- 1 -平成22年9月1日判決言渡平成21年(行ケ)第10333号審決取消請求事件(特許)口頭弁論終結日平成22年7月21日判決原告大裕株式会社訴訟代理人弁護士中嶋邦明同平尾宏紀訴訟代理人弁理士鎌田文二同東尾正博同鎌田直也被告株式会社スエマサ訴訟代理人弁理士山広宗則主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1請求特許庁が無効2008-800145号事件について平成21年9月14日にした審決を取り消す。 第2事案の概要 本件は,原告が特許権を有し発明の名称を「足場板と建枠の兼用ケレン装置」とする特許第3675922号の請求項1及び2につき,被告が無効審判請求をしたところ,特許庁が差戻後の平成21年9月14日付けでもこれを無効とする旨の審決をしたことから,これに不服の原告がその取消しを求めた事案である。 争点は,本件特許に係る発明(本件訂正発明1及び2)が下記甲2文献に記- 2 -載された引用発明(甲2発明)との関係で進歩性を有するか(特許法29条2項),等である。 記特公平7‐85789号公報(発明の名称「枠組足場材再生システム」,出願人株式会社竹中工務店,公告日平成7年9月20日。以下この文献を「甲2文献」といい,これに記載された発明を「甲2発明」という。甲2)第3当事者の主張 請求原因(1)特許庁等における手続の経緯ア原告は,平成8年2月2日出願で平成17年5月13日登録に係る特許3675922号(発明の名称「足場板と建枠の兼用ケレン装置」,請求項の数2,以下「本件特許」という。)の特許権者であるところ,被告は,平成20年8月11日,本件特許の請求項1,2につき無効審判を 3675922号(発明の名称「足場板と建枠の兼用ケレン装置」,請求項の数2,以下「本件特許」という。)の特許権者であるところ,被告は,平成20年8月11日,本件特許の請求項1,2につき無効審判を請求した。 特許庁は同請求を無効2008-800145号事件として審理した上,平成21年1月27日,「特許第3675922号の請求項1及び2に係る発明についての特許を無効とする。」旨の審決(以下「第1次審決」という。)をし,その謄本は同年2月6日原告に送達された。 イ上記第1次審決に不服の原告は,平成21年3月6日,知的財産高等裁判所に審決取消訴訟を提起し(平成21年(行ケ)第10054号),また,同年5月7日,特許庁に本件特許の訂正審判を請求したところ,同裁判所は,同年5月22日,「特許庁が無効2008-800145号事件について平成21年1月27日にした審決を取り消す。」旨の決定をした。 ウそこで,特許庁において再び前記無効審判事件の審理が再開され,その中で原告は平成21年8月17日付けで本件発明の訂正請求をしたが(以- 3 -下「本件訂正」という。),特許庁は,平成21年9月14日,「訂正を認める。特許第3675922号の請求項1及び2に係る発明についての特許を無効とする。」旨の審決をし,その謄本は同年9月29日原告に送達された。 (2)発明の内容本件訂正後の本件特許の請求項1,2に係る発明(以下順に「本件訂正発明1」「本件訂正発明2」,併せて「本件各訂正発明」という。)の内容は,以下のとおりである(下線は訂正部分)。 ・【請求項1】足場板又は建枠をローラで支持して送る送り機構と,前記送り機構で送られる足場板又は建枠に対し,旋回する打撃輪でケレン処理を施すよう上下に配置したドレッサーとからなり,前記ドレッサーは,回転駆動軸を 足場板又は建枠をローラで支持して送る送り機構と,前記送り機構で送られる足場板又は建枠に対し,旋回する打撃輪でケレン処理を施すよう上下に配置したドレッサーとからなり,前記ドレッサーは,回転駆動軸を中心とする同心円上に複数の旋回軸を配置し,各旋回軸にその内径が旋回軸より大径の多数の打撃輪を径方向に移動自在となるよう旋回軸の軸方向に密に並べて取り付けたものであり,そのドレッサーのうち下部に位置するドレッサーを上部に位置するドレッサーに対して回転の停止又は減速が別個に行えるようにして,前記建枠のケレン時には,前記送り機構で送られる建枠に対し,上下のドレッサーを正規の速度で回転させ,その回転時に発生する遠心力で打撃輪が旋回軸から最大配置径となって旋回させて,その打撃により建枠の上下外周面をケレン処理し,前記足場板のケレン時には,前記上部に位置するドレッサーに足場板の表面を対向させてドレッサーを正規の速度で回転させ,その回転時に発生する遠心力で打撃輪が旋回軸から最大配置径となって旋回し,その打撃により前記送り機構で送られる足場板の表面をケレン処理し,かつ足場板の下面に損傷を与えないように前記下部に位置するドレッサーを回転停止又は減速するようにした足場板と建枠の兼用ケレン装置。 - 4 -・【請求項2】前記足場板が足場板本体の両端部で両側の位置にフックを固定し,このフックの側面にピンでロックプレートを上下に可動となるよう取付けてこのピンの頭部が前記ロックプレートの側面に突出したものであり,前記建枠が両側縦パイプを上部横パイプで結合してなるものであり,前記上部に位置するドレッサーを,足場板又は建枠の厚みに対応し,かつ,前記打撃輪の内径がピンの頭部に係合するのを防止するために,前記打撃輪の最大配置径時に前記打撃輪の内径と外径差による幅の部分が ,前記上部に位置するドレッサーを,足場板又は建枠の厚みに対応し,かつ,前記打撃輪の内径がピンの頭部に係合するのを防止するために,前記打撃輪の最大配置径時に前記打撃輪の内径と外径差による幅の部分が前記ピンの頭部に対応するように上下に位置調整自在としたことを特徴とする請求項1に記載の足場板と建枠の兼用ケレン装置。 (3)審決の内容審決の内容は,別添審決写しのとおりである。 その理由の要点は,本件各訂正発明は甲2文献,特許第2627459号公報(発明の名称「足場研掃機」,特許権者日工株式会社,登録日平成9年4月18日,公報発行日平成9年7月9日,公開公報たる特開平4-20657号の公開日は平成4年1月24日。甲20〔審決における丙7号証。〕。以下この文献を「丙7文献」といい,これに記載された発明を「丙7発明」という。)に記載された各発明及び周知技術にに基づいて当業者が容易に発明をすることができたから特許を受けることができない(特許法29条2項),というものである。 なお,審決が認定した甲2発明の内容,同発明と本件各訂正発明との一致点及び相違点は,上記審決写し記載のとおりである。 (4)審決の取消事由しかしながら,審決には,以下に述べるとおりの誤りがあるので,違法として取り消されるべきである。 ア取消事由1(丙7発明認定の誤り)- 5 -(ア)審決は,丙7発明は「足場枠と足場板の兼用ケレン装置」である旨認定した(11頁32行,16頁1行~2行)。 (イ)しかし,丙7文献の「本発明は,建築工事の仮説(「仮設」の誤記と認める。)足場に使用される足場枠や足場板等に付着する付着物,例えばコンクリートや塗料を除去する足場研掃機に関するものである。」(1欄15行~2欄2行,審決9頁の摘示事項d)との記載は,丙7発明の「産業上の利用分野」に れる足場枠や足場板等に付着する付着物,例えばコンクリートや塗料を除去する足場研掃機に関するものである。」(1欄15行~2欄2行,審決9頁の摘示事項d)との記載は,丙7発明の「産業上の利用分野」に関する記載であるところ,足場枠や足場板等は「付着物」が付着する被付着物を例示して「足場に使用される足場枠や足場板等に付着する付着物,例えばコンクリートや塗料」と記載したものであるにすぎない。したがって,上記記載をもって,丙7発明が足場枠(建枠)や足場板の兼用ケレン装置に係るものであるということはできない。 また,丙7文献の「鎖を使用した足場研掃機は主に衝撃による剥離を行なうため,足場枠等に強固に付着したコンクリートや塗料は除去されず,また隅々まできれいに除去することができない問題点を有していた。本発明は,従来技術の有する上記のような問題点に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,足場枠等に強固に付着したコンクリートや塗料を隅々まできれいに除去することができる足場研掃機を提供しょうとするものである。」(第3欄第4~12行,審決9頁の摘示事項e)との記載は,丙7発明の「発明が解決しようとする課題」に関する記載であるところ,「足場研掃機」や「足場枠等」の記載はあるものの,「等」については何の具体的記載もないから,上記記載をもって丙7発明が足場枠(建枠)や足場板の兼用ケレン装置に係るものであるということはできない。 さらに,丙7文献の「本発明に係る足場研掃機にあっては,架台上に配設した移送手段上に足場枠等の被研掃物を載置して所望の送り速度で- 6 -一端部から他端部に向けて移送する。移送される被研掃物はその上下位置に配置した一対の回転軸の間を通過する。前記回転軸は電動機により回転駆動されており,この回転軸と一体になって研掃用リングを多 6 -一端部から他端部に向けて移送する。移送される被研掃物はその上下位置に配置した一対の回転軸の間を通過する。前記回転軸は電動機により回転駆動されており,この回転軸と一体になって研掃用リングを多数装着した軸体も回転している。そして前記多数の研掃用リングが上下両方向から被研掃物に衝突して付着物を掻き取るのである。この研掃用リングは軸体に対して遊嵌状態で装着しているため被研掃物に衝突する度に反動で後方に退きながら回転しており,被研掃物の表面に適当な力で衝撃を与えながら付着物を擦り落とすのである。」(3欄26行~37行,審決9頁の摘示事項f)との記載は,丙7発明の「作用」に関する一部の記載であるところ,「足場研掃機」や「足場枠等の被研掃物」の記載はあるものの,この「足場枠等の被研掃物」が「足場枠」の他に何を意味するかについては具体的記載がないから,上記記載をもって,丙7発明が足場枠(建枠)や足場板の兼用ケレン装置に係るものであるということはできない。かえって,「そして前記多数の研掃用リングが上下両方向から被研掃物に衝突して付着物を掻き取るのである。」との記載(3欄32行~34行)は,丙7発明が「足場枠(建枠)」専用のケレン装置であることを窺わせる。なぜなら,足場板は上面(表面)のみコンクリート等の付着物が付着するものであるために,この付着物が付着する上面のみに研掃用リングを衝突させて付着物を掻き取れば(ケレンすれば)足り,下面(裏面)までケレンすることは必要ないばかりか,かえって「足場板の下面に損傷を与える」(審決16頁22行~25行,33行)からである。 加えて,丙7文献の3欄49行~4欄11行(審決10頁の摘示事項g),4欄19行~5欄6行(審決10頁の摘示事項h)は,丙7発明の「実施例」に関する一部の記載であるが,摘記事項g, 行)からである。 加えて,丙7文献の3欄49行~4欄11行(審決10頁の摘示事項g),4欄19行~5欄6行(審決10頁の摘示事項h)は,丙7発明の「実施例」に関する一部の記載であるが,摘記事項g,hには「足場研掃機」や「被研掃物」の記載はあるものの,「被研掃物」については- 7 -何の具体的記載もないから,この摘記事項g,hの記載をもって,丙7発明が足場枠(建枠)や足場板の兼用ケレン装置に係るものであるということはできない。かえって,摘記事項hには「電動機24の駆動により回転軸20を回転駆動することにより研掃具17,17’を回転している。」(4欄39行~40行),「研掃部3の電動機24を駆動して研掃具17,17’を回転させる。」(4欄43行~44行),「研掃具17,17’は高速度で回転しており,研掃具17,17’の研掃用リング23が通過する被研掃物Aに対し衝突し上下両方向から被研掃物に衝撃を与えて付着物を擦り落とすのである。」(4欄48行~5欄1行)との記載があり,上記で述べたとおり,丙7発明が「足場枠(建枠)」専用のケレン装置であることを窺わせる。 その他,丙7文献の3欄38行~46行,5欄6行~16行,6欄12行~19行など,丙7発明が「足場枠(建枠)」専用のケレン装置であることを窺わせる記載がある。 (ウ)丙7文献には,丙7発明が「足場枠(建枠)と足場板の兼用のケレン装置」であれば当然記載されているであろう足場板をケレンする場合の作用効果についての記載や,両者兼用のケレン装置特有の課題やその解決手段等の記載は一切ない。 加えて,丙7発明において,足場枠と足場板はそれぞれ被研掃物の一例として扱われているにすぎず,1台の装置をもって建枠と足場板の双方が研掃できること,すなわち「足場板と建枠の兼用ケレン装置」の優位性ないし有利 7発明において,足場枠と足場板はそれぞれ被研掃物の一例として扱われているにすぎず,1台の装置をもって建枠と足場板の双方が研掃できること,すなわち「足場板と建枠の兼用ケレン装置」の優位性ないし有利性は意識されておらず,1台の装置をもって建枠と足場板の双方をケレンすることができる装置(=兼用ケレン装置)に必要な技術的事項を何ら開示しあるいは示唆するものではないばかりか,そのような発明に対する動機づけにもなり得ない。 (エ)以上からすれば,丙7発明は「足場枠(建枠)」専用のケレン装置で- 8 -あるというべきであり,それにもかかわらずこれを「足場枠(建枠)と足場板の兼用のケレン装置」であるとした審決の認定は誤りである。 (オ)なお,審決は,丙7文献と同一の出願人による実願平4-84482号(実開平6-47501号)のCD-ROM(考案の名称「足場板用研掃機」,出願人日工株式会社,公開日平成6年6月28日。以下この文献を「甲21文献」という。甲21〔審決における丙第8号証〕)の段落【0002】に「例えば特願平2-124414号(判決注:丙7発明の出願番号)に示されるような足場枠と兼用の研掃機に足場板を送り込み,足場板表面の付着物を取り除いて次回の使用に備えるようにしている。」と記載されていることを捉えて,丙7発明における「足場板や足場枠の研掃機」が「足場板と建枠の兼用ケレン装置」であることは当業者にとって明らかであると認定している(14頁15行~20行)。しかし,甲21文献の段落【0002】の記載は,同一出願人の単なる主観の表明であるにすぎないから,この記載をもって丙7文献の記載事項が変更されるものではない。 イ取消事由2(本件特許の出願日より後に頒布された刊行物に基づいて周知技術を認定した上,容易想到性の判断をした誤り)(ア) いから,この記載をもって丙7文献の記載事項が変更されるものではない。 