平成13(ネ)999 東浦町団体交渉拒否

裁判年月日・裁判所
平成15年2月26日 名古屋高等裁判所 棄却 名古屋地方裁判所
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判決文本文11,966 文字)

主文 1 本件控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求める裁判 1 控訴人ら(1) 原判決を取り消す。 (2) 被控訴人は,控訴人Aに対し,金100万円及びこれに対する平成12年8月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 被控訴人は,控訴人Bに対し,金100万円及びこれに対する平成12年8月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (4) 訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。 (5) 仮執行の宣言 2 被控訴人主文と同旨第2 事実関係 1 事実関係は,次のとおり補正し,当審における控訴人らの主張を付加するほか,原判決の「事実及び理由」欄の第2記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決3頁7行目から9行目までを次のとおり改める。 「本件の主たる争点は,本件拒否の違法性であり,その前提として,法55条1項が団体交渉を制限することができるか,できるとすれば違憲ではないか,合憲であるとすれば,控訴人らの団体交渉権がC校長に及ぶか否かである。」(2) 同3頁11行目から同14行目までを次のとおり改める。 「ア控訴人Aは,前示1(1)アのとおり,法第9節職員団体の項に定める職員団体であり,その旨の登録をしているところ,職員団体である以上登録の有無を問わず,地方公共団体の当局は,控訴人Aから勤務条件等について適法な交渉の申入れがあった場合は,その申入れに応じなければならない義務がある。」(3) 同3頁17行目の「法55条1項所定の」を「法55条4項所定の」と改める。 2 当審における控訴人らの主張(1) 地方公共団体の当局は,以下のとおり,未登録職員団体であっても,その当局における勤務条件等について団体交渉の申入れがあった場 「法55条4項所定の」と改める。 2 当審における控訴人らの主張(1) 地方公共団体の当局は,以下のとおり,未登録職員団体であっても,その当局における勤務条件等について団体交渉の申入れがあった場合には,地方公務員法(以下「法」という。)55条1項に基づき,これに応じなければならない義務があり,これを拒否して団体交渉を制限することは,ILO87号条約,憲法28条に反するものである。 ア法55条の交渉にかかわる項目が置かれているのは,地方公務員の権利を制限するための地方公務員法であっても,憲法28条までは制限することができない。 地方公務員も勤労者であり,法55条は勤労者である地方公務員の交渉権を保障しているものであり,その権利は最大限に認められなければならない。 勤務条件の違法性を改善するための交渉であれば,直接に勤務条件を管理,決定できる当局との間で行わなければ,その機能を発揮できない。 イ控訴人Bの勤務条件にかかわる条例,規則を定めているのは,県,県教委,県人事委員会であるが,その定められた条例,規則を具体的に勤務条件として適法に管理し,決定するのは,現場の校長である。 本件では,すでに,決定されている勤務条件が,現場で,条例,規則,その他が遵守されていない違法状態が放置されている現実を改善するための交渉要求である。 ウ正常な労使関係の確立をいうならば,登録団体以外の組織,個人であっても,直接,勤務条件を適法に管理し,決定できる当局であれば,交渉に応ずべきである。 法55条1項は登録団体以外の交渉を禁じているものではない。法55条1項は,「地方公共団体の当局は,登録を受けた職員団体から適法な交渉の申入れがあった場合においては,その申入れに応ずべき地位に立つものとする」と規定している。このため未登録団体からの交渉申入れに対して は,「地方公共団体の当局は,登録を受けた職員団体から適法な交渉の申入れがあった場合においては,その申入れに応ずべき地位に立つものとする」と規定している。このため未登録団体からの交渉申入れに対しては,当局は交渉を拒否できると解しうる余地がある。しかし,法53条が,登録を受けるためには同一の地方公共団体の職員のみで組織した団体であることが必要である(法53条4項)など登録に厳しい要件を課しており,一方で登録を厳格に規制しながら,他方で未登録団体の団体交渉を拒否するのであれば,労働者の組織選択の自由は著しく制限される。 