- 1 -平成30年12月13日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成27年(ワ)第8974号特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日平成30年8月24日判決原告株式会社ジェイテクト 同訴訟代理人弁護士岩坪 哲同速見禎祥被告三菱電機株式会社同訴訟代理人弁護士近藤惠嗣同前田将貴 同訴訟代理人弁理士加藤 恒 主文 1 被告は,別紙「被告製品目録」記載9及び10の製品を生産し,譲渡してはならない。 2 被告は,前項の各製品に係るコンピュータ・プログラムを使用許諾してはな らない。 3 被告は,第1項記載の各製品を廃棄せよ。 4 被告は,原告に対し,4702万8368円及びうち2658万2631円に対する平成27年9月26日から,うち別紙「各月の損害額一覧表」の平成27年9月から平成29年12月までの各欄の「各月の損害額」欄記載の金額に対する 各月の末日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 6 訴訟費用は,これを25分し,その1を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。 7 この判決は,第4項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 - 2 -第1 請求 1 被告は,別紙「被告製品目録」記載1ないし3及び5ないし7の製品を生産し,譲渡し,貸し渡し,譲渡又は貸し渡しの申出をしてはならない。 2 被告は,別紙「被告製品目録」記載4及び8ないし11の製品を生産し,譲渡してはならない。 3(1) 被告は,前項の各製品に係るコン し,貸し渡し,譲渡又は貸し渡しの申出をしてはならない。 2 被告は,別紙「被告製品目録」記載4及び8ないし11の製品を生産し,譲渡してはならない。 3(1) 被告は,前項の各製品に係るコンピュータ・プログラムを使用許諾してはならない。 (2) 別紙「被告製品目録」記載9及び10の製品に関する予備的請求被告は,別紙「被告製品目録」記載9及び10の製品に係るコンピュータ・プログラムのうちワンタッチ回路ジャンプ機能及びタッチ検索機能に関する部分並び に拡張アラーム表示機能又はアラーム表示(ユーザ)機能に関する部分を使用許諾してはならない。 4 被告は,第1項及び第2項記載の各製品を廃棄せよ。 5 被告は,原告に対し,5億5000万円及びこれに対する平成27年9月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は,後記の本件第1特許ないし第4特許に係る特許権を有する原告が,別紙「被告製品目録」記載の各製品(以下,各製品を同目録の記載に従い「被告製品1-1」などといい,同目録記載の各製品をまとめて「被告各製品」ということがあ る。)を製造,販売等する被告に対し,以下のとおり各特許権の直接侵害及び間接侵害を主張して,①特許法100条1項に基づき,(a)被告各製品の生産,譲渡等の差止め及び(b)被告製品1-4,被告製品2-4,被告製品3,被告製品4に係るコンピュータ・プログラムの使用許諾の差止め(被告製品3及び4については予備的に,同製品に係るコンピュータ・プログラムのうちワンタッチ回路ジャンプ機能及 びタッチ検索機能に関する部分並びに拡張アラーム表示機能又はアラーム表示(ユ- 3 -ーザ)機能に関する部分の使用許諾の差止め),②同条2項に基づき,被告各 ちワンタッチ回路ジャンプ機能及 びタッチ検索機能に関する部分並びに拡張アラーム表示機能又はアラーム表示(ユ- 3 -ーザ)機能に関する部分の使用許諾の差止め),②同条2項に基づき,被告各製品の廃棄,③特許権侵害の不法行為に基づき,損害の一部である5億5000万円の損害の賠償及びこれに対する訴状送達日の翌日である平成27年9月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求した事案である。 (1) 後記の本件特許権1関係 ア直接侵害:被告製品1-1,同1-2,同2-1,同2-2,同3―1同3-2の製造,販売等イ間接侵害(特許法101条1号及び2号):被告製品1-1,同1-2,同2-1,同2-2の製造,販売ウ間接侵害(特許法101条2号):被告製品3―1,同3-2の製造, 販売等(2) 後記の本件特許権2関係(請求項1及び3)ア直接侵害:被告製品1-1,同1-2,同1-3,同2-1,同2-2,同2-3,同3―1,同3-2の製造,販売等イ間接侵害(特許法101条1号及び2号):被告製品1-1,同1-2, 同1-3,同2-1,同2-2,同2-3の製造,販売ウ間接侵害(特許法101条2号):被告製品1-4,同2-4,同3-1,同3-2の製造,販売等(3) 後記の本件特許権3関係(請求項1)間接侵害(特許法101条2号):被告製品1-1,同1-2,同2-1, 同2-2,同3―1,同3-2,同4の製造,販売等(4) 後記の本件特許権4関係(請求項1)間接侵害(特許法101条2号):被告製品3-1,同3-2,同4の製造,販売等 2 前提事実(当事者間に争いがないか,後掲の証拠又は弁論の全趣旨により容 記の本件特許権4関係(請求項1)間接侵害(特許法101条2号):被告製品3-1,同3-2,同4の製造,販売等 2 前提事実(当事者間に争いがないか,後掲の証拠又は弁論の全趣旨により容 易に認められる事実。なお,本判決における書証の掲記は,枝番号の全てを含むと- 4 -きはその記載を省略する。)(1) 原告の地位原告は,工作機械,電子制御機器等の製造,販売を行う株式会社である。豊田工機株式会社(以下,合併前の同社のことを「豊田工機」という。)と光洋精工株式会社は,平成18年1月,合併し,存続会社の商号が現在の原告の商号に変更さ れた(甲32)。 (2) 原告の有する特許権(甲1ないし4)原告は,以下の特許(以下,順番に「本件第1特許」などという。)に係る特許権(以下,本件第1特許の出願の願書に添付された明細書及び図面をまとめて「本件明細書1」といい,本件第2特許以下についても同様に表記する。)を有す る。本件明細書1ないし4の記載は本判決添付の各特許公報のとおりである(甲1ないし4)。 ア本件第1特許特許番号特許第3700528号発明の名称プログラマブル・コントローラにおける異常発生時にラ ダー回路を表示する装置出願日平成12年3月31日登録日平成17年7月22日特許登録時の特許請求の範囲本判決添付の本件第1特許に係る特許公報のとおり なお,原告は,平成28年7月29日,特許庁長官に対し,本件第1特許の特許請求の範囲の請求項1を下記(3)アの下線部のとおり訂正(誤記の訂正又は減縮)すること等を求める訂正審判の請求をし,同年10月18日,請求のとおり訂正することを認めるとの審決がされ,確定した(甲19,20)。 イ本 (3)アの下線部のとおり訂正(誤記の訂正又は減縮)すること等を求める訂正審判の請求をし,同年10月18日,請求のとおり訂正することを認めるとの審決がされ,確定した(甲19,20)。 イ本件第2特許 特許番号特許第3711820号- 5 -発明の名称 PLC用の操作盤及び同操作盤における異常表示方法出願日平成11年11月25日登録日平成17年8月26日特許登録時の特許請求の範囲本判決添付の本件第2特許に係る特許公報のとおり なお,原告は,平成28年9月29日,特許庁長官に対し,本件第2特許の特許請求の範囲の請求項3を下記(3)ウの下線部のとおり訂正(減縮)すること等を求める訂正審判の請求をし,同年12月6日,請求のとおり訂正することを認めるとの審決がされ,確定した(甲21,22)。 ウ本件第3特許 特許番号特許第4023051号発明の名称動作制御操作盤出願日平成11年10月25日登録日平成19年10月12日特許請求の範囲本判決添付の本件第3特許に係る特許公報のとおり エ本件第4特許特許番号特許第3258234号発明の名称操作盤の画面定義装置出願日平成8年4月26日登録日平成13年12月7日 特許請求の範囲本判決添付の本件第4特許に係る特許公報のとおりなお,この特許に係る特許権については,原告とトヨタ自動車株式会社(以下「トヨタ」という。)が共有していたが,トヨタが原告に対して本件第4特許の特許権に係る共有持分をすべて譲渡し,平成27年5月12日,その旨の登録がされた。 (3) 本件発明1ないし4の構成要件の分説 う。)が共有していたが,トヨタが原告に対して本件第4特許の特許権に係る共有持分をすべて譲渡し,平成27年5月12日,その旨の登録がされた。 (3) 本件発明1ないし4の構成要件の分説- 6 -ア本件第1特許の請求項1(下線部に係る訂正後のもの)に係る発明(以下「本件発明1」といい,これに係る特許を「本件特許1」と,その特許権を「本件特許権1」という。)の構成要件は,次のとおり分説される(以下,各構成要件をその表記に従い,「構成要件1A」などという。その他の発明の構成要件についても同じ。)。 1A 機械・装置・設備等の制御対象を制御するプログラマブル・コントローラにおいて用いられる表示装置であって,1B 前記制御対象の異常現象の発生をモニタするプログラムと,1C そのプログラムで異常現象の発生がモニタされたときにモニタされた異常現象に対応する異常種類を表示する手段と, 1D 表示された1又は複数の異常種類から1の異常種類に係る異常名称をタッチして指定するタッチパネルと,1E 異常種類が当該タッチにより指定されたときにその指定された異常種類に対応する異常現象の発生をモニタしたラダー回路を表示する手段と,を有し,1F 前記ラダー回路を表示する手段は,表示されたラダー回路の入出力 要素のいずれかをタッチして指定する前記タッチパネルと,表示されたラダー回路の入力要素が当該タッチにより指定されたときにその入力要素を出力要素とするラダー回路を検索して表示し,表示されたラダー回路の出力要素が当該タッチにより指定されたときにその出力要素を入力要素とするラダー回路を検索して表示する手段を含む 1G ことを特徴とする表示装置。 イ本件第2特許の請求項1に係る発明(以下「本件発明2-1」といい, 指定されたときにその出力要素を入力要素とするラダー回路を検索して表示する手段を含む 1G ことを特徴とする表示装置。 イ本件第2特許の請求項1に係る発明(以下「本件発明2-1」といい,これに係る特許を「本件特許2-1」と,その特許権を「本件特許権2-1」という。)の構成要件は,次のとおり分説される。 2A タッチスイッチ機能を備えた表示板と, 2B 機械をシーケンス制御するPLCと情報交換するデータ伝送手段と,- 7 -2C メモリと,2D このメモリに記憶されたプログラムに従って前記PLCからの制御状態情報を取り込んで表示板上に多数のソフトランプとして表示すると共にPLCに与える命令を入力する多数のソフトスイッチを表示しかつこのソフトスイッチがタッチされるとき前記PLCに命令を出力するCPUとからなるPLC用の操作盤 において,2E 前記表示板の一部であって前記ソフトランプおよび前記ソフトスイッチの表示区画とは独立して設けた異常名表示区画に前記シーケンス制御の実行中に生じる各種異常の名称を少なくとも1つ選択的に表示する異常名表示プログラムを設け, 2F また前記少なくとも1つの異常名を表示する前記表示板上の区画がタッチされるとき前記異常名を表示する画面を切替えてその異常に対応して前記メモリ内に予め登録された詳細コメント情報を前記表示板上に表示する詳細コメント表示プログラムを付加したことを特徴とする2GPLC用の操作盤。 ウ本件第2特許の請求項3(下線部を追加する訂正をした後のもの)に係る発明(以下「本件発明2-3」といい,これに係る特許を「本件特許2-3」と,その特許権を「本件特許権2-3」という。)の構成要件は,次のとおり分説される。 2AないしG 上記イと 後のもの)に係る発明(以下「本件発明2-3」といい,これに係る特許を「本件特許2-3」と,その特許権を「本件特許権2-3」という。)の構成要件は,次のとおり分説される。 2AないしG 上記イと同じ(本件発明2-1に係るもの) 2H 前記異常名表示プログラムは,前記多数のソフトランプ及び前記多数のソフトスイッチを表示する単一の表示画面上の一部に配置される数個の異常名表示区画の各々に異なる異常の名称を表示できるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の操作盤。(本件第2特許の請求項2に係るもの)2I 前記シーケンス制御の実行中に生じる各種異常の優先順位を異常の 重要度に応じて前記メモリに予め設定しておき,前記異常名表示プログラムは前記- 8 -各種異常が同時多発的に発生したとき発生した異常の内で優先順位の高いものから順に前記数個の異常名表示区画に表示するように構成されていることを特徴とする請求項2記載の操作盤。 エ本件第3特許の請求項1に係る発明(以下「本件発明3」といい,これに係る特許を「本件特許3」と,その特許権を「本件特許権3」という。)の構成 要件は,次のとおり分説される。 3A シーケンス・コントローラと接続され該シーケンス・コントローラとの間での入出力信号の授受により該シーケンス・コントローラに接続された設備機械の動作を制御する動作制御操作盤であって,3B 入力手段および出力手段の双方の機能を有するタッチパネルと, 3C 該タッチパネル上に構成される複数の操作ボタンを前記シーケンス・コントローラにおける所定の入出力信号の状態に応じて視覚的に区別して表示する操作ボタン表示手段とを備えた動作制御操作盤において,3D 前記複数の操作ボタンは前記設備機械の一連の自動運転時に行われ コントローラにおける所定の入出力信号の状態に応じて視覚的に区別して表示する操作ボタン表示手段とを備えた動作制御操作盤において,3D 前記複数の操作ボタンは前記設備機械の一連の自動運転時に行われる動作を個々の動作に分割した各個動作を行わせるための操作ボタンであり, 3E 前記シーケンス・コントローラにおける前記所定の入出力信号は,当該操作ボタンにより実行される各個動作の動作中に常に満足すべき条件である運転条件と,当該操作ボタンにより実行される各個動作の開始時に満足すべき条件である起動条件を少なくとも含み,3F 前記操作ボタン表示手段は,前記複数の操作ボタン毎に当該操作ボ タンにより実行される各個動作の,前記運転条件を満たさない時,前記運転条件は満たすが前記起動条件を満たさない時,前記運転条件および前記起動条件の双方を満たす時の3つの状態をそれぞれ視覚的に区別して表示をする3G ことを特徴とする動作制御操作盤。 オ本件第4特許の請求項1に係る発明(以下「本件発明4」といい,これ に係る特許を「本件特許4」と,その特許権を「本件特許権4」という。また,本- 9 -件特許権4と本件特許権1,2-1,2-3及び3を併せて「本件各特許権」という。)の構成要件は,次のとおり分説される。 4A 制御に必要な操作キーや機械の動作状況を示すランプからなる表示内容を画面上に表示すると共に,この画面上に表示された前記表示内容に対応した信号を出力する透明スイッチパネルを設けた操作盤に対して,この操作盤の画面に 表示する前記表示内容の作画と前記表示内容とプログラマブルコントローラのアドレスとの対応付けの画面定義を行う前記操作盤のための画面定義装置であって,4B 前記操作盤の画面上に表示する前記表示内容の一部としての前記操 容の作画と前記表示内容とプログラマブルコントローラのアドレスとの対応付けの画面定義を行う前記操作盤のための画面定義装置であって,4B 前記操作盤の画面上に表示する前記表示内容の一部としての前記操作キーやランプの絵とこれら絵を表示する複数の区画を特定する情報が予め設定されている区画設定手段と, 4C これら複数の区画に設定される前記操作キーやランプの各々を特定する前記表示内容の他の一部としてのコメントやプログラマブルコントローラのアドレスからなる複数の情報項目を並べた画面定義マトリックスを記憶する画面定義マトリックス記憶手段と,4D この画面定義マトリックスに指定される前記複数の情報項目につい てそれぞれのパラメータを入力する入力手段と,4E 前記区画設定手段に設定された前記操作キーやランプの絵や区画を特定する情報と前記入力手段により前記画面定義マトリックスに入力された前記パラメータとに基づいて前記操作盤の画面上に表示する前記操作キーやランプの絵と前記複数の情報項目と組み合わせて作画すると共に,前記操作キーやランプとプロ グラマブルコントローラのアドレスとを対応付けするための画面定義を行う画面定義手段を備えた4F ことを特徴とする操作盤の画面定義装置。 (4) 被告各製品ア略称 被告製品の略称は,以下のとおりとする。 - 10 -「被告表示器」:被告製品1-1,同1-2,同1-3,同2-1,同2-2,同2-3「被告表示器A」:被告製品1-1,同1-2,同2-1,同2-2「被告表示器1A」:被告製品1-1,同1-2「被告表示器2A」:被告製品2-1,同2-2 「被告製品1」:被告製品1-1,同1-2,同1-3,同1-4「被告製品2」:被告製品2-1,同2-2,同2-3 」:被告製品1-1,同1-2「被告表示器2A」:被告製品2-1,同2-2 「被告製品1」:被告製品1-1,同1-2,同1-3,同1-4「被告製品2」:被告製品2-1,同2-2,同2-3,同2-4「被告製品3」:被告製品3-1,同3-2イ被告表示器は,プログラマブル表示器であり,工場等における設備機械を制御する制御装置であるプログラマブル・コントローラ(設備機械のアクチュエ ータ等の動作等のON/OFF信号,位置信号等を,設備機械の動作プログラムに従って受発信し,かつ当該動作プログラムが記憶されている装置。以下「PLC」という。)等の状態を表示(モニタ)するとともに,PLC等に指令信号を送る機器(表示操作装置)である。被告表示器は,PLCに接続することによって,PLCによる設備機械の制御状態を可視化するとともに,設備機械の操作盤としても機 能するほか,マイコンボードやロボットコントローラー等にも接続することができ,その場合には,それらの設備機器について動作の制御やモニタを行うことができる。 なお,被告製品1-1は「三菱グラフィックオペレーションターミナル GOT1000シリーズ」のハイスペック機種,被告製品1-2はそのミドルスペック機種,被告製品1-3はそのスモールスペック機種である。また,被告製品2-1な いし2-3は被告製品1-1ないし1-3の後継機種であり,被告製品2-1は「三菱グラフィックオペレーションターミナル GOT2000シリーズ」のハイスペック機種,被告製品2-2はそのミドルスペック機種,被告製品2-3はそのスモールスペック機種である。 ウ被告製品1-4及び2-4 被告製品1-4及び2-4は,それぞれGOT1000シリーズ及びGOT- 11 -2000シリーズにおいて 製品2-3はそのスモールスペック機種である。 ウ被告製品1-4及び2-4 被告製品1-4及び2-4は,それぞれGOT1000シリーズ及びGOT- 11 -2000シリーズにおいて,パソコン(PC)に格納することによって,パソコンを表示操作装置として機能させるソフトウェアのライセンスキー(USBポート用)である。 エ被告製品3被告製品3は,被告表示器(GOT1000シリーズ及びGOT2000シ リーズ)専用の画面作成ソフトウェアである。これには被告表示器のOS(基本機能OS及び拡張/オプション機能OS)とその他のソフトウェアが含まれている。 ユーザは,被告製品3をパソコンにインストールし,その中の「GTDesigner3」というソフトウェアを使用して,パソコンで被告表示器のプロジェクトデータ(画面データや動作設定など,被告表示器に表示させるデータの集まり。 甲14)を作成する。 そして,被告表示器は,ユーザが被告表示器に被告製品3を用いて基本機能OSをインストールしなければ全く機能しない。また,被告製品3に格納されているOS及び同製品によって作成されるプロジェクトデータは,被告表示器以外の表示器には全く適用できない。 オ被告製品4被告製品4は,被告表示器用のプロジェクトデータ作成の支援ツール(変換ツールソフトウェア)である。これにはエクセルファイルと変換ツールが含まれており,変換ツールを用いることで,エクセルファイルをプロジェクトデータの形式に変換することができる。また,被告製品4は原告(豊田工機)が製造したプログ ラマブル表示器の画面作成ソフトウェア「スクリーンヘルパー3」のデータ読込みをサポートしており,「スクリーンヘルパー3」によって作成したエクセルファイル 4は原告(豊田工機)が製造したプログ ラマブル表示器の画面作成ソフトウェア「スクリーンヘルパー3」のデータ読込みをサポートしており,「スクリーンヘルパー3」によって作成したエクセルファイルを読み込んで,被告表示器用のプロジェクトデータに変換することも可能である。 カ構成要件充足性(ア) 被告表示器Aは,設備機器等の制御対象を制御するPLCに接続して 用いられる表示操作装置である(後記原告主張の1aの構成)から,本件発明1の- 12 -構成要件1Aを充足する。 (イ) 被告製品3の基本機能OSがインストールされた被告表示器は,タッチスイッチ機能を備えた表示板を有し(後記原告主張の2aの構成),機械をシーケンス制御するPLCと情報交換するインターフェイスを有し(同2bの構成),メモリを有する(同2cの構成),PLC用の表示操作装置である(同2gの構成) から,本件発明2-1及び2-3の構成要件2A,2B及び2Cを充足する。 (ウ) 被告製品4をインストールしたパソコンは,本件発明4の技術的範囲に属する。そして,被告製品4は本件発明4の操作盤の画面定義装置の生産に用いる物であって,その発明による課題の解決に不可欠なものである。 (5) 被告の行為 被告は,被告製品1,2及び3を製造,販売してきた(ただし,被告製品3と被告製品1又は2は別売り)ほか,被告製品3に係るコンピュータ・プログラムを第三者に対して使用許諾してきた。なお,被告製品3-1はGOT1000シリーズ(被告製品1)に対応するものとして製造され,GOT2000シリーズ(被告製品2)には対応しないため,GOT2000シリーズ(被告製品2)にも対応す るものとして被告製品3-1に機能を付加するなどして,バージョンアップ品として被告製品3 OT2000シリーズ(被告製品2)には対応しないため,GOT2000シリーズ(被告製品2)にも対応す るものとして被告製品3-1に機能を付加するなどして,バージョンアップ品として被告製品3-2の製造,販売等が開始された。 また,被告は,被告製品4を原告に対して無償で頒布したほか,少なくともトヨタに工作機械を納入する設備メーカーであって,被告が販売する数値制御装置(設備機械を数値(座標)で制御する装置であり,PLCと同様にプログラマブル表示 器に接続して利用される。)であるCNC-C70シリーズ(以下「C70シリーズ」という。)の購入者に対して,無償で頒布した。 3 争点(1) 本件特許権1の侵害の有無ア被告表示器A,被告製品3の製造,販売等の行為は本件特許権1の直接 侵害行為に該当するか(争点1-1)- 13 -イ被告表示器A,被告製品3の製造,販売等の行為は本件特許権1の間接侵害行為に該当するか(争点1-2)(2) 本件特許権2の侵害の有無ア被告表示器,被告製品3の製造,販売等の行為は本件特許権2-1の直接侵害行為に該当するか(争点2-1) イ被告製品1及び2,被告製品3の製造,販売等の行為は本件特許権2-1の間接侵害行為に該当するか(争点2-2)ウ被告表示器,被告製品3の製造,販売等の行為は本件特許権2-3の直接侵害行為に該当するか(争点2-3)エ被告製品1及び2,被告製品3の製造,販売等の行為は本件特許権2- 3の間接侵害行為に該当するか(争点2-4)(3) 本件特許権3の間接侵害の成否被告表示器A,被告製品3,被告製品4の製造,販売等の行為は本件特許権3の間接侵害行為に該当するか(争点3)(4) 本件特許権4の間接侵害の 4)(3) 本件特許権3の間接侵害の成否被告表示器A,被告製品3,被告製品4の製造,販売等の行為は本件特許権3の間接侵害行為に該当するか(争点3)(4) 本件特許権4の間接侵害の成否 被告製品3,被告製品4の製造,販売等の行為は本件特許権4の間接侵害行為に該当するか(争点4)(5) 本件各特許は特許無効審判により無効にされるべきものかア本件特許1の無効理由-乙1ないし3による進歩性欠如(争点5-1)イ本件特許2-1の無効理由-乙1による新規性欠如(争点5-2) ウ本件特許1及び2-1の無効理由-公然実施による新規性・進歩性欠如(争点5-3)エ本件特許2-3の無効理由-明確性要件違反(争点5-4)オ本件特許2-3の無効理由-乙1及び2による新規性・進歩性欠如(争点5-5) カ本件特許3の無効理由-明確性要件違反,実施可能要件違反,サポート- 14 -要件違反(争点5-6)キ本件特許3の無効理由-乙4を主引例とする進歩性欠如(争点5-7)ク本件特許4の無効理由-乙6による新規性欠如(争点5-8)(6) 被告の本件各特許権の侵害による原告の損害額(争点6)(7) 本件特許権1又は3の間接侵害を理由とする被告製品3及び4の生産,譲 渡等の差止め及び廃棄を命じることの可否(争点7)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1-1(被告表示器A,被告製品3の製造,販売等の行為は本件特許権1の直接侵害行為に該当するか)について(原告の主張) (1) 被告製品3のOSがインストールされた被告表示器Aの構成被告製品3のOSがインストールされた被告表示器Aの構成を本件発明1の構成要件に即して分説すると,以下のとおりである。 1a 機械設備等の 被告製品3のOSがインストールされた被告表示器Aの構成被告製品3のOSがインストールされた被告表示器Aの構成を本件発明1の構成要件に即して分説すると,以下のとおりである。 1a 機械設備等の制御対象を制御するPLCに接続して用いられる表示操作装置である。 1b 制御対象の異常現象の発生をモニタするプログラムが格納される。 1c そのプログラムで異常現象がモニタされたときに,モニタされた異常現象に対応する異常種類を表示する拡張ユーザアラーム表示(被告製品2-1においては「アラーム表示(ユーザ)」)ないしアラームランプを有する。 1d 表示された1又は複数のアラームランプないし表示された1又は複数の拡 張ユーザアラーム表示から1の異常種類をタッチして指定するタッチスイッチを有する。 1e タッチスイッチにより異常種類が指定されたときに当該異常種類に対応する異常現象の発生をモニタした回路モニタ画面を表示するワンタッチ回路ジャンプ機能(被告表示器2Aにおいては「シーケンスプログラムモニタ(回路)」)を有す る。 - 15 -1f 表示された回路の入出力要素(接点及びコイル)をタッチして指定することができるタッチパネルと,表示された回路の入力要素である接点が当該タッチにより指定されたときにその接点を出力要素であるコイルとする回路を検索して表示し,表示された回路の出力要素であるコイルが当該タッチにより指定されたときにそのコイルを入力要素とする回路を検索して表示するタッチ検索機能を含む。 なお,被告表示器2Aにおいては,入力要素である接点をタッチスイッチにより指定したとき,画面上にデバイス(コイル・接点)検索ウインドウが現れ,該ウインドウ上に当該接点が表示され,当該接点をEnterキイで指定すると,当該接点 は,入力要素である接点をタッチスイッチにより指定したとき,画面上にデバイス(コイル・接点)検索ウインドウが現れ,該ウインドウ上に当該接点が表示され,当該接点をEnterキイで指定すると,当該接点を出力要素(コイル)とする回路を検索して表示する。また,出力要素であるコイルをタッチスイッチにより指定したとき,画面上にデバイス(コイル・接点)検 索ウインドウが現れ,該ウインドウ上に当該コイルが表示され,当該コイルをEnterキイで指定すると,当該コイルを入力要素(接点)とする回路を検索して表示する。即ち,デバイス検索ウインドウ上の確認(Enterキイ押下)が付加されている点以外は被告表示器1Aと同様である。 1g 以上の構成を備える,PLCに接続して用いられる表示操作装置である。 (2) 構成要件充足性ア被告製品3のOSがインストールされた被告表示器Aの構成1bは,本件発明1の構成要件1Bを充足する。 被告は構成要件1Bの充足を否定しているが,当該構成要件は異常現象の発生をモニタするプログラムを有することであり,生起した現象が異常現象か否かを判断 するプログラムを有することではない。そして,異常現象の発生に対応するPLCのビットデバイスの変化を検知することは,異常現象の発生をモニタ(監視)することに他ならない。 イ被告製品3のOSがインストールされた被告表示器Aの構成1cは,本件発明1の構成要件1Cを充足する。拡張ユーザアラーム表示ないしアラームラン プは文字通り異常種類(ワーク異常)を表示しているからである。 - 16 -ウ被告製品3のOSがインストールされた被告表示器Aの構成1d,1eは,それぞれ本件発明1の構成要件1D,1Eを充足する。この被告製品の「タッチスイッチ」は,構成要件1Dの「1 - 16 -ウ被告製品3のOSがインストールされた被告表示器Aの構成1d,1eは,それぞれ本件発明1の構成要件1D,1Eを充足する。この被告製品の「タッチスイッチ」は,構成要件1Dの「1又は複数の異常種類から1の異常種類に係る異常名称をタッチして指定するタッチパネル」に他ならない(構成要件1D充足)。 また,この被告製品は,「ワンタッチ回路ジャンプ機能」により,異常種類が「タッ チにより指定されたときにその指定された異常種類に対応する異常現象の発生をモニタしたラダー回路を表示」している(構成要件1E充足)。 エ被告製品3のOSがインストールされた被告表示器Aの構成1fは,本件発明1の構成要件1Fを充足する。この被告製品は,「タッチ検索機能」により,接点・コイルをタッチすることにより異常の原因となる入力要素(接点)あるいは 出力要素(コイル)に係るラダー回路を表示するものであり,表示されたラダー回路の入出力要素のいずれかをタッチして指定する前記タッチパネルと,表示されたラダー回路の入力要素が当該タッチにより指定されたときにその入力要素を出力要素とするラダー回路を検索して表示し,表示されたラダー回路の出力要素が当該タッチにより指定されたときにその出力要素を入力要素とするラダー回路を検索して 表示する手段を含む。 被告は構成要件1Fを充足しないと主張しているが,これは自白の撤回に当たり,原告はこの撤回に同意しない。また,「とき」の通常の語義や本件発明1の目的に照らせば,入出力要素がタッチされた場合に,あるいはその折に,ラダー回路の検索が行われていれば足り,エンターキーのタッチは構成要件の付加にすぎない。 したがって,この被告製品は構成要件1Fを充足する。 オ被告製品3のOSがインストールされた被告表 ダー回路の検索が行われていれば足り,エンターキーのタッチは構成要件の付加にすぎない。 したがって,この被告製品は構成要件1Fを充足する。 オ被告製品3のOSがインストールされた被告表示器Aの構成1gは,本件発明1の構成要件1Gを充足する。 カしたがって,被告製品3のOSがインストールされた被告表示器Aは,本件発明1の技術的範囲に属する。 (3) 直接侵害の成立- 17 -以上のとおり,被告製品3のOSがインストールされた被告表示器Aは,本件発明1の実施品(直接侵害品)となるところ,被告製品3は,形式的には被告表示器Aと別売りであるものの,被告表示器Aは被告製品3によるOS(及びプロジェクトデータ)のインストールなしには全く機能せず,他方,被告製品3に格納されているOS及び同製品によって作成されるプロジェクトデータは被告以外の表示器 には全く適用できず,被告製品3は被告表示器Aなしには何ら意味をなさない無用の長物であるから,被告表示器Aと被告製品3とはその機能上一体不可分のものである。したがって,被告表示器A及び被告製品3の販売は,それら製品が同一機会に販売されるか否かを問わず,実質的にセット販売であると評価されるべきである(セット販売理論)。 また,被告製品3によってプロジェクトデータを作成し,それと被告製品3に格納されているOSを被告表示器Aに格納することは,当然予定された行為であるから,被告は,ユーザをして被告製品3をインストールした被告表示器Aを生産させているものと評価すべきである(道具理論。東京地裁平成13年10月31日判決参照)。 したがって,被告表示器A及び被告製品3を製造,販売等する行為は,それら製品が同一機会に販売されるか否かを問わず,いずれも本件特許権1 道具理論。東京地裁平成13年10月31日判決参照)。 したがって,被告表示器A及び被告製品3を製造,販売等する行為は,それら製品が同一機会に販売されるか否かを問わず,いずれも本件特許権1の直接侵害行為に該当すると評価すべきである。 (4) 被告の主張についてア被告は,ユーザがプロジェクトデータを作成してインストールしなけれ ば被告表示器は動作しないなどとして,直接侵害の成立を否定している(後記被告の主張(1)イ)。 しかし,ユーザによって作成されるプロジェクトデータ自体が本件発明1の必須構成要件の一部を成しているわけではなく,プロジェクトデータの存否は本件特許権1の侵害と無関係である。 また,本件特許1に対応するラダー回路自動検索機能(「ワンタッチ回路ジャンプ- 18 -機能」)は,被告製品3の拡張/オプション機能OSに含まれているところ,原則,ユーザの意図的な「除外」という作為を経なければ,被告表示器Aに,プロジェクトデータ転送時に自動的に転送されるようになっている。 したがって,直接侵害が成立する。 イ後記被告の主張(2)については,道具理論は,方法の発明であると物の発 明であるとを問わず,適用される理論である。 ウ上記原告の主張に反する被告の主張は否認し,争う。 (被告の主張)(1) 被告製品3のOSがインストールされた被告表示器Aの構成及び構成要件充足性について ア基本機能OSがインストールされた被告表示器Aには,プロジェクトデータで指定されたビットデバイスの値の変化をモニタするプログラムが格納されているだけであり,当該ビットデバイスの値の変化が何を意味しているのかを判断することはできない。何らかの条件に従って当該ビットデバイスの値を変化 ットデバイスの値の変化をモニタするプログラムが格納されているだけであり,当該ビットデバイスの値の変化が何を意味しているのかを判断することはできない。何らかの条件に従って当該ビットデバイスの値を変化させるのはPLCの機能であり,ユーザは,PLCのプログラムの内容を知った上で,当該 ビットデバイスがONになった場合に表示されるコメント及びその詳細内容をプロジェクトデータにおいて関連付けるのである。したがって,異常現象が発生した場合に特定のビットデバイスをONにするようにPLCがプログラムされていることを前提として,ユーザが当該ビットデバイスを利用してプロジェクトデータを作成することによってのみ,異常現象とコメント及びその詳細内容が関連付けられるの である。 以上より,被告製品3のOSがインストールされた被告表示器Aには「異常現象の発生をモニタするプログラム」は存在しないから,これは原告主張の1bの構成を有していない。 イ被告表示器Aは,ラダー回路検索機能を使用するプロジェクトデータを インストールしなければ,構成1cないし1fの機能を備える表示装置として機能- 19 -しない。また,ラダー回路検索機能は被告製品3の基本機能OSには含まれておらず,その拡張/オプション機能OSに含まれているところ,基本機能OSは常に被告表示器Aにインストールされるのに対して,拡張/オプション機能OS中のラダー回路検索機能は,ユーザがその機能を使用するプロジェクトデータを作成してインストールしなければ被告表示器Aにインストールされない。 被告表示器Aは,販売時に何も機能が備わっておらず,ユーザが自らの仕様に応じて必要な機能を選択し,画面を設計して使用する。基本機能OSの格納は当然に予定されているといえるが,オプション機能につい 被告表示器Aは,販売時に何も機能が備わっておらず,ユーザが自らの仕様に応じて必要な機能を選択し,画面を設計して使用する。基本機能OSの格納は当然に予定されているといえるが,オプション機能については,具体的にどのような機能を選択し,画面を設計するかはすべてユーザに委ねられている。 したがって,単に「被告製品3のOSがインストールされた被告表示器A」は, 構成1cないし1fを備えておらず,構成要件1Cないし1Fを充足しない。 ウ被告表示器Aの「拡張ユーザアラーム表示」では,異常名称のタッチに続いて「回路の表示」スイッチをタッチしなければ回路モニタ機能は起動しないから,その場合に構成要件1Eを充足することはない。 また,被告表示器2Aは,どのようなプロジェクトデータをインストールしても, 入出力要素のタッチのみによってラダー回路の検索と表示を行うことはできないから,構成要件1Fを充足することはない。すなわち,構成要件1Fにいう「タッチ」とは,「入出力要素のいずれかをタッチ」という意味であるが,被告表示器2Aでは,入出力要素をタッチした後にエンターキーをタッチしなければならないから,入出力要素をタッチするだけでその検索表示を行うことはできない。 エ以上より,被告製品3のOSがインストールされた被告表示器Aは本件発明1の構成要件1Bないし1Fを充足しない。 (2) 原告はセット販売を理由とする主張をしているが,被告表示器Aと被告製品3を購入してOSをインストールしても,本件特許1の構成要件を充足しないから,本件では,セット販売理論を適用すべき最も重要な事実を欠いている。それだ けでなく,被告製品3の基本機能OSは,複数の被告表示器Aに無限にインストー- 20 -ルできるから,被告表示器Aを購入す は,セット販売理論を適用すべき最も重要な事実を欠いている。それだ けでなく,被告製品3の基本機能OSは,複数の被告表示器Aに無限にインストー- 20 -ルできるから,被告表示器Aを購入する度に被告製品3を購入する必要はなく,そのような実態があるものを一般的には「セット販売」とは呼ばない。 また,原告主張の道具理論は,複数の行為主体がそれぞれ構成要件の一部を充足する行為を行った場合に,方法の発明では構成要件を充足する行為全てを実施する行為者が存在しないことから,侵害を肯定するために編み出された理論である。し たがって,物の発明が問題とされている本件では道具理論を適用すべき理由がない。 2 争点1-2(被告表示器A,被告製品3の製造,販売等の行為は本件特許権1の間接侵害行為に該当するか)について(原告の主張)(1) 被告表示器Aについて ア特許法101条1号の間接侵害特許法101条1号の趣旨からすれば,ある物が,特許発明を使用する機能と使用しない機能の複数の機能を切り替えて実施することが可能な場合に,当該発明を実施しない実施方法自体が存する場合であっても,当該特許発明を実施しない機能のみを使用し続けながら,当該特許発明を実施する機能は全く使用しないとい う使用形態が,その物の経済的,商業的又は実用的な使用形態として認められない限り,なお「その発明の実施にのみ使用する物」に当たると解すべきである。 被告表示器Aにおいては,そのカタログ(甲5)等に「タッチ操作で故障原因をサクサク究明。回路モニタが,さらに使いやすく進化!」,「三菱シーケンサQ/QS/L/A/FXシリーズ,CNCC70,MELDASC6/C64のシー ケンスプログラムを回路図(ラダー形式)でモニタできます」などと記され,異常検 すく進化!」,「三菱シーケンサQ/QS/L/A/FXシリーズ,CNCC70,MELDASC6/C64のシー ケンスプログラムを回路図(ラダー形式)でモニタできます」などと記され,異常検出・入出力要素指定・ラダー図検索機能が重要な用途と位置付けられている。また,「ワンタッチ回路ジャンプ機能」は,「GOTSolution」と題する被告表示器1Aによって解決できる事柄の説明(甲5の6頁)でも「Case1」の筆頭に記載され,顧客誘引力の重要な源泉となっている。そして,被告表示器Aを PLCに接続しない用途は,用途として経済的に不合理である。したがって,本件- 21 -発明1を全く使用しないという使用形態が,被告表示器Aの経済的,商業的又は実用的な使用形態であるとは到底認められない。 なお,被告はオプション機能ボードが取り付けられている被告製品1-2は全体の約4分の1にすぎないなどと主張しているが,その裏付け証拠はなく,否認し,争う。 よって,被告表示器Aの生産,譲渡は,本件特許権1の間接侵害(特許法101条1号)に該当する。 なお,仮にプロジェクトデータが本件発明1の構成要件であると解したとしても,被告表示器Aは,ユーザによりOSがインストールされた状態でプロジェクトデータが格納されることにより,本件特許権1の直接侵害品となる。つまり,被告表示 器Aは,本件特許1が物の発明についてされている本件前提下,その物(被告製品3のOS及びプロジェクトデータが格納された被告表示器A)の生産にのみ用いる物,すなわち本件特許権1の直接侵害品(その物)の生産にのみ用いるものである。 イ特許法101条2号の間接侵害本件発明1の課題・目的は,本件明細書1の【0011】記載のとおりであ り,被告表示器Aが当該課 1の直接侵害品(その物)の生産にのみ用いるものである。 イ特許法101条2号の間接侵害本件発明1の課題・目的は,本件明細書1の【0011】記載のとおりであ り,被告表示器Aが当該課題解決に不可欠なものであって,非汎用品であることは明らかである。 また,被告は,被告表示器Aの販売当初から,本件発明1を知り,ユーザにより被告表示器Aが同発明の実施に用いられることを知って,その生産,譲渡を行っていた。本件発明1に係る特許請求の範囲は訂正されたものであるが,訂正前の特許 請求の範囲を知っていた場合には,訂正後の発明についても悪意を認定するのが妥当である。被告は本件発明1に係る訂正前にはいかなる物も課題解決不可欠品に該当することはあり得ないと主張しているが,訂正前後において,本件発明1が解決しようとする課題が本件明細書1の【0011】記載の課題であることに変わりはなく,一貫して,異常現象が生じたときに直ちにラダー回路を表示し,操作者が容 易かつ確実に故障原因を遡及的に明らかにしていくことがその課題であった。 - 22 -また,発明の実施に用いられることの悪意は,ユーザが実際に実施しているか否かではなく,発明の機能がユーザにより用いられ得ることの認識で足りると解すべきであり,その可能性について被告が悪意であることは,被告の宣伝広告や取扱説明書の記載内容から明らかである。 したがって,被告表示器Aの生産,譲渡は,本件特許権1の間接侵害(特許法1 01条2号)に該当する。 (2) 被告製品3について仮に被告表示器Aが間接侵害品であるとする場合,直接侵害品の生産に用いられる被告製品3は,少なくとも,本件発明1の課題解決不可欠品として用いられているものであって,汎用品にも該当せず,被告は同発明を知り,ユーザによ が間接侵害品であるとする場合,直接侵害品の生産に用いられる被告製品3は,少なくとも,本件発明1の課題解決不可欠品として用いられているものであって,汎用品にも該当せず,被告は同発明を知り,ユーザにより同発 明の実施のために用いられることを知って,この生産,譲渡及び同製品に係るコンピュータ・プロクラムの使用許諾(ライセンス。これは物であるプログラムの貸し渡しに該当する。)を行ってきた。 したがって,被告製品3の生産,譲渡等は,本件特許権1の間接侵害(特許法101条2号)に該当する。 (被告の主張)(1) 間接侵害の要件充足の有無を判断するに当たっては,第三者が被疑間接侵害品を使用して特許発明の構成要件を充足する物を作成するに至る経緯に鑑みて,被疑間接侵害品が当該発明とどのような関連性を有しているのかを判断する必要がある。 (2) 特許法101条1号の間接侵害について被告表示器Aは,PLCだけでなく,マイコンボードやインバータ,ロボットコントローラ等の様々な機器に接続して使用されている。そして,これらの機器の中でシーケンスプログラム(ラダー回路で表現される制御プログラム)が利用されていて,かつラダー回路をモニタするラダー回路モニタ機能を利用できるのは,被 告が販売している特定のPLCだけである。そのためPLC以外の機器に接続した- 23 -場合はもちろん,PLCに接続した場合であっても,対応するPLCでない場合には,本件発明1を全く使用しない。 また,被告製品1-2においては,これらの特定の機器に接続しても,ラダー回路検索機能を利用するためには,オプション機能ボードを別途購入し,設置する必要があるが,それを購入しない顧客も多数存在する(オプション機能ボードが取り 付けられている被告製品 続しても,ラダー回路検索機能を利用するためには,オプション機能ボードを別途購入し,設置する必要があるが,それを購入しない顧客も多数存在する(オプション機能ボードが取り 付けられている被告製品1-2は全体の約4分の1にすぎず,さらに回路モニタ機能以外を目的としてこれを購入するユーザも存在することを考慮すると,実際に回路モニタ機能を利用している割合はさらに低い。)。 さらに,ラダー回路検索機能そのものも,本件発明1の実施を前提としない用途があり,PLCに異常現象の発生をモニタするプログラムが存在することを前提と する機能ではないのである。したがって,アラームリスト機能と組み合わせることなく,単独で回路検索機能を使用することも可能である。 以上より,ラダー回路検索機能を使用するのは,被告表示器Aの使用態様のごく一部にすぎないから,被告表示器Aは「のみ品」には該当しない。原告のその余の主張は否認し,争う。 (3) 特許法101条2号の間接侵害についてア 「課題解決不可欠品」とは,「従来技術の問題点を解決するための方法として,当該発明が新たに開示する,従来技術にみられない特徴的技術手段について,当該手段を特徴づけている特有の構成ないし成分を直接もたらす,特徴的な部材,原料,道具等」をいう。 しかし,原告が主張する構成は,本件発明1と無関係に従来のプログラマブル表示器が備える機能にすぎないし,被告表示器Aに被告製品3の基本機能OS及び拡張機能であるラダー回路検索機能をインストールしても,本件発明1の実施品にはならない。 したがって,原告の主張は被告表示器Aが「課題解決不可欠品」に該当すること を基礎付けるものではない。また,従来技術や本件発明1に係る発明の経緯を踏ま- 24 -えると,本件明細 ない。 したがって,原告の主張は被告表示器Aが「課題解決不可欠品」に該当すること を基礎付けるものではない。また,従来技術や本件発明1に係る発明の経緯を踏ま- 24 -えると,本件明細書1の【0011】に記載された課題はもはや,本件発明1の課題ではないし,「入出力要素をタッチによって指定する方法」それ自体も当業者にとって公知であったから(乙11参照),その点をもって「課題解決不可欠品」に該当するともいえない。 なお,被告製品3の回路モニタ機能は独立した機能であるから,アラームリスト 機能を経由せずにラダー回路が表示されている状態でも,ラダー図の接点又はコイルをタッチすることによって接点又はコイルを指定することができ,これは汎用的な機能として提供されている。 イ被告が本件特許1の存在を知った時期被告が本件発明1に係る訂正審決(甲20)を知ったのは,原告から甲20 の直送を受けた平成28年11月16日であり,被告が本件特許1の存在を知ったのも同日である。特許法101条2号の文言上,主観的要件は譲渡等の行為時に具備されていなければならず,訂正前の行為についてこれを具備することはあり得ない。そして,主観的要件の存在は事実の問題であるから,訂正の遡及効を理由としてその存在を擬制することはできない。さらにいえば,本件では本件発明1に係る 訂正前の発明は従来技術そのものであり,それとの関係ではいかなる物も課題解決不可欠品に該当することはあり得ないから,間接侵害が成立する余地はない。 なお,被告が本件発明1に係る訂正前の発明を現実に認識した時期は,原告からの警告書を受領した平成25年4月2日である。被告は本件第1特許の出願公開の約半年後にGOT900シリーズにタッチ検索機能を取り入れたところ,これは平 の発明を現実に認識した時期は,原告からの警告書を受領した平成25年4月2日である。被告は本件第1特許の出願公開の約半年後にGOT900シリーズにタッチ検索機能を取り入れたところ,これは平 成8年12月以降販売していた「MELSECQnA」という汎用シーケンサにおいてキーボードによる接点・コイルの検索機能が存在しており,この機能をGOT900シリーズにも導入したからであり,タッチによる指定としたのは,GOT900シリーズでは操作手段がタッチパネルであったからである。 ウ 「その物がその発明の実施に用いられること」について 被告製品3には本件発明1を実施しない実用的他用途が存在するし,被告は- 25 -基本的に販売代理店に対して被告製品3を販売しており,各販売代理店から被告製品3を購入する設備メーカーやエンドユーザが回路モニタ機能を使用するのかはもちろん,被告表示器をどのような機器に接続して使用するのかも全く知らない。 したがって,被告は被告製品3が本件発明1の実施に供されるかどうかを全く知らない。 3 争点2-1(被告表示器,被告製品3の製造,販売等の行為は本件特許権2-1の直接侵害行為に該当するか)について(原告の主張)(1) 被告製品3のOSがインストールされた被告表示器の構成被告製品3のOSがインストールされた被告表示器の構成を本件発明2-1の 構成要件に即して分説すると,以下のとおりである。 2a タッチスイッチ機能を備えた表示板を有する。 2b 機械をシーケンス制御するPLCと情報交換するインターフェイスを有する。 2c メモリを有する。 2d 前記メモリに記憶されたプログラムに従って前記PLCからの制御状態情報を取り込んで,表示板上に多数のソフトランプとして表 交換するインターフェイスを有する。 2c メモリを有する。 2d 前記メモリに記憶されたプログラムに従って前記PLCからの制御状態情報を取り込んで,表示板上に多数のソフトランプとして表示すると共に,当該PLCに与える命令を入力する多数のソフトスイッチを表示し,かつこのソフトスイッチがタッチされるとき前記PLCに命令を出力するCPUとからなるPLC用の表示操作装置である。 2e 表示板の一部であって,ソフトランプおよびソフトスイッチの表示区画とは独立して単独で存在する,異常名を表示する拡張アラームポップアップ表示(被告製品2-1においては「アラームポップアップ表示」)に,前記シーケンス制御の実行中に生じる各種異常の名称を表示する異常名表示プログラムが設けられている。 2f 拡張アラームポップアップ表示がタッチされるとき,異常名を表示する画 面が切り替わり,その異常に対応してメモリ内に予め登録された詳細コメント情報- 26 -を前記表示板上に表示する,詳細コメント表示プログラムを有している。 2g 以上の構成を備えるPLC用の表示操作装置である。 (2) 構成要件充足性ア前提事実のとおり,被告製品3のOSがインストールされた被告表示器の構成2aないし2cは,本件発明2-1の構成要件2Aないし2Cを充足する。 イ被告製品3のOSがインストールされた被告表示器の構成2dは,本件発明2-1の構成要件2Dを充足する。 ウ被告製品3のOSがインストールされた被告表示器の拡張アラームポップアップ表示等は,本件発明2-1の「前記ソフトランプおよび前記ソフトスイッチの表示区画とは独立して設けた異常名表示区画」に相当する。「独立」や「区画」 の普通の意味に加え,拡張アラームポップアップ表示等も,他のソフ 明2-1の「前記ソフトランプおよび前記ソフトスイッチの表示区画とは独立して設けた異常名表示区画」に相当する。「独立」や「区画」 の普通の意味に加え,拡張アラームポップアップ表示等も,他のソフトランプやソフトスイッチから束縛されず外縁が仕切られた異常表示領域であることに照らせば,「独立して設けた異常名表示区画」に他ならない。したがって,この被告製品の構成2eは本件発明2-1の構成要件2Eを充足する。 エ被告製品3のOSがインストールされた被告表示器の構成2f,2gは, それぞれ本件発明2-1の構成要件2F,2Gを充足する。