平成30(ワ)24818 特許権侵害差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和4年3月23日 東京地方裁判所
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令和4年3月23日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成30年(ワ)第24818号特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日令和4年1月19日判決原告株式会社ボンマーク 同訴訟代理人弁護士大川直同訴訟代理人弁理士高橋英樹 高田守同補佐人弁理士小澤次郎 大西秀和 被告アテネ株式会社同訴訟代理人弁護士兼弁理士小林幸夫 弓削田博同訴訟代理人弁護士木村剛大 河部康弘 藤沼光太 神田秀斗 平田慎二同訴訟代理人弁理士牛木護 清水榮松 高橋知之 中村聡 主文 1 被告は、別紙被告製品目録記載1の製品を製造し、使用し、譲渡し、貸し渡し、若しくは輸出し、又は譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。 2 被告は、原告に対し、5730万1332円及びこれに対する平成31年2月28日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は、これを3分し、その2を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。 5 この判決は、第1項及び第2項に限り、仮に執行することができる。 事実 及び理由 第1 請求の趣旨 1 主文第1項同旨 2 被告は、別紙被告方法目録記載の方法を使用してはならない。 3 被告は、別紙被告方法目録記載の方法によって生産した別紙被告製品目録記載2の製品(以下「被告製品2」という。)を使用し、譲渡し、貸し渡し、若しくは輸出し、又は譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。 告方法目録記載の方法によって生産した別紙被告製品目録記載2の製品(以下「被告製品2」という。)を使用し、譲渡し、貸し渡し、若しくは輸出し、又は譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。 4⑴ 主位的請求被告は、原告に対し、1億7170万円及びこれに対する平成30年8月 9日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 ⑵ 予備的請求被告は、原告に対し、1億5166万円及びこれに対する令和3年2月25日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は、原告が、被告に対し、被告が製造販売する別紙被告製品目録記載1の製品(以下「被告製品1」という。)は、その発明の名称を「メタルマスク及びその製造方法」とする原告保有の特許(以下「本件特許1」という。)の請求項1及び2の各発明の技術的範囲に属し、また、被告が被告製品を製造する方法(以下「被告方法」という。)は、その発明の名称を「ボール配列用マ スクの製造方法」とする原告保有の特許(以下「本件特許2」という。)の請 求項1の発明の技術的範囲に属し、これらの特許に係る原告の特許権を侵害するとして、被告に対し、被告製品1及び被告方法に係る差止めを求めるとともに、主位的に、不法行為に基づく損害賠償請求として、1億7170万円及び訴状送達の日(平成30年8月8日)の翌日からの平成29年法律第44号による改正前の民法所定の遅延損害金の支払を求め、予備的に、不当利得に基づ く返還請求として、1億5166万円及び訴えの変更申立書送達の日(令和3年2月24日)の翌日からの同改正前の民法所定の利息の支払を求める事件である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに掲記した証拠及び弁論の全趣旨により認定できる事実をいう。 達の日(令和3年2月24日)の翌日からの同改正前の民法所定の利息の支払を求める事件である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに掲記した証拠及び弁論の全趣旨により認定できる事実をいう。なお、本判決を通じ、証拠を摘示する場合には、 特に記載がない限り、枝番を含むものとする。)⑴ 当事者ア原告は、電子部品実装用メタルマスクや電子部品実装に関する周辺機器及びシステム、半導体パッケージ用精密版、ディスプレイ用マスク等の開発、製造、販売等を業とする株式会社である。 イ被告は、超微細電鋳加工製品等の開発設計、製造、販売等を業とする株式会社である。 ⑵ 本件特許1ア原告は、本件特許1に係る以下の特許権(以下「本件特許権1」という。)を保有している。(甲1、2) 登録番号特許第4192197発明の名称メタルマスク及びその製造方法出願日平成19年4月5日出願番号特願2007-099632登録日平成20年9月26日 イ被告は、平成30年11月29日、特許庁に対し、本件特許1に係る無 効審判請求をし(無効2018-800133)、後記⑸ア及びイの文献を提出するなどしたが、原告は、平成31年3月7日、その特許請求の範囲の記載等の訂正請求をし(甲16)、特許庁は、令和元年9月18日付けで、原告の訂正請求を認めるとともに、被告の無効審判請求は成り立たないとする旨の審決をした(甲18)。これに対し、被告は、審決取消訴 訟を提起したものの、裁判所は、審決取消請求(乙40)を棄却する旨の判決を言い渡し、当該判決は確定した(弁論の全趣旨)。 ウ前記イの訂正後の本件特許1に係る明細書及び図面(以下「本件明細書等1」という。)のうち、特許請求の範囲の請求項1の 乙40)を棄却する旨の判決を言い渡し、当該判決は確定した(弁論の全趣旨)。 ウ前記イの訂正後の本件特許1に係る明細書及び図面(以下「本件明細書等1」という。)