令和5(ワ)2668

裁判年月日・裁判所
令和7年1月23日 大阪地方裁判所
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判決文本文26,113 文字)

令和7年1月23日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和5年(ワ)第2668号意匠権等侵害差止請求事件口頭弁論終結日令和6年11月21日判決 原告日本植生株式会社代表者代表取締役 訴訟代理人弁護士北島志保 被告ロンタイ株式会社 代表者代表取締役 訴訟代理人弁護士清水正憲訴訟復代理人弁理士岡崎博之補佐人弁理士山田卓二同大塚雅晴 同大西陽子 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は、別紙被告製品目録記載の土嚢袋を製造し、販売し、販売のために展示し、又は販売の申出をしてはならない。 2 被告は、別紙被告製品目録記載の土嚢袋を廃棄せよ。 第2 事案の概要 1 本判決における略称 (1) 被告製品:別紙被告製品目録記載の土嚢袋(2) 被告土嚢:被告製品(土嚢袋)に土砂が詰められた状態の土嚢(当該状態が土砂詰め時であるか土砂詰めから相当期間経過後の状態であるかを特定するものではない。)(3) 本件意匠(権)1:意匠登録第1531256号に係る意匠(権)。原告は、 本件意匠権1を株式会社テザックと共有している。 (4) 本件意匠(権)2:意匠登録第1531255号に係る意匠(権)。原告は、本件意匠権2を株式会社テザックと共有している。 (5) 本件特許(権):特許第6625327号に係る特許(権)。原告は、本件特許権を株式会社テザックと共有している。 (6) 本件明細書:本件特許に係る明細書(7) 本件発明 いる。 (5) 本件特許(権):特許第6625327号に係る特許(権)。原告は、本件特許権を株式会社テザックと共有している。 (6) 本件明細書:本件特許に係る明細書(7) 本件発明1・本件発明2:本件特許の特許請求の範囲の請求項1、同2の各発明(総称して「本件各発明」)(8) 原告製品1:大型植生土嚢製品。製品名「メガ・メデル」(9) 原告製品2:植生土嚢製品・製品名「メデルF」(甲21) (10) 本件訂正請求:本件特許に係る原告の令和6年1月30日付け訂正審判請求(訂正2024-390013)(11) 本件訂正審決:本件訂正請求を認める旨の審決(12) 本件訂正後各発明:本件訂正審決による訂正後の本件各発明(13) 乙3文献:特開2006-45889号公報(平成18年2月16日公開。 乙3)。乙3文献に記載の発明は、「乙3発明」(14) 乙32文献:特開2013-11075号公報(平成25年1月17日公開。乙32)。乙32文献に記載の発明は「乙32発明」(15) 乙33文献:特開平8-56479号公報(平成8年3月5日公開。乙33)。乙33文献に記載の発明は「乙33発明」 (16) 甲22文献:実願昭51-64289号(実開昭52-154004号) のマイクロフィルム(昭和52年11月22日公開。甲22)。甲22文献に記載の考案は「甲22考案」 2 原告の請求(1) 被告製品が本件意匠1又は本件意匠2と同一又は類似であるとする、意匠法37条1項に基づく被告製品の製造販売等の差止請求及び同条2項に基づく 被告製品の廃棄請求(2) 被告製品が本件特許の技術的範囲に属するとする、特許法100条1項に基づく被告製品の製造販売等の差止請求及び同条2項に基づく被告製品 の差止請求及び同条2項に基づく 被告製品の廃棄請求(2) 被告製品が本件特許の技術的範囲に属するとする、特許法100条1項に基づく被告製品の製造販売等の差止請求及び同条2項に基づく被告製品の廃棄請求 3 前提事実(争いのない事実及び証拠〔枝番を含む。〕により容易に認定できる事 実)(1) 当事者等ア原告原告は、環境緑化工事の設計施工等を目的とする株式会社である。 イ被告 被告は、理科学機械の製造、修理、販売等を目的とする株式会社である。 (2) 本件意匠権1の書誌的事項等(甲1の1、2の1)意匠に係る物品:土留め用植生土嚢登録番号:第1531256号出願日:平成27年1月22日 登録日:平成27年7月17日意匠の図面:別紙「本件意匠1(図面)」のとおり(3) 本件意匠権2の書誌的事項等(甲1の2、2の2)意匠に係る物品:土留め用植生土嚢登録番号:第1531255号 出願日:平成27年1月22日 登録日:平成27年7月17日意匠の図面:別紙「本件意匠2(図面)」のとおり(4) 本件特許権の書誌的事項(甲1の3、2の3)発明の名称:緑化土嚢袋、それを用いた緑化土嚢の形成方法並びに土留および緑化の方法 登録番号:第6625327号出願日:平成27年2月12日優先日:平成26年5月12日登録日:令和元年12月6日(5) 本件訂正審決 原告は、令和6年1月30日付けで、本件特許の特許請求の範囲(請求項1)の記載を訂正する旨の訂正審判の請求(本件訂正請求)をし、特許庁は、同年5月13日付けで上記請求を認める審決(本件訂正審決)をし、同審決は同月23日に確定した。(甲62、69、70) (請求項1)の記載を訂正する旨の訂正審判の請求(本件訂正請求)をし、特許庁は、同年5月13日付けで上記請求を認める審決(本件訂正審決)をし、同審決は同月23日に確定した。(甲62、69、70)(6) 本件訂正後各発明の構成要件の分説 本件訂正後各発明の構成要件は、次のとおり分説される(下線部が訂正部分であり、以下「構成要件A」などという。)。 ア訂正後の本件発明1A 植物が通芽可能な目合いを有し土砂を投入するのに必要な強度を備える袋用ネットを用いて形成された側面部と、円形または矩形の底部とを備 える袋本体、および、B 植物が通芽可能な目合いを有する基材ネットまたは基材ネットと植物の通芽が可能なシートからなり前記袋本体の内側面に沿うように配置させた基布の内側面に植物種子を分散保持させた植生シートを備えるとともに、 C 前記袋本体は吊り上げ用の吊りベルトを備え、 D 開口部から内部に土砂を投入することにより、前記開口部に対向する前記底部を下面として自立可能な土嚢を形成できるように構成され、E 前記植生シートは袋本体の開口縁部においてのみ、脱落可能に固定してあるF ことを特徴とする緑化土嚢袋。 イ訂正後の本件発明2G 前記植生シートは、植物種子の内側面を覆うように植物が通根可能な保護シートを固着してなるH 請求項1に記載の緑化土嚢袋。 (7) 原告による植生土嚢製品の販売及び新規性喪失の例外適用申請 ア原告は、本件特許の優先日(平成26年5月12日)前から、植生土嚢袋である原告製品2を製造、販売した。(甲21)原告は、遅くとも同月16日から大型植生土嚢袋である原告製品1を製造、販売した(なお、後述のとおり、製造販売開始日につき、当事者間に争いがある。 袋である原告製品2を製造、販売した。(甲21)原告は、遅くとも同月16日から大型植生土嚢袋である原告製品1を製造、販売した(なお、後述のとおり、製造販売開始日につき、当事者間に争いがある。)。 イ原告は、本件特許の出願の際、平成26年4月17日に、第50回国土環境緑化協会合同支部総会において原告製品1を公開したこと及び同月23日に、原告の自社ウェブサイトで原告製品1を公開したことの各事実につき、本件意匠1及び本件意匠2の出願の際、同年9月4日に、原告の自社サイトで原告製品1を公開した事実につき、いずれも新規性喪失の例外適用申請を した(甲39、40の1ないし4、乙10)。 (8) 被告製品の製造販売及び構成要件充足性ア被告は、遅くとも令和4年3月1日から、被告製品を製造販売している(甲6の1)。 