【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人布施辰治同寺田四郎及び同斎藤俊平の上告趣意第一点について。 論旨は法令違反の主張であつて刑訴四〇五条所定の上告理
主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人布施辰治同寺田四郎及び同斎藤俊平の上告趣意第一点について。 論旨は法令違反の主張であつて刑訴四〇五条所定の上告理由にあたらない。なお本件は医師でない被告人が医業をしたかどうかという問題であつて、第一審判決判示によれば、被告人は「アトウン」の外に「ボフトニン」の皮下注射もして居るし、診断、薬物の塗布等もして居る。而もその期間は長期、回数も多く、患者の数も多いのであるから、たとえ右「アウトン」が有効無害であり、また被告人が営利を目的とせず特殊な希望者だけを対象として行つたとしても国民医療法八条一項にいわゆる医業をしたことにあたると見るべきである。従つてこの点に関する原判決は正当であつて法令違反は存しない。 同第二点について。 論旨前段は刑訴四〇五条所定の上告理由にあたらない。論旨後段は原判決が憲法二五条に違反すると主張するものである。しかし憲法二五条一項の法意は、国家は、国民一般に対して、概括的に、健康で文化的な最低限度の生活を営ましめる責務を負担し、これを国政上の任務とすべきであるとの趣旨であつて、この規定により、直接に個々の国民は、国家に対して具体的現実的にかかる権利を有するものでないことは当裁判所の判例とするところである(昭和二三年(れ)第二〇五号同年九月二九日大法廷判決参照)。従つて医師でない被告人が医業をした事実を認定し、これを有罪としたからといつて何等右憲法の規定に違反するものでないことは明らかであるから論旨後段の主張はその理由がない。 同第三点及び第四点について。 論旨はいずれも量刑不当の主張であるから刑訴四〇五条所定の上告理由にあたら- 1 -ない。 なお記録を調べても本件につき刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。 よつ び第四点について。 論旨はいずれも量刑不当の主張であるから刑訴四〇五条所定の上告理由にあたら- 1 -ない。 なお記録を調べても本件につき刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。 よつて刑訴四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。 昭和二九年八月二〇日最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官霜山精一裁判官栗山茂裁判官小谷勝重裁判官藤田八郎裁判官谷村唯一郎- 2 -
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