これは,組合活動の自由に対する国家の不介入を保障したILO87号条約に明らかに違反する。地方公共団体は登録の有無によって職員団体の交渉上の地位に差別を設けることはできない。 憲法15条2項は,公務員の基本的人権まで制限しているものではなく,違法な勤務条件が存在する場合,正常な勤務条件の管理,維持,及び正常な労使関係の確立のため,校長は進んで交渉に応ずるべきである。 エ校長の当局性について一時期,西部中C校長は,自ら校長が当局であることを認めていた。 日常的な控訴人Bの勤務条件は校長によって決定されている。例えば,年次休暇の承認(労基法39条,職員の勤務時間,休日,休暇等に関する条例10条),家族休暇の承認(職員の勤務時間,休日,休暇等に関する条例12条),研修権の侵害(教特法20条),時間外勤務による違法な勤務時間の割り振り変更等(職員の勤務時間,休日,休暇等に関する条例3条)である。 愛知県人事委員会と交渉を行っても,交渉事項が日ごとの勤務条件であり,当局性が校長にある場合,交渉事項の1つ1つを人事委員会との交渉に委ねることは不可能であり,校長がその時点,時点で決定している以上,校長と交渉を行うのが最も合理的であり 項が日ごとの勤務条件であり,当局性が校長にある場合,交渉事項の1つ1つを人事委員会との交渉に委ねることは不可能であり,校長がその時点,時点で決定している以上,校長と交渉を行うのが最も合理的であり,正常な勤務への改善,及び正常な労使関係の確立に効果的である。 愛知県教育委員会は,控訴人Aの東浦町立西部中学校長に申入れた交渉項目については,校長の当局性を認めている。 教育公務員の勤務条件が県の条例,県教育委員会規則のもとに決定され,維持される法体系であることから,その当該団体の民主性公共性を確認するための「登録制度」については,控訴人Aは県人事委員会に登録すれば十分足りるものである。 県教委が日常的にいうように勤務条件が条例主義を採っているとすればなおさらのことである。 オ公務員といえども憲法28条の労働基本権の権利主体としての労働者であることは承認されている。公務員の勤務上の地位を考える場合,労働基本権保障を重視した考え方が必要であり,地公法が職員団体の団体交渉を承認する規定を置く以上,とりわけ争議行為は禁止されている法37条のもとにあっては,「団体交渉こそ最大限に尊重されるべき」こととなる。したがって,団体交渉権を認めた法55条の規定は,団体交渉権を承認した規定と解すべきである。 非現業地方公務員の実際の勤務関係における使用者は地方公共団体の長(当局)であり,住民が直接その立場にたっていないのが現実である。非現業地方公務員は,住民によって直接その採用ないし解雇がなされるという関係に立たされているのではなく,住民全体の信託に基づいて行政を担当する地方公共団体の長が行政を実施するために地方公共団体に採用する関係のもとに置かれている。地方公共団体の長は非現業地方公務員の労働力の処分管理上のすべての権限と責任をもつ使用者と位置づけられる 当する地方公共団体の長が行政を実施するために地方公共団体に採用する関係のもとに置かれている。地方公共団体の長は非現業地方公務員の労働力の処分管理上のすべての権限と責任をもつ使用者と位置づけられる。よって,地方公務員の採用,解雇にいたるまでの労務を管理し,指揮命令し,使用するのはあくまで地方公共団体の長であり,住民全体は真の使用者として立ちあらわれてこない。 本法上,未登録職員団体の団体交渉については何らの規定も置かれていないので,未登録職員団体の団体交渉の申入れに応ずるかどうかの自由裁量権を当局側に一方的に与えることになり,このことは他方で登録要件として構成員の範囲を同一地方公共団体の職員のみに限定するという厳しい絞りをかけていることに照らし,自主組合の運営の自由に対し,重大な制限を加えたものであって,ILO87号2,3,8条に違反する。 団体交渉の主体である労働組合は,労働者が労働条件の維持,改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として自主的に組織することにより,内部統制力を持ち,統一意思を形成しうる団体であれば事足りるから,登録の有無は団体交渉権の主体性を左右するものではない。したがって,非登録団体からの団体交渉申入れについても,当局は積極的に団交に応ずべき義務を負っている。 そして,県費負担職員の勤務条件は都道府県の条例で定めるとしており(地教行法42条),県条例,教特法によれば,職員の勤務時間の割り振り,休暇の承認,研修の承認等が,校長の権限とされている。 校長が当局であることは明らかであり,控訴人Aは提出した交渉項目についてC校長と団体交渉をする権限を有し,同校長は交渉に応じなければならないのである。 