イ被告製品の構成は、別紙「被告製品の構成(特許関係)」のとおりである。 被告製品は、本件訂正後各発明(及び本件各発明)の構成要件E以外の構 成要件を充足する。他方、被告製品の植生シートは「袋本体の開口縁部においてのみ」設けられておらず、構成要件Eを文言上充足しない。 (9) 原告による警告原告は、令和4年11月8日、被告に対し、被告製品の製造販売行為が本件意匠権1、本件意匠権2及び本件特許権を侵害するとして、上記行為の中止を 求めた(甲23、24)。 4 争点(1) 本件意匠権1に基づく請求についてア本件意匠1と被告土嚢が類似することにより被告製品の製造等が本件意匠権1を間接的に侵害するか(争点1-1・請求原因) イ本件意匠1に、原告製品1を公知意匠とする新規性違反又は創作容易性違反の無効理由があるか(争点1-2・抗弁)(2) 本件意匠権2に 匠権1を間接的に侵害するか(争点1-1・請求原因) イ本件意匠1に、原告製品1を公知意匠とする新規性違反又は創作容易性違反の無効理由があるか(争点1-2・抗弁)(2) 本件意匠権2に基づく請求についてア本件意匠2と被告土嚢が類似することにより被告製品の製造等が本件意匠権2を間接的に侵害するか(争点2-1・請求原因) イ本件意匠2に、原告製品1を公知意匠とする新規性違反又は創作容易性違反の無効理由があるか(争点2-2・抗弁)(3) 本件特許権に基づく請求についてア被告製品が本件訂正後各発明と均等なものであるか(争点3-1・請求原因) イ本件特許に次の無効理由があるか(争点3-2・抗弁)(ア) 原告製品1を公然実施発明とする新規性欠如(争点3-2-1)(イ) 乙3発明を主引例(副引例:乙32発明、乙33発明及び甲22考案)とする進歩性欠如(争点3-2-2)(ウ) 乙3発明を主引例(副引例:原告製品2)とする進歩性欠如(争点3 -2-3) (エ) サポート要件違反(争点3-2-4)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1-1(本件意匠1と被告土嚢が類似することにより被告製品の製造等が本件意匠権1を間接的に侵害するか)について【原告の主張】 (1) 本件意匠1及び被告土嚢の構成態様被告土嚢の構成は、被告製品に土砂が詰められた後、屋外に設置されて相当期間が経過した状態の構成で特定すべきである。また、本件意匠1の土嚢外側面の「草」とは、本件意匠1の意匠に係る物品が「土留め用植生土嚢」であって土嚢袋の内側の種子が発芽して土嚢の表面に自然物である草が生えて出て くることは物品の性状から当然であり、本件意匠1の創作者は、土嚢袋の内側から発芽した草が本件 が「土留め用植生土嚢」であって土嚢袋の内側の種子が発芽して土嚢の表面に自然物である草が生えて出て くることは物品の性状から当然であり、本件意匠1の創作者は、土嚢袋の内側から発芽した草が本件意匠1の草の外観を構成することを想定したと解されるから、自然物であると解すべきである。 本件意匠1と被告土嚢の各構成態様は、別紙「構成態様の主張一覧表(本件意匠1)」の「原告主張」欄の「本件意匠1」及び「被告土嚢」欄各記載のとお りである。 (2) 本件意匠1と被告土嚢は類似することア植生土嚢が施工時に配置される状況に照らせば、本件意匠1に係る物品の需要者は、本件意匠1を正面から視認する際に強い印象を受ける。また、本件意匠1の土嚢は、従来品より大型かつ立体的な形状であって、重機で吊り 上げて効率的に施工するためのベルトを備えているから、需要者は、吊りベルトの形状にも強い関心を有する。よって、本件意匠1の要部は、正面及び吊りベルトの構成(基本的構成態様の1C、1D及び具体的構成態様1E、1F、1H)である。 イ本件意匠1の「意匠に係る物品」は、「布状体を底面、網状体を外側面とす る袋体と、外側面を装飾する草とからなる土留め用の土嚢」である。他方、 被告土嚢は「土留め用の土嚢」であり、被告土嚢の製造に用いられる被告製品は「布状体を底面、網状体を外側面とする袋体」であり、被告土嚢を土留め用の工事に施工した後相当期間が経過すると、被告土嚢の外側面は草で装飾される。したがって、施工後相当期間が経過した状態の被告土嚢は本件意匠1の意匠に係る物品と同一である。 また、本件意匠1と被告土嚢は、要部を含む基本的構成態様のすべて及び具体的構成態様1E、1F、1Hにおいて共通し、具体的構成態様1G、1Iないし1Kに 匠1の意匠に係る物品と同一である。 また、本件意匠1と被告土嚢は、要部を含む基本的構成態様のすべて及び具体的構成態様1E、1F、1Hにおいて共通し、具体的構成態様1G、1Iないし1Kにおいて相違する。相違部分は、いずれも需要者に特に顕著な印象を与える部分ではなく、両意匠全体の強い共通点により形成される美観の共通性を凌駕するほどのものではない。 よって、本件意匠1と被告土嚢は類似する。 ウ間接侵害が成立すること被告土嚢は、「本件意匠又はこれに類似する意匠に係る物品」に当たり(意匠法2条2項1号)、被告製品は、被告土嚢の「製造にのみ用いる物品」(同法38条1号)に当たり、仮にこれに当たらないとしても被告土嚢の「製造 に用いる物品」であって本件意匠1「又はこれに類似する意匠の視覚を通じた美観の創出に不可欠なもの」(同条2号)に当たる。 加えて、上記のとおり、本件意匠1と被告土嚢が類似することに照らせば、被告が業として、被告製品を製造等する行為は、本件意匠権1を間接的に侵害する。 【被告の主張】(1) 本件意匠1及び被告土嚢の構成態様被告土嚢の構成は、被告製品内に土砂を詰めて、設置場所に敷設された土嚢の状態で特定すべきである。 本件意匠1の意匠登録公報の「意匠に係る物品の説明」欄の「外側面を装飾 する草」との記載や、同公報の図面の「笹の葉」を模した形状と自然に発芽し て生える草の形状は異なること、「装飾」とは「美しくよそおいかざること」であって人の作為を要することからすると、本件意匠1の植生土嚢の「外側面を装飾する草」とは、土嚢内部の種子から発芽し生えた「草」(自然物)ではない。 意匠法の保護対象は、工業的方法により量産可能な意匠であり、自然物が作り出した造形ではな 本件意匠1の植生土嚢の「外側面を装飾する草」とは、土嚢内部の種子から発芽し生えた「草」(自然物)ではない。 意匠法の保護対象は、工業的方法により量産可能な意匠であり、自然物が作り出した造形ではなく、「定型性」が必要であるから、原告の主張は、定型性のな い「自然物の一瞬の造形」を意匠法の保護対象とするものであり、相当でない。 本件意匠1と被告土嚢の各構成態様は、別紙「構成態様の主張一覧表(本件意匠1)」の「被告主張」欄の「本件意匠1」及び「被告土嚢」欄各記載のとおりである。 (2) 本件意匠1と被告土嚢が類似しないこと ア本件意匠1の意匠に係る物品は「土留め用植生土嚢」であり、意匠登録公報に「大型土嚢」との記載はないから、本件意匠1の植生土嚢には「人が抱えて運ぶことを想定した」大きさも含まれる。そうすると、本件意匠1と大型植生土嚢である被告製品は、物品が同一とはいえない。 イ被告製品に土砂を詰めて設置した状態の被告土嚢は、外側面に植物は発芽 しておらず、本件意匠1の形状等に類似することはない。 また、被告土嚢の外側面に植物が発芽した状態の構成を検討するとしても、本件意匠1と被告土嚢は類似しない。植生土嚢の需要者である植生土嚢の敷設工事の施工業者及び発注者は、法面に階段状に積まれて配置される植生土嚢の正面側(法面に対向する面とは反対側の面)及び左右側面の形状に注意 を惹かれやすい。