平成16(行コ)22 損害賠償請求控訴事件(原審・熊本地方裁判所平成13年(行ウ)第9号)

裁判年月日・裁判所
平成17年11月30日 福岡高等裁判所 住民訴訟
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判決文本文34,346 文字)

- 1 -主文 原判決のうち,控訴人敗訴部分を取り消す。 前項の部分に関する被控訴人らの請求を棄却する。 訴訟費用(参加により生じた費用を含む)は,第一,二審とも。 被控訴人らの負担とする。 事実 及び理由第1当事者の求める裁判 控訴人( )原判決中,控訴人敗訴部分を取り消す。 ( )被控訴人らの請求を棄却する。 ( )訴訟費用は,第一,二審とも被控訴人らの負担とする。 被控訴人ら( )本件控訴を棄却する。 ( )控訴費用は,控訴人の負担とする。 第2事案の概要 本件事案の概要は,後記2のとおり,当審における当事者の主張を付加するほかは,原判決の「事実及び理由「第2事案の概要」及び「第3 争点 」,に関する当事者の主張」に記載のとおりであるからこれを引用する(ただし,原判決2頁22行目の「内蔵洗い従事者」を「内臓洗い従事者」と,原判決4頁9行目の「市農政課」を「市産業振興部農政課」と,同15行目の「利用業者ら」を「利用業者」と,原判決5頁1行目の「存続してもらいたい旨の」を「存続してもらいたい旨」と,同5行目の「決済し」を「決裁し」と,同6行目の「別表」を「原判決別表」と,同22行目の「食肉に」を「食用に」と,原判決6頁8行目の「地方自治地方」を「地方自治法」と,原判決12頁24行目の「明か」を「明らか」と,原判決13頁24行目の「地方自治地方」を「地方自治法」と,原判決19頁8行目及び同12行目の各「被告」を「控訴- 2 -人ら」とそれぞれ改める。 。)原判決は,食肉センターの利用について,市と,利用業者及びと殺業務従事者らとの間には,いずれも継続的契約関係は存しないから,利用業者及びと殺業務従事者らが,食肉センターの利用に関して何らかの権利を有していたとい センターの利用について,市と,利用業者及びと殺業務従事者らとの間には,いずれも継続的契約関係は存しないから,利用業者及びと殺業務従事者らが,食肉センターの利用に関して何らかの権利を有していたということはできないところ,食肉センターの廃止により,と畜業務の特殊性から他地域のと畜場を利用せざるを得なくなり,それによって利用業者の負担が増加することは避けられないが,それは上記廃止によるいわば反射的な不利益と,,いうべきで損失補償において補償されるべき損失ということはできないから本件支援金の支出は,損失補償として支出すべき法的根拠を欠くものであるとし,また,本件支援金について,補助金(地方自治法232条の2)として支出すべき「公益上の必要性」があったと認めることはできず,補助金支出の手続的要件も充足していないから,本件支援金の支出は,違法な公金の支出であり,上記違法な支出をするについて,控訴人には,本件支援金を補償金として支出する要件を満たすか否かについて十分に検討しなかった過失があるから,控訴人は,本件支援金の支出により,市に与えた上記支出額と同額の損害を賠償する責任があるとして,被控訴人らの請求を一部認容(遅延損害金につき一部棄却したため)した。 。 当審における当事者の主張( )控訴人 被控訴人らは,八代市の市長であった控訴人が,食肉センターの利用業者及びと殺業務従事者らに本件支援金を支給したことが違法であるとするが,控訴人は,市議会が当否を審議し,議決した予算の執行として,本件支援金の支出をしたものであり,本件においては,利用業者及びと殺業務従事者らは食肉センターの特別使用権を有していたというべき事情が存することから,食肉センターを廃止するに当たって,かかる特別使用権に対して補償をすることは,市が施策としていた食肉セ 業者及びと殺業務従事者らは食肉センターの特別使用権を有していたというべき事情が存することから,食肉センターを廃止するに当たって,かかる特別使用権に対して補償をすることは,市が施策としていた食肉センターに係る同和対策事業の趣旨に- 3 -適合するものとして,公益上の必要があるところであり,本件支援金の支出が裁量権を逸脱する違法な行為であるということはできない。 ,,被控訴人らは本件支援金の支出について法的な根拠がないと主張するが上記支出については,国有財産法19条,24条が類推適用され,あるいは憲法29条3項が適用されるところであり,このような点からも,控訴人の支出行為が違法であるとすることはできない。 控訴人の主張は,次のとおりである。 ア利用業者及びと殺業務従事者らの食肉センターに対する特別使用権について利用業者及びと殺業務従事者らは,食肉センターを長年にわたって継続的に利用していたものであり,次のとおり,特別使用権を有していた。 (ア)食肉センターとは,食肉処理業の施設を併設したと畜場であり,生体取扱施設,処理室,食肉処理場の施設,汚水処理施設,汚物処理施設等の施設を備えなければならず,食肉センターの周囲は,悪臭,煙,塵埃,騒音の影響を受けない場所にあり,その他の工場又は建物と完全に分離されていることを要するとされている(乙1)。 (イ)食肉センターは,大正3年3月15日に個人経営の施設を当時のα村が買収してα村営となり,昭和30年4月1日にα村が市に編入されて市営となった後,市は,順次施設の充実を図り,昭和44年7月10日,同和対策事業特別措置法が公布・施行された後は,八代市同和対策事業施設10施設のうちの1つとして運営してきた。食肉センターの施設のうち,牛馬のと殺,解体を行う大動物と室の施設改善は,同和対策事業 ,同和対策事業特別措置法が公布・施行された後は,八代市同和対策事業施設10施設のうちの1つとして運営してきた。食肉センターの施設のうち,牛馬のと殺,解体を行う大動物と室の施設改善は,同和対策事業特別措置法の公布・施行前である昭和39年度及び昭和40年度に実施されているが,食肉センターの各施設は,その位置関係,設立整備の実施状況によると,一体として運営されていた(乙87)。 (ウ)利用業者は,食肉に供する牛,馬,豚などを食肉センターに持ち込- 4 -んで,と殺業務従事者らがと殺,内臓洗いなどをして解体し,枝肉など,。 に製品化した食肉を持ち出し食肉として販売することを業としていると殺業務従事者らは,食肉センター内で作業をする場合には,不可欠な人材であるから,食肉センターには,利用業者からと殺業務を請け負って,食肉センター内で作業する専従のと殺業務従事者らがいる。 利用業者及びと殺業務従事者らは,食肉センターを利用して,生計を維持してきた人達であり,自由競争下の業者ではなく,同和対策事業の流れの中で整備されてきた施設を利用してきた者である。 ,,食肉センターの新築に関する経営問題の協議において利用業者から市に対し,と畜業が特殊業界であり,公営でなければやっていけない旨の意見が述べられたり,市議会経済企業委員会においても,委員の中から,α地区には食肉産業の長い歴史があり,特殊な営業形態あるいは社会的な必要性から日本中のと畜場が行政運営によってきたが,戦後の産業形態や産業構造の変化の中で,存続させるか否かの判断をしていかなければならない現状にある旨の発言がされており,α地区には,食肉産業の長い歴史があり,と畜業という特殊な営業形態あるいは社会的な必要性があったことから,と畜場が行政により運営されてきたことについては,特に異論は出 状にある旨の発言がされており,α地区には,食肉産業の長い歴史があり,と畜業という特殊な営業形態あるいは社会的な必要性があったことから,と畜場が行政により運営されてきたことについては,特に異論は出ておらず,関係者の共通の認識があったことがうかがえる。 (エ)八代市食肉センター設置及び管理に関する条例によると,食肉センターを使用しようとする者はあらかじめ市長の許可を受けなければならない(同条例3条)と定められているが,上記市長の許可は,行政財産の使用許可であるから,市の同和対策事業に適合した使用許可でなければならないのであり,食肉センターは,使用料さえ納付すれば誰でも使用できるという施設ではない。許可を受けるためには,市の同和対策事業の対象となり得る利用業者であり,同じく対象となり得ると殺業務従- 5 -事者らであることを要する。 (オ)食肉センターの利用について,市長の許可を得た利用業者及びと殺業務従事者らは,食肉センターを利用することにより,生計を維持しているのであるから,食肉センターの継続的利用が前提とならなくてはならない。また,市は,食肉センターについては,市の同和対策事業に関する施策の一環としてこれを運営し,保護していたのであるから,利用業者及びと殺業務従事者らは,継続的利用を前提とする食肉センターの特別使用権を有しているところ,上記特別使用権は,控訴人参加人が主張する「特別の保護に値する利益」と同趣旨である。 イ食肉センターの廃止と市の対応について食肉センターは,と畜場法施行令の一部を改正する政令に定めるところのと畜場の構造設備基準を期限である平成12年3月31日までに満たすことができなかったため,廃止せざるを得なかったものであり,上記廃止に当たって,市としても,食肉センターの利用業者及びと殺業務従事者らに対する 造設備基準を期限である平成12年3月31日までに満たすことができなかったため,廃止せざるを得なかったものであり,上記廃止に当たって,市としても,食肉センターの利用業者及びと殺業務従事者らに対する補償をすることの当否等について,協議,検討を重ねた結果,市が,これを補償することは,食肉センターに係る同和対策事業の趣旨や利用業者及びと殺業務従事者らと食肉センターとの関係に照らしても相当であるとの結論に至り,本件支援金の支出に係る予算案(後記本件予算案)を平成12年6月市議会定例会に提出し,これが賛成多数で可決された。 市長であった控訴人は,本件支援金の支出に係る予算案が議決されたことから,同年7月31日,本件支援金の支出に関する決裁をし,市は,利用業者及びと殺業務従業者らと本件支援金の支払に関する契約を締結し,これを支出した。 