主文 1 第1事件訴えのうち、大阪市会が令和4年11月18日付けでした別紙1記載の決議の取消しを求める部分を却下する。 2 原告のその余の第1事件請求を棄却する。 3 第2事件訴えのうち、富田林市議会が令和4年9月28日付けでした別紙2 記載の決議の取消しを求める部分を却下する。 4 原告のその余の第2事件請求を棄却する。 5 訴訟費用は、第1事件及び第2事件を通じ、原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 第1事件(1)大阪市会が令和4年11月18日付けでした別紙1記載の決議を取り消す。 (2)第1事件被告は、原告に対し、350万円及びこれに対する令和5年1月19日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 2 第2事件 (1)富田林市議会が令和4年9月28日付けでした別紙2記載の決議を取り消す。 (2)第2事件被告は、原告に対し、350万円及びこれに対する令和5年1月19日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 第1事件は、原告が、①大阪市会が令和4年11月18日付けでした別紙1記載の決議(以下「本件決議1」という。)が違法な処分であるとして、第1事件被告を相手に、本件決議1の取消しを求める(処分の取消しの訴え。以下、第1事件訴えのうち本件決議1の取消しを求める部分を「本件取消しの訴え1」という。)とともに、②本件決議1により原告の大阪市会に対する請願権等が侵害さ れたとして、第1事件被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、損害金350 万円(慰謝料300万円及び弁護士費用50万円の合計額)及びこれに対する不法行為の後の日で訴状送達の日である令和5年1月19日から支払済みまで民法所定の年3% 法1条1項に基づき、損害金350 万円(慰謝料300万円及び弁護士費用50万円の合計額)及びこれに対する不法行為の後の日で訴状送達の日である令和5年1月19日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 第2事件は、原告が、第1事件と同様、①富田林市議会が令和4年9月28日付けでした別紙2記載の決議(以下「本件決議2」といい、本件決議1と併せて 「本件各決議」という。)が違法な処分であるとして、第2事件被告を相手に、本件決議2の取消しを求める(以下、第2事件訴えのうち本件決議2の取消しを求める部分を「本件取消しの訴え2」といい、本件取消しの訴え1と併せて「本件各取消しの訴え」という。)とともに、②本件決議2により原告の富田林市議会に対する請願権等が侵害されたとして、第2事件被告に対し、国家賠償法1条 1項に基づき、前同様の損害金350万円及び遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(争いのない事実、顕著な事実並びに後記の証拠(枝番号のある書証は特に明記しない限り枝番号を含む。以下同じ。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実) (1)原告ア原告は、平和の礎としての健全な人格及び理想家庭を形成するとともに、宗教・人種・国境の壁を超え、自然と調和した「OneFamilyunderGod」の実現を牽引する日本を建設することを目的とし、そのために平和国連のモデル形成、日米韓を基軸としたアジア太平洋文明圏の形成への主導的貢 献、「平和家庭理想」を基盤とした為に生きる「奉仕文化」の国家と社会への定着を目指すことを目的として、令和4年12月15日に成立した一般社団法人である。 原告が一般社団法人となる前は、原告代表者らが「大阪府平 基盤とした為に生きる「奉仕文化」の国家と社会への定着を目指すことを目的として、令和4年12月15日に成立した一般社団法人である。 原告が一般社団法人となる前は、原告代表者らが「大阪府平和大使協議会」の名称で活動していたところ、同日に一般社団法人と成り、同協議 会の事務局次長を務めていた原告代表者が、原告の理事長に就任した。 原告代表者は、世界平和統一家庭連合(「旧統一教会」と呼称されることがある。以下「本件教団」という。)の信者である。 (甲3、5、9、弁論の全趣旨)イ原告は、UPF(UniversalPeaceFederation)の日本支部で東京都に本部を置くUPF-Japanの大阪支部である。 UPFは、本件教団の創設者により平成17年9月に創設され、アメリカ合衆国ニューヨーク州に本部を置いている。UPFは、本件教団の関連団体である。 (甲12、25、弁論の全趣旨)(2)本件教団に係る報道等 A元内閣総理大臣が令和4年7月8日に銃撃により殺害された。マスコミ等は、その殺人事件の被疑者が本件教団の信者の子であり、その犯行動機が本件教団への怨恨である旨を報道するとともに、本件教団に係る霊感商法や高額献金といった問題(いわゆる旧統一教会問題)を大きく取り上げるようになった。 C内閣総理大臣は、同年8月31日、自由民主党総裁として、自由民主党所属の議員と本件教団との関係を断つこと等の方針を表明した。 (丙3、17、弁論の全趣旨)(3)本件各決議ア富田林市議会は、同年9月28日、同年第3回定例会において、「旧統 一教会と富田林市議会との関係を根絶する決議」と題する本件決議2をした。 本件決議2の内容は、別 決議ア富田林市議会は、同年9月28日、同年第3回定例会において、「旧統 一教会と富田林市議会との関係を根絶する決議」と題する本件決議2をした。 本件決議2の内容は、別紙2記載のとおりである。 (甲1、弁論の全趣旨)イ大阪市会は、同年11月18日、同年第3回定例会において、「旧統一 教会等の反社会的団体の活動とは一線を画する決議」と題する本件決議 1をした。 本件決議1の内容は、別紙1記載のとおりである。 (甲2、弁論の全趣旨)(4)本件各訴えの提起原告は、同年12月23日、本件各訴えを提起した(顕著な事実)。 2 争点(1)本件各取消しの訴えの適法性の有無(本件各決議の処分性の有無。本案前の争点)(2)本件各決議を取り消すべき違法性の有無ア請願権の侵害(憲法16条違反)の有無 イ思想良心の自由及び信教の自由の侵害(憲法19条及び20条1項前段違反)の有無ウ平等原則違反(憲法14条1項違反)の有無エ適正手続の保障違反(憲法31条違反)の有無(3)国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求の可否等 ア請願権の侵害(憲法16条違反)の有無イ思想良心の自由及び信教の自由の侵害(憲法19条及び20条1項前段違反)の有無ウ平等原則違反(憲法14条1項違反)の有無エ適正手続の保障違反(憲法31条違反。さらに本件決議1につき憲法1 3条違反)の有無オ名誉毀損に係る違法性の有無カ損害の発生の有無及びその額 3 争点に関する当事者の主張(1)争点(1)(本件各取消しの訴えの適法性の有無(本件各決議の処分性の 無オ名誉毀損に係る違法性の有無カ損害の発生の有無及びその額 3 争点に関する当事者の主張(1)争点(1)(本件各取消しの訴えの適法性の有無(本件各決議の処分性の 有無。本案前の争点))について (原告の主張)ア本件決議1は、①第1事件被告の議決機関たる大阪市会による決議であり、地方自治法に基づく公権力の行使であること、②本件教団及びその関連団体という特定人を対象とし、「反社会的団体」という評価的決めつけをした上、「一線を画する」という表現により原告を含む本件教団関係 者による大阪市会及び大阪市会議員を含む議会関係者に対する接触ないし働きかけを一方的に拒絶し、もって地方政治のプロセスから排除するものであって、重大な人権侵害ないし法の下の平等に反する差別的取扱いを内容とするものであること、③その当然の結果として、本件教団及びその関連団体による大阪市会及び大阪市会議員を含む議会関係者に対 する憲法上の請願の拒絶をもたらし、その行使を著しく困難にするものであること、④本件決議1の対象とされた原告を含む団体が被る深刻な人権侵害からの実効的な救済のためには、本件決議1を抗告訴訟の対象とする必要があることからすれば、本件決議1は、行政事件訴訟法3条2項にいう処分に当たるというべきである。 イ本件決議2は、①第2事件被告の議決機関たる富田林市議会による決議であり、地方自治法に基づく公権力の行使であること、②本件教団及びその関連団体という特定人を対象とし、「一切かかわりを持たない」という表現をもって、法的事実的を問わず、あらゆる関係の断絶を宣言するものであり、本件教団及びその関連団体による富田林市議会及び同議会 議員に対する政治的接触ないし働きかけを一方的に たない」という表現をもって、法的事実的を問わず、あらゆる関係の断絶を宣言するものであり、本件教団及びその関連団体による富田林市議会及び同議会 議員に対する政治的接触ないし働きかけを一方的に拒絶し、一切の政治的プロセスから排除するとともに、第2事件被告との間で交わしている一切の法的関係を拒絶することを宣言するものであること、③その当然の結果として、本件教団及びその関連団体による富田林市議会に対する憲法上の請願の不能及び受理の拒絶をもたらし、既存の契約関係の停止、 解除を意味するものであること、④本件決議2は、そのタイトルが「旧 統一教会と富田林市議会との関係を根絶する決議」であり、これは、本件教団及びその関連団体を根絶の対象となる反社会的団体であると断定するもので、名誉毀損等の人権侵害の違法行為となるものであること、⑤本件決議2の対象とされた本件教団及び原告を含む関連団体が被る深刻な人権侵害からの実効的な救済のためには、本件決議2を抗告訴訟の 対象とする必要があることからすれば、本件決議2は、行政事件訴訟法3条2項にいう処分に当たるというべきである。 (第1事件被告の主張)本件決議1は、その文言どおり、「本市会(大阪市会)は、旧統一教会等の反社会的団体の活動に取り込まれることがないよう一線を画することを強 く決意する」という議会の意思表明である。本件決議1には原告の名称が記載されているわけでもなく、本件決議1は、原告を含む国民の権利義務その他の法的地位を形成し又は変動する効果を持つものではない。 したがって、本件決議1は、処分性を有しないから、本件取消しの訴え1は不適法である。 (第2事件被告の主張)ア普通地方公共団体の議会は、条例の制定・改廃や予算の策定等 したがって、本件決議1は、処分性を有しないから、本件取消しの訴え1は不適法である。 (第2事件被告の主張)ア普通地方公共団体の議会は、条例の制定・改廃や予算の策定等の一定の事件について議決しなければならないとされているが(地方自治法96条)、議決事件でないものについても決議をする場合がある。このような決議は、議会が行う事実上の意思形成行為で、政治的効果をねらい、あ るいは議会の意思を対外的に表明することが必要であるなどの理由でされる議決をいい、法的効果を伴うものと法的効果を伴わないものとがある。決議の多くは、単に政治的効果をねらった事実行為的な意思表明にすぎない。 イ令和4年9月当時、旧統一教会(本件教団)が霊感商法などで国民に大 きな被害を与え、行政や政治家にまで関係を広げていたことが注目され、 また、第2事件被告が本件教団とアドプトロード(地方公共団体が管理する道路について民間団体が自主的に行う美化活動を地方公共団体が支援する事業)の協定を結んでいたことがマスコミにも報道されたため、市民から疑問の声や、今後の第2事件被告や富田林市議会議員の姿勢を問う声が寄せられていた。本件決議2は、富田林市議会として、市民の 疑問に応え、本件教団との関係を根絶する姿勢を示すことを目的とするものであり、単に政治的効果をねらった事実行為をしたものにすぎない。 したがって、本件決議2は、直接特定の私人の具体的な権利義務を形成し、又はその範囲を確定する法的効果を伴うものではない。 ウ以上のとおり、本件決議2は「行政庁の処分その他公権力の行使に当た る行為」(行政事件訴訟法3条2項)に該当せず、本件取消しの訴え2は、不適法である。 (2)争点(2)(本件各決議を取 ウ以上のとおり、本件決議2は「行政庁の処分その他公権力の行使に当た る行為」(行政事件訴訟法3条2項)に該当せず、本件取消しの訴え2は、不適法である。 (2)争点(2)(本件各決議を取り消すべき違法性の有無)について(原告の主張)ア請願権の侵害 憲法16条は、請願権を保障している。請願権は、民意を国政ないし地方行政に反映させる方法として参政権を補充する重要な政治的権利とされているところ、普通地方公共団体の議会においては議員の紹介により請願書を提出することが必要とされている(地方自治法124条)。 原告は、本件各決議の取消し等を求める請願を行うため、大阪市会議員 及び富田林市議会議員に対し、紹介議員になることを依頼する文書を送付したが、これを応諾する議員はおらず、返事すらもらえなかった。これは、本件各決議を理由として、大阪市会及び富田林市議会に対する請願の紹介議員になることを組織的に拒絶するものである。 本件各決議は、本件教団、原告を含む関連団体及び本件教団の信者らが 大阪市会及び富田林市議会に対する請願に必要な紹介議員を得ることを 著しく困難にするものである。 本件決議1は、本件教団及びその関連団体を「反社会的団体」と評価して「一線を画する」という表現を用いており、大阪市会が関わる政治プロセスからの排除を意味し、また、大阪市会議員に対する強力な拘束力を有するため、原告の地方自治法上の請願権の行使は著しく困難なもの となった。地方自治法上の請願の形式を採らなければ、請願法5条が保障する誠実処理がされる法的保障がない。 富田林市議会議員が本件決議2に違反した場合、相当程度の確実さをもって議会秩序違反等を理由に戒告、陳謝等の懲罰 の形式を採らなければ、請願法5条が保障する誠実処理がされる法的保障がない。 富田林市議会議員が本件決議2に違反した場合、相当程度の確実さをもって議会秩序違反等を理由に戒告、陳謝等の懲罰の対象となることから、多くの富田林市議会議員がこれを恐れて紹介議員になることを断ること が容易に推察される。 以上によれば、本件各決議は、原告の請願権を侵害するものである。 イ思想良心の自由及び信教の自由の侵害憲法19条及び20条1項前段は、思想良心の自由及び信教の自由を保障しているところ、本件各決議は、本件教団の信者らの思想良心の自由 及び信教の自由を侵害するものである。 UPFは、本件教団の関連団体であり、本件教団の教義に基づいて平和活動等を社会的政治的に実践することを旨とし、アメリカ合衆国ニューヨーク州に本部を置き、国際連合経済社会理事会において総合協議資格を有する国際NGOである。原告は、UPFの日本支部のUPF-Ja panの大阪支部である。 本件教団は、本件各決議により、宗教的実践としての社会活動(例えば、第2事件被告に係るアドプトロード事業)の停止を余儀なくされており、本件各決議は、本件教団の関連団体による宗教活動の自由を侵害するものである。 しかも、本件決議1は、原告を含む本件教団の関連団体を「反社会的団 体」と明示的に評価して犯罪集団として扱っている。 なお、第1事件被告は、法人は思想良心の自由を享有するとは考えられないと主張するが、思想良心の自由の保障は、性質上可能な限り、内国の法人にも適用されるものである。また、第1事件被告は、原告は、本件決議1の後に法人として成立したものであるから、本件決議1がその 後に成 するが、思想良心の自由の保障は、性質上可能な限り、内国の法人にも適用されるものである。また、第1事件被告は、原告は、本件決議1の後に法人として成立したものであるから、本件決議1がその 後に成立した法人の思想良心の自由を侵害することはあり得ないと主張するが、原告は、平成26年5月31日に成立した大阪府平和大使協議会をそのまま承継して成立したものであり、同協議会とその目的や組織も全く同じであり、同協議会と実質的な同一性を有する。したがって、上記の第1事件被告の主張はいずれも理由がない。 ウ平等原則違反本件各決議は、普通地方公共団体の議会が特定の宗教団体及びその関連団体との関係を遮断するものであり、特定の宗教団体の信仰、世界観、儀式又は宗教活動を理由に、思想良心の自由、信教の自由、請願権について規制し、差別的取扱いをするものである。このような差別的取扱い は、憲法14条1項の法の下の平等の原則に違反するものである。 しかも、本件決議1は、原告を含む本件教団の関連団体を「反社会的団体」と明示的に評価して犯罪集団として扱っている。 エ適正手続の保障違反本件決議1は、本件教団及び原告を含む本件教団の関連団体が「反社会 的団体」であるという決めつけを行っている。地方公共団体の機関が、特定の団体に対し、「反社会的団体」であると決めつけ、不利益な処遇をするには、適正な手続が必要である。大阪市会は、本件教団に対する偏見と不正確な情報のみに基づいて本件決議1による不名誉と不利益な処遇を強いたのであり、これは深刻な人権侵害である。大阪市会が本件決 議1をするには、手続上、本件教団及びその関連団体に弁解の機会を付 与すべきであったにもかかわらず、これを付与しなかった。 を強いたのであり、これは深刻な人権侵害である。大阪市会が本件決 議1をするには、手続上、本件教団及びその関連団体に弁解の機会を付 与すべきであったにもかかわらず、これを付与しなかった。本件教団及びその関連団体は、憲法31条又は13条に基づく適正手続の保障を受けなかった。本件決議1は、憲法31条又は13条が保障する原告の適正な手続を受ける権利を侵害する。 本件決議2は、原告を含む本件教団の関連団体に対し、「根絶」の対象 となる反社会的団体であるという汚名を着せたものであるところ、富田林市議会が、特定の団体との関係を根絶し、一切の関わりを持たないという懲罰的取扱いを行うためには、当該団体が犯罪集団ないし反社会的団体であるという判断が必要であり、そのためには、法の定めによる適正かつ公平な手続を経ることが必要である。ところが、富田林市議会は、 印象操作に基づいて社会的に形成された不当な烙印に基づいて、本件教団及びその関連団体の弁明の機会を設けることなく、請願権の制約等の不利益を強いる処分(本件決議2)を行った。富田林市議会が本件決議2をするには、手続上、本件教団及びその関連団体に弁解の機会を付与すべきであったにもかかわらず、これを付与しなかった。したがって、 本件決議2は、憲法31条の保障する原告の適正な手続を受ける権利を侵害する。 オまとめ以上のとおり、本件各決議には憲法違反の違法がある。 (第1事件被告の主張) ア本件決議1は、大阪市会の自律的な意思の表明にとどまり、原告の請願権を侵害するものではない。また、請願の提出要件である紹介議員になるか否かは議員の自由意思によるのであり、原告の請願に紹介議員が得られなかったとしても、それは各議員の意思によるもの まり、原告の請願権を侵害するものではない。また、請願の提出要件である紹介議員になるか否かは議員の自由意思によるのであり、原告の請願に紹介議員が得られなかったとしても、それは各議員の意思によるものであり、本件決議1の直接の効果ではない。仮に紹介議員がいなくても陳情書を提出す るなど大阪市会に自らの意思を伝える手段はあるから、原告が請願の紹 介議員を得ることができなかったとしても、本件決議1が原告の請願権を違法に侵害することにはならない。 イ原告は、法人であるから、基本的に思想良心の自由を享有するとは考えられない。また、原告は、本件決議1の後に法人として成立したものであるから、本件決議1がその後に成立した法人の思想良心の自由を侵害 することはあり得ない。 