- 1 - 主文 被告人A1を懲役3年及び罰金300万円に,被告人A2を懲役2年6月及び罰金150万円に処する。 未決勾留日数中,被告人A1に対しては120日を,被告人A2に対しては60日を,それぞれその懲役刑に算入する。 被告人らにおいてその罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間,その被告人を労役場に留置する。 被告人A2に対し,この裁判が確定した日から4年間,その懲役刑の執行を猶予する。 被告人両名から,別表1記載の各預金債権のうち各金額欄記載の金額に相当する部分を没収する。 被告人両名から,連帯して金1431万6612円を追徴する。 理由 (罪となるべき事実)第1(被告人両名に係る罪となるべき事実)1(弁護士法違反被告事件)被告人A1は,東京都千代田区a町b丁目c番地dに事務所を置き,トータルアドバイザー等の名称で,多額の負債を抱え,債権者に対する支払に窮した会社経営者等の顧客に対し,債務整理に関する助言等を与えるとともに,その助言等の内容を実現するため自ら債権者との交渉に当たるなどの事業を行っていたもの,被告人A2は,被告人A1の前記事業を補佐していたものであるが,被告人両名は,被告人A1の前記事業を補佐していた分離前の相被告人B1と共謀の上,いずれも弁護士ではなく,かつ,法定の除外事由もないのに,報酬を得る目的で,業として,別表2番号1及び番号2記載のとおり,平成27年5月13日頃及び平成28年2月13日頃,2回にわたり,前記d事務所において, - 2 -多額の負債を抱える有限会社D1の取締役であったC1ほか1名の顧客に対し,債務状況を聴取するなどした上,「銀行への返済は止め 28年2月13日頃,2回にわたり,前記d事務所において, - 2 -多額の負債を抱える有限会社D1の取締役であったC1ほか1名の顧客に対し,債務状況を聴取するなどした上,「銀行への返済は止めろ。銀行との交渉は全て私がやるから心配いらない。相手があきらめれば借金はチャラになる。債権には時効があって,5年間何もしなければ借金が消える。」,「C1が第二会社を作って,D1の財産や社員,顧客を第二会社に移して事業を続ければいい。銀行などの債権者は第二会社の財産を差し押さえることはできない。」などと申し向け,債務に関する支払義務の有無及び第二会社などを用いて差押えを回避する具体的な方法等についての法律的見解を述べるとともに,別表3番号1及び番号2記載のとおり,平成27年7月30日頃及び平成28年3月9日頃,2回にわたり,埼玉県秩父市(住所省略)株式会社D2銀行D3支店ほか1か所において,前記有限会社D1ほか1名の債権者である同銀行のD3支店支店長C2ほか1名に対し,「もう銀行には返済はしない。早くマルホに代弁してもらえ。競売でも何でもしてくれ。今後は俺が交渉するからC1には連絡するな。」などと申し向け,前記有限会社D1ほか1名の代理人として債権者との間で債務免除又は損失処理を行うよう交渉を行い,B1及び被告人A1の前記事業を補佐していた分離前の相被告人B2と共謀の上,いずれも弁護士ではなく,かつ,法定の除外事由もないのに,報酬を得る目的で,業として,別表2番号3記載のとおり,平成28年4月19日頃,前記d事務所において,多額の負債を抱える有限会社D4の取締役であったC3に対し,債務状況を聴取するなどした上,「私が銀行を回って,支払を止めると言う。銀行との折衝は全て私がやるから心配いらない。債権は5年で時効にかかって消えるんだ。」, 限会社D4の取締役であったC3に対し,債務状況を聴取するなどした上,「私が銀行を回って,支払を止めると言う。銀行との折衝は全て私がやるから心配いらない。債権は5年で時効にかかって消えるんだ。」,「第二会社を作って,財産や従業員,取引先を全部そっちに移して事業を続ければいい。第一会社に金を貸している銀行とか債権者は,売上げや財産を差し押さえることはできないんだよ。」