平成29年9月12日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成28年(ワ)第6357号特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日平成29年7月10日判決 原告 P1同訴訟代理人弁護士飯島歩同藤田知美同補佐人弁理士加藤卓士 被告株式会社FrontierVision 同訴訟代理人弁護士辻本希世士同辻本良知同補佐人弁理士丸山英之 被告株式会社半田屋商店 被告株式会社はんだや 上記2名訴訟代理人弁護士阿部麻由美同西村義隆 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 被告株式会社FrontierVision及び被告株式会社半田屋商店は,別紙イ号製品目録記載の製品の生産,使用,譲渡,又は譲渡の申出をしてはならない。 2 被告株式会社はんだやは,別紙イ号製品目録記載の製品の使用,譲渡,又は譲渡の申出をしてはならない。 3 被告らは,別紙イ号製品目録記載の製品を廃棄せよ。 2 被告株式会社はんだやは,別紙イ号製品目録記載の製品の使用,譲渡,又は譲渡の申出をしてはならない。 3 被告らは,別紙イ号製品目録記載の製品を廃棄せよ。 4 被告株式会社FrontierVision及び被告株式会社半田屋商店は,連帯して,原告に対し,2090万円及びこれに対する平成28年7月13日か ら支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 被告株式会社はんだやは,原告に対し,1045万円及びこれに対する平成28年7月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,後記本件特許権を有する原告が,別紙イ号製品目録記載の製品が当該特許 権に係る特許発明の技術的範囲に属すると主張して,同製品を製造販売している被告株式会社FrontierVision(以下「被告フロンティアビジョン」という。)及び被告株式会社半田屋商店(以下「被告半田屋商店」という。)に対しては,当該製品の製造販売等の差止め及びその廃棄を求めるともに本件特許権侵害を理由とする損害賠償をそれぞれに求め,同製品を販売している被告株式会社はんだや(以 下「被告はんだや」という。)に対しては,当該製品の販売等の差止め及びその廃棄を求めるともに本件特許権侵害を理由とする損害賠償を求めた事案である。 1 判断の基礎となる事実(当事者間に争いのない事実又は後掲の証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実)(1) 当事者 ア原告は,後記本件特許権に係る特許発明を発明した眼科医であり,本件特許権 の特許権者である。 イ被告フロンティアビジョン及び被告半田屋商店は,共同して,別紙イ号製品目録記載の眼科手術用排液器(以下「イ号製品」という。)を製造販売する者である。 ウ被告はんだやは,被告半田 権者である。 イ被告フロンティアビジョン及び被告半田屋商店は,共同して,別紙イ号製品目録記載の眼科手術用排液器(以下「イ号製品」という。)を製造販売する者である。 ウ被告はんだやは,被告半田屋商店と本店所在地を同じくする関連会社であり,イ号製品を販売する者である。 (2) 原告の特許権ア原告は,以下の特許(以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」といい,その願書に添付した明細書を「本件特許明細書」という。)を有している(甲1,甲2)。 特許番号第4806731号 発明の名称排液器出願日平成23年2月26日登録日平成23年8月19日イ本件特許の特許請求の範囲請求項1,同2及び同6記載の発明(以下,順に「本件発明1」,「本件発明2」,「本 件発明6」といい,これらを併せて「本件発明」ということがある。)は以下のとおりである。 【請求項1】瞼裂内に滞留した液体を瞼裂外に排出するための排液器であって,眼瞼縁又は医療用ドレープに掛止すべく鈎状に曲折して形成され,前記瞼裂内の液体又は前記瞼裂内 から溢れ出た液体に接触して,該液体の流路の始点を形成するフック部と,前記フック部から延設され,前記フック部により導かれた液体を排出するボディ部と,を備え,前記フック部は,先端をへら状に形成され,前記ボディ部は,腹部とテール部とを有し,前記腹部の眼瞼縁側表面と前記眼瞼縁又は前記医療用ドレープとの隙間を伝わせて,前記テール部の表面に到達した後に液体を排出すること,を特徴とする排液器。 【請求項2】 へら状の前記フック部の幅は,前記ボディ部の最太部の幅より狭く形成されていることを特徴とする請求項1に記載の排液器。 【請求項6】前記ボディ部は する排液器。 【請求項2】 へら状の前記フック部の幅は,前記ボディ部の最太部の幅より狭く形成されていることを特徴とする請求項1に記載の排液器。 【請求項6】前記ボディ部は,背側に把持部を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の排液器。 (3) 本件発明は,以下の構成要件に分説するのが相当である。 ア本件発明1A 瞼裂内に滞留した液体を瞼裂外に排出するための排液器であって,B 眼瞼縁又は医療用ドレープに掛止すべく鈎状に曲折して形成され,C 前記瞼裂内の液体又は前記瞼裂内から溢れ出た液体に接触して,該液体の流 路の始点を形成するフック部と,D 前記フック部から延設され,前記フック部により導かれた液体を排出するボディ部と,を備え,E 前記フック部は,先端をへら状に形成され,F 前記ボディ部は,腹部とテール部とを有し, G 前記腹部の眼瞼縁側表面と前記眼瞼縁又は前記医療用ドレープとの隙間を伝わせて,前記テール部の表面に到達した後に液体を排出すること,H を特徴とする排液器。 イ本件発明2I へら状の前記フック部の幅は,前記ボディ部の最太部の幅より狭く形成され ていることJ を特徴とする請求項1に記載の排液器。 ウ本件発明6K 前記ボディ部は,背側に把持部を有することL を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の排液器。 (4) 被告らの行為 ア被告フロンティアビジョン及び被告半田屋商店被告フロンティアビジョン及び被告半田屋商店は,遅くとも平成26年11月頃から,共同して,イ号製品の製造を開始し,被告はんだやに販売している。 イ被告はんだや被告は ジョン及び被告半田屋商店被告フロンティアビジョン及び被告半田屋商店は,遅くとも平成26年11月頃から,共同して,イ号製品の製造を開始し,被告はんだやに販売している。 イ被告はんだや被告はんだやは,遅くとも平成26年11月頃から,イ号製品を被告フロンティア ビジョン及び被告半田屋商店から仕入れて,エンドユーザーである眼科医院及び眼科医師に販売している(甲3,甲5ないし甲7)。 2 争点及び当事者の主張(1) イ号製品は,本件発明1の技術的範囲に属するか。 (原告の主張) アイ号製品の構造は,別紙イ号製品説明書の2「イ号製品の構造」欄記載のとおりであり,これを構成に分説すると,別紙対比表の「原告主張に係るイ号製品の構成」欄aないしh記載のとおりである。そして,同欄の構成aないしhは,それぞれ本件発明1の構成要件AないしHを充足するから,イ号製品は本件発明1の技術的範囲に属する。 イ構成要件Eの充足について(ア) 「へら」とは,「竹・木・象牙・金属などを細長く平らに削り,先端をやや尖らせた道具」(広辞苑第6版)であり,「折り目・しるしをつけ,または漆・糊を練ったり塗ったりするのに用いる」とされる。すなわち,へらの要素となるのは,「細長く平ら」(扁平状)であることと,「先端をやや尖らせた」ことであって,先端に至る途 中で幅が広くなることは要素ではない。 イ号製品の先端は扁平状であり,フック部の先端がへら状に形成されているものとして構成eを「先端部2は,その先端がへら状に形成されている」と特定できる。したがって,イ号製品の構成eは,構成要件Eを充足する。 (イ) 被告らの主張について a 被告らは,本件特許の出願経緯及び本件特許明細書の記載から,構成要件Eに いう「へら状」とは たがって,イ号製品の構成eは,構成要件Eを充足する。 (イ) 被告らの主張について a 被告らは,本件特許の出願経緯及び本件特許明細書の記載から,構成要件Eに いう「へら状」とは,フック部の先端に至る途中において幅の広くなる部分が形成されているものと解されると主張する。 しかし,被告らがその主張の根拠とする本件特許明細書【図10】のフック部の先端をもって,へら状と表現した意味は,本件特許明細書【図1】ないし【図8】に図示された第1実施形態では先端が円柱状等であるのに対し,第2実施形態では先端が 扁平状の形態であることから,扁平状の形態を表現するものとして「へら状」としたにすぎず,「先端に至る途中において幅の広くなる部分」を備える構成を示したものではない。 また,【図10】に被告ら主張に係る「先端に至る途中において幅の広くなる部分」があるとしても,同図は実施例の一つである第2実施形態を説明したものであり,本 件発明の技術的範囲が【図10】の具体的な形態に限定されるものではない。 そもそも,構成要件Eにいう「へら状」の意味を,「幅の広くなる部分を形成」している形状を意味とする記載は,特許請求の範囲の記載にも,本件特許明細書中にも存在しない。また,平たんな形状の「へら状」とすることの作用効果は,眼瞼縁への掛止の容易性と液体の流路の拡大にあるところ(【0038】),これらの作用効果は先 端を扁平状にさえすれば得られ,フック部の先端に至る途中で幅を広くする必要はない。 