昭和52(行ウ)36 重加算税賦課決定処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和56年7月16日 東京地方裁判所 租税
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【DRY-RUN】○ 主文 一 原告の本件訴えのうち、被告が昭和四八年一月二五日付でした原告の昭和四四 年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度分一、〇四〇、四〇〇円、昭和四 五年一月一日から同年一二月三一日までの

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○ 主文一原告の本件訴えのうち、被告が昭和四八年一月二五日付でした原告の昭和四四年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度分一、〇四〇、四〇〇円、昭和四五年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度分七、二五二、五〇〇円、昭和四六年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度分四、八六八、四〇〇円の各重加算税賦課決定の取消しを求める請求に関する部分及び右各重加算税賦課決定は無効であることの確認を求める請求に関する部分はこれを却下する。 二原告のその余の請求を棄却する。 三訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実第一当事者の求めた裁判一請求の趣旨 1 被告が昭和四八年一月二五日付でした原告の昭和四四年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度分一〇、九五〇、〇〇〇円、昭和四五年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度分七、二〇〇、九〇〇円、昭和四六年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度分一九、〇二二、一〇〇円の各重加算税賦課決定を取り消す。 2 (主位的請求)被告が昭和四八年一月二五日付でした原告の昭和四四年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度分一、〇四〇、四〇〇円、昭和四五年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度分七、二五二、五〇〇円、昭和四六年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度分四、八六八、四〇〇円の各重加算税賦課決定を取り消す。 (予備的請求)右主位的請求に係る各重加算税賦課決定は無効であることを確認する。 3 訴訟費用は被告の負担とする。 二請求の趣旨に対する答弁(本案前の申立)主文第一項及び第三項と同旨(本案に対する答弁) 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 第二当事者の主張一原告の請求原因 1 本件各処分の経緯原告は雑豆類の輸入貿易等を業とする会 項と同旨(本案に対する答弁) 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 第二当事者の主張一原告の請求原因 1 本件各処分の経緯原告は雑豆類の輸入貿易等を業とする会社であるが、請求の趣旨1及び2記載の各事業年度(以下それぞれ「昭和四四事業年度ないし昭和四六事業年度」という。)の法人税について原告のした確定申告、修正申告(以下昭和四七年四月六日申告に係るものを「本件修正申告」と、昭和四七年一二月二五日申告に係るものを「本件再修正申告」という。)及び被告のした本件修正申告に対する重加算税賦課決定(以下「本件第一処分」という。)、本件再修正申告に対する重加算税賦課決定(以下「本件第二処分」といい、本件第一、第二各処分を総称して「本件各処分」という。)並びに本件第一処分に対する不服審査の経緯は別表一ないし三記載のとおりである。 2 本件各処分の違法事由(一) 本件第一処分は、本件修正申告に係る申告書の提出が「その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないとき」(国税通則法第六八条第一項かつこ書、第六五条第三項)に該当するから重加算税賦課の要件を欠く違法なものである。 右規定にいう「調査があつたことにより・・・・・・更正があるべきことを予知してされたもの」の意義は、従来の行政解釈、裁決例、裁判例において「収税官吏により実地または呼出し等の方法で具体的に調査が行われ、これにより所得金額または所得税額に脱漏があることを発見された後、すなわち先の納税申告が適正なものでないことを把握されるに至つた後に当該国税についての更正があるべきことを予知してなされた申告または納付を指すもの」と解されている。さらに、加算税の賦課は納税者に非常な不利益を与えるものであること でないことを把握されるに至つた後に当該国税についての更正があるべきことを予知してなされた申告または納付を指すもの」と解されている。さらに、加算税の賦課は納税者に非常な不利益を与えるものであること、税務当局には調査のための強大な権限が与えられていることなどを考えると、正義と公平の見地からして税務当局の方で積極的に修正申告が「更正があるべきことを予知してされたものであること」を主張、立証してはじめてその賦課決定の合法性を主張できると解すべきである。 これを本件についてみると、原告は、昭和四二年ころから雑豆の定期取引による簿外の保留利益が累積していたところ、昭和四七年三月二三日第三者に対する税務調査の際原告が東京銀行八重洲通支店に古い匿名預金一一〇〇万円を有していることが発見され、右事実が同日同支店から通報されたことから、原告の当時の代表取締役Aは簿外の保留利益を急速に処理する必要を感じ、翌二四日本件修正申告に係る申告書の提出を決意し、翌二五日Aの指示を受けた原告の当時の常務取締役Bが原告の顧問税理士Cに修正申告書作成を依頼し、同年四月二日又は三日午前中までにC税理士に対し本件修正申告資料一切を交付し、C税理士は右資料に基づいて同月五日には修正申告書作成を完了し、原告は自発的に同月六日本件修正申告をしたものである。