平成24(ワ)24256 特許権侵害行為差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成26年4月17日 東京地方裁判所
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判決文本文10,118 文字)

言渡平成26年4月17日交付平成26年4月17日裁判所書記官 - 1 -平成24年(ワ)第24256号,平成25年(ワ)第30579号特許権侵害行為差止等請求,承継参加申立事件口頭弁論の終結の日平成26年1月30日判決当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり主文 1 参加人と原告との間において,参加人が特許第3170572号の特許権者であることを確認する。 2 原告及び参加人の被告に対する請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,原告に生じた費用,被告に生じた費用の2分の1と参加人に生じた費用の2分の1を原告の負担とし,被告に生じたその余の費用と参加人に生じたその余の費用を参加人の負担とする。事実及び理由第1 請求 1 原告 被告は,別紙方法目録記載の方法を使用してはならない。 被告は,前項の方法を使用してなる柵状の鮪肉を生産及び譲渡してはならない。 被告は,前項の鮪肉を廃棄せよ。 被告は,原告に対し,750万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日- 2 -から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 参加人 主文第1項と同旨。 被告は,別紙方法目録記載の方法を使用してはならない。 被告は,前項の方法を使用してなる柵状の鮪肉を生産及び譲渡してはならない。 被告は,前項の鮪肉を廃棄せよ。 被告は,参加人に対し,750万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。第2 はならない。 被告は,前項の鮪肉を廃棄せよ。 被告は,参加人に対し,750万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。第2 事案の概要本件は, 平成24年(ワ)第24256号事件において,原告が,被告の使用する方法が鮪肉の保存方法に関する原告の特許権に係る特許発明の技術的範囲に属すると主張して,被告に対し,方法の使用及びこれを使用した鮪肉の生産及び譲渡の差止め並びに鮪肉の廃棄,民法709条に基づく損害賠償金750万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め, 平成25年(ワ)第30579号において,参加人が,原告から上記特許権及びその侵害による被告に対する損害賠償請求権の譲渡を受けたところ,被告の使用する方法が鮪肉の保存方法に関する原告の特許権に係る特許発明の技術的範囲に属すると主張して,原告に対し,参加人が上記特許権の特許権者であることの確認を求め,被告に対し,方法の使用及びこれを使用した鮪肉の生産及び譲渡の差止め並びに鮪肉の廃棄,民法709条に基づく損害賠償金750- 3 -万円及びこれに対する平成24年(ワ)第24256号事件の訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実) 本件特許権原告は,発明の名称を「鮪肉の保存方法」とする特許権(特許番号第3170572号。以下「本件特許権」といい,この特許を「本件特許」という。)を有していた。 本件発明本件特許の特許出願の願書に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項2の記載は,本判決 2号。以下「本件特許権」といい,この特許を「本件特許」という。)を有していた。 