イ取消事由2(本件特許の出願日より後に頒布された刊行物に基づいて周知技術を認定した上,容易想到性の判断をした誤り)(ア)審決は,丙7文献に基づいて周知技術の認定をしている。しかし,丙7文献(甲20)は,特許第2627459号についての特許公報であるところ,その発行日は平成9年7月9日であり,本件特許の出願日たる平成8年2月2日より後に頒布されたものであるから,特許法29条2項の容易想到性判断の基礎となしえないものである。したがって,審決には,本件特許の出願日より後に頒布された刊行物に基づいて周知技術を認定した上,容易想到性の判断をした違法がある。 (イ)なお,被告は,丙7文献の公開特許公報である乙第4号証(特開平4-20657,公開日平成4年1月24日。以下この文献を「乙4文- 9 -献」といい,これに記載された発明を「乙4発明」という。)を平成22年7月7日に本件訴訟手続において提出したが,上記提出日は第1回口頭弁論期日が開かれる平成22年7月21日の直前である。通常であれば第1回口頭弁論期日に審理が終結することに照らすと,かかる被告の証拠提出行為は訴訟の完結を遅延させる可能性が極めて高いものである。また,被告は,本件訴訟前に乙4文献の存在を知ることができたはずであるから,それを審理が終結する直前になって提出することにつき重大な過失がある。したがって,被告による乙第4号証の提出は,時機に後れた攻撃防御方法として却下されるべきである(行政事件訴訟法7条,民事訴訟法157条1項)。 (ウ)また,乙4発明は「足場枠(建枠)」専用のケレン装置であるというべきであり,乙4発明を「足場枠(建枠)と足場板の兼用のケレン装置」であると認定できないことは,取消事由1と 法157条1項)。 (ウ)また,乙4発明は「足場枠(建枠)」専用のケレン装置であるというべきであり,乙4発明を「足場枠(建枠)と足場板の兼用のケレン装置」であると認定できないことは,取消事由1と同様である。 ウ取消事由3(本件訂正発明1と甲2発明との相違点1の判断の誤り)(ア)審決は「・・・建枠と足場板のケレンを単一の装置に兼用させて行うことは,上記丙第7号証,あるいは甲第6号証(判決注:実願平2-86202号〔実開平4‐43653号〕のマイクロフィルム〔考案の名称「コンクリート付着物のケレン装置」,出願人A,公開日平成4年4月14日。以下この文献を「甲6文献」といい,これに記載された発明を「甲6発明」という。甲6)の摘記事項iにも記載されているように,当該技術分野において従来より周知の技術であるから,甲2号証発明に上記周知技術を適用し,ケレン装置を「建枠」だけでなく「足場板」のケレンも行う「足場板と建枠の兼用ケレン装置」として用いることは,当業者であれば容易に想到し得るものである。」(14頁21行~26行)と判断した。 (イ)しかし,本件訂正発明1の課題は「足場板と建枠の何れに対してもケ- 10 -レン処理が自動的に行え,・・・足場板と建枠の兼用ケレン装置を提供することにある」(本件明細書〔甲24〕段落【0006】)ところ,甲2文献には甲2発明に係る1台の「建枠(枠組足場材)用のケレン装置」を「建枠(枠組足場材)」だけでなく「足場板」もケレン処理しようとする本件訂正発明1の課題ないし目的については記載も示唆もない。そうすると,1台の装置で「足場板」と「建枠」のケレンを兼用できる兼用のケレン装置を提供しようとする課題が自明であったり,この課題が容易に着想し得るものであったりする格別の理由がないかぎり,甲2文献は本来的に引 台の装置で「足場板」と「建枠」のケレンを兼用できる兼用のケレン装置を提供しようとする課題が自明であったり,この課題が容易に着想し得るものであったりする格別の理由がないかぎり,甲2文献は本来的に引用例足り得ないというべきである(特許庁の特許・実用新案審査基準第Ⅱ部特許要件第2章「新規性・進歩性」の項第15頁②,知財高裁平成20年(行ケ)第10026号・平成21年2月17日判決)。 (ウ)審決は,上記格別の理由として,丙7発明を「足場板と建枠の兼用ケレン装置」である旨認定判断した上で,甲6文献に記載された発明が「足場板と建枠の兼用ケレン装置」であことから,建枠と足場板のケレンを単一の装置に兼用させて行うことは,当該技術分野において従来より周知の技術であると認定したが,前記取消事由1のとおり,丙7発明は「足場枠(建枠)」専用のケレン装置」であり,これを「足場板と建枠の兼用ケレン装置」である旨認定した審決は誤りである。そして,甲6文献に記載された発明が「足場板と建枠の兼用ケレン装置」であるとしても,この「足場板と建枠の兼用ケレン装置」は甲6文献以外にはないから,この兼用ケレン装置を周知とすることはできず,ましてや本件訂正発明1の出願時の技術水準に照らして「足場板と建枠の兼用ケレン装置」を提供しようとする本件訂正発明1の課題は自明ではなく,容易に着想し得るものでもない。 (エ)したがって,甲2発明のケレン装置を「建枠」だけでなく「足場板」- 11 -のケレンも行う「足場板と建枠の兼用ケレン装置」として用いることは,当業者であれば容易に想到し得るとした審決の判断は誤りである。 エ取消事由4(本件訂正発明1と甲2発明との相違点2の判断の誤り)(ア)審決は,本件訂正発明1と甲2発明との相違点2について,「・・・上記丙第7号証の開示に接 るとした審決の判断は誤りである。 エ取消事由4(本件訂正発明1と甲2発明との相違点2の判断の誤り)(ア)審決は,本件訂正発明1と甲2発明との相違点2について,「・・・上記丙第7号証の開示に接した当業者がこれを甲第2号証発明に適用し,鎖(チェーン13)に換えて,丙7号証発明における打撃輪を採用して,ドレッサーを『回転駆動軸を中心とする同心円上に複数の旋回軸を配置し,各旋回軸にその内径が旋回軸より大径の多数の打撃輪を径方向に移動自在となるよう旋回軸の軸方向に密に並べて取り付けたもの』とし,ケレン時にドレッサーを回転させると,『その回転時に発生する遠心力で打撃輪が旋回軸から最大配置径となって旋回』してその打撃によりケレン処理を行う構成,すなわち,相違点2)に係る構成を具備させることに,格別の困難性は見出せない。」(16頁8行~16行)と判断した。 (イ)しかし,甲2発明も丙7発明もいずれも建枠専用のケレン装置であることでは共通するから,甲2発明の鎖(チェーン13)に換えて丙7発明における打撃輪を採用する等の置換が容易であり,当業者であれば容易に試みることであるとしても,その置換後のケレン装置はやはり建枠専用のケレン装置であるに止まり,足場板をもケレンすることができる兼用ケレン装置とすることができない。 したがって,足場板と建枠の兼用ケレン装置を提供するという本件訂正発明1の課題を解決しようとするためのものとしては,これらを置換しようとする契機ないし動機付けは生じない。それにもかかわらず,審決は,丙7発明が足場板と建枠の兼用ケレン装置であることを前提として,丙7発明を甲2発明に適用して相違点2に係る構成を具備させるこ- 12 -とに格別の困難性は見出せない旨判断するものであって,誤りである。 オ取消事由5(本件訂正発明1と甲2発 ことを前提として,丙7発明を甲2発明に適用して相違点2に係る構成を具備させるこ- 12 -とに格別の困難性は見出せない旨判断するものであって,誤りである。 オ取消事由5(本件訂正発明1と甲2発明との相違点3の認定判断の誤り)(ア)審決が本件訂正発明1と甲2発明の相違点として「甲2発明は足場板のケレンは行わないものであって,そのように『下部に位置するドレッサーを上部に位置するドレッサーに対して回転の停止又は減速が別個に行える』ようにしたものであるか否か不明である」と認定判断したことは誤りである。 なぜなら,甲2発明は「枠組足場材(建枠)用のケレン装置」であるから(審決9頁21行),枠組足場材のケレン時には常に上下のケレン用回転体11,11を回転させることが必要である。その一方のドレッサーの回転停止や減速を行うべき技術的,経済的等の見地からの合理的な意味合いはなく,これを不明とすることは技術常識に反するからである。 (イ)審決は,本件訂正発明1と甲2発明との相違点3につき,「足場板のケレンを行う際に,足場板の表面を上部に配置したドレッサーに対向させ,上部ドレッサーにより足場板をケレンすることは,甲第6号証,丙第8号証,乙第1号証(判決注:特開平7‐47335号公報,発明の名称「足場板のケレン装置」,出願人大裕株式会社,公開日平成7年2月21日。以下この文献を「甲12文献」という。甲12〕),乙第2号証(判決注:実願昭59-133371号〔実開昭和61-47347号〕のマイクロフィルム〔考案の名称「鋼製足場板のケレン装置」,出願人A,公開日昭和61年3月29日。以下この文献を「甲13文献」という。甲13〕)にも記載のように,当該技術分野において周知かつ汎用の技術である。」と認定したが,誤りである。 なぜなら,甲6文献,甲12文 公開日昭和61年3月29日。以下この文献を「甲13文献」という。甲13〕)にも記載のように,当該技術分野において周知かつ汎用の技術である。」と認定したが,誤りである。 なぜなら,甲6文献,甲12文献,甲13文献,甲21文献にそれぞ- 13 -れ記載の装置は,すべてドレッサーを上部に配置している。そのためにドレッサーによる被ケレン物である足場板の表面(上面)をこの上部ドレッサーに対向させているにすぎない。このドレッサー配置の上下関係と無関係に足場板の表面(上面)を上方に向けている例はないから,足場板の表面(上面)をドレッサーに対向させることが周知かつ汎用の技術であるとしても,ドレッサーの上下位置関係を離れて足場板の表面(上面)を上方に向けることが周知かつ汎用の技術ではないからである。つまり,「足場板のケレンを行う際に,足場板の表面をドレッサーに対向させ,このドレッサーにより足場板をケレンすること」は当該技術分野において周知かつ汎用の技術であるが,ここでいう「足場板をケレンするドレッサー」は,足場板の下部に配置されてもそれ自体問題ではなく,したがってこれが足場板の上部に配置されたものであることは周知かつ汎用の技術ではない。 (ウ)また,審決が「・・・別個の電動モータによってそれぞれ駆動回転される一対の上下ドレッサーを備えた甲2号証発明のケレン装置によって『足場板』についてもケレンを行うに際して,足場板の表面を上部ドレッサーに対向させると共に,不必要なケレン動作によって『足場板の下面に損傷を与えないように』,下部ドレッサーの回転停止又は減速を行うようにすることは,上記足場板のケレンについての周知技術,及び電動モータで駆動される装置についての汎用技術にならい,当業者であれば格別の困難なく為し得るものである。」(16頁30行~17頁1 行うようにすることは,上記足場板のケレンについての周知技術,及び電動モータで駆動される装置についての汎用技術にならい,当業者であれば格別の困難なく為し得るものである。」(16頁30行~17頁1行)と判断した部分は誤りである。 なぜなら,前記のとおり,甲2発明は「枠組足場材(建枠)用のケレン装置」であり,甲2文献にはこのケレン装置を建枠だけでなく足場板のケレンにも使用することができる兼用装置にしようとする課題ないし契機についての記載も示唆もなく,他にこの兼用装置が自明である等の- 14 -格別の理由がない。そのため,たとえ甲2発明が別個の電動モータによってそれぞれ駆動回転される一対の上下ドレッサーを備えたものであるとしても,「足場板」もケレン処理することができる「足場板や建枠の兼用ケレン装置」ではなく,他に格別の理由はないから,「足場板」についてもケレンを行うに際してとする前提が誤っているからである。 (エ)要するに,甲2発明は建枠専用のケレン装置であり,そこには「足場板と建枠の兼用ケレン装置」の発想はない。よって,本件訂正発明1を実現するためには,新たに「足場板と建枠の兼用ケレン装置」に想到したうえで,さらにこれを実現するために必要な技術的事項,すなわち,足場板ケレンの際には足場板の上面と上部ドレッサーを対向させて上部ドレッサーによりケレンを行い,かつ下部ドレッサーについてはこれを停止または減速させることにより重力の作用を利用して下部ドレッサーの各打撃輪を足場板の下面から遠ざけることに想到する必要がある。 しかし,丙7発明その他の周知技術を用いても「足場板と建枠の兼用ケレン装置」に想到できないことは前記のとおりである。 確かに,一般論として,一対の電動モータの回転駆動を別個に行えるようにしてある装置の一部分の動作を停止させる技術 術を用いても「足場板と建枠の兼用ケレン装置」に想到できないことは前記のとおりである。 確かに,一般論として,一対の電動モータの回転駆動を別個に行えるようにしてある装置の一部分の動作を停止させる技術は工業技術者に広く知られた容易に想到しうる技術である。しかし,足場板専用ケレン装置においてはドレッサーは一方にしかなく,また,建枠専用ケレン装置においては上下部ドレッサーを別々に作動させあるいは減速停止させる必要はないのであるから,結局,「足場板と建枠の兼用ケレン装置」に想到せず,足場板ケレンの際には足場板の上面と上部ドレッサーを対向させて上部ドレッサーによりケレンを行い,かつ下部ドレッサーについてはこれを停止または減速させることにより重力の作用を利用して下部ドレッサーの各打撃輪を足場板の下面から遠ざける技術に想到することはありえない。 - 15 -カ取消事由6(本件訂正発明1の効果の認定判断の誤り)(ア)審決は,訂正発明1による効果について,「甲2号証発明に丙7号証発明及び周知技術を適用した訂正発明1による効果も,予想される範囲内のものであって,何ら格別のものとは言えない」(17頁19行~21行)と判断した。 また,審決は,「・・・『下部ドレッサーに限って回転の停止又は減速を行う』構成を備えたことにより,足場板の表面(上面)側のみケレン処理を行うことができるという効果,下部ドレッサーの各打撃輪が旋回軸から垂れ下がってケレン不要の足場板の下面から遠ざかるとの効果,及び上部ドレッサーの回転の停止又は減速するものとした時に上部ドレッサーの各打撃輪が旋回軸から垂れ下がってケレン不要の足場板の裏面を打ち付けるような不都合がないという効果(上記3.(1)-1),3)参照)についても,当然予想される範囲内のものである。」