カ法55条は団体交渉権を認め,その目的は,労働者の労働条件を人たるに値する生活を営むための必要を充たすため ついてC校長と団体交渉をする権限を有し,同校長は交渉に応じなければならないのである。 カ法55条は団体交渉権を認め,その目的は,労働者の労働条件を人たるに値する生活を営むための必要を充たすために労働条件の維持,改善を求め,使用者と交渉することにある。したがって,法55条によって,みだりに団体交渉に制限を加えることは許されず,登録をした地方公共団体にのみ当局性を限るのは無理がある。 本件の実際の使用者(当局)は,C校長であり,勤務条件の中核をなす勤務条例,規則,給与等に関するものは愛知県教育委員会が当局にあたるのであって,被控訴人は空洞化し,登録した地方公共団体にのみ交渉相手を制限した場合には,団体交渉の目的は霧散してしまう。 非登録団体も団体交渉権を有すると解さないと,労基法2条及び労組法を適用除外にし,新たに法55条を設けた意味がない。 キ登録していない職員団体との交渉を拒否すること自体,団結の自主性を保障した憲法28条に違反する。団体交渉の主体としての労働組合は,労働者が労働条件の維持,改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として自主的に組織することにより,内部統制力を持ち,統一意思を形成しうる団体であれば事足りるわけであり,登録の有無は団体交渉権の主体性を左右する事柄ではない。 したがって,非登録団体からの団交申入れについても,当局は積極的に団交に応ずべき義務を負っている。 法55条1項は,交渉当事者を限定したものではなく,登録団体に対して,当局は当然交渉応諾義務があることを注意的に規定したにすぎない。 (2) 仮に,控訴人AとC校長との交渉について,法55条1項の適用がないとしても,次のとおり,同校長は控訴人Aの職員の給与,勤務時間その他勤務条件及びこれらに付帯する社交的又は厚生的活動を含む適法な活動にかかる 控訴人AとC校長との交渉について,法55条1項の適用がないとしても,次のとおり,同校長は控訴人Aの職員の給与,勤務時間その他勤務条件及びこれらに付帯する社交的又は厚生的活動を含む適法な活動にかかる事項に関する交渉の申入れに対し応ずべき義務がある。 ア法55条2項ないし10項は,職員団体と地方公共団体の当局との交渉に関する定めであるが,これらは登録職員団体と未登録職員団体との交渉を通じて適用される。したがって,これらの定めは未登録職員団体が地方公共団体の当局に対して交渉する権利を有することを前提としている。 ところが,法55条1項の定めと対比して未登録職員団体の交渉についてはその権利性を認めず,当局が交渉に応ずるか否かについて裁量権を有すると,未登録職員団体は地方公共団体の当局に対して権利として交渉を申入れることはできないこととなる。このような解釈は,法55条2項ないし10項が登録職員団体と未登録職員団体を通じて地方公共団体の当局との交渉について詳細に定めている法意に反する。 法55条1項は,人事委員会もしくは公平委員会の登録によって当該職員団体が民主的な組織及び運営原則が公証されているので,地方公共団体の当局が交渉に応ずべき地位にあることを確認したものであって,それ以上の意味はない。 イしたがって,未登録職員団体から地方公共団体の当局に対して交渉が申入れられたとき当該地方公共団体の当局は交渉に応ずべき義務がある。 仮に,地方公共団体の当局が交渉を拒否するときには,その正当理由を主張,立証しなければならない。 未登録職員団体であることは,法55条1項の法意から正当理由として拒否できる理由とはならず,本件において,C校長の交渉拒否の理由は控訴人Aが登録職員団体ではないという理由であるから,交渉拒否の正当な理由とはならない。 ウ仮に, 55条1項の法意から正当理由として拒否できる理由とはならず,本件において,C校長の交渉拒否の理由は控訴人Aが登録職員団体ではないという理由であるから,交渉拒否の正当な理由とはならない。 ウ仮に,地方公務員の当局に一定の裁量権が認められていると解されるとしても,交渉を拒否される未登録職員団体の不利益は大きいのであるから,当該地方公共団体の当局は少なくとも予め裁量の基準を明示すべきである(行政手続法12条参照)ところ,本件においてC校長は予め交渉を拒否する裁量の基準を明示しないまま控訴人Aの交渉を拒否したから違法である。 3 当審における被控訴人の主張(1) 控訴人らは,法55条1項に定める職員団体は,当該地方公共団体の登録を受けた職員団体に限らないとするが,教育公務員特例法21条の5は,「一の都道府県内の公立学校の職員のみをもって組織する地方公務員法52条1項に規定する職員団体(当該都道府県内の一の地方公共団体の公立学校の職員のみをもって組織するものを除く。)」について,都道府県の人事委員会に登録できる旨を定めている。