令和7年3月11日判決言渡令和4年(行ウ)第581号法人税更正処分等取消請求事件 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求α税務署長が令和3年5月28日付けで原告に対してした別紙処分目録記載の各処分をいずれも取り消す。 第2 事案の概要(以下に摘示する法人税法及び消費税法の各規定は、それぞれ別 表1記載のものをいう。) 1 事案の骨子原告は、委託を受けて青果物及びその加工品等の仲卸業者等への販売等を行う卸売業者であるところ、本件各事業年度の法人税及び本件各課税事業年度の地方法人税の各確定申告において、仲卸業者等に対する実際の販売価格(以下 「実販売価格」という。)と、売買仕切書等に記載した仲卸業者等に対する販売価格(実販売価格よりも高い価格であり、委託者にはこの価格からこれに対する委託手数料を控除した金額を支払っていた。以下「増仕切価格」という。) との差額(以下「本件売上雑損」という。)を、損金の額に算入した。 また、原告は、本件各課税期間の消費税及び地方消費税(以下、消費税及び地 方消費税を併せて「消費税等」という。)の各確定申告において、本件売上雑損に係る消費税に相当する額を、「売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額」(消費税法38条1項)として課税標準額に対する消費税額から控除した。 α税務署長は、原告に対し、本件売上雑損から増仕切価格に対する委託手数 料と実販売価格に対する委託手数料との差額を控除した金額(以下「本件差額」 という。)は「寄附金の額」(法人税法37条7項)に該当するから損金の額に算入することができず、また、本件売上雑損は「売上げに係る対価の返還等」に該当しない 控除した金額(以下「本件差額」 という。)は「寄附金の額」(法人税法37条7項)に該当するから損金の額に算入することができず、また、本件売上雑損は「売上げに係る対価の返還等」に該当しないから本件売上雑損に係る消費税に相当する額を課税標準額に対する消費税額から控除することはできないなどとして、本件各事業年度の法人税、本件各課税事業年度の地方法人税及び本件各課税期間の消費税等について、そ れぞれ更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分(別紙処分目録記載の各処分。以下、併せて「本件各処分」という。)をした。 本件は、原告が、被告を相手に、本件各処分(更正処分については申告額を超える部分)の取消しを求める事案である。 2 関係法令の定め ⑴ 法人税法の定め法人税法37条1項は、内国法人が各事業年度において支出した寄附金の額(所定の額を除く。)の合計額のうち、その内国法人の当該事業年度終了の時の資本金等の額又は当該事業年度の所得の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額(以下「損金算入限度額」という。)を超える 部分の金額は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない旨を規定する。 同条7項は、同条1項に規定する寄附金の額は、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもってするかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与(広告宣伝及び見本品の費用その他 これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものを除く。)をした場合における当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額によるものとする旨を規定する。 ⑵ 消費税法の定め ア消費税法30条1項1 る当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額によるものとする旨を規定する。 ⑵ 消費税法の定め ア消費税法30条1項1号は、事業者が国内において行う課税仕入れにつ いては、当該課税仕入れを行った日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から、当該課税期間中に国内において行った課税仕入れに係る消費税額(当該課税仕入れに係る支払対価の額に108分の6.3を乗じて算出した金額をいう。)を控除する旨を規定する。 同条6項は、同条1項に規定する課税仕入れに係る支払対価の額とは、 課税仕入れの対価の額(対価として支払い、又は支払うべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額とし、当該課税仕入れに係る資産を譲り渡し、若しくは貸し付け、又は当該課税仕入れに係る役務を提供する事業者に課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額がある場合に は、当該相当する額を含む。)をいう旨を規定する。 イ消費税法38条1項は、事業者が国内において行った課税資産の譲渡等につき、返品を受け、又は値引き若しくは割戻しをしたことにより、当該課税資産の譲渡等の対価の額(対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額とし、 課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額を含まないものとする。)と当該対価の額に100分の8を乗じて算出した金額との合計額(以下「税込価額」という。)の全部若しくは一部の返還又は当該課税資産の譲渡等の税込価額に係る売掛金その他の債権の額の全部若しくは 一部の 対価の額に100分の8を乗じて算出した金額との合計額(以下「税込価額」という。)の全部若しくは一部の返還又は当該課税資産の譲渡等の税込価額に係る売掛金その他の債権の額の全部若しくは 一部の減額(以下「売上げに係る対価の返還等」という。)