b 被告らは,仮に原告の主張に基づいて「へら状」を解釈したとしても,イ号製品の先端には,内側に「半球状の突起部」が配されており,これにより「眼瞼縁に接する面積を増加させることも,液体の流路を広範囲に確保することもなく,むしろ液 体の流れ を解釈したとしても,イ号製品の先端には,内側に「半球状の突起部」が配されており,これにより「眼瞼縁に接する面積を増加させることも,液体の流路を広範囲に確保することもなく,むしろ液 体の流れを堰き止めてしまいかねない」から,イ号製品のフック部はへら状ではないと主張する。 しかし,「半球状の突起部」が配された場合には,眼瞼縁に接する面積はむしろ増加し,液体の流路の始点を形成するに当たり,より多くの液体と接することができるし,毛細管現象による液体の移動が阻害されることもない。 「へら状」の先端部の内側の面に半球状の突起部が付加されたからといって,イ号 製品の先端部が「へら状」であることを否定することはできず,構成要件Eの充足は否定されない。 ウ構成要件D,F,Gの充足について(ア)a イ号製品は「曲折部1の後方には,曲折部1を構成する2枚の樹脂板に狭持された樹脂板により本体部3が形成されている。本体部3は,曲折部1により導かれ た液体を排出する機能を有する」(構成d)との構成を有し,これは本件発明1のボディ部に相当し,同ボディ部は,フック部から延設され,フック部により導かれた液体を排出するものであるから,イ号製品の構成dは,構成要件Dを充足する。 b イ号製品は,「2枚の樹脂板が連結されることなく並設された部分と,2枚の樹脂板を連結する樹脂板を含む後端部とを備えている」(構成f)との構成を有し,こ のうち前者の部分は構成要件Fにいう「腹部」に,後者の部分は同「テール部」に相当するから,イ号製品の構成fは,構成要件Fを充足する。 c 以下のとおりイ号製品の構成gは,構成要件Gを充足する。 すなわち,構成要件Gは「前記腹部の眼瞼縁側表面と前記眼瞼縁又は前記医療用ドレープとの隙間を伝わせて,前記テール部の 要件Fを充足する。 c 以下のとおりイ号製品の構成gは,構成要件Gを充足する。 すなわち,構成要件Gは「前記腹部の眼瞼縁側表面と前記眼瞼縁又は前記医療用ドレープとの隙間を伝わせて,前記テール部の表面に到達した後に液体を排出すること」 とあるところ,これはボディ部腹部の表面と眼瞼縁又は医療用ドレープとの隙間を毛細管として機能させることにより液体を排出させる点に技術的思想を有するものである。本件発明において要求されるのは,毛細管現象により液体を排出する「隙間」であり,「管」を構成していることや,仕切られていることを要しない。 これに対し,イ号製品の2枚の樹脂板の各底面は,それぞれ構成要件Gの「前記腹 部の眼瞼縁側表面」に該当するところ,イ号製品の本体部は,この各底面と眼瞼縁又は医療用ドレープとの隙間を毛細管として機能させることにより,フック部に該当する先端部及び曲折部から導かれた液体を,眼瞼縁側表面と眼瞼縁又は医療用ドレープとの隙間を伝わせて本体部後端の表面に導き,テール部に相当する2枚の樹脂板が連結された後端部から排出することを可能にしている。 したがって,イ号製品は「本体部3は,先端部2及び曲折部1より導かれた液体を, 眼瞼縁側表面と眼瞼縁又は医療用ドレープとの隙間を伝わせて本体部後端の表面に導き,排出することを可能にしている」(構成g)との構成を有しているといえるから,構成要件Gを充足する。 (イ) 被告らの主張についてa 被告らは,構成要件Gは,ボディ部腹部の表面と眼瞼縁又は医療用ドレープと の隙間を毛細管として機能させることにより液体を排出させることを技術的思想とし,かかる毛細管現象をいかすため,「ボディ部腹部の表面」の液体と接する表面積を広く確保する点に従来技術とは異なる技術的特徴を有する 毛細管として機能させることにより液体を排出させることを技術的思想とし,かかる毛細管現象をいかすため,「ボディ部腹部の表面」の液体と接する表面積を広く確保する点に従来技術とは異なる技術的特徴を有するものであるのに対し,イ号製品は,上面が仕切られておらず液体と接する表面積は少なく毛細管現象は奏功せず,2枚の樹脂板の底面に液体が入り込むことがあったとしても,それは液体が漏出して しまっているだけのものであるから,技術的思想が本件発明と異なり,構成要件D,F,Gを充足しないと主張する。 しかし,イ号製品も,2枚の樹脂板の各眼瞼縁側の各底面と,眼瞼縁又は医療用ドレープの隙間を毛細管として機能させているのであり,被告らがいう「『ボディ部腹部の表面』の液体と接する表面積を広く確保」した構造を採用している。イ号製品は, 毛細管現象(ないし毛細管現象を引き起こす表面張力)を利用して排液を実現するものであり,直接的に液体に動力を与えるのは,イ号製品の上記底面と眼瞼縁又は医療用ドレープの隙間でしかあり得ないから,本件発明と同じ技術的思想を利用しているといえる 。 b 被告らは,イ号製品は2枚の樹脂板の間に多量の液体を流入通過させるための 空間を設けることで液体を排出しているから技術的思想が本件発明と異なっており,構成要件D,F,Gを充足しない旨主張する 。 しかし,本件発明は,排出される液体が腹部の眼瞼縁側表面と眼瞼縁又は医療用ドレープの隙間を伝うことを要件としてはいても,そこに流路を限定したものでも,該隙間を該隙間以外の部分との比較においてより多くの液体が流れるような構造に限 定したものでもない。イ号製品のフック部により導かれた液体は,2枚の樹脂板の隙 間が狭いために,各樹脂板の内側側面に表面張力で広がった液体同士がくっ り多くの液体が流れるような構造に限 定したものでもない。イ号製品のフック部により導かれた液体は,2枚の樹脂板の隙 間が狭いために,各樹脂板の内側側面に表面張力で広がった液体同士がくっつき,そのため多くの液体が「2枚の樹脂板の間の空間」から排出されるように見えるが,表面張力によって生じる排液器の底面のみならず,側面に液体が広がる現象そのものは,本件特許明細書の【図11】,【図13】,【図15】においても開示されており,本件発明がその作用効果を奏するにあたり,当然の前提としているところである。また, イ号製品を1枚の樹脂板のみの状態(「2枚の樹脂板の間の空間」が存在しない状態)にしても,問題なく排液でき,かつ樹脂板が2枚ある場合と比較して排液の効率にも特段の差異がない。このことと,2枚の樹脂板の間を塞いでも排液が可能であることに照らせば,排液との関係において,「2枚の樹脂板の間の空間」が何らかの作用をもたらしているのではないことは明らかであって,原理的にみると,イ号製品は,それ ぞれが単体で十分な排液機能を有する排液器を2枚連結したものにすぎないといえる 。 すなわち,腹部の眼瞼縁側表面と眼瞼縁又は医療用ドレープの隙間を伝わせて排水する構造があれば構成要件Gは充足されているということができ,それ以外の部分(「2枚の樹脂板の間の空間」)をより多くの液体が通っていることは構成要件Gの充 足性を否定する理由とならない。 c 被告らは,イ号製品は,上面が仕切られていないことや,2枚の樹脂板の側面や底面が平面であることから,本件特許明細書の【図13】や【図15】に現れるボディ部腹部に凹凸を設ける実施形態とは根本的に異なり,技術的思想を異にするものであると主張する 。 しかし,水が表面張力によって固体表面に沿 本件特許明細書の【図13】や【図15】に現れるボディ部腹部に凹凸を設ける実施形態とは根本的に異なり,技術的思想を異にするものであると主張する 。 しかし,水が表面張力によって固体表面に沿って広がるに際し,その表面の形状が平面であるか曲面であるか,あるいは上面が仕切られているか否かは関係がなく,また,本件特許の特許請求の範囲の記載において,平面の構成や上面が仕切られていない構成を除外する記載はない。 また,上面の仕切りの有無を理由に本件特許明細書の【図13】や【図15】と相 違するとしても,上述のとおり,イ号製品は,排水原理との関係で,同明細書の【図 11】のような凹凸のない排水装置を二つ並べて連結したものに等しく,やはり技術的思想において本件発明との間に特段の相違はない。 さらに被告らは,2枚の樹脂板の底面の面積が小さいから,本件発明と比較して液体と接する表面積が少なくなっていることも問題にするが,本件特許明細書の【図11】,【図13】,【図15】に見られるように,本件発明においても,腹部の眼瞼縁側 表面と眼瞼縁又は医療用ドレープの隙間を形成する部分の面積を特に大きくすることは想定されていないし,瞼裂内の比較的限られた量の液体を排出するという本件発明の作用効果を得るために,取り立てて大きな面積は必要ない(2枚の樹脂板を1枚にしても問題がないことは,上記bのとおりである。)。 また,構成要件Gは腹部の眼瞼縁側表面の面積を規定するものとはなっていないか ら,液体と接する面積の大小を問題とすることに意味はないし,表面張力を考慮すれば,イ号製品の2枚板の各側面もまた液体と接するのであるから,イ号製品においては液体と接する面積が小さくなるという前提自体も物理法則に反する。 d 被告らは,イ号製品は本件発明と 表面張力を考慮すれば,イ号製品の2枚板の各側面もまた液体と接するのであるから,イ号製品においては液体と接する面積が小さくなるという前提自体も物理法則に反する。 d 被告らは,イ号製品は本件発明とは異なる特許発明(甲8,以下「被告特許発明」という。)の実施品であり,本件発明とは全く異なる構成によって効率的に液体を 排出するように設計されたものであるから,構成要件Gを充足しないと主張する。 しかし,イ号製品が同特許発明の実施品であるからといって,直ちに本件発明の技術的範囲外になるわけではない。被告特許発明は,その明細書の記載を見ても,先行技術である本件発明に比べて本体部の表面積を大きくしたことにより,液体の流入面積及び通過面積を大きくしたものにすぎず,排水の原理など,本件発明の技術的思想 に係る部分では何ら異なるところはない。 