本件発明本件特許の特許出願の願書に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項2の記載は,本判決添付の特許公報(以下「本件公報」という。)の該当項記載のとおりである(以下,この請求項2に係る発明を「本件発明」という。)。 被告の行為被告は,業として,別紙方法目録記載bないしeの方法(以下「被告方法」という。)を使用してなる柵状の鮪肉を製造,販売している。 本件発明と被告方法の対比ア本件発明の構成要件の分説本件発明を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,分説した構成要件をそれぞれの符号に従い「構成要件A」のようにいう。)。A -50℃~-60℃で急速冷凍した所定厚さの複数の鮪肉を,30℃~45℃の温水に直接浸して急速解凍した後,- 4 -B 単体毎に吸水性の高いガス透過性シートで包み,該鮪肉を包んだガス透過性シートを複数個,1枚のガスバリヤー性袋体に入れて真空にした後,C 炭酸ガスと酸素ガスとの混合ガスを前記ガスバリヤー性袋体内に充填して密封し,D 冷蔵保存することを消費者側に出荷する前行程として行うことを特徴とするE 鮪肉の保存方法イ被告方法の構成を本件発明の構成要件に対応させて分説すると,次のとおりである(以下,分説した構成要件をそれぞれの符号に従い「構成b」のようにいう。)。b 吸水シートで包んだ該鮪肉を複数個,1枚の密封袋に入れて真空にし,c 炭酸ガスと酸素ガスとの混合ガスを密封袋内に充填して密封し,d 冷蔵保存することを消費者側に出荷する前行程として行うこと で包んだ該鮪肉を複数個,1枚の密封袋に入れて真空にし,c 炭酸ガスと酸素ガスとの混合ガスを密封袋内に充填して密封し,d 冷蔵保存することを消費者側に出荷する前行程として行うことを特徴とするe 鮪肉の保存方法ウ対比本件発明の構成要件と被告方法の構成を対比すると,被告方法は,本件発明の構成要件D及びEを充足する。 本件特許権等の譲渡原告は,平成25年8月28日,参加人に対し,本件特許権を譲渡し,その旨の移転登録がされた。また,原告は,同日,参加人に対し,本件特許権- 5 -侵害を理由とする被告に対する損害賠償請求権を譲渡し,平成26年1月17日,被告に対しその旨を通知した。 2 争点及びこれに関する当事者の主張争点は, 被告方法の構成, 被告方法における本件発明の技術的範囲の属否,  権利行使の可否であり,これらに関する当事者の主張は,次のとおりである。 被告方法の構成ア原告被告方法は,「-50℃~-60℃で急速冷凍された所定厚さの複数の鮪肉を,30℃~45℃の温水に直接浸して急速解凍し」たものを用いる。イ被告被告方法は,生の鮪肉を用いる。 被告方法の本件発明の技術的範囲の属否ア本件発明の構成要件Bについてア 原告被告方法の「吸水シート」は,不繊布よりなるものでガスを透過し,柵状の鮪肉の上下に2枚あってそれぞれの間に挟み込まれるように配されているから,「単体毎に吸水性の高いガス透過性シートで包み」と実質同一であり,被告方法の構成bは,本件発明の構成要件Bを充足する。イ 被告被告 み込まれるように配されているから,「単体毎に吸水性の高いガス透過性シートで包み」と実質同一であり,被告方法の構成bは,本件発明の構成要件Bを充足する。イ 被告被告方法の「吸水シート」は,不繊布よりなるものであるが,鮪肉を- 6 -単体毎に包み込んでいないから,被告方法の構成bは,本件発明の構成要件Bを充足しない。イ本件発明の構成要件Cについてア 原告被告方法は,炭酸ガスと酸素ガスとの混合ガスを密封袋内に充填して密封するものであるから,被告方法の構成cは,本件発明の構成要件Cを充足する。イ 被告被告方法のガスは,酸素と二酸化炭素以外の気体が71%とか,57. 7%とかを占め,また,二酸化炭素の割合が酸素の割合よりも高いものもあり,本件発明の構成要件Cの混合ガス割合に当たらないから,被告方法の構成cは,本件発明の構成要件Cを充足しない。 