をした場合には、当該売上げに係る対価の返還等をした日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から当該課税期間において行った売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額(当該返還をした税込価額又は当該減額をした債権の額に108分の6.3を乗じて算出した金額をいう。) の合計額を控除する旨を規定する。 3 前提事実(証拠等を掲記した事実を除いて、当事者間に争いがない。)⑴ 原告原告は、青果物及びその加工品等の販売及び販売の受託等を目的とする株式会社である(乙10)。 ⑵ 原告による取引の概要等 原告は、大阪市A市場(以下「本件市場」という。)において、卸売業者として、生産者から青果物等の販売委託を受けた全国農業協同組合連合会(以下「全農」という。)並びに都道府県単位の農業協同組合連合会及び農業協同組合(以下、併せて「本件各取引先」という。)から更に販売の委託を受けて当該青果物等を仲卸業者及び売買参加者に販売するという取引(以 下「委託販売取引」といい、仲卸業者等に対する販売を委託された商品を「受託商品」ということがある。)を行っている。 卸売市場法(平成30年法律第62号による改正前のもの)の委任を受けて定められた大阪市A市場業務条例(昭和46年大阪市条例第40号。平成31年大阪市条例第37号による改正前のもの。以下「市条例」という。乙 13)41条は、卸売業者は、市場における卸売のための販売の委託の引受けについて受託契約約款を定め、市長の 第40号。平成31年大阪市条例第37号による改正前のもの。以下「市条例」という。乙 13)41条は、卸売業者は、市場における卸売のための販売の委託の引受けについて受託契約約款を定め、市長の承認を受けなければならない旨を規定するところ、原告の受託契約約款(以下「本件約款」という。乙14)1条は、原告が本件市場において行う卸売のための販売の委託の引受けは、同法、市条例等によるほか、委託者との間に特約のない限り、本件約款による ものと定めている。そして、市条例、本件約款及び原告と全農との間の売買基本契約書(以下「本件基本契約書」という。乙12)においては、①原告は、受託商品を仲卸業者等に販売した後直ちに、本件各取引先に対し、㋐品目、㋑等階級等ごとの販売数量、販売単価及び販売価格(販売数量と販売単価の積。以下同じ。)、㋒販売数量の合計並びに販売価格の合計等を記載し た売買仕切書のデータを送信して販売に係る報告を行い(市条例52条1項、 2項、本件約款25条、本件基本契約書7条、8条)、②本件各取引先は、受託商品の販売価格から委託手数料等を控除した金額の支払を受けることとされており(本件約款26条、本件基本契約書9条)、また、③委託手数料の額は、原告が本件各取引先からの販売委託を受けて販売する受託商品の販売価格(税込)に取扱品目ごとに定められた委託手数料率(果実及びその加 工品は7%、野菜及びその加工品は8.5%)を乗じて得た額とすることとされている(市条例53条1項、本件約款23条、本件基本契約書11条)。 なお、本件約款においては、本件各取引先は、受託商品の販売について、所定の時期までに原告に通知する方法により指値その他の条件を付けることができるとされている(17条1項)。 平成27年4月1日から平 約款においては、本件各取引先は、受託商品の販売について、所定の時期までに原告に通知する方法により指値その他の条件を付けることができるとされている(17条1項)。 平成27年4月1日から平成31年3月31日までの間に原告が本件各取引先に送信した売買仕切書等の一部には、受託商品の販売価格として、実販売価格より高額な増仕切価格が記載されているところ、このように売買仕切書等において増仕切価格が販売価格とされている委託販売取引(以下「増仕切取引」という。)において、原告は、本来であれば、実販売価格からこれ に対する委託手数料の金額を控除した金額の金員を本件各取引先に支払うべきところ、増仕切価格からこれに対する委託手数料の金額を控除した金額の金員を本件各取引先に支払っていた(原告は、本件各取引先に対し、本来支払うべき金額に加えて、増仕切価格と実販売価格との差額から、増仕切価格に対する委託手数料と実販売価格に対する委託手数料との差額を控除した金 額(本件差額)を含む額を支払い、これにより、本件差額を負担していたこととなる。)。 ⑶ 本件各処分に至る経緯ア法人税及び地方法人税について(ア) 原告は、α税務署長に対し、本件各事業年度の法人税及び本件各課税 事業年度の地方法人税について、別表2-1及び2-2の各「確定申告」 欄のとおり記載した青色の各確定申告書を、いずれも法定申告期限までに提出した。 原告は、上記各申告書において、本件売上雑損を損金の額に算入した(乙2~5)。 (イ) α税務署長は、令和3年5月28日付けで、原告に対し、本件差額 は「寄附金の額」(法人税法37条7項)に該当するなどとして、別表2-1及び2-2の各「更正処分等」欄記載のとおり、①本件各事業年度の法人税の各更正処分及び 28日付けで、原告に対し、本件差額 は「寄附金の額」(法人税法37条7項)に該当するなどとして、別表2-1及び2-2の各「更正処分等」欄記載のとおり、①本件各事業年度の法人税の各更正処分及びこれに伴う過少申告加算税の各賦課決定処分、②本件各課税事業年度の地方法人税の各更正処分及びこれに伴う過少申告加算税の賦課決定処分をした(甲1の1~1の8)。 イ消費税等について(ア) 原告は、α税務署長に対し、本件各課税期間の消費税等について、別表2-3の各「確定申告」欄のとおり記載した各確定申告書を、いずれも法定申告期限までに提出した。 原告は、上記各申告書において、増仕切価格に対する委託手数料を消 費税の課税標準額に計上するとともに、本件売上雑損に係る消費税相当額を、「売上げに係る対価の返還等の金額」(消費税法38条1項)に係る消費税額として課税標準額に対する消費税額から控除した (乙6ないし9) 。 (イ) α税務署長は、令和3年5月28日付けで、原告に対し、本件売上 雑損は「売上げに係る対価の返還等の金額」(消費税法38条1項)に該当しないとして、別表2-3の各「更正処分等」欄記載のとおり、本件各課税期間の消費税等の各更正処分及びこれに伴う過少申告加算税の各賦課決定処分をした(甲1の9~1の12)。 ⑷ 審査請求及び裁決 原告は、令和3年8月23日、国税不服審判所長に対し、本件各処分を不 服として、審査請求をしたが、国税不服審判所長は、令和4年7月1日付けで、原告に対し、上記審査請求をいずれも棄却する旨の裁決をした(甲2)。 ⑸ 本件訴えの提起原告は、令和4年12月29日、本件訴えを提起した(顕著な事実)。 4 本件各処分に係る課税の根拠及び計算 をいずれも棄却する旨の裁決をした(甲2)。 ⑸ 本件訴えの提起原告は、令和4年12月29日、本件訴えを提起した(顕著な事実)。 4 本件各処分に係る課税の根拠及び計算 被告が主張する本件各事業年度における法人税の所得金額及び納付すべき法人税額等、本件各課税事業年度における地方法人税の課税標準となる法人税額及び納付すべき地方法人税額等は、別表3ないし5のとおりであり、本件各課税期間における消費税等の課税標準額及び納付すべき消費税額等は、それぞれ別表6-1ないし7-3記載のとおりであって、本件各処分のうち、法人税、 地方法人税及び消費税等に係る各更正処分におけるこれらの額と同額であり、また、被告が主張する上記各更正処分に伴って原告に課されるべき過少申告加算税の額は、本件各処分のうち過少申告加算税の各賦課決定処分における額と同額であるところ、原告は、後記5の争点に係る部分を除いて、これらを争うことを明らかにしない。 5 争点及び争点に関する当事者の主張⑴ 本件差額が「寄附金の額」(法人税法37条7項)に当たるか否か(争点1)(被告の主張)「寄附金の額」(法人税法37条7項)とは、民法上の贈与に限らず、経 済的にみて贈与と同視し得る金銭その他の資産の譲渡又は経済的な利益の供与、すなわち、①金銭その他の資産又は経済的な利益を対価なく他に移転する場合であって、②その行為について通常の経済的取引として是認することができる合理的な理由が存在しないものを指すと解するのが相当である。そして、同項の趣旨に照らせば、客観的に見て費用としての性質が明白であり 明確に区別し得るものは、「寄付金の額」に該当しないものとしてその全額 を損金の額に算入することができると解されるものの、客 の趣旨に照らせば、客観的に見て費用としての性質が明白であり 明確に区別し得るものは、「寄付金の額」に該当しないものとしてその全額 を損金の額に算入することができると解されるものの、客観的にみて費用性が明白であることを基礎付ける事情が存在し、上記②の合理的な理由が存在することの立証は、「寄付金の額」該当性を争う者が負担すべきである。 本件約款及び本件基本契約書には原告が本件差額を負担する根拠となる定めはなく、また、本件各取引先が原告に対して伝える価格は指値ではないか ら、原告は商法554条により本件差額を負担しているものでもないのであって、原告が本件差額を負担する法的根拠は存在しない。また、本件各取引先は、原告に対し、受託商品の販売価格の希望を伝えることはあっても、本件差額の負担の要請やその合意をしたことはなく、増仕切取引においても、当該取引が増仕切取引であり、原告が本件差額を負担していることを認識し ていなかったのであって、本件差額は、原告が任意に負担していたものである。したがって、増仕切取引における原告による本件差額の負担は、対価的意義を有する反対給付を受けることなく、本件各取引先に対し一方的に経済的利益を与えるものであって、上記①の金銭その他の資産又は経済的な利益を対価なく他に移転する場合に当たる。 また、原告が本件差額を負担することによる効果は明らかではなく、原告は、取引を継続してもらえるのではないかという一方的な期待又は取引先を喪失するのではないかという一方的な危惧感から、漫然と本件差額の負担をし、合理的な基準もないまま、その負担の要否や額を原告のさじ加減で決定していたのであるから、上記②の通常の経済的取引として是認する ことができる合理的な理由は存在しない。 し 担をし、合理的な基準もないまま、その負担の要否や額を原告のさじ加減で決定していたのであるから、上記②の通常の経済的取引として是認する ことができる合理的な理由は存在しない。 したがって、本件差額は、「寄附金の額」に該当する。 (原告の主張)原告は、本件各取引先の一部の担当者との日々のやり取りの中で、販売委託を受けた青果物等が目標とする金額で販売できなかった場合に、当該金額 と実販売価格との差額等を補填するよう要請を受け、当該取引先から青果物 等の出荷を停止されることを防ぎ、継続的な集荷という役務の提供を対価として得るため、当該取引先との明示又は黙示の合意により、本件差額を負担していた(具体的には、当該取引先から事前に価格指定がされ、原告において交渉を断念して補填をすることとし、又は仲卸業者等に対する販売をした後に当該取引先との間で交渉をするなどしていた。)。原告による本件差額 の負担は、当該取引先から継続的に集荷をするために行われるものであり、「寄附金」に当たるとされていない出荷奨励金や完納奨励金の支払と同様に、経済合理性を有するものである。全国の卸売業者においても、農業協同組合等から、販売委託に係る青果物等が目標とする金額で販売できなかった場合に、当該金額と実販売価格との差額等を補填するよう要請を受け、継続的に 青果物等の出荷をしてもらうため、上記のような補填をしており、原告が本件各取引先と合意をして本件差額を負担していたことは、このような全国的な業界慣行の存在からも裏付けられる。 そして、原告は、本件各取引先からの上記の要請を拒否することにより、現に取引関係を消失し又は終了を示唆されたこともあった。 これらの事情からすれば、原告は、本件差額を負担することによ そして、原告は、本件各取引先からの上記の要請を拒否することにより、現に取引関係を消失し又は終了を示唆されたこともあった。 これらの事情からすれば、原告は、本件差額を負担することにより、継続的な青果物等の出荷という対価を得ているものであり、上記の負担につき、通常の経済的取引として是認することができる合理的な理由が存在することは、明らかである。 