- 1 - 令和6年7月25日宣告令和5年第166号、令和6年第15号、同第34号詐欺被告事件 主文 被告人を懲役5年に処する。 未決勾留日数中180日をその刑に算入する。 理由 (犯罪事実)第1 (訴因変更後の令和5年10月31日付け起訴状記載の公訴事実)被告人は、Aらと共謀の上、投資顧問を称する「B」等になりすまして外国為替証拠金取引(以下「FX取引」という。)での運用名目で金銭をだまし取ろうと考え、令和5年4月16日頃から同年5月9日頃までの間、カンボジア王国内において、佐賀県内にいたC(当時45歳)に対し、アプリケーションソフト「LINE」のメッセージ機能を利用して、真実は、同人から交付を受ける金銭をFX取引で運用する事実も意思もないのにこれを秘し、「B先生の分析はとても正しいと思います」、「先生ありがとうございます初めて取引したら2667ドル儲かりました」、「これまでB先生の5回FX指導はすべて正確です」、「今夜のFX取引は20:20頃に取引指導が開始される予定です。」、「我々のFX取引にご参加されるには、我々YのFX取引口座を使用しなければなりません。」などとメッセージを送信するなどし、Cに、被告人らが指定する口座に振込入金すれば、FX取引で運用されるものと誤信させ、よって、同年5月9日頃、同県鳥栖市(住所省略)所在の株式会社D銀行E支店において、Cに、同支店に設置された現金自動預払機から、被告人らが管理するF銀行G支店に開設されたH名義の普通預金口座に現金20万円を振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させた。 第2 (令和6年3月21日付け起訴状記載の公訴事実第1)被告人は、Aらと共謀の上、投資顧問を称する「B」等になりすましてF- 2 万円を振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させた。 第2 (令和6年3月21日付け起訴状記載の公訴事実第1)被告人は、Aらと共謀の上、投資顧問を称する「B」等になりすましてF- 2 - X取引での運用名目で金銭をだまし取ろうと考え、令和5年4月15日頃から同年5月26日頃までの間、カンボジア王国内において、広島県内にいたI(当時61歳)に対し、アプリケーションソフト「LINE」のメッセージ機能を利用して、真実は、同人から交付を受ける金銭をFX取引で運用する事実も意思もないのにこれを秘し、「B先生の予測は正確です 2回FX取引指導して頂き、全て儲かりました」、「私とJ先生はY取引所でFX取引をしています。」、「取引所については、皆さんが私と同じ取引所を利用することをお勧めします。」、「FXは、「買い」だけでなく、「売り」からも取引を開始できるため、相場が上がっても下がっても利益を得ることができます」などとメッセージを送信するなどし、Iに、被告人らが指定する口座に振込入金すれば、FX取引で運用されるものと誤信させ、よって、Iに、別表1(添付省略)記載のとおり、同年5月8日頃から同月26日頃までの間、3回にわたり、広島県尾道市(住所省略)所在のK郵便局ほか1か所において、同郵便局に設置された現金自動預払機を用いるなどして、被告人らが管理する株式会社L銀行M支店に開設されたN名義の普通預金口座ほか2口座に現金合計310万円を振込入金させた。 第3 (訂正後の令和6年3月21日付け起訴状記載の公訴事実第2)被告人は、Aらと共謀の上、投資顧問を称する「B」等になりすましてFX取引での運用名目で金銭をだまし取ろうと考え、令和5年4月15日頃から同年5月24日頃までの間、カンボジア王国内において、兵庫県内にいたO(当時 共謀の上、投資顧問を称する「B」等になりすましてFX取引での運用名目で金銭をだまし取ろうと考え、令和5年4月15日頃から同年5月24日頃までの間、カンボジア王国内において、兵庫県内にいたO(当時69歳)に対し、アプリケーションソフト「LINE」のメッセージ機能を利用して、真実は、同人から交付を受ける金銭をFX取引で運用する事実も意思もないのにこれを秘し、「B先生から、FXとお金のやりとりを指導して頂いて、すぐ利益が出ました。」、「相場機会を掴むと、元金が倍増できると思います。」