ウ原判決の誤りについて(ア)原判決は,争いのない事実として,食肉センターを利用できる業者に制限がないこと,利用業者と市との間には,委託契約等の継続的契約- 6 -関係はなく,と殺業務従事者らと市との間にも雇用契約等の継続的契約関係はないことを摘示しているが,利用業者及びと殺業務従事者らは,上記のとおり,食肉センターについて,継続的利用を前提とする特別使用権を有しているのであり,原判決の争いのない事実における上記摘示は,この点を反映しておらず,原判決のかかる主張整理及びこれに基づく判断には,重大な違法及び事実誤認がある。 (イ)食肉センター問題は,同和対策問題であり,市と利用業者との間には,同和対策事業の対象者に対する行政財産の使用許可に係る特別使用権に基づく継続的契約関係が存在したのであるから,原審は,かかる点について,適切な釈明権等の行使をするなどして,本件の事実関係に基づく適切な主張,立証を促すべきで る行政財産の使用許可に係る特別使用権に基づく継続的契約関係が存在したのであるから,原審は,かかる点について,適切な釈明権等の行使をするなどして,本件の事実関係に基づく適切な主張,立証を促すべきであったから,釈明権等の不行使に係る違法があるとの非難を免れない。 エ本件支援金の支出の法的根拠の有無について(ア)食肉センターの利用に関する市と利用業者及びと殺業務従事者らとの法律関係A食肉センターにおけると殺及び肉食品製造の業務に従事してきた利用業者と市との関係は,前記のとおりであり,この間のかかる事実と利用業者及びと殺業務従業者らをめぐる歴史的社会的背景に照らすと,市は,これら利用業者及びと殺業務従事者らに対して,と畜場施設である食肉センターの継続的提供義務を負い,利用業者及びと殺業務従事者らは,食肉センターの施設を継続的に使用するという特別な継続的契約関係にあった。 B食肉センターは,利用業者が長期間にわたり,事実上独占的に占有使用し,一般市民は勝手に出入りすることができない実情にあったもので,食肉業者が利用業者として新しく参入する場合は,事実上,市の許諾を得ねばならず,食肉センターが同和対策事業施設であり,か- 7 -つ施設の処理頭数の限度もあるため,市は,新規参入者の使用申込みに対して,従来からの利用業者と協議の上,既存の利用業者の営業妨,。 害にならぬよう配慮した上で許諾するという事実上の制約があった本件における利用業者及びと殺業務従事者らは,このような制約の下,,,で市の許諾を得てその業を営んでいたのであるからかかる関係は前示のとおりの特別な継続的契約関係にあるといえる。 C食肉センターの施設充実は,市が同和対策事業の一環である重要な施策として取り組んでいた事業であり,このためその会計を特別会計として, る関係は前示のとおりの特別な継続的契約関係にあるといえる。 C食肉センターの施設充実は,市が同和対策事業の一環である重要な施策として取り組んでいた事業であり,このためその会計を特別会計として,財政的に支援を継続していた。 (イ)食肉センターの廃止と補償かかる食肉センターの廃止に対しては,それが法改正に伴う行政措置であっても,同和対策として,利用業者に適正な補償が必要である。 市と利用業者及びと殺業務従事者らとの間には,食肉センターの使用については,前記のとおり,特別な継続的契約関係が存在し,食肉センターにおけると殺業務を独占的に行い,食肉センターの業務に従事してきた歴史的社会的事実から考えると,利用業者と市との間に存する前記のとおり特別な継続的契約関係があったとして,市の行政遂行上,これを補償することは当然のことである。 本件支援金は,食肉センターの廃止に伴う利用業者に対する特別の犠牲に対する損失補償であり,転業も視野に置いた,離職補償を含めた内容を伴う補償としての趣旨から,予算化され,支出されたのである。 オ本件支援金の算出根拠について市は,前記のとおり,食肉センターの廃止に伴う利用業者及びと殺業務従事者らに対する補償として,本件支援金の支出をすることとしたが,前記補償の趣旨及び目的に反することのないように調査した上で,各利用業者及びと殺業務従事者らに対する具体的な補償額についても,最低かつ必- 8 -要限度とする範囲において決定したのであるから,その算出は相当で,合理性があるというべきである。被控訴人らは,市が行った算出方法を根拠薄弱であるとして認めず「最新営業補償の実務(甲9)を参考にして,」算出すべきである旨主張するが,本件においては,かかる算出が相当であるとは認め難い。 カ本件支援金を補助金として支出すること 薄弱であるとして認めず「最新営業補償の実務(甲9)を参考にして,」算出すべきである旨主張するが,本件においては,かかる算出が相当であるとは認め難い。 カ本件支援金を補助金として支出することの要件該当性について本件支援金を補償金として支出することの法的根拠がないとしても,本件支援金の支出については,地方自治法232条の2所定の補助金としての要件を充足するところである。 キ本件支援金の支出による市の損害の有無について食肉センターの廃止により,市は,食肉センターの施設を自由に処分できる財産として確保し,かつ食肉センターに係る同和対策事業費の支出を打ち切ることができた。本件支援金は,そのための対価たる一時金を補償金名下に支出したものであるから,市には全く損害がない。 ク控訴人の本件支援金の支出における過失について控訴人は,市長の職務として,食肉センターの管理運営を継続することの当否あるいはこれを廃止する場合の利用業者及びと殺業務従事者らに対する補償のあり方等についての検討を市の担当職員や市議会経済企業委員会ないし市議会等に委嘱し,その調査や審議の結果,食肉センターを廃止することとし,その廃止に伴って利用業者及びと殺業務従事者らに対する補償をすることが相当であるとの結論を得たのであり,これに基づいて本件支援金の支出に係る予算案を作成し,市議会経済企業委員会及び市議会の審議を経て,前記予算案が可決されたことから,本件支援金の支出を実行することとしたが,その支出根拠については,食肉センターとこれに対する利用業者及びと殺業務従事者らのこれまでの経緯,補償の必要性等に照らして,前記のとおり同和対策事業の趣旨に適合するものとして公益上- 9 -の必要があるとの判断の下に行ったものである。したがって,控訴人の上記支出行為は,裁量の範囲を逸 経緯,補償の必要性等に照らして,前記のとおり同和対策事業の趣旨に適合するものとして公益上- 9 -の必要があるとの判断の下に行ったものである。したがって,控訴人の上記支出行為は,裁量の範囲を逸脱するものでないし,被控訴人らが主張するような過失はなく,違法な支出でない。 ( )控訴人参加人 ア食肉センターの歴史的背景と社会的意義昭和44年7月10日,同和対策事業特別措置法が施行され,昭和52年10月14日,国は,食肉センターが存する八代市βについて,上記対象地域としての指定をした。そこで,市においても,同年12月22日,八代市同和対策事業審議会設置条例を施行し,上記特別措置法1条所定の「対象地域における経済力の培養,住民の生活の安定及び福祉の向上等に寄与する」という目的を実現するため,同和対策事業を推進することとした。昭和53年7月11日,上記事業の対象地域であるβ地区住民から,食肉センターの整備をはじめとする27項目に及ぶ同和対策の地元要望事業が出されたことから,市は,これに応える形で,昭和53年度から昭和58年度までの間に,総事業費3億6658万4000円をかけて,食肉センターの建物の建築を行うなどの事業を実施するとともに,と畜場整備事業,と畜場建設事業等の充実を図った(丙1)。 食肉センターは,整備事業費の規模の大きさからみても,上記地元要望事業の最上位に掲げられたことからしても,対象地域の住民である食肉業者らの生活のために極めて重要な施設であったということができる。 イ利用業者及びと殺業務従事者らと食肉センターの関係について利用業者及びと殺業務従事者らは,先代,先々代から食肉業を営み,食肉センターが市営となってからも約80余年にわたって食肉センターを利用し,生計を営んできたもので,食肉センターは利用業者及びと殺業 て利用業者及びと殺業務従事者らは,先代,先々代から食肉業を営み,食肉センターが市営となってからも約80余年にわたって食肉センターを利用し,生計を営んできたもので,食肉センターは利用業者及びと殺業務従事者らの生活上不可欠のものであるから,食肉センターの廃止について密接な利害関係を有するのである。利用業者及びと殺業務従事者らは,この- 10 -ように食肉センターに依存していたのであり,市は,利用業者及びと殺業務従事者らについては,同和対策事業の一環として,食肉センターの利用を保護していた経緯が存するのであり,市の施策として食肉センターを廃止することとなったのであるから,利用業者及びと殺業務従事者らの食肉センターの利用に関するこのような利益は,特別の保護に値する利益であるというべきである。加えて,市は,市の施策として,市の施設である食肉センターを廃止するのであるから,食肉センターの廃止に伴って利用業者及びと殺業務従事者らに不可避的に発生する損失については,特別の保護に値する利益に対する損失としてこれを補償することは当然である。本件支援金の支給を受けた利用業者は,長年にわたり,継続して食肉センターを利用してきた者であり,市内外の他の業者よりも,利用頻度が高いことが明らかである(丙7ないし10)。 ウ本件支援金の補償金としての支出の適法性について(ア)原判決は,利用業者は,食肉センターの利用に関して何らかの権利を有していたということはできないし,と殺業務従事者らにこれを認めることもできないから,権利を失ったことによる損失を観念することも困難であるとする。確かに,損失補償を必要とするのは,権利を制限又は侵害された場合が典型であるとされているが,仮に,権利とまでは言えなくとも,特別の保護に値する利益が存し,そのような利益が制限又は侵 難であるとする。