主文 一一審原告らの控訴を棄却する。 二一審被告日本たばこ産業株式会社、同東京コカ・コーラボトリング株式会社及び同サントリーフーズ株式会社の控訴に基づき、原判決中、同一審被告ら敗訴部分(原判決主文第三項)を取り消し、右部分に係る一審原告らの請求をいずれも棄却する。 三一審原告らと一審被告東京都知事の間では、控訴費用は、一審原告らの負担とし、一審原告らと一審被告日本たばこ産業株式会社、同東京コカ・コーラボトリング株式会社及び同サントリーフーズ株式会社との間では、訴訟費用は、第一、二審とも、一審原告らの負担とする。 事実及び理由 第一当事者の求めた裁判一一審原告ら(平成七年(行コ)第一〇八号事件の控訴の趣旨)1(一) 原判決中、一審被告東京都知事(以下「一審被告知事」という。)に対する訴えに係る部分を取り消す。 (二) 右訴えに係る部分を東京地方裁判所に差し戻す。 2 原判決中、一審被告日本たばこ産業株式会社(以下「一審被告日本たばこ」という。)、同東京コカ・コーラボトリング株式会社(以下一審被告コカ・コーラ」という。)及び同サントリーフーズ株式会社(以下「一審被告サントリーフーズ」といい、以上三社を「一審被告企業ら」という。)に対する訴えに係る部分を次のとおり変更する。 (一)(主位的請求)東京都に対し、一審被告日本たばこは四万三七二〇円を、一審被告コカ・コーラは五万〇四七一円を、一審被告サントリーフーズは五万一七九九円をそれぞれ支払え。 (二)(予備的請求)東京都に対し、一審被告日本たばこは二万四一三二円を、一審被告コカ・コーラは二万七八五九円を、一審被告サントリーフーズは二万八五九二円をそれぞれ支払え。 3 訴訟費用は、第一、二審とも、一審被告らの負担とする。 4 2項につき仮執行宣言(平成七年( 一審被告コカ・コーラは二万七八五九円を、一審被告サントリーフーズは二万八五九二円をそれぞれ支払え。 主文 訴訟費用は、第一、二審とも、一審被告らの負担とする。 2項につき仮執行宣言(平成七年(行コ)第一〇六号、第一〇七号及び第一〇九号各事件の控訴の趣旨に対する答弁)一審被告企業らの控訴をいずれも棄却する。 一審被告知事(平成七年(行コ)第一〇八号事件控訴の趣旨に対する答弁)一審原告らの控訴を棄却する。 一審被告日本たばこ(平成七年(行コ)第一〇八号事件控訴の趣旨に対する答弁)一審原告らの控訴を棄却する。 理由 (平成七年(行コ)第一〇六号事件の控訴の趣旨) 1 原判決中、一審被告日本たばこ敗訴部分を取り消す。 2 一審原告らの訴えを却下する。 3 一審原告らの請求を棄却する。 4 訴訟費用は、第一、二審とも、一審原告らの負担とする。 一審被告コカ・コーラ(平成七年(行コ)第一〇八号事件控訴の趣旨に対する答弁)一審原告らの控訴を棄却する。 (平成七年(行コ)第一〇七号事件の控訴の趣旨) 1 原判決中、一審被告コカ・コーラ敗訴部分を取り消す。 2 一審原告らの訴えを却下する。 3 一審原告らの請求を棄却する。 4 訴訟費用は、第一、二審とも、一審原告らの負担とする。 一審被告サントリーフーズ(平成七年(行コ)第一〇八号事件控訴の趣旨に対する答弁)一審原告らの控訴を棄却する。 (平成七年(行コ)第一〇九号事件の控訴の趣旨) 1 原判決中、一審被告サントリーフーズ敗訴部分を取り消す。 2 一審原告らの訴えを却下する。 3 一審原告らの請求を棄却する。 4 訴訟費用は、第一、二審とも、一審原告らの負担とする。 第二事案の概要 一本件は、たばこ又は清涼飲料水等の自動販売機が、東京都の管理する都道敷にはみ出して設置されていたことから、東京都 する。 4 訴訟費用は、第一、二審とも、一審原告らの負担とする。 第二事案の概要一本件は、たばこ又は清涼飲料水等の自動販売機が、東京都の管理する都道敷にはみ出して設置されていたことから、東京都の住民である一審原告らが、地方自治法(以下「法」という。)二四二条の二に基づき、(一) 一審被告知事に対しては、「一審被告知事が、都道敷にはみ出して設置された販売機について、主位的に不当利得に基づく利得返還債権の行使を怠っていることが、予備的に不法行為に基づく損害賠償債権の行使を怠っていることが、違法であることを確認する。」との裁判を求め、(二) 一審被告企業らに対しては、東京都に対して不当利得金又は損害賠償金の支払を求めた住民訴訟である。 二原審裁判所は、(一)一審原告らの一審被告知事に対する訴えについては、これを却下する旨の判決を、(二)一審原告らの一審被告企業らに対する訴えについては、その一部を却下し、その請求の一部を認容し、その余を棄却する旨の判決をした。 三一審原告らは、一審原告らの一審被告知事に対する訴えが却下されたこと及び一審被告企業らに対する請求の一部しか認容されなかったことを不服として控訴を提起し(平成七年(行コ)第一〇八号)、一審被告企業らは、一審原告らの一審被告企業らに対する請求の一部が認容されたことを不服として控訴を提起した(平成七年(行コ)第一〇六号、第一〇七号、第一〇九号)。 四当事者双方の主張は、別紙「当事者の主張」に記載のとおりである。 