令和5年7月4日東京地方裁判所刑事第16部宣告令和4年刑第2733号収賄被告事件 主文 被告人を懲役2年に処する。 この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。 被告人から金2740万6931円を追徴する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、株式会社Aを経営し、その代表取締役であったもの、Bは、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以 下「組織委員会」という。)の理事として、組織委員会の理事会を構成し、その業務執行の決定等について議決権を行使するとともに、組織委員会のマーケティング業務に関し、第32回オリンピック競技大会(2020/東京)及び東京2020パラリンピック競技大会(以下、両大会を合わせて「東京2020大会」という。)への協賛企業を募るなどの職務に従事し ていたものであるが、被告人は、Bと共謀の上、第1 株式会社Cが、Bから組織委員会のマーケティング専任代理店である株式会社Dの販売協力代理店として選任されるとともに、東京2020大会におけるスポンサー契約の提案・契約交渉及び契約締結に関する支援業務等を行わせてもらえるよう後押ししてもらう旨などの有利かつ便宜な 取り計らいを受けたことの謝礼及び今後も同様の取り計らいを受けたいとの趣旨のもとに供与されるものであることを知りながら、平成30年12月28日、東京都港区(住所省略)所在の株式会社E銀行F支店に開設された株式会社C名義の当座預金口座から、東京都中央区(住所省略)所在の株式会社G銀行H支店に開設された前記株式会社A名義の当座預金口座 に現金2024万9244円を振込入金させ、もって、Bの職務に関し賄 賂を収受した。 第2 株式会社Jが 略)所在の株式会社G銀行H支店に開設された前記株式会社A名義の当座預金口座 に現金2024万9244円を振込入金させ、もって、Bの職務に関し賄 賂を収受した。 第2 株式会社Jが、Bから東京2020大会のエンブレム等を付したライセンス商品の販売・製造を行うためのライセンス契約に関し、その締結を円滑に行ってもらう旨及びその履行について、ライセンス商品の販売促進を行ってもらう旨などの有利かつ便宜な取り計らいを受けたことの謝礼 及び今後も同様の取り計らいを受けたいとの趣旨のもとに供与されるものであることを知りながら、別表(添付省略)記載のとおり、平成30年10月22日から令和3年4月20日までの間、11回にわたり、東京都千代田区(住所省略)所在の株式会社K銀行L支店に開設された前記株式会社J名義の普通預金口座から、前記株式会社A名義の当座預金口座ほか1 口座に現金合計715万7687円を振込入金させ、もって、Bの職務に関し賄賂を収受した。 (量刑の理由)本件は、被告人が、東京2020大会におけるマーケティングの職務を行っていた同大会組織委員会理事(以下「本件理事」という。)と共謀の上、 広告代理店や玩具会社が、同大会におけるスポンサー契約やライセンス契約等に関し、本件理事から有利かつ便宜な取り計らいを受けたことの謝礼等の趣旨の下に供与されるものであることを知りながら、合計2740万6931円を、自身が代表取締役を務める会社名義の口座に振込入金させたという収賄の各事案である。 本件で供与された賄賂は上記のとおり高額であり、その対価として、本件理事において、判示第1に関しては、販売協力代理店としての選任からその後のスポンサー契約締結に関する支援業務等に至るまで、判示第2に関しても、ライセンス契 記のとおり高額であり、その対価として、本件理事において、判示第1に関しては、販売協力代理店としての選任からその後のスポンサー契約締結に関する支援業務等に至るまで、判示第2に関しても、ライセンス契約の締結からライセンス商品の販売促進等に至るまで、いずれも様々な場面で便宜を供与した。その結果、世界的に注目さ れ、国家的に特に重要なスポーツの競技会とされた東京2020大会の準 備や運営等を担っていた役員等の職務の公正とこれに対する社会の信頼、ひいては、同大会自体の公正な運営に対する社会の信頼が害された。 本件各犯行において、被告人は、分け前にあずかりたいとの気持ちや、親しい友人から頼まれたので無下に断れないとの気持ちから、賄賂金の3分の1の分配を受ける約束で、本件理事の指示を仰ぎながら、犯行の発覚 を困難にするため、賄賂の受け皿として自己が代表取締役を務める会社名義の口座を提供した。その上、判示第1に関しては、自ら贈賄側に出向くなどして打合せをした上で、送金に必要な書類等に必要事項を記入して贈賄側に提出するなどし、判示第2に関しては、契約書の草案を自ら作成する等、いずれも正当な商取引を装う書類の作成等に主体的に関与している。 最終的に約551万円もの取り分を得ていることからみても、被告人が果たした役割は重要なものであった。 以上に照らすと、被告人の刑事責任は重いといわざるを得ない。一方で、本件各犯行は、本件理事が賄賂の額やその供与の主体等について決定し、その後、被告人に、本件口座の提供を持ち掛けることで行われており、さ らに、賄賂金の分配の在り方等も本件理事が決定していたこと等を踏まえれば、被告人は本件理事との関係では従属的立場にあったといえ、この点は、被告人に対する刑事責任を決めるにあたって一定程度考慮 らに、賄賂金の分配の在り方等も本件理事が決定していたこと等を踏まえれば、被告人は本件理事との関係では従属的立場にあったといえ、この点は、被告人に対する刑事責任を決めるにあたって一定程度考慮せざるを得ない。その上で、被告人に前科前歴がないことや、当公判廷でも事実を認め、反省の弁を述べていること等も考慮し、主文のとおりの刑を量定した。 (求刑懲役2年及び主文同旨の追徴)令和5年7月11日東京地方裁判所刑事第16部裁判長裁判官安永健次 裁判官内藤恵美子 裁判官足立洋平 (別表省略)
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