なお,被告が主張するPLC以外の他に接続できる機器の存在は単なる構成の付加であるから,その存在は構成要件2Gの充足性を左右しない。 オしたがって,被告製品3のOSがインストールされた被告表示器は,本件発明2-1の技術的範囲に属する。 (3) 直接侵害の成立前記1の原告の主張(3)で述べたのと同様に,被告表示器と被告製品3とは実質的にセット販売されており(セット販売理論),ユーザによる被告製品3のOSのインストールは,被告の道具として行うものである(道具理論)。したがって,被告表示器及び被告製品3の製造,販売等の行為そのものが本件特許権2-1の直接侵害 行為と評価されるべきである。 - 27 -(4) 被告の主張について前記1の原告の主張(4)のとおりである。 (被告の主張)(1) 被告の製品の構成及び構成要件充足性ア被告製品3のOSをインストールした被告表示器は,プロジェクトデー タのインストールなしには構成2dないし2fの機能を有していない。アラーム機能は,被告製品3の基本機能OSに含まれているが,被告製品においては,表示盤の表示をユーザが適宜 は,プロジェクトデー タのインストールなしには構成2dないし2fの機能を有していない。アラーム機能は,被告製品3の基本機能OSに含まれているが,被告製品においては,表示盤の表示をユーザが適宜設定する(表示板の内容はプロジェクトデータ次第)のであって,各構成要件に記載されるような表示を採用するかどうかは全てユーザ次第である。 また,被告表示器の拡張アラームポップアップ表示機能は,表示板の通常時の表示の上に異常表示を上書きして表示するものであるから,その異常表示区画はスイッチやランプの表示区画と独立していない(なお,スイッチやランプと異常表示が重ならないよう,異常表示が表示され得る全ての箇所を除いた位置のみに意図してスイッチやランプを配置するようにプロジェクトデータを作成し,被告表示器を使 用する者など存在しない。)。 さらに,被告表示器はPLC以外の機器に接続して用いられる場合もあり,実際にそのような態様で使用されているから,構成要件2Gの「PLC用の表示操作装置」ではない。 したがって,本件発明2-1の構成要件2Dないし2Gを充足しない。 イ構成要件2Eの解釈構成要件2Eの「前記表示板」は,タッチスイッチ機能を備え,多数のソフトランプ及びソフトスイッチを表示するものとされており(構成要件2A及び2D),それらの表示区画と独立した異常名表示区画を設けることが要件とされている。したがって,構成要件2Eの異常名表示区画は,単にソフトランプやソフトスイッチ の表示と独立していればよいというものではなく,ソフトランプやソフトスイッチ- 28 -を表示している区画から独立したものでなければならない。このことは,本件明細書2の【0035】及び図3の記載からも明らかである。 (2) 原告主張の ,ソフトランプやソフトスイッチ- 28 -を表示している区画から独立したものでなければならない。このことは,本件明細書2の【0035】及び図3の記載からも明らかである。 (2) 原告主張のセット販売理論及び道具理論を理由とする主張については,前記1の被告の主張(2)と同じである。 4 争点2-2(被告製品1及び2,被告製品3の製造,販売等の行為は本件特 許権2-1の間接侵害行為に該当するか)について(原告の主張)(1) 被告表示器についてア特許法101条1号の間接侵害被告表示器においては,そのカタログ(甲5)等に「アラーム多発時も的確 な対応でダウンタイム短縮」,「拡張アラーム機能」,「監視範囲拡大で大規模システムにも安心」などと記載され,拡張アラームポップアップ表示が重要な用途として宣伝広告されており,また,被告表示器をPLCに接続しない用途は,用途として経済的に不合理である。したがって,侵害用途を全く使用しない使用形態が経済的,商業的又は実用的な他用途となっているとは到底認められない。 よって,被告表示器の生産,譲渡は,本件特許権2-1の間接侵害(特許法101条1号)に該当する。 なお,仮にプロジェクトデータが本件発明2-1の構成要件であると解したとしても,被告表示器は,ユーザによりOSがインストールされた状態でプロジェクトデータが格納されることにより,本件特許2-1の直接侵害品となる。つまり,被 告表示器は,本件特許2-1が物の発明についてされている本件前提下,その物(被告製品3のOS及びプロジェクトデータが格納された被告表示器)の生産にのみ用いる物,すなわち本件特許権2-1の直接侵害品(その物)の生産にのみ用いるものである。 イ特許法101条2号の間接侵害 S及びプロジェクトデータが格納された被告表示器)の生産にのみ用いる物,すなわち本件特許権2-1の直接侵害品(その物)の生産にのみ用いるものである。 イ特許法101条2号の間接侵害 本件発明2-1の課題・目的は,本件明細書2の【0004】及び【000- 29 -7】に記載のほか,表示板上に表示されているソフトランプ及びソフトスイッチに対応していない要素に対する異常でも表示することができる点にあり,被告表示器が当該課題解決に不可欠なものであって,非汎用品であることは明らかである。 また,被告は,被告表示器の販売当初から,本件発明2-1を知り,ユーザによりこれらの製品が同発明の実施に用いられることを知って,その生産,譲渡を行っ ていた。 したがって,被告表示器の生産,譲渡は,本件特許権2-1の間接侵害(特許法101条2号)に該当する。 (2) 被告製品3について仮に被告表示器が間接侵害品であるとする場合,直接侵害品の生産に用いられ る被告製品3は,少なくとも,本件発明2-1の課題解決不可欠品として用いられているものであって,汎用品にも該当せず,被告は同発明を知り,ユーザにより同発明の実施のために用いられることを知って,この製造,販売及び被告製品3に係るコンピュータ・プログラムの使用許諾を行ってきた。 したがって,被告製品3の製造,販売等は,本件特許権2-1の間接侵害(特許 法101条2号)に該当する。 (3) 被告製品1-4及び2-4について被告製品1-4及び2-4がインストールされたパソコンは,「拡張アラーム監視/表示機能」すなわち「拡張アラームポップアップ表示(被告製品2-4ではアラームポップアップ表示)」,「拡張ユーザアラーム表示」の機能を有する本件発明2 -1の実施品 ンは,「拡張アラーム監視/表示機能」すなわち「拡張アラームポップアップ表示(被告製品2-4ではアラームポップアップ表示)」,「拡張ユーザアラーム表示」の機能を有する本件発明2 -1の実施品である。すなわち,被告製品1-4及び2-4が,本件発明2-1の課題解決の不可欠品であることは明らかである。 また,被告は本件発明2-1を知り,ユーザにより上記被告製品が同発明の実施に用いられることを知っていた。 したがって,上記被告製品を製造,販売する行為は,少なくとも本件特許権2- 1の間接侵害(101条2号)に該当する。 - 30 -(被告の主張)(1) 前記2の被告の主張と同じである。なお,被告製品1-4及び2-4をインストールしただけのパソコンは,基本機能OSをインストールしただけの被告表示器と同様に動作しない。したがって,これらは本件特許2-1の直接実施品とはならない。 (2) 被告製品3をインストールした被告表示器がどのような表示を行うかはプロジェクトデータ次第であり,拡張アラームポップアップ表示(被告製品2ではアラームポップアップ表示)を用いないユーザも存在するから,これらの製品は「のみ品」に該当しない。 (3) また,表示板の1画面の一部の限定された領域にアラームリスト表示と呼 ばれるオブジェクトを設け,PLCの特定のビットデバイスとコメント及び詳細コメントを関連付けて当該ビットデバイスがONになった場合にこれらを表示することは公知であり,その際に,複数のビットデバイスを指定して複数のコメントを表示することも公知である。このような公知技術を利用するにあたって,PLCに異常現象の発生をモニタするプログラムが存在し,異常現象の発生時に特定のビット デバイスをONにするようになっており,プロジェ ことも公知である。このような公知技術を利用するにあたって,PLCに異常現象の発生をモニタするプログラムが存在し,異常現象の発生時に特定のビット デバイスをONにするようになっており,プロジェクトデータにアラームリスト表示オブジェクトが含まれていて,当該ビットデバイスと関連付けられたコメント及び詳細コメントがそれぞれ本件発明2-1における「異常名」及び「詳細コメント情報」に該当する場合にのみ,結果として,本件発明2-1の操作盤が構成される可能性があるが,構成要件所定の異常名表示は,PLCの異常現象発生モニタプロ グラムとプロジェクトデータによってもたらされるのである。 したがって,これら異常現象発生モニタプログラムとプロジェクトデータを有しない被告表示器は課題解決不可欠品に該当しない。原告のその余の主張は否認し,争う。 5 争点2-3(被告表示器,被告製品3の製造,販売等の行為は本件特許権2 -3の直接侵害行為に該当するか)について- 31 -(原告の主張)(1) 被告表示器の構成被告製品3のOSがインストールされた被告表示器の構成を本件発明2-3の構成要件に即して分説すると,以下のとおりである。 2aないし2g 前記3の原告の主張(1)のとおり。 2h 前記異常名表示プログラムは,前記多数のソフトランプ及び前記多数のソフトスイッチを表示する単一の表示画面上の一部に配置される複数個の拡張ユーザアラーム表示の各々に異なる異常の名称が表示可能である。 2i 機械のシーケンス制御の実行中に生じる各種異常の優先順位を,予めアラームの重要度によってレベル分けができ,前記異常名表示プログラムは,前記各種 異常が同時多発的に発生したとき,発生した異常の重要度を示す前記レベル順に前記複数個の拡張アラーム 順位を,予めアラームの重要度によってレベル分けができ,前記異常名表示プログラムは,前記各種 異常が同時多発的に発生したとき,発生した異常の重要度を示す前記レベル順に前記複数個の拡張アラーム表示に表示することが可能な操作盤である。 (2) 構成要件充足性ア 2aないし2gについては,前記3の原告の主張(2)のとおりである。 イ被告製品3のOSがインストールされた被告表示器の構成2hは,本件 発明2-3の構成要件2Hを充足する。 ウ被告製品3のOSがインストールされた被告表示器の構成2iは,本件発明2-3の構成要件2Iを充足する。この製品の「レベル分け」は予めアラームの重要度によって設定可能であるから,本件発明2-3の「各種異常の優先順位を異常の重要度に応じて前記メモリに予め設定」する構成に相当し,発生した異常の 重要度を示すレベル順に表示することが可能である構成は,本件発明2-3の「前記各種異常が同時多発的に発生したとき発生した異常の内で優先順位の高いものから順に前記数個の異常名表示区画に表示する」構成に相当する。 被告は構成要件2Iを充足しないと主張しているが,「予め」の通常の語義によれば被告の限定解釈には全く理由がない。同一レベルの異常の間で表示の優先順位を どのようにするかは,構成要件2Iを充足した上での付加ないし利用に係る事項に- 32 -すぎない。 エしたがって,被告製品3のOSがインストールされた被告表示器は,本件発明2-3の技術的範囲に属する。 (3) 前記3の原告の主張(3)及び(4)と同じ。 (被告の主張) (1) 原告主張の構成2dないし2gについては,前記3の被告の主張(1)のとおりである。 (2) 原告主張の構成2hについて,被告製品1の「拡張ユ 4)と同じ。 (被告の主張) (1) 原告主張の構成2dないし2gについては,前記3の被告の主張(1)のとおりである。 (2) 原告主張の構成2hについて,被告製品1の「拡張ユーザアラーム表示」機能及び被告製品2の「アラーム表示(ユーザ)」機能が,いずれも表示欄に異なる異常の名称を表示可能であることは認めるが,多数のソフトランプ及びソフトスイ ッチを表示する単一の表示画面上の一部に配置されるかどうかはプロジェクトデータ次第であるので,否認する。したがって,構成要件2Hを充足しない。 (3) 構成要件2Iの「各種異常の優先順位を異常の重要度に応じて前記メモリに予め設定しておき」とは,複数の異常について重複を許さない優先順位が予め設定されていることと,当該優先順位が異常の重要度に応じて設定されていることと いう2つの要件が充足されることを要求していると解釈すべきである。すなわち,「予め設定」という以上,表示の順番は,発生時刻などの偶発的な要因に一切左右されることなく,予め一義的に定まっているはずである。 これに対し,原告が指摘している被告製品1及び2の機能は,「アラームの重要度によってレベル分けを行い,レベルの高いものを優先的に表示すること」である。 つまり,各種異常にレベルを設定し,そのレベルが高いものから優先的に表示する,という機能である。したがって,仮に,レベルの異なる複数の異常が発生した場合には,結果として,重要度に応じた優先順位が設定されている場合と同じ表示になるが,同一レベルの異常の間の優先順位は予め設定されていない。 したがって,構成要件2Iを充足しない。 6 争点2-4(被告製品1及び2,被告製品3の製造,販売等の行為は本件特- 33 -許権2-3の間接侵害行為に該当する 予め設定されていない。 したがって,構成要件2Iを充足しない。 6 争点2-4(被告製品1及び2,被告製品3の製造,販売等の行為は本件特- 33 -許権2-3の間接侵害行為に該当するか)について(原告の主張)前記4の原告の主張は,本件発明2-3にも妥当する。なお,本件発明2-3の課題は本件明細書2の【0013】にも記載されている。 (被告の主張) 前記4の被告の主張のとおりである。また,上記5の被告の主張を踏まえると,ユーザがどのようなプロジェクトデータを用いても,被告製品1及び2が構成要件2Iを充足することはない。したがって,本件発明2-3の構成要件を充足する使用態様は存在しない。 7 争点3(被告表示器A,被告製品3,被告製品4の製造,販売等の行為は本 件特許権3の間接侵害行為に該当するか)について(原告の主張)(1) 本項での本件装置の構成被告製品3及び4をインストールしたPCを介して,被告表示器AにOS及びプロジェクトデータを格納して生産される表示操作装置(以下,本項において「本 件装置」という。)の構成は,以下のとおりである。 3aPLCと接続され,該PLCとの間での入出力信号の授受により,該PLCに接続された設備機械の動作を制御する表示操作装置である。 3b 入力手段および出力手段の双方の機能を有するタッチパネルを有する。 3c 前記タッチパネル上に構成される複数の操作ボタンを,前記PLCにおけ る所定の入出力信号の状態に応じて,視覚的に区別して表示する操作ボタン表示を備えた表示操作装置である。 3d 前記複数の操作ボタンは前記設備機械の一連の自動運転時に行われる動作を個々の動作に分割した各個動作を行わせるための操作ボタンである。 3e 前記PLCにおける所 備えた表示操作装置である。 3d 前記複数の操作ボタンは前記設備機械の一連の自動運転時に行われる動作を個々の動作に分割した各個動作を行わせるための操作ボタンである。 3e 前記PLCにおける所定の入出力信号は,当該操作ボタンにより実行され る各個動作の動作中に常に満足すべき条件である運転条件と,当該操作ボタンによ- 34 -り実行される各個動作の開始時に満足すべき条件である起動条件を少なくとも含む。 3f 操作ボタン表示手段は,複数の操作ボタン毎に当該操作ボタンにより実行される各個動作の,①運転条件を満たさない時,②運転条件は満たすが起動条件を満たさない時,③運転条件および起動条件の双方を満たす時の3つの状態をそれぞれ視覚的に区別して表示される。 3g 以上を特徴とする表示操作装置である。 (2) 構成要件充足性ア本件装置の構成3aないし3gは,それぞれ本件発明3の構成要件3Aないし3Gを充足する。 イ 「運転条件」と「起動条件」の意義 シーケンス制御に基づき行われる設備機械の一連の自動運転において,予め定められた順序又は手続に従って各個動作を逐次進めていくためには,各個動作の開始のトリガとなる「起動条件」が必要となる。これに対し,試運転時や復旧回復時において,ボタン操作により各個動作を実行する場合には,当該ボタン操作がトリガとなるため「起動条件」は必要とならない。「起動条件」が,自動運転における 各個動作の開始時に満足すべき,動作開始のトリガとなる条件であることを意味し,試運転時や復旧回復時においては,復旧等を行うべき工程のボタン操作自体が前工程の完了(本件明細書3の【0024】に例示されている起動条件)等の起動条件をそもそも前提としないことは,「起動条件」を満足せずとも「運転条件」を満足し は,復旧等を行うべき工程のボタン操作自体が前工程の完了(本件明細書3の【0024】に例示されている起動条件)等の起動条件をそもそも前提としないことは,「起動条件」を満足せずとも「運転条件」を満足していればボタン操作を行い得ることを記載した【0029】や図5の開示から明ら かであるし,本技術分野における技術常識といえる。 このような技術常識を備えた本技術分野の当業者は,「起動条件」は,シーケンス制御に基づき行われる設備機械の一連の自動運転において各個動作の開始のトリガとなる条件として本技術分野における技術常識であり,本件明細書3には「起動条件」が自動運転における各個動作の開始のトリガとなる条件であるという本技術分 野の技術常識が記載されているが,「起動条件」を当業者の技術常識とは異なる意味- 35 -として定義するようなことは記載されていない。 以上を踏まえると,構成要件3Eの「当該操作ボタンにより実行される各個動作の開始時に満足すべき条件である起動条件」が,①各個動作は当該操作ボタンにより実行される各個動作であること(すなわち操作ボタンが割り当てられた各個動作であること),②起動条件は自動運転における各個動作の開始時に満足すべき条件で あること,を意味すると解釈されることは明らかである。 (3) 間接侵害(特許法101条2号)の要件ア被告表示器Aについて本件発明3の課題・目的は,本件明細書3の【0004】及び【0005】記載のとおりであり,本件装置が当該課題解決に不可欠なものであって,非汎用品 であることは明らかである。 また,被告は,被告表示器Aを生産,譲渡するに当たり,本件発明3を知り,これらの製品が同発明の実施に用いられることを知っていた。 したがって,これらの製品の生産,譲渡は,本件特許 は明らかである。 また,被告は,被告表示器Aを生産,譲渡するに当たり,本件発明3を知り,これらの製品が同発明の実施に用いられることを知っていた。 したがって,これらの製品の生産,譲渡は,本件特許権3の間接侵害(特許法101条2号)に該当する。 イ被告製品3及び4について被告製品3及び4は,本件特許権3の直接侵害品の生産に用いられるものであって,本件発明3の課題解決不可欠品として用いられているものであり,汎用品にも該当せず,被告は同発明を知り,ユーザにより同発明の実施のために用いられることを知ってこれらの生産,譲渡(頒布)及び同製品に係るコンピュータ・プロ グラムの使用許諾を行ってきた。 したがって,これらの製品の生産,譲渡等は,本件特許権3の間接侵害(101条2号)に該当する。 (被告の主張)(1) 原告の主張は否認し,争う。原告の主張する「運転条件」と「起動条件」 の解釈は,請求項及び明細書の記載に反しており,文言上採り得ない。後記14- 36 -(争点5-6)に関する被告の主張のとおり,本件発明3における「運転条件」,「起動条件」の意義は明確性を欠いている。 (2) 被告表示器Aについて前記2の被告の主張(3)アと同じである。また,本件発明3の特徴は運転条件と起動条件の組み合わせによる3つの状態を視覚的に区別して表示するソフトウェア によってもたらされるのであって,タッチパネルを備えた表示器によってもたらされるものではない。したがって,被告表示器Aは本件発明3の課題解決不可欠品には該当しない。 (3) 被告製品3について原告の主張を前提としたとしても,被告製品3は被告製品4を用いて生成され たプロジェクトデータを被告表示器Aにインストールするという機能を果たしてい 該当しない。 (3) 被告製品3について原告の主張を前提としたとしても,被告製品3は被告製品4を用いて生成され たプロジェクトデータを被告表示器Aにインストールするという機能を果たしているのみであって,本件発明3の特徴的技術手段と何ら関係がない。下記(4)のとおり,「運転条件アドレス」,「起動条件アドレス」の欄が設けられている被告製品4ですら,本件発明3の課題解決不可欠品には当たらないところ,被告製品3は被告製品4よりもはるかに本件発明3の課題解決との関係性が希薄である。 したがって,被告製品3は本件発明3の課題解決不可欠品ではない。 (4) 被告製品4についてア課題解決不可欠品に当たるか確かに,被告製品4のエクセルファイルには,「運転条件アドレス」,「起動条件アドレス」を設定するセルがあるが,そもそも被告製品4の「運転条件アドレス」 と「起動条件アドレス」の設定は必須ではなく,これらのアドレスの出力に応じた表示を利用しようとするユーザのみが使用する。したがって,被告製品4を使用してプロジェクトデータを生成すれば,必ず視覚的に区別して表示する機能が備わるわけではない。 また,被告製品4のエクセルファイルの「運転条件アドレス」及び「起動条件ア ドレス」にいかなるアドレスを書き込むかは,ユーザが任意に設定することである。 - 37 -したがって,ユーザが設定する運転条件アドレス及び起動条件アドレスが本件発明3における「運転条件」及び「起動条件」に該当するとは限らず,被告の知る限り,ユーザは,本件発明3の作用効果とは無関係に運転条件アドレス及び起動条件アドレスを設定しているようである。 また,本件発明3の「運転条件」と「起動条件」の意義は明確でないが,本件明 細書3の【0023】,【00 3の作用効果とは無関係に運転条件アドレス及び起動条件アドレスを設定しているようである。 また,本件発明3の「運転条件」と「起動条件」の意義は明確でないが,本件明 細書3の【0023】,【0024】及び図4に記載の定義(「起動条件」は各個動作の開始時に満足すべき条件,「運転条件」は各個動作の動作中に常に満足すべき条件)を前提とすると,運転条件及び起動条件のいずれもが満たされている場合でなければ操作ボタンに対応する各個動作を実行することはできない。したがって,本件発明3は,①運転条件を満たさない時=運転条件を満たしておらず各個動作が開始で きないとき,②運転条件は満たすが起動条件を満たさない時=運転条件は満たされているが起動条件が満たされていないために各個動作が開始できないとき,③運転条件および起動条件を満たす時=各個動作が開始可能なとき,の3つを視覚的に区別して表示するという発明と理解することになるが,通常の用法を前提とする限り,ユーザが各動作が開始できない②と③を視覚的に区別して表示すべき合理的理由は 見当たらない。そのため,被告製品4のユーザが,「運転条件アドレス」と「起動条件アドレス」に本件発明3の運転条件及び起動条件に相当するPLCのアドレスを設定することは通常は考えられない。 以上より,被告製品4は本件発明3の技術的特徴と何ら関係がなく,課題解決不可欠品には当たらない。 イ被告が本件特許3の存在を知った時期被告は被告製品4をトヨタの要求に応えて,原告の「スクリーンヘルパー3」の取扱説明書(乙21)の記載を参考にして製造しただけであり,その当時は本件特許3の存在を知らなかった。被告がこれを知ったのは,原告からの警告書を受け取った平成25年4月2日である。 ウ 「その物がその発 )の記載を参考にして製造しただけであり,その当時は本件特許3の存在を知らなかった。被告がこれを知ったのは,原告からの警告書を受け取った平成25年4月2日である。 ウ 「その物がその発明の実施に用いられること」を知っていたか- 38 -被告製品4には本件発明3を実施しない実用的他用途が存在するし,被告はトヨタの指示に従って被告製品4を製造したが,実際に各ユーザが被告製品4の運転条件・起動条件の項目を利用しているのかを知らない。 したがって,被告は無償で頒布した被告製品4が本件発明3の実施に供されるかどうかを全く知らない。 8 争点4(被告製品3,被告製品4の製造,販売等の行為は本件特許権4の間接侵害行為に該当するか)について(原告の主張)(1) 被告製品3についてア被告製品3の構成 被告製品3がインストールされたパソコンの構成を本件発明4の構成要件に即して分説すると,以下のとおりである。 a3 制御に必要な操作キーや機械の動作状況を示すランプからなる表示内容を画面上に表示すると共に,この画面上に表示された前記表示内容に対応した信号を出力する透明スイッチパネルを設けた表示操作装置に対して,この表示操作装置の 画面に表示する前記表示内容の作画と前記表示内容とPLCのアドレスとの対応付けの画面定義を行う,前記表示操作装置のための画面定義装置をPC上に作成する画面作成プログラムである。 b3 前記操作盤の画面上に表示する前記表示内容の一部としての前記操作キーやランプの絵とこれら絵を表示する複数の区画を特定する情報(画面上の位置情報 であるXY座標が関連付けられているオブジェクトID)が予め設定されているデバイスモニタを含むテンプレートを格納している,システムライブラリを有する。 数の区画を特定する情報(画面上の位置情報 であるXY座標が関連付けられているオブジェクトID)が予め設定されているデバイスモニタを含むテンプレートを格納している,システムライブラリを有する。 c3 これら複数の区画に設定される前記操作キーやランプの各々を特定する前記表示内容の他の一部としての,スイッチ色や,文字情報や,モニタデバイスからなる複数の情報項目を並べたデータブラウザを記憶するメモリを有する。 d3 このデータブラウザに指定される前記複数の情報項目についてそれぞれの- 39 -パラメータを入力する入力手段を有する。 e3 前記デバイスモニタを含むテンプレートに設定された前記操作キーやランプの絵や区画を特定する情報と,前記入力手段により前記データブラウザ(画面定義マトリックス)に入力された前記パラメータとに基づいて前記表示操作装置の画面上に表示する前記操作キーやランプの絵と,スイッチ色や文字情報とを組み合わ せて作画すると共に,前記操作キーやランプとデバイス(PLCのアドレス)とを対応付けするための画面定義を行うデータブラウザ(画面定義手段)を有する。 f3 パソコンにインストールされることにより画面定義装置となる画面作成ソフトウェアである。 イ構成要件充足性 (ア) 被告製品3の構成a3は,本件発明4の構成要件4Aを充足する。 (イ) 被告製品3の構成b3は,本件発明4の構成要件4Bを充足する。 原告もオブジェクトIDがユーザの作画によって具体的に割り振られることは争わないが,被告製品3の「デバイスモニタ」では,複数のオブジェクトの配置が被告によって予めデザインされており,各オブジェクトの画面上の位置情報で あるXY座標の初期値が記憶されていることになる。各オブジェクトはグループ化 イスモニタ」では,複数のオブジェクトの配置が被告によって予めデザインされており,各オブジェクトの画面上の位置情報で あるXY座標の初期値が記憶されていることになる。各オブジェクトはグループ化されて1つの集合体を構成しており,一体で移動,拡大縮小することができる。ユーザがそのテンプレートを表示画面上の所望の位置に配置し,必要に応じて拡大縮小すると,各オブジェクトのXY座標の初期値がテンプレートが配置された位置情報等に基づき補正され,データブラウザのパラメータ「X座標」,「Y座標」に記載 される。即ち,各オブジェクト(操作キーやランプの絵)を表示する画面位置(複数の区画)は,「デバイスモニタ」に記憶された各オブジェクトのXY座標の初期値に基づき決定されており,「デバイスモニタ」に記憶された各オブジェクトのXY座標の初期値は,本件発明4の「複数の区画を特定する情報」に該当する。 したがって,被告製品3は,「複数の区画を特定する情報が予め設定されている区 画設定手段」を備えているといえる。 - 40 -(ウ) 被告製品3の構成c3は,本件発明4の構成要件4Cを充足する。データブラウザは,ランプ等の絵と,それ以外の「表示内容の他の一部としての」ランプ色や文字情報,PLCのアドレスを並べたものであることから,構成要件4Cの「画面定義マトリックス記憶手段」に相当するからである。 (エ) 被告製品3の構成d3において,PLCのアドレスに対応するランプ 色や文字情報等の,データブラウザ(画面定義マトリックス記憶手段)の複数の情報項目についてのパラメータが入力されるから,構成d3は,本件発明4の構成要件4Dを充足する。 (オ) 被告製品3の構成e3において,システムライブラリから読み込まれたデバイスモニタはランプ等の絵の区画 についてのパラメータが入力されるから,構成d3は,本件発明4の構成要件4Dを充足する。 (オ) 被告製品3の構成e3において,システムライブラリから読み込まれたデバイスモニタはランプ等の絵の区画を特定していると共に,ランプ等の絵と入 力されたランプ色等の情報(パラメータ)に基づき作画がされ,当該ランプ等と,PLCのアドレスとが対応付けられているから,構成e3は,本件発明4の構成要件4Eを充足する。 (カ) 被告製品3の構成f3は,被告製品3がパソコンにインストールされることにより本件発明4の画面定義装置となり,構成要件4Fを充足する。 ウ間接侵害(特許法101条2号)の要件本件発明4の課題・目的は,本件明細書4の【0002】ないし【0004】記載のとおりであり,被告製品3が該課題解決不可欠品であって,非汎用品であることは明らかである。 また,被告は本件発明4を知り,被告製品3が同発明の実施に用いられることを 知って,被告製品3の生産,譲渡及び同製品に係るコンピュータ・プログラムの使用許諾を行ってきた。 したがって,被告製品3の生産,譲渡等は,本件特許権4の間接侵害(特許法101条2号)に該当する。 (2) 被告製品4について ア構成要件充足性- 41 -被告製品4がインストールされたパソコンは,本件発明4の技術的範囲に属する。 イ間接侵害(特許法101条2号)の要件本件発明4の課題・目的は上述したとおりであり,被告製品4が該課題解決不可欠品であって,非汎用品であることは明らかである。 また,被告は本件発明4を知り,被告製品4が同発明の実施に用いられることを知って,被告製品4の生産,譲渡(頒布)及び同製品に係るソフトウェアの使用許諾を行ってきた。被告による被告製 である。 また,被告は本件発明4を知り,被告製品4が同発明の実施に用いられることを知って,被告製品4の生産,譲渡(頒布)及び同製品に係るソフトウェアの使用許諾を行ってきた。被告による被告製品4の無償頒布先は被告表示器Aの購入者であり,富士重工業株式会社(現在の株式会社SUBARU)向けにも無償頒布した。 したがって,被告製品4の生産,譲渡等は,本件特許権4の間接侵害(特許法1 01条2号)に該当する。 ウ被告の主張について被告は被告製品4の製造,頒布をトヨタによる自己実施と同視すべきなどと主張しているが,原告が被告から被告製品4の提供を受けたことは認め,その余の主張は否認し,争う。被告はトヨタ以外にも被告製品4を頒布しているから,トヨ タの自己実施と同視することはできない。 (被告の主張)(1) 被告製品4をインストールしたパソコンが本件発明4の技術的範囲に属すること,被告製品4が本件発明4の課題解決不可欠品であることは認める。また,被告が過去にトヨタに工作機械を納める設備メーカーで,かつ,被告が販売する数 値制御装置であるC70シリーズの購入者に対して特定の期間のみ被告製品4を無償で頒布したことは認める。原告のその余の主張は否認する。被告が富士重工業株式会社に対して被告製品4を頒布したことはない。 (2) 被告製品3の構成,構成要件充足性及び間接侵害の成否についてア原告主張の構成の認否は次のとおりであり,被告製品3のデータブラウ ザでは「複数の区画を特定する情報が予め設定」されていないから,これをインス- 42 -トールしたパソコンは本件発明4の構成要件4Bないし4Eを充足しない。したがって,被告製品3は本件発明4の実施品ではないから,その課題解決不可欠品には当たらな ないから,これをインス- 42 -トールしたパソコンは本件発明4の構成要件4Bないし4Eを充足しない。したがって,被告製品3は本件発明4の実施品ではないから,その課題解決不可欠品には当たらない。 a3:被告製品3がインストールされたパソコンが画面定義装置になるという限度で認める。 b3:被告製品3にデバイスモニタを含めたテンプレートを格納しているシステムライブラリが存在すること及びデバイスモニタでは操作キーやランプの絵が予め設定されていることは認め,その余は否認する。デバイスモニタも含めて被告製品3のいずれのテンプレートにおいても区画を特定する情報は予め設定されていない。 ユーザはテンプレートを表示板上の任意の区画に任意の大きさで設定する。 c3:被告製品3にデータブラウザが存在すること,データブラウザでは表示板に任意に設定されたオブジェクト(操作キーやランプの絵等)についての情報が記載されていること及び被告製品3をインストールしたパソコンがデータブラウザを記憶するメモリを有していることは認め,その余は否認する。そもそも被告製品3では本件発明4の「複数の区画」という概念が無い。 d3:データブラウザにオブジェクトに関する情報が記載されていること及び被告製品3がインストールされたパソコンがデータブラウザのパラメータを入力する手段を有することは認め,その余は否認する。被告製品3では本件発明4の「複数の区画」という概念がなく,原告が摘示する「前記複数の情報項目」が複数の区画毎に整理された情報を意味するのであれば,その限度で否認する。 e3:デバイスモニタを含むテンプレートに設定された前記操作キーやランプの絵と,前記入力手段により前記データブラウザに入力された前記パラメータとに基づいて前記表示操作装置の 度で否認する。 e3:デバイスモニタを含むテンプレートに設定された前記操作キーやランプの絵と,前記入力手段により前記データブラウザに入力された前記パラメータとに基づいて前記表示操作装置の画面上に表示する前記操作キーやランプの絵と,スイッチ色や文字情報とを組み合わせて作画すると共に,前記操作キーやランプとデバイス(PLCのアドレス)とを対応付けするための画面定義を行う画面定義手段を有 することは認め,その余は否認する。 - 43 -f3:被告製品3をインストールしたパソコンが操作盤の画面定義装置であることは認める。 イ構成要件4Bについて原告は「デバイスモニタ」に記憶された各オブジェクトのXY座標の初期値が本件発明4の「複数の区画を特定する情報」に該当すると主張している。 確かに,デバイスモニタは各オブジェクトが一体となったものであり,それらのオブジェクトにはその大きさや配置について初期値が定められている。しかしながら,その初期値は表示画面上の座標系とは異なるデバイスモニタに固有の座標系で定義された初期値であり,ユーザの配置,拡大縮小の操作に応じてそれらデバイスモニタに固有の座標系で定義された初期値が表示画面上の座標系の値に修正され, 画面上に配置される。すなわち,ユーザが操作を行ってはじめて表示画面上で各オブジェクトの表示領域が特定されるのである。デバイスモニタの各オブジェクトの初期値は,表示画面上の区画を特定するものではない。 したがって,デバイスモニタに記憶された各オブジェクトの初期値は「複数の区画を特定する情報」には当たらない。 (3) 被告製品4の製造,頒布による間接侵害の成否について被告製品4をインストールしたパソコンが本件発明4の技術的範囲に属し,同製品が本 の区画を特定する情報」には当たらない。 (3) 被告製品4の製造,頒布による間接侵害の成否について被告製品4をインストールしたパソコンが本件発明4の技術的範囲に属し,同製品が本件発明4の課題解決不可欠品であることは認めるが,被告によるその製造,頒布は,本件特許権4の共有特許権者であったトヨタの手足となって,トヨタが共有特許権者であった期間内に限って行ったものであり,トヨタによる自己実施と同 視すべきものであるから,同特許権を侵害しない。 すなわち,平成16年4月頃,トヨタは自らの工場で使用する設備の開発を行うため,被告に開発への協力を求め,被告はトヨタと協議を繰り返し行い,その協議の結果,表示画面に対するトヨタの方針の元,被告製品4の画面作成ツールをトヨタに設備機器を納入するメーカーに頒布することとなった。 トヨタは,自社専用の自動車製造設備を設備メーカーに発注し,設備メーカーは- 44 -被告やその他の電機メーカーから数値制御装置やPLC,プログラマブル表示器等を購入してトヨタに納品する設備を製造する。つまり,トヨタは,複数の区画毎にパラメータを設定するだけで表示画面が作画できるという本件発明4の機能を自社で使用する設備に備えるために,被告を介して,被告製品4の開発及び設備メーカーへの頒布を行ったのである。 このように被告は,トヨタの意向に従って,被告製品4を開発した。原告の「スクリーンヘルパー3」のエクセルデータを読み込む機能を備えることもトヨタから指定されたものであった。そして,被告は,トヨタから設備機器の購入オファーを受けて納入を検討する設備メーカーのみに被告製品4を無償頒布した。その設備メーカーには,原告も含まれている。 9 争点5-1(本件特許1の無効理由-乙1ないし3 から設備機器の購入オファーを受けて納入を検討する設備メーカーのみに被告製品4を無償頒布した。その設備メーカーには,原告も含まれている。 9 争点5-1(本件特許1の無効理由-乙1ないし3による進歩性欠如)について(被告の主張)(1) 被告が平成10年11月に頒布したGOT900シリーズ(被告製品1であるGOT1000シリーズの先代機種)のカタログ(乙1),そのオペレーティン グマニュアル(乙2,3)に記載された発明を本件発明1と対比して記載すると,次のとおりである。なお,乙1ないし3は,いずれもGOT900シリーズの機能についての刊行物であるから,当業者であれば,これらが同一の発明について記載されたものであることを容易に理解する。 1a’ 機械・装置・設備等の制御対象を制御するPLCにおいて用いられる表 示装置であって,1b’ 制御対象の異常現象の発生をモニタし,1c’ 異常現象の発生がモニタされたときにモニタされた異常現象に対応する異常種類を表示する「アラーム履歴機能」を備え,1d’ 「アラーム履歴機能」では,表示された1又は複数のアラームから1の 異常種類を指定することができ,- 45 -1e’ 異常種類が指定されたときに当該異常種類に対応する異常現象の発生をモニタした「回路モニタ画面」を表示し,1f’ 「回路モニタ画面」は,表示されたラダー回路の入出力要素を指定することができるタッチパネルである「デバイス指定用キーウィンドウ」と「接点検索」及び「コイル検索」を有し,「接点検索」及び「コイル検索」では,接点またはコイ ルを指定して直前の回路モニタ画面に表示されていたステップ№以降のプログラムから表示されていた直前までのプログラムを対象に検索と読み出しを行った結果を表示する コイル検索」では,接点またはコイ ルを指定して直前の回路モニタ画面に表示されていたステップ№以降のプログラムから表示されていた直前までのプログラムを対象に検索と読み出しを行った結果を表示する,1g’ 表示装置。 (2) 乙1ないし3における開示内容 ア構成要件1Eについて乙1の14頁上には,故障個所の発見から解析,復旧の支援のためのアラーム履歴機能が記載され,その下には,アラーム履歴が表示された表示区画から回路モニタ機能へ切換えを行うことが記載されている。異常が発生した場合に回路モニタ機能へ切り換える目的は,異常現象に対応するラダー回路を確認すること以外に あり得ない。また,乙1と同じ製品の動作について記載された乙2には,「回路モニタ機能を起動することができます。」(6-17頁)などとの記載がある。 したがって,技術常識を備えた当業者が上記記載を読めば,当該記載は「発生した異常現象を指定することでその異常現象に対応するラダー回路を表示すること」を意味しているとしか理解できない。 イ構成要件1Fについて乙1には,回路モニタ機能が「接点検索」,「コイル検索」機能を備えていることが記載されている。また,乙3には,回路読み出しの操作手順が記載されており,そこでは,「接点検索」,「コイル検索」のいずれかにタッチして,デバイス名又はデバイス番号を入力することが記載され,さらに接点又はコイルを指定して読み 出した場合に,直前の回路モニタ画面に表示されていたステップ№以降のプログラ- 46 -ムから,表示されていた直前までのプログラムを対象に,検索と読み出しが行われることが記載されている。 (3) 本件発明1との対比本件発明1と乙1ないし3に記載された発明は,構成要件1D及 -ムから,表示されていた直前までのプログラムを対象に,検索と読み出しが行われることが記載されている。 (3) 本件発明1との対比本件発明1と乙1ないし3に記載された発明は,構成要件1D及び1Eの異常種類の指定手段が本件発明1では異常名称のタッチであるのに対して,乙1ないし 3には特に記載がない点,及び,構成要件1Fの入出力要素の指定手段が本件発明1では入出力要素のタッチであるのに対して乙1ないし3ではデバイス指定用キーウィンドウによる点,で相違する。 (4) 相違点が設計事項にすぎないこと異常種類の指定手段を異常名称のタッチとすることも,入出力要素の指定手段 を入出力要素のタッチとすることも,いずれも当業者がその裁量によって自由に選択し得る設計事項にすぎない。 遅くとも平成11年6月時点において,接点を直接タッチすることでコイル検索を実行することは公知となっていた(乙11,12)から,そのような当時の技術水準を考慮すれば,当業者であれば,設計変更の範囲内で,乙1ないし3に記載さ れた発明に基づいて本件発明1を容易に想到することができる。 (5) したがって,本件特許1には進歩性欠如の無効理由がある。 (原告の主張)(1) 構成要件1Eの非開示別紙「乙1の図」記載1の図(以下「乙1の14頁の上図」という。)の「アラ ーム履歴機能」を見ても,異常種類が指定されたときに当該異常種類に対応する異常現象の発生をモニタしたラダー回路が表示されることはおろか,異常種類の指定すら記載されていると把握することは困難である。 (2) 構成要件1Fの非開示被告主張の1f’の構成にある「接点検索」及び「コイル検索」が具体的にど のようなものであるか不明である上に,構成要件1Fと対応していない ることは困難である。 (2) 構成要件1Fの非開示被告主張の1f’の構成にある「接点検索」及び「コイル検索」が具体的にど のようなものであるか不明である上に,構成要件1Fと対応していないから,同構- 47 -成要件の開示がない。 (3) 被告はその主張する相違点は設計事項にすぎないと主張しているが,本件発明1は,異常名称をタッチパネル上においてワンタッチで操作することで,復旧すべきラダー回路が表示されることから,アラーム履歴画面での上移動,下移動といった煩瑣な動作により目的のデバイスを反転させたうえで回路検索キーをタッチ する必要もなく,その過程で生じる誤入力の危険性も存在しないし,異常種類に対応するラダー回路検索の迅速性,確実性は,乙1ないし3に記載された発明におけるデバイスの反転表示,回路検索ボタンのタッチという方法を経るものに比して,格段に向上する。 また,本件発明1は,「表示されたラダー回路の入出力要素のいずれかをタッチし て指定する前記タッチパネルと,表示されたラダー回路の入力要素が当該タッチにより指定されたときにその入力要素を出力要素とするラダー回路を検索して表示し,表示されたラダー回路の出力要素が当該タッチにより指定されたときにその出力要素を入力要素とするラダー回路を検索して表示する手段を含む」構成を採用することにより,「作業者はこの機能を使って真の原因を探求する為にラダー回路を上流に 遡行していくことができ,因果関係の連鎖をシステムによってガイドされながら的確に原因を追求することができる」というものであり(本件明細書1の【0040】),デバイス指定キーウィンドウに誤入力する危険性も当然存在しないし,タッチパネル上の入出力要素の表示とそれを直接指定することでもたらされるラダー回路遡行及び ものであり(本件明細書1の【0040】),デバイス指定キーウィンドウに誤入力する危険性も当然存在しないし,タッチパネル上の入出力要素の表示とそれを直接指定することでもたらされるラダー回路遡行及びそれによる原因追及の迅速性,的確性は,出願時当業者が乙1ないし3 に記載された発明に基づき予測できたものとはいえない。 かかる作用効果を奏する相違点を,設計的事項と同視できるとする理由は全く見当たらない。 (4) 以上より,本件特許1は進歩性を有する。 10 争点5-2(本件特許2-1の無効理由-乙1による新規性欠如)につい て- 48 -(被告の主張)(1) 乙1に記載された発明を本件発明2-1と対応させて認定すると,以下のとおりである。 2a’ タッチスイッチ機能を備えた表示板と,2b’ 機械をシーケンス制御するPLCと情報交換するデータ伝送手段と, 2c’ メモリと,2d’ このメモリに記憶されたプログラムに従って前記PLCからの制御状態情報を取り込んで表示板上に多数のソフトランプとして表示すると共にPLCに与える命令を入力する多数のソフトスイッチを表示しかつこのソフトスイッチがタッチされるとき前記PLCに命令を出力するCPUとからなるPLCに接続して用い ることができる操作盤であって,2e’ 前記表示板の一部であって前記ソフトランプおよび前記ソフトスイッチの表示区画とは独立して設けた表示区画に前記シーケンス制御の実行中に生じる各種異常の名称を表示する異常名表示プログラムであるアラームリスト機能を設け,2f’ またアラームリストに表示された異常表示欄をタッチすると画面を切替 えてその異常に対応する詳細コメント情報を前記表示板上に表示する詳細コメント表示プログラムを備えた, 機能を設け,2f’ またアラームリストに表示された異常表示欄をタッチすると画面を切替 えてその異常に対応する詳細コメント情報を前記表示板上に表示する詳細コメント表示プログラムを備えた,2g’ PLCに接続して用いることができる操作盤。 (2) 乙1における開示内容ア構成要件2Eについて 乙1の19頁上には,別紙「乙1の図」記載3の図(以下「乙1の19頁の上図」という。)が掲載されており,これはオブジェクトの配置例を示したものである。この図には,一つの操作盤上にソフトランプ,ソフトスイッチ,様々な表示とは独立して設けた表示区画にアラームリスト表示を行い,単独表示及び複数表示を行うことが記載されており,ユーザが希望すれば,構成要件2Eを充足するオブジ ェクトを配置することができることが明瞭に示されている。 - 49 -したがって,乙1は構成要件2Eの構成を開示している。 イ構成要件2Fについて乙1の14頁下には,別紙「乙1の図」記載2の図(以下「乙1の14頁の下図」という。)が掲載されており,これは「アラームリスト機能」がどのような機能であるかを記載したものである。この図はアラームリスト表示のみであるが,ア ラームリスト表示について乙1の19頁の上図のようなオブジェクト配置を採用することと,乙1の14頁の下図に記載されている機能を実現することとは全く独立のことであるから,乙1の19頁の上図の左上に独立して設けられている「アラームリスト表示」が乙1の14頁の下図に記載されている機能を有することは,当業者は容易に理解できる。 構成要件2Fの構成と対比すると,まず乙1の14頁の下図には,「表示欄をタッチすると詳細ウィンドが出ます」との記載があるところ,この「表示 機能を有することは,当業者は容易に理解できる。 構成要件2Fの構成と対比すると,まず乙1の14頁の下図には,「表示欄をタッチすると詳細ウィンドが出ます」との記載があるところ,この「表示欄」とは個々の異常名の表示欄を示しており,アラームリストに表示されている異常のうち,詳細を表示したい異常名が表示されている表示欄をタッチすることで,当該異常に対応した詳細ウィンドウが表示されることを意味している。この表示欄は,本件発明 2-1の「区画」に相当する。したがって,乙1には区画がタッチされるときに詳細ウィンドウを表示する構成が開示されている。 次に,乙1には「表示欄をタッチすると詳細ウィンドが出ます」との記載があるところ,詳細ウィンドウが表示されていない状態から詳細ウィンドウを表示板上に出すには,それまでの詳細ウィンドウが表示されていない画面から詳細ウィンドウ が表示された画面へと画面を切り替える必要がある。したがって,乙1には「画面を切替えて」詳細ウィンドウを表示する構成が開示されている。 さらに,「詳細コメントを前記表示板上に表示する」という構成については,確かに,乙1には「詳細ウィンドウ」が予めメモリ内に登録された表示内容を表示するものであることの記載はないが,プログラマブル表示器はユーザが任意に設計し使 用するものであり,乙1の詳細ウィンドウの表示内容がユーザが予め任意にメモリ- 50 -内に登録した情報であることは当業者には自明である。 以上より,乙1は構成要件2Fの構成を開示している。 (3) 本件発明2-1との対比乙1に記載された発明の上記構成を本件発明2-1と対比すると,本件発明2-1が予めメモリ内に登録された詳細コメント情報を表示する詳細コメント表示に 切り替えるものであるとこ 発明2-1との対比乙1に記載された発明の上記構成を本件発明2-1と対比すると,本件発明2-1が予めメモリ内に登録された詳細コメント情報を表示する詳細コメント表示に 切り替えるものであるところ,乙1には詳細ウィンドウにおける表示内容が予めメモリ内部に登録されていることは明記されていない。 しかし,プログラマブル表示器はユーザが任意に設計し使用するものであるため,乙1に記載される詳細ウィンドウの表示内容が,ユーザが予め任意にメモリ内に登録した情報であることは当業者にとって当然理解できる。 したがって,乙1には,本件発明2-1と同一の構成を備えた発明が記載されている。 (4) 以上より,本件発明2-1は,本件特許2の出願前に頒布された刊行物である乙1に記載された発明と全く同一であるから,本件特許2-1には新規性欠如の無効理由がある。 (原告の主張)(1) 構成要件2Eの非開示被告が指摘する乙1の19頁の上図は,概念図,単にオブジェクトを並べた図面にすぎず,GOT900シリーズの実表示画面を示したものではない。あくまで,「アラームリスト表示」,「ランプ表示」,「数値表示」,「コメント表示」,「パネルメ ータ表示」,「グラフ表示」,「スイッチ」,「レベル表示」なる各名称のオブジェクトが,操作盤にそれぞれ備わっていることを示唆するものに留まり,「アラームリスト表示」と「ランプ表示」,「スイッチ」の操作盤の実機画面上における対応関係は不明である。 したがって,乙1の19頁の上図を根拠に,構成要件2Eの表示区画が開示され ているとすることはできない。 - 51 -(2) 構成要件2Fの非開示乙1の14頁の下図からは,「表示欄をタッチすると詳細ウィンドウが出ます」との記載,及び 区画が開示され ているとすることはできない。 - 51 -(2) 構成要件2Fの非開示乙1の14頁の下図からは,「表示欄をタッチすると詳細ウィンドウが出ます」との記載,及び,当該画面から「詳細ウィンドウ」への矢印が認められるものの,本件構成要件2Fの「前記少なくとも1つの異常名を表示する前記表示板上の区画がタッチされるとき前記異常名を表示する画面を切替えてその異常に対応して前記 メモリ内に予め登録された詳細コメント情報を前記表示板上に表示する」ものかは不明である。上記図の「表示欄」が何を示しているのか乙1には明記されていない。 (3) 以上より,本件特許2-1は新規性を有する。 11 争点5-3(本件特許1及び2-1の無効理由-公然実施による新規性・進歩性欠如)について (被告の主張)(1) 事実関係平成11年10月26日から同月29日まで,東京国際展示場でシステムコントロールフェア’99(以下「本件フェア」という。)が開催され,少なくとも同月26日には,GOT-A900シリーズのデモンストレーションが行われた。