この条項は,法53条4項の特例をなすものであって,本来,市町村の職員については,前条にもとづいて職員団体を結成し,当該市町村の人事委員会ないしは公平委員会に登録することにより当該市町村の当局との間で勤務条件等について法55条1項に基づく交渉をなすべき地位を得ることとなるが,県費負担教職員については,勤務条件等が都道府県の条例で定められていることに対応し,このような都道府県の条例で定められている勤務条件等に関して,都道府県教育委員会に対し,登録職員団体としての地位を特例として認めようとしたところにある。ところが,控訴人らの主張によれば,いずれかの地方公共団体の人事委員会ないしは公平委員会に登録された職員団体でありさえすれば に対し,登録職員団体としての地位を特例として認めようとしたところにある。ところが,控訴人らの主張によれば,いずれかの地方公共団体の人事委員会ないしは公平委員会に登録された職員団体でありさえすれば,いずれの地方公共団体に対しても,法55条1項に定める登録された職員団体に該当することになることを意味することとなり,上記特例法の趣旨が理解できなくなる。 (2) 法は,53条4項本文において,登録職員団体の資格につき,「職員団体が登録される資格を有し,及び引き続き登録されているためには,当該職員団体が同一の地方公共団体に属する前条第五項に規定する職員以外の職員のみをもって組織されていることを必要とする。」と定めているが,法53条4項と教育公務員特例法の条項とを整合的に解釈するためには,法53条ないし55条は,職員の勤務条件等が個々の地方公共団体ごとに条例で定められることとされていることに対応し,法は,その地方公共団体の職員のみで組織されている職員団体を,当該地方公共団体の職員団体交渉の相手方として定めたものと解さなければならない。 そして,教育公務員特例法に定める特例に基づいて都道府県人事委員会の登録団体となった職員団体は,都道府県の条例で定められる勤務条件に関しては,都道府県教育委員会に対して,法55条1項における登録職員団体としての地位が認められるが,市町村教育委員会との関係においては,非登録団体として扱われるのであって,上記教育公務員特例法21条の5に基づいて愛知県人事委員会に登録された職員団体である控訴人Aは,東浦町立西部中学校の校長であるC校長との関係では,法55条1項の職員団体に該当しないのである。 また,控訴人Aは,被控訴人の公平委員会に登録した職員団体でもなく,被控訴人との関係においては,未登録職員団体でもないのである。けだ 校長との関係では,法55条1項の職員団体に該当しないのである。 また,控訴人Aは,被控訴人の公平委員会に登録した職員団体でもなく,被控訴人との関係においては,未登録職員団体でもないのである。けだし,当該地方公共団体の職員団体としての実体を有する団体と認められるためには,少なくとも,当該地方公共団体の職員2人以上によって組織される必要があるからである。 仮に,これを別論としても,職員団体として認められるためには,その職員団体が,当該地方公共団体の職員のみで組織されているか,あるいは,仮に非職員が加入している場合には,その加入非職員が,当該地方公共団体の職員の自主的な団体として,その主体性を害する程度に達していないことが必要とされているところ,控訴人Aは,被控訴人に属する職員は控訴人B1人しか加入しておらず,その余の構成員は全て他の地方公共団体の職員であるから,被控訴人との関係においては,職員団体ですらない。 (3) C校長その他東浦町教育委員会担当者は,控訴人らに対し,一貫して,法55条に基づく交渉としては受けられないが,法55条1項に基づかない話し合いであれば受ける旨明言し続けており,本訴においてもこれを望んでいる旨表明している。 この話し合いは,法55条1項に基づかない,いわゆる非登録団体との交渉の実質を有するものである。 このような場合には,行政手続法12条の違反にもあたらない。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,控訴人らの請求はいずれも理由がないものと判断するが,その理由は,次のとおり補正し,下記2のとおり,当審における控訴人らの主張に対する判断を付加するほか,原判決「事実及び理由」欄の第3記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決9頁13行目と14行目の間に次のとおり付加する。 「 控訴人らは,上記のとおり 主張に対する判断を付加するほか,原判決「事実及び理由」欄の第3記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決9頁13行目と14行目の間に次のとおり付加する。 