平成13(わ)854 収賄

裁判年月日・裁判所
平成13年11月27日 福岡地方裁判所 小倉支部
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判決文本文4,325 文字)

主文 被告人両名をそれぞれ懲役1年6か月に処する。 被告人両名に対し,この裁判が確定した日から4年間それぞれその刑の執行を猶予する。 被告人Aから,半袖ポロシャツ3枚(平成13年押第167号の1ないし3)を,同Bから,半袖ポロシャツ2枚(同号の4及び6)及びフリースベスト1枚(同号の5)を,それぞれ没収する。 被告人Aから67万2331円を,同Bから58万7581円を,それぞれ追徴する。 理由 (犯罪事実)被告人Aは福岡県a土木事務所所長として福岡県が発注する工事の請負契約等その他事務全般を掌理し,同Bは同副所長として所長の上記職務を補佐していたものであり,相被告人Cは,土木建築請負工事等を業とする有限会社b建設(平成12年7月3日からは株式会社b建設)の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたもの,相被告人Dは,土木工事等を業とする株式会社c組の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが,被告人両名は,それぞれ,上記C及び同Dから,次のとおり接待等の各供与を受け,もって,それぞれ自己の職務に関し,賄賂を収受した。 第1 1 被告人Aは,平成12年6月10日,Cから,福岡県が発注する工事の設計金額を教示したことなどに対する謝礼の趣旨及び今後も同様の便宜な取り計らいを受けたいなどの趣旨の下に供与されるものであることを知りながら,大分県別府市大字d字ef番地のg所在「hゴルフクラブ」において,代金合計1万4950円相当のゴルフ接待等の供与及び同市大字ij番地k所在「株式会社l」において,代金合計7万2970円相当の宿泊飲食接待等の供与を受け,同月11日,C及びDから,上記同趣旨の下に供与されるものであることを知りながら,同県速見郡m町no番地のp所在「qゴルフ倶楽部」において ,代金合計7万2970円相当の宿泊飲食接待等の供与を受け,同月11日,C及びDから,上記同趣旨の下に供与されるものであることを知りながら,同県速見郡m町no番地のp所在「qゴルフ倶楽部」において,代金合計5万1290円相当のゴルフ接待等の供与を受けた。 2 被告人Bは,同月10日,Cから,上記同趣旨の下に供与されるものであることを知りながら,上記「hゴルフクラブ」において,代金合計1万4950円相当のゴルフ接待等の供与及び上記「株式会社l」において,代金合計7万2970円相当の宿泊飲食接待等の供与を受け,同月11日,C及びDから,上記同趣旨の下に供与されるものであることを知りながら,上記「qゴルフ倶楽部」において,代金合計4万6590円相当のゴルフ接待等の供与を受けた。 第2 同年7月20日,前記C及び同Dから,前記第1と同趣旨の下に供与されるものであることを知りながら, 1 被告人Aは,大分県大分郡r町大字st番地のu所在「vゴルフクラブ」において,代金合計2万1245円相当のゴルフ接待等の供与及び前記「株式会社l」において,代金合計6万7062円相当の宿泊飲食接待等の供与を受けた。 2 被告人Bは,上記「vゴルフクラブ」において,代金合計2万1245円相当のゴルフ接待等の供与及び前記「株式会社l」において,代金合計6万7062円相当の宿泊飲食接待等の供与を受けた。 第3 被告人Aは,同年8月26日,前記Cから,前記第1と同趣旨の下に供与されるものであることを知りながら,前記「株式会社l」において,代金合計9万0850円相当の宿泊飲食接待等の供与を受けた。 第4 同年10月29日,前記C及び同Dから,前記第1と同趣旨の下に供与されるものであることを知りながら, 1 被告人Aは,前記第1記載の「qゴルフ倶楽部」において,代金合計1万 等の供与を受けた。 第4 同年10月29日,前記C及び同Dから,前記第1と同趣旨の下に供与されるものであることを知りながら, 1 被告人Aは,前記第1記載の「qゴルフ倶楽部」において,代金合計1万8925円相当のゴルフ接待等及び現金10万円の供与並びに前記「株式会社l」において,代金合計7万0205円相当の宿泊飲食接待等の供与を受けた。 2 被告人Bは,上記「qゴルフ倶楽部」において,代金合計1万8925円相当のゴルフ接待等及び現金10万円の供与並びに前記「株式会社l」において,代金合計7万0205円相当の宿泊飲食接待等の供与を受けた。 第5 前記C及び同Dから,前記第1と同趣旨の下に供与されるものであることを知りながら, 1 被告人Aは,同年12月29日,前記「株式会社l」において,代金合計7万6177円相当の宿泊飲食接待等の供与を受け,同月30日,大分県別府市wx番地所在「yカントリークラブ」において,代金合計1万8957円相当のゴルフ接待等及び現金10万円の供与を受けた。 2 被告人Bは,同月29日,前記「株式会社l」において,代金合計7万6177円相当の宿泊飲食接待等の供与を受け,同月30日,上記「yカントリークラブ」において,代金合計2万3237円相当のゴルフ接待等及び現金10万円の供与を受けた。 (証拠)-略-(法令の適用) 1 被告人Aについて罰条判示第1の1,第2の1,第4の1及び第5の1の行為についてそれぞれ包括して刑法197条1項前段同第3の行為について刑法197条1項前段併合罪の処理刑法45条前段,47条本文,10条(犯情の最も重い第5の1の罪の刑に法定の加重)刑の執行猶予刑法25条1項没収刑法19 刑法197条1項前段併合罪の処理刑法45条前段,47条本文,10条(犯情の最も重い第5の1の罪の刑に法定の加重)刑の執行猶予刑法25条1項没収刑法197条の5前段(第1の1の罪により収受した賄賂の一部である半袖ポロシャツ3枚(平成13年押第167号の1ないし3)を没収するにつき)追徴刑法197条の5後段 2 被告人Bについて罰条として判示第1の2,第2の2,第4の2及び第5の2の行為についてそれぞれ包括して刑法197条1項前段を適用するほか,被告人Aと同一の法令を適用する。なお,併合罪の処理については,犯情の最も重い第5の2の罪の刑に法定の加重をし,没収については,第1の2の罪により収受した賄賂の一部である半袖ポロシャツ2枚(同号の4及び6)及び第5の2の罪により収受した賄賂の一部であるフリースベスト1枚(同号の5)をその対象とする。 (量刑の理由)本件は,福岡県a土木事務所所長として福岡県が発注する工事の請負契約等その他事務全般を掌理していた被告人A及び同副所長として所長の上記職務を補佐していた被告人Bが,土木建築請負工事あるいは土木工事等を業とする会社の代表取締役であるC及びDから,同県が発注する工事の設計金額を教示したことなどに対する謝礼の趣旨や今後も同様の便宜な取り計らいを受けたいなどの趣旨で供与されることを知りながら,数回にわたり,それぞれ,ゴルフや宿泊飲食の接待,現金供与等の賄賂を収受し,もって,自己の職務に関して賄賂を収受したという公共工事に絡む収賄の事案である。 本件各犯行は,福岡県が発注する工事の起工,指名競争入札参加業者の選定,予定価格の決定等につき重要な権限ないしこれを補佐する権限等を有し,行政及 賂を収受したという公共工事に絡む収賄の事案である。 本件各犯行は,福岡県が発注する工事の起工,指名競争入札参加業者の選定,予定価格の決定等につき重要な権限ないしこれを補佐する権限等を有し,行政及び部下職員に対して指導的な立場に立ち,高い廉潔性,公平性が要請される地位にあった被告人両名が,指名競争入札等において便宜な取り計らいを受けたいとの思わくを有する関係業者側の接待を受けたものであって,公共工事に関する職務の公正に対する県民の信頼を損ない,公務員の信用や威信を失墜させたものというべきである。被告人両名は,関係業者であるCやDの申出を断ることなく,自己の本分を忘れ,ゴルフ,宿泊飲食の接待等を供与されるまま安易に受け続けたものであり,その利欲的な動機に酌量の余地は全くないばかりか,約半年もの間数回にわたって賄賂の供与を受けたものであり,本件は常習的犯行というべきである。さらに,被告人両名は,いずれも,CやDの求めに応じて,予定価格や設計金額を教示していたものであり,これらの行為は,指名競争入札制度を形がい化させ,土木行政に対する信頼を損なうものであることは明らかである。 被告人Aは,Cらの誘いに応じて,部下の被告人B共々本件各犯行を犯したものであるばかりか,約半年の間に5回にもわたり,合計約70万円の少なからぬ賄賂の供与を受け,うち1回は,自らがCに対して家族旅行の宿泊先の手配を依頼することで賄賂の供与を受ける機会を設けるなど積極的であり,癒着の程度は浅くなく,その刑責は重いというべきである。 被告人Bは,当初は被告人Aに追従していたとはいえ,同人と同一機会に4回にもわたり,合計約60万円もの賄賂の供与を受けていたものであり,職務権限や職責に関する前記諸点を併せてかんがみれば,被告人Aに劣らずその刑責は重いといわざるを得ない。 え,同人と同一機会に4回にもわたり,合計約60万円もの賄賂の供与を受けていたものであり,職務権限や職責に関する前記諸点を併せてかんがみれば,被告人Aに劣らずその刑責は重いといわざるを得ない。 しかしながら,収受した賄賂は接待等が中心で現金は少ないこと,被告人Bは,本件発覚後懲戒免職となり,既に相応の社会的制裁を受けていること,被告人Aも本件後間もない平成13年3月末に退職していたものであり,被告人両名に同種再犯のおそれはないこと,被告人Aはこれまで前科前歴がなく,被告人Bは罰金刑のほかは前科がないこと,被告人両名はいずれも反省の態度を示していること,各被告人の妻がそれぞれ被告人らの更生に協力する意向を表明していることなど,各被告人のために酌むことのできる諸事情があり,これらを併せ考慮すれば,被告人両名に対しては,今回に限り社会内での自力更生の機会を与えるのが相当であるから,それぞれ主文のとおり量刑した。 (求刑―被告人Aにつき,懲役1年6月,ポロシャツ3枚の没収及び67万2331円の追徴。被告人Bにつき,懲役1年6月,ポロシャツ2枚及びフリースベスト1枚の没収並びに58万7581円の追徴)平成13年12月12日 福岡地方裁判所小倉支部第2刑事部裁判長裁判官若宮利信裁判官大泉一夫裁判官山田真依子

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