なお、本件修正申告に係る申告書の提出が右匿名預金の発見の故に更正を予知してされたものに当らないことは前記解釈に照らし明らかである上、右匿名預金が生じた原因となつた取引の属する年度の法人税の徴収権は、右預金の存在が指摘された時点においてすでに時効消滅していたものである。ところが、たまたま本件修正申告に関する資料一切をC税理士に交付した後である同月三日午後に被告所部職員二名が原告事務所に来訪したが、その調査の目的は通常の法人税の調査 でに時効消滅していたものである。ところが、たまたま本件修正申告に関する資料一切をC税理士に交付した後である同月三日午後に被告所部職員二名が原告事務所に来訪したが、その調査の目的は通常の法人税の調査であり、簿外取引の存在を疑わせるような帳簿、書類等は簿外取引を含む定期取引の現物受渡を記録した帳面を除いては全く触れられなかつたし、右帳面もパラパラと見ただけで全部を見終わらずに返され、右帳面に関し突つこんだ質問やコピーもされなかつた。そして同日以後も右帳面を含む簿外取引の存在を疑わせるような書類等について調査の続行はされなかつたのであつて、右同日の調査により被告が原告の申告に所得の脱漏があつた事実又はそのように疑うに足りる事実を把握したとは考えられず、本件修正申告は全く自発的なものであること明らかである。 被告は、原告が四月三日の税務調査の後本件修正申告を決意して修正申告書を提出したものであると主張するが、簿外利益の集計はAが自己流に定期取引の売買について利益、損失を取引先別にその都度記載したメモ(以下「社長メモ」という。)に基づいてBが経理担当者とともに行つたのであるが、昼間は通常の仕事がある上、右社長メモは字がうすかつたり、かすれて読みにくかつたり、A独特の符牒や書き方が随所にあり趣旨不明のところが多く、度々Aに教示を受ける必要があり、四月三日の税務調査後の一両日では物理的にも集計表の作成はできないばかりか、Aは右調査の翌日である四月四日朝から六日夜までかねての計画通り関西方面に旅行しており、もし被告主張の経緯であるとすれば、社長であるAの関西旅行など思いも及ばないところである。 (二) 本件第二処分は、無効な再修正申告に基づくものである。すなわち、本件再修正申告は、A又はB個人の所得であつて会社の所得でなかつたものにつき、国税査察官が 行など思いも及ばないところである。 (二) 本件第二処分は、無効な再修正申告に基づくものである。すなわち、本件再修正申告は、A又はB個人の所得であつて会社の所得でなかつたものにつき、国税査察官が原告の代表者らに対し、会社の所得として再修正申告をした方が有利であるなどと強く誘導勧説し、原告はこのような誤つた行政指導を受けた結果、右の所得が税法上は会社の利益に属するものと誤信し、再修正申告書を提出したものであり、右錯誤は客観的に明白かつ重大であつて納税義務者たる原告の利益を著しく害すると認められる特段の事情があるから、本件再修正申告は無効である。また、右国税査察官は、もし原告が右勧奨に従わないときは調査年度を過去にさかのぼり、また国税反則取締法による告発をせざるを得なくなる旨ほのめかしたもので、このような勧奨は違法な強迫といわざるを得ず、原告はこれに従わなければいかなる不利益を受けるかもしれない不安に陥り、本件再修正申告をしたものであるから右再修正申告は無効である。また、本件再修正申告は、確定申告に基づく税額に不足額があるためではなく、右のとおり査察官の勧奨にあい事を穏便にすますためにしたものであるから、国税通則法第一九条第一項第一号所定の「先の納税申告書の提出により納付すべきものとしてこれに記載した税額に不足額があるとき。」に該当せず無効である。かかる無効な本件再修正申告に基づく本件第二処分も先行の瑕疵を引き継ぎ無効もしくは少なくとも違法な行政処分として取消しを免れない。 仮に本件再修正申告が無効でないとしても、右申告は、前述のとおり違法な強迫によつてなされており、右再修正申告に基づいてなされた本件第二処分は結局違法な処分として取消しを免れない。 よつて、本件第一処分について取消しを、本件第二処分について主位的には取消しを、予備的には無 よつてなされており、右再修正申告に基づいてなされた本件第二処分は結局違法な処分として取消しを免れない。 よつて、本件第一処分について取消しを、本件第二処分について主位的には取消しを、予備的には無効であることの確認を求める。 二原告の請求原因に対する被告の認否及び主張(本案前の主張) 1 原告の本件訴えのうち、本件第二処分の取消しを求める請求に関する部分は、本件第一及び第二の各処分の基礎とされた事実が異なり、両処分は別個独立の処分であるから、異議申立てはそれぞれの処分に対して個別になされる必要があるところ、原告は本件第二処分に対して異議申立てをしていないから、課税処分取消訴訟につき裁決前置を定めた行政事件訴訟法第八条第一項ただし書及び国税通則法第一一五条第一項にてらし不適法な訴えとして却下されるべきである。 2 原告の本件訴えのうち、本件第二処分の無効確認を求める請求に関する部分は、本件第二処分にかかる税額が既に納付済みであつて、原告は続行処分としての滞納処分を受けるおそれがなく、また、無効を前提とする現在の法律関係に関する訴え(不当利得返還請求の訴え)を提起することができるのであるから、「現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができない」場合に当たらず、行政事件訴訟法第三六条にてらし不適法として却下されるべきである。 (原告の請求原因に対する被告の認否) 1 請求原因1の事実は認める。 2 同2の事実について、(一)のうち昭和四七年三月二三日原告の匿名預金一一〇〇万円が発見され、右事実が同日原告に通報されたこと、原告が同年四月六日本件修正申告をしたこと、同月三日午後被告所部職員二名が法人税調査の目的で原告事務所に来訪したこと、調査の結果簿外取引を含む定期取引内容が記載された帳面を発見したこと、右帳面についてコピーをしなかつた 件修正申告をしたこと、同月三日午後被告所部職員二名が法人税調査の目的で原告事務所に来訪したこと、調査の結果簿外取引を含む定期取引内容が記載された帳面を発見したこと、右帳面についてコピーをしなかつたこと及び簿外利益の集計は社長メモに基づいて行われたものであることは認め、その余は否認し、法律上の主張は争う。(二)は否認し、法律上の主張は争う。 (被告の主張) 1 本件第一処分(一) 原告は更正があるべきことを予知して本件修正申告に係る申告書を提出したものである。 すなわち、国税通則法第六五条第三項に規定する「調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない」とは、税務職員による調査が開始されたことにより、納税義務者が従前の申告をそのまま放置すれば、いずれ当局によつてその申告が不適正で、申告漏れの存することが発覚し、更正がなされるのであろうということを予見して修正申告書を提出すること、換言すれば、税務職員の調査の手が入る前に自ら従前の申告に誤りがあることを認識し、これを一切修正申告することを進んで決意して修正申告書を提出することと解すべきであり、納税義務者の国税に対する調査が開始された以上、当該調査の進展状況すなわち申告が適正か否かの把握の程度により差異が生ずるものではないというべきである。このことは同条項の文言自体からも明らかといわなければならない。 (二) これを本件についてみると、本件修正申告に係る申告書の提出は、昭和四七年四月三日の被告所部職員の調査があつたことにより更正があるべきことを予知してされたものというべきである。 本件修正申告に係る申告書が提出されるまでの調査の経緯は次のとおりであつた。 (1) 昭和四七年三月二三日、東京国税局の職員が東京銀行八重洲通支店を調査した際、原告の匿名預金一一〇〇万 うべきである。 本件修正申告に係る申告書が提出されるまでの調査の経緯は次のとおりであつた。 (1) 昭和四七年三月二三日、東京国税局の職員が東京銀行八重洲通支店を調査した際、原告の匿名預金一一〇〇万円の存在を発見し、同日右事実が同支店職員から原告に通報された。 (2) (1) 同年四月三日、被告の所部職員D及びEが原告の法人税調査のため原告事務所に臨場して調査を実施した。その結果、Dは、(イ)「日昌」と原告の会社名が記載された口取りがついている雑穀に関する商品取引に係る取引内容が記帳されていた帳簿、(ロ)昭和四七年三月末現在の銀行別の預金残高が記載されたメモ、(ハ)原告及び原告従業員以外のマルハ商事株式会社、F、G、H、I名義の社員判及び印鑑、(ニ)J、K名義の商品取引に関する残高照合書を各々発見した。 (2) 右(イ)の帳簿は、原告の雑穀の商品取引に係る取引内容が記載されていたものであるにもかかわらず、「日昌」と原告の名称が記載された口取りが付されていたので、Dは右雑穀の商品取引について不審に思つてBに説明を求めたが、この点についての返答が一切なく、右(ロ)の内容についての質問に対し、Bは「毎月末現在で預金の残高を確認するために作成したものだ、それが何故悪い。」と異常な反発を示し、右(ハ)の印鑑についても他人名義の印鑑が原告のところに保管されていること自体奇異なことであるので、Dはこれらの使途についてBに質問したところ、同人は「のちほど説明する。」と返答しただけで、これらの使途について何ら説明しようとしなかつたばかりか、その際態度が動揺していた。また右(ニ)の他人名義の委託証拠金残高照合書についても、DはAから「大阪で乾物屋をやつている甥が商品取引をしており、私がそのコーチをしている。それで甥の残高照合書を預つている。」旨の説明がなさ 。また右(ニ)の他人名義の委託証拠金残高照合書についても、DはAから「大阪で乾物屋をやつている甥が商品取引をしており、私がそのコーチをしている。それで甥の残高照合書を預つている。」旨の説明がなされたものの、右残高照合書に記載された商品取引員及び商品取引所が大阪、神戸といずれも遠隔地でJほか一名の他人名義の残高照合書であること及びこれが発見された経緯等から、Dはこれは原告の不正計算に関係するものとの疑いを抱いた。 以上のことからDは原告には何らかの不正計算があるとの心証を形成し、四月四日以降も調査を続けることとしていたが、AもDらの調査の経過から翌日以降も調査がなされるものと承知していた。 (3) 事実、Bは原告の昭和四五年一月からの簿外定期取引に係る利益を帳簿に記帳していたし、また、原告は日昌物産及び丸喜商店名義で簿外の定期取引をなし、この取引に係る収入金額を本件修正申告の際計上した。また、(ロ)の預金メモによれば昭和四七年三月三一日現在、当座一八五一万円、通知五一〇〇万円、定期一億〇〇八七万六〇〇〇円と記載されているところ、原告の昭和四六事業年度分法人税の確定申告書に添付された貸借対照表附属明細書及び決算説明書の預貯金等の内訳書によれば、預金メモとの間には三か月の期間のずれがあるものの、当座二一三九万三一九六円、通知四二〇〇万円及び定期四六七九万八〇〇〇円と記載されていて預金残高にかなりの差異が存する。さらに(ハ)の印鑑についても、「F」の印鑑は、丸喜商店の代表者Fのもので、右丸喜商店は原告が簿外で行つていた商品の先物取引に際し委託者名義として用いていたものであり、原告はこの取引による利益を本件修正申告に際して計上しているばかりか、原告は昭和四五年九月二八日三井銀行四谷支店でF名義の一〇〇〇万円の簿外の通知預金を右印鑑を使用して設 して用いていたものであり、原告はこの取引による利益を本件修正申告に際して計上しているばかりか、原告は昭和四五年九月二八日三井銀行四谷支店でF名義の一〇〇〇万円の簿外の通知預金を右印鑑を使用して設定していたのであり、「I」、「H」の各印鑑についても原告は簿外で行つていた商品の先物取引によつて得た利益から定期預金を設ける際に使用したものであるばかりか、原告は昭和四七年四月から和光証券八重洲支店において、F及びL等の名義を用いて債権をも購入していたのである。そして、「マルハ商事株式会社」の社印判については、原告は原告の簿外の取引に係る委託者名に右「マルハ商事」を利用する目的で、所持していたというものであつたのであり、更には、原告はG名義で簿外の商品取引を行い、「G」の印鑑を用いて昭和四五年三月三一日三井銀行四谷支店においてG名義の五〇〇万円の簿外の通知預金三口合計一五〇〇万円を設定しており、しかも原告はG名義で行つた簿外の定期取引による利益を本件再修正申告に際し計上しているのである。(ニ)の他人名義の委託証拠金残高照合書についても、J等名義の取引による利益を本件再修正申告に際し原告の収益として計上している。 (3) 同年四月五日、Eは太陽神戸銀行室町支店の原告の貸金庫を調査した。 (4) 同年四月六日原告は本件修正申告に係る申告書を被告に提出した。 (5) 以上のとおり、原告が昭和四七年四月六日本件修正申告に係る市告書を提出する前の同月三日、被告所部職員は原告事務所に臨場して実地調査に着手し、その際、税務調査担当係官としての経験上、原告には不正計算があることを推認するに足りる資料を収集するとともに、これを収集する際の被調査者らの応答態度から原告には不正があるとの心証を形成して、これ以降も調査を継続する旨を原告に了知せしめる等したのであつて、原 ることを推認するに足りる資料を収集するとともに、これを収集する際の被調査者らの応答態度から原告には不正があるとの心証を形成して、これ以降も調査を継続する旨を原告に了知せしめる等したのであつて、原告が本件修正申告に係る申告書を提出したのは、昭和四七年四月三日の被告所部職員による調査があつたことにより更正があるべきことを了知してなしたものであるということができるのである。 (三) 原告は、自発的に本件修正申告を決意し、昭和四七年四月三日午前中までにはC税理士に対し本件修正申告の資料一切を交付していたものであるから本件修正申告に係る申告書の提出は更正があるべきことを予知してされたものでないと主張するが、C税理士に簿外取引による利益を除外して法人税を免れていることを打明けたのは同年四月一日であり、同年四月三日の被告の調査後初めて資料として簿外利益の金額が記載された計算用紙様のものを提示したものの、これとても簿外取引に係る詳細を知ることができないというものであり、しかも「三事業年度だけ修正申告してはどうか」と相談するなどしているのであつて、被告所部職員の調査があつた四月三日前の段階では原告において修正申告すべき事業年度及び簿外利益の数額等修正申告の具体的内容については全く定まつてはおらず、単に簿外利益をいかに処理すべきかをC税理士に相談し、そのための資料を作成して修正申告をするべきか否かについて考慮していたに止まるものである。 (四) 仮に、本件修正申告に係る申告書を提出するに至つた経緯が原告主張のとおりであつたとしても、国税通則法第六五条第三項にいう「調査」とはその規定の文言からも明らかなとおり当該国税に係る調査担当職員による納税義務者の住所、事務所等に対する臨場調査に限定する理由はなく、広く税務担当職員による納税義務者の国税に係る課税標準又 調査」とはその規定の文言からも明らかなとおり当該国税に係る調査担当職員による納税義務者の住所、事務所等に対する臨場調査に限定する理由はなく、広く税務担当職員による納税義務者の国税に係る課税標準又は税額等を認定するに至る一連の判断過程の一切を意味し、証拠資料の収集、証拠の評価あるいは経験則を通じての要件事実の認定、租税法その他の法令の解釈適用を経て更正処分に至るまでの思考、判断を含むもので国税通則法第二四ないし第二六条の「調査」と同意義というべきである。 しかして、原告の主張によれば、昭和四七年三月二三日、税務担当職員である東京国税局職員が東京銀行八重洲通支店を銀行調査し、原告の簿外預金を発見している(なお、簿外定期預金の各年末残高によれば同支店の昭和四五年末残高は一一〇〇万問であるところ、同四六年末残高は一六〇〇万円であり、同預金すべてが更正の期間を経過している年度において設定されたものではない。)のであり、そしてこのことが同銀行職員から原告に通報され、これを受けたことにより原告は修正申告することを決意したというのであるから、右調査の進行により先になした申告が不適法で申告漏れの存することが発覚し、いずれ当局によつて更正がなされるであろうと認識していたものということができるのである。 (五) 本件第一処分は、原告がその計算の基礎となるべき事実を隠ぺいし、又は仮装したところに基づき確定申告書(昭和四五事業年度に関する昭和四六年三月三一日提出の修正申告書を含む。)を提出していたものであるから、国税通則法第六八条第一項に基づき、本件修正申告により納付すべき法人税額を基礎として一〇〇分の三〇の割合を乗じて本件重加算税額を算出したものである。 2 本件第二処分納税者の行う納税申告(修正申告を含む。)は、租税債務を確定する効力を有し、その性格は私人 べき法人税額を基礎として一〇〇分の三〇の割合を乗じて本件重加算税額を算出したものである。 2 本件第二処分納税者の行う納税申告(修正申告を含む。)は、租税債務を確定する効力を有し、その性格は私人のなす公法行為と解されており、納税申告が右のような特性を有することにかんがみ、申告者の側からする申告の誤りの是正は専ら更正の請求の方法によることとされ、更正の請求の方法によらないで納税申告の記載内容の錯誤を主張しうる場合はその錯誤が重大かつ客観的に明白である場合に限られるところ、本件再修正申告はその内容において重大かつ客観的に明白である錯誤が存在するとはみられない。 三被告の本案前の主張に対する原告の認否及び反論 1 本案前の主張1のうち、原告が本件第二処分に対し異議申立てをしていないことは認めるが、その余の主張は争う。もともと本件修正申告と本件再修正申告のなされた各対象事業年度は同一であるから、修正申告と再修正申告の各年度分所得金額の正しい額は同一でなければならない筈であり、それに対する税額及び重加算税額も同一の筈である。そうであれば、修正申告か再修正申告か、いずれかに対する重加算税賦課決定につき適法な異議申立ての前置手続を経ていれば、双方に対する重加算税賦課決定取消しの訴えを適法になし得るものというべきである。 2 同2のうち、原告が本件第二処分に係る重加算税を既に納付したことは認めるが、その余の主張は争う。 四被告の主張に対する原告の認否 1 被告の主張1の事実について、(一)は争う。(二)冒頭の事実は否認し、(1)は認める。(2)(1)のうち、(イ)の帳簿に原告の会社名が記載された口取りがついていたとの点は否認し、その余は認める。(2)のうち、委託証拠金残高照合書の記載内容及びAが四月四日以降も調査がなされると思つていたことは認め、そ (イ)の帳簿に原告の会社名が記載された口取りがついていたとの点は否認し、その余は認める。(2)のうち、委託証拠金残高照合書の記載内容及びAが四月四日以降も調査がなされると思つていたことは認め、その余は否認する。但し、Aは通常の法人税調査の例から考えて、また、翌日以降の関西旅行の可否をDに尋ねたところ社長はいなくても調査に差支えないと言われたことにより、翌日以降も調査がなされると思つていたにすぎないものである。