【DRY-RUN】主 文 原判決中控訴人敗訴の部分を取消す。 被控訴人らの請求を棄却する。 被控訴人らの附帯控訴を棄却する。 訴訟費用は第一、二審とも全部被控訴人らの負担とする。 事 実 控訴人
主文 原判決中控訴人敗訴の部分を取消す。 被控訴人らの請求を棄却する。 被控訴人らの附帯控訴を棄却する。 訴訟費用は第一、二審とも全部被控訴人らの負担とする。 事実 控訴人(附帯被控訴人、以下単に控訴人という。)指定代理人は、主文と同旨の判決を求め、被控訴人(附帯控訴人、以下単に被控訴人という。)ら訴訟代理人は、控訴棄却の判決および附帯控訴として、「原判決中第一審原告敗訴の部分を取消す。控訴人は被控訴人らに対し金二四六、二四〇円およびこれに対する昭和三七年二月八日以降完済に至るまで年五分の割合による金員ならびに金一二六、一六八円に対する昭和三七年五月九日以降完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は第一、二審とも控訴人の負担とする。」との判決を求めた。 当事者双方の主張ならびに証拠の関係は、左記を付加するほか、原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する。 (控訴人の主張)一、退職手当金債権の履行期は、退職手当を支給するために必要とする事務手続を合理的に完了する時期までは、到来しないものと解すべきであり、その論拠として以下の説明を加える。 (一) すなわち退職手当の支給については、手続上退職後ある程度の日時を当然必要とするのであつて、その理由としては、一般的に次のようなものが考えられる。 (1) 退職者の履歴事項のうち、他の官公庁に関する履歴事項で明確でないものについては、その官公庁に対して照会等をする必要がある。 (2) 以前に公務員を退職したことがある者については、その退職の際に手当(これに相当する給与を含む。)の支給を受けたかどうか不明であるときは、退職当時の所属庁に退職手当の支給の有無を照会する必要がある。 (3) 死亡による退職の場合には、死亡証明書、戸籍謄本等の提出によつて、退職の確認 与を含む。)の支給を受けたかどうか不明であるときは、退職当時の所属庁に退職手当の支給の有無を照会する必要がある。 (3) 死亡による退職の場合には、死亡証明書、戸籍謄本等の提出によつて、退職の確認をし、また、遺族の範囲を確認する。 (4) 公務上の傷病または死亡により退職した場合には、公務災害の認定基準に準拠して認定を行う。 (5) 退職の日に昇給が発令されたときは、おのずから計算の基礎が変るため、事実上なす事前の算定ではまかないきれない場合がある。 (6) 勤続一〇年以上、年令五〇才以上の者が定年退職した場合には、国家公務員等退職手当法第五条適用の退職手当については、その年度の退職手当の歳出予算の範囲内で支給しなければならないから、この場合には、予算の過不足についての見通しのつく年度末まで待つて支給することになる(昭和三二年政令第一二六号国家公務員等退職手当暫定措置法等の一部を改正する法律附則第二項の規定により退職手当の支給を受ける職員の範囲等を定める政令第三条参照)。 (7) 退職手当関係の法令の解釈、適用について疑義を生ずることがあるが、この場合には所管庁に照会する等の調査をする必要がある。とりわけ法令制定または改正後間もない場合には、右疑義を生ずることは避け難いといわなければならない。 (8) 支給手続自体に対し会計法等による制約がある。 (二) 次に裁判官の定年退職の場合の退職手当支給事務手続の概要は、左のとおりである。 (1) 退職日が到来した場合、所属庁は、職員本人が提出した履歴書に基づいて履歴書を作成するほか、退職手当の発令に関する調書を作成して、これを高等裁判所経由のうえ、最高裁判所事務総局人事局に送付する。 (2) 人事局は、右書類に基づいて退職手当の計算書を作成し、退職手当辞令について最高裁判所長官の決裁を受ける。 (3 書を作成して、これを高等裁判所経由のうえ、最高裁判所事務総局人事局に送付する。 (2) 人事局は、右書類に基づいて退職手当の計算書を作成し、退職手当辞令について最高裁判所長官の決裁を受ける。 (3) 右辞令の決裁が完了したのち、人事局は、高等裁判所に対し、退職手当の発令についての通知をするとともに、所属庁に対し、辞令および退職手当額計算書を高等裁判所を経由して送付し、他方、最高裁判所事務総局経理局に対して、退職手当予算額示達のために必要な事項を通知する。 (4) 右送付を受けた高等裁判所は、これを決裁後、所属庁へ再送付し、他方、経理局は、支払計画の変更について、その承認を受けるため、支払計画変更計画書を作成して、これを大蔵大臣に送付する(予算決算及び会計令第一八条の一二)。 なお、退職者の所属庁が自庁予算として退職手当の目を有する場合には、四半期ごとの頭初に配賦された同予算から支出しうるが、上級官庁である本省の予算としてのみ配賦されている場合には、前記のごとき手続を経て日本銀行に通知しない限り、日本銀行から同支店または同代理店へ送金されない。 (5) 大蔵大臣は、右支払計画の変更を承認したときは、最高裁判所と日本銀行にその旨の通知をする。 (6) 経理局は、右承認を受けたのち、支出負担行為計画示達表と支払計画表を作成して、これを前記所属庁の会計係へ送付する。 (7) 右所属庁の人事係は、高等裁判所から送付された辞令および退職手当額計算書を決裁後、その写を会計係へ送付する。 (8) 右所属庁の会計係は、右送付を受けたのち、退職金支出負担行為の決議書(支出負担行為等取扱規則第二〇条)を作成して、これを支出負担行為担当官に提出し、支出負担行為担当官は、支出官の支出負担行為の確認を受け、かつ支出負担行為差引簿に登記する(会計法第一三条の二参照)。 支出負担行為等取扱規則第二〇条)を作成して、これを支出負担行為担当官に提出し、支出負担行為担当官は、支出官の支出負担行為の確認を受け、かつ支出負担行為差引簿に登記する(会計法第一三条の二参照)。 (9) 支出負担行為担当官は、右確認後、支出負担行為をしたときは、右支出負担行為の決議書に証拠書類および関係書類を添えて支出官(支出負担行為担当官が支出官を兼ねている場合がある。)に送付して通知する(支出負担行為等取扱規則第一九条第一項)。 (10) 支出官は、右証拠書類および関係書類を調査し、支出決議書により支出を決定し、これに基づいて国庫金振替書を発行して日本銀行に交付するとともに、資金前渡官吏に国庫金振替通知書を送付して、資金を資金前渡官吏に送付する(支出官事務規程第二四条、第二五条第三項)。 (11) 右銀行は、振替手続を了したときは、振替済通知書を作成して、これを資金前渡官吏に交付する(日本銀行国庫金取扱規程第三八条)。 (12) 資金前渡官吏は、右により資金の交付を受けたのち、小切手を振出し(出納官吏事務規程第二四条ないし第五二条)、これを退職者に交付する。 以上が裁判官の退職手当支給事務の法定手続の概要であるが、右手続のうち、退職手当の計算ならびに計算の基礎となる履歴事項全般の調査については、事実上、定年退職日以前にこれを実施完了することが不可能ではないけれども、その余の諸手続については、法的にも、また事実上も、定年退職日以前にこれを行うことは不可能である。 (三) ところで、国家公務員の退職手当の支給につき、右諸手続に要する日数に関し、「(1) 定年退職制度を採用している官庁について、(2) 定年退職者の退職手当の支給の実態に関し、(3) 退職手当予算が、最上級官庁の予算項目に計上され配賦されているものに限り、(4) 年内に 「(1) 定年退職制度を採用している官庁について、(2) 定年退職者の退職手当の支給の実態に関し、(3) 退職手当予算が、最上級官庁の予算項目に計上され配賦されているものに限り、(4) 年内における定年退職者全員を対象とし、(5) 地域を東京および九州に限り、」という以上の条件の下に昭和三六年度および昭和三九年度について実態調査をした結果によると、退職手当支給事務開始日から同手当支給日までの所要日数は、年度および地域を問わず、極めてまちまちであり、この結果について合理的な推定を行なえば、それは事務手続のうち定年退職日以前になしうる事項についての事務運用の密度が各省庁によつて異なるためであると思われるが、「退職日から退職手当支給日までの所要日数」は、別表に集計したとおり、その大半が二〇日間から二九日間に集中しており、このことは、年度、地域、省庁を問わず、前記の定年退職日以後になすべき諸手続については、普遍的にこの程度の日数を必要とすることを示すものといえるのである。 すなわち、定年退職による退職手当の支給事務は、特別の事情がない限り、慣例に従つて支給額の計算を退職日(追給については追給事由が発生する日、以下同じ。)以前に行ない、かつ退職日以前に履歴事項の調査を遂げ得た場合には、退職日以後一か月以内に完了しうるものであるが、反面、一か月未満の期限を画することは、支給者に対して、法的に不能を強いる結果となる場合が多いといわなければならない。 (四) 右は通常の支給所要期間について述べたものであるが、そのほか特別の事情として考慮すべきものの一部を例示すれば、次のようなものがある。 第一は、退職者が申告した履歴事項に誤りがあつた場合である。仮に、定年退職日以前に退職手当額の計算および履歴事項の調査を完了する予定で事務手続を開始したとして を例示すれば、次のようなものがある。 第一は、退職者が申告した履歴事項に誤りがあつた場合である。仮に、定年退職日以前に退職手当額の計算および履歴事項の調査を完了する予定で事務手続を開始したとしても、右のような誤りを修正するために不測の日数を費すこととなる場合もあり、この結果、右事務手続は定年退職日以後に継続されることもありうるのである。