確かに,損失補償を必要とするのは,権利を制限又は侵害された場合が典型であるとされているが,仮に,権利とまでは言えなくとも,特別の保護に値する利益が存し,そのような利益が制限又は侵害された場合には,損失補償をすることは相当であり,合理性があるというべきである。本件の場合,利用業者及びと殺業務従事者らは,前記ア及びイの歴史的背景及び社会的意義等を有する食肉センターを,極めて長期間にわたり,利用業者及びと殺業務従事者らの生活に不可欠の施設として利用してきたのであり,市も,前示のとおり,食肉センターにおける事業を同和対策事業の一環として推進,保護してきたところである。また,利用業者及びと殺業務従事者らは,専ら食肉センターに- 11 -係る事業に依存しており,市の保護を受けていたのであるから,特別の保護に値する利益を有すると認められ,このような利用業者及びと殺業務従事者らに対しては,食肉センターの廃止に伴って生じる損失の補償をすることは当然である。そして,市は,関係機関における調査,検討の結果に基づいて,食肉センターを廃止し,利用業者及びと殺業務従事者らに対する損失補償としての本件支援金を支給することとして,市議会における予算案の議決を得たのであり,かかる議決に基づいて,市長である控訴人が,本件支援金の支出を行ったもので,その裁量権を逸脱する事由はないし,その支出に合理性のあることは,控訴人が主張するとおりである。 (イ)加えて,本件支援金として利用業者及びと殺業務従事者らに支払われた額も,相当であり,合理的な範囲内のものである。 農政課は,本件支援金の支出が行われた後である平成15年11月10日から同月17日までの間,本件支援金の支給を受けた利用業者のうち,施設整備費,均等割・頭数割の支給を受けた6業者について,聞き 。 農政課は,本件支援金の支出が行われた後である平成15年11月10日から同月17日までの間,本件支援金の支給を受けた利用業者のうち,施設整備費,均等割・頭数割の支給を受けた6業者について,聞き取り調査をしたところ,当該6業者は,平成12年度分のみで,と畜場,,,使用経費や運搬経費として2億0247万5000円運搬車冷凍車冷蔵庫,作業場整備費等の新規施設整備費として4億0125万円を支出していることが判明したが(丙4,この額は,既に本件支援金の総)支給額を上回るものである。本件支援金が,食肉センターの廃止に伴って利用業者及びと殺業務従事者らに生じる損失を補償するものとして支出されたが,利用業者及びと殺業務従事者らに生じた損失は,結局,本件支援金によってはまかなわれておらず,損失の必要かつ最低限度を補償するに止まっており,本件支援金の算定及び支出は,相当で合理性があるというべきである。 エ原判決の誤りについて- 12 -(ア)原判決は,損失補償において補償されるべき損失は,食肉センターの廃止により不可避的に生じる損失であるとし,本件においては,と畜業務の特殊性から,利用業者が他地域のと畜場を利用せざるを得なくなり,それに伴って負担が増加することは避けられないが,それは食肉センターの廃止によるいわゆる反射的な不利益というべきであって,上記の意味での損失ということはできないとするが,利用業者及びと殺業務従事者らが被る不可避的負担(損失)について,損失補償の対象となる損失ということができないとする理由が不明確であるし,原判決は,利用業者及びと殺業務従事者らの有する食肉センターの利用による前記利益を顧慮することなく,上記不可避的損失を反射的な不利益という言葉で片づけてしまっており,原判決は,控訴人及び控訴人参加人の主張に対 用業者及びと殺業務従事者らの有する食肉センターの利用による前記利益を顧慮することなく,上記不可避的損失を反射的な不利益という言葉で片づけてしまっており,原判決は,控訴人及び控訴人参加人の主張に対する判断をしていない。 (イ)原判決は,控訴人らが,国有財産法19条,24条の類推適用により損失補償すべきであると主張しているとするが,控訴人らは,行政財産に由来する内在的制約を伴っている目的外使用許可の取消の場合でさえ,損失補償を要する(同法19条,24条の類推適用)とされているのであるから,本件のごとく,食肉センターという行政財産をその設置目的のために使用許可(目的内使用許可)しているものを取り消す場合には,むしろ当然に補償を要すると主張しているのである。原判決は,控訴人らの主張を十分理解せず,行政財産の目的外使用と目的内使用を混同して,判断している。 (ウ)原判決は,憲法29条3項によって補償するのであれば「公共の,ために用いる」ことがそれぞれ要件とされるところ,食肉センターが廃止された経緯は「公共のために用いる」という場合に当たらないこと,は明らかであるとするが「公共のために用いる」とは,財産権保障の,観点から,補償を要する場合を広く指すものというべきであり,厳密な- 13 -意味で憲法29条3項にいう「公共のために用いる」場合に当たらない場合でも,法益侵害がその者が犠牲として甘受すべき程度を超えているものであれば,憲法29条3項の財産権の保障の当然の帰結として,補償が必要になるというべきである。 (エ)原判決は,本件支援金の補助金としての支出に関する要件該当性について誤った判断をしている。 A原判決は,本件支援金の支出に至るまでの経緯をみても,市民への食肉の安全供給を目的としていた形跡は見当たらないこと,食肉センタ 助金としての支出に関する要件該当性について誤った判断をしている。 A原判決は,本件支援金の支出に至るまでの経緯をみても,市民への食肉の安全供給を目的としていた形跡は見当たらないこと,食肉センターで解体された食肉のうちどのくらいが市民に供給されているか調べていないし,食肉センターの廃止によって,市民が食肉供給の点でどの程度影響を受けるかも検討した形跡はないことからして,本件支援金の支出につき,市民への食肉の安定供給という目的があったと認めることはできないとするが,本件支援金を支出するについては,前記支出に至る経緯から明らかなように,農政課と財政課との間で,本件支援金を予算計上する場合の費目を検討した結果,補助金として支出するには事業継続が前提となるところ,当時は,利用業者が事業を継続するか否かを判別することは極めて困難であったことなどの理由から,補助金として支出するよりは補償金として支出することが相当であるとして,事務手続を進めたものである。また,本件支援金は,当初から市民への食肉の安定供給を目的とする補助金として支出することとされたものでないから,本件支援金を支出するに当たって,解体された食肉のうち,どのくらいが市民に供給されているかとか,食肉センターの廃止によって市民に対する食肉供給の影響がどのくらいかという事柄を調査し,検討する必要はなく,本件支援金の支出の当否に影響があるとすることはできない。したがって,市が,本件支援金の支出の可否を検討するに当たって,当時,食肉センターの廃止に- 14 -伴う市民への食肉の安定供給を目的とした形跡がなかったとしても,問題視すべきことではない。重要であるのは,補助金として本件支援金を支出するに当たって「公益上の必要性」が客観的に存在したか,どうかということである。この点,原判決は, た形跡がなかったとしても,問題視すべきことではない。重要であるのは,補助金として本件支援金を支出するに当たって「公益上の必要性」が客観的に存在したか,どうかということである。この点,原判決は,本件支援金の支出に至る経緯や必要性等を十分検討することなく判断したもので,不当である。その上,本件支援金の支出の結果,利用業者は,廃業することな,,,く事業を継続できているのであり本件支援金の支出が事業の継続ひいては市民への食肉の安定供給に資することとなったのであるから,本件支援金の支出に「公益上の必要性」が存在したことを示すものである。 ,,B原判決は当初から本件支援金を予算科目上補助金としていた場合本件支援金の支出に係る予算案について議会の議決が得られたとは到底考えられないとするが,その理由が不明である。本件支援金の支出等については,市は,食肉センターの廃止の当否や支出の必要性,合理性などについて,前示のとおり調査し,検討を重ねたのであり,市,,議会において支出の当否について審議を経て議決したのであるから原判決の前記判断は,事実関係を考慮しないもので,不当である。 C原判決は,本件支援金を補助金として予算計上することができなかったため,補償金としたのであるから,後になって,流用が可能であるという主張を採用することはできないとするが,本件支援金は,仮に補償金として支出する要件を具備するものでないとしても,補助金としての実体的要件を客観的に満たしており,その支出に至る手続においても,重要な手続的要件である市議会の議決を経ているのであるから,本件支援金の支出に手続上の違法があると解することは不当であり,原判決の前記説示は,不当である。 (オ)原判決は,本件支援金の支出に当たって,控訴人には別府市や豊川- 15 -市など あるから,本件支援金の支出に手続上の違法があると解することは不当であり,原判決の前記説示は,不当である。 (オ)原判決は,本件支援金の支出に当たって,控訴人には別府市や豊川- 15 -市など補償金を支出した自治体がその要件を十分検討した上で補償金を支出したとは認められないし,控訴人を含む市の執行部もその要件を満たすか否かについて,十分検討しなかった過失があるとするが,原判決が,控訴人の本件支援金の支出について,別府市や豊川市が補償金支出の要件を十分検討した上で補償金を支出したとは認められないと判断した具体的な根拠は不明であるし,控訴人は,市長としてこれらの調査を農政課や財政課の職員に委ねていたのであり,現に担当課の職員らは,補助金として支出することの要件の検討や他の市における事例の調査を行い,本件支援金の支出の必要性を控訴人に具申し,これにより控訴人は,本件支援金の支出に係る予算案を作成し,市議会の議決を経て,支出を決定したのであるから,本件において,本件支援金を補償金として支出したことが妥当であると判断した控訴人に過失は存在しない。 