本件決議1は、原告の信教の自由を侵害するものではない。 ウ本件決議1は、憲法14条1項に違反するものではない。 エ本件決議1は、憲法31条及び13条に違反するものではない。 オ以上によれば、本件決議1に憲法違反の違法はない。 (第2事件被告の主張)ア本件決議2は、富田林市議会において、単に政治的効果をねらった事実行為をしたものにすぎず、法的効力を有するものではない。原告による本件決議2の取消しを求める請願について紹介議員になるか否かは、飽くまで議員が自らの意思により判断する事項である。したがって、本件 決議2により、原告の請願権が侵害されたということはできない。 イ本件決議2は、本件教団の教義ではなく、専ら本件教団の外部的行為ないし世俗的側面に着目して行われたものであり、原告の思想及び良心の自由や、内心における信仰の自由を規制するものではない。本件決議2は、法的効力を有するものでなく、 はなく、専ら本件教団の外部的行為ないし世俗的側面に着目して行われたものであり、原告の思想及び良心の自由や、内心における信仰の自由を規制するものではない。本件決議2は、法的効力を有するものでなく、原告の思想良心の自由や信教の自由 を何ら制限する効力を有するものではない。 したがって、本件決議2は、原告の思想良心の自由及び信教の自由を侵害するものではない。 なお、第2事件被告に係るアドプトロード事業(アドプトロード事業とは、地方公共団体が管理する道路について民間団体が自主的に行う美化 活動を地方公共団体が支援する事業をいう。)は、本件教団(富田林教 会)、第2事件被告及び大阪府富田林土木事務所の三者が平成28年7月5日付けで協定を締結していたところ、同事務所が本件教団からの活動報告が2年以上されていないことを理由として令和4年8月10日付けで上記協定を解除したものであり、本件決議2と上記協定の解除とは関係がない。 ウ本件決議2は、事実行為にすぎず、法的効力を有するものではなく、その内容も「一切かかわりを持たない」という抽象的なものにとどまっており、本件教団とそれ以外の宗教団体との間で取扱いを異にする具体的な内容を決議したものではない。また、本件決議2は、本件教団の活動の世俗的側面に着目して行われたものであり、特定の宗教団体の信仰、 世界観、儀式又は宗教活動を理由にしたものではなく、本件教団及びその関連団体とそれ以外の宗教団体との間で宗教活動を理由とする不合理な差別をするものではない。 エ本件決議2は、原告の権利を侵害するものではなく、原告に不利益を強いる処分ではないから、適正手続の保障が問題となる余地はない。 オ以上によれば、本件決議2に憲法違反の 。 エ本件決議2は、原告の権利を侵害するものではなく、原告に不利益を強いる処分ではないから、適正手続の保障が問題となる余地はない。 オ以上によれば、本件決議2に憲法違反の違法はない。 (3)争点(3)(国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求の可否等)について(原告の主張)ア前記(2)(原告の主張)アのとおり、本件各決議は、原告の請願権を 侵害するものであり、国家賠償法1条1項所定の違法行為に当たる。 イ前記(2)(原告の主張)イのとおり、本件各決議は、思想良心の自由及び信教の自由を侵害するものであり、国家賠償法1条1項所定の違法行為に当たる。 また、信教の自由には、宗教団体やその関連団体による信仰の核心部分 と密接に関連する活動の自由も含まれている。原告は、本件教団の関連 団体として、その教義を実践するため、政治活動及び社会活動を行い、地域の福祉活動(例えば、アドプトロード事業)にまい進してきた。ところが、本件各決議により、上記活動がいずれも困難となった。第2事件被告に係るアドプトロード事業については理由なく解除された。本件各決議は、原告の信仰の自由に基づく宗教活動の自由を阻害するもので あり、国家賠償法1条1項所定の違法行為に当たる。 ウ前記(2)(原告の主張)ウのとおり、本件各決議は、法の下の平等の原則に違反するものであり、国家賠償法1条1項所定の違法行為に当たる。 エ前記(2)(原告の主張)エのとおり、本件各決議は、原告の適正手続 を受ける権利を侵害するものであり、国家賠償法1条1項所定の違法行為に当たる。 オ名誉毀損本件各決議は、公然と、事実を摘示し、又は、意見論評をもって原告の社会的評価 を受ける権利を侵害するものであり、国家賠償法1条1項所定の違法行為に当たる。 オ名誉毀損本件各決議は、公然と、事実を摘示し、又は、意見論評をもって原告の社会的評価を低下させるものであり、名誉毀損の不法行為が成立する。 また、本件各決議は、現在も、第1事件被告及び第2事件被告それぞれの公式ウェブサイトに掲載されており、これらも原告の社会的評価を低下させる名誉毀損の不法行為を構成する。 第1事件被告及び第2事件被告が国家賠償法1条1項の損害賠償責任を免れるためには、第1事件被告及び第2事件被告において、事実摘示に よるものについては「真実性の証明」や「真実相当性の証明」の抗弁を、意見論評によるものについては「公正な論評」の抗弁をそれぞれ主張立証しなければならない。 (ア)本件決議1について原告は本件教団の関連団体であるところ、本件決議1は、本件教団及 びその関連団体を「反社会的団体」であると評価的決めつけをした。本 件決議1は、一般読者の普通の注意と読み方からすれば、原告等が指定暴力団に相応する犯罪集団であるとの誤った印象を抱かせ、又は、その誤った評価を強化するものであり、原告等の社会的評価を著しく低下させた。 本件決議1の内容は、①本件教団が霊感商法等の違法行為を現在も継 続しているという事実の摘示、②政治家との関係に関する事実の摘示とそれが違法行為であるという意見論評、本件教団による違法で悪質な活動により重大な被害が生じているという事実の摘示とその救済が必要であるなどという意見論評、③元大阪市の施設が、旧統一協会の信者が経営する企業に買い取られ、大阪市内の一大拠点となっているという事実 の摘示、これを前提事実とする旧統 実の摘示とその救済が必要であるなどという意見論評、③元大阪市の施設が、旧統一協会の信者が経営する企業に買い取られ、大阪市内の一大拠点となっているという事実 の摘示、これを前提事実とする旧統一教会の関係者への売却に加担したことに対する忸怩たる思いという反省を表明する意見論評、④旧統一教会等(「等」は本件教団の関連団体を意味する。)が反社会的団体であるという事実の摘示から成る。上記①及び②の事実の摘示及び意見論評は、本件教団に向けられたものであるが、全体を読むと、本件教団の関連団 体に対する誹謗であり、大阪市内で活動してきた原告に対する非難でもあり、本件教団及び原告を含む関連団体が、元信者ら被害者に重大な被害を生じさせる違法で悪質な行為を行っている団体であるという印象を与え、上記③は、当該信者の会社が本件教団と一体性を有する反社会的団体であるという事実の摘示により、本件教団の関連団体である原告も 本件教団と一体性を有する反社会的団体であると中傷するものであり、上記④は、上記①から③までとあいまって、本件教団及び原告を含む本件教団の関連団体が悪質な犯罪行為を組織的に継続している反社会的団体であるという事実が真実であるかのような悪印象を市民に与えるものである。 本件決議1は、原告の社会的評価を著しく低下させる名誉毀損の不法 行為を構成し、国家賠償法1条1項所定の違法行為に当たる。 第1事件被告は、本件決議1が原告が設立される前の行為であることを理由に本件決議1により原告の社会的評価が貶められたとはいえない旨主張する。しかし、原告は、平成26年5月31日に成立した大阪府平和大使協議会をそのまま承継して成立したものであり、同協議会とそ の目的や組織も全く同じである。また、本件決議 れたとはいえない旨主張する。しかし、原告は、平成26年5月31日に成立した大阪府平和大使協議会をそのまま承継して成立したものであり、同協議会とそ の目的や組織も全く同じである。また、本件決議1は、現在も第1事件被告の公式ウェブサイトに掲載されており、原告の社会的評価を低下させ続けている。したがって、上記の第1事件被告の主張は理由がない。 第1事件被告は、本件決議1は、内部規律の問題にとどまるから、大阪市会の自律的な判断に委ねるのが適当であると主張する。しかし、本 件決議1は、本件教団及び原告を含む関連団体を反社会的団体と決めつけ、その社会的評価を低下されるものであるから、議会の内部規律の問題にとどまるものではない。したがって、上記の第1事件被告の主張は理由がない。 (イ)本件決議2について a 本件決議2は、「根絶」という言葉を用いているところ、根絶とは「ねだやし」の言い回しであり、通常、指定暴力団等の反社会的団体又は害虫若しくは病原菌を対象とする言葉である。本件決議2は、一般読者の普通の注意と読み方からすれば、本件教団及びその関連団体が反社会的団体類似の犯罪集団であるとの印象を抱かせるものであり、 本件教団及びその関連団体の一つである原告の社会的評価を著しく低下させるものである。 本件決議2は、①「旧統一教会が霊感商法などで、国民に大きな被害をあたえ、行政や政治家にまで関係をひろげていたことが注目されている。」、②「富田林市が世界平和統一家庭連合とアドプトロードの 協定を結んでいたことがマスコミにも報道され、市民から疑問の声や、 今後の市や市会議員の姿勢を問う声が寄せられている。」という摘示した事実に加え、その他の「旧統一教会との関係を根絶するた 協定を結んでいたことがマスコミにも報道され、市民から疑問の声や、 今後の市や市会議員の姿勢を問う声が寄せられている。」という摘示した事実に加え、その他の「旧統一教会との関係を根絶するため」等の意見論評等からすれば、③「本件教団及びその関連団体が法令に違反する犯罪的で悪質な行為を組織的に継続している忌避すべき反社会的団体である」という事実による悪印象を与えるものである。 