平成31年4月24日判決言渡平成27年(行ウ)第231号損害賠償等請求事件(住民訴訟)主文 1 本件訴えのうち,被告に対して別紙請求目録記載の各請求をすることを求める部分を却下する。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用(補助参加によって生じた費用を含む。)は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 被告は,Aに対し,862万9939円及びこれに対する平成27年7月2 5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 2 被告は,Bに対し,862万9939円及びこれに対する平成27年7月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 3 被告は,Cに対し,862万9939円及びこれに対する平成27年7月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 4 被告は,被告補助参加人に対し,862万9939円及びこれに対する平成27年7月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 第2 事案の概要本件は,忠岡町の住民である原告が,忠岡町がごみ袋製造業者であるDこと Cとの間において締結したとされる忠岡町一般家庭ごみ指定袋の作製等の業務に係る各業務委託契約及び変更契約は,地方自治法施行令167条の2第1項2号所定の「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」及び同項5号所定の「緊急の必要により競争入札に付することができないとき」に該当せず,また,Cの父であり忠岡町議会議員である被告補助参加人(以下「補助参加人」 という。)との間で実質的に締結されたものであって,地方自治法234条2 項,92条の2に反する違法かつ無効な随意契約であり,これらの契約の締結により忠岡 助参加人(以下「補助参加人」 という。)との間で実質的に締結されたものであって,地方自治法234条2 項,92条の2に反する違法かつ無効な随意契約であり,これらの契約の締結により忠岡町は損害を被ったと主張して,忠岡町の執行機関である被告に対し,同法242条の2第1項4号に基づき,忠岡町長であるA,忠岡町の職員であるB及びCに対しては不法行為に基づく損害賠償請求として,補助参加人に対しては不法行為に基づく損害賠償請求又は不当利得返還請求として,それぞれ 862万9939円(前記各契約に基づく委託料の額と競争入札が実施された場合に想定される委託料の額との差額)及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成27年7月25日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金又は法定利息の支払を請求することを求める住民訴訟である。 1 前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨 により容易に認められる事実)⑴ 原告は,忠岡町の住民である。 Aは,忠岡町長であり,Bは,忠岡町の職員である。 Cは,忠岡町において,「D」の屋号で,ごみ袋の製造業等を営む者である。 補助参加人は,Cの父であり,平成19年5月1日以降,忠岡町議会議員で ある。 ⑵ Aは,平成24年7月1日,忠岡町長として,Dとの間において,次の内容を含む業務委託契約を締結した(以下「本件契約1」という。)。(乙7の1,2)名称平成24年度忠岡町一般家庭ごみ指定袋作製等業務委託 目的ごみ袋の作製,商品の在庫管理及び受注配送業務委託料 686万1750円(うち消費税相当額32万6750円)期間平成24年7月1日から平成25年3月31日まで⑶ Aは,平成25年7月1日,忠岡町長として,Dと 理及び受注配送業務委託料 686万1750円(うち消費税相当額32万6750円)期間平成24年7月1日から平成25年3月31日まで⑶ Aは,平成25年7月1日,忠岡町長として,Dとの間において,次の内容を含む業務委託契約を締結した(以下「本件契約2」という。)。(乙8の 1,2) 名称平成25年度忠岡町一般家庭ごみ指定袋作製等業務委託目的ごみ袋の作製,商品の在庫管理及び受注配送業務委託料 694万3965円(うち消費税相当額33万0665円)期間平成25年7月1日から平成26年3月31日まで⑷ア Aは,平成26年4月1日,忠岡町長として,Dとの間において,次の 内容を含む業務委託契約を締結した(以下「本件契約3」という。)。(乙9の1,2)名称平成26年度忠岡町一般家庭ごみ指定袋作製等業務委託目的ごみ袋の作製,商品の在庫管理及び受注配送業務委託料 610万5844円(うち消費税相当額45万2284円) 期間平成26年4月1日から平成27年3月31日までイ Aは,平成26年12月1日,忠岡町長として,Dとの間において,本件契約3の業務委託料を51万4728円(うち消費税相当額3万8128円)増額する旨の変更契約を締結した(以下「本件変更契約」といい,本件契約1,本件契約2及び本件契約3と併せて「本件各契約」という。)。 (乙10)⑸ 原告は,平成27年4月21日,忠岡町監査委員に対し,本件各契約は,地方自治法234条2項等に反する違法な随意契約であり,忠岡町は,競争入札を実施した場合に想定される契約金額との差額分に相当する損害を被ったなどと主張して,本件各契約につき不正な行為をした者に対して金員の 支払の請求をする 違法な随意契約であり,忠岡町は,競争入札を実施した場合に想定される契約金額との差額分に相当する損害を被ったなどと主張して,本件各契約につき不正な行為をした者に対して金員の 支払の請求をすること等を求める旨の住民監査請求をした(以下「本件監査請求」という。)。(甲1)忠岡町監査委員は,平成27年6月18日付けで,本件監査請求を棄却する旨決定し,同月20日,原告に対し,その旨を通知した。(甲2)原告は,平成27年7月16日,本件各契約は違法な随意契約であるなど と主張して,被告に対し,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,A 及びCにそれぞれ862万9939円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である同月25日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金又は法定利息の支払を請求することを求めて本件訴訟を提起した。 (顕著な事実)原告は,平成29年4月13日,本件訴訟について,Bに対しては不法行 為に基づく損害賠償請求として,補助参加人に対しては不法行為に基づく損害賠償請求又は不当利得返還請求として,それぞれ862万9939円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成27年7月25日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金又は法定利息の支払を請求することを求める各請求を追加する旨を記載した「請求の趣旨の追加申立書」 と題する書面を提出した。(顕著な事実) 2 主な争点⑴ 本案前の争点ア本件訴えのうちB及び補助参加人に対して金員の支払の請求をすることを求める部分(以下「本件追加請求部分」という。)の適法性(争点1) イ本件監査請求への地方自治法242条2項の適用の有無(争点2)ウ本件監査請求に係る地方自治法242条2項ただし書にいう正当な理由の有無( 追加請求部分」という。)の適法性(争点1) イ本件監査請求への地方自治法242条2項の適用の有無(争点2)ウ本件監査請求に係る地方自治法242条2項ただし書にいう正当な理由の有無(争点3)⑵ 本案の争点ア本件各契約の違法性(争点4) イ本件各契約が無効であるか(補助参加人に対する不当利得返還請求を求める請求関係・争点5)ウ Aの不法行為責任の有無(争点6)エ Bの不法行為責任の有無(争点7)オ Cの不法行為責任の有無(争点8) カ補助参加人の不法行為責任の有無(争点9) 3 争点に関する当事者の主張の要旨⑴ 争点1(本件追加請求部分の適法性)(原告の主張の要旨)ア本件監査請求の対象は,本件各契約の違法な締結に起因する請求権の違法な不行使であるから,その請求権の相手方として,B及び補助参加 人は含まれていた。 イ住民訴訟においては,訴えの変更前後の請求の間に訴訟物の同一性が認められるとき,又は両者の間に存する関係から,変更後の新請求に係る訴えを当初の訴えの提起の時に提起されたものと同視し,出訴期間の遵守において欠けるところがないと解すべき特段の事情があるときには, 変更後の新請求に係る訴えについても当初の訴えの提起の時に提起されたものとみなすことができる。 