また、本件意匠1の構成態様のうち、「草」の部分以外の構成態様(基本的構成態様1A′ないし1C′及び具体的構成態様1E′ないし1H′)は公知意匠にみられるありふれた構成である。そうすると、本件意匠1の要部は、「草」の部分(基本的構成態様1D′及び具体的構成態様1I′ないし1K′)といえるが、被告土嚢の外側面に植物が発芽した状態 )は公知意匠にみられるありふれた構成である。そうすると、本件意匠1の要部は、「草」の部分(基本的構成態様1D′及び具体的構成態様1I′ないし1K′)といえるが、被告土嚢の外側面に植物が発芽した状態の 構成は、本件意匠1の「草」の構成とは全く異なる。 ウよって、被告製品の製造等が本件意匠権1を間接的に侵害するものではない。 2 争点1-2(本件意匠1に、原告製品1を公知意匠とする新規性違反又は創作容易性違反の無効理由があるか)について【被告の主張】 仮に、被告土嚢の構成及び本件意匠1との類否について原告の主張を前提とすると、本件意匠1には新規性違反及び創作容易性違反の無効理由がある。 すなわち、平成26年9月6日付け山陽新聞には原告製品1が同年4月から販売されたとの記事が掲載されており、掲載内容や原告ウェブサイトで紹介された原告製品1の構成を踏まえると、本件意匠1の意匠登録出願日(平成27年1月 22日)前の時点において、原告製品1を用いた土嚢が本件意匠1の基本的構成態様1A′ないし1C′、及び具体的構成態様の1E′ないし1H′を備えていることは、公知であったといえる。また、原告の主張を前提とすると、原告製品1を用いた土嚢は、定型的にその表面にほぼ均一な密度で単子葉類の草が発芽し生長するとの製品性能を備え、その生長過程で必然的に、網状体の目合い1マス の大きさの約2~3倍程度の長さという構成態様1K′と同じ構成を備え、一瞬の自然の造形として、本件意匠1の基本的構成態様1D′、1I′ないし1K′を備えることとなる。そうすると、原告製品1を用いた土嚢は、本件意匠1の構成と同一又は少なくとも類似するから、本件意匠1の出願日前の時点で、本件意匠1の全ての構成が公知であったといえる。 【 備えることとなる。そうすると、原告製品1を用いた土嚢は、本件意匠1の構成と同一又は少なくとも類似するから、本件意匠1の出願日前の時点で、本件意匠1の全ての構成が公知であったといえる。 【原告の主張】原告製品1は、度々設計変更されており、本件意匠1の出願前に公開された原告製品1が本件意匠1の構成を備えているものではない。また、当該新聞記事には、原告製品1の設置後の外観に関する内容は掲載されておらず、同記事は、本件意匠1に係る新規性喪失の例外証明書記載の原告の自社ウェブサイトにおけ る公開日(平成26年9月4日)より後であるから、「公開の事実」と同一の事実 を再度公開したものにすぎず、新規性喪失の例外の効果が及ぶ。 3 争点2-1(本件意匠2と被告土嚢が類似することにより被告製品の製造等が本件意匠権2を間接的に侵害するか)について【原告の主張】(1) 本件意匠2及び被告製品の構成態様 各構成態様は、別紙「構成態様の主張一覧表(本件意匠2)」の「原告主張」欄の「本件意匠2」及び「被告土嚢」欄各記載のとおりである。 (2) 本件意匠2と被告土嚢が類似すること本件意匠2と被告土嚢が類似することは、構成態様1Aなどとあるのを、いずれも2Aなどと読み替えた上、前記1【原告の主張】に記載のとおりである。 (3) 間接侵害が成立すること前記1【原告の主張】と同様に、被告が業として、被告製品を製造等する行為は、本件意匠権2を間接的に侵害する。 【被告の主張】(1) 本件意匠2及び被告土嚢の構成態様 被告土嚢の構成をどのように特定するかについては、前記1【被告の主張】と同様である。 各構成態様は、別紙「構成態様の主張一覧表(本件意匠2)」の「被告主張」欄の「本件意匠2」及び 様 被告土嚢の構成をどのように特定するかについては、前記1【被告の主張】と同様である。 各構成態様は、別紙「構成態様の主張一覧表(本件意匠2)」の「被告主張」欄の「本件意匠2」及び「被告土嚢」欄各記載のとおりである。 (2) 本件意匠2と被告土嚢が類似しないこと 本件意匠2と被告土嚢が類似しないことは、構成態様1A′などとあるのを、いずれも2A′などと読み替えた上、前記1【被告の主張】に記載のとおりである。 (3) よって、被告製品の製造等が本件意匠権2を間接的に侵害するものではない。 4 争点2-2(本件意匠2に、原告製品1を公知意匠とする新規性違反又は創作 容易性違反の無効理由があるか)について 【被告の主張】上記2【被告の主張】と同様の理由(ただし、本件意匠1を本件意匠2と読み替える。)から、本件意匠2には、新規性欠如及び創作容易性欠如の無効理由がある。 【原告の主張】 上記2【原告の主張】と同様の理由(ただし、本件意匠1を本件意匠2と読み替える。)から、本件意匠2に無効理由はない。 5 争点3-1(被告製品が本件訂正後各発明と均等なものであるか)について【原告の主張】被告製品と本件訂正後各発明との相違点は、脱落可能に固定された植生シート の固定位置が「開口縁部のみ」であるか「開口縁部(横方向)」及び「縦方向」の一部であるかとの点であるが、次のとおり均等侵害の要件がいずれも認められるから、被告製品は、本件訂正後各発明の技術的範囲に属する。 (1) 第1要件本件明細書の記載によれば、本件訂正後各発明の作用効果は、土砂の投入時 に植生シートに過大な力がかかった結果、植生シートが袋本体から脱落し、植生シートの捩れや引っ張りによる皺等による変形 本件明細書の記載によれば、本件訂正後各発明の作用効果は、土砂の投入時 に植生シートに過大な力がかかった結果、植生シートが袋本体から脱落し、植生シートの捩れや引っ張りによる皺等による変形が生じにくくなることによって、袋本体が歪んで外観が悪くなることを防止する点にある。構成要件Eの構成のうち、①植生シートを袋本体に固定する構成は位置ズレ防止を実現し、②植生シートを脱落可能に固定する構成は、植生シートに過大な力がかかった ときに脱落することにより、土砂投入時の過大な力を吸収し、土砂袋本体内に均等に移動することを実現するので、いずれも上記作用効果を奏するための構成である。他方で、植生シートを袋本体の開口縁部「のみ」で固定するとの構成は、製造コストの削減のためのものにすぎない。 よって、植生シートの固定部分が開口縁部「のみ」であるか否かとの相違点 は、本件訂正後各発明の本質的特徴部分ではない。 (2) 第2要件被告製品は、上記(1)の本件訂正後各発明の作用効果を奏するための構成(上記①②)を備えている。また、被告製品の植生シートは、ホットメルト接着剤で固定されているが、その接着剤の引張強度(平均値。2.46kN/m)は、本件明細書の実施例記載の引張強度と同程度である。 よって、植生シートの固定位置の相違があるとしても、被告製品は、本件訂正後各発明と同一の作用効果を奏する。 (3) 第3要件構成要件Eに接した当業者であれば、本件特許の侵害を回避するため、植生シートの袋本体に対する固定位置を、構成要件Eの「袋本体の開口縁部」「の み」ならず、その隣接領域に少し広げることにより、被告製品にある開口縁部から底部に向かう縦方向の一部も固定するとの構成に変更することは容易に想到できる。 要件Eの「袋本体の開口縁部」「の み」ならず、その隣接領域に少し広げることにより、被告製品にある開口縁部から底部に向かう縦方向の一部も固定するとの構成に変更することは容易に想到できる。 (4) 第4要件被告製品が、本件各発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者が これから容易に推考できたものであるという事情は見当たらない。 (5) 第5要件本件特許の出願経過をみても、「植生シート」を袋本体の開口縁部において「のみ」ならず、袋本体の開口部から底部に向かう「縦方向部分」においても固定するとの構成が、本件各発明の権利範囲から意識的に除外されたといえる 事情はない。 【被告の主張】次のとおり、被告製品は、均等侵害の各要件をいずれも充足しない。 (1) 第1要件本件明細書及び本件特許の出願経過における拒絶理由通知に対する令和元 年5月8日付け意見書によれば、本件訂正後各発明の主たる技術的特徴は、「植 生シートは袋本体の開口縁部においてのみ.. 、脱落可能に固定してある」点にある。この構成を採用したことにより、「植生シートは袋本体の開口縁部からいわばぶら下がっているだけであるから、土砂の投入時に袋本体との位置ズレを防止すると共に、植生シートが礫に挟まれるなどして土砂と共に引きずり込まれて過大な力がかかるときには袋本体から脱落することにより、植生シートの 捩れや皺等による変形が生じにくく、袋本体が歪んで外観が悪くなることを防止できる」. という格別の作用効果が得られる。そして、構成要件Eの「脱落可能」とは、植生シートの捩れや皺等による変形が生じて、袋本体が歪まない状態になるように「脱落」し得ること、つまり、典型的には、植生シート全体が袋本体から外れる状態になることを特徴 成要件Eの「脱落可能」とは、植生シートの捩れや皺等による変形が生じて、袋本体が歪まない状態になるように「脱落」し得ること、つまり、典型的には、植生シート全体が袋本体から外れる状態になることを特徴とする。そうすると、上記相違点は、 本件訂正後各発明の本質的部分の相違である。 (2) 第2要件被告製品の植生シートは、袋本体の開口縁部に沿った上端部において横方向に、及び、植生シートの左右両端部において植生シートの上端部から植生シートのほぼ半分の深さまで縦方向に、ホットメルト接着剤によって袋本体に固定 してある。本件訂正後各発明は、土砂投入時に植生シートが容易に脱落して袋本体が歪んで外観が悪くなるのを防止することを作用効果とするものであるのに対し、被告製品は、土砂投入時、内側の不織布シート及び植生シートが破損・脱落しても、できるだけ多くの植生シート部分が取付位置に留まり、これにより土嚢正面のほぼ全面に均一な植物の生育を図られるようにするもので ある。そうすると、上記相違点に係る構成部分を被告製品の構成に置き換えたとしても、本件訂正後各発明の上記作用効果が生じることはない。 (3) 第3要件上記のとおり、本件訂正後各発明と被告製品の作用効果の相違に照らせば、当業者が、本件訂正後各発明の植生シートの固定位置を、土砂との接触等によ る植生シートの脱落防止を目的とする被告土嚢袋の構成に置き換えることは あり得ないことであり、被告製品の製造等の時点において容易に想到することなど不可能である。 (4) 第4要件本件特許の出願時において、土砂投入時に、土砂との摩擦等にかかわらず、不織布シート及び植生シートの出来るだけ多くの部分が脱落せずに袋本体の 内側面にそのまま残るようにするために、被告製品の構 本件特許の出願時において、土砂投入時に、土砂との摩擦等にかかわらず、不織布シート及び植生シートの出来るだけ多くの部分が脱落せずに袋本体の 内側面にそのまま残るようにするために、被告製品の構成、すなわち、植生シートを袋本体の開口縁部(上端部)のみならず、左右両端部中の植生シートの上端部から左右両端部のほぼ半分の深さまでの部分において縦方向に、ホットメルト接着剤によって袋本体に固定する構成は、公知技術と同一とまでは言えなくても、当業者であれば容易に推考できたものである。 (5) 第5要件本件特許の出願過程における平成30年10月2日提出の手続補正書において、出願人は、拒絶理由の解消のために、出願時請求項3の発明特定事項を出願時請求項1に加えてこれを減縮した補正を行っており、この補正内容に照らせば、袋本体に対する植生シートの固定箇所について、袋本体の開口縁部に おいてのみ固定する以外の構成を意識的に除外されたことは明らかである。 6 争点3-2-1(本件特許に原告製品1を公然実施発明とする新規性欠如の無効理由があるか)について【被告の主張】原告製品1は、本件訂正後各発明の実施品である。 平成26年9月6日付け山陽新聞及び同月9日付けメールマガジンには、原告製品の販売時期が同年4月であるとの記載があること、原告の自社ウェブサイト上で、同年4月23日に「平成26年度の新製品を発売しました!」とのタイトルの下で原告製品1の販売が発表されたことからすれば、原告製品1は、本件特許の優先日(平成26年5月12日)より前の遅くとも同年4月23日に市場で 販売され、本件訂正後発明の構成は公知となったといえる。仮に、上記優先日よ り前に原告製品1の受注の事実がなかったとしても、原告製品1のサンプ より前の遅くとも同年4月23日に市場で 販売され、本件訂正後発明の構成は公知となったといえる。仮に、上記優先日よ り前に原告製品1の受注の事実がなかったとしても、原告製品1のサンプルは提供されており、これを見た第三者は本件訂正後各発明の内容を容易に理解できたといえる。 また、原告が、製造及び出荷業務の委託先会社に対し、同月30日に原告製品1の製造の指示をし、同年5月2日に「植生シート」を発送したことからすれば、 上記優先日より前の時点で、原告製品1の製造体制は整っており、上記委託先会社に本件訂正後各発明の構成が開示され、公知であったといえる。 以上から、本件訂正後各発明には、原告製品1を公然実施品とする新規性欠如の無効理由がある。 【原告の主張】 原告製品1の製造開始日は、早くとも平成26年5月14日であり、原告製品1の出荷開始日は同月16日である。また、原告が、本件特許の優先日前に、本件訂正後発明の構成を第三者に開示した事実はない。なお、原告が、本件特許の優先日前に、製造出荷委託先会社に対して本件訂正後各発明の構成を開示したとしても、当該構成は営業秘密に当たり、同社は信義則上の守秘義務を負うところ、 このような守秘義務を負う者に対する開示をもって、本件訂正後各発明が実施されたとはいえない。 よって、原告製品1を公然実施品とする新規性欠如の無効理由はない。 7 争点3-2-2(本件特許に乙3発明を主引例(副引例:乙32発明、乙33発明及び甲22考案)とする進歩性欠如の無効理由があるか)について 【被告の主張】(1) 乙3発明乙3発明には次の構成が開示されている。 ア植物が通芽可能な目合いを有し土砂を投入するのに必要な強度を備える袋用ネットを用いて形成された袋本体 【被告の主張】(1) 乙3発明乙3発明には次の構成が開示されている。 ア植物が通芽可能な目合いを有し土砂を投入するのに必要な強度を備える袋用ネットを用いて形成された袋本体、および、 イ植物が通芽可能な基材からなり前記袋本体の内側面に沿うように配置さ せた基布の内側面に植物種子を分散保持させた植生シートを備えるとともに、ウ前記袋本体は吊り上げ用の吊りベルトを備え、エ内部に土砂を投入することにより自立可能な土嚢を形成できるように構成され、 オ前記植生シートは、脱落可能に固定してあるカことを特徴とする緑化土嚢袋及びキ前記植生シートは、植物種子の内側面を覆うように植物が通根可能な保護シートを固着してなる ク緑化土嚢袋(2) 本件訂正後各発明と乙3発明との相違点相違点は、次の2点である。 