第三当裁判所の判断一一審原告らの一審被告知事に対する訴えについて 1 訴えの適法性について一審原告らは、一審被告知事に対し、法二四二条の二第一項三号に基づき、都道敷にはみ出して設置された自動販売機に関し、主位的に東京都の有する不当利得債権につき、予備的に東京都の有す の適法性について一審原告らは、一審被告知事に対し、法二四二条の二第一項三号に基づき、都道敷にはみ出して設置された自動販売機に関し、主位的に東京都の有する不当利得債権につき、予備的に東京都の有する不法行為債権につき、一審被告知事がその債権の行使を怠る事実が違法であることの確認を求めている。 しかしながら、法二四二条の二第一項三号は、普通地方公共団体の執行機関又は職員につき、違法に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実(以下「怠る事実」という。)がある場合において、普通地方公共団体の住民(以下、単に「住民」という。)が、当該怠る事実について前条第一項の規定による監査請求をしたが、同条第三項の規定による監査委員の監査の結果に不服があるときなどに、当該執行機関又は職員に対し、当該怠る事実の違法確認の請求をすることができる旨規定しているところ、右規定は、住民に対し、当該普通地方公共団体の執行機関又は職員による一定の具体的な財務会計上の怠る事実に限って、裁判所にその違法の確認を求める権能を認めたものであって、それ以上に、一定の期間にわたる又は一定の種類の当該怠る事実を包括的、網羅的にこれを具体的に特定することなく、その違法の確認を求める権能までを認めたものではないと解される。けだし、法が、直接請求の一つとして事務の監査請求の制度を設け、選挙権を有する者は、その総数の五〇分の一以上の者の連署をもって、監査委員に対し、当該普通地方公共団体の事務等の執行に関し監査の請求をすることができる旨規定している(七五条)ことと対比してみても、住民訴訟及びその前提として要請されている住民監査請求は、住民一人からでもすることができるとされている反面、その対象は一定の具体的な行為又は怠る事実に限定されていると解するのが、法の趣旨に沿うものといわなけれ その前提として要請されている住民監査請求は、住民一人からでもすることができるとされている反面、その対象は一定の具体的な行為又は怠る事実に限定されていると解するのが、法の趣旨に沿うものといわなければならないからである。したがって、怠る事実の違法確認を求める住民訴訟においては、当該対象とする怠る事実を他の怠る事実から区別して特定認識できるように個別的、具体的に摘示することを要するものというべきである。そして、一定の指標をもって特定された多数の怠る事実についての違法確認を求める住民訴訟は、当該多数の怠る事実が他の怠る事実から区別して特定認識できるうえ、個々の怠る事実について、その個別的、具体的な事情を考慮しなくても一律にあるいは一体として違法かどうかを判断することができるときには許容されることがあり得るとしても、そうでないときには、怠る事実の違法確認の請求として特定していないものとして、これを不適法な訴えとして却下すべきものと解するのが相当である。 一審原告らは、一審被告知事に対する本件訴えは、都道敷にはみ出して設置された自動販売機に関し東京都の有する不当利得債権又は不法行為債権につき、一審被告知事がその債権の行使を怠る事実が違法であることの確認を求めるものであって、「都道敷にはみ出して設置された自動販売機」は多数あるとはいえ客観的に明らかであるから、本件訴えにおける怠る事実は特定している旨主張する。 しかしながら、都道敷の近辺又はこれに接して設置された自動販売機が都道敷にはみ出して設置されているか否かは、少なくとも都道敷と私人所有土地等との間の境界が明らかであることを前提としなければならないが、都道敷の近辺又はこれに接して設置された自動販売機のすべてに関して右境界が必ずしも自明であるとはいえないところ、一審原告らは、本訴請求において、 境界が明らかであることを前提としなければならないが、都道敷の近辺又はこれに接して設置された自動販売機のすべてに関して右境界が必ずしも自明であるとはいえないところ、一審原告らは、本訴請求において、都道敷の近辺又はこれに接して設置された自動販売機のうちのどれが「都道敷にはみ出して設置された自動販売機」であるかを具体的に特定しているものとはいえない。一審原告らは、本訴請求において、その「都道敷にはみ出して設置された自動販売機」に関し、東京都が有する債権の相手方(例えば、自動販売機の所有者、賃借人、中身商品の製造・販売・搬入業者等、小売店等)、その債権の発生原因事実、その金額などを何ら具体的に特定していないのであるから、一審被告知事が「都道敷にはみ出して設置された自動販売機」に関し、誰かに対して何らかの性質のいくらかの金額の債権を有することがあるとしても、このように包括的、網羅的にその債権の行使を怠っていることが違法であるかどうかについては、裁判所において審理の対象として判断することはできないものというほかない。 