e なお被告らは,構成要件Gが非充足であるから,構成要件D,Fも非充足となるよう主張しているが,構成要件Gを充足することは上記主張してきたとおりであり,そうでなくとも構成要件Gの非充足は,構成要件D,Fの非充足の根拠とはならない 。 (被告らの主張) アイ号製品の構成についての被告らの主張は,別紙対比表の「原告主張に係るイ 号製品の構成についての被告らの反論」欄記載のとおりであり,またイ号製品が,構成要件DないしGを充足することを争う。 イ構成要件Eの充足について(ア) 構成要件Eは「フック部は,先端をへら状に形成され」と記載されているところ,本件特許明細書の各記載を参酌すると,「へら状」とは,先端に至る途中において 幅の広くなる部分(へら状)を備えるものをいうと解すべきである。 すなわち,本件特許明細書では第2実施形態(及び,同実施形態の説明に用いられている【図10】 ら状」とは,先端に至る途中において 幅の広くなる部分(へら状)を備えるものをいうと解すべきである。 すなわち,本件特許明細書では第2実施形態(及び,同実施形態の説明に用いられている【図10】)を除いては,構成要件Eの特徴となる「へら状」に関する説明はなされておらず,構成要件Eにおける「へら状」が,第1実施形態で説明されている【図1】ないし【図8】のフック部とは異なるものであり,これら【図1】ないし【図8】 のフック部よりも面積の大きくなる部分を設けられた構成であると説明されている。 そして,「へら状」に関する説明に用いられている【図10】には,【図1】ないし【図8】のようにフック部が先端に向かって次第に幅が小さくなるのではなく,先端に至る途中において幅の広くなる部分を備えるフック部の構成が示されていることなどから,構成要件Eにおける「へら状」とは,フック部が先端に向かって次第に幅が小 さくなるのではなく,先端に至る途中において幅の広くなる部分を意味していることが明らかである。 原告は,イ号製品を「先端部2は,その先端がへら状に形成されている」と特定しているが,イ号製品における先端部は,曲折部の先方から並設される2枚の樹脂板の伸長方向に沿って延びる1枚の樹脂板,及びその1枚の樹脂板の内側に半球状の突起 部を備え,その先端まで進むに従い幅が狭くなり,その先端において丸みを帯びて尖るように形成されていて,イ号製品における先端部は先端に至る途中において幅の広くなる部分(へら状の部分)を有しておらず,すなわち「へら状に形成」されていないから,構成要件Eを充足しない。 なお,原告の上記主張は,第1実施形態のフック部は先端部分が円柱状等である (【図1】ないし【図8】)のに対して,第2実施形態のフック部は単に扁平状である ないから,構成要件Eを充足しない。 なお,原告の上記主張は,第1実施形態のフック部は先端部分が円柱状等である (【図1】ないし【図8】)のに対して,第2実施形態のフック部は単に扁平状である (【図10】)との理解を前提とするものであるが,本件特許明細書には,同第1実施形態(【図1】ないし【図8】)におけるフック部の先端部分が円柱状等であるとする説明は一切なく,また【図1】ないし【図8】と【図10】の各図面を対比して検討しても,両者の間に円柱状と扁平状との差異は認められない。 (イ) また仮に,「へら状」を原告が主張する解釈によったとしても,イ号製品におけ るフック部の「先端」には内側に「半球状の突起部」が配され,「扁平状」の形状になっていないから,その点でも,イ号製品は,構成要件Eを充足しない。 したがって,いずれにせよ,イ号製品における先端部は,「へら状に形成」されていないから,構成要件Eを充足しない。 ウ構成要件D,F,Gの充足について (ア) 構成要件Gは,「前記腹部の眼瞼縁側表面と前記眼瞼縁又は前記医療用ドレープとの隙間を伝わせて,前記テール部の表面に到達した後に液体を排出すること」であるところ,本件特許明細書に,[排液の仕組み]として「ボディ部103の腹部103aの表面と医療用ドレープ240とで形成された隙間が毛細管として機能し,液体250bが瞼裂外に導かれる」(【0029】)と記載しており,このような排液の仕組 みを実現すべく,液体が付着しやすい腹部表面の形状につき各種の説明を加えている(本件特許明細書【0031】,【0033】,【0044】,【0048】)ことなどを参酌すると,構成要件Gは,ボディ部腹部の表面と眼瞼縁又は医療用ドレープとの隙間を毛細管として機能させることにより液 (本件特許明細書【0031】,【0033】,【0044】,【0048】)ことなどを参酌すると,構成要件Gは,ボディ部腹部の表面と眼瞼縁又は医療用ドレープとの隙間を毛細管として機能させることにより液体を排出させることを技術的思想とするものといえる。 そして,構成要件D及びFは,いずれも「ボディ部」を要素とするところ,この「ボディ部」は,構成要件Dにおいて「フック部により導かれた液体を排出するボディ部」と記載されている。上記構成要件Gにおいて検討したように,液体は,ボディ部腹部の表面と眼瞼縁又は医療用ドレープとの隙間を「伝わ」って排出されるのであり,表面が連続して存在しないところを液体が「伝わ」っていくことはあり得ないから,こ のような排液の仕組みを実現するためには,ボディ部は,眼瞼縁又は医療用ドレープ と毛細管現象を生じさせるための連続する表面(腹部)を有することが要件となる。 そして,その腹部の形状は,従来技術に対する技術的意義を明らかにするため,本件特許明細書の実施例で示されているように毛細管現象が効果的に行われるようにボディ部腹部の表面積を広く確保する形状とする点に技術的特徴があるものである。 (イ) これに対して,イ号製品は,その本体部は,眼瞼縁又は医療用ドレープと毛細 管現象を生じさせるための連続する表面(腹部)を有するものではなく,所定距離を隔てて併設される2枚の樹脂板の間に生じる空間が排液路となり,同空間に液体を流入通過させることにより多量の液体を効率的に排出させることを技術的思想とするものである。 そしてイ号製品では,上面が仕切られていないことや,2枚の樹脂板の側面や底面 が平面であることから,本件特許明細書の【図13】や【図15】に現れるボディ部腹部に凹凸を設ける実施形態とは根本的に そしてイ号製品では,上面が仕切られていないことや,2枚の樹脂板の側面や底面 が平面であることから,本件特許明細書の【図13】や【図15】に現れるボディ部腹部に凹凸を設ける実施形態とは根本的に異なり,液体と接する表面積は少なく毛細管現象は奏功せず,2枚の樹脂板の底面に液体が入り込むことがあったとしても,それは液体が漏出してしまっているだけのものであるから,本件発明とは技術的思想が異なっている。 そもそも,構成要件Gのようにボディ部腹部の表面と眼瞼縁又は医療用ドレープとの隙間を毛細管として機能させて液体を排出する技術では液体を十分に効率的に排出できないという課題があり,かかる課題を解決する発明として特許されたのが特許第5395979号の被告特許発明であるところ,イ号製品はその特許発明の実施品であって,本件発明とは全く異なる構成によって効率的に液体を排出するように設計 されたものである。 以上のとおり,イ号製品は,本件発明1にいう「ボディ部」を備えず,構成要件Gと異なる液体の排出のさせ方をするものであるから,原告主張に係る構成d,f,gのように特定できる構成を有しておらず,構成要件D,F,Gを充足しない。 (2) 本件発明1及び同2は,新規性又は進歩性を欠くか。 (被告らの主張) 本件発明1及び同2は,以下の先行文献に記載の発明と同一か,又はその発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから,特許法29条1項3号の規定,又は同条2項の規定により特許を受けることができないものである。 ア公知技術(ア) 先行文献1 平成21年3月12日に公開された国際公開番号WO2009/031319A1の公開特許公報(乙6。以下「先行文献1」という。)には,以下の発明(以下「引用発明1」とい (ア) 先行文献1 平成21年3月12日に公開された国際公開番号WO2009/031319A1の公開特許公報(乙6。以下「先行文献1」という。)には,以下の発明(以下「引用発明1」という。)が開示されている。 a 構成要件Aに関する構成先行文献1の明細書部分の段落[0001]に,「本発明は,眼科手術において仰向け の患者の瞼裂内(眼瞼皮膚内の凹部)に滞留する液体を排出する排液器に関するものである。」と記載されていることから,先行文献1には構成要件Aに記載の排液器と同一の内容が開示されている。 b 構成要件Bに関する構成同明細書の段落[0056]に「また,排液器1Aの垂下部3Aは,図5(a)及び (b)に示すように,本体2Aの裏面から柱状に下方に延びている。」,同[0057]に「この排液器1Aを載置面に載置する際には,垂下部3Aを目尻E4近傍の眼瞼縁E3に当てて,乃至は,眼瞼と眼球の間に挟み込むようにして載置する。」と記載され,さらに図5(a)に本体2Aから延設され先端が曲がり眼瞼に引っ掛ける鈎状である垂下部3Aの形状が図示されていることから,先行文献1には構成要件Bに記載 のフック部の構成の一部と同一の内容が開示されている。 c 構成要件Cに関する構成同明細書の段落[0057]に「この排液器1Aを載置面に載置する際には,垂下部3Aを目尻E4近傍の眼瞼縁E3に当てて,乃至は,眼瞼と眼球の間に挟み込むようにして載置する。この状態で瞼裂E5内に液体L2が溜まると,前記第1の実施形態 と同様の作用で液体L2が垂下部3Aに接触し,液面が垂下部3Aに沿って上昇す る。」と記載され,すなわち,垂下部3Aが眼瞼に溜まった液体の流路の始点として形成されていることが示されているから,先行文献1には L2が垂下部3Aに接触し,液面が垂下部3Aに沿って上昇す る。」