「 控訴人らは,上記のとおり,交渉の結果を地方公共団体の議会に反映させていくために登録制度があるとすると,被控訴人の公立学校の職員で構成された職員団体は,勤務条件の決定の根拠となる条例,規則が愛知県段階で定められているため,県人事委員会に登録し,県教育委員会と交渉しなければならなくなり,その職員団体は,東浦町とも,当該学校の校長とも交渉をもつことができなくなる旨主張する。 しかしながら,その交渉の相手方である当局は,交渉事項について,これを適法に決定し管理する権限を有する者であるところ,個々の交渉事項によって当局は異なるが,県知事,県教育委員会等を当局として交渉することになるのは,当該交渉事項が県段階で定められるものである以上,上記の登録制度の趣旨から当然のことである。また,個々の交渉事項について,被控訴人や当該校長の当局性が認められる場合には,被控訴人の公平委員会に職員団体として登録されていれば,当局には交渉応諾義務があるから,問題はないと考えられるので,控訴人らの主張は採用できない。」(2) 同10頁20行目の「こと,あるいは,(c)被告と愛知県との事務委託に基づき,」から同24行目の「資格を有する」までを削除する。 (3) 同11頁4行目から7行目までを削除する。 (4) 同11頁3行目と4行目の間に次のとおり付加する。 「 控訴人らは,教育公務員特例法21条の5によれば,1つの都道府県の公立学校の職員のみでない組織は登録できないと解されるが,控訴人Aの場合は,これに該当し,また,県内の1つの地方公共団体の公立学校の職員のみをもって組織するものも,県条例,規則によ 1つの都道府県の公立学校の職員のみでない組織は登録できないと解されるが,控訴人Aの場合は,これに該当し,また,県内の1つの地方公共団体の公立学校の職員のみをもって組織するものも,県条例,規則によって勤務条件が定められているのに,県に登録できないこととなり,被控訴人の言う交渉の目的が達せられなくなる旨主張する。 しかしながら,前者の場合には,被控訴人Aの組織のうち,新たに1つの地方公共団体の公立学校の職員のみで組織するものを職員団体として登録することができ,後者の場合には,県内の1つの地方公共団体の公立学校の職員と他の地方公共団体の公立学校の職員と連合した職員団体として登録することができるので,交渉の目的が達せられないことはないから,控訴人らの主張は採用できない。 また,控訴人らは,勤務時間の割り振りや勤務時間の明示,休憩の時間や位置,研修の取扱いというような交渉項目について,県人事委員会には当局性がないから,原判決が県人事委員会を当局として当該事項につき交渉すべきであると判示するのは不当である旨主張する。 しかしながら,控訴人ら主張の交渉事項がC校長の管理する権限事項であるとするなら,控訴人Aが被控訴人の公平委員会に登録されていない以上,控訴人Bが他の被控訴人の公立学校の職員とともに職員団体を組織して同委員会に登録すれば交渉の目的は達せられるのであるから,控訴人らの主張は採用できない。」 2 当審における控訴人らの主張に対する判断(1) 控訴人らは,未登録職員団体においても,法55条1項に基づき,地方公共団体の当局であるC校長は,控訴人Aから勤務条件等について適法な交渉の申入れがあったのであるから,その申入れに応じなければならない義務があり,これを否定して団体交渉権を制限する解釈はILO87号条約,憲法28条に反する旨主張する。 ら勤務条件等について適法な交渉の申入れがあったのであるから,その申入れに応じなければならない義務があり,これを否定して団体交渉権を制限する解釈はILO87号条約,憲法28条に反する旨主張する。 しかしながら,控訴人Aに対し,C校長が当局であるとしても,控訴人Aは,被控訴人の公平委員会に登録した職員団体ではないから,当局は交渉の申入れに応諾する義務はないというべきである。 すなわち,法53条の登録制度は,その地方公共団体の人事委員会又は公平委員会が当該職員団体の結成及び運営が自主的,民主的に行われるなど一定の要件に適合していることを確認し,公証する制度であるところ,当局が職員団体からの交渉申入れに対し,応諾義務があるのは,上記登録を受けた職員団体からの申入れであることは,法55条1項の条文上明らかであり,同条の反対解釈として登録を受けていない職員団体からの交渉申入れに対しては,当局は応諾義務がないものと解さざるを得ない。