(17頁23行~30行 輪が旋回軸から垂れ下がってケレン不要の足場板の裏面を打ち付けるような不都合がないという効果(上記3.(1)-1),3)参照)についても,当然予想される範囲内のものである。」(17頁23行~30行)と判断した。 (イ)しかし,前記のとおり,甲2発明や丙7発明はいずれも建枠専用のケレン装置に係るものであり,これらをどのように組み合わせても本件訂正発明1の「足場板と建枠の兼用ケレン装置」の構成には想到し得ず,その明細書(甲24)の「一台の装置で足場板と建枠の何れでもケレン処理が行なえ,装置を効率よく使用できると共に,ケレン処理の自動化に要する設備経費や設備スペースの削減が可能になり,足場板と建枠のケレン処理のコストダウンを図ることができる。」(段落【0046】)という効果を奏することはできない。それにもかかわらず,本件訂正発明1の効果について,予想される範囲内のものであって,何ら格別のものとはいえないとした審決は誤りである。 また,甲6発明は,本件訂正発明1と同じ「足場板と建枠の兼用ケレン装置」であるが,甲6発明は「建枠に対するケレンは,一面側のケレ- 16 -ンを行った後反転させて他面側のケレンを行な」はなければならない(16頁5行~6行)。これに対し,本件訂正発明1は,「送り装置で送られる足場板又は建枠に対し,旋回する打撃輪でケレン処理を施すよう上下に配したドレッサー」を有するために,「ガイド41,42に沿って送り機構15に供給された建枠2は,先ず下半部外周面が下部のドレッサー16でケレン処理され,次に上部のドレッサー17で上半部外周面がケレン処理されて取出側に送り出されることになる。」(本件明細書〔甲24〕段落【0042】)との作用効果を奏することができる。このように,本件訂正発明1は,甲6発明のように建枠に対して反転させて がケレン処理されて取出側に送り出されることになる。」(本件明細書〔甲24〕段落【0042】)との作用効果を奏することができる。このように,本件訂正発明1は,甲6発明のように建枠に対して反転させて往復計2回のケレンをする必要なく,1回でケレン処理を終えることができるのであるから,この効果は前記各文献に記載された発明の奏する効果の総和を超えたものであり,「当然予想される範囲内のもの」ではない。 キ取消事由7(手続違背)被告(無効審判請求人)は,本件審判において,本件訂正発明1の構成中のケレン処理を施すようにドレッサーを上下に配置することやそのドレッサーの旋回する打撃輪等の具体的構成は周知ないし公知であることを主張,立証するものとして丙7文献を挙げ,丙7文献に記載された発明が「足場枠と足場板の兼用ケレン装置」に係るものであることについては一切主張していない。 ところが審決は,丙7文献に記載された発明が「足場枠と足場板の兼用ケレン装置」に係るものである旨認定して,本件訂正発明1の無効理由を基礎付けるものとしている。職権主義が支配する本件の審判手続において,丙7文献を被告の上記主張と異なる事項を証するものとして流用することが許されるとしても,これは被告の申し立てない無効理由を審理するものである。 - 17 -したがって,原告(被請求人)の防御権を確保するために,原告に対してその審理結果を通知して意見を申し立てる機会を与えなければならないが(特許法第153条2項),本件審判手続においてこの審理結果の通知はない。 したがって,本件審決には手続違背がある。 ク取消事由8(本件訂正発明2と甲2発明との相違点1~3についての相違点判断の誤り)前記取消事由3~5と同じ。 ケ取消事由9(本件訂正発明2と甲2発明との相違点4についての相違点判断の ある。 ク取消事由8(本件訂正発明2と甲2発明との相違点1~3についての相違点判断の誤り)前記取消事由3~5と同じ。 ケ取消事由9(本件訂正発明2と甲2発明との相違点4についての相違点判断の誤り)(ア)審決は,相違点4につき,「『足場板本体の両端部で両側の位置にフックを固定し,このフックの側面にピンでロックプレートを上下に可動となるよう取付けてこのピンの頭部が前記ロックプレートの側面に突出した』足場板は,・・・当該技術分野において周知かつ汎用されているものである。 そして,上記<相違点1)について>で検討したように,甲2号証発明のケレン装置によって,『建枠』だけでなく『足場板』のケレンも行うことは当業者であれば容易に想到し得るものであって,その際に,上記周知の『足場板本体の両端部で両側の位置にフックを固定し,このフックの側面にピンでロックプレートを上下に可動となるよう取付けてこのピンの頭部が前記ロックプレートの側面に突出した』足場板をそのケレン対象とすることも,当業者であれば適宜採用し得る設計的事項に過ぎない。」と(19頁6行~16行)判断した。 (イ)しかし,甲2発明は建枠専用のケレン装置であって,この装置によって「足場板」のケレンも行うことは当業者といえども容易に想到し得るものではないことは前記のとおりである。 - 18 -したがって,足場板に前記フックを備えてそのピンの頭部がロックプレートの側面に突出した足場板があるとしても,この足場板を甲2発明に係る建枠専用のケレン装置のケレン対象とすることは,当業者であっても設計的事項として採択し得るものではない。 コ取消事由10(本件訂正発明2と甲2発明との相違点5についての判断の誤り)(ア)審決は,「上部に位置するドレッサーを,ケレン・洗浄対象物の厚みに対応するように として採択し得るものではない。 コ取消事由10(本件訂正発明2と甲2発明との相違点5についての判断の誤り)(ア)審決は,「上部に位置するドレッサーを,ケレン・洗浄対象物の厚みに対応するように,・・・上下に位置調整自在とすることは,建築仮設材のケレン・洗浄の技術分野において従来より周知である。」(19頁18行~21行)としたが,誤りである。 なぜなら,審決が周知技術が記載されている者とした挙げた甲6文献の12頁12行~17行の記載(審決12頁の摘示事項k)や甲13文献の8頁2行~6行の記載は,ケレン・洗浄対象物の厚みに対応するように打撃装置等を上下に位置調整自在とするものではないからである。 すなわち,甲6文献には「ワークAに対するチップ57の接触量を第13図の如く自由に変化させることができる」(12頁12行~17行)ようにと記載され,また,甲13文献の明細書には「~即ち足場板Aに対する打撃輪37の当接量を自由に調整できると共に,ばね40の収縮により上方への逃げが許容されている。」(8頁2行~6行)と記載され,いずれもケレン・洗浄対象物の「厚み」に対応するためのものではない。 したがって,審決が,ドレッサーをケレン・洗浄対象物の厚みに対応するように上下に位置調整自在とすることが周知であることを前提として,「・・・該周知技術を適用して,足場板又は建枠の厚みに対応するように,打撃輪を有する上部のドレッサーを上下に位置調整自在とすることは,当業者が適宜為し得る程度の設計的事項である。」(19頁2- 19 -5行~28行)とした判断は誤りである。 (イ)審決は,「・・・各種の足場板の様々なピンの頭部位置にそれぞれ合わせて,その都度上下に位置調整することは,装置を使用するに際しての不具合の発生を回避するために,当業者が現場において当然に 。 (イ)審決は,「・・・各種の足場板の様々なピンの頭部位置にそれぞれ合わせて,その都度上下に位置調整することは,装置を使用するに際しての不具合の発生を回避するために,当業者が現場において当然に行い得る事項・・・」(19頁34行~20頁2行)であるとした。 しかし,審決が引用した各文献に記載された技術のうち「足場板をケレンすることができる装置」に係るもののいずれにも,各種の足場板の様々なピンの頭部位置にそれぞれ合わせて,その都度上下に位置調整する機構を備えたものはない。また,足場板に突出するピンの頭部に打撃輪の内径が係合するのを防止するという課題は,本件訂正発明2がドレッサーとして打撃輪が旋回するものを採用し,「上部に位置するドレッサーを,足場板又は建枠の厚みに対応し,上下に位置調整自在としたこと」によってはじめて生じたものである。 したがって,各種の足場板の様々なピンの頭部位置にそれぞれ合わせて,その都度上下に位置調整することは,当業者が現場において当然に行い得る事項であるした審決の上記判断は誤りである。 (ウ)審決は「・・・このような打撃輪を備えたケレン装置においては,足場板のピンに限らず,ケレン対象物の突起に打撃輪が係合するのを防止しなければならないことは,当業者であれば当然に想定し得る課題であると認められるし,打撃輪を備えた足場板のケレン装置についても,丙第7号証,乙第2号証に示されるように周知であるから,足場板のピン等の突出物に打撃輪の内径が係合するのを防止するという課題についても,従来より当業者に知られたものであったと解される。」(20頁13行~19行)であるとした。 しかし,前記のとおり,丙7発明は「足場板のケレン装置」ではなく,「建枠(足場枠)専用のケレン装置」である。 - 20 -また,上記各文献に記載された技 。」(20頁13行~19行)であるとした。 しかし,前記のとおり,丙7発明は「足場板のケレン装置」ではなく,「建枠(足場枠)専用のケレン装置」である。 - 20 -また,上記各文献に記載された技術のうち「足場板をケレンすることができる装置」に係るもののいずれにも,各種の足場板の様々なピンの頭部位置にそれぞれ合わせて,その都度上下に位置調整する機構を備えたものはないこと,足場板に突出するピンの頭部に打撃輪の内径が係合するのを防止するという課題は,本件訂正発明2がドレッサーとして打撃輪が旋回するものを採用し,「上部に位置するドレッサーを,足場板又は建枠の厚みに対応し,上下に位置調整自在としたこと」によってはじめて生じたものであることは前記のとおりである。しかも,足場板のピン等の突出物に打撃輪の内径が係合するのを防止するという課題が,従来より当業者に知られたものであった証拠はない。 したがって,打撃輪を備えた足場板のケレン装置が周知ではなく,また,足場板のピン等の突出物に打撃輪の内径が係合するのを防止するという課題についても当業者に知られたものでなかったのであるから,審決が「打撃輪の内径が足場板の突出物に係合しないようにするために,該周知の,上下位置調整機構を利用することに,格別の困難性は見いだせない。」(20頁21行~23行)と判断したことは誤りである。 サ取消事由11(本件訂正発明2の効果認定判断の誤り)審決は,本件訂正発明2による効果について,「甲2号証発明に丙7号証発明及び周知技術を適用したことにより奏される効果についても,予想される範囲内のものであって格別のものとは認められない。」(20頁25行~27行)と判断した。 しかし,前記のとおり,甲2発明や丙7発明は,いずれも建枠専用のケレン装置に係るものであり,これらをどのように 範囲内のものであって格別のものとは認められない。」(20頁25行~27行)と判断した。 しかし,前記のとおり,甲2発明や丙7発明は,いずれも建枠専用のケレン装置に係るものであり,これらをどのように組み合わせても本件訂正発明2の「足場板と建枠の兼用ケレン装置」の構成には想到し得ず,その訂正明細書に記載の「一台の装置で足場板と建枠の何れでもケレン処理が行なえ,装置を効率よく使用できると共に,ケレン処理の自動化に要する- 21 -設備経費や設備スペースの削減が可能になり,足場板と建枠のケレン処理のコストダウンを図ることができる。」という効果を奏することはできない。 したがって,本件訂正発明2の効果に関する審決の上記判断は誤りである。 請求原因に対する認否請求原因(1)ないし(3)の各事実は認めるが,(4)は争う。 被告の反論審決の認定判断に誤りはなく,原告主張の取消事由は理由がない。 (1)取消事由1に対しア丙7文献の記載事項につき(ア)審決の摘記事項dについて,原告は「摘記事項dの記載をもって,丙7発明が足場枠(建枠)や足場板の兼用ケレン装置に係るものであるということはできない。」旨主張しているが誤りである。なぜなら,丙7文献の[産業上の利用分野]欄に直接的に「兼用」の文言の記載はないものの,丙7文献には,少なくとも,「足場枠」と「足場板」についてはケレン処理を行うことのできる足場研掃機に関するものであることが記載されているので,兼用ケレン装置であることは明白であるからである。 (イ)審決の摘記事項e及びfについて,「足場枠等」の「等」とは,当業者の立場からすれば,「足場枠」以外のものとなると「足場板」であると直感できるものであるのに加え,丙7文献の[産業上の利用分野]や[従来の技術]には「足場板」についての記載が 等」の「等」とは,当業者の立場からすれば,「足場枠」以外のものとなると「足場板」であると直感できるものであるのに加え,丙7文献の[産業上の利用分野]や[従来の技術]には「足場板」についての記載があるので,丙7発明が足場枠(建枠)と足場板の兼用ケレン装置であることは明白である。 なお,原告は,「足場板は上面(表面)のみコンクリート等の付着物が付着するものであるために,この付着物が付着する上面のみに研掃用- 22 -リングを衝突させて付着物を掻き取れば(ケレンすれば)足り,下面(裏面)までケレンすることは必要ないばかりか,かえって足場板の下面に損傷を与える。」旨主張しているが,丙7発明では研掃用リングが上下にあるので,足場板の上面のみならず下面にコンクリート等の付着物が付着した場合であってもケレン処理が行えるだけのことであり,丙7発明が足場枠(建枠)と足場板の兼用ケレン装置ではないことの裏付けにはならない。足場板に対する損傷については,足場板の下面において付着物が全くないか少ない場合には損傷の恐れはあるが,これは,足場板の上面においても同じであり付着物が全くないか少ない部位においては損傷の恐れはある。 (ウ)原告は,摘記事項g,hやその余の記載について,丙7発明が「足場枠(建枠)」専用のケレン装置であることを窺わせる記載がある旨の主張をしている。しかし,丙7文献の[実施例]に記載された「実施例図面では研掃部3を二台配置した場合を示したが,・・・研掃具17,17'の被研掃物への当たり面が違うこととなってパイプ形状のものでも隅々まで付着物を除去することができる。」(5欄6行~11行)のうち,「パイプ形状のものでも」の示すところは,当業者であれば,パイプ形状ではない板形状,すなわち足場板に付着した付着物についてはいうまでもなく除去する 去することができる。」