平成8(行ウ)41 法人税更正処分等取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成15年5月15日 東京地方裁判所 租税
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判決文本文91,351 文字)

主文 1 被告が平成4年6月2日付けで原告に対してした,平成元年4月1日から平成2年3月31日までの課税期間の消費税の更正処分(ただし,平成8年1月22日付け裁決により一部取り消された後のもの)のうち,課税標準額120億9667万3000円,納付すべき税額1億9624万1900円を超える部分を取り消す。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,これを5分し,その4を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告が平成4年6月2日付けで原告に対してした, 1 平成元年4月1日から平成2年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち所得金額1028万4643円,納付すべき税額277万6600円を超える部分及び無申告加算税の賦課決定処分のうち41万5500円を超える部分(ただし,平成8年1月22日付け裁決によりいずれも一部取り消された後のもの) 2 平成元年4月1日から平成2年3月31日までの課税期間の消費税の更正処分のうち課税標準額118億9924万8000円,納付すべき税額1億9196万1900円を超える部分(ただし,平成8年1月22日付け裁決により一部取り消された後のもの)をいずれも取り消す。 第2 事案の概要本件は,被告が,医学部,附属病院,薬学部等を擁する学校法人である原告に対し,①原告が製薬会社等の委託に基づいて行う治験,委託研究等に起因して受領した寄附金による収入は,治験,委託研究等の対価であって,請負業に係る収入に該当すること,②原告の附属病院の眼科に出入りする業者から受領した金員は,コンタクトレンズの販売に関するあっせんに係る対価であり,仲立業に係る収入に該当すること,並びに③ あって,請負業に係る収入に該当すること,②原告の附属病院の眼科に出入りする業者から受領した金員は,コンタクトレンズの販売に関するあっせんに係る対価であり,仲立業に係る収入に該当すること,並びに③金銭貸付業に係る利子収入及び不動産貸付業に係る賃料収入の申告額に計上漏れがあったことを前提として,これらの収益事業収入による所得等が申告されていなかったとして,原告の平成元年4月1日から平成2年3月31日までの事業年度における法人税の更正処分及び無申告加算税の賦課決定並びに原告の平成元年4月1日から平成2年3月31日までの課税期間の消費税の更正処分を行ったのに対し,原告がこれを不服として,上記各処分のうち申告額を超える部分の取消しを求めている事案である。 1 法令の定め等法人税法(昭和40年法律第33号。ただし,平成2年法律第62号による改正前のもの。以下同じ。)4条1項は,内国法人である公益法人等(同法別表第二に掲げる法人をいう。同法2条6号)について,収益事業を営む場合又は同法84条1項に規定する退職年金業務等を行う場合に限り,法人税を納める義務があるとし,同法7条1項は,公益法人等の各事業年度の所得のうち,収益事業から生じた所得以外の所得については,各事業年度の所得に対する法人税を課さないこととしている。 そして,上記の収益事業の意義について,同法2条13号は,「販売業,製造業その他の政令で定める事業で,継続して事業場を設けて営まれるものをいう。」と規定し,これを受けて,法人税法施行令(昭和40年政令第97号。ただし,平成2年政令第29号及び同年政令第94号による改正前のもの。以下「施行令」という。)5条1項は,収益事業として33業種を規定したうえ,その性質上その事業に付随して行われる行為も収益事業に含まれることと 年政令第29号及び同年政令第94号による改正前のもの。以下「施行令」という。)5条1項は,収益事業として33業種を規定したうえ,その性質上その事業に付随して行われる行為も収益事業に含まれることとしている。同項の規定する収益事業には,金銭貸付業(同項3号),不動産貸付業(同項5号),請負業(事務処理の委託を受ける業を含む。同項10号),仲立業(同項19号)等がある。 なお,医療保健業も収益事業とされているが(同項29号),私立学校法(昭和24年法律第270号。ただし,平成3年法律第79号による改正前のもの。以下同じ。)3条に規定する学校法人が行う医療保健業は,収益事業から除外されている(施行令5条1項29号ハ)。 2 前提となる事実(これらの事実はいずれも当事者間に争いがない。)(1) 原告は,私立学校法3条に基づいて設置され,医学部,附属病院,薬学部等を擁する学校法人である。 (2) 治験について医薬品,医薬部外品,厚生大臣の指定する成分を含有する化粧品及び医療用具(以下これらを併せて「医薬品等」という。)を製造しようとする者は,品目ごとに厚生大臣の承認を受けなければならないこととされており(薬事法(昭和35年法律第145号。ただし,平成2年法律第33号による改正前のもの。以下同じ。)14条1項),その製造承認申請に当たっては,申請書に臨床試験の試験成績に関する資料を添付しなければならないこととされている(同条3項)。 そして,この臨床試験の試験成績に関する資料の収集を目的とする試験を治験といい(同法80条の2第1項),一般に,医薬品等の製造,販売等を行う会社(以下「製薬会社等」という。)は,医薬品等の製造承認を受けようとする場合,この治験を医科大学等の医療機関に依頼して,臨床試 験といい(同法80条の2第1項),一般に,医薬品等の製造,販売等を行う会社(以下「製薬会社等」という。)は,医薬品等の製造承認を受けようとする場合,この治験を医科大学等の医療機関に依頼して,臨床試験の試験成績に関する資料の収集を行っている。 大学において治験を実施するに当たっては,製薬会社等からの申出に基づき,大学が実施の細目について検討したうえで,受託する場合には,製薬会社等と大学の間で治験の実施に関する契約を締結し,大学は臨床試験を実施し,その結果を製薬会社等に報告する。 原告は,平成2年3月期において,製薬会社等からの申出に基づいて,治験を実施したものである。 (3) 原告による金員の受領ア原告は,平成2年3月期において,別表1記載の各収入先から,同表記載の医学部,医学部附属板橋病院(以下「附属病院本院」という。),医学部附属溝口病院(以下「溝口病院」という。),医学部附属市原病院((以下「市原病院」という。),医真菌研究センター及び薬学部の6施設において,奨学寄附金,研究助成金等の寄附金(以下「奨学寄附金等」という。)として,同表記載のとおり,合計3億1309万7272円を受領した(以下,これらの金員を「本件寄附金」という。)。 上記3億1309万7272円は,①薬学部が受領した2648万円と,②医学部,附属病院本院,溝口病院,市原病院及び医真菌研究センターの5施設(以下「医学部等」という。)が受領した2億8661万7272円の合計額である。 イ原告は,附属病院本院及び市原病院において,眼科に出入りする眼鏡及びコンタクトレンズの販売業者である南旺光学株式会社(以下「南旺光学」という。),株式会社シード東京販売(以下「シード東京販売」という。),株式会社 院本院及び市原病院において,眼科に出入りする眼鏡及びコンタクトレンズの販売業者である南旺光学株式会社(以下「南旺光学」という。),株式会社シード東京販売(以下「シード東京販売」という。),株式会社リッキーコンタクトレンズ,株式会社高橋巳之助商店及び株式会社高橋眼鏡店の5社(以下「南旺光学ほか4社」という。)から,それぞれ別表2記載の金員を受領した。 ウ原告は,武蔵野土木工業株式会社,ウエノハラスポーツヒルズ株式会社(以下「ウエノハラスポーツヒルズ」という。)及び東京興地株式会社の3社(以下この3社を併せて「武蔵野土木工業ほか2社」という。)に対し,別表3記載の貸付年月日に,同表記載の返済期限及び年利の約定で,同表記載の各貸付金を貸し渡した(以下「本件貸付金」という。)が,平成元年4月1日から平成2年3月31日までの間において,本件貸付金に係る別表3の「利子収入金額」欄記載の利息の支払を受けなかった。 (4) 課税処分等の経緯ア原告は,平成4年1月22日,被告に対し,原告の平成元年4月1日から平成2年3月31日までの事業年度(以下「平成2年3月期」という。)の法人税について,別表4の期限後申告欄記載のとおり確定申告をした。 これに対し,被告は,平成4年6月2日付けで,別表4の更正・賦課決定欄記載のとおり更正処分(以下「本件法人税更正処分」という。)及び無申告加算税賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」という。)をした。 イ原告は,平成2年5月31日,被告に対し,平成元年4月1日から平成2年3月31日までの課税期間(以下「平成2年3月課税期間」という。)の消費税について,別表5の確定申告欄記載のとおり記載して,法定申告期限内に申告を行った。 また,原告は,平 平成2年3月31日までの課税期間(以下「平成2年3月課税期間」という。)の消費税について,別表5の確定申告欄記載のとおり記載して,法定申告期限内に申告を行った。 また,原告は,平成3年5月31日,被告に対し,上記課税期間の消費税について,別表5の更正の請求欄記載のとおり,更正の請求をした。 これに対し,被告は,同年9月17日付けで,別表5の更正(減額)欄記載のとおり更正処分をした。 その後,原告は,平成4年1月22日,被告に対し,上記消費税について,別表5の修正申告欄記載のとおり修正申告をしたが,被告は,同年6月2日付けで,別表5の再更正欄記載のとおり再更正処分をした(以下「本件消費税更正処分」といい,本件法人税更正処分及び本件賦課決定処分と併せて,「本件各処分」という。)。 (5) 異議申立て及び審査請求ア原告は,平成4年6月24日,被告に対し,本件各処分を不服として異議申立てをしたが,被告は,同年9月24日付けで,原告の異議申立てを棄却する旨の決定をした。 イさらに,原告は,平成4年10月6日,国税不服審判所長に対し,上記異議決定を不服として審査請求をした。 これに対し,国税不服審判所長は,平成8年1月22日付けで,別表4の裁決欄記載のとおり,本件法人税更正処分及び本件賦課決定処分の一部を取り消すとともに,別表5の裁決欄記載のとおり,本件消費税更正処分の一部を取り消す旨の裁決(以下「本件裁決」という。)をした。 3 被告による本件各処分の根拠(1) 本件法人税更正処分の根拠原告の平成2年3月期の法人税の課税所得金額は5369万3740円であり,納付すべき税額は1449万7100円であるところ,上記の各金 分の根拠(1) 本件法人税更正処分の根拠原告の平成2年3月期の法人税の課税所得金額は5369万3740円であり,納付すべき税額は1449万7100円であるところ,上記の各金額の計算根拠は,次のとおりである。 ア課税所得金額について原告の平成2年3月期の法人税の課税所得金額は,5369万3740円であるところ,その根拠は,別表6のとおりであり,各金額の根拠は,次のとおりである。 a 申告課税所得金額 1028万4643円上記金額は,原告の平成2年3月期の法人税納税申告書に記載されている所得金額である。 b 請負業に係る収益計上漏れ 3億1309万7272円別表1記載の収入金額の合計額3億1309万7272円は,同表記載の製薬会社等から新薬の開発等に係る治験,委託研究,情報提供等(以下「治験等」という。)の依頼を受け,これらに係る役務の提供の対価として受領したものであるところ,この金額は,請負業に係る収益として平成2年3月期の益金の額に算入すべきであるにもかかわらず,算入されていないので,この金額を申告課税所得金額に加算する。 c 仲立業に係る収益計上漏れ 1062万円別表2記載の南旺光学ほか4社からの収入金額の合計額1062万円は,原告が上記5社に対し行った眼鏡及びコンタクトレンズ(以下「眼鏡等」という。)の販売に関するあっせんの対価として受領したものであるところ,この金額は,仲立業に係る収益として平成2年3月期の益金の額に算入すべきものであるにもかかわらず,算入されていないので,この金 という。)の販売に関するあっせんの対価として受領したものであるところ,この金額は,仲立業に係る収益として平成2年3月期の益金の額に算入すべきものであるにもかかわらず,算入されていないので,この金額を申告課税所得金額に加算する。 d 金銭貸付業に係る収益計上漏れ 1億4923万5881円別表3の「利子収入金額」欄記載の本件貸付金に係る利子(以下「本件未収利子」という。)1億4923万5881円は,金銭貸付業の収益として平成2年3月期の益金の額に算入すべきものであるにもかかわらず,算入されていないので,この金額を申告課税所得金額に加算する。 e 不動産貸付業に係る収益計上漏れ 2725万6002円有限会社タガタ産業(以下「タガタ産業」という。)に対する静岡県藤枝市αほか19筆の土地(以下「本件土地」という。)の賃料2725万6002円は,不動産貸付業の収益として平成2年3月期の益金の額に算入すべきものであるにもかかわらず,算入されていないので,この金額を申告課税所得金額に加算する。 f 請負業に係る経費認容 2億5179万7166円上記金額は,前記bにおいて請負業に係る収益の計上漏れとして課税所得金額に加算した金額3億1309万7272円に対応する経費の額であり,上記経費の額2億5179万7166円は損金に算入すべきものであるから,同金額を課税所得金額から減算する。 上記経費の額2億5179万7166円は,次の①及び②の金額の合計額であり,病院及び薬学部の会計収支を基準にして,次のとおり算定したものである(別表7参照)。 ① 治験 上記経費の額2億5179万7166円は,次の①及び②の金額の合計額であり,病院及び薬学部の会計収支を基準にして,次のとおり算定したものである(別表7参照)。 ① 治験及び委託研究の経費の額 2億3577万8872円上記金額は,病院消費支出合計額236億4434万2840円及び医学部教員人件費調整金額33億2036万4558円の合計額から,治験収入及び委託研究収入に関係がない経費科目である薬品費66億9778万8412円及び給食材料費3億4201万6479円の合計額70億3980万4891円を控除して得た金額199億2490万2508円に,治験及び委託研究収入金額2億8661万7272円の病院総収入金額242億2108万9630円に占める割合を乗じて算定した金額である。 なお,上記の医学部教員人件費調整金額33億2036万4558円は,医学部教員人件費44億3751万1664円に,病院総収入金額242億2108万9630円の病院総収入金額242億2108万9630円及び医学部収入金額81億4926万1839円の合計額323億7035万1469円に占める割合を乗じて算出したものである。 ② 薬学部請負業の経費の額 1601万8294円上記金額は,薬学部消費支出合計額16億3637万9476円に,薬学部請負収入金額2648万円の薬学部合計収入金額27億0511万5033円に占める割合を乗じて算定したものである。 g 仲立業に係る経費認容 876万3919円上記金額は,前記cにおいて仲立業に係る収益の計上漏れとして課税 算定したものである。 g 仲立業に係る経費認容 876万3919円上記金額は,前記cにおいて仲立業に係る収益の計上漏れとして課税所得金額に加算した金額1062万円に対応する経費の額及び原告が納税申告をした仲立業に係る経費の額の修正差額の合計額であり,上記仲立業に係る収益を所得金額に加算したことに伴い,上記経費の額876万3919円を課税所得金額から減算する。 上記経費の額876万3919円は,次の①ないし④の金額の合計額であり,病院,大学,高校及び中学の会計収支を基準にして次のとおり算定したものである(別表7参照)。 ① 眼鏡等に係る仲立業の経費の額 875万8269円上記金額は,病院消費支出合計額236億4434万2840円及び医学部教員人件費調整金額33億2036万4558円の合計額から委託研究に直接関係がない経費科目である薬品費66億9778万8412円及び給食材料費3億4201万6479円の合計額70億3980万4891円を控除して得た金額199億2490万2507円に,眼鏡等に係る仲立業収入金額1304万2500円の病院総収入金額242億2108万9630円に占める割合を乗じて得た金額1072万9101円から,原告が納税申告した眼鏡等に係る仲立業の経費の額197万0832円を控除して算定したものである。 ② 大学に係る仲立業の経費の額 4734円上記金額は,大学消費支出合計額150億6608万2502円から教員人件費77億6646万2927円,教育研究経費41億6479万4595円,広告費1億7243万5 734円上記金額は,大学消費支出合計額150億6608万2502円から教員人件費77億6646万2927円,教育研究経費41億6479万4595円,広告費1億7243万5104円,渉外費1761万7894円,支払報酬4億4232万6850円及び教育研究用機器備品除却損500万6109円の合計額125億6864万3479円を控除した金額24億9743万9023円に,大学に係る仲立業収入金額186万0720円の大学総収入金額285億8994万6097円に占める割合を乗じて得た金額16万2540円から,原告が納税申告した大学に係る仲立業の経費の額15万7806円を控除して算定したものである。 ③ 高校に係る仲立業の経費の額 720円上記金額は,高校消費支出合計額2億7977万8430円から教員人件費1億4034万4845円,教育研究経費9894万7628円,広告費371万905円,渉外費137万7702円及び支払報酬1817万8828円の合計額2億6255万9908円を控除した金額1721万8522円に,高校に係る仲立業収入金額70万2830円の高校総収入金額4億8985万8586円に占める割合を乗じて得た金額2万4704円から,原告が納税申告した高校に係る仲立業の経費の額2万3984円を控除して算定したものである。 ④ 中学に係る仲立業の経費の額 196円上記金額は,中学消費支出合計額8530万8882円から教員人件費3709万6597円,教育研究経費3478万9681円,広告費446万7272円,渉外費91万8248円及び支払報酬193万2811円の合計額7920万4609 額8530万8882円から教員人件費3709万6597円,教育研究経費3478万9681円,広告費446万7272円,渉外費91万8248円及び支払報酬193万2811円の合計額7920万4609円を控除した金額610万4273円に,中学に係る仲立業収入金額16万1830円の中学総収入金額1億4682万5013円に占める割合を乗じて得た金額6728円から,原告が納税申告した中学に係る仲立業の経費の額6532円を控除して算定したものである。 h 金銭貸付業に係る経費認容 1億3012万1315円上記金額は,上記dにおいて金銭貸付業に係る収益の計上漏れとして申告課税所得金額に加算した貸付金利子1億4923万5881円に対応する経費の額及び原告が納税申告した貸付金利子に係る経費の額の修正額の合計額であり,上記経費の額1億3012万1315円は損金の額に算入すべきものであるから,同金額を課税所得金額から減算する。 上記金銭貸付業に係る経費認容額は,本部会計の収支を基準にして,別表7のとおり,本部支出合計額55億4233万1146円から金銭貸付業収入に直接関係がない経費科目である寄附金20億0452万5499円を控除して得た金額(以下「本部支出調整金額」という。)35億3780万5647円に,次の①の金額の②の金額に占める割合を乗じて計算した金額1億6932万3251円から,原告が納税申告をした貸付金利子に係る経費の額とした金額3920万1936円を控除して算定したものである。 ① 上記dにおいて課税所得金額に加算した貸付金利子1億4923万5881円及び原告が納税申告をした貸付金利子4746万7486円の合計金額 ① 上記dにおいて課税所得金額に加算した貸付金利子1億4923万5881円及び原告が納税申告をした貸付金利子4746万7486円の合計金額1億9670万3367円② 原告が平成2年3月期に帰属すべき本部総収入金額として計上した40億1292万6423円に本件未収利子1億4923万5881円及び本件における未収の不動産賃料2725万6002円を加算した金額から,前期分の利子の収入計上額7582万4044円及び翌期分の利子の収入計上額371万4035円を減算して得た金額(以下「本部総収入調整金額」という。)41億0988万0227円i 不動産貸付業に係る経費認容 2348万1759円上記金額は,上記eにおいて不動産貸付業に係る収益の計上漏れとして課税所得金額に加算した金額2725万6002円に対応する経費の額及び原告が納税申告した不動産賃料に係る経費の額の修正差額の合計額であり,上記経費の額2348万1759円は損金の額に算入すべきものであるから,同金額を課税所得金額から減算する。 上記経費認容額2348万1759円は,次の①及び②の金額の合計金額であり,別表7のとおり,本部会計及び大学会計の収支を基準にして次のとおり算定したものである。 ① 課税所得金額に加算した金額に対応する経費の額2346万2104円上記金額は,本部支出調整金額35億3780万5647円に,上記課税所得金 の額2346万2104円上記金額は,本部支出調整金額35億3780万5647円に,上記課税所得金額に加算した本件土地の賃料2725万6002円の本部総収入調整金額41億0988万0227円に占める割合を乗じて算定したものである。 ② 不動産賃料に係る経費の額の修正差額 1万9655円上記金額は,大学消費支出合計額150億6608万2502円から不動産貸付業収入に直接関係しない経費科目である教員人件費77億6646万2927円,教育研究経費41億6479万4595円,広告費1億7243万5104円,渉外費1761万7894円,支払報酬4億4132万6850円及び教育研究用機器備品除却損500万6109円を控除して得た金額24億9743万9023円に,原告が納税申告をした書店に係る不動産貸付業の収入金額772万5341円の大学の総収入金額285億8994万6097円に占める割合を乗じて計算した金額67万4837円から,原告が納税申告において書店に係る不動産貸付業の経費の額とした金額65万5182円を控除して算定したものである。 j 未払消費税否認 77万3198円原告は,原告の平成2年3月期の法人税の納税申告書において,消費税額77万3198円を申告調整によって損金の額に算入しているが,原告が採用している税込経理方式の場合,申告期限未到来の消費税については,損金経理により未払金に計上した場合に限り損金算入が認められるものであり,申告調整によって当該金額を損金の額に算入することは認められないので,上記金額77万3 場合,申告期限未到来の消費税については,損金経理により未払金に計上した場合に限り損金算入が認められるものであり,申告調整によって当該金額を損金の額に算入することは認められないので,上記金額77万3198円を課税所得金額に加算する。 k 寄附金認容 8604万4996円請負業,仲立業,金銭貸付業及び不動産貸付業に係る前記各収益計上漏れの金額の合計額5億0020万9155円から,これらに係る経費認容額の合計額4億1416万4159円を控除した金額8604万4996円は,法人税法37条4項の規定により収益事業に係る寄附金の額とみなされるので,これを課税所得金額から減算する。 l 寄附金の損金不算入額 4263万5899円上記金額は,寄附金の損金不算入額の合計額6614万1540円から,納税申告に係る寄附金の損金不算入額2350万5641円を控除した金額である。 なお,上記の寄附金の損金不算入額の合計額6614万1540円は,次の①の金額から②の金額を控除した金額である。 ① 寄附金の金額 1億1983万5281円上記金額は,納税申告に係る寄附金の額3379万0285円及び上記kにおいて述べた寄附金認容額8604万4996円の合計金額である。 ② 寄附金の損金算入限度額 5369万3741円上記金額は,納税申告に係る寄附金支出前の所得金額2056万9287円並びに請負業,仲立業,金銭貸付業及び不動産貸付業に係る前記各収益計上漏れの金額の合 369万3741円上記金額は,納税申告に係る寄附金支出前の所得金額2056万9287円並びに請負業,仲立業,金銭貸付業及び不動産貸付業に係る前記各収益計上漏れの金額の合計額5億0020万9155円からこれらの経費認容額の合計額4億1416万4159円を控除した金額1億0661万4283円と,上記未払消費税加算額77万3198円との合計額1億0738万7481円に,100分の50の率を乗じて得た金額である(法人税法施行令73条1項3号イ及び同条3項)。 イ納付すべき税額について前記アのとおり,原告の平成2年3月期の法人税に係る課税所得金額は,5369万3740円であるから,法人税法66条3項より,納付すべき税額は,1449万7100円となる。 ウ本件法人税更正処分の適法性について前記アのとおり,被告が本件訴訟において主張する原告の平成2年3月期の法人税の所得金額及び納付すべき税額は,それぞれ5369万3740円及び1449万7100円であって,本件法人税更正処分に係る法人税額(本件裁決により一部取り消された後のもの)917万7800円を上回るから,本件法人税更正処分は適法である。 (2) 本件賦課決定処分の根拠平成2年3月期の更正処分に係る無申告加算税の金額は,本件法人税更正処分により新たに納付すべきこととなった法人税額640万円(国税通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの)に100分の15(同法66条1項)を乗じて得た金額96万円である。 上記金額は,別表4の裁決欄記載の無申告加算税の額と同額であるから,本件賦課決定処分は適法である。 (3) 本件消費税更正処分の根拠 )を乗じて得た金額96万円である。 上記金額は,別表4の裁決欄記載の無申告加算税の額と同額であるから,本件賦課決定処分は適法である。 (3) 本件消費税更正処分の根拠原告の平成2年3月課税期間における消費税の課税標準額及び納付すべき税額は,それぞれ別表8のとおりであり,その各金額の計算根拠は,次のとおりである。 ア課税標準額 122億1353万7000円上記金額は,次のa及びbの金額を合計した金額で,1000円未満の端数の金額を切り捨てた金額である。 a 申告課税標準額 118億9924万8777円(1000円未満の端数切り捨て前のもの)上記金額は,原告の平成2年3月課税期間の消費税の修正申告書に記載されている金額である。 b 加算額 3億1428万8613円上記金額は,前記(1)アb記載の請負業に係る資産の譲渡等の対価の額3億1309万7272円(ただし,消費税込みの対価の額)及び同c記載の仲立業に係る資産の譲渡等の対価の1062万円(ただし,消費税込みの対価の額)を合計した金額3億2371万7272円を1・03(消費税法(昭和63年法律第108号。ただし,平成2年法律第36号による改正前のもの。以下同じ。)29条による消費税の税率0・03に1を加えた値)で除して得た金額である。 イ課税標準額に対する消費税額 3億6640万6110円上記金額は,前記アの課税標準額122億1353万7000円 値)で除して得た金額である。 イ課税標準額に対する消費税額 3億6640万6110円上記金額は,前記アの課税標準額122億1353万7000円に消費税法29条による消費税の税率100分の3を乗じて得た金額である。 ウ控除対象消費税額 1億6792万5630円上記金額は,次のaの課税仕入税額にbの課税売上割合を乗じて算定した(消費税法30条2項2号)金額である。 a 課税仕入税額 7億8912万3605円上記金額は,原告の平成2年3月課税期間の消費税修正申告の計算において,原告が採用した金額である。 b 課税売上割合 0・2128001614上記金額は,次の(a)の金額の(b)の金額に占める割合である(消費税法30条6項,同法施行令48条)。 (a) 課税資産の譲渡等の対価の額 122億1353万7390円上記金額は,前記アの課税標準額の1000円未満の端数切り捨て前の金額である。 (b) 資産の譲渡等の対価の額 573億9439万9090円上記金額は,次の①から⑤の金額の合計額である。 ① 課税資産の譲渡等の対価の額 122億1353万7390円上記金額は,上記(a)の金額である。 ② 修正申告の基礎とされた非課税収入額(ただし,有価証券に係るものを除く。) 3万7390円上記金額は,上記(a)の金額である。 ② 修正申告の基礎とされた非課税収入額(ただし,有価証券に係るものを除く。) 423億4535万2103円上記金額は,原告の平成2年3月課税期間の消費税修正申告の基礎とされた有価証券売却収入を除く消費税非課税収入の金額である。 ③ 利息収入額 1億4923万5881円上記金額は,前記(1)アdにおいて述べた貸付金に係る利子の額である。 ④ 土地の賃料収入額 2725万6002円上記金額は,前記(1)アeにおいて述べた土地の賃料収入の額である。 ⑤ 有価証券の譲渡収入の法定調整額 26億5901万7714円上記金額は,原告が平成2年3月課税期間の消費税修正申告の基礎とした金額であり,有価証券売却収入531億8035万4278円の100分の5に相当する金額である(消費税法施行令48条5項)。 エ納付すべき消費税額 1億9848万0400円前記イの課税標準額に対する消費税額3億6640万6110円から前記ウの控除対象消費税額1億6792万5630円を控除すると,納付すべき消費税額は,1億9848万0400円(国税通則法119条1項の規定により,100円未満の端数切り捨て後のもの)となる。 オ本件消費税更正処分の適法性について被告が本件訴訟で主張する原告の平成2年3月課税期間 通則法119条1項の規定により,100円未満の端数切り捨て後のもの)となる。 オ本件消費税更正処分の適法性について被告が本件訴訟で主張する原告の平成2年3月課税期間の消費税の課税標準額は,前記アのとおり122億1353万7000円であり,納付すべき税額は,前記エのとおり1億9848万0400円であるところ,別表5の裁決欄記載の課税標準額及び納付すべき税額は,いずれも上記金額と同額であるから,本件消費税更正処分は適法である。 4 当事者の主張(原告の主張)(1) 被告の請負業(治験等)に関する主張についてア原告の主張の概要被告は,別表1のとおり,平成2年3月期に医学部等において2億8661万7272円を治験等の対価として受領したものとして,同額を請負業に係る収益計上漏れとして原告の課税所得金額に加算している。 しかし,これらはすべて寄附金であって,そのうち,合計1億8272万7272円は治験を起因とする寄附金であり,合計100万円は委託研究を起因とする寄附金であるが,その余の1億0289万円は,治験及び委託研究に直接起因しない,いわば「純粋な寄附」による寄附金である。 そして,上記の「純粋な寄附」による場合はもとより,治験等に起因して支払われた寄附金であっても,治験等の対価として寄附金名目で金員が支払われたものということはできない。 また,仮に,これらの寄附金が治験等の対価として支払われたと認められる余地があったとしても,治験の本質が医療行為であることなどに照らして,請負業ではなく,医療保健業による収入に該当し,法人税の課税対象とはならないというべきである。 さらに,被告は,別表1の ったとしても,治験の本質が医療行為であることなどに照らして,請負業ではなく,医療保健業による収入に該当し,法人税の課税対象とはならないというべきである。 さらに,被告は,別表1のとおり,平成2年3月期の薬学部における請負業による収入額として合計2648万円を計上するが,これらは,委託研究を起因としない「純粋な寄附」であるか,又は委託研究を起因とする場合であっても,その対価として支払われたものではないから,寄附金として法人税の課税対象とはならないというべきである。 イ治験の実施方法について原告の医学部及び附属病院においては,製薬会社等の委託を受けて,治験を実施しているところ,その手続は,概ね次のとおりである。 a 原告は,治験依頼者である製薬会社等から治験実施委託を受けると,治験実施計画書,治験薬申請書一式,治験薬使用届等の提出を受けるとともに,契約書の提示を受けて,これを薬事委員会(治験審査委員会)において検討する。 b 薬剤部長が治験薬管理表を作成する。 c 治験審査委員会において審査した結果,治験を受託する場合には,治験審査一覧表を作成し,副院長に送付する。 d 副院長から病院長に送付され,病院長と製薬会社との間で,治験実施に関する契約書が作成される。 e 治験担当医師に治験実施計画書,治験症例記録,同意書,同意書を得るための説明文等が送付され,担当医師が患者に同意を求め,同意を得られた場合に,治験を実施する。 f 治験終了の際は,治験終了報告書を作成し,治験依頼者に提出する。 ウ本件寄附金が治験等の対価として支払われたものでないことa 本件寄附金が治験等の対価でなく f 治験終了の際は,治験終了報告書を作成し,治験依頼者に提出する。 ウ本件寄附金が治験等の対価として支払われたものでないことa 本件寄附金が治験等の対価でなく実質的な寄附であること(a) 本件寄附金は,奨学寄附金として授受されたものであり,原告は,製薬会社等から寄附金の申込みを受けたことから,これを承諾して受け入れたものである。 ⅰ 寄附金の受入手続は,治験の実施を起因として寄附が行われる場合であれば,製薬会社等から原告宛てに,寄附金額,寄附の目的等が記載された奨学寄附金寄附申込書が提出され,原告がこれを受けて,製薬会社等に対し,奨学寄附金受納書を提出するとともに,寄附金の振込先となる銀行口座を指定し,製薬会社等が当該銀行口座に寄附金を振り込む方法により行われており,原告は,振り込まれた金銭の中から,治験を担当した教授の研究費を当該教授の銀行口座に振り込み,当該教授は,この研究費を個人的使途に充てることなく,研究などの諸費用に充てている。 ⅱ また,原告は,製薬会社等からの寄附について,奨学寄附金に関する寄附の手順を定め,製薬会社等にこれを記載した書面を交付しており,この書面において,奨学寄附金受納書を受け取ってから入金しないと特定奨学寄附金の特典(損金処理)が得られなくなることについて注意を喚起し,寄附金納付後は,一般寄附金等としての領収書を発行し,領収書送付の送り状には,「寄附金のお振込をいただき厚くお礼申し上げます。この御厚志に報いるべく研究に有効に使わせていただきます。」などと記載している。さらに,原告は,原告への寄附を行った第一製薬株式会社(以下「第一製薬」という。)に対し,文部大臣の発行に係る「所得税法施行令217条1 べく研究に有効に使わせていただきます。」などと記載している。さらに,原告は,原告への寄附を行った第一製薬株式会社(以下「第一製薬」という。)に対し,文部大臣の発行に係る「所得税法施行令217条1項2号又は3号及び施行令77条1項2号又は3号に掲げる試験研究法人等であることの証明書」を提出しており,原告の会計処理においても,寄附金として取り扱っている。 ⅲ そもそも,本件寄附金は,奨学寄附金の名目で入金されているものである以上,寄附金であって,臨床試験結果の報告に対する対価ということはできない。 また,原告における以上のような寄附金の取扱いに照らしても,原告は,本件寄附金について,治験等の対価であると認識していたものではなく,寄附として受け入れた金員と認識していたものである。 そして,原告としては,製薬会社等から金員を寄附金としてしか受け入れない趣旨であることは明らかであり,製薬会社等も,原告のこのような趣旨を承知のうえで,寄附として金員の支払を行っているのであるから,製薬会社等においても,治験等の対価ではなく,寄附金であるという認識の下に,金員を支払っていたというべきである。 このように,本件寄附金については,製薬会社等と原告の間において,寄附の合意に基づき,寄附金であるという認識の下に金員の授受が行われているのであるから,実質的にも寄附として金銭が授受されたものであって,原告が収益事業である請負業に係る収入に該当することを免れるために,寄附金の名目で金銭の授受を行ったものではない。 (b)ⅰ 本件寄附金の中には,治験等を起因として支払われたものもあるが,製薬会社等としては,そのような場合でも,原告に対する謝 ,寄附金の名目で金銭の授受を行ったものではない。 (b)ⅰ 本件寄附金の中には,治験等を起因として支払われたものもあるが,製薬会社等としては,そのような場合でも,原告に対する謝礼の趣旨で寄附をしたり,将来も原告に繰り返して治験を依頼することを予定して寄附をしたり,原告との取引の拡大,原告の教授による講演,原告の研究テーマとしての採用等を期待して寄附をしたりするなど,様々な動機や理由に基づいて寄附をしているものであって,治験等の実施は,このような寄附の誘因や動機にすぎないと考えられる。 そうであるとすれば,本件寄附金の中の個々の寄附金が,治験等を起因として支払われたものであることをもって,当該寄附金が治験等の対価であるということはできない。 ⅱ また,治験は,国民の健康増進並びに医療の発展及び向上という,極めて重要なことがらに関係することから,大学医学部の附属病院のような,専門的なスタッフや設備が整っている特定の医療機関において,十分な知識と経験を有する特定の教授等によって,手厚い手続の下に実施されているものである。 そして,治験においては,治験薬の投与による薬効の程度の確認,副作用の有無の判定等を要することから,通常の既存薬を使用する場合と比較して,診療密度が増大し,担当医師の精神的,肉体的労務と緊張感は大きく,医療機器の使用等による経費も加重されることとなる。 このような事情にもかかわらず,医療機関が治験を引き受けるのは,まさに国民の健康増進並びに医療の発展及び向上に資するという使命感及び義務感によるものであり,製薬会社等においても,このような医療機関の貢献に応えるために,治験に要する費用の補填や報酬として のは,まさに国民の健康増進並びに医療の発展及び向上に資するという使命感及び義務感によるものであり,製薬会社等においても,このような医療機関の貢献に応えるために,治験に要する費用の補填や報酬としてではなく,医療機関の教育,研究費に充てるものとして,寄附金を提供することとしており,医療機関もこのような趣旨においてこれを受領している。 したがって,本件寄附金が治験等に起因して支払われたとしても,あくまでも上記のような公共的な使命感から支払われたものであって,治験等の対価として金員が支払われたものではない。 ⅲ 一方,原告と製薬会社等との間の金員の授受が治験等の対価であるとすれば,治験等と当該金員の金額との間の等価性がなければならないところ,等価性の有無の判断については,評価法もなく,治験等の経費,費用等を算定することも困難であり,さらに人件費を考慮すればその算定は一層困難であって,等価性の有無の判断はできないといわざるを得ない。 ⅳ さらに,治験に関しては,原告と製薬会社等との間に,治験の実施に係る契約が締結され,契約書が交わされる場合もあるが,原告は,このような契約書について,製薬会社等の内部の事情により,金員を支払うのに必要な手続として作成されたものとしか認識,理解していない。 このような事情に加えて,治験の実施に係る契約書において,そもそも研究費の支払に関する定めがないこともあり,治験1症例当たりの金額が定められた例や,委託研究経費等の具体的な金額を定めた例は少数にすぎず,治験の対価としての代金額が明確に記載された例はないこと,これらの契約書において,治験に必要な経費に関する約定が設けられている例は少なく,経費を支払う旨の約定が存 的な金額を定めた例は少数にすぎず,治験の対価としての代金額が明確に記載された例はないこと,これらの契約書において,治験に必要な経費に関する約定が設けられている例は少なく,経費を支払う旨の約定が存在する場合でも,別途協議するなどと定められており,実際にはその協議もされていない場合があること,治験を起因とする寄附であっても奨学寄附金として課税しない扱いとしてきた製薬会社もあること等の事実に照らしても,原告及び製薬会社等は,本件寄附金が治験等の対価であるという認識を有していなかったというべきである。 ⅴ したがって,当該収入が寄附収入に該当するか否かが,役務の提供との関係において対価性を有しないものか否かにより判断されるものであるとしても,本件寄附金は,治験等との関係で対価性を有するものではないから,寄附収入に該当するというべきである。 (c) 被告は,製薬会社等が治験に関して原告に金員を支払うのは,医療行為の対価ではなく,治験の実施に係る契約に基づく臨床試験結果に関するデータ報告の対価として支払うものである旨主張する。 しかし,治験においては,臨床試験結果の報告と,治験薬を投与して患者を治療する行為と一体不可分であるから,このような治療行為の実施と臨床試験結果の報告を分断し,治験に起因する金員の支払を臨床試験結果の報告のみの対価として評価することはできない。 加えて,治験の実施に係る契約書には,治験結果の報告書の作成,提出が約定されていない場合も多く,約定されている場合でも,その対価として費用等が支払われる旨の約定がないことに照らせば,治験の依頼については,医療行為の実施に重点があり,報告はその従たるものというべきである。 されている場合でも,その対価として費用等が支払われる旨の約定がないことに照らせば,治験の依頼については,医療行為の実施に重点があり,報告はその従たるものというべきである。 したがって,治験が臨床試験に係るデータの報告のみを目的とするものということは相当でなく,治験という医療行為からデータの収集という側面のみを取り上げて,製薬会社等がこの側面についての対価のみを支払うとする被告の主張は失当である。 (d) ところで,本件各処分が適法であるか否かについては,その適法性について,被告が主張立証責任を負うものであるから,被告は,本件寄附金が治験等の役務に対する等価性のある対価として支払われたものであることについて,主張及び立証をしなければならないというべきである。 これに対し,被告は,製薬会社等から原告に支払われた金員は,客観的に対価性がないと認められる特段の事情がない限り,治験,委託研究等,何らかの役務提供の対価と推認すべきである旨主張するが,このような主張は,本来被告が負担すべき立証責任を原告に転換するものであって,失当といわざるを得ない。 また,仮に,被告の上記主張を前提としても,本件寄附金については,下記bないしdの事情が認められることに照らして,いずれも上記の「特段の事情」が存在するというべきであるから,本件寄附金が治験等の対価であると推認することはできない。 b 治験等に起因しない「純粋な寄附」が存在すること本件寄附金のうち医学部等が受領した分に係る寄附を行った者,寄附金額,寄附の年月日,寄附の目的は,別表9の「会社名」,「金額」,「入金日」及び「寄付の目的」欄にそれぞれ記載したとおりであり,これらの 本件寄附金のうち医学部等が受領した分に係る寄附を行った者,寄附金額,寄附の年月日,寄附の目的は,別表9の「会社名」,「金額」,「入金日」及び「寄付の目的」欄にそれぞれ記載したとおりであり,これらの寄附の起因に関する原告の主張は,同表の「原告起因」欄に記載のとおりであるところ,これらの寄附の起因は,原告医学部教授であり医学部附属病院副院長であるA教授が,同表に記載されている医師,教授等に直接確認し,不明な点については製薬会社にも聴き取りをして調査した結果に基づくものであって,その調査結果は信用できるものである。 そして,上記の調査結果によれば,本件寄附金には,治験及び委託研究と直接関係のない,いわば「純粋な寄附」というべきものも多数存在することが明らかであり,その具体例は次のとおりである。 (a) 別表9の医学部の番号32,79,140,161,168及び200の寄附金は,小野田セメント株式会社ほか5社から,B教授による新素材,セラミックスの教育,研究等を目的として,それぞれ支払われたものである。 B教授は,東京工業大学から帝京科学大学教授に就任すべく招へいされたが,同大学が設立準備中であったことから,昭和63年4月1日に,原告の教授に一時的に任命されたものであり,新素材,セラミックスの分野においては権威のある教授であるが,小野田セメント株式会社ほか5社からセラミックスの教育又は研究の委託を受けたことはなく,医師ではないので治験も行っていない。 したがって,上記各寄附金は,治験等を起因とするものではない。 (b) 別表9の医学部の番号13,92,123,182及び277の寄附金は,C教授の研究等を目的として支払われているが,実際には 上記各寄附金は,治験等を起因とするものではない。 (b) 別表9の医学部の番号13,92,123,182及び277の寄附金は,C教授の研究等を目的として支払われているが,実際には,C教授が新潟大学から原告の医学部教授に就任した際,その祝金として製薬会社から寄附されたものであり,C教授が治験等の委託を受けた事実もないから,これらはいずれも治験等を起因とする寄附金ではない。 (c) 別表9の医学部の番号6の寄附金並びに医真菌研究センターの番号1,2及び12の寄附金は,いずれもD教授の研究を目的として支払われたものとされる。 しかし,D教授は,分子生物学の教授であり,医師ではないから,治験を行うことはないし,そもそも医真菌研究センターは,真菌を集めて保存,研究する研究所であり,患者を診察することはないから,同センターにおいて治験が行われることはあり得ない。 また,D教授が委託研究を受けた事実も存在しない。 したがって,上記各寄附は,いずれも治験等を起因とするものではない。 (d) 別表9の医学部の番号278の寄附金は,財団法人矢崎科学技術振興記念財団(以下「矢崎財団」という。)が医学部医学科E教授の研究費として寄附したものであるが,E教授の専門は物理学であって,医師ではなく,矢崎財団が特定の委託研究をすることもあり得ないから,治験等を起因とする寄附金ではない。 (e) 医真菌研究センターにおいては,原則として,治験及び委託研究を行わないから,別表9の医真菌研究センターの寄附金は,いずれも治験等を起因とするものではない。 なお,治験に起因するとされる同表の医真菌研究センタ として,治験及び委託研究を行わないから,別表9の医真菌研究センターの寄附金は,いずれも治験等を起因とするものではない。 なお,治験に起因するとされる同表の医真菌研究センターの番号8及び9の寄附金については,起因とされる当該研究が,真菌に対する抗菌剤の感受性を試験管の中で検討したものであり,患者に投与したものではないから,本来の治験ではなく,しかも,寄附金が成果物の提出以前に支払われていること等に照らして,治験等を起因とするものとはいえない。 また,被告は,上記以外の医真菌研究センターの寄附金についても,別表9のとおり,治験や委託研究を起因とする旨主張するが,医真菌研究センターでは治験を行わないこと,起因とされる当該研究の成果物が提出される前に寄附金が支払われていること等に照らして,いずれも治験等を起因とするものということはできない。 (f) 別表9の医学部の番号108の寄附金は,大鵬薬品工業株式会社(以下「大鵬薬品」という。)が抗癌剤を多数販売しており,附属病院本院においては癌の治療,手術を受ける患者が多いことから,同社が原告に研究費として使用してもらうために奨学寄附金を寄附したものであり,治験等を起因とするものではない。 (g) 別表9の医学部の番号1,2,8,9,24,38,39,43,166,205,237,238,279,292及び293の寄附金は,診療材料又は診療機器を販売した会社が,これらを治療行為の際に使用したことの返礼として支払われたものであり,治験等を起因とする寄附金ではない。 (h) その他,原告が治験等に起因しない「純粋な寄附」に当たると主張する寄附金のうち,原告が治験等に起因するものと主張するものの中には, あり,治験等を起因とする寄附金ではない。 (h) その他,原告が治験等に起因しない「純粋な寄附」に当たると主張する寄附金のうち,原告が治験等に起因するものと主張するものの中には,治験の実施がないもの,治験による臨床試験結果が報告されいてないもの,委託研究に伴う成果物がないもの等が多数存在し,これらはいずれも治験等を起因とするものと認めることはできない。 c 附属病院本院,溝口病院及び市原病院に係る寄附の実態について(a) 附属病院本院に係る寄附については,寄附申込書の様式が奨学寄附金寄附申込書と異なっており,寄附の目的は私立学校の学術振興のためとされ,使用目的の限定はない。 附属病院本院に係る寄附のほとんどは,薬剤部が製薬会社から治験薬を預かり,治験に供するための管理を起因として支払われたものであり,治験を起因とする寄附であるが,別表9の附属病院本院の番号66の寄附金は,原告の中央検査センターが使用する大型自動分析器購入代金について,第一化学薬品株式会社(以下「第一化学薬品」という。)から寄附を受けたものであり,治験等を起因とするものではない。 (b) 溝口病院に係る寄附は,すべて治験を起因とするものであり,その一部が委託研究を起因とするものである旨の被告の主張は,委託研究に伴う成果物がないことに照らして,認めることができない。 (c) 市原病院に係る寄附は,原則として治験を起因とするものであり,寄附の目的を薬剤部研究費,私立学校の学術振興のため等とする寄附は,いずれも附属病院本院同様,治験薬の管理に起因する寄附であり,治験を起因とする寄附である。 これに対し,被告は,別表9の市原病院の番号45 校の学術振興のため等とする寄附は,いずれも附属病院本院同様,治験薬の管理に起因する寄附であり,治験を起因とする寄附である。 これに対し,被告は,別表9の市原病院の番号45,46,95ないし97の寄附金が委託研究を起因とするものである旨主張するが,証拠に照らして失当というべきである。 d 薬学部について薬学部においては,教授等の独自の研究テーマについて,製薬会社等が興味,関心等を持つ場合や,製薬会社等の開発テーマと関連することがあることから,研究の助成及び奨励の意味で寄附金が支払われることがある。 また,製薬会社等から研究員が派遣されて,薬学部の教授等の下でその研究テーマにつき研究したり,ある一定のテーマにつき共同研究を行うことがあり,研究員に対する教育,技術指導料等に充てる意味合いも込めて,製薬会社等から寄附金が支払われることがあるさらに,製薬会社等の研究者と薬学部の教授等との人的なつながりに基づいて,寄附が行われる例もある。 しかしながら,薬学部においては,治験を行うことはなく,製薬会社等から特定の委託を受けてその対価として寄附金が支払われることもない。 これに対し,被告は,本件寄附金のうち薬学部に係る寄附金が,薬学部における委託研究の対価として支払われた旨主張するが,これらの寄附金は,既に行われた研究のさらなる助成を目的とした寄附であることや,成果物が提出されていないこと等に照らして,いずれも委託研究の対価と認めることはできない。 エ治験等が請負業に該当しないこと仮に,本件寄附金が治験等の対価として支払われたものであるとしても,治験等が請負業(事務処理の 委託研究の対価と認めることはできない。 エ治験等が請負業に該当しないこと仮に,本件寄附金が治験等の対価として支払われたものであるとしても,治験等が請負業(事務処理の委託を受ける業)に該当するとして本件寄附金が収益事業に係る収益であるとする被告の主張は,治験等の実態を無視したものであって,失当であるというほかない。 a 施行令5条1項は,公益法人等における法人税の課税対象となる収益事業として請負業など33の事業を列挙しているが,これらの事業は,収益事業として個別に限定列挙されているものと解すべきである。 そして,公益法人等の行う事業が請負又は事務処理の受託としての性格を有する場合であっても,その事業が請負業以外の同項に掲げる事業として規定されているもの,又は,請負業以外の同項に掲げる事業と一体不可分のものとして課税すべきものと認められるときは,これらの事業は請負業には該当しないものとされる(法人税基本通達(昭和44年5月1日直審(法)25。ただし,平成2年11月29日直法2-6による改正前のもの。以下「基本通達」という。)15-1-29)。 