本件決議2は、上記①及び②の事実を摘示することにより、また、上記①から③までの事実を前提事実とする意見論評により、本件教団の関連団体である原告の社会的評価を著しく低下させるものであり、不法行為といえる。 b また、原告は本件決議2において害虫扱いされたため、原告の名誉 感情が著しく傷ついた。 c したがって、本件決議2は、原告に対する名誉毀損及び侮辱の行為であり、国家賠償法1条1項所定の違法行為に当たる。 カ損害原告は、本件各決議により主観的な権利の侵害を受けたところ、その精 神的苦痛を慰謝し、又は、無形の損害を塡補するには、第1事件被告及び第2事件被告それぞれによる各300万円の支払が必要である。 また、弁護士費用は、第1事件被告及び第2事件被告それぞれについて各50万円を下らない。 キ本件各決議は、大阪市会及び富田林市議会による公権力の行使であり、 また、大阪市会及び富田林市議会は、本件各決議が前記アからオまでの違法があることを知りながら、又は、知り得たにもかかわらず漫然とこれを認識しないまま、本件各決議をした。 ク結論以上によれば、第1事件被告及び第2事件被告は、それぞれ、原告に対 し、国家賠償法1条1項に基づき、350 かわらず漫然とこれを認識しないまま、本件各決議をした。 ク結論以上によれば、第1事件被告及び第2事件被告は、それぞれ、原告に対 し、国家賠償法1条1項に基づき、350万円の損害を賠償する責任が ある。 (第1事件被告の主張)ア否認ないし争う。 イ前記(2)(第1事件被告の主張)と同じ。 ウ原告の名誉毀損の主張について (ア)原告は、本件決議1当時、法人として存在していたわけではなく、名誉権を享有する主体でもなかった。本件決議1後に原告が設立されたからといって、本件決議1が遡及的に原告に対する権利侵害となるとは考えられない。本件決議1当時には原告に対する社会的評価も存在しなかったと考えられるから、本件決議1により原告の社会的評価が貶められ たとはいえない。 なお、本件決議1は、反社会的団体の代表例として旧統一教会を例示しており、本件決議1にいう「旧統一教会等」の「等」は、旧統一教会以外に反社会的な活動をする団体が存在すれば、同様に当該団体の活動と一線を画するという意味であり、原告が名指しされているものではな い。 (イ)本件決議1について、通常の名誉毀損の事案の判断枠組みでは判断し得ず、次のとおり判断すべきである。 a 本件決議1は、「本市会は、旧統一教会等の反社会的団体の活動に取り込まれることがないよう一線を画することを強く決意する」とい うものであって、大阪市会の決意を表明したものであり、かつ、画する一線の内容は明確には示されておらず、必ずしも拘束力を有するものではない。また、一線を画する主体となるのは機関としての大阪市会そのもの及び大阪市会を構成する各議員であって、仮に何らかの拘束力があるとして 内容は明確には示されておらず、必ずしも拘束力を有するものではない。また、一線を画する主体となるのは機関としての大阪市会そのもの及び大阪市会を構成する各議員であって、仮に何らかの拘束力があるとしても、大阪市会の内部的なもの又は政治的道義的なも のにとどまることは明白であり、最高裁平成31年2月14日第一小 法廷判決・民集73巻2号123頁及び最高裁令和2年11月25日大法廷判決・民集74巻8号2229頁にいう内部規律の問題にとどまるものである。したがって、仮に本件決議1が原告と何らかの関係を有するとしても、大阪市会の自律的な判断に委ねるのが適当であり、国家賠償法上違法とはいえない。 b 地方議会議員の職務行為についても、国会議員について、国家賠償法1条1項による国の損害賠償責任が肯定されるためには、国会議員が、その職務とは関わりなく違法又は不当な目的をもって事実を摘示し、あるいは、虚偽であることを知りながらあえてその事実を摘示するなど、国会議員がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれ を行使したものと認め得るような特別の事情があることを必要とするとされていること(最高裁平成9年9月9日第三小法廷判決・民集51巻8号3850頁)と同様に考えるべきである。 本件決議1は、大阪市会の全会一致による決議であり、大阪市会議員の職務とは関わりなく違法又は不当な目的をもって事実を摘示し、 あるいは、虚偽であることを知りながらあえてその事実を摘示するなど、大阪市会議員がその付与された権限の趣旨に明らかに背いて決議したと認め得るような特別の事情は一切認められない。 したがって、大阪市会議員の職務行為という面からみても、本件決議1が国家賠償法上違法であるということはできない。 明らかに背いて決議したと認め得るような特別の事情は一切認められない。 したがって、大阪市会議員の職務行為という面からみても、本件決議1が国家賠償法上違法であるということはできない。 エ以上によれば、原告の第1事件被告に対する損害賠償請求は理由がない。 (第2事件被告の主張)ア否認ないし争う。 イ前記(2)(第2事件被告の主張)と同じ。 ウ原告の名誉毀損及び名誉感情侵害の主張について (ア)本件決議2は、原告の社会的評価を低下させるものではないこと 本件決議2のうち、①「旧統一教会が霊感商法などで、国民に大きな被害をあたえ、行政や政治家にまで関係をひろげていたことが注目されている。」という部分は、本件決議2がされた令和4年9月当時、世間において広く報道されていた内容について「注目されている」として、当時の世論の状況を指摘したにとどまる。また、②「富田林市が世界平 和統一家庭連合とアドプトロードの協定を結んでいたことがマスコミにも報道され、市民から疑問の声や、今後の市や市会議員の姿勢を問う声が寄せられている。」という部分は、本件決議2がされる前の令和4年8月13日、第2事件被告が本件教団とアドプトロードの協定を締結し、国道沿いの歩道に看板が設置されていたことがマスコミに報道されたこ とを踏まえ、「市民から疑問の声や、今後の市や市会議員の姿勢を問う声が寄せられている。」という当時の世論の状況を指摘したにとどまる。 したがって、一般読者の普通の注意と読み方を基準として解釈すれば、上記①及び②の表現は、「本件教団及びその関連団体が法令に違反する犯罪的で悪質な行為を組織的に継続している忌避すべき反社会的団体で ある」 一般読者の普通の注意と読み方を基準として解釈すれば、上記①及び②の表現は、「本件教団及びその関連団体が法令に違反する犯罪的で悪質な行為を組織的に継続している忌避すべき反社会的団体で ある」という意味を有するものではなく、原告の社会的評価を低下させる事実を摘示するものではない。 本件決議2のうち、③「富田林議会として、市民の疑問にこたえ、旧統一教会との関係を根絶するため、以下2点を決議する。」などとしている部分は、上記①及び②を前提として、富田林市議会として、市民の 疑問に応え、本件教団との関係を今後は持たないという自らの姿勢を表明したものであり、一般読者の普通の注意と読み方を基準として解釈すれば、「本件教団及びその関連団体が法令に違反する犯罪的で悪質な行為を組織的に継続している忌避すべき反社会的団体である」という事実を前提とする論評や意見表明ではなく、原告の社会的評価を低下させる ものではない。そして、本件決議2のタイトルの「関係を根絶する」と いう表現等についても、上記事実を摘示するものではない。 以上によれば、本件決議2は、原告の社会的評価を低下させるものではなく、名誉毀損の違法行為とはいえない。 (イ)本件決議2について、富田林市議会議員は職務上の法的義務に違反しておらず、国家賠償法上の違法性は認められないこと 原告の主張は、本件決議2について、富田林市議会議員が、議案を提出し、これに賛成票を投じることにより、本件決議2を成立させた行為について、原告の社会的評価を低下させる名誉毀損等であり、国家賠償法1条1項の違法性が認められる旨主張するものと解される。 ところで、公務員による公権力の行使に同項の違法性があるというた めには、公務員 価を低下させる名誉毀損等であり、国家賠償法1条1項の違法性が認められる旨主張するものと解される。 ところで、公務員による公権力の行使に同項の違法性があるというた めには、公務員が、職務上の法的義務に違反したと認められることが必要である。 地方公共団体の議会は、住民の代表機関、決議機関であるとともに、立法機関であって、議会においては自由な討論を通じて民主主義政治が実践されるべきであるから、その議員は、議会の構成員としての職責を 果たすため自らの政治的判断を含む裁量に基づき議案を提出し、これに賛成票を投じることにより、決議を成立させることができる。したがって、議会で成立した決議の内容が、第三者の名誉を毀損したり名誉感情を害したりするものであったとしても、これによって当然に同項の違法行為があったとして地方公共団体に損害賠償責任が生じるものではなく、 かかる責任が肯定されるためには、当該議員が、その職務とは関わりなく、違法又は不当な目的をもって事実を摘示し、あるいは、虚偽であることを知りながらあえてその事実を摘示した上で、決議を成立させるなど、当該議員がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したと認め得るような特別の事情があることを要すると解するのが相当 である。 本件決議2についてみると、本件決議2は、令和4年9月当時、本件教団が霊感商法などで国民に大きな被害を与え、行政や政治家にまで関係を広げていたことが注目されており、第2事件被告が本件教団とアドプトロードの協定を結んでいたことがマスコミにも報道され、市民から疑問の声や今後の市や市議会議員の姿勢を問う声が寄せられていたこと などを踏まえて、富田林市議会として、市民の疑問に応え、本件教団との関係を 協定を結んでいたことがマスコミにも報道され、市民から疑問の声や今後の市や市議会議員の姿勢を問う声が寄せられていたこと などを踏まえて、富田林市議会として、市民の疑問に応え、本件教団との関係を今後は持たないという自らの姿勢を表明したものである。