デモ ンストレーションの内容には,乙9の2のカタログ(1999(平成11)年10月版。なお,乙1のカタログは1998(平成10)年11月版であるが,本件発明1及び2-1に関する回路モニタ機能及びアラームリスト機能については同一の説明が記載されている。)に記載されている「回路モニタ」及び「アラームリスト機能」が含まれていた。当時,本件フェアの参加者が乙9の2のカタログを閲覧又は 入手することにも,同カタログ所持者が本件フェアに参加することにも,何らの契約上,事実上の制約はなかった。 また,公然実施の要件としては,「知り得る」態様で実施されていれば,その場にいた者が 入手することにも,同カタログ所持者が本件フェアに参加することにも,何らの契約上,事実上の制約はなかった。 また,公然実施の要件としては,「知り得る」態様で実施されていれば,その場にいた者が現実に知ったことは必要ではない。そして,本件フェアにおけるデモンストレーションは,カタログに記載されている機能を観客に見せることが目的である から,不特定多数の者がこれらの機能を知り得る態様で実施された。 - 52 -(2) 公然実施による新規性欠如本件フェアにおけるデモンストレーションでは,乙1のカタログに記載されたGOT900シリーズの回路モニタ機能及びアラームリスト機能について,「回路モニタ」機能の説明に際しては,画面上に表示された1つ又は複数の異常種類から1つの異常種類をタッチすることで異常種類を指定してから,回路モニタに切換えて 指定された異常種類に対応するラダー回路を表示することが行われ,「アラームリスト」機能の説明に際しては,画面上のアラームリスト区画に表示されている異常名にタッチすることで表示画面を切り替えて異常内容の詳細コメントを表示することが行われた。 したがって,このデモンストレーションによって,本件発明1及び2-1に相当 する発明が公然実施された。 (3) 公然実施による進歩性欠如ア本件発明1の想到容易性本件フェアで行われたデモンストレーションにおいては,「回路モニタ」機能について,画面上に表示された1つ又は複数の異常種類から1つの異常種類をタッ チすることで異常種類を指定してから回路モニタに切換えて選択された異常種類に対応するラダー回路を表示することが行われたが,接点検索・コイル検索(構成要件1F)が行われたかどうかは不明である。 しかし,当時から,PLCの異常検 から回路モニタに切換えて選択された異常種類に対応するラダー回路を表示することが行われたが,接点検索・コイル検索(構成要件1F)が行われたかどうかは不明である。 しかし,当時から,PLCの異常検出機能とGOT及びプロジェクトデータの関係は当業者に周知であったから,デモンストレーションによってアラーム履歴機能 から実行された回路モニタ機能においても,当然に回路モニタ機能の一部である接点検索・コイル検索を行うことができる(回路モニタ機能はGOTにインストールされた「アプリケーション」であるため,回路モニタ機能が実行されれば,そのアプリケーションに含まれる接点検索・コイル検索機能は,当然に実行可能である。)。 したがって,仮にデモンストレーションにおいて本件発明1そのものが公然実施さ れたわけではなかったとしても,当業者であれば,本件発明1を実施することは極- 53 -めて容易であった。 イ本件発明2-1の想到容易性乙1の19頁の上図では画面左上に独立したアラームリスト表示区画が定義されている。しかし,プロジェクトデータを作成して画面を定義する際に,ボタンやランプが配置されていないアラームリストのみの表示画面とすることも可能であ る。 本件フェアで行われたデモンストレーションにおいてアラームリスト表示区画が画面上のどこに設けられたか,ボタンやランプが配置された画面内に設けられていたか(構成要件2E)を明らかにする記録は残っていない。したがって,実演された内容が本件発明2-1の「ソフトランプおよびソフトスイッチの表示区画とは独 立して設けた」ものであったか否かは不明である。 しかしながら,当時から,PLCの異常検出機能とGOT及びプロジェクトデータの関係は当業者に周知であったから,仮に本件発明2-1そのもの 独 立して設けた」ものであったか否かは不明である。 しかしながら,当時から,PLCの異常検出機能とGOT及びプロジェクトデータの関係は当業者に周知であったから,仮に本件発明2-1そのものが公然実施されたわけではなかったとしても,当業者であれば,乙1の19頁の上図の画面定義例を参照して本件発明2-1を実施することは極めて容易であった。 (原告の主張)被告の主張は否認し,争う。 12 争点5-4(本件特許2-3の無効理由-明確性要件違反)について(被告の主張)構成要件2Iの訂正は,訂正前の各種異常の優先順位の設定について「異常の 重要度に応じて」との限定を加えたものである。しかし,「異常の重要度」というのは主観的な基準であり,客観的にその属否を判断することはできない。例えば,特定の事業者が自らの考える異常の重要度に応じて優先順位を設定したとしても,他の事業者からすればその優先順位は重要度に応じて設定されていない,ということが十分に起こり得る。 したがって,構成要件2Iの「異常の重要度に応じて」という要件は,発明の技- 54 -術的範囲を不明確にするものであり,明確性要件に違反している。 (原告の主張)本技術分野において「異常の重要度」がユーザ毎に異なるのは出願時の技術常識である。本件明細書2の記載及び出願時の技術常識を考慮すると,構成要件2Iの「前記シーケンス制御の実行中に生じる各種異常の優先順位を異常の重要度に応 じて前記メモリに予め設定しておき」が,各ユーザが各々の重要度に基づき各種異常の優先順位を予め設定できることを意味していることが明確に把握できる。 したがって,本件発明2-3の技術的範囲は明確であるから,明確性要件には違反していない。 13 争点5-5 度に基づき各種異常の優先順位を予め設定できることを意味していることが明確に把握できる。 したがって,本件発明2-3の技術的範囲は明確であるから,明確性要件には違反していない。 13 争点5-5(本件特許2-3の無効理由-乙1及び2による新規性・進歩 性欠如)について(被告の主張)(1) 前記10の被告の主張のとおり,乙1に本件発明2-1の各構成要件に相当する構成が開示されているが,さらに乙1及び2には,本件発明2-3の構成要件2H及び2Iに相当する構成も開示されている。 ア構成要件2Hの開示乙1の19頁の上図では,「複数表示」として「加工機の油圧低下」,「アーム異常下降」,「加工台数オーバ」の3種類の異常がそれぞれの異常名表示区画に表示されている。したがって,上記図のアラームリスト表示機能は,「多数のソフトランプ及び多数のソフトスイッチを表示する単一の表示画面上の一部に配置される数個 の異常名表示区画の各々に異なる異常の名称を表示できる」ものである。このように,乙1には構成要件2Hに相当する構成が開示されている。 イ構成要件2Iに関する記載乙2には,アラームリスト表示(ユーザアラーム機能)について,「複数のビットデバイスにコメントを対応づけて,ON中のビットデバイスのコメントを指定 した優先順位(F940GOTではON中のビットデバイスの若番号順)に表示す- 55 -る機能です。」と記載されている(6-19頁の図の上側)。この「ビットデバイスにコメントを対応づけ(る)」というのは,プロジェクトデータの作成者が特定のビットデバイスのON状態を異常と関連付けた場合に,その異常の発生を知らしめるコメントをプロジェクトデータとして作成する,ということを意味している る)」というのは,プロジェクトデータの作成者が特定のビットデバイスのON状態を異常と関連付けた場合に,その異常の発生を知らしめるコメントをプロジェクトデータとして作成する,ということを意味している。また,指定した優先順位もプロジェクトデータとして表示器のメモリに保存される。 したがって,乙2には,アラームリスト表示機能が,「シーケンス制御の実行中に生じる各種異常の優先順位をメモリに予め設定しておき,各種異常が同時多発的に発生したとき発生した異常の内で優先順位の高いものから順に前記数個の異常名表示区画に表示する」ものであることが記載されている。 ウ乙1及び2に記載された発明との間に実質的な相違点はないこと 乙2には優先順位を設定することは記載されているが,乙1及び2のいずれにも,その優先順位が異常の重要度に応じて設定されていることは記載されていない。 しかし,そもそも,当業者が異常の優先順位を設定する場合,その当業者が考える異常の重要度に応じて優先順位を設定する以外にない。そのため,当業者であれ ば,個々の事情に応じて異常の重要度に応じて優先順位を設定するのが当然である。 したがって,当業者であれば,乙2の優先順位が個々の事業者が考える異常の重要度に応じて設定されるものであると理解できるから,そのような当業者の技術常識を考慮すれば,乙2には構成要件2Iに相当する構成を備えた発明が記載されているといえる。 エしたがって,本件特許2―3には新規性欠如の無効理由がある。 (2) 予備的主張ア仮に乙1及び2に記載された発明が構成要件2Iの異常の重要度に応じた優先順位の設定という構成を備えていないとしても,異常の重要度に応じて優先順位を設定することは当時の当業者の技術常識ともいうべきものである 1及び2に記載された発明が構成要件2Iの異常の重要度に応じた優先順位の設定という構成を備えていないとしても,異常の重要度に応じて優先順位を設定することは当時の当業者の技術常識ともいうべきものである。 すなわち,特開昭63-233407号公報(乙13)は,PLCを用いて故障- 56 -情報を項目別に記憶し,オペレータの要求に応じて表示する監視盤の故障情報表示装置に関するものである(1頁目左欄の1.発明の名称,3.発明の詳細な説明(発明の目的)(産業上の利用分野))。乙13には,全ての故障項目に対して重要度順位番号を割付けておき,現時点での重要度順位を更新して記憶し,複数の故障が同時に発生したときに重要度順位の高い故障項目を順次表示器へ表示することが記 載されている(2頁目左上欄(問題点を解決するための手段および作用))。また,特開平10-97317号公報(乙14)は,監視画面表示装置に関するものである(【発明の名称】)。乙14には,従来の技術として,アラームグレード順に現在発生している異常項目を一覧表示させることが記載されている(【0003】,図5)。 またこのアラームグレードが異常の重要度を示していることも記載されている(【0 009】)。 このように,乙13には全ての故障項目に対して重要度順位番号を割り付けておき,重要度順位番号の高い故障項目を順次表示器へ表示することが記載されている。 また,乙14には,異常の重要度を示すアラームグレード順に発生中の異常項目を一覧表示させることが従来技術として記載されている。これらの記載を考慮すれば, 遅くとも本件第2特許の特許出願日時点において,異常項目を表示する優先順位を設定する際に異常の重要度に応じて優先順位を設定することは広く行われていた。 したがって,当業者であれ 考慮すれば, 遅くとも本件第2特許の特許出願日時点において,異常項目を表示する優先順位を設定する際に異常の重要度に応じて優先順位を設定することは広く行われていた。 したがって,当業者であれば,設計変更の範囲内で,乙1及び2に記載された発明に基づいて本件発明2―3に容易に想到することができる。 イ以上より,本件特許2―3には進歩性欠如の無効理由がある。 (原告の主張)(1) 乙1の19頁の上図の概念図が「異常名表示プログラム」というソフトウェアの開示であるという被告の主張は,新規性喪失の主張を逸脱している。 また,被告は優先順位が異常の重要度に応じて設定されていることは実質的な相違点ではないと主張しているが,かかる主張は,乙2の表示板が発生順又は若番号 順に表示するユーザアラーム機能を有するとの明示的記載(6-19頁)に反する。 - 57 -(2) 被告は異常項目設定時に重要度に応じて設定を行うことは設計変更である旨主張するが,乙1及び2に記載された発明は発生順ないし若番号順で異常表示を行うことで完結した発明であって,重要度という異常表示の優先順位を導入する課題がなく,重要度によって表示の優先順位を決める動機が無い。 したがって,乙13や乙14に記載の技術を乙1及び2に記載された発明に付加, 転換する動機付けの根拠がない。また,乙14は「プラント等の運転監視に利用されるCRTを用いた監視画面表示装置」に係り(【0001】),その開示事項をPLCの操作盤に適用するには,根本的に技術的な隔たりが大きすぎる。 (3) 以上より,本件特許2-3は新規性・進歩性を有する。 14 争点5-6(本件特許3の無効理由-明確性要件違反,実施可能要件違反, サポート要件違反)について(被告の主張) (3) 以上より,本件特許2-3は新規性・進歩性を有する。 14 争点5-6(本件特許3の無効理由-明確性要件違反,実施可能要件違反, サポート要件違反)について(被告の主張)(1) 本件明細書3には,本件発明3の操作ボタン表示手段が,複数の操作ボタン毎に,当該操作ボタンにより実行される各個動作の①運転条件を満たさない時,②運転条件は満たすが起動条件を満たさない時,③運転条件及び起動条件の双方を 満たす時の3つの状態をそれぞれ視覚的に区別して表示をすることで,熟練していない作業者であっても,いま操作できない操作ボタン,いま操作できる操作ボタン及び次に操作すべき操作ボタンの3種類の状態を視覚的に知ることができるという作用効果を奏することが記載されている。 また,請求項の記載を見ても,本件特許3の出願前の周知技術に照らしても,本 件発明3の特徴的な構成は,運転条件と起動条件の組み合わせによって3つの状態を視覚的に区別して表示すること(構成要件3E及び3F)にある。 しかし,以下に述べるとおり,本件発明3の構成は明確ではなく,明細書の記載を文字どおりに解釈したのでは,明細書に記載された作用効果を奏することはできない。 (2) 本件発明3の構成が明確ではないこと- 58 -例えば,本件明細書3の図4に例示されているラダー回路においてX04ないしX06の接点が運転条件と表示されているが,当業者であれば,X06によって動作を完了させるための条件(たとえば,「加工時間が経過したこと」)の不成立(たとえば,「加工時間が経過したこと」が不成立であること=加工時間が経過していないこと)を判断していると解釈することも可能である。したかって,「ある動作 が完了していないこと」が当該動作を継続するため ば,「加工時間が経過したこと」が不成立であること=加工時間が経過していないこと)を判断していると解釈することも可能である。したかって,「ある動作 が完了していないこと」が当該動作を継続するための条件であることは明らかである。 被告の主張は当業者の技術常識に従ったものであるが,原告は被告の主張を争っている。したがって,本件発明3における「起動条件」及び「運転条件」は当業者の技術常識とは異なる特別な意味を有していると考えられる。しかし,それがいか なるものであるかは特許請求の範囲の記載からも本件明細書3からも読み取れない。 そして,下記(3)で述べるように,通常の当業者の技術常識に従って本件発明3を理解すると,本件発明3の構成では明細書に記載された作用効果を奏し得ない。したがって,本件発明3の特許請求の範囲の記載は明確ではなく,本件特許3には明確性要件違反の無効理由がある。 (3) 本件発明3の構成では作用効果を奏し得ないことア本件明細書3の【0008】の記載により,運転時に満足されるべきすべての条件が満足されていることが「運転条件」であり,起動時に満足されるべきすべての条件が「起動条件」であると解釈しても,【0023】及び【0024】等の記載には不明確な点が多く,当業者であっても「起動条件」と「運転条件」を明 確に区分することはできない。 イ他方,本件発明3の解決課題は本件明細書3の【0004】記載のとおりであり,効果は【0040】記載のとおりであるが,しかし,以下に述べるように,特許請求の範囲に記載されている構成によってこのような課題が解決され,明細書記載の作用効果を奏することは全く理解できない。 上述した運転条件及び起動条件の定義を前提とすると,運転条件及び起動条件の- 範囲に記載されている構成によってこのような課題が解決され,明細書記載の作用効果を奏することは全く理解できない。 上述した運転条件及び起動条件の定義を前提とすると,運転条件及び起動条件の- 59 -組合せとして,4つの可能性があり,明細書にはそれぞれの操作可能性について次表のように記載している。 起動条件ON起動条件OFF運転条件ON次に操作すべきいま,操作できる運転条件OFF操作できない操作できないそして,明細書の記載によれば,本件特許3の特許請求の範囲に記載された構成によって,上表の「次に操作すべき」,「いま,操作できる」及び「操作できない」の3つを視覚的に区別して表示することができるはずである。しかし,【0023】 の図4において,「入力」と表示された接点が操作ボタンからの入力を示しているとすると,上表の「いま,操作できる」の場合に操作ボタンを操作しても,M01のコイルがONになることはない。なぜならば,起動条件がOFF=図4のX01ないしX03が通電されていないからである。したがって,本件発明3の構成では,明細書記載の課題は解決しない。 ウ以上のとおり,請求項及び明細書をどのように読んでも,「前記運転条件を満たさない時,前記運転条件は満たすが前記起動条件を満たさない時,前記運転条件および前記起動条件の双方を満たす時の3つの状態をそれぞれ視覚的に区別して表示をする」という構成によって明細書記載の課題が解決されることも,明細書記載の作用効果を奏することも,当業者は理解することができない。 したがって,本件特許3の特許請求の範囲及び明細書はサポート要件及び/又は実施可能要件を充足していないから,本件特許3にはこれらの要件違反の無効理由がある。 (原告の主張) ない。 したがって,本件特許3の特許請求の範囲及び明細書はサポート要件及び/又は実施可能要件を充足していないから,本件特許3にはこれらの要件違反の無効理由がある。 (原告の主張)本件発明3の請求項の記載は至って明確であり,課題が解決できることが当業 者に認識できる(本件明細書3の【0008】)ものであって,明確性要件違反,サポート要件違反を問擬されるような瑕疵はない。発明の詳細な説明には当業者が本件発明3を実施できる程度に十分かつ明確な記載が有り,実施可能要件違反を問わ- 60 -れるいわれもない。 15 争点5-7(本件特許3の無効理由-乙4を主引例とする進歩性欠如)について(被告の主張)(1) 特開平11-15522号公報(乙4)に記載された発明(以下「乙4発 明」という。)を本件発明3と対応させて認定すると,以下のとおりである。 3a’ シーケンス・コントローラと接続され該シーケンス・コントローラとの間での入出力信号の授受により該シーケンス・コントローラに接続された設備機械の動作を制御する動作制御操作盤であって,3b’ 入力手段および出力手段の双方の機能を有するタッチパネルと, 3c’ 該タッチパネル上に構成される複数の操作ボタンを前記シーケンス・コントローラにおける所定の入出力信号に応じて視覚的に区別して表示する操作ボタン表示手段とを備えた動作制御操作盤において,3d’ 前記複数の操作ボタンは前記設備機械の一連の自動運転時に行われる動作を個々の動作に分割した各個動作を行わせるための操作ボタンであり, 3e’ 前記シーケンス・コントローラにおける前記所定の入出力信号は,当該操作ボタンにより実行される各個動作の動作中に常に満足すべき条件である「完了条件が不成 るための操作ボタンであり, 3e’ 前記シーケンス・コントローラにおける前記所定の入出力信号は,当該操作ボタンにより実行される各個動作の動作中に常に満足すべき条件である「完了条件が不成立である条件」と,当該操作ボタンにより実行される各個動作の開始時に満足すべき条件である「動作条件」を含み,3f’ 前記操作ボタン表示手段は,前記複数の操作ボタン毎に当該操作ボタン により実行される各個動作の,前記「完了条件が不成立である条件」及び「動作条件」を満たす時と「動作条件」が不成立か「完了条件が不成立である条件」が不成立である時の2つの状態をそれぞれ視覚的に区別して表示する3g’ 動作制御操作盤。 (2) 本件発明3との対比 ア一致点- 61 -本件発明3の構成要件3A,3B,3C,3D及び3Gは,乙4発明の構成3a’,3b’,3c’,3d’及び3g’に相当する。 イ相違点本件発明3と乙4発明は,次の点で相違している。 すなわち,本件発明3は,運転条件を満たさない時,運転条件は満たすが起動条 件を満たさない時,運転条件および起動条件の双方を満たす時の3つの状態をそれぞれ視覚的に区別して表示する操作ボタン表示手段を備えているのに対し,乙4発明は,「完了条件が不成立である条件」及び「動作条件」の双方を満たす時と「動作条件」が不成立か「完了条件が不成立である条件」が不成立である時の2つの状態を視覚的に区別して表示する操作ボタン表示手段を備えている点。 (3) 相違点についての検討次のとおり,本件発明3は,乙4発明に特開昭60-96138号公報(乙5)に記載された発明(以下「乙5発明」という。)を組み合わせることによって,容易に想到できる発明である。 ア乙5の記載 のとおり,本件発明3は,乙4発明に特開昭60-96138号公報(乙5)に記載された発明(以下「乙5発明」という。)を組み合わせることによって,容易に想到できる発明である。 ア乙5の記載 乙5発明は発電プラントの自動運転監視操作装置に関するものであり,乙5には,「ブレイクポイント」について,「発電ユニットの起動時および停止時に行われる一連の運転操作を複数のブレイクポイントに分け」との記載がある。したがって,乙5の「ブレイクポイント」は,一連の運転動作を個別の動作に分割したものであり,本件発明3の「一連の自動運転時に行われる動作を個々の動作に分割した 各個動作」に相当する。 また,乙5には,各ブレイクポイントについて以下の処理手順が記載されている。 まず,ブレイクポイント操作完了判定を行い,操作完了条件が成立しないときに進行処理を実行し,成立している場合には操作完了状態が記憶される(193頁左上欄4行目から6行目,同下から5行目から右上欄1行目,198頁第7図)。進行処 理においては,ブレイクポイント操作条件成立判定を行い,操作条件が成立した場- 62 -合,進行許可PBオン判定(シ)の処理を行い,進行許可PBがオンの場合にはブレイクポイント操作進行状態が記憶され,オフの場合にはブレイクポイント操作開始可能状態が記憶される(193頁右上欄2行目から右上欄下から7行目)。また,ブレイクポイント操作条件が成立していない場合,ブレイクポイント操作前状態が記憶される(193頁右上欄下から5行目から下から2行目)。したがって,乙5の 「操作完了条件が不成立であること」は各ブレイクポイントの動作実行中に常に満足すべき条件であり,「操作条件」は各ブレイクポイントの動作開始時に満足すべき条件であるから,それぞれ本件発 ,乙5の 「操作完了条件が不成立であること」は各ブレイクポイントの動作実行中に常に満足すべき条件であり,「操作条件」は各ブレイクポイントの動作開始時に満足すべき条件であるから,それぞれ本件発明3の「運転条件」と「起動条件」に相当する。 そして,乙5には,操作完了条件不成立を満たしていない場合,すなわち操作完了条件が成立している場合には識別符号M4の表示を行い,操作完了条件不成立は 満たすが操作条件を満足しない場合には識別符号M1の表示を行い,操作完了条件不成立を満たし操作条件も満足する場合には識別符号M2の表示を行い,これら3つの表示が視覚的に区別できることが記載されている(193頁左下欄10行目から右下欄下から4行目)。 イ組み合わせが容易であること 乙4発明は動作制御操作盤に関するものであって,設備動作やラダー回路に関して習熟せずとも,動作開始及び動作完了の条件を入力するだけで容易に制御プログラムを作成できる操作盤を実現することにある(乙4の【0004】)。他方,乙5では,自動化コンソールをコンパクト化し,複数発電ユニットの運転監視操作を容易にする発電プラント自動運転監視操作装置を提供することを課題としている (乙5の190頁右下欄[発明の目的])。乙5の発電プラント自動運転監視操作装置は,乙4の動作制御操作盤の下位概念であり,乙5の課題である自動化コンソールのコンパクト化,運転監視操作の容易化は,動作制御操作盤全般における一般的な課題である。 したがって,そのような一般的な課題を解決すべく,乙4発明に乙5記載の技術 事項を適用することは当業者にとって容易である。 - 63 -ウ以上より,本件特許3には進歩性欠如の無効理由がある。 (原告の主張)(1) 乙4には本件発明3 発明に乙5記載の技術 事項を適用することは当業者にとって容易である。 - 63 -ウ以上より,本件特許3には進歩性欠如の無効理由がある。 (原告の主張)(1) 乙4には本件発明3の「運転条件」が開示されていない本件発明3の構成要件3Eに記載のとおり,「運転条件」とは「当該操作ボタンにより実行される各個動作の動作中に常に満足すべき条件である」ところ,乙4記 載の動作制御操作盤は「出力要素に対する出力信号の出力を完了するための完了条件」を要旨とするものであり(乙4の請求項1),完了条件が何時まで経っても不成立であることは各個動作の前提とされていない。 これに対し,本件発明3の運転条件とは,特許請求の範囲の文言通り,当該操作ボタンにより実行される各個動作の動作中に常に満足すべき条件であり,運転条件 は満足(完了)されることが各個動作の前提である。 以上のように「運転条件」と「完了条件」とでは,それぞれの目的が大きく異なるのであり,本件発明3における「運転条件を満たさない時」と「運転条件を満たす時」を視覚的に区別して表示する技術事項が乙4に開示されている旨の被告の主張も誤りである。 (2) 乙4の「動作オン状態」と「動作オフ」状態乙4の【0012】の記載において,「当該動作のオン,オフ」とは,動作スイッチのオン/オフ状態,すなわち動作対象に対して出力信号を出力した状態か否かを意味しているのであり,本件発明3の「運転条件」と「起動条件」に相当するものではない。乙4の【0013】及び図3には,動作スイッチ1がオン状態(ソレ ノイドSOL1に対して出力信号を出力した状態)では動作スイッチ1の背景色を赤で表示し,動作スイッチ1がオフ状態(ソレノイドSOLに対して出力信号を出力しない状態)では動作スイッ 状態(ソレ ノイドSOL1に対して出力信号を出力した状態)では動作スイッチ1の背景色を赤で表示し,動作スイッチ1がオフ状態(ソレノイドSOLに対して出力信号を出力しない状態)では動作スイッチ1の背景色を白で表示すること,すなわち動作スイッチのオン/オフ状態を視覚的に区別して表示することが開示されているにすぎない。 したがって,乙4には,「完了条件」が不成立である状態(図6のステップ614- 64 -がNO)に応じて動作スイッチを視覚的に区別して表示する技術事項は非開示であり,本件発明3の構成要件3Fが開示も示唆もされていない。 なお,乙4の【0012】に示すように,乙4における「動作条件」とは,当該動作を実行するため(すなわち,動作スイッチをオン状態とするため)に必要とされるリミットスイッチの満足すべき条件であり,「完了条件」とは,動作を終了する ため(すなわち,動作スイッチをオフ状態とするため)に必要とされるリミットスイッチの満足すべき条件であり,動作スイッチをオン/オフするための前提条件である。しかし,乙4には,これらの「動作条件」及び「完了条件」が満足されたか否かに応じて動作スイッチの背景色を異なる色で表示することは開示・示唆されていない。 また,乙4の【0017】ないし【0020】の記載及び図6のフローチャートの記載からも明らかなように,乙4に開示された操作盤は,「動作条件」が満足された場合には,作業者ではなく処理プログラムによって動作を実行し,「完了条件」が満足された場合には,作業者ではなく処理プログラムによって動作を完了させるものである。したがって,乙4の操作盤は,「動作条件」や「完了条件」が満足されて いるか否かを,作業者に対して認識させる必要がなく,「動作条件」及び「完了条件」 グラムによって動作を完了させるものである。したがって,乙4の操作盤は,「動作条件」や「完了条件」が満足されて いるか否かを,作業者に対して認識させる必要がなく,「動作条件」及び「完了条件」が満足されたか否かを視覚的に区別して表示させる動機付けすら存在しない。 (3) 乙5には本件発明3の「運転条件」が開示されていないア本件発明3の特許請求の範囲に記載されているように,本件発明3における「運転条件」とは,「各個動作の動作中に常に満足すべき条件」であり,本件明 細書3の【0025】にも「運転条件が満足していない場合は,いまはその操作は実行できないことを意味しており,運転条件が満足していれば,いまその操作を実行」できることが説明されている。 しかし,乙4に「運転条件」が開示されていない理由と同様,「運転条件」と「操作完了条件」とでは,それぞれの目的が大きく異なっており,乙5の「操作完了条 件が不成立であること」が本件発明3の「運転条件」に相当するとの被告の主張に- 65 -は理由がない。 また,乙5に開示されている「ブレイクポイント操作進行状態が常に満足すべき条件」とは,同号証第7図(判断「カ」),第8図(判断「サ」,同「シ」)からも明らかなとおり「①操作完了条件が不成立であること,かつ,②操作条件が成立であること,かつ,③進行許可PBがオンであること」であって,「操作完了条件が不成 立であること」だけでは「ブレイクポイント操作進行状態が常に満足すべき条件」とはならない。具体的には,乙5の発電プラント自動運転監視操作装置は,操作完了条件が不成立であったとしても,操作条件が不成立の場合や,進行許可PBがオフの場合には,操作前状態や操作可能状態となり,ブレイクポイントの操作は進行(実行)されない。すなわち,「操 装置は,操作完了条件が不成立であったとしても,操作条件が不成立の場合や,進行許可PBがオフの場合には,操作前状態や操作可能状態となり,ブレイクポイントの操作は進行(実行)されない。すなわち,「操作完了条件が不成立であること」だけでは運転条 件を満足しているとはいえない。 したがって,乙5の「操作完了条件が不成立であること」が,本件発明3の「運転条件」に相当するとの被告の主張は失当である。 イ付言するに,今仮に,乙5の「①操作完了条件が不成立であること,かつ,②操作条件が成立であること,かつ,③進行許可PBがオンであること」が, 本件発明3の「運転条件」に相当すると解すると,乙5には少なくとも構成要件3Fが開示・示唆されていないこととなる。 なぜならば,被告自身も認めるように,乙5の「操作条件」は本件発明3の「起動条件」に相当する。また,上記の仮定のもとでは乙5の「運転条件」には「②操作条件が成立であること」が含まれている。したがって,この場合,乙5の発電プ ラント自動運転監視操作装置が「運転条件」を満たす時には,「操作条件(=起動条件)」が必然的に満たされることになり,乙5の操作盤では構成要件3Fの「前記運転条件は満たすが前記起動条件を満たさない時」は生じ得ないこととなる。 (4) 乙5には本件発明3の「各個動作」が開示されていない乙5の自動運転監視装置は,進行許可ボタンやタッチスクリーンから運転員の 進行許可指令を受けてブレイクポイント毎に操作を順次進めるものである。そのた- 66 -め,乙5の「ブレイクポイント」は,一連の運転動作を分割したものではあるが,一連の自動運転動作を分割したものではない。 また,乙5の自動運転監視装置においては,各ブレイクポイントの操作それぞれが「一連の自動運 ブレイクポイント」は,一連の運転動作を分割したものではあるが,一連の自動運転動作を分割したものではない。 また,乙5の自動運転監視装置においては,各ブレイクポイントの操作それぞれが「一連の自動運転時に行われる動作」に相当すると解するが,ブレイクポイントの操作(例えば,「海水系統」)を個々の動作に分割することについて乙5には開示 も示唆もされていない。 したがって,乙5の「ブレイクポイント」が本件発明3の「一連の自動運転時に行われる動作を個々の動作に分割した各個動作」に相当するとの被告の主張は誤りであり,乙5には本件発明3の構成要件3Dすら開示されていない。 (5) 動機付けの不存在 主引例である乙4には,「容易に制御プログラムを作成できる操作盤を実現する」という課題が開示されているに過ぎず(【0004】),「自動化コンソールのコンパクト化,運転監視操作の容易化」といった課題は開示も示唆もされていない。 また,乙4に開示された操作盤(図1,図5等)は,乙5の2頁左上欄19行目から右下欄6行目の記載や図1に開示された監視操作装置のように,複数の自動化 コンソールから構成されるものではない。したがって,乙4発明に乙5記載の技術事項を適用したとしても,「自動化コンソールのコンパクト化,運転監視操作の容易化」を実現できないことは明らかである。 さらに,上述のように乙4の操作盤は,「動作条件」や「完了条件」が満足されているか否かを作業者に対して認識させる必要がなく,「動作条件」および「完了条件」 が満足されたか否かを視覚的に区別して表示させる動機付けすら存在しない。 したがって,乙4記載の発明には,乙5記載の技術事項を適用する動機付けがないことは明らかである。 なお,被告は,乙5の課題である自動化コンソールのコンパク 別して表示させる動機付けすら存在しない。 したがって,乙4記載の発明には,乙5記載の技術事項を適用する動機付けがないことは明らかである。 なお,被告は,乙5の課題である自動化コンソールのコンパクト化,運転監視操作の容易化は,動作制御操作盤全般における一般的な課題であると主張する。しか し,乙5の自動運転監視操作装置は,複数台(n台)の発電ユニットから成る一つ- 67 -の発電プラントを運転するに際して,従来の自動化コンソールをそのまま採用すると,中央操作室が膨大なものになり,監視操作が著しく困難になるという,極めて特殊な条件下における課題に対して創出されたものである。したがって,乙5には「本発明によれば,従来の自動化コンソールに比べてコンソール部分が極めてコンパクトになり,監視操作性が向上し,確認ミス等が無くなり,複数ユニットからな る発電プラントを安全に運転することができるようになる」という,複数台(n台)の発電ユニットから成る一つの発電プラントを運転する自動運転監視操作装置に限局された作用効果が記載されているのであり(8頁左欄16から末行),被告のいうような課題の一般化は許されない。 (6) 以上より,本件特許3は進歩性を有する。 16 争点5-8(本件特許4の無効理由-乙6による新規性欠如)について(被告の主張)(1) 特開平4-139503号公報(乙6)に記載された発明(以下「乙6発明」という。)を本件発明4と対応させて認定すると,以下のとおりである。 4a’ 制御に必要な操作キーや機械の動作状況を示すランプからなる表示内容 を画面上に表示すると共に,この画面上に表示された前記表示内容に対応した信号を出力する透明スイッチパネルを設けた操作盤に対して,この操作盤の画面に表示する前記表示内 すランプからなる表示内容 を画面上に表示すると共に,この画面上に表示された前記表示内容に対応した信号を出力する透明スイッチパネルを設けた操作盤に対して,この操作盤の画面に表示する前記表示内容の作画と前記表示内容とプログラマブルコントローラのアドレスとの対応付けの画面定義を行う前記操作盤のための画面定義装置であって,4b’ 前記操作盤の画面上に表示する前記表示内容の一部としての前記操作キ ーやランプの絵とこれら絵を表示する複数の区画を特定する情報が予め設定されている区画設定手段と,4c’ これら複数の区画に設定される前記操作キーやランプの各々を特定する前記表示内容の他の一部としてのコメントやプログラマブルコントローラのアドレスからなる複数の情報項目を並べた操作盤データマップを記憶するハードディスク 装置と,- 68 -4d’ この操作盤データマップに指定される前記複数の情報項目についてそれぞれのパラメータを入力する入力手段と,4e’ 前記区画設定手段に設定された前記操作キーやランプの絵や区画を特定する情報と前記入力手段により前記操作盤データマップに入力された情報項目とに基づいてCRT78のフェースプレートに表示する前記操作キーやランプの絵と前 記複数の情報項目と組み合わせて作画すると共に,前記操作キーやランプとプログラマブルコントローラのアドレスとを対応付けするための画面定義を行う画面定義手段を備えた4f’ 操作盤の画面定義装置。 (2) 乙6における開示内容 ア構成要件4Aについて乙6には,CRT操作盤装置53には操作盤データマップが格納されるハードディスク装置77が備えられており,当該操作盤データマップの項目を設定することで任意の画面を作成できることが記載され て乙6には,CRT操作盤装置53には操作盤データマップが格納されるハードディスク装置77が備えられており,当該操作盤データマップの項目を設定することで任意の画面を作成できることが記載されている(17頁右下欄4行目から13行目)。 したがって,乙6には画面定義装置が開示されている。 イ構成要件4Bについて乙6の操作盤データマップの「属性」欄は,各セル№における表示事項に係るデバイスがスイッチである場合におけるスイッチの形式を示しており,また「ON色」,「OFF色」欄は作動中又は非作動中の表示色を示している(18頁左欄1 行目から14行目)。操作盤データマップの各セルにスイッチの形式や表示色を設定するだけで任意の画面を設定できるのであるから,その前提として,スイッチやランプの情報は予め設定されている。 したがって,乙6には構成要件4Bについて十分な開示がある。 ウ構成要件4Eについて 乙6には操作盤データマップに入力された情報項目に基づいてCRT78の- 69 -フェースプレート部に表示する操作キーやランプの絵と複数の情報項目を組み合わせて作画することができる画面定義装置が開示されている。 したがって,乙6には構成要件4Eの構成が開示されている。 (3) 以上より,本件発明4は,本件特許4の出願前に頒布された刊行物である乙6に記載された発明(乙6発明)と全く同一であるから,本件特許4には新規性 欠如の無効理由がある。 (原告の主張)(1) 構成要件4Aの非開示乙6にはCRT操作盤装置(本件特許4における「操作盤」に相当)は開示されているものの,本件発明4の構成要件4Aの画面定義装置に対応する明確な開示 は認められない。なお,本件発明4の対 乙6にはCRT操作盤装置(本件特許4における「操作盤」に相当)は開示されているものの,本件発明4の構成要件4Aの画面定義装置に対応する明確な開示 は認められない。なお,本件発明4の対象たる画面定義装置自体が乙6には開示されていないから,この画面定義装置が備える残りの構成要件についても,乙6に非開示であることはいうまでもない。 (2) 構成要件4Bの非開示乙6には,本件発明4の構成要件4Bの予め設定されている「操作キーやラン プの絵の情報」に係る開示がなく,乙6は本件発明4の構成要件4Bを正確に開示するものではない。また,本件明細書4には,画面定義マトリックスにより操作キーやランプの「文字倍率」,「文字色」,カウンタの表示や桁数,数字色等の設定も開示されているが(図4,6参照),乙6にはかかる表示ないし情報項目の開示もない。 (3) 構成要件4Eの非開示 乙6には,被告が主張するような作画機能の明確な開示は認められない。 (4) したがって,本件特許4は新規性を有する。 17 争点6(被告の本件各特許権の侵害による原告の損害額)について(原告の主張)(1) 本件特許権1及び3の侵害による損害について ア特許法102条2項に基づく損害- 70 -(ア) 適用関係間接侵害にも特許法102条1項及び2項が適用される。そして,原告は本件特許1及び3の実施品(表示器にOS及び各機能を実行するためのプログラムが予めインストールされている製品)を製造,販売しており,被告による特許権侵害に伴ってその売上げ及び利益獲得の機会を逸失している。仮に本件特許1に関し 被告製品3のみを間接侵害品と考えたとしても,被告は被告製品3を廉価で販売しつつ,被告表示器を桁違いに高価な価格で販売し,被 ってその売上げ及び利益獲得の機会を逸失している。仮に本件特許1に関し 被告製品3のみを間接侵害品と考えたとしても,被告は被告製品3を廉価で販売しつつ,被告表示器を桁違いに高価な価格で販売し,被告製品3を同一工場内ならほぼ無制限にインストールできるビジネスモデルを採用しており,被告が被告表示器と被告製品3の実質セット販売によって得た利益と,原告の逸失利益との同質性が存在することは明らかである。被告表示器と被告製品3が実質的に一体不可分であ ることや,被告製品4も被告表示器以外に全く適用できないことからしても,被告表示器の売上げ及び利益を考慮すべきである。 したがって,当該実施品の相当品である被告表示器A,被告製品3,被告製品4を販売することで得られた利益について,特許法102条2項の損害推定が働くと解するべきである。 (イ) 被告の利益額被告は,本件第1特許の登録時である平成17年7月22日から平成29年6月末までに,被告表示器Aを少なくとも1008億円売り上げ,本件第3特許の登録時である平成19年10月12日から平成29年6月末までに,被告表示器Aを少なくとも819億円売り上げた。 また,被告は,本件第1特許の登録時である平成17年7月22日から平成29年8月末までに,被告製品3を少なくとも3万4000枚販売し,その平均売価は2万4200円であったと推認されるから,その売上げは8億2280万円であった。 そして,被告表示器Aの限界利益率は20%を下回らず,被告製品3の限界利益 率は90%を下回らない。後者につき被告は●(省略)●%であると主張している- 71 -が,プログラムの開発費は固定費であり,媒体と包材のほか材料費(直接変動費)がかからないから,限界利益率が90%を切るというこ ない。後者につき被告は●(省略)●%であると主張している- 71 -が,プログラムの開発費は固定費であり,媒体と包材のほか材料費(直接変動費)がかからないから,限界利益率が90%を切るということは考え難い。 さらに,被告表示器Aに対する本件発明1及び3の寄与度はそれぞれ10%を下回らず,被告製品3はソフトウェアであることから,これに対する寄与度は50%を下回らない。特に,本件発明1の回路モニタ機能は第三者からも賛辞が贈られて いる(甲31)。したがって,被告による本件特許権1及び3の侵害による原告の損害額は38億0210万4000円を下回らないものと推定される。原告は,この一部5億円及びこれに係る弁護士費用5000万円を請求する。 (ウ) 被告の下記主張について被告製品3と実質的にセット販売されている被告表示器のカタログや取扱 説明書における宣伝や説明内容等からすれば,大半のユーザはワンタッチ回路モニタ機能や起動条件・運転条件の視認区別機能を使用しているとの推定が働くというべきであって,これを使用しないユーザがいるということは,被告が主張立証責任を負う推定覆滅事由である。 被告は,被告製品1-2について約4分の3のユーザが回路モニタ機能を使用し ていないと主張し,従業員の陳述書を提出しているが,客観的根拠を伴っておらず,にわかに措信し難い。 イ特許法102条1項に基づく損害(ア) 単位当たりの利益の額a 特許法102条1項の「単位当たりの利益」とは侵害行為開始時の ものを採用するのが合理的であり,被告による特許権侵害行為がなければ得ることのできた単位当たりの利益の額(限界利益)は,本件第1特許に係る特許権の侵害開始時に●(省略)●円,本件第3特許に係る特許権の侵害開始時 るのが合理的であり,被告による特許権侵害行為がなければ得ることのできた単位当たりの利益の額(限界利益)は,本件第1特許に係る特許権の侵害開始時に●(省略)●円,本件第3特許に係る特許権の侵害開始時に●(省略)●円であった。 b なお,甲44によると,平成25年度の原告の製品1台当たりの限 界利益の額は●(省略)●円(DMシリーズ●(省略)●円,FPシリーズ●(省- 72 -略)●円)であった。 (イ) 「侵害行為を組成した物」の譲渡数量a 主位的主張特許法102条1項の適用により売上機会を回復されなければならない原告の製品(侵害行為がなければ販売することができた物)は,本件特許1及び3 の実施品そのもの(本件発明1及び3の機能がプレインストールされた物)である。 そうである以上,その売上機会喪失による損害を回復するためには,被告製品3と実質的にセット販売され,同製品のOSが実質的にプレインストールされているのと何ら変わるところがない被告表示器Aの販売数量を「侵害行為を組成した物」の譲渡数量と捉えるべきである。 そして,被告は,被告表示器Aを本件第1特許の登録時である平成17年7月22日から平成29年6月末までに,少なくとも68万4000台販売したから,上記(ア)a記載の金額をもとに計算すると,本件特許権1の侵害による原告の損害額は●(省略)●円とされる。 これに対し,本件特許権3の「侵害行為を組成した物」の譲渡数量とは,被告製 品4の頒布によって被告表示器Aにインストールされた本件発明3の機能がこれらの製品において発現された数,具体的には,トヨタ及び関連設備メーカーに売られた被告表示器Aの譲渡数量と解すべきであり,この数は少なくとも5万台である。 したがって,上記( れた本件発明3の機能がこれらの製品において発現された数,具体的には,トヨタ及び関連設備メーカーに売られた被告表示器Aの譲渡数量と解すべきであり,この数は少なくとも5万台である。 したがって,上記(ア)a記載の金額をもとに計算すると,本件特許権3の侵害による原告の損害額は●(省略)●円とされる。原告は,これらの一部5億円及びこれに 係る弁護士費用5000万円を請求する。 b 予備的主張特許法102条1項の損害額について,被告が開示した被告製品3の平成25年4月から平成29年12月末までの譲渡数量(別紙「被告製品3の販売数量・販売額」参照)を,原告の製品の単位当たりの利益(上記(ア)b記載の金額であ る●(省略)●円)に乗じて計算することを予備的に主張する。これによると,原- 73 -告の損害額は,少なくとも●(省略)●円となる。 (ウ) 原告の製品に対する本件発明1の寄与度原告の製品のうちDMシリーズは,本来の役割が本件発明1の回路モニタ機能を発揮することを付託された表示器である。そして,その機能が同製品固有の重要な機能としてカタログ(甲26)上でも大きく謳われており,当業者を誘引す る「追いかけモニタ」機能の効能も記載されており,故障復帰時間が大幅に短縮されることの実務上の効用に多大なものがあることは,ユーザであれば直ちに理解する。このことは,本件発明1が同製品における随一の機能として他社製品と差別化し,顧客吸引力の源泉となっていることを示す。したがって,DMシリーズの販売における本件発明1の寄与度は少なくとも90%を下回らない。 また,以上のことはFPシリーズについても同じであって,その製品における本件発明1の機能(ズームアップ検索機能)も他社製品との差別化要因 本件発明1の寄与度は少なくとも90%を下回らない。 また,以上のことはFPシリーズについても同じであって,その製品における本件発明1の機能(ズームアップ検索機能)も他社製品との差別化要因として,同製品の顧客吸引力の最も重要な源泉となっているから,その売上げにおける本件発明1の寄与度も90%を下回ることはない。 (エ) 被告の主張について まず,被告は被告製品3と原告の製品との間には市場における競合関係が全く存在しないと主張しているが,被告製品3のOSに係る部分は,被告表示器Aにインストールされることによって,本件発明1の機能を発揮するから,その限りで競合関係に立つと解釈できる。なお,被告製品3には描画ソフトも含まれているが,プログラマブル表示器用の描画ソフトは被告製品3の販売当時,既に公知慣用 のものであったから,その部分の被告製品3の売上げに対する寄与度は低く評価されるべきである。 また,被告は原告のシェアを指摘しているが,本件発明1の機能は他者の追随を許さない差別化要因であり,本件発明3の機能も特許の存在ゆえに他社は採用を回避しているか,潜在的に侵害者として原告による権利行使の対象となっている。本 件発明1及び3の機能を備えたプログラマブル表示器は原告と被告の製品のほかに- 74 -は存在しない。したがって,シェアを考慮する上での市場画定は被告と原告においてのみされるべきである。 そして,需要者,スペック,価格等において原告と被告の製品には大差がないから,特許法102条1項ただし書の事情はない。 (2) 本件特許権2及び4の侵害による損害について 被告が現在までに本件特許権2及び4の侵害により得た利益は,次のとおりと見込まれ,この額が原告が受けた損害の額と推定される の事情はない。 (2) 本件特許権2及び4の侵害による損害について 被告が現在までに本件特許権2及び4の侵害により得た利益は,次のとおりと見込まれ,この額が原告が受けた損害の額と推定される(特許法102条2項)。 ア本件特許権2期間特許登録日から平成27年8月末まで120か月対象製品(被告製品1,2及び3)の売上額年80億円 限界利益率 20%寄与率 10%被告の利益額 16億円イ本件特許権4期間特許登録日から平成27年8月末まで164か月 対象製品(被告製品3及び4)の売上額年2600万円限界利益率 20%寄与率 50%被告の利益額 3600万円(3) 原告の弁護士費用について 原告は,本件各特許権に係る侵害紛争の解決のために,少なくとも3億7860万円の弁護士費用を要した。該費用は,本件各特許権の侵害と相当因果関係のある損害である。 (被告の主張)(1) 被告製品3及び4の売上額等は下記(2)のとおりであり,また平成25年度 の原告の製品1台当たりの限界利益の額が●(省略)●円(DMシリーズ●(省略)- 75 -●円,FPシリーズ●(省略)●円)であったことは認める。原告のその余の主張は否認し,争う。 (2) 被告製品3及び4の売上額等ア被告製品3平成25年4月1日から平成29年12月までに被告が販売した被告製品3 の販売数及び販売額(売上額)は,別紙「被告製品3の販売数量・販売額」記載のとおりである(被告の販売数管理システムの最小区分が月毎であるため,平成25年4月1日からの販売数等を開示した。)。なお,カタログに記載されている参考標準価格はエンドユーザの購入金額として想定 載のとおりである(被告の販売数管理システムの最小区分が月毎であるため,平成25年4月1日からの販売数等を開示した。)。なお,カタログに記載されている参考標準価格はエンドユーザの購入金額として想定した価格にすぎない。 また,被告製品3の限界利益率は,別紙「被告の変動費の内訳,加重平均値及び 限界利益率」の(3)記載のとおり,●(省略)●%である。 イ被告製品4被告は合計8社(原告も含む。)に対して被告製品4を頒布したが,いずれも無償であったから,その売上額は0円である。 (3) 特許法102条2項に基づく主張について アそもそも,排他的独占権に着目した擬制を認めた特許法102条2項を,擬制の前提となる関係性を欠く間接侵害に適用することはできない。 また,本件特許1及び3のいずれについても,被告による被告表示器Aの譲渡は,同項の「その侵害の行為」に該当しない。また,本件特許3については,被告による被告製品3の譲渡等は,同項の「その侵害の行為」に該当しない。したがって, これらによって被告が得た利益の額を原告の損害額と推定すべきとの原告の主張には理由がない。 イ間接侵害が成立するのは,被告が主観的要件を具備して行った被告製品3及び4の生産,譲渡等のみである。そして,主観的要件を具備することは原告に立証責任があるが,何ら立証されていない。 ウ回路モニタ機能の使用割合- 76 -被告製品3を使用する場合であっても,他社製のシーケンサ等に接続する表示器のプロジェクトデータを作成する場合や,回路モニタ機能に対応していない表示器のプロジェクトデータを作成する場合,回路モニタ機能を表示器にインストールしない場合には,本件発明1の実施品が生産されることはない。 