平成26年7月17日判決言渡同日原本受領裁判所書記官平成23年(ワ)第9238号損害賠償請求事件(甲事件)平成24年(ワ)第6745号損害賠償請求本訴事件(乙事件本訴)平成25年(ワ)第3675号損害賠償請求事件(乙事件反訴)口頭弁論終結日平成26年3月24日判決当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり主文 1 甲事件原告の甲事件被告らに対する請求をいずれも棄却する。 2 乙事件本訴被告C1株式会社は,乙事件本訴原告株式会社C2に対し,金200万円及びこれに対する平成24年4月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 乙事件本訴被告C1株式会社は,乙事件本訴原告株式会社C3に対し,金110万円及びこれに対する平成24年4月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 乙事件本訴原告らの乙事件被告らに対するその余の請求をいずれも棄却する。 5 乙事件反訴原告C1株式会社の乙事件反訴被告株式会社C3に対する反訴請求を棄却する。 6 訴訟費用のうち,株式会社C2を除く甲事件被告らに生じた費用は,甲事件原告の負担とし,C1株式会社を除く乙事件被告らに生じた費用は,乙事件本訴原告株式会社C3の負担とし,その余の費用は,甲事件,乙事件本訴,乙事件反訴を通じてこれを10分し,その5を甲事件原告(乙事件本訴被告,乙事件反訴原告)C1株式会社の,その4を乙事件本訴原告株式会社C3の,その1を乙事件本訴原告株式会社C2の各負担とする。 7 この判決は,第2項及び第3項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由(甲事件) 第1 請求の趣旨 1 甲事件被告らは,甲事件原告に対し,連帯して2505万2235円及びこれに対する平成25年4月17日から支払済みまで,年5分 とができる。 事実及び理由(甲事件) 第1 請求の趣旨 1 甲事件被告らは,甲事件原告に対し,連帯して2505万2235円及びこれに対する平成25年4月17日から支払済みまで,年5分の割合による金員を支払え。 2 甲事件被告株式会社C2(以下甲事件の説示において「被告C2」という。乙事件原告でもある。),同P2及び同P4は,甲事件原告に対し,連帯して2982万5532円及びこれに対する平成25年4月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要甲事件は,原告が,①被告らに,原告の著作権を侵害する不法行為があり(請求1,請求の趣旨第1項に対応),また②被告P2及び同P4に,原告従業員の違法な引抜行為(不法行為)があり,被告C2は使用者責任を負うとして(請求2,請求の趣旨第2項に対応),同被告らに対し,原告の蒙った損害の賠償を求める事案である。 1 前提事実(争いのない事実及び記載の証拠により容易に認定できる事実)(1) 当事者ア原告及びその代表者等原告は,平成3年に設立された,コンピューター及びワードプロセッサーに関する教育事業及び技術教室の経営等を業とする株式会社であり,パソコン教室「C4」を展開している。 原告代表者P16(以下,株主ないし個人としての同人をいうときは,「P16」といい,会社代表者としての同人をいうときは,「原告代表者」ということがある。)は,原告の創業者であり,原告の株式は,P16及びその子であるP17,P19,妻のP18及び妹のP20,(いずれも乙事件本訴被告ら,以下,甲事件の説示において「原告の株主ら」という。)が保有している。 イ被告C2株式会社C3(乙事件本訴原告,反訴被告。以下甲事件の説示において「C 3社」 ずれも乙事件本訴被告ら,以下,甲事件の説示において「原告の株主ら」という。)が保有している。 イ被告C2株式会社C3(乙事件本訴原告,反訴被告。以下甲事件の説示において「C 3社」という。)は,経営に関するコンサルタント,労働者派遣,有料職業紹介等を業とする株式会社である。被告C2は,コンピューター及びワードプロセッサーに関する教育事業及び技術教室の経営等を業とする株式会社であり,C3社の完全子会社である。被告C2は,九州地方及び中国地方においてパソコン教室「C5」を展開している。 ウ被告P1被告P1は,C3社の従業員であったが,平成20年8月29日原告の取締役に就任し,平成21年9月16日これを退任した。また,同被告は,被告C2が設立された際に,取締役兼代表取締役に就任し,平成22年10月1日,代表取締役を退任した(取締役にはとどまっている。)。 エ被告P2,同P3,同P4,同P5,同P6,同P7,同P8,同P9,同P10,同P11,同P12,同P13,同P14,同P15上記被告ら(以下,甲事件の説示において「個人被告ら」ともいう。)は,いずれも原告の従業員であった者である。 (2) 原告の株主らと,C3社間の原告の株式譲渡契約等ア P16は,平成20年7月3日,原告の株主らの全株式をC3社に譲渡して,原告をC3社の完全子会社とすることにつき,基本合意をした。 イ上記アの合意に基づき,原告の株主らは,同年8月29日,C3社との間で,原告の株主らの保有する株式の譲渡を2段階で行い,その総額を6億3500万円とする旨の合意をした(本件株式譲渡契約)。 ウ P16,P18及びP20は,本件株式譲渡契約に基づく2回目の株式譲渡を拒絶し,平成21年9月2日,P16において,C3社に対し,本件株式 万円とする旨の合意をした(本件株式譲渡契約)。 ウ P16,P18及びP20は,本件株式譲渡契約に基づく2回目の株式譲渡を拒絶し,平成21年9月2日,P16において,C3社に対し,本件株式譲渡契約の解約を願い出た(乙7)。 エ C3社と原告の株主らは,平成21年9月16日付けで,基本合意と本件株式譲渡契約を合意により解約することとし(以下「本件解約合意」という。),その旨の契約書を作成した(乙2)。 同契約書においては,イの本件株式譲渡契約を解約すること(2条),P16がC3社の取締役を辞任すること(6条),原告をして,C3社との間で,C3社又はその関連会社が教育事業を行うことにつき一切異議を述べず,C3社は,原告との業務提携中に提供された被告会社の教材等一式を継続して利用することができることなどを内容とする合意書を締結させること(5条),原告の株主らのいずれかが,同契約書上の義務のいずれかを遅滞し又は履行しなかったときは,C3社に対し,1億円を連帯して支払うこと(8条)などが定められた。 同時に,原告とC3社は,合意書(乙3)を締結し,同合意書において,原告は,C3社が,今後,人材派遣事業を行う上で,教育事業を自ら行い又は関連会社をして行わせること,及び教育事業に関して第三者と提携することについて一切の異議を述べず(第2条の1),当該教育事業を行うために,合意書締結までの間に行った教育事業により原告から提供されたテキスト教材等を継続して利用すること(利用のために加工することや複製・配布することも含む。)ができるものとし,原告はこれに一切の異議を述べないものとすること(第2条の2)を約した(以下「本件合意」という。本件解約合意及び本件合意の趣旨については争いがある。)。 (3) 被告C2の設立及び個人被告 のとし,原告はこれに一切の異議を述べないものとすること(第2条の2)を約した(以下「本件合意」という。本件解約合意及び本件合意の趣旨については争いがある。)。 (3) 被告C2の設立及び個人被告らの就職等ア C3社は,平成22年2月1日,子会社として被告C2を設立し,被告P1がその代表取締役に就任した(同被告は,同年10月,代表権のない取締役になっている。)。 イ個人被告らは,いずれも原告の従業員であったが,平成22年1月から同年3月ころにかけて,後記第4の4の(原告の主張)(1)の記載の日に原告を退職し,その後,被告C2の従業員となった(ただし,被告P2が被告C2の従業員となったか及び一部個人被告らの被告C2への就職が原告退職前であったかどうかについては争いがある。)。 (4) 被告C2による原告表現物の利用ア原告は,平成16年ころから平成21年ころまでの間に,別紙原告表現物目録記載1から23までの電子教材,教材用画像及び広告用イラスト(以下,それぞれ「原告表現物」等という。)を作成した。 イ平成21年から平成22年2月の被告C2の設立の前後にかけて,同被告の事業のために,原告の作成した原告表現物等を利用して,被告C2表現物目録記載1から26までの各電子教材等(以下,それぞれ「被告C2表現物1」等という。),パンフレット等が作成され,その一部が,C6株式会社(旧社名:C6株式会社,以下,社名変更の前後を問わず,「C6社」という。)が管理する学習管理システム「C8」(以下,「本件C8」という。)にアップロードされ,当該ネットワーク内で閲覧され得ることとなった。 第3 争点(請求1関係) 1 原告表現物について,複製,翻案,公衆送信可能化による著作権侵害が成立するか 2 被告C2の原告表現物の利用が,原 ネットワーク内で閲覧され得ることとなった。 第3 争点(請求1関係) 1 原告表現物について,複製,翻案,公衆送信可能化による著作権侵害が成立するか 2 被告C2の原告表現物の利用が,原告の許諾によるものと認められるか 3 著作権侵害により原告の被った損害の額(請求2関係) 4 被告P2,同P4が,原告従業員を違法に引き抜いたか 5 被告C2が,被告P2,同P4の上記行為に関し,責任を負うかどうか 6 違法引き抜きにより原告の被った損害の額第4 争点に対する当事者の主張 1 争点1(原告表現物について,複製,翻案,公衆送信可能化による著作権侵害が成立するか)について(原告の主張)(1) 原告は,原告表現物等を作成したものであり,これらは創作性を有するから, 原告は,原告表現物等について著作権を有する。 (2) 被告C2表現物が作成された経緯ア被告C2表現物1ないし17が作成された経緯等(ア) 原告は,ネットワーク障害等で教材配信ができなくなる場合に備え,各教室でネットワークを介さずに授業ができるようにするための教材のバックアップ媒体を作成し,各教室に配布していた。このバックアップには,作成の都度,それまでに,作成,改訂がされた,原告で使用される教材の最新版が収録されることになる。 原告では,平成21年3月ころに,上記バックアップ用の記録媒体(以下,「バックアップ1」という。)を作成したことがあるほか,平成22年1月ころ,原告表現物を含む当時の最新版の教材を収録した記録媒体(以下,「バックアップ2」という。)を作成し,同月20日から順次,個人被告らの勤務する原告の各教室に配布した。 (イ) 個人被告らは,被告C2設立前後の平成22年1月ころ,原告に無断で,バックアップ2を複製, アップ2」という。)を作成し,同月20日から順次,個人被告らの勤務する原告の各教室に配布した。 (イ) 個人被告らは,被告C2設立前後の平成22年1月ころ,原告に無断で,バックアップ2を複製,翻案して,被告C2表現物1ないし17を作成した。 (ウ) 本訴提起後,原告は,後記被告らの主張(4)から,被告P1が,平成21年8月ころ,原告のC4天神校において,原告に無断で,原告の取締役の地位にあることを利用して,専らC3社のために,被告P2からバックアップ1を受領し,C3社に持ち帰って同社のパソコンに複製したことを知ったが,仮にそうであるとしても,後記のとおり,上記提供は原告としてのものではないし,被告C2は,その設立のころ,上記バックアップ1が古い教材であることが分かり,(イ)の著作権侵害行為に及んだものである。 (エ) C3社は,被告C2を設立した際,同被告が原告に無断で複製,翻案,自動公衆送信等をすると知りながら,被告C2に上記記録媒体を提供した。 