のうち、特許請求の範囲の請求項1の発明(以下「本件訂正発明1-1」という。)及び請求項2の発明(以下「本件訂正発明1 -2」という。)に係る記載は、次のとおりである(なお、下線部は、当該訂正による訂正部分である。)。 (本件訂正発明1-1)「半田ペーストをプリント配線板に塗布形成するために形成された開口パターンと、前記プリント配線板への位置合わせ用のために前記開口パタ ーンに近接して設けられ、交流電源による電解マーキングによって刻印された複数の認識マーク、電解処理によって刻印された複数の認識マークと、を備えたことを特徴とするメタルマスク」(本件訂正発明1-2)「開口パターンと、スクリーン印刷の位置合わせ用のために前記開口パ ターンに近接して設けられ、交流電源による電解マーキングによって刻印された複数の認識マークと、を備えたことを特徴とするメタルマスク」。 エ本件訂正発明1-1及び1-2(以下「本件訂正発明1」という。)の請求項の記載は、次のように構成要件に分説することができる。 (本件訂正発明1-1) 1A 半田ペーストをプリント配線板に塗布形成するために形成された開 口パターンと、1B’前記プリント配線板への位置合わせ用のために前記開口パターンに近接して設けられ、交流電源による電解マーキングによって刻印された複数の認識マークと、1C を備えたことを特徴とするメタルマスク (本件訂正発明1-2)1D 開口パターンと、1E’スクリーン印刷の位置合わせ用のために前記開口パターンに近接して設けられ、交流電源 1C を備えたことを特徴とするメタルマスク (本件訂正発明1-2)1D 開口パターンと、1E’スクリーン印刷の位置合わせ用のために前記開口パターンに近接して設けられ、交流電源による電解マーキングによって刻印された複数の認識マークと、 1F を備えたことを特徴とするメタルマスク⑶ 本件特許2ア原告は、本件特許2に係る以下の特許権(以下「本件特許権2」という。)を保有している。(甲6、7)登録番号特許第6302430 発明の名称ボール配列用マスクの製造方法出願日平成27年6月8日出願番号特願2015-115779登録日平成30年3月9日イ被告は、平成30年11月29日、特許庁に対し、本件特許2に係る無 効審判請求をし(無効2018-800134)、本件後記⑹ウの文献を提出するなどしたが、原告は、平成31年3月7日、その特許請求の範囲の記載等の訂正請求をし(甲16)、特許庁は、令和2年2月16日付けで、原告の訂正請求を認めるとともに(被告は、令和元年8月22日の当該無効審判手続の第1回口頭審理において、当該訂正に係る訂正要件違反 の主張を撤回した。)、被告による無効審判請求は成り立たないとする旨 の審決をした(甲21)。これに対し、被告は、審決取消訴訟を提起したものの、裁判所は、審決取消請求を棄却する旨の判決を言い渡し、当該判決は確定した(弁論の全趣旨)。 ウ前記イの訂正後の本件特許2に係る明細書及び図面(以下「本件明細書等2」という。)のうち、特許請求の範囲の請求項1の発明(以下「本件 訂正発明2」という。)に係る記載は、次のとおりである(なお、下線部は、当該訂正による訂正部分である。)。 「メッキにより形成され、振込ま )のうち、特許請求の範囲の請求項1の発明(以下「本件 訂正発明2」という。)に係る記載は、次のとおりである(なお、下線部は、当該訂正による訂正部分である。)。 「メッキにより形成され、振込まれた導電性ボールが挿通する複数の開口部が形成されたマスク本体と、メッキにより形成され、導電性ボールが振り込まれる側ではなく基板の電極と対向する側となる前記マスク本来裏 面の前記開口部以外に部分的に突出され、互いに分離独立した複数の突起とを備え、前記分離独立した複数の突起の先端部は、その周縁エッジ部が丸みを持ったR形状に形成されており、布ふき取り時の引っ掛かりを防止するボール配列用マスクの製造方法であって、SUS母材上に前記分離独立した複数の突起形成用のレジスト層を形成する工程と、前記分離独立し た複数の突起が所定の高さとなるようにSUS母材上にメッキすることにより、一次メッキ層を形成する工程と、一次メッキ層の形成が終わったら、前記突起形成用のレジスト層を除去する工程と、前記突起以外の一次メッキ層を取り除き、SUS母材上に一次メッキ層による突起を残す工程と、前記SUS母材上の前記突起間に複数の開口部形成用のレジスト層を形成 する工程と、前記マスク本体が指定の厚さとなるようにSUS母材上及び前記突起上にメッキすることにより、二次メッキ層を形成する工程と、二次メッキ層の形成が終わったら、前記複数の開口部形成用のレジスト層を除去する工程と、前記SUS母材から一次メッキ層及び二次メッキ層からなる突起とマスク本体のメッキ層を剥離する工程と、を備えたことを特徴 とするボール配列用のマスクの製造方法」 エ本件訂正発明2の前記請求項の記載は、次のように構成要件に分説することができる。 2A メッキにより形成され、振り込まれ 備えたことを特徴 とするボール配列用のマスクの製造方法」 エ本件訂正発明2の前記請求項の記載は、次のように構成要件に分説することができる。 2A メッキにより形成され、振り込まれた導電性ボールが挿通する複数の開口部が形成されたマスク本体と、2B’ メッキにより形成され、導電性ボールが振り込まれる側ではなく基 板の電極と対向する側となる前記マスク本体裏面の前記開口部以外に部分的に突出され、互いに分離独立した複数の突起とを備え、2C’前記分離独立した複数の突起の先端部は、その周縁エッジ部が丸味を持ったR形状に形成されており、布拭き取り時の引っ掛かりを防止する配列用マスクの製造方法であって、 2D’SUS母材上に前記分離独立した複数の突起形成用のレジスト層を形成する工程と、2E’前記分離独立した複数の突起が所定の高さとなるようにSUS母材上にメッキすることにより、一次メッキ層を形成する工程と、2F 一次メッキ層の形成が終わったら、前記突起形成用のレジスト層を 除去する工程と、2G 前記突起以外の一次メッキ層を取り除き、SUS母材上に一次メッキ層による突起を残す工程と、2H 前記SUS母材上の前記突起間に複数の開口部形成用のレジスト層を形成する工程と、 2I 前記マスク本体が指定の厚さとなるようにSUS母材上及び前記突起上にメッキすることにより、二次メッキ層を形成する工程と、2J 二次メッキ層の形成が終わったら、前記複数の開口部形成用のレジスト層を除去する工程と、2K 前記SUS母材から一次メッキ層及び二次メッキ層からなる突起と マスク本体のメッキ層を剥離する工程と、 2L を備えたことを特徴とするボール配列用マスクの製造方法である。 ⑷ 被告の行為ア 母材から一次メッキ層及び二次メッキ層からなる突起と マスク本体のメッキ層を剥離する工程と、 2L を備えたことを特徴とするボール配列用マスクの製造方法である。 ⑷ 被告の行為ア被告は、平成23年1月頃から、業として、被告製品1を製造し、販売し、又は販売の申出をした(甲3、4)。原告は、被告製品1が、別紙被告製品説明書記載の構成aないしcを有し、本件訂正発明1の技術的範囲 に属するメタルマスクであると主張する。 イ被告は、遅くとも平成30年3月頃から、業として、被告方法により生産した被告製品2を販売し、又は販売の申出をしている(甲8)。被告方法が、別紙被告方法説明書の各構成を有し、これが本件訂正発明2の技術的範囲に属することは当事者間に争いがない。 ⑸ 本件特許1に係る先行文献ア本件特許1の特許出願前に、その発明の名称を「印刷用マスクおよびそれを用いたプリント配線板の半田印刷方法」とする特開平10-151724号公報(以下「乙12公報」という。)が存在していた(乙12)。 イ本件特許1の特許出願前に、その発明の名称を「マーキング方法」とす る特開平1-180995号公報(以下「乙26公報」という。)が存在していた(乙26)。 ウなお、乙12公報は、前記⑵イの確定した審決の「甲第1号証」であり、乙26公報は、「甲第3号証」である。 ⑹ 本件特許2に係る先行文献 ア本件特許2の特許出願前に、その発明の名称を「マスク及びマスクの製造方法」とする特開2010-247500号公報(以下「乙20公報」という。)が存在していた(乙20)。 イ本件特許2の特許出願前に、その発明の名称を「導電性ボール配列用マスク及びその製造方法」とする特開2006-324618号公報(以下 「乙 0公報」という。)が存在していた(乙20)。 イ本件特許2の特許出願前に、その発明の名称を「導電性ボール配列用マスク及びその製造方法」とする特開2006-324618号公報(以下 「乙21公報」という。)が存在していた(乙21)。 ウ本件特許2の特許出願前に、その発明の名称を「配列用マスク」とする特開2013-229577号公報(以下「乙22公報」という。)が存在していた(乙22)。 エ本件特許2の特許出願前に、その発明の名称を「配列用マスク」とする特開2014-107282号公報(以下「乙23公報」という。)が存 在していた(乙23)。 オなお、乙20公報ないし乙23公報は、前記⑶イの審決の「甲第1号証」ないし「甲第4号証」である。 ⑺ なお、原告は、侵害論において、本件特許権1及び2につき前記訂正請求を前提として訂正の再抗弁を主張し、被告はこれに反論していたところ、損 害論に移行後に前記審決が確定したことから、訴訟の経過及び弁論の全趣旨を踏まえ、当事者双方は、訂正の再抗弁に係る争点を請求原因事実に係る争点に繰り上げる趣旨を主張し直すものとして、侵害論においては、端的に訂正後の特許権1及び2に係る充足性及び有効性を争点とするものとして、下記3のとおり整理している。 3 争点⑴ 被告製品1の「近接」該当性(争点1)⑵ 被告製品1に係る先使用の抗弁の成否(争点2)⑶ 本件訂正発明1に係る進歩性欠如の有無(争点3)⑷ 被告製品2に係る先使用の抗弁の成否(争点4) ⑸ 本件訂正発明2に係る進歩性欠如の有無(争点5)⑹ 本件訂正発明1に係る原告の損害の額(争点6)⑺ 本件訂正発明2に係る原告の損害の額(争点7)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(被告製品1の 2に係る進歩性欠如の有無(争点5)⑹ 本件訂正発明1に係る原告の損害の額(争点6)⑺ 本件訂正発明2に係る原告の損害の額(争点7)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(被告製品1の「近接」該当性)について (原告の主張) ⑴ 構成要件1B’及び1E’の「近接」とは、一般的には「すぐ近くにあること」の意味であるが、認識マークの位置は、プリント配線板の大きさやパターンの配列によって様々であり、これを数値化することはできない。 ⑵ しかし、認識マークは、メタルマスクとプリント配線板との位置合わせの為に用いられるものであるから、メタルマスクの開口パターンがあるメタル 上に認識マークがあれば、位置合わせが可能となる。 そして、本件明細書等1の段落【0027】にも、「図11に示すメタルマスク1では、半田ペースト等をプリント配線板に塗布形成するための開口部(開口パターン)1cの近傍に、上記プリント配線板の位置合わせ用の複数の認識マークが配置されており、これらの認識マークは、上述の通り、電 解処理によって刻印されている。」との記載がある。 そうすると、構成要件1B’及び1E’の「開口パターンに近接して設けられ」とは、認識マークがメタルマスクのメタル上に配置されていれば足りると考えるべきである。このように考えたとしても、当業者であれば、本件明細書等1の記載から発明を特定して把握し、その権利範囲を確定すること は可能であるといえる。 ⑶ したがって、被告製品1の認識マークが開口パターンに「近接」して設けられていることは明らかであり(別紙被告製品説明書の写真5以下)、被告製品1は、構成要件1B’及び1E’を充足する。 (被告の主張) 構成要件1B’及び1E’の「近接」とは、原告も認めるとおり、 いることは明らかであり(別紙被告製品説明書の写真5以下)、被告製品1は、構成要件1B’及び1E’を充足する。 (被告の主張) 構成要件1B’及び1E’の「近接」とは、原告も認めるとおり、「近くにあること」を意味するから、少なくとも、認識マークが、いずれも開口パターンの近くに存在することが必須である。これに対し、原告の主張は、発明を特定するために請求項に記載された「近接」の意義を全く無視するものであるから失当であり、被告製品1において、複数の認識マークが、開口パターンの 「近接」に設けられていることを立証し得ていない。 2 争点2(被告製品1に係る先使用の抗弁の成否)について(被告の主張)⑴ 被告は、平成17年2月16日、日本国内の顧客に対し、被告の事業の一環として、平成30年6月12日付け公正証書(乙2)の添付写真にあるメタルマスク(以下「乙2メタルマスク」という。)を出荷した。乙2メタル マスクは、「交流電源による電解マーキングによって刻印された複数の認識マーク」(乙2、3)を有し、本件訂正発明1-1の構成要件を充足する製品であったが、被告は、当時、当該発明の内容を知らなかった。また、本件訂正発明1-2は、本件訂正発明1-1を包含する発明であるから、被告が、現在も、被告製品1を含むメタルマスクの販売事業を実施している以上、仮 に、被告製品1が本件訂正発明1の構成要件を充足するとすれば、被告は、被告製品1に関し、先使用による通常実施権を有する。 ⑵ これに対し、原告は、乙2メタルマスクの認識マークが、交流電源による電解マーキングによって刻印されたものであることを争っている。 アしかし、電解マーキング法によって、表面がエッチングされ、黒色被膜 が生成されることは文献に記載されており(乙 交流電源による電解マーキングによって刻印されたものであることを争っている。 アしかし、電解マーキング法によって、表面がエッチングされ、黒色被膜 が生成されることは文献に記載されており(乙26)、被告による実験の結果を踏まえても、乙2メタルマスクの認識マークのように、黒色であり、かつ、へこみ(ピット)が発生するマークが、電解マーキングにより生成されたものであることは明らかである(乙3)。 また、原告も、被告製品1の認識マークが「濃い色(黒色)」であるこ とを理由に、これが交流電源による電解マーキングによって刻印されたものであると断定しているのであるから(原告準備書面3・14頁)、乙2メタルマスクの認識マークが濃い色(黒色)(乙2、3)で着色されている以上、先使用が成立することは明らかである。 イなお、被告は、被告の認識マークの形成方法を書類上で「ハーフエッチ ング後カーボン処理」と表現したことがある(甲13)。しかし、そこに いう「ハーフエッチング」及び「カーボン処理」と交流電源による電解マーキングとは、同一の工程をいう上、そもそも、当該書類は、乙2メタルマスクに関する書類ではないから、結論を左右するものではない。 すなわち、「ハーフエッチング」とは、「カーボンをマーキング装置電源に電極端子として接続し、電解液を介してNiメタルに接触させる。こ こに交流電流を流すと、電極端子が負極、Niメタルが正極となる時にNiメタルよりNiイオンが電解液中に溶け出す。」という工程をいい、金属を貫通しないため、「ハーフ」と表現しているものである。 そして、その後、「電解液中に溶け出したNiイオンが化学反応により酸化し、極性が反転した時に酸化されたNiイオンがNiメタルに再電着 されることで黒い被膜が形成され 表現しているものである。 そして、その後、「電解液中に溶け出したNiイオンが化学反応により酸化し、極性が反転した時に酸化されたNiイオンがNiメタルに再電着 されることで黒い被膜が形成される。」という工程を経るが、これらの工程全体を通し、カーボン電極を被加工物に接触させながら化学処理が行われることから、これを「カーボン処理」と表現したものである。 他方、交流電源による電解マーキングは、金属イオンが溶出し、凹部が形成された後に金属イオンが付着するという化学処理が行われることを前 提とする(原告準備書面4・3頁)。このように、凹部の形成の後に化学処理をするという技術的思想は、前記の「ハーフエッチング」及び「カーボン処理」と何ら異なるものではない。 ⑶ また、原告は、乙2メタルマスクが、真に平成17年2月16日に納品されたものであることを争う。 アしかし、乙2メタルマスクにある2005年(平成17年)2月16日を示す黒色の刻印は、取引先の指示に基づき、「製作日(出荷日)」(乙52、53)を示す記載として付されたものである。被告が、実際の出荷日(納期、製作日)を示すため、このような刻印をしていたことは、他の顧客の事例からも裏付けることができるのであって(乙56ないし60)、 乙2メタルマスクが同日までに完成していたことは確実である。 イそして、当該刻印は、交流電源による電解処理により付されたものであり、「脱落を確実に防止することができる」(本件明細書等の段落【0011】)ようにしたものであって、事後に脱落することがないものであるから、これが実際の納品日と異なるという事態は、敢えて実際の納品日と異なる納品日が記載された不自然な製品を納入したり、受領したりすると いう不自然な仮説を想定しない限り考 ることがないものであるから、これが実際の納品日と異なるという事態は、敢えて実際の納品日と異なる納品日が記載された不自然な製品を納入したり、受領したりすると いう不自然な仮説を想定しない限り考え難い。 ウ他方、●(省略)●の持出証には、同社の従業員が、●(省略)●を持ち出したことが記載され(乙36)、被告提出の公正証書には、被告の従業員(乙49)が、平成30年6月5日、同社の●(省略)●において、●(省略)●と刻印された乙2メタルマスクを引き取ったことが明確に記 載されている。(乙1、2)エそして、A社の従業員の陳述書(乙24)には、同社が厳重に管理する管理台帳によれば、納品された乙2メタルマスクの差し替え等がされていないことが記載されている。そうすると、乙2メタルマスクは、納品日以降、同社に保管されていたものであり、被告が引き取ったメタルマスクと 同一のものであるというべきである。