのであって、相応の非難を免れない。支援事業のその余において被告人が一定の成果を上げていた事情等を踏まえても、量刑評価が大きく左右されるとは に現れた被告人の規範無視の態度は著しく、反社会性が際立つのであって、相応の非難を免れない。支援事業のその余において被告人が一定の成果を上げていた事情等を踏まえても、量刑評価が大きく左右されるとはいえない。前科のない被告人が罪を認め、反省の態度を示したことや、妻が出廷して今後の更生支援を誓約したことなどを汲み取ってもなお、主文の懲役の実刑に処するのが相当と判断した。 (求刑懲役4年)令和5年1月20日福岡地方裁判所第3刑事部 裁判官伊藤寛樹
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