本件の訴えの変更前後の請求は,いずれも本件各契約の違法な締結に起因する被告の請求権の違法な不行使であって,怠る事実の相手方が追加されたにすぎない。したがって,訴えの変更前後の請求の間に訴訟物 の同一性が認められるか,又は前記特段の事情があるといえる。 (被告の主張の要旨)ア本件追加請求部分については,監査請求を前置していない。 イ本件追加請求部分については,地方自治法242条 の同一性が認められるか,又は前記特段の事情があるといえる。 (被告の主張の要旨)ア本件追加請求部分については,監査請求を前置していない。 イ本件追加請求部分については,地方自治法242条の2第2項1号所定の出訴期間を徒過して訴えが提起されたものである。 ⑵ 争点2(本件監査請求への地方自治法242条2項の適用の有無)(原告の主張の要旨)AとCは,共謀して,忠岡町に損害を与えることを認識しながら本件各契約を締結し,忠岡町に損害を与えたものであり,被告がA及びCに対して有する損害賠償請求権は,財務会計上の行為の違法とは異なる要因によ って生じたものである。そこで,監査委員が前記請求権の行使を怠る事実 の監査を遂げるために,特定の財務会計上の行為が財務会計法規に違反して違法であるか否かの判断をしなければならない関係にはない。 したがって,前記請求権の行使を怠る事実を対象とする本件監査請求には,地方自治法242条2項は適用されない。 (被告の主張の要旨) 本件監査請求は,本件各契約が違法かつ無効であることに基づいて発生する損害賠償請求権又は不当利得返還請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実としているものであるから,本件監査請求については,当該怠る事実に係る請求権の発生原因である本件各契約が締結された日を基準として地方自治法242条2項が適用される。 ⑶ 争点3(本件監査請求に係る地方自治法242条2項ただし書にいう正当な理由の有無)(原告の主張の要旨)普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて住民監査請求をするに足りる程度に財務会計上の行為の存在又は 内容を知ることができなかった場合には,特段の事情のない限り,普通地方公共団体の住民が相当の 力をもって調査を尽くしても客観的にみて住民監査請求をするに足りる程度に財務会計上の行為の存在又は 内容を知ることができなかった場合には,特段の事情のない限り,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて前記の程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時から相当な期間内に住民監査請求をしたと認められれば,地方自治法242条2項ただし書にいう正当な理由があるということができる。 本件において,忠岡町の住民は,忠岡町議会において審議議決された予算の内容を検討するなど相当の注意力をもって調査を尽くしても,客観的にみて,本件各契約の締結に違法又は不当な点があると考えて住民監査請求をするに足りる程度に本件各契約の存在又は内容を知ることはできなかった。この点について,忠岡町は,平成27年6月当時,情報閲覧コーナ ーにおいて,随意契約に関する資料を一切備え置いていなかった。 原告は,平成27年3月11日に開催された忠岡町議会の定例会を傍聴し,同定例会において,忠岡町の職員が,忠岡町指定ごみ袋の作製等に係る入札参加登録業者は1業者しかいない旨の回答をしたことから,忠岡町指定ごみ袋の作製等に係る手続の適否につき疑問を持った。その後,原告は,忠岡町の職員に対して説明を求めたものの,前記疑問が解消されなか ったため,同月26日,忠岡町長に対し,平成21年度から平成26年度までにおける忠岡町の指定ごみ袋作製に関して情報公開請求を行った。忠岡町長は,平成27年4月8日付けで一部公開決定を行い,同月9日に原告に通知した。原告は,この一部公開決定を受けて初めて,住民監査請求をするに足りる程度に本件各契約の存在又は内容を知ることができた。そ こで,原告は,同月21日に本件監査請求を行った。 日に原告に通知した。原告は,この一部公開決定を受けて初めて,住民監査請求をするに足りる程度に本件各契約の存在又は内容を知ることができた。そ こで,原告は,同月21日に本件監査請求を行った。 以上の経緯に照らせば,本件監査請求が本件契約1,本件契約2及び本件契約3の各締結日から地方自治法242条2項本文所定の住民監査請求期間の経過後にされたことについては,同項ただし書にいう正当な理由があるということができる。 (被告の主張の要旨)忠岡町の住民は,本件契約1については平成24年3月30日から,本件契約2については平成25年3月28日から,本件契約3については平成26年3月28日から,それぞれ忠岡町議会において議決された各予算書を忠岡町庁舎の情報閲覧コーナーにおいて閲覧することができるように なっていた。忠岡町の住民は,前記各日において,前記各予算書を閲覧するなど相当の注意力をもって調査を尽くしていれば,客観的にみて住民監査請求をするに足りる程度に本件各契約の存在又は内容を知ることができたものである。また,忠岡町は,平成24年度から,物品・役務を含む全ての入札結果を3年分情報閲覧コーナーに備え付けており,過去の入札結 果については,契約担当の総務課で全て保管し,住民の要望があれば情報 を提供している。入札結果のファイルに記載されていない契約が随意契約であることは容易に判明し,住民は,情報公開請求等により当該契約の内容等を知ることができる。したがって,忠岡町の住民は,相当の注意力をもって調査を尽くしていれば,客観的にみて住民監査請求をするに足りる程度に本件各契約の存在又は内容を知ることができたものである。 そして,本件監査請求は,前記各日から相当の期間が経過した後の平成27年4月21日に行われ 客観的にみて住民監査請求をするに足りる程度に本件各契約の存在又は内容を知ることができたものである。 そして,本件監査請求は,前記各日から相当の期間が経過した後の平成27年4月21日に行われた。 したがって,本件監査請求が本件契約1,本件契約2及び本件契約3の各締結日から地方自治法242条2項本文所定の住民監査請求期間の経過後にされたことについて同項ただし書にいう正当な理由があるということ はできない。 ⑷ 争点4(本件各契約の違法性)(原告の主張の要旨)ア本件各契約は,いずれも地方自治法施行令167条の2第1項2号所定の「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当しないから, 地方自治法234条2項に違反し,違法である。 (ア) 本件各契約の性質は,いずれも物の作製等に関する請負と委任の混合契約であり,本件各契約の目的は,いずれもごみ袋という一般的な商品の作製,保管及び配送を行うことであるから,「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」とはいえない。 (イ) 本件契約1について被告は,住民へのごみ袋の販売が困難となるおそれが生じたと主張して,早期に業者を選定する必要があったことをもって,本件契約1が「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当する旨をいう。しかし,地方自治法施行令167条の2第1項5号が,同項2号 とは別に,随意契約によることができる場合として「緊急の必要によ り競争入札に付することができないとき」を掲げていることからすると,早期に業者を選定する必要があったとしても,競争入札に付することができる以上,随意契約によることはできないものと解すべきである。したがって,早期に業者を選定する必要があることは同項2号該当性の判断の際に考慮されてはならない あったとしても,競争入札に付することができる以上,随意契約によることはできないものと解すべきである。したがって,早期に業者を選定する必要があることは同項2号該当性の判断の際に考慮されてはならない。 仮に早期に業者を選定する必要があったことが地方自治法施行令167条の2第1項2号に該当することの理由になるとしても,平成24年4月当時,ごみ袋の販売取扱店における在庫は十分にあった。 また,忠岡町は,同年5月10日,E株式会社(以下「E」という。)の下請けとしてごみ袋の配送及び在庫管理業務を行っていた株式会社 F(以下「F」という。)から,Fが保管していたごみ袋の所有権が忠岡町に帰属するとの報告を受け,Fとの間でごみ袋の配送及び在庫管理業務に係る業務委託契約を締結した。