したがって、本件差額は、「寄附金の額」に該当しない。 ⑵ 本件売上雑損に係る消費税額が消費税法38条1項又は同法30条1項により本件各課税期間の課税標準額に係る消費税額から控除されるか否か(争点2)(被告の主張)本件売上雑損は、増仕切価格に基づく売上高の金額と実際の取引価格に基 づく売上高の金額との差額を原告の判断で補填したものにすぎず、本件各取 引先から受領した委託手数料の税込価額についての売上げに係る対価の返還等を内容とするものではないから、本件売上雑損は、「売上げに係る対価の返還等の金額」(消費税法38条1項)に当たらない。 また、本件売上雑損は、前記⑴のとおり、原告が本件各取引先に対して一方的に与える経済的利益であって、本件各取引先が原告に対して何らかの反 対給付を行うことの対価ではないから、「課税仕入れに係る支払対価の額」(消費税法30条1項)に当たらない。 したがって、上記各規定により、本件売上雑損に係る消費税額を、本件各課税期間の課税標準額に対する消費税額から控除することはできない。 (原告の主張) 原告は、前記⑴のとおり、本件各取引先との間の交渉を経て、本件各取引先からの継続的な出荷を確保するために本件売上雑損を負担しているものであるから、本件売上雑損と継続的な出荷(青果物等の出荷先として原告を選定する のとおり、本件各取引先との間の交渉を経て、本件各取引先からの継続的な出荷を確保するために本件売上雑損を負担しているものであるから、本件売上雑損と継続的な出荷(青果物等の出荷先として原告を選定するという役務提供)との間には関連性があるといえ、本件売上雑損には消費税法上の対価性があるといえる。 したがって、本件売上雑損に係る消費税額は、「売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額」(消費税法38条1項)又は「課税仕入れに係る消費税額」(同法30条1項)として、本件各課税期間の課税標準額に係る消費税額から控除されることとなる。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(本件差額が「寄附金の額」(法人税法37条7項)に当たるか否か)について⑴ 判断枠組み法人税法37条1項は、内国法人が各事業年度において支出した寄附金の額の合計額のうち、損金算入限度額を超える部分の金額は、当該内国法人の 各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない旨を規定してい る。また、同条7項は、上記寄附金の額は、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもってするかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与をした場合における当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額によるものとする旨を規定している。 このように、法人税法が一定額を超える寄附金を損金の額に算入しない旨の制度(損金算入限度額の制度)を採用しているのは、法人が支出した寄附金の全額を金額の制限なく損金の額に算入するとすれば、国の財政収入の確保を阻害し、課税の公平を害することとなる一方で、法人が支出する寄附金の中には法人の収益を生み出すのに必要な費用としての性質を有す 金の全額を金額の制限なく損金の額に算入するとすれば、国の財政収入の確保を阻害し、課税の公平を害することとなる一方で、法人が支出する寄附金の中には法人の収益を生み出すのに必要な費用としての性質を有するものも あるところ、寄附金は、反対給付がない上、個々の寄附金の支出が当該法人の事業に直接関連があるものであるか否かが明確ではなく、これを区別することが困難であることを踏まえ、統一的な損金算入限度額を設け、その範囲に限り寄附金の損金算入を認めることとしたものと解される。 以上のような寄附金の損金算入限度額の制度の趣旨からすれば、同項に定 める「寄附金」とは、民法上の贈与に限らず、経済的にみて贈与と同視し得る金銭その他の資産の譲渡又は経済的な利益の供与をいうものと解すべきであり、ここにいう「経済的にみて贈与と同視し得る金銭その他の資産の譲渡又は経済的な利益の供与」とは、①金銭その他の資産又は経済的な利益を対価なく他に移転する場合であって、②その行為について通常の経済的取引と して是認することができる合理的な理由が存在しないものを指すと解するのが相当である。 ⑵ 認定事実ア前記前提事実に加え、後掲の各証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実を認めることができる。 (ア) 原告は、本件市場において、本件各取引先から委託を受けて青果物等 を仲卸業者等に販売するという委託販売取引を行っている(前記前提事実⑵)。 委託販売取引において、卸売業者と仲卸業者等との間の取引は、一般的に、せり売り若しくは入札の方法又は相対による取引(卸売業者と仲卸業者等が個別に行う売買取引)があるところ(市条例34条、乙1 5)、原告が仲卸業者等との間で行う取引は、そのほとんどが相対による取引であった(乙17、21、証人B 対による取引(卸売業者と仲卸業者等が個別に行う売買取引)があるところ(市条例34条、乙1 5)、原告が仲卸業者等との間で行う取引は、そのほとんどが相対による取引であった(乙17、21、証人B)。 (イ) 原告が行っていた委託販売取引の概要は、次のとおりである。 原告の担当者は、本件市場における販売日の約1ないし2週間前から、仲卸業者等やその取引先である量販店と話し合い、販売単価を仮決 めする。 原告の担当者は、仮決めしてあった販売単価を基に、販売日の午前8時頃から、本件各取引先に対し、「見込み販売単価はこれくらいになりそうだ」、「400円から450円ぐらいで売れそうだ。」