また,当該事業が形式的には施行令5条1項に掲げる事業に該当する場合であっても,その内容が教育又は学術の振興,社会福祉に寄与しているなど,公益性が高いことから,立法政策上,収益事業から除外されていることがあり,私立学校法3条に規定する学校法人が行う医療保健業がこれに該当する(施行令5条1項29号ハ)ほか,民法34条の規定により設立された法人で専ら学術の研究を行うものがその学術の研究に付随して行う医療保健業も,収益事業から除かれる(同号ル)。 b そこで,治験について上記の点を検討すると,治験に係る事業 り設立された法人で専ら学術の研究を行うものがその学術の研究に付随して行う医療保健業も,収益事業から除かれる(同号ル)。 b そこで,治験について上記の点を検討すると,治験に係る事業は,次の理由により,収益事業には該当しないと解される。 治験には,新たな治療法の開発を目指した試験研究という側面と,患者に対する疾病の治療という側面が同時に存在するが,治験の実態は,医師以外には行うことのできない医療行為であり,治験による医療行為と一般的医療行為との間には,異なるところはないというべきである。 また,治験は,究極的には,国民の健康増進と医学及び医療の発展に寄与するために行われるものであって,教育又は学術の振興,社会福祉に寄与するなど,極めて公共性,公益性が高い行為である。 加えて,治験に係る臨床試験の結果報告は,医療行為を前提としなければ行うことができないものであり,治験においては,このような結果報告と医療行為とは一体不可分のものである。 以上のような治験の実態,目的,性格等に照らせば,治験は,施行令5条1項29号に掲げる医療保健業に該当するというべきであるから,学校法人の設置する病院等の施設で行われる限り,収益事業として法人税の課税対象となることはないというべきである。 このように,治験が請負業に該当するとして法人税の課税対象とすることが不当であることは,平成14年政令第104号による施行令の改正により,私立大学の行う一定の受託研究が収益事業の範囲から除外して非課税とされたことにより,改めて確認されたということができる。 c さらに,原告の附属病院の薬剤部では,治験薬の管理に伴う管理費を起因とする寄附金を製 究が収益事業の範囲から除外して非課税とされたことにより,改めて確認されたということができる。 c さらに,原告の附属病院の薬剤部では,治験薬の管理に伴う管理費を起因とする寄附金を製薬会社から収受しているところ,治験薬の管理は,治験に当然に付随する行為であるから,医療保健業に該当する。 このほか,臨床試験前の基礎研究も,新薬開発のための研究の一環であることに照らして,治験に含まれるというべきであるから,医療保健業に該当するほか,原告が医学部で行った委託研究も,結果的に国民の健康増進に寄与するものであるから,医療保健業に含まれるというべきである。 d これに対し,被告は,治験の目的があくまでも製薬会社等に対する治験に係る臨床試験結果の報告にあるとし,このような報告を業として行っていると解したうえで,治験が請負業に該当すると主張する。 しかし,臨床試験結果の報告は,あくまで基本となる医療行為を実施することが不可欠の前提となっており,両者は一体不可分であるから,このような治療行為の実施と臨床試験結果の報告を分断し,前者を医療行為,後者を請負として評価することはできないというべきである。 また,治験を実施する側の認識,経験によれば,治験の主たる部分は医療行為であり,臨床試験結果の報告は従たる部分であって,この部分に費やされる時間及び労力の割合は僅かであり,せいぜい治験全体の5パーセント程度のものにすぎない。 このようなことからすれば,臨床試験結果の報告は,医療行為そのものか,そうでないとしても,医療行為に付随した行為であるというべきであって,全体として医療行為と評価すべきであるから,被告が主張するように,治験のうち臨床試験結果の報告 結果の報告は,医療行為そのものか,そうでないとしても,医療行為に付随した行為であるというべきであって,全体として医療行為と評価すべきであるから,被告が主張するように,治験のうち臨床試験結果の報告部分のみを切り離して,これを請負業に該当すると解したうえで,その部分に相当する対価のみを収益事業による所得として把握することは,治験が医療行為に当たることを否定ないし軽視し,治験の本質を見失ったものであって,相当でない。 のみならず,治験に関する業務から臨床試験結果の報告部分のみを取り上げて,これを請負業と解するとすれば,この部分に相当する対価のみを収益事業に該当する所得としなければならないところ,そのような部分の対価を算出することは,実際にも困難ないし不可能である。 そもそも,原告が製薬会社等から受領する寄附金が治験の対価であったとしても,役務の提供に対する報酬の金額は,治験に係る契約を締結する時点において確定できるものではない。また,役務の提供に対する報酬が,一症例ごとに何円という基準で支払われているとすれば,報酬額が仕事の労力いかんに関係なく定められているものというほかないところ,このような報酬は,請負に対する報酬の概念とは別個のものといわざるを得ない。このようなことからしても,原告が製薬会社等から受領した金員は,請負に対する報酬ではないというべきである。 加えて,本件寄附金が治験等の対価として支払われたものであったとしても,治験等が直ちに請負業に該当するものではなく,医療保健業に該当すると考えられる余地もあるにもかかわらず,被告は,この点について全く検討していないまま,治験等が請負業である旨主張していることに照らしても,被告の上記主張は相当でないといわざるを得ない。 すると考えられる余地もあるにもかかわらず,被告は,この点について全く検討していないまま,治験等が請負業である旨主張していることに照らしても,被告の上記主張は相当でないといわざるを得ない。 オ治験等の経費が多額であり,収益が発生しないこと仮に,本件寄附金が治験等の対価であり,かつ,請負業による収入に該当するとした場合,治験等に係る経費を算定することができたとしても,別表10のとおり,治験等に要した経費の方が収益を上回り,赤字になるから,治験等による収入に対して法人税を課税することはできない。 a 治験においては,臨床試験結果の報告は医療行為を前提としてはじめて可能となり,両者は一体であって,むしろ医療行為が治験の主たる部分であるから,治験による収入を得るための経費には,検査代,器具備品代,事務用品費,図書費,通信費,調査・雑費等のほか,一般医療行為の経費である,患者に投与した薬品の薬品費や,入院患者の給食材料費も含まれるというべきであり,被告が治験等による収入に係る経費認容額の算定において,上記薬品費及び給食材料費を控除したことは不適切である。 b また,病院総収入及び医学部収入における補助金及び寄附金収入は,業務に関係がなく,これに対応する経費は存在しないから,別表10のとおり,それぞれ病院総収入及び医学部収入から控除することが相当である。 c そして,治験による収入については,一般医療行為の経費と切り離して治験のみの経費を算定することは不可能であるが,仮に,治験等に係る収入に対する経費の額が算定できるとすれば,上記a及びbを踏まえ,別表10のとおりとなるところ,結果として,治験に要した経費の額が収入の額を上回るから,治験等による収入に対して法人税を課税する 係る収入に対する経費の額が算定できるとすれば,上記a及びbを踏まえ,別表10のとおりとなるところ,結果として,治験に要した経費の額が収入の額を上回るから,治験等による収入に対して法人税を課税する余地はないというべきである。 (2) 仲立業に関する主張ア被告は,原告が,眼鏡等の販売に関し,あっせんに係る手数料として,南旺光学ほか4社から別表2記載の金員を収受した旨主張する。 しかしながら,原告は,南旺光学ほか4社が患者に対して眼鏡等の販売を行うことに関して,あっせんをしたことはない。 南旺光学ほか4社が,原告医学部の附属病院の眼科において,コンタクトレンズを販売しているのは事実であるが,これは,原告の眼科医師がコンタクトレンズの販売をあっせんすることを目的とするものではない。 眼科の患者の中には,コンタクトレンズを必要とする者がおり,そのような患者に便宜を図るために,コンタクトレンズの販売業者を病院に出入りさせることは,患者に対する医療サービスとして当然の行為であって,原告は,コンタクトレンズの販売をあっせんしているものではない。 そもそも,眼鏡等販売業者が医師の作成した処方箋に従って患者にコンタクトレンズを作成する際,コンタクトレンズが当該患者に適合しない場合があり,再度医師が診断し,試行錯誤を繰り返すこととなる。このようなことからも明らかなとおり,コンタクトレンズの製作販売は,医師と眼鏡等販売業者の共同作業であって,既製のコンタクトレンズを患者に販売するものではない。とりわけ,大学病院におけるコンタクトレンズの処方は,研究機関としての性格上,一般のコンタクトレンズの販売とは意味合いが異なるものである。 イ原告は,別表2記載の寄附金を ものではない。とりわけ,大学病院におけるコンタクトレンズの処方は,研究機関としての性格上,一般のコンタクトレンズの販売とは意味合いが異なるものである。 イ原告は,別表2記載の寄附金を眼鏡等の販売のあっせんに係る手数料として収受していたものではない。 このことは,上記金員があっせん手数料であれば,あっせんに対応した金額が算出されるはずであり,患者がコンタクトレンズを購入するたびにこれに対応する金額が算出されるはずであるにもかかわらず,そのようにして算出された金額が支払われていないことからも明らかである。 また,上記金員が販売のあっせんに係る手数料であれば,原告との間で,販売数に応じた金額の計算方法について取決めがされているはずであるにもかかわらず,そのような取決めはない。 加えて,シード東京販売において,平成2年2月以降は寄附金の支払をしていないことからも,これらの金員が眼鏡等の販売のあっせんに係る手数料でないことが裏付けられるものである。 そして,上記金員は,不定期的に奨学寄附金として支払われていたことに照らしても,実質的な寄附金として原告に支払われたものというべきである。 ウこれに対し,被告は,原告が眼鏡等販売業者を南旺光学ほか4社に限定し,指定した曜日に眼科に派遣させていたこと等を根拠として,上記金員があっせん手数料である旨主張する。 しかしながら,患者に適合したコンタクトレンズを装用させるためには,信頼できる販売業者に製作,販売させなければならないから,原告のような限定を行うことには合理性があるというべきであって,このような限定を行った事実を根拠として,原告が眼鏡等の販売に係るあっせんを行ったと認めることは相当でない。 させなければならないから,原告のような限定を行うことには合理性があるというべきであって,このような限定を行った事実を根拠として,原告が眼鏡等の販売に係るあっせんを行ったと認めることは相当でない。 また,被告は,上記金員があっせん手数料であることの証拠として,南旺光学の経理担当者の供述を挙げるが,上記供述が記載された調査報告書については,供述者に内容を読み聞かせるなどして確認しておらず,推測で述べたことや一般論が原告に係る事実であるかのように記載されていたり,供述していないことを供述したかのように記載されていることに照らして,その内容は信用することができないから,上記供述をもって,上記金員があっせん手数料であると認めることはできない。 エなお,別表2記載の金員が仲立業収入に該当するとしても,その経費については,別表10のとおり,病院総収入及び医学部収入から,対応する経費のない補助金及び寄附金収入を除外して算定すべきであり,その結果,仲立業収入に係る経費の金額は,同表記載のとおりとなる。 (3) 金銭貸付業に関する主張ア被告は,前記3(1)アdのとおり,本件貸付金の利子である本件未収利子が益金の額に算入されるべきであるとして,本件未収利子を金銭貸付業に係る収益計上漏れとして,原告の法人税の課税所得金額に加算している。 イところで,基本通達2-1-25は,貸付金について,次の事実が生じた場合には,当該貸付金から生ずる利子の額のうち当該事業年度に係るものは,当該事業年度の益金に算入しないことができることとしている。 ① 債務者が債務超過に陥っていることその他相当の理由により,その支払を督促したにもかかわらず,当該貸付金から生ずる利子の額のうち当該事業年度終了の日 いことができることとしている。 ① 債務者が債務超過に陥っていることその他相当の理由により,その支払を督促したにもかかわらず,当該貸付金から生ずる利子の額のうち当該事業年度終了の日以前1年(以下「直近1年」という。)以内にその支払期日が到来したもの(以下「最近発生利子」という。)の全額が当該事業年度終了の時において未収となっており,かつ,直近1年以内に最近発生利子以外の利子について支払を受けた金額が全くないか又は極めて少額であること。 ② 債務者につき債務超過の状態が相当期間継続し,事業好転の見通しがないこと,当該債務者が天災事故,経済事情の急変等により多大の損失を蒙ったことその他これらに類する事由が生じたため,当該貸付金の額の全部又は相当部分についてその回収が危ぶまれるに至ったこと。 ウ原告は,別表3記載のとおり,本件貸付金を貸し付けたものであるところ,本件貸付金の貸付先は,いずれも業績不振で,貸金の元本の回収もできない状態にあり,利子の支払も得られない状況にあるから,本件貸付金は,いずれも上記イ①及び②の事実が生じた場合に該当する。 また,本件貸付金の貸付先のうち,ウエノハラスポーツヒルズについては,その所有する担保物件である不動産が競売により売却されていることに照らして,本件貸付金のうち,同社に対する貸付金は,上記イ①の事実が生じた場合に該当する。 エなお,本件未収利子が益金の額に算入されるべきであるとしても,その経費については,別表10のとおり,本部総収入から,対応する経費のない有価証券売却益収入及び補助金並びに寄附金収入を除外して算定すべきであり,その結果,金銭貸付業収入に係る経費の金額は,同表記載のとおりとなる。 オしたがって,本件未収利 応する経費のない有価証券売却益収入及び補助金並びに寄附金収入を除外して算定すべきであり,その結果,金銭貸付業収入に係る経費の金額は,同表記載のとおりとなる。 オしたがって,本件未収利子については,平成2年3月期の益金の額に算入しないことができるから,本件未収利子が益金の額に算入されるべきであるとする被告の主張は相当でない。 (4) 不動産賃貸業に関する主張ア被告は,原告がタガタ産業に本件土地を賃貸していたとして,未収不動産賃料2725万6002円を不動産貸付業の収益として平成2年3月期の益金の額に算入すべきである旨主張する。 イしかし,原告がタガタ産業に対して本件土地を賃貸した事実はないから,本件土地に係る賃料収入を得ることはあり得ない。 本件土地に関しては,昭和62年11月25日付け「土地売買及び関連事項契約書」において,原告がタガタ産業に貸与するかのような記載が存在するが,一般に,不動産賃貸借における賃料は,月ごとなど,年以下の期間を単位として,概ね規則的に支払われるものであるのに対し,上記契約書に記載された賃貸借の場合,期間は5年と定められており,賃料の算定根拠も明確ではないことに照らせば,上記契約書をもって,本件土地の賃貸借契約書と認めることはできない。 また,本件土地が賃貸借に供されているのであれば,廃棄物処理場として使用されていなければならないにもかかわらず,本件土地は依然として農地のままであって,柿や栗の木が植栽されており,タガタ産業が使用している形跡はない。 さらに,原告の昭和62年10月12日付け理事会決議録には,本件土地について,タガタ産業に原告所有の静岡県藤枝市所在の土地4732坪を貸し付ける旨の決議が行われた旨記 跡はない。 さらに,原告の昭和62年10月12日付け理事会決議録には,本件土地について,タガタ産業に原告所有の静岡県藤枝市所在の土地4732坪を貸し付ける旨の決議が行われた旨記載されているものの,詳細な定めはなく,結局,本件土地をタガタ産業に賃貸する計画は進行しなかったものである。 ウなお,原告は,本件土地をタガタ産業に賃貸していた事実をいったん認めながら,第6回口頭弁論において陳述した平成9年4月25日付け準備書面において,上記事実を否認しているが,上記事実は,上記イのとおり,真実に反しており,かつ,原告は,錯誤に基づいてこれを認めたものであるから,自白の撤回は許容されるべきである。 エところで,被告は,本件法人税更正処分において益金に加算した不動産の賃料については,賃料を収益に計上しない特段の事情もないから,事業年度以下の合理的な期間ごとにその発生した収益を計上する方法により,平成2年3月期の益金の額に算入されるべきである旨主張する。 しかし,タガタ産業が業績不振で休眠中のため,原告は同社から賃料の支払を受けることができないから,仮に賃料の発生が認められたとしても,賃料を収益に計上しない特段の事情が認められるというべきである。 (5) まとめ以上によれば,本件法人税更正処分のうち,原告の期限後申告に係る金額を超える部分,本件賦課決定処分のうち,原告の期限後申告に係る納付すべき法人税額に基づく無申告加算税額を超える部分,及び,本件消費税更正処分のうち,原告の修正申告に係る金額を超える部分は違法であるから,原告は,本件各処分のうち,これらの部分の取消しを求める。 (被告の主張)(1) 請負業(治験等)についてア寄附金の会 修正申告に係る金額を超える部分は違法であるから,原告は,本件各処分のうち,これらの部分の取消しを求める。 (被告の主張)(1) 請負業(治験等)についてア寄附金の会計処理及び治験等に関する事実関係a 原告の経理処理に関する規程である「学校法人帝京第一学園経理規程」(以下「経理規程」という。)によれば,各勘定科目の性質及び処理基準は,同規程別表に定めるところによることとしているところ(同規程2章9条2項),同規程別表の「Ⅰ資金収支計算書記載勘定科目表」の「収入の部」,大科目「寄付金収入」,小科目「一般寄付金収入」の「備考」欄においては,「一般寄付金収入」の科目の性質及び処理基準を「用途指定のない寄付金をいい,後援会P.T.A等も含む」と定めており,同規程別表の「Ⅱ消費収支計算勘定科目表」の「収入の部」の「備考」欄においても,各科目の性質及び処理基準を「資金収支の説明に同じ(以下同じ)」と定めている。 そして,原告は,製薬会社等から受け入れる金員を,使用目的に応じて,「奨学寄付金」又は「一般寄付金」という勘定科目で受け入れて,経理処理を行っていた。 また,原告の「平成元年度決算書」においては,「奨学寄付金」が,消費収支計算書の「消費収入の部」における「寄付金」欄の「一般寄付金」科目に含めて経理処理されている。 b 原告は,前記2「前提となる事実」(3)アのとおり,平成2年3月期において,別表1記載の各収入先から,同表記載のとおり,本件寄附金合計3億1309万7272円を受領しているところ,原告は,これらの金員のうち,医学部等が奨学寄附金として受領した金員がいずれも実質的な寄附金であるとしたうえで,寄附の起因について,別表9記載のとおり 3億1309万7272円を受領しているところ,原告は,これらの金員のうち,医学部等が奨学寄附金として受領した金員がいずれも実質的な寄附金であるとしたうえで,寄附の起因について,別表9記載のとおり主張している。 c 製薬会社等は,原告に対し,医薬品等の治験や,新薬の開発のプロセスの各段階において必要不可欠とされる研究,有益な情報の提供等の役務の提供等を依頼していたが,その際,契約書等の書面が常に作成されたわけではなく,口頭で契約が締結されることもあった。契約書等の書面が作成される場合には,原告が治験等を実施してその結果等を製薬会社等に提供し,製薬会社等がこれに対して金員を支払うことが記載されることが通常であったが,金員の支払までは明記しないこともあった。 そして,原告は,治験等を実施する旨の合意が成立すると,これに基づいて治験等を実施し,臨床試験結果等のデータを製薬会社等に提供し,製薬会社等は,原告にその対価を支払っていた。 製薬会社等は,上記の支払を行う際,原告の指示により,定型用紙である寄附申込書を一律に提出しており,上記寄附申込書の記載に当たっては,原告が作成した「奨学寄附金寄付の手順」(市原病院に係る寄附の場合は「奨学寄付金寄付の手順」)と題する文書に従って,寄附の目的,条件等を記入していた。 イ治験等が収益事業に該当することa 法人税法における請負業の意義及び収益事業該当性(a) 施行令5条1項10号は,請負業を収益事業の1つとして規定したうえ,「事務処理の委託を受ける業」も上記の請負業に含む旨規定しており,請負契約に基づく事業のほか,他の者の委託に基づいて行う調査,研究,情報の収集及び提供,手形交換,為替業務,検査,検 て規定したうえ,「事務処理の委託を受ける業」も上記の請負業に含む旨規定しており,請負契約に基づく事業のほか,他の者の委託に基づいて行う調査,研究,情報の収集及び提供,手形交換,為替業務,検査,検定等の事業も,収益事業たる請負業に含まれることを明らかにしている。 そして,民法の規定する請負は,自己の責任において仕事の完成を約してその結果に対して報酬を受ける契約を指すものであり,対価性が認められる行為であるところ,法人税法における請負業の範囲は,上記の規定に照らし,民法の規定する請負よりも広いものというべきである。 (b) また,法人税法7条が公益法人等の所得のうち収益事業によるものを課税対象とするのは,公益法人等が営利法人等と同様に営利事業を営んで競合関係にある場合にまでその所得を非課税とすれば,課税の公平が失われることによるものであり,同法2条13号の「政令で定める事業」として請負業等の33業種を収益事業として掲げる施行令5条1項の規定は,収益事業を同項に掲げる業種に限定する趣旨ではなく,営利企業等と競合関係にあるため非課税とすれば課税の公平を損なう業種を網羅的に対象とする趣旨と解すべきであるから,請負業的性格を有する業種については,個別具体的に列挙されていない業種であっても,原則として収益事業の対象となると解される。 このように収益事業の意義を広く解した場合,公益法人等における収益事業性の判断について,公益性ないし営利性の観点から限定すべきかは一応問題となり得るが,同法7条によれば,もっぱら公益を目的とする公益法人等についても,収益事業を行う以上これによる所得は課税対象となるのであるから,公益性が認められることによって収益性が否定されることにはならない。 条によれば,もっぱら公益を目的とする公益法人等についても,収益事業を行う以上これによる所得は課税対象となるのであるから,公益性が認められることによって収益性が否定されることにはならない。したがって,公益法人等においても,施行令5条1項各号に列挙された一定の事業であって,事業場を設けて継続して営まれるものであれば,同法2条13号により収益事業に該当することが認められ,公益性又は営利性の有無によって収益事業に該当するか否かが左右されるものではない。 b 治験の受託と対価について前記2「前提となる事実」(2)のとおり,医薬品の製造承認を受けようとする製薬会社等は,医科大学等の医療機関に治験を依頼して,臨床試験成績に関する資料の収集を行っており,治験の実施に当たっては,治験実施に関する契約に従って,医療機関が臨床試験を行い,その結果を製薬会社等に報告しているところ,製薬会社等は,その対価として,医療機関に金銭を支払っており,本件において原告が製薬会社等から「奨学寄附金」等の名目で収受している金銭が,この対価に該当するものである。 そして,製薬会社等の医療機関に対する金銭の支払は,医療機関が患者に医療行為を施したことに対するものではなく,医療機関が治験実施に関する契約に基づき,治験薬に係る臨床試験の試験成績に関するデータを収集,整理し,製薬会社等に報告するという事務処理に対する対価として行われるものであるから,このように医療機関が製薬会社等との間で治験に関して行う対価の収受を伴う行為は,請負業に該当するものである。 このように,治験が請負業に該当することは,原告を含む全国の29の私立大学で組織する社団法人私立医科大学協会(以下「私立医科大学 収受を伴う行為は,請負業に該当するものである。 このように,治験が請負業に該当することは,原告を含む全国の29の私立大学で組織する社団法人私立医科大学協会(以下「私立医科大学協会」という。)が,国税当局に対し,治験を受託したことによる収入が収益事業である請負業の範疇に該当することを認めたうえでこれを非課税とすることを要望した結果,平成14年政令第104号による施行令改正において,私立大学の行う一定の受託研究について非課税の措置が創設されたことにより,改めて確認されたというべきである。 c 原告の行った治験等が請負業に該当すること原告は,別表1記載の製薬会社等から,新薬等に係る治験,委託研究又は情報提供等の依頼を受け,これらの行為に係る役務を提供し,その役務提供の対価として,依頼者から奨学寄附金の名目で本件寄附金を受領していたのであるから,原告が行ったこれらの事業は,施行令5条1項10号に規定する請負業に該当するというべきである。 ウ本件寄附金が治験等の対価であることa 大学病院等の研究機関と製薬会社等の関係製薬会社等が医薬品,医療用具等の開発,製造,販売等を行うためには,医学研究のための人的,物的設備を備えた研究機関に対し,基礎研究及び治験等を委託して,情報等の提供を得ることが必要不可欠である。特に,治験は,十分な臨床観察及び試験検査を行い,多数の症例の資料を収集し,緊急時に必要な措置を採ることができる医療機関でなければ実施できないものであって,製薬会社が自ら実施することは不可能であるから,製薬会社等の医療機関に対する委託研究の中でも,最も重要な地位を占めるものである。 このようなことから,製薬会社等 いものであって,製薬会社が自ら実施することは不可能であるから,製薬会社等の医療機関に対する委託研究の中でも,最も重要な地位を占めるものである。 このようなことから,製薬会社等は,原告のような医療機関に対価を払って,治験による医薬品の臨床試験の成績等に関する資料を収集しているのが実態である。 b 原告における治験の実態原告は,多くの製薬会社等から,製造販売しようとする医薬品等について,その治験等の依頼を受けて,その治験結果に関する資料等を提供し,上記治験等に係る対価として,金員の支払を受けていた。 原告が製薬会社等に提供する役務の中心は,医薬品の製造承認に欠くことのできない治験(臨床試験)による試験結果のデータの提供であり,原告は,製薬会社等の依頼に応じて,治験薬を用いて臨床試験を行い,その結果を報告していた。 