昭和28(あ)4208 昭和二一年勅令第三一一号違反、賍物寄蔵

裁判年月日・裁判所
昭和31年10月10日 最高裁判所大法廷 判決 その他 名古屋高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      原判決中賍物寄蔵の点に関する部分を破棄する。      右の点に関する本件被告事件を原裁判所に差し戻す。      検察官の上告を棄却する。          理    由  

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判決文本文2,312 文字)

主文 原判決中賍物寄蔵の点に関する部分を破棄する。 右の点に関する本件被告事件を原裁判所に差し戻す。 検察官の上告を棄却する。 理由 検察官の上告趣意について。 裁判官真野毅、同小谷勝重、同島保、同藤田八郎、同谷村唯一郎、同入江俊郎の意見は、昭和二一年勅令三一一号「連合国占領軍の占領目的に有害な行為に対する処罰等に関する勅令」は、平和条約発効と同時に当然失効し、その後に右勅令の効力を維持することは、憲法上許されないから本件の右勅令違反の点については犯罪後の法令により刑が廃止された場合にあたるとするものであること、昭和二七年(あ)第二八六八号同二八年七月二二日言渡大法廷判決記載の右六裁判官の意見のとおりであり、又裁判官栗山茂、同岩松三郎、同河村又介、同小林俊三の意見は、右勅令三一一号は、平和条約発効後においては、本件に適用されている昭和二〇年九月一〇目附連合国最高司令官の「言論及び新聞の自由」と題する覚書第三項の「連合国に対する虚偽又は破壊的批評及び風説」を「論議すること」を禁止する部分は憲法二一条に違反するから、右指令を適用するかぎりにおいて、平和条約発効と共に失効し、従つて、本件の右勅令違反の点は犯罪後の法令により刑の廃止があつた場合にあたるとすること、昭和二七年(あ)第二〇一一号同三〇年四月二七日言渡大法廷判決記載の栗山、岩松、河村、小林各裁判官の意見のとおりである。よつて以上一〇裁判官の意見によれば、本件の右勅令違反の点は犯罪後に刑が廃止されたときにあたるものとした原判決は正当であつて、論旨は理由がない。 弁護人天野末治の上告趣意第一点について。 本件記録に徴するに、本件公訴事実中、被告人は、昭和二四年九月二一日午前三- 1 -時頃その肩書自宅において、Aの依頼に 当であつて、論旨は理由がない。 弁護人天野末治の上告趣意第一点について。 本件記録に徴するに、本件公訴事実中、被告人は、昭和二四年九月二一日午前三- 1 -時頃その肩書自宅において、Aの依頼により、同人が窃取して来たものであることを知りながら、綿一〇貫匁入四本と裁断屑四五貫匁入一本とを預り保管して賍物の寄蔵をしたとの事実について、第一審裁判所は、右公訴事実を認めるに足る犯罪の証拠がないとして被告人に対し無罪の判決を言い渡したところ、検察官から右第一審判決は事実を誤認したものであるとして控訴の申立があり、原審は、検察官の右控訴趣意を容れ前記第一審判決を破棄し、自ら何ら事実の取調をすることなく、ただ訴訟記録及び第一審裁判所で取り調べた証拠のみによつて、直ちに被告人に対し有罪の判決を言い渡したものであることが明らかである。 しかし本件の如く第一審判決が犯罪事実の存在を確定せず、犯罪の証明なしとして無罪を言い渡した場合に、控訴裁判所が右判決を破棄し、何ら事実の取調をすることなく、訴訟記録及び第一審裁判所で取り調べた証拠だけで直ちに被告事件について犯罪事実の存在を確定し有罪の判決をすることは、刑訴四〇〇条但書の許さないところであることは、昭和二六年(あ)第二四三六号同三一年七月一八日言渡大法廷判決の示すところである。従つて、自ら何ら事実の取調をすることなくして、無罪の第一審判決を破棄して前記の如く直ちに有罪の言渡をした原判決は違法であつて、弁護人の上告趣意に対する判断をまつまでもなく原判決のこの部分は破棄を免れない。 よつて、検察官の上告について刑訴四一四条、三九六条を、被告人の上告について、刑訴四一一条一号、四一三条を適用し主文のとおり判決する。 本判決は、左記反対意見及び補足意見を除くほか、裁判官全員一致の意見によるものである。 刑訴四一四条、三九六条を、被告人の上告について、刑訴四一一条一号、四一三条を適用し主文のとおり判決する。 本判決は、左記反対意見及び補足意見を除くほか、裁判官全員一致の意見によるものである。 昭和二一年勅令三一一号違反の点に関する裁判官田中耕太郎、同斎藤悠輔、同本村善太郎の反対意見は、次のとおりである。 平和条約発効前に犯した昭和二一年勅令三一一号違反の罪に対する刑罰は平和条- 2 -約発効後といえども、廃止されたものといえないことは前記昭和二七年(あ)第二〇一一号の大法廷判決記載のわれわれの意見のとおりである。 なお、右勅令違反の点に対する各裁判官の補足意見は前記昭和二七年(あ)第二〇一一号の大法廷判決に記載乃至引用したとおりである。 刑訴四〇〇条但書の解釈に関する裁判官田中耕太郎、同斎藤悠輔、同君松三郎、同本村善太郎の反対意見は次のとおりである。 犯罪の証明なしとして無罪の言渡をした第一審判決を破棄し、訴訟記録及び第一審裁判所において取り調べた証拠のみにより直ちに判決することができるものと認め、被告人に対し有罪の言渡をした原判決には何ら違法はないこと、前記昭和二六年(あ)第二四三六号の大法廷判決記載の田中、斎藤、岩松、本村四裁判官の反対意見のとおりであるから、被告人の本件上告は棄却さるべきものである。裁判官霜山精一、同井上登は退官につき評議に関与しない。検察官安平政吉、同竹原精太郎、同宮崎三郎出席昭和三一年一〇月一〇日最高裁判所大法廷裁判長裁判官田中耕太郎裁判官栗山茂裁判官真野毅裁判官小谷勝重 裁判官栗山茂裁判官真野毅裁判官小谷勝重裁判官島保裁判官斎藤悠輔裁判官藤田八郎裁判官岩松三郎裁判官谷村唯一郎- 3 -裁判官小林俊三裁判官入江俊郎裁判官河村又介、同本村善太郎は病気につき署名押印することができない。 裁判長裁判官田中耕太郎- 4 -

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