(3)のうち、「F」、「I」、「H」及び「G」名義の各印鑑を簿外預金を設ける際に使用したとの点、F及びL等の名義を用いて債券を購入し、G名義で簿外商品取引を行りたとの点及び「マルハ商事株式会社」の社印判を所持していた理由については否認し、その余は認める。(3)、(4)は認める。(5)のうち、四月三日臨場調査がなされたこと、同月六日本件修正申告に係る申告書が提出されたことは認め、その余は否認する。(三)、(四)のうち、原告の主張は認めるが、その余は否認する。(五)は認める。 2 同2は争う。 第三証拠(省略)○ 理由一まず、原告の本件訴えのうち、本件第二処分の取消し及び無効確認を求める請求に関する部分の訴えの適否について検討する。 1 取消請求について本件第二処分に対し異議申立てがされていないことは当事者間に争いがない。 原告は、本件修正申告と本件再修正申告のなされた各対象事業年度は同一であるから、その正しい所得金額、税額及び重加算税額も同一であるはずであり、従つて本件第一及び第二の各処分のいずれかに対して異議申立てがなされていれば、いずれの処分に対しても取消しの訴えを適法になしうると主張する。 しかし、本件第一処分の基礎となつた事実は、係争事業年度に係る所得金額についての、修正申告額と確定申告(昭和四五年事業年度に対し昭和四六 ずれの処分に対しても取消しの訴えを適法になしうると主張する。 しかし、本件第一処分の基礎となつた事実は、係争事業年度に係る所得金額についての、修正申告額と確定申告(昭和四五年事業年度に対し昭和四六年三月三一日にされた修正申告を含む)額との増差額に係る事実であるのに対し、本件第二処分の基礎となつた事実は右各所得金額についての再修正申告額と修正申告額との増差額に係る事実である。従つて、両処分は別個の事実を基礎とする全く別個の処分であることは明らかであるから、本件第二処分の取消しを訴求するには、その前提として本件第二処分に対して異議申立て及び審査請求をすることが必要であることは当然である。 よつて、原告の右主張は理由がなく、本件訴えのうち、本件第二処分の取消しを求める請求に関する部分は行政事件訴訟法第八条第一項ただし書及び国税通則法第一一五条第一項にてらし不適法として却下を免れない。 2 無効確認請求について原告が本件第二処分に基づく税額全部を既に納付済みであることは当事者間に争いがない。 そうすれば、原告が本件第二処分に続く処分により損害を受けるおそれがないことは明らかであるし、また、本件第二処分の無効を独立に確定しなくても、現在の法律関係に関する訴え、すなわち被告の本件第二処分が無効であることを前提として同処分に基づき納付した税額相当額の過誤納金還付(国税通則法第五六条第一項)ないし不当利得返還を求める訴えにより目的を達することができるのであるから、本件訴えのうち、本件第二処分の無効確認を求める請求に関する部分については、原告は行政事件訴訟法第三六条の定める原告適格を有せず、右部分に関する訴えは不適法として却下を免れない。 二次に、本件第一処分の適否について検討する。 1 原告主張の請求原因1の事実、原告が計算の基礎となるべき事実を隠ぺ 三六条の定める原告適格を有せず、右部分に関する訴えは不適法として却下を免れない。 二次に、本件第一処分の適否について検討する。 1 原告主張の請求原因1の事実、原告が計算の基礎となるべき事実を隠ぺいし、又は仮装したところに基づき確定申告書を提出していたこと、本件第一処分が国税通則法第六八条第一項に基づき所定の重加算税額を算出してされたものであることは、いずれも当事者間に争いがない。 2 原告は、本件修正申告に係る申告書の提出は「調査があつたことにより・・・・・・・・・・・・更正があるべきことを予知してされたものでない」と主張するので、この点について判断する。 まず、本件修正申告に係る申告書が提出されるまでの調査の経緯について検討する。 昭和四七年三月二三日、東京国税局の職員が東京銀行八重洲通支店を調査した際、原告の匿名預金一一〇〇万円の存在を発見し、同日右事実が同支店職員から原告に通報があつたこと、同年四月三日、被告所部職員であるD及びEが原告の法人税調査の目的で原告事務所に臨場して調査を実施し、Dは、(1)原告の簿外商品取引に係る取引内容が記載されていた帳簿、(2)昭和四七年三月未現在の銀行別の預金残高が記載されたメモ、(3)原告及び原告従業員以外のマルハ商事株式会社、F、G、H、I各名義の社印判及び印鑑、(4)J及びK名義の商品取引に関する残高照合書を各々発見したこと、Dは右(1)の帳簿についてコピーをとらなかつたこと、右(4)の残高照合書に記載された商品取引員及び商品取引所が大阪及び神戸と遠隔地であつたこと、四月五日にEが太陽神戸銀行室町支店の原告の貸金庫を調査したことはいずれも当事者間に争いがない。 成立に争いのない乙第四号証並びに証大D、同A(第一回)及び同B(第一回)の各証言(証人A及び同Bの各証言のうち、後記採用しない部分 支店の原告の貸金庫を調査したことはいずれも当事者間に争いがない。 成立に争いのない乙第四号証並びに証大D、同A(第一回)及び同B(第一回)の各証言(証人A及び同Bの各証言のうち、後記採用しない部分は除く。)によれば、次の事実が認められる。昭和四七年四月三日午後一時頃、DとEは実態把握という通常の法人税調査の目的で、原告事務所に臨場し、応接室でBから原告の営業内容等一般的説明を受けた後、Eは経理担当社員の調査に移り、Dも午後二時頃からB及びAに対する調査を開始し前記(1)ないし(4)の帳簿等を発見した(右帳簿等を発見したことは当事者間に争いがない。)。Bに対する調査の際発見した前記(1)ないし(3)のうち、右(1)の帳簿についてDがさつと目を通したところその一部には口取りによつて「日昌物産」と原告名が表示された部分があり、Dは不審に思いBに質問したが満足な回答は得られなかつた。しかし、Dは翌日以降も調査を続行する予定であつたし、コピーを取るとすれば相当な枚数になるため、コピーは取らなかつた(コピーを取らなかつたこと自体は当事者間に争いがない。)。さらに前記(3)の他人名義の印鑑等はBの机の引出しの中から発見したものであるが、それぞれの印鑑等についてBに質問したところ、同人は精神的に動揺した様子で後ほど説明しますと答えるのみであつた。また、(4)の商品取引に関する残高照合書については、Aの机上に置いてあつた鞄の中に在つたのであるが、当初Aは、右鞄は客の忘れていつたものであるかのような言動をしていたが、中を改めて前記照合書が出て来た後にようやく自己の鞄であることを認めたという状況であつた。