したがって,忠岡町が本件契約1を締結した同年7月1日当時,早期に業者を選定する必要があったということはできない。 したがって,本件契約1が「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当するということはできない。 (ウ) 本件契約2,本件契約3及び本件変更契約について被告は,忠岡町において平成25年度及び平成26年度にごみ袋の作製等に係る入札に参加する資格を有する登録業者がDのみであった ことやDに本件契約1に係る履行実績があったことなどから,本件契約2,本件契約3及び本件変更契約は「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当する旨主張する。 しかし,Dのみが登録業者であったことは,前記各契約の性質や目的とは無関係であるし,ごみ袋の作成等の業務は平成23年度まで町 内業者ではないFが何らの支障もなく行っていたものであるから,被 告の前記主張は失当である。 また,忠岡町契約規則5条4項は,町長は,必要がある場合等には の業務は平成23年度まで町 内業者ではないFが何らの支障もなく行っていたものであるから,被 告の前記主張は失当である。 また,忠岡町契約規則5条4項は,町長は,必要がある場合等には随時資格者の名簿を追加することができる旨を定めており,忠岡町は,過去の登録業者,他の自治体の登録業者を調べ,名簿登録を追加することが容易にできたはずである。名簿登録業者が1者しかいないこと をもって競争入札を行わないということであれば,忠岡町は,本件で行ったように,名簿登録事務を意図的に行わず,あるいは怠ることによって,競争入札を行わないことが容易にできる。 イ平成27年度においては,生活環境課から総務課宛ての入札依頼の起案から契約締結の起案までわずか2週間しか要していないことからして, 入札手続の期間は,緊急性を認める根拠とならない。また,一般競争入札の手続に4箇月もかかるというのは明らかに誇張である。したがって,本件契約2は地方自治法施行令167条の2第1項5号所定の「緊急の必要により競争入札に付することができないとき」に該当しない。 ウ本件各契約は,忠岡町議会議員である補助参加人が忠岡町から業務を 受託するものであり,地方自治法92条の2に違反し,違法である(詳細は,後記⑼(原告の主張の要旨)のとおり)。 (被告の主張の要旨)ア本件各契約は,いずれも地方自治法施行令167条の2第1項2号所定の「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当するから, 地方自治法234条2項に違反せず,適法である。 (ア) 本件契約1について忠岡町は,Eとの間において,平成24年4月1日から同年6月30日までの期間におけるごみ袋の配送及び在庫管理業務に係る業務委託契約を締結していたが,同年4月25日,Eの代理 ) 本件契約1について忠岡町は,Eとの間において,平成24年4月1日から同年6月30日までの期間におけるごみ袋の配送及び在庫管理業務に係る業務委託契約を締結していたが,同年4月25日,Eの代理人から,Eが破 産手続開始の申立て準備中である旨の通知を受けた。これにより,忠 岡町はごみ袋の配送業務を業者に行わせることができなくなった。同月27日には販売取扱店にごみ袋を配送することが予定されていたところ,忠岡町は,これについては,職員が忠岡町庁舎に保管されていたごみ袋を配送することによって対応したが,忠岡町庁舎に保管されていたごみ袋の残量もわずかとなり,住民へのごみ袋の販売が困難と なるおそれが生じた。そこで,忠岡町は,一日も早くごみ袋を確保するために,他の業者にごみ袋の作成等を委託することが必要となった。 Dは,平成23年度及び平成24年度ごみ袋作製について,入札参加資格申請を経て既に登録されていた業者である上,この登録業者の中で唯一の町内業者でもあり,ボランティアごみ袋の納入実績を有し, 忠岡町内でのごみ袋の保管場所を確保することができる見込みがあり,販売取扱店を含む配送経路を熟知していた。忠岡町は,Eが破産手続開始を申し立てる事態になったことで,実績があり,ごみ袋の作成及び配送等の業務を確実に執行することができる唯一の町内業者であるDとの間で随意契約の方法により契約を締結することが,忠岡町の住 民の利益を増進するものであると判断したものであり,その判断に合理性を欠く点はない。 したがって,本件契約1は「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当するということができる。 (イ) 本件契約2,本件契約3及び本件変更契約について 忠岡町は,忠岡町契約規則を制定し,一般競争入札に参加し その性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当するということができる。 (イ) 本件契約2,本件契約3及び本件変更契約について 忠岡町は,忠岡町契約規則を制定し,一般競争入札に参加しようとする者は,町長の審査を受け,一般競争入札に参加する資格を有する者として名簿に登録された者でなければならないものとしている。忠岡町は,平成25年度及び平成26年度指定ごみ袋作製業務について,平成24年11月30日の公示によって,一般競争入札等に参加する 者に必要な資格及び指名を受けようとする者は前記の登録を受けなけ ればならない旨を告示し,広報誌で3回にわたり広報した。これに対し,前記登録の申請をしたのはDのみであった。 Eは保管及び配送業務をFに下請けさせていたところ,Eが破産手続開始の申立てをした際,Fが保管していたごみ袋の所有権の帰属が明らかになるまでの間,忠岡町は,そのごみ袋の搬出の一時停止を余 儀なくされた。このことを踏まえ,忠岡町は,第三者に下請けさせることなく業務を行っていたDに業務を委託することで,不測の事態が生じた場合の忠岡町への影響を最小に抑えられるものと判断した。 以上のように,忠岡町は,一般競争入札等に参加する者に必要な資格等の登録申請をしていたのがDのみであり,Dがごみ袋の保管及び 配送業務を自ら行っていたことに加え,Dには本件契約1に係る履行実績があったことを考慮すれば,平成25年度及び平成26年度においてもDとの間で随意契約の方法により契約を締結することが,忠岡町の住民の利益を増進するものであると判断したものであり,その判断に合理性を欠く点はない。 したがって,本件契約2,本件契約3及び本件変更契約は,「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当するということがで のであると判断したものであり,その判断に合理性を欠く点はない。 したがって,本件契約2,本件契約3及び本件変更契約は,「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当するということができる。 イ本件契約2については,前記ア(イ)のとおり,平成25年度及び平成26年度指定ごみ袋作製業務について一般競争入札に参加する資格を有す る者として名簿に登録された者がDのみであったところ,それでも競争入札に付す場合,おおむね4箇月の期間を要し,ごみ袋の住民への供給が大幅に遅れる事態となる。したがって,本件契約2は,地方自治法施行令167条の2第1項5号所定の「緊急の必要により競争入札に付することができないとき」に該当する。 平成27年度の契約については,同年度の予算が可決された同年3月 27日以降でないと入札の起案をすることができないため,文書上では入札の起案から契約の締結まで2週間となっているが,実際には,少なくとも同年3月中旬から準備を始めており,入札に要した期間はおおむね1箇月であった。 ウ本件各契約はDことCとの間の契約であり,忠岡町は補助参加人とは 契約を締結していないから,本件各契約は地方自治法92条の2に違反しない。 (補助参加人の主張の要旨)本件各契約はDことCとの間の契約であり,忠岡町は補助参加人とは契約を締結していないから,本件各契約は地方自治法92条の2に違反しな い(詳細は,後記⑼(補助参加人の主張の要旨)のとおり)。 ⑸ 争点5(補助参加人に対する不当利得返還請求を求める請求関係・本件各契約が無効であるか)(原告の主張の要旨)本件各契約が地方自治法施行令167条の2第1項2号所定の「その性 質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当しないことは明 める請求関係・本件各契約が無効であるか)(原告の主張の要旨)本件各契約が地方自治法施行令167条の2第1項2号所定の「その性 質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当しないことは明白であり,忠岡町は,本件各契約が対象とする一般家庭ごみ指定袋作製等業務委託について,平成23年度まで及び平成27年度には,指名競争入札を行った。 