H14.12.20福島地方裁判所平成14年(わ)第129号危険運転致死被告事件 主文 被告人を懲役4年以上7年以下に処する。 未決勾留日数中120日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,少年であるが,平成14年5月26日午前2時15分ころ,福島市a字bc番地のd付近の最高速度を時速50キロメートルと指定されている左右に湾曲する道路において,その進行を制御することが困難な時速約120キロメートルの高速度で普通乗用自動車を走行させたことにより,自車を道路状況に応じて進行させることができず,左後輪を道路左側側溝に脱輪させて走行の自由を失い道路左側の電柱に激突させ,よって,同乗者のA(当時17歳)に全身打撲の傷害を,同B(当時18歳)に心破裂等の傷害をそれぞれ負わせ,即時同所において,両名を上記各傷害により死亡するに至らしめ,同C(当時19歳)に脳挫傷等の傷害を,同D(当時19歳)に心損傷等の傷害を負わせ,同日午前3時50分ころ,同市ef番地甲県立医科大学医学部附属病院において,両名を上記各傷害により死亡するに至らしめたものである。 (証拠の標目)省略(法令の適用)被告人の判示各被害者に対する各所為は,いずれも刑法208条の2第1項後段に該当するが,これは1個の行為が4個の罪名に触れる場合であるから,同法54条1項前段,10条により犯情の最も重いBに対する危険運転致死罪の刑で処断し,その所定刑期の範囲内で処断すべきところ,被告人は少年であるので,少年法52条1項,2項により,被告人を懲役4年以上7年以下に処し,刑法21条を適用して未決勾留日数中120日をその刑に算入すること ,その所定刑期の範囲内で処断すべきところ,被告人は少年であるので,少年法52条1項,2項により,被告人を懲役4年以上7年以下に処し,刑法21条を適用して未決勾留日数中120日をその刑に算入することとする。 (量刑の理由)本件は,被告人が左右に湾曲する道路を自車の進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させて走行の自由を失い,自車を道路左側の電柱に激突させ,同乗者4名全員を死亡するに至らしめた危険運転致死の事案である。 被告人は久しぶりに友達と会ったことから気持ちが高揚して無謀な運転をしてしまったというが,もとより,これが被告人の本件高速運転を正当化するものでなく,その運転動機に酌むべきものは全くない。被告人は,片側一車線で片側幅員約3.1メートルと狭く,最高速度が時速50キロメートルと指定されている本件道路を,その指定速度を十分認識していたのに,これを全く意に介することなく,時速約80ないし約140キロメートルという著しい高速度で自車を進行させ,本件事故現場となったS字カーブにおいても,十分な減速をしないまま時速約120キロメートルという高速度で進行した挙げ句に本件事故を起こしたものであって,その犯行態様は極めて危険かつ無謀というほかない。現に,犯行直前まで被告人の自動車に同乗していたEは,被告人の運転が怖くて他の自動車に乗り換えていることが認められる。しかも,被告人は,本件犯行に先立ち,知人等と川原で焼き肉パーティーを行い,その際,ビールや焼酎の水割りを飲酒しているばかりか,その後,本件事故の直前に仲間の運転する自動二輪車と衝突事故を起こしたのに,その後も運転を止めることなく続けており,当時被告人には交通法規を遵守しようとする意識が希薄であったといわざるを得ない。 被告人車両に同乗していた被害者4名は,被告人の本件犯行によ を起こしたのに,その後も運転を止めることなく続けており,当時被告人には交通法規を遵守しようとする意識が希薄であったといわざるを得ない。 被告人車両に同乗していた被害者4名は,被告人の本件犯行により突如として本件に遭遇し,激しい傷害を被った挙げ句,AとBは即死し,C,Dは2時間足らずの間に収容先の病院で死亡し,いずれもその生命を奪われたものであり,その結果は極めて重い。中でもBは上半身と下半身に離断され,頭部にも激しい損傷を受けており,その受傷の結果は余りに無惨というほかない。死亡した4名はいずれも17ないし19歳という未成年者であり,それぞれ将来に対する希望や夢を抱いており,まさにこれから人生を切り拓いていこうとしていた矢先に突如その生命を奪われたものであり,その悔しさや無念さは察するに余りある。さらに,被害者4名の遺族らにとっても,手塩にかけて育て上げた愛する息子や兄弟が,ある日突然,変わり果てた姿になり,その生命を奪われてしまったのを目の当たりにしたのであって,そのショック,悲しみは想像を絶するものであろうことは容易に窺え,遺族らの被害感情は察するに余りある。B,Cの遺族との間の示談は未了であり,その遺族らの被害感情には厳しいものが認められる。 以上によれば,被告人の刑責は極めて重い。 しかしながら,被害者らはいずれも被告人の友人であり,当夜被告人らと交遊中本件被告人車両に乗り合わせて本件事故に遭遇していること,被告人は,自らの無謀な運転により友人4名を死亡させたことにつき自殺を考えるほどまで深く思い悩み,本件犯行について深く反省して被害者の遺族らに対して謝罪の手紙を出すなどしていること,被害者A及び同Dの遺族との間では,それぞれ任意保険から損害賠償金が支払われ,示談が成立していること,被告人車両に人的損害賠償額無制限の任意 被害者の遺族らに対して謝罪の手紙を出すなどしていること,被害者A及び同Dの遺族との間では,それぞれ任意保険から損害賠償金が支払われ,示談が成立していること,被告人車両に人的損害賠償額無制限の任意保険が掛けられており,他の被害者遺族との間で示談が成立すれば,損害賠償金の支払が見込めること,被告人の家族の者も被害者らの遺族を訪問して謝罪し,保険金とは別途,香典として各30万円ずつ支払うなど慰謝の措置を講じていること,被害感情の厳しい遺族に対しては事故現場において供養を行うなどの措置を講じていること,被告人は19歳で未成年であること,前科がないこと,被告人の勤務先では被告人が社会復帰後,従前どおり被告人を雇用する意向を示していること,父親が被告人の指導監督を約していることのほか,被告人の家庭の事情,反省の情,更生の決意など被告人のために有利に斟酌すべき事情も認められる。 したがって,これらの諸点も十分考慮し,被告人に対し,主文掲記の刑に処するのが相当であると判断した。 よって,主文のとおり判決する。 (求刑懲役5年以上10年以下)平成14年12月20日福島地方裁判所刑事部裁判長裁判官原啓裁判官本間陽子裁判官久保孝二
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