イ被告C2表現物18ないし22が作成された経緯等個人被告らは,原告に無断で,原告表現物15ないし19を複製または翻案 し,これと同一または酷似する被告C2表現物18ないし22を作成して,同被告の講座案内の画面の例示等に使用する目的で掲載し,頒布した。 ウ被告C2表現物23ないし26が作成された経緯等個人被告らは,原告に無断で,原告表現物20ないし23を複製または翻案し,これと同一または酷似する被告C2表現物23ないし26を作成し,同被告の新規開講キャンペーンと題する書面に掲載し頒布した。 (3) 被告C2の責任前記(2)の著作権侵害は,被告C2設立前は同被告の開業準備行為,設立後はその業務として行われ,また個人被告らが被告C2に就職した後は,同被告はそ 面に掲載し頒布した。 (3) 被告C2の責任前記(2)の著作権侵害は,被告C2設立前は同被告の開業準備行為,設立後はその業務として行われ,また個人被告らが被告C2に就職した後は,同被告はその使用者であるから,すべてについて共同不法行為責任または使用者責任を負う。 (4) 被告C2の主張に対する反論バックアップ1,同2は,上記(2)アのような収録内容の違いがあるから,バックアップ1を複製,翻案して,被告C2表現物を作り出すことはできない。 また,原告のサーバ(C8やグループウェア)等から教材データを取得することは,事実上も,法律上も,できない。 すなわち,C2社表現物は,本件合意後に作成されたバックアップ2を複製翻案して作成されたものであって,適法に作成されたものではない。 (被告らの主張)(1) 原告表現物が創作性を有することを争う。 (2) 原告表現物と被告C2表現物の類似性は争わない。 (3) 原告表現物1ないし17の被告C2における使用につき,否認する。 (4) 平成21年8月ころ,C3社は,当時原告に属していた被告P2から,被告P1を介して,原告の教材等が収録された記録媒体の提供を受けており,その後も原告のサーバ等にアクセスが可能であった。 被告C2表現物は,このように適法に取得されたデータを用いて作成されたものである。 2 争点2(被告C2の原告表現物の利用が,原告の許諾によるものと認められるか)について(被告らの主張)(1) 原告とC3社は,平成20年7月3日,C3社が原告の株式を100パーセント取得する旨の基本合意をし,以後,原告がC3社の完全子会社になることを前提として,両社の協働,連携の施策がとられてきた。 C3社の従業員であった被告P1が原告の取締 告の株式を100パーセント取得する旨の基本合意をし,以後,原告がC3社の完全子会社になることを前提として,両社の協働,連携の施策がとられてきた。 C3社の従業員であった被告P1が原告の取締役に就任したのも,このような連携の一環であって,原告は,被告P1に対し,教材を含め,あらゆる情報を提供していた。 (2) P16の意思により,平成21年7月10日,上記協働,連携の中止が原告社内向けにアナウンスされたが,これは原告の取締役会で諮られたものではなく,原告代表者であるP16の独断でされ,それまでの協働がなかったとの虚偽の事実を理由とするものであった。従業員レベルでは,本件解約合意があるまで,少なくとも同年8月ころまでは,連携に向けた作業が続けられた。 このような中で,平成21年8月ころ,被告P1は,C3社として,被告P2から,原告表現物等が収録されたバックアップ1を受領したものである。 そして,その記憶媒体を用いて被告C2表現物を作成等することについては,本件合意第2条の1により原告の許諾があるから,被告C2及びその従業員(個人被告ら)において適法にできることである。 (原告の主張)(1) 平成20年7月に原告の子会社化の基本合意がされたものの,C3社の経営不振により株式譲渡の実行が二段階となり,協働,連携に向けた作業は進展せず,シナジー(相乗)効果が発揮されることもなかったため,平成21年7月にはその方針を変更したのであるから,仮に被告P2が被告P1に原告表現物を含む記録媒体を交付することがあったとしても,それは原告の承諾のもとにされたものではない。 (2) 本件解約合意は,C3社が「人材派遣業を行う上で」教育事業を行う場合に限り,かつ,合意の当時存在した第三者ないし関連会社に限って原告表現物を使 告の承諾のもとにされたものではない。 (2) 本件解約合意は,C3社が「人材派遣業を行う上で」教育事業を行う場合に限り,かつ,合意の当時存在した第三者ないし関連会社に限って原告表現物を使用できることを定めたにすぎないから,一般消費者向けの教育事業を行うことを目的とし,かつ本件解約合意の後に設立された被告C2は,本件合意に基づく許諾の対象の範囲外である。 3 争点3(著作権侵害により原告の被った損害の額)(原告の主張)争点1(原告の主張)に記載の被告らの著作権侵害により,同一の営業を営む原告の九州,中国地区での営業は,顧客獲得ができないなどの打撃を受けた。その損害額は,被告C2の開業の前1年間と後1年間で比較したときの売上の減少(6098万4019円)に,原告の利益率(41.08パーセント)を乗じた2505万2235円である。 よって,原告は,被告らに対し,金2505万2235円及びこれに対する不法行為の後である平成25年4月17日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める。 (被告らの主張)争う。 4 争点4(被告P2,同P4が,原告従業員を違法に引き抜いたか)について(原告の主張)(1) 原告従業員であった個人被告らは,次の日に原告に就職,原告を退職したものであり,退職当時,原告の職制上,次の等級欄記載の等級にあった。なお,原告の職制の概要は,3等級が教室責任者,4等級がグループ責任者,5等級が地域責任者,6等級が地区責任者となっており,同被告らは,いずれも原告の要職にあった。 原告就職日原告退職日等級被告P2平成17年4月1日平成22年1月31日6等級 被告P3平成17年9月1日平成22年2月15日5等級被告P4 た。 原告就職日原告退職日等級被告P2平成17年4月1日平成22年1月31日6等級 被告P3平成17年9月1日平成22年2月15日5等級被告P4平成17年12月16日平成22年1月31日5等級被告P5平成18年6月1日平成22年2月15日5等級被告P6平成19年4月16日平成22年1月16日4等級被告P7平成18年2月1日平成22年3月15日4等級被告P8平成19年3月1日平成22年2月28日3等級被告P9平成21年2月16日平成22年2月28日3等級被告P10平成21年3月16日平成22年3月31日3等級被告P11平成20年5月16日平成22年3月15日3等級被告P12平成17年2月1日平成22年3月31日3等級被告P13平成19年7月1日平成22年1月16日3等級被告P14平成19年1月16日平成22年3月15日3等級被告P15平成20年9月1日平成22年3月15日3等級(2) 上記被告らのうち,被告P4及び被告P6は,遅くとも平成22年1月22日から被告C2の事業を行い,被告P8及び被告P5は遅くとも同年3月3日に,その余の被告らは同月8日に,被告C2へ就職した。 (3) 上記のとおり個人被告らが原告を退職したのは,被告P2及び被告P4による強引な大量引抜行為に起因する。 前記被告らは,被告P2を頂点として組織化されていたところ,同被告は,被告P4の退職を阻止しようともせず,同被告とともに,被告C2の要職に就いている。 (4) 被告P2は,原告の経営に参画する立場であることを利用して,原告の経営陣 織化されていたところ,同被告は,被告P4の退職を阻止しようともせず,同被告とともに,被告C2の要職に就いている。 (4) 被告P2は,原告の経営に参画する立場であることを利用して,原告の経営陣には内密に,平成21年12月以降,担当地区の課題等を話し合う地区担当者会議において,たびたび,その大半を原告に対する根拠のない不平不満に充て,出席者である被告P9,被告P12,被告P13に賛同を求め,賛同を得た従業員を引き抜いたものである。このとき,被告P2は,被告P4を手足として使った。 (被告P2,同P4の主張)(1) 原告従業員であった個人被告らの原告への就職日,退職日は争わない。その他の点については,原告の主張を否認し,争う。 被告P2は,被告C2の存在や,被告C2の従業員募集の事実を教えたことはあったが,これにとどまり,背信的な引抜行為などしていない。また,被告P2は,被告C2の従業員となっていない。 (2) 原告従業員であった個人被告らが,原告を退職したのは,被告P4,同P13,同P6が,原告における劣悪な労働環境に耐えられなくなって平成21年12月に退職し,この事態に対し,原告代表者P16が,全従業員向けビデオレターにおいて「幸いにも辞めてくれた」等と発言したことから,他の原告従業員であった個人被告らが,講師の配置等が困難になることなどを理由に,順次退職の意思を表明したものである。 5 争点5(被告C2が,被告P2,同P4の上記行為に関し,責任を負うかどうか)について(原告の主張)前記争点4(原告の主張)に記載の被告P2らによる違法な引抜行為は,被告C2設立前は被告C2の開業準備行為,設立後はその業務として行われ,被告P2らが被告C2に就職した後は,被告C2はその使用者であるから,全てにつ の主張)に記載の被告P2らによる違法な引抜行為は,被告C2設立前は被告C2の開業準備行為,設立後はその業務として行われ,被告P2らが被告C2に就職した後は,被告C2はその使用者であるから,全てについて共同不法行為責任または使用者責任を負う。 (被告C2の主張)争う。 6 争点6(違法引き抜きにより原告の被った損害の額)について(原告の主張)被告P2,被告P4が違法に原告従業員を引き抜いたことにより,原告は別地域の原告従業員を九州地方に派遣せざるを得ず,その人件費(延べ出張日数に1日当たり賃金を乗じた金額である1858万8313円),交通費(489万1730 円),宿泊費(479万7489円),食事補助費(154万8000円)の合計2982万5532円が損害となる。 よって,原告は,被告C2,被告P2及び被告P4に対し,金2982万5532円及びこれに対する不法行為の後である平成25年4月17日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める。 (被告C2,被告P2及び被告P4の主張)争う。 第5 判断 1 認定事実後掲各証拠(特段の記載のない限り書証は甲事件のもの)及び弁論の全趣旨(前記前提事実を含む)によれば,次の事実を認めることができる。 (1) 原告とC3社の子会社化の合意とその解消の経緯ア C3社は,本件株式譲渡契約当時,ジャスダック証券取引所に株式を上場する上場企業であり,人材ビジネスを軸とした,上場企業を中心とする研究開発,情報,技術,製造分野の総合コンサルティング,人材コンサルティング及びアウトソーシングを事業内容としていた。資本金は6億9600万円余であり,平成19年12月31日現在での従業員数は1万2818人,同時期の連結売上高は約465億円であっ グ,人材コンサルティング及びアウトソーシングを事業内容としていた。資本金は6億9600万円余であり,平成19年12月31日現在での従業員数は1万2818人,同時期の連結売上高は約465億円であった。 イ原告は,本件株式譲渡契約以前,株式上場を目指したこともあったが,これを断念した経緯があったところ,本件株式譲渡契約当時,全国の86拠点で,CADを中心とするパソコンスクール「C4」を運営しており,主に個人を対象にした教育事業に強みがあった。資本金は8750万円,平成19年7月期の売上高は約13億円,従業員数は非常勤講師55人を含め165人であった。 ウ本件株式譲渡契約は,C3社が,原告を子会社化することにより,C3社のテクノ事業部技術系社員のステップアップ,ファクトリー事業無製造系社員から技術系へのシフトに寄与すること,原告の受講者の採用チャネル拡大に寄与 すること,C3社の人材紹介事業への寄与,原告のBtoB事業への営業拡大の寄与などの事業統合効果を狙ったものであった(以上アからウにつき甲17,弁論の全趣旨)。 