したがって、この点に関する原告の主張も失当である。 (原告の主張)⑴ 乙2メタルマスクの認識マークが、「電解マーキング」であると断定するに足りる証拠はない。したがって、乙2メタルマスクが、本件訂正発明1の 実施品であるということはできない。 ア被告は、乙2メタルマスクの写真以外に、その認識マークが電解マーキングであることを裏付ける設計図等の資料を何ら提出しない。そのため、これが客観的に明らかになっているとはいえない。 確かに、乙2メタルマスクの写真には黒色又は濃い色の認識マークが存 在するが、どのような処理による着色であるのかは不明である。仮に、当 該認識マークに、被告のいう「へこみ」が存在したとしても、それが電解処理(電解マーキング)により形成されたことが明らかとはいえないし、前記写真からは、その「 であるのかは不明である。仮に、当 該認識マークに、被告のいう「へこみ」が存在したとしても、それが電解処理(電解マーキング)により形成されたことが明らかとはいえないし、前記写真からは、その「へこみ」があるかどうかも不明である。 また、乙2メタルマスクは厚物マスクであり、凹部に追加的な黒色皮膜を形成することが容易なものである。このように被告製品1と乙2メタル マスクとは別の製品であるから、被告製品1の黒色の認識マークが交流電源による電解マーキングによって刻印されていたとして、乙2メタルマスクの認識マークも同様であると断定することはできない。 イむしろ、被告が本件訴訟前に説明資料として交付した「納入品仕様変更申請書」(甲13)には、認識マークの形成方法として、「ハーフエッチ ング後カーボン処理」と記載されていることを指摘し得る。 当該記載によれば、乙2メタルマスクの認識マークは、「ハーフエッチング」で「へこみ」を形成するという工程の「後」に、「カーボン」を化学処理して着色するという工程を経るものであると考えられるが、「ハーフエッチング」とは、エッチングにより、メタルマスクに意図的に凹部を 形成し、その凹部に何かを詰めるという方法である。 しかるに、交流電源による電解マーキングにおいては、金属イオンの溶出による凹みの発生と溶出した金属イオンの付着による皮膜の形成とは同時に進行するから、エッチングにより、意図的に凹みを形成する工程を経ることは不要である。このように、交流電源による電解マーキングと「ハ ーフエッチング後カーボン処理」とは、技術的思想が全く異なる。 また、「カーボン」にしても、電解マーキングで用いられることのないものである。この点につき、被告は、電解処理の電極に「カーボン」を用いていると主張する カーボン処理」とは、技術的思想が全く異なる。 また、「カーボン」にしても、電解マーキングで用いられることのないものである。この点につき、被告は、電解処理の電極に「カーボン」を用いていると主張するが、それをあえて「カーボン処理」とは記載しないはずである。 ⑵ また、乙2メタルマスクが、平成17年2月16日に納品されたものであ るかどうかも、客観的に明らかであるとはいえない。したがって、被告が、本件訂正発明1を実施していたということもできない。 ア顧客に納品した製品で先使用を立証する場合、納品の日付に加え、当該顧客において、当該製品が保管され、何ら加工されていないこと、被告が当該製品を一時的に引き取るなどしておらず、納品された製品と当該製品 とが同一であることなどが客観的に明らかにされなければならない。 しかるに、被告が提出する証拠は、後記イの公正証書を除き、被告の内部資料等を中心とするものにすぎない。被告は、顧客である●(省略)●の「管理台帳」が存在すると主張するが、これを裏付ける客観的証拠は存在せず、当該製品の納品当時には在籍していなかった同社担当者の陳述書 において、断片的に引用されるのみである上、仮に、その陳述書のとおりの「管理台帳」が存在したとしても、その記載の内容は不十分であり、「管理台帳」は、信用することができるものではない。したがって、先使用の事実が客観的に明らかにされているとはいえない。 イまた、被告が提出する公正証書(乙1)についても、被告担当者の説明 のままに記載されたにすぎないと考えられる内容のものであり、特に、メタルマスクを引き渡した者が誰であるかの確認もされていないこと、その保管者であるはずの●(省略)●の従業員が事実実験に立ち会っていないことなどに照らせば、その正確性 られる内容のものであり、特に、メタルマスクを引き渡した者が誰であるかの確認もされていないこと、その保管者であるはずの●(省略)●の従業員が事実実験に立ち会っていないことなどに照らせば、その正確性、信用性に疑義がある。 仮に、前記公正証書の記載のとおり、乙2メタルマスクが、●(省略) ●から持ち出されたものであるとすれば、社外の者である被告担当者が、守衛のチェックなしに会社の資産であるはずの乙2メタルマスクを簡単に持ち出していることになり、●(省略)●において、これが適切に管理されていたかどうかが疑わしいというべきである。 この点について、被告は、●(省略)●の持出証なる資料(乙36)を 提出するが、当該持出証は、その作成者も明らかではなく、その開示先で ある被告担当者については、被告の当初の主張と異なる者の氏名が記載されている。そうすると、当該持出証を考慮しても、被告が納品したというメタルマスクと乙2メタルマスクの同一性には疑問がある。 ウそもそも、メタルマスクの日付の刻印は、いつでも容易に作成することができ、出荷後に刻印することも可能なものである。被告は、被告の製品 における日付の刻印は、出荷日を示すためのものであるとして、別の顧客に納品した製品に係る検収明細情報等の資料(乙56ないし60)を提出する。しかし、それらの資料は、社名の記載がなく、部品コードも不整合であるなどの不審点があるなど、被告の当該主張を裏付ける証拠とするには不十分なものである。したがって、この点からしても、乙2メタルマス クによる先使用の立証がされているということはできない。 3 争点3(本件訂正発明1に係る進歩性欠如の有無)について(被告の主張)本件訂正発明1は、以下のとおり、乙12公報に記載された発明に乙26公報に 用の立証がされているということはできない。 