そして,原告は,製薬会社から治験を含む新薬の開発に関する役務の提供の依頼を受けたときには,これに応じて役務を提供し,その対価を奨学寄附金の名目で受領していたものである。 c 本件寄附金が治験等の対価であること(a) 原告が製薬会社等から受領した金員について原告は,製薬会社等から寄附申込書の提出と共に受け入れた金員を「奨学寄附金」という勘定科目で経理処理しているところ,原告の「平成元年度決算書の消費収支計算書における「消費収入の部」の「寄附金」中の「一般寄附金」には,上記の「奨学寄附金」の他に,「学校協力費」及び「その他の寄附金」が含まれている。 そして,被告は,上記の「奨学寄附金」として処理された金員のうち,原告に対する寄附申込書の記載内容に 学寄附金」の他に,「学校協力費」及び「その他の寄附金」が含まれている。 そして,被告は,上記の「奨学寄附金」として処理された金員のうち,原告に対する寄附申込書の記載内容に照らして,学会への協賛を目的として受け入れたものなど,役務提供の対価としての性格がないと認められるものは,「寄附金」として認めている。 一方,本件寄附金は,原告が製薬会社等から受領したものであるが,これらの製薬会社等が原告に治験等を依頼していたことは証拠上明らかであり,原告も,27社について,製薬会社等の依頼により治験を行ったことを認めている。 このように,別表1記載の本件寄附金の金額は,原告が「奨学寄附金」として会計処理したもののうち,上記のとおり寄附金と認められるもの及び別表2記載の仲立業収入に該当するものを除いた金額である。 (b) 法人税法上の「寄附」の意義と対価性の推認についてところで,一般に寄附金とは,直接の対価を求めない資産の無償提供であり,その法律関係は,民法上の贈与と実質的に同じと解されているところ,法人税法は,寄附金について,いずれの名義をもってするかを問わず,「金銭その他の資産又は経済的利益の贈与又は無償の供与」と規定しており(同法37条6項),通常の意味における寄附金よりも広い観念であると解されている。 そして「贈与又は無償の供与」とは,反対給付のない純粋な金員の提供を意味することから,何らの役務提供とも結びついていない金員の支払であるという積極的な認定資料がない限り,その金員は寄附ではなく,何らかの対価性を有する収入と推認することができる。 (c) 製薬会社等が治験等の対価を支払う いていない金員の支払であるという積極的な認定資料がない限り,その金員は寄附ではなく,何らかの対価性を有する収入と推認することができる。 (c) 製薬会社等が治験等の対価を支払う合理性そもそも,製薬会社等は利潤追求を主目的とする営利企業であり,一般に自社の資産を無償で提供する「寄附」を容易に行うものではないという経験則が働くところである。 そして,製薬会社等にとって,治験による臨床試験結果のデータを得ることが医薬品等の製造を行う上で必要不可欠であることは,前記bのとおりであるところ,製薬会社等が治験を依頼した原告に対し,自己の利益を実現するためにその対価を支払うことは,営利企業である製薬会社等の経済活動として合理性がある。 また,製薬会社等は,治験だけでなく,医薬品等の開発,販売等を行う過程においても,医薬品等に関する研究による情報の収集を必要としており,このために行われる基礎研究,医薬品等の市販後調査(薬事法14条の4)等の治験以外の委託研究に対してその対価を支払うことにも経済的合理性がある。 (d) 治験等の実施機関への金員の支払における対価性の推認このように,製薬会社等と医療機関の間には,治験の依頼や研究委託とそれに対する対価の支払という関係が見られることから,製薬会社等が治験等を依頼している医療機関に対して金員を支払った場合には,治験等の依頼とは無関係であると認めるに足りる特段の事情がない限り,治験,委託研究等,何らかの役務を提供したことの対価として支払われた金員であることが推認されるというべきである。 そして,上記の「特段の事情」とは,治験等を当該医療機関に依頼 ,委託研究等,何らかの役務を提供したことの対価として支払われた金員であることが推認されるというべきである。 そして,上記の「特段の事情」とは,治験等を当該医療機関に依頼することがおよそ考えられない相手方からの金員である場合や,寄附の名目及び趣旨に照らして明らかに役務の提供を予定していないと認められる場合など,支払われた金員が何らの役務の提供とも結びついていないことが客観的に認められる場合をいい,その場合に支払われた金員が寄附金と認められるのであって,このような事情が認められない金員の支払については,何らかの役務を提供したことの対価と推認すべきである。 (e) 対価性の判断について以上によれば,入金による収益が請負等による収入と寄附収入のいずれに該当するかは,対価性の有無の判断によるものであり,その判断に当たっては,入金の名目だけでなく,入金の相手方,目的,内容,相手方との関係,対応する役務の提供やその予定の有無・程度等,入金の実質を総合的に考慮することが必要であるというべきであるが,上記(d)のとおり,製薬会社等が治験等を依頼した医療機関等に対して金員を支払った場合には,特段の事情がない限り,当該支払は役務の提供との間に対価性を有するものと推認すべきである。 そこで,これを本件寄附金についてみると,原告と製薬会社等との取引の多くについては,契約書,覚書等の書面が作成されており,これらの書面には,通常,治験等を依頼した製薬会社等が治験等の対価の支払を約することが明記されている。 また,製薬会社等は,原告に対して治験等に関する支払を行う場合,対価性のない利益の一方的供与である「寄附金」としてではなく,治験等の対価であ 約することが明記されている。 また,製薬会社等は,原告に対して治験等に関する支払を行う場合,対価性のない利益の一方的供与である「寄附金」としてではなく,治験等の対価であるという認識の下に支払を行っている。 このような治験の対価性に関する理解が,製薬会社及び医療機関を含めた一般的な認識であることは,例えば,前記イbのとおり,私立医科大学協会が国税当局に対し,治験の受託による収入が請負業に該当することを認めたうえで非課税とすることを要望したことや,同協会が日本私立大学団体連合会を通じて,国税庁に対し,私立医科大学が行う治験の経費の新規の算定方法の採用を要望していたことなど,原告も加盟している同協会が,治験の受託により製薬会社等から受領する金員が治験の対価であって,治験に関する事業が収益事業に該当するという認識に基づいて上記の活動を行っていたことからも明らかである。 他方,製薬会社等が原告に対し,治験等の対価を支払うに当たっては,原告の指示により,原告が作成した「奨学寄附金寄付の手順」と題する文書に従って,定型用紙である奨学寄附金寄附申込書に記載したうえ,これを一律に提出していたことは,前記アのとおりである。 このように,原告は,従来より,製薬会社等の依頼により治験等を実施して,治験の結果等のデータを渡す内容の役務を提供し,その対価として,製薬会社等から奨学寄附金の名目で金員を受領していたところ,あえて寄附金の名目で金員を受領していたのは,これらの金員を収益事業によらない収入とするための形式にすぎないというべきであって,原告が製薬会社等から受領した金員が寄附金として会計処理されていることをもって,これらの金員を法人税法にいう寄附金による収入 員を収益事業によらない収入とするための形式にすぎないというべきであって,原告が製薬会社等から受領した金員が寄附金として会計処理されていることをもって,これらの金員を法人税法にいう寄附金による収入と解することはできない。 (f) まとめ以上のとおり,別表1記載の本件寄附金については,治験等に関する役務提供との間の対価性がないことが明らかに認められる等の特段の事情がない限り,治験等の役務提供の対価と推認され,寄附金と認めることはできないところ,上記(e)の事実に照らせば,本件寄附金について上記の特段の事情を認めることはできないから,本件寄附金は,いずれも原告が製薬会社等からの依頼に基づいて医薬品等の開発,製造及び販売に係る治験等の役務を提供し,その対価として製薬会社等から受領したものと認めるべきである。 エ原告の主張に対する反論a 当事者間で治験等の対価と認識されていなかった旨の主張について(a) 原告は,製薬会社等から寄附金の名目で受領した金員について,寄附金としてのみ受け入れる趣旨の下に,製薬会社等から寄附申込書を徴求し,製薬会社等もその趣旨を了解したうえで寄附申込書に調印して提出したものであって,実質的にも寄附金であると主張する。 しかしながら,製薬会社等が本件寄附金を臨床試験結果の報告等に対する対価として支払う旨の認識を有していたことは,前記ウc(e)のとおりであり,加えて,原告が,製薬会社等から受け入れた金員が治験,前臨床試験等の対価であることが明らかな場合にも,製薬会社等に指示して寄附申込書を提出させていることに照らせば,原告の上記主張は失当である。 (b) また,原告は,治験契約書等の契 臨床試験等の対価であることが明らかな場合にも,製薬会社等に指示して寄附申込書を提出させていることに照らせば,原告の上記主張は失当である。 (b) また,原告は,治験契約書等の契約書の作成は,製薬会社等の内部の事情により,金員を支払うのに必要な手続として行われたものとしか認識,理解していない旨主張する。 しかしながら,原告の上記主張は,あたかも資金の受入れがなければ,治験を行っても治験契約書等の契約書の作成が必要ないかのような主張と解されるところ,原告は,治験の手続について,資金の受入れとは無関係に契約書等が作成される旨主張をしており,これらの主張は矛盾しているといわざるを得ない。 しかも,原告は,治験について,製薬会社等の依頼によって業務を行っていることを認める一方,受託した治験業務と入金した金員との対価性をことさらに否定する主張を行っているが,このような契約の文言に明らかに反する解釈をする根拠が示されておらず,失当というほかない。 (c) 原告は,本件寄附金が治験を起因として支払われたものであるとしても,製薬会社等としては,原告に将来も繰り返して治験を依頼したり,将来の取引の拡大を期待したりする面もあることなどから,これをもって,臨床試験結果報告の対価とはいえない旨主張する。 しかしながら,本件寄附金が上記のような趣旨の下に支払われたとしても,治験薬に関する臨床試験のデータを得るための対価であることが否定されるものではない。むしろ,原告は,これらの金員が治験に対する謝礼の趣旨も含むと主張していることからすれば,その対価性を肯定するものというべきであって,臨床試験結果の報告と本件寄附金が対価関係にあることは明らかというべきで ,原告は,これらの金員が治験に対する謝礼の趣旨も含むと主張していることからすれば,その対価性を肯定するものというべきであって,臨床試験結果の報告と本件寄附金が対価関係にあることは明らかというべきである。 (d) さらに,原告は,原告及び製薬会社側の意思として,治験の対価として金員が授受されたのではなく,治験が医療の進歩発展に奉仕するという公共的な使命感から寄附が行われ,金員が授受されたものであると主張する。 しかしながら,治験等の実態は前記ウbのとおりであり,上記主張は,原告の一方的な見解であって,製薬会社等が原告の指示により寄附申込書を提出していたことに照らしても,原告自身が,本件寄附金が純粋な寄附金ではなく,名目上の寄附金にすぎないことを認識していたといわざるを得ない。 (e) そもそも,原告は,製薬会社等の依頼によって治験等の業務を行っていることを認める一方,その対価については,ことさら受託した治験等の業務と入金した金員との対価性を否定する主張を行っているが,このような主張は,経験則に反し,根拠のないものといわざるを得ず,治験等の実施に関して契約を交わしている当事者の主張としては,到底首肯できるものとはいえない。 b 治験の一体的性格に関する主張について原告は,治験はその性質上,患者に対する医療行為としての治験と,その結果報告とが一体となるものであり,治験を起因とする金員の授受があっても,あくまでも医療行為の対価としてとらえるべきであって,臨床試験結果報告の部分を分断してこれと対価関係があるとすることは,相当でない旨主張する。 しかし,治験においては,患者に対する医療行為の対価を患者又は保険から収受することとは 臨床試験結果報告の部分を分断してこれと対価関係があるとすることは,相当でない旨主張する。 しかし,治験においては,患者に対する医療行為の対価を患者又は保険から収受することとは別に,治験薬に関する臨床試験結果のデータを収集,整理して提供する対価として製薬会社等から金員を収受しているのであるから,製薬会社等から受領した金員を医療行為の対価とする原告の主張は失当である。 c 治験が医療保健業に該当する旨の主張について(a) 原告は,私立学校法3条に規定する学校法人が行う医療保健業は収益事業から除かれており(施行令5条1項29号ハ),治験に係る臨床試験結果報告は医療行為と一体不可分のものであるから,これに関して得られる収入は医療保健業によるものであるとして,基本通達15-1-29の規定により,請負業に該当しない旨主張する。 (b) そこで検討するに,一般に「医療業」とは,医師又は歯科医師等が人(患者)に対し医業又は医業類似行為を行う事業及び獣医が動物に対し診察治療を行う事業並びにこれらに直接関連するサービスを提供する事業をいい,「保健業」とは,保健衛生のサービスを提供する事業をいい,医療保健業は,これらを複合した概念である。 これに対し,原告は,製薬会社等から新薬等に係る治験等の依頼を受けてこれを実施し,これらの役務の提供の対価として,製薬会社等から奨学寄附金の名目で金員を受領したのであり,これらの行為は,製薬会社等と原告との間の契約により依頼者である製薬会社等のために行われたものであって,患者の依頼により行ったものではない。 したがって,原告が製薬会社等のために行ったこれらの行為は,医療保健業及びこれに付随して行われ 製薬会社等のために行われたものであって,患者の依頼により行ったものではない。 したがって,原告が製薬会社等のために行ったこれらの行為は,医療保健業及びこれに付随して行われる行為に該当せず,請負業に該当するものというべきである。 (c) また,治験に関する行為には,患者に対する治験薬の投与による医療行為と,製薬会社等に対する臨床試験結果の報告行為の2つの側面があり,例えば,患者に対する治験薬の投与が,患者との契約に基づき,患者に対する医療行為に付随して患者のために行われる役務であるのに対し,治験薬の投与に関する臨床試験結果の報告は,治験依頼者である製薬会社等との間の契約に基づき,患者に対する医療行為により得られたデータを製薬会社等に報告するという役務を提供するものであり,その対価も,前者は患者又は保険が負担するのに対し,後者は製薬会社が負担するなど,両者の性格は明らかに異なっている。 したがって,治験における医療行為と臨床試験結果の報告について,両者の性格を同列に論じたうえで,等しく基本通達15-1-29を適用すべきであるとする原告の主張は失当である。 d 対価の把握が不能である旨の主張について原告は,治験に関する業務を請負業とすれば,臨床試験結果の報告部分に相当する対価のみを収益事業に当たる所得としなければならないところ,そのような対価を算出することは困難ないし不可能であると主張する。 しかしながら,原告の上記主張は,治験に関する業務のうち,医療行為の部分には対価性がなく,臨床試験結果の報告の部分のみが対価性を持ち得るという前提の下に,後者を分離して対価性を算出することが困難ないし不可能であるとするものと解さ 治験に関する業務のうち,医療行為の部分には対価性がなく,臨床試験結果の報告の部分のみが対価性を持ち得るという前提の下に,後者を分離して対価性を算出することが困難ないし不可能であるとするものと解されるところ,治験に関連して依頼者である製薬会社等から奨学寄附金等の名目で収受する金員が請負業に係る収入となる以上,その収入金額は明確に把握できるから,原告の上記主張は理由がない。 e 原告が受領した金員が請負の報酬に当たらない旨の主張について原告は,原告が製薬会社等から受領する寄附金について,役務の提供に対する報酬の金額を契約時に確定することはできないし,報酬額が一症例ごとに一定額であるとすれば,仕事の労力と関係なく定められている点において,請負に対する報酬の概念とは異なるものであるとして,原告が製薬会社等から受領した金員は請負に対する報酬ではない旨主張する。 しかし,原告の上記主張は,民法632条に規定する請負契約の要件を前提とするものであるところ,施行令5条1項10号に掲げる請負業は,事務処理の委託を受ける業を含むものとされており,民法632条の請負契約に基づいて行う事業のほか,他の者の委託に基づき行う調査,研究,情報の収集及び提供等の事業も含まれるのであるから,治験に係る製薬会社等との間の行為が民法上の請負契約の要件を欠くことを理由に請負業に該当しないとする原告の主張は失当である。 f 入金の名目が奨学寄附金である以上は寄附金であるとの主張について原告は,本件寄附金が「奨学寄附金」の名目で入金されている以上,寄附金であって,臨床試験結果の報告に対する対価と認定することはできない旨主張する。 しかし,税法上の評価は,支払の名目 ,本件寄附金が「奨学寄附金」の名目で入金されている以上,寄附金であって,臨床試験結果の報告に対する対価と認定することはできない旨主張する。 しかし,税法上の評価は,支払の名目にかかわらず,その経済的実質に着目して行うべきであるところ,本件寄附金は,名目は奨学寄附金であっても,その実質が臨床試験結果の報告に対する対価であることは前記ウcのとおりであって,寄附金には該当しないから,原告の上記主張は失当である。 g 薬学部等における委託研究について原告は,薬学部においては治験を実施することはないとして,薬学部における業務委託契約による収益が存在しない旨主張する一方,薬学部その他の原告の施設が委託研究を行っていたとしても,製薬会社等としては,将来何らかの機会に情報の提供,自社の開発テーマの採用等を考慮してもらうことを期待して寄附していたのであって,委託研究との間に何ら対価性は認められない旨主張する。 しかしながら,薬学部が製薬会社等の依頼を受けて基礎試験を行うなど,薬学部その他の原告の機関において,治験以外の委託研究を受託していたことは明らかである。 そして,原告と製薬会社等が委託研究の契約を締結する際,研究費用の額,支払方法等が定められ,これに基づいて委託者は「研究助成金寄付申込書」等の文書を作成して原告に提出し,原告から「研究助成金受諾承認書」等の文書の交付を受けたうえで,契約金額の支払を行っており,これらの文書における支払目的の記載に照らせば,原告に納入された研究助成金が,委託研究と直接的に関連して支払われていることは明らかというべきである。 したがって,原告は,薬学部その他の施設において,治験以外の委託研究の対価と 告に納入された研究助成金が,委託研究と直接的に関連して支払われていることは明らかというべきである。 したがって,原告は,薬学部その他の施設において,治験以外の委託研究の対価として奨学寄附金名目の金員を受領していたというべきであるから,原告の上記主張はいずれも失当である。 オ請負業に係る経費認容についてa 収益事業を営む公益法人等の所得の計算等に関する規定について学校法人を含む公益法人等については,当該公益法人等の各事業年度の所得のうち,収益事業から生じた所得に限り法人税が課税されることから,施行令6条は,公益法人等において,収益事業から生ずる所得に関する経理と収益事業以外の事業から生ずる所得に関する経理とを区分して行わなければならない旨規定する。 そして,基本通達15-2-5は,収益事業を営む公益法人等の費用又は損失の区分経理について,収益事業について直接要した費用又は直接生じた損失の額は収益事業に係る費用又は損失の額として経理することとし,収益事業と収益事業以外の事業とに共通する費用又は損失の額については,当該費用又は損失の額の性質に応ずる合理的な基準により各事業に配賦し,その配賦したところに基づいて経理する旨規定する。 b 本件における収益事業に係る経費認容について被告は,原告の各収益事業に係る経費認容額について,原告の平成元年度決算書を基に,各収入の形態に応じ,それぞれ各収入の割合による各会計収支基準により算定したところ,その算定方法の詳細及び算定された経費認容額は,別表7のとおりである。 被告が上記の算定方法を採用したのは,原告が前記aの収益事業とそれ以外の事業に係る所得に関 算定したところ,その算定方法の詳細及び算定された経費認容額は,別表7のとおりである。 被告が上記の算定方法を採用したのは,原告が前記aの収益事業とそれ以外の事業に係る所得に関する区分経理を実施していないため,原告の各収益事業に係る収入金額に対応する経費の額を個別的に抽出することが実質的に困難であったことによるものであり,被告の採用した算定方法は,原告の各収入の形態に照らし,それぞれ適当と認められる会計収支基準を採用した合理的なものである。 なお,治験に係る一連の行為には,患者に対する医療行為と,医療行為の結果得られた臨床試験結果を製薬会社等に報告する行為の2つの側面があるところ,治験の目的は,あくまでも製薬会社等に対する治験に係る臨床試験結果の報告であり,治験収入はまさにその報告の対価であって,患者に対する治療の対価とは性格を異にするものである。 したがって,医療収入に対する直接経費である薬品費及び給食材料費は,請負業収入との関連がないから,治験収入の経費認容額の計算をするに当たり,これを除外して計算することが相当である。 c 原告の主張する経費の算定方法に対する反論(a) 原告の請負業に係る経費認容額の主張に対する反論ⅰ 原告は,仮に,治験等の対価としての金員の受領が請負業による収益に該当するとしても,経費の方が多額になることから,法人税を課税すべきでない旨主張する。 ⅱ 原告の上記主張の根拠は,次の2点にあると解される。 ① 治験において医療行為と臨床試験結果の報告は一体であり,むしろ医療行為が主たる部分である以上,一般医療行為に必要な薬品費及び給食材料費の支出 の2点にあると解される。 ① 治験において医療行為と臨床試験結果の報告は一体であり,むしろ医療行為が主たる部分である以上,一般医療行為に必要な薬品費及び給食材料費の支出についても,治験による収入に対する経費に含めるのが当然であり,被告が前記bの経費認容額の算定において,病院消費支出合計額から薬品費及び給食材料費を控除したことは誤りである。 ② 病院総収入及び医学部収入における補助金及び寄附金収入は,業務に関係がなく,これに対応する経費は存在しないから,それぞれの収入から控除すべきである。 ⅲ しかしながら,治験の目的は,あくまでも製薬会社等に対する臨床試験結果の報告であり,治験収入はその報告の対価であって,患者に対する治療の対価とは性格が異なるものである。加えて,原告は,治験を含む医療行為の診療費について,未承認の治験薬費を除いて,原則として患者の負担として支払を受けることとしており,薬品費及び給食材料費は,患者への医療行為の対価として患者及び保険から支払を受ける診療費に係る費用であって,治験及び委託研究収入とは対応関係がない。 したがって,被告が病院消費支出合計額から薬品費及び給食材料費を控除して経費を算定したことは正当であって,原告の上記ⅱ①の主張は失当である。 ⅳ また,原告の上記ⅱ②の主張は,被告による前記bの経費認容額の算定に関し,医学部教員人件費に乗ずる割合を算出する際の病院総収入金額及び医学部収入金額,並びに,消費支出合計額に乗ずる割合の計算過程における「治験収入金額及び委託研究収入金額」を除する際の病院総収入金額の各収入金額から,原告のいう補助金及び寄附金収入を控除すべきであるとするものであ ,並びに,消費支出合計額に乗ずる割合の計算過程における「治験収入金額及び委託研究収入金額」を除する際の病院総収入金額の各収入金額から,原告のいう補助金及び寄附金収入を控除すべきであるとするものである。 しかしながら,原告の主張する寄附金収入には,本来寄附金収入とはならない収益事業による収入が含まれており,消費支出合計額には,上記補助金及び寄附金収入を得るための事務経費等が含まれているから,上記の病院総収入額及び医学部収入金額から原告のいう補助金及び寄附金収入を控除することは相当でない。 (b) 原告の経費計算に対する反論原告は,治験に係る経費について,別表10の「請負業収入に係る経費の額」に記載のとおり主張するところ,上記主張は,前記(a)で指摘した点以外にも,次の点において相当でない。 ⅰ 病院総収入及び病院収入について原告は,病院総収入及び病院収入の各金額が242億1866万7130円であると主張し,この金額に基づいて医学部教員人件費に乗ずる割合を算出しているが,上記各金額には,原告の本部会計を経由していない眼鏡店等からの仲立業収入242万2500円が加算されておらず,上記仲立業収入は原告の平成元年度決算書に計上されていないことから,原告の病院総収入及び病院収入の各金額は,上記仲立業収入を加算した242億2108万9630円とすべきである。 ⅱ 収入金額(委託研究費)について原告は,収入金額(委託研究費)の金額が2億8961万7272円であると主張するが,原告が,被告の主張する請負業に係る収益計上漏れから薬学部に係る金額を控除したものを主張する趣旨であれ 原告は,収入金額(委託研究費)の金額が2億8961万7272円であると主張するが,原告が,被告の主張する請負業に係る収益計上漏れから薬学部に係る金額を控除したものを主張する趣旨であれば,3億1309万7272円から2648万円を控除した2億8661万7272円を原告の主張する収入金額(委託研究費)とすべきである。 ⅲ 委託研究費について原告は,委託研究費の金額が2億8961万7272円であるとして,収入金額(委託研究費)を除する際の分母の額に加算しているが,同金額のうち附属病院本院,溝口病院及び市原病院に係る金額については,上記分母で加算した病院総収入に包含されており,また,医学部に係る金額については,医学部教員人件費に乗ずる割合を算出する際の医学部収入に包含され調整済みであるから,上記委託研究費を上記分母の額に加算する必要はない。 (c) まとめ以上のとおり,原告の請負業に係る経費認容額に関する原告の主張は,いずれも失当であり,原告の請負業による収入の経費は,別表7の④及び⑤のとおりとなるから,治験等に係る収入よりも経費の方が多額であるとして,法人税を課税すべきでないとする原告の前記主張は,理由がないといわざるを得ない。 (2) 仲立業についてア原告の業務が仲立業に該当することについてa 施行令5条1項19号は,仲立業を収益事業の一つとして規定しているところ,仲立業とは,他の者のために商行為の媒介を行う事業をいい,例えば商品売買,用船契約又は金融(手形割引を含む。)等の仲介又はあっせんを行う事業がこれに該当する(法人税法基本通達15-1-46)。 b 原告は,前記2「前提 介を行う事業をいい,例えば商品売買,用船契約又は金融(手形割引を含む。)等の仲介又はあっせんを行う事業がこれに該当する(法人税法基本通達15-1-46)。 b 原告は,前記2「前提となる事実」(3)イのとおり,附属病院本院及び市原病院において,南旺光学ほか4社から,別表2記載の金額の金員を受領したものである。 しかるに,原告は,原告の附属病院の眼科に対する出入業者(以下,単に「出入業者」ということがある。)を南旺光学ほか4社に限定し,それぞれ指定した曜日に出入業者の社員を原告の病院の眼科に派遣させ,眼鏡等を必要とする患者を紹介することにより眼鏡等の注文のあっせんを行い,その手数料として上記金員を奨学寄附金名目で受領していたものであり,このことは,南旺光学の経理担当者,シード東京販売の営業担当者及び経理担当者並びに株式会社リッキーコンタクトレンズの担当者が,あっせんの事実及びあっせん手数料ないし販売手数料としてコンタクトレンズの販売代金の50パーセントを目途として支払っていた事実を具体的に供述していることからも明らかである。 原告が行ったこれら一連の行為は,出入業者に対して眼鏡を必要とする患者を紹介することにより,眼鏡等のあっせんをしたものにほかならないから,上記行為が施行令1項19号に規定する仲立業に該当することは明らかというべきである。 イ原告の主張に対する反論これに対し,原告は,原告の眼科に出入りしていた南旺光学ほか4社の出入業者との関係について,あっせんの事実そのものを否定している。 しかしながら,上記アbのとおり,異なる出入業者が,それぞれ,あっせんの事実及びあっせん手数料支払の事実を具体的に供述しており,原告が,出入業 っせんの事実そのものを否定している。 しかしながら,上記アbのとおり,異なる出入業者が,それぞれ,あっせんの事実及びあっせん手数料支払の事実を具体的に供述しており,原告が,出入業者に対して眼鏡等を必要とする患者を紹介し,出入業者がその紹介の対価としてのあっせん手数料を,原告の指示により奨学寄附金名目で支払っていたことは明らかであるから,原告の上記主張は理由がない。 ウなお,仲立業収入に係る経費認容額は,前記(1)オbの方法により,別表7のとおり算定される。 これに対し,原告は,仲立業収入に係る経費の算定に当たり,別表10のとおり,病院総収入及び医学部収入から,対応する経費のない補助金及び寄附金収入を除外して計算すべきである旨主張するが,かかる計算方法が相当でないことは,請負業収入に係る経費の算定の場合と同様である。 (3) 金銭貸付業についてア未収の貸付金利子の収益計上時期及びその特例についてa 法人税法22条2項は,当該事業年度の益金の額に算入すべき金額について,別段の定めがあるものを除き,資産の販売,有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供,無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とし,同条4項は,当該事業年度の益金の額は,一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算する旨規定するところ,企業会計原則は,収益を発生主義によって認識すべきものとしている(同原則第二損益計算書原則一)。 そして,基本通達2-1-24は,貸付金から生ずる利子の収益計上時期について,その利子の計算期間の経過に応じ当該事業年度に係る金額を当該事業年度の益金の額に算入することとし,原則として発生主義によ そして,基本通達2-1-24は,貸付金から生ずる利子の収益計上時期について,その利子の計算期間の経過に応じ当該事業年度に係る金額を当該事業年度の益金の額に算入することとし,原則として発生主義によることを定めている。 なお,主として金融及び保険業を営む法人以外の法人が,その有する貸付金から生ずる利子でその支払期日が1年以内の一定の期間ごとに到来するものの額については,継続してその支払期日の属する事業年度の益金の額に算入している場合には,益金算入を認めることとしている(基本通達2-1-24)。 b しかしながら,債務者の状態からみて現実に利子を回収することが極めて困難なため,未収の貸付金利子を上記の基準により計上することが実情に反する場合もあることから,基本通達2-1-25は,貸付金の債務者について次のいずれかの事実が生じた場合には,当該貸付金から生ずる利子の額のうち当該事業年度に係るものは当該事業年度の益金の額に算入しないことができることとしている。 ① 債務者が債務超過に陥っていることその他相当の理由により,その支払を督促したにもかかわらず,当該貸付金から生ずる利子の額のうち最近発生利子の全額が当該事業年度終了の時において未収となっており,かつ,直近1年以内に最近発生利子以外の利子について支払を受けた金額が全くないか又は極めて少額であること。 ② 債務者につき会社更生法の規定による更生手続又は商法の規定による会社の整理その他これに類する法律上の整理手続が開始されたこと。 ③ 債務者につき債務超過の状態が相当期間継続し,事業好転の見通しがないこと,当該債務者が天災事故,経済事情の急変等により多大の損失を蒙ったことその他これらに類する事由が生じたた ③ 債務者につき債務超過の状態が相当期間継続し,事業好転の見通しがないこと,当該債務者が天災事故,経済事情の急変等により多大の損失を蒙ったことその他これらに類する事由が生じたため,当該貸付金の額の全部又は相当部分についてその回収が危ぶまれるに至ったこと。 ④ 会社更生法の規定による更生計画の認可決定,債権者集会の協議決定等により当該貸付金の額の全部又は相当部分について相当期間(おおむね2年以上)棚上げされることになったこと。 イ本件貸付金について原告は,別表3記載のとおり,武蔵野土木工業ほか2社に本件貸付金を貸し渡したものであるところ,本件法人税更正処分において益金に加算した本件貸付金の利子については,いずれも上記アb①ないし④の各事由に該当する事実はなく,前記アaの原則的な計上基準により,平成2年3月期の益金に算入されるべきものである。 ウ原告の主張に対する反論原告は,本件貸付金の貸付先について,前記アb①及び③に該当する事実が存在する旨主張し,特にウエノハラスポーツヒルズに対する貸付金については,その所有不動産が競売されていることからも,前記アb①に該当する事実が存在する旨主張する。 しかしながら,本件貸付金の貸付先について,そのような事由に該当する事実がないことは,上記イのとおりである。 また,ウエノハラスポーツヒルズの所有不動産の競売は,平成2年3月期の事業年度終了後に発生したものであり,平成2年3月期に前記アb①に該当する事実が存在したとはいえないし,そもそも,原告のウエノハラスポーツヒルズに対する貸付金の元本は,平成元年4月11日に回収されていることに照らしても,原告のウエノハラスポーツ 期に前記アb①に該当する事実が存在したとはいえないし,そもそも,原告のウエノハラスポーツヒルズに対する貸付金の元本は,平成元年4月11日に回収されていることに照らしても,原告のウエノハラスポーツヒルズに対する貸付金の利子について,前記アbに記載した基本通達2-1-25の取扱いが適用される余地はない。 したがって,原告の上記主張は,いずれも失当である。 エなお,金銭貸付業収入に係る経費認容額は,前記(1)オbの方法により,別表7のとおり算定される。 これに対し,原告は,金銭貸付業に係る経費の算定についても,別表10のとおり,本部総収入から有価証券売却益並びに補助金及び寄附金収入を除外して計算すべきである旨主張するが,かかる計算方法が相当でないことは,請負業収入に係る経費の算定の場合と同様である。 (4) 不動産貸付業についてア不動産賃料の収益計上時期法人税法においては,不動産賃料の収益を計上する時期についても,前記(3)アaのとおり発生主義によるべきものとされており,基本通達2-1-29は,資産の賃貸借契約に基づいて支払を受ける使用料等の額は,前受けに係る額を除き,当該契約又は慣習によりその支払を受けるべき日の属する事業年度の益金の額に算入することとしている。 しかしながら,この定めは,一般に資産の賃貸借契約に基づく使用料について,年以下の期間を単位として規則的に支払われる取引慣習があることを前提にするものであるから,その使用料の支払期日が1年を超えて定められているような場合には,上記通達の定めの適用はなく,事業年度以下ごとにその発生した収益を計上しなければならない。 イ原告の未収不動産賃料について原 年を超えて定められているような場合には,上記通達の定めの適用はなく,事業年度以下ごとにその発生した収益を計上しなければならない。 イ原告の未収不動産賃料について原告は,平成2年3月期当時,タガタ産業に対し,本件土地を賃貸していたものであり,このことは,原告の昭和62年10月12日付け理事会決議録の決議事項において,「有限会社タガタ産業に対し金壱億三千万円也と本学園所有の静岡県藤枝市にある土地四七三二坪を貸付ける。」と記載されていること,タガタ産業の代表取締役Fが,東京国税局の調査担当者の聴取りに対し,本件土地を同社に代わって原告が購入したうえ,同社が借りる形とし,5年間の借地料相当額について同社が別の土地を原告に提供することになっている旨供述していることからも明らかである。 したがって,本件法人税更正処分において益金に加算した不動産の賃料は,上記アの収益計上基準により,平成2年3月期の益金の額に算入されるべきである。 ウ不動産の貸付けに係る原告の自白及び主張について原告は,第4回口頭弁論期日において,本件土地の賃借に関し,「原告が有限会社タガタ産業に対し,被告主張の本件土地を賃貸していることは認める」と記載した平成8年12月18日付け準備書面を陳述している。 にもかかわらず,原告は,第7回口頭弁論期日において陳述した平成9年6月24日付け準備書面において,上記の自白が真実に反し,錯誤に基づくものであることを理由にこれを撤回したうえ,本件土地は,タガタ産業の原告に対する借受金の担保として原告に提供されたものであって,賃貸借契約は存在しない旨主張している。 しかしながら,原告が本件土地を賃貸した事実については,自白が成立し ガタ産業の原告に対する借受金の担保として原告に提供されたものであって,賃貸借契約は存在しない旨主張している。 しかしながら,原告が本件土地を賃貸した事実については,自白が成立しており,撤回することは認められないというべきである。 また,この点を措くとしても,そもそも原告がタガタ産業に対して本件土地を賃貸していたことは,前記イのとおり明らかであるから,これに反する原告の主張は失当である。 さらに,原告の昭和63年3月31日現在の財産目録において,本件土地1億3628万0010円,タガタ産業に対する手形による貸付金1億3000万円が計上されており,土地の金額が原告とタガタ産業の間の昭和62年11月27日付け本件土地の売買契約書における売買代金と同額であり,貸付金の金額が同月25日付け関連事項売買契約書における同社の借入金の金額と同額であること,同社の代表取締役が,1億3000万円の借入金とは別に本件土地の取得代金を原告が支払っている旨供述していることに照らしても,同社が本件土地を借受金の担保として原告に提供したとする原告の上記主張は,失当というべきである。 (5) 結論以上に基づいて,原告の平成2年3月期の法人税に係る所得金額,納付すべき税額及び無申告加算税の金額並びに平成2年3月課税期間の消費税に係る課税標準額及び納付すべき税額を算定した結果は,それぞれ前記3「被告による本件各処分の根拠」のとおりであり,いずれも本件各処分における金額と同額以下である。 したがって,本件各処分はいずれも適法であって,原告の主張には理由がないから,原告の請求は棄却されるべきである。 5 争点以上によれば,本件の争点は,次のとおりである。 (1) 請負 って,本件各処分はいずれも適法であって,原告の主張には理由がないから,原告の請求は棄却されるべきである。 5 争点以上によれば,本件の争点は,次のとおりである。 (1) 請負業(治験等)についてア本件寄附金が,原告の実施した治験等に係る役務提供の対価として支払われたものか否か。 (争点1)イ争点1について,本件寄附金が治験等の対価と認められた場合,原告の本件寄附金による収入は,施行令5条1項10号に規定する請負業に係る収入に該当するか否か。 (争点2)ウ争点2について,本件寄附金による収入が請負業に係る収入に該当することが認められた場合,上記収入に対する経費の金額はいくらか。 (争点3)(2) 仲立業について原告が南旺光学ほか4社から寄附金として受領した金員が,施行令5条1項19号に規定する仲立業に係る収入に該当するか否か。また,該当するとした場合,上記収入に対する経費の金額はいくらか。 (争点4)(3) 金銭貸付業について本件未収利子について,金銭貸付業に係る収入として計上すべきか否か。 また,計上すべきであるとした場合,上記収入に対する経費の金額はいくらか。 (争点5)(4) 不動産貸付業について被告が平成2年3月期当時,タガタ産業に対して不動産を賃貸した事実が認められるか否か。また,不動産を賃貸した事実が認められる場合,賃料を不動産貸付業に係る収入として計上すべきか否か。 (争点6)第3 当裁判所の判断 1 争点1について(1) 前記「前提となる事実」に加え,各項末尾に掲記した証拠等によれば,原告における奨学寄附金 として計上すべきか否か。 (争点6)第3 当裁判所の判断 1 争点1について(1) 前記「前提となる事実」に加え,各項末尾に掲記した証拠等によれば,原告における奨学寄附金等の取扱い,治験等の実施等に関し,次の事実を認めることができる。 ア原告は,平成2年3月期に,医学部等及び薬学部において,奨学寄附金等の名目で,別表1の「収入先」欄記載の製薬会社等から,同表記載のとおり,本件寄附金合計3億1309万7272円を受領した。 本件寄附金のうち,医学部等に係る個別の寄附について,寄附を行った者,寄附金額,寄附の年月日及び寄附申込書に記載された寄附の目的は,それぞれ別表9の「会社名」,「金額」,「入金日」及び「寄付の目的」の各欄に記載したとおりである。 (当事者間に争いがない事実)イ原告の寄附金に関する会計処理a 原告は,経理事務の処理に関して,経理規程を定め,昭和46年4月1日よりこれに基づいて経理事務の処理を行っている。 そして,経理規程2章「帳簿及び勘定科目」の9条2項は,「各勘定科目の性質及び処理基準については別表に定めるところによる。」と規定しているところ,同規程別表の「Ⅰ資金収支計算書記載勘定科目表」の「収入の部」の大科目「寄附金収入」には,小科目として「特別寄附金収入」及び「一般寄附金収入」があり,「特別寄附金収入」の「備考」欄は,「特別寄附金収入」の科目の性質及び処理基準として,「用途指定のある寄附金をいう」と定める一方,「一般寄附金収入」の「備考」欄は,「一般寄附金収入」の科目の性質及び処理基準として,「用途指定のない寄附金をいい,後援会P.T.A等も含む」と定めている。 また,同規程別表の「Ⅱ消費 附金収入」の「備考」欄は,「一般寄附金収入」の科目の性質及び処理基準として,「用途指定のない寄附金をいい,後援会P.T.A等も含む」と定めている。 また,同規程別表の「Ⅱ消費収支計算勘定科目表」の「収入の部」の「備考」欄も,科目の性質及び処理基準について,「資金収支の説明に同じ(以下同じ)」と定めている。 (乙74)b 原告は,製薬会社等から寄附金として金員を受け入れる場合,特定の研究の費用として使用されることを目的とする場合には奨学寄附金とし,私立学校の学術振興を目的とする場合には一般寄附金として受け入れていた。 一方,原告の平成2年3月期の決算に係る「平成元年度決算書」においては,「奨学寄附金」が,消費収支計算書の「消費収入の部」における科目「寄付金」の中の「一般寄付金」に含めて経理処理されている。 (甲14,乙51)ウ治験の実施a 薬事法によれば,医薬品等を製造しようとする者は,品目ごとに厚生大臣の承認を受けなければならないこととされ(同法14条1項),医薬品等の製造承認申請に当たっては,申請書に臨床試験の試験成績に関する資料を添付しなければならないこととされており(同条3項),この臨床試験の試験成績に関する資料の収集を目的とする試験を治験という(同法80条の2第1項)。 一般に,製薬会社等が新薬を開発する過程としては,目標とする疾患,薬効等のテーマの設定に始まり,合成,抽出等による試料製造,又はバイオ技術により目的とする化合物の取得を目指す物質創製研究,薬効検定により医薬品として可能性のある化合物を選択するスクリーニングテスト,動物実験による薬理・毒性試験等の前臨床試験,臨床試験(治験),薬 技術により目的とする化合物の取得を目指す物質創製研究,薬効検定により医薬品として可能性のある化合物を選択するスクリーニングテスト,動物実験による薬理・毒性試験等の前臨床試験,臨床試験(治験),薬剤等としての評価を得るための学会又は論文発表,承認申請,製造承認,販売という経過をたどるものである。 治験は,このような新薬等の開発過程において,監督官庁の指導の下で,長期にわたる動物実験(前臨床試験)の成果を踏まえて行われるものであり,その態様は,一般患者に対する通常の医療行為を行う過程において,治療の一環として,既存薬の投与等とともに,治験薬の投与等によって行われるものである。 (甲9,同10,乙8)b 治験の具体的な手続としては,健康成人に治験薬を使用して安全性を検討する第一相試験,少数例の患者に投与して当該治験薬の安全性及び有効性を調査する第二相試験,さらに多数例の患者を対象として有効性を調査する第三相試験が行われるほか,場合によっては,当該医薬品等の市販後に長期的な安全性及び有効性の資料を収集するための第四相試験も行われるなど,厳格で手厚い手続が必要とされる。 このようなことから,治験は,十分な専門知識及び経験を有する特定の専門医が,大学医学部の付属病院のように専門的スタッフを擁して十分な設備の整っている医療機関において実施することが通例であり,医薬品等の製造承認を受けようとする製薬会社等は,このような医療機関に治験を依頼して,臨床試験の試験成績に関する資料の収集を行っている。 (甲9,同10,証人A)c 原告は,医学部,付属病院等を有する学校法人であり,従来より製薬会社等の委託を受けて治験を実施しており,原告の施設における平成5年ころ以降の治験の (甲9,同10,証人A)c 原告は,医学部,付属病院等を有する学校法人であり,従来より製薬会社等の委託を受けて治験を実施しており,原告の施設における平成5年ころ以降の治験の実施手続の流れは,概ね次のとおりであった。 (a) 原告は,治験依頼者である製薬会社から治験実施委託を受けると,治験実施計画書,治験薬申請書一式,治験薬使用届,治験薬の概要に関する添付資料,治験薬詳細関係資料等の提出を受けるとともに,契約書の文案の提示を受けて,これを治験審査委員会において検討する。 (b) 薬剤部長が治験薬管理表を作成する。 (c) 治験審査委員会において審査した結果,治験を受託することとした場合には,治験審査一覧表を作成して副院長に送付し,副院長から病院長に送付するとともに,病院長と製薬会社との間で,治験実施に関する契約書が作成される。 (d) 治験担当医師に,治験実施計画書,治験症例記録,同意書,同意書を得るための説明文等が送付され,担当医師が患者に同意を求め,同意を得られた場合に治験が実施される。 (e) 治験が終了した際,治験終了報告書を作成し,治験依頼者である製薬会社に提出する。 (甲9)d 製薬会社等は,原告に対し,治験以外にも,物質創製研究,スクリーニングテスト,前臨床試験に係る委託研究,新薬が市販された後の医薬品に関する有効性,安全性及び品質に関する研究等,新薬の開発の過程において必要とされる研究及び有益な情報の提供等の役務の提供を依頼し,原告は,薬学部その他の施設において,これらの委託研究を行っていた。 (乙1,同2の1及び2,同4ないし7(各枝番号を含む。))エ治験等の実施に伴う契約の の提供等の役務の提供を依頼し,原告は,薬学部その他の施設において,これらの委託研究を行っていた。 (乙1,同2の1及び2,同4ないし7(各枝番号を含む。))エ治験等の実施に伴う契約の締結及び書類の作成a 原告が製薬会社等の委託を受けて治験等を実施するに当たっては,その実施に関する契約が締結され,その際,契約書,覚書等の書面が作成されることが通例であったが,これらの書面が作成されないまま,口頭で契約が締結される場合もあった。 契約書等の書面が作成される場合には,原告が臨床試験を実施してその結果等を製薬会社等に提供する旨定められるほか,製薬会社等が依託研究費,研究費,調査報酬等として金員を支払う旨の定めを設けることもあり,具体的な金額及び支払時期が定められている場合もあるが,金員の支払について何ら定めのない書面も多数存在する。 (乙9ないし48(各枝番号を含む。),同66の5,同70)b 一方,製薬会社等から原告に対し,治験等を起因として,奨学寄附金の名目で金員が支払われていたところ,平成2年3月期ころにおけるその支払手続としては,原告が治験を実施した後,製薬会社等が原告宛ての寄附金額及び寄附の目的を記載した奨学寄附金寄附申込書を原告の本部会計課に提出して奨学寄附金の申込みを行い,原告がこれを受けて,製薬会社等に対し,奨学寄附金受納書を提出して,当該金員の振込先となる原告名義の銀行口座を指定し,製薬会社等がこの口座に当該金員を振り込む方法により支払を行っていた。 もっとも,製薬会社等が原告に提出した奨学寄附金寄附申込書は,定型書式であり,その記載事項及び記載方法は,原告が作成した「奨学寄附金寄付の手順」(市原病院に係る寄附の場合は「奨学 もっとも,製薬会社等が原告に提出した奨学寄附金寄附申込書は,定型書式であり,その記載事項及び記載方法は,原告が作成した「奨学寄附金寄付の手順」(市原病院に係る寄附の場合は「奨学寄付金寄付の手順」)と題する文書(以下「「寄付の手順」」という。)に指示されており,製薬会社等は,「寄付の手順」に記載された指示に従って,奨学寄附金寄附申込書に所定の事項を記入して提出し,その後の支払手続を行っていた。 また,製薬会社等は,治験等を起因とする奨学寄附金の支払に関し,治験等に係る資料の提出後,原告に対し,治験等の対価という認識の下に金員を支払う際,治験等を担当した原告の教授から指示を受けて,奨学寄附金の支払という形式を採ることとしたり,治験に係る契約を締結する際,治験等を担当する原告の教授と打ち合わせるなどして,支払金額を決定しており,このようなことは,治験等の実施に係る契約書等の書面に金員の支払に関する定めのない場合や,契約書等の書面が作成されなかった場合においても行われていた。 さらに,製薬会社等が原告に提出した奨学寄附金寄附申込書の中には,寄附の目的として,治験研究費であることを明記しているものも存在する。 (甲13の1ないし3,同14,乙2の1,2,同9ないし12,同49,同50,同53,同71ないし73)c 原告の附属病院本院その他の施設においては,薬剤部が製薬会社から治験薬を預かり,その管理を行うことを起因として寄附金が支払われることがあり,その場合には,製薬会社から,奨学寄附金寄附申込書とは異なる様式の「寄附申込書」と題する書面に,私立学校の学術振興などを寄附の目的として記載して提出する方法により,寄附金の申込みが行 ることがあり,その場合には,製薬会社から,奨学寄附金寄附申込書とは異なる様式の「寄附申込書」と題する書面に,私立学校の学術振興などを寄附の目的として記載して提出する方法により,寄附金の申込みが行われていた。 さらに,医真菌研究センターや薬学部における委託研究に関連して,定型書式による奨学寄附金寄附申込書とは異なる様式の,「研究助成金寄付申込書」,「奨学寄付金寄付願」等と題する書面を提出する方法により,寄附金等の名目により金員の支払が行われたこともあったが,その際,金員の支払方法や名目について,原告の担当教授が指示をすることもあった。 (甲13の1ないし3,乙1の1,4,同5の1)オ本件寄附金の起因について本件寄附金のうち医学部等が受領した分に係る寄附の起因に関する別表9の「原告起因」欄記載の主張は,A教授による調査の結果に基づくものであり,A教授は,同表の「寄付の目的」欄に名前の挙げられている医師,教授及びその後任者等に直接確認し,不明な点については製薬会社等にも照会するなどして,これらの寄附の起因を調査したものであるところ,その調査において,本件寄附金に関し,上記関係者等から,次の各事情を聴取した。 (甲19,証人A)a 別表9の医学部の番号32,79,140,161,168及び200の寄附金においては,いずれもB教授による新素材,セラミックスの教育,研究等が寄附の目的とされている。 しかし,同教授は,東京工業大学から帝京科学大学教授に就任するために招へいされたものの,同大学が設立準備中であったことから,昭和63年4月1日,原告の教授に一時的に任命されたにすぎない。 したがって,同教授が,当時セラミック 授に就任するために招へいされたものの,同大学が設立準備中であったことから,昭和63年4月1日,原告の教授に一時的に任命されたにすぎない。 したがって,同教授が,当時セラミックスの教育,研究等について委託を受けた事実はない。 また,同教授は,医師ではないから,治験を行ったこともない。 b 別表9の医学部の番号6の寄附金並びに医真菌研究センターの番号1,2及び12の寄附金においては,いずれもD教授の研究が寄附の目的とされているが,同教授は,分子生物学の教授であって,医師ではないから,治験を行ったことはなく,同教授が委託研究を依頼されたこともない。 c 別表9の医学部の番号278の寄附金は,矢崎財団がE教授の研究費として寄附したものであり,同教授は医学部進学課程の教授であるが,専門は物理学であって,医師ではないから,治験を行ったことはなく,同財団が特定の委託研究をしたこともない。 