一審原告らは、一審被告知事としては、自動販売機による都道敷の不法占拠の事実を知った場合には、その所有者、設置者、設置時期などの事実関係を調査したうえ、不法占拠による損害金を請求すべき相手方、損害金の額、不法占拠期間などを自らの責任で把握すべき義務があるのであるから、一審原告らが都道敷の不法占拠による金銭債権の債務者や債権額を個別的に特定する必要はない旨主張する。 しかしながら、一審被告知事に右一審原告ら主張のような義務があるかどうかはさて措くとしても、債権の行使を怠る事実の違法確認を求める住民訴訟においては、少なくとも債権の行使の相手方、すなわち債務者が特定されていなければ、当該債権の行使を怠っていることが違法かどうかの判断は さて措くとしても、債権の行使を怠る事実の違法確認を求める住民訴訟においては、少なくとも債権の行使の相手方、すなわち債務者が特定されていなければ、当該債権の行使を怠っていることが違法かどうかの判断はできないところ、一審原告らの本訴請求は、債権の行使の相手方について何ら個別的、具体的に特定することをしていないのであるから、その行使を怠っていることが違法であるか否かにつき、裁判所において判断することができないことには変わりがない。 さらに、一審原告らは、一審被告知事が、自動販売機の実態調査の結果によって、少なくとも五八〇二台の自動販売機について、自動販売機の中身商品のメーカー、設置場所、不法占拠の程度などを知っていたことが明らかであるから、本件訴えは、少なくとも右の五八〇二台の自動販売機に関する限度では特定している旨主張する。 しかしながら、一審被告知事が調査の結果右一審原告ら主張の事実を知るに至ったとしても、一審原告らは、本訴請求において、右五八〇二台の自動販売機を具体的に特定していないし、また、その個々の自動販売機について少なくとも誰が債務者であるのかを具体的に特定してないのであるから、審判の対象・範囲としての請求の趣旨の特定を欠くものというほかない。 要するに、一審原告らの一審被告知事に対する本訴請求は、一審被告知事が、具体的に特定されていない「都道敷にはみ出した自動販売機」に関し、具体的に特定されていない債務者に対し、具体的に特定されていない金額の債権の行使を怠っていることが違法であることの確認を求めるものであって、右のような請求は、法二四二条の二第一項三号に基づく怠る事実の違法確認請求として特定していないといわなければならない。 2 その他一審原告らの一審被告知事に対する訴えの適否の点については、原判決の説示するとおりであって 四二条の二第一項三号に基づく怠る事実の違法確認請求として特定していないといわなければならない。 2 その他一審原告らの一審被告知事に対する訴えの適否の点については、原判決の説示するとおりであって、以上によれば、一審原告らの一審被告知事に対する本訴請求は、不適法な訴えとして却下を免れないものである。 二一審原告らの一審被告企業らに対する訴えについて 1 訴えの適法性について一審被告企業らは、住民監査請求は、監査の対象となる怠る事実を他から区別して特定認識できるように個別的、具体的に摘示して行わなければならないところ、一審原告らがした住民監査請求は、都道敷にはみ出して設置された自動販売機一般についての是正を求めたものであって、一審被告企業らに対する本訴請求(不当利得返還請求又は損害賠償請求)の基礎となる自動販売機1ないし6を特定することも、その設置者、設置場所、都道敷の占有面積、占有期間、損失ないし損害額などを特定することもしなかったから、一審原告らの一審被告企業らに対する本件訴えは、いずれも、適法な住民監査請求を経由しないものであって不適法である旨主張する。 しかしながら、一審原告らが本件住民訴訟に先立ち、東泉都監査委員に提出した「東京都知事措置請求書」(甲第二〇号証)には、請求の要旨として、「道路占用許可を受けずに都道敷にはみ出して設置された自動販売機につき、東京都が占用料相当額の損害を被っているのに、一審被告知事が、はみ出し自動販売機の設置者、中身商品のメーカー、設置工事業者にその損害金の徴収をしていないのは法二四二条一項所定の債権の行使を怠る事実に該当するから、必要な措置を求める。」旨が記載されていたこと、一審原告らは、右請求書に添付して、一審被告知事の債権の行使を怠る事実を証する資料として、特定の一三台の自動販売機について 行使を怠る事実に該当するから、必要な措置を求める。」旨が記載されていたこと、一審原告らは、右請求書に添付して、一審被告知事の債権の行使を怠る事実を証する資料として、特定の一三台の自動販売機について都道敷を占有している状況を明らかにする写真等を提出したこと、監査委員は、監査手続を進めるために現地等を調査する過程において、右一三台のうち一二台については、既に撤去されているが、都道敷にはみ出して設置されていた事実があったことを確認し、かつ、その中身商品のメーカー等を確認したこと、一審原告らの一審被告企業らに対する本訴請求の基礎となる自動販売機1ないし6のうち、同1、3ないし5は、右一二台のうちに含まれるものであり、同2及び6は、右一二台のうちに含まれないものであったこと等は、原判決(五三頁二行目から五六頁二行目まで)の認定するとおりであり、右原判決の認定する事実によれば、一審原告らの一審被告企業らに対する本訴請求のうち、自動販売機1、3ないし5に係るものは、監査請求を経由したものであり、同2及び6に係るものは、監査請求を経由しなかったものと認めるのが相当である。 