令和2(行ウ)134 退去強制令書発付処分取消等請求事件等

裁判年月日・裁判所
令和5年3月15日 大阪地方裁判所
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判決文本文69,754 文字)

主文 1 大阪出入国在留管理局長が令和2年4月2日付けで原告に対してした難民の認定をしない旨の処分を取り消す。 2 大阪出入国在留管理局長は、原告に対し、出入国管理及び難民認定法61条の2第1項の規定による難民の認定をせよ。 3 大阪出入国在留管理局長が令和2年4月2日付けで原告に対してした出入国管理及び難民認定法61条の2の2第2項による在留を特別に許可しない旨の処分を取り消す。 4 大阪出入国在留管理局主任審査官が令和2年4月8日付けで原告に対してした退去強制令書発付処分を取り消す。 5 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文1項から4項までと同旨第2 事案の概要 原告は、ウガンダ共和国(以下「ウガンダ」という。)国籍を有する外国人である。 原告は、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)61条の2第1項に基づく難民認定の申請(以下「本件難民認定申請」という。)をしたところ、法務大臣から順次権限の委任を受けた大阪出入国在留管理局長(以 下「大阪入管局長」という。)から、難民の認定をしない旨の処分(以下「本件不認定処分」という。)を受けるとともに、入管法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない旨の処分(以下「本件在特不許可処分」という。)を受けた。原告は、大阪出入国在留管理局(以下「大阪入管」という。)主任審査官から、退去強制令書の発付処分(以下「本件退令発付処分」という。) を受けた。 原告は、これらの処分は、原告が難民であるにもかかわらず、これを看過した違法なものであり、仮に原告が難民に該当しないとしても、本件在特不許可処分及び本件退令発付処分は憲法及び市民的及び政治的権利に関する国際規約(以下「自由権規約」とい るにもかかわらず、これを看過した違法なものであり、仮に原告が難民に該当しないとしても、本件在特不許可処分及び本件退令発付処分は憲法及び市民的及び政治的権利に関する国際規約(以下「自由権規約」という。)等に違反するなどと主張して、被告を相手に、本件不認定処分、本件在特不許可処分及び本件退令発付処分の各取 消しを求めるとともに、難民の認定の義務付けを求める(以下、本件訴えのうち、義務付けの訴えに係る部分を「本件義務付けの訴え」という。)。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実、顕著な事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 原告の身分事項 原告は、19▲▲年(昭和▲▲年)▲▲月▲▲日、ウガンダのカンパラ市Bにおいて出生したウガンダ国籍を有する外国人女性であり、レズビアンである(甲1、乙12、弁論の全趣旨)。 以下、レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランス(性転換者)及びインターセックス並びにその ように思われている人々等を「LGBTI」と総称する(ただし、LGBT と称されることもある。各証拠中の同旨の表現をLGBTI に改めることがある。)。 (2) 原告の入国の状況及び退去強制の手続等ア上陸の申請及び上陸審査原告は、2020年(令和2年)2月25日、関西国際空港に到着し、 大阪入管関西空港支局入国審査官に対し、渡航目的を「商用」、日本滞在予定期間を「6日」と記載した外国人入国記録を提出し、上陸の申請をした。 大阪入管関西空港支局入国審査官は、同日、上記申請が虚偽のものでないとは認められないとして上陸許可の証印をせず、入管法10条の規定に よる口頭審理を行うため、原告を大阪入管関西空港支局特別審理官に引き 西空港支局入国審査官は、同日、上記申請が虚偽のものでないとは認められないとして上陸許可の証印をせず、入管法10条の規定に よる口頭審理を行うため、原告を大阪入管関西空港支局特別審理官に引き 渡した。 (乙1、弁論の全趣旨)イ上陸条件に適合しない旨の認定、異議の申出には理由ない旨の裁決及び退去命令大阪入管関西空港支局特別審理官は、令和2年2月26日、原告に対し、 口頭審理を行った上で、原告について、入管法7条1項2号に掲げる上陸のための条件に適合していない旨の認定をし、原告にこれを通知した(甲2)。 原告は、同日、法務大臣に対し、入管法11条1項に基づき、上記認定に対する異議の申出をした(甲3)。 大阪入管関西空港支局主任審理官は、法務大臣から順次権限の委任を受けた大阪入管局長から、上記異議の申出に理由がないとの裁決をした旨の通知を受けたことから、同月28日、原告に対し、その旨通知した。大阪入管関西空港支局主任審理官は、同月29日、入管法11条6項に基づき、原告に対し、出国日を同年3月1日、出国便を大韓航空726便と指定し て本邦からの退去を命じた。(甲5の1・2、弁論の全趣旨)ウ違反調査大阪入管関西空港支局首席審査官は、令和2年3月1日、原告が前記イのとおり、退去を命ぜられたにもかかわらず、遅滞なく本邦から退去しなかったことから、大阪入管関西空港支局首席入国警備官に対し、原告が入 管法24条5号の2に該当する旨通報し、大阪入管関西空港支局入国警備官は、原告に対する違反調査を実施することとした(乙3、4)。 大阪入管関西空港支局入国警備官は、同月2日、大阪入管関西空港支局主任審査官が発付した収容令書を執行して原告を大阪入管関西空港支局収容場に収容し、同日、大阪入 実施することとした(乙3、4)。 大阪入管関西空港支局入国警備官は、同月2日、大阪入管関西空港支局主任審査官が発付した収容令書を執行して原告を大阪入管関西空港支局収容場に収容し、同日、大阪入管関西空港支局入国審査官に引き渡した(乙 5、6)。 エ認定、判定及び異議の申出には理由がない旨の裁決大阪入管関西空港支局入国審査官は、令和2年3月2日、原告に対する審査を実施した上で、原告が入管法24条5号の2に該当する旨認定し、原告にこれを通知した(甲6の1・2、乙7の1・2)。 原告は、同日、大阪入管収容場に移送され、収容された(乙5)。 原告は、前記認定通知を受け、同日、大阪入管特別審理官に対し、口頭審理の請求をした(乙7の2)。大阪入管特別審理官は、同月18日、原告に対し、口頭審理を実施した上で、前記認定に誤りがない旨判定し、同日、原告にこれを通知した(甲7の1・2、乙8の1・2)。 原告は、同日、法務大臣に対し、前記判定に異議があるとして、入管法 49条1項に基づく異議の申出をした(甲8、乙8の1)。法務大臣から順次権限の委任を受けた大阪入管局長は、同年4月2日、上記異議の申出には理由ないとの裁決をした(以下「本件裁決」という。甲9の1)。大阪入管主任審査官は、大阪入管局長から上記裁決をした旨の通知を受けたことから、同月8日、原告に対し、その旨通知した(甲9の1・2)。 オ本件退令発付処分大阪入管主任審査官は、令和2年4月8日、原告に対し、送還先をウガンダとする退去強制令書を発付する処分(本件退令発付処分)をし、大阪入管入国警備官は、同日、これを執行した(甲10、乙9)。 原告は、同月20日、大阪入管主任審査官から仮放免の許可を受け、同 日、大阪入管収容場を出所した(乙 本件退令発付処分)をし、大阪入管入国警備官は、同日、これを執行した(甲10、乙9)。 原告は、同月20日、大阪入管主任審査官から仮放免の許可を受け、同 日、大阪入管収容場を出所した(乙10)。 (3) 難民の認定の申請に関する手続等ア本件不認定処分及び本件在特不許可処分原告は、令和2年3月4日、法務大臣に対し、入管法61条の2第1項に基づく難民の認定の申請をした(本件難民認定申請。甲11、乙11の 1・2)。 法務大臣から順次権限の委任を受けた大阪入管局長は、同年4月2日、原告に対し、原告を難民と認定しない旨の処分(本件不認定処分)をするとともに、入管法61条の2の2第2項に基づく在留特別許可をしない処分(本件在特不許可処分)をし、同月8日、原告にこれらを通知した(甲12、13の1・2)。 イ審査請求棄却裁決原告は、同日、法務大臣に対し、本件不認定処分に対する審査請求をするとともに、口頭での意見の陳述を申し立て、同年5月5日、審査請求に係る申述書を提出した(乙14の1・2、15、16の1・2)。 難民審査参与員は、同年8月5日、原告の上記申立てに対し、「申述書 に記載された事実その他の申立人の主張に係る事実が真実であっても、何らの難民となる事由を包含していない」ことを理由として、口頭意見陳述を実施しないこととし、原告にこれを通知した(乙17)。 法務大臣は、同年12月3日、上記審査請求を棄却する旨の裁決をし、同月17日、原告にこれを通知した(乙18)。 (4) 本件訴えの提起原告は、令和2年10月8日、本件退令発付処分及び本件在特不許可処分の各取消しを求める訴えを提起し(当庁令和2年(行ウ)第134号)、令和3年6月4日、同訴訟に追加的に併合して、本件 えの提起原告は、令和2年10月8日、本件退令発付処分及び本件在特不許可処分の各取消しを求める訴えを提起し(当庁令和2年(行ウ)第134号)、令和3年6月4日、同訴訟に追加的に併合して、本件不認定処分の取消し及び難民の認定の義務付けを求める訴えを提起した(当庁令和3年(行ウ) 第62号)(顕著な事実)。 (5) 難民の定義規定入管法2条3号の2は、難民の地位に関する条約(以下「難民条約」という。)1条の規定又は難民の地位に関する議定書(以下「難民議定書」という。)1条により難民条約の適用を受ける難民をもって、同法の適用を受け る難民と定義する。 難民議定書1条により難民条約の適用を受ける難民とは、「人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するために国籍国の保護を望まないもの(後略)」 をいう。 2 争点及び当事者の主張(1) 争点1-1原告は、原告が難民に該当するとして、本件不認定処分の適法性を争うので、この点が争点となる(争点1-1)。この争点を分節すると以下の5点 となる。 ① 難民該当性を基礎付ける「迫害」及び「十分に理由のある恐怖」についてどのように解釈するか。 ② 難民該当性を基礎付ける事実の主張責任及び立証の程度をどのように考えるか。 ③ ウガンダにおいて、LGBTI が扱われる状況はどのようなものであるか。 ④ 原告がウガンダにおいてLGBTI であることを理由に警察から逮捕・勾留されて暴行を受けた事実があったか否か。 ⑤ 以上を前提として、原告が難民該当性( 扱われる状況はどのようなものであるか。 ④ 原告がウガンダにおいてLGBTI であることを理由に警察から逮捕・勾留されて暴行を受けた事実があったか否か。 ⑤ 以上を前提として、原告が難民該当性(原告が主張する解釈(「迫害」は広く経済的・社会的自由、精神的自由に対する抑圧や侵害を含み、「十 分に理由のある恐怖」とは合理的な勇気を有する者が帰国をためらう場合をいう。)を前提とした場合、被告が主張する解釈(「迫害」は生命又は身体の自由の侵害又は抑圧をいい、「十分な理由のある恐怖」とは通常人でも迫害の恐怖を抱く客観的状況があることをいう。)を前提とした場合)を充足するか否か。 (2) 争点1-2 原告は、本件不認定処分に対する審査請求において口頭意見陳述を実施しなかったことが違法であるため本件不認定処分も違法となると主張するので、この点が争点となる(争点1-2)。 (3) 争点2原告は、原告が在留特別許可されるべきであったとして、本件在特不許可 処分の適法性を争うので、この点が争点となる(争点2)。 (4) 争点3原告は、原告が難民に該当し、在留特別許可されるべきであったから、それを看過した本件退令発付処分は違法であると主張するので、この点が争点となる(争点3)。 (5) 争点に関する当事者の主張争点に関する当事者の主張は、別紙2「当事者の主張」のとおりである。 第3 当裁判所の判断 1 争点1-1(本件不認定処分の適法性(原告の難民該当性))について(1) 難民該当性を基礎付ける「迫害」及び「十分に理由のある恐怖」の解釈 についてア前記前提事実(5)のとおり、入管法にいう「難民」とは、「人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害 「十分に理由のある恐怖」の解釈 についてア前記前提事実(5)のとおり、入管法にいう「難民」とは、「人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができない もの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないもの(後略)」をいう。 イ前記の「迫害」とは、その文言上、通常人において受忍し得ない苦痛をもたらす攻撃ないし圧迫であって、生命又は身体の自由の侵害又は抑圧を意味するものと解される。前記の「迫害を受けるおそれがあるという十分 に理由のある恐怖を有する」というためには、当該人が迫害を受けるおそ れがあるという恐怖を抱いているという主観的事情のほかに、そのような主観的事情を有したことに十分に理由があること、すなわち、通常人が当該人の立場に置かれた場合にも迫害の恐怖を抱くような客観的事情が存在していることが必要であると解される。これに反する原告の主張は採用することができない。 (2) 難民該当性を基礎付ける事実の主張責任及び立証の程度について難民該当性は、申請者につき前記の「迫害」、「十分に理由のある恐怖」などを基礎付ける事実が認められて初めて充足することとなる。そして、入管法61条の2第1項は、法務大臣は、申請者が提出した資料に基づいて難民である旨の認定を行うことができる旨を規定している。これらを踏まえると、 難民該当性を基礎付ける事実の立証責任は申請者(原告)にあるものと解すべきである。 難民該当性を基礎付ける事実の立証の程度については、一般的な民事訴訟法上の原則(行政事件訴訟法7条、民訴法247条)が妥 当性を基礎付ける事実の立証責任は申請者(原告)にあるものと解すべきである。 難民該当性を基礎付ける事実の立証の程度については、一般的な民事訴訟法上の原則(行政事件訴訟法7条、民訴法247条)が妥当するものと解され、その立証の程度を一般的な場合と比較して殊更に緩和すべき法的根拠は 乏しい。原告は立証の困難性等を指摘するが、これらは民事訴訟の原則の適用を困難とさせるほど特異なものではなく、適切な証拠評価及び合理的な推認という自由心証主義の範囲内で十分に考慮すれば足りる。 (3) ウガンダ国内の一般的情勢及び同性愛者をめぐる状況掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 アウガンダの概略(ア) ウガンダは1962年(昭和37年)に英国から独立し、翌1963年(昭和38年)に共和制に移行した。その後、クーデター等が繰り返されたが、1986年(昭和61年)にCが大統領に就任し、C政権発足以来、政情は安定している。C大統領は、1996年(平成8年)、 2001年(平成13年)の選挙で圧勝し、2005年(平成17年) には、大統領三選禁止規定の廃止が決定され、2006年(平成18年)、2011年(平成23年)及び2016年(平成28年)の選挙でも再選され、長期政権を維持している。(乙19)(イ) ウガンダの首都は、カンパラ市である(乙19)。同市の北東にDがあり、同市外の南西にE警察署がある。E警察署の北には原告の両親の 家があるFが、E警察署の南西にGがある(甲85、乙63)。 (ウ) ウガンダで通用する主要言語は、英語、スワヒリ語、ルガンダ語であり、英語は公用語とされている(乙4、19)。 イウガンダにおける同性愛者等に適用され得る刑罰法規等(ア) ウガンダ憲法 ウ ンダで通用する主要言語は、英語、スワヒリ語、ルガンダ語であり、英語は公用語とされている(乙4、19)。 イウガンダにおける同性愛者等に適用され得る刑罰法規等(ア) ウガンダ憲法 ウガンダ憲法21条は、性的指向には言及しないが、平等及び非差別を規定し、ウガンダ憲法31条(2a)は「同性間の結婚は禁止される」旨規定している(乙20)。 (イ) ウガンダ刑法ウガンダ刑法第145条は、自然の理に反する人間同士の性交を行う 者等は、罪を犯しているとして、終身刑を科す旨規定している(乙20)。 (ウ) 2014年反同性愛法2014年反同性愛法2条は、ある人物が同性愛の罪を犯す場合として、他の同性の人物の肛門又は口に、陰茎又は他の奇妙な器具を挿入す る場合等を定め、この罪を犯す人物について、有罪であれば無期懲役に処するものとする旨定めていた。なお、2014年反同性愛法は、同年(平成26年)2月24日にC大統領が署名し、成立したものの、ウガンダ憲法裁判所は、同年8月1日、法案の成立に際し、憲法上議決に必要な定足数(議員の3分の1)が議会において満たされていなかったこ とを根拠に、同法は無効であると宣言した。(甲14、乙20) (エ) 2014年反同性愛法に代わる法案等a 反同性愛法が廃止された後、ウガンダの多数の議員が同法に代わる類似の法律を採択するよう求め、2014年(平成26年)10月には不自然な性的慣行の促進を禁止する法律案が与党党員の間で回覧されたが、同法案が議会に提出されて法律となったという情報はない。 同法案では、「不自然な性的慣行」をウガンダ刑法145条の意図内で、同性の人同士、あるいは性転換者を伴うあるいは性転換者間での性行為等と定義している。(甲14、乙21)b う情報はない。 同法案では、「不自然な性的慣行」をウガンダ刑法145条の意図内で、同性の人同士、あるいは性転換者を伴うあるいは性転換者間での性行為等と定義している。(甲14、乙21)b 2021年性犯罪法案は、2019年(平成31年)に作成された法案であり、「11.不自然な犯罪」として、ある者が他者と自然の 摂理に反した性行為を行うこと等は、犯罪とみなし、10年の禁固刑を科す旨を定めたものであるところ、2021年(令和3年)5月3日、ウガンダ議会で可決された。しかし、C大統領は、同年8月3日、2021年性犯罪法案が、ウガンダ刑法で既に規定されている犯罪を扱っていると述べ、これを却下し、議会に差し戻した。なお、現在に おいて同法が承認され、施行されたという情報はない。(甲61の1・2、76の1・2、乙59の1・2、弁論の全趣旨)ウウガンダ人権執行法の制定及び施行等(乙42~44の各2)(ア) 人権執行法の制定人権執行法は、「1995年のウガンダ憲法第50(4)条を実行する議 会制定法」をいい、同憲法に定められた権利の行使の手続きを規定している。人権執行法は、2019年(平成31年)3月31日にC大統領によって承認され、同年11月にウガンダの官報に掲載され、施行されている。 (イ) 人権執行法の内容 人権執行法は、ウガンダ憲法に従い、人権侵害につき被害者等が管轄 裁判所に救済を求めることを認める法律であり、高等裁判所は、その申請に対して審理、判断する。 裁判所が人権侵害との決定を下した場合、被害者に対する補償や原状回復、公の謝罪、再発防止の保証、違反責任者に対する刑罰その他の制裁を内容とする命令を発することができる。 不当な身体拘束がされていると疑われる場合は釈放を求め 場合、被害者に対する補償や原状回復、公の謝罪、再発防止の保証、違反責任者に対する刑罰その他の制裁を内容とする命令を発することができる。 不当な身体拘束がされていると疑われる場合は釈放を求めて高等裁判所に嘆願書を提出することができ、刑務所又は警察署の責任者は嘆願書を提出する義務を負う。釈放命令の履行を拒否することは10年間の投獄を伴う犯罪となる。人権を侵害した公務員は直接に民事責任を負い、解雇される可能性もある。 刑事裁判において被告人の逸脱不可能な権利(国家がその順守義務を免れない権利)が侵害されていることが判明した場合、被告人は無罪となる。 人権執行法に基づく裁判所の命令は、裁判所により設定された時間内に取りまとめることを要求されており、効率的な権利救済が図られてい る。 (ウ) 人権執行法の普及活動ウガンダ人権委員会(UHRC)は、治安判事、地域警察署長及びその部下、犯罪捜査局(CID)担当官、州弁護士、カンパラ首都当局(KCCA)担当官、刑務所担当官及びその部下等に対して人権執行法を 普及させるための研修会を実施している。 エウガンダにおける同性愛者をめぐる状況についての報告等(ア) UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)作成のウガンダの出身国情報(2017年度版)(乙21)上記文書は、UNHCR の公式な立場をまとめたものではなく、研修の 目的で一般の公開資料をまとめたものである。上記文書には、要旨、次 のような記載がある。 a 同性間の性的行為は刑法上違法であり、最高刑は終身刑である。実際には、LGBT(性的少数者)が刑法上の規定により逮捕され訴追が成し遂げられることはまれである。しかし、表面的には性的少数者に向けられたものではないほかの法令がLGBT を逮捕 は終身刑である。実際には、LGBT(性的少数者)が刑法上の規定により逮捕され訴追が成し遂げられることはまれである。しかし、表面的には性的少数者に向けられたものではないほかの法令がLGBT を逮捕したり、LGBT に 嫌がらせをしたり、LGBT アドボカシー・支援団体の活動を制限するために使われることが時々ある。 NGO のHによれば、ウガンダ刑法145条及び146条に加え、LGBT の人々に対して使われ得る規定が他にもある。例えば、いかがわしい慣習(同法148条)、共通の利益を妨げる行為(同法160 条)、怠惰及び無秩序であること(同法167条)、ならず者及び放浪者であること(同法168条)、身分詐称(自らを偽って表現するあらゆる者)(同法381条)の罪である。 反同性愛法が無効とされた後、2014年(平成26年)10月には不自然な性的慣行の促進を禁止する法律案が与党党員の間で回覧 されたが、同法案が議会に提出されたことを示唆する情報は存在しない。C大統領は「同性愛は刑法上、既に違法とされているため、ウガンダに新たな反同性愛法は必要ない」と繰り返し述べている。 b 警察は、2015年(平成27年)1月、HIV/AIDS検査クリニックの開設を支援した9人の男性を「自然の摂理に反する性的行 為」を理由に逮捕した。警察は逮捕された者の内4名は逮捕時に性的行為を行っていたとしたが、逮捕者たちはその罪状について争っている。男性たちは強制的な肛門検査を受け、保釈された。 警察は、2016年(平成28年)8月4日、カンパラにおいて、ウガンダのプライド・イベントの一環であったLGBTI の美人コンテ ストを散会させた。16人(ほとんどはウガンダ人のLGBTI の権利 擁護の活動家)が逮捕されたが、1時間 いて、ウガンダのプライド・イベントの一環であったLGBTI の美人コンテ ストを散会させた。16人(ほとんどはウガンダ人のLGBTI の権利 擁護の活動家)が逮捕されたが、1時間後に釈放された。警察による虐待を恐れて6階から飛び降りた男性が重傷を負った。警察は引き続き、合意に基づく同性愛行為の容疑をかけられた男性とトランスジェンダーの女性に対して、強制的な肛門検査を実施した。このイベントに関しては、警察がトイレに隠れていた出席者やクラブを出ようとし た者を殴打したという複数の報告が存在する。 警察は、同年9月24日、100人以上がIの浜辺でのプライド・パレードに参加するのを妨げた。 c 警察は通常、LGBT に対する暴力事件を捜査せず、むしろ被害者を逮捕・拘束している。しかし、近年では、警察の幹部レベルとLGBT コミュニティとの間の協力関係は向上しているという複数の市民団体の報告もある。数件においては、例えば暴徒による暴力から守るなど、警察がLGBT の人々の支援にまわったという記録もある(しかし、LGBT 被害者はしばしば、保護拘置された。)。 主にカンパラにある20ほどの市民団体がLGBT の人々に様々な 支援を提供している。しかし、政府はたびたび彼らの活動に介入し、メンバーを逮捕したり、パレードなどの活動の実施を妨害したりしている。 (イ) 英国内務省作成の「国別政策および情報ノートウガンダ:性的指向および性自認と性表現」(2019年4月、版4.0、甲14) 上記文書は、LGBTI をめぐる一般的状況に関する分析を提供するものとして英国内務省が作成した報告書である。上記文書には、要旨、次のような記載がある。 a 同性間の性行為は刑法の下で違法であり、最高終身刑に罰せられる をめぐる一般的状況に関する分析を提供するものとして英国内務省が作成した報告書である。上記文書には、要旨、次のような記載がある。 a 同性間の性行為は刑法の下で違法であり、最高終身刑に罰せられる可能性がある。実際のところは、LGBTI の人々は逮捕されてはいる が、刑法に基づき起訴されることはほとんどない。性自認及び性表現 に関して、それらを具体的に制定している法律はない。憲法は多くの根拠に基づき差別を禁止しているが、差別禁止は、性的指向、あるいは性自認及び性表現までは拡大適用されない。 C大統領を含む一部の政治家及び政府のメンバーは、性的少数派を公然と非難した。その他の法律は、あからさまに反LGBTI ではな いが、LGBTI の人々を逮捕し嫌がらせをし、LGBTI の人々を擁護し支援する団体の活動を制限するために時として利用される。 警察及びその他の政府機関による行為を含め、LGBTI の人々に対する人権侵害は過去から行われていた。逮捕及び/又は勾留されたLGBTI の人々は、屈辱、肉体的及び性的暴行等の虐待にさらされ、 強制的肛門検査を受けさせられたと報告した。 2014年(平成26年)に反同性愛法が法律として通過したことにより、大抵の場合否定的であるが、LGBTI の人々の権利についての公開講演が増加し、LGBTI の人々に対する暴力と差別の事件の上昇につながった。反同性愛法はもはや法律ではないが、同性間の性 行為は依然として違法のままであり、反LGBTI への説得力のある発言や差別は根強く残っている。 b HRAPF 報告書2016年内のNGO 共同体によれば、ウガンダ刑法145条及び146条に加えてLGBT の人々に対して使用される可能性があるその他の規定があり、次の犯罪を含んでいる いる。 b HRAPF 報告書2016年内のNGO 共同体によれば、ウガンダ刑法145条及び146条に加えてLGBT の人々に対して使用される可能性があるその他の規定があり、次の犯罪を含んでいる。わいせつ な行為(同法148条)、一般的な迷惑(同法160条)、不真面目で治安を乱すこと(同法167条)、ならず者及び放浪者であること(同法168条)、偽装―自分を偽って演じる人(同法381条)である。 HRAPF 報告書2016年内のウガンダNGO 共同体は、次のよう に言及した。警察は通常、事件を調査するためにほとんど何も行わず、 場合によっては事件を容認することさえあるため、警察官でない私的な個人はとがめられることなくLGBTI の人々の権利を侵害し続け、ほとんどの場合これらの行為は法執行当局によって暗黙に容認されている。警察はまた、LGBTI の人々に対する違反をうまく調査できないという心配な傾向を示した。ほとんどの場合、そのような事件を援 助及び調査する代わりに、警察は反対にLGBTI の人々を逮捕し、性的指向と性自認に基づき彼らを起訴することを好む。 一方、同報告書は次のように言及した。報告書の著者は、警察の指導者とLGBTI コミュニティとの間での協力が増加していることを認めている。多くの例において、警察はLGBTI の人々の権利を保護 するようになった。2015年(平成27年)には、警察がLGBTIの人々を保護した5件の個別の事件が検証された。注目すべきは、これらの保護事件のうちの1件を除く全てにおいて警察により犯された違反があったことで、それによりこの1件の例がとにかく目立った。 c HRAPF 報告書2018年は次のように言及した。 2017年(平成29年)にウガンダ警察が において警察により犯された違反があったことで、それによりこの1件の例がとにかく目立った。 c HRAPF 報告書2018年は次のように言及した。 2017年(平成29年)にウガンダ警察が犯した違反は、それ以前のいずれの年よりもはるかに少なかった(同年は合計74件の違反が記録されたとされ、171件の違反が記録された2016年(平成28年)の違反件数記録から劇的な減少であるとされている。)が、ウガンダ警察はまたもやその年のウガンダにおけるLGBT の人々の 権利の最大の侵害者だった。LGBT の人々の権利を侵害する傾向が高いというこの事実は、特に法律に抵触することとなる場合、警察がLGBT の人々としばしばより多くの接点を持つという事実と、警官隊メンバー内のLGBT の課題に関する知識と理解の水準が低いということで簡単に説明がつく。2017年(平成29年)には、LGBT と 疑われる人々の恣意的逮捕に関連する9件の事件が記録されていた。 多くの場合、警察はLGBT と疑われる人々を、単に同性愛者であるという疑いで逮捕し勾留する。その後、彼らは、引き延ばすための罪を着せる、すなわち、存在しない犯罪に対する容疑をかけ、国の検事が事件簿を熟読し事件がないことを助言するまで、憲法で義務付けられた48時間を超える日数を待つことを被勾留者に強制する。 HRAPF あるいは別の法的援助サービスの提供者がその時間内に事件を耳にしない場合、勾留された人は1週間もの長さを警察の監視下で過ごす可能性がある。2017年(平成29年)には、4件のこのような事件が報告され、検証された。 d 2015年(平成27年)12月3日付けのフィンランド移民局の 報告書は次のように記述した。 個人は同性愛の容疑で逮捕されるが、こ )には、4件のこのような事件が報告され、検証された。 d 2015年(平成27年)12月3日付けのフィンランド移民局の 報告書は次のように記述した。 個人は同性愛の容疑で逮捕されるが、これはしばしば性別規範に適合しない外見に基づいている。多数の個人が逮捕され、「自然の摂理に反する性行為」の罪で起訴されたにもかかわらず、これまでにこの法律に基づいて有罪判決を受けた人はいない。2014年(平成2 6年)の反同性愛法の可決と発効により、LGBTI の課題に取り組む団体の一時停止や閉鎖だけでなく、逮捕者が数多く増加する結果となった。逮捕者数の増加にもかかわらず、新法律が施行されている間、新法律により誰も起訴されなかった。反同性愛法の効果は、この法律によりLGBTI の人々を実際に起訴することにより、むしろ恣意的な 逮捕及び勾留そのものを罰として利用するだけではなく、LGBTI の人々が犯される暴力を正当化することと解釈できる。 e 警察がゲイを保護する方法に関する研修会を企画、との2017年(平成29年)11月15日付けウガンダ・デイリー・モニターは次のように記述した。 警察は、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル及びトランスジェ ンダー(LGBT)の権利を保護する方法について、警察官の感度を上げる会議を企画した。 (ウ) ヒューマン・ライツ・ウォッチによる報道(甲38、甲40の1・2)NGO であるヒューマン・ライツ・ウォッチは、要旨、次のa及びbのとおり報じた。 a 2014年(平成26年)5月15日の記事(甲38)2013年(平成25年)12月20日に反同性愛法が成立して以来、人権侵害が急増している、とヒューマン・ライツ・ウォッチとアムネスティ・インターナショナルは述べた。 性 月15日の記事(甲38)2013年(平成25年)12月20日に反同性愛法が成立して以来、人権侵害が急増している、とヒューマン・ライツ・ウォッチとアムネスティ・インターナショナルは述べた。 性的少数者(LGBTI)も医療・保健サービスが必要な際に嫌がら せに遭ったり逮捕されることを恐れている。 同年12月に法案が通過して以来、ヒューマン・ライツ・ウォッチとアムネスティ・インターナショナルは、成人間の同意に基づく同性愛行為容疑、若しくは性的少数者(LGBTI)に見えたというだけで逮捕された人々が少なくとも17人いることを確認している。 ウガンダの団体である人権啓蒙推進フォーラム(HRAPF)の報告によると、2007年(平成19年)から2011年(平成23年)の5年間では、同性間行為の容疑では23件の逮捕しか確認されておらず、訴追に至ったケースはなかったそうだ。暴力や差別の被害を受けた性的少数者(LGBTI)は、自らも逮捕されるのではないかと怖 くて、警察には事件を告訴できないと話す。 b 2019年(令和元年)10月15日の記事(甲40の1・2)同月12日、政府報道官は、政府は「刑法(ウガンダ刑法)の現在の規定は十分であるのだから、ウガンダにおけるLGBT 活動の規制に関して新しい法律を導入するつもりはない。」とツイートした。 C大統領が2014年(平成26年)に反同性愛法に署名する前にも、 政府は法案への支持に関する矛盾するメッセージを出していた。 2019年(令和元年)10月4日にLGBTI の人々の権利を求める活動家が襲撃され死亡した事件があった。その数日後、J倫理・品位担当大臣(以下「J」ということがある。)は、記者団に対し、議会は、ゲイの人々のいわゆる「助長と募り」を犯罪化し、合 人々の権利を求める活動家が襲撃され死亡した事件があった。その数日後、J倫理・品位担当大臣(以下「J」ということがある。)は、記者団に対し、議会は、ゲイの人々のいわゆる「助長と募り」を犯罪化し、合意による 「重大な」同性行為に対する死刑を含む法案を提出する予定だと語った。提案された措置は、同性愛の明確に定義されていない「助長」を犯罪化した2014年反同性愛法を反映しており、初期の草案には「重度の同性愛」に対する死刑が含まれていた。 (エ) デイリー・ビースト紙による報道(乙23の1・2) デイリー・ビースト紙は、2018年(平成30年)3月6日、要旨、次のとおり報じた。 a 国際的にLGBT の平等に専心する組織「K」の2つの資金集め行事のうちの最初の行事に参加していたニューヨークで、「L」の調整役であるMは、2018年(平成30年)のデイリー・ビースト紙に 対し、ここ数か月でウガンダでは「逮捕され、留置所に入れられ、拷問される件数は大幅に減少している」と語った。 b 同性愛行為そのものが、ウガンダの法律に違反したままである。 「風俗犯罪」は、英国植民地支配の遺物であり、滅多に執行されない。 Mは、「訴追する場合には、現行犯でなければならないが、現行犯で 捕まえた場合には、プライバシーの侵害から国民を保護する別の法律が存在する」と述べた。 c 人権啓蒙推進フォーラム(HRAPF)の事務局長Nは、デイリー・ビースト紙に対し、2年以内の間に、六つのLGBT 関連行事が国の急襲を受け、そのうち四つの行事は結果として途中で中止となった、 2016年(平成28年)の二つの「プライド」行事及び2017年 (平成29年)「プライド行事」に加え、同年の同性愛カンパラ国際映画祭、同年祝賀行事、同年2月18日 中止となった、 2016年(平成28年)の二つの「プライド」行事及び2017年 (平成29年)「プライド行事」に加え、同年の同性愛カンパラ国際映画祭、同年祝賀行事、同年2月18日のHIV 支援行事が全て中止となった、と述べた。 また、Nは、ウガンダでは、おおむねLGBT の人々を違法として周縁化しているが、警察と官公庁のような国家機関との関わりは増え てきており、中には受け入れている所もある、HRAPF も現在、全国の警察でLGBTI の人々の権利に関する研修に取り組んでいる、この研修のおかげで、問題に関する警察の態度を軟化させることができた、警察からの暴力が減っていると述べた。 さらに、2017年(平成29年)末にカンパラ市で「プライド」 の関連行事が行われる予定だったところ、Mは、Jがこれを中止に追い込もうと、まず会場所有者に接近したが、所有者から私的行事なので中止できないと回答され、次に警察に接近したが、介入を拒まれたと述べた。 (オ) 難民研究フォーラムによる調査報告(2021年12月2日、甲60) 上記文書は、難民問題について研究する団体である難民研究フォーラムが作成した、2021年(令和3年)12月2日時点で、ウガンダにおける2017年(平成29年)以降のLGBTI をめぐる状況についての調査結果である。 a アイルランド難民ドキュメンテーションセンター(IRDC)作成の 「2019年5月から11月までのLGBT に関する情報:合法性、国家による取扱いや社会における取扱いなど」(2019年11月18日)は、ヒューマン・ライツ・ウォッチの報告やボイス・オブ・アメリカやAFP 通信の記事を引用して以下のとおり記載していると報告されている(甲60(4頁))。 (a) 019年11月18日)は、ヒューマン・ライツ・ウォッチの報告やボイス・オブ・アメリカやAFP 通信の記事を引用して以下のとおり記載していると報告されている(甲60(4頁))。 (a) 2019年(令和元年)10月、ヒューマン・ライツ・ウォッチ は、以下のとおり述べている。 「ウガンダ政府は、同意の上での同性間の性行為に対する死刑を規定する反同性愛法案を再提出するよう求めている。」(ヒューマン・ライツ・ウォッチ「ウガンダ:同性愛者活動家を残酷に殺す」(2019年10月15日)) 「ウガンダは、ここ数週間、政府上層部からの同性愛嫌悪の発言が増加している。」(同上)(b) ボイス・オブ・アメリカは、2019年(令和元年)10月に次のとおり言及している。 「欧米からの圧力により、ウガンダは2014年に反同性愛者 法を破棄した。しかし、同性間性行為は依然として違法であり、LGBT コミュニティはこの同性愛を軽蔑する国において日常的に嫌がらせを受け、疎外されている。」(ボイス・オブ・アメリカ「死刑の脅威と逮捕でウガンダの同性愛コミュニティ内に恐怖」(2019年10月30日)) (c) フランス通信社は、2019年(令和元年)11月に次のとおり言及している。 「ウガンダには厳格な反同性愛法があるが、近年は合意の上での同性間の行為に対する訴追はされていなかった。しかしながら、「自然の摂理に反する」と見なされる行為は、無期懲役となる可 能性がある。同国の主要な同性愛者権利団体によると、10月末、ウガンダのLGBT 活動家ら16名が逮捕された後、強制肛門検査を受けさせられた。」(フランス通信社「ウガンダ人67人がゲイバーで逮捕され「迷惑行為」で告発される」(2019年11月12日)) ンダのLGBT 活動家ら16名が逮捕された後、強制肛門検査を受けさせられた。」(フランス通信社「ウガンダ人67人がゲイバーで逮捕され「迷惑行為」で告発される」(2019年11月12日)) b オランダ司法・安全保障省移民帰化局作成の「ウガンダ:LGBT の 人たちの状況」(2021年3月)、は、HRAPF の報告を引用し、要旨次のような記載をしていると報告されている(甲60(5~6頁))。 (a) 2017年(平成29年)、いくつかの協力LGBT 団体から、憲法裁判所の判決にもかかわらず、ウガンダの警察やその他の国家機関、一般市民のほとんど、そして特に、J倫理・誠実庁長官が、 単にゲイであることやLGBT 団体で働いていることで犯罪行為とみなされるとの刑法解釈を一貫して続けていることが報告された。 2018年(平成30年)、数年にわたるロビー活動や警察官への研修の提供を行い、ウガンダ警察との関係改善を継続的に努めてきた結果、前述の協力LGBT 団体らは、警察の実務が大幅に改 善されたと報告している。その改善の結果、この報告期間中に、単に同性愛者であることを理由に逮捕される人々が大幅に減少するに至ったという。しかし、倫理・誠実庁長官や首相官邸など、他の一部の国家公務員や組織の行動にはこのことは該当しないと報告された。しかしながら、2020年(令和2年)には、ウガ ンダ警察の態度が劇的に悪化し、単に同性愛者であることを理由に逮捕されるLGBT の人々の数が急増したと報告している。 (b) 2019年(平成31年)、ウガンダでは新しい人権法が導入され(2019年人権執行法)、同年11月15日に官報に掲載された。