平成12年(わ)第328号、第373号、第470号、第544号廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反、外国為替及び外国貿易法違反、関税法違反各被告事件 主文 被告人有限会社Nを罰金1500万円に、被告人Iを懲役4年及び罰金500万円にそれぞれ処する。 被告人Iに対し、未決勾留日数中530日を右懲役刑に算入する。 被告人Iにおいてその罰金を完納することができないときは、金2万円を1日に換算した期間、同被告人を労役場に留置する。 理由 (犯罪事実)被告人有限会社N(以下「被告人会社」という。)は、栃木県小山市大字ab番地cに本店及び産業廃棄物中間処理場を置き、栃木県知事から事業の範囲を破砕、焼却の中間処理等とする産業廃棄物処分業の許可を受け産業廃棄物処理業等を営んでいたもの、被告人Iは、被告人会社代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、第1 被告人Iは、被告人会社の業務に関し、法定の除外事由がないのに、同知事の許可を受けないで、別紙1覧表(一)記載のとおり(省略)、平成11年2月10日ころから同月22日ころまでの間、右産業廃棄物中間処理場において、廃プラスチック類等の産業廃棄物約611.52トンを圧縮梱包する中間処理を行い、もって、都道府県知事の許可を受けないで事業の範囲を変更し産業廃棄物の処分の事業を行った、第2 被告人Iは、被告人会社工場長Yと共謀の上、被告人会社の業務に関し、別紙1覧表(二)記載のとおり(省略)、平成11年4月5日ころから同年5月20日ころまでの間、栃木県小山市大字de番地f所在の第1倉庫内ほか2か所において、産業廃棄物処分業の許可を受けておらず、かつ、厚生省令で定める者でないSに対し、被告人会社の事業活動とし ら同年5月20日ころまでの間、栃木県小山市大字de番地f所在の第1倉庫内ほか2か所において、産業廃棄物処分業の許可を受けておらず、かつ、厚生省令で定める者でないSに対し、被告人会社の事業活動として行った廃棄物の圧縮処理に伴って生じ、右3か所に積み上げてある黒色プラスチックフィルムで梱包された廃プラスチック類等の産業廃棄物3314個(合計約2584.92トン)の処分を、1個につき代金3200円で委託した、第3 被告人Iは、F(被告人Iが代表取締役であるK株式会社の所長及び被告人会社の営業部長などとして、産業廃棄物の運搬業務などの指揮監督を行っていた者)及びMらと共謀の上、被告人会社の業務に関し、 1 古紙等を輸出するかのように仮装して廃プラスチック類を主体とする雑多な産業廃棄物の混合物をフィリピン共和国に輸出しようと企て、平成11年7月21日、東京都港区gh丁目i番j号所在のT税関において、同税関係員に対し、同所設置の入出力装置に接続された電子情報処理組織(海上貨物通関情報処理システム)により被告人会社名義で輸出申告をするとともに、仕入書等の書類を提出するに際し、真実は右雑多な産業廃棄物の混合物を輸出するのにこれを偽り、品名を古紙(WASTE & SCRAPOFPAPER, PAPERBOARD)として申告した上、品名を紙80パーセント・プラスチック20パーセントを含む再生用古紙(WASTEPAPER(RECYCLEMATERIALS) PAPER(80%) & PLASTIC(20%))と記載した被告人会社名義の仕入書(INVOICE)等の書類を提出し、もって、偽った輸出申告をし、かつ、偽った書類を提出した、 2 法定の除外事由がないのに、法令で定める事項について厚生大臣の確認、通商産業大臣の承認及び税関長の許可をいずれも E)等の書類を提出し、もって、偽った輸出申告をし、かつ、偽った書類を提出した、 2 法定の除外事由がないのに、法令で定める事項について厚生大臣の確認、通商産業大臣の承認及び税関長の許可をいずれも受けないで、平成11年7月22日ころ、東京都江東区k所在の東京港O埠頭からフィリピン共和国に向け、貨物船C号に、廃プラスチック類等の産業廃棄物約1628・015トンを積載したコンテナ92個を船積みし、もって、そのころ産業廃棄物を輸出した、第4 被告人Iは、F及びMらと共謀の上、被告人会社の業務に関し、 1 古紙等を輸出するかのように仮装して廃プラスチック類を主体とする雑多な産業廃棄物の混合物をフィリピン共和国に輸出しようと企て、平成11年10月13日、前記T税関において、同税関係員に対し、前同様の方法により被告人会社名義で輸出申告をするとともに、仕入書等の書類を提出するに際し、真実は右雑多な産業廃棄物の混合物を輸出するのにこれを偽り、前同様の申告をした上、前同様に記載した被告人会社名義の仕入書(INVOICE)等の書類を提出し、もって、偽った輸出申告をし、かつ、偽った書類を提出した、 2 法定の除外事由がないのに、法令で定める事項について厚生大臣の確認、通商産業大臣の承認及び税関長の許可をいずれも受けないで、平成11年10月16日ころ、前記O埠頭からフィリピン共和国に向け、貨物船V号に、廃プラスチック類等の産業廃棄物約533・161トンを積載したコンテナ30個を船積みし、もって、そのころ産業廃棄物を輸出したものである。 (事実認定の補足説明) 1 弁護人は、判示第2の事実につき、要するに、被告人IはSに安く処分できる許可業者の紹介の仲介を依頼したのであって、処分自体を委託したのではないから、無罪であると主張するが、採用できない。 たしか 弁護人は、判示第2の事実につき、要するに、被告人IはSに安く処分できる許可業者の紹介の仲介を依頼したのであって、処分自体を委託したのではないから、無罪であると主張するが、採用できない。 たしかに、排出事業者被告人会社が許可業者2社を相手方とし、S(有限会社J)を「総括業者」とする契約書等が存在するが、許可業者2社との契約は、隠れ蓑(みの)にすぎず、この契約に従って運搬、処分された産業廃棄物は少量で、本件起訴にかかる産業廃棄物(R有限会社が運搬し、長野で不法処分された分、甲139)は、この契約に従って処分されたものではない。本件起訴にかかる分は、被告人IがSに処分を委託したものである。 まず、被告人Iは、Sとの間で、圧縮梱包物(サイコロ)1個当たり運搬処分代込みの代金は4500円(その後、処分のみで3200円に変更)であると合意している。しかし、Sにいくら才覚があってもSが許可業者にその程度の代金で運搬・処分あるいは処分を任すことは不可能であるから、S経由で許可業者に4500円程度の金(運搬・処分の場合)が流れて(第4回公判第204項から206項まで)、許可業者において処理することはありえない。Sは、被告人Iに対し、本件産業廃棄物について、「長野のヤクザに出しています。」などと伝えており、被告人Iは、Sに対し、「リンゴ畑に置いているみたいだけど大丈夫かい。」などと言っていた(甲125)。被告人Iは、Sからの請求に応じて処理代金の支払いをしているが(乙8)、その中には、長野と記載のある単価が4500円ないし3200円のものと許可業者に任せたと認められる単価が6000円のものの2種類があった。被告人Iは2つのルートがあることは百も承知であったと認めるのが相当である。 次に、被告人Iは、単価が4500円ないし3200円で運搬・処分な と認められる単価が6000円のものの2種類があった。被告人Iは2つのルートがあることは百も承知であったと認めるのが相当である。 次に、被告人Iは、単価が4500円ないし3200円で運搬・処分ないし処分をする業者と正式に契約を結んでいない。もとより、そのような許可業者などいるはずがない。 被告人Iは、Sの先の運搬・処分ないし処分については全く無関心であり、Sのお手並み拝見という態度である。これは、被告人Iが運搬・処分ないし処分をSに任せたということにほかならない。 2 判示第3及び第4の事実について、被告人Iは、平成11年7月5日に、本件前にされた試験的輸出の輸出者がMの会社「株式会社S」でなく、被告人会社になっていることがわかったことや、Mから約束と違った単価を請求されたことなどから、本件輸出をさせないことにし、代金を支払わなければ輸出はされないだろうと考え、Mに代金を支払わないでいたところ、Mらが勝手に輸出してしまったと弁解するが、Mは、本件輸出により被告人会社からもうけを得ようとたくらんでいたのであるから、代金が支払われないことを知りながら勝手に輸出するはずがない。Mは、被告人Iが本件輸出代金を確実に支払うと約束したので、船を出航させた旨供述しており(甲215)、間違っている調書には頑として署名しなかった被告人I(第5回公判第110項、第111項)は、検察官に対し、本件輸出ができてほっとしたと述べている(乙17、乙18)。被告人の弁解は信用できない。 (法令の適用) 1 被告人会社について罰条判示第1の行為について平成12年法律第105号による改正前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律30条2号、25条2号、廃棄物の処理及び清掃に関する法律14条の2第1項判示第2の行為について ついて平成12年法律第105号による改正前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律30条2号、25条2号、廃棄物の処理及び清掃に関する法律14条の2第1項判示第2の行為について平成12年法律第105号による改正前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律30条2号、26条1号、12条3項、廃棄物の処理及び清掃にする法律14条8項、平成11年法律第160号による改正前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律14条4項平成12年政令第243号による改正前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令6条の2平成12年厚生省令第101号による改正前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則8条の4、平成12年厚生省令第127号による改正前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則10条の3判示第3の1及び第4の1の各行為について平成12年法律第26号による改正前の関税法117条1項、113条の2、67条関税法施行令58条判示第3の2及び第4の2の各行為のうち厚生大臣の確認を受けないで産業廃棄物を輸出した点について平成12年法律第105号1条による改正前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律30条2号、28条、15条の4の5第1項、9条の6平成12年政令第243号による改正前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令7条の4平成12年厚生省令第101号による改正前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則12条の12の11、12条の12の12通商産業大臣の承認を受けないで産業廃棄物を輸出した点について外国為替及び外国貿易法72条1項、70条31号、平成11年法律第160号による改正前の外国為替及び外国貿易法48条3項平成11年政令 を受けないで産業廃棄物を輸出した点について外国為替及び外国貿易法72条1項、70条31号、平成11年法律第160号による改正前の外国為替及び外国貿易法48条3項平成11年政令第424号による改正前の輸出貿易管理令2条1項1号の別表第2のうち35の2(二)税関長の許可を受けないで貨物を輸出した点について平成12年法律第26号による改正前の関税法117条1項、関税法111条1項、平成12年法律第26号による改正前の関税法67条関税法施行令58条科刑上一罪の処理判示第3の2及び第4の2の各行為につき、厚生大臣の確認、通商産業大臣の承認及び税関長の許可を受けないで輸出した点はいずれも1個の行為が3個の罪名に触れる場合であるから、刑法54条1項前段、10条により1罪として最も重い関税法違反の罪の刑でそれぞれ処断併合罪の処理以上は、刑法45条前段の併合罪であるから、同法48条2項により各罪所定の罰金の多額を合計した金額の範囲内で処断 2 被告人Iについて罰条判示第1の行為について被告人会社に同じ判示第2の行為について被告人会社に同じ。ただし、刑法60条を加える。 判示第3の1及び第4の1の各行為について被告人会社に同じ。ただし、刑法60条を加え、関税法117条を削除する。 判示第3の2及び第4の2の各行為のうち厚生大臣の確認を受けないで産業廃棄物を輸出した点について被告人会社に同じ。ただし、刑法60条を加える。 通商産業大臣の承認を受けないで産業廃棄物を輸出した点について被告人会社に同じ。ただし、刑法60条を加える。 税関長の許可を受けないで貨物を輸出した点について 60条を加える。 通商産業大臣の承認を受けないで産業廃棄物を輸出した点について被告人会社に同じ。ただし、刑法60条を加える。 税関長の許可を受けないで貨物を輸出した点について被告人会社に同じ。ただし、刑法60条を加える。 科刑上一罪の処理被告人会社に同じ。 刑種の選択判示第1、判示第3の1及び2並びに判示第4の1及び2の各罪について各所定刑中懲役刑及び罰金刑の併科刑を選択し、判示第2の罪について所定刑中懲役刑を選択併合罪の処理以上は、刑法45条前段の併合罪であるから、懲役刑については、同法47条本文、10条により刑及び犯情の最も重い判示第3の2の罪の刑に法定の加重した刑期の範囲内で処断罰金刑については同法48条2項により判示第1、第3の1及び2並びに第4の1及び2の各罪所定の罰金の多額を合計した金額の範囲内で処断未決勾留日数の算入刑法21条を適用し、右懲役刑に算入労役場留置刑法18条を適用し、罰金を完納できないときは、金2万円を1日に換算した期間、労役場に留置(量刑の理由)本件は、被告人有限会社Nの代表取締役である被告人Iが、被告人有限会社Nの業務に関し、無許可で産業廃棄物を圧縮梱包する中間処理を行い、圧縮処理した産業廃棄物の最終処分先に窮し、無許可の業者に処分を委託し、更には、外国に会社を有するというMらと共謀の上、不正に海外へ産業廃棄物を輸出するなどしたという事案である。 