エ平成20年7月3日,原告の株主らとC3社は,原告株式のC3社への譲渡についての基本合意を交わしたが,C3社は,原告に対する法的監査を弁護士に依頼し,同月24日その結果の報告を受けた(乙35)。 上記報告書においては,原告の法的体制の構築状況について,個人情報保護に関する規程等がないことや,コンプライアンス体制及びガバナンスに関して,機関決定の重要性を無視し,その時々の上層部の判断によって業務執行が行われており,ガバナンス等の意識が極めて低いなどの指摘がされた。 オ上記結果を受け,C3社では,直ちに連結対象とするのを避けるため,原告の株式を一度に全部取得するのではなく,二段階に分けて取得し,二段階目の ガバナンス等の意識が極めて低いなどの指摘がされた。 オ上記結果を受け,C3社では,直ちに連結対象とするのを避けるため,原告の株式を一度に全部取得するのではなく,二段階に分けて取得し,二段階目の取引(完全子会社化)までは,業務提携期間として,その間に原告において上記の法的体制の整備等を図るよう求めていくこととなり,平成20年8月29日,その趣旨で本件株式譲渡契約を締結した(乙1)。 本件株式譲渡契約は,契約締結日に第一株式譲渡として,原告の全発行済株式1550株のうち770株及び新株引受権を3億1115万円で譲渡し,第二株式譲渡は,残余の780株及び新株引受権を3億2385万円で譲渡するが,実行は契約締結後2年以内とされ,原告は,上場企業のグループ企業として,法令順守のもと適正な内部管理体勢を構築し,原告とC3社の事業上の相乗効果の早期発現に務めることで,可能な限り早期に行われるよう双方が努力すべきことなどを定めるものであった。 カ被告P1は,本件株式譲渡契約の締結後,原告の取締役に就任し,原告の取締役会に出席するなどするとともに,C3社と原告の協働関係におけるC3社側の実務や,コンプライアンスに関するルールの整備を担当した。具体的には,同被告は,法的統制の観点からは,原告の内規や契約関係の把握に努め(乙2 4の1,2),求められる内部統制の水準を示すなどし(乙16の1ないし4),また,将来の完全子会社化に向けて,原告の実情を網羅的に把握するべく,原告において使用していたグループウェア(C9)に対するアカウントや,C6社が原告に対して提供していた本件C8のアカウントの交付を受けるなどして,原告の業務についての包括的な情報収集を継続して行っていた(乙18の1ないし4,22の1,24の3)。 被告P2は,当時原告の九 に対して提供していた本件C8のアカウントの交付を受けるなどして,原告の業務についての包括的な情報収集を継続して行っていた(乙18の1ないし4,22の1,24の3)。 被告P2は,当時原告の九州地区の責任者の地位にあったところ,上記のような業務提携における原告側の担当者として,被告P1と共に,企業が外注して行う研修等の受注に向けた活動等をしていた(乙21の1ないし3)。 キまた,この間,被告P1,P17,P19,被告P2を中心として,原告とC3社の相互理解を図るため説明会を実施したり,C3社の人材紹介事業部の事業計画書の作成に原告が参加したり(甲24),C3社のウェブサイトのリニューアルを原告が受注したり(甲28ないし32,枝番のあるものは枝番を含む),財団法人北九州産業学術機構に対する社会人向け講座運営補助業務の提案を協働でしたりする(乙21,枝番を含む)など,多様な協働作業が行われた(被告P1が認識するその他の多様な協働内容につき,甲27)。 ク本件株式譲渡契約は,第二株式譲渡の時期について,前記オのとおり定めていたが,原告は,平成20年11月,今後のC3社の業績悪化が予想されるとして株式譲渡の実施を早めるべきことを主張し,このころ,原告代表者とC3社代表者は,二回目の株式譲渡の実施時期を平成21年8月3日とすることに合意した(乙4の1ないし3)。 ケ平成21年3月ころ,原告代表者は,原告の取締役会の決議を経ることなく,原告の100パーセント子会社であった株式会社C7(以下「C7社」という。)の株式をP16に移転させた上,原告が,C7社に対し,月額200万円以上の対価を支払う旨の業務委託契約を締結した。 被告P1は,原告の決算資料から上記株式移転及び業務委託契約の存在を知 り,本件株式譲渡契約の対象である原 が,C7社に対し,月額200万円以上の対価を支払う旨の業務委託契約を締結した。 被告P1は,原告の決算資料から上記株式移転及び業務委託契約の存在を知 り,本件株式譲渡契約の対象である原告の資産価値を毀損する行為であるとして原告代表者に是正を求め,これを止めさせるなどした。 コ P16は,前記ケの株式移転及び業務委託契約の是正が求められた後,原告のC3社に対する二回目の株式譲渡を予定通り実施することを再考するようになり,平成21年5月14日ころには,C3社に対し,当初考えていたシナジー効果の発揮が難しいことを主張して,二回目の株式譲渡につき実施するかどうかの再度の検討を申し入れ(甲26),同年7月10日には,P17において,原告の全社員に向けて,C3社の完全子会社化を前提として種々の取り組みを行ってきたがこれをいったん中断する旨を指示し,その理由として,シナジー効果を発揮するための取組みがC3社側の理由により全く実施されていないことを挙げる旨の電子メールを送信した(甲27)。これに対し,被告P1は,同月28日,P17の上記電子メールの内容は原告の取締役会決議を経たものでないこと,原告とC3社間の協働の取組みについては種々のものがあったことなどを指摘する反論の電子メールを送信した。 サ C3社は,平成21年8月14日,二回目の株式の譲渡代金を京都地方法務局に供託し,同月27日には,二回目の株式譲渡の譲渡人であるP16,P18,P20に対し,株主名簿書換の意思表示及び株券引き渡しを求める訴えを提起した(甲69,乙事件甲7の1ないし3,8)。 P16は,同月21日,C3社本社に赴き,C3社代表者らと面談して,一回目の譲渡株式の買戻しと二回目の株式譲渡の撤回を強く申し入れた。P16は,その理由として,シナジー効果が認められな 8)。 P16は,同月21日,C3社本社に赴き,C3社代表者らと面談して,一回目の譲渡株式の買戻しと二回目の株式譲渡の撤回を強く申し入れた。P16は,その理由として,シナジー効果が認められなければ取締役や株主のコンセンサスは得られないこと,前記供託がされているが今後裁判になるのであれば争うこと,本件株式譲渡契約に役員に対する処遇が何もなく,役員の退職金が支給されないこと,最も悪かったのは,監査法人が入ってデューデリ(法的適合性調査)が行われたことであること,教材の著作権の帰属が不明であること,前記エの株式移転及び業務委託契約について色々言われたことなどを述べた が,C3社代表者は,C3社が,C1社に対し,親会社になるということでだまし討ちをしたとか,厳しい要求をしたということは何もなく,何等の落ち度がないのに,C3社がこの件で被害を被るというようなことでは皆に理解させることができないので,当初の予定どおり株式を取得したい旨を述べたが,最終的には,もう一度よく考えてみるとした(乙17の1・2)。 P16は,同年9月2日,同人及び他の原告の株主らを代表して,C3社に対し,本件株式譲渡契約を合意解約し,第一段階での譲渡代金の返金を申し入れる「願い書」と題する書面を差し入れた(乙7)。 シ C3社代表者は,最終的に,P16の要望を受け入れることとし,原告の株主らとC3社は,同年9月16日,本件解約合意をした。その際,原告の株主らとC3社は,P16,P18及びP20が,本件株式譲渡契約に基づく義務の履行を理由なく遅滞していたこと,二回目の株式譲渡が円滑に行われなかったことの責任は原告の株主らにあり,これを前提に,原告の株主らが本件株式譲渡契約の合意解約を願い出て,C3社がこれを承諾したことを前提事実として確認した上で,本件解 目の株式譲渡が円滑に行われなかったことの責任は原告の株主らにあり,これを前提に,原告の株主らが本件株式譲渡契約の合意解約を願い出て,C3社がこれを承諾したことを前提事実として確認した上で,本件解約合意をした(乙2)。本件解約合意は,本件株式譲渡契約の合意解除,一回目の株式譲渡代金の返還,C3社がした供託金の取戻し等について定めるほか,原告の株主らに,原告をしてC3社との間で,業務提携を解消する一方で,C3社及び関連会社が教育事業を行い,原告から提供されたテキスト教材を継続して利用することができること等を内容とする合意書を締結させる義務を負わせ,原告の株主らに,本件解約合意に定める義務の遅滞,不履行,規定違反があった場合,違反等を行った者は,C3社の請求により違約金1億円を連帯して支払うことをその内容とするものであった。 原告とC3社は,同日付で,本件解約合意を前提とする本件合意を行い,その第2条に,以下の定めを置いた(乙3)。 「第2条(教材の継続利用) 1 甲(原告)は,乙(C3社)が,今後,人材派遣事業を行う上で,教育 事業を自ら行い又は関連会社をして行わせること,及び教育事業に関して第三者(甲の競合他社となるものを含むが,これに限らない。)と提携することにつき十分理解しており,かかる乙の行為につき一切の意義等(クレームや妨害行為を含むが,これに限らない)を申し立てない。 2 乙は,第1項に定める教育事業を行うために(関連会社をして行わせる場合,第三者と提携する場合を含む。),本合意書締結までの間に行った教育事業により甲から提供されたテキスト教材等(以下「教材等」という。)を継続して利用すること(利用のために加工することや複製・配布することも含む)ができるものとし,甲はこれに一切の異議を述べないものとする。」 甲から提供されたテキスト教材等(以下「教材等」という。)を継続して利用すること(利用のために加工することや複製・配布することも含む)ができるものとし,甲はこれに一切の異議を述べないものとする。」(2) 被告C2表現物の作成経緯等(甲58,乙18の1,乙22の1)。 ア被告P1は,本件株式譲渡契約がされ,原告に取締役として派遣されて以降,原告に導入されていたグループウェア(C9)や,C6社が原告に提供していたC8のアカウントの付与を受けていた。 同被告は,本件株式譲渡契約の趣旨に従い,将来原告がC3社の完全子会社となることを前提に,原告の教材を含む原告の情報や資料を収集していた。 イ被告P1は,平成21年8月,被告P2から,その当時各教室に配布されていた教材のバックアップ媒体(バックアップ1,乙20)の交付を受け,当該電子データを管理することとなった。 ウ平成22年2月の被告C2の立ち上げに際し,被告P1は,当初,前記(1)シの合意があったことから,原告表現物等を利用して,被告C2の教育事業に供する教材を作成することとし,また,教室でのeラーニングシステムについては,原告と同様にC6社のシステム(本件C8)を使うこととし,順次,上記の方法で作成された教材を,C6社の担当者にメールで送信していた。 エ平成22年3月19日,原告代表者がC6社を訪れ,被告C2の教材が原告表現物についての著作権を侵害している旨をC6社に告げたため,C6社は, 被告C2の本件C8の利用を停止する措置をとった。 オ被告P1は,前記エの措置をうけ,前記(1)シの合意がされた後のデータを含まない教材を改めて作り直すなどして,C6社に対し,本件C8の利用再開を求めたが,C6社が応じなかったため,教育事業においては,市販教材及びオリジナル教 け,前記(1)シの合意がされた後のデータを含まない教材を改めて作り直すなどして,C6社に対し,本件C8の利用再開を求めたが,C6社が応じなかったため,教育事業においては,市販教材及びオリジナル教材を作成して対応することとし,その後,原告表現物を含む原告から得たデータを全て破棄した。 (3) バックアップ1(乙20)内のデータと,被告C2表現物の対比等(甲5ないし7,10,11,乙20,乙22の3ないし5)ア原告が問題とする被告C2表現物のうち,被告C2表現物1ないし4,8ないし14,17については,全く同じか,又はほぼ同じ表現物がバックアップ1に収録されている。 イ被告C2表現物5及び6は,CADソフトウェアであるC10についての教材であり,被告C2表現物6及び7は,同じCADソフトウェアであるC11についての教材であるところ,バックアップ1には,その前バージョンであるC11及びC12についての教材が収録されている。 両者を比較すると,ソフトウェアのバージョンアップに伴う挿絵の変更等はあるが,教材の章立てなどの構成や文章はほぼ同じとなっている。 ウ被告C2表現物15及び16は,プログラミング言語PHPについての教材及びコンテンツ管理システムに関する教材である。バックアップ1にもPHPについての教材は収録されているが,両者を対比すると,内容は相当程度改訂されている。もっとも,追加された内容には,変数,配列,四則演算,条件分岐など,プログラミングに関する一般的普遍的な内容も含まれている。 被告C2表現物16に対応する教材は,バックアップ1の中にはない。 被告C2表現物15及び16は,原告表現物13を参考に製作されたものと考えられるところ,原告表現物13自体は,平成21年4月ころに製作され(原告表現物13を構成する ックアップ1の中にはない。 被告C2表現物15及び16は,原告表現物13を参考に製作されたものと考えられるところ,原告表現物13自体は,平成21年4月ころに製作され(原告表現物13を構成するファイルには,一部,平成21年8月のタイムスタン プのあるファイルがあるが,甲22の3によると,原告表現物13の完成自体は,平成21年4月ころと認められる。),それが製作された旨は,被告P1を含む原告従業員全員に周知された。 エ被告C2表現物18ないし22に用いられるCAD図面やプログラム作成環境の画面図(原告表現物目録15ないし19に相当する,甲5号証のDVD内のファイル)は,いずれも本件バックアップ1に収録されている。 オ原告表現物20ないし23のイラストは,いずれも遅くとも平成21年8月内に作成された。 (4) 個人被告らが原告を退職した経緯(甲15の1ないし14,27,乙10の1ないし14,乙19の1ないし14,21の1ないし4,26,27,33,34,被告P4本人,被告P3本人,被告P2本人)ア被告P2は,原告の九州地区の責任者の地位にあったものであるところ,前記(1)に認定の経過により,原告とC3社の子会社化の合意後,その提携が進むように大きな労力を割いた。しかし,子会社化の合意が解消される際には,原告代表者から,それらの提携に向けた活動がなかった趣旨のメールを発信するよう指示を受けて送信したが,それまでの仕事を否定され,大きな精神的苦痛を受けた。 また,上記解消が,原告代表者一族の判断でされたものであって,会社の重要な方針が決定される事態や,その当時九州地区で原告のスクールを出店していたC13が,営業委託契約を解約するとの意向を示したことなどから,原告の先行きに不安を感じ,原告を退職することを決意し,平 重要な方針が決定される事態や,その当時九州地区で原告のスクールを出店していたC13が,営業委託契約を解約するとの意向を示したことなどから,原告の先行きに不安を感じ,原告を退職することを決意し,平成22年1月31日限り,原告を退職した。 被告P2は,再就職に関しては,C3社の者にも相談し,C3社の代表者から,C14という経営コンサルタント会社を紹介され,同年2月に同社に就職した。 イ被告P4は,原告において熊本地区のリーダーの地位にあったところ,受講 生に対する不利益を生じさせるような原告の運用体制の不備や,待遇の改善がないことから原告を退職することとし,平成22年1月31日限りで原告を退職する旨の平成21年12月24日付け退職届を同日ころ,原告に提出した。 被告P4は,被告P2に転職先について相談したところ,C3社が教育事業を行う新会社を立ち上げることを聞き,被告P1を紹介され,公共職業安定所を通じて,被告C2に応募し,平成22年2月1日付けで被告C2に採用された。 なお,被告P4は,これに先立ち,被告P1から,C6社の担当者を紹介され,既に原告を退職することを決めていた被告P6とともに,管理者側からみた本件C8の仕組みを教えてもらう機会を得ていた。 被告P4は,平成21年末に,熊本地区の同僚であった被告P14に,原告を退職する旨の話をしていたところ,平成22年1月,同被告から,自分も原告を退職したいとの相談を受け,被告P4自身は,被告C2に就職する予定であることを伝えたことがあった。 ウ被告P6は,WEBデザインソフトなどの経験を有し,平成19年4月に原告に就職したが,原告において,CAD,3Dデザイン,プログラミングといった専門外の講義を担当させられることに苦痛を覚え,また当初は福岡の担当だけ デザインソフトなどの経験を有し,平成19年4月に原告に就職したが,原告において,CAD,3Dデザイン,プログラミングといった専門外の講義を担当させられることに苦痛を覚え,また当初は福岡の担当だけであったのが,佐賀や大分の教室まで担当となり,通勤も非常に大変となったため,退職を考え,平成22年1月16日限り原告を退職する旨の平成21年12月29日付け退職届をそのころ原告に提出した。 その後,被告P6は,被告P4に再就職先の相談をしていたところ被告P4が被告P1と面識を得るようになったことなどを契機として,公共職業安定所の応募を経て被告C2の採用面接を受け,平成22年2月1日付けで,被告C2に就職した。 エ被告P13は,CAD等の分野の講師業務ができると考えて原告に応募し,平成19年7月から原告の小倉校の教室担当者となったが,講師業務よりは募 集業務の比率が高くなり,しかも募集業務は遠方の山口県宇部市や,大分市などでもする必要があり,次第に自分向きの仕事ではないと感じるようになったことや,原告代表者が,福岡の地域会議において,備品を床に投げつけ,怒鳴り散らす様や,授業中に電話を掛けて講師のシフトを細かくチェックし,受講生に迷惑をかける様子などから,原告は長く勤める会社ではないと考えるようになり,平成22年1月16日限り原告を退職する旨の平成21年12月29日付けの退職届を,そのころ原告に提出した。 被告P13は,その後,被告C2がパソコン教室の講師を募集しているのを自ら検索等で知り,公共職業安定所経由で応募し,平成22年2月1日付けで被告C2に就職した。被告C2に採用されるについて,誰かからの働きかけを受けることはなかった。 オ平成22年1月18日,原告代表者は,原告従業員に向け,ビデオメッセージを発した。 日付けで被告C2に就職した。被告C2に採用されるについて,誰かからの働きかけを受けることはなかった。 オ平成22年1月18日,原告代表者は,原告従業員に向け,ビデオメッセージを発した。 同メッセージにおいて,被告代表者は,同年2月1日から原告の体制を改めることとし,正社員の雇用態勢については,概要,繁忙期を迎えるが,社員は増やさず外注を使っていくこと,スクール2校を,正社員2人と外注の従業員1人で運営し,採算が取れなければ人を減らしていくこと,そのなかで授業を増やす必要が生じたときは,時間外勤務で正社員の勤務時間を増やして対応することを基本方針とすることを述べた。また,現状,正社員が過剰であるとの認識のもと,幸いにも何人か辞める社員がいる旨を述べた。 カ被告P5は,CADによる機械設計の経験や,海外でのCAD講師の経験を有し,機械設計の業務ができる人材を増やしていく講師の仕事がしたいと考え,平成18年6月に,原告に採用され,岡山,福山地区のリーダーとして,勤務していた。 しかし,機械設計の講座は高価なことから受講生はほとんどおらず、同被告の業務は次第に管理業務が多くなっていった。 また,原告代表者が経営の指揮を執るようになってからは,一方的な指示や,(同被告の認識において)ソフトウェアの違法なインストールの指示などを受けたことなどにより,原告での仕事に対するやりがいを失うようになった。 このような中,平成21年末に,直属の部下が退職したところ,上記オの原告代表者のメッセージに接し,原告が従業員のことを考えない会社であると感じて,家業を継ぐつもりで退職を決意し,平成22年2月15日限り原告を退職する旨の同年1月19日付け退職届を原告に提出した。 同被告は,退職届提出後,原告在職中に世話になった被 い会社であると感じて,家業を継ぐつもりで退職を決意し,平成22年2月15日限り原告を退職する旨の同年1月19日付け退職届を原告に提出した。 同被告は,退職届提出後,原告在職中に世話になった被告P2に挨拶にいき,原告とC3社の事業提携がいつの間にか止んでしまったことに話題が及んだ際に,C3社が被告C2を立ち上げたことを聞き,同被告に興味を持ち,応募,面接を経て,平成22年3月1日に同被告に採用された。 キ被告P3は,平成17年8月に原告に採用され,福岡の天神校と博多校の教室担当を経て福岡エリアの管理者となり,募集業務と新規顧客獲得を主な業務としていたが,同被告が感じた原告代表者の専断的な意思決定や粗暴な振る舞い,更には前記オのビデオメッセージからの社員を大切にしない態度などから,原告の将来に不安を感じていた。 そうしたところ,平成22年1月,被告P2から,原告と株式会社C13間の契約が終了になることや,同被告が退職することなどを聞き,自分が同被告の後任になることが予想されたものの,そのような重い責任は担えないと考え退職を決意し,平成22年2月16日付けで原告を退職する旨の同年1月20日付け退職届を,そのころ原告に提出した。 被告P3は,退職を決意した旨を被告P2に述べたところ,同被告から被告C2の話を聞き,教育事業に携われることから応募し,同年2月16日付けで被告C2に採用された。 ク被告P8は,二級建築士の資格を有し,またCAD技術のほか,フォトショップやイラストレーターなどのソフトウェアの実務経験を有しており,指導教 育に携わる仕事をしたいと考え,平成19年3月に原告に就職し,募集業務と講師業務に従事したが,講師を育成するシステムがなく,専ら自己負担でスキルを上げなければならなかったこと,専門外(WEB 育に携わる仕事をしたいと考え,平成19年3月に原告に就職し,募集業務と講師業務に従事したが,講師を育成するシステムがなく,専ら自己負担でスキルを上げなければならなかったこと,専門外(WEB製作等)についても,実務経験豊富であることを前提に講師業務を行うことに苦痛を感じ,また,原告代表者の一方的な電話による罵倒にストレスを感じていた。 そうしたところ,同僚の被告P6が退職を決めたことを,前記オのとおり原告代表者が「幸い」と表現したことで,被告P8は我慢の限界と感じ,既に退職を決めていた被告P6に相談したところ,C3社が新たにパソコン教室を立ち上げることを聞いた。 被告P8は,平成22年2月28日限り原告を退職する旨の同年1月22日付け退職届を提出し,被告C2の面接で,CAD講師ができることを確認し,平成22年3月1日,被告C2に就職した。 ケ被告P7は,原告のパソコンスクールに生徒として通ったことがきっかけで,原告のアルバイトを経て,平成18年から原告の正社員として勤務していた(退職当時は,佐賀地区の責任者)が,原告の教室数の拡大に比して講師数は増加せず,既存の講師がかけもちで講義を持っている状況や,講師の研修システムがなく,専らその自習に委ねている状況から,クレーム対応等に負われることとなった。 また,同被告は,講師のシフトを組む立場にあったが,講師を手配できない場合には自らが赴くしかなく,平成21年当初のころには,九州各地を転々とするスケジュールになってしまい,教える仕事に専念できない状態となったことに加え,原告代表者からの叱責を受けることもたびたびであったところに,平成21年末に,被告P6と被告P13が原告を退職する旨を知り,シフトが回らなくなることで途方に暮れることとなった。 