などと申し向け,債務に関する支払義務の有無及び第二会社などを用 - 3 -いて差押えを回避する具体的な方法等についての法律的見解を述べるとともに,別表3番号3記載のとおり,平成29年2月24日頃,群馬県桐生市(住所省略)株式会社D5銀行D6支店において,前記有限会社D4の債権者である同銀行のD6支店次長C4に対し,「D4に関する交渉は全て私が行う。保証協会に代弁請求するかしないかは銀行で決めろ。当社は借入元利金の支払を行わない。」などと申し向け,前記有限会社D4の代理人として債権者との間で債務免除又は損失処理を行うよう交渉を行い,B1,B2及び被告人A1の前記事業を補佐していた分離前の相被告人B3と共謀の上,いずれも弁護士ではなく,かつ,法定の除外事由もないのに,報酬を得る目的で,業として,別表2番号4ないし番号8記載のとおり,平成29年5月18日頃から同年12月30日頃までの間,5回にわたり,前記d事務所ほか1か所において,多額の負債を抱える株式会社D7の代表取締役(同年5月31日辞任)であったC5ほか4名の顧客に対し,債務状況を聴取するなどした上,「私が代表者として,銀行などからの催促に対応して交渉する。第二会社を作り,差し押さえられそうなD7の財産は全て第二会社に移して,第二会社で同じ事業をやればいい。第二会社を設立したら,直ちに第二会社名義の預金口座を ,銀行などからの催促に対応して交渉する。第二会社を作り,差し押さえられそうなD7の財産は全て第二会社に移して,第二会社で同じ事業をやればいい。第二会社を設立したら,直ちに第二会社名義の預金口座を開設して,その口座に売掛金を振り込んでもらうようにしなさい。」などど申し向け,債務に関する支払義務の有無及び第二会社などを用いて差押えを回避する具体的な方法等についての法律的見解を述べるとともに,別表3番号4ないし番号9記載のとおり,同年7月20日頃から平成30年1月23日頃までの間,6回にわたり,東京都内,千葉県内又はその周辺ほか5か所において,栃木県河内郡(住所省略)株式会社D8銀行D9支店に電話をかけ又は直接面会する方法により前記株式会社D7ほか4社の債権者である同銀行のD9支店次長C6ほか4名に対し,「融資金については支払をするつもりはない。C5に電話もするな。」などと申し向け,前記株式会社D7ほか4社の代理人として債権者との間で債務 - 4 -免除又は損失処理を行うよう交渉を行い,もって他人の法律事件に関して法律事務を取り扱うことを業とした。 第127号国税徴収法違反,強制執行妨害目的財産無償譲渡等,強制執行妨害目的財産損壊等被告事件の公訴事実第1)被告人両名は,札幌市e区fg丁目h番i号jに本店を置き,金属製品,輸送機械及び特殊車両の塗装等を営み,消費税等及び社会保険料を滞納していた前記株式会社D7から同社の債務整理に関して委任を受けていたものであるが,実質的に同社の業務全般を統括していた前記C5と共謀の上,同社の業務に関し,同社の財産に対する滞納処分の執行を免れるとともに,強制執行を妨害する目的で,平成29年7月6日頃,宇都宮市内又はその周辺において,前記株式会社D7がD10株式会社に対して有する 同社の業務に関し,同社の財産に対する滞納処分の執行を免れるとともに,強制執行を妨害する目的で,平成29年7月6日頃,宇都宮市内又はその周辺において,前記株式会社D7がD10株式会社に対して有する同年6月1日から同月30日までの売掛金債権334万2600円を前記株式会社D7から株式会社D11に無償譲渡した上,その頃,宇都宮市(住所省略)日本郵便株式会社D12郵便局から,栃木県佐野市(住所省略)D10株式会社D13工場宛てに,前記債権譲渡を実行した旨の債権譲渡通知書を内容証明郵便で郵送するなどし,もって,滞納処分の執行を免れる目的で前記株式会社D7の財産を国の不利益に処分するとともに,金銭執行を受けるべき財産について無償で譲渡した。 