しかも、履歴に誤りがあつて、これを修正したため、退職手当額が増加する場合には、予備費による支出あるいは予算の流用をせざるを得ず、この場合には、財政法上特別な支出手続(財政法第三五条、第三三条)を経なければならないから、その手続のために要する日数は当然考慮されなければならないこととなる。しかして、このような事務手続の遅延は、右申告の誤りが申告者の故意によると否とを問わず、申告者の支配領域内において生じた事由によるものであるから、退職手当支給者にその責を負わすべき筋合のものではないのである。 第二は、本件の追給の場合のように困難な法解釈を伴う場合である。関係法規の施行期日までにその法規のすべての点について行政解釈が施こされていることは不可能というべきであつて、問題が提起されたときに、十分な検討を加えた上で、その法規の執行をなすべき場合もありうるのである。しかして、この解釈の決定に要する合理的期間は、退職手当の支給手続上、当然予定されなければならないものである。 二、以上の観点から本件退職手当の支給についてみるに、(一) 第一回の支給は、昭和三六年七月六日になされており、これは、被控訴人らの先代Aの定年退職日である同年六月一六日から起算して二一日で支給されているものであるから、前記通常の支給所要期間内になされたものといえる。 (二) 第二、三回の支給についていえば、原判決事実摘示第二、二、B、(一)、(2) 同年六月一六日から起算して二一日で支給されているものであるから、前記通常の支給所要期間内になされたものといえる。 (二) 第二、三回の支給についていえば、原判決事実摘示第二、二、B、(一)、(2)、(ロ)および(ハ)のような特別の事情によつて第二回の支給は昭和三七年一月一二日となつたが、歳出予算の支出が可能となつた昭和三六年一二月九日から起算して三五日で支給されており、第三回の支給は昭和三七年二月八日で、昭和三六年政令第二〇〇号施行の日である昭和三六年六月一九日から起算すれば、二三五日目となるが、右政令の解釈が定まり、台湾総督府法院判官(以下単に判官という。)等の在職期間を通算できるようになつた日の前日である昭和三七年一月一二日までの日数二〇八日を差し引けば、二七日で支給されていることになるから、右第二、三回の支給も合理的な手続期間内になされたものということができる。 (三) そうすると本件退職手当の支給事務は、すべてこれに要する合理的な所要期間内に完了しているのであつて、控訴人が履行遅滞の責を負うべき筋合ではない。 三、被控訴人ら先代Aが昭和四二年二月一四日死亡し、被控訴人らが相続人としてその地位を承継したことは、認める。 (被控訴人らの主張)一、従前の主張の補充(一) 国家公務員等退職手当法施行令(昭和三六年政令第二〇〇号による改正後のもの、以下単に「令」という。)附則第一六項は、「法附則第一〇項に規定する政令で定めるところにより計算した額は、同項に規定する者の同項の規定による退職手当に係る退職の日における俸給月額に、第一号に掲げる割合から第二号に掲げる割合を控除した割合を乗じて得た額とする」旨規定しており、右規定によれば特殊退職をした際に支給を受けた退職手当に相当する給与の額を当該特殊退職の日におけるその者の俸給月額で除して得 ら第二号に掲げる割合を控除した割合を乗じて得た額とする」旨規定しており、右規定によれば特殊退職をした際に支給を受けた退職手当に相当する給与の額を当該特殊退職の日におけるその者の俸給月額で除して得た数に一二を乗じて得た数に相当する月数を勤続期間から控除することになるから、令附則第一六項は令附則第五項および第七項に矛盾牴触し、無効である。 (二) 原判決添付別紙(一)「退職手当額の計算方法」に記載されている計算方法は、誤つた法律の解釈に基づくものであつて、失当である。すなわち、本件の場合、令附則第一六項第一号の支給割合は、被控訴人の判事退職時の俸給月額一〇万二、六〇〇円に対する六〇(金額にして六一五万六、〇〇〇円)であり、同項第二号の支給割合は、判官退職時の俸給月額六七五円に対する二・四(金額にして一、六二〇円)である。それで、右第一号の割合から右第二号の割合を控除するには、まず第二号の割合を第一号の割合に換算し、その割合(本件の場合は(675÷102,600)×2.4=0.015779 金額にして一、六二〇円)を第一号の割合から控除することを要する。しかるに控訴人は右換算を行なわず前記二・四の支給割合を、そのまま判事退職時の俸給月額一〇万二、六〇〇円に対する支給割合(金額にして二四万六、二四〇円)であると解釈し、この支給割合を直接前記六〇の支給割合から控除して得た五七・六を、判事退職時の俸給月額に乗じてAの退職手当を算出しているが、これは誤りである。 (三) 金銭債権は、その発生原因や債務者の身分等によりその取扱を異にすべきでなく、債権発生時と決済時との間に多少貨幣価値の変動があつても、経済界の混乱を避けるため、すべて一様に発生時の額面金額により決済さるべきものであり、貨幣価値が暴落し(例えば悪性インフレ下のマルク貨幣やルーブル貨幣)、 決済時との間に多少貨幣価値の変動があつても、経済界の混乱を避けるため、すべて一様に発生時の額面金額により決済さるべきものであり、貨幣価値が暴落し(例えば悪性インフレ下のマルク貨幣やルーブル貨幣)、事情変更の原則を適用すべき事態が発生した場合には、右原則をすべての金銭債権につき一様に適用すべきであつて、特殊退職者の退職手当金返還債務のみについて、他の金銭債務と異なつた取扱をなすべきではない。しかして、明治三〇年貨幣法制定以来今日に至るまで事情変更の原則を適用すべき事態の発生したことはなく、金銭債権はすべて発生時の額面金額で決済されてきた。それゆえ、Aが控訴人に対し判官退職時に支給された退職手当を返還する義務があるとしても、現実に支給された額面金額二、九一一円を返還すれば十分である。令附則第一六項が控訴人の解釈するような趣旨の規定であるとすれば、右規定は、特殊退職者の退職手当金返還債務についてのみ、現実に支給した金額の八四・五八九倍にも及ぶ金額の返還を定めるものであるから、憲法第一四条に違反し、無効である。 (四) Aが判官を退職した当時の円の金平価は、事実上純金五八・八八九ミリグラムであり、判事を退職した当時の円の金平価は、事実上純金二・四六九ミリグラム(国際通貨基金に通告したものと同じ。)であるから、判事退職当時の円の金平価は、判官退職当時の円の金平貨に比し、事実上二三・八二分の一に切り下げられたことになる。この程度の円の金平価の切下げは、悪性インフレ下のマルクやルーブルの貨幣価値の暴落に比較すれば極めて微々たるもので、経済界の混乱を避けるためには無視してしかるべきものであることは前述のとおりであるが、仮にこの程度の下落も考慮すべきであるとするならば、貨幣価値の下落の程度に比例して算定するのが最も合理的であるから、本件の場合の支給割合 めには無視してしかるべきものであることは前述のとおりであるが、仮にこの程度の下落も考慮すべきであるとするならば、貨幣価値の下落の程度に比例して算定するのが最も合理的であるから、本件の場合の支給割合は、現実に支給された金二、九一一円に対する二三・八二の割合、金額にして金六万九、三四〇円とすべきである。したがつて右金額を超過する金額(本件の場合は金二四万六、二四〇円)の控除を規定している令附則第一六項は、憲法第二九条に違反し、無効である。 (五) 被控訴人ら先代Aは、昭和四二年二月一四日死亡し、被控訴人らは相続人としてその地位を承継した。 (六) 裁判官の定年退職の場合における退職手当支給事務手続の概要が、控訴人主張一、(二)のとおりであることは認める。 二、附帯控訴によるあらたなる請求原因原判決が控訴人に支払を命じた退職手当の支給が遅延したことによる損害金一二万六、一六八円は、履行期の定めのない債務であるから、控訴人はAよりその履行の請求を受けた日の翌日から遅滞の責に任ずべきところ、Aは昭和三七年五月四日付原審第一回準備書面において控訴人に対しその支払を請求し、右準備書面は同月八日控訴人指定代理人によつて受領せられたから、控訴人は被控訴人らに対し右金一二万六、一六八円に対する同月九日以降完済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。 (証拠関係)(省略) 理由 一、当裁判所は、被控訴人らの退職手当不足額の請求を理由なきものと判断する。 その理由は、左に付加するほかは、原判決理由の記載(原判決一九枚目表三行目から二六枚目表四行目まで)と同一であるから、これを引用する。 (一) 被控訴人ら先代Aが判事を定年退職した昭和三六年六月一六日現在においては、国家公務員等退職手当法(昭和三五年法律第一一一号による から二六枚目表四行目まで)と同一であるから、これを引用する。 (一) 被控訴人ら先代Aが判事を定年退職した昭和三六年六月一六日現在においては、国家公務員等退職手当法(昭和三五年法律第一一一号による改正後のもの。 以下単に「法」という。)附則第四項は、勤続期間の計算方法につき、「昭和二八年七月三一日に現に在職する職員の同年同月同日以前における勤続期間については、政令で定めるものを除く外、なお従前の例による。」旨規定し、これを受けて昭和三六年政令第二〇〇号による改正前の国家公務員等退職手当法施行令附則第五項は、「昭和二〇年八月一五日に現に左の各号の一に掲げる者であつたものが適用日(昭和二八年八月一日)の前日以前において当該各号に掲げる期間内に他に就職することなく職員となつた場合においては、当該各号に掲げる者であつた期間は、そのものの職員としての在職期間に引き続いたものとみなす。 一外地官署所属職員外地官署所属職員の身分に関する件(昭和二一年勅令第二八七号)の規定によりその身分を保留する期間が満了する日の翌日以後九〇日(以下略)」と規定していたのであつて、Aが前記昭和二一年勅令第二八七号の規定により判官を退職したものとみなされたのは昭和二一年五月三一日であり、判事に就職したのは昭和二二年五月二日であることは当事者間に争がないから、同人の判官退職前の在職期間は法令上判事の在職期間に引続いたものとはみなされなかつた。