原判決は,控訴人は,補償金を出していない自治体は存在しない旨,誤った認識を有していたとするが,控訴人の認識は,担当職員の報告の仕方によっても異なるのであり,最も重要であるのは,控訴人から検討を委ねられた担当職員らが,どの程度の調査,検討を行い,いかなる理由で補償金の支出が妥当であると判断したかである。上記のとおり,担当職員らは十分な調査,検討を行っているのであり,したがって,控訴人に過失はない。 オ被控訴人らの主張に対する反論(ア)被控訴人らは,食肉センターを利用する利用業者には,特に制限は,,なく同和対策事業の対象地域の住民に限定されているわけではないし市外,熊本県外の者でも使用料を 控訴人らの主張に対する反論(ア)被控訴人らは,食肉センターを利用する利用業者には,特に制限は,,なく同和対策事業の対象地域の住民に限定されているわけではないし市外,熊本県外の者でも使用料を支払えば,食肉センターを利用できると主張するが,食肉センターは長期間にわたり,利用業者が自分たちの施設として利用してきたものであり,使用料さえ支払えば,誰でもが当然に利用できた施設であるとはいえない。仮に,食肉センターが地方自- 16 -治法244条にいう「公の施設」であるとしても,同条2項は「普通,地方公共団体は,正当な理由がない限り,住民が公の施設を利用することを拒んではならない」と規定し,同条3項は「普通地方公共団体。 ,は,住民が公の施設を利用することについて,不当な差別的取扱いをしてはならない」と規定するところ,同条項にいう「住民」とは,当。 ,該地方公共団体,本件では市の住民をいうのであって,市以外の住民に対する差別的取扱いについては,同条2項及び3項の関知するところではない。すなわち,市外の業者に対し,市内の利用業者よりも優先的に食肉センターを利用させるため,その利用を拒否したり,条例で定めることにより,市内の利用業者より高額の使用料を徴収したりすることもできる。これまで,食肉センターについて,市外の利用業者が多数利用した例がなく,これらの利用を拒むような事例が事実上存在しなかったから,市外の業者に対する利用制限の必要性が認識されなかったにすぎない。 (イ)被控訴人らは,同和対策事業に関係するなどという曖昧な理由で公金を支出すべきではないとするが,控訴人らは,本件支援金が同和対策事業に関係するから適法であると主張するものではない。利用業者及びと殺業務従事者らにとって,食肉センターがいかに生業を営んでいく上で不可欠 出すべきではないとするが,控訴人らは,本件支援金が同和対策事業に関係するから適法であると主張するものではない。利用業者及びと殺業務従事者らにとって,食肉センターがいかに生業を営んでいく上で不可欠の施設であったか,また,1世紀にわたり,両者がいかに密接な関係を有していたか,ひいては,食肉センターの廃止に伴い,不可避的に発生する損失につき,利用業者及びと殺業務従事者らが特別の保護に値する利益を有していたことを主張するものである。 (ウ)被控訴人らは,廃止された食肉センター(大動物と室)は,同和対策事業により設置された施設ではないと主張する。しかしながら,食肉センターの大半の施設は,同和対策事業により整備されてきた施設である。確かに,食肉センターの施設うち,大動物と室は,同和対策事業に- 17 -より建設された施設ではないが,これは単に大動物と室建設当時,同和対策事業そのものが存在しなかったからであり,同事業が始まってからは,一貫して,同事業に基づく施策として食肉センター施設の全体的整備を行い,対象地域の住民である利用業者及びと殺業務従事者らにとって,生活のため不可欠の施設となっていたのである。 ( )被控訴人ら ア利用業者及びと殺業務従事者らは,食肉センターについて,控訴人ら主張のような特別使用権ないし特別の保護に値する利益は有していなかった。 (ア)食肉センターを利用する者に制限はなく,市外及び熊本県外の業者でも,使用料を支払えば利用することができるのであり,同和対策事業の対象地域の住民に限定されていたわけではない。本件支援金を受領した利用業者の中にも,対象地域とは無関係な者がいる。 利用業者と市とは,食肉センター利用について委託契約等の継続的契約を締結しておらず,利用業者は,利用する毎に使用料を支払って使用しているにす 領した利用業者の中にも,対象地域とは無関係な者がいる。 利用業者と市とは,食肉センター利用について委託契約等の継続的契約を締結しておらず,利用業者は,利用する毎に使用料を支払って使用しているにすぎないから,将来にわたって利用できる権利を有しているものでもない。 ,,(イ)控訴人は食肉センターは同和対策事業施設の一つであるとするが廃止された食肉センター(大動物と室)は,同和対策事業により設置された施設ではない。同和対策事業により設置されたのは,小動物専用と室であり,廃止された大動物と室ではない。また,八代市食肉センターの設置及び管理に関する条例にも,同和対策事業との関連を示す規定は存しない。 (ウ)実際にも,食肉センターを利用する者が上記事業の対象地域の住民に限られているわけではないし,利用を希望する者と同和対策事業との関係の有無は一切問われていない。同和対策事業に関係するなどという- 18 -曖昧な理由で公金を支出すべきではなく,支出すべき正当な根拠があるかを慎重に吟味すべきである。 (エ)食肉センターは,時限立法である地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の失効前に廃止されたのであるから,対象地域の産業振興,職業安全を目的として利用業者及びと殺業務従事者らに対する支援を行うのであれば,同法に基づく地域改善対策特定事業として実施すべきであったが,その点の検討がされた形跡はない。本件支援金は,上記事業とは無縁の措置として検討されており,不自然である。 イ本件支援金を補償金として支出することの適法性について(ア)本件支援金の支出による損失補償が同和対策事業の一環として行われたものでないことは,本件支援金の支出に関する市の内部書類に,根拠として記載されていないこと,損失補償の支払対象者が同和対策事業 ア)本件支援金の支出による損失補償が同和対策事業の一環として行われたものでないことは,本件支援金の支出に関する市の内部書類に,根拠として記載されていないこと,損失補償の支払対象者が同和対策事業の対象者となるべき者であるかを確認したり,それらの者に限定することが検討されたりしていないこと,原審において,控訴人及び控訴人参加人のいずれからも主張されていなかったことから,明白である。 (イ)利用業者及びと殺業務従事者らが,これまで食肉センターを利用しており,食肉センターの業務存続が一定程度,利用業者及びと殺業務従事者らの利害に影響があることは認めるが,利用業者は,本来,自由競争下の私企業であるから,独立した採算のもと,収益を確保するのが原則であり,国民の負担による税金に財政的基礎を置く市が経済的支援を図ることは不自然なことである。 食肉センターの廃止により,利用業者が被る不可避的負担は,私企業が営利活動を継続する際に当然に負担する営業経費にすぎない(社会通,。)。 念に照らし財産権に内在する制約として承認されうる範囲内であるしかも,食肉センターが使用できなくなる事態は,全国民に等しく及ぶ- 19 -ものであるから,特定人に,特別の財産上の犠牲を強いるものとはいえない。 (ウ)利用業者は,納税者の経済的負担のもと,公的施設である食肉センターを自己の営利追求活動のために利用してきたにすぎず,仮に,控訴人参加人の理論に立つとしても,利用業者及びと殺業務従事者らには,特別の保護に値する利益は存在しない。本件支援金の支出は,違法な公金支出であり,市長であった控訴人の明らかな裁量権逸脱行為である。 (エ)控訴人参加人は,食肉センターという行政財産をその目的のために使用許可(目的内使用許可)しているものを取り消す場合にも,行政財産の目的外使 市長であった控訴人の明らかな裁量権逸脱行為である。 (エ)控訴人参加人は,食肉センターという行政財産をその目的のために使用許可(目的内使用許可)しているものを取り消す場合にも,行政財産の目的外使用許可が取り消された場合に認められる損失補償と同様の補償が認められるべきであるとするが,そもそも,食肉センターは,利用申請の都度,利用が許可される仕組みであって,本件においては,継続的使用許可を取り消す場合ではなく,施設の廃止に伴い,今後,使用申請が行われても,許可しないという場合であり,控訴人参加人の主張は,前提となる事実関係を誤っている。 ウ本件支援金の補助金(地方自治法232条の2)としての要件該当性について(ア)控訴人は,控訴審において,本件支援金の支出は,補助金支出の要件を備えているから適法である旨の主張を撤回したにもかかわらず,上記撤回を撤回して,上記主張を維持するとするところ,これは信義に反する上,時機に後れた攻撃防禦方法の提出であるから,同意しない。 (イ)控訴人参加人は,本件支援金が補償金としての要件を満たさなくとも,補助金としての要件を満たすから,本件支援金の支出は適法であると述べるが,本件では,補助金としての手続的要件を満たしていないのはもとより,実体的要件も満たしていないから,控訴人の支出行為が違法であったとの結論には全く影響がない。 - 20 -すなわち,補助金を支出するには,当該地方公共団体において,その目的,必要性,目的達成のために効果があるかが,厳密に検討されなければならないところ,控訴人参加人の主張は,上記検討要素について,事前の検討は不要であるとする乱暴かつ杜撰な主張である。 控訴人参加人は,補助金の目的,公益上の必要性について,利用業者の事業の継続及び市民への食肉の安定供給を挙げているが,私企業の 討要素について,事前の検討は不要であるとする乱暴かつ杜撰な主張である。 控訴人参加人は,補助金の目的,公益上の必要性について,利用業者の事業の継続及び市民への食肉の安定供給を挙げているが,私企業の営業活動の継続は公益上の必要性とは関係ないものであるし,利用業者が供給する食肉の多くは,市民の食用肉として流通していなかったこと,利用業者へ補助金を支出しなくても市民の食肉の供給に影響はなかったことなどからすると,本件支援金は,食肉の安定供給という目的についても効果のない支出であった。 