、「取引所の投資コンサルタントのPさんに連絡してFX口座を開設しましょう。」などとメッセージを送信するなどし、Oに、被告人- 3 - らが指定する口座に振込入金すれば、FX取引で運用されるものと誤信させ、よって、Oに、別表2(添付省略)記載のとおり、同年5月11日頃から同月24日頃までの間、5回にわたり、兵庫県姫路市(住所省略)O方において、インターネットバンキングを用いて、被告人らが管理するF銀行株式会社に開設されたQ株式会社R名義の普通預金口座ほか2口座に現金合計3500万円を振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させた。 第4 (訴因変更後の令和6年2月8日付け起訴状記載の公訴事実)被告人は、Aらと共謀の上、投資顧問を称する「B」等になりすましてFX取引での運用名目で金銭をだまし取ろうと考え、令和5年5月15日頃から同月28日頃までの間、カンボジア王国内において、佐賀県内にいたS(当時67歳)に対し、アプリケーションソフト「LINE」のメッセージ機能を利用して、真実は、同人から交付を受ける金銭をFX取引で運用する事実も意思もないのにこれを秘し、「多くのメンバーがこの2週間のFX取引で良い収益を出しました。」、「まだ取引を始めていない ジ機能を利用して、真実は、同人から交付を受ける金銭をFX取引で運用する事実も意思もないのにこれを秘し、「多くのメンバーがこの2週間のFX取引で良い収益を出しました。」、「まだ取引を始めていない方は、すぐPさんに連絡して、口座開設から始めましょう。」、「Y取引所の投資コンサルタントを担当させていただくPと申します。」、「FX取引は簡単で、取引方向をうまくキャッチすればかなり利益が出せます。」、「B先生はグループでFX取引指导を提供致します。」、「投資顧問を担当させて頂くBです。」、「Sさんは現在証拠金が少なく、リスク防止能力が劣っているため、高利益取引品種の取引をリードしていません。」、「入金する際にはPさんに連絡して頂ければ結構です。」、「今から送金口座をご予約致します。」などとメッセージを送信するなどし、Sに、被告人らが指定する口座に振込入金すれば、FX取引で運用されるものと誤信させ、よって、同月28日頃、佐賀市(住所省略)所在のT郵便局において、Sに、同支店に設置された現金自動預払機から、被告人らが管理する株式会社U銀行V支店に開設された株式会社W名義の普通預金口座に現金200万円を振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させた。 - 4 - (事実認定の補足説明)第1 争点 1 判示第1ないし第4の事実につき、被告人は、第4回公判期日において、被害者をだまして、金銭をだまし取ったという気持ちはない旨を陳述し、弁護人も同旨の主張をしている。 2 したがって、本件の争点は、詐欺の故意の点である。 第2 判断 1 そこで検討すると、本件は、カンボジア王国内のカジノホテルを拠点にする中国人特殊詐欺グループによる詐欺の事案であるところ、被害者らの供述内容等を始めとする関係証拠によれば、その具体的な手口は、FX取引の情 検討すると、本件は、カンボジア王国内のカジノホテルを拠点にする中国人特殊詐欺グループによる詐欺の事案であるところ、被害者らの供述内容等を始めとする関係証拠によれば、その具体的な手口は、FX取引の情報交換を装うLINEグループに日本人の被害者らを追加した上で、当該LINEグループにおいて、架空の投資家である「B」、「J」らが同グループの参加者に対しFX取引を指南する内容のメッセージや音声データを送信し、これに対し、日本人に扮した他のLINEグループの参加者らが、Bらの指南を受けてFX取引を行った結果、多額の利益が得られた旨のメッセージを送信するなどの自作自演のやり取りを作出し、被害者らを、上記「B」や架空のFX取引所の関係者「P」との間の個別のLINEでのやり取りに誘い込むなどして、FX取引名下に、被害者らに、指定する口座に現金を振り込ませたというものと認められる。 この点、被告人がカンボジア渡航後に滞在して作業に従事したカジノホテル内のオフィスでは、4階と5階にそれぞれ100個以上の事務机が設置され、それぞれ100名を超える中国人が、早朝から深夜まで、パソコンとケーブルで接続された大量のスマートフォンで作業をしていた。