権利行使の可否(本件特許が特許無効審判により無効にされるべきものと認められるか否か)ア特許法123条1項2号,29条1項の無効事由ア 被告本件発明は,本件特許の特許出願前に頒布された刊行物である特開平3-254631号公報に記載された発明(以下「引用発明」という。)と「冷凍鮪のサク(肉片)を解凍した後,ガスバリアー性の袋に袋詰めし,袋内を真空にした後,炭酸ガスと水素ガスの混合ガスを前記袋内に充填して密封し,冷蔵保存して消費者側に出荷することを特徴とする鮪肉の保存方法」である点で一致し,本件発明の冷凍鮪が- 7 --50℃~-60℃で急速冷凍したものであるのに対し,引用発明の冷凍鮪は冷凍温度が明らかでない点,本件発明の解凍が30℃~4 る鮪肉の保存方法」である点で一致し,本件発明の冷凍鮪が- 7 --50℃~-60℃で急速冷凍したものであるのに対し,引用発明の冷凍鮪は冷凍温度が明らかでない点,本件発明の解凍が30℃~45℃の温水に直接浸して急速解凍する温水解凍であるのに対し,引用発明は冷水解凍である点,本件発明のサク(鮪肉片)が単体毎に吸水性の高いガス透過性シートで包み,鮪肉を包んだガス透過性シートを複数個を1枚のガスバリヤー性袋体に入れるのに対し,引用発明のサクはピッチシート,通常吸水紙の二種を使用してそれぞれ鮪の下に敷き,これを1枚の袋に入れる点で相違する。生鮪を-50℃~-60℃で急速冷凍して冷凍鮪とすること,冷凍鮪のサクを30℃~45℃の温水に直接浸して急速解凍すること及び鮪のサク複数個を1枚のガスバリヤー性袋体に入れることは,本件特許の特許出願前に頒布された刊行物である特開平5-336878号公報に記載されているように,本件特許の特許出願当時周知の技術であり,相違点に係る構成を本件発明のようにすることは当業者が容易に想到することができた。イ 原告本件発明は,引用発明と「所定の厚さの鮪肉を解凍し,ガス透過性シートと共に1枚のガスバリアー性袋体に入れて,真空にした後,炭酸ガスと水素ガスの混合ガスを前記ガスバリアー性袋体に充填して密封した後,冷凍保存することを消費者側に出荷する前行程として行う鮪肉の保存方法」である点で一致し,本件発明が所定厚さの鮪肉を-50℃~-60℃で急速冷凍したものを用いるのに対し,引用発明は冷- 8 -凍した鮪の魚体をまるのまま用いる点,本件発明が急速冷凍した所定厚さの鮪肉を30℃~45℃の温水に直接浸して急速解凍するのに対し,引用発明は冷水鮪をサク取りした鮪柵を冷水解凍する 冷- 8 -凍した鮪の魚体をまるのまま用いる点,本件発明が急速冷凍した所定厚さの鮪肉を30℃~45℃の温水に直接浸して急速解凍するのに対し,引用発明は冷水鮪をサク取りした鮪柵を冷水解凍する点,本件発明が急速解凍した鮪肉を単胎毎にガス透過性シートで包むのに対し,引用発明は鮪のサクの下にピッチシート,吸水を敷く点で相違する。相違点に係る本件発明の構成は,優れた作用効果を奏するものであるから,当業者が引用発明に基づいて容易に想到することはできない。イ特許法36条4項1号の無効事由ア 被告本件明細書の発明の詳細な説明には,「この所定厚さの鮪肉1を,30℃~45℃の温水に直接浸して急速解凍する。急速解凍することによって,鮪肉の品質を良好に保つことができる。」(段落【0017】,上記段落中に「鯨」とあるのは「鮪」の誤記と認める。)との記載があり,これによれば,「急速解凍」には,鮪肉の品質を保つことができるような解凍が求められていることが理解される。しかし,発明の詳細な説明に「急速」という時間に対応する記載はなく,方法や「急速解凍」後の状態についての記載もないのであって,発明の効果を得るためには解凍作業を過度に試行錯誤しながら繰り返す必要があるから,当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に発明の詳細な説明を記載したということはできない。イ 原告本件明細書の発明の詳細な説明には,「この所定厚さの鮪肉1を,3- 9 -0℃~45℃の温水に直接浸して急速解凍する。」