ところが、同人が判事を退職した直後である昭和三六年六月一九日に施行された同年政令第二〇〇号国家公務員等退職手当法施行令の一部を改正する政令は、右附則第五項中「適用日の前日以前において当該各号に掲げる期間内」を「当該各号に掲げる日から適用日の前日までの間」に改め、同項第一号中「以後九〇日」を削つた上、その附則第二項をもつて右改正 政令は、右附則第五項中「適用日の前日以前において当該各号に掲げる期間内」を「当該各号に掲げる日から適用日の前日までの間」に改め、同項第一号中「以後九〇日」を削つた上、その附則第二項をもつて右改正後の附則第五項をもつて右改正後の附則第五項を昭和二八年八月一日以後の退職に係る退職手当について適用することとした。しかして、同人の弁護士開業は、被控訴人ら主張のような事情の下においてなされたものであり、ことに右附則第五項の改正の趣旨にかんがみるときは、同項にいう「他に就職することなく」の「就職」に該当しないものと解するのを相当とするに至つたから、右昭和三六年政令第二〇〇号による改正によつて、同人の判官退職前の在職期間は、判事在職期間に引続いたものとみなされることとなつた。 ところで、右改正後の令附則第五項は、外地官署引揚職員等が内地で再就職した場合における退職手当計算の基礎となる勤続年数の計算方法を定めただけであつて、右職員等が引揚げ等による退職のときに支給された退職手当(これに相当する給与を含む。以下同じ。)に関していかなる措置をとるべきかについては、なんら触れていないのであるから、この点に関し退職手当の二重払いをさけるため、別個に適当な規定を設けても被控訴人らのいうように同項に違反することはないものといわなければならない。 この点の調整を目的として、昭和三六年法律第一五一号により追加された法附則第一〇項(昭和三六年三月一日以後の退職に係る退職手当について適用)は、「昭和二八年七月三一日に現に在職する職員のうち、先に職員として在職した後退職手当(これに相当する給与を含む。)の支給を受けて政令で定める退職をし、かつ、再び職員となつたことがあるもので政令で定める要件をみたすものが退職した場合におけるその者に対する法第三条から第五条までの規定に これに相当する給与を含む。)の支給を受けて政令で定める退職をし、かつ、再び職員となつたことがあるもので政令で定める要件をみたすものが退職した場合におけるその者に対する法第三条から第五条までの規定による退職手当の額は、第三条から第六条まで及び第七条の二第二項の規定にかかわらず、同項の規定に準じて政令で定めたところにより計算した額とする。」旨規定し、これを受けて令附則第一六項(昭和三六年三月一日以後の退職に係る退職手当について適用)は、「政令で定めるところにより計算した額は、その者の最終退職の日における俸給月額に第一号に掲げる割合から第二号に掲げる割合を控除した割合を乗じて得た額とする。 (一号) 前後の在職期間が引き続いたものとして、法第三条から第六条までの規定により計算した額の退職手当の当該俸給月額に対する割合(二号) その者がした特殊退職の際に支給を受けた退職手当の額を、当該特殊退職の日におけるその者の俸給月額で除して得た数に一二を乗じて得た数を、法の規定により計算した勤続期間とみなした場合の法の規定による退職手当の額の、当該特殊退職の日におけるその者の俸給月額に対する割合」との趣旨の規定を設けたのであつて、右規定が被控訴人らのいうように令附則第五項に違反するとは解せられず、また令附則第七項(昭和二八年八月一日以後の退職に係る退職手当について適用)に違反するとも解せられない。 (二) Aが判官退職に際し支給を受けた退職賜金五、八二二円のうち少くとも半額の二、九一一円は法の退職手当に相当する給与とみるのが相当であることは、原判決理由記載のとおりであつて、原判決添付別紙(一)「退職手当額の計算方法」に記載されている計算方法は、令附則第一六項の正当な解釈に基づくものというべく、なんら違法の点は認められない。これに反する被控訴人ら主張の計算 りであつて、原判決添付別紙(一)「退職手当額の計算方法」に記載されている計算方法は、令附則第一六項の正当な解釈に基づくものというべく、なんら違法の点は認められない。これに反する被控訴人ら主張の計算方法は、独自の見解に基づくものであつて、採用することはできない。 (三) 外地官署引揚職員等の退職手当の額の計算について昭和三六年法律第一五一号により追加された法附則第一〇項、令附則第一六項が、法第七条の二第二項の規定に準じ、引揚げ等による退職の際退職手当を支給された場合には、当該退職者の再就職前後の在職期間を合算したときに受ける退職手当の支給割合から、さきに支給された退職手当の再就職前の在職期間に対応する支給割合を控除した割合を、再就職後の退職時の俸給月額に乗じて得た額を退職手当として支給することとしていることは、前記のとおりである。