(5欄6行~11行)のうち,「パイプ形状のものでも」の示すところは,当業者であれば,パイプ形状ではない板形状,すなわち足場板に付着した付着物についてはいうまでもなく除去することができる旨を示していると認識できる。また,丙7文献の[発明の効果]に記載された「そして,研掃用リング23を多数装着した軸体22を被研掃物Aの移送方向に対して略ハ字形状に配置することにより,足場枠の縦材,横材に対しても研掃用リング23が斜め方向に接触して効果的に掻き取りを行なうことができる。」(6欄12行~16行)のうち,「足場枠の縦材,横材に対しても」の示すところについても,当業者であれば,足場枠の縦材,横材ではない板材,すなわち足場板に付着した付着物についてはいうまでもなく掻き- 23 -取りを行なうことができることを示していると認識することができる。 しかも,上記のとおり,「パイプ形状のものでも」や「足場枠の縦材,横材に対しても」から「足場板」が導かれる点については,丙7文献の[産業上の利用分野]や[従来の技術]に「足場板」についての記載があることから当然のことである。 (エ)以上,丙7文献には,当業者に,丙7発明が「足場枠(建枠)と足場板の兼用のケレン装置」であることを想到させ得る記載が随所にあるので,原告の「丙7発明は,1台の装置をもって建枠と足場板の双方をケレンすることができる装置(=兼用ケレン装置)に必要な技術的事項を何ら開示しあるいは示唆するものではないばかりか,そのような発明に対する動機付けにさえなり得ない」との主張は誤りであり,摘記事項d~hをもって,丙7発明は「足場枠(建枠)と足場板の兼用のケレン装置」であると認定した審決は妥当である。 イ甲21文献の記載との関係につき甲21文献の段落【0002】には「例えば特 り,摘記事項d~hをもって,丙7発明は「足場枠(建枠)と足場板の兼用のケレン装置」であると認定した審決は妥当である。 イ甲21文献の記載との関係につき甲21文献の段落【0002】には「例えば特願平2-124414号(判決注:丙7文献に係る発明の出願番号)に示されるような足場枠と兼用の研掃機に足場板を送り込み,足場板表面の付着物を取り除いて次回の使用に備えるようにしている。」と記載されているにもかかわらず,これを同一出願人の単なる主観の表明であるにすぎないとする原告の主張は明らかに無理があり誤りである。少なくとも当業者であれば,丙7発明は「足場板と建枠の兼用ケレン装置」に関するものであることを認識できるものであり,仮に丙7発明が「足場枠(建枠)専用のケレン装置」としてしか認識できないものであったとしても,甲21文献の段落【0002】の記載は,当業者にとって丙7発明から「足場枠(建枠)と足場板の兼用のケレン装置」を想到する上での動機付けになり得るものである。 したがって,甲21文献の段落【0002】の記載を捉えて,甲第20- 24 -号証発明は,「足場板と建枠の兼用ケレン装置」であることは当業者にとって明らかであると認定判断した本件審決は妥当である。 ウ審判における被告(無効審判請求人)の主張につき被告は,平成21年7月9日付け「弁駁書」で「特許第2627459号公報(丙第7号証)は,その産業上の利用分野にも記載されているように,足場枠(建枠)や足場板に付着した付着物を除去する足場研掃機に関するものであり」と記載しており,丙7発明が「足場枠」についても「足場板」についてもケレン処理を行うことのできる足場研掃機であることを主張している。 したがって,被告は丙7発明が「足場板と建枠の兼用ケレン装置」である旨の主張はしていないとする原 枠」についても「足場板」についてもケレン処理を行うことのできる足場研掃機であることを主張している。 したがって,被告は丙7発明が「足場板と建枠の兼用ケレン装置」である旨の主張はしていないとする原告の主張は誤りである。 (2)取消事由2に対しア丙7文献(甲20)が本件特許の出願日たる平成8年2月2日より後に頒布された刊行物として特許法29条2項の容易想到性判断の基礎となしえないものであるとしても,丙7文献とほぼ同内容の公開特許公報(特開平4-20657号公報,乙4文献)の公開日は本件特許の出願日より前であるから,乙4文献から周知技術を認定することができる。そして,乙4文献の内容は丙7文献とほぼ同様であり,乙4文献に記載された発明は兼用ケレン装置であるから,建枠と足場板のケレンを単一の装置に兼用させて行うことが,仮設枠組足場の構成部材に対するケレン装置の分野において周知であったと認めることができることに変わりはない。そうすると,審決が丙7文献から周知技術を認定したことが違法だとしても,それは審決の結論に影響を及ぼすものではない。 仮に乙4発明が「足場板と建枠の兼用ケレン装置」と認めることができないもであるとしても,甲21文献の段落【0002】の記載は,当業者にとって乙4発明から「足場板と建て枠の兼用ケレン装置」を想到する上- 25 -での動機付けになり得るものである。 そして,甲6文献にも「足場板と建て枠の兼用ケレン装置」が記載されていることから,建て枠と足場いたのケレンを単一の装置に兼用させて行うことは周知技術である。 イまた,乙4文献,甲12文献,甲13文献,甲21文献によれば,回転駆動軸を中心とする同心円上に複数の旋回軸を配置し,各旋回軸にその内径が旋回軸より大径の多数の打撃輪を径方向に移動自在となるよう旋回軸の軸方向に 献,甲12文献,甲13文献,甲21文献によれば,回転駆動軸を中心とする同心円上に複数の旋回軸を配置し,各旋回軸にその内径が旋回軸より大径の多数の打撃輪を径方向に移動自在となるよう旋回軸の軸方向に密に並べて取り付けたドレッサーは周知技術であるから,甲2発明に上記ドレッサー又は打撃輪を採用して相違点2にかかる構成を具備させることは当業者にとって容易想到である。 ウ乙第4号証が時機に後れた攻撃防御方法であるとの主張は争う。 (3)取消事由3に対しア丙7発明は,前記(1)のとおり,「足場枠と足場板の兼用ケレン装置」に係るものであるので,丙7発明は「足場枠(建枠)専用のケレン装置」であり「足場板と建枠の兼用ケレン装置」が開示されたものは甲6文献以外にはないから,この兼用ケレン装置を周知とすることはできないとする原告の主張は誤りである。 よって,建枠と足場板のケレンを単一の装置に兼用させて行うことは当該技術分野において従来より周知の技術であると認定した審決は妥当である。 イ足場板と建枠の兼用ケレン装置は当該技術分野において従来より周知の技術であり,審決における甲6文献は例示である。 つまり,打撃輪等のケレン用回転体が上側のみにあるケレン装置は足場板だけにしかケレン処理することができないものではなく,建枠が送りローラーによって送られてくればその建枠に対してもケレン処理を行うことができ,一方,ケレン用回転体が上下にあるケレン装置は建枠だけにしか- 26 -ケレン処理を行うことができないものではなく,足場板が送りローラーによって送られてくればその足場板に対してもケレン処理を行うことができることは,当業者にとって特に例示する必要がない程よく知られている技術である。すなわち,送りローラーは,建枠,足場板にかかわらず載せられたものをケレン用回転体 板に対してもケレン処理を行うことができることは,当業者にとって特に例示する必要がない程よく知られている技術である。すなわち,送りローラーは,建枠,足場板にかかわらず載せられたものをケレン用回転体側に送り,ケレン用回転体は,建枠であろうと足場板であろうと相対向する側にケレン処理を施すものであるので,ケレン用回転体が上側のみにあるケレン装置について,例えば一方の面側だけに付着物が付着した建枠を,付着面を上にして送りローラーからケレン用回転体側に送れば付着物は自動的に除去され,両方の面に付着物が付着した建枠であれば,一方の面側のケレン処理後に建枠を反転して送りローラーからケレン用回転体側に送れば他方の面側の付着物も自動的に除去されることは周知であり,また,ケレン用回転体が上下にあるケレン装置について,例えば上面のみならず下面にも付着物が付着した足場板を送りローラーからケレン用回転体側に送れば上下面の付着物は自動的に除去され,上面のみに付着物が付着した足場板を送りローラーからケレン用回転体側に送れば上面の付着物は自動的に除去されることも周知である。 ウなお,審決は,甲6発明を足場板と建枠の兼用ケレン装置が当該技術分野において従来より周知の技術であることの例示としてあげているが,甲6発明の課題(甲6の2頁20行~3頁9行)は,本件訂正発明1の課題(足場板と建枠の何れに対してもケレン処理が自動的に行え,設備の効率的な使用が可能になると共に,設備コスト及び設置スペース確保の削減を実現できる足場板と建枠の兼用ケレン装置を提供すること。甲24の段落【0006】)と共通するので,甲6文献を公知文献として引用しても何ら問題はない。よって,「各引用例に示される訂正発明1の出願時の技術水準に照らして『足場板と建枠の兼用ケレン装置』を提供しようとする訂正 06】)と共通するので,甲6文献を公知文献として引用しても何ら問題はない。よって,「各引用例に示される訂正発明1の出願時の技術水準に照らして『足場板と建枠の兼用ケレン装置』を提供しようとする訂正発明1の課題は自明ではなく,容易に着想し得るものではない」との原- 27 -告主張は誤りである。 (4)取消事由4に対し丙7発明は,前記のとおり,「足場枠と足場板の兼用ケレン装置」に係るものであるので,甲2発明の鎖(チェーン13)に換えて丙7発明における打撃輪を採用する等の置換をしても置換後のケレン装置は建枠専用のケレン装置に止まり,本件訂正発明1に想到しないとする原告の主張は誤りである。 (5)取消事由5に対しア丙7発明は,前記のとおり「足場枠と足場板の兼用ケレン装置」に係るものであるのに加えて,甲6文献からも「足場枠と足場板の兼用ケレン装置」は周知技術であることは明らかであるので,甲2発明から「足場板と建枠の兼用ケレン装置」に想到することはできないから,足場板ケレンの際には足場板の上面と上部ドレッサーを対向させて上部ドレッサーによりケレンを行い,かつ下部ドレッサーについてはこれを停止または減速させることにより重力の作用を利用して下部ドレッサーの各打撃輪を足場板の下面から遠ざける技術に想到することもできないとする原告の主張は誤りである。 イなお,原告は,ドレッサ配置の上下関係と足場板の上面との関係について主張しているが,原告主張に係る事実が相違点3に関する容易想到性を否定することは争う。 (6)取消事由6に対し丙7発明は,前記のとおり「足場枠と足場板の兼用ケレン装置」に係るものであるのに加えて,甲6文献からも「足場枠と足場板の兼用ケレン装置」は周知技術であることは明らかであるので,これらをどのように組み合わせても,本件訂正 り「足場枠と足場板の兼用ケレン装置」に係るものであるのに加えて,甲6文献からも「足場枠と足場板の兼用ケレン装置」は周知技術であることは明らかであるので,これらをどのように組み合わせても,本件訂正発明1の「足場板と建枠の兼用ケレン装置」の構成には想到し得ず,本件訂正発明1の「一台の装置で足場板と建枠の何れでもケレン処- 28 -理が行なえ,装置を効率よく使用できると共に,ケレン処理の自動化に要する設備経費や設備スペースの削減が可能になり,足場板と建枠のケレン処理のコストダウンを図ることができる」という効果を奏することはできないとする原告の主張は誤りである。 (7)取消事由7に対し前記(1)ウのとおり,被告は,審判手続において,丙7発明は「足場枠と足場板の兼用ケレン装置」に係るものであることについて主張しているので,原告の主張は誤りである。また,審決は,被告の申し立てない無効理由を審理したものではない。 (8)取消事由8に対し前記(3)~(5)と同じである。 (9)取消事由9に対し前記のとおり,丙7発明は「足場枠と足場板の兼用ケレン装置」に係るものであり,「足場板と建枠の兼用ケレン装置」が周知技術であることは明らかであるので,フックを備えてそのピンの頭部がロックプレートの側面に突出した足場板があるとしても,この足場板を甲2発明に係る建枠専用のケレン装置のケレン対象とすることは,当業者であっても設計的事項として採択し得るものではないとする原告の主張は誤りである。 (10)取消事由10に対しア甲6文献には,第2,第3ドレッサー機構3,4を取付けた調整台51は,フレーム7に高さ調整機構71を介して支持され,ワークAに対するチップ57の接触量を第13図の如く自由に変化させることができると記載されていることから(審決12頁の摘示事 4を取付けた調整台51は,フレーム7に高さ調整機構71を介して支持され,ワークAに対するチップ57の接触量を第13図の如く自由に変化させることができると記載されていることから(審決12頁の摘示事項k),ワークAの厚みに対応させるものではないと直接記載されていなくても,当業者であれば,足場板や建枠といったワークAに付着した付着物を効率的に除去するためにワークAに対応してチップ57の高さを調整することは当然のことであ- 29 -り,厚みの異なる種類のワークAの付着物を効率的に除去するためにワークAの厚みに対応してチップ57の高さを調整することは当業者が通常行う周知の技術である。 また,実願平2-79076号(実開平4‐37756号公報)のマイクロフィルム(考案の名称「建築用仮設材の洗浄装置」,出願人株式会社バイオツクス,公開日平成4年3月30日。以下,この文献を「甲10文献」という。甲10)の6頁18行~7頁2行には,厚さの異なるパネル11の洗浄作業の際に回転体2の降下幅を調整するものと明確に記載されている。 さらに,甲13文献の8頁2行~5行には,各アーム33は,調整杆39により,下向き角度,即ち足場板Aに対する打撃輪37の当接量を自由に調整できると記載されていることから,当業者が,足場板Aに付着した付着物を効率的に除去するために足場板Aの厚みに対応して各アーム33の高さを調整することは通常行うものである。 