3 争点3(本件訂正発明1に係る進歩性欠如の有無)について(被告の主張)本件訂正発明1は、以下のとおり、乙12公報に記載された発明に乙26公報に記載された事項を適用することにより、当業者が容易に想到し得たもので あったから、進歩性欠如の無効事由を有する。 ⑴ 乙12公報に記載された発明及び相違点ア乙12公報には、以下の乙12-1発明及び乙12-2発明(以下「乙12発明」という。)が記載されている。 (乙12-1発明) 12A クリーム半田をプリント配線板に印刷形成するために形成された開口部と、12B 前記プリント配線板への位置合わせ用のために設けられ、12C 電解めっき法により金属層が形成されたアライメントマークと、12D を備えたことを特徴とする印刷用マスク (乙12-2発明) 12E 開口部と、12F 半田印刷の位置合わせ用のために設けられ、12G 電解めっき法により金属層が形成されたアライメントマークと、12H を備えたことを特徴とする印刷用マスクイ乙12-1発明と本件訂正発明1-1とは、以下の相違点1ないし3で 相違し、乙12-2発明と本件訂正発明1-2とは、以下の相違点4ないし6で相違するが、その余は一致する。 (相違点1)構成要件12Bについて、本件訂正発明1-1では認識マークが開口パターンに近接して設けられるのに対し、乙12-1発明ではアライメント マークが開口部に近接して設けられるか否か明らかでない点(相違点2)構成要件12Cについて、本件特許訂正1-1では認識マークが複数設けられるのに対し、乙12-1発明ではアライメントマークが複数設けられるか否か明らかでない点 (相違点3) (相違点2)構成要件12Cについて、本件特許訂正1-1では認識マークが複数設けられるのに対し、乙12-1発明ではアライメントマークが複数設けられるか否か明らかでない点 (相違点3)構成要件12Cについて、本件訂正発明1-1では認識マークが交流電源による電解マーキングによって刻印されるのに対し、乙12-1発明ではアライメントマークが電解めっき法によって金属層で形成される点(相違点4) 構成要件12Fについて、本件訂正発明1-2では認識マークが開口パターンに近接して設けられるのに対し、乙12-2発明ではアライメントマークが開口部に近接して設けられるか否か明らかでない点(相違点5)構成要件12Gについて、本件訂正発明1-2では認識マークが複数設 けられるのに対し、乙12-2発明ではアライメントマークが複数設けら れるか否か明らかでない点(相違点6)構成要件12Gについて、本件訂正発明1-2では認識マークが交流電源による電解マーキングによって刻印されるのに対し、乙12-2発明ではアライメントマークが電解めっき法によって金属層で形成される点 ウなお、被告は、乙12発明において、あらかじめ凹部が形成されることが必須の構成要素であるかのように主張する。しかし、乙12発明は物の発明であるから、あらかじめ凹部を形成するというような時的要素を導入するのは不適切である。そして、本件訂正発明1のような交流電源による電解マーキングにおいても、刻印される部分に凹部は形成されるのである から、凹部の形成の有無が実施的な相違点となることもない。 ⑵ 相違点の検討ア相違点1及び4認識マークはプリント配線板との位置合わせのために設けられるものであるから、これと開口パターンとの位置関係を規定 成の有無が実施的な相違点となることもない。 ⑵ 相違点の検討ア相違点1及び4認識マークはプリント配線板との位置合わせのために設けられるものであるから、これと開口パターンとの位置関係を規定する必要がないことは、 当業者の技術常識である。原告も、充足論において、「開口パターンに近接して」の文言が無用な限定であることを認めている。したがって、相違点1及び4は実質的な相違点とはいえない。 イ相違点2及び5認識マークはプリント配線板との位置合わせ用に設けられるものである から、プリント配線板が回転した場合などに備え、これを複数箇所に設けることは不可欠である。そして、複数のマークを設けることは、技術分野が密接に関連する金属製の被加工物に係る乙13に記載されており、当業者が、これを適用し、相違点2及び5に至ることは容易であった。 ウ相違点3及び6 本件訂正発明1の課題は、認識マークの脱落を確実に防止し、これを箔 物に対しても容易に形成することであるが、そのような課題は、その出願前から周知であり(乙12、14、15ないし19)、後記⑶に詳述するとおり、当業者が、乙26公報の記載事項(以下「乙26記載事項」という。)に基づき、相違点3及び6に至ることは容易であった。 ⑶ 乙26記載事項の適用について ア乙26記載事項は、金属製の被加工物にマークを施すには、一般に「電解マーキング法」が採用されること、これは「第5図」に示すようにステンシルの孔部に電解液と被加工物を接触させ、電解液に接触するカーボン電極と被加工物との間に「交流を印加」することで被加工物の表面に皮膜を生成するものであり、生成された皮膜は被加工物の酸化物又は被加工物 と電解液との反応生成物であることを内容とし、その「第5図」は、本 加工物との間に「交流を印加」することで被加工物の表面に皮膜を生成するものであり、生成された皮膜は被加工物の酸化物又は被加工物 と電解液との反応生成物であることを内容とし、その「第5図」は、本件明細書等1の【図8】と同一である。そうすると、乙26公報は、相違点3及び6にいう「交流電源による電解マーキングによって刻印された認識マーク」を開示するものであるということができる。 イそして、乙26記載事項は、「工具」などの金属製の被加工物に、光の 反射率を異ならせた皮膜で「文字や数字等のパターン」を表示する技術であり、自動化された製造・組立工程においては、このような部品や治工具の「パターン」も、ロボット上のカメラを通じ画像処理されることになるから、「工具」と同様の生産部材である治具であり、金属板たるメタルマスクに、「パターン」の一種であるアライメントマークを施し、これを読 み取って位置合わせをする技術である乙12発明とは、その技術分野が密接に関連し、作用、機能においても共通するということができる。 