そしてDは四月三日以降も調査を続行する予定でいたところ、翌日から同人が私用で休暇をとつたため、本件修正申告に係る申告書が提出された四月六日までには四月五 の鞄であることを認めたという状況であつた。そしてDは四月三日以降も調査を続行する予定でいたところ、翌日から同人が私用で休暇をとつたため、本件修正申告に係る申告書が提出された四月六日までには四月五日にEが前記原告の貸金庫を調査した以外(貸金庫の調査の点については、当事者間に争いがない。)、調査はなされなかつたとの事実が認められる。前掲証人Bの証言中、前記(1)の帳簿には口取りはついてなかつた旨述べている部分があるが、一方何か日昌というようなことは書いてあつたかもしれないとの供述もあり、さらに前記のように同帳簿は簿外商品取引に係る取引内容が記載されていたものであるが、原告は丸喜商店名義や原告名義で簿外取引を行つていたこと後述のとおりであるから他と区分する必要性があつたことも推測されるところであり、以上の事実にてらすと右Bの証言は信用することができない。また、同証言中にはBはDの同人に対する調査の最後に和光証券の封筒を見つけられて質問された際、Aに秘密で個人として定期取引をしていたこと及び右取引についての脱税の事実が発覚することをおそれて動揺したことがあつたが、印鑑等を発見された時は、G名義のものは義弟のものを預つているものであるが他のものについては記憶がない旨答えたところ追及もなく動揺したこともなかつた旨供述している部分があるが、後述のように右印鑑等が原告の簿外預金に使用されていた名義のものであり、かつ、その存在自体が直ちに不審を抱かせるようなものであることにてらし採用することができない。証人B、同Aの各証言(いずれも第一回)中前記認定に反する部分は採用せず、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。 そうして、前掲乙第四号証及び証人Dの証言によれば、以上に認定した調査当時の状況から、担当のDらは、原告がなんらかの不正計算を行つていると推測した 部分は採用せず、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。 そうして、前掲乙第四号証及び証人Dの証言によれば、以上に認定した調査当時の状況から、担当のDらは、原告がなんらかの不正計算を行つていると推測したことが認められるが、前記調査当時の状況からすれば、右推測には十分の根拠があるというべきである。 そうして、現実に、前記(1)の帳簿に簿外商品取引に係る取引内容が記載されていたこと、原告が原告及び丸喜商店名義で簿外定期取引をなしその利益を本件修正申告の際計上したこと、F名義の印鑑は右丸喜商店の代表者Fのものであること、原告がG名義の定期取引による利益を本件再修正申告の際に計上したことは当事者間に争いがない。弁論の全趣旨により成立を認める甲第四四号証の一ないし五及び証人Bの証言(第一回)によれば、前記(2)の預金メモは原告名義で預け入れられている預金についてのメモと認められるが、成立について争いのない乙第一二号証、原本の存在及び成立について争いのない乙第五号証の一、二、第六号証の一ないし四、原告会社のB常務の机中に所在した印鑑を押捺した印影であることが当事者間に争いがなく前記証人Dの証言により書込部分の成立を認める乙第二号証及び証人Dの証言によれば、F、H及びGの各名義は、原告が本件修正申告又は本件再修正申告に際し計上している利益について通知又は定期預金を設定する際に使用した名義であること、原告は昭和四七年三月から和光証券八重洲支店で、F及びL等の名義を用いて債券を購入していたこと並びにマルハ商事株式会社の社印判は簿外取引に同名義を使用する目的で所持していたことがそれぞれ認められ、右認定に反する証人Aの証言(第一回)は採用できない。 そうして、右認定の事実によれば、原告会社のA及びBも、調査当時の状況等から、Dら担当職員が原告に簿外取引等の不正計 いたことがそれぞれ認められ、右認定に反する証人Aの証言(第一回)は採用できない。 そうして、右認定の事実によれば、原告会社のA及びBも、調査当時の状況等から、Dら担当職員が原告に簿外取引等の不正計算があるとの疑いを持つたであろうことを推知していたものと認めるのが相当である。証人A及び同Bの各証言(いずれも第一回)中右認定に反する部分は採用せず、他にこの認定を左右するような証拠は存在しない。 3 次に、原告の本件修正申告に係る申告書を提出した経緯について検討する。 証人A及び同Bの各証言(いずれも第一回)によれば、原告は定期の商品取引による所得の変動性が大きいことを理由にその一部を簿外で留保していたところ、昭和四二年頃から右簿外保留利益が累積し、昭和四六年末にはかなりの巨額にのぼるに至つた。ところが、前記当事者間に争いのない事実のとおり、昭和四七年三月二三日原告の匿名預金の存在が東京国税局に発覚した旨の連絡を受けたことから、Bはその後小学校時代のクラスメートで当時関東信越国税局間税部監視課長の職にあつたMを訪ね相談したところ修正申告の方法があることを教えられ、Aにその旨を報告した事実が認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。 成立に争いのない乙第一三、第一四号証、証人Cの証言により原本の存在と成立を認める甲第三号証及び弁論の全趣旨により成立を認める乙第九、第一〇号証によれば、以下の事実が認められる。すなわち、Bは、原告の顧問税理士であるC税理士に対しては、前記のとおりMに相談した後、会いたい旨電話連絡をしたものの、Cから多忙のため四月初めにでも事務所へ来て欲しいと言われたため、同年四月一日に至つて初めて同税理士の事務所で簿外所得の留保等の事実を告げ同税理士から修正申告を勧められた。Bは具体的な簿外保留利益の額はその翌日Cに打ち明け、被告 務所へ来て欲しいと言われたため、同年四月一日に至つて初めて同税理士の事務所で簿外所得の留保等の事実を告げ同税理士から修正申告を勧められた。Bは具体的な簿外保留利益の額はその翌日Cに打ち明け、被告の所部職員による四月三日の調査が終了した同日夕方不十分ながらも資料を持参したが、修正申告は昭和四四事業年度から同四六事業年度までの三事業年度だけにしてはどうだろうかと相談し、Cから五事業年度について申告した方がよい旨助言された。そうしてその後追加資料を交付して本件修正申告についての申告書を作成してもらつた。