,「鮪肉1は何ら包装されていない状態にあるので,その全表面にむらなく温水が接触し,鮪肉1が効果的かつ均等に急速解凍される。」(段落【0017】)との記載があり,これによれば,当 て急速解凍する。」,「鮪肉1は何ら包装されていない状態にあるので,その全表面にむらなく温水が接触し,鮪肉1が効果的かつ均等に急速解凍される。」(段落【0017】)との記載があり,これによれば,当業者は,鮪肉の締まり具合,厚さや大きさ,冷凍を経た鮪肉が有する温度等の種々の要因に容易に対応することができるから,発明の詳細な説明には,当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されている。ウ特許法36条6項1号又は2号の無効事由ア 被告a 本件明細書の発明の詳細な説明には,炭酸ガスと酸素ガスとを封入することによって発明の効果が得られるとともに,好適となるガスの割合が示されているが,本件発明の構成要件では,炭酸ガスと酸素ガスの割合が特定されていないのであって,不当に発明の技術的範囲を拡張しているから,本件発明は,発明の詳細な説明に記載したものであるということはできない。b 本件発明の「急速冷凍」の「急速」がどの程度の速さをいうのか不明であり,「急速冷凍」の意味が不明確であるから,本件発明は不明確である。イ 原告a 本件明細書の発明の詳細な説明には,「まず,鮪肉1を-50℃~-60℃で急速冷凍して保存する。」(段落【0016】),次に,「この所定厚さの鮪肉1を,30℃~45℃の温水に直接浸して急- 10 -速解凍する。」(段落【0017】),「ガス透過性袋体2に代えて,鮪肉1を吸水性の高いガス透過性シート5で包みガスバリヤー性袋体3に入れることもできる。」(段落【0023】),鮪肉1を包んだガス透過性シート5を「複数づつ1枚のガスバリヤー性袋体3に入れて真空にした後,炭酸ガスと酸素ガスとの混合ガス4を充填して密封する。」(段落【0019】 きる。」(段落【0023】),鮪肉1を包んだガス透過性シート5を「複数づつ1枚のガスバリヤー性袋体3に入れて真空にした後,炭酸ガスと酸素ガスとの混合ガス4を充填して密封する。」(段落【0019】),「上記工程を終えた包装状態にある鮪肉1を,そのままの状態で0℃~3℃の雰囲気を持つ冷蔵庫で保存する。」(段落【0021】)という一連の操作により,「少なくとも3~4日程度は変色することなく,かつ鮮やかに発色した赤色を保つことができることが分かった。」(段落【0024】)との記載があり,これにより鮪肉の品質が維持される。そして,このような作用効果を奏するために,炭酸ガスと酸素ガスとの混合ガスをガスバリヤー性袋体に充填して密封するのであり,これにより,鮪肉の変色を防止し,鮮やかで新鮮みのある赤色を発色させることができるのである。本件発明の構成も,発明の詳細な説明に記載されたものとなっていて,この一連の操作において,炭酸ガスと酸素ガスとの混合ガスを用いるものであり,発明の技術的範囲を拡張するものではないから,本件発明は,発明の詳細な説明に記載されたものである。b 急速解凍における時間等の条件は,鮪肉の締まり具合,厚さや大きさ,冷凍を経た鮪肉が有する温度等の種々の要因に対応して調整される。本件発明は,このような種々の要因に対応するために,鮪肉- 11 -を袋体の包装状態ではなく,裸の状態で30℃~45℃の温水に直接浸すのであり,これにより「鮪肉1の全表面にむらなく温水が接触し,鮪肉1が効果的かつ均等に急速解凍」(段落【0017】)させることが可能となる。そうであるから,「鮪肉1を,30℃~45℃の温水に直接浸して」との構成により,発明が明確となっている。第3 当裁判所の判断 1 前記前提事実によれ 落【0017】)させることが可能となる。そうであるから,「鮪肉1を,30℃~45℃の温水に直接浸して」との構成により,発明が明確となっている。第3 当裁判所の判断 1 前記前提事実によれば,原告は,参加人に対し,本件特許権及び本件特許権侵害を理由とする被告に対する損害賠償請求権を譲渡したというのであるから,原告の請求は理由がなく,また,参加人の原告に対する請求は理由がある。 