また、電解マーキング装置は、本件訂正発明1の出願前から販売されており(乙27)、これによって、ロゴやシンボルマーク、黒色マーキングが可能であることも知られていたから(乙32、33)、これをマークの 一種である認識マークに使用し得ることは、当業者が容易に想到し得たこ とである。さらに、交流電圧を印加する黒色永久マークが、電気通信部品等の産業用部品に用いられる旨の刊行物も存在し(乙28)、電気通信部品等の製造工程に使用されるメタルマスクに、交流電圧を印加する電解マーキングを適用し得ることも示唆されていた。 そうすると、前記⑵ウで指摘したとおり、本件訂正発明1の課題が、そ の特許出願時において周知であった以上、乙2 タルマスクに、交流電圧を印加する電解マーキングを適用し得ることも示唆されていた。 そうすると、前記⑵ウで指摘したとおり、本件訂正発明1の課題が、そ の特許出願時において周知であった以上、乙26記載事項を乙12発明に適用する動機付けがあるということができるから、当業者は、本件訂正発明1を容易に想到し得たというべきである。 ウこれに対し、原告は、本件訂正発明1の出願当時、電解マーキング法には課題があったから、乙26記載事項を乙12発明に適用するには阻害要 因があったなどと主張する。 しかし、被告のいう乙26公報の課題⑴(皮膜の退色、離脱、溶出等の問題)は、最適な相性を有する電解液を採用するという一定の創意工夫や努力で解消が可能なものであり、課題⑶(滲みや掠れの問題)も、電解液量を適正に管理することで解決可能なものであり、いずれも設計事項にす ぎない。 また、乙26公報は、ドリルなどの曲面にマーキングをする際の問題点を解決するための発明に係る公開特許公報であるから、同公報に記載された課題⑵(精度の問題)及び課題⑷(解像度、明瞭性の問題)が、そのような際に生じる課題にすぎないことは容易に理解し得る。 実際、課題⑵を解決するには、当業者において、印加する電圧と電流密度及び通電時間を適正にする努力を要するが、被加工面が曲面である工具類とは異なり、メタルマスクは平板形状であり、制約条件が緩いから、何ら阻害要因となるものではない。このような理解は、プリント基板関連の技術常識を有するメタルマスク業界の当業者にとって、その技術常識に属 するものであり、原告のいうような後知恵ではない。 そもそも、乙26公報が問題とする課題⑵は、深さ又は厚みにおける精度であって、平面状のメタルマスクに形成される認識マークに 識に属 するものであり、原告のいうような後知恵ではない。 そもそも、乙26公報が問題とする課題⑵は、深さ又は厚みにおける精度であって、平面状のメタルマスクに形成される認識マークに妥当するものではない。これに位置精度が必要であることは確かであるが、マークが形成される部位の位置精度は、当該部位以外の表面を覆うレジスト膜のパターン精度によって決まり、そのパターン精度は、電解マーキング法によ る場合と電解メッキによる場合とで異なるところはない。 そして、課題⑷(解像度、明瞭性の問題)が、画数の多い漢字などを刻印する場合の問題であり、単純な黒丸である位置合わせ用マークを刻印する場合に問題となるものではないことも、当時の技術常識から明らかである。位置合わせ用マークの正確性は、メタルマスクの開口位置との関係で 決まり、明瞭性についても、メタルとドライフィルムを隙間なく密着することで確保し得るのであって、この点も阻害要因とならない。 なお、原告は、位置合わせ用の認識マークに電解マーキング法を採用すること自体が当業者にとって予期し得ないことであったとして、乙12発明に電解マーキング法を適用しようとすること自体が後知恵であると主張 するが、前記イによれば、その主張は失当である。 以上のとおり、乙12発明のアライメントマークの形成に関し、乙26記載事項による従来技術としての電解マーキング法を適用することについて、何ら阻害要因は存在しないから、当業者は、乙12発明に乙26記載事項を適用し、本件訂正発明1を容易に想到し得たといえる。 (原告の主張)⑴ 本件訂正発明1-1と乙12-1発明とは、以下の相違点Ⅰで相違し、本件訂正発明1-2と乙12-2発明とは、以下の相違点Ⅱで相違する。 (相違点Ⅰ)本件訂正発明 。 (原告の主張)⑴ 本件訂正発明1-1と乙12-1発明とは、以下の相違点Ⅰで相違し、本件訂正発明1-2と乙12-2発明とは、以下の相違点Ⅱで相違する。 (相違点Ⅰ)本件訂正発明1-1では、認識マークが交流電源による電解マーキングに よって刻印されているのに対し、乙12-1発明では、アライメントマーク として、エッチング法によって形成された凹部に電解めっきによって金めっき層が形成されている点(相違点Ⅱ)本件訂正発明1-2では、認識マークが交流電源による電解マーキングによって刻印されているのに対し、乙12-2発明では、アライメントマーク として、エッチング法によって形成された凹部に電解めっきによって金めっき層が形成されている点⑵ 被告は、乙12発明に乙26記載事項を適用すれば、本件訂正発明1に至ると主張するが、その動機付けは存在せず、むしろ阻害要因がある。 ア技術分野、作用及び機能の共通性について 乙12発明のアライメントマークは、位置合わせに用いられるから、画像処理を行うためのコントラストが必要であり、また、公差内に収める精度も必要になる。しかるに、乙26記載事項は、工具類に文字等を表示することを内容とするものであり、製品名やメーカー名等を表示するためのものにすぎない。そうすると、両者は、適用される製品が異なるとともに 作用及び機能をも異にするから、技術分野が関連するとはいえない。 これに対し、被告は、アライメントマークも「パターン」に含まれるとした上、自動化された製造・組立工程においては、部品や治工具の「パターン」もロボット上のカメラを通じ画像処理されるから、両者の作用及び機能が共通すると主張する。