エ控訴人の過失の有無について控訴人参加人は,控訴人には過失が存しないとするが,控訴人自身,補償金の支出の要件を検討していないことを自認している。 控訴人の履行補助者の地位にある市の担当職員も,補償金を支出すべき具体的法的根拠及びその適否について検討を尽くしておらず,特に本件においては,と畜場を廃止したが利用業者に金員を支出していない地方公共,,,団体が存するにもかかわらずその存在も調査していないし熊本県や国顧問弁護士等に助言を求めたり,意見照会することも可能であったのにこれを行っていない。 ,,また控訴人が担当職員に対し適切な指揮命令を行ったこともないから控訴人の過失は明らかである。 オ控訴人は,本件支援金の支出によって市に損害は発生しなかったとするが,本来支出するべきでない支出をしているのであるから,当然,市に損害を与えているのである。 カ本件支援金の使途について- 21 -控訴人参加人は,本件支援金の使途について調査を実施したとするが,本件支援金の支出は,当初から市の「市費補助等取扱要綱」に全く準拠せずに支出されている。控訴人参加人主張の調査は,本件訴訟提起後,控訴人が本件支援金の支出は補助金の性質も有するとの主張を始めた後になって行 金の支出は,当初から市の「市費補助等取扱要綱」に全く準拠せずに支出されている。控訴人参加人主張の調査は,本件訴訟提起後,控訴人が本件支援金の支出は補助金の性質も有するとの主張を始めた後になって行われたものであって,本件支援金の支出が補助金の要件を満たすことにはならない。 キ本件支援金の算定方法について本件支援金については,予め支出総額が定められており,上記総額を利用業者及びと殺業務従事者らに割り振って支給額が決められたが,補償金の算定方法としては,不適法な方法である。 ク食肉センターは,と畜場としての基準を満足しておらず,改修についても,ガイドラインの基準に適合しないのであるから,食肉センターの業務休止は,公衆衛生上,当然の措置であり,採算が取れる使用料の設定等がされない限り,と畜場の新築が困難であることも,市の財政状態からしてやむを得ないことであり,食肉センターの業務休止に当たり,利用業者及びと殺業務従事者らに対し,公金を支出する法的理由も必要性もない。 第3当裁判所の判断 当裁判所は,利用業者及びと殺業務従事者らは,平成12年4月1日の食肉センターの業務休止当時,食肉センターの利用に関し,保護を受けるべき法的利益を有しており,控訴人が,市が同和対策事業の一環として,施設を建築・整備拡充することなどにより,地域産業の振興等の施策を講じてきた,食肉センターの業務休止に伴う公益上の必要があるとして本件支援金を支出したことは,その裁量権を逸脱し,不合理であると認めることはできないから,本件支援金の支出が違法であると認めることはできないと判断する。その理由は,原判決の「事実及び理由「第4当裁判所の判断」の1を引用するほかは,」,(,「」「」後記のとおりであるただし原判決23頁6行目の同年を平成12年- 判断する。その理由は,原判決の「事実及び理由「第4当裁判所の判断」の1を引用するほかは,」,(,「」「」後記のとおりであるただし原判決23頁6行目の同年を平成12年- 22 -と,原判決24頁7行目の「被告らからも了承」を「了承を得て」と,原判決26頁12行目の「遂行して行く」を「遂行していく」と,同13行目の「いいんじゃないか」を「いいんじゃないかな」とそれぞれ改める。 。) 原判決認定事実及び証拠(甲2,乙17,19,40,47,52,59,ないし62,85,88,丙1,2,6ないし10)によると,さらに,次の事実が認められる。 ( )食肉センターに関係する法制度の趣旨内容,食肉センターの施設整備の 経緯,利用業者の食肉センター利用状況等についてア昭和44年7月10日に同和対策事業特別措置法(昭和54年3月31日までの時限立法が公布・施行された同法にはその目的としてす)。 ,,「べての国民に基本的人権の享有を保障する日本国憲法の理念にのっとり,歴史的社会的理由により生活環境等に安定向上が阻害されている地域(以下「対象地域」という)について国及び地方公共団体が協力して行う同。 和対策事業の目的を明らかにするとともに,この目標を達成するために必要な特別の措置を講ずることにより,対象地域における経済力の培養,住民の生活の安定及び福祉の向上等に寄与すること(同法1条)と規定さ」れ,同和対策事業の目標として「対象地域における生活環境の改善,社会福祉の増進,産業の振興,職業の安定,教育の充実,人権擁護活動の強化等を図ることによって,対象地域の住民の社会的経済的地位の向上を不当にはばむ諸要因を解消することにある(同法5条)と規定され,国の施」策として,前記目的(同法1条)を達成するため 権擁護活動の強化等を図ることによって,対象地域の住民の社会的経済的地位の向上を不当にはばむ諸要因を解消することにある(同法5条)と規定され,国の施」策として,前記目的(同法1条)を達成するため「対象地域における農,林漁業の振興を図るため,農林漁業の生活基盤の整備及び開発並びに経営の近代化のための施設の導入等の措置を講ずること同法6条3号対」(),「象地域における中小企業の振興を図るため,中小企業の経営の合理化,設備の近代化,技術の向上等の措置を講ずること(同条4号「対象地域」),の住民の雇用の促進及び職業の安定を図るため,職業指導及び職業訓練の- 23 -,」(),充実職業紹介の推進等の措置を講ずること同条5号などについてその政策全般にわたり,必要な施策を総合的に講じなければならない(同法6条本文)と規定され,地方公共団体の施策として「国の施策に準じ,て必要な施策を講ずるように努めなければならない(同法8条)と規。」定され,同和対策事業でこれに要する経費について,国の負担又は補助による特別の助成がされること(同法7条)及び地方債を財源とすることができること(同条9条)が規定されている。 なお,同法は,同和対策事業特別措置法の一部を改正する法律により,上記時限立法の期間が昭和57年3月31日まで延長され,同年4月1日以降については,地域改善対策特別措置法が昭和62年3月31日までの時限立法として公布・施行され,同法の失効後である同年4月1日以降については,地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律が平成4年3月31日までの時限立法として公布・施行され,その後,地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律(一部改正)が公布・施行(平成9年3月31日までの時限立法)さ 関する法律が平成4年3月31日までの時限立法として公布・施行され,その後,地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律(一部改正)が公布・施行(平成9年3月31日までの時限立法)された。 イ昭和52年10月14日に市内のγの一部及びβが同和対策事業の対象地域として認定されたことから,市は,同月,熊本県市町村同和対策事業推進協議会に加入し,同年12月22日に八代市同和対策事業審議会設置条例を施行して,同日,市における同和対策事業について必要な事項を調査審議するための,八代市同和対策事業審議会を設置し,昭和53年3月には八代市同和対策事務連絡委員会を設置した。そして,同月以降,市同和対策事業施設として,対象地域であるγ内及びβ内に,公営住宅及び小集落地区改良住宅などの住宅施設,八代市β・γ集会所(教育集会所,)納骨堂及びγ児童公園等の公共施設を建設した。 食肉センターは,前示のとおり,個人が経営していたと畜施設を,大正3年に当時のα村が譲り受けて,α村立と畜場として運営していたが,昭- 24 -和30年にα村が市に編入合併したため,以後は,八代市営と畜場として。 ,,,運営されてきたその後昭和39年から昭和40年にかけて市により牛馬のと殺,解体を行う大動物と室の施設改善がされていたところ,上記のとおり同和対策事業特別措置法に基づく同和対策事業の一環として,いずれも地域改善対策事業費(国庫補助金,地方債,一般財源及び熊本県の補助金を財源とするもの)により,昭和53年度にと畜場浄化槽が整備され(総事業費5940万円。旧設備75トンに新設備200トンが増設され275トンとなる,その後,昭和56年2月,用地買収の上,旧来。)の施設(大動物と室)に加えて,豚等のと殺を行う小動物専用と室が新設されて(総事業費2億48 75トンに新設備200トンが増設され275トンとなる,その後,昭和56年2月,用地買収の上,旧来。)の施設(大動物と室)に加えて,豚等のと殺を行う小動物専用と室が新設されて(総事業費2億4838万7304円,と畜施設が拡充された結)果,1日当たり牛30頭,豚139頭の処理能力を有する食肉センターと。 ,,して竣工したその後も地域改善対策事業費により昭和58年度までに汚物焼却炉,加圧浮上槽,管理棟が順次建設され(昭和53年から昭和58年までの上記施設整備総事業費は,3億6658万4000円余り,)施設全体についての整備が進められた。また,同和対策事業対象地域における食肉流通の改善合理化及び同地域住民の生活の安定を図る目的で,昭和56年3月,地域改善対策事業費により,食肉センター敷地内に,食肉センターでと殺,解体した食肉のカット肉加工,カット肉冷蔵等を行うための食肉流通施設が併設された(総事業費2億8541万1473円。 )さらに,地域改善対策事業費により,昭和55年2月,市内βに食肉のカット処理,内臓物処理等を事業内容する共同処理加工施設(本体)が,同年3月,市内γに食肉のカット処理,パック加工,ハム,コロッケ等の製造を事業内容とする大型共同作業場がそれぞれ建設された。