【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人菅野勘助の上告趣意について。 原審第二回公判調書には、その末尾に、裁判所書記Aの署名はあるけれども、そ の名下に
主文本件上告を棄却する。 理由弁護人菅野勘助の上告趣意について。 原審第二回公判調書には、その末尾に、裁判所書記Aの署名はあるけれども、その名下に同人の捺印を欠いていることは所論のとおりである。即ち、右調書は刑事訴訟法第六三条第一項所定の方式に違うものといわなければならない。しかしながら、公判調書が右のごとく、法定の方式を欠いた場合でも、これかために、直ちに、その調書を無効とすべきものではなく、裁判所は諸般の状況を勘考して、その調書の成立及び内容の真否を判断した上、自由裁量によつて、その効力の有無を判定すべきものである。よつて、記録を精査するに、右公判調書の末尾における、前記裁判所書記の署名の筆蹟は、同書記が適式に作成した原審第一回公判調書におけるその署名の筆蹟と同一であるばかりでなく、右第二回公判調書本文の筆蹟もすべて、同一であることが、きわめて、あきらかであるから、右公判調書は、その末尾に署名した裁判所書記Aが正当に作成したものであり、且つ、他に特別の事情も認められないから、右調書の記載内容もその証明力において、何ら欠くるところのないものと認めなければならない。 従つて、裁判所書記の捺印を欠いたという一事を理由として、同調書の効力を否定し、その記載内容の真実性を攻撃する論旨は、理由がない。 弁護人平田奈良太郎の上告趣意について。 原判決は、被告人及び共同被告人Bの原審公判廷における「各自の関係部分について、判示と同趣旨の供述」を証拠として判示強盗の事実を認定している。しかして、記録によれば、被告人は原審第二回公判において、原判決の摘示する強盗の事実を全部自供していることは明らかである。もつとも、原審第二回公判調書によれ- 1 -ば、裁判長は第一審判決摘示の事実を解示若しくは読聞 ば、被告人は原審第二回公判において、原判決の摘示する強盗の事実を全部自供していることは明らかである。もつとも、原審第二回公判調書によれ- 1 -ば、裁判長は第一審判決摘示の事実を解示若しくは読聞かせたに対し、被告人はその通り相違なき旨を供述したことが記載されてあり、右部分については、第一審判決における記載を対照しなければ右公判調書の記載内容が判明しないことは所論のとおりである。しかしながら、原判決は判示強盗の事実を認定する資料として、右公判調書の記載を挙示したものではなく、原審第二回公判における被告人の判示同趣意の供述そのものを証拠としたのであつて、右供述内容は右公判調書の記載並びに同調書に引用せられて、同調書の内容の一部をなすに至つた第一審判決の事実摘示によつて、明瞭であるから判決に右供述を証拠として挙示するにあたつては右供述の外、特に第一審判決を掲記する必要のないことは、いうまでもないことである。 論旨は特に第一審判決をも掲記しないかぎり本件強盗の構成要件である脅迫手段について証拠を欠くこととなると、主張するけれども、第一審判決に右脅迫手段の具体的内容が摘示されてあり、被告人が原審公判においてその通り相違なき旨の供述をしている以上、被告人が右脅迫の手段についても、第一審判決と同旨の供述をしたものであることは明白である。従つて原判決には所論のような理由不備の違法はなく論旨は理由はない。 よつて刑事訴訟法第四四六条に従い、主文のとおり判決する。 右は裁判官全員の一致した意見である。 検察官小幡勇三郎関与昭和二三年一二月一八日最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官塚崎直義裁判官霜山精一裁判官栗 最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官塚崎直義裁判官霜山精一裁判官栗山茂裁判官藤田八郎- 2 -
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