3(国税徴収法違反,強制執行妨害目的財産無償譲渡等,強制執行妨害目的財産損壊等被告事件の公訴事実第2)被告人両名は,前記jに本店を置き,飲食店を経営し,消費税等及び社会保険料を滞納していた株式会社D14から同社の債務整理に関して委任を受けていたものであるが,同社の前代表取締役であって,実質的に同社の業務全般を統括していたC7と共謀の上,同社の業務に関し,同社の財産に対する滞納処分の執行を免れるとともに,強制執行を妨害する目的で,別表4記載のとおり,平成30年1月31日から同年2月2日までの間,4回にわたり,栃木県小山市(住所省略)D15信用金庫D16支店におい - 5 -て,同支店に開設された株式会社D17名義の普通預金口座に,前記株式会社D14が経営する飲食店の売上金合計1444万5335円を入金し,もって滞納処分の執行を免れる目的で前記株式会社D14の財産を隠ぺいするとともに,強制執行を受けるべき財産を隠匿し,同年3月6日,同市(住所省略)D18株式会社事務所において,生 5円を入金し,もって滞納処分の執行を免れる目的で前記株式会社D14の財産を隠ぺいするとともに,強制執行を受けるべき財産を隠匿し,同年3月6日,同市(住所省略)D18株式会社事務所において,生命保険の募集に関する業務等を営む同社の代表取締役C8に対し,前記株式会社D14とD19株式会社との間で締結されていた定期保険契約の契約者名義を前記株式会社D14から前記株式会社D17に変更する旨の「名義変更・訂正請求書」を提出し,前記C8らをして,同請求書を東京都千代田区(住所省略)D19株式会社へ送付させて前記名義変更を請求し,同月13日,同社担当者をして,その旨名義変更手続を完了させ,同保険契約に基づく解約返戻金請求権(同日時点の解約返戻金395万9503円)を前記株式会社D14から前記株式会社D17へ無償で譲渡し,もって滞納処分の執行を免れる目的で前記株式会社D14の財産を国の不利益に処分するとともに,金銭執行を受けるべき財産について無償で譲渡した。 4(破産法違反被告事件)被告人両名は,東京都品川区kl丁目m番n号に本店を置き,空調工事の設計及び施工等を目的とする株式会社D20からその債務整理に関して委任を受けていたものであるが,D20は平成29年12月13日に東京地方裁判所から破産手続開始の決定を受け,同決定は平成30年1月11日に確定したところ,D20の代表取締役であった分離前の相被告人B4と共謀の上,D20の債権者を害する目的で,D20の破産管財人C9がD20名義の預金通帳及び契約書等を同区kl丁目m番n号oビル本棟2階所在のD20事務所から同ビル本棟4階左側号室所在のD20事務所へ移したと知らないことに乗じて,ア平成29年11月22日頃,同区(住所省略)株式会社D21において, - 6 -B4に 階所在のD20事務所から同ビル本棟4階左側号室所在のD20事務所へ移したと知らないことに乗じて,ア平成29年11月22日頃,同区(住所省略)株式会社D21において, - 6 -B4において,同社代表取締役C10に対し,D22株式会社を賃貸人とする上記oビル本棟4階左側号室の定期建物賃貸借契約について,賃借人をD20からC11へ変更するよう申し込み,同月30日頃,同室の賃借人をC11とする定期建物賃貸借契約を締結し,イ同年12月14日,同ビル本棟4階において,B4において,D20従業員C12をして,前記破産管財人C9に対し,真実は,同ビル本棟4階左側号室のD20事務所でD20の業務を行っていたにもかかわらず,同ビル本棟2階のD20事務所の移転先は不明である旨虚偽の説明をさせ,もって債務者であるD20の業務及び財産の状況に関する書類等を隠滅し,さらに,D20の代表取締役として,破産管財人の調査に対し,必要な説明をすべき破産法上の義務があるB4においてア同月20日頃,前記破産管財人C9から,東京都江東区(住所省略)当時のB4方に郵送された通知書により,破産会社の破産の経緯を説明するように求められ,イ平成30年9月20日頃,前記破産管財人C9から,弁護士C13を介して,FAX通信書により,同年10月30日午前10時から,東京都千代田区霞が関1丁目1番2号東京家庭・簡易・地方裁判所合同庁舎3階集会場において行われる第3回債権者集会へ出頭した上,破産会社の財産や借金の状況等の破産に関する事情を説明するように求められたにもかかわらず,これらに応じず,もって破産管財人の請求があったときに破産に関し必要な説明を拒んだ。 