この新法は、在職中の国会議員らが行う違反行為を含め、人 権を保護するための多くの新 31年)、ウガンダでは新しい人権法が導入され(2019年人権執行法)、同年11月15日に官報に掲載された。この新法は、在職中の国会議員らが行う違反行為を含め、人 権を保護するための多くの新しい可能性を持っている。この新法はLGBT の人々が自らの人権侵害に対抗するための法的可能性を広げることにもなる。協力LGBT 団体らは、この新法が及ぼす可能性について原則的に肯定的であるが、その保護効果の可能性は実際にはまだ証明されていない。 c フィンランド移民庁(FIS)作成の「ウガンダ:性的・ジェンダ ー・マイノリティ、LGBTI の権利」(2018年9月4日)は、HRAPF やヒューマン・ライツ・ウォッチの報告を引用して次のとおり記載していると報告されている(甲60(6~8頁))。 (a) 2017年(平成29年)、HRAPF は、同性愛自体は犯罪化されていないにもかかわらず、性的マイノリティに属するという容 疑で警察に逮捕された事例を14件報告している。このうち5件において、警察は被疑者が同性愛者であることを立証するために強制的な検査を行っていた。ヒューマン・ライツ・ウォッチによると、刑法により性的・ジェンダー的マイノリティのメンバーが訴追されることはほとんどない。HRAPF の2016年(平成28 年)の報告書によると、性的・ジェンダー的マイノリティに対する訴追は、刑法145条以外で行われる割合が高く、このことが訴追を成功させることを難しくしている。 (b) ウガンダ警察犯罪報告書2017年版によると、ウガンダ人が自然の摂理に反する罪や強制的な暴行で逮捕・起訴され、有罪判決 を受けているものの、同報告書はどのような事件であったかを明記していない。統計によると、2017年(平成29年)は1 ウガンダ人が自然の摂理に反する罪や強制的な暴行で逮捕・起訴され、有罪判決 を受けているものの、同報告書はどのような事件であったかを明記していない。統計によると、2017年(平成29年)は120件、2016年(平成28年)は121件の自然に反する罪が報告されている。2017年(平成29年)の「自然に反する罪」のうち、34件が捜査中で、36件が捜査されず、50件が法廷 に持ち込まれた。このうち、59件が検察官に送致され、5件が起訴され、6件が棄却され、39件が法廷で係争中である。被告人のうち、49人は男性又は少年、3人は女性又は少女であった。 犯罪報告書によると、2017年(平成29年)には合計343件の「強制わいせつ」が報告されている。前年の件数は495件 であった。2017年(平成29年)の事件のうち、105件が 調査中であり、107件が未解決、131件が裁判に持ち込まれた。これらのうち177件が検察に送致され、32件が起訴され、1件が無罪判決を受け、24件が棄却され、そして、74件が法定で係争中である。2015年(平成27年)の犯罪レポートによると、2015年(平成27年)には「自然の摂理に反する犯 罪」が121件、「強制わいせつ」が631件報告されていた。2014年(平成26年)には、自然の摂理に反する犯罪が135件、強制わいせつが668件報告されていた。 d ドイツ連邦移民難民庁(BAMF)作成の「国別報告30号ウガンダ:LGBT 当事者の状況」(2020年10月)は、ヒューマン・ライ ツ・ウォッチ、HRAPF 等の報告を引用し、「9.集団検挙の事例」として以下のとおり記載していると報告されている(甲60(11~12頁)。 (a) 2019年(令和元年)11月、カンパラのO店で12 ウォッチ、HRAPF 等の報告を引用し、「9.集団検挙の事例」として以下のとおり記載していると報告されている(甲60(11~12頁)。 (a) 2019年(令和元年)11月、カンパラのO店で125人が逮捕される。 2019年(令和元年)11月、警察はLGBT の者らの間で人気のあるカンパラのO店を強制捜査し、125人を逮捕した。逮捕された者らは、警察のバンで連行されていったと伝えられている。警察はその口実として彼らがウガンダの反タバコ法で違法な水たばこを吸っている罪に問われたと主張していたが、実際にそ れを吸っていたのは一部の者だけであった。逮捕された者の中には釈放された人もいたが、67人が刑法第160条の「公衆への迷惑行為」の罪状で起訴された。彼らは身柄を拘束されている間、弁護士との面会を拒否された。彼らは釈放されるまでに1週間以上を獄中で過ごした。警察は、逮捕の様子を撮影してニュースで 流すために、事前に報道関係者に強制捜査について知らせていた。 逮捕された者の多くは、結果的に暴露され、仕事を失ったり、家族から勘当されたりした。アムネスティ・インターナショナルは、2020年(令和2年)8月、2019年(令和元年)末時点ではまだ司法手続が続いており、被告人らは毎週警察に報告することが義務付けられていると報告した。 (b) 2019年(令和元年)10月、Pで16人が逮捕される。 2019年(令和元年)10月、警察はPで活動するLGBT 活動家ら16人を逮捕した。この組織は、LGBT の若者らの経済的なエンパワーメントのために活動している団体である。報道によると、もともとは活動家ら自身が、事務所兼ホームレスシェルター の家屋を取り囲んでいた人々の集団からの保護を求めて警察に通報して 的なエンパワーメントのために活動している団体である。報道によると、もともとは活動家ら自身が、事務所兼ホームレスシェルター の家屋を取り囲んでいた人々の集団からの保護を求めて警察に通報していた。群衆は大声で同性愛者を侮辱する言葉を叫び、家を襲撃すると脅した。警察は暴徒を解散させた後、活動家らにジェンダー・アイデンティティについて質問し、彼らに対して反同性愛者の非難をし、最終的に逮捕した。翌日、警察は家を捜索し、 コンドーム、潤滑油、HIV 治療薬を押収した。この活動家らは、刑法145条の「自然の摂理に反した性行為」という罪状で起訴された。全員に肛門検査を実施した。3日後に彼らは釈放された。 彼らに対する起訴は最終的に取り下げられた。 (カ) 米国国務省ウガンダ人権報告書(2018年版)(甲42) 米国国務省が作成したウガンダ人権報告書には、要旨、次のような記載がある。 a 収容施設の状況は依然として劣悪で、場合によっては生命を脅かすこともあった。深刻な問題の例として過密、刑務官及び他の囚人による被拘留者の身体的虐待、食料不足及び職員不足が挙げられた。地元 の人権団体は、アフリカ拷問被害者処置・更生センターを含め、治安 部隊や刑務所職員による拷問の報告を多数受けた。強制労働の報告も相次いだ。 ウガンダ人権委員会によると、未特定の数の警察署の被拘留者が丸一日食事を与えられずに過ごすことがあり、Qの警察署の被拘留者が与えられる食事は1日に1食であった。ウガンダ人権委員会は、被 拘留者の多くは食料を家族に依存していると報告した。 b 法律では、裁判官又は検察官に対し、逮捕実行前に逮捕令状の発行を要求しているが、現行犯逮捕又は犯人追跡中の逮捕は例外である。 しかし、当局は容疑者を無令状逮捕すること に依存していると報告した。 b 法律では、裁判官又は検察官に対し、逮捕実行前に逮捕令状の発行を要求しているが、現行犯逮捕又は犯人追跡中の逮捕は例外である。 しかし、当局は容疑者を無令状逮捕することも多かった。法律では、当局に対し、容疑者の罪状認否を逮捕後48時間以内に行うよう要求 しているが、当局は容疑者を起訴なしでもっと長く拘留することが多かった。 c 同性同士の性行為は、合意の上であっても、植民地時代の法律に従って違法であり、法律では「自然の理法に反する何人との交接」も刑事罰とし、最も重い刑罰は終身刑である。法律は、LGBTI の人権に ついて発言する人の表現の自由や平和的集会を規制していないが、政府はそのような権利を厳しく制限した。法律は、住居、雇用、国籍の法律や政府サービスの利用においてLGBTI の人々に対する差別を禁止していない。 LGBTI の人々は、差別、法的制限、そして社会的な嫌がらせ、暴 力及び威嚇に直面した。当局は、LGBTI の人々に対して暴力を働き、LGBTI の人々と活動家が組織する会合の一部を阻止した。 (キ) 米国国務省ウガンダ人権報告書(2020年版)(甲73)、同(2021年度版)(甲77の1・2)米国国務省作成のウガンダ人権報告書(2020年版)には、要旨、 次のような記載があり、同(2021年版)にも同旨の記載がある。 a 法律では恣意的な逮捕及び拘禁を禁じているが、治安部隊はしばしば、特に野党指導者、政治家、活動家、デモ参加者、ジャーナリスト、LGBTI の人、COVID-19 制限違反を受けた一般の人々などを恣意的に逮捕及び拘禁した。 ウガンダ警察警察官もLGBTI のシェルターを強制捜査し、ソーシ ャルディスタンスに関するCOVID- I の人、COVID-19 制限違反を受けた一般の人々などを恣意的に逮捕及び拘禁した。 ウガンダ警察警察官もLGBTI のシェルターを強制捜査し、ソーシ ャルディスタンスに関するCOVID-19 の規制に違反したことを容疑として、居住者を逮捕した。 b 同性同士の性行為は合意の上であっても、植民地時代の法律に従って犯罪とされており、法律では「自然の理法に反する何人との交接」も刑事罰とし、最も重い刑罰は終身刑である。法律に定められている 「反自然的犯罪行為」の未遂は、7年の禁錮が科される。政府は時折、この法律を執行した。 (ク) HRAPF 作成の「性的志向及び性自認に基づく人権侵害に関する2019年ウガンダ報告書」(HRAPF 報告書2019)(甲41の1・2)上記文書は、ウガンダのNGO であるHRAPF が作成した報告書であ る。上記文書には、要旨、次のような記載がある。 2019年(平成31年・令和元年)にLGBT に人々になされた侵害の総数は282件である。これらのうち236が検証済みの21の事例から発生した人権侵害であり、国家アクターによって行われている。 残りの46の侵害は非国家アクターによる尊厳侵害である。これは20 18年(平成30年)に報告された55の事例から64の侵害が発生した事実と比べると急激な増加である。 2019年(平成31年・令和元年)には、性的指向と性自認に基づいてLGBT の人々に対して合計236件の人権侵害が行われた。この数は、性的指向及び/又は性自認に基づく違反がそれぞれ69件と74 件しか記録・検証されなかった2018年(平成30年)と2017年 (平成29年)のLGBT の人々に対する違反の総数よりもはるかに多い。 2019年(平成31年・令 9件と74 件しか記録・検証されなかった2018年(平成30年)と2017年 (平成29年)のLGBT の人々に対する違反の総数よりもはるかに多い。 2019年(平成31年・令和元年)には、LGBT の人々が恣意的に逮捕された事件が161件あった。これらの事件は、LGBT の人々が罪を犯した、又は犯そうとしているという合理的な疑いがないのに逮捕さ れた場合、法律上存在しない犯罪で起訴された場合、逮捕されても起訴されなかった場合、又は逮捕後に説明もなく起訴内容が変更された場合に発生した。 ある事件では、LGBT の人々たちの社交場として知られるバーから127人が逮捕された。逮捕の際、私服の警察官が大麻の入った袋を見せ、 逮捕された人たちが麻薬を所持していたと主張した。逮捕者は中央警察署に連行され、最初は麻薬及び向精神薬取締法に基づく麻薬所持の罪で起訴された。この容疑は、後に刑法に基づく「一般的な迷惑行為である」という容疑に変更された。逮捕がバーを囲むコミュニティからの騒音の苦情や他の苦情に対して行われなかったことを考慮すると、この起訴は 疑わしく事実無根である。起訴内容が変更されたという事実は、逮捕された人たちが、推定されるセクシュアリティと性自認及び表現のために逮捕され、「罰せられる」ようにする意図が逮捕した警官の側にあったことを示している。 LGBT 団体のオフィスをコミュニティメンバーが取り囲み、施設内に いた16人のMSM(男性と性行為を行う男性)とトランスジェンダーの人々が閉じ込められた。警察は、施設に閉じ込められたグループを助けに来たが、暴徒化したコミュニティメンバーを解散させた後、MSMの16人全員を逮捕し、同時に同性愛嫌悪的な侮辱を浴びせた。この逮捕は、警察がLGBT の 。警察は、施設に閉じ込められたグループを助けに来たが、暴徒化したコミュニティメンバーを解散させた後、MSMの16人全員を逮捕し、同時に同性愛嫌悪的な侮辱を浴びせた。この逮捕は、警察がLGBT の人々を暴力的な攻撃から守るために呼ばれたに も関わらず、推定される性的志向や性自認を理由に逮捕してしまったこ とから、恣意的なものであると考えられる。また、この事件は裁判所に進まなかったことから、警察官は「自然の摂理に反する性交を行っていた」という罪は裁判所で立証できないことを認識していたはずであったにも関わらず、LGBT の人々を「罰する」目的で逮捕したことを示していた可能性がある。 あるケースでは、ゲイの男性が逮捕され、刑法(ウガンダ刑法)145条の下で起訴された。彼がまだ拘留されている間に、彼の友人2人が訪ねてきたが、警察署の担当者が「ホモのように見える」との見解を示したために友人2人も逮捕された。 16人のLGBT がR にある組織の敷地内に閉じ込められた事例では、 警察が介入するように要請された。近隣住民や地域の住民が建物を囲み、LGBT の人々を侮辱し脅迫していた。これら暴徒を解散させると警察は16人のLGBT の、拷問及び残虐で非人道的かつ品位を欠く扱いや罰からの自由の権利を、彼らを逮捕し拘置所において食べ物を与えないことにより侵害した。 オウガンダにおける同性愛者をめぐる状況(ア) ウガンダにおける同性愛者等に適用され得る刑罰法規、人権執行法の制定、施行状況等ウガンダ憲法に「同性間の結婚は禁止される」と定められていること、ウガンダ刑法145条が自然の理に関する人間同士の性交を刑罰の対象 としていること、2014年反同性愛法が成立したものの無効と判断されたこと(前記イ(ア 婚は禁止される」と定められていること、ウガンダ刑法145条が自然の理に関する人間同士の性交を刑罰の対象 としていること、2014年反同性愛法が成立したものの無効と判断されたこと(前記イ(ア)~(ウ))は、その点については当事者双方ともおおむね同旨の主張をしていること、外国政府や国際機関が作成したため信用性が高いと考えられる証拠(英国内務省作成の国別情報等(甲14、乙20)、UNHCR 作成の出身国情報(乙21))による裏付けがあるこ とから、その旨認められる。 2021年性犯罪法案がウガンダ議会で可決されたがC大統領により議会に差し戻され、施行されていないこと(前記イ(エ))、人権執行法が制定されて施行されていること(前記ウ)については、その旨の複数の報道がされており、その報道内容相互に矛盾が見られないから、その旨認められる。 (イ) ウガンダにおける同性愛者に対する法執行状況等a 検討の視点前記イ(イ)のとおり、ウガンダ憲法は同性間の結婚を禁止し、ウガンダ刑法145条は、自然の理に反する人間同士の性交を行う者等は罪を犯しているとして、終身刑を科す旨規定している。2014年反 同性愛法が成立したものの施行されず、他方で人権執行法が施行されている事実は認められるものの、依然として上記ウガンダ憲法及びウガンダ刑法145条は改正等がされていない。 ウガンダ刑法145条は、少なくとも文理上は同性愛者間の性交を処罰の対象としていると解釈されるため、同条がその条文どおりに 適用されている限り、同性愛者はウガンダにおいて刑事罰の対象となり、その前段階として身体拘束を伴う強制捜査の対象となり得ることとなる。 前記ウ認定のとおり、ウガンダでは、同性愛者であることを理由に、ウガンダ刑法145条又 者はウガンダにおいて刑事罰の対象となり、その前段階として身体拘束を伴う強制捜査の対象となり得ることとなる。 前記ウ認定のとおり、ウガンダでは、同性愛者であることを理由に、ウガンダ刑法145条又はその他の法律を適用されて身体拘束を 伴う強制捜査や刑事罰の対象とされているという報告もみられる。 以上のとおり、ウガンダでは同性愛者を処罰するに等しい刑法が効力を有している以上、原則として、処罰又はその前提たる捜査における身体拘束を伴う強制捜査がされ得る現状にあると推認せざるを得ない。 しかし、被告は、これらの報告の信用性を争い、ウガンダでは同 性愛者であることを理由に身体拘束を伴う強制捜査がされた例、処罰された例はなく、今後もそのおそれはないと主張する。 そこで、被告の主張に即して、上記各報告の信用性を検討することとする。 b HRAPF の属性及びHRAPF 報告書の信用性 被告は、ウガンダにおいてウガンダ刑法145条又はその他の法律により同性愛者に対する身体拘束等がされている旨の上記各報告は、HRAPF 報告書を原資料として、HRAPF 報告書記載の事実をそのまま報告しているものが多いと指摘する。そもそもHRAPF は人権擁護を目的として活動する民間団体であることからすると、国際世論への 問題提起のため、LGBTI であることを理由とする人権侵害と呼べるか疑義のあるものを含めて広く「人権侵害」として事例を取り上げている可能性を否定することができないと主張する。したがって、HRAPF 報告書において各事例に対して加えられている評価も、HRAPF による一面的な評価となっている疑いが強いことに留意する 必要があると主張する。 具体的には、HRAPF 報告書2019の記載が新聞報道(ロイタ 事例に対して加えられている評価も、HRAPF による一面的な評価となっている疑いが強いことに留意する 必要があると主張する。 具体的には、HRAPF 報告書2019の記載が新聞報道(ロイター通信、2019年11月13日配信記事、乙34の1・2)に反しており、その記載が正確性、客観性を欠くとも主張する。 すなわち、被告は、HRAPF 報告書2019において、LGBT の 人々の社交場として知られるバーから127人が逮捕され、その後起訴内容が麻薬所持から「一般的な迷惑行為」に変更された事例につき、「逮捕された人たちは、推定されるセクシュアリティと性自認及び表現のために逮捕され、「罰せられる」ようにする意図が逮捕した警官の側にあったことを示している。」としている点を問題視している。 被告は、この点についての新聞報道(乙34の1・2)は、本件で摘 発されたバー以外にも、法律上違法とされる水たばこが使用されている複数の場所で捜査を実施しているとされているから、本件は同性愛者を標的としたものではないと指摘する。 被告の上記指摘はもっともな点を含むが、上記記事において、上記捜査が水たばこに係るものであることはウガンダ警察の談話として 記載されている部分であるから(乙34の1・2)、少なくともその部分は上記記事の執筆者自身が事実として確認した上で記載したものではなかったと推認する余地が残る。 他方、HRAPF 報告書2019には、LGBT 団体のオフィスに閉じ込められたLGBT16人が、警察に逮捕され、同時に同性愛嫌悪的な 侮辱を受けたと記載されているところ、この記載は、上記新聞報道中の「先月(2019年10月)、16人のLGBT+の活動家は、警察が彼らの慈善事業所と住居へ踏み込み、肛門検査を受けさせた 的な 侮辱を受けたと記載されているところ、この記載は、上記新聞報道中の「先月(2019年10月)、16人のLGBT+の活動家は、警察が彼らの慈善事業所と住居へ踏み込み、肛門検査を受けさせた後、ゲイセックスをしたとの疑いで拘束、逮捕された。」(乙34の1・2)と整合する(その記載内容からすると、難民研究フォーラムによる調 査報告(2021年12月2日、甲60)に引用されるドイツ連邦移民難民庁(BAMF)作成の「国別報告30号ウガンダ:LGBT 当事者の状況」(2020年10月)記載の2019年(令和元年)10月のPにおける逮捕事例(上記エ(オ)d(b))と同一であると推認される。)。 上記新聞記事は、ロイター通信という世界的に著名な通信社が配信し たものであるから(乙34の1・2)、その報道内容は相応の信用性を有すると推認することができる。