d 別表9の医学部の番号108の寄附金は,附属病院本院の第2外科において癌の治療及び手術を受ける患者が非常に多く,抗癌剤も多く使用していることから,抗癌剤の販売を行っている大鵬薬品が,原告の研究費として使用してもらうために寄附したものである。 e 原告は,診療材料又は診療機器の販売会社から,当該会社の販売に係る診療材料又は診療機器を治療行為の際に使用したことの返礼として,奨学寄附金の名目で寄附金を受け取ることがあり,別表9の医学部の番号1,2,8,9,24,38,39,43,166,205,237,238,279,292及び293の寄附金並びに附属病院本院の番号66の寄附金がこれに該当する。 (2) 以上の事実に基づいて,本件寄附金の支払と治験等の関係につい 3,166,205,237,238,279,292及び293の寄附金並びに附属病院本院の番号66の寄附金がこれに該当する。 (2) 以上の事実に基づいて,本件寄附金の支払と治験等の関係について検討する。 アa 原告の医学部等及び薬学部は,平成2年3月期当時,製薬会社等の委託を受けて,治験等を実施しており,これらの治験,治験に伴う治験薬の管理,委託研究等を起因として,原告に奨学寄附金,研究助成金等の金員が支払われていたことが認められる。 b ところで,原告が製薬会社等から治験を受託するに当たっては,原告と製薬会社等との間において治験の実施に関する契約が締結され,その際,契約書等の書面が作成されることが通例であるが,これらの書面には,委託者が原告に対して依託研究費,研究費,調査報酬等を支払うことが定められている場合があるものの,具体的な金額まで定められていることは少なく,金員の支払に関する定めのない場合も多数存在する。 しかしながら,治験は,製薬会社等が新薬等の製造に必要な厚生大臣の承認を申請する際に添付する,臨床試験の試験成績に関する資料を収集する目的で行われるものであり,製薬会社等としては,新薬等の製造,販売を行うために不可欠な手続であるとともに,専門医や設備の整った医療機関に委託しなければ実施することが困難であることから,製薬会社等にとっては,極めて重要な意味を持つ委託研究であるということができる。 また,治験を受託した医療機関にとっても,治験の実施に伴う作業は,新薬等の安全性,有効性に関する臨床試験を治療行為の一環として行うことを前提として,その試験結果を収集,整理し,新薬承認申請に必要な資料として製薬会社等に提供するという,極めて重大な責任を伴うものであ 薬等の安全性,有効性に関する臨床試験を治療行為の一環として行うことを前提として,その試験結果を収集,整理し,新薬承認申請に必要な資料として製薬会社等に提供するという,極めて重大な責任を伴うものであり,その実施には,厳格で手厚い手続が必要とされている。 このように,製薬会社にとっては,治験が新薬の製造,販売において重要な意味を持ち,他方,それを行う立場の原告にとっては,重大な責任と実施の困難さ等が必然的に伴うという状況の下においては,治験の実施に係る契約書の中に,製薬会社等から原告に研究費等として金員を支払う旨が定められている場合には,当該金員は原告による治験の実施に係る役務提供の対価という趣旨で定められているものと解するのが自然であり,さらに,治験の実施に係る契約書において金員の支払に関する定めがない場合であっても,原告と製薬会社等との間において,原告が無償で治験を実施することとされていたのではなく,治験の対価として金員を支払うことが想定されているものと考えることが合理的である。なお,これは,治験の委託に際し,契約書が作成されていない場合であっても,製薬会社等の担当者が,治験に係る役務提供の対価という認識の下に金員を支払っている事実が存在することからも裏付けられるというべきである。 さらに,原告は,製薬会社等に対し,治験以外にも,新薬の開発の過程において必要とされる委託研究及び有益な情報の提供等の役務を提供しており,これらについても,何らかの対価の支払が想定されていたと考えることが合理的というべきである。 イa 他方,原告は,平成2年3月期の1年間において,製薬会社等から,本件寄附金として700口以上,合計3億円以上の寄附金を受け入れているが,これらの寄附金のうち,奨学寄附金の名 ある。 イa 他方,原告は,平成2年3月期の1年間において,製薬会社等から,本件寄附金として700口以上,合計3億円以上の寄附金を受け入れているが,これらの寄附金のうち,奨学寄附金の名目で支払われたものについては,製薬会社等が,原告の定めた「寄付の手順」に従って,原告の用意した定型用紙に定められた記載事項を記入したうえで,原告の指示した手順により送金を行っている。 しかも,このような寄附金のうち治験等を起因とするものについては,製薬会社等においては,それが治験等の対価として当該金員を支払うものであるとの認識を有しているにもかかわらず,原告の教授の指示に基づいて,奨学寄附金等や研究助成金の名目で支払を行ったり,原告の教授と協議のうえ金額を決定するなどしていたことも認められる。 そして,奨学寄附金寄附申込書に,寄附の目的として,原告が行った治験等の研究費とすることが明記されている場合がある。 b 他方,治験の実施に係る契約において金員を支払う旨の定めがある場合はもとより,そのような定めのない場合であっても,治験に係る役務提供に対して,対価の支払が想定されていると考えることが合理的であることは,前記アbのとおりであるところ,本件の証拠関係を検討しても,平成2年3月期当時,原告に治験等を委託した製薬会社等が,原告に対し,奨学寄附金等の寄附とは別途に,治験等に係る役務提供の対価として何らかの金員を支払った事例としては,後記(3)オa(b)記載のとおり,株式会社ツムラ(以下「ツムラ」という。)が平成元年6月1日に医真菌研究センターとの間で締結した覚書に基づく研究費600万円の一部である100万円を直接センター長の口座に振り込んで支払った例が認められるだけであり,他には,そのような 。)が平成元年6月1日に医真菌研究センターとの間で締結した覚書に基づく研究費600万円の一部である100万円を直接センター長の口座に振り込んで支払った例が認められるだけであり,他には,そのような事例を認めることができない。 c このような事情からすれば,原告は,平成2年3月期当時,製薬会社等から,治験等に係る役務提供の対価としての金員を,一般的に奨学寄附金等の名目で受領していたものであり,本件寄附金の中には,治験等に係る役務提供の対価として支払われたものが存在したということができる。 ウa これに対し,原告は,原告の会計処理において,奨学寄附金があくまで寄附金として扱われており,「寄付の手順」,領収書その他奨学寄附金に関する文書においても,一貫して寄附金として扱われていること,原告としては,製薬会社等からの金員の受入れは寄附金としてしか行わない趣旨であり,製薬会社等もこれを承知して寄附金を支払っていること等に照らして,本件寄附金が,いずれも治験等の役務提供の対価ではなく,いわば「純粋な寄附」に当たるものであると主張する。 しかしながら,個々の寄附金の支払が治験等の対価の性格を有するか否かを判断するに当たっては,それがいかなる名目で支払われたかという形式的な面だけでなく,当該金員が支払われた実質的な理由等も検討したうえで,その判断をすべき必要があるところ,原告が製薬会社等の委託を受けて実施していた治験の実態や,奨学寄附金の寄附に関する手続等に照らして,本件寄附金のうち,特に治験等を起因とするものの中に,実質的には治験等に係る役務提供の対価というべき金員が存在することは,前記ア及びイで述べたとおりであるから,原告の上記主張を採用することはできない。 b また,原告は,治験等を 中に,実質的には治験等に係る役務提供の対価というべき金員が存在することは,前記ア及びイで述べたとおりであるから,原告の上記主張を採用することはできない。 b また,原告は,治験等を起因とする寄附であっても,将来の治験の依頼,取引の拡大等,様々な動機,理由に基づくものであり,治験等は寄附の誘因や動機にすぎないことや,これらの寄附金が,医療の進歩発展という公共的な使命感から支払われていることを理由に,治験等の対価とは認められない旨主張する。 しかし,製薬会社等が治験等を起因として寄附を行うに当たり,このような動機や理由を有していたとしても,当該寄附金が治験等に係る役務提供の対価の趣旨で支払われたことが直ちに否定されるものではなく,かえって,前記ア及びイで述べたことからすれば,治験等に係る役務提供の対価の趣旨を有する金員が存在することは否定できないから,原告の上記主張を採用することはできない。 c さらに,原告は,本件寄附金が治験等の対価であるとすれば,治験等と当該寄附金の金額との間に等価性が必要であるとしたうえで,このような等価性の判断は困難であるとして,本件寄附金が治験等の対価とは認められない旨主張し,A教授は,これに沿う供述をしている(甲19,証人A)。 しかしながら,ある寄附金が治験等に係る役務提供の対価と認められるか否かを判断するに当たり,当該寄附金の金額が治験等に要した経費等の金額と厳密に釣り合っているという意味において,治験等と当該寄附金の金額との間に等価性があるか否かを検討する必要があるとまではいえないのであって,治験等に関して提供される役務に要した金額の評価が困難であることから,治験等と寄附金額との等価性の判断が困難であるとして,本件寄附金が治験等に係る 否かを検討する必要があるとまではいえないのであって,治験等に関して提供される役務に要した金額の評価が困難であることから,治験等と寄附金額との等価性の判断が困難であるとして,本件寄附金が治験等に係る役務提供の対価であることを一律に否定する原告の主張は,理由がないといわざるを得ない。 d そして,他に,原告が治験等に係る役務提供の対価を奨学寄附金等の名目で受領し,本件寄附金の中にこのような性格の金員が存在する旨の前記イの認定を覆すに足りる主張はなく,かかる認定に反して,奨学寄附金等の名目で受領した金員が,すべて治験等の対価でなく純然たる寄附金であるとする原告の職員等の供述(甲9,同10,同11,同14,同15,同19,証人A,同G,同H)は,いずれも採用することができない。 エa そして,本件寄附金のうちの個々の寄附金の一つ一つについて,それが治験等に係る役務提供の対価と認められるか否かを判断するについては,当該寄附の起因,目的,経緯,金額,寄附を行った者,寄附の受入先及び寄附を行った者との関係,役務の内容,役務提供の有無等,当該寄附に関する諸般の事情を総合考慮して判断することが相当というべきである。 b(a) この点に関して,被告は,営利企業である製薬会社等は容易に寄附を行うものではないところ,治験等の対価として寄附を行うのであれば経済的合理性が認められるとして,製薬会社等から治験等を依頼している医療機関に対する金員の支払の場合,治験等の依頼とは無関係と認めるに足りる特段の事情がない限り,治験等に係る役務提供の対価と推認される旨主張する。 (b) 確かに,製薬会社等は,原告に対し,治験等に係る役務提供の対価を奨学寄附金の名目で支払っていることがあることは前述のとおりであり,別表9 提供の対価と推認される旨主張する。 (b) 確かに,製薬会社等は,原告に対し,治験等に係る役務提供の対価を奨学寄附金の名目で支払っていることがあることは前述のとおりであり,別表9から明らかなとおり,多数の製薬会社等が,原告に対し,平成2年3月期の1年間に反復して多額の奨学寄附金を支払っていることからすれば,これを何らの対価性のない無償の金員の交付と見ることには,経済的合理性の観点から疑問の余地がないとはいえない。 しかしながら,一方においては,前記(1)オのとおり,本件寄附金の中には,治験等との直接的な関連性が窺われない寄附金も存在しており,特定の教授への祝金や,診療材料又は診療機器の使用に対する返礼の趣旨で寄附が行われるなど,治験等の対価以外の趣旨で寄附が行われることについて,合理的な理由が認められる場合があることにも照らせば,被告主張のように,製薬会社等から原告に対し,奨学寄附金の名目で金員が支払われたということから,直ちに当該金員が治験等に係る役務提供の対価であることが推認されるとまでいうことは相当ではない。 したがって,被告の上記主張は,採用することができない。 (3) そこで,以上を前提として,個々の寄附金について,それが本件寄附金が治験等に係る役務提供の対価と認められるか否かを順次検討する。 ア医学部に係る寄附金について(寄附金の番号は別表9の医学部の番号である。)a 番号3,4,7,10,12,14ないし23,25,26,30,31,33ないし37,40ないし42,44ないし48,51,52,54,55,57,59ないし63,65,66,69ないし78,81ないし87,89,90,93ないし98,102ないし104,1 ,31,33ないし37,40ないし42,44ないし48,51,52,54,55,57,59ないし63,65,66,69ないし78,81ないし87,89,90,93ないし98,102ないし104,106,107,109ないし113,116ないし122,125,127,131ないし133,137ないし139,141ないし143,145,147ないし150,152ないし154,157ないし160,162ないし165,167,172ないし176,178ないし181,183ないし186,189ないし193,195ないし199,201,206,207,210,212,216ないし218,220,221,223,227ないし233,235,236,239ないし241,243,255,257,259ないし261,265,266,268,271ないし274,280ないし291及び294ないし299の各寄附金は,原告が,A教授の調査結果に基づき,治験を起因とするものである旨を主張しているものである。 このうち,番号40,159,184,239及び297の各寄附金については,被告は,委託研究を起因とするものであると主張するが,証拠(乙46,同69の1,2,同71ないし73)によれば,これら5件の寄附金は,いずれも奨学寄附金寄附申込書その他の関連書類の記載に照らして,治験を起因とするものと認めることが相当であり,上記のその余の寄附金についても,治験以外の起因によるものであることを認めるに足りる具体的な主張及び立証がない以上,原告の主張するとおり,治験を起因とするものと認めるのが相当である。 そして,前記のとおり,製薬会社等が治験を委託して所定の役務が提供された場合,その対価を支払うことが想定されているというべきであり,原 を起因とするものと認めるのが相当である。 そして,前記のとおり,製薬会社等が治験を委託して所定の役務が提供された場合,その対価を支払うことが想定されているというべきであり,原告に対してはこのような対価が一般に奨学寄附金等の形で支払われていたこと,実際にこれらの寄附金の多くが,特定の教授,診療科,教室等の研究費,研究助成等を寄附の目的として掲げていること,中には,番号159,184及び239の寄附金のように,奨学寄付金寄付申込書において,寄附の目的として,治験の研究費として支払われる旨を明記しているものもあること等に照らせば,これらの寄附金は,いずれも治験等に係る役務提供の対価と認めることが相当であり,これに反して,これらの寄附金が治験等の対価であることを疑わせるような具体的な事情は認められない。 b また,番号101の寄附金は,原告が委託研究を起因とするものである旨主張するのに対し,被告は治験を起因とするものであると主張するところ,証拠(甲19,証人A)によれば,原告の主張が,A教授の行った供述,製薬会社等からの聴取による調査の結果に基づくものであることが認められるのに対し,被告の主張する事実を裏付ける証拠がないことに照らせば,上記寄附金は,委託研究を起因とするものと認めるのが相当である。 そして,上記寄附金については,原告に対する委託研究の対価が奨学寄附金等の名目で支払われていたこと,原告の特定の研究班の研究費とすることを寄附の目的としていることに照らして,委託研究の対価と認めることが相当であり,これに反して,上記寄附金が委託研究の対価であることを疑わせる具体的な事情は認められない。 c(a) 原告が治験等を起因としない実質的な寄附である旨主張する寄附金のうち 相当であり,これに反して,上記寄附金が委託研究の対価であることを疑わせる具体的な事情は認められない。 c(a) 原告が治験等を起因としない実質的な寄附である旨主張する寄附金のうち,番号32,79,140,161,168及び200の各寄附金については,いずれもB教授の新素材,セラミックスの教育,研究等を寄附の目的とするものであるところ,A教授は,前記(1)オaのとおり,B教授は東京工業大学から帝京科学大学教授に就任すべく招へいされたものの,同大学が設立準備中であったことから,昭和63年4月1日,原告の教授に一時的に任命されたにすぎず,当時同教授がセラミックスの教育,研究等について委託を受けた事実はなく,同教授が医師の資格を有していないことから治験も行っていない旨供述している。 また,証拠(乙2の1)によれば,番号161の寄附金に関する奨学寄附金寄附申込書において,「寄付の目的」欄に「B教授のファインセラミックスの研究に対する教育」,「条件」欄に「中央研究所にて10回/年研究指導を受ける。」と記載されていることが認められる。 そして,A教授の上記供述内容を覆すに足りる証拠はなく,他に上記各寄附金が治験等の対価であることや,治験等を起因とするものであることを認めるに足りる具体的な証拠はない。 したがって,上記各寄附金が治験等に係る役務提供の対価として支払われたことを認めることはできない。 (b) 番号13,92,123,182及び277の各寄附金は,いずれもC教授の研究の助成等を寄附の目的とするものであるところ,被告は,番号13,92及び123の各寄附金が治験を起因とするものであり,番号182及び277の寄附金が委託研究を起因とする 附金は,いずれもC教授の研究の助成等を寄附の目的とするものであるところ,被告は,番号13,92及び123の各寄附金が治験を起因とするものであり,番号182及び277の寄附金が委託研究を起因とするものである旨主張するのに対し,原告は,これらの寄附金について,A教授の供述(甲19,証人A)のとおり,新潟大学の教授であったC教授が原告の医学部に就任することになり,その祝金として製薬会社から寄附されたものである旨主張する。 そこで検討するに,証拠(乙54の別添21ないし23)によれば,番号13の寄附金は,エーザイ株式会社の管理ナンバー169650に係る,女性生殖器癌に対するギネグノストの診断的価値の研究に関する研究費用として支払われたものであり,研究の概要は,卵巣癌・子宮体癌を疑われる患者に対して,ギネグノストによる検査を行い,その診断的価値を検討するものであり,研究データが報告書の形で提出されていることが認められるから,上記寄附金は少なくとも委託研究の対価と認めるのが相当であって,乙54のうち上記認定に反するIの供述部分及び別添8の記載内容並びにA教授の供述(甲19,証人A)はいずれも採用できない。 しかしながら,その他の上記各寄附金について,A教授は,番号92及び123の各寄附金については,C教授の後任の教授から,治験の委託が実際に行われていない旨確認し,番号182及び277の各寄附金については,C教授の後任の教授及び寄附を行った製薬会社に照会した結果,委託研究による成果物が存在しないことを確認した旨供述しており(証人A),上記供述を覆すに足りる証拠がないことに照らせば,これらの4件の寄附金については,治験等に係る役務提供の対価と認めることはできないというべきである。 た旨供述しており(証人A),上記供述を覆すに足りる証拠がないことに照らせば,これらの4件の寄附金については,治験等に係る役務提供の対価と認めることはできないというべきである。 (c) 番号6の寄附金は,寄附の目的を「D教授の研究のため」とするものであることろ,被告は,上記寄附金が,治験を起因とするものである旨主張するが,A教授は,前記(1)オbのとおり,D教授が医師ではなく分子生物学の教授であり,治験は行っていない旨供述していること(甲19,証人A)に照らせば,上記寄附金が治験を起因とするものと認めることはできず,他に上記寄附金が治験等の対価であることを認めるに足りる証拠はない。 (d) 番号278の寄附金は,寄附の目的を「医学部医学科 E教授の研究費として」とするものであるところ,A教授は,前記(1)オcのとおり,E教授が医学部進学課程の教授ではあるが,物理学を専門としており,医師ではないから治験を行うことはなく,また,上記寄附金を支払った矢崎財団も,研究財団であって,原告に研究を委託することはない旨,E教授自身から確認した旨供述しており(証人A),上記供述を覆すに足りる証拠がないことに照らせば,上記寄附金を治験等に係る役務提供の対価と認めることはできない。 (e) 番号108の寄附金は,寄附の目的を「第二外科教室研究費として」とするものであるところ,A教授は,前記(1)オdのとおり,附属病院本院第2外科においては癌の治療及び手術を受ける患者が多く,抗癌剤も多く使用していることから,抗癌剤の販売を行っている大鵬薬品が,原告に研究費として使用してもらうために寄附した旨供述しており(証人A),上記供述を覆すに足りる証拠がないことに照らせば,上記寄附金を治験等に係る役務提供の対価と 抗癌剤の販売を行っている大鵬薬品が,原告に研究費として使用してもらうために寄附した旨供述しており(証人A),上記供述を覆すに足りる証拠がないことに照らせば,上記寄附金を治験等に係る役務提供の対価と認めることはできない。 (f) 番号1,2,8,9,24,38,39,43,166,205,237,238,279,292及び293の各寄附金について,原告は,診療材料又は診療機器を販売した会社が,これらを使用したことへの返礼として支払った旨主張しており,A教授はこれに沿う供述をしている(甲19,証人A)。これに対し,被告は,上記各寄附金のうち,番号38,39,279,292及び293の各寄附金について,個別的に治験を起因として支払われたものである旨主張する。 そこで,上記各寄附金について検討するに,番号43の寄附金については,証拠(乙37,同63)によれば,原告と川澄化学工業株式会社の間で,平成元年6月27日,研究期間を同年7月1日から同年12月30日までとし,同社が研究費として50万円を同年7月31日までに支払う旨の,治験を内容とする研究委託契約が締結され,これに基づいて,同年8月2日付けで,同社が寄附の目的を「委託研究費として研究代表者第一内科学 J 教授」,条件を「平成元年6月27日締結の研究委託契約書のとおり」と記載した奨学寄附金寄附申込書を作成していることが認められ,上記寄附金が治験のための研究費として支払われたことが認められるから,上記寄附金は,治験に係る役務提供の対価として支払われたものというべきである。 一方,その他の寄附金については,前記のとおり,A教授が原告の主張に沿う内容の説明をしているのに対し,被告の主張のようにこれらの寄附金が治験等を起因として いうべきである。 一方,その他の寄附金については,前記のとおり,A教授が原告の主張に沿う内容の説明をしているのに対し,被告の主張のようにこれらの寄附金が治験等を起因として支払われた事実を具体的に認めるに足りる証拠はないことに照らせば,番号43の寄附金以外の上記各寄附金を治験等に係る役務提供の対価と認めることはできない。 (g) 原告が治験等を起因とするものではない実質的な寄附である旨主張する寄附金のうち,その余の寄附金(以下,この項において「(g)の寄附金」という。)について,被告は,これらのうちの,番号5,27ないし29,58,67,68,91,100,105,124,126,128ないし130,151,202ないし204,215,219,222,224,225,234,242,244ないし254,256,264及び279の各寄附金は治験を起因として支払われたものである旨個別的に主張する。 そこで,(g)の寄附金が,治験等に係る役務提供の対価として支払われたか否かについて検討する。 番号11の寄附金は,「尿路感染症の治療に関する研究費」を寄附の目的とするものであるところ,証拠(乙6の1,2)によれば,岩城製薬株式会社において,同社が原告医学部泌尿器科のK助教授に依頼していた「ネオヨジン液による尿路洗浄」の専門誌投稿論文の執筆が完成したことから,「研究費」の名目で奨学寄附金として30万円を支払うことについて,社内で稟議され,平成元年3月31日付けで「支拂済」の押印がなされていることが認められる。これらの事実によれば,番号11の寄附金は,K助教授の論文執筆の対価として,奨学寄附金の名目で支払われたことが認められるから,この寄附金は治験等に係る役務 拂済」の押印がなされていることが認められる。これらの事実によれば,番号11の寄附金は,K助教授の論文執筆の対価として,奨学寄附金の名目で支払われたことが認められるから,この寄附金は治験等に係る役務提供の対価として支払われたものと認めることができる。 これに対し,番号211の寄附金は,「LJC10,267の臨床分離株に対する抗菌力と作用機序に関する研究(継続)」を目的として支払われたものであるが,上記寄附金を支払った日本レダリー株式会社が上記研究を原告に委託した契約書等の証拠はなく,寄附の目的においても,継続中の研究に関する寄附金である旨記載されていること(当事者間に争いがない。)に照らせば,上記寄附金を治験等に係る役務提供の対価と認めることはできない。 そして,(g)の寄附金のうち,その余の寄附金については,被告が個別的に治験を起因とする旨主張するものを含めて,治験等に係る役務提供の対価として支払われたことを認めるに足りるだけの具体的な主張,立証はない。 したがって,(g)の寄附金については,番号11の寄附金を除いて,いずれも治験等に係る役務提供の対価と認めることはできない。 イ附属病院本院に係る寄附金について(寄附金の番号は別表9の附属病院本院の番号である。)