また,同年10月,八代食肉処理事業協同組合が設立され,昭和56年8月から,市と同組合との管理委託契約締結による共同処理加工施設(本体)の稼働が,,,,開始したほか同月八代食肉産業協同組合が設立され同年12月から- 25 -市と同組合との管理委託契約締結による大型共同作業場の稼働が開始した(しかし,昭和60年4月に上記組合が解散したため,上記管理委託契約も解除された。 。)ウ食肉センターを利用してきた食肉業者らは,そのほとんどが,旧α村地域 よる大型共同作業場の稼働が開始した(しかし,昭和60年4月に上記組合が解散したため,上記管理委託契約も解除された。 。)ウ食肉センターを利用してきた食肉業者らは,そのほとんどが,旧α村地域において,先代ないし先々代から引き続いて,と殺業ないし食肉供給業に従事して生計を立ててきた者であり,食肉センターは,その前身である民営及び村営の期間を含めると,約1世紀にわたり,旧α村地域である現在の市内γ及びβの伝統産業であると殺業や食肉供給業に従事する住民らが,地域のと畜場として繰り返し利用するなどしてきたもので,これら住民の生計を支える施設として長年稼働してきた経緯と実態が存する。 食肉センターの利用状況を,食肉センターにおける業者別と畜頭数の記録が存する平成元年度から平成11年度までの11年間についてみても,食肉センターの利用業者数は,毎年,20業者前後(このうち市外の業者は5者前後)で推移しており,業者の入れ替わりなどの変動は少なく(丙7ないし10,旧α村地域の食肉業者を中心とする,ほぼ一定の利用業)者が,食肉センターを地域のと畜場として長期間繰り返し利用してきた上記実態に異なるところはない。そして,本件支援金の支給を受けた10業(,(),(),,(),,者a有限会社δb有限会社εcd有限会社ζef有限会社η(g,h,i,j)も,先代から引き続いて,と殺業ないし)食肉供給業に従事して生計を立ててきた者であり,上記期間中,先代が利用していた期間が存したり,途中で法人化したことがうかがえる業者が存するものの,いずれも毎年継続して食肉センターを利用してきた。 ( )本件支援金支出に至るまでの,市議会経済企業委員会及び市議会におけ る審議等の内容についてア市(農政課)は,熊本県経済農業協同組合 のの,いずれも毎年継続して食肉センターを利用してきた。 ( )本件支援金支出に至るまでの,市議会経済企業委員会及び市議会におけ る審議等の内容についてア市(農政課)は,熊本県経済農業協同組合連合会から食肉センターの経営問題に係る前記報告書が提出され,さらに,同連合会から,処理能力を- 26 -1日牛40頭とすると場新築案の概算建設費は8億3080万円であるとする試算結果が示されたことから,利用業者との間で,食肉センターの施設建築(前記と畜法施行令の一部改正により,一般と畜場の構造設備の基準に適合しなくなった大動物と室を撤去し,上記基準に適合する新と畜場を建築すること)及び今後の管理運営について協議を開始した。市は,食肉センターの上記施設建築後は,食肉センターの管理運営を民間に委託する方針であり,利用業者が加入する組合が主体となって新たに会社組織を設立し,同会社と市との間で食肉センターについて,期間を20年程度とする管理委託契約を締結し,同会社が食肉センターを管理運営し,その収益から市が地方債により調達した建設費を償還していくこと等を内容とする構想を立て,これを利用業者に示したが,利用業者は,食肉センターの管理運営を民間により行うことは,リスクが大きいなどとしてこの構想を受け入れなかった。このため,市(農政課)は,平成11年12月16日の利用業者との協議の際に,食肉センターの施設建築は,その後の食肉センターの管理運営を,利用業者などによる民間機関によって行うことが条件であり,そうでなければ,施設を建築することはできないから,平成12年4月1日以降は食肉センターの業務を存続することはできない旨通告した。その際,利用業者から,食肉センターが廃止されても,営業継続及び生活維持ができるよう配慮してほしい旨の要望が出され,産業振興部長 年4月1日以降は食肉センターの業務を存続することはできない旨通告した。その際,利用業者から,食肉センターが廃止されても,営業継続及び生活維持ができるよう配慮してほしい旨の要望が出され,産業振興部長は,利用業者の経営継続のため,食肉センターで処理できなくなる牛馬の受入れ先となる他地域のと畜場のあっせん及び他地域のと畜場を利用するに伴い必要となる施設(運搬車,冷蔵庫など)整備等のための補助について考えていかなければならない旨述べた。 イ平成11年12月24日に開催された市議会経済企業委員会(市議会から付託されるなどして,食肉センターに係る議案の審査等を行う委員会。 以下,単に「委員会」という)において,農政課(同課を所管する産業。 - 27 -振興部長等が出席)が,上記アの農政課と利用業者との協議の進捗状況を報告した。その際,食肉センターの地元出身である委員から,食肉センターの存廃は,食肉業の長い歴史を有する地域の住民である利用業者の死活問題であり,今後の食肉センターの管理運営において赤字を避けられないとしても,前記基準に適合する施設建築を行い,食肉センターを存続させるべきであるとの意見が述べられたり,他方,食肉センターが廃止される場合は,行政の立場として,利用業者及びと殺業務従事者らの営業継続や生活保障が問題になるとして,この点に関する利用業者との協議を行うことの確認が求められ,農政課は,利用業者が平成12年4月1日以降の食肉センターの業務休止後も営業を継続するため,他地域のと畜場を利用するのに必要な施設整備の費用補助や補償について,今後協議を行っていく方針であることを利用業者に伝えた旨説明した。 ウ農政課は,平成12年1月以降,利用業者に対する経営状況や食肉センターの業務休止後の経営,設備投資等に関する調査を行い,利用業者の食 議を行っていく方針であることを利用業者に伝えた旨説明した。 ウ農政課は,平成12年1月以降,利用業者に対する経営状況や食肉センターの業務休止後の経営,設備投資等に関する調査を行い,利用業者の食肉センター利用状況をまとめるとともに,大分県別府市における事例の調査結果を参考にして,食肉センター業務休止に伴う支援措置の方針について検討し,控訴人及び助役に上記検討結果を報告し,控訴人の指示を受けて財政課とも協議するなどして,支援金を支給する場合にはその支給対象範囲,算定方法,支援金総額等についての支援措置方針案をまとめ,平成12年2月21日から同年3月3日までの間に,本件支援金の支給対象とされた利用業者10業者に順次,支給金の内示額を提示した。そして,同月15日及び同年4月20日に開催された委員会において,上記支援措置方針案の内容を説明し,食肉センター廃止後の牛馬の受入れ先として,熊本市食肉センターに年間4000頭の,株式会社熊本畜産流通センターに年間3000頭の受入れについてあっせん中である旨報告した。上記報告に対し,委員から質問や異論は述べられなかった。 - 28 -エ平成12年度一般会計補正予算案等を議案とする平成12年6月市議会定例会が同月5日から同月23日までの会期で開催されたが,その間の同月19日に開催された委員会において,平成12年度一般会計補正予算案のうち食肉センターの業務休止に伴う利用業者等への支援金の支出(本件予算案)について,歳出審査が行われ,産業振興部長等が本件予算案について説明した。これに対し,委員から,食肉センターが存在する地域の伝統的産業であると殺業ないし食肉供給業に長年従事し,生計の糧を得てきた利用業者に対し,食肉センターの業務休止後も営業を継続できるよう支援措置を行うべきであるが,市が支援措置として が存在する地域の伝統的産業であると殺業ないし食肉供給業に長年従事し,生計の糧を得てきた利用業者に対し,食肉センターの業務休止後も営業を継続できるよう支援措置を行うべきであるが,市が支援措置としての支援金の支給対象者とした10業者のうち5業者が提示額を不満として合意に達していないなど,利用業者内部の合意形成ができていない現状において,本件予算を計上することは,地元を二分しかねない危惧があり時期尚早であるとの意見が述べられたり,他方,食肉センターの業務休止以後,すでに県外のと畜場を利用し,経費が増大している利用業者もいるから,早期に支援金を支払うのが相当であるとする意見が述べられたほか,支援金が一括支払とされている点や支給された支援金の使途について市による確認が行われないことを疑問とする意見が述べられた。これに対し,産業振興部長等が,支援金は,各利用業者によりその事業を継続するに当たっての施設整備を行う必要とする範囲や事情が異なるため,かかる施設整備に必要として試算される相当額を算定するものであるから,一括支払が適当であると考えており,また,支援金は,事後の精算や使途の確認を要する補助金とは異な,,るもので利用業者が他地域のと畜場を利用して事業継続していく上では想定しない経費等が生じることもあることから,市が支援金の使途について最終的確認をすることはできない旨説明した。なお,委員からは,本件予算案により計上された支援金を支出すること自体や支出の法的根拠を問題とする意見は述べられなかった。その後,本件予算案について採決が行- 29 -われたが,裁決に際して,本件予算案に反対する委員から,支援金の配分について利用業者内部の合意形成が得られない状態で,支援金を予算計上することは時期尚早であるとする旨の意見が述べられ,採決の結果,賛成 れたが,裁決に際して,本件予算案に反対する委員から,支援金の配分について利用業者内部の合意形成が得られない状態で,支援金を予算計上することは時期尚早であるとする旨の意見が述べられ,採決の結果,賛成少数で否決された。 オ平成12年6月23日の市議会定例会において,委員会委員長が,本件予算案に関する委員会における審議経過を報告した後,一部議員から,利用業者に対する支援金支払については論議が未成熟であるとして,本件予算案を,と殺業務従事者らに対する支援金の限度に減額する旨の修正案が動議として提出されたが,上記修正案は否決された。これに引き続いて,同日,本件予算案について採決が行われ,賛成多数により可決された。 