右によれば、一審原告らの一審被告企業らに対する本訴請求のうち、自動販売機2及び6に係るものは、監査請求を経由しなかったものであって、その余の点について判断するまでもなく、不適法な訴えとして却下を免れないものといわざるをえない。 そして、一審被告企業らに対する本訴請求のうち、自動販売機1、3ないし5に係るものは、監査請求を経由したものであり、他に、右自動販売機に、係るものについては、これを不適法と認めるべき事由は見当たらないから、右自動販売機に係る訴えについては、適法な訴えとして、さらに、その請求の当否につき判断を進めることとする。 2 請求の当否について(一)(本件に係る自動 を不適法と認めるべき事由は見当たらないから、右自動販売機に係る訴えについては、適法な訴えとして、さらに、その請求の当否につき判断を進めることとする。 2 請求の当否について(一)(本件に係る自動販売機を含むその他都道敷上にはみ出して設置された自動販売機の是正措置とその実施経過及び結果について)本件の事実関係について検討するに、甲第一号証、第二〇号証、第三七号証、第三八号証の一ないし三、第三九号証、第四〇号証の二、三、第四一ないし第四四号証、第四六号証の一ないし三、第五五号証の一、二、第七一号証、乙第六ないし第八号証、第九号証の一、二、第一〇、第一一号証、丙第二ないし第一二号証、第一五号証、丁第四、第五号証、戊第五号証、第七号証、第一一号証の一ないし四、第一三号証及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる(以下、括弧内に主要な証拠を示す。)。 (1) (撤去要請と活動の発端)①「主婦連合会」、「タバコと健康全国協議会」、「日本アルコール問題連絡協議会」などの市民団体(以下「主婦連等」という。)は、自動販売機が道路敷にはみ出して設置されることは、通行の妨害になり、また、酒及びたばこの自動販売機は、未成年者の飲酒喫煙の防止の観点から望ましくないなどとの考えから、少なくともはみ出し自動販売機を撤去させるための活動を始めることとし、その手始めとして、平成二年八月から九月にかけて、千代田区内の酒類及びたばこの各自動販売機について、道路へのはみ出しの有無の調査をした。その調査結果は、酒類の自動販売機のはみ出し率は、約六九・八パーセント、たばこの自動販売機のそれは、約七三パーセントというものであった(甲第一号証、第七一号証)。②次いで、右調査の結果を踏まえ、主婦連等は、平成二年一〇月四日、大蔵省(たばこ塩事業室)、国税庁(酒税課)、建設省 動販売機のそれは、約七三パーセントというものであった(甲第一号証、第七一号証)。②次いで、右調査の結果を踏まえ、主婦連等は、平成二年一〇月四日、大蔵省(たばこ塩事業室)、国税庁(酒税課)、建設省、東京都、千代田区、全国小売酒販組合中央会、酒類及びたばこのメーカー等に対し、右調査結果を示す書面に写真を添えて、はみ出し自動販売機の撤去を促す趣旨の申入れをし(甲第一号証、第七一号証、乙第六号証)、また、同月二二日ころからから同年一一月ころにかけて、酒類及びたばこの各メーカー宛に、はみ出し自動販売機の撤去の申入れをした(甲第三七号証、第七一号証、丙第二号証)。③平成三年五月二七日、主婦連等は、一審被告日本たばこ、キリン・アサヒ・サッポロ及びサントリーの各ビール製造販売会社、日本コカ・コーラ及び一審被告コカ・コーラの各コカ・コーラ関係会社の以上七社を都内四谷の主婦会館に招へいし、右各社に対し、はみ出し自動販売機の撤去を要請した。また、主婦連等は、同日、「はみ出し自販機対策協議会」との名称の任意団体を創設し、以後、その名称を使用して、はみ出し自動販売機の撤去運動を進めることとし(甲第四〇号証の二、三、第七一号証)、平成三年六月二二日ころ、清涼飲料水メーカーに対し、右の協議会名で、はみ出し自動販売機の是正措置をとることを求める趣旨の公開質問状を送付し(甲第五五号証の一、戊第七号証)、また、平成四年三月二六日ころにも、酒類、たばこ及び清涼飲料水の各メーカーに対し、はみ出し自動販売機の是正を求める旨の質問状を送付し(甲第四一号証)、重ねて、はみ出し自動販売機について是正措置をとることを要請した。③さらに、主婦連等は、平成五年九月二七日、右協議会名で、一審被告日本たばこなど四社を道路法・道路交通法違反の罪で警視庁に告発した(甲第四六号証の一、第七一号 について是正措置をとることを要請した。③さらに、主婦連等は、平成五年九月二七日、右協議会名で、一審被告日本たばこなど四社を道路法・道路交通法違反の罪で警視庁に告発した(甲第四六号証の一、第七一号証)。 (2) (警視庁の動き)警視庁は、右対策協議会名でされた告発を受けて、平成五年一〇月から一一月にかけて、はみ出し自動販売機の調査をしたうえ、一審被告企業らを含む四二社の責任者を呼び出して、早急な改善を指導するとともに、改善措置に応じない場合には摘発も検討する旨を告げた(甲第四六号証の二)。 (3) (東京都の撤去方針の決定とそのための行政指導の実施)①東京都は、主婦連等の前記(1)②の申入れを受けて平成二年一〇月末日ころ、日本自動販売機工業会、自販機保安整備協議会及び日本自動販売協会に対し、はみ出し自動販売機の移設・撤去等の是正措置をとることを要請した(乙第七号証、第一一号証)。②次いで、東京都は、平成三年一月から一二月にかけて、道路延長約六〇四キロメートルにわたり、はみ出し自動販売機のサンプル調査を実施したところ、右調査集計の結果、平成四年六月、一五三九台が道路敷にはみ出していることが判明した(乙第八号証、第一一号証)。③そこで、東京都は、右集計結果を受けて、国道、区市町村道の各管理者との協議を経たうえ、平成四年九月一〇日には東京都主宰の「自動販売機是正指導会」を開催し、出席した中身商品のメーカーとその上部団体及び自動販売機関係団体に対し、是正指導をするとともに、中身商品のメーカーに対し、はみ出し自動販売機の実態を把握した上その是正計画を作成し、平成五年三月末日までに書面を提出することを要請した。(乙第九号証の一、二、丙第四号証)。④さらに、東京都は、平成五年五月一四日には、中身商品メーカーから提出された実態調査及び是正計画に を作成し、平成五年三月末日までに書面を提出することを要請した。(乙第九号証の一、二、丙第四号証)。④さらに、東京都は、平成五年五月一四日には、中身商品メーカーから提出された実態調査及び是正計画についての報告書をまとめ、はみ出し自動販売機の撤去等の是正措置の促進を図るため、正式に「東京都路上自動販売機対策協議会」を設置することとし、もって、はみ出し自動販売機の是正についての行政の取組みを確たるものとし、その第一回協議会を同月一八日に開催した(乙第一〇、第一一号証)。⑤このような経過をたどって設置された「東京都路上自動販売機対策協議会」は、同日、はみ出し自動販売機の適正化等を目的とし、都内の国道、都道及び区市町村道の道路管理者、交通管理者(警視庁)及び関係行政機関、社団法人日本たばこ協会、社団法人全国清涼飲料工業会等の関係団体を構成員とし、右構成員及び中身商品のメーカー等の関係者が一体となって、新設自動販売機を路上にはみ出さないこと及び既存のはみ出し自動販売機の撤去等の是正措置を促進することを確認した(甲第四三号証、乙第一一号証、丙第六、第七号証)。⑥そして、東京都は、平成五年九月中、下旬、一審被告企業らを含む中身商品のメーカーに対し、はみ出し自動販売機の実態把握の再調査を実施するとともに、すみやかにその調査結果を報告することを指示し、さらに、同年一〇月二〇日から同年一二月一〇日にかけて、再三にわたり、中身商品のメーカー、その上部団体及び小売店等に対し、はみ出し自動販売機の撤去等の是正措置をすみやかに実施するように、その方法、費用負担、期限、関係業者の協力を含めて具体的・明示的な指導をした(乙第一一号証、丙第九号証)。 (4) (東京都の指導と一審被告企業らの協力による撤去の実現)①一審被告企業らは、主婦連等の前記(1)②の申入れを受 係業者の協力を含めて具体的・明示的な指導をした(乙第一一号証、丙第九号証)。 (4) (東京都の指導と一審被告企業らの協力による撤去の実現)①一審被告企業らは、主婦連等の前記(1)②の申入れを受け、また、上部団体や大蔵省、東京都等の関係行政機関からの指導を受け、はみ出し自動販売機の実態調査及びはみ出し自動販売機の撤去、移設又は薄型機への交換により、はみ出しの是正の実行を進めるべく事をはかったが、その是正は、当初、必ずしも、円滑に進まなかった(甲第三八号証の二、三、第三九号証、第四二号証、第五五号証の二、丙第三号証、第八号証、第一〇ないし第一二号証、第一三号証の一、二、第一五号証、丁第三ないし第五号証、戊第五号証、第一三号証)。その主な理由は、現実に自動販売機を借り受けて店舗に近接する自己私有地内に設置したものの、その一部が道路敷にはみ出して設置している小売店などから、道路敷と私有地との境界が明確でないこと、他の店が設置するはみ出し物件と自動販売機との取扱いの不平等、是正に必要な費用負担、是正不可能な場合の取扱いなど多くの問題点が指摘され、即座には設置場所の移動に難色が示されたことや、自動販売機を設置する場所、相手方の開拓、選定が、自動販売機を設置する業者(ベンダー業者、オペレーター業者)に任されている場合には、自動販売機の設置に関して右設置業者が企業ノウハウを有しているとの意識が強く、中身商品のメーカーであっても、右設置業者に対する指導力が容易には及ばない傾向もあった(丙第三号証、第一五号証、丁第五号証、戊第一三号証)。