などと伝える場合があり、この場合において、本件各取引先の反応に特に問題がな いと考えるときは、仮決めしてあった販売単価を実際の販売単価とし、本件各取引先から希望価格を伝えられ又はそれを伝えられてはいないもののその反応が芳しくないときは、仲卸業者等との間で、仮決めしてあった販売単価の見直しを交渉し、その交渉後の販売単価について更に本件各取引先の反応をみるなどして、原告の担当者が、本件差額を負担す るか、負担する場合にいくら負担するかを決め、本件差額を負担する場合には上長の了承を得る。なお、原告において、本件差額を負担するかどうかの判断基準や計算根拠は存在しない。 また、原告の担当者は、本件各取引先から事前に仲卸業者への販売単価の希望価格(指値ではない。)を伝えられることがあるところ、仲卸 業者等との間で仮決めをしてあった販売単価と差がある場合や、仲卸業 者等がその価格では取引に応じない場合には、原告の担当者が、上記同様に、本件差額を負担するか、負担する場合にいくら負担するかを決め、本件差額を負担する場合には上長の了承を得 合や、仲卸業 者等がその価格では取引に応じない場合には、原告の担当者が、上記同様に、本件差額を負担するか、負担する場合にいくら負担するかを決め、本件差額を負担する場合には上長の了承を得る。なお、原告が本件各取引先から上記のように事前に希望価格が伝えられる例は多くなく、また、事前に希望価格が伝えられ、それが実販売価格と異なる場合であ っても、原告は本件差額を負担しないことがある。 そして、上長から本件差額を負担することについて了承が得られた場合、原告の担当者は、増仕切価格(本件各取引先から事前に伝えられた希望価格とは一致する場合もあれば、それよりも低い場合もある。)を記載した本件差額を負担することに係る集荷対策差損負担稟議書によ り、担当役員の承認を得た後、販売日の午後3時から4時までの間に、原告のシステム上で販売確定を行い(仲卸業者等との間で仮決めしてあった販売単価は、販売日の出荷状況や相場の状況により変わるときもあり、上記販売確定まで(販売日の午後4時頃まで)は変動の余地がある。)、この販売確定に係るデータを基に、本件各取引先に売買仕切書 のデータを送信し、又はこれに代えて本件各取引先との間で取引情報を交換するシステムを利用して、販売に係る報告を行う。なお、原告は、増仕切取引において、本件各取引先に対し、本件差額を負担したことやその金額を伝えておらず、本件各取引先が本件差額の負担により出荷数量を増やすことを約したこともない。(以上につき、甲40~42、5 0、乙17、21~25、証人B(ただし、上記認定に反する部分を除く。))イ事実認定の補足説明(ア) ①原告は、本件各取引先の一部から、本件差額を原告において負担するよう要請を受け、当該取引先との間で、上記の負担に係る明示又は黙 に反する部分を除く。))イ事実認定の補足説明(ア) ①原告は、本件各取引先の一部から、本件差額を原告において負担するよう要請を受け、当該取引先との間で、上記の負担に係る明示又は黙 示の合意が成立し、この合意に基づいて本件差額を負担していた旨や、 ②上記の要請は強制力があるものであり、原告は、上記の要請に応じなかったことにより、取引関係を消失し又は終了を示唆された事例がある旨を主張するが、次の理由により、これらの事実は認定しなかった(なお、その余の原告の主張する事実については、後記⑶及び⑷において検討する。)。 (イ)a まず、上記①の事実が認められるか否かについて検討すると、原告は、この点に関する証拠として、甲第4号証の1ないし15を提出し、また、証人Bの証言及び同人作成の陳述書(甲50)は、この点に係る原告の主張に沿う部分がある。 b しかしながら、甲第4号証の1ないし15によっても、本件各取 引先が、原告に対し、受託商品の販売価格に関する希望を伝えたことが認められるにとどまり、本件各取引先が原告に対して伝えた受託商品の販売価格で仲卸業者等に販売することができない場合に原告において本件差額を負担することを要請したことまでは認められない。 c 証人Bは、原告と本件各取引先との間で、仲卸業者等に対する販売 価格について合意をし、その価格に仲卸業者等に対する販売価格が満たない場合にはできる限り原告においてその差額を負担する旨の証言等をするが、これを裏付ける客観的証拠はないし、乙17(原告代表者の質問応答記録書)にも、原告の担当者が仲卸業者等に対する販売価格について合意をする旨の記載はない。また、証人Bは、上記の証 言等をする一方で、本件各取引先の担当者から本件差額を負担す 代表者の質問応答記録書)にも、原告の担当者が仲卸業者等に対する販売価格について合意をする旨の記載はない。また、証人Bは、上記の証 言等をする一方で、本件各取引先の担当者から本件差額を負担するよう明示的に要請をされる旨の証言等はしていない。 さらに、証人Bは、原告が本件各取引先に対して仲卸業者等に対する販売価格並びに原告が本件差額を負担したか否か及び負担した場合におけるその金額を伝えた旨や、本件各取引先において原告の仲卸業 者等に対する販売価格を把握する手段がある旨の証言等はしておら ず、本件各取引先の担当者において、売買仕切書等上の販売価格と市況等との比較により、原告が本件差額を負担したか否かや負担した場合におけるその金額の察しが付くことを推測する内容の証言等をするにとどまる。そうすると、証人Bの証言等によっても、本件各取引先は、個別の取引について、原告において本件差額を負担したか否か (当該取引が増仕切取引か否か)自体、認識していたと認めることはできず、また、負担した場合におけるその金額についても、認識していたと認めることはできない。 したがって、証人Bの証言等によっても、原告と本件各取引先との間において、原告に対して伝えた受託商品の販売価格で仲卸業者等に 販売することができない場合に原告が本件差額を負担することに係る合意が明示的に又は黙示的に成立したと認めることはできない(なお、原告は、本件各取引先の担当者は、本件差額の負担を原告に要請することが私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律に違反するために、上記の要請をした旨の供述等をしていないものであり、そ の供述は信用性がないなどと主張するが、以上に説示したとおり、証人Bの証言等によっても、本件各取引先の担当者が本件差額の負担を るために、上記の要請をした旨の供述等をしていないものであり、そ の供述は信用性がないなどと主張するが、以上に説示したとおり、証人Bの証言等によっても、本件各取引先の担当者が本件差額の負担を原告に要請していたものと認めることはできないのであるから、原告の主張する事情は、上記の認定を左右するものではない。)