以上の事実が認められ、右認定の事実によれば、原告が本件修正申告に係る申告書を提出した一つのきつかけは昭和四七年三月二三日に原告の匿名預金が発覚したためであるが、原告が右提出を確定的に決意したのは被告の同年四月三日の原告に対する臨店調査の後であつたと認めるのが相当である。 この点に関し、原告は、BからMの助言についての報告を受けたAが三月二四日に本件修正申告に係る申告書の提出を決意し、翌二五日にはAの指示を受けたBがC税理士に修正申告書の作成を依頼し、遅くとも四月三日午前中までに本件修正申告に係る資料一切を同税理士に交付済みであつたものであるから本件修正申告は被告の調査に起因するものではなく、全く自発的な申告である旨主張し、甲第一九ないし第二一号証、第二六、第二七号証、第三一号証、第三三、第三四号証、第三八ないし第四〇号証、第五二号証及び証人A(第一、二回)、同B(第一、二回)、同Mの各証言中に右主張に添う部分が存在する。しかしながら、まず証人M及び同B(第二回)の各証言によれば、三月二五日MがBに同行してC税理士の事務所を訪問し修正申告書の作成を依頼したというのであるが、証人Mの証言内容はあいまいなものであるうえ、前記各証言は、いずれも昭和五 (第二回)の各証言によれば、三月二五日MがBに同行してC税理士の事務所を訪問し修正申告書の作成を依頼したというのであるが、証人Mの証言内容はあいまいなものであるうえ、前記各証言は、いずれも昭和五五年三月二四日午後一時の第一九回口頭弁論期日においてされたのであるが、それまで両証人とも右の点について何ら言及していなかつたのに突然右同行の事実を思い出したとする点に疑問があり、さらに前記乙第一四号証及び証人Cの証言によつても、訪問を受けたC自身がMの同行の事実に触れていないだけでなく、BがMに相談したということも聞いていないというのであり、これらの点にてらすと右各証言は採用することができない。次に甲第二一号証及び第四〇号証のC税理士の原告代理人に対する各聴取書並びに前記証人Cの証言中にも前記原告主張に添うとみられる部分があるが、右証言は、「Bに会つて修正申告書の作成を依頼されたのは、当時土曜日以外にあいてなかつたはずだから会つたのは土曜日だと思う。その日が四月一日だとするととても資料の作成ができないから一週間前の三月二五日の土曜日であると思う。」というあいまいな根拠に基づくものであつて確たるものとはいい難く、後述のように申告のために必要な資料の作成は会つた日が四月一日であつたとしても十分可能と認められるところからすると、BがC税理士に事情を具体的に打ち明けたのは四月一日である可能性も強いというべきところであるし、右各証拠を後述の甲第三号証及び乙第一四号証と対比するときは採用するに足りない。その他の前掲原告主張に添うとみられる証拠は、A、B及び原告の経理担当社員であるN(右事実は、証人B(第一回)の証言によつて認められる。)の陳述書、顛末書、原告代理人作成の聴取書、本件に関連する法人税法違反被告事件における証人としての尋問調書及び本件訴訟に 経理担当社員であるN(右事実は、証人B(第一回)の証言によつて認められる。)の陳述書、顛末書、原告代理人作成の聴取書、本件に関連する法人税法違反被告事件における証人としての尋問調書及び本件訴訟における証人としての証言であるが、前記認定に供した各証拠と対比するときは採用するに足りない。もし、仮に、原告主張通りの経過で本件修正申告がされたとすれば、四月三日に被告の所部職員による調査があつた時点では原告はすでに本件修正申告に係る申告書の作成を準備していたのであるから、右調査の際にDらに対しその旨の話がなされるのが当然と解されるところ、証人A及び同Bの各証言(いずれも第一回)によればそのような話は一切なされていないことが認められる。そして右両証人は、申告するきつかけがなかつたし、ゆつくり話せるような雰囲気も時間もなく、また修正申告書の作成を依頼しているC税理士が居合わせなかつたため、明日同税理士に相談したうえで話をすればよいと思つていた旨証言しているが、前述のように当日の調査において簿外取引等の存在を疑わせる重要な資料がDらの目にふれ、かつそれについて質問もなされているのであつて、もし真実本件修正申告をすることが確定していたのならば、その間の事情を説明するにはかえつて適当な機会であつたと考えられることにてらせば、原告がその主張のように四月三日の調査の時点で本件修正申告に係る申告書の提出を確定的に決意していたかどうか疑問であるといわざるを得ない。また、前掲甲第三号証の「日昌物産(株)別途利益収支計算」と題する書面には「47・4・1会社より簿外資産のあることを打開けられ・・・・・・」との記載があることが同号証により認められるが、証人Cの証言によれば右甲第三号証は本件修正申告に係る申告書に添付されたものでその信用性は高いと認められる(なお、同証人 ことを打開けられ・・・・・・」との記載があることが同号証により認められるが、証人Cの証言によれば右甲第三号証は本件修正申告に係る申告書に添付されたものでその信用性は高いと認められる(なお、同証人の証言中には、右記載は四月一日に簿外保留利益の具体的数額を資料に基づいて聞かされた趣旨である旨の供述があるけれども、その記載の内容及び前掲乙第一四号証等にてらし採用できない。)。さらに前掲乙第一三、第一四号証は、それぞれ査察官である東京国税局収税官吏のA及びCに対する質問てん末書であるが、証人Aの証言(第二回)によれば、右てん末書作成時読み聞けも受けたがその時内容に相違すると思つた点はなかつたというのであるし、またその作成時期はいずれも本件修正申告書提出後まもなくの昭和四七年五月三〇日で記憶も新鮮でかつ作為の入る余地も少ないのであるから、その後になされている同人らの原告主張に添う供述に比較してより信用性が高いと認められる。以上の事実にてらすと原告主張に添うとみられる前記各証拠は採用することができないし、他に前記認定を左右するような証拠は存在しない。 次に、原告は、簿外利益の集計は社長メモに基づいてB及び経理担当者であるNが行つたのであるが(この点については当事者間に争いがない。)、社長メモは趣旨不明のところが多く四月三日の調査後に集計表を作成するのは不可能である旨主張する。しかし、原告は三月二三日には匿名預金が発覚した旨の連絡を受けていたのであるから、本件修正申告をそのような内容のものとしてする決意を具体的に固めたかどうかにかかわらず、三月中から公表及び簿外の各取引の内容について整理にとりかかつていたことも考えられないではない。