忠岡町長として本件各契約を締結したAは,Dの営業主体が補助参加人であることを知っており,地方自治法92条の2に違反することを知りなが ら,Dの営業主体がCであるという虚偽の外観を作出して本件各契約を締結したものである。 以上の事情に照らせば,本件各契約を無効としなければ地方自治法2条14項,地方財政法4条1項の趣旨を没却する特段の事情があるというべきであるから,本件各契約は無効である。 (被告の主張の要旨) 争う。 ⑹ 争点6(Aの不法行為責任の有無)(原告の主張の要旨)Aは,忠岡町長として,本件各契約が違法な随意契約であることを知りながら,また,補助参加人が忠岡町議会議員であり,補助参加人が一般家 庭ごみ指定袋作製等業務を受注することが地方自治法92条の2に反することを知りながら,本件各契約を締結したから,忠岡町に対し,不法行為責任を負う。 忠岡町は,前記の不法行為によって,本件各契約に基づく委託料の金額と競争入札が実施された場合に想定される委託料の金額との差額として, 本件契約1について190万7850円,本件契約2について248万5455円,本件契約3及び本件変更契約について423万6634円の合計862万9939円の損害を被った。 (被告の主張の要旨)争う。 ⑺ 争点7(Bの不法行為責任の有無)(原告の主張の要旨)Bは,忠 び本件変更契約について423万6634円の合計862万9939円の損害を被った。 (被告の主張の要旨)争う。 ⑺ 争点7(Bの不法行為責任の有無)(原告の主張の要旨)Bは,忠岡町の職員として,補助参加人が忠岡町議会議員であり,補助参加人が一般家庭ごみ指定袋作製等業務を受注することが地方自治法92条の2に反することを知りながら,本件各契約を締結する事務に関与した から,忠岡町に対し,不法行為責任を負う。 忠岡町は,前記の不法行為によって,前記⑹(原告の主張の要旨)のとおり合計862万9939円の損害を被った。 (被告の主張の要旨)争う。 ⑻ 争点8(Cの不法行為責任の有無) (原告の主張の要旨)Cは,補助参加人が忠岡町との間で地方自治法92条の2に違反して本件各契約を締結することを知りながら,又は補助参加人がこのような違法な契約を締結することを予見することができたにもかかわらず,自己の名義を補助参加人に貸した。 忠岡町は,前記の不法行為によって,前記⑹(原告の主張の要旨)のとおり合計862万9939円の損害を被った。 (被告の主張の要旨)争う。 ⑼ 争点9(補助参加人の不法行為責任の有無) (原告の主張の要旨)補助参加人は,地方自治法92条の2に違反して,忠岡町との間で本件各契約を締結し,本件各契約に基づく委託料を受領したから,忠岡町に対し,不法行為責任を負う。 ①本件各契約に基づく委託料が補助参加人名義の預金口座に振り込まれ たこと,②平成19年5月に補助参加人が忠岡町議会議員に就任する前は,補助参加人がDとして忠岡町から業務を受注していたこと,③「DC」名義の文書の筆跡が,「DG」名義の文書のそれと同一であること,④補助参加人が,「DG 助参加人が忠岡町議会議員に就任する前は,補助参加人がDとして忠岡町から業務を受注していたこと,③「DC」名義の文書の筆跡が,「DG」名義の文書のそれと同一であること,④補助参加人が,「DG」と称して,忠岡町商工会のH地区総代として活動していること,⑤Dの住所が補助参加人のそれと同一であること,⑥補助参 加人に,議員の失職事由を隠ぺいするためにC名義を使用して忠岡町と契約を締結する動機があることからすると,補助参加人がDとして本件各契約を締結したものであるといえる。 忠岡町は,前記の不法行為によって,前記⑹(原告の主張の要旨)のとおり合計862万9939円の損害を被った。 (被告の主張の要旨) 争う。なお,仮にDの代表者が補助参加人であったとしても,議員と地方公共団体との請負契約の効力には何らの影響を与えるものではない。 (補助参加人の主張の要旨)補助参加人は,平成19年5月に忠岡町議会議員に就任するまでは,「D」の屋号で業務を行っていたが,忠岡町議会議員に就任する際,当時補助参 加人の下でDの業務に従事していた子であるCにその事業を承継させた。 したがって,本件各契約を締結したのは,補助参加人ではなくCである。 Cは,従前と同様に,Dの住所において,パート従業員らと共にその事業を行っており,平成19年5月以降,Dの所得について,Cが所得税の確定申告をしている。また,Dは,I銀行から事業資金を借り入れていた が,Cが事業を承継した後にその借入名義を補助参加人からCに変更したほか,Cが,自らの判断でJ信用金庫から事業資金を借り入れた。さらに,同月以降,Dが発行する請求書はC名義で作成されている。 本件各契約に基づく委託料が補助参加人名義の預金口座に振り込まれたが,これは,CがDの事業を引 でJ信用金庫から事業資金を借り入れた。さらに,同月以降,Dが発行する請求書はC名義で作成されている。 本件各契約に基づく委託料が補助参加人名義の預金口座に振り込まれたが,これは,CがDの事業を引き継いだ際に,あえて新たな口座を作成す るのが手間であったことから,従前の口座を使用し続けていたものにすぎない。また,補助参加人が下請負業者許可申請書に記入したことがあるが,これは,Cよりも補助参加人の方がこのような書類を作成するのに慣れていたことから,その作成を手伝ったものにすぎない。Dの住所が補助参加人のそれと同一であるのは,補助参加人が平成19年5月まで自らの住所 において事業を行っていたところ,Cがその事業を承継した際,あえてその機械や什器備品等を移動させることなく,引き続き同じ場所で事業を行っていたものであるから,自然なことである。 第3 当裁判所の判断 1 本案前の争点について ⑴ 認定事実 前記前提事実に掲記の証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,次の事実が認められる。 ア Aは,平成24年7月1日,忠岡町長として,Dとの間において,本件契約1を締結した。 忠岡町では,平成25年9月12日,平成24年度の一般会計・特別会 計歳入歳出決算書が作成された。この決算書には,「一般家庭ごみ指定袋作製等業務委託料」として865万4678円が計上されていた。この決算書は,この頃以降,忠岡町庁舎の情報閲覧コーナーに設置され,一般の閲覧に供された。(乙35,弁論の全趣旨)イ Aは,平成25年7月1日,忠岡町長として,Dとの間において,本件 契約2を締結した。 Aは,平成25年3月28日,忠岡町長として,同月27日に議決を得た平成25年度忠岡町一般会計予算等を公表した。この一般会計予算には, 長として,Dとの間において,本件 契約2を締結した。 Aは,平成25年3月28日,忠岡町長として,同月27日に議決を得た平成25年度忠岡町一般会計予算等を公表した。この一般会計予算には,「一般家庭ごみ指定袋作製等業務委託料」として730万9000円が計上されていた。この予算書は,同月28日以降,忠岡町庁舎の情報閲覧コ ーナーに設置され,一般の閲覧に供された。(乙30,31)忠岡町では,平成26年9月12日,平成25年度の一般会計・特別会計歳入歳出決算書が作成された。この決算書には,「一般家庭ごみ指定袋作製等業務委託料」として725万8965円が計上されていた。この決算書は,この頃以降,忠岡町庁舎の情報閲覧コーナーに設置され,一般の閲 覧に供された。(乙36,弁論の全趣旨)ウ Aは,平成26年4月1日,忠岡町長として,Dとの間において,本件契約3を締結した。 Aは,平成26年3月28日,忠岡町長として,同月27日に議決を得た平成26年度忠岡町一般会計予算等を公表した。この一般会計予算には, 「一般家庭ごみ指定袋作製等業務委託料」として650万円が計上されて いた。この予算書は,同月28日以降,忠岡町庁舎の情報閲覧コーナーに設置され,一般の閲覧に供された。(乙32,33)Aは,平成26年12月1日,忠岡町長として,Dとの間において,本件変更契約を締結した。 忠岡町では,平成27年9月10日,平成26年度の一般会計・特別会 計歳入歳出決算書が作成された。この決算書には,「一般家庭ごみ指定袋作製等業務委託料」として662万0572円が計上されていた。この決算書は,この頃以降,忠岡町庁舎の情報閲覧コーナーに設置され,一般の閲覧に供された。(乙37,弁論の全趣旨)エ忠岡町は,本件各契約の締 務委託料」として662万0572円が計上されていた。この決算書は,この頃以降,忠岡町庁舎の情報閲覧コーナーに設置され,一般の閲覧に供された。(乙37,弁論の全趣旨)エ忠岡町は,本件各契約の締結当時(平成24年度以降),公共工事や物品・ 役務に関する契約について入札が行われた場合,少なくともそのうちの一部について,当該入札がされた日から遅くとも2,3日以内に,当該入札の結果(件名,予定価格,(原)契約金額,入札日,入札・契約方法,入札者,入札金額等)を記載した書面(以下「入札結果書面」という。)