平成14(ろ)833 廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反被告

裁判年月日・裁判所
平成14年12月25日 東京簡易裁判所
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判決文本文3,121 文字)

平成14年12月25日宣告平成14年(ろ)第833号廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反被告事件(廃棄物であるか否かを決するに際し考慮すべき「占有の意思)」主文被告人両名を,それぞれ罰金50万円に処する。 被告人両名において,その罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間,その被告人を労役場に留置する。 理由 (罪となるべき事実)被告人両名は,共謀のうえ,平成14年3月22日午前3時30分ころ,東京都台東区所在の「A医院」前路上に,古布団約5枚,枕1個,電気カーペット1枚,鞄1個,衣類等在中の衣装ケース1個等約100キログラムの廃棄物をみだりに捨てたものである。 (弁護人の主張に対する判断) 弁護人の主張,,,,,①本件古布団枕電気カーペット衣類等は被告人らの認識によれば再利用可能な資源であって不用物ではない。また,被告人らは,これらの物品をホームレスに与えるため路上に置いたものであり,これらの物品をゴミ,廃品とは認識していなかった。したがって,本件古布団等は廃棄物。 ,,。 ではないまた被告人らはこれらの物をみだりに捨てたものでもない②被告人両名は,日本で勉強するため来日した真面目な韓国人留学生である。韓国では,一般市民が家庭で不用となった物を,街中に置かれた再生利用ボックスに入れて再利用を図る習慣があり,特に,被告人Bは,以前から何度も,自分が要らなくなった布団,衣類,靴などをホームレスに与えて喜ばれた経験があった。 被告人らは,今回も,これら物品をホームレスが取りやすいよう路上に,。 整理して積み上げておいたもので取り残されるとは思ってもいなかったまた,現場に残された物品は,通報を受けた清掃事務所の職員によって直ぐに片づけられ,大きな実害は発生しなかっ やすいよう路上に,。 整理して積み上げておいたもので取り残されるとは思ってもいなかったまた,現場に残された物品は,通報を受けた清掃事務所の職員によって直ぐに片づけられ,大きな実害は発生しなかった。 仮に,被告人両名の本件行為が廃棄物の不法投棄に当たるとしても,被,,,,告人らの年齢日頃の行状本件の動機行為態様とその結果を考えれば本件はあえて公訴を提起すべき事案ではなく,本件起訴には訴追裁量を逸脱した違法があり,公訴を棄却すべきである。 当裁判所の判断①ある物が廃棄物に当たるか否かを判断するに際し,占有者の意思を考慮する必要があることは,弁護人の指摘するとおりである。 しかし,占有者が再生利用し得ると認識していただけで,それが廃棄物でなくなるわけではないし,占有者の意思が,廃棄物であるか否かを決する動かし難い要件となるものでもない。占有者がゴミではないと思っただ,,,けで廃棄物でなくなるというのでは法的安定性は損なわれてしまうし「生活環境を清潔にすることにより,生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図る」という廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理,法」ともいう)の目的も達成されなくなる。 ある物が廃棄物に当たるか否かは,このような廃棄物処理法の目的に照らし,その物の性質と状態,取引価値の有無や通常の取引形態,排出の状況等に加え,占有者の意思を考慮して,個別具体的に決すべきであろう。 ②ところで,C清掃事務所長である証人Dの当公判廷における供述によれば,本件古布団5枚等が捨てられた「E商店街」はアーケードがある関係で,夜になると山谷地区のホームレスが多数集まる場所であることが認められる。被告人らが,これらの物品をホームレスに与えるため路上に置いたと主張するのを虚構の弁解とし排斥することはできな ドがある関係で,夜になると山谷地区のホームレスが多数集まる場所であることが認められる。被告人らが,これらの物品をホームレスに与えるため路上に置いたと主張するのを虚構の弁解とし排斥することはできない。 しかし,関係証拠によれば,本件は,被告人らが見ず知らずのFから部屋の掃除や不用物の処分を依頼されたことが発端となっていること,被告人らが捨てた古布団,枕,衣類,電気カーペット等の物品は,いずれも取,,,引価値はなく有償取引の対象とはならない物品であること被告人らはこれら物品をホームレスに手渡すような行動に出ていないこと,人の寝静まった午前3時30分頃,約100キログラムにも及ぶ多量の物品を商店街の路上に置き去りにしていることが明らかである。また,古布団,枕,衣類の入れてあった衣装ケースは粗大ゴミに分類される物品である。 目の前の道路上に古布団等の物品を置かれた付近住民の目から見ても,一般人の目から見ても,これらの物品は,生活環境の保全という見地からすれば,ゴミ以外の何物でもなく,例え再生利用が可能な物が含まれており,利用を希望して持ち去る者がいたとしても,これが廃棄物処理法にいうところの「廃棄物」に該当することは明らかである。 また,被告人らが,その主張するような理由,目的でこれら物品を道路上に置き去りにしたのだとしても,排出の場所や排出の状況をみる限り,被告人らの意思を知る手掛かりは,明示にせよ,黙示にせよ,何も示されておらず,それは被告人らの内心の動機に留まるものである。このような動機は廃棄物であるか否かを決する際に考慮すべき「占有者の意思」とは別個のものというほかない。 ③被告人らが「E商店街」に居住する住民ではないことに加え,上記認,定にかかる,排出の場所,時間等を考慮すれば,本件は,人目を避けて不用物を捨て去る行 者の意思」とは別個のものというほかない。 ③被告人らが「E商店街」に居住する住民ではないことに加え,上記認,定にかかる,排出の場所,時間等を考慮すれば,本件は,人目を避けて不用物を捨て去る行為と評価されてもいたしかたない行為であり,被告人らは廃棄物を「みだりに捨てた」ものと認定できる。 ④次に,弁護人は,本件公訴提起は,公訴権を濫用したものである旨主張する。しかし,被告人らが捨てた廃棄物の量から見れば,被告人らの行為が適法行為と境を接するような零細な反法行為であり,社会相当性からの逸脱の程度が軽微であったと評価することはできない。 もとより,検察官の訴追裁量権の逸脱が公訴の提起を無効ならしめる場合のあり得ることは否定できないにしても,それは例えば公訴の提起自体が職務犯罪を構成するような極限的な場合に限られるものというべきであるところ(最高裁判所昭和55年12月17日第1小法廷決定・刑集34巻7号672頁参照,記録を検討してみても,本件公訴の提起が検察官)の職務犯罪を構成するというような事情は全く認めることができない。 ⑤弁護人の主張はいずれも採用できない。 (法令の適用),,被告人両名の判示所為は廃棄物の処理及び清掃に関する法律25条第8号16条,刑法60条に該当するところ,所定刑中罰金刑を選択し,その所定金,,額の範囲内で被告人両名をそれぞれ罰金50万円に処し被告人両名においてその罰金を完納することができないときは,刑法18条により金5000円を1日に換算した期間,その被告人を労役場に留置する。訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項但書によりこれを被告人両名に負担させない。 よって,主文のとおり判決する。 平成14年12月25日東京簡易裁判所刑事第1室裁判官井上廣道 主文 条1項但書によりこれを被告人両名に負担させない。よって,主文のとおり判決する。 平成14年12月25日東京簡易裁判所刑事第1室裁判官井上廣道

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