第2(被告人A1のみに係る罪となるべき事実)(法違反,強制執行妨害目的財産損壊等 に求められたにもかかわらず,これらに応じず,もって破産管財人の請求があったときに破産に関し必要な説明を拒んだ。 第2(被告人A1のみに係る罪となるべき事実)(法違反,強制執行妨害目的財産損壊等,電磁的公正証書原本不実記録・同供用被告事件)被告人A1は, - 7 - 1 千葉県市川市(住所省略)(平成30年2月28日まで札幌市p区(住所省略))に本店を置き,一般貨物自動車運送事業等を目的とし,消費税等及び社会保険料を滞納していた株式会社D23から,その債務整理に関して委任を受けていたものであるが,D23の代表取締役(同月15日辞任)であって,その業務全般を統括していた分離前の相被告人B5,D23からその債務整理に関して委任を受けていたB1及び合同会社D24の代表社員を務めていたC14と共謀の上,D23の業務に関し,D23の財産に対する滞納処分の執行を免れるとともに,強制執行を妨害する目的で,平成29年8月28日,北海道石狩郡(住所省略)日本郵便株式会社D25郵便局から,株式会社D26(本店所在地北海道標津郡(住所省略))及びD27協同組合(主たる事務所同所所在。)に対し,D23がD26及びD27に対して有する同年6月分から平成31年5月分までの売掛金債権を前記合同会社D24に譲渡した旨の内容虚偽の債権譲渡通知書を郵送するなどし,別表5記載のとおり,平成29年9月21日から平成30年1月15日までの間,10回にわたり,D26及びD27をして,株式会社D28銀行D29出張所に開設された合同会社D24名義の普通預金口座に前記売掛金合計1127万7360円を振込入金させ,もって,滞納処分の執行を免れる目的でD23の財産を隠ぺいするとともに,強制執行を妨害する目的でこれを受けるべき財産を隠匿した。 2 B5及びB1と共謀 金合計1127万7360円を振込入金させ,もって,滞納処分の執行を免れる目的でD23の財産を隠ぺいするとともに,強制執行を妨害する目的でこれを受けるべき財産を隠匿した。 2 B5及びB1と共謀の上,登記記録上の所有者をB5とする別表6記載の土地及び建物につき,実体のない権利関係を公示して債権者からの差押えを免れようと企て,平成29年12月1日,北海道釧路市幸町10丁目3番地釧路地方法務局において,同局登記官に対し,前記土地及び建物につき,真実は,同年11月24日にB5が合同会社D30にこれを譲渡した事実はないのにこれがあるかのように装い,その旨記載された内容虚偽の登記原因証明情報を提出するとともに,売買を原因として,前記土地及び建物の所有権がB5から合同会社D30に移転した旨の内容虚偽の所有権移転登記申請をし,その頃,同局 - 8 -において,情を知らない同局登記官をして,長野市内に所在する法務省民事局管理の登記事務システムセンターに設置されていた権利又は義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録である不動産登記簿の電磁ディスクにその旨不実の登録をさせた上,これを即時同所に備え付けさせ,公正証書の原本としての用に供した。 (事実認定の補足説明) 1 被告人両名の弁護人は,判示第1の1に関し,判示の共犯者の全員について共謀が成立するか疑問があるとして,その共謀の成否について争っており,被告人A2も,有限会社D4に係るものについて関与していないとして,これに沿う供述をしている。 そこで検討すると,被告人A2,B1,B2及びB3は,被告人A1の下,その発案に係る手法をもとに,他人の法律事件に関して法律事務を取扱う行為(以下「非弁行為」という。)を行って報酬を得るという目的で集まった組織であり,この組織の中では役 及びB3は,被告人A1の下,その発案に係る手法をもとに,他人の法律事件に関して法律事務を取扱う行為(以下「非弁行為」という。)