よって,甲6文献及び甲13文献はいずれもケレン・洗浄対象物の「厚み」に対応するものではないとする原告の主張は誤りであり,上部に位置するドレッサーをケレン・洗浄対象物の厚みに対応するように,あるいはケレン・洗浄対象物への接触量を調節できるように上下に位置調整自在とすることは,建築仮設材のケレン・洗浄の技術分野において従来より周知 るドレッサーをケレン・洗浄対象物の厚みに対応するように,あるいはケレン・洗浄対象物への接触量を調節できるように上下に位置調整自在とすることは,建築仮設材のケレン・洗浄の技術分野において従来より周知であると認定し,周知技術を適用して,足場板又は建枠の厚みに対応するように打撃輪を有する上部のドレッサーを上下に位置調整自在とすることは,当業者が適宜為し得る程度の設計的事項であると判断した審決に誤りはない。 イ本件訂正発明2の上部に位置するドレッサーを上下に位置調整する機構の構成そのものは,甲6文献,甲10文献及び甲13文献に記載されたものと同様であるので,上記各甲2文献のうち「足場板をケレンすることが- 30 -できる装置」に係るもののいずれにも,各種の足場板の様々なピンの頭部位置にそれぞれ合わせてその都度上下に位置調整する機構を備えたものはないとする原告の主張は誤りである。すなわち,打撃輪の内径がピンの頭部に係合することを防止するため,打撃輪の最大配置径時に打撃輪の内径と外径差による幅の部分がピンの頭部に対応するように上部に位置するドレッサーを上下に位置調整することは,当業者がドレッサーを上下に位置調整させる周知技術の機構を使用した位置調整方法の一態様にすぎない。 よって,各種の足場板の様々なピンの頭部位置にそれぞれ合わせてその都度上下に位置調整することは,装置を使用するに際しての不具合の発生を回避するために,当業者が現場において当然に行い得る事項であって,当業者であれば格別に困難なく想到し得るものであると判断した審決に誤りはない。 ウ前記のとおり,丙7発明は「足場枠と足場板の兼用ケレン装置」に係るものであり,「足場板と建枠の兼用ケレン装置」は周知技術であることは明らかであるので,このような打撃輪を備えたケレン装置においては,足 記のとおり,丙7発明は「足場枠と足場板の兼用ケレン装置」に係るものであり,「足場板と建枠の兼用ケレン装置」は周知技術であることは明らかであるので,このような打撃輪を備えたケレン装置においては,足場板のピンに限らず,ケレン対象物の突起に打撃輪が係合するのを防止しなければならないことは,当業者であれば当然に想定し得る課題であると認められるし,打撃輪を備えた足場板のケレン装置も丙7文献,甲13文献に示されるように周知であるから,足場板のピン等の突出物に打撃輪の内径が係合するのを防止するという課題についても従来より当業者に知られたものであったと解されるとし,ケレン装置の上部ドレッサーを上下に位置調整自在とする技術が従来より周知であったことは上記のとおりであるから,打撃輪の内径が足場板の突出物に係合しないようにするために,該周知の上下位置調整機構を利用することに格別の困難性は見いだせないと認定判断した審決に誤りはない。 (11) 取消事由11に対し- 31 -前記のとおり,丙7発明は「足場枠と足場板の兼用ケレン装置」に係るものであるのに加えて,甲6文献から「足場枠と足場板の兼用ケレン装置」は周知技術であることは明らかであるので,これらをどのように組み合わせても,訂正発明2の「足場板と建枠の兼用ケレン装置」の構成には想到し得ないとする原告の主張は誤りである。 第4当裁判所の判断 請求原因(1)(特許庁等における手続の経緯)・(2)(発明の内容)・(3)(審決の内容)の各事実は,いずれも当事者間に争いがない。 容易想到性の有無等について審決は,本件訂正発明1及び2はいずれも甲2発明,丙7発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたとし,一方,原告はこれを争うほか,審決の手続違背を主張するので,以下検討する。 (1)本 ,本件訂正発明1及び2はいずれも甲2発明,丙7発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたとし,一方,原告はこれを争うほか,審決の手続違背を主張するので,以下検討する。 (1)本件訂正発明の意義ア本件訂正後の特許請求の範囲【請求項1】【請求項2】の記載は,前記第3,1(2)のとおりである。 イまた,本件補正後の明細書(甲22,24)には,以下の記載がある。 ・【発明の属する技術分野】「この発明は,建築工事等で使用される仮設枠組足場の構成部材である足場板と建枠に対し,付着物の除去を行なう兼用のケレン装置に関する。(甲24,段落【0001】)・【従来の技術】「従来,足場板や建枠に生じた付着物を除去するケレン作業を自動的に行えるようにするためのケレン装置はすでに知られている。」(甲24,段落【0004】)・【発明が解決しようとする課題】「ところで,従来のケレン装置は,足場板用及び建枠用のそれぞれ別- 32 -個の専用構造になっていたため,足場板と建枠のケレン作業を自動化するには二種類の装置を購入して設置しなければならず,個々の装置の使用効率が極めて悪いだけでなく,広い設置スペースの確保が必要になり,設備投資に要する費用も高くつくという問題がある。」(甲24,段落【0005】)・「そこで,この発明の課題は,足場板と建枠の何れに対してもケレン処理が自動的に行え,設備の効率的な使用が可能になると共に,設備コスト及び設置スペース確保の削減を実現できる足場板と建枠の兼用ケレン装置を提供することにある。」(甲24,段落【0006】)・【課題を解決するための手段】「上記のような課題を解決するため,この発明は,足場板又は建枠をローラで支持して送る送り機構と,前記送り機構で送られる足場板又は建枠に対し,旋回する打撃輪でケレ 】)・【課題を解決するための手段】「上記のような課題を解決するため,この発明は,足場板又は建枠をローラで支持して送る送り機構と,前記送り機構で送られる足場板又は建枠に対し,旋回する打撃輪でケレン処理を施すよう上下に配置したドレッサーとからなり,前記ドレッサーは,回転駆動軸を中心とする同心円上に複数の旋回軸を配置し,各旋回軸にその内径が旋回軸より大径の多数の打撃輪を径方向に移動自在となるよう旋回軸の軸方向に密に並べて取り付けたものであり,そのドレッサーのうち下部に位置するドレッサーを上部に位置するドレッサーに対して回転の停止又は減速が別個に行えるようにして,前記建枠のケレン時には,前記送り機構で送られる建枠に対し,上下のドレッサーを正規の速度で回転させ,その回転時に発生する遠心力で打撃輪が旋回軸から最大配置径となって旋回させて,その打撃により建枠の上下外周面をケレン処理し,前記足場板のケレン時には,前記上部に位置するドレッサーに足場板の表面を対向させて前記ドレッサーを正規の速度で回転させ,その回転時に発生する遠心力で打撃輪が旋回軸から最大配置径となって旋回し,その打撃により前記送り機構で送られる足場板の表面をケレン処理し,かつ足場板の下面に損- 33 -傷を与えないように前記下部に位置するドレッサーを回転停止又は減速するようにした構成を採用したものである。」(甲24,段落【0007】)・【発明の実施の形態】「図11(A),(B)は,ケレン処理の対象となる足場板1と建枠2の構造と寸法関係を示している。」(甲24,段落【0011】)・「先ず,足場板1は,図10の如く,アルミや鋼材を用いて形成した足場板本体3の両端部で両側の位置にフック4を固定し,フック4の側面にピン5で円弧状のロックプレート6を上下に可動となるよう取付けた構 「先ず,足場板1は,図10の如く,アルミや鋼材を用いて形成した足場板本体3の両端部で両側の位置にフック4を固定し,フック4の側面にピン5で円弧状のロックプレート6を上下に可動となるよう取付けた構造を有し,ピン5の頭部5aがロックプレート6の側面に突出し,かつ,フック4はその上部が足場板本体3の上面よりも上方に突出した状態になっている。」(甲24,段落【0012】)・「次に,建枠2は,図11(B)の如く,両側縦パイプ7を上部横8パイプで結合し,更に縦パイプ7と横パイプ8を補強パイプで結合した構造を有し,幅寸法W4があらまし,600mm,760mm,900mm,1200mmの四種類が使用されている。」(甲24,段落【0014】)・「図1乃至図10は,上記足場1及び建枠2に対してケレン処理を自動的に行なうケレン装置を示し,図1と図2のように,ケレン装置は,ケレン機11と,このケレン機11の投入側に設置したフリーローラテーブル12と,取出側に設置したフリーローラテーブル13と,前記投入側のフリーローラテーブル12上に設けたガイド機構14とによって構成されている。」(甲24,段落【0015】)・「上記ケレン機11は,フリーローラテーブル12上から供給された足場板1又は建枠2を水平に支持して取出側に送る送り機構15と,この送機構15で送られる足場板1又は建枠2を挟む上下で前後方向に位置- 34 -をずらして配置したドレッサー16,17とからなり,送り機構15は,適当な間隔で平面的に並べて配置した多数の送りローラ18と,送りローラ18群の上部に配置した複数のピンチローラ19a乃至19dとで形成されている。」(甲24,段落【0016】)・「各送りローラ18は,フレーム20に固定したモータ24で同一方向へ等速で回転するよう駆動され,これに 配置した複数のピンチローラ19a乃至19dとで形成されている。」(甲24,段落【0016】)・「各送りローラ18は,フレーム20に固定したモータ24で同一方向へ等速で回転するよう駆動され,これによって足場板1又は建枠2は,投入側から取出側へ送られることになる。なお,モータ24は逆転可能とし,足場板1又は建枠23をドレッサー16,17に対して往復通過させるようにしてもよい。」(甲24,段落【0018】)・「上記ピンチローラ19a乃至19dは,送りローラ18上の足場板1又は建枠2を上部から押圧し,正確な位置での確実な送りが得られるようにすると共に,ケレン処理時に足場板1又は建枠2が打撃による反動ではね上がることのないように保持する役目を果している。」(甲24,段落【0021】)・「前記送り機構15の下部に配置された第1のドレッサー16は,送り機構15で送られる建枠2の下面側にケレン処理を施すものであり,また,送り機構15の上面側に配置された第2のドレッサー17は,建枠2及び足場板1の上面にケレン処理を施すためのものである。」(甲24,段落【0030】)・「両ドレッサー16,17は,各々別個のモータ43,44によって回転駆動されると共に,第1のドレッサー16は,第2のドレッサー17による足場板1のケレン処理時に足場板1の下面に損傷を与えないよう,回転を停止又は低速回転するよう第2のドレッサー17とは別個に制御できるようになっている。」(甲24,段落【0031】)・「両ドレッサー16と17は構造的に等しく,フレーム20間に架設した回転駆動軸45に複数の円板46を固定し,対向する円板46間の外- 35 -周寄りの位置に複数の旋回軸47を,回転駆動軸45を中心とする同心円上に等間隔で配置し,各旋回軸47に多数の打撃輪48を径方向に移 45に複数の円板46を固定し,対向する円板46間の外- 35 -周寄りの位置に複数の旋回軸47を,回転駆動軸45を中心とする同心円上に等間隔で配置し,各旋回軸47に多数の打撃輪48を径方向に移動自在となるよう密に並べて取付けた構造になっている。」(甲24,段落【0032】)・「前記打撃輪48は,その内径が旋回軸47よりも大径になり,ドレッサー16,17の回転時に発生する遠心力で打撃輪48は最大配置径となって旋回することになり,下部に位置する第1のドレッサー16は,通過する建枠2に対し,これに最接近した旋回軸47の打撃輪48の最大配置径が建枠2の縦パイプ7等の下部半径の位置になるよう設置され,建枠2の下側半分の表面にケレン処理を施すことになる。」(甲24,段落【0033】)・「また,上部に位置する第2のドレッサー17は,上下に位置調整が自在となり,下降限位置にあるとき,通過する建枠2に対し,これに最接近した旋回軸の最大配置径が縦パイプ7等の上部半径の位置になるよう設置され,建枠2の上半部分の表面にケレン処理を施すようになっている。」(甲24,段落【0034】)・「この第2のドレッサー17は,足場板1と建枠2の厚みの種類に対応して上下に位置調整を行なうため,図7と図8の如く,回転駆動軸45の両端がフレーム20のガイドに沿って上下可動となる軸受ブロック49,49で支持され,このブロック49の上下動とボルト等によるロックにより,高さの変更を可能にしている。」(甲24,段落【0035】)・「また,この第2のドレッサー17は,足場板1のケレン処理時,図10に示すように,最大配置径時に内径と外径差による幅の部分がフック4に設けたピン5の頭部5aに対応するように上下の位置が設定され,これにより,打撃輪48の内径がピン5の頭部5aに係合す 処理時,図10に示すように,最大配置径時に内径と外径差による幅の部分がフック4に設けたピン5の頭部5aに対応するように上下の位置が設定され,これにより,打撃輪48の内径がピン5の頭部5aに係合するのを防止- 36 -し,足場板1のケレン処理が支障なく行えるようになっている。」(甲24,段落【0036】)・「この発明のケレン装置は,上記のような構成であり,先ず,足場板1をケレン処理する場合は,上部のドレッサー17を正規の速度で回転させると共に,下部のドレッサー16は停止又は低速回転させておき,また,ガイド機構14は,図1及び図9のように,一方のガイド41が鍔付き短尺ローラ38の延長線上に位置し,両ガイド41,42の間隔が足場板1の幅になるように位置調整する。」(甲24,段落【0037】)・【発明の効果】「以上のように,この発明によると,一台の装置で足場板と建枠の何れでもケレン処理が行なえ,装置を効率よく使用できると共に,ケレン処理の自動化に要する設備経費や設備スペースの削減が可能になり,足場板と建枠のケレン処理のコストダウンを図ることができる。」