上記認定した事実に基づいて,控訴人が本件支援金を支出したことの当否を検討する。 ( )控訴人及び控訴人参加人は,本件における利用業者及びと殺業務従事者 らは,食肉センターの廃止に伴って生ずる損失について,補償を受ける利益を有すると主張する。 原判決認定の事実及び前記2で認定した事実によると,食肉センターは,個人が経営していたと畜施設を,大正3年に当時のα村が譲り受けて,村営と畜場として管理運営し,昭和30年にα村が市に合併された以降は,市営と畜場として市が管理運営し,大動物と室の施設改善を行うなどしてきたものであること,食肉センターを利用してきた食肉業者らは,そのほとんどが旧α村地域において先代ないし先々代から引き続いて,同地域の伝統産業であると殺業ないし食肉供給業に従事して生計を立ててきた者であること,このように,食肉センターは,これらほぼ一定の利用業者が,地域のと畜場として長期間にわたり繰り返し利用してきた経緯及び実態が存すること,昭和44年に同和対策事業特別措置法が公布・施行され,昭和52年に旧α村地域である現在の市 これらほぼ一定の利用業者が,地域のと畜場として長期間にわたり繰り返し利用してきた経緯及び実態が存すること,昭和44年に同和対策事業特別措置法が公布・施行され,昭和52年に旧α村地域である現在の市内γの一部及びβが同法の対象地域として指定されたこと- 30 -から,市は,同法に基づく同和対策事業の一環として,地域改善対策事業費により,昭和53年から昭和58年までの間に,と畜場である食肉センター内の施設について,浄化槽の増設,小動物専用と室の新設,汚物焼却炉,加圧浮上槽及び管理棟の建設を行い,これにより食肉センターの施設について,,,,全体的な整備拡充がされたことさらに昭和55年以降γ内及びβ内にと殺,解体された食肉のカット処理,内臓物処理,パック加工,食肉加工品製造等を行う共同処理加工施設(本体)及び大型共同作業場が建設されて,市が関係組合に管理運営を委託する方法により稼働を開始したこと,昭和56年には,食肉センター敷地内にも,食肉センターでと殺,解体された食肉のカット肉加工,カット肉冷蔵等を行うための食肉流通施設(以下,上記共同処理加工施設(本体,大型共同作業場及び食肉流通施設をまとめて「食),肉加工施設等」という)が併設されたことが認められる。 。 上記事実に加え,前記認定のとおり,同和対策事業においては,対象地域の経済力の培養,住民の生活の安定等のため必要な特別の措置を講ずることとされ,同事業の目標として対象地域の産業の振興,職業の安定を図ること等が掲げられていること,国及び地方公共団体は,同和対策事業により,農林漁業や中小企業の経営の合理化及び近代化,設備の近代化,対象地域の住民の雇用促進及び職業の安定等について,必要な施策を総合的に講じることとされていることに照らすと,昭和53年以降,同和対策事業の対象地域で 小企業の経営の合理化及び近代化,設備の近代化,対象地域の住民の雇用促進及び職業の安定等について,必要な施策を総合的に講じることとされていることに照らすと,昭和53年以降,同和対策事業の対象地域であるγ及びβにおいて実施された,食肉センター施設及び食肉加工施設等の建設・整備拡充並びに関係組合に対する委託による食肉加工施設等の管理運営体制の施行等は,同和対策事業特別措置法及びその後に公布・施行された地域改善対策特別措置法等に基づく同和対策事業の一環として,上記地域の伝統産業として,これに従事する住民らの生計を支えてきたと殺業ないし食肉供給業について,公費である地域改善対策事業費をもって上記施設を建設・整備拡充することなどにより,上記地域の伝統産業の経営の合理化,近代- 31 -化を図り,上記地域の産業の振興及び職業の安定を達成するため行われた施策であるということができる。 そうすると,食肉センターには,旧α村地域において先代ないし先々代から引き続いて,同地域の伝統産業であると殺業ないし食肉供給業に従事して生計を立ててきた,ほぼ一定の利用業者が,地域のと畜場として長期間にわたり繰り返し利用してきた経緯及び実態が存するのみならず,このような経,,,緯と実態が存する食肉センターについて市は同和対策事業の一環として上記地域の伝統産業であると殺業ないし食肉供給業の経営の合理化,近代化を図り,上記地域の産業の振興及び職業の安定を達成するため,同和対策事業特別措置法等に基づき,市の施策として施設の建設,整備による特別の施策が実施されてきたのであるから,上記経緯及び実態のもとにある利用業者は,市の管理運営する食肉センターを継続して利用するべき地位にあると認められ,このような食肉センターの利用継続につき,保護を受けるべき法的利益を有するに至って ,上記経緯及び実態のもとにある利用業者は,市の管理運営する食肉センターを継続して利用するべき地位にあると認められ,このような食肉センターの利用継続につき,保護を受けるべき法的利益を有するに至っていたものと認めるのが相当である。そして,利用業者から,と殺ないし内臓洗いの業務を請け負い,食肉センター内で勤務して生計を立てていたと殺業務従事者らも,利用業者と同様に,食肉センターにおける請負業務の継続につき,保護を受けるべき法的利益を有するに至っていたものと認めるのが相当である。 これに対し,被控訴人らは,食肉センターを利用する者に制限はなく,市外及び熊本県外の業者でも,使用料を支払えば利用することができるのであり,同和対策事業の対象地域の住民に限定されていたわけではなく,本件支援金を受領した利用業者の中にも,同和対策事業の対象地域とは無関係な者がいる上,利用業者及びと殺業務従事者らと市との間には,食肉センター利用について継続的契約関係は存在せず,利用業者は,利用する毎に使用料を支払って使用しているに止まり,と殺業務従事者らはそのような利用業者の利用の都度,と殺業務等を請け負っているにすぎないから,いずれも将来に- 32 -わたり継続して食肉センターを利用できる権利を有しているものではないとする。確かに,食肉センターを利用する者に制限はなく,市外及び熊本県外の業者でも,使用料を支払えば利用することができ,利用業者及びと殺業務従事者らと市との間には,食肉センターの利用に関する継続的な契約関係は存在せず,利用業者は,利用する毎に使用料を支払って使用しているに止まるが,本件においては,前記認定のとおり,食肉センターの利用は,ほぼ一定の利用業者及びと殺業務従事者らに限られており,市も,このようなほぼ一定の利用業者及びと殺業務従事者らが利用する施 ているに止まるが,本件においては,前記認定のとおり,食肉センターの利用は,ほぼ一定の利用業者及びと殺業務従事者らに限られており,市も,このようなほぼ一定の利用業者及びと殺業務従事者らが利用する施設であって,他の関係者が容易に参入することのないものとして,これら利用業者及びと殺業務従事者らの利用形態を保護するなどして事業の継続を図ってきたのであるから,条例等において上記のような定めがされていることによって,直ちに利用業者及びと殺業務従事者らが食肉センターを継続的に利用すべき地位にあることを否定する根拠となるものではない。そして,本件においては,上記のと,,,おり市はほぼ一定の利用業者が食肉センターを長期間にわたって利用し生計を立ててきた経緯と実態,地域の産業であると殺業ないし食肉供給業の振興とこれに従事する者の職業の安定を図る目的で,同和対策事業の一環として,食肉センター施設を全体的に整備拡充する施策を実施してきたことに照らすと,利用業者及びと殺業務従事者らは,具体的な契約等に基づいて継続的に食肉センターを利用する権利を有するものではないとしても,食肉センターを継続して利用することについて,保護を受けるべき法的利益を有するに至っていたものと認めるのが相当であり,前記認定のとおり,委員会及び市議会定例会における,本件予算案の審議,採決経緯においても,利用業者及びと殺業務従事者らが食肉センターを継続して利用するべき地位にあるとした上での質疑,応答がされていたのであり,本件支援金支出に至る経緯において,上記認定を左右するに足りる事情は認められない。したがって,被控訴人らの上記主張は,採用することができない。 - 33 -そうすると,市が,食肉センターの業務を休止することに伴って利用業者及びと殺業務従事者らに不可避的に生ずる損失に対 れない。したがって,被控訴人らの上記主張は,採用することができない。 - 33 -そうすると,市が,食肉センターの業務を休止することに伴って利用業者及びと殺業務従事者らに不可避的に生ずる損失に対して,これを補償するため,本件支援金を支出するとして,本件予算案を策定し,市議会の議決を経て,控訴人がこれを支出したことが著しく不当であり,合理性を欠くと認めることはできない。 ( )利用業者及びと殺業務従事者らの損失について 前示のとおり,と畜場法は,と畜場の経営及び食用に供するために行う獣畜の処理の適正を図り,もって公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的とし(同法1条,何人もと畜場以外の場所において食用に供する目的で)獣畜をと殺してはならない旨(同法9条,と畜場は都道府県知事の許可を)受けなければ設置できない旨(同法3条)を規定し,したがって,食用に供される獣畜は全て許可を受けたと畜場に生体を搬入しなければならず,検査を受けなければと殺及び解体はできないし(同法10条1,2項,解体さ)れた獣畜の肉,内臓,血液,骨及び皮は,検査を受けなければと畜場外に持ち出すことはできないとされている(同条3項。このように,と畜業務に)は,牛馬のと殺や解体等を必ずと畜場で行わねばならないという制約を受ける特殊性が存するから,利用業者は,と畜場である食肉センターの業務休止後も,その営業を継続するためには,他地域のと畜場を利用しなければならない。 