ところで右のごとくいつたん退職して退職手当を支給されたにもかかわらず、再就職前後の在職期間を合算して支給割合を算出し得ることとしたのは、退職者の利益を考慮した立法であるが、右算出にかかる支給割合を再就職後の退職時の俸給月額に乗じて得た額をそのまま退職手当とすることは、退職者に重複して退職手当を支給する結果となつて、その不当であることは明らかであり、また、これよりさきに支給された退職手当の額面金額を控除するだけでは、終戦後の異常なインフレ現象を考慮するとき、調整方法としては未だ不十分であるといわなければならないから、法附則第一〇項、令附則第一六項は、前記「割合の控除」の方法を採用したのであつて、右立法は、特殊退職をした後再就職をした国家公務員の退職手当の計算方法としては適当な方法であり、合理的なものであるといい得る。したがつて、なんら憲法第一四条に違反するものではない。 (四) 法附則第一〇項、令附則第一六項の各規 就職をした国家公務員の退職手当の計算方法としては適当な方法であり、合理的なものであるといい得る。したがつて、なんら憲法第一四条に違反するものではない。 (四) 法附則第一〇項、令附則第一六項の各規定は、前記理由により公共の福祉に適合し、憲法第二九条にも違反しないものと解すべきである。被控訴人らは、被控訴人ら先代Aが判事を退職した当時の円の金平価は、判官を退職した当時の円の金平価の二三・八二分の一に事実上切り下げられているから、判官退職時に支給された退職手当に相当する給与金二、九一一円を二三・八二倍した金額すなわち金六万九、三四〇円を、再就職時の俸給月額に再就職前後の在職期間を合算した場合の支給割合を乗じて得た金額から差引けば足り、それ以上の金額の差引を許す結果となる右各規定は憲法第二九条に違反する旨主張するが、金平価と貨幣価値の変動は必ずしも一致するものではなく、右は独自の見解であつて、採用することができない。 二、次に当裁判所は、原審と見解を異にし、被控訴人らの、退職手当支給の遅延を理由とする損害金の請求をも、理由なきものと判断する。その理由は左のとおりである。 法はその第二条において、「退職した場合」退職手当を支給する旨規定するのみで、支給すべき日を明定していないが、その趣旨は、退職と同時に退職手当を支給すべき債務が発生するとはいえ、その履行期は、当該の各事案にかんがみ、退職後退職手当の支給を準備するために要する合理的な期間を経過したときに到来するものとするにあると解するのが相当である。 これをふえんすれば次のとおりである。すなわち退職手当は「退職した場合」に支給すべきものであるから、退職なる事実の発生により支給すべき債務が当然発生することはもとよりいうまでもないところであるが、死亡による退職の場合には、死亡の日をあらかじめ知 手当は「退職した場合」に支給すべきものであるから、退職なる事実の発生により支給すべき債務が当然発生することはもとよりいうまでもないところであるが、死亡による退職の場合には、死亡の日をあらかじめ知り得ないから、退職の日に退職手当を支給できるようにあらかじめ準備することは不可能であり、また、退職の日を最も確実に予測できる定年退職の場合においても、それはあくまでも予測であるにとどまり、定年前の死亡、退職手当の支給制限事由の発生等退職手当の支給に影響を及ぼすべき未確定要素の存在を無視することもできないのみならず、会計法規は、退職なる事実が確定的に発生した日の翌日以後において、各省、庁の長の退職手当の支給決裁(会計法一〇条)およびその通知行為としての退職者に対する支給辞令書の交付、その他具体的な支給手続として、(一)大蔵大臣に対する支払計画表の送付(財政法第三四条第一項、予算決算及び会計令第一八条の一〇第一項)、(二)これに対する大蔵大臣の承認通知(同令第一八条の一一)、大蔵大臣より日本銀行本店に対する支払計画通知、(三)退職者の所属庁に対する支払計画表ならびに支出負担行為計画示達表の送付(同令第三九条、第四一条)、日本銀行本店から所属庁所在地の日本銀行支店の所属庁支出官口座への振込み、(四)同支出官の同支店に対する小切手振出による送金依頼(会計法第二一条第一項、予算決算及び会計令第四九条第一項、支出官事務規程第一五条第一項、第一七条第一項)、(五)同支店の同支出官に対する小切手領収書の交付(日本銀行国庫金取扱規程第三〇条)、(六)所属庁より退職者に対する国庫金送金通知書の送付、同支店より退職者居住地の銀行に対する支払のための送金等の一連の手続を履践すべきことを要求しており、会計担当官はこれら所定の手続を遵守すべき公法上の義務を負うものである 対する国庫金送金通知書の送付、同支店より退職者居住地の銀行に対する支払のための送金等の一連の手続を履践すべきことを要求しており、会計担当官はこれら所定の手続を遵守すべき公法上の義務を負うものであるから、一般的にいつて退職と同時に退職手当の支給を求めることは、時間的に不能を強いるにひとしく、したがつて退職手当の履行期は普通の場合においては右手続履践に必要な期間、また特殊な場合例えば法令の改正に伴ないその運用につき疑義を生じ、研究を要するような場合には、その研究に必要な期間等例外的に必要とされる手続に要する合理的な期間を経過したときにはじめて到来するものとする趣旨であると解するのが相当である。 