ア訂正後の本件発明1(構成要件B)では、植生シートの基材が「基材ネットまたは基材ネットと植物の通芽が可能なシート」で構成されているのに対 し、乙3発明の土嚢用袋では、基材が「薄い不織布」で構成されている点(相違点1)イ訂正後の本件発明1(構成要件E)では、植生シートは「袋本体の開口縁部においてのみ」固定されているのに対し、乙3発明では、植生シートを固定する場所が具体的に示されていない点(相違点2) (3) 容易想到性上記相違点1につき、乙32文献には、「植物の生育を妨げない程度の目合いサイズを有する」、「具体的には、縦・横8~25mmの目合いを有するネット」が使用される「ネット18」を「上部植生用紙16の上に」配置し、その下に種子21を保持した植生体20(乙32発明)が開示されている。また、 乙33文献には、「公知 mmの目合いを有するネット」が使用される「ネット18」を「上部植生用紙16の上に」配置し、その下に種子21を保持した植生体20(乙32発明)が開示されている。また、 乙33文献には、「公知の合成樹脂ネット」等からなる「最上部の被覆材2」の 下に、「微生物に分解される繊維からなるウェブ3」と、「水崩壊性あるいは分解性のホットメルト接着剤からなる被覆層7」を配置するとともに、ウェブ3と被覆層7との間に「少なくとも種子4、肥料5を含む植生材6」を配置した植生体1(乙33発明)が開示されている。これによると、乙32発明及び乙33発明の植生体の構成、すなわち、「植生シート」の基材として「基材ネット または基材ネットと植物の通芽が可能なシート」を用い、その下に植物種子を分散保持させる構成が開示されている。 上記相違点2につき、甲22文献には、「袋主体(1)(土嚢用袋)の内面」において、「不織布(a)」内に「芝生の種子(b)」が固定された「植生帯(2)」を、「袋主体(1)」の開口縁部においてのみ縫着して固定してなる「袋主体(1)」 の構成が開示されている。 そして、法面緑化分野において、「基材」となるネットまたはネットと植物の通芽が可能なシートの下に植物種子を分散保持させた植生シートは周知の植生材料であり、このようなネットを「基材」として用いた植生シートを、緑化目的をもって他の構成と組み合わせることは、当業者にとって日常的に行われ ることである。また、土嚢用袋の内側に配置する植生シートを開口縁部においてのみ固定する構成は公知である。 以上によれば、乙3発明の構成を有する植生土嚢袋に、乙32文献及び乙33文献に開示されたネットを基材として用いる構成(上記相違点1)、及び甲22文献に開示された植生シートを開口 成は公知である。 以上によれば、乙3発明の構成を有する植生土嚢袋に、乙32文献及び乙33文献に開示されたネットを基材として用いる構成(上記相違点1)、及び甲22文献に開示された植生シートを開口縁部においてのみ縫着して固定する 構成(上記相違点2)を適用することは、当業者において容易に想到することができる。 (4) よって、本件訂正後各発明には、進歩性欠如の無効理由がある。 【原告の主張】(1) 本件訂正後各発明と乙3発明との相違点 相違点は、被告主張の相違点のほか、次の3つの相違点がある。 ア本件訂正後各発明は、袋本体が「植物が通芽可能な目合いを有」する「袋用ネットを用いて形成された」(構成要件B)という構成を有するのに対し、乙3発明の袋本体のうち「植物が通芽可能な目合いを有」するのは「正面部」のみであり、その他は目の詰んだ通常の布地で形成されている点イ本件訂正後各発明は、「基布の内側面に植物種子を分散保持させた」とい う構成を有するのに対し、乙3発明の土嚢袋は、「基布の内側面に植物種子を分散保持させた」という構成を有するか否か不明である点ウ本件訂正後各発明は、植生シートを袋本体に「脱落可能に固定してある」という構成を有するのに対し、乙3発明の土嚢袋は、基材を袋本体に「脱落可能に固定してある」か否か不明である点 (2) 本件訂正後各発明の構成に至らないこと被告の主張する相違点1について、乙32文献と乙33文献には、構成要件Bの「基材ネット」は開示されているものの、「植生シート」の基材として「基材ネットと植物の通芽が可能なシート」を用いる構成が開示されているか否か不明であって、当該構成が当業者において周知であるとはいえない。 また、被告の主張する相違点2に相 」の基材として「基材ネットと植物の通芽が可能なシート」を用いる構成が開示されているか否か不明であって、当該構成が当業者において周知であるとはいえない。 また、被告の主張する相違点2に相当する構成は、甲22文献には開示されていない。 以上に加え、(1)に指摘の相違点に係る構成を開示する文献等も見当たらないから、乙3発明と乙32文献、乙33文献、甲22文献の組合せによっても、本件訂正後各発明の構成に至らない。 8 争点3-2-3(本件特許に乙3発明を主引例(副引例:原告製品2)とする進歩性欠如の無効理由があるか)について【被告の主張】(1) 乙3発明の内容及び本件訂正後各発明と乙3発明との相違点は、上記7【被告の主張】に記載のとおりである。 (2) 容易想到性 原告製品2の植生シートは、袋主体の内側面に沿うように配置され、ネット状に張り巡らされた、植物の通芽及び通根が可能な糸と紙のような物から成る(その内側面には植物種子が分散保持されている。)から、原告製品2は、植生シートの基材が「基材ネットまたは基材ネットと植物の通芽が可能なシート」、すなわち、上記相違点1の構成を備えている。また、原告製品2の植生シート は、「袋本体の開口縁部においてのみ」、両面テープのようなもので固定されているから、原告製品2は、「袋本体の開口縁部においてのみ」脱落可能に固定されている植生シート、すなわち、上記相違点2の構成を備えている。原告製品2は、本件特許出願の優先日前に公知であったから、当業者において、乙3発明に原告製品2の構成を組み合わせることは容易に想起し得ることができ、阻 害要因もない。 (3) よって、本件訂正後各発明には、進歩性欠如の無効理由がある。 【原告の主張】(1) 乙3 明に原告製品2の構成を組み合わせることは容易に想起し得ることができ、阻 害要因もない。 (3) よって、本件訂正後各発明には、進歩性欠如の無効理由がある。 【原告の主張】(1) 乙3発明の内容及び本件訂正後各発明と乙3発明との相違点に関する反論は、上記7【原告の主張】と同様である。 (2) 容易想到性原告製品2は、植生土嚢ではあるが本件明細書において従来技術として記載された小型の「自立不可」の土嚢であり、大型植生土嚢の発明である乙3発明や本件訂正後各発明とは技術分野を異にするから、組合せの動機付けがない。 よって、本件訂正後各発明には、乙3発明を主引例、原告製品2を副引例と する進歩性欠如の無効理由はない。 9 争点3-2-4(本件特許にサポート要件違反の無効理由があるか)について【被告の主張】本件訂正後各発明の技術的特徴である「前記植生シートは袋本体の開口縁部においてのみ、脱落可能に固定してある」ことによる作用効果は、土砂投入時に礫 などの偏りや挟み込みなどによって植生シートに過大な引っ張り力が作用した とき、例えば2kN/m以上の引張力が作用したときに、植生シートに裂け目が発生し、またはステープルが袋本体から外れることにより植生シートが袋本体から脱落し、これにより、植生シートの捩れや皺等による変形が生じにくく、袋本体が歪んで外観が悪くなることを防止できることにある。そうすると、本件訂正後各発明において、植生シートは、「土砂投入時に礫などの偏りや挟み込みなど によって植生シートに過大な引っ張り力が作用したときに脱落可能であること」が必要であって、例えば数十kN/m~数百kN/m以上の引っ張り力という、土砂投入時にはおよそ作用しえないほどの大きな引っ張り力が作用するような に過大な引っ張り力が作用したときに脱落可能であること」が必要であって、例えば数十kN/m~数百kN/m以上の引っ張り力という、土砂投入時にはおよそ作用しえないほどの大きな引っ張り力が作用するような特殊な条件下においてのみ植生シートが脱落可能であっては、上述した本件訂正後各発明の作用効果は得られるはずもない。