(甲24,段落【0046】)・図面(甲22)【図1】ケレン装置の一部切欠平面図- 37 -【図2】ケレン装置の縦断正面図【図8】ケレン機の縦縦断側面図【図10】足場板のフックと打撃輪の関係を示す説明図- 38 -【図11】(A)は足場板の幅の種類を示す説明図,(B)は建枠の幅の種類を示す説明図ウ上記記載及び本件訂正後の本件特許の各請求項の記載によれば,本件各訂正発明は,建築工事等で使用される仮設枠組足場の構成部材である足場板と建枠に対し付着物の除去を行う兼用のケレン装置に関するものであり,足場板と建枠のいずれに対してもケレン処理が自動的に行える兼用ケレン装置を提供する 等で使用される仮設枠組足場の構成部材である足場板と建枠に対し付着物の除去を行う兼用のケレン装置に関するものであり,足場板と建枠のいずれに対してもケレン処理が自動的に行える兼用ケレン装置を提供することを課題とし,その解決手段として,足場板又は建枠をローラで支持して送る送り機構と足場板又は建枠に対しケレン処理を施すよう上下に配置したドレッサーからなり,下部に位置するドレッサーを回転の停止又は減速が個別に行えるようにするなどの本件訂正後の特許請求の範囲に記載の構成を採用したものであり,それにより,1台の装置で足場枠と建枠のいずれでもケレン処理が行うことができ,ケレン処理の- 39 -自動化に要する設備経費や設備スペースの削減を可能とすることによりコストダウンを図ることができるという効果を有するものであると認めることができる。 (2)甲2発明の意義ア甲2文献(甲2)には,以下の記載がある。 ・<産業上の利用分野>「本発明は,現場から撤去された枠組足場材を回収し,それに付着した異物を掻き取り,塗装を施して再使用できるようにする枠組足場材再生システムに関する。」(2欄7行~10行)・<発明が解決しようとする問題点>「・・・本発明は,・・・枠組足場材に付着したモルタル等の異物を除去し,その枠組足場材に良好に塗装を施して枠組足場材を再生するための作業を,能率良くかつ環境衛生上安全な状態で行うことができるようにすることを目的とする。」(3欄15行~35行)・<問題点を解決するための手段>「本発明の枠組足場材再生システムは,このような目的を達成するために,枠組足場材を倒れ姿勢で搬送する搬送装置と,その搬送装置で搬送される枠組足場材にケレン用回転体を作用して,付着した異物を掻き取り除去するケレン装置と,搬送装置から枠組足場材を送り受け,倒れ ために,枠組足場材を倒れ姿勢で搬送する搬送装置と,その搬送装置で搬送される枠組足場材にケレン用回転体を作用して,付着した異物を掻き取り除去するケレン装置と,搬送装置から枠組足場材を送り受け,倒れ姿勢から立ち姿勢に変更する起立装置と,枠組足場材を係脱可能に係止するハンガーを備えて枠組足場材を吊り下げ状態で搬送するトロリーコンベアと,起立装置によって立ち姿勢に変更された枠組足場材をハンガーに係止するリフターと,トロリーコンベアで搬送される枠組足場材を塗装する塗装装置と,トロリーコンベアで搬送される塗装後の枠組足場材を加熱乾燥処理する乾燥装置と,リフターと乾燥装置との間にトロリーコンベアと枠組足場材の通過を許容する状態で設けられてケレン装置- 40 -と塗装装置とを隔てる隔壁とを備えて構成する。」(3欄36行~4欄1行)・<実施例>「・・・第1図は,枠組足場材再生システムの概略構成を示す斜視図である。 この図において,1はケレン装置であり,搬送装置としてのローラーコンベア2により,枠組足場材3・・・を倒れ姿勢で搬送し,その枠組足場材3・・・に付着した異物を掻き取って除去するように構成されている。」(4欄15行~23行)・「ケレン装置1は,第2図のケレン装置および起立装置を示す平面図,ならびに,第3図のケレン装置および起立装置を示す側面図それぞれに示すように,上下一対のケレン用回転体11,11の複数組と,回転ブラシ12,12とで構成され,両ケレン用回転体11,11それぞれには,回転軸芯方向および周方向それぞれに所定間隔を隔ててチェーン13・・・が取り付けられ,一方,回転ブラシ12,12それぞれには,回転軸芯方向および周方向それぞれに所定間隔を隔ててワイヤーブラシが取り付けられ,ローラーコンベア2で搬送されてくる枠組足場材3・・ 3・・・が取り付けられ,一方,回転ブラシ12,12それぞれには,回転軸芯方向および周方向それぞれに所定間隔を隔ててワイヤーブラシが取り付けられ,ローラーコンベア2で搬送されてくる枠組足場材3・・・を両ケレン用回転体11,11間に送り込み,両ケレン用回転体11,11それぞれを電動モータ14によって駆動回転するに伴い,チェーン13・・・それぞれにより,倒れ姿勢で搬送される枠組足場材3を打撃し,枠組足場材3にこびりついたモルタルなどの異物を掻き取り,その掻き取り後に枠組足場材3から離れずに付着したままになっている粉塵などの異物を回転ブラシ12,12によって良好に除去するように構成されている。」(4欄35行~5欄2行)・「前記ケレン用回転体11・・・それぞれは,第4図のケレン装置の要部の一部切欠正面図,および,第5図の断面図それぞれに示すように,- 41 -電動モータ14に連動連結されて駆動回転される回転軸20に,外周に環状溝が形成された多数のディスク21・・・が外嵌して挿入されるとともにキー22によって一体回転自在に連結され,かつ,ディスク21・・・それぞれの周方向の4箇所において,チェーン13の一端側がピン23により連結されて構成されている。」(5欄12行~19行)・<発明の効果>「本発明の枠組足場材再生システムによれば,人手によって行うにしても,搬送装置への搬入とトロリーコンベアからの取り外し程度ですみ,枠組足場材を効率よく再生できるようになった。」(7欄41行~45行)・図面【第1図】システム全体の概略構成を示す斜視図- 42 -【第2図】ケレン装置および起立装置を示す平面図【第3図】ケレン装置の概略側面図【第4図】ケレン装置の要部の一部切欠正面図- 43 -【第5図】第4図のV-V線断面図イ上記記載によれば, -【第2図】ケレン装置および起立装置を示す平面図【第3図】ケレン装置の概略側面図【第4図】ケレン装置の要部の一部切欠正面図- 43 -【第5図】第4図のV-V線断面図イ上記記載によれば,甲2発明は,建築工事等で使用される枠組足場材に付着した異物を掻き取り,塗装を施して再使用できるようにする枠組足場材再生システムのうち異物を掻き取るケレン装置に関するものであり,異物を掻き取る作業を能率良くかつ環境衛生上安全な状態でできるようにすることを課題とし,これを解決する手段として,枠組足場材を倒れ姿勢で搬送する搬送装置と,その搬送装置で搬送される枠組足場材にケレン用回転体を作用して付着した異物を掻き取り除去するケレン装置からなる構成を採用したものであり,それにより枠組足場材を能率良く再生できるようにするとともに,作業を自動的に行うことから,ケレンに伴って発生する粉塵等を作業者が吸い込むことを回避できるなどの効果を有するものであると認めることができる。 (3)取消事由に対する判断事案に鑑み,原告主張の取消事由を以下の順序で判断する。 ア取消事由2(本件訂正発明1と甲2発明との相違点1の判断の誤り)及び取消事由3(本件特許の出願日より後に頒布された刊行物に基づいて周- 44 -知技術を認定した上,容易想到性の判断をした誤り)ついて(ア)乙4文献(乙4)には以下の記載がある。 ・【発明の詳細な説明】[産業上の利用分野]「本発明は,建築工事の仮説足場に使用される足場枠や足場板等に付着する付着物,例えばコンクリートや塗料を除去する足場研掃機に関するものである。」(1頁左下欄19行~右下欄4行)・[従来の技術]「建築物の建築工事においては,建築物の側近に足場枠を建築物の高さに応じて何段にも積み上げ,各足場枠間に足場板を掛け渡して仮設 関するものである。」(1頁左下欄19行~右下欄4行)・[従来の技術]「建築物の建築工事においては,建築物の側近に足場枠を建築物の高さに応じて何段にも積み上げ,各足場枠間に足場板を掛け渡して仮設足場を形成して建築工事を行なっている。これらの足場枠や足場板にはコンクリート打設時のコンクリートや,外壁塗装時の塗料が付着することがあり,工事完了に伴い足場を解体した後,次回の工事に備えてそれらの付着物を取り除く作用を行なっている。従来はこの足場板等に付着する付着物は手作業により除去しており,この除去作業は作業員にとって負担も大きく,また作業効率も悪いという問題点を有していた。そこで上記除去作業を機械化する要望が強く,例えば実開昭62-130785号に示されるように,回転する軸体の周囲に多数の鎖を取り付け,この鎖によって被研掃物に衝撃を与えて付着物を剥離除去するものがある。」(1頁右下欄5行~2頁左上欄2行)・[発明が解決しようとする課題]「しかしながら,上記鎖を使用した足場研掃機は主に衝撃による剥離を行なうため,足場枠等に強固に付着したコンクリートや塗料は除去されず,また隅々まできれいに除去することができない問題点を有していた。 本発明は,従来技術の有する上記のような問題点に鑑みてなされた- 45 -ものであり,その目的とするところは,足場枠等に強固に付着したコンクリートや塗料を隅々まできれいに除去することができる足場研掃機を提供しょうとするものである。」(2頁左上欄3行~13行)(イ)上記のとおり,乙4文献の[産業上の利用分野]には,「本発明は,建築工事の仮設足場に使用される足場枠や足場板等に付着する付着物,例えばコンクリートや塗料を除去する足場研掃機に関するものである。」(1頁左下欄20行~右下欄4行)との記載があることからす 発明は,建築工事の仮設足場に使用される足場枠や足場板等に付着する付着物,例えばコンクリートや塗料を除去する足場研掃機に関するものである。」(1頁左下欄20行~右下欄4行)との記載があることからすれば,乙4発明は,足場枠と足場板の両方についてケレン処理を行うことができる「兼用ケレン装置」であると認めることができる。 これに対し,原告は,上記「産業上の利用分野」の記載は,足場枠や足場板等は「付着物」が付着する被付着物を例示して「足場に使用される足場枠や足場板等に付着する付着物,例えばコンクリートや塗料」と記載したものであるにすぎないから,上記記載をもって,乙4発明が足場枠(建枠)や足場板の兼用ケレン装置に係るものであるということはできないとか,乙4文献の[発明が解決しようとする課題][作用][実施例]の「足場枠等」の「等」については何の具体的記載もないから,上記「産業上の利用分野」の記載や「足場枠等」の記載をもって丙7発明が足場枠(建枠)や足場板の兼用ケレン装置に係るものであるということはできないと主張する。しかし,「足場に使用される足場枠や足場板等に付着する付着物,例えばコンクリートや塗料」との記載を足場枠や足場板等は「付着物」が付着する被付着物を例示にすぎないというのは文章の読み方として不自然である。また,[発明が解決しようとする課題][作用][実施例]の「足場枠等」の記載は,「産業上の利用分野」や[従来の技術]を受けているものであることや,建築工事の仮設足場は主に足場枠と足場板から構成されることに照らすと,「等」には「足場板」も含まれると解するのが自然である。したがって,原告- 46 -の上記主張は採用することができない。 また,原告は,乙4文献には,乙4発明が「足場枠(建枠)と足場板の兼用のケレン装置」であれば当然記載され ると解するのが自然である。したがって,原告- 46 -の上記主張は採用することができない。 また,原告は,乙4文献には,乙4発明が「足場枠(建枠)と足場板の兼用のケレン装置」であれば当然記載されているであろう足場板をケレンする場合の作用効果についての記載や,両者兼用のケレン装置特有の課題やその解決手段等の記載は一切ないと主張する。しかし,乙4文献に「その目的とするところは,足場等に強固に付着したコンクリートや塗料を隅々まできれいに除去することができる足場研掃機を提供しょうとするものである。」(2頁左上欄10行~13行)とあるように,乙4発明は,兼用ケレン装置であることを前提に被付着物に付着したコンクリートや塗料を隅々まで除去することを課題としていると認められるから,兼用ケレン装置特有の課題やその解決手段,作用効果の記載がないからといって,乙4発明が兼用ケレン装置ではないということはできないというべきである。 さらに,原告は,乙4発明において,足場枠と足場板はそれぞれ被研掃物の一例として扱われているにすぎず,1台の装置をもって建枠と足場板の双方が研掃できることの優位性ないし有利性は意識されておらず,兼用ケレン装置に必要な技術的事項を何ら開示しあるいは示唆するものではないばかりか,そのような発明に対する動機づけにもなり得ないと主張する。しかし,上記のとおり,乙4発明は,兼用ケレン装置であることを前提に被付着物に付着したコンクリートや塗料を隅々まで除去することを課題としていると認められるのであるから,乙4文献に兼用ケレン装置であることの優位性等についての記載がないからといって,乙4発明が兼用ケレン装置ではないということはできないというべきである。 (ウ)原告は,1台の装置で「足場板」と「建枠」のケレンを兼用できる兼用のケレン装置を 等についての記載がないからといって,乙4発明が兼用ケレン装置ではないということはできないというべきである。 (ウ)原告は,1台の装置で「足場板」と「建枠」のケレンを兼用できる兼用のケレン装置を提供しようとする課題が自明であったり,この課題が- 47 -容易に着想し得るものであったりする格別の理由がないかぎり,甲2文献は本来的に引用例足り得ず,甲2発明のケレン装置を「建枠」だけでなく「足場板」のケレンも行う「足場板と建枠の兼用ケレン装置」として用いることは,当業者であれば容易に想到し得るとした審決の判断は誤りであると主張する。 しかし,乙4発明が兼用ケレン装置であることは上記のとおりである上,甲6発明も兼用ケレン装置である。したがって,建枠と足場板のケレンを単一の装置に兼用させて行うことは,仮設枠組足場の構成部材に対するケレン装置の分野では周知であったと認めることができる。また,仮設枠組足場が足場枠と足場板から成り,同一の現場で使用されているものである上,双方とも付着したコンクリートや塗料を除去する必要があることでは共通することからすれば,「足場板」と「建枠」のケレンを兼用できる兼用のケレン装置を提供しようとする課題は,当業者(その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者)であれば容易に着想しうるものであると考えられる。 (エ)なお,原告は乙第4号証は時機に後れた攻撃防御方法として却下すべきであると主張する。 しかし,当裁判所においては,第1回口頭弁論期日に審理を終結した上,訴訟が裁判をするのに熟したものとして判決をすることができたものであるから,乙第4号証の提出が訴訟の完結を遅延させることになるとは認められない。