そして,上述したと 場合や,回路モニタ機能に対応していない表示器のプロジェクトデータを作成する場合,回路モニタ機能を表示器にインストールしない場合には,本件発明1の実施品が生産されることはない。 そして,上述したとおり,被告製品1-2におけるオプション機能ボードの登載 割合は約4分の1であり,またこれを購入するユーザの約4分の3はメモリの増設を目的としていた。そして,オプション機能ボードを導入しても,被告製シーケンサ等と接続しなければ回路モニタ機能は利用できないところ,当時のそのシェアは約50%であった。以上から,同製品において回路モニタ機能が利用されている割合は最大でも約32分の1であり,これはその他の製品でも同様と考えられる。 エ被告製品3における本件発明1の寄与度について本件発明1の特徴的技術手段として考えられるものとしては,回路モニタ機能全体ではなく,そのうち入出力要素を直接タッチして指定することによって対応する入出力要素の検索を行うことができるという点である(本件発明1は回路モニタ機能そのものの発明ではない。)。そうすると,特許法102条2項の推定を用い るためには,被告製品3の販売価格に適切な寄与度を乗じるべきである。 具体的には,被告製品3に占める回路モニタ機能のデータ量(約1万分の13),プログラムのライン数(約1万分の15)に加え,上記特徴的技術手段の顧客への訴求力は極めて低いこと,それはアラームリスト機能を経由せずに,本件発明1とは無関係に使用される場合もあること,本件発明1の価値は技術的にも商業的にも 高くないことを考慮すべきであり,以上を考慮すると,寄与度は多く見積もっても1万分の1(上記ウを考慮すると32万分の1)を超えない。 (4) 特許法102条1項に基づく主張についてア 高くないことを考慮すべきであり,以上を考慮すると,寄与度は多く見積もっても1万分の1(上記ウを考慮すると32万分の1)を超えない。 (4) 特許法102条1項に基づく主張についてア特許法102条2項と同じく,同条1項も間接侵害に適用することはできない。 - 77 -また,本件で「特許権の侵害行為を組成した物」に該当し得るのは本件特許1については被告製品3,本件特許3については被告製品4であるから,被告製品1及び2はこれに当たらない。 さらに,「侵害の行為がなければ販売することができた物」とは,侵害品と市場において競合関係にある権利者の製品と解されているところ,被告製品3及び4はソ フトウェアであるのに対し,原告はハードウェアとソフトウェアを別個に販売していないから,原告の製品とは競合関係になく,原告の製品が被告表示器を代替することもできないから,原告の主張は主張自体失当である。 イ間接侵害が成立するのは,被告が主観的要件を具備して行った被告製品3及び4の生産,譲渡等のみである。そして,主観的要件を具備することは原告に 立証責任があるが,何ら立証されていない。 ウ原告の製品の販売価格のうちソフトウェアが占める割合及び損害額被告製品の方をハードウェアとソフトウェアの一体として販売したと仮定して販売価格を算定し,販売価格全体に占めるソフトウェアの割合を算定すると,被告製品1-1のカタログ参考価格の平均値は31万9800円,被告製品3-1の 単体ライセンス品のカタログ参考価格は●(省略)●万円である。そして,実販売価格で計算しても値引き率に大きな差はないと考えられる。 また,平成26年の被告表示器の販売数量(国内)は約●(省略)●台であり,同年の被告製品3の累計販売 は●(省略)●万円である。そして,実販売価格で計算しても値引き率に大きな差はないと考えられる。 また,平成26年の被告表示器の販売数量(国内)は約●(省略)●台であり,同年の被告製品3の累計販売数は●(省略)●枚であるから,1枚の被告製品3は約60台の被告表示器にインストールされている。 したがって,仮に被告製品をハードウェアとソフトウェアを一体として販売すると仮定した場合,カタログ参考価格の平均値はハードウェアの31万9800円に被告製品3の1台当たりの価格500円を加えた32万0300円となる。このとき,全体の価格に占めるソフトウェアの割合は,約0.16%であり,この割合は原告の製品においても同程度と推測される。 - 78 -そして,原告の製品のソフトウェア部分に対して顧客が支払っていると想定される価格から原告の製品のソフトウェア部分の変動費を差し引いて限界利益を直接算定すると,少なくともハードウェアのメモリにソフトウェアを書き込むための費用が変動費に該当し,通常,この書込費用は1台あたり数百円であるから,原告の製品のソフトウェア部分のみの限界利益は,原告の製品の販売価格×0.16%-書 込費用となり,これに被告製品3の譲渡数量を乗じた金額が原告に生じた損害の額である。 仮に,原告の製品のソフトウェア部分の変動費が算定できない事情があるならば,それは特許法102条1項を適用すべきでない追加的な理由となるべきである。それでも,無理を承知で限界利益を算定するならば,変動費についても販売価格と同 程度の割合であると仮定して,原告の製品のソフトウェア部分のみの限界利益を原告の製品の限界利益×0.16%として算出するほかはない。この場合,原告に生じた損害は,「原告の製品の限界利益×0.16%×被告製品3の譲 ると仮定して,原告の製品のソフトウェア部分のみの限界利益を原告の製品の限界利益×0.16%として算出するほかはない。この場合,原告に生じた損害は,「原告の製品の限界利益×0.16%×被告製品3の譲渡数量」となる。 エ特許法102条1項ただし書の適用(予備的主張)(ア) 上述したことを踏まえると,被告製品3が「侵害の行為を組成した 物」に該当し,かつ,被告製品3と原告の製品(又はそのソフトウェア部分)が競合することはないから,原告の譲渡数量の全部について,原告が販売することができない事情が存在する。 (イ) また,原告はPLC用表示器の市場において意味のあるシェアを有していない(甲31の39頁に記載されたシェアにおいて「その他」に含まれてい るから,5%以下である。)ところ,上述したとおり,本件発明1の技術的な特徴は極めて限定的なものであり,被告表示器における回路モニタ機能の利用割合は約32分の1と極めて低く,本件発明1の技術的な特徴が評価されているわけでもない。 したがって,被告製品3と原告の製品(又はそのソフトウェア部分)の競合関係を擬制したとしても,被告製品3の譲渡数量のうち約3%(約32分の1)だけが 「侵害の行為を組成した物」に該当し,被告がこの約3%の被告製品3を販売しな- 79 -かったとしても,被告製品3の購入者のほとんどは,原告以外のメーカーに向かうことになり,原告の製品を購入することにはならない。以上より,特許法102条1項に基づく損害額は,被告製品3の譲渡数量の3%の5%,すなわち0.15%に原告の製品(又はそのソフトウェア部分)の単位数量当たりの利益の額を乗じた金額を超えることはない。 (ウ) さらに,特許法102条1項ただし書による推定の覆滅に当たっては,特許発明の貢 %に原告の製品(又はそのソフトウェア部分)の単位数量当たりの利益の額を乗じた金額を超えることはない。 (ウ) さらに,特許法102条1項ただし書による推定の覆滅に当たっては,特許発明の貢献度(寄与度)を考慮することが可能であり,次のとおりこれを考慮すべきである。 a 原告のDMシリーズにおける本件発明1の寄与度原告の製品のカタログ(甲26)の記載のうち本件発明1の特徴的技 術手段と関連するものは,「追いかけモニタ機能」の説明のみであり,この説明においてもコイルをタッチすることで対応する接点を検索すること(接点検索)は記載されていないし,宣伝広告活動においても同機能は重視されていない。そして,本件発明1の構成のうち従来技術になかった構成はわずかであることを考慮すると,原告のDMシリーズにおけるソフトウェアの寄与度は高くても10%を超えること はない。 また,被告製品3における本件発明1の寄与度は,上述のとおり,高くても1万分の1であるが,原告の製品のソフトウェアには画面作成ソフトが含まれていないから,これを考慮すればさらに本件発明1の寄与度は低く,原告の製品のソフトウェアに占めるその寄与度は高くても0.1%を上回ることはない。 したがって,原告の製品全体に対する本件発明1の寄与度は0.01%を超えることはない。 b 原告のFPシリーズにおける本件発明1の寄与度原告は甲26の記載を指摘しているが,その記載は本件発明1の特徴的技術手段を意味しないし,「ズームアップ検索機能」も単に接点からコイルをタッ - 80 -チによって検索するという機能であり,本件発明1の特徴的技術手段ではなく,結局,その広告宣伝において,本件発明1の特徴的技術手段を何ら重視していな 」も単に接点からコイルをタッ - 80 -チによって検索するという機能であり,本件発明1の特徴的技術手段ではなく,結局,その広告宣伝において,本件発明1の特徴的技術手段を何ら重視していない。 したがって,DMシリーズと同様,FPシリーズにおける本件発明1の寄与度は,高くとも0.01%を上回ることはない。 18 争点7(本件特許権1又は3の間接侵害を理由とする被告製品3及び4の 生産,譲渡等の差止め及び廃棄を命じることの可否)(原告の主張)(1) 被告製品3について被告は被告製品3が本件発明1の実施に用いられることについて悪意であるから,間接侵害の成立要件を満たしているし,原告は被告製品3全体の差止め等を求 めなければ,本件特許権1の侵害からの救済を受けることができない。したがって,被告によるその生産,譲渡や使用許諾の差止め等を認めるべきである 。 (2) 被告製品4について被告製品4の生産,譲渡等の差止め等についても認めるべきである。 被告が被告製品4の頒布を終了しているとしても,同製品に格納されているのは 原告のソフトで作画した画面を変換するソフト(プログラム)であり,被告はユーザに対し,当該プログラム(物)を使用許諾(貸し渡し)しているから,少なくとも,原告は本件特許権3の侵害を理由として,当該使用許諾の差止請求権を有している。 (被告の主張) (1) 原告の主張は否認し,争う。 (2) 被告製品3には,被告製以外のPLCの表示装置として使用される被告表示器のプロジェクトデータの作成という明らかな適法用途が存在する。また,原告はいかなる場合に主観的要件が充足されるかを限定する合理的な基準を提示していないから,差止対象行為の特定が不十分で,明らかに過剰差止めを求めるもの タの作成という明らかな適法用途が存在する。また,原告はいかなる場合に主観的要件が充足されるかを限定する合理的な基準を提示していないから,差止対象行為の特定が不十分で,明らかに過剰差止めを求めるものであ るし,差止請求の請求原因としても,主張自体失当である。 - 81 -したがって,特許法101条2号の間接侵害を理由として,一般的に,被告製品3の生産,譲渡等を差し止めることはできないし,廃棄請求も認められるべきでない。 なお,原告は予備的請求をしているが,被告は被告製品3について特許法上の貸与を行っていないし,原告が特定する各機能にはいずれも適法用途が存在するから, 予備的請求においても過剰差止めの問題は何ら解消されていない。 (3) 被告は既に被告製品4の頒布を終了しており,今後も頒布等を行う予定はないから,その生産,譲渡等の差止めも廃棄も必要性がない。 第4 当裁判所の判断 1 争点5-1(本件特許1の無効理由-乙1ないし3による進歩性欠如)につ いて事案に鑑み,まず争点5-1について判断する。 (1) 本件発明1について本件明細書1(甲1の2)によれば,本件発明1の技術的意義は,次のとおりと認められる。 ア装置類の制御の為にプログラマブル・コントローラがよく用いられる(本件明細書1の【0001】)が,プログラマブル・コントローラで設備を制御している間に,異常現象が発生することがある(【0008】)。そのため,プログラマブル・コントローラには,種々の異常現象の発生をモニタするモニタ用のラダープログラムが用意されており,プログラマブル・コントローラがこの異常モニタ用の ラダープログラムを実行して異常現象の発生を検出すると,各種異常現象に割当てられている異常表示 るモニタ用のラダープログラムが用意されており,プログラマブル・コントローラがこの異常モニタ用の ラダープログラムを実行して異常現象の発生を検出すると,各種異常現象に割当てられている異常表示ランプ類を点灯させる(【0009】)。そして,従来のプログラマブル・コントローラでは,異常がおきたときにその異常の種類に対応する異常表示が行なわれるために,作業者は異常がおきた事実とおきた異常現象の種類を知ることができるが,それがなぜおきたかは表示されないため,従来のプログラマブ ル・コントローラでは,異常がおきた場合に,システムの保守担当者が予め用意さ- 82 -れているラダー回路図面集を参照しながら,異常表示を点灯させたラダー回路を発見し,そのラダー回路にしたがって異常をもたらした原因を探求していく(【0010】)。しかし,一般にラダー回路図面集は100頁以上に及ぶ分厚いものであり,①異常表示をもたらしたラダー回路を探すのに多大の時間を要する上,②真の異常原因を特定するまでにいくつかのラダー回路を探さなければならないことが多く, ラダー回路図面集から必要なラダー回路を探し出すまでに長い時間を浪費しやすいとの課題があった(【0011】)。 イそこで,本件発明1は,(ア)制御対象に異常現象が発生すると,表示装置は,発生した異常現象に対応する異常種類を表示し(構成要件1C),作業者が表示された1又は複数の異常種類から1の異常種類を指定すると,その指定された異常 種類に対応するラダー回路を表示すること(構成要件1D及び1E)により,作業者は異常がおきた事実とおきた異常の種類を知るだけでなく,その異常表示をもたらした入力要素をも知ることができ,速やかに復旧処理に取り組むことができ(【0013】,【0045】),(イ)因果関係の 業者は異常がおきた事実とおきた異常の種類を知るだけでなく,その異常表示をもたらした入力要素をも知ることができ,速やかに復旧処理に取り組むことができ(【0013】,【0045】),(イ)因果関係の連鎖が複数のラダー回路に亘る場合に,表示されたラダー回路の入力要素がタッチパネルを利用して指定されたときは,その指 定された入力要素を出力要素とするラダー回路が検索されて表示され,表示されたラダー回路の出力要素が指定されたときは,その指定された出力要素を入力要素とするラダー回路が検索されて表示されること(構成要件1F)により,真の原因を特定できるまで次々にラダー回路を読み出していくことができ,遡及しすぎた場合には戻ることができ,しかもその操作は,タッチパネルに手を触れるだけですみ, 極めて簡単である(【0015】,【0016】,【0042】,【0045】)。 (2) 乙1ないし3に記載されたGOT900についてア乙1の記載被告が発行した「三菱グラフィックオペレーションターミナル MELSEC-GOT 900シリーズ」(以下「GOT900」という。)の1998(平成 10)年11月版のカタログ(乙1)には,次の記載がある。なお,カタログの冒- 83 -頭には,「このカタログに使用している画面写真はハメコミ合成です。」との記載がある(乙1)。 (ア) 8頁にはGOTの特長が記載されており,その冒頭に「GOTならではの充実した保全機能」との記載があり,その下の「回路モニタ機能(MELSEC-A/FXCPU,モーションコントローラ対応)」という項目には,「デバイ ステストウィンドウにより,デバイス値の変更(設定値含)ができます。」,「GPPAと同等の検索機能やコメント付き表示ができます。ステッフ検索,デバ ンコントローラ対応)」という項目には,「デバイ ステストウィンドウにより,デバイス値の変更(設定値含)ができます。」,「GPPAと同等の検索機能やコメント付き表示ができます。ステッフ検索,デバイス検索,接点/コイル検索,1回路ブロック検索,回路END検索」,「要因検索機能により,故障の原因究明が迅速に行えます。コイルの非動作要因の接点を自動検索して表示する機能です。」との記載がされている。 (イ) 14頁にはGOT900の基本モニタが記載されており,冒頭に「故障箇所の発見から解析,復旧までを強力に支援します」との記載があり,その下には,「アラーム履歴機能」,「アラーム流れ機能」,「アラームリスト機能」について記載されている。 そのうち「アラーム履歴機能」に関する記載部分には,「発生日時/発生内容/復 旧・確認時刻を表示します。」と記載され,その下には,乙1の14頁の上図が掲載されている。 (ウ) 25頁には,「シーケンサCPUから見たGOTの扱い」の項があり,プログラマブル・コントローラに用いるGOT(表示操作装置)の扱い方が記載されている。 イ乙2の記載被告が平成10年11月に発行した「三菱グラフィックオペレーションターミナル GOTMELSEC」の「オペレーティングマニュアル」(乙2)の6-16頁ないし17頁には,アラーム履歴表示機能について記載され,「指定したビットデバイスのON状態,ワードデバイス値の条件成立時に発生時刻,コメントなど を履歴データとして表示する機能です。」と説明され,その後に次の内容が記載され- 84 -ている(乙2)。 (ア) (1)エラー内容の履歴表示「条件成立(エラー発生)した日時とコメントの履歴表を表示します。」と記載されている。 ,その後に次の内容が記載され- 84 -ている(乙2)。 (ア) (1)エラー内容の履歴表示「条件成立(エラー発生)した日時とコメントの履歴表を表示します。」と記載されている。 (イ) (2)エラー内容の詳細内容の表示(A975GOT/A970GO T/A960GOT使用時のみ)「ON状態(エラー発生)になったコメントについての詳細内容や処置方法をベース画面,ウィンドウ画面,コメントウィンドウに詳細表示することができます。」と記載され,別紙「乙2の図」記載の図(以下「乙2の図」という。)が掲載されている。 (ウ) (3)エラー内容の確認,復旧時間,累積時間,発生回数表示「ON状態(エラー発生)になったデバイスを確認した日時,復旧(ON状態→OFF状態)時刻を表示します。」と記載されている。 (エ) その下には,A975GOT,A970GOT及びA960GOTに関する「拡張機能およびその他行える機能」として,「ON状態,指定範囲内となっ たデバイスの該当デバイスを検索した状態で回路モニタ機能を起動することができます。」と記載されている。 ウ乙3の記載被告が平成10年11月に発行した「三菱グラフィックオペレーションターミナル GOTMELSEC」の「オペレーティングマニュアル(拡張機能・オ プション機能編)」(乙3)には,次の記載がある(乙3)。 (ア) 1-10頁ないし11頁(「概要」の章)の「回路モニタ機能の特長」という項目には,「作画ソフトにより回路モニタ機能のOSをGOTの内蔵メモリへインストールすることにより,シーケンサCPUのプログラムをラダー図形式でモニタすることができます。」と記載され,その下で「以下に,回路モニタ機能の特長 り回路モニタ機能のOSをGOTの内蔵メモリへインストールすることにより,シーケンサCPUのプログラムをラダー図形式でモニタすることができます。」と記載され,その下で「以下に,回路モニタ機能の特長 を示します。」として,次の内容が記載されている。 - 85 -a (1)回路記号によるモニタを実現回路モニタ画面の表示例が記載されており,その説明として,「1画面上に,最大8行(1行:最大11接点(12接点以上は,折返し表示))分のシーケンスプログラムを表示します。」と記載されている。 b (2)表示形式の切換え,デバイスコメント表示が可能 回路モニタ画面の表示例が記載され,その説明として,「シーケンサプログラムで使用しているデバイスのコメント(シーケンサCPUに書き込まれているコメント)を表示します。コメントを表示するとき,プログラムは3行分を表示します。」と記載されている。 (イ) 6-4頁ないし6-6頁(「各回路モニタ画面の操作」の章)の「回路 読出しの操作」という項目には,「シーケンサCPUから読み出した回路モニタの対象シーケンスプログラムを,回路モニタ画面に表示させる操作について説明します。」と記載され,その下で「操作手順」として,回路の読出し操作において,プログラムで使用しているデバイス,接点またはコイルを指定して読み出す場合には,タッチパネルにおいて「デバイス検索」,「接点検索」又は「コイル検索」のいずれかを タッチして,入力画面でデバイス名又はデバイス番号を入力することで,回路モニタ画面へ遷移させて回路ブロックを表示させる手順が示されている。そして,プログラムで使用しているデバイス,接点又はコイルを指定して読み出したときは,直前の回路モニタ画面に表示されていたステップ№以降 タ画面へ遷移させて回路ブロックを表示させる手順が示されている。そして,プログラムで使用しているデバイス,接点又はコイルを指定して読み出したときは,直前の回路モニタ画面に表示されていたステップ№以降のプログラムから,表示されていた直前までのプログラムを対象に,検索と読出しが行われること,回路モニタ 時に,デバイス検索,接点検索,コイル検索を行った場合,読み出した検索デバイスを含む回路ブロックのみを表示されることが記載されている。 (ウ) 6-7頁(「各回路モニタ画面の操作」の章)の「要因検索の操作」という項目には,「要因検索は,回路モニタ時にコイルがなぜON/OFFしているのか,その原因となる接点の導通/非導通の状態を,回路をさかのぼって検索してい きます。」と記載され,その下で「操作手順」として,次の内容が記載されている。 - 86 -(1)異常原因となっている回路ブロックを検索して回路表示します。 例:コイルY0030に接続されているバルブが動作しないときは,コイル検索でコイルY0030を検索して回路を表示させます。 (2)表示した回路画面でモニタをタッチして,回路モニタを実行します。 (3)メニューをタッチして表示された画面から要因検索をタッチします。 (4)デバイスを入力する画面が表示されますので,コイルがONしない原因となっている前条件の接点を検索デバイスとして入力します。 例:M120を指定します。(検索デバイスの入力は,「デバイス名,デバイス番号を入力」とされている。)(5)デバイスの検索を開始し,結果の回路画面を表示します。 エ乙1ないし3の開示内容(ア) 被告が主張する本件特許1の無効理由は,乙1ないし3に記載されている発明に基づくものであるところ,乙1ないし3は を開始し,結果の回路画面を表示します。 エ乙1ないし3の開示内容(ア) 被告が主張する本件特許1の無効理由は,乙1ないし3に記載されている発明に基づくものであるところ,乙1ないし3はそれぞれ別の刊行物である。 しかし,乙1は被告が発行したGOT900の1998(平成10)年11月版のカタログであり,乙2は,同じく被告が発行したGOT900に付属する作画ソフ トウェアであるSW1D5C-GOTR-PACK(乙1の32頁)のオペレーティングマニュアル(同月発行)であり,乙3はGOT-A900シリーズのオペレーティングマニュアル(同月発行)であり,いずれも同じGOT900の内容を説明した刊行物であるから,それらに接した当業者は,それらを一体のものとしてそこに記載された発明(GOT900)を認識すると考えられる。したがって,本件 では,乙1ないし3に記載された内容から一つの発明を抽出・認定することが許容されるというべきである。 (イ) 構成要件1Aないし1Cについて前記ア(ウ)の記載からすると,GOT900は,「制御対象を制御するプログラマブルコントローラにおいて用いられる表示装置」であることが記載されてい ると認められ,制御対象が機械,装置,設備等であることは当業者にとって明らか- 87 -である。 また,前記ア(イ),イ(ア)の記載からすると,GOT900は,制御対象の故障等のエラーを発見し,そのエラー内容を表示する機能を備えており,エラーの発生をモニタするプログラムを備え,そのプログラムでエラーの発生がモニタされたときにモニタされたエラー内容を表示するものであると認められる。 そして,上記の「エラ-」は本件発明1の「異常現象」に相当するから,乙1ないし3に記載されたGOT90 ラーの発生がモニタされたときにモニタされたエラー内容を表示するものであると認められる。 そして,上記の「エラ-」は本件発明1の「異常現象」に相当するから,乙1ないし3に記載されたGOT900は,構成要件1Aないし1Cの構成を備えていると認められる。 (ウ) 構成要件1Dについて前記イ(イ)及び乙2の図によれば,GOT900は,発生した複数のエラー 内容を画面に表示する状況下で,画面上のエラー内容の表示をタッチすることで,1つのエラー内容を指定するタッチパネルを備えていることが認められる。 そして,上記の「エラー内容」は本件発明1の「異常種類」に相当し,表示される「エラー内容」は「異常種類に係る異常名称」に相当するから,乙1ないし3に記載されたGOT900は,構成要件1Dの構成を備えていると認められる。 (エ) 構成要件1Eについてa 乙1の14頁の上図では,複数のアラーム内容が表示されたアラーム履歴機能の画面において,画面上のソフトキーを人差し指でタッチする絵が記載され,そこから矢印で,「詳細ウィンドウ表示」や「回路モニタ切替え」と記載された画面の記載がある。これからすると,GOT900では,複数のアラーム内容が 表示されたアラーム履歴機能の画面から,画面をタッチすることにより詳細ウィンドウ画面に切り換えたり,回路モニタ機能に切り換えたりする機能を備えていることが認められるが,この記載からは,複数表示されたエラー内容からどのようにして特定のエラー内容に対応する回路ブロックが表示されるのか明らかでない。乙2の図では,一つのアラーム内容欄を人差し指でタッチすると当該欄が反転表示され, 「詳細表示」と記されたソフトキーを人差し指でタッチすると,エラー内容の詳細- 表示されるのか明らかでない。乙2の図では,一つのアラーム内容欄を人差し指でタッチすると当該欄が反転表示され, 「詳細表示」と記されたソフトキーを人差し指でタッチすると,エラー内容の詳細- 88 -を表示する詳細表示画面が表示される旨が記載されていると認められるが,これと同じ操作が回路モニタ機能においてもなされるのかについては,明らかでないというべきである。 b ところで,前記ウ(ア)及び(イ)によれば,GOT900における「回路モニタ機能」とは,「シーケンサCPUのプログラムをラダー図形式でモニタする」 もので,その利用はエラー発生時に限られないものであり,「接点検索」はプログラムで使用している接点(本件発明1の「入力要素」に相当する。)を指定して,その接点が含まれる回路ブロック(本件発明1の「ラダー回路」に相当する。)を読み出して表示するもの,「コイル検索」は,プログラムで使用しているコイル(本件発明1の「出力要素」に相当する。)を指定して,そのコイルが含まれる回路ブロックを 読み出して表示するものであること,その場合の接点やコイルの指定は,デバイスを入力する画面でデバイス名又はデバイス番号を入力して行うことが認められる。 また,前記ウ(ウ)によれば,「要因検索」は,「コイルがなぜON/OFFしているのか」を調べるためのものであるから,エラーが発生している状況下で利用されるものと推認されるが,異常原因となっている回路ブロック(本件発明1の「異常現象 の発生をモニタしたラダー回路」に相当する。)を検索して回路表示をするには,例えば特定のコイルに接続されているバルブが動作しないときは,コイル検索で当該コイルを検索して回路を表示させるとされていることから,上記のコイル検索を使って,デバイスを入力する画面 表示をするには,例えば特定のコイルに接続されているバルブが動作しないときは,コイル検索で当該コイルを検索して回路を表示させるとされていることから,上記のコイル検索を使って,デバイスを入力する画面でデバイス名又はデバイス番号を入力して行うものであると認められる。 そして,前記イ(イ)と乙2の図からすると,GOT900のアラーム履歴表示機能では,複数のエラー内容が表示された画面が表示されているところ,前記イ(エ)では,GOT900の一部機種では,「ON状態,指定範囲内となったデバイスの該当デバイスを検索した状態で回路モニタ機能を起動することができます。」と記載されている。ここでの「ON状態,指定範囲内となったデバイス」とは,前記イ本文のとお り,アラーム履歴表示機能が「指定したビットデバイスのON状態,ワードデバイ- 89 -ス値の条件成立時に発生時刻,コメントなどを履歴データとして表示する機能です。」とされていることからすると,エラーの発生を検知する状態となったデバイスを意味すると認められる。そして,そ「の該当デバイスを検索した状態で回路モニタ機能等を起動する」とは,前記ウ(ウ)での要因検索の操作手順を参酌すると,エラーの発生を検知する状態となったコイルを検索して異常原因となっている回路ブロック を表示させた状態で,回路モニタ機能を実行することを意味するものと認められる。 したがって,前記イ(エ)の記載は,複数のエラー内容が表示された画面からこれらの操作を経て回路モニタ機能を起動することができる旨を記載していることになる。 これらからすると,GOT900において,エラー発生時に異常の原因となっている回路ブロックを検索して表示するには,ユーザ自らが,調査対象とする特定の 異常の原因となっている回路ブロック中 これらからすると,GOT900において,エラー発生時に異常の原因となっている回路ブロックを検索して表示するには,ユーザ自らが,調査対象とする特定の 異常の原因となっている回路ブロック中のコイルとして検索するデバイス名又はデバイス番号を入力する必要があると認めるのが相当であり,アラーム履歴表示機能の画面で複数のエラー内容が表示されている場合に回路モニタ機能を起動する場面についても,そのうちの一つのエラー内容欄をタッチして指定すると当該エラーの原因となった回路ブロックが自動的に検索表示されるものであるとは認められない。 c 以上によれば,構成要件1Eと乙1ないし3に記載されたGOT900とは次の点で相違し,その余は一致する。 (相違点1)表示された1又は複数の異常種類から1の異常種類に対応する異常現象の発生をモニタしたラダー回路を表示するに当たり,本件発明1(構成要件1E)では,「異常種類が当該タッチにより指定されたときにその指定された 異常種類に対応する異常現象の発生をモニタしたラダー回路を表示する」ものであるのに対し,乙1ないし3に記載されたGOT900では,「ユーザ自らが,調査対象とする特定の異常の原因となっている回路ブロック中のコイルとして検索するデバイス名又はデバイス番号を入力したときにその指定されたコイルを含む回路ブロックを表示する」ものである点。 (オ) 構成要件1Fについて- 90 -これまで認定したところに加え,前記ウ(ウ)によれば,GOT900は,ユーザ自らが,調査対象とする特定の異常の原因となっている回路ブロック中のコイルとして検索するデバイス名又はデバイス番号を入力して,その指定されたコイルを含む回路ブロックを表示した後,「要因検索」を選 ーザ自らが,調査対象とする特定の異常の原因となっている回路ブロック中のコイルとして検索するデバイス名又はデバイス番号を入力して,その指定されたコイルを含む回路ブロックを表示した後,「要因検索」を選択し,コイルがONしない原因となっている前条件の接点のデバイス名又はデバイス番号を入力すると,当該接点 をコイルとする回路のうち,同回路中の接点が非導通となっているものを表示することにより,原因となる接点の非導通の状態を回路ブロックを遡って検索できること,また,「コイル検索」を用いれば,そうして表示された回路ブロック中のコイルを接点とする回路ブロックを検索して表示することができること,それらの「要因検索」や「接点検索」においては,接点やコイルとして検索するデバイス名又はデ バイス番号を入力することにより検索対象とする接点を指定することが認められる。 そして,前記のとおり,上記の「接点」は本件発明1の「入力要素」に相当し,「コイル」は本件発明1の「出力要素」に相当するから,構成要件1Fと乙1ないし3に記載されたGOT900とは次の点で相違し,その余は一致する。 (相違点2)表示されたラダー回路の入出力要素を指定する方法が,本 件発明1(構成要件1F)では,「表示されたラダー回路の入出力要素のいずれかをタッチして指定する」というものであるのに対し,乙1ないし3に記載されたGOT900では,「接点及びコイルとして検索するデバイス名又はデバイス番号を入力することにより検索対象とする接点及びコイルを指定する」という点。 (3) 相違点1及び2の容易想到性 ア被告は,異常種類及び入出力要素の指定手段を入出力要素のタッチとすることは設計事項にすぎないと主張し,その根拠として,遅くとも平成11年6月時点におい 相違点1及び2の容易想到性 ア被告は,異常種類及び入出力要素の指定手段を入出力要素のタッチとすることは設計事項にすぎないと主張し,その根拠として,遅くとも平成11年6月時点において,接点を直接タッチすることでコイル検索を実行することは公知となっていたこと(乙11)を挙げている。 そこで,以下,乙11の記載内容について検討する。 イ乙11は平成11年6月に発売が開始されたシャープ株式会社の液晶コ- 91 -ントロールターミナル「ZM-42/52/72/82シリーズ」のユーザーズマニュアル(ラダーモニタ編)(初版・2000(平成12)年2月作成)であるところ,これには次の記載がある(乙11,12。以下,乙11に記載された発明を「乙11発明」という。)。 (ア) 1・1頁には,液晶コントロールターミナルZM-42/52/72 /82シリーズの液晶ディスプレイ上に,設備保全を主目的とするプログラマブルコントローラーのラダー回路を表示することが可能であること,指定されたコイル№が含まれる1ネットワークのラダープログラムを検索し,ラダー図構築後に表示すること,動作としては回路モニタのみであることが記載されている。 (イ) また,同頁には,その特長として,次の内容が記載されている。 a スクリーン上に配置したスイッチのランプメモリアドレスのコイルを検索し,そのコイルが含まれる1ネットワークのラダー図をオーバーラップ画面上に表示する。 b スクリーン上のテンキースイッチから任意のコイル番号を入力指定し,そのコイルが含まれる1ネットワークのラダー図をオーバーラップ画面上に表 示する。 c 表示されたラダー図の接点をタッチすることにより,カーソルが から任意のコイル番号を入力指定し,そのコイルが含まれる1ネットワークのラダー図をオーバーラップ画面上に表 示する。 c 表示されたラダー図の接点をタッチすることにより,カーソルが移行しその接点のシンボル・コメントが登録されていれば,シンボル・コメントをラダー図の下1行に表示する。カーソルがタッチした接点へ移行後に再度接点をタッチすると,その接点のコイルを検索し見付かった場合,そのコイルが含まれる1ネ ットワークのラダー図を表示する。 d 接点タッチで移行した別のラダー図から1回前に検索されたラダー図に戻ることが可能である。 e 表示されたラダー図の前回路,次回路を表示できる(1ネットワーク毎)。 f 接点の前/次検索が可能である。 - 92 -g 稼働中のPCにおいて,ラダー回路表示に至るまでの操作手順が簡単であるため,設備の状態の把握,設備停止要因の確認などに威力を発揮する。 (ウ) 6・1頁は「ラダーモニタ表示」の項目であり,そこには「ラダーモニタ表示の概要」として,「スクリーン上に設定されたテンキー入力画面からコイル№を入力することで,オーバーラップ画面にラダーモニタ表示を行えます。」と記載 され,その下には「NC異常」等と表示されたランプが多数表示された異常表示画面の図が掲載され,その上には「異常表示画面にてランプをタッチ」と記載され,その右側にはラダー図が掲載され,その上に「ラダー図をオーバーラップ表示」と記載され,両図の間には右向きの矢印が記載されている。 (エ) また,同頁には,「ラダーモニタ表示の表示指令」として,「ラダーモ ニタ画面を表示させる方法として下記方法があります。」と記載され,次の内容のほか応用例が列記されている。そ ている。 (エ) また,同頁には,「ラダーモニタ表示の表示指令」として,「ラダーモ ニタ画面を表示させる方法として下記方法があります。」と記載され,次の内容のほか応用例が列記されている。そして,上記(イ)cと同様の説明が記載され,再度カーソルをタッチ(2回目)することにより,その接点のコイルを検索実行すること,コイルが存在する場合は,そのコイルが含まれるラダー図の表示を行う。 a スイッチ(ランプメモリ設定)を画面上に配置し,そのスイッチを タッチすることによりランプメモリのコイル番号が含まれる1ネットワークのラダー回路を検索し,オーバーラップ画面上にラダーモニタを表示させる方法b テンキー入力画面から任意のコイル番号を指定することで,コイル番号が含まれる1ネットワークのラダー回路を検索し,オーバーラップ画面上にラダーモニタを表示させる方法 (オ) さらに,同頁には,「ラダーモニタ表示の形態」として,「ラダーモニタ表示を行う場合,その表示形態としてコールオーバーラップを使用します。」,「使用するコールオーバーラップ画面上には,ラダー図上の接点をタッチすることによりコイル検索を実行するための接点スイッチを配置(透明)してます。」と記載されている。 ウ相違点1について- 93 -上記イ(ア)によれば,乙11に記載された液晶コントロールターミナルは,プログラマブルコントローラにおいて用いられる表示装置であること(本件発明1の構成要件1A)が認められる。また,上記イ(イ),(ウ)及び(エ)aによれば,乙11の表示装置では,「NC異常」等の異常状態の名称が記された複数のランプが表示されており,これが「ランプ」であることからすると,そこに記された名称に対応する 異常状態が発生すると点 よれば,乙11の表示装置では,「NC異常」等の異常状態の名称が記された複数のランプが表示されており,これが「ランプ」であることからすると,そこに記された名称に対応する 異常状態が発生すると点灯するものであると推認される(本件発明1の構成要件1C。したがって,当然,異常状態の発生をモニタするプログラム[本件発明1の構成要件1B]も備えていると推認される。)ところ,そのランプ表示された異常状態画面において,各ランプ(ランプメモリが設定されたスイッチでもある)をタッチすると,各ランプ(スイッチ)に設定されているランプメモリのコイル番号が含ま れる1ネットワークのラダー回路を検索し,画面上にそのラダー回路を表示させるものと認められるから,本件発明1の構成要件1Dに加え,相違点1に係る本件発明1の構成(構成要件1E)が開示されていると認められる。 そして,乙11に記載されたこの機能は,本件発明1の構成要件1Eと同じく,プログラマブルコントローラにおいて用いられる表示装置において,異常状態発生 時に表示された異常種類に対応する異常現象をモニタしたラダー回路を表示するものであり,その操作方法を上記認定のものとすることにより「ラダー回路表示に至るまでの操作手順が簡単である」(上記イ(イ)g)との作用効果も記載されているから,乙11発明の上記の構成を乙1ないし3に記載されたGOT900に適用する動機付けがあるといえる。 したがって,相違点1は,乙1ないし3に記載されたGOT及び乙11発明から当業者が容易に想到し得たものである。 エ相違点2について以上の認定によれば,乙11には,上記ウのようにして画面上に表示されたラダー図の接点をタッチパネル上でタッチすると,その接点のコイルが検索され, そのコイルが含ま エ相違点2について以上の認定によれば,乙11には,上記ウのようにして画面上に表示されたラダー図の接点をタッチパネル上でタッチすると,その接点のコイルが検索され, そのコイルが含まれる1ネットワークのラダー図が表示される構成が開示されてお- 94 -り,ここでいう「接点」及び「コイル」は,それぞれ本件発明1の構成要件1Fの入力要素及び出力要素に相当すると認められる。したがって,乙11には,相違点2に係る構成要件1Fのうち,「表示されたラダー回路の入力要素をタッチして指定する」構成と,「表示されたラダー回路の入力要素が当該タッチにより指定されたときにその入力要素を出力要素とするラダー回路を検索して表示」する構成は開示さ れており,上記ウと同様,この構成を乙1ないし3に記載されたGOT900に適用する動機付けもあるといえる。 しかし,構成要件1Fは,「表示されたラダー回路の出力要素をタッチして指定する」構成,「表示されたラダー回路の出力要素が当該タッチにより指定されたときにその出力要素を入力要素とするラダー回路を検索して表示する」構成も内容として いるところ,乙11には,1回前に検索されたラダー図に戻ることが可能であること(前記イ(イ)d),表示されたラダー図の前回路,次回路を表示できること(同e),接点の前/次検索が可能であること(同f)が記載されているものの,その具体的方法は記載されておらず,オーバーラップ画面上に表示されたラダー図のコイルをタッチパネル上でタッチすると,そのコイルの接点が検索され,その接点が含まれ る1ネットワークのラダー図が表示される構成は何ら開示されていないし,示唆もされていない。 そして,本件発明1の構成要件1Fの構成のうちこの構成は,ラダー回路を遡及側へ追求することがで る1ネットワークのラダー図が表示される構成は何ら開示されていないし,示唆もされていない。 そして,本件発明1の構成要件1Fの構成のうちこの構成は,ラダー回路を遡及側へ追求することができることを前提に,それだけでなく,「遡及しすぎた場合には戻ることができるために,この操作盤は極めて使いやすく,異常時の復旧処理を効 果的に実施することを可能とする」(本件明細書1の【0042】)という作用効果を奏するものである。 そうすると,出力要素をタッチして指定することや,出力要素がタッチされたときにその出力要素を入力要素とするラダー回路を検索して表示することが設計事項にすぎないと認めることはできない。 オしたがって,被告の上記主張は採用できないから,乙1ないし3に記載- 95 -されたGOT900において,相違点2に係る構成とすることが想到容易であるということはできない。 (4) 以上より,本件特許1について,乙1ないし3による進歩性欠如の無効理由があるとはいえない。 なお,被告は従前,本件第1特許に係る訂正前の特許について,乙1と同内容の 公然実施を理由とする新規性・進歩性欠如を主張していたが,本件第1特許の特許請求の範囲が訂正され,乙1ないし3に記載されたGOT900と本件発明1との新たな相違点が生ずることになったことと同じく,公然実施の主張との関係でも新たな相違点が生ずることとなった。したがって,公然実施による新規性・進歩性欠如の無効主張との関係でも,以上の判示が妥当するから,その無効主張には理由が ない。 2 争点1-1(被告表示器A,被告製品3の製造,販売等の行為は本件特許権1の直接侵害行為に該当するか)について(1) 本件特許権1との関係では,被告表示器Aについては, ない。 2 争点1-1(被告表示器A,被告製品3の製造,販売等の行為は本件特許権1の直接侵害行為に該当するか)について(1) 本件特許権1との関係では,被告表示器Aについては,回路モニタ機能やワンタッチ回路ジャンプ機能(以下,これらをまとめて「回路モニタ機能等」とい う。)が使用可能な場合があることを踏まえ,被告表示器A及び被告製品3の製造,販売等の行為について直接侵害が成立するかということが争われている。 そして,原告は,被告製品3に格納されているOSがインストールされた被告表示器Aが本件発明1の構成要件を充足する物であることを前提としていることから,そのような物が本件発明1の技術的範囲に属するかについて検討する。 (2) 証拠(甲5ないし9,11,12,14,15,17,乙8,17,18)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア 「三菱グラフィックオペレーションターミナル GOT1000シリーズ」(以下「GOT1000」という。)のカタログ(甲5)は,被告製品1や被告製品3-1等のカタログであるところ,これには次の記載がある。 (ア) 6頁には,「CASESTUDY1」という項目が設けられ,その冒- 96 -頭には「GOTSolution スピーディなトラブル対応に。設備設計の簡易化に,GOT1000。生産現場の抱える課題を,ズバッと解決。」と記載されている。そして,その「CASE1」として,「急なエラーへの対応に,GOT。現場だけでスピーディにトラブルシューティング。」と記載され,「ワンタッチ回路ジャンプ機能」について記載されている。そこでは,「『装置異常』や『ちょこっと停止』 などの原因をワンタッチで確認。装置のダウンタイム短縮が図れます。」,「画面 グ。」と記載され,「ワンタッチ回路ジャンプ機能」について記載されている。そこでは,「『装置異常』や『ちょこっと停止』 などの原因をワンタッチで確認。装置のダウンタイム短縮が図れます。」,「画面を数回タッチしていくだけで,異常の原因をサーチ可能!」,「事務所からパソコンやラダー回路図を持ってくる必要なし!」などと記載されている。 (イ) 12頁には,「CASESTUDY2」という項目が設けられ,その冒頭には「FASolution 多彩なFA機器活用での『コレって,できな いの?』。GOT1000との連携で,ここまで実現できます。」と記載されている。 そして,「CASE1」において,「制御装置を,想いのままに。」として,汎用シーケンサ「MELSEC」とGOT1000との連携について記載されている。 その中では,「シーケンサのプログラムを現場で使用する場合に!」として,「表示器でシーケンサのプログラムってモニタできないの?」という質問が記載され, その下に「回路モニタ機能」等と記載され,「シーケンスプログラムを回路図(ラダー形式)でモニタできます。」と説明されている。 また,「現場でトラブルの原因究明をする方法ってないの?」という質問が記載され,その下に「ワンタッチ回路ジャンプ機能」と記載され,「タッチスイッチにシーケンサのプログラム名とコイル番号を設定し,該当するコイルの回路ブロックを直 接表示できます。アラーム画面からスムーズなトラブル対応が可能です。」,「ワンタッチで,回路モニタまたはラダー編集画面にジャンプ」と記載されている。 (ウ) 保全作業者に向けて被告製品1の機能を説明した46頁には,「回路モニタ機能」の説明がされており,そこでは,「タッチ操作で故障原因をサクサク究明。 回路モニタが,さらに使いやすく されている。 (ウ) 保全作業者に向けて被告製品1の機能を説明した46頁には,「回路モニタ機能」の説明がされており,そこでは,「タッチ操作で故障原因をサクサク究明。 回路モニタが,さらに使いやすく進化!」という表題が付された上で,その中の 「ワンタッチ回路ジャンプ機能で故障原因を究明」という項目では,「タッチスイッ- 97 -チにシーケンサのプログラム名とコイル番号を設定し,該当するコイルの回路ブロックを直接表示できます。」との説明が記載された上で,その下には,「アラーム」と表示された異常の発生日時と異常内容が記載されたメッセージ等が表示された画面の図が掲載され,その若干右下に回路ブロックが表示された画面の図が掲載され,前者の図の下には,「ワンタッチで回路モニタ画面にジャンプ」と記載され,後者の 図の上には,「タッチスイッチに設定したコイルの回路ブロックを表示」と記載され,両図は右向きの矢印で関連付けられている。 また,そのさらに下の「広いモニタ範囲・便利な機能で保守作業も効率的に!」という項目では,「タッチするだけで,接点やコイルの検索が可能です。」として「タッチ検索」について記載されている。 (エ) 被告表示器1Aのその他の機能被告表示器1Aにおいて使用可能な機能には,回路モニタ機能等以外にも様々なものがあり,上記(ア)の「CASESTUDY1」では,ワンタッチ回路ジャンプ機能以外に,ラダー編集機能,FAトランスペアレント機能及びバックアップ/リストア機能が挙げられている。また,上記(イ)の「CASESTUDY2」 では,回路モニタ機能等よりも前に,FAトランスペアレント機能及びバックアップ/リストア機能が挙げられているほか,システムモニタ機能,インテリジェントユニットモニタ機 ASESTUDY2」 では,回路モニタ機能等よりも前に,FAトランスペアレント機能及びバックアップ/リストア機能が挙げられているほか,システムモニタ機能,インテリジェントユニットモニタ機能,ネットワークモニタ機能,ネットワークユニット状態表示等が挙げられている。 (オ) 被告製品1-1と被告製品1-2の機能の違い 被告製品1-1は,「Ethernetなど多彩な通信/機能をオールインワン」,被告製品1-2は,「ネットワークからスタンドアロンまで,幅広い活用範囲」と特徴付けられている(4頁)。 被告製品1-1の多くの機種には,被告製品1-2の多くの機種には搭載されない「マルチメディア機能」,「パソコンリモート操作機能」,「GOTリモートアクセ ス機能」,「CNC加工プログラム編集機能」,「MELSEC-Lトラブルシュート- 98 -機能」が搭載されている(78頁から79頁)。 また,後記キ(ウ)bのとおり,被告製品1-1には,被告製品1-2ではオプション機能ボードが必要な複数の機能が標準搭載されている(同上)。 (カ) GOT1000の表示器には,被告表示器1A以外に被告製品1-3や「GT-11シリーズ」及び「GT-10シリーズ」があり(後三者では,回路 モニタ機能を使用することはできない。),それぞれの画面サイズは被告表示器1Aが15型,12.1型,10.4型,8.4型,5.7型(被告製品1-1についてはさらに6.5型ハンディ)であるのに対し,被告製品1-3と「GT-11シリーズ」が5.7型とそのハンディ,「GT-10シリーズ」が5.7型,4.7型,4.5型,3.7型と記載されている(4頁から5頁)。 また,GOT1000の機能には,大きく分けて画面設計に関する機能 5.7型とそのハンディ,「GT-10シリーズ」が5.7型,4.7型,4.5型,3.7型と記載されている(4頁から5頁)。 また,GOT1000の機能には,大きく分けて画面設計に関する機能(仕様に関する機能,共通設定に関する機能,オブジェクト設定に関する機能及びその他の機能)と,保全機能があり,被告製品1-3では保全機能のほとんど(システムモニタ機能,バックアップ/リストア機能は除く。)が使用できないほか,「GT-11シリーズ」及び「GT-10シリーズ」では保全機能に加え,ほとんどの画面設 計のその他の機能のほとんど(「GT-11シリーズ」についてはシステムモニタ機能は除く。)が使用できない(78頁から79頁)。 そして,それぞれの参考標準価格(税抜。以下同じ。)は次のとおり記載されている(80頁)。 被告製品1-1:最も高額の機種は53万円,最も低額の機種は22万円 被告製品1-2:生産を終了した機種及び回路モニタ機能を使用できない機種を除き,最も高額の機種は43万円,最も低額の機種は22万円(なお,回路モニタ機能を使用できない機種は21万4000円から12万8000円)被告製品1-3 最も高額の機種は18万8000円,最も低額の機種は8万円 「GT-11シリーズ」及び「GT-10シリーズ」 最も高額の機種は- 99 -18万8000円,最も低額の機種は6万3000円(キ) 被告製品3-1の参考標準価格は次のとおり記載されている。なお,この他に複数ライセンス品(日本語版・英語版)もあるが,価格は不明である(82頁)。 単体ライセンス品(日本語版・英語版)●(省略)●万円 単体ライセンス品(バージョンアップ専用・日本語版) 1万5 (日本語版・英語版)もあるが,価格は不明である(82頁)。 単体ライセンス品(日本語版・英語版)●(省略)●万円 単体ライセンス品(バージョンアップ専用・日本語版) 1万5000円サイトライセンス品(同品1台につき,同一法人・同一事業所内に限り,200ライセンスまで登録可能なもの。日本語版) 4万円イ GOT1000の「本体取扱説明書(拡張機能・オプション機能編)」(甲6)には,次の記載がある。 (ア) 3-1頁以下には,「回路モニタ機能」について記載されており,「回路モニタは,接続機器内のシーケンスプログラムのモニタ,およびデバイス値の変更を行うことができます。