ところで、被控訴人らの先代Aの退職手当は、同人の退職後三回に分けて支給され、第一回は昭和三六年七月六日金一四七万七、四四〇円、第二回は昭和三七年一月一二日金七三万八、七二〇円、第三回は同年二月八日金三六九万三、六〇〇円(いずれも税込み)が支給されたことは、当事者間に争がないので、以下右各支給が前段で説示した合理的な期間内になされたものであるかどうかについて、検討する。 同人が判事を定年退官した昭和三六年六月一六日現在においては、法令上同人の判官退職前の在職期間は判事の在職期間に引続いたものとみなされなかつたのであるが、その直後令附則第五項の改正により、引続いたものとみなし得る中間空白期間が大幅に延長されたため、もし同人が右規定にいう「他に就職することなく」の要件を満すものと認められることになれば、同人の外地在職期間等は判事としての在職期間に引続いたものとみなし得ることとなつたことは前記のとおりである。 しかして、各成立に争のない乙第一ないし第七号証、同第八号証の一ないし三、同第九号証、同第一〇ないし第一二号証の各一、二、原審証人Bおよび当審証人 とみなし得ることとなつたことは前記のとおりである。 しかして、各成立に争のない乙第一ないし第七号証、同第八号証の一ないし三、同第九号証、同第一〇ないし第一二号証の各一、二、原審証人Bおよび当審証人Cの各証言を総合し、これに弁論の全趣旨を参酌すれば、次の事実を認めることができる。 すなわち、Aは、判官退職後判事に再就職するまでの間に、弁護士名簿に登録して弁護士を開業していた事実があり、したがつて右規定にいう「他に就職することなく」の要件を充たすかどうか極めて疑問であつたので、最高裁判所事務総局人事局長は、あらかじめ原判決添付別紙(二)のとおり昭和三六年六月六日付書面をもつて退職手当の主管庁である大蔵省主計局長に宛てこの点に関する見解を照会していたが、当人が退職するまでにその回答を得られなかつたため、とりあえず判事任命後の勤続期間について法第三条(普通退職の場合の退職手当)を適用した退職手当を支給することとして、昭和三六年七月六日第一回の支給をしたこと。 その後も大蔵省主計局長の回答がないまま昭和三六年一二月九日に至り、歳出予算の支出が可能なことの見通しがついたので、昭和三二年法律第七四号国家公務員等退職手当暫定措置法等の一部を改正する法律附則第二項および同年政令第一二六号国家公務員等退職手当暫定措置法等の一部を改正する法律附則第二項の規定により退職手当の支給を受ける職員の範囲等を定める政令第二条(年令五〇才以上で勤続一〇年以上の者等に整理退職の場合と同じ退職手当の支給をすることができる旨の規定。)および第三条(「右法律附則第二項の規定により国家公務員等退職手当法第五条の規定による退職手当を支給する場合においては、当該年度におけるその支給額と当該各省各庁に所属するその他の職員に対し同法の規定により支給する退職手当の額との合計額が当該年 家公務員等退職手当法第五条の規定による退職手当を支給する場合においては、当該年度におけるその支給額と当該各省各庁に所属するその他の職員に対し同法の規定により支給する退職手当の額との合計額が当該年度における当該各省各庁の退職手当に係る歳出予算の額をこえないようにしなければならない。」旨の規定。)の規定に基づき、法第五条(整理退職等の場合の退職手当)による退職手当を支給することにして、昭和三七年一月一二日第二回分を追給したこと。 原判決添付別紙(三)のとおり昭和三七年一月一〇日付書面をもつて大蔵省主計局長より最高裁判所事務総長宛て令附則第五項の「他に就職することなく」の解釈についての通知があり、右書面は同月一一日到達し、その記載のごとく運用することになつたため、本件の場合もこれに準じて当人の前記弁護士開業を同項にいわゆる「就職」に該当しないものとして取扱うこととし、当人の判官退職前の在職を判事任命後の在職に引続いたものとみなして法第五条を適用し、すでに支給ずみの額との差額を昭和三七年二月八日第三回分として支給したこと。 なお停年退職の普通の場合に、履歴事項の調査、退職手当の発令上申等退職日前になし得る手続を退職日前にすませたとしても、会計法規上の制約のため、当時の官庁機構の下では通常退職日以後二〇日ないし三〇日前後の期間を退職手当支給手続のために必要としたこと。 以上の事実が認められるのであつて、他に右認定を左右するに足る証拠はない。 