すなわち、富田林市議会議員は、本件教団及びその関連団体との関係について、議員としての資質ないし姿勢が問われる事態が生じたことから、その職務の一環として、住民に対する説明責任を果たす意図及び目的で本 件決議2を成立させたものである。 以上のとおり、富田林市議会議員は、議員として、選挙権(憲法93条2項)を有する住民に対する説明責任を果たすため、本件決議2を成立させたのであり、議員の職務と関わりなく、違法又は不当な目的をもって事実を摘示し、あるいは、虚偽であることを知りながらあえてその 事実を摘示した上で、決議を成立させるなど、議員に付与された権限の趣旨に背いて当該権限を行使したものではない。 したがって、本件決議2について、富田林市議会議員は、職務上の法的義務に違反したものではなく、国家賠償法1条1項の違法性は認められない。 エ以上によれば、原告の第2事件被告に対する損害賠償請求は理由がない。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件各取消しの訴えの適法性の有無(本件各決議の処分性の有無。本案前の争点))について行政事件訴訟法3条2項の定める処分の取消しの訴えの対象となる行政庁の 処分その他公権力の行使に当たる行為は、公権力の主体たる国又は公共団体が 行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成し、又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいう(最高裁昭和39年10月29日第一小法廷判 主体たる国又は公共団体が 行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成し、又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいう(最高裁昭和39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁参照)。 本件決議1の内容は、別紙1記載のとおりであるところ、本件決議1は、大阪市会として「本市会(大阪市会)は、旧統一教会等の反社会的団体の活動に 取り込まれることがないよう一線を画することを強く決意する。」などという意思を事実上表明するものにすぎない。また、本件決議2の内容は、別紙2記載のとおりであるところ、本件決議2は、富田林市議会として「富田林市議会議員は、旧統一教会及びその関連団体とは一切かかわりを持たない。」などという意思を事実上表明するものにすぎない。言い換えれば、本件各決議は、大 阪市会及び富田林市議会が法令上の権限に基づいてした議決(地方自治法96条等参照)ではなく、事実上の意思決定としての決議にすぎないといえる。したがって、本件各決議は、いずれも、政治的な意味を有する事実上の効果を伴うものであるといえるとしても、法的効果を伴うものではない。 以上によれば、原告のその余の主張を踏まえても、本件各決議は、いずれも 上記の行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に当たらない。そうすると、本件各取消しの訴えは、いずれも、処分の取消しの訴えの対象とならない本件各決議を対象として、処分の取消しの訴えを提起するものであるから、不適法である。 したがって、本件各取消しの訴えは、その余の点(争点(2)(本件各決議 を取り消すべき違法性の有無))を判断するまでもなく、いずれも不適法であるから、却下を免れない。 2 争点(3)(国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求の可 余の点(争点(2)(本件各決議 を取り消すべき違法性の有無))を判断するまでもなく、いずれも不適法であるから、却下を免れない。 2 争点(3)(国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求の可否等)について(1)原告は、普通地方公共団体の議会に請願するためには、議員の紹介が必要であるところ(地方自治法124条)、本件各決議により、原告が大阪市会 及び富田林市議会に対する請願に必要な紹介議員を得ることが著しく困難と なっており、本件各決議は、原告の請願権を侵害するものである旨主張する。 しかし、本件各決議は、前記1のとおり、大阪市会及び富田林市議会がその意思を事実上表明するものにすぎず、法的効果を伴うものではない。また、本件各決議の内容は、別紙1及び2各記載のとおりであり、原告の請願 権を直接制限するようなものではない。仮に、原告が主張するとおり、本件各決議により、原告が大阪市会及び富田林市議会に対する請願に必要な紹介議員を得ることが著しく困難となっているとしても(甲3から6まで、25参照)、当該請願に議員の紹介を必要とするのは、地方自治法124条の規定によるものであり、本件各決議とは直接の関係がない上、当該請願の内容 に賛意を表する紹介議員となるかどうかは、最終的には大阪市会議員及び富田林市議会議員が自らの意思で判断する事柄であり、本件各決議の直接の効果ではない。なお、原告において、大阪市会議員及び富田林市議会議員の紹介を得ることができず、大阪市会議員及び富田林市議会に請願書を提出することができないとしても、陳情書を提出することが妨げられるわけではな く、請願以外の方法で大阪市会及び富田林市議会に自らの希望を開陳することが妨げられるわけではない。 以上によれば、本件各決議が原告 しても、陳情書を提出することが妨げられるわけではな く、請願以外の方法で大阪市会及び富田林市議会に自らの希望を開陳することが妨げられるわけではない。 以上によれば、本件各決議が原告の請願権を侵害するものであるとは認められず、上記の原告の主張は採用することができない。 (2)原告は、本件各決議は、本件教団の信者らの思想良心の自由及び信教の自 由を侵害するものである旨主張する。 しかし、原告の主張をみても、本件各決議が、いかなる理由から、原告の思想良心の自由や信教の自由を侵害することになるのかが判然としない(なお、証拠(甲16、17)及び弁論の全趣旨によれば、本件教団富田林教会、大阪府富田林土木事務所及び第2事件被告との間でアドプト・ロード・ プログラムの協定が結ばれ、大阪府から令和4年8月10日付けで解除の通 知がされたことが認められるが、同解除は、その時期の前後関係からすれば、本件決議2(同年9月28日付け)によりされたものと認めることは困難である。)。また、本件各決議は、前記1のとおり、大阪市会及び富田林市議会がその意思を事実上表明するものにすぎず、法的効果を伴うものではない。そして、本件各決議の内容は、別紙1及び2各記載のとおりであり、 原告ないしその社員の思想良心の自由や信教の自由それ自体を制限するものではない。 したがって、本件各決議が原告の思想良心の自由や信教の自由を侵害するものであるとは認められず、上記の原告の主張は採用することができない。 (3)原告は、本件各決議は、特定の宗教団体の信仰、世界観、儀式又は宗教活 動を理由に、思想良心の自由、信教の自由、請願権について規制し、差別的取扱いをするものであり、法の下の平等の原則に違反する旨主張する。 特定の宗教団体の信仰、世界観、儀式又は宗教活 動を理由に、思想良心の自由、信教の自由、請願権について規制し、差別的取扱いをするものであり、法の下の平等の原則に違反する旨主張する。 しかし、本件各決議は、前記1のとおり、大阪市会及び富田林市議会がその意思を事実上表明するものにすぎず、法的効果を伴うものではない上、前記(1)及び(2)のとおり、原告の請願権や思想良心の自由、信教の自由 を侵害するものではない。 また、本件各決議の内容をみるに、本件決議1は、大阪市会が、当時の本件教団をめぐる社会的情勢や、大阪市と本件教団と間の元大阪市の施設に関する関係等を踏まえ、「本市会(大阪市会)は、旧統一教会等の反社会的団体の活動に取り込まれることがないよう一線を画することを強く決意す る。」などとするものである。そして、本件決議2は、富田林市議会が、当時の本件教団をめぐる社会的情勢や、第2事件被告が本件教団とアドプトロードの協定を結んでいたことについて市民から疑問の声や今後の第2事件被告や富田林市議会議員の姿勢を問う声が寄せられたこと等を踏まえ、「富田林議会議員は、旧統一教会及びその関連団体とは一切かかわりを持たな い。」などとするものである。このような本件各決議の内容に照らすと、本 件各決議は、原告の信仰、世界観、儀式又は宗教活動そのものを理由としてされたものではなく、これらを理由に差別的取扱いをするものではない。 したがって、上記の原告の本件各決議が法の下の平等の原則に違反する旨の主張は、その前提を異にしており、採用することができない。 (4)原告は、大阪市会及び富田林市議会は、本件各決議をするに当たり、本件 教団及びその関連団体に弁解の機会を付与すべきであったにもかかわらず、これ を異にしており、採用することができない。 (4)原告は、大阪市会及び富田林市議会は、本件各決議をするに当たり、本件 教団及びその関連団体に弁解の機会を付与すべきであったにもかかわらず、これを付与しなかったから、本件各決議は、憲法31条又は13条が保障する原告の適正な手続を受ける権利を侵害する旨主張する。 しかし、本件各決議は、前記1のとおり、大阪市会及び富田林市議会がその意思を事実上表明するものにすぎず、法的効果を伴うものではない。