をファイルにつづり,このファイルを忠岡町庁舎の情報閲覧コーナーに設置して, 一般の閲覧に供していた。本件各契約の締結された期間(平成24年度から平成26年度まで)に係る前記ファイルは,少なくとも平成27年度までは情報閲覧コーナーに設置されていた。忠岡町が随意契約を締結した場合,入札結果書面は作成されない。(乙34の1から4まで,証人K,弁論の全趣旨) オ原告は,平成27年3月26日,忠岡町長に対し,請求に係る情報の内容を,平成21年度から平成26年度までにおける忠岡町指定ごみ袋作製に係る①発注可能な業者一覧及び②前記6年度の間において指定ごみ袋の作製実績を有する業者一覧として,情報公開請求をした。(甲3)忠岡町長は,前記情報公開請求につき,平成27年3月30日付けで前 記①に係る情報を,同年4月8日付けで前記②に係る情報を,それぞれ公 開する旨の決定をした。(甲4の1,2,甲5の1,2)カ原告は,平成27年4月21日,本件監査請求をした。 ⑵ 争点1(本件追加請求部分の適法性)について前記前提事実⑸のとおり,原告は,平成27年6月20日,忠岡町監査委員から,本件監査請求を棄却する旨の決定を通 7年4月21日,本件監査請求をした。 ⑵ 争点1(本件追加請求部分の適法性)について前記前提事実⑸のとおり,原告は,平成27年6月20日,忠岡町監査委員から,本件監査請求を棄却する旨の決定を通知され,同年7月16日,被 告に対し,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,A及びCに対して金員の支払を請求することを求めて本件訴訟を提起した。その後,原告は,平成29年4月13日,本件訴訟について,B及び補助参加人に対して金員の支払を請求することを求める請求を追加する旨の訴えの変更をする旨の書面を提出した(従来の請求と追加された請求とは,いずれも本件各契約が違 法であることをその根拠とするものであることなどからして,請求の基礎を同一にするものといえ,この訴えの変更により著しく訴訟手続を遅滞させることもないから,この訴えの変更は許される。)。 訴えの変更は,変更後の新請求については新たな訴えの提起にほかならないから,この訴えにつき出訴期間の制限がある場合には,この出訴期間の遵 守の有無は,変更前後の請求の間に訴訟物の同一性が認められるとき,又は両者の間に存する関係から,変更後の新請求に係る訴えを当初の訴えの提起の時に提起されたものと同視し,出訴期間の遵守において欠けるところがないと解すべき特段の事情があるときを除き,当該訴えの変更の時を基準としてこれを決しなければならないと解するのが相当である(最高裁昭和59年 (行ツ)第70号同61年2月24日第二小法廷判決・民集40巻1号69頁参照)。 これを本件についてみると,原告がした前記訴えの変更(訴えの提起から約1年9箇月後にされた。)は,A及びCに対して金員の支払の請求をすることを求める変更前の請求に,B及び補助参加人に対して金員の支払の請求を することを求 がした前記訴えの変更(訴えの提起から約1年9箇月後にされた。)は,A及びCに対して金員の支払の請求をすることを求める変更前の請求に,B及び補助参加人に対して金員の支払の請求を することを求める請求を新たに追加するものであり,変更前後の請求の間に 訴訟物の同一性は認められない。そして,AとBとの間には町長と職員という立場の違いがあるから,その責任原因は異なったものとなるのであり,Aに対して金員の支払の請求をすることを求める請求が,Bに対して金員の支払の請求をすることを求める意思の表明を含んでいるとはいえない。また,原告は,前記訴えの変更をする前においては,金員の支払の請求をすること を求める相手方を「DことC」と特定していたところ,前記訴えの変更後は,「D」とは実質的に補助参加人である旨を主張するに至ったのであるから,前記訴えの変更前におけるCに対して金員の支払の請求をすることを求める請求とその後における補助参加人に対して金員の支払の請求をすることを求める請求とは実質的に両立しないものというべきであり,Cに対して金員の 支払を請求することを求める請求が,補助参加人に対して金員の支払の請求をすることを求める意思の表明を含んでいるとはいえない。そうすると,原告がした前記訴えの変更について,前記特段の事情は認められない。 これに対して,原告は,本件の訴えの変更前後の請求は,いずれも本件各契約の違法な締結に起因する被告の請求権の違法な不行使であって,怠る事 実の相手方が追加されたにすぎないとして,前記特段の事情が認められる旨主張するが,以上説示したところに照らして採用することができない。 以上によれば,出訴期間の遵守については,本件追加請求部分は平成29年4月13日に提起されたものと解すべきところ,原告に対し監 る旨主張するが,以上説示したところに照らして採用することができない。 以上によれば,出訴期間の遵守については,本件追加請求部分は平成29年4月13日に提起されたものと解すべきところ,原告に対し監査の結果の通知があったのは平成27年6月20日であるから,本件追加請求部分は地 方自治法242条の2第2項所定の出訴期間を徒過して提起された不適法なものというべきである。 ⑶ 争点2(本件監査請求への地方自治法242条2項の適用の有無)についてア普通地方公共団体の長その他の財務会計職員の財務会計上の行為が財務 会計法規に違反して違法であるか又はこれが違法であって無効であるから こそ発生する実体法上の請求権の行使を怠る事実を対象として監査請求がされた場合には,当該行為のあった日又は終わった日を基準として地方自治法242条2項の規定を適用すべきである(最高裁昭和57年(行ツ)第164号同62年2月20日第二小法廷判決・民集41巻1号122頁参照)。他方,実体法上の請求権の行使を怠る事実を対象としてされた住民 監査請求において,監査委員が当該怠る事実の監査を遂げるためには,特定の財務会計上の行為の存否,内容等について検討しなければならないとしても,当該行為が財務会計法規に違反して違法であるか否かの判断をしなければならない関係にない場合には,当該監査請求に同項の規定は適用されない(最高裁平成10年(行ヒ)第51号同14年7月2日第三小法 廷判決・民集56巻6号1049頁参照)。 そこで,以下,この観点から検討する。 イ本件において原告が主張するAの責任原因は,忠岡町長であるAの財務会計上の行為(支出負担行為)である本件各契約が,地方自治法234条2項及び92条の2に違反して違法であるということに帰着する イ本件において原告が主張するAの責任原因は,忠岡町長であるAの財務会計上の行為(支出負担行為)である本件各契約が,地方自治法234条2項及び92条の2に違反して違法であるということに帰着するから(前 記第2の3⑹(原告の主張の要旨)),原告がその存在を主張している忠岡町のAに対する損害賠償請求権は,本件各契約が財務会計法規に違反して違法であるからこそ発生する実体法上の請求権であると解される。したがって,本件監査請求中,Aに対する損害賠償請求権の行使を怠る事実を対象とする部分については,本件各契約の締結日を基準として同法242条 2項が適用されるものというべきである。そうすると,本件監査請求中,Aに対する本件契約1,本件契約2及び本件契約3に係る損害賠償請求権の不行使を対象とする部分については,同項本文所定の監査請求期間が経過していたものである。 ウ本件において原告が主張するCの責任原因は,補助参加人が忠岡町との 間で地方自治法92条の2に違反して本件各契約を締結することを知りな がら,又は補助参加人がこのような違法な契約を締結することを予見することができたにもかかわらず,自己の名義を補助参加人に貸したというものである(前記第2の3⑻(原告の主張の要旨))。そうすると,本件監査請求中,Cに対する不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を怠る事実を対象とする部分について監査を遂げるためには,監査委員は,Cについて 前記行為が認められ,それが不法行為法上違法の評価を受けるものであるかどうか,これにより忠岡町に損害が発生したといえるかどうかなどを確定しさえすれば足りる。したがって,当該部分に係る監査請求について同法242条2項の規定の適用がないものと認めても,同項の趣旨が没却されるものではなく,監査請求 害が発生したといえるかどうかなどを確定しさえすれば足りる。したがって,当該部分に係る監査請求について同法242条2項の規定の適用がないものと認めても,同項の趣旨が没却されるものではなく,監査請求期間の制限が及ばないものと解するのが相当 である。 ⑷ 争点3(本件監査請求に係る地方自治法242条2項ただし書にいう正当な理由の有無)についてア普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて住民監査請求をするに足りる程度に財務会計上の行為の存在又は 内容を知ることができなかった場合には,地方自治法242条2項ただし書にいう正当な理由の有無は,特段の事情のない限り,当該普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて前記の程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきである(最高裁平成10 年(行ツ)第69号,第70号同14年9月12日第一小法廷判決・民集56巻7号1481頁参照)。 そこで,以下,この観点から検討する。 イ本件契約1については,平成24年7月1日に急きょ随意契約の方法により締結されたものであるが,前記⑴の認定事実アのとおり,「一般家庭ご み指定袋作製等業務委託料」として865万4678円が計上された平成 24年度の一般会計・特別会計歳入歳出決算書が,平成25年9月12日頃以降,忠岡町庁舎の情報閲覧コーナーに設置され,一般の閲覧に供されていたから,忠岡町の住民は,同日頃の時点において,忠岡町が一般家庭ごみ指定袋作製等の業務について業務委託契約を締結していること及びその委託料を知ることができた。そして,同エのとおり,忠岡町は,当時, 公共工事等の入札が行われた場合 において,忠岡町が一般家庭ごみ指定袋作製等の業務について業務委託契約を締結していること及びその委託料を知ることができた。そして,同エのとおり,忠岡町は,当時, 公共工事等の入札が行われた場合,少なくともそのうちの一部について,当該入札がされた日から遅くとも2,3日以内に,当該入札の結果を記載した書面(入札結果書面)をファイルにつづり,このファイルを忠岡町庁舎の情報閲覧コーナーに設置して,一般の閲覧に供していたものであり,忠岡町が随意契約を締結した場合,入札結果書面が作成されないことから, 忠岡町の住民は,前記ファイルを閲覧することで,随意契約の方法により本件契約1が締結されたことを推測することができたものである(当時,公共工事等の入札が行われたにもかかわらず,当該入札の結果が一般の閲覧に供されていない場合もあった(つづり漏れがあった)ことがうかがわれるが,一般の閲覧に供されている入札結果書面が作成されていない以上, 住民としては,前記ファイルを閲覧することにより,一定の取引について随意契約の方法により契約が締結されたのではないかとの疑念を抱くことが十分可能である。)。そして,忠岡町の住民は,情報公開請求をすること等により,本件契約1の内容及び本件契約1が随意契約の方法により締結されたことを知ることができたものである(現に,原告が,平成21年度 から平成26年度までに忠岡町指定ごみ袋を作製した実績のある業者名や業者ごとの発注・契約形態について,平成27年3月26日に情報公開請求をしたところ(甲3),忠岡町は,この請求から13日後の同年4月8日付けで,契約書や随意契約の方法により契約を締結した理由を記載した書面等の写しを交付したものである(甲5の1,2)。)。 そうすると,遅くとも,平成24年度の前記決 ら13日後の同年4月8日付けで,契約書や随意契約の方法により契約を締結した理由を記載した書面等の写しを交付したものである(甲5の1,2)。)。 そうすると,遅くとも,平成24年度の前記決算書が一般の閲覧に供さ れてから1箇月が経過した平成25年10月12日頃には,忠岡町の一般住民において相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて監査請求をするに足りる程度に本件契約1の存在及び内容を知ることができたというべきである。しかるに,原告は,平成27年4月21日に本件監査請求をしたものであるから,前記の相当な期間内に監査請求をしたものということ はできない。 ウ本件契約2については,前記⑴の認定事実イのとおり,「一般家庭ごみ指定袋作製等業務委託料」として725万8965円が計上された平成25年度の一般会計・特別会計歳入歳出決算書が,平成26年9月12日頃以降,忠岡町庁舎の情報閲覧コーナーに設置され,一般の閲覧に供されてい たから,忠岡町の住民は,同日頃の時点において,忠岡町が一般家庭ごみ指定袋作製等の業務について業務委託契約を締結していること及びその委託料を知ることができた。そうすると,前記イで説示したのと同様の理由により,遅くとも,平成25年度の前記決算書が一般の閲覧に供されてから1箇月が経過した平成26年10月12日頃には,忠岡町の一般住民に おいて相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて監査請求をするに足りる程度に本件契約2の存在及び内容を知ることができたというべきである。しかるに,原告は,平成27年4月21日に本件監査請求をしたものであるから,前記の相当な期間内に監査請求をしたものということはできない。 エ本件契約3については,原告は,平成26年度の一般会計・特別会計歳入歳出決算書 21日に本件監査請求をしたものであるから,前記の相当な期間内に監査請求をしたものということはできない。 エ本件契約3については,原告は,平成26年度の一般会計・特別会計歳入歳出決算書が一般の閲覧に供された平成27年9月10日頃(前記⑴の認定事実ウ)より前の同年4月21日に本件監査請求をしたものであるから,前記の相当な期間内に監査請求をしたものということができる。 オしたがって,本件監査請求中,Aに対する本件契約1及び本件契約2に 係る各損害賠償請求権の行使を怠る事実を対象とする部分が,それぞれ, 本件契約1及び本件契約2の各締結日から地方自治法242条2項本文所定の住民監査請求期間の経過後にされたことについては,同項ただし書にいう正当な理由があるということはできない。他方,本件監査請求中,Aに対する本件契約3に係る損害賠償請求権の行使を怠る事実を対象とする同部分が本件契約3の締結日から前記期間の経過後にされたことについて は,前記の正当な理由があるということができる。 ⑸ 小括以上によれば,本件追加請求部分並びに本件契約1及び本件契約2についてAに対して金員の支払の請求をすることを求める部分は,いずれも不適法であり却下を免れない。 他方,本件訴えのうち,本件契約3及び本件変更契約についてAに対して損害賠償の請求をすることを求める部分並びにCに対して損害賠償の請求をすることを求める部分は適法であるから,以下,これらの部分に関する限度で本案の争点について判断する。 2 本案の争点について ⑴ 認定事実前記前提事実及び当事者間に争いのない事実に掲記の証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,次の事実が認められる。 ア忠岡町契約規則には,一般競争入札について,要旨次のような定めがある ⑴ 認定事実前記前提事実及び当事者間に争いのない事実に掲記の証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,次の事実が認められる。 ア忠岡町契約規則には,一般競争入札について,要旨次のような定めがある。(乙18,27) ① 入札に参加しようとする者は,入札参加資格審査申請書及び関係書類を町長に提出し,資格審査の申請をしなければならない(4条)。 ② 町長は,前記①の申請に基づき,申請者の資格の審査を行うとともに資格者の名簿を作成する(5条1項)。この名簿は2会計年度有効とする(同条3項)。 ③ 町長は,必要があると認めるとき又は申請者に特別の事情があると認 めるときは,前記①の手続に準じて随時に資格の審査を行い,資格者の名簿の追加を行うことができる(5条4項)。 イ補助参加人は,以前「D」の屋号で営業を行っており,平成15年度から平成18年度まで,忠岡町からカン・ビン袋の作製等を受注していた。 (甲43の2) ウ Cは,平成19年4月26日,忠岡町に対し,物品・役務等の入札参加資格者名簿について,Dの代表者をCに変更する旨を届け出た。以後,Dが忠岡町に対して発行する請求書の名義は「C」である。(甲43の3,乙26の1から3まで)補助参加人は,平成19年5月1日,忠岡町議会議員に就任した。他方, 補助参加人は,平成20年以降,「DG」として,忠岡町商工会のH地区総代に選出されている。(甲33から37まで,42)Cは,忠岡町から受注した業務に係る金員の振込先を補助参加人名義の預金口座に指定している。また,Dは,補助参加人の住所地において事業を行っている。(甲39,45,弁論の全趣旨) Cは,少なくとも平成24年分以降の所得税の確定申告において,自己の屋号を「D」としている いる。また,Dは,補助参加人の住所地において事業を行っている。