また、一般論として、ある物が別の物 に何等かの手段によって固定されている場合、両者の間に固定強度以上の力が作用すれば固定が破壊される(つまり「脱落する」)ことは当然であって、単に「脱落可能に固定してある」との記載だけでは、本件訂正後各発明の課題を解決する手段の記載としてあまりにも不十分である。 以上によれば、本件特許の特許請求の範囲には、発明の詳細な説明に記載され た発明の課題を解決するための手段が反映されておらず、また発明の詳細な説明に記載した範囲を超えた発明が記載されているから、サポート要件違反の無効理由がある。 【原告の主張】本件明細書には、本件訂正後発明1が「前記植生シートは袋本体の開口縁部に おいてのみ、脱落可能に固定してある」(構成要件E)という構成を備えることによって、上記の作用効果を奏することが具体的な実施例と共に記載されているから、特許請求の範囲には、発明の詳細な説明に記載された発明の課題を解決するための手段が反映されている。 また、本件明細書には、「過大な引っ張り力(例えば2kN/m以上の引っ張り 力など)が掛かった状態」【0043】と明記されているため、本件特許明細書の 発明の詳細な説明に接した当業者であれば、「数十kN/m~数百kN/m以上の引っ張り力」によってのみ植生シートが脱落可能な場合は、本件特許発明1の「前記植生シートは袋本体の開口縁部においてのみ、脱落 発明の詳細な説明に接した当業者であれば、「数十kN/m~数百kN/m以上の引っ張り力」によってのみ植生シートが脱落可能な場合は、本件特許発明1の「前記植生シートは袋本体の開口縁部においてのみ、脱落可能に固定してある」(構成要件E)という構成を充足しないことを認識することができるから特許請求の範囲には、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えた発明が記載されている とはいえない。 第4 判断 1 判断の大要当裁判所は、争点1-1及び2-1につき、本件意匠1、2と被告土嚢は類似せず、また、争点3-1につき、被告土嚢は本件特許の技術的範囲に属さないこ とから、いずれの請求原因も認められないと判断する。抗弁(争点1-2、2-2、3-2)は判断を要しない。 2 争点1-1(本件意匠1と被告土嚢が類似することにより被告製品の製造等が本件意匠権1を間接的に侵害するか)について(1) 本件意匠1の構成態様 本件意匠1は、別紙「本件意匠1(図面)」のとおりであり、意匠登録公報の正面図には「草」を配置した形状が権利範囲(部分意匠の実線)として記載されている。ここで、「草」の意義については、本件意匠1の意匠に係る物品が「土留め用土嚢」であること、意匠登録公報には「草」とのみ記載されていることからすれば、自然物である草が除外されるとはいえない。もっとも、意匠 は、工業上利用できる意匠でなければならず、工業用生産手段を用いて技術的に同一のものを大量に生産できる意匠であることから、一定の定型性、再現可能性を有することが必要である。この理は、自然物を利用した意匠であっても変わらないと解すべきであるから、権利範囲に含まれる「草」の形状も、一定の定型性、再現可能性を有する構成態様として特定すべきである。 以上から、基本 の理は、自然物を利用した意匠であっても変わらないと解すべきであるから、権利範囲に含まれる「草」の形状も、一定の定型性、再現可能性を有する構成態様として特定すべきである。 以上から、基本的構成態様及び具体的構成態様は、別紙「裁判所の認定(意 匠)」の「本件意匠1関係」の「本件意匠1」欄記載のとおり特定される。 (2) 被告土嚢の構成について被告土嚢の構成について、原告は、被告製品に土砂が詰められた後、屋外に設置されて相当期間が経過した状態の構成により特定すべきであるとするのに対し、被告は、土砂を詰めて設置された時点の状態の構成により特定すべき である旨主張するところ、いずれも被告製品の通常の使用形態を前提とするものである(甲7、8。枝番を含む。)から、被告土嚢の構成の対象になり得るというべきである。もっとも、被告土嚢は、施工後、被告製品内の植物の種子が発芽して生育して外側面に草が生え出て、当該草が成長するという経過をたどるものであるから、本件意匠権1の侵害の有無、すなわち、本件意匠1と被告 土嚢との類否を検討するとの観点からは、土嚢袋の外側に袋内の種子が発芽して草が生育して出てきた状態をもって特定することが相当である。 以上によれば、被告土嚢の構成は、証拠(甲10、12、13)によれば、別紙「裁判所の認定(意匠)」の「本件意匠1関係」の「被告土嚢」欄のとおり特定される。 これに対し、原告は、被告土嚢の外側面が草の形状が均等の長さとなる構成である旨主張するが、本件記録上、被告土嚢の土嚢袋内の種子が発芽して生長した草が上記外側面に均等の長さで配置されていることを示す証拠は存しないから、原告の主張は採用できない。 (3) 本件意匠1と被告土嚢との類否 本件意匠1の意匠に係る物品は 発芽して生長した草が上記外側面に均等の長さで配置されていることを示す証拠は存しないから、原告の主張は採用できない。 (3) 本件意匠1と被告土嚢との類否 本件意匠1の意匠に係る物品は、「土留め用植生土嚢」であり、土嚢が法面に積み上げて設置されるものであること、からすれば、当該物品の需要者である土木事業者等は、土嚢の正面部(法面と反対側)に注意を惹き、特に「植生土嚢」であることからすれば当該正面部の「草」の形状に特に注目すると解される。そうすると、本件意匠1の要部は、少なくとも「草」の形状(具体的構成 態様I)であるところ、本件意匠1と被告土嚢はこの点において大きく相違す るから、類似するとは認められない。 (4) 以上によれば、その余の点について検討するまでもなく、原告の本件意匠権1に基づく請求は理由がない。 3 争点2-1(本件意匠2と被告土嚢が類似することにより被告製品の製造等が本件意匠権2を間接的に侵害するか)について 本件意匠2は、部分意匠である本件意匠1と吊りベルトの構成が若干相違する全体意匠である。 被告土嚢の特定は、上記2で述べた理由により、別紙「裁判所の認定(意匠)」の「本件意匠2関係」の「被告土嚢」欄のとおり特定される。そして、上記2で述べた理由と同様の理由から、本件意匠2と被告土嚢が類似するとはいえないか ら、本件意匠権2に基づく原告の主張は理由がない。 4 争点3-1(被告製品が本件訂正後各発明と均等なものであるか)について(1) 前記被告製品の「「植生シート」は「袋本体」の開口縁部及び袋本体の開口部から底部に向かう縦方向の一部において、脱落可能に固定してある」から、被告製品は、植生シートが脱落可能に固定されている部分が構成要件E「前記植 生シート袋本体 体」の開口縁部及び袋本体の開口部から底部に向かう縦方向の一部において、脱落可能に固定してある」から、被告製品は、植生シートが脱落可能に固定されている部分が構成要件E「前記植 生シート袋本体の開口縁部においてのみ」であるとの構成を有していないが、本件訂正後各発明と均等なものといえるか、以下検討する。 (2) 特許請求の範囲に記載された構成中に相手方が製造等をする製品又は用いる方法(以下「対象製品等」という。)