a 原告は,番号66の寄附金を除いて,いずれも治験を起因とするものであると主張しているところ,この点について,原告は,附属病院本院に係る寄附のほとんどは,薬剤部が製薬会社等から治験薬を預かり,治験に供するために管理することを起因として寄附が行われるものであり,治験薬の管理も,治験の前提として必要な行為であり,治験の実施と一体となるものであるとして,番号66の寄附金以外の寄附金 預かり,治験に供するために管理することを起因として寄附が行われるものであり,治験薬の管理も,治験の前提として必要な行為であり,治験の実施と一体となるものであるとして,番号66の寄附金以外の寄附金について,治験を起因とするものである旨主張し,A教授も,附属病院本院に係る寄附のほとんどが,治験薬の管理を起因とするものと推測される旨供述する(甲19,証人A)。 しかしながら,証拠(乙13の2,同16の1,2,4,5,同18の19,同19の1ないし7,同24の1,2,同25の2,同26の2,同27,同28,同31,同32,同34,同37,同39,同40)によれば,附属病院本院は,製薬会社等との間において,治験の実施に関する契約を多数締結していることが認められ,附属病院本院においても治験を受託していたというべきであるから,附属病院本院に係る寄附金のほとんどが治験薬の管理を起因とするものである旨の原告の主張は,にわかに採用し難い。 また,証拠(乙53)によれば,番号80の寄附金は,治験の実施に係る契約の締結後,事前に薬剤管理費として支払われたものであることが認められ,附属病院本院に係る寄附金には,治験薬の管理を起因として支払われたものが存在することが認められる。 しかし,そもそも治験薬の管理は,治験の厳正な実施に不可欠の前提行為であって,治験の実施に係る重要な作業というべきであるから,治験薬の管理を起因として支払われた寄附金についても,治験を起因として支払われたものということができる。 そして,上記の各寄附金について,治験薬の管理その他治験に関する役務提供の対価として支払われたものであることを疑わせる特段の事情も認められない。 したがって,附 そして,上記の各寄附金について,治験薬の管理その他治験に関する役務提供の対価として支払われたものであることを疑わせる特段の事情も認められない。 したがって,附属病院本院に係る寄附金のうち,番号66の寄附金を除くものは,いずれも治験等に係る役務提供の対価として支払われたものと認めるのが相当である。 b これに対し,番号66の寄附金について,原告は,原告の中央検査センターが使用する大型自動分析器の購入代金について第一化学薬品から寄附を受けたものであって,治験薬の管理その他治験等に起因するものではない旨主張し,A教授も,これに沿う供述をしているところ(甲19,証人A),同教授の供述を覆すに足りる証拠はないことに照らせば,上記寄附金を治験等に係る役務提供の対価と認めることはできない。 ウ溝口病院に係る寄附金について原告は,溝口病院に係る寄附金について,治験薬の管理を起因とするものを含めて,いずれも治験を起因とする旨主張しているところ,原告に治験を委託して所定の役務が提供された場合には,対価の支払が想定されていたものと考えられ,原告の場合,その対価を寄附金の名目で受け入れていたこと,前記イaのとおり,治験等に係る役務提供の対価であることを疑わせる特段の事情がない場合においては,治験薬の管理に起因して支払われた寄附金についても,治験等に係る役務提供の対価と認めるべきであること等に照らせば,溝口病院に係る寄附金については,いずれも上記の特段の事情が認められない以上,これを治験等に係る役務提供の対価と認めるのが相当である。 エ市原病院に係る寄附金について(寄附金の番号は別表9の市原病院の番号である。)a 原告は,市原病院に係る寄附金につ 験等に係る役務提供の対価と認めるのが相当である。 エ市原病院に係る寄附金について(寄附金の番号は別表9の市原病院の番号である。)a 原告は,市原病院に係る寄附金について,番号132ないし134の寄附金を除いて,いずれも治験を起因とするものであると主張し,このうち,寄附の目的を「薬剤部研究費」,「私立学校の学術振興のため」等とする寄附金が,附属病院本院に係る寄附金と同様,治験薬の管理を起因とするものである旨主張する。 そこで検討するに,治験薬の管理に起因して支払われた寄附金についても,治験等に係る役務提供の対価であることを疑わせる特段の事情がない限り,治験に係る役務提供の対価と推認できることは,前記イaのとおりである。 また,個別的に見ると,番号45及び46の寄附金については,証拠(乙9,同66の1ないし13)に照らせば,いずれも治験に起因するものというべきであるが,番号95の寄附金については,証拠(乙7の1,2)に照らして,市販後の医薬品の再審査に必要な情報の提供に起因するものと認めるのが相当である。 そして,市原病院に係る寄附金のうち,番号132ないし134の寄附金を除くものについては,治験等に係る役務提供の対価であることを疑わせる特段の事情を認めるに足りる証拠もないから,いずれも治験等に係る役務提供の対価と認めるべきである。 b これに対し,原告は,番号132ないし134の寄附金について,いずれも治験等を起因としない実質的な寄附金である旨主張するところ,これらの寄附金については,治験等に係る役務提供の対価として支払われたことを認めるに足りる具体的な主張,立証はないから,いずれも治験等に係る役務提供の対価として支払われたものと る旨主張するところ,これらの寄附金については,治験等に係る役務提供の対価として支払われたことを認めるに足りる具体的な主張,立証はないから,いずれも治験等に係る役務提供の対価として支払われたものと認めることはできない。 オ医真菌研究センターに係る寄附金について(寄附金の番号は別表9の医真菌研究センターの番号である。)a(a) 原告は,医真菌研究センターに係る寄附金のうち,番号8及び9について,治験を起因とする旨主張しつつも,寄附の目的の記載から上記各寄附の起因と考えられる医真菌研究センターのL教授による早期第2相臨床試験が,試験管の中で行うものであって,患者に対する投与でないことから,治験とすることには疑問がある旨主張し,また,上記の早期第2相臨床試験が,TJNー318の治験薬に関するものであるところ,この治験薬に関する早期第2相臨床試験は,原告医学部皮膚科学教室Mに委託されており,L教授に委託されたものではなく,仮にL教授に委託されたものであったとしても,その成果物の作成日付が平成2年3月30日であるのに対し,上記各寄附金の入金日が平成元年8月31日であって,成果物の提出前に対価が支払われることが不自然なことに照らし,上記各寄附金が上記成果物の対価とはいえないうえ,他に成果物も認められないとして,上記各寄附金が治験等の対価であることを否認する。 (b) しかしながら,証拠(乙52)によれば,ツムラは,平成元年6月1日,L教授との間で,ツムラと日本農薬の共同開発に係る薬品であるTJNー318に関し,全身性真菌症原因菌の増殖抑制効果の検討,マウス実験的カンジタ症に対する治療効果の検討及びカンジタ症の分離・同定研究をL教授に委託し,研究期間を同月から平成2年3月末日とし,研究費用として600 し,全身性真菌症原因菌の増殖抑制効果の検討,マウス実験的カンジタ症に対する治療効果の検討及びカンジタ症の分離・同定研究をL教授に委託し,研究期間を同月から平成2年3月末日とし,研究費用として600万円を支払う旨の委託研究契約を締結したこと,ツムラは上記委託研究の費用600万円のうち,100万円をL教授の銀行口座に支払い,500万円を平成元年8月31日に,番号8及び9の寄附金として,原告に対する奨学寄附金の形で支払ったことが認められる。 (c) そして,証拠(乙52,証人A)によれば,上記委託研究のうち,全身性真菌症原因菌の増殖抑制効果の検討については,「invitro」の研究とされ,試験管の中で行うものであることが認められるものの,仮にこの上記研究が,一般患者に対する治療行為によるものでない点で治験に該当しないとしても,原告の施設に係る委託研究であることは明らかである。 また,原告が早期第2相臨床試験がL教授に委託されたものではないことの証拠として挙げる「臨床成績調査に関する覚書」と題する書面(乙14の6)によれば,原告医学部皮膚科学教室Mに委託されたTJNー318の早期第2相臨床試験は,ツムラがL教授に委託した上記委託研究とは,調査目的,調査期間,調査報酬等の点で異なる別の研究であることが認められるから,上記書面をもって,上記各寄附金がL教授の委託研究の対価であることを否定することはできない。 さらに,L教授が委託された上記委託研究の研究期間が平成2年3月末日までとされていることは前記のとおりであり,証拠(乙52)によれば,原告がL教授の委託研究の成果物として主張する「TJNー318早期第Ⅱ相臨床試験におけるカンジタ症原因菌の同定」の作成日付が同月30日であることが ることは前記のとおりであり,証拠(乙52)によれば,原告がL教授の委託研究の成果物として主張する「TJNー318早期第Ⅱ相臨床試験におけるカンジタ症原因菌の同定」の作成日付が同月30日であることが認められるものの,証拠(乙52添付の「常務会付議書」)によれば,ツムラとL教授の間で,上記委託研究の費用の支払予定時期を平成元年6月としていたことが認められることに照らせば,研究期間の半年以上前である同年8月31日に上記各寄附金が入金されたことをもって,L教授の委託研究の対価であることを否定することはできないというべきである。 したがって,以上によれば,番号8及び9の寄附金は,いずれも医真菌研究センターに係る委託研究すなわち治験等の役務提供の対価と認めることができる。 b(a) 原告は,番号8及び9の寄附金以外の医真菌研究センターに係る寄附金について,いずれも治験等を起因としない実質的な寄附金である旨主張するのに対し,被告は,特に番号1ないし5,7及び11の寄附金については,治験を起因とするものである旨主張する。 (b) そこで検討するに,証拠(証人A)によれば,医真菌研究センターは,真菌を集めて保存,研究する施設であることが認められるから,同センターにおいては,少なくとも一般患者の治療行為を兼ねる治験を行うことは想定し難いというべきである。 また,番号1及び2の寄附金については,前記のとおり,D教授が医師でないことに照らしても,治験を起因とするものであると認めることはできない。 このようなことからすれば,番号1ないし5,7及び11の寄附金が治験を起因とする旨の被告の主張は,にわかに採用し難いところ,これらの寄附金が医真菌研究センタ はできない。 このようなことからすれば,番号1ないし5,7及び11の寄附金が治験を起因とする旨の被告の主張は,にわかに採用し難いところ,これらの寄附金が医真菌研究センターにおける委託研究等の役務提供の対価であることを認めるに足りる具体的な主張及び立証がない以上,これらの寄附金については,治験等に係る役務提供の対価と認めることはできないというべきである。 さらに,番号10,12及び13の寄附金についても,医真菌研究センターにおける委託研究等を起因とするものであることを認めるに足りる具体的な主張及び立証がないことに照らせば,治験等に係る役務提供の対価と認めることはできない。 (c) これに対し,番号6の寄附金について,証拠(乙5の1,2)によれば,上記寄附金は,当該寄附に係る「奨学寄付金寄付願」に記載された金額,内容に照らして,宝酒造株式会社が医真菌研究センターに委託した新規抗真菌抗生物質R106に係る研究の対価として支払われたものと認めることができる。 この点について,原告は,上記研究の研究期間が平成元年8月1日から平成2年7月31日までとされているのに対し,上記寄附金の入金日が平成元年10月25日であり,成果物の提出前に対価が支払われるのが不自然なこと,上記研究が「invivo」すなわち患者に対する投与によるものであって,医真菌研究センターでは実施できないことから,上記寄附金が上記委託研究の対価とは認められない旨主張する。 しかし,医真菌研究センターの委託研究の場合,成果物の提出前に対価の支払額が合意され,研究期間満了前に支払われる場合が認められることは前記aのとおりであり,成果物の提出前に上記寄附金が支払われてい しかし,医真菌研究センターの委託研究の場合,成果物の提出前に対価の支払額が合意され,研究期間満了前に支払われる場合が認められることは前記aのとおりであり,成果物の提出前に上記寄附金が支払われているとの一事をもって,上記委託研究の対価であることを否定する理由はないというべきである。 また,証拠(乙5の2)によれば,医真菌研究センターで行われた上記研究は,「R106のinvivo抗真菌活性」に関する研究ではあるものの,その実験方法は,マウスを使用したものであって,一般患者に対する治療行為を前提としたものではないことが認められるから,この点に関する原告の上記主張は,前提を欠くものであって,採用することができない。 したがって,番号8の寄附金は,治験等に係る役務提供の対価として支払われたものと認めることができる。 カ薬学部に係る寄附金についてa(a) 原告は,薬学部においては治験を実施することはなく,業務委託契約による収益は存在しない旨主張する。 しかし,薬学部が前臨床試験に係る基礎研究など,新薬の開発の過程において必要な研究の委託を受けて,これを行っていたことは,前記(1)ウdのとおりであるから,薬学部において,一般患者に対する治療行為を行わないことを理由として,業務委託契約による収益が存在しないということはできない。 (b) また,原告は,仮に薬学部において委託研究を行っていたとしても,製薬会社としては,将来の情報提供,自社の開発テーマの採用等を期待して寄附していたものであって,寄附との間に何らの対価性も認められない旨主張する。 しかし,薬学部における委託研究に関連して,「研究助成金寄付申込 の開発テーマの採用等を期待して寄附していたものであって,寄附との間に何らの対価性も認められない旨主張する。 しかし,薬学部における委託研究に関連して,「研究助成金寄付申込書」を提出する方法により,寄附金の名目で金員が支払われ,その場合に,支払方法や名目について原告の担当教授が指示をした事実が認められることは,前記(1)エbのとおりであり,このような寄附金が,委託研究の対価として支払われたものと認められることは,(2)アbのとおりである。 そして,仮に製薬会社が上記のような期待の下に寄附を行っていたとしても,当該寄附金が委託研究の対価であることが否定されるべきものではないから,原告の上記主張は,理由がないというべきである。 (c) しかしながら,原告の医学部等において受け入れた本件寄附金のすべてが,治験等に係る役務の提供の対価とは認められるわけではなく,薬学部においては委託研究が実施される例はあるものの,治験は行われないこと(甲11)に照らせば,製薬会社等から原告に対して薬学部に係る寄附金として金員が支払われた事実のみをもって,直ちに当該金員が委託研究等に係る役務提供の対価として支払われたものと推認することは,医学部等に係る寄附金の場合と同様に相当でなく,当該寄附に関する諸般の事情を個別的に検討したうえで,対価性の有無を判断すべきである。 b そこで,以上を前提として,薬学部に係る寄附金が委託研究等の対価と認められるか否かについて検討する。 (a) 原告は,エーザイ株式会社及びバイエル薬品株式会社が薬学部との間で研究委託契約書を作成し,その成果を報告書として作成,提出し,研究助成金寄付申込書に基づいて寄附が行われている旨主張しているとこ a) 原告は,エーザイ株式会社及びバイエル薬品株式会社が薬学部との間で研究委託契約書を作成し,その成果を報告書として作成,提出し,研究助成金寄付申込書に基づいて寄附が行われている旨主張しているところ,これらの寄附金が委託研究等の対価であることを疑わせる特段の事情を窺わせる証拠も存在しないから,両社による寄附金は委託研究の対価と認めるのが相当である。 (b) また,証拠(甲7)及び弁論の全趣旨によれば,平成元年6月ころ,財団法人医薬資源研究振興会から薬学部に対し,動脈硬化巣を特異的に認識するモノクローナル抗体を応用した新しい医薬資源の開発に対する研究助成金として100万円が支払われており,上記助成金は本件寄附金の一つであることが認められる。 そして,上記寄附金が,上記財団法人が他の教授から推薦を受けた特定の研究に対するものであること(甲7)に照らせば,同財団法人から薬学部に委託した研究の対価であることが窺われるところ,上記寄附金が委託研究等の対価であることを疑わせる特段の事情を窺わせる証拠も存在しないから,上記寄附金は薬学部の委託研究の対価であると認めるのが相当である。 (c) さらに,証拠(乙4の1,2)及び弁論の全趣旨によれば,平成元年4月ころ,第一製薬から薬学部N教授に対し,生物活性を指向した新規化合物の合成に関する研究が委託され,同年10月ころ,上記研究に対する研究助成金として100万円の奨学寄附金が支払われており,上記寄附金が本件寄附金の一つであることが認められるところ,上記寄附金についても,具体的な成果物の有無に関する証拠はないものの,上記研究に関連する文書の記載に照らせば,上記寄附金は,薬学部の委託研究の対価であると認めることができる。 (d) 寄附金についても,具体的な成果物の有無に関する証拠はないものの,上記研究に関連する文書の記載に照らせば,上記寄附金は,薬学部の委託研究の対価であると認めることができる。 (d) これに対し,その他の薬学部に係る寄附金については,委託研究等の対価であることを認めるに足りる具体的な主張及び立証がないから,これらの寄附金を薬学部の委託研究等の対価であると認めることはできない。 (4) まとめ以上によれば,本件寄附金のうち,医学部等に係る寄附金について,治験等に係る役務提供の対価と認められるものは,別表9の「治験等対価性」欄記載のとおりであり,その合計額は,別表9のとおり,医学部について8392万6500円,附属病院本院について3572万7272円,溝口病院について1058万5000円,市原病院について5078万8500円,医真菌研究センターについて600万円であり,医学部等全体では合計1億8702万7272円である。 また,本件寄附金のうち,薬学部に係る寄附金について,治験等に係る役務提供の対価と認められるものは,エーザイ株式会社による150万円,バイエル薬品株式会社による220万円,財団法人医薬資源研究振興会による100万円及び第一製薬による100万円の,合計570万円である。 したがって,原告の平成2年3月期における法人税の課税所得金額に関する請負業に係る収益計上漏れの金額は,1億9272万7272円であると認められる。 2 争点2について(1)ア前記1(1)ウで認定したとおり,治験は,医薬品等の製造承認申請書に添付を要する臨床試験の試験成績に関する資料の収集を目的とする試験であり,製薬会社等による新薬等の開発過程において,監督官庁の指導の下で動物実験の成果 したとおり,治験は,医薬品等の製造承認申請書に添付を要する臨床試験の試験成績に関する資料の収集を目的とする試験であり,製薬会社等による新薬等の開発過程において,監督官庁の指導の下で動物実験の成果を踏まえて実施されるものであって,一般患者に対する通常の医療行為の過程で,治療の一環として,既存薬の投与等とともに,治験薬を投与すること等によって実施されるものである。 そして,医薬品の製造承認を受けようとする製薬会社等は,専門医や設備の整った医科大学等の医療機関に治験を委託して,臨床試験成績に関する資料の収集を行っており,委託を受けた医療機関は,治験の実施に係る契約に従って,一般患者の治療の一環として臨床試験を行い,その試験成績に関する資料を整理,収集して,新薬等の製造承認申請の用に供する目的で,製薬会社等に報告している。 このような治験の実態に照らせば,治験には,患者に対する治療の一環としての臨床試験を実施する側面と,臨床試験の結果に関する資料を整理,収集して製薬会社等に報告する側面があるということができる。 しかし,医療機関は,一般患者に対し,当該患者との間の契約に基づき,患者のために治験薬を投与して治療を行うなどの役務を提供する一方,患者の同意が得られた場合には,製薬会社等に対し,治験の実施に係る契約に基づき,このような治療として臨床試験を実施したうえで,これを前提として,当該臨床試験の結果に関する資料を製薬会社等に提出するという役務を提供するものであるから,製薬会社等に対する治験に係る役務の提供と,患者に対する医療行為には,医療機関の行為として事実上重複する側面はあるものの,両者は,その債権者,対象,目的,性格,役務の内容等を異にしているというべきである。 そして,製 供と,患者に対する医療行為には,医療機関の行為として事実上重複する側面はあるものの,両者は,その債権者,対象,目的,性格,役務の内容等を異にしているというべきである。 そして,製薬会社等が医療機関に対し,治験に係る役務の提供の対価として金員を支払う場合,上記金員は,医療機関が患者に対して行った医療行為の対価としてではなく,医療機関が治験の実施に係る契約に基づき,治験薬に係る臨床試験を行ったうえで,その試験成績に関するデータを収集,整理し,製薬会社等に報告することの対価として支払われるものというべきである。 ところで,施行令5条1項10号は,請負業を収益事業として規定したうえ,「事務処理の委託を受ける業」もこれに含まれる旨規定しているところ,民法上の請負契約に基づく事業のほか,必ずしもこれに該当しない事業であっても,他の者の委託に基づいて行う調査,研究,情報の収集及び提供等の事業については,収益事業たる請負業に含まれるものと解される。 そうすると,医療機関が製薬会社等の委託を受けて治験を実施し,その役務提供の対価を収受する場合,医療機関が行うこのような治験に係る行為は,施行令5条1項10号に規定する請負業に該当するものと解するのが相当である。 イまた,医療機関等が,製薬会社等から新薬等の開発過程で必要とされる研究や情報の提供等の委託を受けて,これらの委託に係る役務を提供し,その対価を収受する場合にも,医療機関等が行うこのような委託研究等に係る行為も,施行令5条1項10号に規定する請負業に該当するというべきである。 ウしたがって,本件寄附金のうち,治験等に係る役務提供の対価として支払われたことが認められるものについては,請負業による収益に該当すると解するのが相当で 業に該当するというべきである。 ウしたがって,本件寄附金のうち,治験等に係る役務提供の対価として支払われたことが認められるものについては,請負業による収益に該当すると解するのが相当である。 (2)アこれに対し,原告は,治験について,患者に対する医療行為とその結果報告とが一体となったものであって,両者は不可分であり,その性格は医療行為であるとして,治験の対価としての金員の授受を,医療行為の対価としてとらえるべきである旨主張し,これに沿う証拠(甲22,証人G)を提出する。 しかし,治験においては,医療機関が,患者に対する医療行為の対価として,患者又は保険から代金を収受しているのとは別に,治験の実施に係る契約に基づいて,臨床試験を実施し,その試験結果を収集,整理して提供する対価として,製薬会社等から金員を収受しているのであるから,両者を区別することは可能であり,製薬会社等から支払われた金員を医療行為の対価と解することはできない。 したがって,原告の上記主張を採用することはできない。 イまた,原告は,学校法人が行う医療保健業が収益事業から除かれており,治験に係る臨床試験結果報告は医療行為と一体不可分であるから,治験に関して得られる収入は,医療保健業による収入であって,基本通達15-1-29の規定により,請負業に該当しない旨主張する。 しかしながら,一般に「医療業」とは,医師又は歯科医師等が患者に対し,医業又は医業類似行為を行う事業等をいい,「保健業」とは,保健衛生のサービスを提供する事業をいい,医療保健業は,これらの事業を包括したものと解されるところ,原告は,製薬会社等から委託を受けた治験に係る役務提供の対価として,奨学寄附金等の名目で金員を受領したのであっ ービスを提供する事業をいい,医療保健業は,これらの事業を包括したものと解されるところ,原告は,製薬会社等から委託を受けた治験に係る役務提供の対価として,奨学寄附金等の名目で金員を受領したのであって,患者の依頼により患者のために行った医療行為の対価として受領したものではないから,原告が行った治験は,医療保健業及びこれに付随して行われる行為に該当しないというべきである。 加えて,製薬会社等に対する治験に係る役務の提供と患者に対する医療行為とは性格を異にするものであって,製薬会社等による治験に係る役務提供の対価の支払は,患者に対する医療行為とは区別してとらえることが相当であるから,治験が医療行為と不可分であることを理由として,治験の対価を医療保健業による収入と解することはできない。 したがって,原告の上記主張は理由がない。 ウさらに,原告は,治験に係る業務を請負業と解した場合,収益事業の部分に当たる所得の把握が困難なことや,原告が製薬会社等から受領する寄附金の金額の決定方法に照らして請負報酬とは解し難いことを理由として,治験に係る業務が請負業に当たることを否定する。 しかし,治験の対価として製薬会社等から収受する金員をもって,請負業による収入として把握することが可能である以上,その金額を把握することは可能であるし,施行令5条1項10号に掲げる請負業は,事務処理の委託を受ける業を含むものであって,民法上の請負契約に基づく事業に限定されるものではない以上,請負報酬とは解されないという一事をもって,請負業による収入に該当しないとすることは相当でない。 したがって,原告の上記主張は,いずれも失当というべきである。 3 争点3について(1) 被告は,本件訴訟 もって,請負業による収入に該当しないとすることは相当でない。 したがって,原告の上記主張は,いずれも失当というべきである。 3 争点3について(1) 被告は,本件訴訟における原告の各収益事業に係る経費認容額の算定方法について,原告の平成元年度決算書(乙51)に基づいて,原告の各収入の形態に応じ,それぞれ病院薬学部会計収支基準,病院会計収支基準,本部会計収支基準,大学会計収支基準,中学校会計収支基準及び高校会計収支基準により算定しており,その算定方法の詳細は,別表7のとおりであるところ,証拠(甲1)及び弁論の全趣旨によれば,被告は,原告が更正処分に係る収益事業について,収益事業に該当しないとして,施行令6条が収益事業を営む法人について要請する,収益事業による所得に関する経理と収益事業以外の事業による所得に関する経理との区分経理を行っていないことから,上記算定方法を採用したことが認められる。 (2)ア被告が主張する上記の経費認容額の算定方法に対し,原告は,①治験においては,医療行為と臨床試験結果の報告が一体となっており,むしろ医療行為が治験の主たる部分であることに照らせば,一般医療行為の経費である,患者に投与した薬品の薬品費及び入院患者の給食材料費を経費認容額の算定において除外することは誤りであり,②病院総収入及び医学部収入における補助金及び寄附金収入は,原告の業務と関係がなく,これに対応する経費は存在しないから,それぞれの収入から控除すべきである,と主張したうえで,請負業収入に係る経費認容額について,別表10のとおり主張しており,原告の上記各主張に沿う証拠(甲15,同18)も存在する。 イしかしながら,上記①の主張を検討するに,治験は,一般患者に対する医療行為の過程で,治療として実施さ 0のとおり主張しており,原告の上記各主張に沿う証拠(甲15,同18)も存在する。 イしかしながら,上記①の主張を検討するに,治験は,一般患者に対する医療行為の過程で,治療として実施されるものであるところ,一般患者に対しては,疾病の治療に際し,治験を実施するか否かにかかわらず,薬品費や給食材料費の支出を伴うものであるから,このような一般医療行為の経費を治験による収入の経費認容額から除外することには,合理性が認められるというべきである。 ウまた,上記②の主張は,被告による上記の経費認容額の算定方法に関し,医学部教員人件費に乗ずる割合を算出する際の病院総収入金額及び医学部収入金額,並びに,消費支出合計額に乗ずる割合の計算過程における「治験収入金額及び委託研究収入金額」を除する際の病院総収入金額の各収入金額から,原告のいう補助金及び寄附金収入を控除すべきであるとするものであるが,原告の主張する寄附金収入には,本件において収益事業と認定したものによる,本来寄附金収入に該当しない収入が含まれており,消費支出合計額には,上記補助金及び寄附金収入を得るための事務経費等が含まれていることにかんがみれば,上記の病院総収入額及び医学部収入金額から補助金及び寄附金収入を控除することは,相当でないというべきである。 エそうすると,原告の前記①及び②の各主張は,いずれも理由がないから,これらの主張に立脚した原告の請負業収入に係る経費認容額に関する主張(別表11)は,採用できないというべきである。 (3) そして,被告の主張する前記(1)の経費認容額の算定方法により,請負業に係る経費認容額を算定することについて,他に不合理な点を認めるに足りる具体的な主張及び立証はないことからすれば,原告の平成2年3月期における請負業に る前記(1)の経費認容額の算定方法により,請負業に係る経費認容額を算定することについて,他に不合理な点を認めるに足りる具体的な主張及び立証はないことからすれば,原告の平成2年3月期における請負業に係る経費認容額については,上記算定方法により算定することが相当である。 そこで,請負業に係る経費認容額について,前記1(4)の請負業に係る収益計上漏れの金額を前提として,上記算定方法により算定すると,その金額は,別表11のとおり,1億5730万1578円となる。 (4) なお,原告は,治験等の対価としての金員の受領が請負業による収入に該当するとしても,これに要する経費の方が多額になり,赤字になることから,法人税を課税すべきでない旨主張し,これに沿う証拠を提出する(甲15,同18,証人G)。 しかしながら,上記(3)のとおり,原告の請負業に係る経費認容額については,合理性の認められる算定方法により算定した結果は,1億5730万1578円円となるのであるから,原告の上記主張は採用することができない。 4 争点4について(1) 原告が,附属病院本院及び市原病院において,南旺光学ほか4社からそれぞれ別表2記載の金員を受領したことは,前記「前提となる事実」(3)イのとおりであるところ,証拠(甲1,乙3,同61,同62,証人H(下記の認定に反する部分を除く。))及び弁論の全趣旨によれば,上記金員の授受に関し,次の事実を認めることができる(なお,甲16及び同20は,乙3の調査報告書における記載が実際の説明内容と異なることから信用できないとするが,少なくとも下記の事実については,他の証拠から認められる事実と一致しており,乙3の記載内容はその限度において信用できるというべきである。)。 ア原告は,附属病 から信用できないとするが,少なくとも下記の事実については,他の証拠から認められる事実と一致しており,乙3の記載内容はその限度において信用できるというべきである。)。 ア原告は,附属病院の眼科の出入業者を,南旺光学ほか4社とし,出入業者の社員が,それぞれ指定した曜日の指定した時間帯に原告の附属病院の眼科に来て診察室の近くに待機するようにしており,医師が患者を診察してコンタクトレンズを作成することとした場合は,患者に対して処方箋を作成したうえで,出入業者を紹介し,患者は,当該出入業者に対し,処方箋に基づいてコンタクトレンズの作成を注文していた。 イ出入業者としては,医師の指示がなければ患者にコンタクトレンズを販売することはできないものであり,医師の紹介によりコンタクトレンズを販売しているという認識があることから,原告に対し,明示的な契約書に基づくわけではないが,手数料との認識の下に,金員の支払を行っている。 出入業者は,この金員について,原告から寄附金の形で病院を通して支払うようにとの指示を受け,「寄付の手順」に従って,奨学寄附金寄附申込書の用紙に所定の事項を記入し,寄附金の名目で支払を行っているが,出入業者としては,原告に対する純然たる寄附金ではないという認識を有しており,経理上も,販売手数料や取扱手数料として処理されている。 このような金員は,半年に1回程度,販売代金がある程度まとまった段階で原告に支払われており,その金額は,平成5年ころまでは,コンタクトレンズ販売代金の5割とされていたが,その後値下がりしている。 (2) 以上の事実によれば,原告は,附属病院の眼科の出入業者である南旺光学ほか4社との間でコンタクトレンズの注文,販売等に関するあっせん契約を書面をもって いたが,その後値下がりしている。 (2) 以上の事実によれば,原告は,附属病院の眼科の出入業者である南旺光学ほか4社との間でコンタクトレンズの注文,販売等に関するあっせん契約を書面をもって締結したり,南旺光学ほか4社からあっせん手数料の名目で金員を受領した事実は認められないものの,南旺光学ほか4社に対し,コンタクトレンズを必要とする患者を紹介することにより,コンタクトレンズの注文のあっせんを行い,その手数料という趣旨で,上記金員を奨学寄附金の名目で受領していたものと認めることができ,これに反する証拠(甲17,証人H)は,上記金員の趣旨に関して合理的な説明をしているとはいい難く,いずれも採用することができない。 そして,施行令5条1項19号は,仲立業を収益事業の一つとして規定しており,商品売買,金融等の仲介又はあっせんを行う事業など,他の者のために商行為の媒介を行う事業がこれに該当するものであるから(法人税法基本通達15-1-46),原告が行った上記の行為は,同号に規定する仲立業に該当するものというべきである。 (3)アこれに対し,原告は,南旺光学ほか4社の出入業者に対し,コンタクトレンズの注文のあっせんをした事実が認められない旨主張し,原告の事務長であるH事務長及び南旺光学の営業統轄本部部長であるOは,医師の処方箋に従うだけで適正なコンタクトレンズが作成できるわけではなく,当該患者に適合するものを作成するために,その後も何度も修正を加えるなどの処置を必要とする点で,コンタクトレンズの販売は通常の物品販売とは異なるものであり,また,大学の附属病院におけるコンタクトレンズの処方は,患者の治療の一環としての側面や,学術的な性格を有することから,原告の行為がコンタクトレンズの販売に係るあっせんに当たらない旨供述し のであり,また,大学の附属病院におけるコンタクトレンズの処方は,患者の治療の一環としての側面や,学術的な性格を有することから,原告の行為がコンタクトレンズの販売に係るあっせんに当たらない旨供述している(甲17,証人H)。 しかしながら,原告の附属病院の眼科の出入業者によるコンタクトレンズの製造,販売方法が上記のようなものであるとしても,これらの出入業者が,原告の医師による患者の紹介を受けてコンタクトレンズの製造,販売を行っていたことにかんがみれば,原告が出入業者に対し,コンタクトレンズの注文のあっせんをした旨認定することを妨げるものとはいえないし,大学の附属病院におけるコンタクトレンズの処方が上記のような側面や性格を有していたとしても,原告がコンタクトレンズの注文をあっせんしたことが否定されるべきものとはいえない。 イまた,原告は,南旺光学ほか4社から支払われた上記金員があっせん手数料であれば,あっせんに対応した金額が算出されるはずであり,販売手数料であれば,金額の計算方法の取決めがあるはずであるにもかかわらず,そのような取決めがないことから,上記金員がコンタクトレンズの販売に関するあっせんに係る手数料とはいえない旨主張する。 しかしながら,出入業者が原告に手数料として販売額の5割を支払っていたことについて,複数の出入業者の関係者の供述が存在すること(乙3,同61)に照らせば,出入業者の間で,原告に対する手数料の支払額について,一定の了解があったことは否定し難いところであるから,原告の上記主張は理由がない。 ウそして,他に,原告が南旺光学ほか4社の出入業者にコンタクトレンズを必要とする患者を紹介し,手数料の支払を受けていたことが,施行令5条1項19号に規定する仲立業に該当する 由がない。 ウそして,他に,原告が南旺光学ほか4社の出入業者にコンタクトレンズを必要とする患者を紹介し,手数料の支払を受けていたことが,施行令5条1項19号に規定する仲立業に該当する旨の認定を覆すに足りる主張及び立証はない。 (4) 以上によれば,原告が南旺光学ほか4社から受領した別表2記載の金員は,いずれも仲立業に係る収入に該当するというべきである。 (5) なお,仲立業に係る経費認容額の算定方法について,被告は,前記3(1)の方法により算定すべきである旨主張しており,その詳細及び経費認容額は,別表7記載のとおりであるところ,原告の顧問会計士であるGは,陳述書(甲15)において,補助金寄附金については対応する経費が存在しない以上,これを控除して病院総収入を計算すべきであるとし,原告は,これに基づいて,経費の額を別表10記載のとおり主張する。 しかし,原告の主張する寄附金収入には,本来寄附金収入に該当しない請負業に係る収入が含まれており,病院消費支出合計額には,上記補助金及び寄附金収入を得るための事務経費等が含まれていることにかんがみれば,病院総収入及び医学部収入から上記補助金及び寄附金収入を控除することは,相当でないというべきである。 そして,他に,被告の上記算定方法が相当でないことを認めるに足りる主張及び証拠はないから,仲立業に係る経費認容額(原告が申告した額を控除したもの)は,別表11のとおり,876万3919円と認められる。 5 争点5について(1) 原告は,別表3記載のとおり,武蔵野土木工業ほか2社に本件貸付金を貸し渡し,平成2年3月期において,同表の「利子収入金額」欄記載の本件未収利子が未収であったことは,当事者間に争いがない。 (2) ところで,法人 とおり,武蔵野土木工業ほか2社に本件貸付金を貸し渡し,平成2年3月期において,同表の「利子収入金額」欄記載の本件未収利子が未収であったことは,当事者間に争いがない。 (2) ところで,法人税法22条2項は,当該事業年度の益金の額に算入すべき金額について,別段の定めがあるものを除き,資産の販売,有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供,無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とし,同条4項は,当該事業年度の益金の額は,一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算する旨規定するところ,企業会計原則は,収益を発生主義によって認識すべきものとしており(同原則第二損益計算書原則一),基本通達2-1-24も,発生主義の立場から,貸付金から生ずる利子の収益計上時期について,その利子の計算期間の経過に応じ当該事業年度に係る金額を当該事業年度の益金の額に算入する旨定めている。 そして,本件未収利子が上記の基準に従って計上されたものであることについては,当事者間に明らかに争いがないものと認められる。 (3)ア貸付金から生ずる利子の収益計上時期に関する以上の基準に対し,基本通達2-1-25は,債務者の状態からみて現実に利子を回収することが極めて困難なことから,未収の貸付金利子を上記の基準により計上することが実情に反する場合もあることを勘案し,①債務者が債務超過に陥っていることその他相当の理由により,その支払を督促したにもかかわらず,当該貸付金から生ずる利子の額のうち最近発生利子の全額が当該事業年度終了の時において未収となっており,かつ,直近1年以内に最近発生利子以外の利子について支払を受けた金額が全くないか又は極めて少額であること,又は,②債務者につき債務超過の状態が相当期間 が当該事業年度終了の時において未収となっており,かつ,直近1年以内に最近発生利子以外の利子について支払を受けた金額が全くないか又は極めて少額であること,又は,②債務者につき債務超過の状態が相当期間継続し,事業好転の見通しがないこと,当該債務者が天災事故,経済事情の急変等により多大の損失を蒙ったことその他これらに類する事由が生じたため,当該貸付金の額の全部又は相当部分についてその回収が危ぶまれるに至ったことなど,所定の事情が認められる場合に,当該貸付金から生ずる利子の額のうち当該事業年度に係るものは当該事業年度の益金の額に算入しないことができることとしている。 そして,原告は,本件貸付金の貸付先において,いずれも業績が不振であり,元本の回収のみならず利子の支払も得られない状況にあるから,本件貸付金には,上記①及び②に該当する事実が存在する旨主張し,また,本件貸付金のうち,ウエノハラスポーツヒルズに対する貸付金については,その所有不動産が競売されていることからも,上記①に該当する事実が存在する旨主張する。 イしかしながら,証拠(甲5,同6,同14,証人H)によれば,ウエノハラスポーツヒルズが所有し,原告が抵当権を設定していた山梨県北都留郡β所在の土地が原告の申立てによる競売開始決定により差し押さえられたのは平成3年10月24日であり,甲府地方裁判所都留支部において,他の共同担保物件と共に,競売により売却されたのは平成6年2月16日であることが認められる。 そうすると,上記不動産が競売手続に付されたのは,平成2年3月期以降のことであることからすれば,このことをもって,同期において,上記①に該当する事実が存在したことを認めることはできない。 そして,他に,本件貸付金の貸付先について 平成2年3月期以降のことであることからすれば,このことをもって,同期において,上記①に該当する事実が存在したことを認めることはできない。 そして,他に,本件貸付金の貸付先について,上記①又は②の事由に該当する具体的な事実を認めるに足りる証拠はない。 ウしたがって,原告の上記主張は,いずれも失当である。 (4) 以上によれば,本件未収利子については,前記(2)の基準に従って,平成2年3月期の収入として計上することが相当であるから,本件未収利子の合計額1億4923万5881円を,金銭貸付業に係る収益として計上すべきである。 (5) なお,金銭貸付業に係る経費認容額の算定方法について,被告は,前記3(1)の方法により算定すべきである旨主張しており,その詳細及び経費認容額は,別表7記載のとおりであるところ,原告の顧問会計士であるGは,陳述書(甲15)において,有価証券売却益及び補助金寄附金については対応する経費が存在しない以上,これを控除して本部総収入を計算すべきであるとし,原告は,これに基づいて,経費認容額を別表10記載のとおり主張する。 しかしながら,本件支出合計額に上記有価証券売却益等を得るための事務経費等が含まれていることにかんがみれば,本部総収入から上記有価証券売却益等を控除することは,相当でないというべきである。 そして,他に,被告の上記算定方法が相当でないことを認めるに足りる主張及び証拠はないから,原告の金銭貸付業に係る経費認容額(原告が申告した額を控除したもの)は,別表11記載のとおり,1億3012万1315円と認めるのが相当である。 6 争点6について(1)ア被告は,原告が平成2年3月期当時,タガタ産業に対して本件土地を賃貸していたものであり 表11記載のとおり,1億3012万1315円と認めるのが相当である。 6 争点6について(1)ア被告は,原告が平成2年3月期当時,タガタ産業に対して本件土地を賃貸していたものであり,その未収賃料を平成2年3月期の収益として計上しなければならない旨主張するのに対し,原告は,第4回口頭弁論期日において,「原告が有限会社タガタ産業に対し,被告主張の本件土地を賃貸していることは認める」と記載した平成8年12月18日付け準備書面を陳述した後,第7回口頭弁論期日において陳述した平成9年6月24日付け準備書面において,原告がタガタ産業との間に本件土地の賃貸借契約は存在しない旨主張し,上記の自白が真実に反し,錯誤に基づくものであることを理由に,これを撤回するとしている。 イそこで,原告の上記自白が,真実に反し,錯誤に基づくものであるか否かについて検討するに,証拠(甲4の1,2,乙57,同59,同60)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができる。 a 原告の昭和62年10月12日付け理事会決議録には,決議事項として,「有限会社タガタ産業に対し金壱億三千万円也と本学園所有の静岡県藤枝市にある土地四七三二坪を貸付ける。」と記載されている。 b 原告とタガタ産業の間における昭和62年11月25日付け「土地売買及び関連事項契約書」には,本件土地に相当するものと思料される土地について,原告が同社に5年間貸与し,借地料を交換地と相殺する旨の約定とともに,同社が原告から1億3000万円(同書面中に「頭書に掲げる土地買収代金」と記載されている金額)を年6パーセントの利息で借り受け,5年後に返済する旨の約定が記載されている。 c 原告とタガタ産業の間における昭和62年11月27日付けの本件 げる土地買収代金」と記載されている金額)を年6パーセントの利息で借り受け,5年後に返済する旨の約定が記載されている。 c 原告とタガタ産業の間における昭和62年11月27日付けの本件土地の売買契約書には,同社が本件土地を1億3628万0010円で原告に売却する旨の約定が記載されている。 d 原告の昭和63年3月31日現在の財産目録の「基本財産」の「・土地」の部に,「その他の校地」として本件土地が記載され,財産価格として1億3628万0010円と記載されている。 また,同目録の「基本財産」の「・短期貸付金」の部に,タガタ産業を相手先とする手形貸付が記載され,金額として1億3000万円と記載されている。 ウまた,タガタ産業の代表取締役であるFは,平成2年3月5日付け聴取書(乙58)において,同人は1億3000万円の借入れを目的として前記bの契約書に係る契約を締結したものであり,本件土地の地主から同社に対し,本件土地を買い取って欲しい旨の申出があったが,同社に資金がないため,同社に代わって原告に本件土地を購入してもらい,同社が原告から本件土地を借りる形とし,本件土地の5年間の借地料相当額として,同社が別の土地を原告に提供することとしたが,結局そのような土地の手当てはできていない旨供述している。 エ前記イで認定した事実及び上記ウのFの供述を総合すれば,原告が平成2年3月期当時,タガタ産業に対し,貸与期間を5年間として,本件土地を賃貸した事実がなかったと認めるに足りない以上,原告が本件土地をタガタ産業に賃貸していた旨の原告の自白が真実に反するものと認めることはできないというべきである。 オこれに対し,H事務長は,タガタ産業が原告から1億3000万円を借り入れ が本件土地をタガタ産業に賃貸していた旨の原告の自白が真実に反するものと認めることはできないというべきである。 オこれに対し,H事務長は,タガタ産業が原告から1億3000万円を借り入れるに当たり,本件土地を担保として提供したにすぎず,原告が本件土地をタガタ産業に賃貸した事実はない旨供述し,その根拠として,タガタ産業が本件土地を使用した形跡がないこと,借地料を交換地と相殺するとしながら,その交換地を探したり提示したりした事実がないこと,借地料や借地条件について具体的な定めがないこと等を挙げている(証人H)。 しかし,Fが平成2年3月5日付け聴取書(乙58)において,タガタ産業が昭和60年ころ,産業廃棄物を捨てるために本件土地を地主から借りていた旨供述していることに照らせば,同社が本件土地を使用していない旨のH事務長の上記供述は直ちに採用することができない。 また,Fは,上記聴取書において,借地料相当額として提供すべき土地について,資金繰り等の関係で手当てしていない旨供述していることに照らせば,タガタ産業が借地料相当額として提供すべき土地を探したり提示したりした事実がなかったとしても,原告が本件土地を賃貸した事実を否定することは相当でないというべきである。 さらに,本件土地の賃貸借契約について,賃料に関する具体的な金額が定められたことを認めるに足りる証拠はないものの,借主であるタガタ産業は,賃料相当額として本件土地に代わる土地を提供することとされており,前記イの事実等にも照らせば,具体的な賃料額や借地条件の定めがないことをもって,原告が本件土地を賃貸した事実がなかったということはできない。 そうすると,H事務長の上記供述をもっても,原告が本件土地をタガタ産業に 的な賃料額や借地条件の定めがないことをもって,原告が本件土地を賃貸した事実がなかったということはできない。 そうすると,H事務長の上記供述をもっても,原告が本件土地をタガタ産業に賃貸した旨の原告の自白が,真実に反するものと認めることはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 カしたがって,原告が本件土地をタガタ産業に賃貸した旨の原告の自白が,真実に反するものと認められない以上,上記自白の撤回は認められないというべきである。 (2)アところで,法人税に関しては,不動産賃料の収益を計上する時期についても,前記5(2)で述べたところにより,発生主義によるべきものと解されるところ,基本通達2-1-29によれば,資産の賃貸借契約に基づいて支払を受ける使用料等の額は,前受けに係る額を除き,当該契約又は慣習によりその支払を受けるべき日の属する事業年度の益金の額に算入することとしている。 しかしながら,上記通達の定めは,一般に資産の賃貸借契約に基づく使用料については,毎月一定の日までに支払う旨定められるなど,年以下の期間を単位として規則的に支払われる旨定められる取引慣行が存在することを前提とするものと解されることからすれば,特段の理由もなくその使用料の支払期日が1年を超えて定められているような場合には,上記通達の定めによらずに,事業年度以下の合理的な期間ごとにその発生した収益を計上しなければならないというべきである。 イこれに対し,原告は,タガタ産業が業績不振で休眠中のため,同社から賃料の支払を受けることができないから,賃料を収益に計上しない特段の事情が認められる旨主張するが,証拠(乙58)によれば,同社は少なくとも平成2年3月5日の時点において,業績不振で休眠中であったとはいえ の支払を受けることができないから,賃料を収益に計上しない特段の事情が認められる旨主張するが,証拠(乙58)によれば,同社は少なくとも平成2年3月5日の時点において,業績不振で休眠中であったとはいえず,他に平成2年3月期において,同社が業績不振で休眠中であった事実を認めるに足りる証拠はないから,原告の上記主張は採用できない。 ウしたがって,本件法人税更正処分において益金に加算した不動産の賃料については,前記アの収益計上基準により,不動産貸付業収入として,平成2年3月期の益金の額に算入することが相当である。 (3) そして,不動産貸付業に係る経費認容額の算定方法について,被告は,前記3(1)の方法により算定すべきである旨主張しており,その詳細及び経費認容額は,別表7記載のとおりであるところ,上記算定方法が相当でないことを認めるに足りる主張及び立証はないから,原告の不動産貸付業に係る経費認容額は,別表7のとおり,2348万1759円と認めるのが相当である。 第4 結論 1 以上によれば,原告の平成2年3月期における法人税に係る課税所得金額及び納付すべき税額は,それぞれ別表11記載のとおり,それぞれ4075万6000円及び1100万4100円となり,無申告加算税の額は,別表11記載のとおり,123万3000円となるところ,上記の金額は,いずれも本件法人税更正処分及び本件賦課決定処分(ただし,いずれも本件裁決により一部取り消された後のもの)の金額を上回るから,本件法人税更正処分及び本件賦課決定処分は,いずれも適法であるというべきである。 2 これに対し,原告の平成2年3月課税期間における消費税に係る課税標準額(ただし,国税通則法118条1項の規定により,1000円未満の端数切り捨て後のもの)及び納付すべき税額は,それぞ る。 2 これに対し,原告の平成2年3月課税期間における消費税に係る課税標準額(ただし,国税通則法118条1項の規定により,1000円未満の端数切り捨て後のもの)及び納付すべき税額は,それぞれ別表11のとおり,120億9667万3000円及び1億9624万1900円となるから,本件消費税更正処分(ただし,本件裁決により一部取り消された後のもの)のうち,上記金額を超える部分は,違法というべきである。 3 よって,原告の請求は,本件消費税更正処分(ただし,本件裁決により一部取り消された後のもの)のうち,課税標準額120億9667万3000円,納付すべき税額1億9624万1900円を超える部分を取り消す限度において理由があるが,その余の部分については,いずれも理由がないから,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部裁判長裁判官市村陽典裁判官森英明裁判官馬渡香津子は,転勤のため署名押印することができない。 裁判長裁判官市村陽典

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