被告人Iは、産業廃棄物の輸送コストを削減するなどして被告人会社の利益を上げようと企て、受け入れた産業廃棄物をおおざっぱに選別した上で圧縮梱包し、ビニールや不良品の紙おむつなど廃プラスチック類を主体とし、紙くず、金属くずなどが雑多に混ざった大量の圧縮 告人会社の利益を上げようと企て、受け入れた産業廃棄物をおおざっぱに選別した上で圧縮梱包し、ビニールや不良品の紙おむつなど廃プラスチック類を主体とし、紙くず、金属くずなどが雑多に混ざった大量の圧縮梱包物(サイコロ)を作り、悪臭防止のため黒色ビニールで包装し、黒磯(くろいそ)や小山(おやま)など関連施設や中間処理場に貯めこんでいた。県では、かねてから被告人会社の圧縮梱包は違法であり、中間処理業の変更許可が必要であると指導し、黒磯や小山の産業廃棄物を撤去するよう指導していた。平成11年2月3日、黒磯を管轄する県北健康福祉センターは、被告人会社のような圧縮梱包を行うには中間処理業の変更許可が必要であると指導するとともに黒磯の廃棄物を全量撤去するよう警告した。被告人Iは、指導・警告に従う旨の顛末書を提出した。同月8日、小山を管轄する県南健康福祉センターは、被告人会社の圧縮梱包は違法であるから直ちに中止し、小山の2か所の産業廃棄物を全量撤去するよう警告した。しかし、被告人Iは、会社の利益を上げることのみに汲々とし、指導・警告に従わず、従業員に対し、圧縮梱包の中止を命ずることなく、違法な圧縮梱包を継続させた(判示第1)。被告人Iは、違法に圧縮梱包したことを認めながらも、公判で、行政の指導が悪かったと開き直った態度を取っている。被告人Iは、行政に対し恭順の姿勢を見せながら、その裏では多大の不正な利益をむさぼるため、あえて圧縮梱包の違法行為を行い、刑事責任を問われると、責任を他に転嫁するかのごとき態度を取っている。被告人Iは、狡猾で、規範意識が乏しい。 他方で被告人Iは、中間処理業の変更許可を取得するためには、県の指導に従って黒磯や小山などのサイコロを早急に撤去しなければならないと考えていたため、平成11年1月、産廃ブローカーに無許可業者のSを紹介 方で被告人Iは、中間処理業の変更許可を取得するためには、県の指導に従って黒磯や小山などのサイコロを早急に撤去しなければならないと考えていたため、平成11年1月、産廃ブローカーに無許可業者のSを紹介されるや、足元を見て、格安の代金で産業廃棄物の処分等の委託契約を結び、同年4月から処分の委託を実行した(判示第2)。被告人Iは、Sを「総括業者」として参加させた許可業者との契約書を作成し隠れ蓑(みの)とし、1部は正規の業者に運搬・処分を委託したものの、違法に約2500トンもの大量の産業廃棄物を処分させた。行政が代執行によりこの廃棄物を撤去するには2億円以上の税金がかかる量である。被告人Iは、Sから代金を請求されるや、あるはずもないマニフェストを持ってこなければ代金を払わないと難題を持ちかけ、捜査官に対しては、許可業者のNが無許可業者に処理を任せることはできないから任せていないとした上、Sから受け取った不正なマニフェストを楯に取り、正規業者が運搬・処分していたと思っていたと強弁し、公判では、当初の主任弁護人の適切な指導的問い掛けにもかかわらず、偽装のための契約書を錦(にしき)の御旗にして、Sに騙(だま)されたなどと述べて悪びれず、最終陳述の段階に至って、明白に否認に転じている。辣腕(らつわん)の会社整理屋と被告人が言うSを相手に欲得のためには1歩も引かず、むしろ手玉にとって違法行為を行い、司直に対しては、形式的な文書を振りかざして、自己の刑事責任を免れようとする被告人Iの悪辣(あくらつ)、鉄面皮な態度は強い非難に値する。 被告人Iは、平成11年2月、産廃ブローカーから海外に産業廃棄物を輸出してやると持ちかけられ、渡りに船とばかり話に乗ったが、平成11年4月、右ブローカーの背後にいて輸入元の会社を経営しているというMが接触して来て、Mから、輸出され ブローカーから海外に産業廃棄物を輸出してやると持ちかけられ、渡りに船とばかり話に乗ったが、平成11年4月、右ブローカーの背後にいて輸入元の会社を経営しているというMが接触して来て、Mから、輸出されるはずだったサイコロが不法投棄されていることを知らされ騙(だま)されたことを知った。