上記新聞記事の当該部分は、LGBT 関係者や警察による談話という形ではなく、事実として報じていること、肛門検査を受けさせてゲイセックスをしたとの疑いで拘束、逮捕されたと具体的な事実を列挙して明言していることからすると、 これと整合するHRAPF 報告書2019は、少なくとも上記の限りで は事実の裏付けを伴うものとして信用性を有するものといえる。 以上の説示をまとめると、前記のとおり、被告は、HRAPF が人権擁護を目的として活動する民間団体であり、一定の党派性を有することが避け難く、その報告内容も中立公平であることが保証されないなどと主張する。そして、HRAPF 報告書中の事実に他の証拠による裏 付けを確認することができない事実が含まれていることを指摘し、HRAPF 報告書は看過し難い疑義があると主張する。 確かに、被告の上記指摘は無視し得ない部分を含むもの の事実に他の証拠による裏 付けを確認することができない事実が含まれていることを指摘し、HRAPF 報告書は看過し難い疑義があると主張する。 確かに、被告の上記指摘は無視し得ない部分を含むものの、他方で、HRAPF 報告書には、前記認定のとおり、他の信用性の高い証拠との整合性を有する部分も存するのであって、HRAPF 報告書に看過 し難い疑義があっておよそ証拠としての価値はないという被告の主張は極論である。 そして、外国政府や国際機関、各種団体は、自らの名義で報告を行う以上は、いかに依拠すべき証拠が少なくとも、およそ信用性の認め難い報告等を引用することはないと考えられる。換言すれば、外国 政府や国際機関、各種団体が作成している上記各報告においてHRAPF 報告書が引用されているのは、HRAPF 報告書が看過し難い疑義を有するものではなく、少なくとも他の信用性の高い証拠と整合するなど一定の信用性を有するものであるとの評価を前提としていると解するのが合理的である。 以上のとおりであるから、HRAPF 及びHRAPF 報告書は、信用性について慎重に判断すべき部分があることは否定することはできないが、少なくとも証拠として用いるに値する最小限の信用性を有する部分があるというべきであり、そのことは外国政府や国際機関、各種団体においても同様に認識しているというべきである。 c 考察 前記エ(カ)c認定のとおり、米国国務省ウガンダ人権報告書(2018年版)は、同性同士の性行為は、合意の上であっても、植民地時代の法律に従って違法であり、法律では「自然の理法に反する何人との交接」も刑事罰とし、最も重い刑罰は終身刑であると報告している(甲42、23頁)。ここにいう植民地時代の法律とは、文脈から見 代の法律に従って違法であり、法律では「自然の理法に反する何人との交接」も刑事罰とし、最も重い刑罰は終身刑であると報告している(甲42、23頁)。ここにいう植民地時代の法律とは、文脈から見 てウガンダ刑法145条等のことを指すものと推認される。上記報告書は、外国政府が作成した報告書であって、類型的に見て一定の信用性を有するといえる。前記b認定のとおり、同性愛者と見られれば、肛門検査を受けさせられた後にゲイセックスをしたとの疑いで拘束された事例が存在するところ(2019年(令和元年)10月のPにお ける逮捕事例。乙34の1・2、上記エ(オ)d(b))、上記米国国務省ウガンダ人権報告書の報告はそのような逮捕事例とも整合するので、なお一層、信用性を有するといえる。 このように、ウガンダにおいては、同性愛者に対してウガンダ刑法145条その他の法律が適用され、刑事罰の対象とされること、少 なくともその嫌疑で逮捕等の身体拘束を伴う強制捜査が行われたことが認められる。 また、前記イ認定のとおり、2014年反同性愛法は成立後にウガンダ憲法裁判所から無効宣言され、2021年性犯罪法案はウガンダ議会で可決されたがC大統領が却下して施行に至っていないが、C 大統領が却下した理由は、2021年性犯罪法案が既にウガンダ刑法で規定されている犯罪を扱っているという点にある。その後もウガンダ刑法145条等は廃止等の措置がとられた形跡はうかがわれない。 他方、前記ウ認定のとおり、デイリー・ビースト紙(2018年3月6日発行、乙23の1・2)において、ウガンダ人権執行法が制 定、施行され、前記エ(エ)認定のとおり、ウガンダのLGBTI に対する 逮捕事例等が減少するなど人権状況が好転しているとの評価もみられるところである。 て、ウガンダ人権執行法が制 定、施行され、前記エ(エ)認定のとおり、ウガンダのLGBTI に対する 逮捕事例等が減少するなど人権状況が好転しているとの評価もみられるところである。 しかし、その後である2019年(令和元年)10月に前記のとおりPにおける逮捕事例が発生していることを踏まえると、ウガンダにおけるLGBTI をめぐる人権状況は、好転している部分もみられる が、道半ばと評価するのが相当である。 以上のことからすれば、ウガンダにおいては、同性間の性行為が違法とされている上、同性愛者は処罰の対象となるものであるとの認識が、改善されている傾向がうかがわれないではないものの、依然として根強いことも認められる。 (4) 原告の難民該当性についてア特定の社会的集団の構成員への該当性について前記(1)のとおり、「難民」とは、「人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に」迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するものをいうところ、原告は、 レズビアンであることを理由に「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」ものであると主張する。 そこで、まず、原告がレズビアンであることが上記の「特定の社会的集団の構成員であること」に該当するのかを検討する。前記(3)イのとおり、ウガンダでは、ウガンダ刑法145条が、自然の理に反する人間同士の性 交を行う者は、罪を犯しているとして、終身刑を科す旨規定するほか、同性愛そのものに反対する立法活動がされるなどしている。これは、前記(3)イ及びウの諸事情を踏まえると、ウガンダにおいては、同性間の性行為については、合意によるものであっても、終身刑という重い刑罰を科する対象とするなどする 法活動がされるなどしている。これは、前記(3)イ及びウの諸事情を踏まえると、ウガンダにおいては、同性間の性行為については、合意によるものであっても、終身刑という重い刑罰を科する対象とするなどするものであり、同性愛行為そのものを違法と捉えてい るものと解される。そうすると、ウガンダにおいては、同性愛行為をする 者すなわち同性愛者を、その性的指向に着目して、そうでない者と区別される一つの人的範疇と捉えた上で、この範疇に属する者を、上記のとおり、刑罰を科する対象とするなどしているといえる。このような事情が認められる本件においては、同性愛者であることをもって、上記の「特定の社会的集団の構成員であること」に該当すると解するのが相当である。 原告が同性愛者のレズビアンであることについては当事者間に争いがない。そうすると、本件においては、原告がレズビアンであることをもって、上記の「特定の社会的集団の構成員であること」に該当すると解するのが相当である。 そこで、以下、原告がレズビアンであることを「理由に迫害を受けるお それがあるという十分に理由のある恐怖を有する」ものであると認められるかについて検討する。 イ原告がレズビアンであることを理由にE警察署の警察官に逮捕・勾留され、暴行を受けたか否かについて原告は、別紙2「当事者の主張」(1)(原告の主張)エ(ア)から(ウ)まで 並びにオ(イ)a及びbのとおり、2017年(平成29年)頃に家にやってきた警察官に逮捕され、E警察署において逮捕・勾留され、棒で殴られる暴行を受けた、その暴行により現在も原告の身体には傷跡等が残っていると主張する。 原告が主張する上記事実を直接に裏付ける証拠は、原告本人の陳述及び 供述にほぼ限られている。したがって、原 る暴行を受けた、その暴行により現在も原告の身体には傷跡等が残っていると主張する。 原告が主張する上記事実を直接に裏付ける証拠は、原告本人の陳述及び 供述にほぼ限られている。したがって、原告の供述等の信用性を慎重に判断することが必要となるところ、まずは、他の証拠によっても認められる客観的な事実との整合性を有するといえるか否かについて検討する。 (ア) ウガンダにおける同性愛者の置かれた状況前記(3)オのとおり、ウガンダにおいては、LGBTI をめぐる人権状況 は改善されつつも道半ばであって、同性愛者に対してウガンダ刑法14 5条その他の法律が適用されることで刑事罰の対象とされ、その嫌疑で逮捕等の身体拘束を伴う強制捜査が行われたことが認められる。 したがって、原告がレズビアンであることを理由に逮捕、勾留等されたとの原告の供述等は、ウガンダにおける同性愛者の置かれた状況に矛盾しないので、相応の信用性を有するといえる。 (イ) 医療記録等との整合性について原告は、警察官らの暴行により手足と臀部に傷を負ったことを裏付ける証拠として、B病院の医師作成の入院患者退院フォーム等の医療記録(甲24~27の各1・2)、原告の手足及び臀部の傷痕の写真(甲15、45)並びにS医師作成の診断書(甲16)及び意見書(甲46) を提出する。 a まず、令和2年4月24日及び令和3年8月11日に原告の手足及び臀部を撮影した写真(甲15、45)との整合性を検討する。 これによると、原告の手足には楕円状ないし細長い傷痕が複数あるほか、臀部には細長く皮膚の凹みを伴い黒く変色した傷痕があるこ とが認められる。原告は、警察官らから棒で殴られるなどの暴行を受けたと陳述、供述するところ、この傷痕の形状は、棒のような細長いも ほか、臀部には細長く皮膚の凹みを伴い黒く変色した傷痕があるこ とが認められる。原告は、警察官らから棒で殴られるなどの暴行を受けたと陳述、供述するところ、この傷痕の形状は、棒のような細長いものが強く当たったために生じたものと考えても矛盾しないから、原告の上記供述は上記傷痕と整合的である。 b 次に、B病院作成の医療記録(甲24の1・2)との整合性を検討 する。 B病院の医師作成の2017年(平成29年)11月7日付けの入院患者退院フォーム(甲24の1・2)には、「入院日2017年(平成29年)4月8日退院日2017年(平成29年)11月7日」、診断として「1.暴行による臀部の外傷 2.臀部(の外傷に よる)敗血症 3.神経失調症-腐敗性の傷」、臨床概要として「2 017年(平成29年)4月7日夜、暴力を受けた31歳の女性を入院させた。彼女は臀部に(化膿による)開放性の傷があり、体が腫れていた。のちに敗血性の傷が深部まで達し、時間がたつにつれ腐敗し、4か月目に皮膚移植を行った。」、病院での取扱概要として「①…傷の手当、皮膚移植 ②…改善したため自宅での療養を許可」との各記載 がされていることが認められる。この記載を前提とすると、原告は、2017年(平成29年)4月7日以前に、臀部への暴行を受けて開放性の傷を負い、同日夜の時点でこれが化膿し、体が腫れるまでになっていたこと、翌8日にB病院に入院したが、傷が深部まで達して腐敗したために入院から4か月後に皮膚移植をしたこと、臀部の傷が原 因で神経失調症が生じたことが推認されることとなる。 S医師作成の令和2年4月24日付けの診断書(甲16)によれば、原告の病名が両下肢深部静脈血栓症であり、これにより断続的に疼痛を来し、しばしば跛行となるところ、他 じたことが推認されることとなる。 S医師作成の令和2年4月24日付けの診断書(甲16)によれば、原告の病名が両下肢深部静脈血栓症であり、これにより断続的に疼痛を来し、しばしば跛行となるところ、他にさしたる疾患が見られないため上記疾患の原因は外傷であると診断されたことが認められ、 S医師の意見書(甲46)によれば、原告の傷はいずれも外傷が原因と考えられること、初診時(令和2年4月24日)において、特に臀部の傷の状態が最もひどく、他にも手足に傷があったこと、原告が両下肢に強い疼痛を訴えており、疼痛により正常な歩行ができない状態であったこと、現在でも臀部の傷がケロイド状になっており、これが 皮膚移植の痕であると診断されたことが認められる。 そうすると、B病院作成の医療記録はS医師の診断と整合するため信用性を有し、これと前記a を併せて考えると、原告は、2017年(平成29年)4月7日以前に棒のような細長い物が強く当たったために臀部に傷を負い、これが治療されないまま化膿し、敗血症を発 症して皮膚移植が必要になってB病院で手術を受けたこと、この傷が 原因となって、令和2年4月の時点で、両下肢深部静脈血栓症と診断され、疼痛により正常な歩行ができない状態であったことが認められる。 c 上記医療記録等から認められる事実との整合性を検討する。 原告は、E警察署の警察官らに逮捕された日に暴行を受けて、座 ることができないほどのけがを臀部に負い、その後、治療を受けることができないまま農場で強制労働させられたが、逮捕されて2か月を過ぎた頃には歩けなくなったと陳述、供述する。このような経過は、上記a及びbにて認定した事実、すなわち、原告の臀部の傷が治療されないまま化膿し、敗血症を発症して皮膚移植が必要になったこと、 月を過ぎた頃には歩けなくなったと陳述、供述する。このような経過は、上記a及びbにて認定した事実、すなわち、原告の臀部の傷が治療されないまま化膿し、敗血症を発症して皮膚移植が必要になったこと、 その後、この傷が原因となって両下肢深部静脈血栓症を発症し、令和2年4月の時点では、疼痛により正常な歩行ができない状態であったことと整合している。 そして、原告が、原告の供述する警察官らによる暴行の他に臀部に上記のような重篤な傷を負う事情が見当たらないことを併せて考え ると、原告が警察官らから棒で叩くなどの暴行を受け、手足のほか臀部に傷を負ったとする供述には裏付けがあり、その信用性が高められているといえる。 また、B病院の医師作成の入院患者退院フォーム(甲24の1・2)には、次回来院予約として「2017年(平成29年)11月2 8日」との記載があり、これは、B病院を退院した後にもう一度病院に行った際に母親の下から逃げ出したという原告の陳述ないし供述(甲80、原告本人)とも整合しており、このことも原告の供述の信用性を基礎付けるものといえる。 なお、この点、原告は、本人尋問において、退院後にB病院を受 診した時期を数日後と述べており、上記入院患者退院フォームの記載 と整合しないが、後記(エ)aのとおり、原告は年月日の詳細については把握する意識がなく、また、B病院を受診したのが5年以上も前であることを踏まえると、上記時期の相違は原告の供述の信用性を減殺する事情ではない。 d 被告の主張について検討する。 被告は、原告が警察官に暴行を受けた旨の前記陳述、供述は信用性を有しないと主張し、その根拠として、以下の点を指摘する。 ① 原告は、以前、手足にも傷を負い、左足は手術をするほどのけがをしていたと述べた は、原告が警察官に暴行を受けた旨の前記陳述、供述は信用性を有しないと主張し、その根拠として、以下の点を指摘する。 ① 原告は、以前、手足にも傷を負い、左足は手術をするほどのけがをしていたと述べたにもかかわらず、前記の入院患者退院フォーム(甲24の1・2)にはその旨の記載がなく、むしろ「骨折な し。胸部器官はすべて正常で注意を引くところはない。」との記載がある。 ② 原告は陳述書(甲80)ではB病院で入院した直後に手術を受けたと陳述するが、入院患者退院フォームでは入院後4か月後に皮膚移植をしたと記載されている。 ③ 原告は本人尋問においてB病院で2回手術を受けたと供述するが、入院患者退院フォームには皮膚移植のほか手術の記載はないことから、原告の陳述ないし供述は入院患者退院フォームと整合しない。 ④ 入院患者退院フォームには、暴行の主体が警察官らであるとの記 載がないことから、暴行の主体が警察官らであるとは認められない。 まず、①について検討する。 証拠(乙4)によると、原告は、令和2年3月1日、大阪入管関西空港支局入国警備官に対し、「警察官から受けた暴行が原因で、臀 部及び左脚を手術し、約6か月間入院しました」と供述していたこと が認められる。しかし、証拠(乙11の1・2)によれば、原告が令和2年3月3日に作成した難民認定申請書には、臀部の中にあったpurse(原文のまま。なお、文脈から膿(pus)のことを指しているものと解される。)を除去するために受けた手術により臀部に痛みがあり、また、これにより左足も痛む旨記載しており、原告が左足の痛み の原因が臀部の手術にあると考えていたと推認される。このことからすると、原告がいう「臀部及び左脚の手術」というのは臀部及び左足の痛みの原因となっ より左足も痛む旨記載しており、原告が左足の痛み の原因が臀部の手術にあると考えていたと推認される。このことからすると、原告がいう「臀部及び左脚の手術」というのは臀部及び左足の痛みの原因となっている臀部の手術を指すものと理解するのが合理的である。そうすると、原告の大阪入管関西空港支局入国警備官に対する上記供述は、臀部の傷とは別に、左足に手術を要するような傷が あったことを述べるものとはいえないから、入院患者退院フォームに左足に係る手術の記載がないことと矛盾しない。 また、原告は警察官の暴行により手足に傷害を負ったと供述しているのに、入院患者退院フォームには、臀部以外の傷についての記載がない。しかし、入院患者退院フォームの記載内容をみると、入院の 原因となった主たる臨床症状や骨折の有無及び胸部器官の異常という臨床上特に重要で入院の原因となるほど重篤な検査結果等を記載していることがうかがわれるところ、原告の手足の傷は縫合や手術などの特段の入院治療を必要とするほど重篤なものであったとは認められないので(甲16、46)、その傷が記載されていなかったとしても殊更 に不自然ではない。 次に、②及び③について検討する。 被告が指摘するとおり、原告はB病院で入院してそのまま手術を受けたと陳述し(甲80)、本人尋問においては、B病院では2回手術を受けたと供述するところ、入院患者退院フォームには入院後4か 月後に皮膚移植をしたと記載があり、その他の手術の記載はないから、 一見すると、原告の陳述ないし供述と入院患者退院フォームの記載内容は整合しない。 そこで、原告の供述を子細に検討するに、原告は、本人尋問において、B病院に行く途中で気を失ってしまい、目が覚めたら病院のベッドの上に寝ており、自分の身体にプラスタ ォームの記載内容は整合しない。 そこで、原告の供述を子細に検討するに、原告は、本人尋問において、B病院に行く途中で気を失ってしまい、目が覚めたら病院のベッドの上に寝ており、自分の身体にプラスターと白のガーゼが付いて いたので手術を受けたと分かった、2回目の手術については何も聞こえなかった、お尻の手術をした旨を述べている。 さらに、後掲各証拠からB病院にて行われた医療行為の詳細を検討するに、入院患者退院フォームには、前記のとおり、「彼女は臀部に(化膿による)開放性の傷があり、体が腫れていた。のちに敗血性 の傷が深部まで達し、時間がたつにつれ腐敗し、4か月目に皮膚移植を行った。」、「①…傷の手当、皮膚移植」と記載されている。かかる記載は、原告には入院直後から開放性の傷はあり、一旦手当をしたが、その後も悪化したので4か月目に皮膚移植をしたという趣旨と解するのが合理的である。そして、B病院作成の「第一薬局保健省B病院 外来患者科」と題する書面(甲27の1・2。薬の処方記録と解される。)によれば、2017年(平成29年)6月7日に原告に点滴薬、同年7月1日にはガーゼ等が処方されたことが認められるから、それぞれその頃に、原告に点滴が投与され、ガーゼの交換を伴う手技等がされたと推認される。また、同じくB病院作成の「検査室への要請」 と題する書面(甲25の1・2)によれば、2017年(平成29年)6月21日に手術室用に原告について血液凝固時間及び出血時間を検査するよう依頼をし、検査の結果、正常と報告されたことが認められる。このことからすると、B病院では、原告に対し、入院後4か月目に実施された皮膚移植の手術の前である2019年(令和元年)6月 ないし7月頃にも点滴やガーゼ等を使用しての手当や、手術のための のことからすると、B病院では、原告に対し、入院後4か月目に実施された皮膚移植の手術の前である2019年(令和元年)6月 ないし7月頃にも点滴やガーゼ等を使用しての手当や、手術のための 検査などを実施していたことが認められる。