と記載され,すなわち,垂下部3Aが眼瞼に溜まった液体の流路の始点として形成されていることが示されているから,先行文献1には構成要件Cに記載のフック部の構成の一部と同一の内容が開示されている。 d 構成要件Dに関する構成同明細書の段落[0056]に「第2の実施形態の排液器1Aは,図5(a)に示す ように,本体2Aと垂下部3Aと脚部材4Aとがシリコーンゴムにより一体成形されている。」,同[0057]に「そして,液体L2が本体2Aの裏面に接触した後,本体2Aと滅菌シールSの表面との間隔Gを下流側に流れる。」と記載され,すなわち,本体2Aにおいて,垂下部3Aに延設されており,垂下部3Aから導かれた液体L2を排出する態様が示されているから,先行文献1には構成要件Dに記載のボディ部の構 成と同一の内容が開示されている。 e 構成要件Eに関する構成同明細書の段落[0056]に「また,排液器1Aの垂下部3Aは,[図5]中のFIG.5(a)及び同(b)に示すように,本体2Aの裏面から柱状に下方に延びている。 また,その下端部は,液体L2の流れる下流側に向けてヘラ状に突出する形状となっ ている。」と記載され,さらに[図5]中のFIG.5(b)に垂下部3Aの下端において先端に至る途中において幅の広くなるへら状の形状が図示されているから,先行文献1には構成要件Eに記載のフック部の構成と同一の内容が開示されている。 f 構成要件Fに関する構成同明細書の[図5]中のFIG.5(a)及び同(c)に,湾曲した平板形状の本体2A において,液体L2と接触する裏面と,垂下部3Aとは反対側である下流側に位置する端部が図示されているから,先行文献1には構成要件Fに記載のボ 5(a)及び同(c)に,湾曲した平板形状の本体2A において,液体L2と接触する裏面と,垂下部3Aとは反対側である下流側に位置する端部が図示されているから,先行文献1には構成要件Fに記載のボディ部の腹部とテール部の構成と同一の内容が開示されている。 g 構成要件Gに関する構成同明細書の段落[0017]に「かかる目的を達成するために,本発明の眼科手術用 排液器は,眼科手術時に仰向けの患者の瞼裂内から液体を外部に排出する排液器であ って,目尻近傍の眼瞼皮膚上の載置面と所定の間隔を持って載置される板状の本体を備え,前記本体は防水性素材により形成されると共に裏面は濡れ性を有し,前記本体には瞼裂の縁部から内側に突出する突出部が設けられ,前記本体を前記載置面に載置した際に,前記突出部の裏面に瞼裂内の液体を付着させて前記本体と前記載置面との間隔内に前記液体を引き出し,前記引き出された液体を前記間隔を通過させて前記本 体の外部に排出可能としたことを特徴とする。」と発明の技術的思想が記載され,同明細書の段落[0057]に「そして,液体L2が本体2Aの裏面に接触した後,本体2Aと滅菌シールSの表面との間隔Gを下流側に流れる。」との記載されていることから,先行文献1には構成要件Gに記載のボディ部の腹部と眼瞼縁との隙間を伝わせてテール部の表面に到達した後に排出する構成と同一の内容が開示されている。 h 構成要件Hに関する構成同明細書の段落[0056]から同[0058]の記載,及び[図5]中のFIG.5(a)から同(c)の図より排液器であるから,先行文献1には構成要件Hの構成と同一の内容が開示されている。 i 構成要件Iに関する構成 先行文献1の[図5]中のFIG.5(a)には,フック部に相当する垂下部3Aの幅 排液器であるから,先行文献1には構成要件Hの構成と同一の内容が開示されている。 i 構成要件Iに関する構成 先行文献1の[図5]中のFIG.5(a)には,フック部に相当する垂下部3Aの幅が,ボディ部に相当する本体2Aの最も幅が広い部分よりも狭く形成されているから,先行文献1には構成要件Iに記載における,へら状の前記フック部の幅が前記ボディ部の最太部の幅より狭いという構成と同一の内容が開示されている。 (イ) 先行文献2 平成8年6月25日公開の特開平8-164162の公開特許公報(乙10。以下「先行文献2」という。)は,吸水素材で構成される本体が飽和状態になった後,吸収し切れない液体が本体の底部と眼瞼縁側表面と眼瞼縁又は医療用ドレープの隙間を経て排出される器具を開示するものであり(【0007】等),本件発明と同一の技術的思想(以下「引用発明2」という。)を開示している。 イ本件発明1及び同2の新規性欠如について 以上のように,本件発明1の構成要件Aから構成要件Hの全ての構成要件及び本件発明2の構成要件I及び構成要件Jは,本件特許の出願前に公開された先行文献1及び同2に開示されている。 したがって,本件発明1及び同2は,特許法29条1項3号の規定により特許を受けられないものであるから,本件特許は特許無効審判により無効にされるべきもので ある。 ウ本件発明1と同2の進歩性欠如について先行文献1の明細書の段落[0057]において記載されている,液体L2が本体2Aと滅菌シールSの表面の間隔Gを下流側に流れる事項が,構成要件Gにおける「腹部の眼瞼縁側表面と眼瞼縁又は医療用ドレープとの隙間を伝わせて,」液体を排出す る構成とは同一又は実質的に同一でなく相違点であるとしても,毛細管として機 側に流れる事項が,構成要件Gにおける「腹部の眼瞼縁側表面と眼瞼縁又は医療用ドレープとの隙間を伝わせて,」液体を排出す る構成とは同一又は実質的に同一でなく相違点であるとしても,毛細管として機能させて液体を排出させるために,「ボディ部腹部の表面」との間に「隙間」を生じさせる対となるものを,前記「滅菌シール」を使用せずに先行文献1の明細書の段落[0080]及び図13のFIG.13(b)に開示されているように直接「眼瞼縁」とするか,又は前記「滅菌シール」に代えて同様なシート状部材である「医療用ドレープ」とする かは,課題解決のための技術の具体的適用に伴う設計変更又は設計的事項の採用にすぎないのであるから,当業者が容易に想到することができる。 さらに,前記相違点について拒絶理由通知(乙2)で引用文献として挙げられた特開平8-317939の公開特許公報(乙7)の明細書部分の段落【0037】,図2,図3等には,本体部分を患者の眼瞼縁に直接配し又はドレープに固定することが開示さ れているから,先行文献1に記載の排液器に,この公知技術を適用し,同排液器につき,眼瞼縁又はドレープの間に排液を毛細管現象により伝わせるようにすることは,当業者が容易に想到することができる。 したがって,本件発明1及び同2は,特許法29条2項の規定により特許を受けられないものであるから,本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものである。 エ原告の主張について 原告は,先行文献1が本願発明の拒絶理由通知書(乙2)においても引用文献3として引用されており特許庁にて吟味され,そして本件発明1等が特許査定されている旨主張するが,被告は審査官が述べた内容とは異なる事実に基づき,無効理由を構成するものと主張しているから,改めて熟慮されるべ て引用されており特許庁にて吟味され,そして本件発明1等が特許査定されている旨主張するが,被告は審査官が述べた内容とは異なる事実に基づき,無効理由を構成するものと主張しているから,改めて熟慮されるべき先行文献である。 また,原告は,併せて先行文献1で開示された発明が薄板状(シート状)の排液器 であり,本件発明1及び同2とは形状を異にする旨主張するが,本件発明1及び同2における全体的な構成としては,構成要件A「瞼裂内に滞留した液体を瞼裂外に排出するための排液器であって,」や構成要件D「前記フック部から延設され,前記フック部により導かれた液体を排出するボディ部と,を備え,」であるところ,これらの構成要件では,排液器やボディ部を機能的に特定しているものであって具体的な形状を特 定するものではなく,また,先行文献1に開示された発明は,これら構成要件と同様の機能を有するものであるから,本件発明1及び同2に内包されるものであり,対比に際し前提を欠くものではないことが明らかである。 (原告の主張)ア先行文献1について 先行文献1で開示された引用発明1は,薄板状(シート状)の排液器であり(請求項1「板状の本体を備え」との記載),本件発明1及び同2とは全く異なるものである。具体的には,少なくとも,引用発明1は,以下の点で,本件発明1及び同2と相違する。 (ア) 構成要件Bについて 引用発明1の垂下部3A(明細書の段落[0056],[0057]及び図5中のFIG.5(a))は,「鈎状に」曲折して形成されたものではない。 また,本件発明のフック部は,「眼瞼縁又は医療用ドレープに掛止すべく」鈎状に形成されている(構成要件B)。 これは,フック部を眼瞼縁又は医療用ドレープに引っ掛けるようにして排液器を設 置し,排液器 本件発明のフック部は,「眼瞼縁又は医療用ドレープに掛止すべく」鈎状に形成されている(構成要件B)。 これは,フック部を眼瞼縁又は医療用ドレープに引っ掛けるようにして排液器を設 置し,排液器が水の流れによって流されないように固定するという意味である(本件 特許明細書の段落【0021】,【図2A】,【図2B】,段落【0025】,【図4】)。 これに対し,引用発明1では,排液器は,排液器自身の重さと,脚部材4A・側辺22Aと滅菌シールSとの接触面の摩擦力によって安定して載置されている(明細書の段落[0058])。 垂下部3Aが眼瞼縁E3に係止されているとの記載はあるが(同段落[0058]), 位置決めをしているだけであって,この垂下部3Aによって排液器全体を設置・固定しているものではない。 また,垂下部3Aは,板状の本体の4つの頂点のうち1つの頂点の下に付されているにすぎないため,この垂下部3Aだけでは排液器全体を設置・固定することはできず,また全体の大きさに対してごく小さいため,仮にこの垂下部3Aだけが眼瞼縁に 接しているだけであれば,水と共に流されるか,流されないまでも,側縁23Aが眼瞼縁から離れて垂下部3Aを起点に排液器が左右に動くような宙吊り状態となり,排液器として機能しない。 