よって,原告の上記主張は採用することができない。 (オ)また,丙7文献(甲20)は,特許第262745 できたものであるから,乙第4号証の提出が訴訟の完結を遅延させることになるとは認められない。よって,原告の上記主張は採用することができない。 (オ)また,丙7文献(甲20)は,特許第2627459号についての特許公報であり,その登録日は平成9年4月18日で公報発行日は平成9年7月9日であるから,本件特許の出願日たる平成8年2月2日より後に頒布されたものであって特許法29条2項の容易想到性判断の基礎と- 48 -なしえないものである。しかし,上記特許公報とほぼ同内容の公開特許公報(特開平4-20657号公報,乙4文献,公開日は本件特許の出願日より前である平成4年1月24日。)に記載された乙4発明が兼用ケレン装置であることは上記のとおりであって,建枠と足場板のケレンを単一の装置に兼用させて行うことが,仮設枠組足場の構成部材に対するケレン装置の分野において周知であったと認めることができることに変わりはない。そうすると,審決が丙7文献から周知技術を認定したことが違法だとしても,それは審決の結論に影響を及ぼすものではない。 よって,甲2発明に「足場板」と「建枠」のケレンを兼用できるケレン装置を提供しようとする課題を適用して兼用ケレン装置として用いることは,当業者(その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者)であれば容易に想到しうると認めることができるから,これと同趣旨の審決は結論において誤りはなく,原告主張の取消事由2及び3は採用することができない。 イ取消事由4(本件訂正発明1と甲2発明との相違点2の判断の誤り)について(ア)原告は,甲2発明の鎖(チェーン13)に換えて丙7発明における打撃輪を採用する等の置換が容易であり,当業者であれば容易に試みることであるとしても,その置換後のケレン装置はやはり建枠専用のケレン装置 原告は,甲2発明の鎖(チェーン13)に換えて丙7発明における打撃輪を採用する等の置換が容易であり,当業者であれば容易に試みることであるとしても,その置換後のケレン装置はやはり建枠専用のケレン装置であるに止まり,兼用ケレン装置とすることができないから,足場板と建枠の兼用ケレン装置を提供するという本件訂正発明1の課題を解決しようとするためのものとしては,これらを置換しようとする契機ないし動機付けは生じないにもかかわらず,丙7発明が足場板と建枠の兼用ケレン装置であることを前提として,丙7発明を甲2発明に適用して相違点2に係る構成を具備させることに格別の困難性は見出せない旨判断した審決は誤りであると主張する。 - 49 -(イ)まず,丙7文献は本件特許の出願日たる平成8年2月2日より後に頒布されたものであって特許法29条2項の容易想到性判断の基礎となしえないものであることは前記のとおりである。 (ウ)a(a)しかし,甲12文献(甲12)には以下の記載がある。 ・「・・・この回転軸28に設けたドレッサー30は,回転軸28の途中に一対の円板31,31を,最大幅の足場板Aよりも広い間隔で固定し,両円板31,31の外周部に複数本の軸32を周方向に等間隔の配置で架設し,各軸32に多数の環状リング33と間座34を交互の配置で取り付けた構造になっている。」(段落【0019】)・「上記環状リング33は図5のように,その内径が軸32よりも大径となり,軸32の径方向に移動自在となる共に,間座34は環状リング33よりも小径で軸32に適嵌する内径を有している。」(段落【0020】)・「ドレッサー30は,回転時の遠心力により,環状リング33が最大の配置径となり,直下を通過する足場板Aの表面に環状リング33が衝突することによってケレン処理を施すことになる。 段落【0020】)・「ドレッサー30は,回転時の遠心力により,環状リング33が最大の配置径となり,直下を通過する足場板Aの表面に環状リング33が衝突することによってケレン処理を施すことになる。」(段落【0021】)・図面- 50 -【図2】ケレン装置の要部を拡大した縦断正面図【図5】表面ケレン機のドレッサーを示す拡大断面図(b)上記記載によれば,甲12文献には,回転軸28を中心としてこれと等間隔に複数の軸32を配置し,各軸32にその内径が軸32より大径の多数の環状リング33を径方向に移動自在となるよう軸32の軸方向に多数並べて取り付けたドレッサー30を回転させると,その回転時に発生する遠心力で打撃輪である環状リング33が旋回軸である各軸32から最大配置径となって旋回して,その打撃によりケレン処理する足場板のケレン装置が記載さ- 51 -れていることが認められる。 b(a)また,甲13文献(甲13)には,以下の記載がある。 ・「回転軸34には複数の円板35が固定され,円板35間に,複数本の軸36が回転軸34を中心として円状に等間隔で配置され,各回転軸36に多数の打撃輪37が取付けられている。 各打撃輪37は,中央孔が軸36よりも大径になり,外周が凹凸を備えた形状であり,回転軸34の回転時に各打撃輪37は遠心力で最大径の配置となり,直下を通過する足場板Aに対して衝突することにより打撃を与え,付着しているコンクリートを剥離するものである。なお,打撃輪37はリング状の円板であってもよい。」(7頁11行~8頁1行)・図面【第8図】打撃輪部分の拡大縦断面図(b)上記記載によれば,甲13文献には,回転軸34を中心として等間隔に複数の回転軸36を配置し,各回転軸36にその内径が旋回軸より大径の多数の打撃輪37を径方向に移動自在 撃輪部分の拡大縦断面図(b)上記記載によれば,甲13文献には,回転軸34を中心として等間隔に複数の回転軸36を配置し,各回転軸36にその内径が旋回軸より大径の多数の打撃輪37を径方向に移動自在となるよう回転軸36の軸方向に多数並べて取り付けたケレン用回転体を回転させるとその回転時に発生する遠心力で打撃輪が回転軸から最大配置径- 52 -となって旋回して,その打撃によりケレン処理する足場板のケレン装置が記載されていることが認められる。 c(a)一方,乙4文献(乙4)には以下の記載がある。 ・「研掃具17,17´は支持枠16の両側部と中央部付近に配設した軸受支持材18,18´に固定した軸受19により回転軸20の両端部を回転自在に軸支しており,その回転軸20の両端部にまた必要に応じて中央部に適宜半径の円板21を固着し,該円板21間に回転軸20と平行に複数本の軸体22を固定している。そして軸体22には薄板から形成したドーナツ状の研掃用リング23が多数個装着してある。この研掃用リング23は内径が軸体22の外形より大きくて軸体22に遊嵌状態で取り付けてあり,回転軸20を回転していないときには軸体22に吊り下がった状態となっている。また研掃用リング23は軸体22にできるだけ多く装着するが隣接する研掃用リング23により圧迫されずに自由に軸体22回りに回転できるようにしている。」(3頁左上欄3行~20行)・「しかして,足場研掃機にて被研掃物の付着物を除去するときには,・・・研掃具17,17´は高速度で回転しており,研掃具17,17´の研掃用リング23が通過する被研掃物Aに対し衝突し上下両方向から被研掃物に衝撃を与えて付着物を擦り落とすのである。」(3頁右上欄7行~19行)・図面- 53 -【第4図】研掃部の拡大図(b)上記記載に 23が通過する被研掃物Aに対し衝突し上下両方向から被研掃物に衝撃を与えて付着物を擦り落とすのである。」(3頁右上欄7行~19行)・図面- 53 -【第4図】研掃部の拡大図(b)上記記載によれば,乙4文献には,回転軸20を中心とする同心円上に複数の軸体22を配置し,各軸体にその内径が旋回軸より大径であるドーナツ状の多数の打撃輪を径方向に移動自在となるよう旋回実の軸方向に多数並べて取り付けたケレン用回転体を回転させると,その回転時に発生する遠心力で打撃輪が旋回軸から最大配置径となって旋回して,その打撃によりケレン処理する足場板のケレン装置が記載されていることが認められる。 d上記各甲12・甲13・乙4文献の各記載によれば,回転軸を中心とする同心円上に複数の旋回軸を配置し,各旋回軸にその内径が旋回軸より大径の多数の打撃輪を径方向に移動自在となるよう旋回軸の軸方向に多数並べて取り付けたケレン用回転体を回転させるとその回転時に発生する遠心力で打撃輪が旋回軸から最大配置径となって旋回して,その打撃によりケレン処理する足場板のケレン装置は,仮設枠組足場の構成部材に対するケレン装置の分野では周知の技術であったことが認められる。 (エ)そうすると,当業者が甲2発明の鎖(チェーン13)に換えて上記周- 54 -知技術であるケレン装置の打撃輪を採用して相違点2に係る構成を具備させることに格別の困難性は見出すことはできない。したがって,相違点2に係る構成を具備することは,当業者であれば容易に想到し得るとした審決の判断は,結論において誤りはない。 (オ)なお,原告は,甲2発明の鎖(チェーン13)に換えて打撃輪を採用するとの置換が容易であり,当業者であれば容易に試みることであるとしても,その置換後のケレン装置はやはり建枠専用のケレン装置である オ)なお,原告は,甲2発明の鎖(チェーン13)に換えて打撃輪を採用するとの置換が容易であり,当業者であれば容易に試みることであるとしても,その置換後のケレン装置はやはり建枠専用のケレン装置であるに止まり,兼用ケレン装置とすることができないと主張する。しかし,建枠と足場板のケレンを単一の装置に兼用させて行うことは,仮設枠組足場の構成部材に対するケレン装置の分野では周知であった上,「足場板」と「建枠」のケレンを兼用できる兼用のケレン装置を提供しようとする課題は,当業者であれば容易に着想しうるものであり,甲2発明に「足場板」と「建枠」のケレンを兼用できるケレン装置を提供しようとする課題を適用して兼用ケレン装置として用いることは,当業者であれば容易に想到しうると認めることができることは前記のとおりである。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 (カ)よって,原告主張の取消事由4は採用することができない。 ウ取消事由5(本件訂正発明1と甲2発明との相違点3の判断の誤り)について(ア)原告は,甲2発明は「枠組足場材(建枠)用のケレン装置」であるから,枠組足場材のケレン時には常に上下のケレン用回転体11,11を回転させることが必要であり,その一方のドレッサーの回転停止や減速を行うべき技術的,経済的等の見地からの合理的な意味合いはなく,これを不明とすることは技術常識に反するから,審決が本件訂正発明1と甲2発明の相違点として「甲2発明は足場板のケレンは行わないものであって,そのように『下部に位置するドレッサーを上部に位置するドレ- 55 -ッサーに対して回転の停止又は減速が別個に行える』ようにしたものであるか否か不明である」と認定判断したことは誤りであると主張する。 しかし,「下部に位置するドレッサーを上部に位置するドレッサー -ッサーに対して回転の停止又は減速が別個に行える』ようにしたものであるか否か不明である」と認定判断したことは誤りであると主張する。 しかし,「下部に位置するドレッサーを上部に位置するドレッサーに対して回転の停止又は減速が別個に行えるようにしたものであるか否か不明である」ことには「下部に位置するドレッサーを上部に位置するドレッサーに対して回転の停止又は減速が別個に行えない」ことも含まれるから,「枠組足場材(建枠)用のケレン装置」において一方のドレッサーの回転停止や減速を行う必要性はないとしても,審決の上記認定が誤りであるとまでいうことはできない。よって,原告の上記主張は採用することができない。 (イ)また原告は,「足場板のケレンを行う際に,足場板の表面をドレッサーに対向させ,このドレッサーにより足場板をケレンすること」は当該技術分野において周知かつ汎用の技術であるが,ここでいう「足場板をケレンするドレッサー」は,足場板の下部に配置されてもそれ自体問題ではなく,したがってこれが足場板の上部に配置されたものであることは周知かつ汎用の技術ではないから,「足場板のケレンを行う際に,足場板の表面を上部に配置したドレッサーに対向させ,上部ドレッサーにより足場板をケレンすることは,・・・当該技術分野において周知かつ汎用の技術である。」と認定したことは誤りであると主張する。 しかし,審決には「足場板の表面を上部に配置したドレッサーに対向させ」と記載されているように,足場板の表面の向きとドレッサーの位置を考慮した上で上記認定をしたものと認められる。すなわち,審決は,「足場板のケレンを行う際に,足場板の表面をドレッサーに対向させ,このドレッサーにより足場板をケレンすること」の一例を「足場板のケレンを行う際に,足場板の表面を上部に配置したドレッサーに ,審決は,「足場板のケレンを行う際に,足場板の表面をドレッサーに対向させ,このドレッサーにより足場板をケレンすること」の一例を「足場板のケレンを行う際に,足場板の表面を上部に配置したドレッサーに対向させ,上部ドレッサーにより足場板をケレンすること」と表現したにす- 56 -ぎないと考えられ,かかる審決の認定を誤りということはできない。よって,原告の上記主張は採用することができない。 (ウ)さらに原告は,一般論として,一対の電動モータの回転駆動を別個に行えるようにしてある装置の一部分の動作を停止させる技術は工業技術者に広く知られた容易に想到しうる技術であるとしても,足場板専用ケレン装置においてはドレッサーは一方にしかなく,また,建枠専用ケレン装置においては上下部ドレッサーを別々に作動させあるいは減速停止させる必要はないのであるから,結局「足場板と建枠の兼用ケレン装置」に想到せず,足場板ケレンの際には足場板の上面と上部ドレッサーを対向させて上部ドレッサーによりケレンを行い,かつ下部ドレッサーについてはこれを停止または減速させることにより重力の作用を利用して下部ドレッサーの各打撃輪を足場板の下面から遠ざける技術に想到することはありえないので,審決が「・・・別個の電動モータによってそれぞれ駆動回転される一対の上下ドレッサーを備えた甲2号証発明のケレン装置によって『足場板』についてもケレンを行うに際して,足場板の表面を上部ドレッサーに対向させると共に,不必要なケレン動作によって『足場板の下面に損傷を与えないように』,下部ドレッサーの回転停止又は減速を行うようにすることは,上記足場板のケレンについての周知技術,及び電動モータで駆動される装置についての汎用技術にならい,当業者であれば格別の困難なく為し得るものである。」