シーケンサシステムのトラブル対応,メンテナンスを行うための保全作業の効率化を図るための機能です。」と説明された上で,その特長の1つとして,「回路記号によるモニタを実現」と記載され,「シーケンサCPUのプ ログラムをラダー図形式でモニタ」できることが記載されている。 また,その他の特長として,「オブジェクトとの連携強化」と記載され,その中で「ワンタッチ回路ジャンプ機能」について説明され,「ユーザ作成画面からオブジェクトをタッチするだけで,目的のデバイスの検索から表示までを行うことができます。」,「装置内を熟知したオペレータ以外でも,簡単な操作で確実に,装置の異常原 因を探ることができ,異常停止時間を短縮できます。」と記載されている(3-2頁)。 さらに,その次の頁(3-3頁)には,「タッチスイッチを押して,コイル検索した場合」の例が記載されており,そこでは,「運転動作フロー画面」と記載されたユーザ作成画面の図が掲載され,その運転動作フローのうち異常が発生した工程(リ フタ上昇)を人差し指でタッチする絵が記載され 」の例が記載されており,そこでは,「運転動作フロー画面」と記載されたユーザ作成画面の図が掲載され,その運転動作フローのうち異常が発生した工程(リ フタ上昇)を人差し指でタッチする絵が記載されている。その右側には右向きの矢- 100 -印が記載され,その上に「回路モニタ起動し,自動でコイルM53を検索」と記載され,その右側に表示器の画面の図が掲載され,その図の内容として,ラダー図が掲載され,「搬送前進動作M54に移行しない原因は,リフタ上端センサ(X10)がオンしないためであることが判明」との説明が記載されている。 (イ) 3-14頁には,ワンタッチ回路ジャンプ機能使用時の起動操作につ いて記載されており,「拡張機能スイッチ,拡張ユーザアラーム表示などを使用して回路モニタを起動し,シーケンスプログラムファイルの自動読出しや,デバイスの自動検索ができます。」と記載されている。 (ウ) 3-66頁以下には,「タッチ検索」について記載されており,「タッチ検索は,回路モニタ画面上に表示されている接点をタッチすると同じデバイスの コイルを検索し,コイルをタッチすると同じデバイスの接点を検索する機能です。 シーケンスプログラムの先頭から最終ステップまで検索できます。本機能は,通常の回路表示をしている場合,常に有効になります。」と記載された上で,操作手順の説明がされ,「接点タッチ→コイル検索の場合」には,画面上の接点をタッチすると,接点と同じデバイスのコイルが検索され,検索したコイルを含む1回路ブロックが 表示に追加されるなどと説明されている。また,「コイルタッチ→接点検索の場合」には,画面上のコイルをタッチすると,コイルと同じデバイスの接点が検索され,検索した接点を含む1回路ブロックが表示に追加されるなどと説 れるなどと説明されている。また,「コイルタッチ→接点検索の場合」には,画面上のコイルをタッチすると,コイルと同じデバイスの接点が検索され,検索した接点を含む1回路ブロックが表示に追加されるなどと説明されている。 ウ 「三菱グラフィックオペレーションターミナル GOT2000シリーズ」のカタログ(甲8)は,被告製品2や3-2等のカタログであるところ,これ には次の記載がある。 (ア) 24頁以下には,「機能紹介」という項目が設けられ,その中では,「パソコンなしでラダーモニタ&編集ができるシーケンスプログラムモニタ」と記載され,その下には,「トラブル発生時,パソコンがなくても現場でラダーを見ながら装置異常の原因を究明できます。」と記載されている(25頁)。 (イ) 被告表示器2Aのその他の機能- 101 -被告表示器2Aにおいて使用可能な機能には,回路モニタ機能等以外にも様々なものがあり,上記(ア)の「機能紹介」では,回路モニタ機能等よりも前に,バックアップ/リストアが挙げられているほか,被告製品2-3では使用できない機能であるシステムアラーム等が挙げられている(24頁,28頁)。 (ウ) 画面サイズは被告製品2-1が15型,12.1型,10.4型,8. 4型,5.7型,被告製品2-2が12.1型,10.4型,8.4型であるのに対し,被告製品2-3が4.3型,3.8型である(4頁ないし5頁)。 エ被告表示器2Aにおける回路モニタ機能等(又はこれに相当する機能)の操作手順等は,被告表示器1Aと同じであるが,ラダー図が表示された画面上で接点又はコイルをタッチすると,ウィンドウが現れ,Enterキーをタッチする と,回路の検索が開始される点が異なっている。 オ被告製品3-1 同じであるが,ラダー図が表示された画面上で接点又はコイルをタッチすると,ウィンドウが現れ,Enterキーをタッチする と,回路の検索が開始される点が異なっている。 オ被告製品3-1の「画面設計マニュアル(作画編1/2)」(甲7,17)には,次の記載がある。 (ア) 11-1頁には,「アラームとは,下記のアラームを表示する機能です。」と説明され,その下に「アラームの種類」として「GOTは,下記に示すアラ ームを検出可能です。」と記載され,その1つとして,「ユーザが作成したコメントをアラームメッセージとして表示する」ということが記載されている。そして,そこでは,「アラームの発生時に,ユーザが作成したコメントをアラームメッセージとして表示する機能です。(拡張ユーザアラーム監視,拡張ユーザアラーム表示,ユーザアラーム表示)ユーザが独自にアラームを作成して表示したい場合に使用します。」 と記載され,その下に,表示器を接続した機器の図が掲載され,その上に「M100:OFF→ON」,「M101:OFF→ON」と記載され,上記機器からケーブルでつながれた画面に「M100 温度異常」,「M101 ヒューズエラー」と記載されている。 (イ) 11-24頁には,「拡張ユーザアラーム表示」について,「アラーム 検出用として指定したデバイスの条件成立時(ビットOFF→ON時/ワードデバ- 102 -イス範囲)の発生時刻やコメントを,GOTの内臓メモリに保存して履歴の一覧を表示します。」と記載されている。 カ被告製品3-2の「画面設計マニュアル」(甲9)の9-2頁の「デバイスやシステムを監視してアラームを収集する([アラーム])」という項目には,上記オ(ア)と同様の記載があるほか,同様の図が掲載され 被告製品3-2の「画面設計マニュアル」(甲9)の9-2頁の「デバイスやシステムを監視してアラームを収集する([アラーム])」という項目には,上記オ(ア)と同様の記載があるほか,同様の図が掲載されている。 キ回路モニタ機能等の使用の可否及びこれを使用するために必要な操作等(ア) まず,被告表示器を使用するためには,次の操作が必要である。 a 被告製品3をパソコンにインストールする。 b 被告製品3に格納されているモニタ画面作成用の作画ソフトウェア「GTDesigner3」で被告表示器に表示するプロジェクトデータ(画面 データ,部品データ,アラーム設定等)を作成する。 c 作成したプロジェクトデータをUSBケーブル,CFカード(メモリカード)等で被告表示器に転送する。 (イ) 被告製品3には被告表示器のOSが格納されており,これには基本機能OSと拡張/オプション機能OSがある。被告表示器を表示器として機能させる ためには,少なくとも基本機能OSと通信ドライバのインストールが必要であり,プロジェクトデータの転送時にこれらが転送(インストール)される。 被告表示器で回路モニタ機能等を使用するためには,拡張/オプション機能OSのうちの回路モニタ機能等部分のインストールが必要であり,ユーザが被告製品3をインストールしたパソコンで,動作設定を「回路モニタ」とする拡張機能スイッ チが配置されたプロジェクトデータを作成した場合には,被告表示器にプロジェクトデータが転送される際に,拡張/オプション機能OSのうちの回路モニタ機能等部分が転送対象として自動的に選択され,ユーザが除外しない限り,これが被告表示器に自動的に転送される(CFカードを使用して転送する場合には,作成したプロジェクトデータ並びに基 うちの回路モニタ機能等部分が転送対象として自動的に選択され,ユーザが除外しない限り,これが被告表示器に自動的に転送される(CFカードを使用して転送する場合には,作成したプロジェクトデータ並びに基本機能OS及び拡張/オプション機能OSのうちの回路 モニタ機能等部分がCFカードに書き込まれ,CFカードを被告表示器に装着して,- 103 -被告表示器の電源を投入すると,それらが被告表示器にインストールされる。)。しかし,動作設定を「回路モニタ」とする拡張機能スイッチが配置されたプロジェクトデータを作成しない場合には,被告表示器にプロジェクトデータが転送される際に,拡張/オプション機能OSのうちの回路モニタ機能等部分が転送対象として選択されない限り,これが被告表示器に自動的に転送されることはない。 (ウ)a 被告製品1-1,被告表示器2Aにおいては,上記認定の各操作をすることによって回路モニタ機能等を使用することができる。ただし,回路モニタ機能等を使用することができるのは,被告が製造,販売する三菱シーケンサQ/QS/L/QnA/A/FXシリーズ,CNCC70,MELDASC6/C64及びGOT1000のカタログ(甲5)が発行された後に販売が開始されたiQ -Rシリーズに接続した場合のみである。これら以外のシーケンスプログラムが利用されている機器に接続しても,回路モニタ機能等は使用できず,他社のPLC等に接続することもできるが,その場合も回路モニタ機能等は使用できない。 b 被告製品1-2においては,まず画面サイズが5.7型の機種では,型式がGT1555-VTBDのものを除き,そもそも回路モニタ機能等を使用す ることはできないほか,その他の使用可能な機種でも,回路モニタ機能等を使用するためには サイズが5.7型の機種では,型式がGT1555-VTBDのものを除き,そもそも回路モニタ機能等を使用す ることはできないほか,その他の使用可能な機種でも,回路モニタ機能等を使用するためには,上記各操作をするのに加え,オプション機能ボード(このうち型番がGT15-FNBのものでは,ラダー回路表示画面に切り替えることはできるものの,その画面上で入出力要素の遡行検索ができないため,この機種を除く。)を購入して設置する必要がある(さらに,上記a記載の被告が製造,販売するPLC等に 接続する必要がある。)。そして,回路モニタ機能等に対応している被告製品1-2を購入した者の中には,オプション機能ボードを購入しなかった者もいた(その具体的な割合等については,後記(4)イ(イ)参照)。 なお,オプション機能ボードが提供する機能には,回路モニタ機能等以外に,ラダー編集機能,MESインタフェース機能,SFCモニタ機能,モーションSFC モニタ機能,マルチチャンネル機能(複数の機器との通信機能),ドキュメント表示- 104 -機能等があるほか,メモリが付属したオプション機能ボードもあり,これを購入して設置すると,メモリが増設される。 (3) 各構成要件の充足性の検討ア構成要件1Aについて前記第2の2(4)カで判示したとおり,被告表示器Aが構成要件1Aを充足す ることについては,当事者間に争いがない。 イ構成要件1Bについてこれについて,被告は,被告製品3の基本機能OSがインストールされた被告表示器Aには,プロジェクトデータで指定されたビットデバイスの値の変化をモニタするプログラムが格納されているにすぎず,何らかの条件に従ってビットデバ イスの値を変化させるのはPLCの機能であるから,「異常現 プロジェクトデータで指定されたビットデバイスの値の変化をモニタするプログラムが格納されているにすぎず,何らかの条件に従ってビットデバ イスの値を変化させるのはPLCの機能であるから,「異常現象の発生をモニタするプログラム」は存在しないとして,構成要件1Bを充足することを争っている。 まず,本件明細書1に記載された実施例では,プログラマブル・コントローラ本体20のRAM23に異常モニタ用ラダープログラムが記憶されており(【0020】),このラダープログラムにより,異常現象が起こると,起こった異常現象の種 類に対応する出力要素の動作状態を切換え(【0029】),他方,操作盤10は,所定のタイムインターバルで,プログラマブル・コントローラ本体20の,異常時に動作状態が切換えられる電磁リレー等に対応するRAM23のアドレスの内容を読み込むようにプログラムされており,異常現象が発生したのに対応して対応するアドレスのデータが変化したことを認識し,その異常データテーブルがRAM13に 記憶され(【0031】),これによって操作盤10が異常現象の発生をモニタしたときには,CPU11が表示パネル30に総合異常画面を表示する(【0036】)とされている。そして,構成要件1Bの「異常現象の発生をモニタするプログラム」は,構成要件1Aの「表示装置」が有するものであるから,上記の実施例では,操作盤10において,所定のタイムインターバルで,プログラマブル・コントローラ 本体20の,異常時に動作状態が切換えられる電磁リレー等に対応するRAM23- 105 -のアドレスの内容を読み込み,異常現象が発生したのに対応して対応するアドレスのデータが変化したことを認識し,その異常データテーブルがRAM13に記憶されるようにされたプログラムがこれ 105 -のアドレスの内容を読み込み,異常現象が発生したのに対応して対応するアドレスのデータが変化したことを認識し,その異常データテーブルがRAM13に記憶されるようにされたプログラムがこれに当たると解される。 そして,前記認定を踏まえると,被告表示器1Aにおける「アラームの発生」は,本件発明1の「異常現象の発生」に相当すると認められ,前記(2)オ(イ)で認定した 被告製品3-1の「画面設計マニュアル(作画編1/2)」の拡張ユーザアラーム表示に関する記載の内容に照らせば,被告表示器1Aにおいてアラームが表示されるのは,ユーザがアラーム検出用として指定したデバイスの条件が成立した時,すなわち,ビットがOFFからONになった時などである。そして,被告も被告表示器AにPLCからのビット変化(プロジェクトデータで指定されたビットデバイスの 値の変化)をモニタするプログラムが格納されていることは認めているところ,ビット(デバイスの値)の変化があった場合に,表示器(表示装置)においてそれをアラームとして表示するためには,表示器自体においてもPLCにおけるビットの変化を異常現象の発生と位置付けることが必要であるから,上記プログラムは異常現象の発生をモニタするものと認められ,これは本件明細書1での実施例において 操作盤10が有する前記のプログラムと同様のものである。そして,以上の認定は,被告製品1等のカタログ(甲5)において,回路モニタ機能について,「故障要因をサクサク究明」と説明されていることなどとも整合的である。これに反する被告の主張は採用できない。 そして,上記拡張ユーザアラーム表示に関する説明はアラーム検出に関する記載 であるから,ユーザアラーム表示や被告表示器2Aにおけるアラーム表示にも妥当すると認められる 主張は採用できない。 そして,上記拡張ユーザアラーム表示に関する説明はアラーム検出に関する記載 であるから,ユーザアラーム表示や被告表示器2Aにおけるアラーム表示にも妥当すると認められる。 したがって,回路モニタ機能等が使用可能な状態となった被告表示器Aは,構成要件1Bを充足する。 ウ構成要件1Cないし1Gについて 前記認定の事実によれば,被告表示器Aの回路モニタ機能においては,アラ- 106 -ームの発生時に,例えば,「M100 温度異常」,「M101 ヒューズエラー」という形で,ユーザが作成したコメントがアラームメッセージとして表示される(前記(2)オ(ア))。そして,ユーザ作成画面上のオブジェクトをタッチすると(被告も所定のプロジェクトデータ等がインストールされた被告表示器Aにおいて,異常名称をタッチによって指定することができることは認めている。),回路モニタが起動し, 回路モニタにおいては,表示器の画面に回路モニタ画面が表示され,そこには回路ブロック(ラダー図)が表示される(前記(2)イ(ア),(イ))。さらに,被告表示器Aでは,回路モニタ画面上に表示されている接点をタッチすると同じデバイスのコイルを検索し,コイルをタッチすると同じデバイスの接点を検索することができ(ワンタッチ回路ジャンプ機能),この「接点」は本件発明1の「入力要素」に,「コイ ル」は本件発明1の「出力要素」に相当し,いずれも回路ブロック(ラダー図)に表示されている(前記(2)イ(ウ))。 以上認定の各事実によれば,回路モニタ機能等が使用可能な状態となった被告表示器Aは,構成要件1Cないし1Fを充足する。そして,被告表示器Aは表示器であるから,構成要件1Gの「表示装置」に相当し,構成要件1Gも充足する。 ニタ機能等が使用可能な状態となった被告表示器Aは,構成要件1Cないし1Fを充足する。そして,被告表示器Aは表示器であるから,構成要件1Gの「表示装置」に相当し,構成要件1Gも充足する。 エ構成要件1F等に関する原告と被告の主張について(ア) まず,原告は構成要件1Fの充足について自白が成立していると主張している。 しかし,被告は被告表示器2Aを含め,入出力要素をタッチすることで検索対象を指定することができることを認めていたにとどまり,入出力要素のタッチとラダ ー回路の検索との間にEnterキーのタッチが介在していたとしても,構成要件1Fを充足するかは解釈問題である。そして,被告は構成要件1Fの充足性自体は争っていたのであるから(被告の準備書面(9)(平成29年1月23日付け)の10頁の7行目以下参照),被告表示器Aにおいてラダー回路の入出力要素の検索の際に入出力要素をタッチするという構成を備えているという事実だけでなく,同構成 要件の充足についてまで自白が成立していたとは認められない。 - 107 -(イ) 他方で,被告は,被告表示器2Aについては,入出力要素のタッチの後に,ウィンドウにおけるEnterキーのタッチが必要であるとして,構成要件1Fを充足しないと主張している。 確かに,被告主張の事実が認められることは前記認定のとおりであるが,構成要件1Fでは,「表示されたラダー回路の入力要素が当該タッチにより指定されたとき にその入力要素を出力要素とするラダー回路を検索して表示」する,「表示されたラダー回路の出力要素が当該タッチにより指定されたときにその出力要素を入力要素とするラダー回路を検索して表示する」と記載されているにとどまり,上記入出力要素の指定によって直ちに(それのみによって) ラダー回路の出力要素が当該タッチにより指定されたときにその出力要素を入力要素とするラダー回路を検索して表示する」と記載されているにとどまり,上記入出力要素の指定によって直ちに(それのみによって)ラダー回路の検索がされることまで求められていない。 そして,本件発明1の構成要件1Fの構成による作用効果(技術的意義)について,本件明細書1の【0016】には,「真の原因を特定できるまで次々にラダー回路を読み出していくことができる。しかもその操作は,タッチパネルに手を触れるだけですみ,極めて簡単である」と記載され,【0040】には,「作業者はこの機能を使って真の原因を探求する為にラダー回路を上流に遡行していくことができ, 因果関係の連鎖をシステムによってガイドされながら的確に原因を追求することができる」と記載され,【0045】には,「因果関係の連鎖が複数のラダー回路に亘る場合に,作業者がタッチパネルにタッチするだけで次々に関連するラダー回路を表示させることが可能となり,異常現象が複雑な場合の原因探索を極めて有効に支援することができ,原因探索時間が効果的に短縮化される」と記載されているとこ ろ,上記入出力要素の指定とラダー回路の検索開始との間にウィンドウにおけるEnterキーのタッチ程度の操作が介在しても,上記作用効果が奏されることには変わりない。また,本件明細書1の実施例でも,図5の総合異常画面中の点灯している個別異常名称をタッチすると,図6の「回路モニタしますか?」と確認する画面が表示され,その「はい」という場所にタッチすると,図7のラダー回路が表示 されることとされている(【0036】ないし【0038】)。 - 108 -したがって,上記ウィンドウにおけるEnterキーのタッチが介在したとしても,構成要 ,図7のラダー回路が表示 されることとされている(【0036】ないし【0038】)。 - 108 -したがって,上記ウィンドウにおけるEnterキーのタッチが介在したとしても,構成要件1Fの充足性は否定されない(構成の付加にすぎない)と解すべきである。 なお,被告は,構成要件1Eに関し,拡張ユーザアラーム表示では,異常名称のタッチに続いて「回路の表示」スイッチをタッチしなければ回路モニタが起動しな いとして,この場合は構成要件1Eを充足しないと主張している。しかし,これについても上記構成要件1Fの解釈と同じ解釈が妥当する(構成要件1Eの構成による作用効果(技術的意義)について本件明細書1の【0011】,【0013】及び【0045】参照。)から,被告の上記主張によって構成要件1Eの充足性は否定されない。 オ以上より,回路モニタ機能等が使用可能な状態となった被告表示器Aは,本件発明1の技術的範囲に属する。 なお,被告は,本件発明1の技術的範囲に属する物であるためには,所定のプロジェクトデータもインストールされた状態になっている必要があると主張する。確かに,実際に被告表示器が動作するには何らかのプロジェクトデータがインストー ルされる必要があるが,本件発明1においてプロジェクトデータ自体は発明特定事項とはされていないから,その技術的範囲に属する物としては,プロジェクトデータをインストールすれば回路モニタ機能等が使用できる表示装置であれば足り,プロジェクトデータ自体がインストールされている必要はなく,基本機能OSと拡張/オプション機能OSのうちの回路モニタ機能部分がインストールされていれば足 りると解するのが相当である(ただし,前記認定事実からすると,回路モニタ機能等を使用するプロジェクト 機能OSと拡張/オプション機能OSのうちの回路モニタ機能部分がインストールされていれば足 りると解するのが相当である(ただし,前記認定事実からすると,回路モニタ機能等を使用するプロジェクトデータのインストールなしに,拡張/オプション機能OSのうちの回路モニタ機能部分がインストールされる事態が生じることは実際上は考え難いが,理論的には上記のとおりと解するのが相当である。)。 (4) 被告表示器A,被告製品3の製造,販売等の行為についての直接侵害の成 否- 109 -ア被告表示器Aはプログラマブル表示器であり,被告製品3はそれらにインストールするソフトウェアであり,前提事実(前記第2の2(4)エ)のとおり,被告表示器Aは被告製品3のソフトウェアがなければ作動せず,被告製品3のソフトウェアは被告表示器においてのみ有効に機能する関係にあると認められるから,ユーザがそれらの一方のみを使用することはないといえる。このため,原告は,①被 告表示器Aと被告製品3は,その販売形態にかかわらず,実質的には常にセット販売されていると評価すべきものであり(セット販売理論),また,②被告製品3のソフトウェアはユーザの下で必ず被告表示器にインストールされるのであるから,ユーザは被告の道具としてインストールを行うにすぎない(道具理論)として,被告表示器Aと被告製品3の各製造,販売等は,同一機会でされるものであるか否かを 問わず,被告製品3のOSがインストールされた被告表示器Aの製造,販売等と同視すべきであると主張する。 イ被告表示器A,被告製品3は,それらが個別に販売される場合はもとより,同一の機会に販売される場合であっても,被告製品3の基本機能OS及び拡張/オプション機能OSのうちの回路モニタ機能等部分のインス 被告表示器A,被告製品3は,それらが個別に販売される場合はもとより,同一の機会に販売される場合であっても,被告製品3の基本機能OS及び拡張/オプション機能OSのうちの回路モニタ機能等部分のインストールがいまだされ ない状態であるから,それらは直接侵害品(実施品)としての構成を備えるに至っておらず,それを備えるにはユーザによるインストール行為が必要である。 このような場合,確かに,ユーザの行為により物の発明に係る特許権の直接侵害品(すなわち実施品)が完成する場合であっても,そのための全ての構成部材を製造,販売する行為が,直接侵害行為と同視すべき場合があることは否定できない。 しかし,構成部材を製造,販売する行為を直接侵害行為(すなわち実施品の製造,販売行為)と同視するということは,ユーザが構成部材から実施品を完成させる行為をもって構成部材の製造,販売とは別個の生産行為と評価せず,構成部材の製造,販売による因果の流れとして,構成部材の製造,販売行為の中に実質的に包含されているものと評価するということであるから,そのように評価し得るためには,製 造,販売された構成部材が,それだけでは特許権の直接侵害品(実施品)として完- 110 -成してはいないものの,ユーザが当然に予定された行為をしてそれを組み合わせるなどすれば,必ず発明の技術的範囲に属する直接侵害品が完成するものである必要があると解するのが相当である。換言すれば,ユーザの行為次第によって直接侵害品が完成するかどうかが左右されるような場合には,構成部材の製造,販売に包含され尽くされない選択行為をユーザが行っているのであるから,構成部材を製造, 販売した者が間接侵害の責任を負うことはあっても,直接侵害の責任を負うことはないと解すべきである。 ウこのような観 され尽くされない選択行為をユーザが行っているのであるから,構成部材を製造, 販売した者が間接侵害の責任を負うことはあっても,直接侵害の責任を負うことはないと解すべきである。 ウこのような観点から本件の事実関係について検討すると,前記(2)キ(イ)で認定した事実によれば,被告表示器Aにおいて回路モニタ機能等を使用するためには,ユーザが,被告製品3をインストールしたパソコンで,動作設定を「回路モ ニタ」とする拡張機能スイッチが配置されたプロジェクトデータを作成する必要があり,拡張/オプション機能OSのうちの回路モニタ等部分が転送対象として自動的に選択されるのも,ユーザが上記のようなプロジェクトデータを作成した場合のみであると認められる。これを換言すれば,そもそもユーザによって上記のようなプロジェクトデータが作成されず,したがってこれが被告表示器Aにインストール されない場合には,ユーザが敢えて拡張/オプション機能OSのうちの回路モニタ等部分を転送対象として選択しない限り,被告表示器Aに回路モニタ機能等が備わることはないのである。 また,被告製品1-2については一部の機種では,そもそも回路モニタ機能等を使用できない。また,回路モニタ機能等が使用可能な機種についても,これを使用 するためにはオプション機能ボードを購入して設置する必要がある。そして,そもそもこれはオプションの部材であるから,ユーザがこれを購入して設置することが当然に予定されていると認めることはできないし,乙17及び18によれば,回路モニタ機能等に対応している被告製品1-2を購入した者のうち,オプション機能ボードを購入しなかった者が相当程度存したと認められる(原告は,乙17及び1 8は裏付け証拠がないから信用性を欠く旨主張するが,記載内容は一定の 被告製品1-2を購入した者のうち,オプション機能ボードを購入しなかった者が相当程度存したと認められる(原告は,乙17及び1 8は裏付け証拠がないから信用性を欠く旨主張するが,記載内容は一定の具体性を- 111 -持っており,その内容が不合理であることをうかがわせる事情も認められず,かえって,オプション機能ボードがまさにオプション品であることからすると,相当程度の者が購入しないというのは合理的であるから,具体的な割合はともかく,少なくともオプション機能ボードを購入しなかった者が相当程度存したと認められるという限度ではその信用性を認めるのが相当である。)。 なお,被告製品1-1では,回路モニタ機能等が標準装備されているが,前記(2)ア(オ)での認定のとおり,被告製品1-1は他の点でも被告製品1-2にない機能を有しており,特にラダー編集機能は,甲5のカタログでも回路モニタ機能等と並んで強調されているものであることからすると,被告製品1-1を購入する者が須く回路モニタ機能等を使用することを当然の前提としてこれを購入するとまで認める ことは困難である。そして,これらの事情は,被告表示器2Aについても妥当すると考えられる。 以上のことを踏まえると,被告が販売した被告表示器Aや被告製品3だけでは,直ちに本件発明1の直接侵害品(実施品)が完成するわけではないし,ユーザが被告表示器Aを被告製のPLCに接続した上で,被告製品3の拡張/オプション機能 OSのうちの回路モニタ機能等部分をインストールすることが必ず予定された行為であると認めることもできない。したがって,ユーザの行為によって直接侵害品が完成するかどうかが左右されるような場合に該当するといわざるを得ない。 エ以上に対し原告は,被告が被告製品1や2等のカタログ 認めることもできない。したがって,ユーザの行為によって直接侵害品が完成するかどうかが左右されるような場合に該当するといわざるを得ない。 エ以上に対し原告は,被告が被告製品1や2等のカタログにおいて,回路モニタ機能等を強調していることや,被告表示器Aが他の被告製品と比べて高額で あること等からすると,本件発明1を全く実施しないという使用態様が被告表示器Aと被告製品3のユーザの下で経済的,商業的又は実用的な使用形態としてあるとは認められないと主張している。 しかし,前記ウで述べた事情からすると,カタログで強調されているからといって,ユーザが必ず回路モニタ機能等を使用するとまで認めることはできない。原告 は,他の回路モニタ機能等を使用できない被告製品(被告製品1-3等)との価格- 112 -差も指摘するが,当該他の機種では回路モニタ機能等を使用することはできないものの,前記認定の被告表示器Aと他の機種との画面サイズや機能の違いを踏まえると,被告表示器Aを購入する者が回路モニタ機能等を使用することを当然の前提としてこれを購入するものであるとまで認めることもできない。 なお,原告は,他社が回路モニタ機能等を使用できない廉価な製品を販売してい ること(甲23,24)を指摘しているが,それと被告表示器Aや被告製品3とでは回路モニタ機能等以外の機能が異なっており,またハード面での差異や購入後のサポートの内容も異なっていること(甲5,23,乙17)などを踏まえると,原告のこの指摘によって上記事情が基礎付けられるともいえない。 以上より,本件発明1を全く実施しないという使用態様が,被告表示器Aと被告 製品3の経済的,商業的又は実用的な使用形態でないと認めることはできないから,原告の上記主張は採用できない。なお,原告は 上より,本件発明1を全く実施しないという使用態様が,被告表示器Aと被告 製品3の経済的,商業的又は実用的な使用形態でないと認めることはできないから,原告の上記主張は採用できない。なお,原告は東京地裁平成13年10月31日判決を引用しているが,本件と事案を異にするから,本件には妥当しないというべきである。 オ以上より,直接侵害の成立は認められない。したがって,仮に被告表示 器Aと被告製品3の販売行為を実質的にセット販売と評価し得るとしても,その販売行為をもって本件特許権1の直接侵害行為と評価することはできない。 (5) 以上より,被告による被告表示器Aと被告製品3の製造,販売等の行為は本件特許権1の直接侵害行為に該当しない。 3 争点1-2(被告表示器A,被告製品3の製造,販売等の行為は本件特許権 1の間接侵害行為に該当するか)について(1) 特許法101条1号の間接侵害の成否前記2(4)エで判示したように,本件発明1を全く実施しないという使用態様が,被告表示器Aと被告製品3の経済的,商業的又は実用的な使用形態でないと認めることはできない。なお,原告は,被告表示器Aや被告製品3のユーザにおいて,回 路モニタ機能等を全く使わずにそれらを使用し続けることはあり得ないと主張する- 113 -が,上記に照らしてそのような事態があり得ないとはいえない。 また,本件発明1は,「プログラマブル・コントローラにおいて用いられる表示装置」,すなわちPLCに接続される表示装置の発明であるところ,被告表示器AはPLC以外の機器にも接続可能であり,ユーザは被告製のC70シリーズの数値制御装置等と接続した場合にも回路モニタ機能等を使用することができる。それだけで なく,被告表示器Aは他社のPLCと接続する LC以外の機器にも接続可能であり,ユーザは被告製のC70シリーズの数値制御装置等と接続した場合にも回路モニタ機能等を使用することができる。それだけで なく,被告表示器Aは他社のPLCと接続することも可能であり,そのような接続をした場合には,そもそも回路モニタ機能等は使用できない。したがって,以上のような場合がある以上,必ずユーザによって直接侵害行為が惹起されるとは限らない。 そして,その他に被告表示器Aや被告製品3が本件特許権1の直接侵害品の生産 に「のみ」用いる物に当たることを基礎付けるに足りる事情も認められない。 したがって,特許法101条1号の間接侵害は成立しない。 (2) 特許法101条2号の間接侵害の成否ア前記認定事実によれば,被告表示器Aや被告製品3は本件特許権1の直接侵害品(実施品)「の生産に用いる物」に当たると認められるが,本件では,これ らが本件発明1「による課題の解決に不可欠なもの」に当たるかが争いとなっている。 イ特許法101条2号において,その生産,譲渡等を侵害行為とみなす物を「発明による課題の解決に不可欠なもの」とした趣旨は,同号が対象とする物が,侵害用途のみならず非侵害用途にも用いることができるものであることから,特許 権の効力の不当な拡張にならないよう,譲渡等の行為を侵害行為とみなす物(間接侵害品)を,発明という観点から見て重要な部品,道具,原料等(以下「部品等」という。)に限定する点にあり,そのために,単に「発明の実施に不可欠なもの」ではなく,「発明による課題の解決に不可欠なもの」と規定されていると解される。この趣旨に照らせば,「発明による課題の解決に不可欠なもの」とは,それを用いるこ とにより初めて「発明の解決しようとする課題」が解決されるような部品等, 可欠なもの」と規定されていると解される。この趣旨に照らせば,「発明による課題の解決に不可欠なもの」とは,それを用いるこ とにより初めて「発明の解決しようとする課題」が解決されるような部品等,換言- 114 -すれば,従来技術の問題点を解決するための方法として,当該発明が新たに開示する特徴的技術手段について,当該手段を特徴付けている特有の構成等を直接もたらす特徴的な部品等が,これに該当するものと解するのが相当である。 ウこの観点から,本件発明1において,従来技術の問題点を解決するための方法として新たに開示する,従来技術に見られない特徴的技術手段を検討すると, 前記1(1)のとおり,本件明細書1では,本件発明1は,プログラマブル・コントローラにおいて用いられる表示装置において,①異常表示をもたらしたラダー回路を探すのに,保守担当者が従来のラダー回路図を参照する方法では多大の時間を要すること,②真の異常原因を特定するためにいくつかのラダー回路図を探すのでは長い時間を浪費しやすいという課題について,(ア)異常種類がタッチにより指定された ときにその指定された異常種類に対応する異常現象の発生をモニタしたラダー回路を表示する手段を有するものとすること(構成要件1D及び1E)によって,上記①の課題を解決し,(イ)ラダー回路を表示する手段が,表示されたラダー回路の入出力要素のいずれかをタッチして指定するタッチパネルと,表示されたラダー回路の入力要素がタッチにより指定されたときにその入力要素を出力要素とするラダー回 路を検索して表示し,表示されたラダー回路の出力要素がタッチにより指定されたときにその出力要素を入力要素とするラダー回路を検索して表示する手段を含むものとすること(構成要件1F)によって,上記②の課題を解決した 表示し,表示されたラダー回路の出力要素がタッチにより指定されたときにその出力要素を入力要素とするラダー回路を検索して表示する手段を含むものとすること(構成要件1F)によって,上記②の課題を解決したものとされている。 しかし,前記1(3)ウ及びエで述べたとおり,本件発明1の構成は,構成要件1F の「表示されたラダー回路の入…力要素…をタッチして指定するタッチパネルと,表示されたラダー回路の入力要素が当該タッチにより指定されたときにその入力要素を出力要素とするラダー回路を検索して表示」する構成を除き,乙1ないし3に記載された発明(GOT900)に乙11発明を組み合わせることにより,当業者が容易に想到し得たと認められる上,乙11発明にも開示されていると認められる。 したがって,本件発明1において,本件発明1が新たに開示する特徴的技術手段- 115 -は,構成要件1Fのうち,「表示されたラダー回路の…出力要素…をタッチして指定するタッチパネルと」,「表示されたラダー回路の出力要素が当該タッチにより指定されたときにその出力要素を入力要素とするラダー回路を検索して表示する」構成であると認められる。 エ以上の認定を踏まえ,被告表示器Aや被告製品3が本件発明1「による 課題の解決に不可欠なもの」に当たるかをさらに検討する。 (ア) まず,被告表示器Aがこれに当たるかを検討すると,確かに,被告表示器Aは表示器(表示装置)で,本件特許1の特許請求の範囲に記載された部材であって,これはラダー回路を表示したり,入出力要素をタッチしてその検索結果を表示したりするなど,本件発明1の実施に必要な物ではある。 しかし,本件発明1の特徴的技術手段との関係についてみると,被告表示器Aは,被告製品3がインストールされたパソコンで,動 検索結果を表示したりするなど,本件発明1の実施に必要な物ではある。 しかし,本件発明1の特徴的技術手段との関係についてみると,被告表示器Aは,被告製品3がインストールされたパソコンで,動作設定を「回路モニタ」とする拡張機能スイッチが配置されたプロジェクトデータを作成することを前提に,被告製品3によってインストールされたプログラムで異常現象の発生がモニタされたときに,プログラムに従って,ラダー回路を表示し,そのタッチパネル上での入出力要 素をタッチしてその検索結果を表示するものにすぎない。すなわち,被告表示器Aはプログラムに従ってラダー回路等の表示やタッチパネル上のタッチや検索結果の表示を可能としているにすぎないが,これらは従来技術においても採用されていた構成にすぎない。 したがって,被告表示器Aは,本件発明1の特徴的技術手段を直接もたらすもの に当たるとは認められない。 (イ) 他方で,上記判示のとおり,被告製品3は,拡張/オプション機能OSのうちの回路モニタ機能等部分を格納しており,これが被告表示器Aにインストールされることによって,被告表示器Aにおいて回路モニタ機能等の使用が可能となるのである。 そうすると,被告製品3は,本件発明1の特徴的技術手段を直接もたらすもので- 116 -あると認められる。 したがって,被告製品3は本件発明1「による課題の解決に不可欠なもの」に当たる。 オそして,以上認定・判示した被告製品3の機能等に照らせば,被告製品3が日本国内において広く一般に流通しているものに当たると認めることはできな い。 この点に関連し,被告は,必要なプロジェクトデータ等をインストールした被告表示器Aでは,アラームリスト機能を経由せずにラダー回路を表示することができ,その 当たると認めることはできな い。 この点に関連し,被告は,必要なプロジェクトデータ等をインストールした被告表示器Aでは,アラームリスト機能を経由せずにラダー回路を表示することができ,その場合にも,ワンタッチ回路ジャンプ機能を使用することができるから,この機能は汎用的な機能であると主張している。 しかし,特許法101条2号が「日本国内において広く一般に流通しているもの」を間接侵害の対象物から除く趣旨は,市場において一般に入手可能な状態にある規格品や普及品まで間接侵害の対象とするのでは取引の安定性の確保の観点から好ましくないとの点にあるところ,被告製品3がそのようなものであるとは認められない。したがって,被告の上記主張を踏まえても,上記認定は左右されない。 カ主観的要件について(ア) 特許法101条2号においては,「発明が特許発明であること」(主観的要件①)及び発明に係る特許権の直接侵害品の生産に用いる「物がその発明の実施に用いられること」(主観的要件②)を知りながら,その生産,譲渡等をすることが間接侵害の成立要件として規定されている。 (イ) 主観的要件①についてa 被告は,本件発明1(本件特許1に係る発明)の存在を知った時期は,本件第1特許の特許請求の範囲を本件発明1に係る構成要件のように訂正することを認めるとの審決(甲20)がされたことを知った平成28年11月16日であると主張している。 そこで,まず,特許発明について特許請求の範囲の訂正があった場合には,訂正- 117 -後の特許請求の範囲に係る発明を知った時に主観的要件①を満たすことになるのか,それとも,訂正前の特許請求の範囲に係る発明を知っていれば,特許請求の範囲が訂正された後の発明との 訂正- 117 -後の特許請求の範囲に係る発明を知った時に主観的要件①を満たすことになるのか,それとも,訂正前の特許請求の範囲に係る発明を知っていれば,特許請求の範囲が訂正された後の発明との関係でも,主観的要件①を満たすことになるのかを検討する。 特許法101条2号が主観的要件①を間接侵害の要件とした趣旨は,同号の対象 品は適法な用途にも使用することができる物であることから,部品等の販売業者に対して,部品等の供給先で行われる他人の実施内容についてまで,特許権が存在するか否かの注意義務を負わせることは酷であり,取引の安全を害するとの点にある。 他方,特許請求の範囲等の訂正は,特許請求の範囲の減縮や誤記等の訂正等を目的とするものに限られ(特許法126条1項),特許請求の範囲等の訂正は,願書に (最初に)添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしなければならず(同条5項),かつ,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものであってはならないとされている(同条6項)。そして,特許請求の範囲等の訂正をすべき旨の審決が確定したときは,その訂正後における特許請求の範囲により特許権の設定の登録がされたものとみなされる(同法128条)。 以上のように,特許請求の範囲の訂正が認められる場合が上記のように限定されていることを踏まえると,訂正前の特許請求の範囲に係る特許発明を知っていれば,特許請求の範囲が訂正された後の特許発明との関係でも,主観的要件①を満たすことになると解するのが相当である。このように解しても,特許法101条2号が主観的要件①を求めた趣旨に反するわけではないし,第三者にとって不意打ちとなる こともないからである。 なお,本件第1特許の特許請求の範囲の訂正も誤記の訂正及び特許請求 ,特許法101条2号が主観的要件①を求めた趣旨に反するわけではないし,第三者にとって不意打ちとなる こともないからである。 なお,本件第1特許の特許請求の範囲の訂正も誤記の訂正及び特許請求の範囲の減縮を目的とするもので,その他の訂正の要件も満たしており(甲19の1ないし20),被告製品3は本件発明1の技術的範囲に属する以上,上記訂正前の本件発明1の技術的範囲にも属することは明らかである。 b 本件では,被告は訂正前の本件発明1の存在を知っていたことを自- 118 -認しているものの,その時期は原告からの警告書を受領した平成25年4月2日であると主張している。これに対し,原告は被告が訂正前の本件発明1の存在をその登録時の平成17年7月22日から知っていたと主張していることから,以下,被告が平成25年4月2日よりも前に訂正前の本件発明1の存在を知っていたかを検討する。 (a) 証拠(甲1,5,34,乙1ないし3,19,20)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ① 被告は,平成8年12月以降,「MELSECQnA」という汎用シーケンサを販売している。このエンジニアリングツール(パソコン上で動作するプログラミング及びモニタリングを行うソフト)には,表示されたラダー回路 の接点,コイルの検索機能が存在し,これはキーボードのカーソルキーでカーソルを接点・コイルのシンボル上に移動させ,F10キーを入力することで,接点・コイルを指定して,対応するコイル・接点を検索し,表示する機能である。 ② 被告は,平成10年11月ころ,「GOT900シリーズ」(GOT900)の製造,販売を開始したところ,当初の機種では,表示されたラダー 回路において接点又は る機能である。 ② 被告は,平成10年11月ころ,「GOT900シリーズ」(GOT900)の製造,販売を開始したところ,当初の機種では,表示されたラダー 回路において接点又はコイルを検索することができたものの,表示されたラダー回路の接点やコイルの指定をタッチパネル上の入力画面でデバイス名やデバイス番号を入力してすることとされていた(前記1(2)エ(エ),(オ)参照)。 ③ 原告の前身となる豊田工機株式会社は,平成12年3月31日,本件第1特許について特許出願をした。 ④ 平成13年10月12日,本件第1特許の特許出願について出願公開がされた。 ⑤ 被告は,平成14年,GOT900の機能等を変更し,上記②の検索を表示されたラダー回路の接点やコイルの指定を接点やコイルのタッチによって行うこととした。 ⑥ 被告は,上記⑤の機能を採用したGOT900に関する「新製- 119 -品ニュース」と題する書面(甲34。平成14年4月発行)の8頁において,上記⑤の機能を「MELSEC-Q回路モニタタッチ検索機能」として紹介した。その内容は,「回路モニタ機能を実行しているGOTの画面をタッチするだけで,コイルや接点の検索ができる機能です。接点をタッチするとコイルを検索し,コイルをタッチすると接点を検索できます。」,「タッチ検索を使用すれば,機械が故障した時 など,原因となる要因をカンタンに検出!!」というものであった。 ⑦ 平成17年7月22日,本件第1特許について特許登録がされた。 ⑧ 被告は,遅くとも平成25年4月までには,被告表示器1A,被告製品3-1等(GOT1000)の製造,販売を開始した。このシリーズにお いても,上記⑤の機能は について特許登録がされた。 ⑧ 被告は,遅くとも平成25年4月までには,被告表示器1A,被告製品3-1等(GOT1000)の製造,販売を開始した。このシリーズにお いても,上記⑤の機能は踏襲され,これがワンタッチ回路ジャンプ機能である。 ⑨ 被告は,平成25年4月2日,原告からの警告書(被告の表示器や被告製品3の製造,販売等が訂正前の本件発明1に係る特許権を侵害している旨のもの)を受領した。 (b) 原告は,被告が本件第1特許の登録時から当該特許の存在につい て悪意であったと主張している。 確かに,上記(a)の④と⑤の事実だけを見れば,原告の主張は理解し得ないわけではないが,表示されたラダー回路の接点・コイルの指定による検索機能自体は,被告自身が平成8年12月以降,販売している「MELSECQnA」という汎用シーケンサにおいて採用されていたのであり,GOT900で初めて採用された機 能とは認められない。 そして,GOT900では,「MELSECQnA」とは異なり,タッチパネルによって接点・コイルを指定するものとされており,これは変更点であり,訂正前の本件発明1との共通点ではあるが,このような変更がされたのは,そもそもの操作方法が「MELSECQnA」ではキーボードであったのに対し,GOT90 0ではタッチパネルが採用されていたためとみることも可能である。したがって,- 120 -上記事実から,被告が本件第1特許の出願を知っていたことが推認されるとまでいうことはできない。 そして,GOT1000でワンタッチ回路ジャンプ機能が採用されたのは,GOT900においてタッチパネル上で接点・コイルを指定して検索する機能が採用されていたことの延長線上にあるものと見ることも決して不合理では OT1000でワンタッチ回路ジャンプ機能が採用されたのは,GOT900においてタッチパネル上で接点・コイルを指定して検索する機能が採用されていたことの延長線上にあるものと見ることも決して不合理ではない。 以上のような事実関係に照らせば,被告が本件第1特許の登録時に訂正前の本件発明1の存在を知っていたとまで推認することはできない。そして,平成25年4月2日にされた原告から被告への警告書の送付以外に,被告が訂正前の本件発明1の存在を認識し得たことをうかがわせる事情は認められない。 なお,原告は,被告と原告はトヨタからの受注を獲得すべくしのぎを削っていた こと(甲32)や,原告や被告が他社との契約において,納入品の製作・納入に当たり,第三者の特許権等を侵害しないよう,万全の注意を払うべき旨が明記されていること(甲41)を指摘しているが,これらは一般的な事項にすぎず,上記具体的な事実関係に照らせば,被告が訂正前の本件発明1を知っていたことを推認させる事実になるとはいえない。 したがって,被告が平成25年4月2日より前に訂正前の本件発明1の存在を知っていたと認めることはできない。 c 以上より,被告が訂正前の本件発明1の存在を知ったのは平成25年4月2日であると認められる。 (ウ) 主観的要件②について a 被告は,被告製品3には本件発明1を実施しない実用的他用途が存在しており,また基本的に販売代理店に対して被告製品3を販売しているにすぎないから,被告製品3がユーザの下で本件発明1の実施に用いられることを知らないと主張している。 b まず,どのような場合に主観的要件②を満たすものと考えるべきか, すなわち,適法な用途にも使用することができる物の生産,譲渡等が特許「発明の- 121 ることを知らないと主張している。 b まず,どのような場合に主観的要件②を満たすものと考えるべきか, すなわち,適法な用途にも使用することができる物の生産,譲渡等が特許「発明の- 121 -実施に用いられることを知りながら」したといえるのはどのような場合かについて検討する。 そもそも,特許法101条2号の間接侵害は,適法な用途にも使用することができる物(多用途品)の生産,譲渡等を間接侵害と位置付けたものであるが,その成立要件として,主観的要件②を必要としたのは,対象品(部品等)が適法な用途に 使用されるか,特許権を侵害する用途ないし態様で使用されるかは,個々の使用者(ユーザ)の判断に委ねられていることから,当該物の生産,譲渡等をしようとする者にその点についてまで注意義務を負わせることは酷であり,取引の安全を著しく欠くおそれがあることから,いたずらに間接侵害が成立する範囲が拡大しないように配慮する趣旨と解される。 このような趣旨に照らせば,単に当該部品等が特許権を侵害する用途ないし態様で使用される一般的可能性があり,ある部品等の生産,譲渡等をした者において,そのような一般的可能性があることを認識,認容していただけで,主観的要件②を満たすと解するのでは,主観的要件②によって多用途品の取引の安全に配慮することとした趣旨を軽視することになり相当でなく,これを満たすためには,一般的可 能性を超えて,当該部品等の譲渡等により特許権侵害が惹起される蓋然性が高い状況が現実にあり,そのことを当該部品等の生産,譲渡等をした者において認識,認容していることを要すると解するべきである。 他方,主観的要件②について,部品等の生産,譲渡等をする者において,当該部品等の個々の生産,譲渡等の行為の際に,当該部品等が個々の譲渡先 おいて認識,認容していることを要すると解するべきである。 他方,主観的要件②について,部品等の生産,譲渡等をする者において,当該部品等の個々の生産,譲渡等の行為の際に,当該部品等が個々の譲渡先等で現実に特 許発明の実施に用いられることの認識を必要とすると解するのでは,当該部品等の譲渡等により特許権侵害が惹起される蓋然性が高い状況が現実にあることを認識,認容している場合でも,個別の譲渡先等の用途を現実に認識していない限り特許権の効力が及ばないこととなり,直接侵害につながる蓋然性の高い予備的行為に特許権の効力を及ぼすとの特許法101条2号のそもそもの趣旨に沿わないと解される。 