この ような本件各決議については、そもそも憲法31条の保障が及ぶと解すべきかについて疑問が存する上、憲法31条の保障が及ぶと解したとしても、大阪市会及び富田林市議会が本件各決議をするに当たり、原告に弁解の機会を付与しなかったことをもって、憲法31条の法意に反するとはいえず、同様の理由から、憲法13条に反するともいえない。 したがって、上記の原告の主張は採用することができない。 (5)原告は、本件各決議により原告の名誉が毀損され、本件決議2により原告の名誉感情が害され、これらは不法行為を構成し、国家賠償法1条1項の適用上違法である旨主張する。 アまず、名誉毀損等の点に関して、普通地方公共団体の議会の決議がどの ような場合に国家賠償法1条1項の適用上違法となるかについて検討する。 (ア)国家賠償法1条1項は、国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背して当該国民に損害を加えたときに、国又は公共団体がこれを賠償する責任を負うこ とを規定するものであるから、公務員による公権力の行使に係る行為に 同項にいう違法があるというためには、公務員が、当該行為によって損害を被ったと主張する者に対して負 償する責任を負うこ とを規定するものであるから、公務員による公権力の行使に係る行為に 同項にいう違法があるというためには、公務員が、当該行為によって損害を被ったと主張する者に対して負う職務上の法的義務に違反したと認められることが必要であると解される(最高裁昭和60年11月21日第一小法廷判決・民集39巻7号1512頁、最高裁平成元年11月24日第二小法廷判決・民集43巻10号1169頁、最高裁平成17年 9月14日大法廷判決・民集59巻7号2087頁、最高裁平成20年4月15日第三小法廷判決・民集62巻5号1005頁等参照)。 したがって、普通地方公共団体の議会の決議が同項の適用上違法となるかどうかは、その決議に関与した議員の職務上の法的義務に違背して当該決議がされたかどうかによることとなる。 (イ)ところで、憲法92条は、地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定めると規定する。憲法93条1項は、地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置すると規定し、地方自治法(令和5年法律第19号による改正前のもの)89条は、普通地方公共団体に議会 を置くと規定しており、議会は、普通地方公共団体の必置機関であるといえる。そして、憲法93条2項は、地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙すると規定している。このように、憲法は、地方公共団体の組織及び運営に関する基本原則として、その施策を住民の意思 に基づいて行うべきものとするいわゆる住民自治の原則を採用しており、普通地方公共団体の議会は、憲法にその設置の根拠を有する議事機関として、住民の代表である議員により て、その施策を住民の意思 に基づいて行うべきものとするいわゆる住民自治の原則を採用しており、普通地方公共団体の議会は、憲法にその設置の根拠を有する議事機関として、住民の代表である議員により構成され、所定の重要事項について当該地方公共団体の意思を決定するなどの権能を有することからすれば、このような議会の権限に属する議決や決議に関する事項 については、議会が上記のような議事機関であることの性質上、議会 の自律的な権能に関わるものとして、十分に尊重されるべきものといえる。 (ウ)また、前記(イ)のとおり、普通地方公共団体の議会は、所定の重要事項についての意思決定の権能を有する議事機関であるところ、地方自治法上、議決を始めとする多くの権限を有しており(同法96条から1 00条の2まで等参照)、とりわけ、同法96条の定める議決事件の内容に照らすと、議会は、重要事項の中心部分である立法に関する意思決定(同条1項1号から3号まで参照)にとどまらず、重要な行政上の意思決定の権能も担っていること(同項4号以下参照)などからすれば、普通地方公共団体の議会は、広範な権限や権能を有するといえる。 (エ)そして、議会は、通常、議決(法令上の権限に基づく法的効果を伴うもの)又は決議(多くは法的効果を伴わない事実上のもの)により意思決定をするが、前記のとおり、議会が、いわゆる住民自治の原則の下、前記(イ)及び(ウ)のような広範な権限や権能を有していることに照らすと、議会の決議については、法令上の明文の根拠規定のない、政治 的意味を持つものであっても、少なくとも当該普通地方公共団体の事務に関する事項に関するものや当該普通地方公共団体の公益に関するものである限り、議会の権限に属するものと解される。 的意味を持つものであっても、少なくとも当該普通地方公共団体の事務に関する事項に関するものや当該普通地方公共団体の公益に関するものである限り、議会の権限に属するものと解される。 本件各決議は、いずれも上記の決議に当たるところ、その内容は、別紙1及び2各記載のとおり、大阪市会及び富田林市議会ないしその議員 と本件教団等との関係等に関するものであり、本件各決議当時、本件教団に係る霊感商法や高額献金といった問題(いわゆる旧統一教会問題)がマスコミ等で大きく取り上げられるなどして社会問題となっていたこと(前記前提事実(2))からすると、少なくとも大阪市及び富田林市の公益に関するものであるといえるから、本件各決議は、大阪市会及び 富田林市議会の権限に基づきされたものといえる。 (オ)本件各決議が国家賠償法1条1項の適用上違法といえるか否かの判断に当たっては、本件各決議の内容が、大阪市会及び富田林市議会と本件教団等という第三者との関係等に関するものであり、一般市民法秩序との関係が問題になり得るものであることや、本件の国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求において主張されている権利利益の内容・性質に も照らすと、本件各決議は、大阪市会及び富田林市議会の内部規律の問題にとどまるものとはいえないから、普通地方公共団体の議会の自律性の観点を踏まえても、その判断を差し控えることなく、本件各決議が国家賠償法1条1項の適用上違法といえるか否かを検討する必要があるというべきである。 もっとも、前記(イ)から(エ)までのとおり、普通地方公共団体の議会は、普通地方公共団体の必置機関である上、議事機関として自律的な権能を有し、また、いわゆる住民自治の原則の下、広範な権限や権能を有するものである。このような議 )までのとおり、普通地方公共団体の議会は、普通地方公共団体の必置機関である上、議事機関として自律的な権能を有し、また、いわゆる住民自治の原則の下、広範な権限や権能を有するものである。このような議会の法的地位・性質や広範な権限ないし権能等に照らせば、議会が、議事機関としての権限に基づいて決議 をするに当たり、どのような事項をどのような内容で行うかについては、政治的なものを含め、議会の裁量的な政策判断に委ねられているというべきである。 そうすると、普通地方公共団体の議会の決議において、個人や法人の名誉ないし社会的評価を低下させたり名誉感情を害したりする内容が含 まれるとしても、これによって当然に国家賠償法1条1項の適用上違法ということはできず、議会が当該個人又は法人の社会的評価を低下させたりするためにあえて当該決議をしたなど、当該決議の内容が議会の議事機関としての権限を逸脱又は濫用するものであると評価することができる場合であり、かつ、当該決議に関与した議員が職務上の法的義務に 違背して当該決議をしたといえる場合に限り、国家賠償法1条1項の適 用上違法となるというべきである。 以上の観点を踏まえ、以下、本件各決議が国家賠償法1条1項の適用上違法であるといえるかを検討する。 イ本件決議2について(ア)認定事実 前記前提事実に加え、後記の証拠及び弁論の全趣旨によれば、本件決議2に関し、以下の事実が認められる。 a 令和4年7月8日から同年9月28日(本件決議2がされた日)までの本件教団に係る社会的情勢及び国の動き等(a)前記前提事実(2)のとおり、A元内閣総理大臣が令和4年7月 8日に銃撃により殺害された。その後、殺人事件の 件決議2がされた日)までの本件教団に係る社会的情勢及び国の動き等(a)前記前提事実(2)のとおり、A元内閣総理大臣が令和4年7月 8日に銃撃により殺害された。その後、殺人事件の被疑者が、その動機について、本件教団の信者である母が高額の献金をして家庭が崩壊したため、本件教団を恨んでおり、A元内閣総理大臣が本件教団を広めたと考え、襲撃したと述べた旨の報道がされた。また、上記銃撃事件がきっかけとなって、マスコミ等において、本件教団に 係る霊感商法や高額献金といった問題(いわゆる旧統一教会問題)が大きく取り上げられるようになった。 (丙3、弁論の全趣旨)(b)C内閣総理大臣は、同月31日、記者団の質問に対し、本件教団と閣僚や自由民主党所属の国会議員とのつながりについて、社会的 に問題となっている団体との関係については、政治家の立場からそれぞれ丁寧に説明していくことが大事だと述べた。 (丙4)(c)大阪維新の会は、同年8月2日、内部調査の結果として、本件教団の関連団体と関わりのあった、大阪維新の会所属の地方議会議員 16名の氏名を公表した。 大阪維新の会のD代表(大阪府知事)は、同月3日、大阪維新の会所属の議員及び首長に対し、本件教団やその関連団体との関わりを今後持たないよう通知する方針を明らかにした。 (丙5)(d)本件教団の名称が変更された当時の文部科学大臣であった自由民 主党所属のE衆議院議員は、同月4日、「今となったら責任を感じる。」、「今後は関係団体含めて、一切関係は絶つと明言したい。」などと述べた。 (丙6)(e)自由民主党は、同月9日、F幹事長名で、自由民主 4日、「今となったら責任を感じる。」