を行って報酬を得るという目的で集まった組織であり,この組織の中では役割が分担されていた上,被告人A2,B1,B2及びB3は,自らが担当する案件以外のものでも,お互いに書類作成を手伝ったり,書類のサンプルを提供し合ったり,分からないことがあれば教示し合ったりしていたことが認められる。そうすると,上記の目的に向け,非弁行為を行うことについて,包括的な共謀を遂げた上で,互いに物理的・心理的影響を及ぼしながら一体となって非弁行為に及んでいたと評価できる。 そして,A1は,この組織を統括し,利益をも得ており,他の者による非弁行為について共同正犯の責任を負うことは明らかである。また,被告人A2は,上記の組織の中で,被告人A1の意を受けて他の者に対する指導を行うなどしており,有限会社D4に係るものについて,直接にはB2が担当していたものの,これに先立ち,被告人A2は,同一の事務所で一連の犯行に関与していたB2に対して必要な教示や書類のサンプルの提供等をしていたところであって,B2の有限会社D4に係る行為についても,共同正犯としての責任を負うというべきであ - 9 -る。 以上により,判示第1の1については,被告人A1及び被告人A2について,いずれも,自らが直接関与していなかった行為に関しても,共同正犯としての責任を負うものといえる。 2 また,被告人両名の弁護人は,判示第1の1に関し,被告人らは債権者に対して債務免除や損失処理を行うよう要求した事実はない旨主張し,被告人両名もこれに沿う供述をしている。 しかしながら,被告人らの債権者に対する言動のうち,その直接的な文言は債務の履行を行わない旨述べるも 免除や損失処理を行うよう要求した事実はない旨主張し,被告人両名もこれに沿う供述をしている。 しかしながら,被告人らの債権者に対する言動のうち,その直接的な文言は債務の履行を行わない旨述べるものであるとしても,その内容を見ると,単に債務の履行に応じる資力に乏しい旨の文言にとどまらず,判示のいわゆる第二会社が設立され,顧客(債務者)の積極財産が第二会社に承継されたことや,被告人らの組織の各担当者が顧客(債務者)を代表して債権者との対応を担っていることを述べた上,信用保証協会による代位弁済を受けたり,債権者において当該債権に係る譲渡や損失処理を行ったりすればよいとの内容の文言を述べるなど,いずれも,債権者において債務の履行が見込まれないものとして取り扱うことを前提とした措置を求める趣旨が含まれているといえる。このような内容を合理的に解釈すれば,被告人らの言動は,積極財産が第二会社に承継されたとの一応の法律的見解をもとに,顧客(債務者)を代理して窓口になることを明示した上,債権者に対して債務の履行に応じる意思がないことを強く宣明することにより,債権者に対して,明示又は黙示に,債務消滅の法的効果が生じる債務免除や,事実上これと同様の扱いをとることになる損失処理を行うよう要求し,ひいては権利義務関係に影響を与え得るものといえる。このように,被告人らの行為は,顧客(債務者)と債権者との権利義務関係について,今後被告人らと債権者との交渉において解決しなければならない紛議を生じさせるものとして,他人の法律事件に関して法律事務を取り扱ったと評価することができる。 よって,判示第1の事実を認定することができる。 - 10 -(法令の適用)[被告人A1について]罰条判示第1の1の行為刑法60条 きる。 よって,判示第1の事実を認定することができる。 - 10 -(法令の適用)[被告人A1について]罰条判示第1の1の行為刑法60条,弁護士法77条3号,72条前段(同法72条の改正前後にわたるが,改正後のものを掲げる。)