したがって,引用発明1は,「眼瞼縁又は医療用ドレープに掛止すべく」鈎状に形成されたフック部を有さず,本件発明1及び本件発明2とは,構成要件Bにおいて相違 する。 (イ) 構成要件Dについて本件特許明細書の実施例は全てフック部からボディ部にかけて,連続的に滑らかにつながった形状となっている。 また,このような連続的な形状にすることによって,持ちやすく簡便に使用できる 排液器が実現されているほか,フック部で誘導され らボディ部にかけて,連続的に滑らかにつながった形状となっている。 また,このような連続的な形状にすることによって,持ちやすく簡便に使用できる 排液器が実現されているほか,フック部で誘導された液体を効率よく排出することが可能になる。 したがって,本件発明1及び同2における「延設され」とは,単にフック部とボディ部とがつながっていることを意味するのではなく,フック部からボディ部にかけての形状が,連続的に滑らかにつながっていることを表現したものである。 これに対し,引用発明1の本体2Aは,垂下部3Aとは形状も大きさも全く異なる ものであり,垂下部3Aと連続的に滑らかにつながっているものではないため,垂下部3Aから「延設され」たものではない。 実際,上記のとおり,引用発明は「板状の本体を備え」ていることに特徴を有しているところ,このような形状では施術者にとって把持が容易でない。 なお,被告らは,垂下部3Aと本体2Aが一体成形されていることを根拠に「延設 され」たものであると主張するが,「延設され」たものかどうかは成形方法とは関係がない。引用発明1は,素材が非接着性のシリコーンゴムであることから一体成形されているにすぎない。 したがって,引用発明1と本件発明1及び同2とは,構成要件Dの点で相違する。 (ウ) 構成要件Gについて 引用発明1では,液体L2は,本体2Aと滅菌シールSの表面の間隔Gを下流側に流れるとされており(明細書の段落[0057]),腹部の眼瞼縁側表面と眼瞼縁又は医療用ドレープとの隙間を伝わせて液体を排出するものではない。 引用発明1は,シリコーンゴム製で,脚部材4A及び側辺22Aが載置面の形状に沿って変形し,馴染み,載置面と強い摩擦力が生じ,排液器自身の重さとこの摩擦力 により安定 を排出するものではない。 引用発明1は,シリコーンゴム製で,脚部材4A及び側辺22Aが載置面の形状に沿って変形し,馴染み,載置面と強い摩擦力が生じ,排液器自身の重さとこの摩擦力 により安定的に載置される(明細書の段落[0058])。 したがって,脚部材4Aと側辺22Aは滅菌シールS表面と摩擦力が生じるほどに密着しており,この脚部材4Aと滅菌シールS表面の間・側辺22Aと滅菌シールSの間には隙間がなく,この構造で実用的に排液できるとは考えられない。 また,毛細管現象とは,液中に立てた細い管(毛細管)の中や,2枚の板の細隙の間 で生じる現象であるところ,引用発明1の本体裏面と滅菌シールSの空間は広く,この空間部分のみで毛細管現象を生じさせて排液することもできない。 したがって,引用発明1は,本件発明のように「前記腹部の眼瞼縁側表面と前記眼瞼縁又は前記医療用ドレープとの隙間を伝わせて,前記テール部の表面に到達した後に液体を排出する」のではないから,本件発明1及び同2とは,構成要件Gにおいて 相違する。 (エ) 構成要件D,F,G(「ボディ部」,「腹部」,「テール部」)について引用発明1は,薄板状(シート状)の発明である(特許請求の範囲請求項1「板状」,【図5】)。そのため,「裏面」,「表面」(明細書の段落[0056]裏面)の区別はあっても,本件発明1及び同2の「ボディ部」,「腹部」,「テール部」は存在しない。 したがって,引用発明1と本件発明1及び同2とは,構成要件D,F,Gにおいて 相違する。 イ先行文献2(乙10)について先行文献2で開示された発明は,接触吸収部から吸収した液体物質を吸収本体部に搬送し,吸収本体部で液体物質を保持する吸水具に関する発明である。 被告らが引用する先行文献2の段落 2(乙10)について先行文献2で開示された発明は,接触吸収部から吸収した液体物質を吸収本体部に搬送し,吸収本体部で液体物質を保持する吸水具に関する発明である。 被告らが引用する先行文献2の段落【0007】には,吸収具内での(接触吸収部 から吸収本体部への)液体の移動が妨げられないように,接触吸収部と吸収本体部の接続部は所定の曲率で湾曲した態様が例示できると述べられてはいるが,明細書のその他の記載を見ても,吸水しきれない液体の排水を実現するための構成は開示も示唆もされていない。 引用文献2で開示された発明は「吸水」を目的とするものであって,毛細管現象を 利用して「排液」を行うことを目的とする本件発明とは本質的に異なるものであるから,被告らの主張に理由はない。 (3) 本件発明6は,進歩性を欠くか。 (被告らの主張)本件特許の出願時において,先行文献1における排液器では,持ちにくいという課 題が内在していたことを踏まえ,本件発明6には,構成要件K「前記ボディ部は,背側に把持部を有すること」という構成が採用された。排液器につまみを設けて持ちやすくする技術は例示するまでもなく周知であり,また,先行文献1(乙6)の本体2Aの背側につまみを設けても排液に関する効果は変化するものでもないことから,ボディ部の背側に把持部を具備する構成は,このような課題を解決するための技術の具 体的適用に伴う設計変更又は設計的事項の採用にすぎないというべきである。 したがって,本件発明6は,特許法29条2項により特許を受けられないものであるから,本件特許は特許無効審判により無効とされるべきものである。 (原告の主張)先行文献1には,持ちにくいという課題は開示されていない。 また,本件発明も,引用発明1も,医師による装 ものであるから,本件特許は特許無効審判により無効とされるべきものである。 (原告の主張)先行文献1には,持ちにくいという課題は開示されていない。 また,本件発明も,引用発明1も,医師による装着と排液という二つの技術目的を 製品形状等の選択で実現しようとするものであるところ,引用発明1は,板状の形状を有し,かつ排液器の重量やシリコーンゴムの特性を利用して眼瞼縁に脚部を密着させて設置することを前提とするのであるから,本件発明とは装着の方法が全く異なる。 このような構成が開示されていることは,棒状の形状を有し,かつ,眼瞼縁との間に隙間を残しつつ,フック部のみで掛止することを特徴とする本件発明の形状を想到 するにあたり,むしろ阻害要因となる。 さらに,上記のような引用発明1は本件発明とは全く異なる特質を有すること,排液器が持ちにくいとの課題を解決するために背に把持部を設けることについてはどこにも開示又は示唆がないこと,そして,板状かつシリコーンゴムで柔軟かつ重量のある製品と本件発明のような小型の棒状の製品とでは把持の方法が全く異なること に鑑みると,本件発明6が当業者にとって容易に想到することができるものとはいえない。 (4) 原告の損害(被告フロンティアビジョン及び被告半田屋商店関係)(原告の主張)ア被告フロンティアビジョン及び被告半田屋商店が,平成26年11月から平成 28年6月30日までの間,共同して,被告はんだや等小売業者にイ号製品を販売したことに関する売上高は3800万円(月額売上200万円×1年7か月)を下らない。 そして,同売上げのうち被告フロンティアビジョン及び被告半田屋商店が得た利益は売上高の50%である1900万円を下らないから,同額が特許法102条2項に より原告の損害額と推 を下らない。 そして,同売上げのうち被告フロンティアビジョン及び被告半田屋商店が得た利益は売上高の50%である1900万円を下らないから,同額が特許法102条2項に より原告の損害額と推定される。 イ原告は,上記被告らによる特許権の侵害により,弁護士に依頼して対応せざるを得なくなった。本件と相当因果関係のある弁護士費用相当の損害額は,被告らが原告に対して負う上記損害賠償額の10%である190万円を下らない。 ウしたがって被告フロンティアビジョン及び被告半田屋商店は,特許権侵害行為により,原告に対し,連帯して,少なくとも2090万円の損害賠償義務を負う。 (被告フロンティアビジョン及び被告半田屋商店の主張)被告フロンティアビジョン及び被告半田屋商店による販売事実は認めるが,その余は否認ないし争う。 (5) 原告の損害(被告はんだや関係)(原告の主張) ア被告はんだやが,平成26年11月から平成28年6月30日までの間,イ号製品を眼科医師等エンドユーザーに販売したことに関する売上高は4750万円(月額売上250万円×1年7か月)を下らない。 そして,同売上げのうち被告はんだやが得た利益は売上高の20%である950万円を下らないから,同額が特許法102条2項により原告の損害額と推定される。 イ原告は,被告はんだやによる本件特許権の侵害により,弁護士に依頼して対応せざるを得なくなった。本件と相当因果関係のある弁護士費用相当の損害額は,被告はんだやが原告に対して負う上記損害賠償額の10%である95万円を下らない。 ウしたがって被告はんだやは,特許権侵害行為により,原告に対し,少なくとも1045万円の損害賠償義務を負う。 (被告はんだやの主張)被告はんだやによる販売事 ある95万円を下らない。 ウしたがって被告はんだやは,特許権侵害行為により,原告に対し,少なくとも1045万円の損害賠償義務を負う。 (被告はんだやの主張)被告はんだやによる販売事実は認めるが,その余は否認ないし争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(イ号製品は,本件発明1の技術的範囲に属するか)について(1) 「ボディ部」の技術的意義について 本件発明1の構成要件D,Fに共通する要素である「ボディ部」の技術的意義につ いて,原告は,フック部から延設されて液体を排出する機能を有する部位程度の意義に捉え,構成要件Gと関係しないもののように主張するのに対し,被告らは,排出する機能について,構成要件Gで特定される液体の流路と関連付けた上,ボディ部腹部は連続した表面を有し,その表面積が広く確保される形状を有するものであると主張している。 ところで,「ボディ部」の語としての一般的意味は「本体部」であると解され,その語自体から,部材の具体的構成が特定されているとはいえないが,特許請求の範囲請求項1の記載によれば,「ボディ部」は,「フック部」から「延設され」,「フック部により導かれた液体を排出する」機能を有し(構成要件D),さらに「腹部」と「テール部」とされる部位を備えるとされている(構成要件F)。そして,その「腹部」と「テ ール部」は,「前記腹部の眼瞼縁側表面と前記眼瞼縁又は前記医療用ドレープとの隙間を伝わせて,前記テール部の表面に到達した後に液体を排出する」(構成要件G)という機能を有するものとされているから,これによれば,「ボディ部」は,フック部から延設される位置にあって,単に液体を排出するのではなく,フック部により導かれた液体を,「ボディ部」が備える「腹部」と「テール部」を伝って排出 されているから,これによれば,「ボディ部」は,フック部から延設される位置にあって,単に液体を排出するのではなく,フック部により導かれた液体を,「ボディ部」が備える「腹部」と「テール部」を伝って排出することが構成 要件Gによって特定されているといえる。すなわち,「ボディ部」の技術的意義は,被告らが主張するように構成要件Gと関連付けて明らかにされなければならないといえる。 そこで,構成要件Gについてみると,構成要件Gは,物の具体的構成を,ボディ部の「腹部」と「テール部」が液体の流路を形成するという,その機能により特定して いるものである。 この場合,上記の機能を有するものであれば,すべて「ボディ部」であるとして本件発明1の技術的範囲に含まれると解すると,本件特許明細書に開示されていない技術的思想に属する構成までもが本件発明1の技術的範囲に含まれ得ることとなり相当ではないから,構成要件D及びFの要素である「ボディ部」については,特許請求 の範囲の記載に加えて,発明の詳細な説明を参酌した上,そこに開示された「ボディ 部」の具体的な構成に示されている技術的思想に基づいて,その技術的範囲を確定すべきである。 (2) 本件特許明細書の記載本件特許明細書の,発明の詳細な説明の欄には以下の記載がある(引用の図面中,図5,図11,図13,図15は,別紙本件特許明細書中のボディ部断面図一覧表記 載のとおりである。)。 【技術分野】【0001】本発明は,瞼裂内に滞留した液体を瞼裂外に排出するための排液技術に関する。 【背景技術】 【0002】上記技術分野において,特許文献1に示されているように,瞼裂内に貯留した液体を,吸引器を用いて外部に排出する技術が知られている。 【発明の概要】【発明が解決 背景技術】 【0002】上記技術分野において,特許文献1に示されているように,瞼裂内に貯留した液体を,吸引器を用いて外部に排出する技術が知られている。 【発明の概要】【発明が解決しようとする課題】 【0004】しかしながら,上記従来技術では,電動の吸引器を用いる必要があることから,簡便性に欠け,排液器を洗浄及び滅菌しなければならず,使用も煩雑であった。また,吸引器の先端により角膜,結膜等に損傷を与えるおそれがあるとともに,吸引器を扱う介助者の技術により,吸引効率が左右され,手術自体に支障を来たすおそれがあっ た。 【0005】本発明の目的は,上述の課題を解決する技術を提供することにある。 【課題を解決するための手段】【0006】 上記目的を達成するため本発明に係る排液器は,瞼裂内に滞留した液体を瞼裂外に 排出するための排液器であって,眼瞼縁又は医療用ドレープに掛止すべく鈎状に曲折して形成され,前記瞼裂内の液体又は前記瞼裂内から溢れ出た液体に接触して,該液体の流路の始点を形成するフック部と,前記フック部から延設され,前記フック部により導かれた液体を排出する紡錘形状のボディ部と,を備えたことを特徴とする。 前記フック部の先端を,前記瞼裂内の結膜嚢に差し込むべく先細に形成したことを 特徴とする。 前記フック部の先端を,へら状に形成したことを特徴とする。 前記フック部の先端を,前記ボディ部に向けて形成したことを特徴とする。 前記フック部の先端を,前記ボディ部から離れる方向に向けて形成したことを特徴とする。 前記フック部は,前記ボディ部に対して突出した凸部を含むことを特徴とする。 前記フック部は,前記ボディ部の最太部より細く形成されていることを特徴とする。 前記フッ したことを特徴とする。 前記フック部は,前記ボディ部に対して突出した凸部を含むことを特徴とする。 前記フック部は,前記ボディ部の最太部より細く形成されていることを特徴とする。 前記フック部は,曲折部分が切削されていることを特徴とする。 前記ボディ部は,軸に直角をなす面で切断した横断面が略円形状であることを特徴とする。 前記ボディ部は,軸に直角をなす面で切断した横断面が略多角形状であることを特徴とする。 前記ボディ部は,背側に把持部を有することを特徴とする。 【発明の効果】【0007】 本発明によれば,吸引器を用いることなく簡便に使用でき,また,角膜,結膜等に損傷を与えるおそれなく瞼裂内に滞留した液体を瞼裂外に排出することができる。 【0010】(第1実施形態)[排液器の構造] 【0011】 ・・・・ボディ部103は,フック部101から延設され,紡錘形状であって,フック部101により導かれた液体を排出する。 【0013】[排液器の使用状態]図5は,排液器100を,軸103cに直角をなす面で切断して,眼瞼縁側から見 た断面図である。 【0017】排液器100は,瞼裂内に滞留した液体250が結膜嚢234に差し込まれたフック部101に触れると,フック部101を伝ってボディ部103に導かれることから,液体250をボディ部103のテール部分を伝わせて瞼裂外に排出する。フック部1 01の先端部分は,ボディ部103の最太部より細く形成されていることが望ましい。 【0018】フック部101とボディ部103との境界に位置する首部101aは,眼瞼縁233に設置した際に,手術器具等が接触するのを回避するために,切削されている。首部101aは,図2Aに示すように,目頭と 】フック部101とボディ部103との境界に位置する首部101aは,眼瞼縁233に設置した際に,手術器具等が接触するのを回避するために,切削されている。首部101aは,図2Aに示すように,目頭と目尻とを通る平面で切断した断面と垂直 に交わる方向から見ると,略平坦に切削された形状である。また,フック部101の曲折部分の内側は,アール101bを有するように形成されている。なお,テール部分103bは,本実施形態に係る排液器100では先細の形状に形成されているが,丸味を帯びた形状であっても良い(図16)。 【0019】 排液器100は,以上のような形状により,フック部101の表面に沿って伝わった液体250bを,ボディ部103の底面に伝わせてテール部分103bから排出する。 【0021】・・・フック部101は,瞼裂内に滞留した液体250bの液面が先端部分に達す ると,フック部101及び医療用ドレープ240の間に生じる毛細管現象により,フ ック部101が液体250bを吸い上げるようにボディ部103に導き,テール部分から排出する。 【0026】排液器100のテール部分を,眼瞼縁233に設置されたボディ部103の位置より,耳側に下がった位置に保つことで,眼瞼縁233からスムーズに液体250を排 出することができる。 【0028】図5に示すとおり,排液器100のボディ部103は,眼瞼縁233と接触した状態であり,ボディ部103の腹部103aに液体250を伝わせる。ボディ部103,腹部103aに丸味を持たせ,断面が略円形状であって,液体250が表面を伝うの に適した形状である。液体250の流量が増えた場合には,液体250の液面と,ボディ部103の腹部103aの表面(矢印で図示)との接点は,垂直方向 面が略円形状であって,液体250が表面を伝うの に適した形状である。液体250の流量が増えた場合には,液体250の液面と,ボディ部103の腹部103aの表面(矢印で図示)との接点は,垂直方向に上昇する。 【0029】[排液の仕組み]図2Aに示すとおり,瞼裂内の液体250bは,フック部101の曲折部分に触れ ると,液体250bのフック部101に対する付着力(表面張力)とフック部101の表面の濡れ性と毛細管現象とにより,フック部101の表面に沿って瞼裂外に排出される。ここで表面張力は,異種の物質が接触したときに互いに引き合う力であるので,本実施形態においては,液体250と,固体であるフック部101とが接触したときに,相互に引き合う力として作用する。毛細管現象は,細い管の内側の液体が管 の中を上昇/下降する現象である。本実施形態においては,ボディ部103の腹部103aの表面と医療用ドレープ240とで形成された隙間が毛細管として機能し,液体250bが瞼裂外に導かれる。 【0030】一方,図2Bのように排液器100が医療用ドレープ240に掛止されている場合 には,液体250bは,瞼裂内に滞留する量が徐々に増えると,表面張力により瞼裂 内の液面が徐々に隆起し,眼瞼縁233に差し込まれたフック部101に触れる。この場合,フック部101と医療用ドレープ240との空間に形成された隙間が毛細管として機能し,毛細管現象により液体250cがその隙間を下降する。 【0031】[排液器の形状] 【0033】図8は,排液器100の底面図である。