後記のとおり、被告人は、中国人の上位者の指示を受け、テレグラムを通じて送られてくる日本語の文章の修正作業を行っていたほか、遅くとも令和5年3月末頃以降、共犯者とされるAと共に、「台本」と呼ばれる文書データの訂正作業を行うととも- 5 - に、「B」や「J」といった架空の投資家に扮して、FX取引の指南を行う動画の録音作業に関与するようになったと認められるところ、被告人やAのパソコンに保存された文書データの内容を見ると、中国人特殊詐欺グループの関係者らが被害者らを追加して行ったFX取引の情報交換を装って自作自演す に関与するようになったと認められるところ、被告人やAのパソコンに保存された文書データの内容を見ると、中国人特殊詐欺グループの関係者らが被害者らを追加して行ったFX取引の情報交換を装って自作自演するなどしたLINEグループでのやり取りや、被害者らを誘い込んで行った「B」や「P」との間の個別のLINEでのやり取りと一致している。そうすると、特殊詐欺グループの拠点であったカジノホテル内のオフィスにいた多数の中国人らは、被告人らが訂正作業を行った文章や「台本」と呼ばれる文章データを基に、パソコンに接続された多数のスマートフォンを用いて、日本国内にいる被害者らに対し、日本語のメッセージを送信して詐欺行為に及んでいたと見るのが相当であり、被告人らは、中国人らがそのような日本人を標的とする詐欺行為を行うに当たって、被害者らに相手が外国人であると分からないようにするため、自然な日本語に修正するなどの準備行為を担わされていたと考えられる。 2 ところで、被告人は、「X」を名乗る中国人から、カンボジアで、FX取引や株取引の会社を立ち上げるので、顧客や従業員との間のやり取りにつき、日本語、英語、中国語の通訳をしてほしい旨の勧誘を受け、給与月8000ドル、食費や寮費、渡航費用は会社が負担するという条件を提示され、令和4年9月頃、カンボジアに渡航したというのであり、少なくとも、当初から特殊詐欺に関与することになる旨を明確に告げられていたわけではないといえる。 もっとも、上記のようなカジノホテル内のオフィスの状況からして、中国人らが正規のFX取引や株取引に携わる業務を行っていないことは容易に分かったはずであり、被告人が、カンボジア渡航後半年以上もの期間、同カジノホテル内のオフィスで作業を行っていたにもかかわらず、そのような認識を有していなかったとは考え難い を行っていないことは容易に分かったはずであり、被告人が、カンボジア渡航後半年以上もの期間、同カジノホテル内のオフィスで作業を行っていたにもかかわらず、そのような認識を有していなかったとは考え難い。また、月8000ドル(被告人によれば、当時のレートで、日本円にして100万円を超えるくらいの金額である。)という- 6 - 作業に見合わないほどの高額の報酬が約束されていたことからしても、被告人が、単なる通訳業務ではなく、何らかの違法な業務に関与しているのではないかという疑念を抱かなかったとも容易に考えにくい。 3 これに加えて、被告人がカンボジア渡航後に行った業務の内容を見ると、被告人が述べるところによれば、被告人は、当初は、中国人らと共に、早朝から深夜までLINEの設定作業に従事し、令和4年11月頃からは、中国人の上位者からテレグラムで送られてくる日本語の文章を修正する作業を行うようになり、令和5年3月頃からは、共犯者とされるAと共に、前記「台本」と呼ばれる文書データの訂正作業を行うほか、YouTubeアカウント等に、「B」や「J」に扮して、FX取引の指南を行う動画の録音作業にも関与するようになったというのである。このような被告人の渡航後の業務内容に関し供述する内容は、被告人と同じ部屋で作業を行っていたAが供述する内容とは、被告人の役割や関与の程度につき食い違いがあり、必ずしも真偽が定かではない部分も含まれている。