(16頁30行~1 は減速を行うようにすることは,上記足場板のケレンについての周知技術,及び電動モータで駆動される装置についての汎用技術にならい,当業者であれば格別の困難なく為し得るものである。」(16頁30行~17頁1行)としたことは誤りである。と主張する。 しかし,甲2発明に「足場板」と「建枠」のケレンを兼用できるケレン装置を提供しようとする課題を適用して兼用ケレン装置として用いることが容易想到であることは前記のとおりである。そして,一対の電動モータの回転駆動を別個に行えるようにしてある装置の一部分の動作を停止させることは周知ないし汎用の技術である。したがって,甲2発明- 57 -のケレン装置において足場板のケレン装置を行うに際し,上記周知ないし汎用技術を適用して,足場板の下面に損傷を与えないように下部ドレッサーの回転停止又は減速を行うようにすることは,当業者であれば容易に想到しうるものと認めることができ,これと同旨の審決の判断に誤りはない。よって,原告の上記主張は採用することはできない。 (エ)以上により,原告主張の取消事由5は採用することができない。 エ取消事由6(本件訂正発明1の効果の認定判断の誤り)について原告は,甲2発明と丙7発明はいずれも建枠専用のケレン装置に係るものであり,これらをどのように組み合わせても本件訂正発明1の「足場板と建枠の兼用ケレン装置」の構成には想到し得えないから,「一台の装置で足場板と建枠の何れでもケレン処理が行なえ,装置を効率よく使用できると共に,ケレン処理の自動化に要する設備経費や設備スペースの削減が可能になり,足場板と建枠のケレン処理のコストダウンを図ることができる。」(本件明細書〔甲24〕段落【0046】)という効果を奏することはできないにもかかわらず,本件訂正発明1の効果について,予想される範囲内のも 板と建枠のケレン処理のコストダウンを図ることができる。」(本件明細書〔甲24〕段落【0046】)という効果を奏することはできないにもかかわらず,本件訂正発明1の効果について,予想される範囲内のものであって何ら格別のものとはいえないとした審決は誤りであると主張する。 しかし,甲2発明に「足場板」と「建枠」のケレンを兼用できるケレン装置を提供しようとする課題を適用して兼用ケレン装置として用いることが容易想到であることは前記のとおりであって,原告の上記主張は前提に誤りがあり,採用することができない(なお,審決が丙7文献から周知技術を認定したことが違法だとしても,それは審決の結論に影響を及ぼすものではないことは前記のとおりである。)。 また,原告は,本件訂正発明1は,甲6発明のように建枠に対して反転させて往復計2回のケレンをする必要なく,1回でケレン処理を終えることができるのであるから,この効果は各文献に記載された発明の奏する効- 58 -果の総和を超えたものであり,「当然予想される範囲内のもの」ではないと主張する。 しかし,甲2発明は一対の上下ドレッサーを備えており,建枠に対して反転させて往復計2回のケレンをする必要なく,1回でケレン処理を終えることができるのであるから,本件訂正発明1の効果は当然予想される範囲内のものと認めることができ,これと同旨の審決の判断に誤りはない。 よって,原告主張の取消事由6は採用することができない。 オ取消事由7(手続違背)について原告は,被告(無効審判請求人)は,本件審判において,丙7文献に記載された発明が「足場枠と足場板の兼用ケレン装置」に係るものであることについては一切主張していないにもかかわらず,審決が丙7文献に記載された発明を「足場枠と足場板の兼用ケレン装置」に係るものである旨認定して,本件訂正 枠と足場板の兼用ケレン装置」に係るものであることについては一切主張していないにもかかわらず,審決が丙7文献に記載された発明を「足場枠と足場板の兼用ケレン装置」に係るものである旨認定して,本件訂正発明1の無効理由を基礎付けるものとしたことは,被告が申し立てていない無効理由を審理するものであり,手続違背があると主張する。 しかし,平成21年7月9付け弁駁書(甲25)には「特許第2627459号公報(丙第7号証)は,その産業上の利用分野にも記載されているように,足場枠(建枠)や足場板に付着した付着物を除去する足場研掃機に関するものであり」(8頁13行~15行)と記載されているから,被告は,本件審判手続において,丙7発明が「足場枠」についても「足場板」についてもケレン処理を行うことのできる足場研掃機であることを主張しているということができる。また,被告(無効審判請求人)は,本件審判において,本件訂正発明1の構成中のケレン処理を施すようにドレッサーを上下に配置することやそのドレッサーの旋回する打撃輪等の具体的構成は周知であることを主張,立証するものとして丙7文献を挙げたのであり,丙7文献に記載された発明が「足場枠と足場板の兼用ケレン装置」- 59 -に係るものであることについては主張していないとしても,審決が建枠と足場板のケレンを単一の装置に兼用させて行うことが周知の技術であることの根拠として丙7文献を挙げたことは(14頁21行~23行),審決が無効審判請求人(被告)の申し立てていない無効理由について審理判断したことには当たらない。よって,原告主張の取消事由7は採用することができない。 なお,審決が丙7文献から周知技術を認定したことが違法だとしても,それが審決の結論に影響を及ぼすものではないことは前記のとおりである。 カ取消事由8(本 張の取消事由7は採用することができない。 なお,審決が丙7文献から周知技術を認定したことが違法だとしても,それが審決の結論に影響を及ぼすものではないことは前記のとおりである。 カ取消事由8(本件訂正発明2と甲2発明との相違点1~3についての相違点判断の誤り)について前記取消事由3~5に対する判断と同様であり,原告主張の取消事由8は採用することができない。 キ取消事由9(本件訂正発明2と甲2発明との相違点4についての相違点判断の誤り)について原告は,甲2発明は建枠専用のケレン装置であって,この装置によって「足場板」のケレンも行うことは当業者といえども容易に想到し得るものではないから,足場板にフックを備えてそのピンの頭部がロックプレートの側面に突出した足場板があるとしても,この足場板を甲2発明に係る建枠専用のケレン装置のケレン対象とすることは,当業者であっても設計的事項として採択し得るものではないと主張する。 しかし,しかし,甲2発明に「足場板」と「建枠」のケレンを兼用できるケレン装置を提供しようとする課題を適用して兼用ケレン装置として用いることが容易想到であることは前記のとおりであって,原告の上記主張はその前提に誤りがある。そして,足場板にフックを備え,そのピンの頭部がロックプレートの側面に突出した足場板を甲2発明に係る建枠専用の- 60 -ケレン装置のケレン対象とすることは,当業者が設計的事項として採択し得るものであると認められる。よって,これと同旨の審決の判断に誤りはなく,原告主張の取消事由9は採用することができない。 ク取消事由10(本件訂正発明2と甲2発明との相違点5についての判断の誤り)について(ア)a原告は,甲6文献,甲10文献,甲13文献に記載された各技術は,いずれもケレン・洗浄対象物の「厚み」に対応するた 由10(本件訂正発明2と甲2発明との相違点5についての判断の誤り)について(ア)a原告は,甲6文献,甲10文献,甲13文献に記載された各技術は,いずれもケレン・洗浄対象物の「厚み」に対応するためのものではないから,審決が「上部に位置するドレッサーを,ケレン・洗浄対象物の厚みに対応するように,・・・上下に位置調整自在とすることは,建築仮設材のケレン・洗浄の技術分野において従来より周知であ」る(19頁18行~21行)としたことは誤りであると主張する。 b(a)しかし,甲6文献(甲6)には,以下の記載がある。 ・「・・・第2,第3ドレッサー機構3,4を取付けた調整台51は,第6図乃至第8図に示す如く,フレーム7に高さ調整機構71を介して四隅が支持され,ワークAに対するチップ57の接触量を第13図の如く自由に変化させることができるようになっている。」(12頁12行~17行)・図面- 61 -【第13図】ワークと掻取部材の関係を示す断面図(b)上記記載によれば,足場板や建枠といったワークAに対応してチップ57の高さを調整すること,すなわちワークAの「厚み」に対応してチップ57の高さを調整する技術が甲6文献に記載されていると認めることができる。 c(a)甲10文献(甲10)には,以下の記載がある。 ・「・・・洗浄具を設けてなる回転体2はパネル11の搬送方向に対して昇降自在な構成であるため,例えば厚さの異なるパネル11の洗浄作業の際にも回転体2の降下幅を調整することによって,容易に対応可能となる。」(6頁18行~7頁2行)・図面【第1図】本考案に係る一実施例を示し,(イ)は正面図,(ロ)はその右側面図,(ハ)は同平面図。 - 62 -(b)上記記載によれば,甲10文献には,パネル11の「厚み」に応じて回転体2の降下幅を調整す 】本考案に係る一実施例を示し,(イ)は正面図,(ロ)はその右側面図,(ハ)は同平面図。 - 62 -(b)上記記載によれば,甲10文献には,パネル11の「厚み」に応じて回転体2の降下幅を調整する技術が記載されていると認めることができる。 d(a)甲13文献(甲13)には,以下の記載がある。 ・「上記各アーム33は第7図のように,ケース30の横桟38との間に設けた調整杆39により,下向き角度,即ち足場板Aに対する打撃輪37の当接量を自由に調整できると共に,ばね40の収縮により上方への逃げが許容されている。」(8頁2~6行)・図面【第7図】縦断側面図【第8図】打撃輪部分の拡大縦断面図- 63 -(b)上記記載によれば,甲13文献には,足場板Aに対応して各アーム33の高さを調整すること,すなわち,足場板Aの「厚み」に対応して各アーム33の高さを調整する技術が記載されていると認めることができる。 e上記各甲6・甲10・甲13文献の各記載によれば,足場板等のケレン・洗浄対象物の「厚み」に対応してドレッサーの位置を調整する技術は,建築仮設材のケレン・洗浄の技術分野において周知であったことが認められる。よって,これと同旨の審決の認定に誤りはなく,原告の上記主張は採用することができない。 (イ)また原告は,甲6文献,甲10文献,甲13文献のいずれにも,各種の足場板の様々なピンの頭部位置にそれぞれ合わせて,その都度上下に位置調整する機構を備えたものはなく,また,足場板に突出するピンの頭部に打撃輪の内径が係合するのを防止するという課題は,本件訂正発明2がドレッサーとして打撃輪が旋回するものを採用し,「上部に位置するドレッサーを,足場板又は建枠の厚みに対応し,上下に位置調整自在としたこと」によってはじめて生じたものであるから,各種の足 訂正発明2がドレッサーとして打撃輪が旋回するものを採用し,「上部に位置するドレッサーを,足場板又は建枠の厚みに対応し,上下に位置調整自在としたこと」によってはじめて生じたものであるから,各種の足場板の様々なピンの頭部位置にそれぞれ合わせて,その都度上下に位置調整することは,当業者が現場において当然に行い得る事項であるした審決の上記判断は誤りであると主張する。 しかし,足場板等のケレン・洗浄対象物の「厚み」に対応してドレッサーの位置を調整する技術が周知である以上,足場板から突出するピンの頭部に打撃輪の内径が係合するのを防止するために,足場板のピンの頭部位置に合わせてドレッサーの位置を調整することは,当業者が現場において当然に行い得る事項であると認められる。よって,これと同旨の審決に誤りはなく,原告の上記主張は採用することができない。 (ウ)さらに原告は,打撃輪を備えた足場板のケレン装置が周知ではなく,- 64 -また,足場板のピン等の突出物に打撃輪の内径が係合するのを防止するという課題についても当業者に知られたものでなかったのであるから,審決が「・・・打撃輪の内径が足場板の突出物に係合しないようにするために,該周知の,上下位置調整機構を利用することに,格別の困難性は見いだせない。」(20頁21行~23行)と判断したことは誤りであると主張する。 しかし,「足場枠と足場板の兼用ケレン装置」が周知であることは前記のとおりであり,打撃輪を備えた足場板のケレン装置も周知であることは前記のとおりであるから,足場板のピン等の突出物に打撃輪の内径が係合するのを防止するという課題についても従来より当業者に知られたものであったと認められる。仮に上記課題が当業者に知られていなかったとしても,打撃輪の内径が足場板の突出物に係合しないようにするために, するのを防止するという課題についても従来より当業者に知られたものであったと認められる。仮に上記課題が当業者に知られていなかったとしても,打撃輪の内径が足場板の突出物に係合しないようにするために,周知の上下位置調整機構を利用することに格別の困難性を見出すことはできない。よって,これと同旨の審決の判断に誤りはなく,原告の上記主張は採用することができない。 (エ)以上より,原告主張の取消事由10は採用することができない。 ケ取消事由11(本件訂正発明2の効果認定判断の誤り)について前記取消事由6に対する判断と同様であり,原告主張の取消事由11は採用することができない。 結語以上によれば,本件訂正発明1及び2はいずれも甲2発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたと認められるから,結論において審決に誤りはなく,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。 よって,その余の主張につき判断するまでのなく,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。 - 65 -知的財産高等裁判所第2部裁判長裁判官中野哲弘裁判官真辺朋子裁判官田邉実
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