被告人Iは、県から圧縮梱包の許可を取るためにはどうしても廃棄物を撤去しなければならなかったことから、Mと直接取引して産廃を輸出することにし、Mに対し1立米当たり4500円を支払い(第2回公判第178項、第215項、第3回公判第206項、第4回公判第228項、第229項、第5回公判第83項。7月5日段階で4700円に変更(甲214)、第5回公判第103項。)、サイコロを引き取らせることにした。被告人Iは、Mがフィリピンにおいて、古紙80パーセント、廃プラ20パーセントということで輸入許可を取ったと聞くや、被告人会社の産廃は、廃プラが半分以上で紙くずなどは1割くらいにすぎないことを十二分に認識しながら(乙10、乙14、乙15、乙18)、第1回の試験的輸出を経て、Mや被告人会社営業部長の肩書の笛木らと共謀の上、税関に虚偽の輸出申告などをした上、合計約2100トンもの産業廃棄物を不正に輸出した(判示第3及び第4)。Mは、被告人会社の産業廃棄物を輸出して利益を得ようと企て被告人Iに近づいたものであり、不正な輸出が成功するように、フィリピンの民間の輸出検査機関の目をごまかすためにダミーの古紙を使うよう指示したり、フィリピンの現地法人が再生目的で紙80パーセント、廃プラ20パーセントの古紙を輸入するという名目で得意の官庁回りをし、必要な許可・承認取得のための根回しをした。本件輸出物は、被告人IがMの代金請求に応じなかったことなどから、相手国の税関に発覚し、バーゼル条約に違反す の古紙を輸入するという名目で得意の官庁回りをし、必要な許可・承認取得のための根回しをした。本件輸出物は、被告人IがMの代金請求に応じなかったことなどから、相手国の税関に発覚し、バーゼル条約に違反する疑いを持たれ、日本国が回収、処分した。その費用は巨額に上っている。被告人会社は、情を知らない通関代行業者に対しても代金を支払っていない。本件産業廃棄物の不正な輸出などの犯行は、形式的書類を整えて日本国を騙し、相手国国民を侮蔑し、日本国民の海外での評価を貶(おとし)め、財政的にも日本国民に多くの損害を与えた国際的大事件である。被告人Iは、捜査段階では、本件物件は平成11年4月にMの日本法人に1立米当たり600円で売ったので、あとのことはMの輸出準備に協力したに過ぎないなどとごまかそうとしたり(Mの日本法人は実体がない。)、検査の際ダミーとなった古紙を回させた業者に対し被告人会社が発行した請求明細書を目の前にしながら、請求額は請求明細書の金額とは違う安い金額であると言い張ったりして、自分の都合のいい名目にはこだわり、不利な文書は無視しとぼけるなどして、事実をすり替え、刑責を軽くしようとたくらんでいた。公判では、不正輸出の道行きについて、肝心の点は抜かして縷々(るる)供述したほか、本件輸出物は、フィリピンでリサイクルできるものと思っていた(第2回公判第206項、第207項、第3回公判第179項)などと述べるが、リサイクル可能な価値あるものであれば、Mに4500円なり4700円なりの引取料を支払う(捜査段階では否定していた。)必要はなかったはずである。被告人Iの公判供述は、饒舌(じょうぜつ)、能弁によって、起訴された本件2回の不正輸出の責任から巧妙に目をそらさせようとしているものである。 被告人Iの本件各犯行は、被告人会社の利益のために、行政の警告 Iの公判供述は、饒舌(じょうぜつ)、能弁によって、起訴された本件2回の不正輸出の責任から巧妙に目をそらさせようとしているものである。 被告人Iの本件各犯行は、被告人会社の利益のために、行政の警告を無視し(圧縮梱包)、環境破壊の危険のある業者に産業廃棄物の処分の委託をしたのみならず(委託基準違反)、産業廃棄物を不正に輸出して、外国の環境まで破壊しようとし、日本人の恥を世界にさらし、日本国民に有形無形の多大の損害を与えたものであって、被告人I及び被告人会社の責任は重い。被告人Iは、昭和53年から昭和54年にかけて3回にわたり懲役刑の宣告を受けて服役し(猶予の取消2回)、その後にも罰金刑ではあるが2回(罰金前科は全部で5犯)にわたり処罰されておりながら、再び悪事を働き、世間を騒がせたものであるから、被告人Iの規範意識は今なお脆弱(ぜいじゃく)であると言わざるを得ない。 そこで、これらの諸情状を総合考慮すると、被告人らに対しては主文の刑が相当である(求刑被告人会社に対し罰金1500万円、被告人Iに対し懲役4年及び罰金500万円)。 平成14年3月19日宇都宮地方裁判所刑事部裁判長裁判官肥留間健一裁判官伊藤正高裁判官小林謙介
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