このような状況下で 代表者からの叱責を受けることもたびたびであったところに,平成21年末に,被告P6と被告P13が原告を退職する旨を知り,シフトが回らなくなることで途方に暮れることとなった。 このような状況下で,前記オの原告代表者のビデオメッセージに接し,原告ではやっていけないと思い,原告を退職することとした。 同被告は転職先につき,家業に戻ることと講師業務の継続を検討していたところ,福岡の公共職業安定所で講師業務の求人を探してみると,被告C2が人材を募集していたことから(なお,被告P7は,それ以前に雑談でC3社が教育事業を立ち上げ,人材募集をしている旨は被告P2から聞いていた。),被告C2に応募し,平成22年3月16日付けで採用された。 コ被告P11は,プログラマーの経験を有し,平成20年5月に原告に就職し,佐賀校,鳥栖校で講師として勤務していたが,一人の講師が何でも教える体制を苦痛に感じていた。 平成22年1月に,上司であった被告P2から退職する旨の挨拶を受け,その際,自らの考えを実現できる転職先を相談したところ,被告C2を含む業界についての話を聞き,新設の会社であれば自分のアイディアも生かせるのではないかと考え,原告を退職することを決め,平成22年3月15日限り原告を退職する旨の同年1月28日付け退職届を同日提出し,同年3月16日付けで被告C2に採用された。 サ被告P9は,平成19年ころ,原告の受講生だったことがあり,平成20年ころは原告の外注の講師をしており,その外注契約が終了してしばらくした平成21年2月に,原告の正社員として就職した。 しかし,同被告は,原告での業務が,自分自身の成長の妨げになると感じるとともに,原告代表者の威圧的な態度に接し,やりがいのない仕事を続けても意味がないと感じるようになり,原告を して就職した。 しかし,同被告は,原告での業務が,自分自身の成長の妨げになると感じるとともに,原告代表者の威圧的な態度に接し,やりがいのない仕事を続けても意味がないと感じるようになり,原告を退職することとし,平成22年2月28日限り原告を退職する旨の,同年1月28日付け退職届をそのころ原告に提出した。同被告は,原告に退職届を提出し,元上司である被告P2に退職の挨拶をした際に,被告C2がパソコン講師を募集していることを知り,公共職業安定所を通じて被告C2の採用面接を受け,同年3月1日付けで被告C2に採用された。 シ被告P14は,原告においてWEBデザインの講座を受講し,そのころ原告 において講師募集を行っているとの案内を聞いて平成19年1月に原告に就職し,熊本校,のち水前寺校,八代校などにおいて講師業務を行うこととなった。また,被告P15は,原告のスクールに通うなどした後,平成20年11月から契約社員として原告に勤務していた。 原告の熊本エリアは,被告P14,被告P15,被告P4によって運営されていたところ,被告P14は,平成21年12月,被告P4が原告を退職し,C3社が新しく立ち上げるパソコン事業の,C13の店舗に入る教室で働く旨を聞いた。被告P14は,尊敬できる上司であった被告P4が退職した後に,熊本地区をもり立てる情熱は起きなかったことから,原告を退職することとし,同僚の被告P15に負担がかかることから,前もって同被告に退職の意思を伝えたところ,同被告も,原告代表者が,被告P4の退職を「幸い」と表現したことに衝撃を受け,また熊本エリアは業績が上がっているのに,理由もなく賞与がないことから勤務意欲が減退しており,原告を退職することを決意した。 被告P14及び被告P15は,いずれも平成22年3月15日限り原告 け,また熊本エリアは業績が上がっているのに,理由もなく賞与がないことから勤務意欲が減退しており,原告を退職することを決意した。 被告P14及び被告P15は,いずれも平成22年3月15日限り原告を退職する旨の,被告P14は同年1月28日付けの退職届を,被告P15は同月29日付けの退職届を原告に提出した。二人は,再び被告P4と共に働きたいという気持ちもあったことから,被告C2の採用面接を受け,両名とも同年3月16日付けで同被告に採用された。 ス被告P12は,平成17年2月に原告に就職し,講師業務と募集業務を担当し,最初は小倉校を担当し,小倉南校も兼務した。その後,原告においては教室を運営できる従業員が退職するなどし,既存の従業員がこれをカバーする場面が増え,被告P12も岡山や兵庫に長期出張するなどしており,同被告は業務が過重であると感じ,疲弊していた。 また,被告P10は,CADソフトの経験を有し,平成21年4月に原告に採用され,講師業務と募集業務を担当していたところ,業績が上がらないことを末端社員の責任とする趣旨の原告代表者のビデオメッセージに疑問を感じ ていた。 そうしたところ,平成21年末頃から,九州地区の従業員が次々と退職し,教室を担当するのが被告P12と被告P10だけとなってしまったところ,これまでの原告の運営からすると,同被告らの負担が更に多くなるのは明らかであることから,同被告らは,退職を決意し,平成22年2月1日ころ,同年3月31日限り原告を退職する旨の退職届を提出した。そして,被告P12において,退職した被告P2から,被告C2が講師を募集しており,また,原告従業員の数名が被告C2での再就職を検討していると聞いていたことから,これを被告P10にも教え,共に被告C2に応募することとし,平成22年4月 た被告P2から,被告C2が講師を募集しており,また,原告従業員の数名が被告C2での再就職を検討していると聞いていたことから,これを被告P10にも教え,共に被告C2に応募することとし,平成22年4月1日付けで被告C2に採用された。 2 争点1(原告表現物について,複製,翻案,公衆送信可能化による著作権侵害が成立するか)及び争点2(被告C2の原告表現物の利用が,原告の許諾によるものと認められるか)についての判断(1) 本件株式譲渡契約の解消の経緯について前記1(1)の認定によると,原告の株主ら,特にその事実上の代表である原告代表者P16は,本件株式譲渡契約に基づき両社の協働体制が動き始めた相当後になってから,二回目の株式譲渡の実行を拒むようになったことが認められ,その理由としては,C7社の株式移転と業務委託契約が問題視されたこと,株式譲渡に伴い退任する役員への退職金支払が定められていないことにあったと推認される。特に,C7社の株式移転と業務委託契約の方式が看過されていれば,原告代表者は,原告の株式が譲渡され,原告がC3社の完全子会社となった後も,原告の事業から一定の利益を取得し得たはずであるが,問題点が指摘され,そのスキームが頓挫した後に,原告代表者が主導し,本件株式譲渡契約の解消を図ったものと認められる。 原告は,株式譲渡の実行が二段階とされたのはC3社の経営不振によるものであり,原告が,二回目の株式譲渡の実行を拒んだのは,原告とC3社間の協働に おいてシナジー効果が何ら発揮されていなかったことによると主張し,原告代表者P16はその旨の陳述をする。しかし,株式譲渡の実行が二段階とされた理由は既に認定したとおりであるし,被告P1,被告P2,それにP19も加わり,原告とC3社の協働事業が企画されたことは前記1( 表者P16はその旨の陳述をする。しかし,株式譲渡の実行が二段階とされた理由は既に認定したとおりであるし,被告P1,被告P2,それにP19も加わり,原告とC3社の協働事業が企画されたことは前記1(1)カ,キに認定したとおりである。 仮に,C3社の側の取組みに不十分な点があるなど,原告の解約申入れを正当とする事情があるのであれば,原告の株主らが願い出書(乙7)を差し入れたり,本件解約合意において,原告らに責任があること等を前提事実として確認するなどといったことは考えられず,原告代表者がC3社代表者に解約を申し入れた際の発言等,前記認定の経緯を総合しても,本件合意解約は,原告の一方的な都合によって申し入れられ,C3社においてやむなくこれを受け入れたものと認めるのが相当である。 そもそも,本件株式譲渡合意は,その合意の時点で譲渡代金額が確定し,かつ2年以内には残りの株式を譲渡することも確定していたのであるから,事業統合により想定されるシナジー部分の,売り主である原告の株主らへの配分は完了しているのであって,その後,シナジー部分をどのように現実化するかは,専らC3社の経営事項である。したがって,仮に一回目と二回目の株式譲渡間の原告とC3社の業務提携期間中に,提携によるシナジー効果が発揮されていないことがあったとしても,原告の株主らはこれを問題にする立場にはないし,まして本件株式譲渡契約に影響を与える事情ということもできない。 上記認定に反する原告の主張は採用できない。 (2) 本件合意の趣旨及び効力について既に述べたとおり,C3社としては,原告を完全子会社とすることで事業の多角化を図ることを予定し,一回目の株式譲渡以降,一定の協働関係を形成しつつあったところ,C3社側に特段の落ち度がないにもかかわらず,原告側 とおり,C3社としては,原告を完全子会社とすることで事業の多角化を図ることを予定し,一回目の株式譲渡以降,一定の協働関係を形成しつつあったところ,C3社側に特段の落ち度がないにもかかわらず,原告側の一方的な都合により,それまでにコストを投下した本件株式譲渡契約の解消を余儀なく されたものであるから,本体である本件解約合意とは別に,あえて本件合意を行った目的としては,将来C3社が教育事業に参画する際に,原告との競業によって生ずるリスクを解消するとともに,合意書締結前にされた原告とC3社の協働事業の成果等を一定程度C3社にも帰属させることによって,本件解約合意によりC3社に生じた損失を填補する趣旨が含まれると解するのが合理的であるし,そのように解さないと,原告の株主らに,原告をしてC3社の教育事業及び教材の継続利用を内容とする合意書を締結させる義務を認め,これに1億円の違約金を定める条項が本件解約合意に盛り込まれた趣旨を理解することはできない。 そのような趣旨からすると,本件合意は,C3社の事業を制限するためではなく,C3社に広汎な権利を付与することを目的としてなされたものというべきであるから,2条の1にいう「人材派遣事業を行う上で,教育事業を自ら行い又は関連会社をして行わせる」とは,人材派遣事業を行ってきたC3社が教育事業に進出する場合を示すものと解され,対象となる教育事業を人材派遣事業に関連して行われるものに限定する趣旨と解することはできない。また,2条の2にいう「合意書締結までの間に行った教育事業により甲から提供されたテキスト教材等」とは,合意書締結までに,被告P1らの活動により,法律上及び事実上C3社にもたらされた教材等全般をいうものと解され,その継続利用に関しては複製,配布はもとより加工等をも許容するものであるから 材等」とは,合意書締結までに,被告P1らの活動により,法律上及び事実上C3社にもたらされた教材等全般をいうものと解され,その継続利用に関しては複製,配布はもとより加工等をも許容するものであるから,C3社及び関連会社に対し,著作権法上の利用許諾を含む広範な利用権を設定するものと解され,その後に設立された会社を除外する趣旨で,本件合意がなされたと解すべき事情も認められない。この点に関する原告の主張は採用できない。 したがって,上記1(2)に説示のとおり,平成21年8月ころに,被告P1が被告P2から受領した本件バックアップ1や,被告P1が閲覧できた原告のグループウェアや本件C8内の情報,教材,教育事業に関するパンフレット,ちらし等について,C3社及びその完全子会社である被告C2は,いずれも本件合意による利用権を有するというべきである。 なお,原告は,被告P2が被告P1にバックアップ1を渡したこと自体,原告としての行為ではないとするが,被告P1は,当該時点においても,原告の情報についての広範なアクセス権を有していたのであり,バックアップ1の被告P1に対する交付もその補完行為にすぎず,これを正当な交付ではないと言うことはできない。 (3) 被告C2表現物について被告C2表現物は,前記1(3)に説示したとおり,バックアップ1ないし被告P1が取得した情報そのものであるか,これを加工したと評価できるものであり,本件合意後に,原告が,合意書の対象となった教材等と全く別個に創作されたものは全く含まれていない。 そうすると,原告表現物が創作性を有し著作物となるかどうかに関わらず,C3社の子会社である被告C2は,本件合意に基づき,被告C2表現物を適法に利用することができるというべきである。 なお,原告の主張 と,原告表現物が創作性を有し著作物となるかどうかに関わらず,C3社の子会社である被告C2は,本件合意に基づき,被告C2表現物を適法に利用することができるというべきである。 なお,原告の主張には,本件合意後にC3社又は被告C2が取得した著作物については,本件合意の許諾の範囲外であるとの趣旨が含まれると解される。しかしながら,契約上の義務あるいは媒体の所有権といった観点を捨象し,著作権のみの観点からすると,本件合意により許諾を得た著作物と同一性が認められる範囲では,C3社及び関連会社は適法にこれを利用することができるのであり,仮に本件合意後に変更が加えられた著作物を取得したとしても,上記同一性の範囲にあれば,著作権の観点では,C3社及び関連会社はこれを適法に利用することができる。 そうすると,被告C2表現物が本件合意による許諾の範囲にあるかどうかは,被告C2表現物と,本件合意までにC3社が取得したバックアップ1等に含まれる表現物とを客観的に対比し,同一性の範囲にあるかを検討すれば足りるのであり,同一性を害さない程度の変更が加えられていたとしても,変更の時期や主体は,本件合意による許諾の範囲との関係では問題とならない。したがって,被告 C2表現物のうちに,本件合意書締結後に原告により変更された部分が存在したとしても,そのことから著作権侵害の結論が導かれるものではない。 (4) まとめ以上の次第で,被告C2が被告C2表現物を利用したことが,原告の著作権を侵害するとの原告の主張は,理由がない。 3 争点4(被告P2,同P4が,原告従業員を違法に引き抜いたか)について(1) 前記1(4)に認定した個人被告らの退職経緯によると,個人被告らは,それぞれ,原告における経営方針が,自己の希望する職種,業態とそぐわない P4が,原告従業員を違法に引き抜いたか)について(1) 前記1(4)に認定した個人被告らの退職経緯によると,個人被告らは,それぞれ,原告における経営方針が,自己の希望する職種,業態とそぐわないこと,原告における意思決定の恣意感,原告代表者の原告従業員に対する考え方,態度等に関する否定的意識,原告の業務の過重感などから,個人的に様々な潜在的退職動機を有していたものと認められる。 そして,個人被告らのうち,九州地区の責任者であり,本件株式譲渡契約後,業務提携で原告側の中心的役割を果たしたといえる被告P2が,原告から退職することになったことや,原告代表者の,退職者があったことを幸いとする発言(正社員が多すぎるとの文脈で述べているのであるから,個人被告らがそのように理解することは十分な理由がある。)を契機として,各従業員が潜在的退職意思を顕在化させて退職に至ったにすぎないと認められる。 また,被告P2は,何名かの原告を退職する従業員に被告C2が設立されて講師が募集されることを告げたことは認められるものの,それ以外に組織的に原告の従業員を被告C2に移籍させるように働きかけたりしたなどの事情は認められないし,被告P4は,その部下の被告P14や被告P6に対し,原告を退職し,被告C2に勤務することを告げたことは認められるものの,他に直接又は上記被告らをして,個人被告らに被告C2に移籍するように働きかけたりしたなどの事情も認められない。また,証拠(被告P1本人)によると,被告C2における待遇は,さほどよいものではなく,むしろ厳しいものであったことが示唆されていたと認められるのであり,この事情からしても,尚更組織的な引き抜きであった とは言い難い。 (2) 原告は,被告P2が,被告C2の要職についているとか,原告の経営に参画す ことが示唆されていたと認められるのであり,この事情からしても,尚更組織的な引き抜きであった とは言い難い。 (2) 原告は,被告P2が,被告C2の要職についているとか,原告の経営に参画する立場であることを利用して,原告の経営陣には内密に,平成21年12月以降,担当地区の課題等を話し合う地区担当者会議において,たびたび,その大半を原告に対する根拠のない不平不満に充て,出席者である被告P9,被告P12,被告P13に賛同を求めたと主張し,その証拠として,甲45,46等を提出するが,いずれも前記判示に照らし採用し難い。 (3) 幹部従業員ないしその退職者の転職の勧奨が,社会的相当性を逸脱し,極めて背信的な方法でされた場合には,雇用契約上の誠実義務違反や不法行為責任を生ずることはあるが,上記にみたとおりの被告P2及び被告P4の行為が,このような背信的な方法であったとは到底認められないから,原告の,被告P2及び同P4に違法な原告従業員の引き抜きがあったとの主張は理由がない。 第6 結論以上によると,その余の点を判断するまでもなく,甲事件における原告の被告らに対する請求は,いずれも理由がないから,主文1項のとおり(訴訟費用については乙事件と併せて同6項のとおり)判決する。 (甲事件の説示は以上) 事実及び理由(乙事件)第1 請求の趣旨(本訴請求) 1 乙事件本訴被告(乙事件反訴原告)C1株式会社(以下乙事件の説示において「被告C1」という。甲事件の原告でもある。)は,乙事件本訴原告株式会社C2(以下乙事件の説示において「原告C2」という。甲事件の被告でもある。)に対し,3008万3344円及びこれに対する平成24年4月4日から支払済みまで年5分の割合によ は,乙事件本訴原告株式会社C2(以下乙事件の説示において「原告C2」という。甲事件の被告でもある。)に対し,3008万3344円及びこれに対する平成24年4月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告C1は,乙事件本訴(乙事件反訴被告)原告株式会社C3(以下乙事件の説示において「原告C3」という。)に対し,500万円及びこれに対する平成24年4月4日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 3 乙事件本訴被告P16,同P17,同P19,同P18及び同P20は,原告C3に対し,連帯して,1億円及びこれに対する平成24年4月4日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 (反訴請求) 4 原告C3は,被告C1に対し,5487万7767円及びこれに対する平成25年4月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 訴訟物乙事件本訴請求は,(1) 被告C1の,原告C2に対する不正競争防止法違反行為に基づく損害賠償請求(本訴請求1)として,3008万3344円の支払(2) 被告C1の,本件株式譲渡契約上の不作為義務の債務不履行又は被告C1による原告C3の事業に対する不正競争防止法違反(又は選択的に一般不法行為)に基づく損害賠償請求(本訴請求2)の一部請求として,500万円の支払,(3) 原告C3と,被告P16,同P17,同P19,同P18及び同P20間で締 結された被告C1株式の譲渡契約(以下「本件株式譲渡契約」という。)の解約合意(以下「本件解約合意」という)の債務不履行に基づく損害賠償請求(本訴請求3)として,同被告らに対し1億円の支払,及びそれらの支払済みまでの遅延損害金の支払をそれぞれ求めた事案である。 乙事件反訴請求は 約合意」という)の債務不履行に基づく損害賠償請求(本訴請求3)として,同被告らに対し1億円の支払,及びそれらの支払済みまでの遅延損害金の支払をそれぞれ求めた事案である。 乙事件反訴請求は,甲事件と同じ事実関係に基づき,原告C2の従業員に,(1) 被告C1の著作権を侵害する不法行為(反訴請求1)(2) 被告C1従業員の違法な引抜行為(反訴請求2)があり,原告C3も共同不法行為責任を負うとして,甲事件原告でもある被告C1が,甲事件被告らに対する請求(甲事件請求の趣旨1及び2)と同額について,原告C3に対し反訴請求するものである。 2 前提事実(1) 当事者(2) 関係者(甲事件当事者)(3) 原告C3と被告株主ら間の被告C1の株式譲渡契約等(4) 原告C2の設立及び元被告従業員らの就職等(5) 原告C2による被告C1表現物の利用上記(1)ないし(5)については,それぞれ読替表のとおり読み替えた上,甲事件第2の1(1)ないし(4)の記載のとおりである(乙事件の説示においては,読替え後の略語を使用する。)。 (6) 被告C1の対応ア被告C1は,平成22年3月19日ころ,C6社に対し,原告C2表現物の利用は被告C1の著作権侵害に当たる旨を告知し,C6社は,同月中に,原告C2に対するサービスの提供を停止した。 イ被告C1は,平成22年6月ころ,原告C2の広告を取り扱っていた株式会社C15,株式会社C16に対し,原告C2に著作権侵害の問題がある旨を摘示し,同被告の広告掲載について検討するよう申し入れた。 第3 争点(本訴請求1) 1 被告C1が,原告C2について虚偽の事実を告知したか 2 原告C2が被った損害額(本訴請求2) 3 被告C1が,原告C3 て検討するよう申し入れた。 第3 争点(本訴請求1) 1 被告C1が,原告C2について虚偽の事実を告知したか 2 原告C2が被った損害額(本訴請求2) 3 被告C1が,原告C3について虚偽の事実を告知したか 4 原告C3が被った損害額(本訴請求3) 5 本件解約合意に基づき,被告株主らは違約金債務を負担するか(反訴請求1) 6 被告C1表現物について,複製,翻案,公衆送信可能化による著作権侵害が成立するか 7 原告C2の被告C1表現物の利用が,被告C1の許諾によるものと認められるか 8 原告C2の著作権侵害について,原告C3は被告C1に対する責任を負うかどうか 9 著作権侵害により被告C1の被った損害の額(反訴請求2)P2,P4が,被告C1従業員を違法に引き抜いたか 11 原告C3が,P2,P4の上記行為に関し,責任を負うかどうか 12 違法引き抜きにより被告C1原告の被った損害の額第4 争点についての当事者の主張 1 争点1(被告C1が,原告C2について虚偽の事実を告知したか)(原告C2の主張)(1) 原告C2と被告C1は,原告C2の設立当時から,ともにパソコンスクール事業等を行っており,競業関係にある。 (2) 原告C2は,自らが作成した教材等をC6社が設置するサーバ内に保管してい たところ,平成22年3月,被告C1代表者の被告P16は,C6社を訪問し,原告C2が被告C1の有する著作権を侵害していると虚偽の事実を告知したため,C6社は,原告C2に対するサービス提供を停止するに至った。 その後,C6社は,新サービスを開発して原告C2と被告C1に提供していたが,被告P16は,同年10月22日,C6社に対し,原告C2から新作教材のアップデートがあった場合,被告C1 に至った。 その後,C6社は,新サービスを開発して原告C2と被告C1に提供していたが,被告P16は,同年10月22日,C6社に対し,原告C2から新作教材のアップデートがあった場合,被告C1に連絡,開示するよう申し入れ,原告C2の営業上の信用を害する行為をした。 (3) 被告C1は,平成22年6月ころ,原告C2の取引先である株式会社C17(C17社),株式会社C15(C15社),株式会社C16(C16社)に対し,原告C2は被告C1の著作権を侵害しており,被告C1のような小さな会社を苛めているとの虚偽の事実を告げ,原告C2やその従業員を著作権法違反容疑で福岡地方検察庁に告訴し,更に,平成23年7月20日には,原告C2が著作権侵害をしたとして,原告C2,P1及び元被告C1従業員を相手取り,甲事件を提起した。 (4) 被告C1は,平成22年6月中ころ,株式会社C18(C18社)に対して,原告C2が被告C1の有する著作権を侵害しているので,MOS(マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト)試験の試験会場認定をすべきでないとの申し入れをした。 (5) 原告C2表現物の利用が本件合意に基づくものであり,著作権侵害が成立しないことは,後記争点7の(原告C3の主張)記載のとおりであり,上記(2)ないし(4)の被告C1の告知は虚偽である。 また,原告C2は,平成22年6月の時点では新たな教材を独自に作成して使用していたから,同月以降,上記告知は,二重の意味で虚偽となった。 被告C1の行為は,不正競争防止法2条1項14号の不正競争行為であると共に,民法709条の不法行為にもあたる。 (6) 被告C1は,平成22年6月,C19株式会社(C19社)に対し,同社の扱 うC20社製ソフトウェア「C21」につき,原告C2がソフ であると共に,民法709条の不法行為にもあたる。 (6) 被告C1は,平成22年6月,C19株式会社(C19社)に対し,同社の扱 うC20社製ソフトウェア「C21」につき,原告C2がソフトウェアライセンス契約を逸脱して不正に使用している疑いがある旨の虚偽の事実を告げた。 (被告C1の主張)(1) 原告C2の主張に対する認否平成22年3月19日,被告C1代表者の被告P16がC6社を訪問し,原告C2が被告C1の著作権を侵害していると述べたこと,C17社からの問い合わせに対し,被告C1が原告C2を著作権侵害の理由で刑事告訴した旨を述べたこと,C15社,C16社に対し,被告C1が原告C2を著作権侵害の理由で刑事告訴したことを述べ,原告C2の広告掲載を取りやめるよう検討を求めたこと,C18社に対し,被告C1が原告C2を著作権侵害の理由で刑事告訴したと述べたこと,C19社に対し,原告C2のソフトウェアライセンス取得状況を確認したことは認め,その余は争う。 (2) 原告C2の著作権侵害原告C2が被告C1の著作権を侵害していることは,後記6の(被告C1の主張)記載のとおりであり,上記(1)の告知等は,虚偽の事実の告知または流布にあたらない。 2 争点2(原告C2が被った損害額)について(原告C2の主張)(1) 教材の使用不能に基づく損害原告C2は,本件合意に基づき,被告C1が原告C3に提供した本件教材を使用することができたにもかかわらず,業務開始間もないころに,被告C1が,その取引先等に原告C2が著作権侵害をしている旨を喧伝したため,被告C1から提供された教材をすべて破棄し,短時間で教材を作成する必要に見舞われ,このための外注費等に404万8910円を要した。 また,これら教材が使 著作権侵害をしている旨を喧伝したため,被告C1から提供された教材をすべて破棄し,短時間で教材を作成する必要に見舞われ,このための外注費等に404万8910円を要した。 また,これら教材が使用できなくなったことにより,教室の開講も3か月遅れ,1か月当たり581万5618円の売上を見込んでいた受講生向けソフトウェ アの販売ができなくなった。同売上予定分(合計1744万6854円)は,被告C1の違法行為と相当因果関係のある損害である。 (2) MOS試験会場の認定遅延による損害前記1(原告C2の主張)(2)ないし(4)記載の被告C1の行為により,原告C2は,MOS試験会場に認定されることが3か月以上も遅れることとなり,この試験を目的とする講座の受講生の受講機会を喪失した。 この講座の1講座当たり利益は6万2940円であり,1か月当たり19講座の利用が見込まれたから,3か月で358万7580円の損害が生じた。 (3) このほか,被告C1が虚偽の風説を流布したこと等により,原告C2は信用毀損等の無形損害を被り,これを金銭に評価すると損害は500万円を下らない。 (4) よって,原告C2は,被告C1に対し,不正競争行為または不法行為に基づき,上記アないしウの合計3008万3344円及びこれに対する不法行為の後である平成24年4月4日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める。 (被告C1の主張)争う。 3 争点3(被告C1が,原告C3について虚偽の事実を告知したか)(原告C3の主張)(1) 原告C2は原告C3の完全子会社であり,C17社等との取引も,原告C3の信用を前提に行っていたものである。本件合意第2条で,被告C1は,原告C3が教育事業等を行うこと,被告C1の教材を使 (1) 原告C2は原告C3の完全子会社であり,C17社等との取引も,原告C3の信用を前提に行っていたものである。本件合意第2条で,被告C1は,原告C3が教育事業等を行うこと,被告C1の教材を使用することにつき一切異議を述べない旨を約したのであるから,被告C1が,直接的には原告C2を対象に虚偽の事実を告知したとしても,実質的には,C3社に向けられたものというべきである。 (2) 被告C1は,平成22年10月ころ,原告C3の会計監査人である有限責任監査法人C22に対し,被告C1が原告C2を著作権法違反で刑事告訴したこと, 原告C3の代表者等に事前に告知したにもかかわらず,同告訴に対する反論や弁明がなかった旨を記した「ご連絡」と題する書面を送付したが,被告C1が上記事前の告知をした事実はなく,上記「ご連絡」と題する書面に記載した内容は虚偽である。 (3) 被告C1の上記行為は,不正競争防止法2条1項14号の不正競争行為であると共に,原告C3が教育事業等に被告C1の教材を使用することについて一切異議を述べない旨を定めた本件合意2条2項に違反する債務不履行にも当たる。 (被告C1の主張)争う。 4 争点4(原告C3が被った損害額)(原告C3の主張)原告C3社は,前記3(原告C3の主張)記載の被告C1の不正競争防止法違反行為により,説明のための交通費,資料作成費,信用の失墜という無形的損害200万円の合計205万9800円の損害を被った。さらに,前記3の被告C1の債務不履行により,前記同様の損害に加え,本件(甲事件・乙事件)の弁護士費用367万5000円,担当者の交通費18万6060円の損害を被った。 よって,原告C3は,被告C1に対し,乙事件(本訴請求)として,上記損害の一部500万円及びこれに 事件・乙事件)の弁護士費用367万5000円,担当者の交通費18万6060円の損害を被った。 よって,原告C3は,被告C1に対し,乙事件(本訴請求)として,上記損害の一部500万円及びこれに対する不法行為または催告の後である平成24年4月4日から支払済みまで年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。 (被告C1の主張) 5 争点5(本件解約合意に基づき,被告株主らは,原告C3に対し違約金債務を負担するか)(原告C3の主張)(1) 本件解約合意及び本件合意2条は,向後原告C3及びその関連会社が被告C1と同業の教育事業を営むことを被告C1において容認することを目的としたものである。そして,被告P16は被告C1の代表者であり,同被告の発行済み株 式総数の70パーセントを保有しているから,同被告の意思決定を自らできる立場にある。 (2) 本件解約合意の第5条が,被告C1をして本件合意を原告C3との間で締結させることを義務づけているのは,被告P16が被告C1の代表取締役及び大株主としての地位を有し,被告C1がいわゆる同族会社であることから,同被告の株主である被告株主らの責任において,被告C1をコントロールする必要があったからである。 当然ながら,被告C1が原告C3と本件合意を締結するだけでは意味がなく,本件合意の内容が被告C1により誠実に履行されてはじめて,本件合意は意味をもつものである。したがって,本件解約合意第5条は,被告株主らが被告C1をして本件合意を遵守させることを包含しており,被告株主らは,本件解約合意に基づく義務として,被告C1をして本件合意を遵守せしめる義務を負う。 (3) しかしながら,被告C1は,前記1及び3のとおり,本件合意に違反する行為に出たものであって,被告P16,被告P17はこ 基づく義務として,被告C1をして本件合意を遵守せしめる義務を負う。 (3) しかしながら,被告C1は,前記1及び3のとおり,本件合意に違反する行為に出たものであって,被告P16,被告P17はこれらを主導し,また被告P19,被告P18及び被告P20は,上記義務に違反し,これらを抑止しなかった。 被告株主らは,本件解約合意の第5条に違反したものとして,第8条に基づく違約金1億円及びこれに対する催告の後である平成24年4月4日から支払済みまで年6分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。 (被告株主らの主張)原告C3の主張を争う。 本件解約合意において,被告株主らは,被告C1に本件合意をさせること以上の義務を負っていない。 6 争点6(被告C1表現物について,複製,翻案,公衆送信可能化による著作権侵害が成立するか),争点7(原告C2の被告C1表現物の利用が,原告の許諾によるものと認められるか)及び争点9(著作権侵害により被告C1の被った損害の額)上記争点に関する当事者の主張は,別紙読替表及び次のとおり読み替えた上,甲 事件の事実及び理由第4の1ないし3の記載のとおりである。 甲事件乙事件争点1争点6争点2争点7争点3争点8被告らの主張原告C3の主張 7 争点8(原告C2の著作権侵害について,原告C3は被告C1に対する責任を負うかどうか)(被告C1の主張)原告C3は,平成21年8月ころから,被告C1の事業を奪い取ろうと画策し,元被告C1従業員らを介した原告C2の開業準備行為として,原告C2設立後は子会社である原告C2と共同して,前記6の(被告C1の主張)記載の行為を行ったものであるから,すべてについて共同不法行為責任を負う。 (原告C3の主張)争 準備行為として,原告C2設立後は子会社である原告C2と共同して,前記6の(被告C1の主張)記載の行為を行ったものであるから,すべてについて共同不法行為責任を負う。 (原告C3の主張)争う。 8 争点10(P2,P4が,被告C1従業員を違法に引き抜いたか)及び争点12(違法引き抜きにより被告C1の被った損害の額)上記争点に関する当事者の主張は,別紙読替表及び次のとおり読み替えた上,甲事件の事実及び理由第4の4及び6記載のとおりである。 甲事件乙事件争点4争点10争点6争点12被告P2,同P4の主張原告C3の主張被告C2,被告P2及び被告P4の主張原告C3の主張 9 争点11(原告C3が,P2,P4の上記行為に関し,責任を負うかどうか) (被告C1の主張)原告C3は,上記8の(被告C1の主張)に記載の引抜行為を,P2らを介して原告C2の開業準備行為として,原告C2設立後は子会社である原告C2と共同して行ったものであるから,すべてについて共同不法行為責任を負う。 (原告C3の主張)争う。 第5 判断 1 認定事実(特段の記載のない書証は乙事件のものである。)(1) ①原告とC3社の子会社化の合意とその解消の経緯,②被告C2表現物の作成経緯等,③バックアップ1(甲事件乙20)内のデータと,被告C2表現物の対比等,④個人被告らが原告を退職した経緯については,別紙読替表のとおり読み替えた上,甲事件の第5の1に記載のとおりである。 (2) 被告C1による原告C2の著作権侵害告知行為ア平成22年6月24日,被告C1は,C16社に対し,被告C1の運営するC4の電子教材18講座を不正複製,改ざんし利用していることを確認したので,福岡地方検察庁に刑事告訴の手続を 権侵害告知行為ア平成22年6月24日,被告C1は,C16社に対し,被告C1の運営するC4の電子教材18講座を不正複製,改ざんし利用していることを確認したので,福岡地方検察庁に刑事告訴の手続を行ったこと,教材の利用停止などの措置がとられる可能性があり,スクール業界の健全化のためにも,C16社において,原告C2との取引や広告を控えるよう求めることなどを内容とする,要望書と題する文書を送付した(甲13)。 イ平成22年10月ころ,被告C1代表者は,C6社を訪問し,C6社が原告C2に対するサービスを再開したことについての異議を述べた上,C6社に対し,原告C2が新しい教材を利用し始めたら被告C1にその旨を連絡開示すること,原告C2をして,新作につき問題がないか被告C1に確認するよう仕向けさせることを要求した(甲14)。 この後,原告C2は,C6社のサービスを受けることができなくなった。 ウ平成22年10月15日,被告C1は,有限責任監査法人C22の原告C3 担当者宛に,被告C1が原告C3の完全子会社である原告C2の著作権法違反について福岡地方検察庁に刑事告訴し,同年7月28日に受理されたこと,同年10月13日,同庁より原告C2の役員等関係者の事情聴取を始めること,原告C3や原告C2に事前に告知したにもかかわらず返答がなかったこと,原告C2において急な役員変更があったことを告知し,事件の早期解決に協力を求める書簡を送りつけた(甲16)。 エ上記のほか,被告C1は,C17社,C15社,C18社に対しても,上記アと同旨の内容を告げ,株式会社大阪証券取引所(当時)にも,上記ウと同旨の内容を告げた。 (3) 上記被告C1の行為の結果について(弁論の全趣旨)被告C1の上記行為により,原告C2は,①被告C1に由来する教材 株式会社大阪証券取引所(当時)にも,上記ウと同旨の内容を告げた。 (3) 上記被告C1の行為の結果について(弁論の全趣旨)被告C1の上記行為により,原告C2は,①被告C1に由来する教材の使用の中止,②最終的にはC6社の提供する本件C8の利用の断念などの対応を余儀なくされ,また,③平成22年6月に予定されていたC23社が行う検定の会場となることが,同年10月まで延期される不利益を被った。 また,原告C2は,監査法人や証券取引所に対し,説明をするなどの対応をとらざるを得ないこととなった。 2 争点1(被告C1が,原告C2について虚偽の事実を告知したか)及び争点3(被告C1が,原告C3について虚偽の事実を告知したか)について(1) 前記1(1) (甲事件第5の1)で認定したところによれば,原告C2の原告C2表現物の利用は,被告C1表現物の本件合意に基づく利用権に由来することになり,これが著作権侵害を構成しないことは,必要な読み替えをした上,甲事件第5の2に説示のとおりである。 (2) 被告C1は,自ら本件合意をして,原告C3及びその関連会社(完全子会社である原告C2を当然に含む。)に対し,競合する教育事業への進出と教材の利用を許諾したにもかかわらず,そのことを殊更無視し,被告C2等に対する直接の教材使用停止の申入れ等を伴うことなく(乙2の1,2については,仮にこれが 原告C3に送付されたとしても,このような趣旨の申入れに当たらない。),原告C2の教材利用行為一切が著作権侵害であることを,取引先,監査法人,証券取引所等に吹聴して回ることにより,原告C3及び原告C2が教育事業に進出して被告C1と競合することを妨害しようとしたものと解さざるを得ず,その態様は,原告C2,原告C3に対する敵意,害意を伴う執拗かつ悪質 等に吹聴して回ることにより,原告C3及び原告C2が教育事業に進出して被告C1と競合することを妨害しようとしたものと解さざるを得ず,その態様は,原告C2,原告C3に対する敵意,害意を伴う執拗かつ悪質なものというほかない。 このような行為は,正当な知的財産権の行使と認める余地はなく,社会通念上許容される限度も超えたものであり,被告C1の上記行為は,不正競争防止法2条1項14号にいう,虚偽の事実を告知し又は流布する行為に当たるというべきである。 なお,原告C3の監査法人及び証券取引所に対する告知は,原告C3の利害関係先への告知であるから,これらについては,原告C3に関する虚偽事実の告知に当たる。 3 争点2(原告C2が被った損害額)及び争点4(原告C3が被った損害額)について上記1(3)のとおり,被告C1の不正競争防止法違反行為により,原告らは一定の不利益を被ったことが認められる。 この点原告C2は,①原告C2表現物等が使用できなくなったことに伴う新たな教材の作成費用,②その間見込まれるソフトウェアの売上減,③MOS会場の認定を受けられなかったことによる損害,④営業上の利益を害された損害,を主張するが,①ないし③については,いずれもそのような損害が発生したことの証拠はP1の陳述書のみであって,とりわけ②,③については,原告C2の設立直後にそのような売上があったと推認するのは困難であるから,直ちにこれを認めることはできない。 他方,④については,虚偽の事実の告知という被告C1の行為により信用が毀損され営業上の不都合が生じたと認められるから,原告C2については,本件に現れ た一切の事情を考慮すると,200万円が被告C1の行為と相当因果関係を有する損害と認められ,原告C3については,同様の理由で,110万 が生じたと認められるから,原告C2については,本件に現れ た一切の事情を考慮すると,200万円が被告C1の行為と相当因果関係を有する損害と認められ,原告C3については,同様の理由で,110万円(うち10万円は弁護士費用相当の損害金)が相当因果関係を有する損害と認められる(この損害は,不法行為に基づくものと考えられるので,損害金の利率は年5分を採用するのが妥当である。)。 したがって,被告C1は,上記原告らの被った損害を賠償する責任を負う。 4 争点5(本件解約合意に基づき,被告株主らは違約金債務を負担するか)について(1) 認定事実平成21年9月16日付けで,原告C3と被告株主ら間において,本件株式譲渡契約を解約する本件解約合意がされたこと,本件解約合意において,①第8条には,被告株主らが,同合意書に定める義務のいずれかを遅滞し又は履行せず,または本合意書の規定のいずれかに違反した場合,当該違反等を行った者は,原告C3の請求により,原告に対し,違約金として1億円を連帯して支払うものとし,原告C3に違約金の額を超える損害が発生した場合には,原告C3は,被告株主らに対し,当該超過額を請求できるものとし,②第5条には,被告株主らは,被告C1の取締役会決議を経た上で,被告C1をして,被告C1の教材等の継続利用を認める趣旨が含まれた合意書(本件合意)を原告C3との間で締結させるものとする,との定めがあることは,前記第2の2(前提事実)において読み替えた甲事件第2の1(2)エ記載のとおりである。 更に,本件解約合意本来の義務として,被告株主らが第1段階の譲渡により受領した代金を原告C3に返還することや,第2段階の譲渡に関し原告C3がした供託金の取り戻し,訴訟の終了に関する被告株主らの義務も定められている(甲 義務として,被告株主らが第1段階の譲渡により受領した代金を原告C3に返還することや,第2段階の譲渡に関し原告C3がした供託金の取り戻し,訴訟の終了に関する被告株主らの義務も定められている(甲10)。 (2) 被告C1の本件合意に基づく義務違反行為が株主としての義務に違反したものといえるかどうか 前記(1)のとおり,原告C3と被告株主ら間の本件解約合意において,被告株主らは,被告C1をして,合意書を締結させるようにするものとしているが,この約定は,上記解約合意に伴う原状回復のような契約当事者としての義務ではなく,あくまでも,別の法主体である被告C1にそのような合意をさせる作為義務を定めるものにすぎない。 そうすると,本件解約合意の内容に沿う形で,原告C3と被告C1が本件合意を締結し,本件合意を遵守する義務が被告C1に生じた以上,被告株主らは,本件解約合意に基づく上記作為義務を尽くしたと評価することができる。 原告がいわゆる同族会社であるとしても,株式会社においては所有と経営は分離し,株主は経営には直接参加しないのが原則であるし,株主構成や個々の株主の議決権行使の方針自体も将来にわたって不変ではないのであるから,本件合意がされた後は,被告C1がその内容を遵守することについて,被告株主らの監視義務を本件解約合意から導くことはできないし,上記1億円の違約金がそのような監視義務の不履行に対し定められたと解することはできないというべきである。 (3) 結論したがって,被告C1が,前記1,2のとおり原告C2に著作権侵害がある等と告知した行為は,原告C3と被告C1間の合意(乙事件甲11)に違反する行為であるとしても,これによって,被告株主らが,本件解約合意に基づく違約金債務を負担するということはできない 作権侵害がある等と告知した行為は,原告C3と被告C1間の合意(乙事件甲11)に違反する行為であるとしても,これによって,被告株主らが,本件解約合意に基づく違約金債務を負担するということはできない。 原告C3の,被告株主らに対する請求はいずれも理由がない。 5 争点6ないし12(被告C1の反訴請求)について前記1(1)の認定事実に基づく判断は,甲事件第5の2ないし4のとおりであるから,原告C2従業員の著作権侵害及び違法な引抜行為により,原告C3が共同不法行為責任を負うことを前提とする,被告C1の反訴請求は,すべて理由がない。 第6 結論 以上のとおり,乙事件本訴請求のうち,原告C2の被告C1に対する本訴請求は200万円及びこれに対する不法行為の後日からの遅延損害金の支払を求める限度で,原告C3の被告C1に対する本訴請求は110万円及びこれに対する不法行為の後日からの遅延損害金の支払を求める限度で理由があるがその余は理由がなく,原告C3の,被告株主らに対する請求は,いずれも理由がない。また乙事件反訴請求は理由がない。 よって,乙事件について主文2ないし5項のとおり,訴訟費用について甲事件と併せて同6項のとおり,仮執行宣言について同7項のとおり判決する。 大阪地方裁判所第21民事部 裁判長裁判官谷有恒 裁判官松阿彌隆 裁判官松川充康は,転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官谷有 裁判官松阿彌隆 裁判官松川充康は,転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官谷有恒 (別紙) 当事者目録(甲事件) 原告C1株式会社同訴訟代理人弁護士高山宏之同稲垣旭彦 被告株式会社C2被告P1被告P2被告P3被告P4被告P5被告P6被告P7被告P8被告P9被告P10被告P11被告P12被告P13被告P14被告P15被告ら訴訟代理人弁護士伊藤茂昭同政木道夫同水谷幸治 同日野英一郎同加藤哲夫 (乙事件) 原告(反訴被告) 株式会社C3原告株式会社C2原告ら訴訟代理人弁護士伊藤茂昭同政木道夫同水谷幸治同日野英一郎同加藤哲夫 被告(反訴原告)C1株式会社被告P16被告P17被告P18被告P19被告P20被告ら訴訟代理人弁護士高山宏之同稲垣旭彦 (別紙)読替表甲事件の説示を乙事件に引用する場合の読み替えについては,次のとおり。 甲事件乙事件原告被告C1原告の株主ら被告株主ら原告代表者被告兼被告C1代表者P19被告P19P17被告P17P18被告P18P20被告P20C3社原告C3被告C2原告C2個人被告ら元被告C1従業員ら被告P1 C1代表者P19被告P19P17被告P17P18被告P18P20被告P20C3社原告C3被告C2原告C2個人被告ら元被告C1従業員ら被告P1P1被告P2P2被告P3P3被告P4P4被告P5P5被告P6P6被告P7P7被告P9P9被告P10P10被告P11P11被告P12P12 被告P13P13被告P14P14被告P15P15
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