排液器100は,底面から見ると,フック部101の先端部分が,ボディ部103の方向に曲折されている。そして,ボディ部103は,腹側が丸味を帯びており,液体250が排液 は,排液器100の底面図である。排液器100は,底面から見ると,フック部101の先端部分が,ボディ部103の方向に曲折されている。そして,ボディ部103は,腹側が丸味を帯びており,液体250が排液器100の表面に付着しやすい形状に形成されている。 【0034】図9は,排液器100の平面図である。排液器100は,平面から見ると,ボディ部103に最太部を有し,テール部分に向かって先細の形状に形成されている。 (第3実施形態)【0041】 図11に示すように,不図示のフック部から延設されたボディ部1103の腹部1103aは,眼瞼縁側から見た横断面が略V字形状に形成されている。 【0042】ボディ部1103の腹部1103aの表面は,眼瞼縁233と接触していないため,排液器1100は,腹部1103aと眼瞼縁233との間に形成された隙間が毛細管 として機能し,毛細管現象により液体250がその隙間を下降する。 【0043】腹部1103aは,眼瞼縁233と接触していないこと,また,表面の形状が円弧状に形成されていることから,液体の流路を広範囲に形成する。なお,排液器100は,ボディ部1103の腹部が,眼瞼縁233に接触するように設置されても良い。 【0044】 以上の構成により,本実施形態に係る排液器によれば,ボディ部の横断面がV字形状に形成されていることから表面積が広く形成されるため,多量の液体を保持でき,かつ,容易に排出することが可能である。 【0045】(第4実施形態) 本発明の第4実施形態としての排液器1200について,図12を用いて説明する。 図12は,本実施形態に係る排液器1200の構成を示す図である。排液器1200は,ボディ部1203の腹側に凹部1203aを設け,フッ 4実施形態としての排液器1200について,図12を用いて説明する。 図12は,本実施形態に係る排液器1200の構成を示す図である。排液器1200は,ボディ部1203の腹側に凹部1203aを設け,フック部1201の曲折部分からテール部分にかけて凹状の溝を延設して形成されている。 【0046】 図12に示す排液器1200は,軸に直角をなす面で切断して眼瞼縁側から見た横断面であり,断面形状が人間の歯の縦断面の形状と同様である(図13)。 【0047】図13に示す排液器1200は,ボディ部1203の腹側に凹部1203a及び凸部1203bを備える。 【0048】凹部1203aは,ボディ部1203の腹側底面の中央を,フック部の曲折部分からテール部分にかけて凹状に欠切することにより形成されており,凸部1203bは,凹部1203aを挟むように形成されている。排液器1200は,凹部1203a及び凸部1203bが形成されることにより,第1実施形態の排液器100と比べてボ ディ部1203の表面積が増えることから,液体250の流路をより広範囲に確保することができる。 【0049】以上の構成により,本実施形態に係る排液器によれば,掛止されたフック部の先端部分から導いた液体を,凹凸状のボディ部表面に伝わせて排出する。本実施形態に係 る排液器は,吸引器を用いることなく簡便に使用でき,かつ,多量の液体を容易に排 出することが可能である。 【0050】(第5実施形態)本発明の第5実施形態としての排液器1400について,図14を用いて説明する。 図14は,本実施形態に係る排液器1400の構成を示す図である。排液器1400 は,ボディ部1403の腹側に複数の凹部1403aを設け,フック部1401の曲折部分からテ 図14を用いて説明する。 図14は,本実施形態に係る排液器1400の構成を示す図である。排液器1400 は,ボディ部1403の腹側に複数の凹部1403aを設け,フック部1401の曲折部分からテール部分にかけて複数の凹状の溝を延設して形成されている。 【0051】排液器1400は,軸に直角をなす面で切断して眼瞼縁側から見た横断面であり,断面形状が凹状及び凸状に複数箇所欠切して襞状に形成された,略多角形状である (図15)。 【0052】図15に示す排液器1400は,ボディ部1403の腹側に複数の凹部1403a及び複数の凸部1403bを備える。 【0053】 凹部1403aは,ボディ部1403の腹側に,フック部の曲折部分からテール部分にかけて凹状に欠切しており,凸部1403bは,凹部1403aと交互に形成されている。 【0054】排液器1400のボディ部1403は,複数の凹部1403a及び凸部1403b が形成されることにより,第1実施形態の排液器100と比べて表面積が増えることから,液体250の流路をより広範囲に確保することができる。 【0055】以上の構成により,本実施形態に係る排液器によれば,掛止されたフック部の先端部分から導いた液体を,複数の凹部及び凸部を有するボディ部表面に伝わせて瞼裂内 から排出する。本実施形態に係る排液器は,吸引器を用いることなく簡便に使用でき, かつ,多量の液体を容易に排出することが可能である。 【0056】(第6実施形態)【0057】図16に示すように,排液器1600は,図2Aに示す排液器100と比べてボデ ィ部1603のテール部分の長さが短く,先端部分に丸味みを帯びた形状に形成されている。 【0058】図17は,本実施形態に すように,排液器1600は,図2Aに示す排液器100と比べてボデ ィ部1603のテール部分の長さが短く,先端部分に丸味みを帯びた形状に形成されている。 【0058】図17は,本実施形態に係る排液器1600が設置された眼瞼縁及びその周辺部分を,目頭と目尻を通る平面で切断した断面図である。排液器1600は,フック部1 601と,テール部分の長さを短く形成したボディ部1603とを有する。 【0059】ボディ部1603は,排液器100と比べて短く形成されているとしても,フック部1601を伝う液体250の量は一定であり,この液体250をボディ部1603の表面を伝わせてテール部分から排出する量も一定である。すなわち,排液器160 0は,瞼裂内から排出する液体250の量は,ボディ部1603の長さを排液器100より短く形成しても,排液器100と同等である。 【0060】以上の構成により,本実施形態に係る排液器によれば,ボディ部の長さを短く形成したとしても,掛止されたフック部の先端部分にから導かれる液体の量に変化はなく, ボディ部から排出する量にも変化はない。そして,本実施形態に係る排液器は,吸引器を用いることなく簡便に使用でき,かつ,容易に液体を排液することが可能である。 (3) 本件特許の出願経緯証拠(乙1ないし3)によれば,本件特許の出願の経緯は,以下のとおりであると認められる。 ア本件発明の当初出願時の,特許請求の範囲請求項1の記載は,以下のとおりで ある。 【請求項1】瞼裂内に滞留した液体を瞼裂外に排出するための排液器であって,眼瞼縁又は医療用ドレープに掛止すべく鈎状に曲折して形成され,前記瞼裂内の液体又は前記瞼裂内から溢れ出た液体に接触して,該液体の流路の始点を形成するフック部 体を瞼裂外に排出するための排液器であって,眼瞼縁又は医療用ドレープに掛止すべく鈎状に曲折して形成され,前記瞼裂内の液体又は前記瞼裂内から溢れ出た液体に接触して,該液体の流路の始点を形成するフック部と,前記フッ ク部から延設され,前記フック部により導かれた液体を排出する紡錘形状のボディ部と,を備えたことを特徴とする排液器。 イ特許庁審査官は,平成23年5月6日頃,本件特許出願につき拒絶理由通知を発したが,その拒絶理由通知書において,上記請求項1の発明については,「引用発明1(平成8年12月3日公開の特開平8-317939の公開特許公報(乙7))のボ ディ部に,引用文献2(平成8年6月25日公開の特開平8-164162の公開特許公報(乙10。先行文献2))の技術を適用して,「円筒状のボディ部を有する排液器とすることは,当業者が容易に想到し得るものであり,眼瞼流域で用いる排液器において,フック部と段差の無いように,円筒状のボディ部の両端部を丸くして紡錘状とすることは,当業者が適宜になし得る事項である。」とした。 ウこれに対して原告は,平成23年6月30日,特許庁審査官に対して,請求項1を現在の請求項1のとおり補正する手続補正書を提出した上,意見書(乙3)においてその補正の理由として「補正後の請求項1に係る発明は,引用文献1~3に記載の発明からの最適材料の選択あるいは設計変更や端なる寄せ集めに該当することはなく,また,引用文献1~3に記載のある発明の内容に動機付けとなり得るものも開 示されていません。さらに,補正後の請求項1に係る発明は,引用発明1~3と比較した有利な効果が明細書の記載から明確に把握されます。 以上のことから,引用文献1~3に記載の発明から,補正後の請求項1に係る発明の進歩性の存在を否定し得る論理 1に係る発明は,引用発明1~3と比較した有利な効果が明細書の記載から明確に把握されます。 以上のことから,引用文献1~3に記載の発明から,補正後の請求項1に係る発明の進歩性の存在を否定し得る論理の構築を行うことはできませんので,補正後の請求項1に係る発明の進歩性を否定することはできません。」と記載した。 エ以上の経緯を経て,本件発明に係る特許出願は,特許された。 (4) 以上より検討すると,本件発明1である請求項1に係る特許請求の範囲の記載には,「フック部」は「瞼裂内の液体又は前記瞼裂内から溢れ出た液体に接触して,該液体の流路の始点を形成する」(構成要件C)ものであるが,「ボディ部」は「フック部により導かれた液体を排出」するというのである(構成要件D)から,文言を素直に解する限り,「フック部」が「始点」となる「液体の流路」は,「ボディ部」に続い ていくものであり,その「ボディ部」では,液体が「前記腹部の眼瞼縁側表面と前記眼瞼縁又は前記医療用ドレープとの隙間を伝わせて,前記テール部の表面に到達した後に」,「排出する」(構成要件G)というのであるから,フック部により導かれた液体は,すべて構成要件Gで特定された「腹部の眼瞼縁側表面と前記眼瞼縁又は前記医療用ドレープとの隙間」を伝って,「テール部」へ流れていくものと理解できる。 