これを上記の原告の本人尋問における供述と併せて考えると、実際には、入院直後は手術ではなく傷の手当を受けたにすぎないところ、原告は、入院直後に目が覚めた際、プラスターやガーゼが施されていたことから手術を受けたと考えて、これを1回目の手術と述べ、その後の皮膚移植の手術を2回 目の手術と称して供述したものと考えるのが合理的である。そうすると、原告の陳述及び供述は、B病院における治療を原告なりに理解し推認して述べた結果、入院患者退院フォームの記載内容と齟齬が生じたように見える表現をしたにすぎないといえるのであって、これにより、原告の陳述ないし供述の信用性が殊更に減殺されるというもので はない。 ④について検討する。 確かに、入院患者退院フォームには、暴行の主体が警察官らであるとの記載はない。しかし、入院患者退院フォームは、医師が、入院患者が退院する際にその症状や臨床結果を記載するために作成するも のである。そもそも、暴行の主体が誰であるかによって治療方針が異なることとなるとは考え難いから、同フォームに暴行の主体が記載されなかったことに特段の意味を見出すことはできず、ましてや、暴行の主体の記載がないことによって警察官による暴行がなかったことをうかがわせることにはならない。 原告は、本人尋問において、Tから暴力を受けていた旨を述べるが、他方、Tは拳で原告を殴っており道具を使って原告に暴力を振るったことはないとも供述する。しかし、原告の手足や臀部の傷痕の形状は多くが細長い形をし 人尋問において、Tから暴力を受けていた旨を述べるが、他方、Tは拳で原告を殴っており道具を使って原告に暴力を振るったことはないとも供述する。しかし、原告の手足や臀部の傷痕の形状は多くが細長い形をしており、このような傷痕が人の拳によって生じるとは考え難く、Tの手拳による暴行により生じた傷痕とはいい難 い。 以上によれば、被告の指摘する上記①ないし④の点は、原告の上記陳述ないし供述の信用性を減殺するものとまではいえない。 (ウ) ウガンダの一般情勢(刑事手続)との整合性について原告は、警察官らに逮捕されて3か月間身柄拘束された、身柄拘束中は農場で強制労働させられた、身柄拘束中はE警察署から食事は与えら れなかった、ウガンダでは警察署に収容されている人を、警察ではなく、通報した人等が世話をしなければならないと陳述、供述する。 これに対し、被告は、①英国内務省作成の「国別政策及び情報ノートウガンダ:性的志向及び性自認と性表現」によれば、2017年(平成29年)当時、ウガンダにおいてLGBT と疑われた人が身柄拘束され た期間はせいぜい1週間であり(前記(3)エ(イ)c、甲14(13頁))、米国国務省ウガンダ人権報告書(2020年版、2021年版)によっても身柄拘束の期間は8日間、長いものでも約2か月であること(甲73(25頁)、甲77の2(5頁))、②ウガンダでは、被拘留者には警察署が食事を与えることから、原告の陳述、供述する上記内容は、ウガ ンダの一般情勢(刑事手続)とかけ離れていると主張する。 まず、①について検討する。 前掲各証拠によれば、各報告書等ではLGBT の者が身柄拘束された事案について被告が主張するとおりの内容が報告されていることが認められる。一方で、前記(3)エ(カ)bのとおり、 について検討する。 前掲各証拠によれば、各報告書等ではLGBT の者が身柄拘束された事案について被告が主張するとおりの内容が報告されていることが認められる。一方で、前記(3)エ(カ)bのとおり、米国国務省ウガンダ人権報 告書(2018年版)は、ウガンダの警察を含む当局は、容疑者を無令状逮捕することが多く、起訴することなく法定の身柄拘束時間を超えてより長く拘留することが多いとの報告がされており(甲42(5頁))、英国内務省作成の「国別政策及および情報ノートウガンダ:性的指向および性自認と性表現」(2019年4月)が引用するHRAPF 報告書 2018にも同旨の記載があると報告されている(前記(3)エ(イ)c、甲 14(13頁))。そして、被告が指摘する事例は、HRAPF 等の団体が事後的にでも把握し、検証できたものに限られるのであって、それ以外の違法拘束事例が存在しないという保証はないこと、被告が指摘する米国国務省ウガンダ人権報告書(2020年版)でも2か月間という比較的長期の身柄拘束がされた事例が報告されていること(甲73(25 頁))を踏まえると、原告が約3か月間にわたって身柄拘束されたという供述内容がウガンダの一般情勢(刑事手続)に明らかに反するとはいえない。 次に、②について検討する。 前記(3)エ(カ)のとおり、米国国務省ウガンダ人権報告書(2018年 版)によれば、ウガンダ人権委員会の報告では、未特定の数の警察署の被拘留者が丸一日食事を与えられずに過ごすことがあり、被拘留者の多くは食料を家族に依存していると報告されている(甲42(4頁))。このような報告からすると、ウガンダの警察署の中には、警察署が被拘留者に食事を提供するところばかりではなく、1日中食事が提供されず、 被拘 族に依存していると報告されている(甲42(4頁))。このような報告からすると、ウガンダの警察署の中には、警察署が被拘留者に食事を提供するところばかりではなく、1日中食事が提供されず、 被拘留者がその家族等から援助を受けて食事を賄っているところもあると認めることができるから、原告の上記陳述ないし供述に整合している。 そうすると、原告の上記陳述ないし供述は、ウガンダの一般情勢(刑事手続)に整合しないものではなく、被告の指摘する事情は原告の上記陳述ないし供述の信用性を減殺するものではない。 (エ) 供述の変遷についてa 身柄拘束された時期について被告は、原告が、E警察署に身柄拘束された時期について、難民調査時には2012年(平成24年)であるとの趣旨の供述をしていたにもかかわらず、その後、身柄拘束された時期は2017年(平成 29年)であると供述を変遷させていると主張する。 この点、証拠(乙2、4)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、令和2年2月26日に大阪入管関西空港支局入国審査官がした事情聴取において、同入国審査官に対し、「2年前の2月22日にEPrisonという監獄に入れられ」た、すなわち2018年(平成30年)2月22日に身柄拘束されたと述べるとともに、原告がレズビアンである ことを認めない両親が警察に通報したと述べ、令和2年3月1日に大阪入管関西空港支局入国警備官がした違反調査において、同入国警備官に対し、約2年前すなわち2018年(平成30年)頃に両親から強制的に結婚させられそうになったため、両親に対して自分はレズビアンであることを告げたところ、母親が警察に通報したと述べている。 また、証拠(乙11の1・2)によれば、原告が令和2年3月3日に作成した難民認定申請書には、2 め、両親に対して自分はレズビアンであることを告げたところ、母親が警察に通報したと述べている。 また、証拠(乙11の1・2)によれば、原告が令和2年3月3日に作成した難民認定申請書には、2017年(平成29年)にウガンダ政府又はウガンダ警察から迫害を受けるおそれを感じた、高校を中退した後、両親に強制的に結婚させられ、その相手の子を妊娠したが流産した、その後、両親の自宅に戻ったが、母親から結婚相手のと ころに戻るよう言われて拒否し、母親に原告がレズビアンであることを伝えた、原告はそのまま家を出てレズビアン集団の下に行ったところ、パートナー(U)ができた、両親は原告の跡をつけ、警察に原告のことを通報し、E警察署で逮捕されたという記載がある。 さらに、証拠(乙12)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、令 和2年3月13日に大阪入管難民調査官がした事情聴取において、同難民調査官に対し、2年くらい前すなわち2018年(平成30年)頃にレズビアンであることでE警察署に逮捕されたと述べ、加えて、23歳か24歳頃に高校を中退した直後にTと結婚させられた、26歳頃にTの子を妊娠したが、Tの暴力で流産し、病院を退院した後1 週間ほど実家で過ごしたところ、Tの元に戻るよう言われ、実家を出 てVのメンバーと生活し始めた、その後、両親は原告の居場所を突き止め、母親が警察に通報したと述べたことが認められる。 以上の原告の供述経過をみるに、原告は、本邦に入国した翌日である令和2年2月26日には、2018年(平成30年)に身柄拘束されたと述べ、難民認定申請書には2017年(平成29年)に身柄 拘束されたという内容の記載をしている。そして、原告は、大阪入管難民調査官がした事情聴取においては、26歳頃すなわち2012年(平成 たと述べ、難民認定申請書には2017年(平成29年)に身柄 拘束されたという内容の記載をしている。そして、原告は、大阪入管難民調査官がした事情聴取においては、26歳頃すなわち2012年(平成24年)頃にTの子を妊娠して流産し、その後実家を出た後に母親が警察に通報して身柄拘束されたと述べているところ、原告は、これらの出来事を一連の出来事のように述べているが、同事情聴取に おいては、2018年(平成30年)頃に逮捕されたとも述べており、このことからすると、大阪入管難民調査官に対する上記供述は、2012年(平成24年)頃に流産した後に実家を出た直後に逮捕されたことを意味するのではなく、原告がレズビアンであることを告げて実家を出た後、しばらくしてから、両親が原告の居場所を突き止めて通 報し、逮捕されたことを意味するものと解するのが合理的である。そうすると、上記の原告の身柄拘束に係る時期の供述ないし記載は、2017年(平成29年)ないし2018年(平成30年)に身柄拘束されたという点で一貫しているといえる。 そして、原告は、本人尋問において、ウガンダにいたときには年 月日といったものを意識しなかったので、詳細な時期を聞かれても分からないと何度も繰り返し述べており、自身が高校を中途退学した時期についても曖昧な部分がみられる。自身が高校を中途退学した時期のように、客観的には明らかな事実であり、かつ、本件に大きな影響を及ぼさないような事実について、原告が虚偽を述べる意味はない。 そもそも、原告は、曖昧な供述を避けるため必死に記憶を喚起し、供 述内容を作り込むだけの時間的な余裕はあったと思われるが、そのような手立てが採られた形跡は見られない。原告のそのような素朴ともいえる供述態度に鑑みれば、原告は、年月日等 記憶を喚起し、供 述内容を作り込むだけの時間的な余裕はあったと思われるが、そのような手立てが採られた形跡は見られない。原告のそのような素朴ともいえる供述態度に鑑みれば、原告は、年月日等の時間の区切りを意識しない生活を続け、時間感覚が鋭敏とはいえない状態に至った結果として、曖昧と受け止められ得る供述をすることとなったとみるのが合 理的であり、原告が敢えて虚偽を述べたとか事実を隠蔽したと受け止めるのは相当とはいえない。原告の供述等に1年程度の時期の齟齬があるからといって、原告の供述が不合理に変遷しているとはいえない。 b 身柄拘束に至る経緯について被告は、原告が、難民調査時には、原告がレズビアンであること が母親に発覚し、その通報によって警察官に逮捕されたと述べていたにもかかわらず、本件訴訟において、誰かが母親に原告がレズビアンであると告げたようであり、母親が警察官とともに原告が生活していた家に現れたと主張し、その後、母親は警察官とともに現れたのではなく警察署にいたと主張、供述し、主張及び供述を変遷させていると 主張する。 この点、身柄拘束に至る経緯については、証拠(甲80、乙12、原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、被告の主張するとおりの変遷が認められる。 しかし、前記aのとおり、原告は一貫して母親が警察に通報して逮 捕されたと述べており、その中心的な部分について変遷はない。また、原告は、本人尋問において、母親が警察官とともに原告の家にやってきたとは言ったことはないと述べている。そして、証拠(乙11、12)によれば、原告は、難民認定申請書において、母国語であるルガンダ語以外に英語を使用できるが、英語については読むことと書くこ とはできるものの、話すことは少ししかできないと記載しており 、12)によれば、原告は、難民認定申請書において、母国語であるルガンダ語以外に英語を使用できるが、英語については読むことと書くこ とはできるものの、話すことは少ししかできないと記載しており、難 民調査時にも、英語は簡単な日常会話であればできると述べるにとどまっている。そして、本人尋問においても、英語ではテレビのニュース番組の内容を全て理解することはできないと述べ、その他本人尋問において通訳人が訴訟代理人や裁判官による日本語の質問を的確に英訳していたのに、その質問がやや複雑な内容に至った場合には、英訳 後の質問を十分に理解することができない場面が見られ、質問と回答が対応していない部分もあった。そうすると、警察に逮捕された際に母親が現れた時点については、原告の英語能力が未熟であったことから、原告の意図が通訳人に十分に伝わらなかった結果、上記のような変遷が生じたとも考えられる。 被告は、英語はウガンダの主要言語であること、学校教育も英語であることを指摘するが、ウガンダでは英語が主要言語ではあるものの(前記(3)ア(ウ))、ルガンダ語も主要言語であり、ルガンダ語を母語とする原告が、当然に英語も堪能であるとまではいえない。また、学校教育についても、米国国務省ウガンダ人権報告書(2018年版) (甲42(20、25頁))によると、ウガンダでは、法律上は12歳までの義務教育の定めがあるものの、貧困が原因で児童は学校に行くのをやめて商業的農場で働き、家族の所得を補うために零細鉱山での仕事に子供を連れて行く親もいた、政府統計によると、1日当たり1ドル未満で生活している家族のうち半数近い家族の子どもが学校を 辞めて働いていたとの報告がされている。原告は、授業料が払えずに学校に継続的に通うことはできなかった 府統計によると、1日当たり1ドル未満で生活している家族のうち半数近い家族の子どもが学校を 辞めて働いていたとの報告がされている。原告は、授業料が払えずに学校に継続的に通うことはできなかった旨供述していること(原告本人)からすると、前記報告にあるように、十分な英語教育を受けることができなかった可能性があり、被告の上記指摘を踏まえても、原告の英語能力が十分とはいえず、そのために変遷と見られ得る供述等が されるに至ったとの疑いを払拭することはできない。 原告は、農場で強制労働の際に死亡した人の数等についてその供述が変遷しているが、農場で強制労働中に人が死亡したという点で変遷はなく、仮に誇張があるとしても、およそなかった事実を述べているものではない。そうすると、当該変遷があるからといって、原告の上記供述の信用性を減殺する事情とまではいえない。 c その他被告の主張について被告は、別紙2「当事者の主張」(1)(被告の主張)エ(ア)a(d)のとおり、原告の供述内容には不合理な点があり、信用できないと主張する。 本件訴訟に至って初めて、原告の母が警察署に食事を差し入れに 来ていたと述べている点は、原告は、実際に差し入れに来た母親と会ったわけではないから、ウガンダ国内の一般的情勢からしてそうであると述べるものと理解できるし、警察署における面会についてもウガンダにおける一般的取扱いが明らかではないことに鑑みると、原告の母親と原告が面会していないことが不自然とはいえない。 (オ) 小括前記(イ)によれば、E警察署の警察官らに逮捕・勾留され、棒で殴られるなどの暴行を受け、傷害を負ったという原告の陳述ないし供述は、これと整合する傷痕の写真やB病院作成の医療記録、S医師作成の診断書及び意見書に よれば、E警察署の警察官らに逮捕・勾留され、棒で殴られるなどの暴行を受け、傷害を負ったという原告の陳述ないし供述は、これと整合する傷痕の写真やB病院作成の医療記録、S医師作成の診断書及び意見書に裏付けられている。そして、原告の陳述ないし供述の信 用性を特段減殺するような事情がないことからすると、原告の陳述ないし供述は、少なくとも上記の証拠に裏付けられた限度においては信用することができるというべきである。 被告は、原告がウガンダ警察に身柄拘束された事実があるとしても、当該身柄拘束がレズビアンであることを理由にされたものとはいえない と主張する。しかし、原告にはレズビアンであることの他に特段身柄拘 束を受ける理由が見当たらず(逮捕時にそれ以外の被疑事実が摘示された逮捕状が示されたことを認めるに足りる証拠はない。)、ウガンダにおいては同性愛者について排他的な風潮があり、原告の母親が通報したという原告の供述が不自然であるといえないことからすると、原告はレズビアンであることを理由に身柄拘束をされたと認められる。 以上によれば、原告は、レズビアンであることを理由に、E警察署の警察官らに逮捕・勾留され、棒で殴られるなどの暴行を受け、その結果、相当な傷害を負ったにもかかわらず、敗血症に至るなど重症化するまで、相当長期間にわたって、適切な治療を受けられないまま、身柄を拘束されていたことを認めることができる。 ウウガンダで指名手配を受けている旨の原告の陳述ないし供述の信用性について原告は、ウガンダでは原告に係る指名手配のポスターが掲載され、指名手配を受けている旨主張し、これに沿う陳述ないし供述をする。 しかし、この点に関する原告の陳述ないし供述は、これを裏付ける的確 な証拠がなく、原告がウガ 係る指名手配のポスターが掲載され、指名手配を受けている旨主張し、これに沿う陳述ないし供述をする。 しかし、この点に関する原告の陳述ないし供述は、これを裏付ける的確 な証拠がなく、原告がウガンダで指名手配を受けているという事実を認定することは困難である。 エまとめ前記イ(ア)のとおり、ウガンダでは、同性愛者に対する差別的意識が強く、これがウガンダの警察組織などの国家機関の内部にも残存しており、 ウガンダ刑法145条を適用して逮捕する場合があるほか、他の法令を適用して恣意的な身柄拘束をする可能性があったといえる。このようなウガンダの情勢は現在においてもあまり変わっていない。 そして、前記ウのとおり、原告がウガンダで指名手配を受けているという事実を認めることができないとしても、前記イ(イ)及び(ウ)のとおり、原 告がレズビアンであることを理由に、E警察署の警察官らに逮捕・勾留さ れ、棒で殴られるなどの暴行を受け、相当な傷害を負ったにもかかわらず、敗血症に至るなど重症化するまで、相当長期間にわたって、適切な治療を受けられないまま、身柄を拘束されていたことが認められることからすると、原告がウガンダに帰国すれば、同様に、原告がレズビアンであることを理由に警察官らに逮捕・勾留され、暴行を受けるおそれがあるといえる ので、通常人が原告の立場に置かれた場合にも上記のような暴行を受ける恐怖を抱くような客観的事情が存在するといえる。 したがって、原告はレズビアンであることを「理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」ものであると認められるから、原告は難民に該当すると認められる。 (5) 以上によれば、本件不認定処分時において原告は難民に該当すると認められるから、その余の点(争点1 のある恐怖を有する」ものであると認められるから、原告は難民に該当すると認められる。 (5) 以上によれば、本件不認定処分時において原告は難民に該当すると認められるから、その余の点(争点1-2)について判断するまでもなく、原告につき難民の認定をしない旨の本件不認定処分は、違法であって取り消されるべきものであり、原告の本件不認定処分の取消請求は理由がある。 また、本件義務付けの訴えは、上記のとおり、原告の本件不認定処分の 取消請求には理由があると認められる以上、行政事件訴訟法37条の3第1項2号の要件を満たし、同条2項及び3項の要件に欠けるところもないので、適法である。