判示第1の2の各行為のうち滞納処分の執行を免れる目的で財産を国の不利益に処分した点刑法65条1項,60条,国税徴収法189条1項,187条1項強制執行妨害目的財産無償譲渡等の点刑法60条,96条の2第3号判示第1の3の行為のうち滞納処分の執行を免れる目的で財産を隠ぺいした点包括して刑法65条1項,60条,国税徴収法189条1項,187条1項強制執行妨害目的財産隠匿等の点包括して刑法60条,96条の2第1号の点について包括して刑法60条,破産法270条前段の点について包括して刑法65条1項,60条,破産法268条1項前段,40条1項3号65条1項,60条,破産法268条1項前段により評価判示第2の1の行為のうち - 11 -滞納処分を免れる目的で財産を隠ぺいした点包括して刑法65条1項,60条,国税徴収法189条1項,187条1項強制執行妨害目的財産損壊等の点包括して刑法60条,96条の2第1号判示第2の2の行為のうち電磁的公正証書原本不実記録の点包括して刑法60条,157条1項同供用の点包括して刑法60条,158条1項,157条1項科刑上一罪の処理判示第,第2の1の各行為 包括して刑法60条,157条1項同供用の点包括して刑法60条,158条1項,157条1項科刑上一罪の処理判示第,第2の1の各行為それぞれ刑法54条1項前段,10条(それぞれ犯情の重い国税徴収法違反の罪の刑で処断)判示第2の2の行為刑法54条1項後段,10条(犯情の重い不実記録電磁的公正証書原本供用の罪の刑で処断)刑種の選択判示第1の1,第2の2いずれも懲役刑を選択判示第1の2,第2の1いずれも懲役刑及び罰金刑の併科を選択併合罪の処理刑法45条前段,懲役刑について47条本文,10条(最も重い判示第2の2の罪の刑に法定の加重),罰金刑について48条1項,2項(判示第2の1の各罪所定の罰金の多額を合計して懲役刑と併科。) - 12 -未決勾留日数の算入刑法21条労役場留置刑法18条没収組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下「組織的犯罪処罰法」という。)14条,13条1項1号,15条1項本文(別表1記載の各債権のうち各金額欄記載の部分は,財産上の不正な利益を得る目的で犯した判示第1の1の犯行の報酬として得た犯罪収益が,それ以外の財産と混和した財産のうち犯罪収益に相当する部分であり,犯人以外の者に帰属しないものである。)追徴組織的犯罪処罰法16条1項本文,13条1項1号(下記のとおり,犯罪収益のうち1431万6612円は,没収することができない。)[被告人A2について]罰条判示第1の1の行為刑法 (下記のとおり,犯罪収益のうち1431万6612円は,没収することができない。)[被告人A2について]罰条判示第1の1の行為刑法60条,弁護士法77条3号,72条前段(同法72条の改正前後にわたるが,改正後のものを掲げる。)判示第1の2の各行為のうち滞納処分の執行を免れる目的で財産を国の不利益に処分した点刑法65条1項,60条,国税徴収法189条1項,187条1項強制執行妨害目的財産無償譲渡等の点刑法60条,96条の2第3号の行為のうち滞納処分の執行を免れる目的で財産を隠ぺいした点 - 13 -包括して刑法65条1項,60条,国税徴収法189条1項,187条1項強制執行妨害目的財産隠匿等の点包括して刑法60条,96条の2第1号の点包括して刑法60条,破産法270条前段の点包括して刑法65条1項,60条,破産法268条1項前段,40条1項3号65条1項,60条,破産法268条1項前段により評価科刑上一罪の処理判示第の各行為それぞれ刑法54条1項前段,10条(それぞれ犯情の重い国税徴収法違反の罪の刑で処断)刑種の選択判示第1の1 懲役刑を選択 いずれも懲役刑及び罰金刑の併科を選択併合罪の処理刑法45条前段,懲役刑について47条本文,10条(刑及び犯情の最も重い判示第1の4の罪の刑に法定の加重),罰金刑について,48条1項,2項(及び4の各罪所定の罰金の多額を合計して懲役刑と併科)未決勾留日数の算入刑法21条労役場留置 犯情の最も重い判示第1の4の罪の刑に法定の加重),罰金刑について,48条1項,2項(及び4の各罪所定の罰金の多額を合計して懲役刑と併科)未決勾留日数の算入刑法21条労役場留置刑法18条懲役刑の執行猶予刑法25条1項没収組織的犯罪処罰法14条,13条1項1号,15条1項本文 - 14 -(別表1記載の各債権のうち各金額欄記載の部分は,財産上の不正な利益を得る目的で犯した判示第1の1の犯行の報酬として得た犯罪収益が,それ以外の財産と混和した財産のうち犯罪収益に相当する部分であり,犯人以外の者に帰属しないものである。)