主文 1 本件控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は,控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人法務大臣が平成13年11月16日付けで控訴人に対してした出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく控訴人の異議の申出は理由がない旨の裁決を取り消す。 3 被控訴人東京入国管理局主任審査官が平成13年11月16日付けで控訴人に対してした退去強制令書発付処分を取り消す。 第2 事案の概要(略語等は,原則として,原判決に従う。) 1 本件は,控訴人が,退去強制手続において,被控訴人法務大臣から出入国管理及び難民認定法(平成13年法律第136号による改正前のもの。出入国管理法)49条1項に基づく異議の申出は理由がない旨の裁決(本件裁決)を受けるとともに,被控訴人東京入国管理局主任審査官から退去強制令書の発付処分(本件処分)を受け,本件裁決については,同法施行規則(平成13年法務省令第76号による改正前のもの。出入国管理法施行規則)43条に規定する裁決書が作成されておらず,また,控訴人は難民の地位に関する条約(難民条約)上の難民であるのに迫害のおそれのある本国イランに送還することは同条約33条のノン・ルフールマン原則及び出入国管理法53条3項に違反し,拷問及び他の残虐な,非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約(拷問等禁止条約)3条1に違反することとなるにもかかわらず,控訴人に在留特別許可を認めなかった点で裁量を逸脱した違法がある旨主張して,被控訴人法務大臣に対して本件裁決の取消しを,また,被控訴人東京入国管理局主任審査官に対して本件裁決を前提とする本件処分の取消しを,それぞれ求めた事案である。 2 原審は,本件裁決につき,裁決書を作成せ 人法務大臣に対して本件裁決の取消しを,また,被控訴人東京入国管理局主任審査官に対して本件裁決を前提とする本件処分の取消しを,それぞれ求めた事案である。 2 原審は,本件裁決につき,裁決書を作成せずにされた点で瑕疵があるが,本件裁決を取り消さなければならないほどの瑕疵ではないとした上で,控訴人が難民条約上の難民であるとは認められず,本件裁決につき,裁量を逸脱した違法はなく,本件裁決を前提とする本件処分も適法であるとして,控訴人の請求をいずれも棄却した。 当裁判所も,原判決と同様,控訴人の請求はいずれも棄却すべきものと判断した。 3 前提となる事実,当事者双方の主張及び争点は,原判決の事実及び理由の「第2 事案の概要」1から3まで(原判決2頁12行目から36頁2行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所の判断も,原判決の事実及び理由の「第3 争点に対する判断」1から3まで(原判決36頁4行目から58頁21行目まで)の記載と同じであるから,これを引用する。 控訴人は,当審においても,①出入国管理法49条1項に基づく異議の申出に対する裁決は,退去強制が著しく不当であるか否かに関する判断を含むものであって,本件裁決につき裁決書が作成されなかった瑕疵は重大であり,また,②控訴人は難民条約上の難民に当たり,③控訴人を本国イランに送還することは拷問等禁止条約等に違反して違法であり,本件裁決及び本件処分はいずれも取り消されるべきである旨主張する。 しかし,①については,出入国管理法49条1項に基づく異議の申出に対する裁決が退去強制の不当性に関する判断を含むとする控訴人の解釈は,採用し難い。裁決書は,退去強制事由の存否に関する法務大臣の判断の適正を担保することを目的として作成されるのであり,本件においては,退去強 決が退去強制の不当性に関する判断を含むとする控訴人の解釈は,採用し難い。裁決書は,退去強制事由の存否に関する法務大臣の判断の適正を担保することを目的として作成されるのであり,本件においては,退去強制事由の存否は争われておらず,裁決書が作成されなかった瑕疵が本件裁決を取り消さなければならないほどの瑕疵ではないと解すべきことは,前記判示(原判決38頁2行目から13行目まで参照)のとおりである。 ②及び③については,本国での迫害のおそれに関する控訴人の供述が変遷しており,来日後長期間にわたって難民認定申請をしなかった控訴人の行動等からしても,控訴人を難民条約上の難民と認めることができず,控訴人が本国に送還された場合に迫害や拷問を受けるおそれがあると認められないことは,前記判示(原判決43頁9行目から57頁23行目まで参照)のとおりである。原審控訴人本人尋問の結果によっても,控訴人が自らしたとする政治活動の内容は,中学生のころにビラ配りやポスター貼りをしたことなどが主なものである上,その後控訴人は,本国において19歳のころから2年余りの間兵役を務め,その後通常の手続により旅券を取得して特段の問題もなく本国を出国し,本邦に入国するに至ったことが認められ,これらの事実からしても,控訴人が難民条約上の難民で,本国に送還された場合に迫害や拷問を受けるおそれがあるとは到底認められない。 よって,控訴人の上記主張はいずれも理由がない。 2 以上によれば,本件裁決は適法であり,本件裁決を前提とした本件処分も適法であるから,控訴人の請求は,いずれも理由がない。 第4 結論よって,控訴人の請求をいずれも棄却した原判決は相当であるから,本件控訴をいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第1民事部裁判長裁判官江見弘 よって,控訴人の請求をいずれも棄却した原判決は相当であるから,本件控訴をいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第1民事部裁判長裁判官江見弘武裁判官植垣勝裕裁判官村田斉志ページ(1)
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