以上を勘案すると,主観的要件②が認められるためには,当該部品等の性質,そ- 122 -の客観的利用状況,提供方法等に照らし,当該部品等を購入等する者のうち例外的とはいえない範囲の者が当該製品を特許権侵害に利用する蓋然性が高い状況が現に存在し,部品等の生産,譲渡等をする者において,そのことを認識,認容していることを要し,またそれで足りると解するのが相当であり,このように解することは,「その物がその発明の実施に用いられることを知りながら」との文言に照らしても 不合理な解釈ではない。 c これを本件についてみると,そもそも被告製品3に格納されているOSは,被告表示器以外の表示器には全く適用できず,被告表示器は工場等における設備機械を制御する制御装置であるPLC等に接続することができるものである。 そうすると,その性質上,被告製品3を購入等した者が,設備機械に異常が発生し たときに,その原因を確認・究明するために,ラダー回路を確認することや,その確認の際に回路モニタ機能等を使用することが例外的な事象であるとは認め難い(現に,第三者が記載し 機械に異常が発生し たときに,その原因を確認・究明するために,ラダー回路を確認することや,その確認の際に回路モニタ機能等を使用することが例外的な事象であるとは認め難い(現に,第三者が記載した甲31の43頁でも,各社の事業戦略として,「GOT2000シリーズ」の製品では,シーケンサのシーケンスプログラムをラダー形式でモニタ・編集可能となっており,保守作業時にパソコンなしで「GOT」のみで対 応可能となることが明記されていた。)。 また,前記2(2)アで認定したとおり,被告は,被告製品1や3-1等のカタログ(甲5)の6頁で,「CASESTUDY1」という項目の冒頭にワンタッチ回路ジャンプ機能について記載して,「画面を数回タッチしていくだけで,異常の原因をサーチ可能!」などとその利点を強調していた。この頁は,「CONTENTS」等 が記載された2・3頁及びGOT1000の各機種の「LINE-UP」が記載された4・5頁に続く頁で,製品の機能を最初に記載した頁であり,ワンタッチ回路ジャンプ機能はその冒頭に記載されていた(甲5)。被告はその12頁の汎用シーケンサとの連携について記載した箇所でも,その機能について記載していた。 これに関連して,前記(イ)b(a)の⑤及び⑥で認定したとおり,被告表示器1Aや 被告製品3-1の先行製品であるGOT900についてワンタッチ回路ジャンプ機- 123 -能と同様の機能である「MELSEC-Q回路モニタタッチ検索機能」を採用した際にも,その機能を紹介し,「タッチ検索を使用すれば,機械が故障した時など,原因となる要因をカンタンに検出!!」などとして,その利点を強調していた。これに引き続いて,GOT1000の販売に当たっても,同様の機能を目立つ形で取り上げ,その利点を強調していた 故障した時など,原因となる要因をカンタンに検出!!」などとして,その利点を強調していた。これに引き続いて,GOT1000の販売に当たっても,同様の機能を目立つ形で取り上げ,その利点を強調していたことからして,被告はワンタッチ回路ジャンプ機 能が被告表示器1Aや被告製品3-1の宣伝ポイント,すなわち,ユーザが着目するであろうポイントとして認識していたことが推認される。 さらに,被告は,「GOT1000シリーズ INFORMATION №2パソコンレスで保守編①」と題する宣伝用の書面(甲35。平成25年6月作成)の1頁においても,冒頭で「GOTにしかできない!!」と記載した上で,「メンテナン スに!トラブル解決に!ワンタッチ回路ジャンプ機能搭載! 大好評![ラダー編集機能]」,「現場で即解決!」と記載し,その下の「広いアクセス範囲と便利な機能で,保守作業も効率的!」という項目で,「ワンタッチ回路ジャンプ機能にも対応しているので,故障要因の究明に役立ちます。」と記載した(甲35)。この事実は,上記認定をさらに裏付けるものといえる。 そして,被告は,「GOT2000シリーズ」である被告表示器2A,被告製品3-2においても,ワンタッチ回路ジャンプ機能を使用可能としたのである。 上記認定の被告製品3の性質に加え,以上認定の被告による宣伝広告の内容やその方法,経緯等に照らせば,被告製品3を購入等する者のうち例外的とはいえない範囲の者が当該製品を特許権侵害に利用する蓋然性が高い状況が現に存在すると認 められ,被告もそのことを認識,認容しながら被告製品3の生産,譲渡等を行ったと認めることができる。 d 被告の主張について被告は,悪意を否定する根拠として被告製品3を販売代理店を通じて販売していた 識,認容しながら被告製品3の生産,譲渡等を行ったと認めることができる。 d 被告の主張について被告は,悪意を否定する根拠として被告製品3を販売代理店を通じて販売していたことを指摘しているが,そうであるとしても,そのことは,被告が個 々のユーザの実際の用途を具体的に知らないということを推認させるにとどまる。 - 124 -上記認定の宣伝広告の内容やその方法,経緯等に照らせば,被告は被告製品3を生産,譲渡等する者として,ユーザが着目するであろうポイントを認識し,当然,その前提として,ユーザのニーズも予想していたことが推認されるから,ユーザとの間に販売代理店が介在しているからといって,被告が被告製品3を購入等する者のうち例外的とはいえない範囲の者が当該製品を特許権侵害に利用する蓋然性が高い ことを認識,認容していたとの上記認定が左右されるとはいえない。 また,被告は,悪意を否定する根拠として,被告製品1-2を購入した者のうち,回路モニタ機能等を使用するのに必要なオプション機能ボードを購入した者が約4分の1であることを指摘し,さらにそれを購入した者が回路モニタ機能等を使用しているとは限らないなどと主張している。しかし,被告が主張する割合は裏付けを 伴って立証されているわけではなく,また,被告の主張を仮に前提としても約4分の1という割合は「例外的」といえるほどの割合でもないから,被告の上記主張によっても,上記認定は左右されないというべきである。 なお,被告は,本件では本件発明1に係る訂正前の発明は従来技術そのものであり,それとの関係ではいかなる物も課題解決不可欠品に該当することはあり得ない から,間接侵害が成立する余地はないと主張する。この主張は,主観的要件②を満たすためには,当該製品が「そ のものであり,それとの関係ではいかなる物も課題解決不可欠品に該当することはあり得ない から,間接侵害が成立する余地はないと主張する。この主張は,主観的要件②を満たすためには,当該製品が「その発明の課題の解決に不可欠なもの」であることの認識を必要とするとの趣旨と解される。しかし,上記のとおり,特許法101条2号において主観的要件②が必要とされる趣旨が,対象品(部品等)が適法な用途にも使用されるものであることから,その生産,譲渡等をしようとする者の取引の安 全を図る点にあることからすると,当該製品が侵害用途に用いられることについて上記の意味での悪意であれば足り,それが「その発明の課題の解決に不可欠なもの」であることの認識までは要しないと解するのが相当である。したがって,被告の上記主張は採用できない。 e 以上より,被告は,被告製品3が本件発明1の実施に用いられるこ とを知りながら,その生産,譲渡等をし,また,被告製品3に係るコンピュータ・- 125 -プログラムを使用許諾(プログラムにおいては,使用許諾が貸渡しに当たると解される。)したと認められる。 キしたがって,被告による平成25年4月2日以降の被告製品3の生産,譲渡等について特許法101条2号の間接侵害が成立する。 (3) なお,原告は準備書面(14)(平成29年8月30日付け)の第3におい て,被告が第三者(ユーザ)による侵害(生産・使用)の教唆・幇助をした旨の主張を追加したが,受命裁判官は,第13回弁論準備手続期日において,この主張を時機に後れた攻撃防御方法に当たるとして却下した。 経緯に鑑み,その理由を説明すると,原告が主張を追加したのは,第12回弁論準備手続期日において,当事者双方から侵害論の主張立証は以上であるとの陳述を 機に後れた攻撃防御方法に当たるとして却下した。 経緯に鑑み,その理由を説明すると,原告が主張を追加したのは,第12回弁論準備手続期日において,当事者双方から侵害論の主張立証は以上であるとの陳述を 確認し,損害論の審理に入った後のことである。そして,本件ではそれまで当事者間で直接侵害の成否が争われるとともに,間接侵害の成否も争点となっていたから,それと異なる侵害態様である教唆・幇助の主張をすることができたことは明らかである。また,原告による上記主張は,第三者たるユーザの直接侵害行為を教唆・幇助したというものであるから,請求原因として,当該第三者を特定する必要がある と解されるが,原告は自らそれを把握していないと考えられるから,その特定には種々の手続を経る必要があるなどし,審理に相当時間を要することが見込まれる。 そうすると,原告による上記主張は少なくとも重大な過失により時機に後れて提出されたものであり,その主張の追加を認めると,訴訟の完結を著しく遅延させると認められる。 したがって,原告の上記主張は民事訴訟法157条1項により却下すべきものであると判断した次第である。 4 争点5-2(本件特許2-1の無効理由-乙1による新規性欠如),争点5-4(本件特許2-3の無効理由-明確性要件違反),争点5-5(本件特許2-3の無効理由-乙1及び2による新規性・進歩性欠如)について 事案に鑑み,本件特許2については,まず争点5-2等(無効論)について- 126 -判断する。 (1) 本件発明2-1及び2-3について本件明細書2(甲2の2)によれば,本件発明2-1及び2-3の技術的意義は,次のとおりと認められる。 ア工作機械等で使用される操作盤の表示装置に使用されている液晶表示板 について,従来は,異常表 明細書2(甲2の2)によれば,本件発明2-1及び2-3の技術的意義は,次のとおりと認められる。 ア工作機械等で使用される操作盤の表示装置に使用されている液晶表示板 について,従来は,異常表示の形態としては,ランプを表示する表示形態と,1項目の異常について名称と詳細なコメントとを合わせて全画面表示する表示形態とが採用されていた(本件明細書2の【0003】)。しかし,このような従来の異常表示形態は,①ランプ表示形態か異常名称と詳細コメントの同時表示形態かの何れかの形態であるので,(a)前者の場合では詳細コメントを即座に呼び出せない問題があ り,(b)後者の場合では幾つかの同時的に発生する異常をオペレータに対し即座に知覚させ得ない問題があり(【0004】),また,②1画面の全ての画面領域を使用して,多数の異常ランプを表示するか,或いは1つの異常について詳細コメント表示する形態であるので,(a)異常情報以外の動作状況を把握する場合,異常表示画面から他の操作画面(例えば,各個操作画面など)への切り替えが必要であり,(b)また 異常の要因チェック作業や異常への対応処置を遂行する場合に頻繁な画面切替えを行わなければならず,煩わしい操作を必要としていた(【0005】)。 特に,③異常処置は,各個操作スイッチが配置された画面しか行えないが,その画面には画面表示能力の制約上異常に係わる全てのランプを配置できないため,画面切替を頻繁に行って異常の詳細ランプ情報を得なければならない。また,④根本 原因や重大な異常を最初に表示させるためには,制御回路での処理が必要となり,表示制御のための画面枚数が増えてしまう問題もあった(【0006】)。 イそこで,本件発明2-1及び2-3は,(ア)表示板の1画面に複数の異常表示ランプを表示でき,こ 御回路での処理が必要となり,表示制御のための画面枚数が増えてしまう問題もあった(【0006】)。 イそこで,本件発明2-1及び2-3は,(ア)表示板の1画面に複数の異常表示ランプを表示でき,この異常表示ランプの何れかを選択することによりこの選択された異常項目の詳細情報を表示する画面へ容易に切替え可能にすること,(イ)表 示板の1画面の一部の限定された領域に数個の異常が優先度の高い順に表示される- 127 -ようにすること,(ウ)優先度の高い順に選択的に表示される複数個の異常項目についてのランプと機械装置の動作状態を示すランプとこの機械装置に指令を与えるスイッチとが1画面中に同時に表示できるようにすることを目的としている(【0007】,【0008】)。 そして,上述した課題を解決するために,(1)本件発明2-1においては,シーケ ンス制御の実行中に生じる各種異常の名称を表示板の一部に表示し(構成要件2E),また異常名を表示する表示板上の区画がタッチされるときその異常名に関する詳細コメントを表示板上に表示することとした(構成要件2F)。これにより,異常名の表示画面では他の表示領域をその他の情報の表示に割り当てでき,オペレータは詳細情報を必要とするときは,即座に詳細コメント画面に切替えて指定した異常の詳 細を知ることができる(【0011】,【0064】)。 また,(2)本件発明2-3は,本件発明2-1を引用する請求項2を更に引用するものであるが,①請求項2に記載される発明では,本件発明2-1を前提に,表示画面上の一部に配置する数個の異常名表示区画の各々に異なる異常の名称を表示できるようにし,かつその表示画面の他の領域に多数のソフトランプや多数のソフト スイッチを併せて表示できるようにした(構成要件2H)。こ 置する数個の異常名表示区画の各々に異なる異常の名称を表示できるようにし,かつその表示画面の他の領域に多数のソフトランプや多数のソフト スイッチを併せて表示できるようにした(構成要件2H)。これにより,単一の画面に数個の異常名と共に多数のソフトランプやソフトスイッチが併せて表示され,オペレータがシーケンス制御過程における異常発生状況を容易に認識でき,異常に対応した処置をとることができるようにしている(【0012】,【0065】)。そして,②本件発明2-3では,請求項2に係る発明を前提に,各種異常の優先順位を異常 の重要度に応じて前記メモリに予め設定しておき,異常が同時多発的に発生したとき発生した異常の内で優先順位の高いものから順に表示板上に表示するようにした(構成要件2I)。これにより異常の優先順位に従って異常が順次表示されるようになり,オペレータがどの異常が重大で緊急性を要するかを認識でき,重要な異常を長時間放置することにより生じる問題を未然に防止できる(【0013】,【006 6】)。 - 128 -(2) 争点5-2(本件特許2-1の無効理由-乙1による新規性欠如)についてア乙1発明について(ア) 被告が発行したGOT900の1998(平成10)年11月版のカタログ(乙1)には,次の記載がある(以下,乙1に記載された発明を「乙1発明」 という。)。なお,カタログの冒頭には,「このカタログに使用している画面写真はハメコミ合成です。」との記載がある(乙1)。 a 6頁(「特長」「常に高速性を追求しています」)(a) 「高速画面データ転送/高速OS転送」・「RS-232C通信を使用したデータ転送の他にメモリカードで 画面データやOSプログラムの入替えが可能」・「作成し を追求しています」)(a) 「高速画面データ転送/高速OS転送」・「RS-232C通信を使用したデータ転送の他にメモリカードで 画面データやOSプログラムの入替えが可能」・「作成した画面データをパソコン上でメモリカード…に保存し,メモリカードをGOTに装着して高速に画面データコピー(転送)できます。」・「OSプログラム(基本OS,通信ドライバ,拡張OSなど)用メ モリカードもパソコンで作成でき,メモリカードをGOTに装着して高速にコピーできます」・図面左から順にパソコン,市販メモリカード,3つの表示器の図が記載され,その下には,左側に「OSプログラム,ユーザ画面デー タをメモリカードに書込む」と記載された枠が,右側に「内蔵メモリへコピー」と記載された枠が記載され,それらの枠の間には右向きの矢印が記載されている。 (b) 「高速なバス接続」・「操作盤に不可欠な高速表示やインチング等の高速応答を強力にサ ポートします。」- 129 -・「MELSEC-A/QnAシーケンサで,最高速のバス接続が可能です。」b 7頁(「特長」「データ処理やセキュリティチェックもGOTにお任せください」)「レシピ機能」 ・「機械の加工条件や初期値などのデータ(デバイス値)を複数種類GOT内に保持し,適宜必要なデータに入換えることができます。」・「デバイス初期値として使用する場合は,GOTの内蔵メモリ(フラッシュROM)に画面データとして格納するため,メモリカードは不要です。」 c 8頁(「特長」「GOTならではの充実した保全機能」)「システムモニタ機能」・「デバイス値のモニタと変更(設定値含)が簡単にできますので,デバイスチェックの保全用画面を作る必要がなくなります。 頁(「特長」「GOTならではの充実した保全機能」)「システムモニタ機能」・「デバイス値のモニタと変更(設定値含)が簡単にできますので,デバイスチェックの保全用画面を作る必要がなくなります。」・「4ウィンドウ表示で異なるシーケンサのデバイスを同時に表示で きます。各ウィンドウともに,登録モニタ,一括モニタ,T/Cモニタ,BM(バッファメモリ)モニタを表示/変更(設定値含)ができます。」と記載されている。 d 14頁(「基本モニタ」「故障個所の発見から解析,復旧までを強力に支援します」) (a) 「アラーム履歴機能」・「発生日時/発生内容/復旧・確認時刻を表示します。」・「最新順/最古順表示指定できます。」・図面乙1の14頁の上図(b) 「アラーム流れ表示」 ・「発生中アラームを発生順に画面上に流れ表示します。」- 130 -・「全画面共通で監視デバイス登録し,画面毎に表示有無の指定ができます。」・「発生中アラーム件数をシーケンサに通知します。」(c) 「アラームリスト機能」・「ユーザアラーム ・発生日時/発生内容を表示します。 ・発生中アラームのみ表示します。 復旧したアラームは画面から自動消去します。 ・最新順/最古順表示を指定できます。 ・発生順/番号順表示を指定できます。 ・発生中アラーム件数をシーケンサに通知します。 (発生アラーム数は数値表示でモニタできます)」・「システムアラーム・表示エリアの指定のみでシーケンサCPU,ネットワーク接続時のエラー,GOTエラーが表示されます。 ・表示するメッセージは登録済みです。」・図面乙1の14頁の下図(赤枠は後に記載したものであるから,その部分は除く。) ,ネットワーク接続時のエラー,GOTエラーが表示されます。 ・表示するメッセージは登録済みです。」・図面乙1の14頁の下図(赤枠は後に記載したものであるから,その部分は除く。)e 16頁(「基本モニタ」)「GOTは常に安全をお届けします」)「タッチスイッチの動作モード指定」 ・「タッチスイッチの動作有効エリアを指定できますので,隣接したキーの誤入力を避けることができます。」f 18頁から19頁(「基本モニタ」)(a) 「様々な情報を効果的に表示する画面の数々」(b) 「操作盤としてやりたいことが思いのままに」 ・図面乙1の19頁の上図- 131 -・「オブジェクト名一覧」として,「タッチスイッチ」,「数値表示」,「アラーム履歴表示」,「アラーム流れ表示」,「アラームリスト表示」,「ランプ表示」などとの記載がある。 g 21頁(「ハードウェア)「各種接続」)(a) 「シーケンサとのネットワーク接続」 ・「通信ユニット使用により,ネットワーク接続できます。」(b) 「シーケンサとバス/シリアルの接続」・「新しい小型通信ボード使用により裏面がフラットになります。」h 24頁(「接続形態」)「CPU直接接続」 ・「A/QnA/FXシーケンサと最も経済的に接続」i 31頁(「仕様」)・「本体(表示部)」との表題が記載された表には,「タッチパネル」,「メモリ」という欄が設けられている。 (イ) 構成要件2A,2B,2C及び2Gについて 前記(ア)で認定した乙1の記載のうち,「操作盤に不可欠な高速表示やインチング等の高速応答を強力にサポートします。」,「MELSEC-A/QnAシーケンサで,最 2B,2C及び2Gについて 前記(ア)で認定した乙1の記載のうち,「操作盤に不可欠な高速表示やインチング等の高速応答を強力にサポートします。」,「MELSEC-A/QnAシーケンサで,最高速のバス接続が可能です。」(a(b)),「デバイス値のモニタと変更(設定値含)が簡単にできます」(c),「様々な情報を効果的に表示する画面の数々」,「操作盤としてやりたいことが思いのままに」(f(a),(b)),「シーケンサとのネッ トワーク接続」,「シーケンサとバス/シリアルの接続」(g(a),(b))との記載からすると,乙1には,GOT900が,機械をシーケンス制御するPLCと接続して,PLCからの様々な情報を表示するとともにPLCに対して命令を実行する操作盤であることが記載されているといえ,このことから,PLCと情報交換するデータ伝送手段も備えていると認められる。したがって,乙1には,「機械をシーケンス制 御するPLCと情報交換するデータ伝送手段」(構成要件2B)を備えた「PLC用- 132 -の操作盤」(構成要件2G)が開示されている。 また,乙1の「仕様」における「本体(表示部)」との表題が記載された表に「タッチパネル」という欄が設けられていることや(i),「タッチスイッチの動作有効エリアを指定できます」(e)との記載からすると,乙1の操作盤は,「タッチスイッチ機能を備えた表示板」(構成要件2A)を備えることが記載されていると認めら れる。 そして,乙1の「仕様」における「本体(表示部)」との表題が記載された表に「メモリ」という欄が設けられていることからすると,乙1の操作盤は「メモリ」(構成要件2C)を備えることが開示されていると認められる。 (ウ) 構成要件2D及び2Eについて a リ」という欄が設けられていることからすると,乙1の操作盤は「メモリ」(構成要件2C)を備えることが開示されていると認められる。 (ウ) 構成要件2D及び2Eについて a 上記のとおり,乙1の19頁には別紙「乙1の図」記載3の図(乙1の19頁の上図)が記載されているところ,この図はGOT900の「基本モニタ」が記載された頁に掲載されており,しかも図の真上には「操作盤としてやりたいことが思いのままに」との記載があり,図の右側には「オブジェクト名一覧」が記載され,図の中にはそのオブジェクトが多数並べられている。以上のような図の 掲載態様に照らせば,当業者は,上記図を操作盤のタッチパネルにおける表示(画面の表示)をイメージしたものとして理解し,GOT900ではこのような表示もなし得ると理解するものと認められる。 b そして,上記図はさらに複数の区画に分割されており,それぞれの区画には,「アラームリスト表示」,「ランプ表示」,「数値表示」,「スイッチ」などと オブジェクト名が記載されており,「ランプ表示」と記載された区画には多数のランプの絵(ソフトランプ)が記載され,「スイッチ」と記載された区画には多数のスイッチの絵(ソフトスイッチ)が記載されている。そして,PLC用の操作盤にあって,タッチパネルの表示板に表示されるソフトランプがPLCからの制御状態情報を表示するものであり,ソフトスイッチがPLCに与える命令を入力するものであ ることは乙1の記載から明らかであり,それが実現されるためには,メモリに記憶- 133 -されたプログラムに従ってPLCからの制御状態情報を取り込み,かつ入力された命令をPLCに出力するCPUが備わっていることも当業者が当然に推認されることである。 そうすると,乙1には, 33 -されたプログラムに従ってPLCからの制御状態情報を取り込み,かつ入力された命令をPLCに出力するCPUが備わっていることも当業者が当然に推認されることである。 そうすると,乙1には,GOT900が,「メモリに記憶されたプログラムに従って前記PLCからの制御状態情報を取り込んで表示板上に多数のソフトランプとし て表示すると共にPLCに与える命令を入力する多数のソフトスイッチを表示しかつこのソフトスイッチがタッチされるとき前記PLCに命令を出力するCPU」(構成要件2D)を備える構成が開示されているといえる。 c さらに,上記図において「ランプ表示」,「スイッチ」と記載された区画とは別に,「アラームリスト表示」と記載された区画には,上下に「単独表示」 と記載された枠と「複数表示」と記載された枠が設けられ,前者の枠内には「Aライン供給コンベア停止中。電源を確認してください。」と記載され,後者の枠内には「加工機の油圧低下」,「アーム異常下降」,「加工台数オーバ」と記載されている。 そして,乙1の操作盤がPLC用の操作盤であることからすれば,後者の記載がシーケンス制御の実行中に生じる各種異常の名称を意味しており,その名称が複数表 示されていることは当業者にとって明らかであるといえる。そして,乙1発明でこのような各種異常の名称の表示画面を得るためには,CPUに対する指令がなされていることは当業者にとって明らかであると考えられるから,乙1発明も当該表示を行うためのプログラムを有しており,上記図によって,その点も含め開示されていると認められる。 したがって,乙1には,GOT900が,タッチパネルの一部であってランプ及びスイッチの表示区画とは独立して設けた複数表示の表示区画にシーケンス制御の実行中に生じる各 ていると認められる。 したがって,乙1には,GOT900が,タッチパネルの一部であってランプ及びスイッチの表示区画とは独立して設けた複数表示の表示区画にシーケンス制御の実行中に生じる各種異常の複数の名称をアラームリストとして表示する構成が開示されており,この構成は,「前記表示板の一部であって前記ソフトランプおよび前記ソフトスイッチの表示区画とは独立して設けた異常名表示区画に前記シーケンス制 御の実行中に生じる各種異常の名称を少なくとも1つ選択的に表示する異常名表示- 134 -プログラムを設け」る構成(構成要件2E)と同一であると認められる。 d これに対し,原告は,上記図を概念図にすぎないなどと主張しており,確かに,上記図にはオブジェクト名が記載されたり,画面の内容も簡略化されたりしていて,実際の画面の表示をそのまま掲載したものではない。しかし,乙1のようなカタログでは,その性質上,説明的な記載や簡略化がされることはままあ ることであって,上記のような図の特性から当業者が上記認定のような構成を理解できなくなるとはいえない。 (エ) 構成要件2Fについて上記のとおり,乙1の14頁には別紙「乙1の図」記載1及び2の図が記載されているところ,同1の図(乙1の14頁の上図)には,アラーム履歴機能の 画面を指でタッチする図から伸びた矢印の先に,「詳細ウインドウ表示」と上に記載された画面表示に関する図と,「ウィンドウ表示」と下に記載された画面表示に関する図があり,前者には「Aライン供給コンベア停止。電源を確認してください。」という文字が記載され,後者には「Aライン供給コンベアが停止しています。電源を確認してください。」という文字が記載されている。 また,同2の図(乙1の14頁の下図)には,ア てください。」という文字が記載され,後者には「Aライン供給コンベアが停止しています。電源を確認してください。」という文字が記載されている。 また,同2の図(乙1の14頁の下図)には,アラームリスト機能に関して2つの画面表示の図があり,左下側の図から右上側の図に向けて矢印が記載され,その上に「エラー発生」と記載されている。そして,双方の画面表示には「表示欄をタッチすると詳細ウィンドが出ます。」と記載され,また左下側の図から右斜め下に向けて矢印が3本記載され,それらの矢印の先には「バックアップ」,「詳細ウィンド ウ」,「ウィンドウ表示」と記載されている。 この点,原告は,同2の図(乙1の14頁の下図)の「表示欄をタッチすると詳細ウィンドが出ます。」との記載の「表示欄」が何を示しているのか明記されていないと主張しているが,同1の図も同2の図もアラームを表示する機能の画面の図であり,同2の図には「Aライン供給コンベア停止」というように,同1の図の「詳 細ウインドウ表示」や「ウィンドウ表示」部分の記載内容と同じ内容が記載され,- 135 -それ以外に意味のある記載は見当たらないことからすれば,上記「表示欄」が,タッチパネルに複数表示されている異常の内容が記載された各欄のことを指すことは当業者にとって明らかであるというべきである。 そして,乙1においては,同1及び2の図(乙1の14頁の上図及び下図)と,同3の図(乙1の19頁の上図)との関係が明示されているわけではないものの, 双方とも同じアラーム(異常)の表示に関する図であり,同3の図の「アラームリスト表示」では「Aライン供給コンベア停止中。」というように,同1及び2の図と同じ内容が記載されているから,当業者は,それらの記載により,同3の図の「アラームリスト 図であり,同3の図の「アラームリスト表示」では「Aライン供給コンベア停止中。」というように,同1及び2の図と同じ内容が記載されているから,当業者は,それらの記載により,同3の図の「アラームリスト表示」の部分において,同1及び2の図の異常名表示欄を設ける構成や,これをタッチすると詳細コメント情報を表示する構成が開示されていると理解 するものと考えられる。そして,この詳細コメント情報が表示される以上,その内容がメモリ内に予め登録されていることは当業者にとって明らかといえるし,乙1発明で詳細コメント情報の表示画面を得るためには,CPUに対する指令がなされていることは当業者にとって明らかであると考えられるから,乙1発明も当該表示を行うためのプログラムを有しており,上記各図によって,その点も含め開示され ていると認められる。 したがって,乙1には,GOT900が,「前記少なくとも1つの異常名を表示する前記表示板上の区画がタッチされるとき前記異常名を表示する画面を切替えてその異常に対応して前記メモリ内に予め登録された詳細コメント情報を前記表示板上に表示する詳細コメント表示プログラムを付加した」構成(構成要件2F)が開示 されていると認められる。 イ以上より,本件発明2-1の構成は,乙1発明と同一であり,本件特許2-1には新規性欠如の無効理由があるから,その侵害を理由とする請求には理由がない。 (3) 争点5-4(本件特許2-3の無効理由-明確性要件違反)について ア本件発明2-3の構成要件2Iは,「前記シーケンス制御の実行中に生じ- 136 -る各種異常の優先順位を異常の重要度に応じて前記メモリに予め設定しておき,前記異常名表示プログラムは前記各種異常が同時多発的に発生したとき発生した異常の内で優先 制御の実行中に生じ- 136 -る各種異常の優先順位を異常の重要度に応じて前記メモリに予め設定しておき,前記異常名表示プログラムは前記各種異常が同時多発的に発生したとき発生した異常の内で優先順位の高いものから順に前記数個の異常名表示区画に表示するように構成されていることを特徴とする」というものであるところ,被告は,「異常の重要度」というのは主観的な基準であるから,不明確であると主張している。 イそこでその文言の意義について検討すると,そもそも本件発明2-3は,シーケンス制御の実行中に生じる各種異常の優先順位をメモリに予め設定しておき,異常が同時多発的に発生したとき発生した異常の内で優先順位の高いものから順に異常の名称を表示板上に表示するようにしたものである。そして,本件第2特許の特許請求の範囲の請求項3の記載内容に照らせば,予めすることとされている上記 優先順位の設定をどのような基準でするかということを記載したのが「異常の重要度に応じて」という文言であると理解できる。 さらに異常の名称を表示板上に表示するのは,PLC用の操作盤のユーザに対して,異常が発生したときに,その異常の内容等を知らせるためであることは明らかであるから,「異常の重要度」というのは,ユーザにとって,発生し得る異常がどの 程度重要であるかということを意味していると解することができる。 ウさらに本件明細書2をみると,【発明が解決しようとする課題】を記載した【0007】では,本件特許2に係る発明の目的の1つとして,「表示板の1画面の一部の限定された領域に数個の異常が優先度の高い順に表示されるようにすること」が挙げられ,【課題を解決するための手段】を記載した【0013】及び【発明 の効果】を記載した【0066】において,本件発明 定された領域に数個の異常が優先度の高い順に表示されるようにすること」が挙げられ,【課題を解決するための手段】を記載した【0013】及び【発明 の効果】を記載した【0066】において,本件発明2-3の効果は,異常の優先順位に従って異常が順次表示されるようになり,オペレータがどの異常が重大で緊急性を要するかを認識でき,重要な異常を長時間放置することにより生じる問題を未然に防止できるという点にあると記載されている。 また,【発明の実施の形態】を記載した【0035】では,操作盤のタッチパネル に4つの異常名表示区画ABW1ないしABW4が配置され,この区画に発生した- 137 -異常表示の優先順位の高いものから,「クーラント異常」,「メインアーム装置異常」,「切屑排出装置異常」が表示された実施例が記載されている(本件明細書2の図3参照)。そして,この4つの異常表示区画ABW1ないしABW4は,異常の重大性又は緊急性の観点で優先順位が予め決められており,同時に多数の異常が発生した場合,4つまでの異常を優先順位の高い順に,左上隅→右上隅→左下隅→右下隅へ と順次表示するようになっていると説明されている。 さらに,【0041】以下では,本件特許2に係る発明の特徴に係わる操作盤のCPUの処理機能について説明されており,そこでも異常の緊急度や重要度に応じて優先順位を予め決めておき,優先順位の高いグループ情報から小さな番号のアドレス順にRAM内にテーブルとして登録してあることなどが説明されている。 以上の各記載に照らしても,異常の優先順位は,ユーザが異常が発生した場合を想定して,その重大性や緊急性の観点から決め,それを予め設定しておけばよいと解するのが相当である。 エ以上より,「異常の重要度」とは,ユーザにとっ の優先順位は,ユーザが異常が発生した場合を想定して,その重大性や緊急性の観点から決め,それを予め設定しておけばよいと解するのが相当である。 エ以上より,「異常の重要度」とは,ユーザにとっての異常の重大性や緊急性のことであると解するのが相当であり,構成要件2Iはそれに応じて予め異常の 優先順位を設定しておくことを記載したものと解される。そして,以上の解釈は本件明細書2から導かれるものであるから,明確性要件も満たしているというべきである。 (4) 争点5-5(本件特許2-3の無効理由-乙1及び2による新規性・進歩性欠如)について アこの無効理由は,乙1及び2に記載されている発明に基づくものであるところ,乙1と乙2は別の刊行物である。しかし,前記1(2)エで判示したのと同じく,乙1と乙2に記載された内容から一つの発明を抽出・認定することが許容されるというべきである。 しかるところ,乙1発明によって本件発明2-3の構成要件2Aないし2G(本 件発明2-1の構成要件と同じ。)に相当する構成が開示されていることは前記認- 138 -定・判示のとおりである。 そこで,ここでは本件発明2-3の構成要件2H及び2Iに限って検討する。 イ構成要件2Hについてまず,前記(2)ア(ウ)cで認定したとおり,別紙「乙1の図」記載3の図(乙1の19頁の上図)によって,タッチパネルの一部であってランプ及びスイッチの 表示区画とは独立して設けた複数表示の表示区画にシーケンス制御の実行中に生じる各種異常の複数の名称をアラームリストとして表示する構成が開示されていると認められる。 そして,上記認定・判示のとおり,当業者は,同3の図の「アラームリスト表示」の部分において,同1及び2の図の異常名表示欄を設ける 称をアラームリストとして表示する構成が開示されていると認められる。 そして,上記認定・判示のとおり,当業者は,同3の図の「アラームリスト表示」の部分において,同1及び2の図の異常名表示欄を設ける構成や,これをタッチす ると詳細コメント情報を表示する構成を開示していると理解するものと考えられることに加え,同2の図では各異常名表示欄をタッチすると,その詳細コメント情報が表示されることが記載されていることに照らせば,同3の図における各種異常の複数の名称をアラームリストとして表示する複数表示の表示区画は,構成要件2Hにいう「数個の異常名表示区画」に相当するものと認められる。 したがって,乙1には,「前記異常名表示プログラムは,前記多数のソフトランプ及び前記多数のソフトスイッチを表示する単一の表示画面上の一部に配置される数個の異常名表示区画の各々に異なる異常の名称を表示できるように構成されている」構成(構成要件2H)が開示されている。 ウ構成要件2Iについて (ア) 乙2の6-19頁には,「アラームリスト表示機能」のうちの「(2)アラームリスト表示(ユーザアラーム機能)」について記載されている。そこには,「複数のビットデバイスにコメントを対応づけて,ON中のビットデバイスのコメントを指定した優先順(F940GOTではON中のビットデバイスの若番号順)に表示する機能です。」と記載され,その下には,A975GOT,A970GOT 及びA960GOTに関する「拡張機能およびその他行える機能」として,「優先順- 139 -位を発生順/番号順で表示することができます。」,「表示させるコメントを優先順で複数/単独で表示することができます。」,「ON状態となったコメントについての詳細内容や処置方法をベース両 139 -位を発生順/番号順で表示することができます。」,「表示させるコメントを優先順で複数/単独で表示することができます。」,「ON状態となったコメントについての詳細内容や処置方法をベース両面,ウィンドウ両面コメントウィンドウに詳細表示することができます。」と記載されている(乙2)。 以上認定した乙1及び2の記載内容並びに構成要件2Hに係る上記判示のプログ ラムの性質によれば,乙1及び2には,PLC用操作盤において,これまで認定した構成のほかに,「シーケンス制御の実行中に生じる各種異常の複数の名称を優先順位を発生順/番号順として前記メモリに予め設定しておき,前記異常名表示プログラムは前記各種異常が同時多発的に発生したとき発生した異常の内で優先順位の高いものから順に前記数個の異常名表示区画に表示するように構成されている」発明 (以下「乙1及び乙2発明」という。)が開示されていると認められる(なお,上記乙2の記載からすると,このように優先順位の高いものから順に表示された異常名をタッチすると画面を切り換えて,予めメモリ内に登録された詳細コメント情報が表示される構成も開示されていると認められる。)。 (イ) そうすると,本件発明2-3と乙1及び乙2発明とを対比すると,構 成要件2Iについて,次の相違点があることになる。 「各種異常を優先順位の高いものから順に異常名表示区画に表示するに当たり,本件発明2-3では「異常の重要度」に応じて優先順位を設定しているのに対し,乙1及び乙2発明では「発生順/番号順」を優先順位としており,「異常の重要度」に応じて優先順位を設定する点が開示されていない点。」 これ以外の構成(本件発明2-3の構成要件2Aないし2Hに係る構成)は一致している。 この点,被告は当業者の技術常 「異常の重要度」に応じて優先順位を設定する点が開示されていない点。」 これ以外の構成(本件発明2-3の構成要件2Aないし2Hに係る構成)は一致している。 この点,被告は当業者の技術常識を考慮すれば,これは実質的な相違点ではないと主張しているが,異常の優先順位の決め方が本件発明2-3の構成要件2Iに記載されたものに限られるとまで認めることはできないから,実質的な相違点である ことは否定し難く,被告の上記主張は採用できない。 - 140 -(ウ) したがって,被告が主張する本件特許2-3の新規性欠如の無効主張には理由がなく,以下,さらにその進歩性の有無を検討する。 エ乙13発明及び乙14に記載された従来技術について(ア) 乙13発明特開昭63-233407号公報(乙13)には,次の記載がある(乙1 3。以下,乙13に記載された発明を「乙13発明」という。)。 2.特許請求の範囲故障情報表示器と,故障情報を記憶するデータファイルと,故障情報の処理を行うプログラマブルコントローラと,故障表示を指示する操作パネルを備え,入力された故障信号の発生時刻,発生回数および重要度順位を故障情報として記憶し,オ ペレータの指示操作に応じて対応する故障情報を表示器上に表示することを特徴とする監視盤の故障情報表示装置。 3.発明の詳細な説明〔発明の目的〕(産業上の利用分野) 本発明はプログラマブルコントローラを用いて故障情報を項目別に記憶し,オペレータの要求に応じて表示する監視盤の故障情報表示装置に関するものである。 (従来の技術)従来,ローカル設備側に設置されている監視盤は,ローカル設備に故障が発生したとき,或いはローカルに設備機器の制御を行うとき,保守員がローカル設備 障情報表示装置に関するものである。 (従来の技術)従来,ローカル設備側に設置されている監視盤は,ローカル設備に故障が発生したとき,或いはローカルに設備機器の制御を行うとき,保守員がローカル設備側 へ行って監視盤で監視制御が行えるように構成されている。 ローカル設備側は常時無人であり,また従来の監視盤には故障記録用のプリンタやCRTなどは設けられておらず,従って設備の故障項目は監視目盤上で監視できても,故障の発生日時や現在までの故障発生回数などは不明確であり,このため設備の保全面で統計的なデータは入手できず,また複数の故障が発生した時の対応に ついても優先順位を決めることが困難であり,適切な保守監視ができないという問- 141 -題があった。 (発明が解決しようとする問題点)本発明は,故障項目の発生経過を記憶してガイダンス表示し,これによって保守監視の充実度を向上する監視盤の故障情報表示装置を提供することを目的としている。 〔発明の構成〕(問題点を解決するための手段および作用)上記の目的を達成するために,本発明においてはまずプログラマブルコントローラが,全ての故障項目に対して故障発生日時および発生回数記憶用のファイルを割付けておき,今回新たに発生した故障については,その発生日時および発生回数 を記憶する。 また全ての故障項目に対して重要度順位番号を割付けておき,今回新たに発生した故障の重要度順位番号と現在までに発生した故障の重要度順位番号との順位比較を行い,現時点での重要度順位を更新して記憶する。 保守員が操作パネルの釦を用いて故障項目名称を入力すると,その故障項目の発 生回数と最後に発生した時点の発生日時が表示される。 また複数の故障が同時に発生した時も,保守員の釦要求によって重要 保守員が操作パネルの釦を用いて故障項目名称を入力すると,その故障項目の発 生回数と最後に発生した時点の発生日時が表示される。 また複数の故障が同時に発生した時も,保守員の釦要求によって重要度順位の高い故障項目を順次表示器へ表示する。 〔発明の効果〕以上説明したように本発明によれば,保守員が故障項目側々の履歴を把握でき, 設備保全の充実向上がはかれると共に,さらに複数の故障が発生したとき重要度の高い故障への優先的な対応が可能になり,これによって保守効果の高い監視制御が実現できる。 (イ) 乙14に記載された従来技術特開平10-97317号公報(乙14)には,次の記載がある(乙14)。 【発明の詳細な説明】- 142 -【0001】【発明の属する技術分野】本発明は,例えばプラント等の運転監視に利用されるCRTを用いた監視画面表示装置に関する。 【0002】【従来の技術】近年,コンピュータ関連技術の発展に伴い,例えばプラント等の運 転監視の目的にCRTを用いた表示装置が広く用いられている。この表示装置は,プラント等の監視データを各種の監視画面に表示させることができるものであり,監視の目的に適合した数十種類,数百枚もの監視画面を格納している。 【0003】このうち,プラント等の異常を監視するための画面としては,異常発生の有無,異常の状態,異常履歴等を表示させるための種々の画面が用意されてい る。その一例として,現在発生している異常のみを一目で確認できるように,1枚の画面(異常が多ければ複数枚となる)に発生中の異常項目を一覧表示させたアラーム一覧画面がある。このような画面では,図5に示すように,発生時刻順,アラームグレード順に表示させたり,又,オペレータが未確認のアラームに ければ複数枚となる)に発生中の異常項目を一覧表示させたアラーム一覧画面がある。このような画面では,図5に示すように,発生時刻順,アラームグレード順に表示させたり,又,オペレータが未確認のアラームについてはブリンク表示させることで確認を促させたり等の配慮が行われており,オペレータが 最も優先的に対処すべき異常を強調させる配慮が施されている図5は従来のアラーム一覧画面表示の一例を示す図である。 【0004】ここで,一般に,異常が発生した時のオペレータのとるべき対応は以下の通りと考えられる。 (1)異常発生の確認(項目,時刻,重要度(グレード)) (2)原因究明と異常による影響確認(3)対応処置実施(自動制御対応の場合は自動処理が起動した事の確認)(4)対応処置後のプラント動作監視(5)異常復帰確認従来のCRT画面では,(1),(4),(5)をダイレクトに確認することができ, (2)については,異常診断等の支援システムで対応している。(3)については自- 143 -動制御処理(緊急度の低いものは手動)対応であり,その処理が実行されたか,有効であったかまではフォローされてはおらず,アラームが回復しないということが確認できるのみである。 【0005】例えば前述のアラーム一覧画面では,アラームの発生,回復が確認できるだけであり,発生中のアラームについて,対応処理済みであるか否かの識別表 示まではなされていなかった。 【0006】従って,停電時のように同時に複数個の異常が発生するようなケースでは,的確な対応処置をとるのは困難であり,オペレータの技量に左右されることが多かった。 【0007】これに対して,不要なアラームの表示を抑制したり,アラームを要因 順に表示させたりする開発及び商品化が行われてい とるのは困難であり,オペレータの技量に左右されることが多かった。 【0007】これに対して,不要なアラームの表示を抑制したり,アラームを要因 順に表示させたりする開発及び商品化が行われている。しかし,このようなシステムには人工知脳的要素が必要であり,そのアルゴリズムは複雑である。さらに,知識データベースも必要なことから,一般的な運転用計算機,監視制御装置では,容量的にも,性能的にもその処理を実現させることは困難である。 【0008】また,このようなシステムを構築するために専用の計算機を設置する ことは経済的に対応しがたい。更に,確立されてはいない技術をベースにしていること,及び監視対象の詳細な特性,挙動までの分析,収集が困難なことから,その効果は期待できるレベルには至っていないのが現状である。 【0009】従って,現状の監視制御装置に組み込まれた監視画面表示装置を用いる限りにおいては,オペレータは画面に表示されている発生中の異常をその異常の 重要度(アラームグレード)を意識し,ある程度オペレータの経験と勘により,対応処置を行っていく事となる。 (ウ) 乙13発明及び乙14に記載された従来技術a 上記認定の乙13の記載によれば,乙13発明の技術分野は,機械を制御するPLCが検知した異常を表示するための表示装置である点で乙1及び乙 2発明の技術分野(PLC用の操作盤はPLCからの入力を表示する表示装置とし- 144 -ての機能を有する。)と同じであり,①従来,ローカル設備側に設置されている監視盤は,ローカル設備に故障が発生したとき,保守員がローカル設備側へ行って監視盤で監視制御が行えるように構成されているが,複数の故障が発生した時の対応について優先順位を決めることが困難であり,適切な保守監視ができ ル設備に故障が発生したとき,保守員がローカル設備側へ行って監視盤で監視制御が行えるように構成されているが,複数の故障が発生した時の対応について優先順位を決めることが困難であり,適切な保守監視ができないという問題があったことから,②全ての故障項目に対して重要度順位番号を割付けておき,今 回新たに発生した故障の重要度順位番号と現在までに発生した故障の重要度順位番号との順位比較を行い,現時点での重要度順位を更新して記憶し,③複数の故障が同時に発生した時も,保守員の釦要求によって重要度順位の高い故障項目を順次表示器へ表示することとすることにより,④保守員が複数の故障が発生したとき重要度の高い故障への優先的な対応が可能になり,これによって保守効果の高い監視制 御が実現できるようにしたものであると認められる。 b また,乙14において,例えばプラント等の運転監視の目的にCRTを用いた表示装置に関する「従来の技術」として記載された発明は,1枚の画面(異常が多ければ複数枚となる)に発生中の異常項目を一覧表示させたアラーム一覧画面において,発生時刻順,アラームグレード順に表示させることにより,オペ レータが最も優先的に対処すべき異常を強調させる配慮が施されているというものであると認められる。 そして,乙14に記載されている上記発明自体はPLC用の操作盤に関する発明ではないものの,上記認定の乙14の従来技術に関する記載は,プラント等の異常を監視するための画面表示装置に関する記載であるから,PLC用の操作盤にも妥 当するものと考えられる。 c 以上より,乙13及び14において,PLC用の操作盤を含む技術分野において,複数の異常(故障)が同時に発生した場合に,1枚の画面に現在発生中の異常項目を重要度(アラームグ えられる。 c 以上より,乙13及び14において,PLC用の操作盤を含む技術分野において,複数の異常(故障)が同時に発生した場合に,1枚の画面に現在発生中の異常項目を重要度(アラームグレート)順に表示するために,予め異常の重要度の順位番号を割付けておく構成が開示されていると認められるから,本件発明 2-3と乙1及び乙2発明の上記相違点が開示されている。 - 145 -オ容易想到性前記認定のとおり,乙1及び乙2発明において,A940FGOTを除く機種では,表示するアラームに係るコメントを表示させる優先順を指定することができ,アラームリストの表示の優先順位を発生順/番号順とすることを指定できることとされている。このように,異常が複数発生した場合の異常の表示方法として, ユーザが予め複数の異常の表示の優先順を指定することができるとしていることに照らせば,乙1及び乙2発明と,乙13発明及び乙14に記載された従来技術とは,解決しようとする課題を共通にしているものと認められる。 また,乙1及び乙2発明と乙13発明は技術分野が同じであるし,上記認定の乙14の従来技術に関する記載がPLC用の操作盤にも妥当することは上述したとお りである。 以上のことを踏まえると,乙1及び乙2発明に,乙13発明や上記認定の乙14記載の従来技術の構成を適用する動機付けを認めることができる。 したがって,乙1及び乙2発明において,上記相違点に係る本件発明2-3の構成とすることは,当業者が容易に想到し得ることであるといえる。 (5) 以上より,本件特許2-3には進歩性欠如の無効理由があるから,その余の点について判断するまでもなく,その侵害を理由とする請求には理由がない。 5 争点5-6(本件特許3の無効理由-明 (5) 以上より,本件特許2-3には進歩性欠如の無効理由があるから,その余の点について判断するまでもなく,その侵害を理由とする請求には理由がない。 5 争点5-6(本件特許3の無効理由-明確性要件違反,実施可能要件違反,サポート要件違反)について本件特許3については,争点5-6として,構成要件3E及び3Fの「運転 条件」及び「起動条件」の意義や明確性要件の有無が争いとなっていることから,争点3を判断する前提として,まず争点5-6について判断する。 (1) 本件発明3について本件明細書3(甲3の2)によれば,本件発明3の技術的意義は,次のとおりと認められる。 ア従来,動作制御操作盤は,PLCを介して数値制御装置(CNC)等に- 146 -接続され,作業者が操作盤に設けられた各種ボタンを操作すると,PLCにより各種の入力要素からの入力信号の状態が判定され,入力信号が所定の状態になったときに,出力要素に出力信号を出力することでCNC等の設備機械が所定の動作をするようになっており,このような動作制御操作盤には,設備機械に自動運転を行わせるための自動運転用の各種ボタン等の入力手段の他に,MDI操作により設備機 械の各動作を個別に行わせる各個動作用の入力手段が備えられている。