前記認定事実及び証拠(乙15,20ないし25,49ないし51,7374,85,原審における証人k,同l及び同a)によると,食肉センターの業務休止後,利用業者が実際に利用可能な状況にあると畜場としては,熊本県内に,公営の熊本市所在の熊本市食肉センター及び民営の菊池郡θ所在の株式会社熊本畜産流通センタ び同a)によると,食肉センターの業務休止後,利用業者が実際に利用可能な状況にあると畜場としては,熊本県内に,公営の熊本市所在の熊本市食肉センター及び民営の菊池郡θ所在の株式会社熊本畜産流通センターの2か所が存するが,これらの施設は,年間約9000頭を食肉センターで処理してきた利用業者が,新規に両施設の利用を開始するについては,施設の物的人的処理能力の限界等の理由から事- 34 -実上制限があり,市が,熊本市食肉センターに年間4000頭の,株式会社熊本畜産流通センターに年間3000頭の受入れについてあっせんを行ったものの,食肉センターの業務休止に至るまでに,両施設から上記頭数の受入れについて確答を得るには至らなかったこと,また,県外のと畜場はもとより,県内の両施設も市内βからは遠く離れた地域にあるため,食肉センターを利用する場合と異なり,牛馬の生体及びと殺,解体後の枝肉の運搬及び保管のための経費負担が避けられないこと,食肉センターの業務休止後も業務を継続している利用業者の中には,県内の上記2か所のと畜場を利用している者があるが,利用頭数は制限されており,福岡県や鹿児島県のと畜場を利用している者もあることが認められる。 このように,利用業者が,食肉センターの業務休止後も営業を継続するためには,遠方に存する他地域のと畜場を利用せざるを得ないこととなり,そのために冷蔵車(冷凍車,家畜運搬車,大型保冷車,冷蔵庫等の施設整備)が必要となるほか,高速道路料金,燃料費等の経費負担増が新たに必要になるところ,これらは,食肉センターの業務休止により,利用業者が営業を継続するために通常生ずべき経済的損失であると認められる。また,利用業者から食肉センター内におけると殺業務等を請け負って生計を立ててきたと殺,,業務従事者らも食肉センターの業務休止に 者が営業を継続するために通常生ずべき経済的損失であると認められる。また,利用業者から食肉センター内におけると殺業務等を請け負って生計を立ててきたと殺,,業務従事者らも食肉センターの業務休止により失業を余儀なくされるため転職先が見つかるまでの相当期間の得べかりし収入については,通常生ずべき経済的損失であると認められる。 ところで,被控訴人らは,利用業者に対する本件支援金の支出は,不適切であるとするが,市は,利用業者及びと殺業務従事者らに生ずる損失を算定するにあたって,前記事項による損失を,食肉センターの業務休止によって発生する客観的な損失として算定する根拠とすることとしたのであり,他地域のと畜場を利用するに必要なものとして支出が予定されるところであるか,。 ,らかかる方法による算出は相応の合理性を有していると認められるまた- 35 -本件支援金は,食肉センターの業務休止によって生じる損失を補償するものとして支出されるのであるから,これを一括して支払い,支払を受けた使途に関する事後確認をすることがないとしても,これによって本件支援金の支出が直ちに不合理であり,不適切な支出であると認めることはできない。 したがって,市は,利用業者及びと殺業務従事者らに生じる損失を前記のような基準の下に算定したもので,市のかかる算定は,食肉センターに依存していた利用業者及びと殺業務従事者らが被る損失を必要,最低限度の範囲において補償するものと認められ,これを一括して支払うとする市の前記補,,,償に関する措置は相応の合理的な根拠を有しておりこれが不合理であり必要性の乏しい施策であると認めることはできない。 ( )控訴人の本件支援金の支出について 前記認定した事実によると,市は,食肉センターについても平成12年4月1日から改正されたと畜場法 であり必要性の乏しい施策であると認めることはできない。 ( )控訴人の本件支援金の支出について 前記認定した事実によると,市は,食肉センターについても平成12年4月1日から改正されたと畜場法施行令が適用されることから,平成11年12月16日に開かれた利用業者との協議会において,平成12年4月1日以,,降は食肉センターの業務を存続することができない旨を通告したがその際利用業者から,食肉センターが廃止されても営業の継続及び生活の維持ができるような配慮をしてほしい旨の意見が述べられ,市も,他地域のと畜場の斡旋及び他地域のと畜場利用に伴う整備等のための補助について検討しなければならない旨を述べたこと,市は,利用業者の経営状況や別府市における事例等を調査するなどして,食肉センターの業務休止に伴う支援措置を検討し,これを市長である控訴人及び助役らに報告するとともに,食肉センターの業務休止に伴う具体的な支援措置に関する検討をしたこと,その結果,市は,食肉センターの利用業者及びと殺業務従事者らに対しては,その業務休止に伴う損失を補償するものとして,本件支援金を支出することとし,支給,,,対象者の範囲算定方法支援金総額等についての支援措置方針案をまとめ利用業者らに順次提示し,平成12年2月に開かれた委員会等においても,- 36 -食肉センターに関する事業の経緯や業務休止に伴う清算事務の概要,本件支援金の支出の目的や必要性,前記支援措置案等に関する説明を行ったこと,市は,本件支援金を「補償,補填及び賠償金」として支出する旨の本件予算案を作成し,平成12年6月市議会定例会に提出したこと,委員会及び市議会において,その当否が審議されたが,その委員会の審議においては,市が提示した支給額ではすべての利用業者の了解が得られていない状況における ,平成12年6月市議会定例会に提出したこと,委員会及び市議会において,その当否が審議されたが,その委員会の審議においては,市が提示した支給額ではすべての利用業者の了解が得られていない状況における,本件支援金の支出は時期尚早であるとか,市が支払われた本件支援金の使途について確認をすることができないなどとする意見が出されたが,これに対して,市は,本件支援金は,事後の精算や使途の確認を要する補助金としてでなく,補償金として支出するものであり,他地域のと畜場を利用することなどにより必要となる施設の整備をするに当たって試算される相当額を支払うものであるから,事後確認の必要性はなく,一括支払が相当であるなどとする答弁をしたこと,委員会においては,利用業者らの合意が形成されていない状況における本件支援金の予算計上は時期尚早であるする反対意見が述べられ,採決の結果,3対4の賛成少数で否決されたこと,市は,同年6月市議会定例会に本件予算案を上程し,前記委員会における審議の経緯等の報告がなされ,審議が行われたこと,その審議の過程において,市が提出した本件予算案に対して,利用業者に対する支援金については論議が未成熟であるとして,と殺業務従事者らに対する支援金の限度における支出に減額する旨の修正動議が提出されたが,市議会は,修正動議を否決し,市の提案に係る予算案を賛成多数で可決したこと,控訴人は,同年7月31日,本件支援金の支出に関する決裁を行い,市は,利用業者及びと殺業務従事者らと,。 の間で契約を締結しそれぞれ本件支援金の支出を行ったことが認められる市は,前記のとおり,食肉センターの業務については,同和対策事業特別措置法に基づく同和対策事業の一環としての地域改善対策事業として,と畜施設を整備するなど積極的な関与をして,その事業を運営し,継続していた 前記のとおり,食肉センターの業務については,同和対策事業特別措置法に基づく同和対策事業の一環としての地域改善対策事業として,と畜施設を整備するなど積極的な関与をして,その事業を運営し,継続していた- 37 -こと,市は,平成12年4月1日から施行される改正後のと畜場法施行令により,現在の施設での業務遂行が困難となることから,食肉センターの業務を休止することとし,これまでの間,専ら食肉センターを利用することによって生計を維持していた利用業者及びと殺業務従事者らに対しては,食肉センターの業務休止に伴う損失については補償をすることが相当であるとして,市が相当とする範囲において,食肉センターの業務休止にともなう損失を補償する旨の措置を決定し,予算項目を「補償,補填及び賠償金」とする本件予算案を作成して,市議会に説明をし,市議会も本件予算案の当否を審議した上で,賛成多数でこれを可決したこと,控訴人は,市議会の前記議決を踏まえて,市長として,本件支援金の支出を実行したのであり,このような市の食肉センターにおけると畜業務とのかかわり,利用業者及びと殺業務,,従事者らの食肉センターにおける業務と生計の程度等にかんがみると市が利用業者及びと殺業務従事者らに対して,食肉センターの業務休止に伴う損,,失を補償するとして本件支援金を支出したことには合理性があり控訴人は前記のとおり,市議会の議決を踏まえて,食肉センターの業務休止に伴う利用業者及びと殺業務従事者らの損失に対する補償として,本件支援金を支出したのであるから,上記支出については,公益上の必要があると認められ,また,本件支援金が,食肉センターの業務休止に係る補償とかかわりのないところに流用されるおそれがあるとは認められず,裁量権を逸脱し,又は濫用したものとして,その支出が不合理であるとす ると認められ,また,本件支援金が,食肉センターの業務休止に係る補償とかかわりのないところに流用されるおそれがあるとは認められず,裁量権を逸脱し,又は濫用したものとして,その支出が不合理であるとする事由も存しない。 以上のとおり,本件支援金の支出は,前示のとおりの公益上の必要に基づくものであり,本件支援金を支出した控訴人に,裁量権の逸脱等の事由は認めら,,,。 れないから結局本件支援金の支出が違法であると認めることはできない第4 結論 したがって,本件支援金の支出が違法であることを理由とする被控訴人らの本件請求は,理由がないから棄却すべきであるところ,これを一部認容した原判決- 38 -は相当でないから,これを取り消すこととし,主文のとおり判決する。 福岡高等裁判所第4民事部裁判長裁判官星野雅紀裁判官近下秀明裁判官野島香苗

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