そして、原告が本件不認定処分後に難民条約1条C(5)にいう「難民であると認められる根拠となった事由が消滅したため、国籍国の保護を受けることを拒むことができなくなった場合」に該当すること となったことを認めるに足りる証拠はなく、原告はなお難民に該当するものと認められる以上、法務大臣から順次権限の委任を受けた大阪入管局長は、原告に対し、難民の認定をする旨の処分をすべきであり、このことは、入管法の規定から明らかであると認められる。したがって、行政事件訴訟法37条の3第5項の規定により、大阪入管局長に対し、その旨の処分を すべき旨を命ずべきであるから、本件義務付けの訴えに係る原告の請求は 理由がある。 2 争点2(本件在特不許可処分の適法性)について(1) 入管法61条の2の2は、法務大臣は、難民認定申請をした在留資格未取得外国人につき難民の認定をするときは、当該外国人が同条1項各号のいずれかに該当する場合を除き、その者に定住者の在留資格の取得を許可 するものとし(1項)、また、当該外国人につき、難民の認定をしない旨の処分をする 認定をするときは、当該外国人が同条1項各号のいずれかに該当する場合を除き、その者に定住者の在留資格の取得を許可 するものとし(1項)、また、当該外国人につき、難民の認定をしない旨の処分をするとき、又は難民の認定をする場合であって同項による上記許可をしないときは、当該外国人の在留を特別に許可すべき事情があるか否かを審査し、当該事情があると認めるときは、その在留を特別に許可することができるものとしている(2項)。このように、同条は、法務大臣が難民 の認定をするときには、同条1項に基づく定住者の在留資格の取得を許可するか否かの判断をまず行うべきものとし、これを許可しない場合に限り、同条2項に基づく在留特別許可を付与するか否かの判断を行うべきものと定めているものと解される。そして、このことは、法務大臣から順次権限の委任を受けた地方出入国在留管理局長についても、別異に解する理由は ない。 (2) 本件においては、前記1のとおり、原告につき難民の認定をしない旨の本件不認定処分は違法であって取り消されるべきものであり、原告については難民の認定がされるべきであったのであるから、本来であれば、法務大臣から順次権限の委任を受けた大阪入管局長は、原告に対し入管法61 条の2の2第1項に基づき定住者の在留資格の取得を許可するか否かの判断をすべきであったのに、かかる判断を行うことなく、原告につき難民の認定をしない旨の処分(本件不認定処分)がされたことを前提に、同条2項に基づき本件在特不許可処分をしたものである。 そうすると、本件在特不許可処分は、その前提を欠くものであって、違 法であり、取り消されるべきものである。したがって、原告の本件在特不 許可処分の取消請求は理由がある。 3 争点3(本件退令発付処分の適法 可処分は、その前提を欠くものであって、違 法であり、取り消されるべきものである。したがって、原告の本件在特不 許可処分の取消請求は理由がある。 3 争点3(本件退令発付処分の適法性)について(1) 主任審査官は、法務大臣等から異議の申出には理由がないと裁決した旨の通知を受けたときは、速やかに当該外国人に対し、退去強制令書を発付しなければならないが(入管法49条6項)、当該外国人が難民であるとき は、当該外国人を迫害のおそれのある国に送還することはできない(入管法53条3項1号、難民条約33条1項)。 したがって、当該外国人が難民であるにもかかわらず、その者を迫害のおそれのある国に向けて送還する退去強制令書発付処分は、違法であり、取り消されるべきである。 (2) 本件においては、前記1のとおり、原告は難民であり、ウガンダに帰国すれば迫害を受けるおそれがあるから、原告をウガンダに向けて送還する旨の本件退令発付処分(前記前提事実(2)オ参照)は違法であり、取り消されるべきでものある。したがって、原告の本件退令発付処分の取消請求は理由がある。 第4 結論以上によれば、原告の請求はいずれも理由があるから、これらを認容することとして、主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官森鍵 一 裁判官田辺暁志 裁判官 立仙早矢 (別紙1は掲載省略) 別紙2当事者の主張(1) 争点1- 裁判官 立仙早矢 (別紙1は掲載省略) 別紙2当事者の主張(1) 争点1-1(本件不認定処分の適法性(原告の難民該当性))について(原告の主張)ア 「迫害」及び「十分に理由のある恐怖」の解釈 (ア) 「迫害」とは、「国家の保護の欠如を伴う基本的人権に対する持続的若しくは系統的危害」を意味し、生命又は身体の自由の侵害または抑圧に限られず、広く経済的・社会的自由、精神的自由に対する抑圧や侵害も含まれる。 (イ) 「十分に理由のある恐怖」とは、客観的な迫害の可能性ではなく、主 観的な「恐怖」に十分な理由があることであり、その「十分な理由」とは、仮に提出された証拠によっては客観的な迫害の可能性が50%以下であると推測される場合であっても、当該申請者が置かれた状況に合理的な勇気を有する者が立ったときに、帰国したら迫害を受けるかもしれないと感じ、国籍国への帰国をためらうであろうと評価し得る場合には、 その恐怖に十分な理由があるというべきである。 イ難民該当性の立証責任及び立証の程度(ア) 立証責任難民認定手続における「立証責任の分配」とは、「法律効果の不発生という不利益の分配のルール」をいうのではなく、申請者の難民性すな わち「十分に理由のある迫害の恐怖」を裏付ける事実の調査、確認の作業を、申請者と被告との間で分かち合うことの分配の基準を示すものである。 そして、申請者と被告が立証の負担を分かち合うことの性質、立証の困難性に鑑みれば、申請者に立証責任があるとはいえず、むしろ被告に おいてその裏付けのための資料の収集等に協力すべきである。 (イ) 立証 立証の負担を分かち合うことの性質、立証の困難性に鑑みれば、申請者に立証責任があるとはいえず、むしろ被告に おいてその裏付けのための資料の収集等に協力すべきである。 (イ) 立証の程度について難民認定手続は、難民条約に基づく制度であり、通常の民事訴訟手続と異なる独自性を有している。したがって、訴訟制度上の立証基準の考え方ではなく、難民条約及び難民議定書の規定の文言やその解釈により立証基準を決すべきである。 そして、難民条約が保護しようとしているのは、難民の生命、身体等という極めて重要な法益であることからすると、難民不認定処分の取消訴訟における難民該当性の立証水準については、一般の訴訟手続の立証水準よりも緩和されたものと解するのが相当である。 ウウガンダの一般情勢 (ア) 刑罰法規の存在と適用ウガンダ刑法145条では、自然の摂理に反する性交渉が違法とされ、終身刑が規定されている。そして、同法146条、147条では、自然の摂理に反する犯罪等について、7年の禁固刑が規定され、これを理由に逮捕される例もある。 ウガンダでは、2014年(平成26年)に反同性愛法(以下「2014年反同性愛法」という。)が成立し、憲法裁判所が同法につき手続的な瑕疵を理由に無効を宣言した後も、国の要職を占める者からその復活を求める声が上がり、2019年(平成31年・令和元年)には同性愛を犯罪とする新たな法案が提出され、本件不認定処分後である202 1年(令和3年)5月3日に可決した(以下、上記の2021年(令和3年)に可決した新たな法案を「2021年性犯罪法案」という。)。2021年性犯罪法案は、「不自然な性的行為」として同性愛を処罰の対象としている。 (イ) 捜査機関による恣意的な 2021年(令和3年)に可決した新たな法案を「2021年性犯罪法案」という。)。2021年性犯罪法案は、「不自然な性的行為」として同性愛を処罰の対象としている。 (イ) 捜査機関による恣意的な身柄拘束等 a ウガンダ当局は、ウガンダのLGBTI(レズビアン、ゲイ、バイセ クシュアル、トランスジェンダー、インターセックスの総称。以下同じ。)への嫌がらせや逮捕等のために、法律の他の規定(前記(ア)以外の規定)を適用したりして、LGBTI と疑われる人々を単に同性愛者であるという疑いで逮捕・勾留する。また、ウガンダ警察は、LGBTI の人々が被害者となった事件につき、加害者ではなく、被害 者であるLGBTI の人々を逮捕したり、LGBTI に係るイベントや社交場を襲撃し、出席者を逮捕したりする。さらに、上記のような恣意的な逮捕・勾留がされると、拷問を受けるおそれもある。 被告は、人権執行法が制定・施行されたことから、恣意的な逮捕・勾留等の客観的、具体的おそれがないと主張するが、米国国務省 の報告や国連人権委員会における普遍的・定期的検査での報告等によれば、人権執行法が施行された後である2020年(令和2年)においても、LGBTI であることを理由に逮捕・勾留され、暴行を受けた事例が報告されており、人権執行法の施行によって恣意的な逮捕・勾留等の客観的、具体的おそれがなくなったとはいえない。 b また、ウガンダでは、一般市民の間で同性愛者に対する強い嫌悪感が蔓延しており、一般市民によるLGBTI に対する暴力行為も相次いでおり、警察等の国家機関は、これを取り締まることなく、むしろ、国家がこれを助長している。 このようにウガンダにおけるLGBTI を巡る状況は、2017年 (平成29年)以降も 行為も相次いでおり、警察等の国家機関は、これを取り締まることなく、むしろ、国家がこれを助長している。 このようにウガンダにおけるLGBTI を巡る状況は、2017年 (平成29年)以降も依然として厳しいままである。 c 被告は、人権意識促進フォーラム(HRAPF。以下「HRAPF」という。)作成の報告書(以下、HRAPF 作成の報告書を「HRAPF 報告書」といい、作成された年を付して「HRAPF 報告書2019」などということがある。)は信用できない旨主張する。 この点、HRAPF はウガンダのLGBTI の人々、セックスワーカー 等の権利を保護するために活動している非政府人権擁護団体であるところ、HRAPF 報告書は、英国内務省やドイツ連邦移民・難民局、オランダ司法・安全保障省移民帰化局、フィンランド移民庁(FIS)などの各国作成の報告書にも引用される等、国際的に信用度の高い報告書とされており、その正確性及び客観性に疑義はない。 (ウ) 経済的・社会的自由及び精神的自由に対する抑圧や侵害等a ウガンダにおいて、LGBTI であることを秘匿することなく、LGBTI というアイデンティティーの表出を伴う一切の行為(他のLGBTI との性的な関係を維持する行為を含むが、これに限らない。)を公然と行えば、教育の機会を失い、職に就くことができず、住居を 失い、家族からも追放されるほか、医療の提供を拒否され、キリスト教における信仰行為もできなくなる。さらに、ウガンダではマスコミがLGBTI の人々の氏名や顔写真を公表することがあり、警察等に逮捕されるおそれがあるほか、一般市民からの暴言や暴力、嫌がらせ等の被害に遭うおそれがある。 実際に、原告も高校生のときにレズビアンと疑われ、レズビ 顔写真を公表することがあり、警察等に逮捕されるおそれがあるほか、一般市民からの暴言や暴力、嫌がらせ等の被害に遭うおそれがある。 実際に、原告も高校生のときにレズビアンと疑われ、レズビアンであるなら退学させると言われたことがあるほか、ガールズグループのメンバーと生活していた際には何度も転居を繰り返していたし、近所の人々にレズビアンであることがばれて暴言等を受けたこともあった。 他にも、原告が、両親に対しレズビアンであることを明らかにした際 には、母親から棒を投げつけられ、両親に受け入れてもらえなかった。 また、原告は、クリスチャンであり、以前は毎週日曜日には教会に通っていたが、レズビアンとして生きることを決意し、ガールズグループのメンバーと生活するようになってからは、教会にも通えなくなった。このように、原告自身も、経済的・社会的自由、精神的自由に対 する抑圧、侵害を受け続けており、ウガンダにおいてレズビアンであ ることをオープンにして公然と生活することはできない。 b ウガンダ政府は、次のとおり、上記aのような一般市民によるLGBTI に対する差別的行為や排他的行為等を止めることなく、むしろこれらを助長している。 (a) 前記(ア)のとおり、ウガンダ刑法145条では、自然の摂理に反 する性交渉が違法とされ、終身刑が規定されているところ、これが時折執行される。そして、ウガンダ政府は、上記ウガンダ刑法の定めは同性愛を犯罪とするものであるとして、LGBTI 団体の法人化を拒否し、LGBTI のイベントに対する弾圧を行っている。さらに、ウガンダ政府は、法律でLGBTI に対する差別を禁止してい ない。 (b) 2014年反同性愛法が無効とされた後、ウガンダ議会の多くの議員が反同性愛法と類似の法 弾圧を行っている。さらに、ウガンダ政府は、法律でLGBTI に対する差別を禁止してい ない。 (b) 2014年反同性愛法が無効とされた後、ウガンダ議会の多くの議員が反同性愛法と類似の法律の制定を求め、不自然な性的慣行の助長禁止法案が作成された。 (c) ウガンダの大統領であるC大統領は、2016年(平成28年) に、非政府組織法(NGO 法)に同意し、同法は同年3月14日に施行された。同法は、「ウガンダの利益、あるいはウガンダの人々の尊厳に不利となるようないかなる行為にも従事してはならない」というNGO にとって厄介かつ曖昧な特別の義務を課し、NGO の規制機関である国家非政府組織局による許可がされなかった組織 による活動は犯罪としている。そして、国家非政府組織局には、NGO の許可を要注意リストに掲載し、一時停止し、あるいは取り消す権限があり、その執行によりウガンダ政府が、LGBTI の人々が組織する団体やLGBTI を支援する団体の活動を制限するおそれがある。 (d) 2021年性犯罪法案は、同性愛を強姦やセクシュアルハラスメ ント、近親相姦や児童に対する性犯罪といった犯罪行為と同列に扱っており、これが国民を代表する議会において可決されている。 このような法案がウガンダの国民を代表する議会において可決されていることからすれば、2021年性犯罪法案で規定された禁止事項は、そのままウガンダの市民社会において許さない事項と して認識されているといえる。そして、議会がこのような法案を可決したということ自体がLGBTI への嫌悪を招くおそれがあるにもかかわらず、これが廃案にされたという情報もない。 (e) ウガンダ警察は、一般市民によるLGBTI の人々に対する事件を捜査せず、容認す ということ自体がLGBTI への嫌悪を招くおそれがあるにもかかわらず、これが廃案にされたという情報もない。 (e) ウガンダ警察は、一般市民によるLGBTI の人々に対する事件を捜査せず、容認することすらある。その上、ウガンダ警察は、 LGBTI の人々を逮捕し起訴することすらあり、このようにウガンダ警察は、LGBTI の人々を保護しないという態度を取っている。 (f) C大統領をはじめとするウガンダの政府関係者は、反LGBTI の立場からの発言を繰り返している。 エ原告がレズビアンであることを理由に逮捕・勾留されて暴行を受けたこ と(ア) 原告が逮捕されるまでの経緯a 原告は、高等学校に在籍していた頃から、「V」というレズビアンのグループに所属しており、Uもそのメンバーであった。Uの家庭は裕福であったため、原告は、Uから服などのサポートを受けていた。 b 原告は、24歳頃に母親から学費が支払えないと言われ、高校を中途退学した。なお、ウガンダでは、30歳や40歳になっても高校に通うということはよくあることである。 その後まもなくして、原告は、両親に金で売られてTという50歳くらいの男性と、同人の4人目の妻として無理やり結婚させられた。 原告は、何度も実家に帰ったが、両親に追い返された。原告は、Tと の婚姻中に妊娠したが、Tの暴力により流産した。 原告は、流産のため病院に1 週間ほど入院し、その後実家に戻ったが、両親からTの元に帰るよう言われ、Tも原告を連れ戻そうとし、その際、両親が原告を金でTに売ったことを知った。原告は、心身ともに傷付き、母親に対し、結婚したくないこと、原告はレズビアンで あることを告白したところ、原告の母は、近くにあった棒で原告を殴ろうとし、原告が逃げた 金でTに売ったことを知った。原告は、心身ともに傷付き、母親に対し、結婚したくないこと、原告はレズビアンで あることを告白したところ、原告の母は、近くにあった棒で原告を殴ろうとし、原告が逃げたところ、原告にその棒を投げつけてきた。 c 原告は、家族との決別を決意して実家を出て、VのメンバーとDという場所で生活し始めた。この頃から、原告とUの関係は深まり、真剣に交際するようになった。 ウガンダでは、未婚の女性が集まって生活しているとLGBTI であるとの噂が立つおそれがあり、危険であったため、転居を繰り返し、一か所にとどまることはなかった。実際に、近隣住民にレズビアンであることを知られたため、住宅のオーナーから出ていくよう言われたり、汚い言葉で罵られるなどしたこともあった。 (イ) 警察による逮捕及び勾留並びに暴行等a 2017年(平成29年)頃、原告がVのメンバーと生活していたDの家に警察官が現れ、原告とその時家に居た女性2人を逮捕し、E警察署に連行した。家に来た警察官は4名で、「レズビアン」「マザーファッカー」「ドアを開けろ」等と言ってドアを蹴るなどした。原告 は、逃げようと外に出たが、転倒してしまい、地域の人々が集まってきた。警察官らは、ひどい言葉で怒鳴って叫びながら原告らを殴った。 E警察署に到着すると、原告の母がいたので、原告の母親が通報したのだと思った。 原告の膝には傷痕があるが、これは上記転倒の際に生じたもので ある。 bE警察署では、まずオフィスに連れていかれた。警察官らは、まず一緒に連行された女性2人を殴り、その後、原告に横になるように言って、長くて乾いた棒で原告の臀部を叩いた。 警察官らは、叩いたり、蹴ったりしながら「お前たちはレズビアンなのか」「どうやってそ まず一緒に連行された女性2人を殴り、その後、原告に横になるように言って、長くて乾いた棒で原告の臀部を叩いた。 警察官らは、叩いたり、蹴ったりしながら「お前たちはレズビアンなのか」「どうやってそういうことをするんだ」などと言い、その 後、原告ともう一人の女性とでお互いに棒で叩き合うように言った。 警察官らは、「お前たちはレズビアンなのか」と聞いていた。原告は、レズビアンであることを認めると更にひどいことをされるかもしれないと思い、否定したが、最後には認めた。その後も、警察官らは、原告らを殴ったりした。 原告は、警察官らの上記暴行により、臀部、右手、右ひじ、上腕、手の甲、指、足や太ももに傷を負った。 c その後、原告は、他の囚人がいる部屋に放り込まれ、3か月収容された。その間、原告らは、Gにある農場で強制的に働かされた。脱走しようとした人は銃で撃たれていた。 d 原告が逮捕された際には、警察官らから逮捕状は見せられておらず、取調べも受けていないし、裁判所にも行っていない。警察署では、傷の治療をしてもらえず、傷が膿んでウジがわいたり、ひどい臭いがしている人もいた。 e 原告は、逮捕されて始めの2か月ほどは農場で働かされたが、暴行 で受けた傷がひどく、最後の1か月は立つこともできなくなり、逮捕されて3か月ほど経った頃に、原告の母親が警察署に来て、豚を売ったお金を警察に支払って、原告は釈放された。 (ウ) B病院での治療a 原告は、釈放された際、歩くことができない状態であり、その日の うちにB病院に入院した。B病院に行く途中で倒れてしまい、病院で どのような処置が行われたのかはよく分からなかったが、手術を受けたことは分かった。B病院の医師は、治療されていなかったため、傷が深くなっており、 。B病院に行く途中で倒れてしまい、病院で どのような処置が行われたのかはよく分からなかったが、手術を受けたことは分かった。B病院の医師は、治療されていなかったため、傷が深くなっており、ほぼ骨に達するところであったから手術したと説明していた。B病院には、2017年(平成29年)4月8日から同年11月7日まで入院した。 b 原告は、B病院を退院した後、両親の家に滞在し、退院後数日経って再度B病院を検査のため受診した。