と異なる部分が存する場合であっても、①同部分が特許発明の本質的部分ではなく(第1要件)、②同部分を対象製品 等におけるものと置き換えても、特許発明の目的を達することができ、同一の作用効果を奏するものであって(第2要件)、③上記のように置き換えることに、当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が、対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり(第3要件)、④対象製品等が、特許発明の特許出願時における公知技術と同 一又は当業者がこれから同出願時に容易に推考できたものではなく(第4要 件)、かつ、⑤対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないとき(第5要件)は、同対象製品等は、特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして、特許発明の技術的範囲に属するものと解するのが相当である(最高裁平成6年(オ)第1083号同10年2月24日第三小法廷判決・民集52巻1号11 3頁参照)。 (3) 第1要件についてア第1要件における特許発明における本質的部分とは、当該特許発明の特許請求の範囲の記載のうち、従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分であると解すべきであり、特許請求の範 いてア第1要件における特許発明における本質的部分とは、当該特許発明の特許請求の範囲の記載のうち、従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分であると解すべきであり、特許請求の範囲及び明細書の記載に 基づいて、特許発明の課題及び解決手段とその効果を把握した上で、特許発明の特許請求の範囲の記載のうち、従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分が何であるかを確定することによって認定されるべきである。(知財高裁平成28年3月25日判決・判時2306号87頁参照)。 イ本件明細書の記載本件明細書には、別紙「本件明細書(抜粋)」の記載がある。 ウ検討本件明細書の記載によれば、本件訂正後各発明(本件各発明)は、従来、耐候性を備えた土嚢袋を用いて大型土嚢を形成することが行なわれていた が【0004】、長期間にわたって並べられた状態が景観を損ねていた【0006】ことから、容易に大型の土嚢を能率良く形成することができ、早急に土塁や土留めを形成できると共に、長期的には施工後の緑化を図ることができることを課題【0007】とし、その解決手段として、請求項1記載の構成を採用することとしたものである【0008】。そして、同構成において、 植生シートを「開口縁部においてのみ」脱落可能に固定したことにより、土 砂の投入時に袋本体との位置ズレを防止するとともに、植生シートが礫に挟まれるなどして土砂と共に引きずり込まれて過大な力がかかるときには袋本体から脱落することにより、植生シートの捩れや皺等による変形が生じにくく、袋本体が歪んで外観が悪くなることを防止し【0015】、また、製造コストの引下げ【0020】を実現し、施工後の現場に植物を生育させるこ とにより緑化を図り、景観 れや皺等による変形が生じにくく、袋本体が歪んで外観が悪くなることを防止し【0015】、また、製造コストの引下げ【0020】を実現し、施工後の現場に植物を生育させるこ とにより緑化を図り、景観の向上を図るとの効果を奏する【0023】ものといえる。このように、構成要件Eの「植生シート」が袋本体の「開口縁部にのみ」脱落可能に固定されているとの構成は、上記の従来技術を前提とする課題を解決するための手段の一部であるとともに、上記作用効果を奏するための構成であるから、従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する 特徴的部分であるといえる。 そうすると、本件訂正後各発明(本件各発明)と被告製品は、植生シートが「開口縁部においてのみ」脱落可能に固定されているか否かという点において相違し、発明の本質的部分において相違するといえるから、被告製品は、均等の第1要件を充足しない。 エ原告は、「植生シート」が袋本体に脱落可能に固定されていることが発明の本質的部分であり、「開口縁部においてのみ」脱落可能に固定されている構成は、製造コスト引下げのためだけの構成であって発明の本質的部分ではない旨主張する。しかし、本件明細書の記載は上記のとおりであり、開口縁部において「のみ」植生シートが脱落可能に設けられていることは製造コス ト引下げのための構成ではあるものの【0020】それのみではなく、植生シートの捩れや皺等による変形が生じにくく、袋本体が歪んで外観が悪くなることを防止するための構成でもある【0015】のであって、原告の主張は採用の限りでない。 (4) 第2要件について ア本件明細書の記載は上記のとおりであり、本件訂正後各発明(本件各発明) においては、植生シートが袋本体の「開口縁部においてのみ」脱落可能に固 ない。 (4) 第2要件について ア本件明細書の記載は上記のとおりであり、本件訂正後各発明(本件各発明) においては、植生シートが袋本体の「開口縁部においてのみ」脱落可能に固定されたことにより、土砂の投入時に袋本体との位置ズレを防止するとともに、植生シートが礫に挟まれるなどして土砂と共に引きずり込まれて過大な力がかかるときには袋本体から脱落することにより、植生シートの捩れや皺等による変形が生じにくく、袋本体が歪んで外観が悪くなることを防止する との作用効果が奏される。しかしながら、被告製品を用いた実証結果(乙37)によれば、被告製品の植生シートに土砂を入れて植生シートが脱落した際、被告製品には「植生シートの捩れや皺等による変形」が生じることが認められる。そうすると、植生シートの固定位置に係る構成を被告製品の構成に置き換えたとしても、本件訂正後各発明における上記作用効果と同一の作 用効果を奏することにはならない。 以上によれば、被告製品は、均等の第2要件を充足しない。 イこの点、原告は、本件訂正後各発明(本件各発明)における作用効果が、植生シートが袋本体に対して「脱落可能に固定してある」ことによって(「手段」)、過大な力がかかったときに袋本体から脱落することによって応力の集 中が解消され(「作用」)、その結果、植生シートの捩れや皺等による変形が生じにくく、袋本体が歪んで外観が悪くなることを防止される(「効果」)ことにあることを前提に、このような作用効果は、原告の実施した実証結果(甲15、41、55。枝番を含む。)から裏付けられるとおり被告製品の構成によっても奏され、皺の形成要因には脱落によるもの以外も考えられる以上、 皺の存在をもって「作用」「効果」を奏することは否定されないなどと主張 枝番を含む。)から裏付けられるとおり被告製品の構成によっても奏され、皺の形成要因には脱落によるもの以外も考えられる以上、皺の存在をもって「作用」「効果」を奏することは否定されないなどと主張する。しかしながら、本件訂正後各発明(本件各発明)の作用効果を奏するための「手段」及び皺の有無に係る原告の主張は、必ずしも特許請求の範囲や前記(3)の本件明細書の記載と整合するものとはいえない。また、原告の実証結果は、土砂の投入により植生シートが脱落することを示すものにすぎず、被告製品の構成が上記アで検討した本件訂正後各発明(本件各発明)の作用効果を奏することを示すものとはいえない。したがって、原告の主張は採用できない。 (5) よって、その余の要件を検討するまでもなく、被告製品は本件訂正後各発明と均等なものと認めることはできず、本件特許権侵害を理由とする原告の請求は理由がない。 