主文 本件各上告を棄却する。 理由 被告人A及び同Bの弁護人新道弘康,同舟木誠一郎,同三ツ角直正並びに被告人Cの弁護人奥田貫介の各上告趣意のうち,判例違反をいう点は,所論引用の判例は事案を異にして本件に適切でなく,その余は,事実誤認,単なる法令違反の主張であり,被告人Dの弁護人加茂雅也の上告趣意のうち,判例違反をいう点は,所論引用の判例は事案を異にして本件に適切でなく,その余は,単なる法令違反の主張であって,いずれも刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお,所論にかんがみ,廃棄物の不法投棄の罪について職権で判断する。 1 原判決及びその是認する第1審判決の認定並びに記録によれば,本件の事実関係は,以下のとおりであると認められる。 (1) E株式会社(第1審相被告人)は,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成15年法律第93号による改正前のもの。以下「法」という。)に基づき,「し尿浄化槽汚泥,ビルピット汚泥(ただし,し尿を含むものに限る。)」についての一般廃棄物収集運搬業の許可及び「汚泥(有機性に限る)。積替え保管を含む。」等についての産業廃棄物収集運搬業の許可を受けた業者である。 (2) Eは,福岡市庁舎の平成14年6月と12月に行われる2回の庁舎内汚水槽及び雑排水槽からの汚泥の収集,槽内清掃作業を入札により受注した。作業内容は,庁舎内の汚水槽7箇所と雑排水槽18箇所から汚泥を収集して清掃し,庁舎内の水洗トイレからのし尿を含む排水の流れ込む「汚水槽」の汚泥は「一般廃棄物」として一般廃棄物用のバキュームカー(以下「汚水車」という。)で収集してし尿処理施設である福岡市中部中継所(以下「本件施設」という。)へ,庁舎内の雑排水の流れ込む「雑排水槽」の汚泥は「産業廃棄物」として産業廃棄物用の のバキュームカー(以下「汚水車」という。)で収集してし尿処理施設である福岡市中部中継所(以下「本件施設」という。)へ,庁舎内の雑排水の流れ込む「雑排水槽」の汚泥は「産業廃棄物」として産業廃棄物用のバキュー- 1 -ムカー(以下「産廃車」という。)で収集して中間処理業者へそれぞれ搬入するというものであり,後者の汚泥については,上記中間処理業者による焼却等の中間処理を経た後,その委託する処理センターにおいて最終処分(コンクリート固化等)することとされていた。 (3) Eは,上記2回の作業の際,いずれも,収集の段階から「汚水車」,「産廃車」の区別なく,汚水槽の一般廃棄物たるし尿を含む汚泥と雑排水槽の産業廃棄物たる汚泥とを混合して収集し,その混合物の大半(1回目が約16.86t,2回目が約17.53t)を一般廃棄物たるし尿を含む汚泥として本件施設へ搬入し,残余の混合物を産業廃棄物たる汚泥として上記中間処理業者へ搬入した。 なお,本件施設では,搬入に際し,職員の立会いによる収集運搬業者の搬入物の確認等の手続はとられていないが,収集運搬業者は,運搬に使用する車両ごとに付与されたIDカードを読み取り機械に差し入れることにより識別された後,投入棟の受入口からし尿等を投入し,その後,自動的に計量された搬入量等が印字されたレシートを受け取るという仕組みとなっている。受入口から投入されたし尿等は,本件施設内において破砕され,きょう雑物が除去されるなどの処理を経た上で,福岡市の下水道処理施設でもある中部水処理センターに配管を通じて圧送され,同所で最終的に処理することとされている。 (4) 上記2回にわたる本件施設への搬入行為が,本件で廃棄物をみだりに捨てた行為として起訴されたものである。 2 【要旨】以上の事実関係によれば,Eの従業員は,一般廃棄物以外 こととされている。 (4) 上記2回にわたる本件施設への搬入行為が,本件で廃棄物をみだりに捨てた行為として起訴されたものである。 2 【要旨】以上の事実関係によれば,Eの従業員は,一般廃棄物以外の廃棄物の搬入が許されていない本件施設へ一般廃棄物たるし尿を含む汚泥を搬入するように装い,一般廃棄物たる汚泥と産業廃棄物たる汚泥を混合させた廃棄物を上記受入口から投入したものであるから,その混合物全量について,法16条にいう「みだりに廃棄物を捨て」る行為を行ったものと認められ,不法投棄罪が成立するという- 2 -べきである。そうすると,被告人らに対し不法投棄罪の成立を認めた原判断は,正当として是認することができる。 よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官藤田宙靖裁判官濱田邦夫裁判官上田豊三裁判官堀籠幸男)- 3 -
▼ クリックして全文を表示