、「今後は関係団体含めて、一切関係は絶つと明言したい。」などと述べた。 (丙6)(e)自由民主党は、同月9日、F幹事長名で、自由民主党所属の議員 に対し、国民に疑念を持たれることがないよう、本件教団との関係を点検し、適正に見直すことを求める旨の通達を出した。 (丙7)(f)C内閣総理大臣は、同年8月10日、内閣改造に伴い、本件教団が関連する不法行為の相談や被害者救済に万全を期すことを関係閣 僚に指示し、G法務大臣(当時)は、同月15日、本件教団をめぐる問題に対応するため、関係省庁連絡会議を設置することを明らかにした。 政府において、本件教団について社会的に指摘されている問題に関し、悪質商法などの不法行為の相談、被害者の救済を目的として、 関係省庁間で情報を共有するとともに、被害者への救済機関等のあっせんなど関係省庁による連携した対応を検討するため、法務大臣の主宰により、「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議を開催することとし、同月18日、同関係省庁連絡会議の第1回が開催された。 なお、同関係省庁連絡会議は、同年9月30日に第2回が、同年1 1月10日に第3回がそれぞれ開催された。 消費者庁は、同年8月26日、「旧統一教会」問題等のいわゆる霊感商法(開運商法)への対応の強化を求める社会的な要請が高まっていることを踏まえ、「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」を開催し、消費者被害の発生及び拡大の防止を図るための対策等を検討することとし、同月29日、同年9月7日、同月15日、同月 22日、同月28日、同年10月4日及び同月13日の7回にわたって同対策検討会を開催し、審議を行った。なお 防止を図るための対策等を検討することとし、同月29日、同年9月7日、同月15日、同月 22日、同月28日、同年10月4日及び同月13日の7回にわたって同対策検討会を開催し、審議を行った。なお、同対策検討会は、同月17日、上記審議を踏まえ、これまでの霊感商法等に関する消費生活相談の状況及びその対応を振り返った上で、本件教団への対応及び法制度の関する事項等について提言を行う報告書を作成し、 公表した。 (乙2、丙8、11、12)(g)自由民主党のF幹事長は、同年8月22日、自由民主党所属の議員と本件教団及びその関連団体とが関係を有するという問題を受け、本件教団を念頭に置いて、社会的に問題が指摘されている団体と自 由民主党が関係を一切持たないことを自由民主党の運営指針であるガバナンスコードに盛り込む方針を明らかにした。 自由民主党は、同月26日、自由民主党所属の全ての国会議員について、本件教団及びその関連団体との接点の有無を確認する調査に着手した。 C内閣総理大臣は、同月31日、自由民主党総裁として、本件教団の問題について国民から懸念や疑問の声があることについて陳謝した上で、本件教団との関係を断つことを自由民主党の基本方針とする旨表明し、自由民主党所属の議員に徹底する意向を示すなどした(前記前提事実(2)参照)。 自由民主党は、同年9月8日、自由民主党所属の国会議員379 名のうち、本件教団及びその関連団体と接点があったと回答した議員が179名であるという点検結果を公表した。自由民主党は、本件教団との関係を断つことを基本方針としていたところ、これを地方議会議員にも広げることとした。 (丙13、14、16から 議員が179名であるという点検結果を公表した。自由民主党は、本件教団との関係を断つことを基本方針としていたところ、これを地方議会議員にも広げることとした。 (丙13、14、16から18まで) (h)立憲民主党は、同年8月23日、本件教団と立憲民主党所属の議員との関係に関する調査の結果、新たに7名の立憲民主党所属の議員について本件教団との接点が確認されたと発表し、同日時点で本件教団との接点が確認された立憲民主党所属の議員は合計14名となった。 (丙14)b 本件決議2に至る経緯等(a)第2事件被告が大阪府及び本件教団とアドプトロード(歩道や植樹帯などを月1回程度清掃する活動)の協定を結んでいたこと、これにより公共の看板に本件教団の名称等が記載されていたこと、同 看板が同年8月11日に大阪府により撤去されたことが、同月16日、マスコミにより報道された。この報道において、宗教団体が社会貢献活動に関わること自体は歓迎すべきことであるが、反社会的な活動をしている団体が行政のお墨付きを得るために行うのであれば本末転倒である旨等の龍谷大学准教授(仏教学)の指摘が紹介さ れた。 なお、上記協定は、大阪府により同月10日付けで解除された。 (甲16、17、42、43、丙20)(b)前記(a)の報道がされたこと等から、第2事件被告及び富田林市議会議員に対し、本件教団及びその関連団体と関係について、市 民から、疑問の声や、今後の姿勢を問う意見が寄せられた。 (甲1、弁論の全趣旨)(c)同年9月7日の富田林市議会の同年第3回定例会において、①富田林市長並びに同市長を支援する政党、議員 今後の姿勢を問う意見が寄せられた。 (甲1、弁論の全趣旨)(c)同年9月7日の富田林市議会の同年第3回定例会において、①富田林市長並びに同市長を支援する政党、議員及び支援団体と本件教団とのつながりの有無、②第2事件被告の事業及びその関連団体と本件教団及びその関連団体との接触及び関係の有無、③今後、富田 林市長及び第2事件被告において、本件教団及びその関連団体と一切の関係を持たないことの表明の是非、④第2事件被告が大阪府及び本件教団との間でアドプトロードの協定を締結した経緯並びに看板の撤去に至る経緯、⑤今後、第2事件被告において、反社会団体がアドプトロード等の第2事件被告の事業活動に潜り込むことがで きないようにするチェック体制をどうするのかについて、質疑応答が行われた。 同月8日の同定例会において、①第2事件被告、大阪府及び本件教団の間で締結されたアドプトロードに係る協定書の条項について、今後、このような協定を締結する場合には、第2事件被告が協定を 解除することができる旨の条項を定めることの是非、②本件教団及びその関連団体が、第2事件被告の公共施設を利用することの許否、③第2事件被告のウェブサイト等において、第2事件被告の本件教団及びその関連団体への対応方針を表明することの是非について、質疑応答が行われた。 (d)同月28日の同定例会において、H議員から、6名の議員を賛成者として、本件決議2に係る決議案が議案として提出され、富田林市議会議長は、上記議案について採決し、異議がないと認めて可決の旨を宣告し、上記議案が原案のとおり全会一致で可決された(本件決議2)。 (甲1、16から18まで) (イ)検討 について採決し、異議がないと認めて可決の旨を宣告し、上記議案が原案のとおり全会一致で可決された(本件決議2)。 (甲1、16から18まで) (イ)検討前記前提事実(2)及び(3)ア並びに前記(ア)の認定事実によれば、本件決議2当時、①A元内閣総理大臣に対する銃撃事件を契機としていわゆる旧統一教会問題が社会問題となっていたこと、また、②国会議員及び地方議会議員といった政治家と本件教団及びその関連団体との 関係が問題視され、複数の政党が今後は所属議員と本件教団及びその関連団体と関わりを持たないとか関係を一切持たないという方針を採ることを表明していたこと、さらに、③政府において、いわゆる旧統一教会問題に対応するための関係省庁連絡会議を開催するなどの取組を進めることとなっていたこと、しかも、④富田林市においては、本件教団等と の間でアドプトロードの協定を締結していたことが問題視され、第2事件被告及び富田林市議会議員に対し、本件教団及びその関連団体と関係について、市民から疑問の声や今後の姿勢を問う意見が寄せられるなどし、市民に対する説明責任を果たすことが求められる状況に至っていたことが認められる。そして、富田林市議会は、このようないわゆる旧統 一教会問題をめぐる社会的情勢や国民の関心、政党の対応、政府における取組、富田林市における社会的・政治的な情勢等を踏まえ、市民の疑問に応え、本件教団との関係を根絶するため、①富田林市議会議員の本件教団及びその関連団体との関わりについて、自ら調査し、富田林市議会が市民に明らかにすること、②今後、富田林市議会議員は、本件教団 及びその関連団体とは一切関わりを持たないことの2点を、富田林市議会の意思ないし決意として表明することを目的と し、富田林市議会が市民に明らかにすること、②今後、富田林市議会議員は、本件教団 及びその関連団体とは一切関わりを持たないことの2点を、富田林市議会の意思ないし決意として表明することを目的として、全会一致で本件決議2をするに至ったものと認められ、このような富田林市議会の政治的な判断には相応の合理性があるといえる。 また、本件決議2の内容をみるに、本件決議2において「旧統一教会 との関係を根絶する」という本件教団との関係を根本からなくなるよう にするという強い意味を持つ言葉が使われているが、これは、富田林市議会として、今後、本件教団及びその関連団体と関わりを持たないことを強調するために用いられたものであると解されるから、富田林市議会が殊更に原告の社会的評価を低下させたりするために上記言葉を用いたとは認められない。 以上の事情からすれば、富田林市議会が原告の社会的評価を低下させたりするためにあえて本件決議2をしたなど、本件決議2の内容が富田林市議会の議事機関としての権限を逸脱又は濫用するものであるとは評価することができず、また、本件決議2に関与した富田林市議会議員が職務上の法的義務に違背して本件決議2をしたともいえない。 したがって、富田林市議会が本件決議2をしたことは、国家賠償法1条1項の適用上違法とはいえない。