2 参加人の被告に対する請求について判断する。 被告方法において,冷凍され,その後に解凍された鮪肉を用いることを認めるに足りる証拠はない。 参加人は,平成24年10月21日に被告が同月19日に出荷した「生マグロ柵」(甲10,以下「被告鮪肉」という。)を入手したが,そのトリメータ値,細胞壁の損傷及び硬直(変形)の状態によれば,被告鮪肉が一度冷凍されたものであることが明らかであると主張する。そこで,以下,これについて検討する。アトリメータ値について参加人は,トリメータ鮮度計により,被告鮪肉について異なる5カ所の部位のトリメータ値を測定したところ,1回目(柵の端部)が2.4,2- 12 -回目(さらに端)が,1.6,3回目(中央より)が0.9,4回目(ほぼ同位置)が0.5,5回目(やや端より)が0.1という結果となり,また,原告が保有していた冷凍鮪肉(甲29)を解凍したものと一度も冷凍していない(生)鮪肉(甲30,31)についても複数の部位のトリメータ値をそれぞれ測定したところ,冷凍鮪肉を解凍したものの1回目(中央部)が1.1,2回目(ほぼ同位置)が1.2,(生)鮪肉の1回目(中央部)が10.5,2回目(ほぼ同位置)が11.5,3回目(異なる位置)が12.4という結果となったが,被告鮪肉のトリメータ (中央部)が1.1,2回目(ほぼ同位置)が1.2,(生)鮪肉の1回目(中央部)が10.5,2回目(ほぼ同位置)が11.5,3回目(異なる位置)が12.4という結果となったが,被告鮪肉のトリメータ値は,(生)鮪肉のそれに比べて著しく低く,鶏肉についてではあるが,一度も冷凍していない生肉のトリメータ値は高く,冷凍した肉はトリメータ値が1以下であるとする文献(甲21)があることに照らしても,被告鮪肉は一度冷凍されたものであると主張する。証拠(甲20,21)及び弁論の全趣旨によれば,生体の組織を構成する細胞は,これが生きているときは損傷のない生体膜によって囲まれているが,死後,時間の経過とともに劣化,損傷し,細胞内外において主として電解質の流出や流入が起きること,トリメータは,外部から組織に比較的低い周波数の電流を流すことにより,この現象を細胞の誘電率の変化として検出するもので,非破壊法により魚等の鮮度を測定する機器であること,検出されたトリメータ値は,通常0から16までの値をとり,一般に鮮度が高いものほど大きいこと,魚類は,見かけ上鮮度が優れていたとしても,ただ1回の凍結,解凍によってトリメータ値が有意に低下するものであり,これを逆用して,当該試料が凍結の履歴を持つものであるかどう- 13 -かを鑑別することができること,原告が使用したDistell社のトリメータ鮮度計の説明書(甲20)には,その用途として,「氷蔵生鮮魚の鮮度測定(解凍魚,ブライン保蔵魚は測定不能)」のほか,「生鮮魚と冷凍魚・解凍魚の判定」が挙げられていることが認められる。これらの事実によると,冷凍や解凍によってトリメータ値が有意に低下する現象は,生鮮魚と冷凍魚,解凍魚の判定に利用することができる程度に再現性があるということができる。 とが認められる。これらの事実によると,冷凍や解凍によってトリメータ値が有意に低下する現象は,生鮮魚と冷凍魚,解凍魚の判定に利用することができる程度に再現性があるということができる。ところで,証拠(甲21)によれば,トリメータを使って鶏肉の鮮度の計測や解凍品の判別が可能かどうかを探るために,トリメータによる鶏肉の測定を実施したところ,トリメータは,鶏肉(正肉)の表面から比較的浅い部位での細胞や組織の変化を数値化する計測器であることから,解凍品はもちろんとして,生鮮品であっても,例えば-20℃以下のベルトフリーザーで冷却して表面凍結状態の正肉,冷蔵トラック輸送中-5℃前後の低温で長時間経過した正肉などは,トリメータ値が低い値を示す可能性があることが認められ,この事実によると,ある程度厚みのある生鮮肉については,内部まで凍結したものだけでなく,冷凍に至らない程度の低温(例えば-5℃)で保存されたものであっても,鮮度とは無関係に,トリメータ値が顕著に低下する可能性があるということができる。