同条項の立法趣旨は,地方公務員は,地方公共団体の住民全体の奉仕者として,実質的にはこれに対して労務提供義務を負うという特殊な地位を有し,かつ,その労務の内容は,公務の遂行すなわち直接公共の利益のための活動の一環をなすという公共的性質を有するものであること,地方公務員の給与,勤務時間その他の勤務条件が,法律及び地方公共団体の議会の制定する条例によって定められ(法2条,24条6項),また,その給与が地方公共団体の税収等の財源によって賄われるところから,もっぱら当該地方公共団体における政治的,財政的,社会的その他諸般の合理的な配慮によって決定されるべきものであることから,私企業における労働者の場合のように団体交渉による労働条件の決定という方式が当然には妥当しないという地方公共団体の労使関係の特殊性にかんがみて,登録制度を によって決定されるべきものであることから,私企業における労働者の場合のように団体交渉による労働条件の決定という方式が当然には妥当しないという地方公共団体の労使関係の特殊性にかんがみて,登録制度を通じて地方公共団体の労使関係にふさわしい正常な交渉形態を確立しようとする点からも裏付けられ,その結果として,法55条の定める職員団体と地方公共団体の当局との交渉には団体協約を締結する権利を含まないものとされ(法55条2項),上記交渉拒否に対する不当労働行為制度による担保も存在しないとされているのである(法58条1項)。 この点,控訴人らは,地方公務員にも憲法28条の労働基本権の保障が及ぶので登録の有無によって団体交渉権を否定することはできない旨主張する。 法55条1項は,憲法28条に由来し,勤労者である地方公務員について団体交渉権を保障する趣旨と解されるものの,登録制度は,上記のとおり,職員団体が法に定められた要件を満たした民主的な団体であることを公証する手続であるから,そのような職員団体については積極的に交渉に応ずる義務を定めたものであり,職員団体と当局の交渉を効果的に運営し,労使関係の正常,安定を図るため,登録要件を具備した団体,すなわち,同一職員のみを構成員として自主的民主的に組織運営されている団体との交渉が相応しいとされているものであり,これに反して未登録職員団体に対しては上記のような公証がなされていないため,当局側に団体交渉応諾義務までは認めないとしたもので,団体交渉権の行使に関し,一定の制約が課せられることは否めないものの,上記の地方公務員の労使関係の特殊性にかんがみると,国民全体の共同利益のためにこれと調和するよう制約されても,やむを得ない最小限度の合理的制約と考えられ,法55条1項を上記のように解しても,憲法28条に反するも 員の労使関係の特殊性にかんがみると,国民全体の共同利益のためにこれと調和するよう制約されても,やむを得ない最小限度の合理的制約と考えられ,法55条1項を上記のように解しても,憲法28条に反するものとはいえない。 そして,法55条1項では,未登録職員団体に対して当局が交渉することを禁止している規定がなく,法55条2項以下の交渉手続に関する規定が未登録職員団体を除外していないことから,未登録職員団体が当局と交渉することを妨げないものと解され,一般的に可能な限り,当局は交渉に応ずることが望ましいことではある。しかしながら,上記のとおり,当局が未登録職員団体からの交渉の申入れに対し,当局がこれに応じるかどうかは,法的義務ではなく,当局の裁量の問題といわざるを得ない。 また,このように解しても,組合活動の自由に対する国家の不介入を保障したILO87号条約に反するものともいえない。 (2) 控訴人らは,控訴人AとC校長との交渉について,法55条1項の適用がないとしても,同校長は控訴人Aの職員の給与,勤務時間その他勤務条件及びこれらに付帯する社交的又は厚生的活動を含む適法な活動にかかる事項に関する交渉の申入れに対し応ずべき義務がある旨主張する。 しかしながら,控訴人Aは被控訴人の公平委員会に登録された職員団体でない以上,上記(1)に判示したとおり,C校長が控訴人ら主張の交渉事項について当局性を有し,交渉に応ずることが望ましいとしても,これに応ずるかどうかはその裁量に基づくものであるから,控訴人らの主張は採用できない。 (3) 本件において,C校長は,控訴人Aに対し,法55条1項に基づく職員団体交渉としてではなく,話し合いならば応ずるとして応対したところ,控訴人らは,C校長に交渉応諾義務があることを前提として,地方公務員法上の交渉にこだわり続けた 人Aに対し,法55条1項に基づく職員団体交渉としてではなく,話し合いならば応ずるとして応対したところ,控訴人らは,C校長に交渉応諾義務があることを前提として,地方公務員法上の交渉にこだわり続けたため,控訴人Aの申入れに応じなかったものであって,C校長の所為に何ら違法はない。 第4 結論以上のとおり,その余の点について判断するまでもなく,控訴人らの請求をいずれも棄却した原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから,これをいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する名古屋高等裁判所民事第2部裁判長裁判官熊田士朗裁判官川添利賢裁判官玉越義雄

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