また、自動販売機は、従前から小売店(商店)が店先に設置して来店する客や店先を通行する人々に対して時間を問わず手早く中身商品を販売することができるといった販売する小売店としても購入する一般人にとっても便利性、有用性が 従前から小売店(商店)が店先に設置して来店する客や店先を通行する人々に対して時間を問わず手早く中身商品を販売することができるといった販売する小売店としても購入する一般人にとっても便利性、有用性が高いものとして、一般に広く普及してきたことから、その設置場所の一部が私有地内を超えて道路敷にはみ出していたとしても通行妨害になるとの認識は余りなく、むしろこれらを従前から設置されていた場所から他に移設することによる実用面からの不便が大きいとして、即座にこれらを撤去することにつき抵抗感があり、その理解、納得に時間を要したことも否めない。②しかし、東京都は、当初の方針を変えず、継続して一審被告企業らの協力を得てその成果を目指し、これを受けた一審被告企業らは、小売店、設置業者等の説得に努めるとともに、是正に必要な費用の一部(過半)を負担をするなど右東京都の是正指導に対して極めて積極的に対応し、もって協力を続けた。その結果、本件において一審原告らの指摘する自動販売機1、3ないし5については、平成五年一一月までには撤去され、また、東京都内のはみ出し自動販売機のほとんどが平成六年初めころまでに撤去されることになった(丙第一号証、第一五号証、丁第一号証、第五号証、戊第一号証)(二) (東京都の一審被告企業らに対する債権の成立について)(1)①一審被告日本たばこは、自動販売機1をその所有者である株式会社ジェイティソフトサービスから借り受けたうえ、これをたばこ販売店に貸与していたこと、②一審被告コカ・コーラは、自動販売機3及び4を所有し、これを中身商品の小売店に貸与していたこと、③一審被告サントリーフーズは、自動販売機5を所有し、これを自動販売機による商品の販売を業とする者(オペレーター業者)に貸与していたこと、(2)右各自動販売機は、いずれもその機体表 貸与していたこと、③一審被告サントリーフーズは、自動販売機5を所有し、これを自動販売機による商品の販売を業とする者(オペレーター業者)に貸与していたこと、(2)右各自動販売機は、いずれもその機体表面に一審被告企業らの商品銘柄、商品商標又は会社名が表示され、その都道敷占有面積が一平方メートル未満のものであるが、遅くとも平成五年三月までには、道路占用許可を受けることなく都道敷にはみ出して設置されていたこと、(3)一審被告企業らは、同月までに、それらが都道敷にはみ出して設置されていることを知っていたこと(請求原因3ないし5)は、当事者間に争いがない。また、丙第一号証、丁第一号証、戊第一号証及び弁論の全趣旨によれば、(4)①一審被告日本たばこは、平成五年一〇月二〇日、自動販売機1を都道敷から撤去したこと、②一審被告コカ・コーラは、平成五年一一月一二日に自動販売機3を、同月一六日に自動販売機4をそれぞれ都道敷から撤去したこと、③一審被告サントリーフーズは、平成五年一一月一二日、自動販売機5を都道敷から撤去したことが認められる。 右のとおり、自動販売機1、3ないし5は、道路占有許可を受けることなく、都道敷にはみ出して設置されていたところ、一審被告企業らは遅くとも平成五年三月までにこれらの自動販売機が都道敷にはみ出して設置されていたことを知っていたうえ、これらの自動販売機は、一審被告企業らが自ら所有していたもの、あるいは小売店又はオペレーター業者に貸与していたものであるから、一審被告企業らは、これらの自動販売機が都道敷にはみ出して設置されたことを知った日から撤去される日までの間、何らの占有権原なくこれらの自動販売機を設置して都道敷を占有したことに関与したものとして、東京都に対し、不法行為による損害賠償債務を負担したもの、すなわち、東京都の一審被告 ら撤去される日までの間、何らの占有権原なくこれらの自動販売機を設置して都道敷を占有したことに関与したものとして、東京都に対し、不法行為による損害賠償債務を負担したもの、すなわち、東京都の一審被告企業らに対する不法行為による損害賠償債権が成立したものと解される余地がないではない。また、東京都の損失との因果関係はさて措くとしても、少なくとも観念的、一般的には一審被告企業らは右道路敷の占有によりいくばくかの利得を受けており、それ故東京都に対して右の利得を返還する義務が生じるのではないかと解される余地がないではない。 (三) (東京都の一審被告企業らに対する債権不行使の違法性いかんについて)先にみたとおり、住民の撤去要請に端を発して実行された、本件に係る自動販売機を含む都道敷にはみ出し設置されていた自動販売機の撤去は、一応概ね全はみ出し台数の撤去是正がはかられるといった効果が出たが、その間右住民の撤去要請日から起算すれば約三年間、東京都が右撤去要請を受けてサンプル調査を実施したうえその結果を集計して「自動販売機是正指導会」を開催した日から起算すれば約一年間、東京都が中身商品メーカーから提出された報告書をまとめて「東京都路上自動販売機対策協議会」を開催した日から起算すれば約半年間を要し、少なくとも本件に係る自動販売機の撤去完了までに約二〇〇日を要したところ、一審原告らは、東京都が一審被告企業らに対してその間につき生じている不法行為債権又は不当利得債権の行使を怠ったとして本訴請求に及んでいる。 (1) 本件に係る自動販売機1、3ないし5が存在する都道敷は、いずれも東京都が道路法施行法五条一項に基づき国から無償貸与を受けた国有地であって、東京都は、その無償使用権を有するものにすぎない(一審原告らも、この点は争わない。)。このような東京都の道路敷 は、いずれも東京都が道路法施行法五条一項に基づき国から無償貸与を受けた国有地であって、東京都は、その無償使用権を有するものにすぎない(一審原告らも、この点は争わない。)。このような東京都の道路敷の使用権は、東京都が道路管理権を適切に行使できるようにするために、国から受けた使用権原であり、したがって、東京都は、都道敷を道路として公共の用に供する義務を負い、本来、都道敷に私権を設定して使用・収益に供し、利益を得るといった権限を有さない性質のものである。そしてこのような国からの使用貸借による東京都の道路敷の使用権は、法二三八条一項四号にいう「地上権、地役権、鉱業権その他これらに準ずる権利」に当たらないと解されるところ、結局法二四二条の二第一項、二四二条一項にいう財産に含まれるものではないから、この無償使用権の対象である道路敷が不法占有されることにより、東京都に不法占有者に対する損害賠償債権、さらには不当利得返還債権等が発生すると解する余地があるとしても、その損害ないし損失は、円滑な道路交通の用に供されるといった公益が妨げられる面はあるとしても、財産的価値の減少という面からみれば、微弱なものでしかなく、右各条にいう財産に該当しないと解される余地は優にあるといえる。 (2) そして、調査の結果、本件自動販売機を含む自動販売機が都道敷にはみ出して設置されている事実が判明しても、現実に東京都が具体的に債権を行使するためには、自動販売機の設置の時期及び経緯、関係者の契約関係などにつき調査をし、道路敷と私有地との境界を確定した上で自動販売機の道路占有面積等を測量することが必要である。また、債務者を、自動販売機の所有者、設置者、占有者などのうちの誰とし、どのような割合で責任を負担させるのか、債務額をどのような基準で算定するのか(地価を考慮した賃料相当 測量することが必要である。また、債務者を、自動販売機の所有者、設置者、占有者などのうちの誰とし、どのような割合で責任を負担させるのか、債務額をどのような基準で算定するのか(地価を考慮した賃料相当額を基準とするのか、占用料相当額を基準とするのか、占用料相当額を基準としても、広告塔に準じるのか、商品置場に準じるのか)などにつき、行政の平等原則、比例原則などに配慮しながら決定しなければならないし、また、債務の性質が不法行為債務なのか、不当利得債務なのか、過去に遡って徴収するとすれば、その期間をどの程度とするのかなど法的にも検討しなければならない問題が多々ある。しかも、現実に都道敷にはみ出し設置されている各種自動販売機の数は極めて多く、この調査や測量には、多数の人員と多額の費用を要し、他の行政需要との均衡を考慮する必要があるうえ、仮に、多額の費用を投じて調査測量、債務者の確定、損害ないし損失金の算定などをしても、現実に回収できる債権額が費用額を下回る可能性も高い場合も往々にあろうものと推察される。 (3) また、一方、小売店や飲食店等が店先の道路上に商品や看板を置いたり、自宅前の道路上に植木鉢や自動車を置いていることなどは、従前から、多数例みられるところである。東京都が、自動販売機を設置して道路を占有する者に対して不法行為債権等を行使するに当たっては、行政の平等原則、比例原則の観点から、これらの事例との均衡に配慮する必要がある。 (4) このような状況のもとに、東京都は、道路上の自動販売機等の不法占有物件の処理につき、基本的には道路法に基づく道路管理権の行使により行うこととし、「東京都道路監察要綱」(昭和六〇年建設局長決定)「監督処分等処理要領」(昭和六〇年建設局長決定)を制定し、これに基づいて運用していた。この運用は、不法占有物件を発見 権の行使により行うこととし、「東京都道路監察要綱」(昭和六〇年建設局長決定)「監督処分等処理要領」(昭和六〇年建設局長決定)を制定し、これに基づいて運用していた。この運用は、不法占有物件を発見後、基本調査及び現場指導、警告、精密調査、聴聞、監督処分、行政代執行又は告発という手続の流れに従って行われるものである(甲第九号証四頁)。 (5) したがって、自動販売機による道路の不法占有の是正措置として、自動販売機一台一台につき、右のような道路管理権限に基づく不法占有物件除去の処理手続を採ることも考えられるし、その他不法行為債権等を行使することも考えられないではないし、さらには、これに先立ちまず、小売店又はその組織団体、あるいは、中身商品の販売業者、又はその組織団体の協カを得て、自発的な是正を求めることにより、結果的には抜本的な是正実現をはかる方法を採るとも合理的、妥当な是正方法であるとも、優に考えられるのである。 (6) このように、右是正措置としては、多様な方法が考えられるのであって、合理的かつ妥当な是正方法があればそれにより是正措置を実行し、右是正されるまでに要する期間につき成立した不法行為債権等があるとしても、東京都が必ずや右不法行為債権等をも行使する方法を採らなければならないとはいえず、裁量の範囲内で、その取立てをしないことが許容される場合もありうる(法二四〇条、法施行令一七一条の五第三号)。 東京都が、今回、中身商品の販売業者又はその組織団体の協力を得て、自発的な是正を求める方法を採用したことは、一応の時間がかかったとしても一定期間内に多数の自動販売機につき、住民の要請、企業の協力を得て、抜本的、全面的な是正をする方法としてむしろ合理的で妥当な措置がとれたものと評価されるものである。 (四) (まとめ)以上にみたとおり、本件 多数の自動販売機につき、住民の要請、企業の協力を得て、抜本的、全面的な是正をする方法としてむしろ合理的で妥当な措置がとれたものと評価されるものである。 (四) (まとめ)以上にみたとおり、本件においては、たとえ東京都が一審被告企業らに対して一審原告ら主張の不法行為債権や不当利得返還債権等を取得していたとしても、(1)これら債権の成立についてはそもそも解釈の分かれるところであり、はみ出し自動販売機の撤去是正を進めている中で、東京都がその債権の行使につき消極に解してこれを行使しなかったことにも、それ相応の根拠・理由があるといえること、(2)はみ出し自動販売機一台一台につき、債務者と考えられる者らを特定するとともにその間の負担割合を決定し、債務額を算定することは、困難である上、費用もかかること、(3)自動販売機以外の事例との均衡を考慮しなければならないこと、(4)自動販売機のはみ出しの是正につき、多様な選択肢があること、(5)今回の是正措置は、東京都の一審被告企業らに対する要請とこれに応えた同企業らの是正努力により、短期間に多数の自動販売機のはみ出しの是正が完了したこと、とりわけ、一審被告企業らが都道敷にはみ出していた自動販売機1、3ないし5を撤去した平成五年一一月当時、同様に都内の道路敷にはみ出していた自動販売機の数は、約三万六〇〇〇台もあったもので(甲第四六号証の一、二)、これらの全部の自動販売機について、自動販売機の所有関係、契約関係や道路敷と私人所有地等との境界等、占有期間等を調査して債権を行使すべき相手方及びその金額を特定することは、実際には困難なうえ、しかも、その手間と煩雑さとともに、費用が多額に及ぶ反面、そのような調査を経て得られる債権額がその費用に満たないものと想定されるものであり、これに対し、本件において、実際にされ 、実際には困難なうえ、しかも、その手間と煩雑さとともに、費用が多額に及ぶ反面、そのような調査を経て得られる債権額がその費用に満たないものと想定されるものであり、これに対し、本件において、実際にされたように、行政指導によって東京都において費用の負担をすることなく、むしろ、一審被告企業ら中身メーカー企業等の協力のもとに費用の一部負担をも得て、結局、東京都内の都道敷に設置されていたはみ出し自動販売機のほとんどが撤去等による是正措置ができ、抜本的に問題の解決をみたものであること、その他前示本件の事実関係のもとでの行使の対象となる権利の性質、自動販売機撤去に至る経緯等に鑑みると、東京都が一審被告企業らに対して一審原告ら主張の不法行為債権又は不当利得返還債権を行使しなかったからといって、その不行使が法二四二条一項にいう違法な財産の管理又は財産の管理を違法に怠る事実に当たっているということはできないものというべきである。そうすると、右怠る事実があることを前提として法二四二条の二第一項四号に基づき東京都に代位して一審被告企業らに対してする自動販売機1、3ないし5に係る損害賠償金の支払又は不当利得金の返還を求める一審原告らの本訴請求は、その余の点について判断するまでもなく、理由がないことに帰する。 第四結論以上によれば、原判決中、一審原告らの一審被告知事に対する本件訴えを却下した部分及び一審原告らの一審被告企業らに対する本件訴えのうち、自動販売機2及び6に係る部分を却下した部分は相当であり、また、原判決中、一審原告らの一審被告企業らに対する本訴請求の一部を認容した部分は不当である。 よって、一審原告らの控訴は理由がないのでこれを棄却することとし、また、一審被告企業らの控訴に基づいて、原判決中の右不当な部分を取り消し、右部分に係る一審原告らの請求 認容した部分は不当である。 よって、一審原告らの控訴は理由がないのでこれを棄却することとし、また、一審被告企業らの控訴に基づいて、原判決中の右不当な部分を取り消し、右部分に係る一審原告らの請求を棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第一二民事部裁判長裁判官伊藤瑩子裁判官鈴木敏之裁判官橋本昇二
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