原告は、警察官が原告を釈放する際に原告の母親に対し、治療が終わったら再度出頭するように言っていたこと、原告の母親も毎日原告に対して、原告は罪を犯しており、処罰を受けなければならないと言って、ベッドで寝ることも許してく れなかったことから、B病院から帰る際に両親の家に戻ることなく逃げ出した。 (エ) 指名手配のポスターの掲示等a 原告は、Wで、再びVのメンバーと生活するようになった。 この頃、ウガンダでは、LGBTI の人々を取り巻く状況が悪化し、 レズビアンやゲイの人々がウガンダを出国したり、多くの人々が逮捕されていた。原告のパートナーであったUも、警察に逮捕され、その後お金を払って釈放されたが、2018年(平成30年)頃にギリシャに逃げた。 b 原告は、その頃、知人から原告の顔写真入りの指名手配のポスター がE警察署に貼り出されていると聞き、その他にも現地の新聞やカンパラ市にあるX警察署、カジノのバーに指名手配のポスターが貼られているとの情報を得た。 原告は、自分の目で指名手配のポスターを確認したいと思い、E警察署であれば郊外の小さな警察署であり、その周辺は夜になるとマ イルンジという薬の売買を目的とした人が集まり、人に紛れて目立た ず、さらにボダボダ(2~3 ーを確認したいと思い、E警察署であれば郊外の小さな警察署であり、その周辺は夜になるとマ イルンジという薬の売買を目的とした人が集まり、人に紛れて目立た ず、さらにボダボダ(2~3人乗りのバイク)に乗って通り過ぎるだけなら見つかることない、万が一見つかったとしても直ちに逃走できると考えて、2019年(平成31年)初め頃、知人に頼んで午後9時頃にE警察署に行った。 E警察署の横の道路沿いの木には、指名手配のポスターが貼り出 されていた。ポスターは、大きな紙又はボードに1枚A4くらいの大きさの顔写真が6人分ほどが掲載されており、それがいくつも木にぶら下がっていた。そのうち、1枚の顔写真が原告のものであり、原告の本名と「WANTED」との文字が書かれ、これらの人物を見つけた人には何らかの報酬が支払われると書かれていた。ポスターを見たの は夜であったが、周辺の店舗等の明かりのおかげでポスターを見ることができた。 (オ) 出国の経緯a 原告は、指名手配のポスターを確認したことから、身に危険が迫っていると感じ、また、2019年(平成31年)頃からウガンダにお いて同性愛者に対する迫害の状況が悪化し、その当時の原告のパートナーも故郷のタンザニアに帰ってしまい、海外渡航したいと考えたが、資金がなく、身動きが取れなかった。 原告は、指名手配のポスターが貼られていたことから、Wの家に長くいることは危険であったため、Yという山にあるお祈りをするため の場所で安全な場所であるZに避難した。 b そうしたところ、原告の両親が、2019年(令和元年)9月に交通事故で亡くなり、Fにあった土地を相続した。そこで、原告は、Uから紹介を受けたブローカーであるαと連絡を取り、上記土地と引き換えにαに旅券、ビザ及び航空 告の両親が、2019年(令和元年)9月に交通事故で亡くなり、Fにあった土地を相続した。そこで、原告は、Uから紹介を受けたブローカーであるαと連絡を取り、上記土地と引き換えにαに旅券、ビザ及び航空券の手配を依頼し、αに対し、身分事 項と数枚の顔写真を渡したところ、αから、旅券、ビザ及び日本行き の航空券を入手した。 原告は、αから、真正な旅券か確かめるためにはバスでルワンダに行って帰ってくればいいと言われ、どうしても真正な旅券かを確認したかったことから、一度ルワンダに出入国した。 c 原告は、2020年(令和2年)2月24日、日本に向けてウガン ダのI空港を出発した。その際、I空港にはαが同行し、空港職員と何か話した後に、原告は出国手続をした。原告は、翌25日、関西国際空港に到着した。 オ原告が難民に該当すること(ア) 「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖」に係る原 告の解釈を前提として、原告が難民に該当すること原告は、レズビアンであるところ、前記ウのウガンダの一般情勢に鑑みれば、原告がウガンダに帰国すれば、原告が指名手配されているという事実の有無にかかわらず、レズビアンであることをオープンにして公然と生活することができないと主観的に考え、かつ、合理的な勇気を有 する者が同様の立場に立ったときにもレズビアンであることをオープンにして公然と生活することができないと感じ、ウガンダへの帰国をためらうであろうと評価し得る。 したがって、原告は、「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖」を有しているといえ、難民に該当する。 (イ) 仮に「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖」に係る被告の解釈を前提としても、原告が難民に該当することa 前 理由 のある恐怖」を有しているといえ、難民に該当する。 (イ) 仮に「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖」に係る被告の解釈を前提としても、原告が難民に該当することa 前記ウ(ア)及び(イ)のとおり、ウガンダでは、同性愛者であることが露見し、又はその疑いをかけられるだけで逮捕・勾留され、拷問を受けるおそれがある。原告は、レズビアンであるから、これが露見する ないしはその疑いをかけられるだけで、警察等の国家機関により逮 捕・勾留され、拷問を受けるおそれがある。 また、前記エのとおり、原告は、ウガンダのE警察署の警察官により、同性愛者であることを理由に長期間にわたり身柄を拘束され、警察官から暴行を受け、臀部に深刻な傷を負った。さらに、その後には指名手配を受けており、ウガンダに帰国すれば、警察等に逮捕・勾 留され、拷問を受けるおそれがある。この点に係る原告の供述は、後記bないしdのとおり信用できる。さらに、ウガンダでは、LGBTIを嫌悪する社会的風潮が蔓延しており、非国家主体である一般市民によるLGBTI の人々に対する暴力行為が相次いでおり、このことからも、原告がウガンダに帰国すれば、一般市民からの暴力にもさらされ る危険があり、警察等の国家機関は、これを取り締まることなく、むしろ国家がこれを助長している。 したがって、被告の解釈を前提としても、原告は、「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖」を有しているといえ、難民に該当する。 bE警察署における逮捕及び勾留並びに暴行について(a) 客観的証拠との整合性原告は、E警察署で身柄拘束された際、木の長い棒で何度も叩かれた、その際にけがをしたが、治療されることはなく、その後3か月にわたり農場で働かされたため 暴行について(a) 客観的証拠との整合性原告は、E警察署で身柄拘束された際、木の長い棒で何度も叩かれた、その際にけがをしたが、治療されることはなく、その後3か月にわたり農場で働かされたため、傷がひどくなった、動け なくなったところを原告の母親に助けられたと供述する。 原告に係るB病院作成の入院患者退院フォーム(甲24の1・2)には、原告が2017年(平成29年)に入院し、その際、原告には臀部に化膿による開放性の傷があるほか体が腫れた状態であった旨の記載があるほか、暴行により臀部の外傷が生じ、こ れにより敗血症を発症し、当該傷を原因とする神経症を発症した 旨の診断がされている。これらのことからすれば、原告はB病院に入院する以前に臀部に相当深刻な外傷を負い、これが化膿して敗血症を発症するに至るまで放置されていたことが分かる。このことは、E警察署において長期間身柄を拘束され、拷問を受けたことにより臀部に深刻な傷を負い、動けなくなったところを原告 の母親に助けられた旨の原告の供述を裏付けるものである。なお、被告は、入院患者退院フォームには暴行の主体が警察官であることが記載されていないと主張するが、上記入院患者退院フォームは診療録ではないので、けがをした経緯や暴行の主体について記載されていないことは当然である。 また、原告の両手足及び臀部を撮影した写真(甲15、45)には、原告の右手、右膝、右足、左足、左太もも、臀部の外傷の跡が写っており、これらの傷痕に係るS医師作成の診断書(甲16)及び意見書(甲46)は、原告が供述する上記E警察署での暴行の態様や受傷箇所と整合する。上記入院患者退院フォームには、 臀部以外の傷について記載がないが、臀部の傷に比べその他の傷は比較的軽いものであるから 46)は、原告が供述する上記E警察署での暴行の態様や受傷箇所と整合する。上記入院患者退院フォームには、 臀部以外の傷について記載がないが、臀部の傷に比べその他の傷は比較的軽いものであるから、これらの記載がないことは不自然ではない。 (b) 一般情勢との整合性被告は、3か月もの間身柄拘束されたとする原告の供述は、ウガ ンダの一般情勢と整合しないと主張する。しかし、ウガンダの情勢に関する各種報告書が取り上げる事例は、ウガンダにおけるLGBTI に対する迫害のごく一部にすぎず、原告に対する身柄拘束や暴行の事例が取り上げられていなくとも不自然ではない。また、米国国務省ウガンダ人権報告書(2018年版)等には、身柄拘 束中に暴行を受け傷害を負ったり、強制労働をさせられたという 報告がある旨の記載もあり、これは原告の供述と整合している。 (c) 原告の供述には重要な部分に係る変遷がないこと原告は、日本に入国した翌日にした、上陸のための条件に適合していない旨の認定に対する異議の申出の段階から、原告がレズビアンであって、これを理由にE警察署において3か月にわたり身 柄拘束されたこと、身柄拘束されていた間に暴行を受けたこと、これにより歩けないほどのけがを負ったことなど、原告の難民該当性を基礎付ける重要な事情について一貫して供述しており、この部分に変遷はない。 被告は、原告がE警察署に逮捕された時期や経緯について難民 調査時と本件訴訟時とで供述内容に変遷があると主張する。しかし、原告は、難民調査官による事情聴取の際にも、ガールズグループのメンバーと生活している際に、警察官に逮捕されたと述べており、逮捕された時期に係る供述は一貫している。また、難民調査官による事情聴取は、日本に到着して約2週間 る事情聴取の際にも、ガールズグループのメンバーと生活している際に、警察官に逮捕されたと述べており、逮捕された時期に係る供述は一貫している。また、難民調査官による事情聴取は、日本に到着して約2週間と間もない頃 に実施され、この時原告は大阪入管収容場に収容された状態にあったから、いつウガンダに送還されるかという非常に不安定な精神状態であったこと、難民調査官による事情聴取は初めての経験であり、慣れない通訳を介して実施されたこと、原告の英語能力は十分ではなく、通訳人の英語を十分に理解できなかったことも あり、調書の記載と自己の認識との細かな食い違いについて気付きにくい状況にあった。このことからすると、被告が指摘する原告の供述の食い違いは不合理な変遷ではない。 c 指名手配されたことについて(a) 原告は、自らが指名手配されているという話を人づてに聞き、自 分の目で確認しようとE警察署に行った旨述べているところ、被 告は、暴行を受け、迫害を受けるおそれを抱いている者の行動として不自然・不合理であると主張する。 しかし、原告は、E警察署は郊外にある小さな警察署であり、その周辺には人がたくさん集まっているため、人に紛れて目立つことはなく、ボダボダ(2~3人乗りのバイク)に乗って警察署 の前を通り過ぎるだけなら万一見つかったとしても直ちに逃走できると考えて、ボダボダに乗りながら木の枝に吊るされていた指名手配のポスターを確認した。 このような原告の行動は、迫害を受けるおそれを抱いている者の行動として、不自然・不合理なものではない。 (b) 被告は、原告が適法に旅券の発行を受け、ルワンダに出入国したことは、指名手配を受けたとする原告の供述と整合しないとも主張する。 しかし、原告が確認した指名手 なものではない。 (b) 被告は、原告が適法に旅券の発行を受け、ルワンダに出入国したことは、指名手配を受けたとする原告の供述と整合しないとも主張する。 しかし、原告が確認した指名手配のポスターが、正当な手続を経てされた指名手配に係るものであるのか、国家機関として国外へ の逃亡を防ぐための措置を講じていたのかは不明であり、原告が適法な旅券の発行を受けてルワンダに出国し、再度ウガンダに入国したことは不自然なものではない。 d 原告の英語能力が未熟であること英語は、ウガンダの公用語ではあるものの母語ではなく、原告が ウガンダにいた際には基本的に母語であるルガンダ語を使用していた。 原告は、英語は簡単な日常会話程度しか話すことができず、読むことはできるが、読み書きについても難しい文章は読めなかったり、スペルを間違って書いてしまうこともある。原告は、2020年(令和2年)2月に来日して以降、英語を練習して話す能力が向上したが、そ れでも尋問等では通訳人の話す英語が理解できず、聞かれたことに対 応した答えができないこともあった。難民調査でのインタビューや打合せ、尋問で原告の供述が変遷している部分はみられるものの、これは原告の英語能力が未熟なことに起因しており、重要な事実について変遷がないことからすると、原告の供述は信用できる。 (被告の主張) ア 「迫害」及び「十分に理由のある恐怖」の解釈について(ア) 「迫害」とは、「通常人において受忍し得ない苦痛をもたらす攻撃ないし圧迫であって、生命又は身体の自由の侵害又は抑圧」を意味する。 (イ) 迫害を受けるおそれがあるとの「十分に理由のある恐怖」を有するというためには、当該人が迫害を受けるおそれがあるという恐怖を抱いて いるという主観的 の自由の侵害又は抑圧」を意味する。 (イ) 迫害を受けるおそれがあるとの「十分に理由のある恐怖」を有するというためには、当該人が迫害を受けるおそれがあるという恐怖を抱いて いるという主観的事情のほかに、通常人が当該人の立場に置かれた場合にも迫害の恐怖を抱くような客観的事情が存在していることが必要である。 イ難民該当性の立証責任及び立証の程度について難民条約及び難民議定書は、難民認定に関し、いかなる制度及び手続を 設けるかを締約国の立法政策に委ねている。 申請者が提出した資料に基づき判断することとされていること等の入管法の文言や、難民認定処分が授益処分の性質を有していること等に照らせば、難民認定申請を行う者が、自ら難民に該当することの立証責任を負うというべきである。 また、我が国において、難民であることを基礎付ける事実の立証の程度を緩和する規定がないことからすると、通常の民事訴訟における一般原則に従うべきであり、申請者は、自己が難民であることについて、合理的な疑いを容れない程度の証明をしなければならないと解される。 ウウガンダの一般情勢について (ア) 刑罰法規の存在と適用について a ウガンダ刑法145条においては、自然の摂理に反する性交渉が違法とされ、終身刑が規定されている。しかし、同条を適用して起訴されることはほとんどなく、これまで有罪判決を受けた人はいないとされている。 b 反同性愛法についても、C大統領やウガンダ政府は、新たな反同性 愛法は必要ないとの見解を示しており、反同性愛法が再度成立する見込みはない。 原告は、本件不認定処分後である2021年(令和3年)に、ウガンダにおいて、同性愛を犯罪とする新たな法案(2021年性犯罪法案)が可決されたと主張するが 、反同性愛法が再度成立する見込みはない。 原告は、本件不認定処分後である2021年(令和3年)に、ウガンダにおいて、同性愛を犯罪とする新たな法案(2021年性犯罪法案)が可決されたと主張するが、ウガンダでは、法案の成立には政 府の支持、承認を要するところ、同法案が政府の承認を得て正式に可決する見込みはないし、そもそも同法案は、同性愛行為を犯罪とすることに焦点を当てたものではない。 (イ) 捜査機関による恣意的な身柄拘束等についてa ウガンダでは、警察や国家機関とLGBTI コミュニティとの間での 協力が増加し、2017年(平成29年)には、警察による同性愛者に対する侵害行為の件数は、2016年(平成28年)のそれよりも減少し、大きな改善がみられる。また、ウガンダ政府は、2019年(令和元年)11月、警察官や刑務官等の公務員による人権侵害行為を防止するとともに、人権侵害の被害者の迅速な救済を図る規定を置 いた人権執行法を施行し、人権執行法を普及させるための研修会等も実施されており、原告が主張するような恣意的な逮捕・勾留や拷問を受ける客観的、具体的なおそれはないというべきである。なお、原告は、人権執行法が有効に機能していないと主張するが、原告が指摘する米国国務省報告や国連人権委員会における普遍的・定期的検査での 報告等の記載は、直ちに人権執行法が有効に機能していないことを示 すものではない。 さらに、ウガンダにおいては、不法な暴力に及んだ公務員に対しては司法機関による厳正な処置が取られているほか、LGBTI を含む人々の身柄拘束等についても司法機関が慎重な判断をしている。 b 原告は、HRAPF 報告書2019に基づき、同性愛者に対する迫害 のおそれがあることを主張するが、HRAPF は BTI を含む人々の身柄拘束等についても司法機関が慎重な判断をしている。 b 原告は、HRAPF 報告書2019に基づき、同性愛者に対する迫害 のおそれがあることを主張するが、HRAPF は、人権擁護を目的として活動する民間団体であり、国際世論への問題提起のため、LGBTIであることを理由とする人権侵害といえるものか疑義があるものも含め広く人権侵害がされた事例として取り上げている可能性が否定できない。また、上記HRAPF 報告書は、同一の事例を侵害された権利ご とに複数回評価している可能性があるから、その記載は正確性、客観性を欠く。原告は、米国国務省ウガンダ人権報告書(2018年版)、2019年(平成31年)の英国内務省の報告が、ウガンダにおいてLGBTI が恣意的に逮捕・勾留され、虐待や拷問をされるおそれがあることを裏付けているとも主張するが、これらは同性愛者に対する身 柄拘束を取り上げたものではなく、ウガンダの刑事手続の運用面における一般的な問題点を指摘するものにすぎない。 (ウ) 経済的・社会的自由及び精神的自由に対する抑圧や侵害等a 次のとおり、ウガンダ政府は、一般市民がLGBTI に対して行う差別的行為、排除的行為等を止めることなく、むしろ助長しているとは 認められない。 (a) ウガンダ政府は、トランスジェンダーであることを公式に認める正式文書を発給する等して、LGBTI の人々を容認した行政サービスを提供し、医療についてもその他の国民と平等にその提供をしている。 (b) ウガンダ政府観光局は、2014年反同性愛法が憲法裁判所によ り無効と判断されて以降、同性愛者の旅行誘致に取り組んでいる。 (c) 2014年以降、ウガンダではLGBTI による活動が活発化し、LGBT 局は、2014年反同性愛法が憲法裁判所によ り無効と判断されて以降、同性愛者の旅行誘致に取り組んでいる。 (c) 2014年以降、ウガンダではLGBTI による活動が活発化し、LGBTI のデモ行進のイベント等も行われ、警察や官公庁のような国家機関とLGBTI との間のかかわりも増えた結果、警察等もLGBTI に対する理解を示すようになった。 (d) ウガンダ警察は、非国家主体による加害行為からLGBTI の人々を保護し、LGBTI の人々が被害を受けた事件を捜査する等の取締りをしており、司法機関は加害者に対して刑罰法規を厳正に執行している。 b 一般市民がLGBTI に対する差別的行為をしたとされる個々の事案 において、原告がウガンダ政府が一般市民によるLGBTI に対する差別的行為等を助長していると主張する事情(前記(原告の主張)ウ(ウ)b)が当該事案の当事者の判断や行動に影響を及ぼした決定的要因であるとする客観的裏付けはない。 また、ウガンダ政府が、法律をもってLGBTI に対する差別を禁止 する等のLGBTI に対する差別的な風潮を積極的に是正するような措置を取っていないことが国家による差別的風潮の助長に当たるという指摘もあり得るところではあるが、国家による介入は他の市民の権利や自由を侵害、制限することにもつながり得るから、一般市民においてLGBTI に対する差別的風潮が残っているとしても、暴力等の犯罪 行為を取り締まる以上の是正措置を取るべきか否かは一義的に定まるものではない。