。 d そして、ほかに上記①の事実を認めるに足りる証拠はないから、上 記①の事実を認めることはできない。 (ウ)a 次に、上記②の事実については、原告は、この点に係る主張に沿う証拠として、甲第48号証及び甲第49号証を提出し、また、証人Bも、上記主張に沿う証言等をする。 しかしながら、上記各証拠によって、原告が本件各取引先に売買仕 切書等により報告した仲卸業者等に対する販売価格が低いとして取引 関係を消失し又は終了を示唆された事実を認める余地はあるとしても、その証言等の内容からは、上記の消失等の原因が原告において本件差額の負担をしなかったことにあるのかまでは明らかでない。このことに加え、上記(イ)のとおり、本件各取引先が、個別の取引に関し、原告において本件差額を負担していたか否か及びその金額を認識 していたと認めることはできないことにも鑑みれば、上記の消失等の原因が、原告において本件差額を負担しなかったことにあると認めることはできない。 b また、原告は、上記②に関し、原告が仲卸業者等に対する販売を終え、仲卸業者等との間の販売価格が確定した後に、本件各取引先との 間で交渉をするのは、本件各取引先が本件差額を負担するよう強制力のある要請をしているためである旨を主張し、この点に係る証拠として、集荷対策差損負担稟議書(甲30の1ないし30の196)を提出する。 上記各稟議書には、本件 取引先が本件差額を負担するよう強制力のある要請をしているためである旨を主張し、この点に係る証拠として、集荷対策差損負担稟議書(甲30の1ないし30の196)を提出する。 上記各稟議書には、本件各取引先との「交渉時期」欄に仲卸業者等 に対する販売日及び午前8時から午後3時までの間の時刻が記載され、「販売結果」欄には、同日の販売において「産地要請価格での販売が達成できず、集荷確保のため、産地仕切金額と販売金額との差額(中略)について会社負担で処理する。」と記載されているところ、この記載によっても、本件各取引先が原告に対し本件差額を負担する よう要請したものと認めることはできない。 また、前記ア(イ)のとおり、乙第17号証(原告代表者の質問応答記録書)によれば、上記「交渉時期」欄に記載された時刻の時点では仲卸業者等に対する販売価格は変動の余地があることが認められ、原告が販売日に本件各取引先から希望価格を伝えられた場合であって も、本件差額を負担するか否か、負担する場合にいくら負担するか は、飽くまでも原告が任意に決めているのであって、本件差額を負担しない場合もあることが認められることからすれば、原告が主張する交渉については、本件各取引先としては、飽くまでも仲卸業者等に対する販売価格に係る交渉をしているものと認めることができる。 そうすると、原告と本件各取引先との間で販売日にそのような交渉 がされているとしても、そのことから、本件各取引先から原告に対して本件差額を負担するよう要請があったとか、その要請に強制力があったと認めることはできない。 c そして、ほかに上記②の事実を認めるに足りる証拠はないから、上記②の事実を認めることはできない。 ⑶ 本件差額が金銭その他の資産又は経済 あったと認めることはできない。 c そして、ほかに上記②の事実を認めるに足りる証拠はないから、上記②の事実を認めることはできない。 ⑶ 本件差額が金銭その他の資産又は経済的な利益を対価なく他に移転するものであるか否かについて本件差額は、原告が、仲卸業者等に対して増仕切価格という実販売価格とは異なる架空の販売価格で青果物等を販売したことを前提に、本件各取引先に対して支払われるものであるところ(前記前提事実⑵)、原告は本件各取 引先から仲卸業者等に対する販売単価について指値として指定されたことはないのであって(前記⑵ア(イ))、市条例等の法令、本件約款及び本件基本契約書に原告が本件差額を負担する根拠となる定めは存在せず(前記⑵ア(イ)、乙12~14)、前記⑵イ(イ)のとおり、原告が本件各取引先との間の個別的な合意に基づいて本件差額を負担していたとも認められない。 そして、前記⑵ア(イ)及びイ(ウ)のとおり、本件各取引先が原告に対し本件差額を負担するよう要請したものと認めることはできず、また、原告において本件差額を負担するか否かの判断や負担する場合の額の基準は存在せず、本件差額の負担の要否及び負担する場合におけるその額の判断は、飽くまでも原告に委ねられ、本件各取引先は、原告がどの取引でどの程度の本件差額 を支払っているかを具体的に認識していなかったものである。 そうすると、原告による本件差額の負担が、本件各取引先による継続的な出荷その他の何らかの役務の提供等と対価関係にあったものとは認めることはできず、本件全証拠を検討しても、本件差額が何らかの対価を得て本件各取引先に支払われたことをうかがわせる事情は見当たらない。 したがって、本件差額は、金銭その他の資産又は経 とは認めることはできず、本件全証拠を検討しても、本件差額が何らかの対価を得て本件各取引先に支払われたことをうかがわせる事情は見当たらない。 したがって、本件差額は、金銭その他の資産又は経済的な利益を対価なく 他に移転するものであるといえる。 ⑷ 本件差額の支払に通常の経済的取引として是認することができる合理的な理由が存在しないといえるか否かについてア前述のとおり、本件各取引先が原告に対し本件差額を負担するよう要請したものと認めることはできず、また本件差額の負担の要否及び負担する 場合におけるその額の判断は、飽くまでも原告に委ねられ、さらに、本件各取引先は、原告がどの取引でどの程度の本件差額を支払っているかを具体的に認識していなかったことからすれば、本件各取引先において、原告における本件差額の負担を理由に、原告に対する出荷の継続等の何らかの便宜を図る前提を欠くものといわざるを得ない。 