そして,設備機械の故障や異常停止が生じると,作業者はこの各個動作用の操作ボタンを操作することにより設備機械に各個動作をさせて復旧を行う(本件明細書3の【0001】ないし【0003】)。 しかし,従来の各個動作用の操作ボタンは単に操作ボタンが羅列されているだけ なので,現在の設備機械の状態(PLCへの入力信号の状態)ではどの各個動作を行えばよいか,すなわち,次にどの操作ボタンを押せばよいか,あるいは,現在の設備機械の状態(PLCへ されているだけ なので,現在の設備機械の状態(PLCへの入力信号の状態)ではどの各個動作を行えばよいか,すなわち,次にどの操作ボタンを押せばよいか,あるいは,現在の設備機械の状態(PLCへの入力信号の状態)ではどの各個動作を行うことが可能か,すなわち,いま,操作可能な操作ボタンはどれかが,操作ボタンを見ただけでは解らない。このため,異常停止時の復旧等の各個動作は熟練の作業者でなければ 行うことができないという課題があった(【0004】)。 イ本件発明3は,上述の課題を解決するためになされたものであり,操作ボタン表示手段が,設備機械の一連の自動運転時に行われる動作を個々の動作に分割した各個動作を行わせるための複数の操作ボタン(構成要件3D)毎に,当該操作ボタンにより実行される各個動作の,①運転条件(当該操作ボタンにより実行さ れる各個動作の動作中に常に満足すべき条件)を満たさない時,②運転条件は満たすが起動条件(当該操作ボタンにより実行される各個動作の開始時に満足すべき条件)を満たさない時,③運転条件および起動条件の双方を満たす時の3つの状態をそれぞれ視覚的に区別して表示をすること(構成要件3E及び3F)により,(ア)運転条件を満たしていない動作の操作ボタン,すなわち,いま操作できない操作ボタ ンと,(イ)運転条件は満たしているが起動条件を満たしていない動作の操作ボタン,- 147 -すなわち,いま操作できる操作ボタンと,(ウ)運転条件と起動条件の双方を満たしている動作の操作ボタン,すなわち,次に操作すべき操作ボタンの3種類の状態を視覚的に知ることができる(【0008】,【0042】,【0043】)ようにしたものである。 (2) 「各個動作」の意義について 本件特許3の特許請求の範囲の記 作ボタンの3種類の状態を視覚的に知ることができる(【0008】,【0042】,【0043】)ようにしたものである。 (2) 「各個動作」の意義について 本件特許3の特許請求の範囲の記載に照らせば,本件発明3は,「シーケンス・コントローラに接続された設備機械の動作を制御する動作制御操作盤」であって,設備機械に「各個動作を行わせるための」複数の操作ボタンを表示する操作ボタン表示手段を備えるものの発明である(構成要件3A及び3D)。 この「各個動作」とは,上記「設備機械の一連の自動運転時に行われる動作を個 々の動作に分割した」動作(構成要件3D)であり,以上の記載からして,本件発明3が,設備機械に,一連の自動運転時には行われない個別の動作を行わせることを前提としていることは明らかである。そして,設備機械に以上のような個別の動作をさせることは,PLC等に接続されている動作制御操作盤に,自動運転用の各種ボタン等の他に,各個動作用の入力手段が備えられていること(【0003】)か ら可能と認められる。 また,本件明細書3の記載,特に【0003】)及び【0009】によれば,上記のような各個動作を行わせるのは,試運転時や,設備機械の故障や異常停止が生じた場合に復旧を行う時であり,各個動作として分割された各々の動作は,他の動作とは独立して行わせることができるものと認められる。 (3) 「運転条件」及び「起動条件」の意義についてア本件特許3の特許請求の範囲では,「運転条件」とは,「当該操作ボタンにより実行される各個動作の動作中に常に満足すべき条件」であると定義付けられ,「起動条件」とは,「当該操作ボタンにより実行される各個動作の開始時に満足すべき条件」であると定義付けられている。 また,本件明細書3の の動作中に常に満足すべき条件」であると定義付けられ,「起動条件」とは,「当該操作ボタンにより実行される各個動作の開始時に満足すべき条件」であると定義付けられている。 また,本件明細書3の【0009】では,「運転条件」とは,「当該操作ボタンに- 148 -よって行われる動作の開始時から動作の終了時まで常に満足している必要がある条件」であり,「起動条件」とは,「当該操作ボタンによって行われる動作の開始時に満足している必要がある条件,すなわち,動作の開始のトリガとなる条件」であると説明されている。 さらに,【0024】では,図4を引用して,「運転条件」とは,「出力M01をO Nすることによって実行される動作の,開始から終了までの間,常にその状態を保つ必要がある条件であり,具体的には,電力が供給されているか,扉が閉じているか,運転準備ボタンが押されているか等の条件である」と説明されている。また,「起動条件」については,「出力M01をONすることによって実行される動作の,動作開始のトリガとなる条件であり,具体的には,工具の締めが完了したか,前の 工作物の加工が完了したか等の条件である」と説明され,「起動条件は動作が開始された後は,状態が変化してもかまわない。そのため,ホールド回路が設けられている」とも説明されている。 イ以上の記載をもとに「運転条件」及び「起動条件」の意義について検討すると,まず,「運転条件」については,「実行される各個動作の動作中に常に満足 すべき条件」であるから,その性質上,当該動作が各個動作としてされる場合に限らず,当該動作が自動運転時の連続動作の一部としてされる場合にも満足すべき条件であると解される。 他方,「起動条件」については,「実行される各個動作の開始時に満足すべき条件」とい てされる場合に限らず,当該動作が自動運転時の連続動作の一部としてされる場合にも満足すべき条件であると解される。 他方,「起動条件」については,「実行される各個動作の開始時に満足すべき条件」という特許請求の範囲の文言からすると,当該動作が各個動作としてされる場合に, その開始時に満足すべき条件であるように読むことも不可能ではなく,こう解する場合には,運転条件と起動条件のいずれかが満たされない場合には当該各個動作が行えないことになるから,被告が主張するとおり,構成要件3Fにおいて,「前記運転条件を満たさない時」と「前記運転条件は満たすが前記起動条件を満たさない時」はいずれも当該各個動作を行えないことになり,両者を区別する意味はほとんどな くなる。 - 149 -しかし,本件発明3はシーケンス・コントローラに接続された設備機械に各個動作を行わせるための操作ボタンの表示態様を特徴とする発明であって,構成要件3Fにおいて,「前記運転条件を満たさない時」に加え,「前記運転条件は満たすが前記起動条件を満たさない時」を視覚的に区別して表示をするとされていることからすれば,両者は異なる動作を行わせることを記載したものと読むのが自然である。 そして,本件明細書3の【課題を解決するための手段】を記載した【0008】では,「運転条件と起動条件の双方を満たしている動作の操作ボタン」を「次に操作すべき操作ボタン」と説明されている一方で,「運転条件は満たしているが起動条件を満たしていない動作の操作ボタン」を「いま操作できる操作ボタン」と説明しており,運転条件しか満たしていない場合にも,設備機械に各個動作を行わせること ができることとされている。 以上の記載に照らせば,「起動条件」が設備機械に各個動作自体を行わせるための条件,換言す り,運転条件しか満たしていない場合にも,設備機械に各個動作を行わせること ができることとされている。 以上の記載に照らせば,「起動条件」が設備機械に各個動作自体を行わせるための条件,換言すれば,各個動作を開始しようとしている時に満足していなければならない条件であると解することはできない。 ウさらに,【発明の実施の形態】を記載した【0023】及び【0024】 では,PLCにおけるラダー回路図の例(【0046】の【図面の簡単な説明】参照)である図4が引用され,その図中で「運転条件」及び「起動条件」に該当する入力条件がそれぞれ記載されている。そして,【0024】には「起動条件」の具体例として,「前の工作物の加工が完了したか」ということが記載されているところ,これは,一連の自動運転における,ここでの動作の前の動作に関するものである。とこ ろが,前記(2)で認定したとおり,各個動作は他の動作とは独立して行わせることができるものであるから,これが「起動条件」の具体例として挙げられていることからすると,「起動条件」とは,各個動作をする場合を前提とした概念ではなく,自動運転時の連続動作を前提とした概念として記載されているといえる。 さらに,実施例の説明である【0025】,【0029】及び【0030】並びに 発明の効果に関する記載である【0043】では,上記イで触れた【0008】と- 150 -同様の説明がされている。 以上の明細書の各記載を踏まえると,「当該操作ボタンにより実行される各個動作の開始時に満足すべき条件」である起動条件とは,自動運転が行われる場合において,その連続動作を構成する各動作のうち当該各個動作に相当する動作が開始される時に満足すべき(満足していなければならない)条件であり,当該動作が各個動 起動条件とは,自動運転が行われる場合において,その連続動作を構成する各動作のうち当該各個動作に相当する動作が開始される時に満足すべき(満足していなければならない)条件であり,当該動作が各個動 作として行われる際には満足していなくてもよい条件という意味であると解するのが相当であり,特許請求の範囲の記載における「当該操作ボタンにより実行される各個動作」というのも,自動運転時の連続動作を構成する動作のうちの特定の動作を指し示す意味にすぎず,当該特定の動作が自動運転時に連続動作として開始する時に満足すべき条件を「起動条件」とする趣旨であると解するのが相当である。 エ以上のように解することは,本件発明3が設備機械に自動運転時には行われない動作を行わせることを前提としていること(前記(2))や,上記認定の本件発明3の技術的意義とも整合的である。 すなわち,設備機械に各個動作を行わせるのは,試運転時や,設備機械の故障や異常停止が生じた場合に復旧を行う時であり,自動運転時とは異なる順序や条件に よって動作を行わせる場合も想定されるから,動作制御操作盤において,自動運転時に満たすべき条件を満たしているかどうかだけでなく,そもそも各個動作さえも行わせることができない場合であるか,各個動作であれば行わせることができる場合であるかを視覚的に区別して表示しておくと,熟練の作業者でなくとも各個動作を行うことによって異常停止時の復旧等をすることができ,本件発明3の課題が解 決されることになるのである。そして,本件明細書3の【0008】において,①運転条件を満たしていない動作の操作ボタンが「いま操作できない」操作ボタンとされ,②運転条件は満たしているが起動条件を満たしていない動作の操作ボタンが「いま操作できる」操作ボタンとされ,③運転 ,①運転条件を満たしていない動作の操作ボタンが「いま操作できない」操作ボタンとされ,②運転条件は満たしているが起動条件を満たしていない動作の操作ボタンが「いま操作できる」操作ボタンとされ,③運転条件と起動条件の双方を満たしている動作の操作ボタンが「次に操作すべき」操作ボタンとされるのも,①は各個動作 がおよそ実行できない状況を示し,②は自動運転での順序や条件とは異なるが各個- 151 -動作であれば実行できる状況を示し,③は自動運転での順序や条件が調っていることから自動運転のとおりに当該各個動作を実行すべき状況を示す趣旨であると解される。 オ被告の主張について被告は,本件発明3における「起動条件」や「運転条件」の意義に関し,明 確性要件違反や,実施可能要件違反及びサポート要件違反の無効理由があると主張している。 しかし,その主張のうち,「起動条件」をもって当該動作が各個動作として行われる場合の条件と解することを前提とし,また,そのために本件明細書3の図4の「入力」をもって当該動作が各個動作として行われる場合の入力が記載されている ことを前提とするものは,前記アないしエの判示に照らし,その前提において採用できない。 また,その主張の中で,被告は,「ある動作が完了していないこと」が当該動作を継続するための条件であることは明らかであると主張しているが,本件明細書3の【0024】には「運転条件」と「起動条件」の具体例が記載されているし,前記 判示のとおり,これらの条件は自動運転時の連続動作に関する条件を指していると解されることに照らせば,本件明細書3の記載を見た当業者が,これらの条件の意味を被告主張のようにしか理解しないとは認められない。 したがって,被告の上記主張は認められない。 (4) 以 していると解されることに照らせば,本件明細書3の記載を見た当業者が,これらの条件の意味を被告主張のようにしか理解しないとは認められない。 したがって,被告の上記主張は認められない。 (4) 以上のとおり,本件発明3は明確性に欠けるところはなく,実施可能であ り,サポート要件に違反することもないから,本件特許3にそれらの無効理由があるとはいえない。 6 争点3(被告表示器A,被告製品3,被告製品4の製造,販売等の行為は本件特許権3の間接侵害行為に該当するか)について(1) 原告は,被告表示器A,被告製品3及び被告製品4の生産,譲渡等の行為 が,いずれも本件特許権3に係る特許法101条2号の間接侵害に該当すると主張- 152 -している。 (2) 被告製品3及び4の機能並びに被告表示器Aにおいて画面を表示する方法等証拠(甲10ないし12,14,15)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア被告製品4は,被告製のC70シリーズの数値制御装置用の被告表示器A用の画面データ(被告製品3用のプロジェクトデータ)を作成するためのソフトウェアであり,①画面データを作成するために画面に配置するランプやボタンに割り付けるデバイスやテキスト等を定義する専用エクセルファイル(画面定義ファイル)を作成する機能,②同エクセルファイルを被告製品3用のプロジェクトデータ (後記(5)ウのとおりトヨタ仕様の表示画面用のプロジェクトデータ)に変換する機能,③逆に,被告製品3用のプロジェクトデータから上記①の専用エクセルファイルに変換する機能がある。 イ被告製品4には,上記アの各機能に加え,④原告(豊田工機)が製造しているプログラマブル表示器の画面作成ソフトウェアである「スクリーンヘルパー セルファイルに変換する機能がある。 イ被告製品4には,上記アの各機能に加え,④原告(豊田工機)が製造しているプログラマブル表示器の画面作成ソフトウェアである「スクリーンヘルパー 3」を使用して作成したエクセルファイルを読み込み,そのファイルを再利用して,被告表示器A用のエクセルファイルを生成することもできるものとされていた。 その具体的な操作手順は,(ⅰ)被告製品4をインストールしたパソコンにおいて,被告製品4を起動する,(ⅱ)「MITSUBISHICNCC70 操作画面データコンバータ」との表題が付された画面の「スクリーンヘルパーブック:」設 定欄から既に「スクリーンヘルパー3」によって作成されたエクセルファイルを選択する,(ⅲ)上記画面の「MITSUBISHICNC用ブック:」設定欄から変換後のファイルを保存するフォルダを選択する,(ⅳ)上記画面の「MITSUBISHICNC用ブックを作成」ボタンをクリックするというものであり,この操作により,変換が開始される。 変換が完了すると,上記(ⅲ)で選択したフォルダに被告表示器A用の専用エクセ- 153 -ルファイルが保存され,これをさらに,上記アの②の機能によって,被告表示器A用のプロジェクトデータに変換することができる。なお,被告表示器A用のエクセルファイルには,「スクリーンヘルパー3」によって作成したエクセルファイルにはなかった新たな設定欄が追加されており,必要に応じて,上記被告表示器A用のエクセルファイルのセル上で設定することとされている。 ウ被告表示器Aにおいて画面を表示する方法は次のとおりである。なお,被告表示器Aには,CFメモリカードによってプロジェクトデータを転送することができるものとされていた。また,被告製品3に ウ被告表示器Aにおいて画面を表示する方法は次のとおりである。なお,被告表示器Aには,CFメモリカードによってプロジェクトデータを転送することができるものとされていた。また,被告製品3には被告表示器AにインストールするOSが格納されており,被告表示器Aを使用するためには,そのOSを転送する必要があることは,前記2(2)キで認定したとおりである。 (ア) 上記アの②の機能によって変換された被告表示器A用のプロジェクトデータを,被告製品3を用いて,CFメモリカードに書き込む。 (イ) 上記メモリカードを被告表示器Aの背面にあるCFカードスロットに装着し,電源を入れる。 (ウ) 被告表示器Aと接続されるシーケンサCPU,数値制御装置(CNC) CPUのパラメータやプログラムが事前に設定され,かつ,これらと被告表示器Aが接続されていれば,被告表示器Aにおいて画面が表示される。 エ被告製品4の「仕様説明書」(甲10)の47頁ないし48頁では,「各個操作画面」について説明されており,そこには,被告製品4によって作成した画面データを使用した被告表示器Aにおける表示画面の例が掲載されていた(ランプ や各個ボタンを1頁に表示する1P仕様と,これを最大2頁に表示する2P仕様があり,それぞれの例が掲載されていた。)。 その画面の例では,「ランプ」,「各個ボタン」と「工具№,サイクルタイム」を表示する小窓を備えていた。このうち「ランプ」は,対応するPLCの「ランプ点灯アドレス」がONした時に点灯し,「ランプ点滅アドレス」がONした時に点滅し, 両方のアドレスがONした時は点灯状態となることとされていた。そして,各ラン- 154 -プをタッチすることで,指定した画面に切り替えることがで ランプ点滅アドレス」がONした時に点滅し, 両方のアドレスがONした時は点灯状態となることとされていた。そして,各ラン- 154 -プをタッチすることで,指定した画面に切り替えることができることとされている。 また,「各個ボタン」には,「ランプ」,「モーメンタリ(ランプなし)」,「モーメンタリ(ランプ付)」,「アクチュエータ」及び「オルタネート」の5つの種類があり,このうち「アクチュエータ」ボタンは,「ランプ点灯アドレス」,「ランプ点滅アドレス」のほか,「ボタン出力アドレス」の状態に加え,「運転条件アドレス」,「起動条 件アドレス」の状態によって,設定されているランプ色,枠色の「ON色」,「OFF色」で点灯,点滅表示される。そして,操作ガイダンスが有効で,運転条件の成立していない(OFF状態の)アクチュエータボタンを押下した場合,「運転条件が満足していません」というダイアログが表示され,「モニタ」というボタンを押下すると,コイル検索し,最初に見付かった運転条件アドレスに係る回路モニタに切り 換わる(該当するアドレスが回路上にない場合,回路モニタの左下に「該当デバイスがありません」と表示される)こととされている。 オ被告製品4の「仕様説明書」の49頁以下では,各個操作画面の設定に係るエクセルシート(各個操作のシート)の説明がされており,上記エの表示画面に対応した専用エクセルシートでのパラメータの設定方法が記載されている。 具体的には,上記エの1P仕様では6種類,2P仕様では10種類のパラメータ設定表が設けられており,「ランプ」のパラメータ設定表ではランプ色やPLCのアドレスを設定し,「ボタン」のパラメータ設定表では,各個ボタンの色や枠色,種類等を設定するほか,「運転条件」及び「起動条件」に係るPLCのア おり,「ランプ」のパラメータ設定表ではランプ色やPLCのアドレスを設定し,「ボタン」のパラメータ設定表では,各個ボタンの色や枠色,種類等を設定するほか,「運転条件」及び「起動条件」に係るPLCのアドレス等を設定することとされていた。 上記エの表示画面を被告表示器Aに表示するためのエクセルファイルを作成するためには,被告製品4の各個操作のシートの各セルに必要事項を入力・設定することもできるが,上記イの操作を経て,「スクリーンヘルパー3」によって作成されたエクセルファイルを読み込んだ場合には,そのような入力を経ずに必要な入力・設定がされた状態のエクセルファイルが自動的に作成されることになる。 カ上記のように被告製品4により作成されたプロジェクトデータをもとに- 155 -各個操作画面を被告表示器Aにおいて表示すると,「ジグゆるめ」などと表記された操作ボタンにおいて,次のように3つの状態がそれぞれ視覚的に区別して表示される。 (ア) 運転条件がOFFの場合下地:グレー,内枠及び外枠:緑(イ) 運転条件がON,起動条件がOFFの場合下地:黒,内枠及び外 枠:緑(ウ) 運転条件がON,起動条件がONの場合下地:黒,内枠:青/赤点滅,外枠:緑/赤点滅(3) 被告表示器Aの製造,販売行為等について間接侵害が成立するかア前記認定のとおり,被告表示器Aはタッチパネルを備えたプログラマブ ル表示器であり,PLCと接続することにより,設備機械の操作盤として機能する。 そして,前記認定事実からすると,上記のように被告製品4によって作成された被告表示器A用のプロジェクトデータが,被告製品3内のOSと共に被告製品3によって被告表示器Aに転送された場合には,被告表示器Aは,各個操作画面に からすると,上記のように被告製品4によって作成された被告表示器A用のプロジェクトデータが,被告製品3内のOSと共に被告製品3によって被告表示器Aに転送された場合には,被告表示器Aは,各個操作画面において,「ジグゆるめ」などと表記された操作ボタンについて,運転条件がOFFの場合と 運転条件がON・起動条件がOFFの場合と運転条件がON・起動条件がONの場合の3つの状態を視覚的に区別して表示をする動作制御操作盤たる構成を備えると認められる。そして,被告製品4によるエクセルファイル及びプロジェクトデータの作成過程で用いられる「運転条件」,「起動条件」の意味については,証拠上これを明記した記載はないが,それらの語は原告の「スクリーンヘルパー3」において 使用されている語であり,同製品での意味は本件発明3におけるのと同じであると認められ(乙21),被告はスクリーンヘルパー3を参考にして被告製品4を開発したと主張していることからすると,被告製品4について使用される「運転条件」,「起動条件」の意味は,本件発明3における意味と同じであると認めるのが相当である。 そうすると,被告製品4によって作成された被告表示器A用のプロジェクトデー- 156 -タが,被告製品3内のOSと共に被告製品3によって被告表示器Aに転送された場合には,被告表示器Aは,本件発明3の構成要件を充足する動作制御操作盤を構成するに至ると認められる。 イしかし,前記3(2)エ(ア)で本件発明1と被告表示器Aとの関係について判示したのと同じく,本件発明3との関係においても,被告表示器Aは,被告製品 4によって作成された被告表示器A用のプロジェクトデータと被告製品3のOSに従って画面表示をしているにすぎない。 前記5(1)アで認定したとおり,本件発明3 おいても,被告表示器Aは,被告製品 4によって作成された被告表示器A用のプロジェクトデータと被告製品3のOSに従って画面表示をしているにすぎない。 前記5(1)アで認定したとおり,本件発明3が解決しようとする課題は,従前の動作制御操作盤では,いま,操作可能な操作ボタンはどれかが,操作ボタンを見ただけでは解らず,異常停止時の復旧等の各個動作は熟練の作業者でなければ行うこと ができないというものであり,前記認定によれば,このような課題を構成要件3F記載の3つの状態をそれぞれ視覚的に区別して表示することによって解決する機能を担っているのは,被告表示器Aではなく,被告製品4によって作成された被告表示器A用のプロジェクトデータというべきである。 したがって,被告表示器Aは本件発明3の直接侵害品の「生産に用いる物…であ つて課題の解決に不可欠なもの」(特許法101条2号)に当たると認めることはできない。 (4) 被告製品3の生産,譲渡等の行為について間接侵害が成立するかア前記のとおり,被告製品4によって作成されたプロジェクトデータと被告製品3に格納されているOSが,被告製品3によって被告表示器Aに転送される ことによって,被告表示器Aは本件発明3の構成要件を充足する動作制御操作盤として機能することになる。 イしかし,まず,被告製品3のOSは,被告表示器Aを動作制御操作盤として機能させる機能を担っているにすぎず,前記認定の本件発明3の課題そのものを解決する機能を担っているわけではない。 ウ次に,前記認定のとおり,被告製品4によって作成された被告表示器A- 157 -用のプロジェクトデータを被告表示器Aに転送するに当たり,このデータをCFメモリカードに書き込むためには,被告製品3を用いる必要がある おり,被告製品4によって作成された被告表示器A- 157 -用のプロジェクトデータを被告表示器Aに転送するに当たり,このデータをCFメモリカードに書き込むためには,被告製品3を用いる必要がある。それだけでなく,上記プロジェクトデータは被告製品3用のプロジェクトデータである。 しかし,前記認定によれば,各個操作画面の設定は被告製品4に格納されている専用エクセルファイルのシートにおいてすることとされ,そのエクセルファイルの プロジェクトデータへの変換も被告製品4によってされており,被告製品4で作成した被告表示器Aのプロジェクトデータとの関係では,被告製品3は,その画像データをCFメモリカードに書き込むために必要であるにすぎない。換言すれば,被告製品3の一般的な使用方法(前記2(2)キ(ア)参照)のように,被告製品3によってプロジェクトデータが作成され,これが被告表示器Aにインストールされるわけ ではなく,プロジェクトデータが被告製品4によって作成されるのであり,被告製品3は本件発明3の特徴的技術手段を直接もたらすものとはいえない。 したがって,被告製品3は本件特許権3の直接侵害品「の生産に用いる物…であつて課題の解決に不可欠なもの」(特許法101条2号)に当たると認めることはできない。 (5) 被告製品4の製造,頒布行為について間接侵害が成立するかア以上の認定・判示によれば,被告製品4は,本件発明3の課題を解決するプロジェクトデータを作成するのに不可欠な機能を担っており,本件発明3の特徴的技術手段を直接もたらすものといえるから,本件特許権3の直接侵害品「の生産に用いる物…であつて課題の解決に不可欠なもの」(特許法101条2号)に当た ると認められる。 イもっとも,特許法101条2号の間接侵害が ものといえるから,本件特許権3の直接侵害品「の生産に用いる物…であつて課題の解決に不可欠なもの」(特許法101条2号)に当た ると認められる。 イもっとも,特許法101条2号の間接侵害が成立するためには,被告が被告製品4を製造,頒布した時点で,本件第3特許の存在(本件特許3が特許登録されていること)を知っていたことが必要である。 そして,原告は被告がこれを知って被告製品4を製造,頒布していたと主張して いるのに対し,被告は,本件特許3が特許登録されていることを知ったのは,原告- 158 -から警告書を受け取った平成25年4月2日であり,それ以前はこれを知らず,これを知った後には被告製品4を製造,頒布していない旨主張している。 そこで,上記間接侵害の主観的要件を満たすかを判断するために,以下,被告が被告製品4を製造,頒布した時期及び本件特許3の特許登録を知った時期について検討する。 ウ証拠(甲3,10,40,乙10,15,21ないし23),弁論の全趣旨及び当裁判所に顕著な事実によれば,次の事実が認められる。 (ア) 豊田工機は,平成11年10月25日,本件特許3について特許出願をした。 (イ) 平成13年5月11日,本件特許3の特許出願について出願公開がさ れた。 (ウ) 豊田工機は,平成14年10月1日,自らが製造しているプログラマブル表示器の画面作成ソフトウェアである「スクリーンヘルパー3」の取扱説明書[ハネコン横形編](第7版)(乙21)を作成した。この「13-3 操作ガイダンス」には,「次動作指示機能」として,「各々各個ボタン設備制御回路運転条 件・起動条件状態に基づき,両条件が成立している(ON状態)各個ボタンの枠が点滅します。」との記載(13- ガイダンス」には,「次動作指示機能」として,「各々各個ボタン設備制御回路運転条 件・起動条件状態に基づき,両条件が成立している(ON状態)各個ボタンの枠が点滅します。」との記載(13-9頁),「ランプ点滅/点灯」を「OFF」にした場合には,ボタン表示が,運転条件OFFの場合は背景グレー,運転条件ON・起動条件OFFの場合は背景黒,運転条件ON・起動条件ONの場合は背景黒で内枠点滅と表示される旨の記載(13-11頁)がある。これらの記載によれば,上記 「スクリーンヘルパー3」を使用して本件特許3が実施されていたと認められる。 (エ) トヨタは,従前から,自社の工場で使用する自動車製造機械加工ライン用の設備機械の製造を設備メーカーに発注しており,設備メーカーは,電機メーカーから数値制御装置やPLC,プログラマブル表示器等を購入して,トヨタに納品する設備機械を製造していた。 そして,原告の前身である豊田工機が製造したプログラマブル表示器も,トヨタ- 159 -に納品される設備機械の製造のために使用され,トヨタの工場で使用されていた。 (オ) トヨタは,従前から,自社工場の製造ラインでの操作盤には,個々の製造工程(工作機械)に対応した30数種類の表示画面を必要としており,個々の製造工程ごとに,操作盤の画面に表示されるランプやボタンの配置に関する画面デザインの仕様を指定していた。そのため,トヨタから設備機械の製造を受注した設 備メーカーは,トヨタから指定された仕様に従って,プログラマブル表示器の画面表示を構成する必要があった。 そして,豊田工機を含む業者が製造し,トヨタに納品されていたプログラマブル表示器の表示画面も,上記トヨタが指定した仕様に従ったものとなっていた。そのうち豊田工機の製品に格納されている画 があった。 そして,豊田工機を含む業者が製造し,トヨタに納品されていたプログラマブル表示器の表示画面も,上記トヨタが指定した仕様に従ったものとなっていた。そのうち豊田工機の製品に格納されている画面作成ソフトウェア「スクリーンヘルパー 3」では,エクセルシートを用いて表示画面のランプやボタンに係る画面デザインを作成することとされていた。 (カ) トヨタは,平成16年4月頃,自社工場の製造ライン用設備機械の開発を行うため,被告に対して協力を求めた。被告は,その当時,既に販売していた数値制御装置であるC64Tシリーズの後継機種の開発を行っていたことから,そ の後継機種(後の一般仕様のC70シリーズ)の開発と並行して,トヨタ向けの仕様の装置の開発を進めることにした。 (キ) 被告は,その後,トヨタとの間で協議しながら,上記トヨタ向けの仕様の装置の開発を進め,それと並行して,トヨタの工場の製造ラインで用いられている操作盤の画面と同じ画面一式を一括で生成するために,豊田工機製のプログラ マブル表示器の画面作成ソフトウェア「スクリーンヘルパー3」を用いて作成されたエクセルデータ等を活用して,C70シリーズの数値制御装置に接続するプログラマブル表示器にインストールするプロジェクトデータを生成することができる操作盤画面データ変換ツール(被告製品4)の開発を進めた。 その過程で,被告は,トヨタから,平成14年10月に発行された上記「スクリ ーンヘルパー3」の取扱説明書[ハネコン横形編](第7版)(乙21)を受領した。 - 160 -(ク) 平成19年10月12日,本件特許3について特許登録がされた。なお,この時点でも,上記「スクリーンヘルパー3」を使用して本件特許3が実施可能であった。 ( - 160 -(ク) 平成19年10月12日,本件特許3について特許登録がされた。なお,この時点でも,上記「スクリーンヘルパー3」を使用して本件特許3が実施可能であった。 (ケ) 被告は,平成19年10月10日,その時点で製造していた被告製品4をもとに,その「仕様説明書」の初版を作成した。 (コ) 被告は,平成19年11月頃,トヨタに開発中のC70シリーズの数値制御装置を搭載した設備機械を納入する業者1社に対し,被告製品4を「仕様説明書」を添付して無償で頒布した。 (サ) 平成19年12月19日,本件特許3について特許公報が発行された。 (シ) 被告は,平成20年2月頃にも,トヨタに開発中のC70シリーズの 数値制御装置を搭載した設備機械を納入する別の業者1社に対し,被告製品4を「仕様説明書」を添付して無償で頒布した。 (ス) 被告は,平成20年4月17日,トヨタの施設内で行われた説明会で,開発中であったC70シリーズの数値制御装置の説明を行った。その説明会には,トヨタに設備機械を納入する業者(設備メーカー)が参加しており,その場には原 告の担当者も参加していた。そして,被告の担当者は,その説明会において,被告製品4の機能を説明するとともに,設備メーカーがトヨタに対してC70シリーズの数値制御装置を搭載した設備機械を納入する場合,被告から設備メーカーに対して被告製品4を無償で提供することを説明した。 (セ) 被告は,平成21年4月頃,トヨタ向けの仕様のC70シリーズの数 値制御装置を完成させるとともに,被告製品4を完成させた。 また,被告は,同年3月27日,被告製品4の「仕様説明書」の改訂版を完成させた。これには被告の商号が記されていたが,「1.概要」において,「本ツールをご利 させるとともに,被告製品4を完成させた。 また,被告は,同年3月27日,被告製品4の「仕様説明書」の改訂版を完成させた。これには被告の商号が記されていたが,「1.概要」において,「本ツールをご利用頂くことで,画面データの定義のみでトヨタ自動車殿向けの操作盤画面を生成することができます。」と記載され,「11.1 各個操作画面」の説明としては, トヨタの工場の製造ラインで使用されていた画面を図として掲げながら,その画面- 161 -について機能等が説明されている。 (ソ) 被告は,さらに平成21年4月から平成23年2月までの間に,トヨタにC70シリーズの数値制御装置を搭載した設備機械を納入する業者4社に対し,被告製品4を「仕様説明書」を添付して無償で頒布した。 (タ) 被告から被告製品4の頒布を受けた業者(後記の原告を除く。)は,い ずれもトヨタにC70シリーズの数値制御装置を搭載した設備機械を納入した。その際,各業者は,被告製品4を使用し,「スクリーンヘルパー3」等を用いて作成されたエクセルファイルを活用して,被告製のC70シリーズに対応したプロジェクトデータを生成した。 (チ) 被告は,平成21年6月2日頃,原告に対しても,被告製品4を「仕 様説明書」を添付して無償で頒布した。 (ツ) 原告は,平成25年4月2日,被告に対し,被告が製造,販売等している製品が本件特許権3を侵害している旨の警告書を送付した。 (テ) 原告は,平成27年9月9日,大阪地方裁判所に本件訴えを提起し,同月25日,被告に対して本件訴状が送達された。 エ事実認定の補足説明原告は,被告がトヨタ向け以外に富士重工業株式会社にも被告製品4を頒布したと主張しているが,これを裏付ける客観的証拠はないし,被告が富士 が送達された。 エ事実認定の補足説明原告は,被告がトヨタ向け以外に富士重工業株式会社にも被告製品4を頒布したと主張しているが,これを裏付ける客観的証拠はないし,被告が富士重工業株式会社に被告製品4を提供したことはないとの被告の担当者の陳述(乙15)にも明らかな矛盾点等は認められない。 また,原告は,被告が上記ウで認定した設備メーカー以外にも,被告表示器Aの購入者に被告製品4を頒布していたと主張しているが,これを認めるに足りる証拠はない。 そして,被告が平成23年2月以降に被告製品4を製造,頒布したことを認めるに足りる証拠はないから,被告は上記ウで認定した時期に,認定した業者にのみ被 告製品4を無償で頒布したという前提で考えるべきことになる。 - 162 -オ被告が本件特許3の特許登録を知った時期被告は,本件特許3の特許登録の前には,既にトヨタから本件特許3の実施形態が記載されている「スクリーンヘルパー3」の取扱説明書[ハネコン横形編](第7版)を受領し,被告製品4を開発していたから,最初に被告製品4を無償で頒布した平成19年11月の段階で,被告製品4が本件発明3に係る内容の発明の 実施に用いられること自体は認識していたものと推認される。 しかし,その事実から,直ちにその発明について特許登録されていることまで知ったことが推認されるものではないから,別途,被告が「スクリーンヘルパー3」において実施されている本件発明3の構成が特許登録されていることを知っていたかどうかを検討する必要がある。 このような観点から検討すると,被告が被告製品4の開発開始の早い段階から入手していた「スクリーンヘルパー3」の取扱説明書[ハネコン横形編](第7版)に特許出願中である旨の記載 必要がある。 このような観点から検討すると,被告が被告製品4の開発開始の早い段階から入手していた「スクリーンヘルパー3」の取扱説明書[ハネコン横形編](第7版)に特許出願中である旨の記載があったわけではなく,原告・被告間のやりとりにおいても,被告に対して本件特許3の特許登録の有無を意識させるような出来事があったことはうかがわれない。そして,原告が被告に対して警告書を送付した平成25 年4月2日よりも前に,被告に対して本件特許3が特許出願や特許登録されていることを伝えたことを認めるに足りる証拠もない。したがって,被告において同日よりも前に本件特許3が特許登録されていることを知ったことを認めるに足りる証拠はないといわざるを得ない。 この点,原告は甲32や41を提出しているが,前記3(2)カ(イ)b(b)で本件特許 1について判示したのと同じく,これによって被告が本件特許3の特許登録を知っていたことは推認されない。 カ以上より,被告が被告製品4を製造,頒布した時点で,本件特許3が特許登録されていることを知っていたとは認められないから,その製造,頒布行為について,本件特許権3の間接侵害(特許法101条2号)は成立しない。 (6) 以上より,これまでの被告製品4の製造,頒布行為について本件特許権3- 163 -の間接侵害(特許法101条2号)は成立せず,また,被告は平成23年2月以降に被告製品4の生産,譲渡等をしたと認められず,それから7年以上が経過しているから,今後,被告製品4を生産,譲渡等するおそれがあるとも認められないから,その余の点について判断するまでもなく,その侵害を理由とする請求には理由がない。 7 争点4(被告製品3,被告製品4の製造,販売等の行為は本件特許権4の間接侵害行 あるとも認められないから,その余の点について判断するまでもなく,その侵害を理由とする請求には理由がない。 7 争点4(被告製品3,被告製品4の製造,販売等の行為は本件特許権4の間接侵害行為に該当するか)について(1) 被告製品3についてア本件明細書4(甲4の2)によれば,本件発明4の技術的意義は,次のとおりと認められる。 (ア) 従来のタッチスクリーン式の操作盤の表示画面の画面定義は,通常,作画ソフトを使ってパソコン等により画面定義を行っており(本件明細書4の【0002】),その際には,画面上に表示するランプ,操作キー,カウンタ等の全てについて形状,大きさ,色等を定義してランプ,操作キー,カウンタ等を示す図形または絵を作画し,その後,この画面上に表示するランプ,操作キー,カウンタ等を 示す図形または絵の表示とプログラマブルコントローラのアドレスとの対応の定義を行っていた(【0003】)。そのため,作業者は作画ソフトにより図形または絵を表示するための操作および,図形または絵の表示とプログラマブルコントローラのアドレスとの対応付けを行うための画面操作等を習得する必要があり,このような画面定義の作業は大変煩雑であるという課題があった(【0004】)。 (イ) 本件発明4は,上記課題を解決するために,操作盤の画面定義装置に,操作盤の画面上に表示する表示内容の一部としての操作キーやランプの絵とこれら絵を表示する複数の区画を特定する情報が予め設定されている区画設定手段(構成要件4B)を備えるとともに,これら複数の区画に設定される前記操作キーやランプの各々を特定する前記表示内容の他の一部としてのコメントやプログラマブルコ ントローラのアドレスからなる複数の情報項目を並べた画面定義マトリックスを記- 画に設定される前記操作キーやランプの各々を特定する前記表示内容の他の一部としてのコメントやプログラマブルコ ントローラのアドレスからなる複数の情報項目を並べた画面定義マトリックスを記- 164 -憶する画面定義マトリックス記憶手段(構成要件4C)を備えることとした。そして,区画設定手段に操作キーやランプの絵が予め設定されている(構成要件4B)ので,入力手段(構成要件4D)により画面定義マトリックスに操作キーやランプを特定化するパラメータを入力すると,画面定義手段(構成要件4E)が区画設定手段に設定された絵情報と画面定義マトリックスに入力されたパラメータに基づいて, 画面上に表示する表示内容としてのランプや操作キーの絵とこれらを特定化する情報が所定の区画に作画され,また表示内容とプログラマブルコントローラのアドレスとの対応付けが行われる(【0007】)。 このように,本件発明4によれば,ランプや操作キーの絵及びこれら絵を表示する位置を予め設定しておくことにより,画面定義マトリックスにランプや操作キー を特定するパラメータを入力するのみで,ランプや操作キーの大きさや形状を意識することなく,操作盤上に表示する画面の作画を容易に行うことができる。また,画面定義マトリックスに基づいて,操作キーやランプとプログラマブルコントローラのアドレスとの対応付けが自動的に行えるので,画面定義のための操作工数を削減できるばかりでなく,対応付け時に設定ミスが発生することがない(【0042】)。 イ原告は,被告製品3がインストールされたパソコンが本件発明4の構成要件を充足していると主張しているのに対し,被告は,「操作キーやランプの絵…を表示する複数の区画を特定する情報が予め設定されている」(構成要件4B)を充足しないとしてこれを争 コンが本件発明4の構成要件を充足していると主張しているのに対し,被告は,「操作キーやランプの絵…を表示する複数の区画を特定する情報が予め設定されている」(構成要件4B)を充足しないとしてこれを争っている。そこで,まずこの構成要件の意義について検討する。 (ア) そもそも本件発明4の構成要件4Bは,操作盤のための画面定義装置が,「前記操作盤の画面上に表示する前記表示内容の一部としての前記操作キーやランプの絵とこれら絵を表示する複数の区画を特定する情報が予め設定されている区画設定手段」を備えるというものであるところ,「操作キーやランプの絵…を表示する複数の区画を特定する情報が予め設定されている」という文言からは,操作キー やランプの絵を表示する操作盤の画面上の複数の区画を特定する情報をユーザが設- 165 -定するのではなく,これが予め設定されていると解するのが自然であり,そのため,ユーザは画面定義マトリックスに指定される複数の情報項目のパラメータを入力する(構成要件4D)だけで,操作キーやランプの絵を作画するとともに,操作キーやランプとプログラマブルコントローラ(PLC)のアドレスとを対応付ける画面定義を行うことができる(構成要件4E)と解するのが自然である。 (イ) また,前記のような本件発明4の技術的意義を踏まえても,ユーザが操作盤のための画面定義装置において,画面定義マトリックスにランプや操作キーを特定するパラメータを入力するのみで,操作盤上に表示する画面の作画や画面定義を行うことができることが必要であり,そのためには,操作キーやランプの絵だけでなく,これらの絵を表示する操作盤の画面上の複数の区画を特定する情報が, ユーザが画面定義装置において何らかの操作をする前から,画面定義装置自体に設 ,そのためには,操作キーやランプの絵だけでなく,これらの絵を表示する操作盤の画面上の複数の区画を特定する情報が, ユーザが画面定義装置において何らかの操作をする前から,画面定義装置自体に設定されている必要があると解される。換言すれば,ユーザが画面定義装置において何らかの操作をすることによって上記絵を表示する操作盤の画面上の複数の区画が特定される場合は,「操作キーやランプの絵…を表示する複数の区画を特定する情報が予め設定されている」(構成要件4B)に含まれないと解される。 ウ被告製品3がインストールされたパソコンの構成被告製品3がインストールされたパソコンの構成に関し,甲12及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (ア) 被告製品3には,プロジェクトデータ作成の便宜のために,いくつかのテンプレートが用意されている。テンプレートは複数のオブジェクトや図形又は それらの集合体であり,ユーザにおいて,被告製品3がインストールされたパソコンの画面上で,システムライブラリからカーソルによって任意のテンプレートを選択し,画面上の任意の位置にカーソルを移動させ,任意の位置でクリックすることでテンプレートを画面上に配置することができる。この配置の際,カーソルの周りにはテンプレートの形状に沿った破線状の輪郭が表示され,カーソルとともに移動 する。このように,ユーザはテンプレートを画面上の任意の位置に配置することが- 166 -できるだけでなく,使用用途に応じて,自由に,その大きさを調整したり,他のオブジェクトを追加・変更・削除したりすることもできる。 (イ) 上記(ア)のテンプレートの1つが「デバイスモニタ」であり,別紙「デバイスモニタの一例」のような作画をすることもできる。 (ウ) デバイスモニ 追加・変更・削除したりすることもできる。 (イ) 上記(ア)のテンプレートの1つが「デバイスモニタ」であり,別紙「デバイスモニタの一例」のような作画をすることもできる。 (ウ) デバイスモニタは,複数のオブジェクトが一体となったものであり, そこでは,各オブジェクトは予め配置されていて,その大きさや配置については初期値が定められている。しかし,その初期値は表示画面上の座標系とは異なるデバイスモニタ固有の初期値であり,ユーザの配置,拡大縮小の操作に応じてそれらの初期値が表示画面上の座標系の値に修正され,画面上に配置される。 (エ) 被告製品3によって作画をする際には,画面上に配置されたオブジェ クトに関するパラメータを一元的に管理するブラウザである「データブラウザ」が表示される。この「データブラウザ」では,表示板上に配置したオブジェクトに自動的に順次割り振られるオブジェクトIDごとにパラメータを管理しており,ユーザが表示板上にオブジェクトを配置すると,当該オブジェクトに対応するオブジェクトIDが割り振られ,「データブラウザ」に当該オブジェクトIDが追加されると ともに,そのオブジェクトが配置された場所のXY座標がパラメータ「X座標」,「Y座標」にそれぞれ記載される。 また,「データブラウザ」では,「デバイスモニタ」の各区画に表示されるスイッチ/ランプを特定する情報として,スイッチ/ランプの色や文字情報,モニタデバイス(PLCのアドレス)からなる複数の情報項目が並べて表示されている。ユー ザは,各情報項目についてそれぞれのパラメータを入力することができ,そこに色や文字情報,PLCのアドレスを入力することによって,スイッチ/ランプを作画することができる。 エ構成要件4Bの充足性(ア) 上記ウの認 いてそれぞれのパラメータを入力することができ,そこに色や文字情報,PLCのアドレスを入力することによって,スイッチ/ランプを作画することができる。 エ構成要件4Bの充足性(ア) 上記ウの認定を踏まえると,被告製品3がインストールされたパソコ ンは,本件発明4の「操作盤のための画面定義装置」に相当する。そこで,これが- 167 -本件発明4の構成要件4Bを充足するかを検討すると,確かに,被告製品3のテンプレートである「デバイスモニタ」に予め配置されたオブジェクトには,その大きさや配置についての初期値が定められている。また,被告製品3の「データブラウザ」では,表示板上に配置されたオブジェクトごとに,オブジェクトIDが割り振られるとともに,そのオブジェクトが配置された場所のXY座標がパラメータ「X 座標」,「Y座標」にそれぞれ記載されることとされている。 しかし,上記認定のとおり,被告製品3のテンプレートは,ユーザが画面上の任意の位置でクリックすることで,その画面上に配置される位置や大きさ(すなわち画面上の表示領域)が決まり,そうして決まった位置や大きさに対応して,テンプレートを構成する各オブジェクトにオブジェクトIDが割り振られるとともに,各 オブジェクトの画面上の座標が決まるのであり,このことはデバイスモニタの場合も同様である。 そうすると,被告製品3においては,ユーザが「デバイスモニタ」というテンプレートを選択し,それを使用して表示画面上の任意の位置に任意の大きさでデバイスモニタ(したがってそれを構成する各オブジェクト)を配置するという行為があ って初めて,オブジェクトIDが割り振られるとともに,「X座標」,「Y座標」が記載され,それによってスイッチ/ランプが表示される画面上の区画が設定されるので ェクト)を配置するという行為があ って初めて,オブジェクトIDが割り振られるとともに,「X座標」,「Y座標」が記載され,それによってスイッチ/ランプが表示される画面上の区画が設定されるのであり,各オブジェクトの画面上の区画は,ユーザが何らかの操作をする前から,被告製品3がインストールされたパソコン自体に設定されているわけではない。したがって,操作キーやランプの絵を表示する操作盤の画面上の複数の区画を特定す る情報が,ユーザによる操作の前から,画面定義装置自体に設定されているとはいえない。 (イ) 原告の主張についてまず,原告は画面上の位置情報であるXY座標が関連付けられているオブジェクトIDが「絵を表示する複数の区画を特定する情報」であると主張している が,上記認定のとおり,ユーザによる操作があって初めてオブジェクトIDが割り- 168 -振られることに照らせば,オブジェクトIDが予め設定されている上記情報に該当するとはいえない。 また,原告はテンプレートに予めデザインされている複数のオブジェクトのXY座標の初期値が上記情報に該当するとも主張している。他方で原告は,ユーザがテンプレートを所望の位置に配置し,必要に応じて拡大縮小すると,各オブジェクト のXY座標の初期値がテンプレートが配置された位置情報等に基づき補正され,データブラウザのパラメータ「X座標」,「Y座標」に記載されると主張している。しかし,この原告の主張は,結局,テンプレートの配置や拡大縮小の操作によって「X座標」,「Y座標」を設定していると主張しているに等しく,絵を表示する操作盤の画面上の複数の区画を特定するに当たり,ユーザが画面定義装置において操作 することを必要としているものといわざるを得ない。また,パラメータを入力するのみ しているに等しく,絵を表示する操作盤の画面上の複数の区画を特定するに当たり,ユーザが画面定義装置において操作 することを必要としているものといわざるを得ない。また,パラメータを入力するのみで,操作盤上に表示する画面の作画や画面定義を行うことができるなどという本件発明4の技術的意義にも合致しない(本件明細書4の【0042】参照)。 したがって,被告製品3がインストールされたパソコンは,「操作キーやランプの絵…を表示する複数の区画を特定する情報が予め設定されている」(構成要件4B) を充足しない。 さらに,原告は別紙「デバイスモニタの一例」を挙げているが,これは「デバイスモニタ」の位置や大きさを指定した後のパソコンの画面にすぎず,被告製品3において予め上記例のような形でスイッチ/ランプに係るオブジェクトが設定されていることを示すものとは認められない。したがって,上記例は原告主張の根拠にな るとはいえない。 オ以上より,被告製品3がインストールされたパソコンは,本件発明4の構成要件4Bを充足せず,その技術的範囲に属しない。したがって,被告による被告製品3の生産,譲渡等の行為について,本件特許権4の間接侵害(特許法101条2号)は成立しない。 (2) 被告製品4について- 169 -ア ①被告が被告製品4を製造,頒布したこと,②被告製品4をインストールしたパソコンが本件発明4の技術的範囲に属すること及び③被告製品4が本件発明4の操作盤の画面定義装置の生産に用いる物であって,その発明による課題の解決に不可欠なものであることは,当事者間に争いがない。 しかし,被告は被告製品4の製造,頒布は,原告の同意を得ることなく本件特許 4を実施することができる(特許法73条2項)本件特許権4の共有 決に不可欠なものであることは,当事者間に争いがない。 しかし,被告は被告製品4の製造,頒布は,原告の同意を得ることなく本件特許 4を実施することができる(特許法73条2項)本件特許権4の共有特許権者であったトヨタによる自己実施と同視すべきであるとして,同特許権を侵害しないと主張している。そこで,この被告の主張について検討する。 イ前記6(5)ウで認定した事実に加え,証拠(甲4,10,乙15)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (ア) トヨタは,平成16年4月頃当時,本件第4特許を豊田工機と共有していた。 (イ) 被告は,C70シリーズの数値制御装置として,一般向けの仕様のものとは別に,トヨタ向けの仕様のものも開発しており,このトヨタ仕様のC70シリーズでは,一般仕様のC70シリーズとはPLCのインターフェースアドレスの 設定が異なっており,特別なインターフェースアドレスに対応するプロジェクトデータの作成が必要であった。また,被告製品4は,画面作成に当たって,トヨタの工場の製造ラインで用いられるトヨタ仕様のデザインの表示画面のプロジェクトデータのみが作成されるものであった。 そのため,一般仕様のC70シリーズを接続しているプログラマブル表示器の表 示画面を被告製品4を使用して作成しようとすると,トヨタの工場の製造ラインで用いられているデザインの表示画面が作成される一方で,インターフェースアドレスがかみ合わないために,所定の動作をしない画面が生じる。 ウ被告による被告製品4の製造,頒布をトヨタによる自己実施と同視すべきか (ア) 上記認定のとおり,被告は被告製品4を製造し,無償で原告だけでな- 170 -く,トヨタにC70シリーズの数値制御装置を搭載した設備機 ヨタによる自己実施と同視すべきか (ア) 上記認定のとおり,被告は被告製品4を製造し,無償で原告だけでな- 170 -く,トヨタにC70シリーズの数値制御装置を搭載した設備機械を納入する業者(設備メーカー)合計6社に対して頒布した。 そして,これらの頒布時期は平成19年11月から平成23年2月までであり,いずれもトヨタが原告と本件特許権4を共有していた期間内である。 (イ) そこで,被告がした被告製品4の製造,頒布がされた経緯等について さらに検討する。 a まず,被告が被告製品4を開発した目的について検討すると,トヨタは,自社の工場の製造ラインで用いられる操作盤の画面のデザイン(画面に表示されるランプやボタンの仕様)を指定していたため,トヨタから設備機械の製造を受注した設備メーカーは,トヨタから指定された仕様に従って,プログラマブル表 示器の画面表示を構成する必要があった。そして,原告を含む業者が製造し,トヨタに納品されていたプログラマブル表示器等の表示画面も上記トヨタが指定した仕様に従ったものとなっており,その画面デザインは原告(豊田工機)の「スクリーンヘルパー3」等を用いて作成されていた。そのため,トヨタにとっては,被告の協力を得て開発を進めていた機械加工ライン用設備機械の表示器においても同じ仕 様とする必要があり,従前「スクリーンヘルパー3」等を用いて作成されていたファイルを活用して,C70シリーズの数値制御装置に接続する被告のプログラマブル表示器のプロジェクトデータを一括で生成することができたり,「スクリーンヘルパー3」と同様にエクセルファイルを用いてトヨタ仕様のプロジェクトデータを作成できたりすることは,その装置を搭載した設備機械の納入を受け,そのユーザと 生成することができたり,「スクリーンヘルパー3」と同様にエクセルファイルを用いてトヨタ仕様のプロジェクトデータを作成できたりすることは,その装置を搭載した設備機械の納入を受け,そのユーザと なるトヨタにとっては非常に便宜で,意味のあることであったということができ,このことは,トヨタが被告に対して開発の過程で上記「スクリーンヘルパー3」の取扱説明書[ハネコン横形編](第7版)(乙21)を交付したことからも推認することができる。 他方で,トヨタは,被告に新たな機械加工ライン用設備機械の開発への協力を求 め,被告との間で協議しながらその開発を進め,被告は,トヨタの施設内で行った- 171 -C70シリーズの説明会で被告製品4の機能を説明した上で,これを設備メーカーに無償で提供する旨の説明も行い,トヨタが設備メーカーから納入を受けたC70シリーズの数値制御装置に対応したプロジェクトデータは被告製品4を使用して作成されたのである。以上の経過からすれば,トヨタは,被告製品4の存在を認識するとともに,これを使用して上記認定のような方法でC70シリーズに対応したプ ロジェクトデータを生成することを認識,認容していたと推認することができる。 以上のことを踏まえると,被告による被告製品4の開発や製造,無償での頒布は,専ら上記設備機械のユーザとなるトヨタの便宜のために,トヨタの認識,認容の下にされたと認められる。 b 次に,被告製品4の機能は上記認定のとおりであり,被告製品4で は,画面作成に当たって,トヨタの工場の製造ラインで用いられるトヨタ仕様の表示画面のプロジェクトデータのみが生成されることとされていた。そして,操作盤の画面は,実際の製造ラインにおける製造工程(工作機械)に対応したものであり,製造工程が異なれば で用いられるトヨタ仕様の表示画面のプロジェクトデータのみが生成されることとされていた。そして,操作盤の画面は,実際の製造ラインにおける製造工程(工作機械)に対応したものであり,製造工程が異なれば,当然操作盤の画面の内容も変わるところ,被告製品4を使用して作成し得るプロジェクトデータは専らトヨタの工場の製造ラインを前提にした ものであり,トヨタにおいてのみ使用する意味があったと認められる。 現に,被告製品4の「仕様説明書」(甲10)では,冒頭でトヨタ向けの操作盤画面を生成することができることが記載され,各個操作画面の説明としても,トヨタの工場の製造ラインで使用されていた画面について機能等が説明されている。したがって,この説明書はその内容に照らし,トヨタにC70シリーズの数値制御装置 を搭載した設備機械を納入する業者に向けて作成されたものであり,しかも被告製品4を各設備メーカーがトヨタに設備機械を納入する際にのみ使用することを前提としたものであったと認められる。 なお,一般仕様のC70シリーズを接続しているプログラマブル表示器の表示画面を被告製品4を使用して作成しようとすると,画面定義は行われるものの,その 操作盤に表示される画面はトヨタの工場の製造ラインを前提としたもので,トヨタ- 172 -以外のユーザには意味のない物である上に,インターフェースアドレスがかみ合わないために,所定の動作をしない画面が生じるから,事実上,トヨタ以外のユーザのために被告製品4を使用することは想定できない。この点について,原告は,被告製品4の頒布を受けた設備メーカーが同製品を使用して設備を設計製造し,富士重工業株式会社に納入したとも主張するが,認めるに足りる証拠はない上,仮にそ うであるとしても,上記の事情に照らすと,被告製品4が 頒布を受けた設備メーカーが同製品を使用して設備を設計製造し,富士重工業株式会社に納入したとも主張するが,認めるに足りる証拠はない上,仮にそ うであるとしても,上記の事情に照らすと,被告製品4が,各設備メーカーがトヨタに設備機械を納入する際にのみ使用することを前提としたものであったとの上記認定を左右するものではない。 以上より,被告製品4は,事実上,トヨタのためにのみ使用されるものであり,その頒布を受けた設備メーカーもトヨタに設備機械を納入する際にのみこれを使用 することが予定されていたといえる。 c そして,被告製品4の製造,頒布の状況についてみると,確かに,原告も指摘するように,被告製品4は原告以外の設備メーカー合計6社に無償で「仕様説明書」とともに頒布されたものの,その頒布先の業者は,いずれもトヨタから発注を受け,トヨタにC70シリーズの数値制御装置を搭載した設備機械を納 入する業者(設備メーカー)であった。当然のことながら,その業者はトヨタとの間で設備機械の納入の契約を締結しているから,トヨタもその業者のことを認識していたことは明らかである。 しかも,被告は被告製品4を設備メーカーに無償で頒布しており,通常の自社製品と同じように市場で販売しているわけでもない。 d 以上の経過等を踏まえると,被告による被告製品4の製造,頒布は,トヨタの認識,認容の下で,専らトヨタの事業のために,しかもトヨタの工場の設備においてのみ使用されるものとしてされ,現にそのように使用されたと認められ,これらの事情は,被告による被告製品4の製造,頒布が本件特許権4の共有特許権者であるトヨタの実施権の行使としてされたと評価するのに十分というべきである。 したがって,被告による被告製品4の製造,頒布行為について, る被告製品4の製造,頒布が本件特許権4の共有特許権者であるトヨタの実施権の行使としてされたと評価するのに十分というべきである。 したがって,被告による被告製品4の製造,頒布行為について,原告が保有する- 173 -本件特許権4の間接侵害(特許法101条2号)は成立しない。 (3) 以上より,これまでの被告製品4の製造,頒布行為について本件特許権4の間接侵害(特許法101条2号)は成立せず,また今後,被告が被告製品4を生産,譲渡等するおそれが認められないことは先に述べたのと同様であるから,その余の点について判断するまでもなく,その侵害を理由とする請求には理由がない。 8 争点6(被告の本件各特許権の侵害による原告の損害額)について(1) 以上の各争点の判示によれば,被告による被告製品3の製造,販売及び同製品に係るコンピュータ・プログラムの使用許諾について,本件特許権1の間接侵害(特許法101条2号)が成立する。 (2) 認定事実 これまでに認定した事実並びに証拠(甲26,27,38,45)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる(当事者間に争いのない事実はその旨付記する。)。 ア原告の製品について(ア) 原告は,「TOYOPUC」という商品名のPLC関連機器を販売して おり,このうちダイレクト回路モニタ(DM)(以下「DMシリーズ」という。)では,遅くとも平成16年以降,「回路モニタ機能」や「追いかけモニタ機能」を使用することができた。 (イ) この「回路モニタ機能」は,被告表示器Aで使用可能な回路モニタ機能と同様の機能であり,「追いかけモニタ機能」は,操作盤画面上の異常ボタンをタ ッチし,ラダー回路上で異常の条件を検索し,該当する回路を表示する機能である。 (ウ 器Aで使用可能な回路モニタ機能と同様の機能であり,「追いかけモニタ機能」は,操作盤画面上の異常ボタンをタ ッチし,ラダー回路上で異常の条件を検索し,該当する回路を表示する機能である。 (ウ) 原告の「TOYOPUC」のカタログ(甲26。平成27年発行)の39頁ないし40頁には,DMシリーズについて,次の記載がある。 a 「設備制御の見える化も実現します」と記載された上で,その下に「制御回路の見える化」,「安全回路の見える化」及び「設備異常の見える化」が列 記されている。また,「ダイレクトに設備の見たい情報を表示するタッチパネルディ- 174 -スプレイ」と記載され,その下で「パソコンレス,図面レス(ペーパーレス)で,設備の保守が容易です。」と説明されており,主な特徴として,次の事項が記載されている(39頁)。なお,次の(a)記載のSFC(シーケンシャルファンクションチャート),FBD(ファンクションブロックダイアグラム),LD(ラダーダイアグラム)は,「IEC61131-3」規格に規定されるプログラミング言語 である(なお書き部分については争いがない。)。 (a) SFC,FBD,LD回路を表示/モニタできます。 (b) 安全回路を表示/モニタできます。 (c) I/O図を表示できます。 (d) 異常発生時,画面操作のみで問題箇所まで追いかけることができ るので,大幅にMTTR(MeanTimeToRepair。平均復旧時間(故障した場合の復旧にかかる時間の平均))を短縮できます。 (e) CFカードを使用し,ハードディスクレスを実現しました。 b 追いかけモニタ機能(40頁)について,「異常ボタンからI/O図まで故障箇所が特定できる」とか,「ラダー回路の条件をタッチしてい CFカードを使用し,ハードディスクレスを実現しました。 b 追いかけモニタ機能(40頁)について,「異常ボタンからI/O図まで故障箇所が特定できる」とか,「ラダー回路の条件をタッチしていくことで,異 常の原因を追いかけていくことができます。…従来のような回路図面…を広げて異常の原因を探るストレスから開放されます。」と記載されている。 そして,その下に多数のボタンが設けられた「操作盤画面」の図と「回路モニタ」の図(以下「甲26の図」という。)が横に並べて掲載されており,前者の図のボタンの一部に赤丸が付され,その真横に「タッチ」と記載され,また後者の図のうち の特定のラダー回路のコイル部分に赤丸が付され,前者の赤丸から後者の赤丸に向けた矢印が記載されている。 さらにその下に「原因調査時間削減」と記載された図が掲載されており,その図では,従来方式では指数が10であったのが,追いかけモニタでは指数が1になり,「大幅なMTTRの短縮」と記載されている。 (エ) 原告は,上記PLC関連機器として,汎用操作盤(以下「FPシリー- 175 -ズ」といい,DMシリーズと併せて「原告の製品」という。)を販売しており,遅くとも平成16年10月以降,被告表示器Aで使用可能な回路モニタ機能と同様の機能のほか,「ズームアップ検索機能」を使用することができた。 (オ) 原告の「TOYOPUC」のカタログ(甲26。平成27年発行)の43頁には,FPシリーズについて,「設備規模に最適な操作盤をラインナップし, 生産設備の立上げ時間短縮と可動率向上に貢献」とか,「ダイレクトに設備の見たい情報を表示するタッチパネルディスプレイを採用」と記載され,その下で主な特徴として,次の事項が記載されている。 a 操作 立上げ時間短縮と可動率向上に貢献」とか,「ダイレクトに設備の見たい情報を表示するタッチパネルディスプレイを採用」と記載され,その下で主な特徴として,次の事項が記載されている。 a 操作盤機能bPLCツール機能 (a) SFC,FBD,LD回路を表示/モニタできます。 (b) 安全回路を表示/モニタできます。 (c) I/O図を表示できます。 (d) 異常発生時,画面操作のみで問題箇所まで追いかけることができるので,大幅にMTTR(MeanTimeToRepair)を短縮できます。 c モーションツール機能 (カ) FPシリーズの操作盤に内蔵されているPLC用の周辺ツールである操作盤用PLCツール「LdXP」の取扱説明書(甲27)では,「ラダー表示」という項目(5-1頁以下)中で「ズームアップ検索」について記載されている(5-7頁)。そこでは,「指定した接点アドレスのコイルを,プログラム内より検索し 表示します。」と記載され,操作手順について,①回路モニタしている状態で接点をタッチする,②該当回路ブロックは,存在したプログラム番号の先頭ラインに表示される,他プログラム内に該当回路ブロックが存在した場合は,自動的にプログラム切替を行うと記載されている。 その下には,例としてラダー回路の図が2つ上下に記載され,両図が上から下向 きの矢印で結ばれている。また,上に図の切断されている接点M029部分に吹き- 176 -出しが設けられ,「接点をタッチ」と記載されるとともに,当該接点に赤丸が付され,下の図のM029部分に向けて赤い矢印が記載されている。そして,当該M029部分はコイルに相当するものであり,その横には「通信異常セットバッテリ異常 チ」と記載されるとともに,当該接点に赤丸が付され,下の図のM029部分に向けて赤い矢印が記載されている。そして,当該M029部分はコイルに相当するものであり,その横には「通信異常セットバッテリ異常確認」と記載され,M029のコイルがあるラダー回路部分が赤い四角で囲まれ,吹き出しで「該当回路」と記載されている。また,その下のM029の接点が記載さ れている部分(上の図に記載されたラダー回路と同じ部分)には吹き出しで「基準回路」と記載されている。 (キ) 原告の製品はいずれも,表示器(ハードウェア)にOS及び各機能を実行するためのプログラム(ソフトウェア)が予めインストールされた状態で販売されており(ただし,操作ガイダンス機能を除く。),原告はソフトウェア部分だけ の販売はしていない。また,原告の製品には,被告製品3に格納されている描画ソフトはインストールされていない。 イ平成25年度の原告の製品の販売による限界利益額平成25年度における,DMシリーズの1台当たりの原告の限界利益額は●(省略)●円,FPシリーズの1台当たりの原告の限界利益額は●(省略)●円で あり,原告の製品全体の限界利益額は1台当たり●(省略)●円である(争いがない。)。 ウ被告は平成25年4月以前から,現在に至るまで,被告製品3を製造し,基本的に販売代理店に対して販売してきた。被告は当初,被告製品3をCD版で提供していたが,平成25年10月からはDVD版での提供を開始し,平成27年8 月以降はDVD版のみを販売している。 平成25年4月1日から平成29年12月末までの被告製品3の販売数及び販売額(売上額)は,別紙「被告製品3の販売数量・販売額」記載のとおりである(なお,被告における販売数管理システムの最少区分が月毎である 5年4月1日から平成29年12月末までの被告製品3の販売数及び販売額(売上額)は,別紙「被告製品3の販売数量・販売額」記載のとおりである(なお,被告における販売数管理システムの最少区分が月毎であるため,平成25年4月1日からの販売数・販売額が記載されている。)。 また,被告製品3に係る被告の限界利益率は,別紙「被告の変動費の内訳,加重- 177 -平均値及び限界利益率」の(3)記載のとおりである。 なお,原告は,上記販売数や販売額を争うが,別紙「被告製品3の販売数量・販売額」記載の数量より多いとか,同別紙記載の金額よりも高いことを認めるに足りる証拠はない。 エプログラマブル表示器の平成25年の国内市場のシェアは次のとおりで ある。 (ア) 販売数量被告 14万台構成比32.4%デジタル 12万9000台構成比29.8%キーエンス 6万8800台構成比15.9% 発鉱・富士電機グループ 3万9200台構成比9.1%パナソニックデバイスSUNX 1万9800台構成比4.6%オムロン 1万5900台構成比3.7%その他 1万9600台構成比4.5%合計 43万2300台 (イ) 販売金額被告 115億円構成比34.1%デジタル 110億円構成比32.6%キーエンス 51億円構成比15.1%発鉱・富士電機グループ 32億5000万円構成比9.6% オムロン 9億8000万円構成比2.9%パナソニックデバイスSUNX 6億5000万円構成比1. 9%その他 12億2500万円構成比3.6%合計 337億0500万円 (3) 原告の特許法102条1項に基づく主張について- 178 -ア本件 00万円構成比1. 9%その他 12億2500万円構成比3.6%合計 337億0500万円 (3) 原告の特許法102条1項に基づく主張について- 178 -ア本件の間接侵害への特許法102条1項の適用の可否上記認定事実のとおり,本件では,被告製品3はプログラム(ソフトウェア)であるのに対し,原告の製品は表示器(ハードウェア)に予めプログラム(ソフトウェア)がインストールされた完成品であるという相違がある。このことも踏まえ,被告は,間接侵害には特許法102条1項は適用されないと主張している。 特許法102条1項本文は,侵害者が「侵害の行為を組成した物」を「譲渡した…数量」に,特許権者等が「その侵害行為がなければ販売することができた物」の「単位数量当たりの利益の額」を乗じて得た額を,特許権者等が受けた損害の額とすることができる旨を定める。この規定は,侵害行為がなければ特許権者等が利益を得たであろうという関係があり,そのために特許権者等に損害が発生したと認め られることを前提に,特許権者等の損害額の立証負担を軽減する趣旨に基づくものであるが,そこに定める損害額の算定方法からすると,これにより算定される損害の額は,特許権者等の「その侵害行為がなければ販売することができた物」の逸失販売利益に係る損害の額であることを前提にしており,さらに,侵害者の「侵害の行為を組成した物」の譲渡行為と特許権者等の「その侵害行為がなければ販売する ことができた物」の販売行為とが同一の市場において競合する関係にあることも前提としているものと解される。 他方,物の発明に係る間接侵害が対象とするのは,実施品の「生産に用いる物」の譲渡等であり,実施品を構成する部品だけでなく,実施品を生産するための道具や原料等の とも前提としているものと解される。 他方,物の発明に係る間接侵害が対象とするのは,実施品の「生産に用いる物」の譲渡等であり,実施品を構成する部品だけでなく,実施品を生産するための道具や原料等の譲渡等もこれに含まれるから,必ずしも侵害者の間接侵害品の譲渡行為 と特許権者等の製品(部品等のこともあれば完成品のこともある)の販売行為とが同一の市場において競合するとは限らない。そして,本件のように間接侵害品が部品であり,特許権者等が販売する物が完成品である場合には,前者は部品市場,後者は完成品市場を対象とするものであるから,両者の譲渡・販売行為が同一の市場において競合するわけではない。しかし,この場合も,間接侵害品たる部品を用い て生産された直接侵害品たる実施品と,特許権者等が販売する完成品とは同一の完- 179 -成品市場の利益をめぐって競合しており,いずれにも同じ機能を担う部品が包含されている。そうすると,完成品市場における部品相当部分の市場利益に関する限りでは,間接侵害品たる部品の譲渡行為は,それを用いた完成品の生産行為又は譲渡行為を介して,特許権者等の完成品に包含される部品相当部分の販売行為と競合する関係にあるといえるから,その限りにおいて本件のような間接侵害行為にも特許 法102条1項を適用する素地がある。 したがって,本件では,以上の考え方に基づき各要件の解釈をすることを前提に,特許法102条1項の適用を肯定するのが相当である。 イ 「侵害の行為がなければ販売することができた物」について(ア) この要件に該当する「物」について,原告は,プログラム(ソフトウ ェア)を表示器(ハードウェア)にインストールした原告の製品全体であると主張するのに対し,被告は,原告がハードウェアとソフトウェアを別個に販売して 「物」について,原告は,プログラム(ソフトウ ェア)を表示器(ハードウェア)にインストールした原告の製品全体であると主張するのに対し,被告は,原告がハードウェアとソフトウェアを別個に販売していないことから,原告の製品はソフトウェアである被告製品3と競合関係にないとして,原告の製品が「侵害の行為がなければ販売することができた物」に当たらないと主張している。 しかし,前記アで述べたところからすると,本件のような間接侵害の場合の「侵害の行為がなければ販売することができた物」とは,特許権者等が販売する完成品のうちの,侵害者の間接侵害品相当部分をいうものと解するのが相当である。 (イ) これを本件についてみると,原告の製品では回路モニタ機能や「追いかけモニタ機能」及び「ズームアップ検索機能」が使用可能で,これは被告製品3 で使用可能な回路モニタ機能やワンタッチ回路ジャンプ機能(本件発明1の構成要件1E及び1Fの構成を充足する機能)と同様の機能であって,これが原告の製品に予めインストールされているプログラム(ソフトウェア)による機能であることは明らかである。したがって,原告の製品と被告製品3を用いた完成品とは,そのようなソフトウェアが格納又はインストールされているという点で共通していると いうことができるから,原告の製品は,被告製品3を用いた完成品と市場で競合す- 180 -る物であるということができる。 そうすると,本件での「侵害の行為がなければ販売することができた物」とは,原告の製品全体のうちの,被告製品3に対応するプログラム(ソフトウェア)部分である。 ウ 「譲渡数量」(侵害者が譲渡したその侵害の行為を組成した物の数量)に ついて本件では被告による被告製品3の生産,譲渡等の行為に 対応するプログラム(ソフトウェア)部分である。 ウ 「譲渡数量」(侵害者が譲渡したその侵害の行為を組成した物の数量)に ついて本件では被告による被告製品3の生産,譲渡等の行為について間接侵害の成立が認められるから,被告製品3が「その侵害の行為を組成した物」に該当する。 なお,原告は被告表示器Aもこれに含まれると主張して,原告の製品(完成品)の単位利益に乗じるものとして被告表示器Aの販売数を問題としているが,被告表 示器Aの製造,販売について間接侵害が成立しないことは,前記3(1)及び(2)エ(ア)で判示したとおりであり,そうである以上,特許法102条1項の適用に当たって,被告表示器Aが「その侵害の行為を組成した物」に該当することはないというべきである。 そして,原告は,被告製品3を「その侵害の行為を組成した物」とする場合の予 備的な主張として,被告製品3の販売数を譲渡数量としているところ,平成25年4月1日から平成29年12月末までの被告製品3の販売数は,合計●(省略)●台である(前記(2)ウ)。 被告が本件発明1(本件特許1)の存在を知ったのは平成25年4月2日であり,同日以降の被告製品3の譲渡等について間接侵害が成立することから,上記認定の 販売数から同月1日の販売数を控除する必要がある。本件の主張立証から同日の販売数は明らかでないから,同月の販売数(●(省略)●台)を4月の日数である30で除した●(省略)●台(1台未満は四捨五入)を同月1日の販売数と認めるほかない。したがって,同月2日から平成29年12月末までの被告製品3の販売数は,合計●(省略)●台と認められる。 なお,被告は,間接侵害が成立するのは主観的要件を具備して行った被告製品3- 181 -の生産,譲渡等のみ 29年12月末までの被告製品3の販売数は,合計●(省略)●台と認められる。 なお,被告は,間接侵害が成立するのは主観的要件を具備して行った被告製品3- 181 -の生産,譲渡等のみであり,その立証がされていないと主張しているが,被告の行為が間接侵害の主観的要件を具備していることは,前記3(2)カで判示したとおりである。 エ侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益額について (ア) 原告の製品全体の平成25年度の1台当たりの限界利益額が●(省略)●円であることは,当事者間に争いがなく(前記(2)イ),その他の年度についても同様と推認されるところ,上記イで認定したとおり,「侵害の行為がなければ販売することができた物」に当たるのは原告の製品のうちのプログラム(ソフトウェア)部分であるから,原告の製品のうちソフトウェア部分の限界利益額をもって「単位 数量当たりの利益額」に当たるとみるべきことになる。 (イ) この点に関し,被告は,自らの製品のカタログ(甲5)記載の表示器(被告製品1-1)とソフトウェア(被告製品3-1)の参考標準価格を参考にして,原告の製品のうちソフトウェア部分の限界利益額を算出すべき旨主張している。 これに対し,原告は被告が被告表示器の価格を高く設定し,ソフトウェアである被 告製品3の価格を低く設定するビジネスモデルをとっているから,被告の価格設定を参考とすべきではなく,本件発明1の価値の高さに鑑み,ソフトウェア部分の寄与度は9割を下らないと主張する趣旨と解される。 被告製品1-1の参考標準価格は22万円から53万円,被告製品1-2の参考標準価格は22万円から43万円であるのに対し,被告製品3-1の参考標準価格 は,単体ライセンス品で●(省 解される。 被告製品1-1の参考標準価格は22万円から53万円,被告製品1-2の参考標準価格は22万円から43万円であるのに対し,被告製品3-1の参考標準価格 は,単体ライセンス品で●(省略)●万円,200ライセンスまで登録可能なサイトライセンス品で4万円である(前記2(2)ア(カ),(キ)参照)。このように,サイトライセンス品と単体ライセンス品との価格差がわずかであり,被告表示器のような生産設備に用いる装置の場合,通常は複数台が購入され,その場合にはサイトライセンス品が購入されると考えられることからすると,通常の場合には,被告表示器 1台当たりに必要なソフトウェア費用が極めて安価になり,原告が指摘するような- 182 -ソフトウェアで利益を上げないビジネスモデルが存在している可能性もある。そのため,サイトライセンス価格や実際の被告表示器1台当たりのソフトウェア費用(被告の主張によっても平成26年における被告表示器Aの販売台数は被告製品3の販売枚数の約60倍であるから被告主張のとおり単価は500円となる。)を参考として,被告表示器の参考標準価格と比較する場合には,ソフトウェアの価値が不 当に低く算定されることになり,相当でないと考えられる。しかし,単体ライセンス品の参考標準価格を用いる場合には,被告表示器1台のみを購入する場合が想定されるから,この場合にはソフトウェアによる採算も軽視されないはずであるし,単体ライセンス品の参考標準価格は●(省略)●万円であるから,被告表示器のようなハードウェアと被告製品3のようなソフトウェアに要する一般的な原価の差も 考えると,ハードウェアとソフトウェアの価値が相応に反映されていると考えられる。 他方,原告は,原告の製品における本件発明1の寄与度が9割を下らないと主張する アに要する一般的な原価の差も 考えると,ハードウェアとソフトウェアの価値が相応に反映されていると考えられる。 他方,原告は,原告の製品における本件発明1の寄与度が9割を下らないと主張するが,前記1の認定・判示によれば,従来技術を参酌して導かれる本件発明1の特徴的技術手段は,表示されたラダー回路の出力要素を指定して入力要素を検索す るに当たり,出力要素の指定をタッチにより行うという点にすぎないから,製品全体に対するその寄与度は9割を大きく下回ると考えられる。 以上からすると,本件で原告の製品の利益におけるソフトウェア部分の利益を算定するには,被告表示器1Aと被告製品3-1の参考標準価格を参考にして原告の製品におけるソフトウェア部分の限界利益額を算定するほかないというべきである。 これを参考にして被告表示器1Aと被告製品3-1の合計額に占める被告製品3-1の価格割合を算定すると,被告表示器1A(ただし,被告製品1-2のうちそもそも回路モニタ機能等を使用できない機種及び生産を終了した機種は除く。)のカタログ記載の参考標準価格は,平均すると●(省略)●円(税抜)であり(甲5),被告製品3-1の通常の単体ライセンス品の参考標準価格は●(省略)●万円であ る(税抜)から,被告製品3-1の価格の全体に占める割合は,●(省略)●%- 183 -(0.1%未満四捨五入)と認められる。 なお,被告は被告製品1-1の参考標準価格の平均値をもとに算定しているが,被告製品3-1がインストールされて回路モニタ機能等が使用され得る被告製品には被告製品1-2も含まれるから,被告製品1-2の参考標準価格も参考にすべきである。また,被告は1枚の被告製品3が約60台の被告表示器Aにインストール されていることを前提に,被告製品3の価格 は被告製品1-2も含まれるから,被告製品1-2の参考標準価格も参考にすべきである。また,被告は1枚の被告製品3が約60台の被告表示器Aにインストール されていることを前提に,被告製品3の価格を500円として算定しているが,そのような場合の価格が被告製品3の価値を反映したものであるのかについては前記のとおり問題があるから,被告製品3-1の通常の単体ライセンス品の参考標準価格である●(省略)●万円をもって同製品の価格であると認めるのが相当である。 (ウ) 以上より,原告の製品のうちソフトウェア部分の限界利益額(1台当 たりの金額)は,上記(ア)記載の金額に●(省略)●%を乗じた4118円と認められる。 オ 「販売することができないとする事情」の有無(ア) まず,被告は被告製品3と原告の製品とが競合することはないから,原告の譲渡数量の全部について,原告が販売することができない事情が存在すると 主張しているが,この主張に理由がないことは,前記アで認定・判示したとおりである。 (イ) 次に,被告は,被告製品3を購入した者の全てが回路モニタ機能を使用しているわけではないとか,回路モニタ機能を使用するのにオプション機能ボードの設置が必要な被告製品1-2を購入した者のうちオプション機能ボードを購入 したのは約4分の1にとどまり,実際に回路モニタ機能等を使用していないユーザはさらに多く存在すると主張する。 特許法101条2号に係る間接侵害品たる部品等は,特許権を侵害しない用途ないし態様で使用することができるものである。そして,そのような部品等の譲渡は,譲渡先での使用用途ないし態様のいかんを問わず間接侵害行為を構成するが,実際 に譲渡先で特許権を侵害する用途ないし態様で使用されていない場合には,譲渡 である。そして,そのような部品等の譲渡は,譲渡先での使用用途ないし態様のいかんを問わず間接侵害行為を構成するが,実際 に譲渡先で特許権を侵害する用途ないし態様で使用されていない場合には,譲渡先- 184 -の顧客は当該特許発明の価値に吸引されて当該部品等を購入したわけではないから,間接侵害品の売上げに当該特許権が寄与しておらず,そのような譲渡先については,間接侵害行為がなければ特許権者の製品が販売できたとはいえないことになる。したがって,特許権者等の損害額の算定に当たっては,そのような事情は,特許法102条1項ただし書の事由を構成すると解するのが相当である。 これを本件についてみると,先に2(4)イ(イ)で述べたとおり,乙17及び18によれば,回路モニタ機能等に対応している被告製品1-2を購入した者のうち,オプション機能ボードを購入しなかった者が相当程度存したと認められ,被告製品1-1や被告表示器2Aのユーザが須く回路モニタ機能等を目的にこれらを選ぶとまで認めることは困難である。このように譲渡先が回路モニタ機能等を利用しない場 合があることは,特許法102条1項ただし書の事由として考慮すべきであるが,その程度が明らかでないから,その考慮は極めて限定的になし得るにとどまるというべきである。 (ウ) 次に,被告は,①原告がPLC用表示器の市場において意味のあるシェアを有していないこと,②原告の製品のソフトウェアに占める本件発明1の貢献 度(寄与度)は高くても0.1%を上回ることはないこと,③原告が宣伝広告活動において「追いかけモニタ機能」や「ズームアップ検索機能」を重視していなかったことを指摘している。 a 特許法102条1項ただし書の「販売することができないとする事情」は,侵害行為がなければ特許 において「追いかけモニタ機能」や「ズームアップ検索機能」を重視していなかったことを指摘している。 a 特許法102条1項ただし書の「販売することができないとする事情」は,侵害行為がなければ特許権者等の製品を侵害品と同じ数量だけ販売できた との相当因果関係を阻害する事情を対象とするものである。 b そして,被告の主張①について,前記(2)エ認定の事実によれば,プログラマブル表示器について,原告のシェア(販売数量)と被告のシェア(販売数量)との間には,非常に大きな差異があったと認められるところ,シェアの格差には,製品の魅力以外にも,営業力やブランド力等の差異も多分に影響するものであ るから,原告と被告のシェアに大きな格差があるという事情は,このような営業力- 185 -やブランド力等の差異という観点から,「販売することができないとする事情」を基礎付ける1つの事情にはなるといえる。 c また,原告のシェアが小さいという上記の被告の主張①は,被告以外の他社の同種製品(競合品)が市場に多数存在しているから,被告製品3が販売されなかったとしても,被告の製品が吸収した需要は他社の競合品が吸収し,原告 の製品の売上増加にはつながらないとの趣旨を含み,また,同様に上記の被告の主張②は,本件発明1の価値が低いから,被告製品3が販売されなかったとしても原告の製品の売上増加にはつながらないとの趣旨と解される。 この点については,一般に侵害者の侵害品は特許発明の作用効果を奏するものとして顧客吸引力を有する製品であるから,それと同等の機能ないし効果を奏するも のでなければ,特許発明の実施品に対抗して需要を吸収し得る競合品として重視することができない。しかし,前記1の認定・判示によれば,従来技術を参酌して導かれる本件発明1の特徴的技 果を奏するも のでなければ,特許発明の実施品に対抗して需要を吸収し得る競合品として重視することができない。しかし,前記1の認定・判示によれば,従来技術を参酌して導かれる本件発明1の特徴的技術手段は,表示されたラダー回路の出力要素を指定して入力要素を検索するに当たり,出力要素の指定をタッチにより行うという点にすぎない。また,前記1で認定したとおり,従来製品として,モニタ上に表示される 異常種類のうち特定のものをタッチして指定すると,その指定された異常種類に対応する異常現象の発生をモニタしたラダー回路が表示され,さらにそのラダー回路の接点をタッチしてコイルを検索することができ,1回前に検索されたラダー図と前回路の検索もできる構成を備える製品(乙11のもの)や,同様の製品において異常種類の原因となるコイルの指定や接点の指定をタッチパネル上の入力画面でデ バイス名又はデバイス番号を入力して行う製品(被告のGOT900)も存在していた。そうすると,本件発明1に係る機能をすべて使用することができる製品が被告の製品以外に存在していなかったとしても,上記のような製品は存在しており,そのような製品でも,異常現象の発生時にラダー回路図面集を参照しなくても真の異常原因を特定したり,原因の特定のために次々にラダー回路を読み出していった りすること自体は可能であり,それほど複雑な操作を要するものではないと認めら- 186 -れるから,原告の製品とほぼ同様の機能を備えたものであるといえる。 また,原告の製品が,上記の本件発明1の特徴的技術手段を備えるか否かも必ずしも明らかでない。 したがって,本件では,競合品の存在により,被告製品3が販売されなかったときに原告の製品が同じだけ販売されたとの相当因果関係は,かなり大きな程度で阻 を備えるか否かも必ずしも明らかでない。 したがって,本件では,競合品の存在により,被告製品3が販売されなかったときに原告の製品が同じだけ販売されたとの相当因果関係は,かなり大きな程度で阻 害されると認めるのが相当である。 d また,上記被告の主張③は,原告の製品において本件発明1の機能は重要なものではないから,被告製品3が販売されなくとも,需要者が原告の本件発明1の機能に惹かれて原告の製品を購入することがないとの趣旨と解される。 しかし,原告は,カタログに甲26の図を掲載することに加え,各製品の主な特 徴の1つとして,「異常発生時,画面操作のみで問題箇所まで追いかけることができる」ということを記載していたのであるから,実際に重要な機能として位置付けられており,そして,これらの機能を顧客に対してアピールしていたと認められ,この点については被告の上記主張は採用できない。 (エ) 以上のことを踏まえると,本件では,被告製品3が販売されなかった ときに原告の製品が同じだけ販売されたとの相当因果関係は,かなり大きな程度で阻害されると認められる。 しかし,本件における被告製品3の譲渡数量は,前記のとおり●(省略)●枚であるが,被告によれば,平成26年の被告表示器Aの販売台数は被告製品3の約60倍であるというのであるから,少なくとも被告製品3は1枚当たり約60台の被 告表示器Aにインストールされたといえる。これに対し,原告の製品は,表示器にソフトウェアがインストールされた完成品であり,前記エで認定したそのソフトウェア相当部分の単位利益の額は,表示器1台のソフトウェア相当部分の利益額であり,その販売数量も表示器の販売数量と同じになるべきものである。そうすると,本件において,「販売することができないとする事情」として 部分の単位利益の額は,表示器1台のソフトウェア相当部分の利益額であり,その販売数量も表示器の販売数量と同じになるべきものである。そうすると,本件において,「販売することができないとする事情」として,侵害行為がなければ 特許権者等の製品を侵害品と同じ数量だけ販売できたとの相当因果関係を阻害する- 187 -事情の程度を判断するに当たっては,このような数量ベースの差を考慮すべきであり,原告の製品のソフトウェア部分の数量ベースから見ると,いわば被告製品3の販売数量が実質的には約60倍ある関係にあることになるから,そのことを踏まえて,被告製品3の販売行為がなければ原告の製品のソフトウェア部分を被告製品3の販売数量と同じ数量だけ販売できたとの相当因果関係がどの程度阻害されるかを 検討すべきである。 そして,このような考慮に基づく場合には,前記(イ)及び(ウ)で述べた諸事情を考慮するとしても,本件において,被告製品3の譲渡数量●(省略)●枚の全部又は一部を「販売することができないとする事情」があるとは認められない。 カ譲渡数量に単位数量当たりの利益を乗じた額 上記ウないしオの判断を踏まえると,特許法102条1項に基づく原告の損害額は,次のとおり,●(省略)●円と認められる。 (計算式) ●(省略)●台×4118円=●(省略)●円(4) 原告の特許法102条2項に基づく主張についてア特許法102条2項は,侵害者が侵害行為により受けた利益の額を特許 権者等が受けた損害の額と推定すると定めるところ,この規定の趣旨は先に同条1項について述べたのと同様であると解される。したがって,先に同条1項について述べたのと同様の考え方の下に,本件において同条2項の適用を肯定するのが相当である。 イ侵害者が侵 旨は先に同条1項について述べたのと同様であると解される。したがって,先に同条1項について述べたのと同様の考え方の下に,本件において同条2項の適用を肯定するのが相当である。 イ侵害者が侵害の行為により受けた利益の額 (ア) これについて,原告は,被告による被告表示器Aの販売利益も含めて特許法102条2項の損害推定が働くと解すべきと主張している。 しかし,特許法102条2項は「その者(注:侵害者)がその侵害の行為により利益を受けているときは,その利益の額」を特許権者等が受けた損害の額と推定すると規定しているところ,本件で原告の本件特許権1の侵害が認められたのは,被 告による被告製品3の生産,譲渡等であり,被告表示器Aの製造,販売については- 188 -間接侵害の成立は否定されたから,被告による被告表示器Aの販売利益が上記「利益の額」に含まれないことは明らかである。これに反する原告の主張は条文の文言に照らして採用できない。 (イ) 原告は被告製品3について,販売数や平均売価,限界利益率を推計して主張しているが,これらを認めるに足りる証拠がないことは,前記(2)ウで判示し たとおりである。そこで,被告の利益額は,被告が開示した販売額(売上額)及び限界利益率をもとに算定するほかない。 a 被告製品3の売上額前記(2)ウで認定した別紙「被告製品3の販売数量・販売額」記載の販売額等をもとに,被告が本件発明1(本件特許1)の存在を知った平成25年4月2 日から平成29年12月末までの売上額(販売額)を認定すると,次のとおり,●(省略)●円と認められる(平成25年4月1日の販売数を●(省略)●枚とみることにつき,前記(3)ウ参照)。 (計算式) ●(省略)●円-●(省略)●円(平成25年4月 を認定すると,次のとおり,●(省略)●円と認められる(平成25年4月1日の販売数を●(省略)●枚とみることにつき,前記(3)ウ参照)。 (計算式) ●(省略)●円-●(省略)●円(平成25年4月1日から同年9月末までの販売数)×●(省略)●(同年4月2日から同年9月末までの販売数) ÷●(省略)●(同年4月1日の販売数を含んだもの)=●(省略)●円(計算過程で生ずる1円未満の端数は四捨五入)b 被告の限界利益率前記(2)ウで認定した被告の限界利益率は,●(省略)●%である(別紙「被告の変動費の内訳,加重平均値及び限界利益率」の(3)参照)。 c 被告の利益額上記a及びbによれば,●(省略)●円と認められる。なお,これによれば,被告製品3の1枚当たりの利益額は,●(省略)●円である(計算式:●(省略)●円÷●(省略)●台=●(省略)●円)。これは,前記原告の製品のソフトウェア部分の単位利益額の約●(省略)●倍である。 ウ推定覆滅事由について- 189 -(ア) 原告は被告製品3につき本件発明1の寄与度を50%と主張しているのに対し,被告はこれを1万分の1と主張するとともに,被告製品3の特徴的技術手段の顧客への訴求力が極めて低いとか,本件発明1の技術的・商業的な価値は高くないなどと主張している。 ここで考えるべき寄与度は,製品の顧客吸引力上の寄与度であるから,被告が主 張するようなデータ量などという物理的な側面に着目することは相当でないが,先に特許法102条1項ただし書について述べたところ((3)オ(ウ)b,c)と同様,本件発明1の特徴的技術手段は,表示されたラダー回路の出力要素を指定して入力要素を検索するに当たり,出力要素の指定をタッチにより行うと 1項ただし書について述べたところ((3)オ(ウ)b,c)と同様,本件発明1の特徴的技術手段は,表示されたラダー回路の出力要素を指定して入力要素を検索するに当たり,出力要素の指定をタッチにより行うという点にすぎず,異常発生時のラダー回路の検索機能を備えた競合品も存在していたことに加え,被 告製品3は回路モニタ機能等以外の様々な機能を使用可能とするプログラム(描画ソフトを含む。)が格納されていることからすると,被告製品3における本件発明1の寄与度は相当程度に低いということはできる。 しかし,そうであるとしても,原告が原告の製品のソフトウェア部分をどの程度販売することができたかについては,先に特許法102条1項について述べたとこ ろ(前記(3)オ(エ))と同様,被告製品3と原告の製品のソフトウェア部分とでは,数量ベースが異なり,被告製品3の販売数量が,原告の製品のソフトウェア部分の数量ベースから見ると実質的には約60倍ある関係にあることを踏まえる必要がある。 (イ) 他方,単位数量当たりの限界利益の額の差も推定覆滅に影響するとこ ろ,その点については,被告製品3が原告の製品のソフトウェア部分の約●(省略)●倍大きいこと(逆にいえば,原告の製品のソフトウェア相当部分が被告製品3の約●(省略)●%にとどまること)も考慮する必要がある。 (ウ) 以上の事情を踏まえると,推定覆滅率は●(省略)●%と認めるのが相当である。 (エ) 以上より,特許法102条2項に基づく原告の損害額は,次のとおり,- 190 -●(省略)●円と認められる。ただし,前記(3)で認定した同条1項に基づく原告の損害額(●(省略)●円)の方が高いことから,その額を認容することとする。 (計算式) ●(省略)●円×●(省略)●= ●(省略)●円と認められる。ただし,前記(3)で認定した同条1項に基づく原告の損害額(●(省略)●円)の方が高いことから,その額を認容することとする。 (計算式) ●(省略)●円×●(省略)●=●(省略)●円(5) 弁護士費用原告は本件訴訟の追行等を原告訴訟代理人に委任したところ(当裁判所に顕著 な事実),被告の特許権侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用は,430万円と認めるのが相当である。 (6) 以上より,原告の損害額は合計4702万8368円と認められる。 9 争点7(本件特許権1又は3の間接侵害を理由とする被告製品3及び4の生産,譲渡等の差止め及び廃棄を命じることの可否) (1) 被告による被告製品3の製造,販売及び同製品に係るコンピュータ・プログラムの使用許諾について,本件特許権1の間接侵害(特許法101条2号)が成立するから,被告製品3(被告製品3に係るソフトウェアを記録した媒体と解される。)の生産,譲渡及び同製品に係るコンピュータ・プログラムの使用許諾についての差止めを認容すべきである。 また,被告製品3の製品は本件特許権1の侵害の行為を組成した物に当たり,また被告は現在に至るまで被告製品3を生産,譲渡等していることに照らせば,同製品が同特許権を侵害する用途として使用されるおそれがあるから,その侵害の予防のために同製品の廃棄を命じる必要性・相当性が認められる。 (2) なお,被告は,被告製品3には適法な用途があるから,その生産,譲渡等 を全面的に差し止め,廃棄を命じるのは過剰である旨主張する。 しかし,被告製品3に適用な用途があるとしても,被告製品3が本件発明1の特徴的技術手段を担う不可欠品であり,その譲渡等により特許権侵害が惹起される蓋然性が高い状況が現実にあり,そのことを 張する。 しかし,被告製品3に適用な用途があるとしても,被告製品3が本件発明1の特徴的技術手段を担う不可欠品であり,その譲渡等により特許権侵害が惹起される蓋然性が高い状況が現実にあり,そのことを被告において認識,認容していると認められる以上,その生産,譲渡等を全面的に差し止め,その廃棄を命じるのが,多用 途品であっても侵害につながる蓋然性の高い行為に特許権の効力を及ぼすこととし- 191 -た特許法101条2号の趣旨に沿うものというべきであるし,そのように解しても,被告は,被告製品3から本件発明1の技術的特徴手段を除去する設計変更をすれば間接侵害を免れるのであるから,被告製品3の生産,譲渡等の差止め命令及び廃棄命令が過剰な差止め・廃棄命令であるとは解されない(なお,被告製品3にこのような設計変更をした場合でも,製品名が変わらない場合には,差止判決の対象外と するために請求異議訴訟を経ることが必要になるが,そのような起訴責任を転換する負担を被告が負うことはやむを得ないというべきである。)。 したがって,被告の上記主張は採用できない。 10 結論以上によれば,原告の請求は,主文第1項ないし第4項記載の限度で理由がある から,その限度で認容し,その余はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。なお,主文第1項ないし第3項については,仮執行の宣言を付すのは相当でないから,これを付さないこととする。 大阪地方裁判所第26民事部 裁判長裁判官 髙松宏之 裁判官 髙松宏之 裁判官 野上誠一 裁判官 大門宏一郎 別紙被告製品目録 1 被告製品1-1 三菱グラフィックオペレーションターミナルGOT1000シリーズGT16 2 被告製品1-2 三菱グラフィックオペレーションターミナルGOT1000シリーズGT15 3 被告製品1-3 三菱グラフィックオペレーションターミナルGOT1000シリーズGT14 4 被告製品1-4 三菱グラフィックオペレーションターミナルGOT1000シリーズGTSoftGOT1000用ライセンスキー 5 被告製品2-1 三菱グラフィックオペレーションターミナルGOT2000シリーズGT27 6 被告製品2-2 三菱グラフィックオペレーションターミナルGOT2000シリーズGT25 7 被告製品2-3 三菱グラフィックオペレーションターミナルGOT2000シリーズGT21 8 被告製品2-4 三菱グラフィックオペレーションターミナルGOT2000シリーズGTSoftGOT2000用ライセンスキー 9 被告製品3-1 三菱iQPlatform対応 4 -三菱グラフィックオペレーションターミナルGOT2000シリーズ GTSoftGOT2000用ライセンスキー 9 被告製品3-1三菱iQPlatform対応 グラフィックオペレーションターミナル画面作成ソフトウェア MELSOFTGTWorks3 10 被告製品3-2三菱iQPlatform対応グラフィックオペレーションターミナル 画面作成ソフトウェア MELSOFTGTWorks3(2000) 11 被告製品4MITSUBISHICNCC70シリーズ操作盤画面データ変換ツール以上
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