それに集計表の作成の点についても、成立に争いのない乙第一一号証によればBは昭和四五年一月以降の定期取引について社長メ び簿外の各取引の内容について整理にとりかかつていたことも考えられないではない。それに集計表の作成の点についても、成立に争いのない乙第一一号証によればBは昭和四五年一月以降の定期取引について社長メモを集約して定期取引勘定帳を記帳していた事実が認められ、Bは社長メモの内容について熟知していたと推認されるうえ、甲第一号証及び第五三号証の社長メモと甲第二号証の集計表を比較検討すると右集計表と社長メモの簿外取引に係る当該年度の最終仕切日欄に記載された損益の累計額が社長メモの累計には違算があるにもかかわらず同一であり、事後的に訂正された形跡がないことから、集計表の作成にあたつては検算等をすることなく単に社長メモの当該欄から移記したにすぎないものと推認され、右認定に反する証人Bの証言(第一回)は採用することができない。従つて右原告主張は理由がない。なお、証人Cの証言によれば、本件修正申告に係る申告書は、原告から提出された資料のみに基づき半日から一日位で作成したことが認められるから前記認定と何ら矛盾するものではない。 さらに、原告は、Aが計画通り四月四日朝から六日夜まで関西旅行に行つたことをもつて当時すでに修正申告に係る資料一切をC税理士に交付し本件修正申告を依頼していた事実を裏付けるものである旨主張し、証人Aの証言(第一回)及びこれにより原本の存在及び成立を認める甲第五ないし第七号証にはAが原告主張の頃関西旅行に行つたことをうかがわせる部分があるが、成立に争いのない乙第一五ないし第一八号証(第一六号証については原本の存在も争いがない。)によれば、果してそれが真実であるかどうか疑問が残るうえ、仮に原告の主張通りだつたとしても前記のような集計表作成の過程についての認定にてらせば、右は前記認定を覆えす根拠とするには十分ではない。 4 ところで、国税通則法 が真実であるかどうか疑問が残るうえ、仮に原告の主張通りだつたとしても前記のような集計表作成の過程についての認定にてらせば、右は前記認定を覆えす根拠とするには十分ではない。 4 ところで、国税通則法第六八条第一項、第六五条第一項及び第三項によれば、過少申告がなされた場合であつてもその後修正申告書の提出があり、その提出がその申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないときには過少申告加算税、重加算税を賦課しないこととされている。そもそも加算税制度の趣旨は、適法な申告をしない者に対し所定の率の加算税を課することによつて右のような納税義務違反の発生を防止し、もつて申告納税制度の信用を維持しその基礎を擁護するところにある。この加算税制度の趣旨にかんがみれば、前記法条の趣旨は、過少申告がなされた場合には修正申告書の提出があつたときでも原則として加算税は賦課されるのであるが、「申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知」することなく自発的に修正申告を決意し、修正申告書を提出した者に対しては例外的に加算税を賦課しないこととし、もつて納税者の自発的な修正申告を歓迎し、これを奨励することを目的とするものというべきである。従つて、修正申告書の提出が「調査があつたことにより・・・・・・更正があるべきことを予知してされたものでないとき」というのは、税務職員がその申告に係る国税についての調査に着手してその申告が不適正であることを発見するに足るかあるいはその端緒となる資料を発見し、これによりその後調査が進行し先の申告が不適正で申告漏れの存することが発覚し更正に至るであろうということが客観的に相当程度の確実性をもつて認められる段階に達した後に、納税者がやがて更正 資料を発見し、これによりその後調査が進行し先の申告が不適正で申告漏れの存することが発覚し更正に至るであろうということが客観的に相当程度の確実性をもつて認められる段階に達した後に、納税者がやがて更正に至るべきことを認識したうえで修正申告を決意し修正申告書を提出したものでないこと、言い換えれば右事実を認識する以前に自ら進んで修正申告を確定的に決意して修正申告書を提出することを必要とし、かつ、それをもつて足りると解すべきである。原告は調査により申告に係る所得金額ないし税額に脱漏があることが発見され、過少申告が把握されるに至つた後になつて更正を予知してされた修正申告についてのみ加算税を賦課することが許される旨主張するようであるが、そのように解すると、税務職員の調査において前記のような資料を発見された後であつても所得金額ないし税額の脱漏を具体的に把握される前に修正申告を決意し、修正申告書を提出すれば加算税の賦課をのがれうる場合もあることになつて前記法条の趣旨に反することとなる。なお、修正申告書の提出が更正があるべきことを予知してされたものでないときに例外的に加算税を賦課しないこととした前記法条の趣旨からすれば、右の点については、調査により更正があるべきことを予知して修正申告がされたものでないことの主張・立証責任が原告にあるというべきである。 これを本件についてみると被告が昭和四七年四月三日の原告に対する法人税調査において発見した資料及びその際のBの態度等からすればその後調査か進行し先の申告が不適正で申告漏れの存することが発覚し更正に至るであろうということが客観的に相当程度の確実性をもつて認めるに足りる段階に達したというべきであり、かつ、原告は、右被告の四月三日の調査以前に確定的決意をしていなかつたのであること前記認定のとおりであるから、本件修正 が客観的に相当程度の確実性をもつて認めるに足りる段階に達したというべきであり、かつ、原告は、右被告の四月三日の調査以前に確定的決意をしていなかつたのであること前記認定のとおりであるから、本件修正申告書の提出は「調査があつたことにより・・・・・・更正があるべきことを予知してされたもの」ということができる。従つて、本件第一処分には原告主張の違法事由はないというべきである。 三よつて、本件訴えのうち、本件第二処分の取消し及び無効確認を求める請求に関する部分は不適法であるからこれを却下し、その余は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官藤田耕三原健三郎揖斐潔)

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