平成14(わ)143 贈賄被告

裁判年月日・裁判所
平成14年6月28日 前橋地方裁判所
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判決文本文1,691 文字)

平成14年6月28日宣告平成14年(わ)第143号贈賄被告事件判決 主文 被告人を懲役10月に処する。 未決勾留日数中30日をその刑に算入する。 この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。 理由 (犯罪事実)被告人は,A市議会議員在職中の,平成11年5月14日施行の同市議会議長選挙に際し,自己の当選を得ようとしていた者であるが,同年4月下旬ころ,群馬県高崎市a町b番地c所在のB方において,同市議会議員として同議長選挙において投票を行う職務を有する同人に対し,同議長選挙の際には自己に投票するとともに他の同市議会議員に自己への投票を働きかけてもらいたい趣旨のもとに現金50万円の供与を申し込み,もって上記Bの職務に関して賄賂の申込みをしたものである。 (法令の適用)該当罰条刑法198条刑種の選択懲役刑未決勾留日数の算入同法21条刑の執行猶予同法25条1項(量刑の理由)本件は,A市議会議員であった被告人が,同市議会議長選挙に当選しようとして,同市議会の最大会派の会長に現金50万円の賄賂の申込みをしたという事案である。 市議会議員は,その職務の性質上,公正さが強く求められるところ,被告人は,市議会議長になることは「男の勲章」であり,地域住民に対して格好いいところを見せることができるなどという真に幼稚な目的から,議長に就任することを望み,かつ,A市議会では従前から事実上,議長は保守会派に所属する当選4期以上の議員のなかから選任されており,被告人は6期目の当選を果たしたことから議長就任を強く望み,本件犯行に及んだものであって,その動機に酌量の余地は 従前から事実上,議長は保守会派に所属する当選4期以上の議員のなかから選任されており,被告人は6期目の当選を果たしたことから議長就任を強く望み,本件犯行に及んだものであって,その動機に酌量の余地は全くない。また,被告人は,平成8年にも市議会議長選挙を巡って厳しい社会的批判を受けたにもかかわらず,本件犯行に至ったものであり,規範意識の鈍磨も甚だしい。 被告人の本件犯行は,市民の市議会に対する信頼を裏切るものであり,その社会的影響のみならず,公正に職務を遂行している他の市議会議員に与える影響も大きいものがある。 以上によれば,被告人の刑事責任は決して軽いものではないが,被告人は捜査段階から事実を素直に認め,反省の態度が窺われること,これまで多年にわたり地域社会のために貢献してきたこと,今回の犯行の発覚により市議会議員を辞職しており,社会的制裁も受けていること,被告人の息子らが寛大な処分を嘆願していることなど被告人のために斟酌すべき事情も認められる。 そこで,これらの一切の事情を総合考慮し,被告人を主文の刑に処するのが相当と判断する。 なお,弁護人は,被告人と同じA市議会の現職の議長であった議員が,本件と同様の贈賄罪で検挙されたにもかかわらず,略式手続による罰金刑に処せられていることから,被告人にも罰金刑をもって処断すべきであると主張している。 しかしながら,本件は贈賄罪といっても,議員が議長になるために同僚の議員に現金の供与を申し込んだという極めて悪質な事案であって,罰金刑を選択する余地はないものと考える。弁護人指摘の議長であった議員が略式手続で罰金刑になった理由は当裁判所において必ずしも明らかでないが(供与申し込みの額が10万円であることだけが理由とは考えがたい),検察官は,収集した捜査資料に基づき,起訴についての広範な裁量を有しており,本 になった理由は当裁判所において必ずしも明らかでないが(供与申し込みの額が10万円であることだけが理由とは考えがたい),検察官は,収集した捜査資料に基づき,起訴についての広範な裁量を有しており,本件においてもそうした裁量に基づく処理がなされたものと推認せざるをえない。したがって,弁護人の主張を採用することはできない。 (求刑懲役10月)(公判出席検察官関夕三郎私選弁護人高橋勝男)平成14年6月28日前橋地方裁判所刑事部裁判官長谷川憲一

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