したがって、ウガンダ政府が上記是正措置を取っていないからといって、LGBTI に対する差別的風潮を積極的に助長していると評価することは相当ではない。 エ原告がLGBTI であることを理由に迫害されるおそれは ガンダ政府が上記是正措置を取っていないからといって、LGBTI に対する差別的風潮を積極的に助長していると評価することは相当ではない。 エ原告がLGBTI であることを理由に迫害されるおそれは認められないこ と (ア) 原告が同性愛者であることを理由に逮捕・勾留され、拷問を受けるおおそれがないこと原告は、ウガンダのE警察署の警察官により、同性愛者であることを理由に長期間にわたり身柄を拘束され、警察官から暴行を受け、臀部に深刻な傷を負い、その後、指名手配を受けたと供述するが、以下のとお り信用できない。また、仮に、原告が身柄を拘束され、指名手配を受けていたとしても、それが原告がLGBTI であることを理由とするものであるとはいえず、原告がLGBTI であることを理由にウガンダ政府から迫害を受けるおそれがあるとはいえない。 aE警察署における逮捕・勾留と暴行に係る供述について (a) 原告の提出する証拠は原告の供述を裏付けるものではないことB病院作成の入院患者退院フォームには、原告がE警察署における暴行により負傷したとする右手、右足、左足、左太ももを治療したとの記載はなく、手術をするほどの大けがを負ったとする左足に係る手術の記載もないこと、「骨折なし」「胸部器官は全て正 常で注意を引くところはない」との記載があることからすれば、特に重傷であった臀部についてのみ記載したとも考え難く、上記入院患者退院フォームの記載からすれば、原告はB病院に入院した際には臀部以外の箇所は負傷していなかったとみるのが自然かつ合理的である。そうすると、上記入院患者退院フォームの記載 は、原告の負傷箇所に係る供述と整合しない。 また、上記入院患者退院フォームには原告の負傷が警察官の暴行によるもの のが自然かつ合理的である。そうすると、上記入院患者退院フォームの記載 は、原告の負傷箇所に係る供述と整合しない。 また、上記入院患者退院フォームには原告の負傷が警察官の暴行によるものであることの記載がないから、原告がE警察署の警察官により暴行を受けたことの裏付けとはならない。 さらに、原告は、B病院での手術の時期について、原告の陳述書 では、E警察署から釈放されB病院に入院した直後に手術を受け たと陳述するが、上記入院患者退院フォームには、入院後4か月目に皮膚移植を行ったとの記載があり、整合しない。また、原告は、本人尋問においては、B病院では2回手術室に入ったとも供述し、この点も上記入院患者退院フォームと整合せず、手術の時期や内容について曖昧な供述に終始しており、信用できない。 原告は、原告の外傷の跡の写真やS医師作成の診断書及び意見書は原告がE警察署における暴行により負傷したことを裏付けるものであると主張する。しかし、上記写真や診断書及び意見書からは当該部分を負傷したことは認められるものの、それがE警察署における暴行によるものか否かは明らかではないから、直ちに原 告の供述を裏付けるものではない。 (b) 一般情勢との整合性についてウガンダの法律では逮捕後48時間以内に容疑者の罪状認否を行うよう要求しているところ、ウガンダの情勢に関する各種報告書によっても、上記法定拘束期間を超えて身柄拘束がされる事案は 年に数件程度であり、原告が身柄拘束されたと主張する2017年(平成29年)でも、ウガンダにおいてLGBT と疑われた人が逮捕され、48時間を超えて身柄拘束が継続された事例は4件であり、その期間もせいぜい1週間程度であったとされている。また、米国国務省ウガンダ人権報 年)でも、ウガンダにおいてLGBT と疑われた人が逮捕され、48時間を超えて身柄拘束が継続された事例は4件であり、その期間もせいぜい1週間程度であったとされている。また、米国国務省ウガンダ人権報告書(2020年版)でもLGBTI のシェルターを強制捜査し、居住者を逮捕した事例での身柄拘束期間は2か月に満たず、米国国務省ウガンダ人権報告書(2021年版)で取り上げられた事例でも、身柄拘束は8日間である。 さらに、原告は、本人尋問において、ウガンダでは小さな警察署に収容されている者には警察署において食事を与えない旨述べる が、米国国務省ウガンダ人権報告書(2018年版)では、警察 署が被拘留者に食事を与える旨の記載がある。 以上のとおり、原告が供述するE警察署における身柄拘束の状況は、以上のようなウガンダの一般情勢とあまりに大きくかけ離れており、原告の供述は信用することができない。 (c) 原告の供述が重要な部分において変遷していること 原告は、E警察署に身柄拘束された時期について、難民調査時には2012年(平成24年)であるとの趣旨の供述をしていたが、その後、身柄拘束された時期は2017年(平成29年)であるとして供述し、その供述を変遷させている。 また、原告は、難民調査時に、26歳頃(2012年(平成24 年)頃)に流産した後に実家にいた際に原告がレズビアンであることが母親に発覚し、その通報によって警察官に逮捕されたとして、これらを連続した出来事として述べている。しかし、原告は、本件訴訟に至って、誰かが母親に原告がレズビアンであることを告げたようであり、ガールズグループのメンバーと一緒に生活し ていた家にいたときに、警察官が母親とともに現れて原告を逮捕したと主張し、さらに に至って、誰かが母親に原告がレズビアンであることを告げたようであり、ガールズグループのメンバーと一緒に生活し ていた家にいたときに、警察官が母親とともに現れて原告を逮捕したと主張し、さらにその後には、母親は警察官とともに現れたのではなく連行先の警察署にいたと主張し、供述して、その主張及び供述を変遷させている。そして、原告が同性愛者であることを理由に逮捕された経緯、状況は難民該当性を検討する上で重要 な部分であるにもかかわらず、上記変遷につき合理的な理由はなく、原告の供述は信用することができない。 原告は、上記変遷について、難民調査官による事情聴取当時は、精神的に不安的な状態にあり、慣れない通訳によるものであったことから、原告の供述が正しく録取されていなかったことが原因 であり、不合理な変遷ではないと主張する。 しかし、難民調査官による事情聴取中、原告が流産した時期については変遷しておらず、また、原告が直筆で作成した難民認定申請書には上記事情聴取時にした上記供述と同内容の記載をしており、これらのことからすれば、難民調査官による事情聴取は原告の言い分をおおむね正確に記録したものというべきである。 その他、原告は、陳述書においては、農場で強制労働させられていた間に、脱走しようとした人が銃で撃たれていたとか、悪環境のため何人も死ぬのを見たと陳述するが、本人尋問においては、銃で撃たれた人はいない、亡くなった人も1人いたようだが、直接は見ていないと述べ、変遷が見られ、陳述書の記載が誇張され ていることからすると、上記変遷も事実を意図的に誇張し、あるいは作出した結果生じた疑いがある。 したがって、原告の供述は信用することができない。 (d) 原告の供述内容に不合理な点があること原 ることからすると、上記変遷も事実を意図的に誇張し、あるいは作出した結果生じた疑いがある。 したがって、原告の供述は信用することができない。 (d) 原告の供述内容に不合理な点があること原告の供述を前提とすると、原告の母親が原告を改心させるため に警察に通報したにもかかわらず、3か月もの間原告に面会するなどしてその状況を確認しなかったことは不自然である。 原告は、原告の母親は原告に食料を差し入れるためにたびたび警察署に来ていた、警察から原告が衰弱した状況であるから面会するように言われたようであると主張する。しかし、原告は、本件 訴訟に至る前はそのような供述をしておらず、場当たり的にした供述であって、およそ信用し難い。この点を措くとしても、原告の上記供述を前提にすると、警察は原告と原告の母親との面会を禁じておらず、原告の母親が希望すれば面会が可能であったといえるから、やはり原告の母親が3か月もの間原告との面会を一切 希望しなかったことは不自然、不合理である。 また、原告は、Dで生活していた際にE警察署の警察官に逮捕されたと述べているが、その位置関係からするとにわかに信じがたい。 b 指名手配に係る供述について(a) 指名手配のポスターを確認するために警察署に行ったとする供述 は不自然、不合理であること原告は、E警察署から釈放された後、自らが指名手配されていると人づてに聞き、これを確認しようと自らE警察署に赴いたと供述する。 しかし、原告の供述によれば、原告の指名手配のポスターは、 E警察署に限らず、カジノのバー、現地の新聞等に広く掲示、掲載されていたとのことであるが、これを裏付けるものはない。また、原告は、LGBTI に理解のある知人女性のいるカジノのバーにも上記 E警察署に限らず、カジノのバー、現地の新聞等に広く掲示、掲載されていたとのことであるが、これを裏付けるものはない。また、原告は、LGBTI に理解のある知人女性のいるカジノのバーにも上記ポスターが貼り出されていたというのであるから、上記ポスターを確認するのであれば、当該バーに行くのが自然である。 しかし、原告は、当該バーに行くことはなく、過去にE警察署において同性愛者であることを理由に逮捕・勾留され、拷問を受けたことがあるにもかかわらず、直接E警察署に指名手配の事実を確認しに行くという行動を取ったというのであり、これは、迫害のおそれを抱いている者の行動として不自然、不合理である。 この点、原告は、人ごみに紛れるため目立たないと考えた、ボダボダに乗って通り過ぎるだけであれば見つからない、仮に見つかったとしてもすぐに逃げることができると考えたとも述べる。 しかし、原告は、知人から、原告の顔写真入りの指名手配のポスターがE警察署に貼りだされていると聞いたにすぎず、当然に警 察署の屋外にポスターが貼ってあることを前提とした行動を取っ たことは不自然である。 (b) 指名手配のポスターに関する供述が不合理であること原告は、難民調査時には、指名手配のポスターがE警察署の署内に掲示されていると供述していたが、その後、屋外の木に吊るされていたと述べ、合理的理由なく供述を変遷させており、この 点からも、原告の供述は信用できない。 また、原告は、午後9時頃にE警察署に向かい、ボダボダに乗って道路を走りながら指名手配のポスターを確認した、指名手配のポスターはA4用紙くらいの大きさで、1枚に6人ほどの顔写真が掲載されており、このようなポスターが何枚か木にぶら下が っていた、ポスターの上部には「WAN 手配のポスターを確認した、指名手配のポスターはA4用紙くらいの大きさで、1枚に6人ほどの顔写真が掲載されており、このようなポスターが何枚か木にぶら下が っていた、ポスターの上部には「WANTED」との記載があり、何らかの報酬が支払われると記載されていたと述べる。しかし、ボダボダに乗って一定の速度で走行している状態かつ真っ暗ではないという程度の明るさにおいて、上記のような指名手配のポスターの記載内容等を認識できたとはにわかに信じ難い。そして、原 告は、本人尋問においては、ポスターの大きさについて、顔写真は1枚がA4くらいの大きさで、大きな紙又はボードに6人ほどの顔写真が掲載されていたとも述べ、ポスターの大きさに関する供述が不合理に変遷している。これらの点からも原告の供述は信用できない。 (c) 原告が旅券の発給を受け、問題なく出入国手続をしていること原告は、2019年(令和元年)9月27日、ウガンダ政府から旅券の発給を受け、翌10月にはウガンダからルワンダに出国し、その日のうちに帰国し、2020年(令和2年)2月にウガンダを出国している。 原告は、旅券が真正なものであるか確認するためにルワンダに出 国し、再度ウガンダに入国したと供述するが、仮に指名手配されていたとするならば、そのような危険を冒すこと自体が不合理である。また、原告は、ウガンダとルワンダとの間を問題なく出入国している上、その後もウガンダを問題なく出国していることからすると、指名手配されていたとは認められない。 c 原告の英語能力について原告は、原告の英語能力が未熟であることから変遷が生じたとも主張するが、英語はウガンダの主要言語であり、学校教育は英語で行われること、原告が難民認定申請書において英語で読むこ 告の英語能力について原告は、原告の英語能力が未熟であることから変遷が生じたとも主張するが、英語はウガンダの主要言語であり、学校教育は英語で行われること、原告が難民認定申請書において英語で読むこと、書くことはでき、話すことは少しと記載し、審査請求書及び審査請求に係る 申述書を英語で記載していることからすると、原告の英語能力が未熟であったために上記変遷が生じたともいえない。 (イ) その他難民該当性を基礎付ける事情がないこと前記ウ(ウ)のとおり、ウガンダ政府が一般市民によるLGBTI に対する暴力行為を含む差別的行為等を助長しているとは認められないから、原 告の難民該当性を基礎付ける事情とはなり得ない。 (ウ) 以上によれば、原告が「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖」を有しているとはいえず、難民に該当するとは認められない。本件不認定処分は適法である。 (2) 争点1-2(本件不認定処分の適法性(審査請求手続の瑕疵)) (原告の主張)原告は、本件不認定処分に係る審査請求をするとともに、口頭での意見陳述を申し立て、審査請求に係る申述書を提出した。同申述書には、医療記録やウガンダの友人の証言に係る資料等を取り寄せしている旨記載していた。 しかし、難民審査参与員は、上記申述書に記載された事実その他の原告 の主張に係る事実が真実であったとしても何らの難民となる事由を包含していないとして、口頭意見陳述を実施することなく審査請求手続を終結し、原告に口頭意見陳述及び取り寄せている資料の追加提出の機会を与えなかった。 これは、重大な手続的瑕疵に該当する。 (被告の主張)原告が主張する本件不認定処分に係る審査請求手続における手続的瑕疵は、本件不認定処分の違 料の追加提出の機会を与えなかった。 これは、重大な手続的瑕疵に該当する。 (被告の主張)原告が主張する本件不認定処分に係る審査請求手続における手続的瑕疵は、本件不認定処分の違法事由とはなり得ない。本件不認定処分は適法である。 (3) 争点2(本件在特不許可処分の適法性) (原告の主張)前記(1)(原告の主張)のとおり、原告は難民に該当するから、原告が難民に該当しないことを前提に原告に在留特別許可をしなかった本件在特不許可処分は違法である。 仮に、原告が難民に該当しないとしても、前記(1)(原告の主張)ウのと おり、ウガンダでは、同性愛者に対する嫌悪感が強く、同性愛者であることが発覚し、又は疑われるだけで警察等によって恣意的に身柄を拘束され、拷問等を受けるおそれがあり、一般市民からも暴行等を受けるおそれがある。そうすると、原告をウガンダに帰国させると、拷問又は非人道的取扱いあるいは品位を辱める取扱いを受けるおそれがあり、かつ、生命又は身 体の自由及び安全に対する権利侵害のおそれがあるから、原告をウガンダに退去強制することは憲法13条及び自由権規約6条1項、7条、9条1項、拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は、刑罰に関する条約(以下「拷問等禁止条約」という。)3条、強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約(以下「強制失踪条約」という。)1 6条1項に反する。 また、自己の性的指向に基づいて生きる権利は、個人の人格的生存に不可欠であるところ、個人の性的指向という私生活に関し、暴言、暴力、処罰、拘束、嫌がらせ等を受けることは、個人の人格的生存を侵害するものである。 前記(1)(原告の主張)ウのとおり、ウガンダでは、同性間の性交渉を犯罪と 個人の性的指向という私生活に関し、暴言、暴力、処罰、拘束、嫌がらせ等を受けることは、個人の人格的生存を侵害するものである。 前記(1)(原告の主張)ウのとおり、ウガンダでは、同性間の性交渉を犯罪として定めていること等に照らすと、ウガンダでは同性愛者の私生活に対す る恣意的な干渉がされており、ウガンダ政府が私生活に係る不干渉を保護していないから、原告をウガンダに退去強制することは憲法13条及び自由権規約17条1項及び2項に反する。 さらに、上記のとおり、ウガンダでは同性愛者に対してのみ性交渉を禁止し、同性愛者の同居等が迫害の対象となっているところ、これは、同性愛者 であることを理由に差別するものであって平等権を侵害するものである。したがって、原告をウガンダに退去強制することは憲法14条及び自由権規約26条に反する。 以上のとおり、原告をウガンダに退去強制することは、憲法13条、14条、自由権規約6条1項、7条、9条1項、17条1項及び2項、26条に 反するものであり、入管法53条3項1号、2号に違反するものである。これらを看過してされた本件在特不許可処分は違法である。 (被告の主張)前記(1)(被告の主張)のとおり、原告は難民に該当しない。 また、ウガンダの一般情勢に係る原告の主張に理由がないことは、前記 (1)(被告の主張)ウのとおりであるから、原告の主張はその前提を欠く。 よって、本件在特不許可処分は適法である。 (4) 争点3(本件退令発付処分の適法性)(原告の主張)ア退去強制手続において、主任審査官は、法務大臣等から容疑者がした異 議の申出に理由がないと裁決した旨の通知を受けたときは、速やかに退去 強制令書を発付しなければならない(入管法49条6項)。しかし、当 て、主任審査官は、法務大臣等から容疑者がした異 議の申出に理由がないと裁決した旨の通知を受けたときは、速やかに退去 強制令書を発付しなければならない(入管法49条6項)。しかし、当該外国人が難民条約に定める難民であるときは、当該外国人を、これを迫害するおそれのある国に向けて送還することはできない(入管法53条3項、難民条約33条1項、拷問等禁止条約3条1項、強制失踪条約16条1項)。前記(1)(原告の主張)のとおり、原告は難民に該当するから、本件 退令発付処分は違法である。 イ仮に、原告が難民に該当しないとしても、前記(3)(原告の主張)のとおり、原告には、在留特別許可が付与されるべきであるから、本件退令発付処分は違法である。 ウまた、主任審査官には、退去強制令書を発付するか否か、発付するとし てもいつするのか、送還先をどこにするのかについて裁量権がある。そして、当該裁量権の行使は憲法、条約、法令に反して行うことができないところ、前記(3)(原告の主張)のとおり、原告をウガンダに退去強制することは、憲法13条、14条、自由権規約6条1項、7条、9条1項、17条1項及び2項、26条に反するものであり、入管法53条3項1号、 2号に違反するものであるから、裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用があり本件退令発付処分は違法である。 (被告の主張)退去強制手続において、主任審査官は、法務大臣等から容疑者がした異議の申出に理由がないと裁決した旨の通知を受けたときは、速やかに退去 強制令書を発付しなければならず(入管法49条6項)、主任審査官に裁量の余地はない。 原告が難民に該当しないことは前記(1)(被告の主張)のとおりであり、原告が入管法24条5号の2所定の退去強制事由に該当すること ればならず(入管法49条6項)、主任審査官に裁量の余地はない。 原告が難民に該当しないことは前記(1)(被告の主張)のとおりであり、原告が入管法24条5号の2所定の退去強制事由に該当することは明らかであるから、本件裁決は適法である。 また、ウガンダの一般情勢に係る原告の主張に理由がないことは、前記 (1)(被告の主張)ウのとおりであるから、原告の主張は前提を欠いている。 したがって、本件退令発付処分は適法である。 以上

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