そうすると、仮に、原告において、本件差額の支払により、本件各取引先が原告に対する出荷を継続するなどの便宜を図ることを期待していたとしても、その期待は主観的なものといわざるを得ず、原告がそのような期待をしていることをもって、本件差額の支払に通常の経済的取引として是認することができる合理的な理由があるということはできない。 そのほか、全証拠を検討しても、本件差額の支払に、上記合理的な理由があることをうかがわせる事情は見当たらない。 したがって、本件差額の支払に、上記合理的な理由があるということはできない。 イ(ア) これに対し、原告は、原告による本件差額の支払は本件各取引先から 継続的に集荷をするために行われるものである旨を主張し、これに沿う 証拠として、甲第40ないし42号証(本件各取 ア) これに対し、原告は、原告による本件差額の支払は本件各取引先から 継続的に集荷をするために行われるものである旨を主張し、これに沿う 証拠として、甲第40ないし42号証(本件各取引先の担当者の質問応答記録書)を提出する。 しかし、上記各証拠には、仲卸業者等に対する販売価格が低い場合には出荷数量を減らし、上記販売価格が高い場合には出荷数量を増やす旨の記載があるものの、これらの記載が、本件各取引先において、原告が どの取引でどの程度の本件差額を負担しているかを具体的に認識した上で出荷数量の増減を判断する旨の記載ではないことは、これらの証拠自体から明らかであるから、これらの証拠は、上記アの認定判断を左右するものではない。 (イ) 原告は、卸売業者が、農業協同組合等からの集荷を確保するため、本 件差額のような金員を負担するという業界の慣行があるなどと主張する。 しかし、仮に原告の主張するような事情があるとしても、本件各取引先が、卸売業者において上記のような金員の負担をすることがあることを一般的、抽象的に認識していることが認定し得るにとどまり、それを 越えて、本件各取引先が原告においてどの取引でどの程度の本件差額を支払っているかを具体的に認識していたと認めることはできない。 したがって、上記事情は、上記アの認定判断を左右するものではない。 なお、原告自身、前記⑵イ(イ)のとおり、本件各取引先が原告に本件 差額の支払を求めることは私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律に違反する旨を指摘していることも併せ考慮すると、上記の原告の主張は、違法な行為であることを認識しながらそれに継続的に応じることをもって、通常の経済的取引として是認することができる合理的な理由があ に違反する旨を指摘していることも併せ考慮すると、上記の原告の主張は、違法な行為であることを認識しながらそれに継続的に応じることをもって、通常の経済的取引として是認することができる合理的な理由がある旨をいうものであって、この点からしても、直ちに採用し難 い。 (ウ) 原告は、本件各取引先とは独立した営利企業であるから、合理的な理由なく経済的な負担をすることはない旨を主張する。 しかし、委託販売取引に係る委託者とは独立した営利企業である受託者が、上記委託者に対し、何らの理由もなく金員の贈与等をすることは少ないと考えられるものの、その理由が通常の経済的取引として是認す ることができる合理的な理由であるか否かについては、別途検討を要するものであり、本件においては、これまで説示したところによれば、原告が本件各取引先とは独立した営利企業であることを踏まえても、本件差額の支払に上記合理的な理由があるということはできない。 (エ) 原告は、本件差額については、「寄附金」とはされていない出荷奨励 金や完納奨励金等と同様に経済合理性を有する旨を主張する。 しかし、上記各奨励金については、市条例(乙13)に、卸売業者は、市場における取引品目の安定的供給の確保を図るため、出荷者に出荷奨励金を交付しようとするときや、卸売代金の期限内の完納を奨励するため、仲卸業者等に完納奨励金を交付しようとするときは、市長の承認を 得なければならない旨の定めがあり(55条1項)、また、上記各奨励金のうち本件各取引先に対し支払われる出荷奨励金については、本件基本契約書(乙12)にも、出荷奨励金の算出方法等に係る定めがある(12条)。このように、上記各奨励金については、市条例において交付の根拠が定められている上 対し支払われる出荷奨励金については、本件基本契約書(乙12)にも、出荷奨励金の算出方法等に係る定めがある(12条)。このように、上記各奨励金については、市条例において交付の根拠が定められている上、市長の承認の有無や本件基本契約書の定 めにより交付の相手方において交付の有無等を具体的に認識することができるのであって、本件差額とは、これらの点で事情を異にするものである。 したがって、上記各奨励金と本件差額とで寄付金に該当するか否かが異なるとしても、不合理であるということはできない。 原告の上記主張は採用することができない。 ⑸ 小括以上によれば、本件差額は、「寄附金の額」に該当すると認められる。 2 争点2(本件売上雑損に係る消費税額が消費税法38条1項又は同法30条1項により本件各課税期間の課税標準額に係る消費税額から控除されるか否か)について 前記1において説示したところによれば、本件売上雑損は、何らかの対価として支払われたものではないから、「課税仕入れに係る支払対価の額」(消費税法30条1項)に当たらず、また、本件各取引先から受領した委託手数料の税込価額についての売上げに係る対価の返還等を内容とするものでもないから、「売上げに係る対価の返還等の金額」(消費税法38条1項)にも当たら ない。 したがって、本件売上雑損に係る消費税額を、消費税法38条1項又は同法30条1項により、本件各課税期間の課税標準額に係る消費税額から控除することはできない。 3 本件各処分の適法性 以上によれば、本件各処分は適法である。 第4 結論よって、原告の請求はいずれも理由がないから、これらを棄却することとし、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3 によれば、本件各処分は適法である。 