そうであれば,被告鮪肉のトリメータ値が(生)鮪肉のそれに比べて著しく低いものであったとしても,このことから,直ちに,被告鮪肉が冷凍,解凍されたものであると即断することはできない。参加人の上記主張は,採用することができない。- 14 -イ揖細胞壁の損傷について参加人は,一度も冷凍していない(生)鮪肉の細胞顕微鏡写真では一つ一つの細胞壁を明確に確認することができるが,被告鮪肉の細胞顕微鏡写真はところどころ細胞壁が損傷し,全体として細胞と細胞との境界がぼやけているから,被告鮪肉は一度冷凍されたものであると主張する。証拠(甲46ないし57)によれば,被告鮪肉は,原告が別途入手した( どころ細胞壁が損傷し,全体として細胞と細胞との境界がぼやけているから,被告鮪肉は一度冷凍されたものであると主張する。証拠(甲46ないし57)によれば,被告鮪肉は,原告が別途入手した(生)鮪肉に比べて,細胞壁が損傷していることが認められるが,それぞれの死後の経過日数や保管状態が明らかでないから,両者における細胞壁の状態の違いが,冷凍と解凍の処理の有無のみによるとまでは認め難く,他の要因による可能性を否定することはできない。参加人の上記主張は,採用することができない。ウ死後硬直について参加人は,被告鮪肉に死後硬直とみられる変形があり,漁獲後の経過時間を考慮すれば,被告鮪肉は,死後硬直状態で冷凍されたと主張する。鮪肉の死後硬直による変形が,冷凍,解凍された場合にのみ起こるのか,また,上記変形の有無をもって,鮪肉が冷凍,解凍されたか否かを判定するのに適切な指標であるのかについて,これを明らかにする証拠はなく,被告鮪肉に死後硬直とみられる変形があるとしても,このことをもって,被告鮪肉が冷凍されたものであるということはできない。参加人の上記主張は,採用することができない。 したがって,被告方法が冷凍され,その後に解凍された鮪肉を用いるものであると認めることはできないから,被告方法は,本件発明の構成要件A- 15 -を充足せず,本件発明の技術的範囲に属しない。 以上のとおりであるから,参加人の被告に対する請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。 3 よって,参加人の原告に対する請求は,理由があるからこれを認容し,原告及び参加人の被告に対する請求は,いずれも理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 由がない。 3 よって,参加人の原告に対する請求は,理由があるからこれを認容し,原告及び参加人の被告に対する請求は,いずれも理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。東京地方裁判所民事第47部裁判長裁判官高野輝久裁判官藤田壮裁判官志賀勝は,転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官高野輝久 (別添特許公報は省略) - 16 -当事者目録山口市<以下略>原告富士水産株式会社同訴訟代理人弁護士牧山美香同訴訟代理人弁理士佐藤英昭名古屋市<以下略>被告大宝食品株式会社同訴訟代理人弁護士後藤潤一郎西野泰夫小林明博北折大地平田佐織同訴訟代理人弁理士牧哲郎原一敬東京都江東区<以下略>参  加 人 A 哲郎原一敬東京都江東区<以下略>参  加 人 A- 17 -方法目録a -50℃~-60℃で急速冷凍された所定厚さの複数の鮪肉を,30℃~45℃の温水に直接浸して急速解凍し,b 吸水シートで包んだ該鮪肉を複数個,1枚の密封袋に入れて真空にし,c 炭酸ガスと酸素ガスとの混合ガスを密封袋内に充填して密封し,d 冷蔵保存することを消費者側に出荷する前行程として行うことを特徴とするe 鮪肉の保存方法。

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