(甲39,45,弁論の全趣旨) Cは,少なくとも平成24年分以降の所得税の確定申告において,自己の屋号を「D」としている。また,Cは,I銀行からのDの事業資金の借入れについて,補助参加人から名義変更を受けたほか,平成27年5月15日付けで,J信用金庫忠岡支店との間で信用金庫取引契約を締結し,同金庫から事業資金を借り入れた。(丙1の1から3まで,丙2,3,弁論の 全趣旨)エ忠岡町は,平成21年度から平成23年度までの間,一般家庭ごみ指定袋作製等業務委託について,指名競争入札を実施の上,物品・役務等の入札参加資格者名簿に登録された複数の業者が入札した結果,いずれもEとの間で契約を締結した。これらの入札の際,Cが,「D」の屋号で入札し, 又は入札を辞退した。(甲2,5の2,甲8の1から9まで,甲9の3から 10まで,甲10の3から6まで,乙3の1,乙3の1の2)忠岡町とEが平成23年度に締結した契約は,一般家庭ごみ指定袋の作製,在庫管理及び受注配送の業務委託契約であり,委託期間は平成23年5月31日から平成24年3月31日までであった(乙3の1,乙3の1の2,乙3の2)。忠岡町が平成24年度の一般家庭ごみ指定袋作製等業務 委託について入札を実施し契約を締結するまでの間,一般家庭ごみ指定袋の配送及び在庫管理業務を実施する必要があることから,忠岡町は,平成24年4月1日,Eとの間で,随意契約の方法により,同日から同年6月30日までの間,前記業務を委託する旨の契約を締結し,Eが前記業務についてFに下請負をさせることを許可した(乙4の1,2,3の1,2)。 オ忠岡町は,平成24年4月25日付けで,Eの代理人弁護士らから,Eが 業務を委託する旨の契約を締結し,Eが前記業務についてFに下請負をさせることを許可した(乙4の1,2,3の1,2)。 オ忠岡町は,平成24年4月25日付けで,Eの代理人弁護士らから,Eが破産手続開始の申立ての準備中であり,Eへの支払をしばらく控えるよう依頼する旨などが記載された書面を送付された。忠岡町は,Fと連絡を取って,同年5月10日,Fが保管している忠岡町一般家庭ごみ指定袋の所有権が忠岡町に帰属していることを確認し,Fとの間で,随意契約の方 法により,同日から同年6月30日までの間,一般家庭ごみ指定袋の配送及び在庫管理業務を委託する旨の契約を締結した。(乙5,13,14,17)忠岡町は,平成24年6月14日付けで,名古屋地方裁判所から,Eについて破産手続開始の決定がされたことの通知を受けた。忠岡町は,同年 7月1日,随意契約の方法により,同日から同年9月30日までの間,前記業務を委託する旨の契約を締結した。(乙6,15)Aは,平成24年7月1日,忠岡町長として,D(C名義)との間において,平成24年度忠岡町一般家庭ごみ指定袋作製等業務委託契約(本件契約1)を締結した。この際,Dが下請負の許可を申請するに当たって, 補助参加人が申請書に下請業者名等を記入した。 カ Aは,平成24年11月30日,忠岡町長として,(ア)忠岡町が発注する平成25年度及び平成26年度における物品・役務等について,一般競争入札等に参加する者に必要な資格を,①地方自治法施行令167条の4の規定に該当しないこと,②営業に関し法律上必要とする資格を持っていること,③国税及び地方税を滞納していないことと定めた旨,(イ)資格を有す る者で同令167条の12第1項の規定により指名を受けようとするものは,入札参加 業に関し法律上必要とする資格を持っていること,③国税及び地方税を滞納していないことと定めた旨,(イ)資格を有す る者で同令167条の12第1項の規定により指名を受けようとするものは,入札参加資格審査申請をして町の登録を受けなければならない旨を公示した上,この入札参加資格申請の受付期間及び受付場所等について,忠岡町の広報誌において,平成24年12月号,平成25年1月号及び同年2月号の3回にわたって広報した。(乙21から25まで) 平成25年度及び平成26年度における忠岡町一般家庭ごみ指定袋作製等業務委託について,入札参加資格申請をしたのは,Dのみであり,Dのみが入札参加資格者名簿に登録された。(乙11)キ Aは,平成25年7月1日,忠岡町長として,D(C名義)との間において,平成25年度忠岡町一般家庭ごみ指定袋作製等業務委託契約(本件 契約2)を締結した。この際,Dが下請負の許可を申請するに当たって,補助参加人が申請書に下請業者名等を記入した。 ク Aは,平成26年4月1日,忠岡町長として,D(C名義)との間において,平成26年度忠岡町一般家庭ごみ指定袋作製等業務委託契約(本件契約3)を締結した。 本件契約3の委託料は,作製するごみ袋の数量に応じた金額と1箇月ごとの在庫管理及び受注配送業務に応じた額等とから成るが,新たに平成27年3月に増産することとなったとして,Aは,平成26年12月1日,忠岡町長として,D(C名義)との間において,委託料を51万4728円増額する旨の変更契約(本件変更契約)を締結した。(甲5の2) ⑵ 争点4(本件各契約の違法性)について ア地方自治法234条2項違反の有無この点は,本件契約3及び本件変更契約に関するAの不法行為責任の有無についてのみ 。(甲5の2) ⑵ 争点4(本件各契約の違法性)について ア地方自治法234条2項違反の有無この点は,本件契約3及び本件変更契約に関するAの不法行為責任の有無についてのみ関連するので(前記1⑶),本件契約3及び本件変更契約について,地方自治法234条2項違反の有無を検討する。 (ア) 普通地方公共団体が契約を締結するに当たり競争入札の方法によるこ とが不可能又は著しく困難とはいえないとしても,当該契約の目的・内容に相応する資力,信用,技術,経験等を有する相手方を選定してその者との間で契約を締結するという方法をとるのが当該契約の性質に照らし又はその目的を達成する上でより妥当であり,ひいては当該普通地方公共団体の利益の増進につながる場合には,前記契約の締結は,地方自 治法施行令167条の2第1項2号にいう「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」に該当する。そして,この「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」に該当するか否かは,普通地方公共団体の契約担当者が,契約の公正及び価格の有利性を図ることを目的として普通地方公共団体の契約締結の方法に制限を加えている 法令の趣旨を勘案し,個々具体的な契約ごとに,当該契約の種類,内容,性質,目的等諸般の事情を考慮して,その合理的な裁量に基づいて判断すべきものと解するのが相当である(最高裁昭和57年(行ツ)第74号同62年3月20日第二小法廷判決・民集41巻2号189頁参照)。 (イ)a これを本件についてみると,前記⑴の認定事実アのとおり,忠岡町 契約規則は,入札に参加しようとする者は,入札参加資格審査の申請をして,資格の審査を受けて入札参加資格者名簿に登録されなければならない旨を規定している。このような規定は,入札への り,忠岡町 契約規則は,入札に参加しようとする者は,入札参加資格審査の申請をして,資格の審査を受けて入札参加資格者名簿に登録されなければならない旨を規定している。このような規定は,入札への参加を希望する者について,契約の履行を確保するために必要な資力,信用,技術,経験等をあらかじめ判定し,入札手続を適正かつ円滑に実施する ためのものとして合理性を有するものと考えられる。しかるに,同カ のとおり,Aは,平成24年11月30日以降,忠岡町長として,忠岡町が発注する平成25年度及び平成26年度における物品・役務等について,一般競争入札等に参加する者に必要な資格を定め,入札参加資格審査申請をすべき旨を公示し,広報したものの,忠岡町一般家庭ごみ指定袋作製等業務委託について入札参加資格申請をしたのは, Dのみであり,Dのみが入札参加資格者名簿に登録された。前記(ア)のとおり,地方自治法及び同法施行令は,契約の公正及び価格の有利性を図ることを目的として普通地方公共団体の契約締結の方法に制限を加えているものであるところ,入札参加資格者名簿にDのみが登録されていた以上,平成26年度忠岡町一般家庭ごみ指定袋作製等業務 委託については,競争入札に付したとしてもD以外の者が入札に参加せず,価格の有利性を図ることができない可能性が高かったといえる。 そして,Dが入札をしなければ,忠岡町は,地方自治法施行令167条の2第1項8号に基づき随意契約を締結することができるところ,証拠(甲9の3から7まで)及び弁論の全趣旨によれば,この場合, 最初から競争入札に付さずに随意契約を締結する場合と比べて,入札の実施に向けた諸手続等を要するために,おおむね3週間程度という長期間を要することが見込まれる事実が認められる。 の場合, 最初から競争入札に付さずに随意契約を締結する場合と比べて,入札の実施に向けた諸手続等を要するために,おおむね3週間程度という長期間を要することが見込まれる事実が認められる。 