そうである以上、本件決議2が現在も第2事件被告の公式ウェブサイトにそのまま掲載されているとしても、国家賠償法1条1項の適用上違法とはいえない。 ウ本件決議1について (ア)認定事実前記前提事実に加え、後記の証拠及び弁論の全趣旨によれば、本件決議1に関し、以下の事実が認められる。 a 令和4年7月8日から同年 1について (ア)認定事実前記前提事実に加え、後記の証拠及び弁論の全趣旨によれば、本件決議1に関し、以下の事実が認められる。 a 令和4年7月8日から同年11月18日(本件決議1がされた日)までの本件教団に係る社会的情勢及び国の動き等 前記イ(ア)a(a)のとおり、令和4年7月8日のA元内閣総理大臣に対する銃撃事件がきっかけとなって、マスコミ等において、本件教団に係る霊感商法や高額献金といった問題(いわゆる旧統一教会問題)が大きく取り上げられるようになった。 前記イ(ア)a(f)のとおり、政府において、「旧統一教会」問 題関係省庁連絡会議が開催され、同年9月30日の同関係省庁連絡会 議第2回及び同年11月10日の同関係省庁連絡会議第3回において、多数の本件教団によるとされた被害の相談が寄せられていること等が報告された。 前記イ(ア)a(f)のとおり、消費者庁は、同年8月26日、「旧統一教会」問題等のいわゆる霊感商法(開運商法)への対応の強 化を求める社会的な要請が高まっていることを踏まえ、「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」を開催し、消費者被害の発生及び拡大の防止を図るための対策等を検討することとし、同月29日、同年9月7日、同月15日、同月22日、同月28日、同年10月4日及び同月13日の7回にわたって同対策検討会を開催し、審議を行った。同 対策検討会は、同月17日、上記審議を踏まえ、これまでの霊感商法等に関する消費生活相談の状況及びその対応を振り返った上で、本件教団への対応及び法制度の関する事項等について提言を行う報告書を作成し、公表した。上記報告書において、本件教団への対応等として、本件教団については、本件 相談の状況及びその対応を振り返った上で、本件教団への対応及び法制度の関する事項等について提言を行う報告書を作成し、公表した。上記報告書において、本件教団への対応等として、本件教団については、本件教団を被告とする民事裁判において、本件 教団自身の組織的な不法行為に基づき損害賠償を認める裁判例が複数積み重なっており、その他これまでに明らかになっている問題を踏まえると、宗教法人法における「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした」又は「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をした」宗教法人に該当する疑いがあるので、所轄 庁において、解散命令請求も視野に入れ、宗教法人法78条の2第1項に基づく報告徴収及び質問の権限を行使する必要があると提言された。なお、文部科学大臣は、同年11月22日、本件教団に対し、上記の報告徴収及び質問の権限を行使した(1回目)。 (乙1、2、丙3、8、11、12、弁論の全趣旨) b 本件決議1に至る経緯等 (a)前記aに係る一連のマスコミ報道等を受けて、国会議員及び地方議会議員は、社会的に問題が指摘されている本件教団との関わりの有無に関する国民や市民の疑念に対する説明責任を果たすことが求められる状況となった。そして、複数の政党や会派は、本件教団と所属議員との関係を調査するとしたり、本件教団やその関連団体と 関わりを持たない方針を決めたりするなどした。 大阪市においては、元大阪市施設が、本件教団の信者が経営する企業に買い取られた後、本件教団に売却され、現在、本件教団の施設となっているという事例があったことから、大阪市会としても、本件教団等の団体との関係について説明責任を果たすことが求めら れる状況となっ い取られた後、本件教団に売却され、現在、本件教団の施設となっているという事例があったことから、大阪市会としても、本件教団等の団体との関係について説明責任を果たすことが求めら れる状況となった。 (甲2、乙3、丙4、5、7、13、14、16から18まで、20、弁論の全趣旨)(b)大阪市会において、大阪維新の会の幹事長は、令和4年11月11日、大阪市会の各派幹事長会議において、本件決議1に関する発 議をした。同発議における本件決議1の決議案は、大阪維新の会の政務調査会において、前記aの本件教団に係る国の動きに加え、同年9月28日に先行してされた富山市議会の決議、新聞報道等を基に作成されたものである。 上記発議の後、公明党、自由民主党・市民クラブ及び自由民主 党・市民とつながる・くらしが第一の3会派における検討及び各会派の意見調整を経て、大阪維新の会を含む4会派が本件決議1の文案について合意した。 I議員を含む20名の大阪市会議員は、同年11月18日、議案として本件決議1の決議案を大阪市会議長に提出した。同日の同年 第3回定例会において、上記議案について、委員会付託が省略され、 大阪市会議長は、異議がないと認めて可決の旨を宣告し、上記議案が原案のとおり全会一致で可決された(本件決議1)。 (甲2、19、乙3から5まで、弁論の全趣旨)(イ)検討前記前提事実(2)及び(3)イ並びに前記(ア)の認定事実によれ ば、本件決議1当時、①A元内閣総理大臣に対する銃撃事件を契機としていわゆる旧統一教会問題が社会問題となっていたこと、また、②国において、いわゆる旧統一教会問題に対応するため関係省庁連絡会議を開催したり、霊 議1当時、①A元内閣総理大臣に対する銃撃事件を契機としていわゆる旧統一教会問題が社会問題となっていたこと、また、②国において、いわゆる旧統一教会問題に対応するため関係省庁連絡会議を開催したり、霊感商法等の悪質商法への対策検討会を開催して報告書を作成、公表したり、本件教団に対して報告徴収及び質問の権限を行使した りする動きがあったこと、さらに、③国会議員及び地方議会議員が本件教団との関わりの有無に関する説明責任を果たすことが求められ、複数の政党や会派が本件教団と所属議員との関係を調査し、本件教団及びその関連団体と関わりを持たない方針を採ることとするなどしていたこと、しかも、④大阪市においては、本件教団と関わりある元大阪市施設の売 却事例があったことから、本件教団等の団体との関係について市民に対する説明責任を果たすことが求められる状況に至っていたことが認められる。そして、大阪市会は、このようないわゆる旧統一教会問題をめぐる社会的情勢や国民の関心、政府における取組、政党等の対応、大阪市における社会的・政治的情勢等を踏まえ、本件教団等の反社会的団体の 活動に取り込まれることがないよう一線を画することを強く決意するという大阪市会としての意思を表明することを目的として、全会一致で本件決議1をするに至ったものと認められ、このような大阪市会の政治的な判断には相応の合理性があるといえる。 また、本件決議1の内容についてみるに、本件決議1には、「旧統一 教会等の反社会的団体の活動に取り込まれることがないよう」という表 現があり、これは、本件教団等が反社会的団体であることを前提とするものと読むことができ、「旧統一教会等」の「等」には本件教団の関連団体が含まれると読む余地があるところ、大阪市会において、本件決議 現があり、これは、本件教団等が反社会的団体であることを前提とするものと読むことができ、「旧統一教会等」の「等」には本件教団の関連団体が含まれると読む余地があるところ、大阪市会において、本件決議1当時、大阪市会が有していた資料等の相当の根拠に基づき本件教団及びその関連団体が反社会的団体であると断定することができる状況にあ ったかどうかはともかく、前記(ア)の認定事実aのとおり、本件教団については、マスコミ等の報道において、本件教団に係る霊感商法や高額献金といった問題(いわゆる旧統一教会問題)が大きく取り上げられ、国の機関においても、本件教団について、霊感商法や組織的な不法行為等が指摘される状況にあったのであるから、上記表現が直ちに不適切で あるとはいえず、大阪市会が、本件教団の関連団体である原告について、殊更にその社会的評価を低下させたりするために上記表現を用いたとは認められない。 以上の事情からすれば、大阪市会が原告の社会的評価を低下させたりするためにあえて本件決議1をしたなど、本件決議1の内容が大阪市会 の議事機関としての権限を逸脱又は濫用するものであるとは評価することができず、また、本件決議1に関与した大阪市会議員が職務上の法的義務に違背して本件決議1をしたともいえない。 したがって、大阪市会が本件決議1をしたことは、国家賠償法1条1項の適用上違法とはいえない。そうである以上、本件決議1が現在も第 1事件被告の公式ウェブサイトにそのまま掲載されているとしても、国家賠償法1条1項の適用上違法とはいえない。 (6)まとめ以上によれば、その余の点を判断するまでもなく、原告の第1事件被告及び第2事件被告に対する国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求は、いず れも 上違法とはいえない。 (6)まとめ 以上によれば、その余の点を判断するまでもなく、原告の第1事件被告及び第2事件被告に対する国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求はいずれも理由がない。 第4 結論 よって、本件各取消しの訴えはいずれも不適法であるからこれを却下し、原告のその余の第1事件請求及びその余の第2事件請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官横田典子 裁判官田辺暁志 裁判官立仙早矢 (別紙1ないし2の掲載省略)
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