第4 結論よって、原告の請求はいずれも理由がないから、これらを棄却することとし、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部 裁判長裁判官鎌野真敬 裁判官志村由貴 裁判官都 築 健太郎(別表2-1~3、別表3、別表4-1~4、別表5、別表6-1~4、別表7- 1~3省略) (別紙)処分目録 1 原告の平成27年4月1日から平成28年3月31日までの事業年度(以下「平成28年3月期」という。)の法人税の更正処分のうち、所得金額1億5 767万3573円を超える部分及び納付すべき法人税額3577万4600円を超える部分並びに過少申告加算税の賦課決定処分 2 原告の平成28年4月1日から平成29年3月31日までの事業年度(以下「平成29年3月期」という。)の法人税の更正処分のうち、所得金額マイナス7379万9073円を超える部分、翌期へ繰り越す欠損金7379万90 73円を下回る部分及び納付すべき法人税額マイナス75万9418円を超える部分並びに過少申告加算税の賦課決定処分 3 原告の平成29年4月1日から平成30年3月31日(以下「平成30年3月期」という。)までの事業年度の法人税の更正処分のうち、所得金額2億8705万1789円を超える部分及び納付すべき法人税額8180万1200 円を超える部分並びに過少申告加算税の賦課決定処分 4 原告の平成30年4月1日から平成31年3月31日までの事業年 705万1789円を超える部分及び納付すべき法人税額8180万1200 円を超える部分並びに過少申告加算税の賦課決定処分 4 原告の平成30年4月1日から平成31年3月31日までの事業年度(以下「平成31年3月期」といい、平成28年3月期、平成29年3月期及び平成30年3月期と併せて併せて「本件各事業年度」という。)の法人税の更正処分のうち、所得金額1億5776万7722円を超える部分及び納付すべき法 人税額3658万4300円を超える部分並びに過少申告加算税の賦課決定処分 5 原告の平成27年4月1日から平成28年3月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分のうち、納付すべき地方法人税額162万6700円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分 6 原告の平成28年4月1日から平成29年3月31日までの課税事業年度の 地方法人税の更正処分のうち、納付すべき地方法人税額0円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分 7 原告の平成29年4月1日から平成30年3月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分のうち、納付すべき地方法人税額373万6300円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分 8 原告の平成30年4月1日から平成31年3月31日までの課税事業年度(以下、この課税事業年度と5項から7項までの各課税事業年度を併せて「本件各課税事業年度」という。)の地方法人税の更正処分のうち、納付すべき地方法人税額161万0400円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分 9 原告の平成27年4月1日から平成28年3月31日までの課税期間(以下「平成28年3月課税期間」という。)の消費税及び地方消費税の更正処分のうち、納付すべき消費税額7701万6300円 9 原告の平成27年4月1日から平成28年3月31日までの課税期間(以下「平成28年3月課税期間」という。)の消費税及び地方消費税の更正処分のうち、納付すべき消費税額7701万6300円を超える部分及び納付すべき地方消費税額2079万4400円を超える部分並びに過少申告加算税の賦課決定処分 10 原告の平成28年4月1日から平成29年3月31日までの課税期間(以下「平成29年3月課税期間」という。)の消費税及び地方消費税の更正処分のうち、納付すべき消費税額7660万5200円を超える部分及び納付すべき地方消費税額2067万8100円を超える部分並びに過少申告加算税の賦課決定処分 11 原告の平成29年4月1日から平成30年3月31日までの課税期間(以下「平成30年3月課税期間」という。)の消費税及び地方消費税の更正処分のうち、納付すべき消費税額9002万7500円を超える部分及び納付すべき地方消費税額2429万4800円を超える部分並びに過少申告加算税の賦課決定処分 12 原告の平成30年4月1日から平成31年3月31日までの課税期間(以 下「平成31年3月課税期間」といい、平成28年3月課税期間、平成29年3月課税期間及び平成30年3月課税期間と併せて「本件各課税期間」という。)の消費税及び地方消費税の更正処分のうち、納付すべき消費税額8084万0600円を超える部分及び納付すべき地方消費税額2181万4100円を超える部分並びに過少申告加算税の賦課決定処分 以上 (別表1) 法人税法37条1項令和2年法律第8号による改正前のもの法人税法37条7項現行の規定消費税法30条1項平成27年9月30日以前に行った課税仕入れについては同年 (別表1) 法人税法37条1項令和2年法律第8号による改正前のもの法人税法37条7項現行の規定消費税法30条1項平成27年9月30日以前に行った課税仕入れについては同年法律第9号による改正前のもの、同年10月1日以後令和元年9月30日以前に行った課税仕入れについては平成24年法律第68号3条による改正前のもの消費税法30条6項平成27年9月30日以前に行った課税仕入れについては同年法律第9号による改正前のもの、同年10月1日以後令和元年9月30日以前に行った課税仕入れについては平成24年法律第68号3条による改正前のもの消費税法38条1項平成27年9月30日以前に行った課税資産の譲渡等については同年法律第9号による改正前のもの、同年10月1日以後令和元年9月30日以前に行った課税資産の譲渡等については平成24年法律第68号3条による改正前のもの
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