なお,D以外の者が入札に参加しようとする場合,まず入札参加資格審査の申請をして,資格者の名簿の追加を求めることになるが,忠 岡町長は,「必要があると認めるとき又は申請者に特別の事情があると認めるとき」に限り,資格者の名簿の追加を行うことができる(名簿の追加をしなければならないものではない。)にとどまるから(忠岡町契約規則5条4項),D以外の者が当然に入札に参加することができるとは限らない(前記のとおり,このような規則の定めは,入札手続を 適正かつ円滑に実施するためのものとして合理性を有するものであり, 競争入札の手続中に入札参加資格審査の申請があれば必ず名簿の追加をしなければならないとはいえない。まして,忠岡町長において,個別の契約の締結に当たり,入札参加資格審査の申請を積極的に促すべき義務を負うものと解することもできない。)。この点について,原告は,忠岡町契約規則5条4項は,町長は,必要がある場合等には随時 資格者の名簿を追加することができる旨を定めており,忠岡町は,過去の登録業者,他の自治体の登録業者を調べ,名簿登録を追加することが容易にできたはずである旨主張する。しかしながら,同項は,同条1項から3項までの規定を受けたものであり,同規則4条の規定に準じて資格の審査を行い,資格者の名簿の追加を行うことができる旨 を定めていることなどに照らして,入札に参加しようとする者が入札参加資格の審査を申請した場合についての規定であると解される。したがって,入札に参加しようとする者の申請がないにもかかわらず, を定めていることなどに照らして,入札に参加しようとする者が入札参加資格の審査を申請した場合についての規定であると解される。したがって,入札に参加しようとする者の申請がないにもかかわらず,忠岡町長が随時過去の登録業者等を調査して名簿に追加すべき義務を負うかのような原告の前記主張は,前提を欠き,採用することができ ない。 b また,本件契約3は,忠岡町の住民の日常生活において一般ごみの回収を受けるために不可欠な一般家庭ごみ指定袋の作製,在庫管理及び受注配送業務であり,一連の業務が円滑に行われるべきであって,一般家庭ごみ指定袋を必要とする住民にこれが届かないという事態を 避ける必要性は高いところ,Dは,平成24年度及び平成25年度に同じ業務を受託しており,同年度から引き継ぐ在庫の管理を含め一連の業務を円滑に行うことができるものと考えられる。 c 以上によれば,Aにおいて,本件契約3をもって地方自治法施行令167条の2第1項2号にいう「その性質又は目的が競争入札に適し ないものをするとき」に該当すると判断したことに合理性を欠く点が あるということはできず,したがって,随意契約の方法によって本件契約3を締結したことに違法はないというべきである。そして,本件変更契約はごみ袋の作製数量の増額に伴って委託料を増額する契約であるから,随意契約の方法によって本件契約3を締結したことに違法がない以上,随意契約の方法によって本件変更契約を締結したことに も違法はない。 なお,入札参加資格者名簿に1者しか登録されないという事態は,価格の有利性を図ることを目的として普通地方公共団体の契約締結の方法に制限を加えている地方自治法及び同法施行令の趣旨に照らして望ましいものとはいえない。しかしながら,これは 録されないという事態は,価格の有利性を図ることを目的として普通地方公共団体の契約締結の方法に制限を加えている地方自治法及び同法施行令の趣旨に照らして望ましいものとはいえない。しかしながら,これは入札参加資格審査 の申請を募集する手続の工夫等によって解決すべき問題であり,現に入札参加資格者名簿に1者しか登録されていない場合に,そのことをもって直ちに随意契約の方法による契約の締結が違法となるものと解することはできない。 イ地方自治法92条の2違反の主張について 原告は,本件各契約は補助参加人が締結したものであり,地方自治法92条の2に違反するから違法である旨主張する。しかしながら,同条は,普通地方公共団体の議会の議員が,当該普通地方公共団体との間で請負関係に立つなどすることによって,その利害関係から議員としての公正な職務の執行や議会の公正な運営が妨げられることを防ぐため,前記議員は, 当該普通地方公共団体に対し請負をする者などとなることができない旨議員の身分保持の要件を定めるものである(同条は,議会の組織について規定する第2編第6章第1節に配置されている。)。そこで,同条に違反して請負契約が締結された場合でも当該契約は有効であると解されるし,当該契約を締結する行為が当該普通地方公共団体との関係において不法行為を 構成するものと直ちにいうことはできない。そうすると,原告の前記主張 はそれ自体失当というべきである。 この点を措くとしても,次に述べるとおり,本件各契約は補助参加人が締結したものであるという事実は認められず,本件各契約が地方自治法92条の2に違反するとはいえない。 すなわち,一方において,前記⑴の認定事実ウ,オ,キのとおり,①C が忠岡町から受注した業務に係る金員の振込先を補助参 実は認められず,本件各契約が地方自治法92条の2に違反するとはいえない。 すなわち,一方において,前記⑴の認定事実ウ,オ,キのとおり,①C が忠岡町から受注した業務に係る金員の振込先を補助参加人名義の預金口座に指定している,②Dが補助参加人の住所地で事業を行っている,③補助参加人が本件契約1及び本件契約2に関連する書面の一部に記入をした,④補助参加人が,平成20年以降,「DG」として,忠岡町商工会のH地区総代に選出されている,といった事情がある。しかしながら,前記①, ②については,元々補助参加人が「D」の屋号で事業を行っていたところ,補助参加人が平成19年5月1日に忠岡町議会議員に就任する際,補助参加人の子であるCがその事業を引き継いだが,振込口座や事業を行う場所は特に変更しなかったものと考えることができる。また,前記③については,当該書面が下請負の許可を申請する書面であって,業務内容そのもの に関わる重要なものであるとはいえないことなどからすると,前記③の事情から直ちに本件契約1及び本件契約2は補助参加人が締結したものであるという事実が推認されるとはいえない。さらに,前記④については,従前Dの事業を行っていた補助参加人が,商工会において一定の地位にあるからといって,直ちに補助参加人がDの事業を実質的に行っているとか, 忠岡町との間で契約を締結しているなどという事実が推認されるとはいえない。 他方において,前記⑴の認定事実ウによれば,Cは,平成19年4月に忠岡町に対しDの代表者をCに変更する旨を届け出て,平成21年度から,自己の名義で一般家庭ごみ指定袋作製等業務委託について指名競争入札に 参加し,自己の名義で本件各契約を締結したものである。また,Cは,所 得税の確定申告において自己の屋号 1年度から,自己の名義で一般家庭ごみ指定袋作製等業務委託について指名競争入札に 参加し,自己の名義で本件各契約を締結したものである。また,Cは,所 得税の確定申告において自己の屋号を「D」とし,Dの事業資金を借り入れている。これらの事情に照らして考えると,前記①から④までの事情から,本件各契約は補助参加人が締結したものであるという事実を推認することはできず,他にこの事実を認めるに足りる証拠はない。 ⑶ 争点6(Aの不法行為責任の有無)について 前記⑵で説示したところによれば,本件契約3及び本件変更契約が違法であるということはできないから,その余の点について判断するまでもなく,Aが原告主張の損害賠償責任を負うことはない。 ⑷ 争点8(Cの不法行為責任の有無)について原告は,Cは,補助参加人が忠岡町との間で地方自治法92条の2に違反 して本件各契約を締結することを知りながら,又は補助参加人がこのような違法な契約を締結することを予見することができたにもかかわらず,自己の名義を補助参加人に貸した旨主張する。しかしながら,前記⑵イに説示したところに照らして,原告の前記主張は前提を欠き,採用することができない。 第4 結論 よって,本件訴えのうち,被告に対して別紙請求目録記載の各請求をすることを求める部分はいずれも不適法であるからこれを却下し,原告のその余の請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官 三輪方大 裁判官 齋藤 三輪方大 裁判官 齋藤毅 裁判官 内藤陽子 別紙 請求目録 1 Aに対する,忠岡町が一般家庭ごみ指定袋作製等業務についてDとの間において平成24年7月1日及び平成25年7月1日に締結した各業務委託契約に係る金員の支払の請求 2 Bに対する金員の支払の請求 3 被告補助参加人に対する金員の支払の請求
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