第5 結論 よって、原告の請求はいずれも理由がない。 大阪地方裁判所第26民事部 裁判長裁判官 松阿彌隆 裁判官 島田美喜子 裁判官 阿波野右起 (別紙)被告製品目録 製品名 グリーンスクラム (別紙)本件意匠1(図面) ※実線であらわした 被告製品目録 製品名 グリーンスクラム (別紙)本件意匠1(図面) ※実線であらわした部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分 正面図 背面図 左側面図 右側面図 平面図 底面図 A-A拡大図 (以下、略) (別紙)本件意匠2(図面) 正面図 背面図 左側面図 右側面図 平面図 底面図 A-A拡大図 (以下、略) (別紙)被告製品の構成(特許関係) a 植物が通芽可能な目合いを有し土砂を投入するのに必要な強度を備える黒色の「袋用ネット」を用いて形成された「袋本体」、および、 b 植物が通芽可能な目合いを有する「①緑色の格子状の絡み織りネット」と植物の通芽が可能な「②透けて見えるほど薄い白色の不織布状のシート」からなり「袋本体」の内側面に沿うように配置させた②の内側面に植物種子を分散保持させた「植生シート」を備えるとともに、 c 「袋本体」は吊り上げ用の「吊りベルト」を備え、 d 内部に土砂を投入することに の内側面に沿うように配置させた②の内側面に植物種子を分散保持させた「植生シート」を備えるとともに、 c 「袋本体」は吊り上げ用の「吊りベルト」を備え、d 内部に土砂を投入することにより自立可能な土嚢を形成できるように構成され、e 「植生シート」は「袋本体」の開口縁部及び袋本体の開口部から底部に向かう縦方向の一部において、脱落可能に固定してある f 緑化土嚢袋。 g 「植生シート」は、植物種子の内側面を覆うように植物が通根可能な「③ ②よりは厚い白色の不織布状のシート」を固着してなるh 緑化土嚢袋。 (別紙)本件明細書(抜粋) 【技術分野】【0001】 本発明は、法面などの土留めまたは土塁の形成に用いることができ、かつ、施工後の緑化を図ることができる緑化土嚢袋とその緑化土嚢袋を用いた緑化土嚢の形成方法に関するものであり、さらには、土留および緑化の方法に関するものである。 【背景技術】【0004】 上述のような、土嚢によって形成された土塁や土留は十分な強度を備えるものであることから、そのまま放置されることがあった。放置された土嚢は劣化によって破損するなどして土砂が溢れ出すことが考えられる。そこで、そのまま放置されることを見越して、耐候性を備えた土嚢袋を用いて大型土嚢を形成することが行なわれている。 【発明が解決しようとする課題】 【0006】しかしながら、長期間にわたって土嚢が並べられた状態は景観を損ねるものであり、改善の余地があった。 【0007】本発明は上述の事柄を考慮に入れてなされたものであり、容易に大型の土嚢を能率 良く形成することができ、早急に土塁や土留めを形成できると共に、長 、改善の余地があった。 【0007】本発明は上述の事柄を考慮に入れてなされたものであり、容易に大型の土嚢を能率 良く形成することができ、早急に土塁や土留めを形成できると共に、長期的には施工後の緑化を図ることができ、さらには積み上げた土嚢の安定化を図ることができる緑化土嚢袋とその緑化土嚢袋を用いた緑化土嚢の形成方法を提供すること、さらには土留および緑化の方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明は、植物が通芽可能な目合いを有し土砂を投入するのに必要な強度を備える袋用ネットを用いて形成された袋本体、および、植物が通芽可能な目合いを有する基材ネットまたは基材ネットと植物の通芽が可能なシートからなり前記袋本体の内側面に沿うように配置させた基布の内側面に植物種子を分散保持させた植生シートを備えるとともに、 前記袋本体は吊り上げ用の吊りベルトを備え、 内部に土砂を投入 することにより自立可能な土嚢を形成できるように構成され、前記植生シートは袋本体の開口縁部においてのみ、脱落可能に固定してあることを特徴とする緑化土嚢袋を提供する。(請求項1)【0015】また、前記植生シートは袋本体の開口縁部においてのみ、脱落可能に固定してあ るので、植生シートは袋本体の開口縁部からいわばぶら下がっているだけであるから、土砂の投入時に袋本体との位置ズレを防止すると共に、植生シートが礫に挟まれるなどして土砂と共に引きずり込まれて過大な力がかかるときには袋本体から脱落することにより、植生シートの捩れや皺等による変形が生じにくく、袋本体が歪んで外観が悪くなることを防止できる。 【0016】前記植生シートは、植物種子の内側面を覆うように植物が通根可 ことにより、植生シートの捩れや皺等による変形が生じにくく、袋本体が歪んで外観が悪くなることを防止できる。 【0016】前記植生シートは、植物種子の内側面を覆うように植物が通根可能な保護シートを固着してなる場合(請求項2)には、袋本体に土砂を投入するときには植物種子を土砂による衝撃や、擦れによる脱落から守ることができる。なお、保護シートを前記植生シートの内側面に設けた場合には、袋本体に土砂を投入するときにおいて、土砂 による前記植生シートの破損を保護シートによって軽減できる利点ある。 【0020】また、植生シートは袋本体の開口縁部のみで袋本体に取付けられるものであるから、その製造コストを引き下げることができる。なお、袋本体に対する植生シートの取り付けはステープルによって簡易的に行なうことにより、ステープルが袋本体から外れ ることによっても植生シートが脱落可能であるのでより好ましい。袋本体に対する植 生シートの取り付けは、ステープルの他に糸での縫合、接着剤等によっても可能である。 【発明の効果】【0023】前述したように、本発明によれば、法面の所定の位置または河川堤防の所定の位置 に土留や土塁などを短期間の施工にて形成できると共に、施工後の現場に植物を生育させることにより緑化を図り、景観の向上を図ることができる。また、本発明は、緑化土嚢袋の内部に土砂を投入することにより自立可能な土嚢が形成されるように構成されており、法面の所定の位置または河川堤防の所定の位置に、本発明の緑化土嚢袋によって形成された土嚢は置かれるだけでそれ自身の重力により自立設置可能で あることから、法面の所定の位置または河川堤防の所定の位置への固定のための部材が必要で、そのための手間も必要な自立不可の土嚢 て形成された土嚢は置かれるだけでそれ自身の重力により自立設置可能で あることから、法面の所定の位置または河川堤防の所定の位置への固定のための部材が必要で、そのための手間も必要な自立不可の土嚢に比べて、設置のための手間がかからず、簡単に設置できる等の利点がある。 【図7】図6の緑化土嚢袋内に土砂を投入する状況を説明する図である。【発明を実施するための形態】 【0043】図7に示す例は、土砂22の投入時に礫などの偏りや挟み込みなどによって植生シート4に過大な引っ張り力(例えば2kN/m以上の引っ張り力など)が掛かった状態を説明している。図7に示すように、植生シート4に過大な力が加わると、植生シート4に裂け目4bが発生する、またはステープル4aが袋本体3から外れること によって、植生シート4は袋本体3の開口縁部3aから部分的に脱落することにより、土砂22が袋本体3内に均等に収まるように移動する。これによって、緑化土嚢袋30を用いて形成される緑化土嚢の外形に植生シート4の捩れや引っ張りによる皺が現われることを防止し、見栄えを良くすることができる。

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