追徴組織的犯罪処罰法16条1項本文,13条1項1号(下記のとおり,犯罪収益のうち1431万6612円は,没収することができない。)(没収・追徴の求刑に対する判断) 1 検察官は,判示第1の1の犯行について,被告人両名,B1,B2及びB3が,同犯行の期間内に,このほかにも同様に非弁行為に及んでおり,それによって得た報酬も組織的犯罪処罰法が没収・追徴の対象として規定する犯罪収益に当たると主張し,その一部として,被告人A2,B2及びB3が有している預金債権又は貯金債権(合計額85万7597円)を没収し,被告人両名から2320万3526円を追徴するのが相当である旨主張する。そして,検察官は,その根拠として,非弁行為を業とする罪がいわゆる業態犯ないし営業犯であり,同一の業から得られた報酬についてはすべてが没収・追徴の対象になるとの見解に立つことを前提とした上,判示第1の1の犯行の期間内の収益をすべて総合したものが本件の犯罪収益であるとして没収・追徴額を算定すべきであると主張しているところである(なお, 追徴の対象になるとの見解に立つことを前提とした上,判示第1の1の犯行の期間内の収益をすべて総合したものが本件の犯罪収益であるとして没収・追徴額を算定すべきであると主張しているところである(なお,検察官は,犯罪収益の算定にも関連して,令和元年11月21日,具体的な年月日,場所,相手方及び文言を十分に明らかにしないで非弁行為を行ったことを訴因として追加する旨の訴因変更請求に及んでいたところであるが,この訴因が不適法なものであることは当裁判所の令和2年2月26日付け決定のとおりである。)。 2 そこで検討すると,組織的犯罪処罰法による没収及び追徴は,一定の犯罪行為が認定された場合における附科刑であるから,当該犯罪事実による犯罪収益に係 - 15 -るものに限られるものと解される。 この点,検察官は,同一の業として行われる同様の行為について一罪を構成する場合,一罪を構成する同様の行為については,仮にそれが訴因に明記されていなくとも,潜在的には審判の対象となっていると評価することができ,一罪関係にある犯罪行為によって得た犯罪収益についても没収・追徴の対象になる旨主張する。しかしながら,一罪を構成するからといって,訴因に明記されていないものについて犯罪事実として認定することはできないし,仮に検察官が主張する「潜在的」なものとしても審判の対象になっているとみることはできない。 3 本件において,判示第1の1の犯罪事実に係る犯罪収益として証拠上明確に認定できるのは,判示第1の1に係る各顧客から別表1記載の番号1から3までの各預金口座及びその他の預金口座に入金された報酬(合計1491万3600円)である。 このうち,別表1の番号2及び番号3の各預金口座に入金された報酬のうち,各金額欄記載のもの(合計20万4127円)が,それぞれそれ 預金口座に入金された報酬(合計1491万3600円)である。 このうち,別表1の番号2及び番号3の各預金口座に入金された報酬のうち,各金額欄記載のもの(合計20万4127円)が,それぞれそれ以外の財産と混和して現に存するものと認められるから,まず,これらを没収することとした。 そして,別表1の番号1の預金口座については,平成30年7月17日時点における犯罪収益の中間最低残高16万3202円とその後の報酬の入金合計22万6800円(顧客有限会社D1取締役C1及び顧客株式会社D14代表取締役C7による支払)の合計39万0002円が没収の対象となり得るが,現存するのが証拠上明らかな16万3202円の限度で没収する。 そして,上記報酬合計1491万3600円から上記のとおり没収する別表1の番号2及び番号3に係る合計20万4127円並びに没収の対象となり得る別表1の番号1に係る上記39万0002円及び上記記載の債権のうち2859円を差し引いた1431万6612円は,すでに引き出されるなどして没収することができないから,これを追徴することとした。 (量刑の理由) - 16 -〔被告人両名に共通する事情について〕被告人両名は,多重の債務を負う経営者,事業主等の状況につけ込み,報酬等の利益を得ようとして,脱法的な手段を用いてでもその返済を免れさせようとする組織を主宰し,又はこの組織に関与する中で,判示第1の1の犯行にいわば常習的に及んでいたものであって,弁護士制度の秩序を大きく揺るがすものである。 そして,被告人両名は,この犯行に及ぶ中で,判示第1の2から4までの各犯行に及んだものである。このうち,法定の滞納処分の執行,強制執行等による公正な手続を害するものであり,処分等に及んだ財産の価額も2000万円を超え,多額に 行に及ぶ中で,判示第1の2から4までの各犯行に及んだものである。このうち,法定の滞納処分の執行,強制執行等による公正な手続を害するものであり,処分等に及んだ財産の価額も2000万円を超え,多額に上っている。これらの犯行は,いわゆる第二会社を設立して財産を移転させる方策を用いるなど,巧妙なものである。また,第1の4の犯行は,破産手続を踏みにじり,公正・公平な財産の分配の秩序を著しく害するものといえる。 被告人両名は,独善的な考え方のもとに事業再生と称してこれらの行為に及んでいたものであるが,法秩序を無視し,公正な手続を妨害する一方,自らは多額の報酬を得ており,結局は顧客を困窮させてもいたものであって,このような行動は,正当な経済活動を阻害しながら不正の利益を享受するという点でも,強い非難に値する。 〔被告人A1について〕被告人A1は,上記に加え,判示第2の犯行に及んでいたところであって,この犯行において,法定の滞納処分の執行,強制執行等による公正な手続を害する結果になったことはもとより,正当な権利関係を公示すべき不動産登記簿の電磁ディスクに不実の登録をさせてこれを公示させたことは,登記制度の信用を害するものである。判示第2の一連の犯行において隠匿等に及んだ財産的価値も1000万円を超え,やはり多額に上っている。 このように,被告人A1が関与した各犯行の犯情はいずれも悪く,また,被 - 17 -告人A1は,他の共犯者に対して自らの考え方を伝えて実践させ,いずれの犯行においても中心的な役割を果たし,極めて多額の利益を得ており,弁護人の主張を踏まえても,経緯・動機に酌むべきものがあるとはいえない。 したがって,被告人A1について,前科はなく,被告人A1が事実を認めて反省し,その妻が今後の監督を約していることを考 り,弁護人の主張を踏まえても,経緯・動機に酌むべきものがあるとはいえない。 したがって,被告人A1について,前科はなく,被告人A1が事実を認めて反省し,その妻が今後の監督を約していることを考慮しても,主文の懲役刑は免れない。そして,不正の利益を得る目的で組織的に滞納処分や強制執行を免れるため多額の財産を隠ぺい,隠匿したことが経済的にも見合わないことを示すため,被告人A1が現に得,又は得ようとした利益を考慮し,主文の罰金刑も併科することとした。 〔被告人A2について〕被告人A2も,被告人A1のような役割とまではいえないものの,被告人A1の指示を受けて顧客との対応に当たるとともに,組織内での事務手続に関与し,共犯者に対する教示にも及ぶなど相応に重要な役割を果たし,被告人A1に次ぐ利益を得ていた。弁護人の主張を踏まえても,経緯・動機に酌むべきものがあるとはいえない。 したがって,被告人A2についても,相応の期間の懲役刑を科すべき事案であるが,前記の被告人A1との役割の相違に加え,これまでに前科がないこと,被告人A2が事実を認めて反省し,その弟が今後の支援を約していることを勘案して,今回に限り懲役刑の執行を猶予することとした。また,被告人A2が現に得,又は得ようとしていた利益を勘案し,主文の罰金刑も併科することとした。 (求刑被告人A1について懲役5年,罰金300万円,没収,追徴被告人A2について懲役2年6月,罰金150万円,没収,追徴)令和2年3月26日札幌地方裁判所刑事第1部裁判長裁判官島戸純 - 18 - 裁判官平手健太郎 裁判官宮原翔子 裁判長 裁判官島戸純 裁判官平手健太郎 裁判官宮原翔子
▼ クリックして全文を表示