しかし、少なくとも、被告人が、中国人の上位者からテレグラムを通じて送られてくる文章の修正作業を行っていたほか、遅くとも令和5年3月末頃以降、Aと共に、「台本」と呼ばれる文書データの訂正作業を行うとともに、「B」や「J」といった架空の投資家に扮して、FX取引の指南を行う動画の録音作業に関与するようになったという限度では、 年3月末頃以降、Aと共に、「台本」と呼ばれる文書データの訂正作業を行うとともに、「B」や「J」といった架空の投資家に扮して、FX取引の指南を行う動画の録音作業に関与するようになったという限度では、被告人とAの供述内容が合致している上、被告人使用パソコンのハードディスクに、「台本」と呼ばれる文書データが連日保存されていることなどの客観的な証拠にも裏付けられているから、十分信用できるというべきである。 そうすると、被告人は、カンボジア渡航後、カジノホテル内のオフィスで、Aと共に、相当期間、テレグラムで送られてくる日本語の文章の修正作業や「台本」と呼ばれる文書データの訂正作業、架空の日本人投資家に扮した動画の録音作業に従事するなどして、中国人特殊詐欺グループによる詐欺行為に深く関与し、その一部始終を把握し得る立場にあったと認められる。事前- 7 - に詐欺行為であると明確に告げられてはいなかったにせよ、被告人は、カジノホテル内のオフィスにいる中国人らが、架空の日本人投資家に扮し、日本人の被害者らを標的にしてFX取引により多額の利益が得られた旨のやり取りを自作自演するなどして、被害者らに多額の現金を振り込ませるなどの詐欺行為に関与している可能性があることを認識していなかったとは考え難い。 4 実際に、被告人は、令和5年3月22日から同月28日までの間、「音声データ警察」、「fx 投資逮捕」、「声紋分析警察」、「B line」、「J投資」、「日本カンボジア危険」、「カンボジア外務省渡航情報」などというキーワードによるインターネット検索を行い、同月27日には、「Bは誰?LINEの投資グループは詐欺か・追加されたときの対処法」などと題するページにアクセスして、「BのLINEグループは詐欺です!」という記載を目にしたことも ット検索を行い、同月27日には、「Bは誰?LINEの投資グループは詐欺か・追加されたときの対処法」などと題するページにアクセスして、「BのLINEグループは詐欺です!」という記載を目にしたことも認められる。そうすると、被告人は、自らが詐欺行為に関与しているのではないかと考えてインターネット検索を行い、その疑念を裏付ける内容の記載を目にしていたといえ、このことは、被告人の詐欺の故意に関する前記推認を強く裏付けている。 5 以上の事情によれば、被告人に判示第1ないし第4の各犯行時に、詐欺の故意があったことは十分推認できる。 第3 被告人の弁解について 1 これに対し、被告人は、法廷で、人をだまして、金をだまし取ろうという気持ちは全くなかったなどと弁解している。 その上で、被告人は、中国人の上位者から指示されて行っていた日本語の文章の訂正作業については、「(中国人の上位者から、)内容は気にするな、丸とか点とか、てにをはとか、間違ったところだけを変更すればいいなどと言われており、事件になりそうなどと気が回っていなかった。」旨を述べるとともに、インターネット検索をして、「B」のLINEグループが詐欺である旨記載されたページを目にしたことについても、「投資なので大儲けす- 8 - る人もいれば、負ける人もいる。大負けすれば、これは詐欺だって、おかしいという人もいるから、そのような類いのものと認識していた。」旨述べている。 2 しかし、被告人の上記弁解については、次の事情が指摘できる。 (1) まず、被告人が、日本語の文章の訂正作業につき述べる点については、被告人は、一方では、そのような訂正作業は、中国人が日本人ではないことがばれると困るためと考えていた旨を述べており、もとより中国人らが日本人に扮して相手方と内容虚偽のやり取りをして る点については、被告人は、一方では、そのような訂正作業は、中国人が日本人ではないことがばれると困るためと考えていた旨を述べており、もとより中国人らが日本人に扮して相手方と内容虚偽のやり取りをしていることは十分認識していたといえる。それにもかかわらず、被告人が、中国人の上位者から、内容を気にしないように言われるなどしただけで、違法行為の可能性があることに全く気付かなかったという説明には無理がある。 (2) また、インターネット上で、「音声データ警察」、「fx 投資逮捕」などのキーワードによる検索をしたことに関しても、被告人は、一方で、自らが「B」として録音した動画がYouTubeにのっていると聞いて、警察の捜査が気になったためであることを認めている。それにもかかわらず、被告人が、そのようなインターネット上の記載につき、投資で損をした者が不満を述べたにすぎないと考えたなどという説明は不自然で、容易に納得できるものではない。 (3) むしろ、被告人は、「カジノホテル内のオフィスにいる多数の中国人の全員がスマートフォンの設定作業をしていたため、おかしな会社だと思っていた。」、「中国人の上位者から、「臓器売買をさせられる。」とか、「二、三千万円で日本だったら人を殺せる。」などと言われるなどした。」などと述べた上で、途中から、この会社はおかしいんじゃないか、あるいは、詐欺に関わらせられているのではないかという考えがよぎったが、特にその不安を打ち消すようなものもなかった旨を述べており、このことは、被告人が、詐欺の未必的な故意があったことを半ば自認したものといって- 9 - よい。 3 したがって、被告人の弁解は信用できないといえる。 第4 結論以上によれば、判示第1ないし第4の事実につき、被告人に詐欺の故意があったこと したものといって- 9 - よい。 3 したがって、被告人の弁解は信用できないといえる。 第4 結論以上によれば、判示第1ないし第4の事実につき、被告人に詐欺の故意があったことは十分認定できる。 (法令の適用)罰条第1ないし第4いずれも刑法60条、246条1項(第2、第3は、いずれも別表番号ごとに同項に該当)併合罪の処理刑法45条前段、47条本文、10条(犯情の最も重い第3別表2番号5の罪の刑に加重)未決勾留日数の算入刑法21条訴訟費用の不負担刑事訴訟法181条1項ただし書(量刑の理由) 1 本件は、被告人が、共犯者らと共謀して、4名の被害者らから、FX取引名下に現金をだまし取った特殊詐欺合計10件の事案である。 2 犯行態様を見ると、多数の中国人を含む氏名不詳者らによって、入念に準備をして敢行された組織的、計画的犯行である上、FX取引の情報交換を装うLINEグループに日本人の被害者らを参加させ、架空の投資家の指南を受けて投資を行った結果、多額の利益が得られた旨のやり取りを自作自演するなどして、被害者らを架空のFX取引に誘い込んだ上で、現金をだまし取るという手口は非常に巧妙である。本件各犯行による被害額は、合計4030万円と非常に多額に及んでおり、犯行結果も重大といえる。 被告人は、中国人の上位者らの指示に従って各犯行に及んでおり、それらの者- 10 - との関係では従属的な関与にとどまる面もあるものの、高額の報酬を約束され、途中から詐欺の可能性を十分認識していたにもかかわらず、日本語のやり取りの修正作業のほか、架空の投資家に扮してFX取引に関する動画の録音作業を行うなど詐欺の準備行為の重要部分を担い、中国人らが日本人の被害者らを標的 性を十分認識していたにもかかわらず、日本語のやり取りの修正作業のほか、架空の投資家に扮してFX取引に関する動画の録音作業を行うなど詐欺の準備行為の重要部分を担い、中国人らが日本人の被害者らを標的とする詐欺行為を行うために不可欠の役割を果たしたといえるから、大変厳しい非難を免れない。 3 以上の犯情によれば、本件は、同種事案の中で重い部類に属するものといえ、被告人に対し相当期間の実刑をもって臨むことはやむを得ない。 その上で、被告人に対する具体的な刑を定めるに当たって、犯情以外の点を見ると、被告人は、詐欺の故意に関し不合理な弁解に終始しており、真摯に反省しているとは認め難いことは、その刑を一定程度重くする事情といえるが、他方で、被告人に前科前歴がないことや、双極性障害の持病を抱え、体調が芳しくない様子であることなど、被告人にとって斟酌すべき事情も認められる。そこで、それらをも考慮し、主文の刑に処するのが相当と判断した。 (求刑・懲役6年)令和6年7月26日佐賀地方裁判所刑事部 裁判長裁判官岡 﨑 忠之 裁判官秋山慎悟 - 11 - 裁判官山田直之は差し支えのため署名押印することができない。 裁判長裁判官岡 﨑 忠之
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