そうすると、第一回の支給は、勤続期間の計算につき、判事在職中の期間に判官在職中の期間を通算することに改正法令解釈上の疑義があつたが、本人の利益を考慮し、右疑義の解決をまつことなく、とりあえず支給可能な限度において、判事任命後の勤続期間について法第三条を適用した退職手当を支給することとしたものであつて、 解釈上の疑義があつたが、本人の利益を考慮し、右疑義の解決をまつことなく、とりあえず支給可能な限度において、判事任命後の勤続期間について法第三条を適用した退職手当を支給することとしたものであつて、右につき法第五条の退職手当を支給することができなかつたのは当時法令による歳出予算上の拘束があつたためであると認められるから、右第一回の支給は相当であり、かつ本人の定年退職日である昭和三六年六月一六日の翌日から起算して二〇日目に支給されているから右にいう合理的な期間内に支給されたものということができる。 第二回目の支給は、右法令解釈上の疑義が容易に解決されないまま、昭和三六年一二月九日を迎え歳出予算の支出可能なことの見通しがついたので、前同様本人の利益を考慮し、判事任命後の勤続期間について法第五条による退職手当を支給することとし、昭和三七年一月一二日に、さきに支給した法第三条による第一回の支給分との差額を追給したものであるから、これまた相当であり、かつ右第二回目の支給は歳出予算の支出可能の見通しがついた昭和三六年一二月九日から起算して三五日目になされており、この間には年末年始の休暇がはさまれていることを考慮すると、これも合理的な期間内になされたものということができる。 第三回の支給はさらに遅れ昭和三七年二月八日にようやくなされているが、そもそも、法令の改正前にあらかじめあらゆる具体的事案に即応する行政解釈を定めておくことは事実上困難であるのみならず、本件のごとく反対解釈をなしうる余地が多分に存し、しかも同種事案が多数にのぼることが予想される案件にあつては、主管庁において歳出予算の余裕の程度ともにらみあわせて慎重に検討する必要があり、本件の場合、大蔵省主計局長は昭和三六年六月六日付書面による最高裁判所事務総局人事局長よりの照会に対し、昭和三七年 は、主管庁において歳出予算の余裕の程度ともにらみあわせて慎重に検討する必要があり、本件の場合、大蔵省主計局長は昭和三六年六月六日付書面による最高裁判所事務総局人事局長よりの照会に対し、昭和三七年一月一〇日付書面をもつてはじめて右に関連する通知をなしているが、それまでにかような日時を費したのは、決して主管庁の怠慢によるものではなく、右に掲げたような諸事由から慎重審議を重ねてもなお結論を得るまでにそれだけの日時を必要とするやむを得ない事情にあつたものと認められ、法令上の解釈の疑義につき当局が即座に行政解釈を与えないことは事案のいかんを問わずそれ自体国の責任であるとは一概にはいいきれないから、右第三回の支給も結局相当であるというに妨げなく、かつ右第三回の支給は前記大蔵省主計局長の通知書の到達した日である昭和三七年一月一一日から起算して二九日目になされているから、これも合理的な期間内になされたものということができる。 以上を要するに退職手当の支給は、普通の場合には、退職後二〇日ないし三〇日前後の期間内になされれば履行遅滞なく、特殊な場合には、その特殊事由が整備された後、前同期間内になされれば同じく履行遅滞はないというべきである。 右のとおりで、本件退職手当は、退職後退職手当の支給を準備するために要する合理的な期間内に支給されているものということができるから、控訴人はその支給について履行遅滞の責を負わず、したがつて被控訴人らの遅延損害金の請求は理由がない。 三、そこで、被控訴人らの国家賠償請求について按ずるに、被控訴人らの先代Aに支給すべき退職手当は、全額その履行期に支給ずみであることは右に述べたとおりであるから、退職手当不足額相当の損害および退職手当支給遅延による損害は発生するに由なく、したがつて被控訴人らの国家賠償の請求が理由なきことは は、全額その履行期に支給ずみであることは右に述べたとおりであるから、退職手当不足額相当の損害および退職手当支給遅延による損害は発生するに由なく、したがつて被控訴人らの国家賠償の請求が理由なきことは、明らかである。 四、遅延損害金の不履行ありとしても、さらにこれに遅延損害金を附加することは原則として許されないのみならず、被控訴人らの前記遅延損害金の請求が理由のないことは二に述べたとおりであるから、その履行遅滞を根拠としてさらにこれに対する遅延損害金の支払を求める被控訴人らの附帯控訴にかかる請求も理由なきことは、明らかである。 五、如上説示の次第で、本件控訴は理由があるから、原判決中控訴人敗訴の部分を取消して被控訴人らの請求を棄却し、本件各附帯控訴はいずれも理由がないから、これを棄却すべく、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九六条、第八九条、第九三条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官古山宏川添万夫右田●雄)別表(省略)
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