そして,上記理解は,本件特許明細書記載の各実施例(図5,図11,図13,図15)を見ても,いずれも排液器のボディ部の眼瞼縁側の表面とこれに対向する関係にある眼瞼縁とで形成される隙間を液体が流れていく様子のみが描かれ,他の部位を流れている様子を描いたものがなく,しかも実施形態としては,ボディ部の「腹部」という限られた部位で形成する隙間を用いた排出を効率化するために,ボディ部の 「 ていく様子のみが描かれ,他の部位を流れている様子を描いたものがなく,しかも実施形態としては,ボディ部の「腹部」という限られた部位で形成する隙間を用いた排出を効率化するために,ボディ部の 「腹部」側の断面形状を略円形状(【図5】),略Ⅴ字形状(【図11】),臼歯の縦断面形状(【図13】),略多角形状(【図15】)とすることで「腹部」表面の面積を増大させる実施例のみが示され,他の部位を利用して排出する構成が何ら示唆されていないことから裏付けられているということができる。 したがって,「ボディ部」とは,フック部から延設される部材であって,眼瞼縁側表 面と対向して隙間を形成する面,すなわち「腹部」を有し,その面はフック部により導かれる液体すべての流路を形成するに足りる十分な面積を有する形状であることを要件とするものと解することができ,またそのことは,本件発明1における排液器においては,フック部により導かれる液体は,眼瞼縁に対向する面である,ボディ部の腹部から,流路の終端を意味するテール部につながる面だけを流路として利用する ものであることを要件とすることと解することができる。 (5) これに対し,イ号製品では,「フック部」に該当する部分は,1枚の樹脂板からなる先端部に,その樹脂板と直交する方向で挟持する形で延設する断面形状が矩形の2枚の樹脂板の曲折部からなり,その2枚の樹脂板に本体部が延設されているものである。そして,眼瞼縁側表面との関係では,並設された2枚の樹脂板との間は空間となって隙間を形成せず,ただ矩形となった樹脂板の底面部分と眼瞼縁側表面との間で 隙間を形成している。 その結果,イ号製品では,そもそも「フック部」に相当する部分において樹脂板が2枚並設されているために,先端部を始点とする液体の流路の多 板の底面部分と眼瞼縁側表面との間で 隙間を形成している。 その結果,イ号製品では,そもそも「フック部」に相当する部分において樹脂板が2枚並設されているために,先端部を始点とする液体の流路の多くは,その並設された2枚の樹脂板の側面を伝って,そのまま本体部の2枚の樹脂板の側面を伝い,これらにより,2枚の樹脂板の間の空間を流路として排液されていくものとなっており, このことは証拠(甲18ないし甲20)によれば,実際の使用時においてフック部により導かれてくる液体の大部分は2枚の樹脂板の間に形成される空間を通って排出される様子が認められることからも裏付けられている。また,原告が「ボディ部」の「腹部」であると主張する樹脂板の底面部分と眼瞼縁側表面との間の隙間を流れる液体もあることは認められるが,その量は明らかに僅かなものであることも認められる。 そして,このことからは,イ号製品は,2枚の樹脂板の底面部分で,眼瞼縁側表面と対向する面を有しているものの,その面は,フック部により導かれる液体すべてを伝わせるものではなく,むしろイ号製品は,この2枚の樹脂板の間に形成される空間を排液路として機能させているものであるということができる。 すなわち,イ号製品では,フック部により導かれる液体すべての流路を形成するに 足りる「腹部」を有しておらず,また同「腹部」以外の部分を主たる流路として機能させているものであるから,本件発明1にいう「ボディ部」を具備するものとはいえず,構成要件D,F,Gを充足しないものと認められる。 (6) 原告は,イ号製品は,毛細管現象(ないし毛細管現象を引き起こす表面張力)を利用して排液を実現するものであり,本件発明と同じ技術的思想を利用しているも のであり,イ号製品において,表面張力によって生じる液体が排液 ,毛細管現象(ないし毛細管現象を引き起こす表面張力)を利用して排液を実現するものであり,本件発明と同じ技術的思想を利用しているも のであり,イ号製品において,表面張力によって生じる液体が排液器の底面のみなら ず側面に広がる現象は,本件特許明細書の【図11】,【図13】,【図15】においても開示されていること,イ号製品を1枚の樹脂板のみの状態にしても問題なく排液できるから,イ号製品は単体で十分な排液機能を有する排液器を2枚連結したものにすぎないことなどを主張して,イ号製品において,構成要件Gで特定される以外の部分でより多くの液体が通っていても構成要件Gの充足性を否定できないように主張す る。 確かに本件特許明細書の【図11】,【図13】,【図15】には,液体の表面張力によって排液器の底面のみならず側面にも液体が広がる現象が記載されており,特に【図11】の液体の付着した側面部分を垂直方向に起こしていけばイ号製品の1枚の樹脂板に類似することになるし,他方,イ号製品の樹脂板を1枚としても十分排液器 として機能していることも認められるから(甲22),本件発明1もイ号製品も,液体排出のために,液体の付着力(表面張力)ないし毛細管現象を利用しているのであって,課題解決の原理に共通性を見出すことはできる。 しかし,本件発明1は,そのような現象を利用するために,眼瞼縁側表面とボディ部の腹部との間で隙間を形成し,もってこれを流路として機能させる構成を採用した のに対し,イ号製品は,そのような構成とは異なり,液体が表面張力によって付着して広がり得る樹脂板をその間に空間を形成できるように2枚並設して,これをフック部の一部となる曲設部,及びそれに引き続く本体部となし,その側面への液体の付着力を利用することで2枚の樹脂板の間の空 着して広がり得る樹脂板をその間に空間を形成できるように2枚並設して,これをフック部の一部となる曲設部,及びそれに引き続く本体部となし,その側面への液体の付着力を利用することで2枚の樹脂板の間の空間を流路として機能させ,もってより一層効率的な液体の排出を実現したというものである。 要するにイ号製品は,本件発明1と同じ現象を利用しており,課題解決の原理に共通性があることは否定できないものの,物としての構成が,特許請求の範囲の記載において特定された本件発明1の構成とは異なるというべきものであるから,イ号製品は本件発明1の技術的範囲に含まれないというべきである。 2 本件特許の特許請求の範囲請求項2及び同6は,同1の従属項であるから,上 記1で判断したとおり,イ号製品が,同1に係る本件発明1の技術的範囲に属しない 以上,その余の点を検討するまでもなく,イ号製品は本件発明2及び同6の技術的範囲にも属しないといえる。 3 以上によれば,原告の被告らに対する請求は,その余の点につき判断するまでもなくいずれも理由がないことは明らかであるから,いずれも棄却することとし,訴訟費用の負担につき,民事訴訟法61条本文を適用して,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第21民事部 裁判長裁判官森崎英二 裁判官野上誠一 裁判官大川潤子 (別紙)イ号製品目録 眼科手術用排液器「ミラクルドレイナー」 先端部2曲折部1本体部3把持部5連結部4曲折部1先端部2把持 眼科手術用排液器「ミラクルドレイナー」 先端部2曲折部1本体部3把持部5連結部4曲折部1先端部2把持部5連結部4本体部3 (別紙)イ号製品説明書 1 商品名「ミラクルドレイナー」 2 イ号製品の構造イ号製品は以下の構造を有している。 ① イ号製品は,眼科医による施術に際し,瞼裂内に滞留した液体を瞼裂外に排出するための排液器である。排液器は,長手方向の長さ約15.7mm,短手方向の長さ約11.7mm の透明の樹脂で成型されており,曲折した樹脂板が2枚並設されて なる,曲折部1を有し,全体として鈎状の形状を形成している。 ② 曲折部1の先方には,曲折部1を構成する2枚の樹脂板に狭持され,その2枚の樹脂板と直角をなす面を有する1枚の樹脂板を備えたへら状の先端部2が延設されている。先端部2はその先端幅が狭くなっており,内側の面に半球状の突起が設けられている。この先端部2は,イ号製品を眼瞼縁又は医療用ドレープに掛止すること を可能にするとともに,瞼裂内の液体又は瞼裂内から溢れ出た液体に接触して,液体の流路の始点を形成する。 ③ 曲折部1の後方には,曲折部1を構成する2枚の樹脂板からイ号製品の長手方向に向かってそれぞれ樹脂板が延設され,本体部3が形成されている。本体部3の後端では,背側に形成された連結部4によって,本体部3の2枚の樹脂板が連結され, 全体としてコの字状に形成されている。連結部4の背側には,イ号製品を把持するための把持部5が設けられている。本体部3は,眼瞼縁側表面と眼瞼縁又は医療用ドレープとの隙間を伝わせて,本体部3により導かれた液体を,本体部後端の表面に ている。連結部4の背側には、イ号製品を把持するための把持部5が設けられている。本体部3は、眼瞼縁側表面と眼瞼縁又は医療用ドレープとの隙間を伝わせて、本体部3により導かれた液体を、本体部後端の表面に導き、排出することを可能にしている。先端部2の幅は約2.1~2.9mmであり、本体部3の最太部の幅は約4.3mmである。 (別紙)本件特許明細書中のボディ部断面図一覧表 【図5】 【図11】 【図13】 【図15】
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