しかし、当該主張は、上記のとおり、両者が 異なるものであるにもかか おいては、部品や治工具の「パターン」もロボット上のカメラを通じ画像処理されるから、両者の作用及び機能が共通すると主張する。しかし、当該主張は、上記のとおり、両者が 異なるものであるにもかかわらず、これを「パターン」という広い概念で捉え直し、その共通性をいうにすぎず、無意味で失当である。 イ特許出願時の技術水準について乙12公報には、印刷用マスクのアライメントマークとして、エッチング法、レーザー加工法等で形成した凹部の内部に、化学蒸着法、電解めっ き法、無電解めっきなどで金属層を形成するという方法のみが開示されて いる(段落【0009】)。そうすると、本件特許1の出願当時において、位置合わせ用のマークを形成する上では、本件訂正発明1のような交流電源による電解マーキング法による方法とは異なり、あらかじめ形成した凹部に樹脂等の別の部材を付加する方法によって、必要な機能を確保することが前提となっていたということができる。 これに対し、被告は、電解マーキング法においても、凹部が形成されると主張する。しかし、交流電源による電解マーキングにおいて、金属イオンの溶出及び再溶出による凹みの発生と溶出した金属イオンの付着及び再付着による皮膜の形成とは同じ工程で行われるから、その凹みの発生部分を切り離して考えることはできない。他方、乙12発明は、凹部を形成す る工程が行われた後に、別途、当該凹部に別の部材を追加する工程を行うものである。したがって、両者の技術思想は異なるものであり、また、凹部の形成の有無は、実施的な相違点になるというべきである。 むしろ、乙26公報には、電解マーキング法が、⑴物理的及び化学的に安定した黒色皮膜を得ることが困難であり、皮膜の退色、離脱、溶出等の 問題があること、⑵高精度を要求する るというべきである。 むしろ、乙26公報には、電解マーキング法が、⑴物理的及び化学的に安定した黒色皮膜を得ることが困難であり、皮膜の退色、離脱、溶出等の 問題があること、⑵高精度を要求する工具類のマーキングには不適当であること、⑶電解液の補充の多少によって滲み、掠れが発生すること、⑷解像度に限界があり、明瞭さに欠けること、以上のような課題を有することが記載されている。そうすると、本件特許1の出願時において、電解マーキングによって、位置合わせ用のマークに必要な機能を確保できるという 認識は存在しなかったというべきである。 実際、被告提出の文献をみても、位置合わせ用のマークを形成する方法としては、あらかじめ凹部や貫通孔を形成する方法が記載されているものしか存在ず、電解マーキングに触れる部分は、それによって、位置合わせ用のマークを形成し得ることを示唆するものではない。 ウ阻害要因について 上記イのとおり、乙26公報には、電解マーキング法の問題として、課題⑴ないし⑷が記載されている。そして、印刷用マスクに形成されるアライメントマークにおいても、課題⑴にいう退色、離脱、溶出等は、これを採用する阻害要因となる。また、上記アのとおり、印刷用マスクに形成されるアライメントマークには、画像認識のためのコントラスト及び位置合 わせのための精度が必要であるから、課題⑵及び⑷も同様に阻害要因となる。そして、課題⑶が、印刷用マスクに形成されるアライメントマークに当てはまることも明らかである。他方、乙26公報には、電気めっきによる方法が採用されれば、これらの課題を解決し得ることが記載されているのであるから、電解めっきを採用する乙12発明の印刷用マスクに対し、 乙26公報の記載に基づき、あえて課題があると指摘されてい る方法が採用されれば、これらの課題を解決し得ることが記載されているのであるから、電解めっきを採用する乙12発明の印刷用マスクに対し、 乙26公報の記載に基づき、あえて課題があると指摘されている電解マーキング法を適用することには、明らかな阻害要因がある。 これに対し、被告は、これらの課題について、解決する方法があり、あるいは、重要な点ではないなどと主張する。しかし、前記イで主張したとおり、本件特許出願時において、位置合わせ用のマークを電解マーキング によってメタルマスクに形成すること自体が、当業者には予期し得なかったことであり、被告の当該主張は、単なる後知恵である。被告は、特に課題⑵について、ドリルは円形形状であるが、メタルマスクは平板形状であるという相違があるなどと指摘する。しかし、乙26公報は、被加工面が曲面であるとは記載されておらず、電解マーキング法そのものの課題を記 載したものである。また、被告は、認識マークの位置精度は、レジスト膜のパターン精度によって決まるとも主張するが、レジスト膜を用いることは、被告提出の証拠には記載されていない。これらの主張も、本件明細書等1に記載された内容に基づいた後知恵である。 以上のとおり、被告の主張を踏まえても、乙26公報に記載された当時 の電解マーキング法に対する認識の下において、これを乙12発明に適用 することには明らかな阻害要因があったというべきであり、乙26記載事項に基づき、当業者が相違点Ⅰ及びⅡを想到し得たとはいえない。 ⑶ したがって、乙12発明及び乙26記載事項に基づき、本件訂正発明1が進歩性欠如の無効事由を有するという被告の主張は失当である。 4 争点4(被告製品2に係る先使用の抗弁の成否)について (被告の主張)⑴ 被告のメタルマスク 事項に基づき、本件訂正発明1が進歩性欠如の無効事由を有するという被告の主張は失当である。 4 争点4(被告製品2に係る先使用の抗弁の成否)について (被告の主張)⑴ 被告のメタルマスクの製造方法(以下「乙7製造方法」という。)が、本件訂正発明2の工程と同一であることは、品番「M04-021-A0_Ball」のメタルマスク(以下「乙7マスク」という。)を受注した際に作成される製造指図書(乙5)及び工程チェックシート(乙6)、これらを補 足する工程フローメモ(乙7)の記載から明らかである。 ア構成要件2D’乙7には、「SUS:通常SUS」、「DFR」(ドライフィルムレジスト)、「LDI」(レーザーダイレクトイメージング、露光)及び「現像条件」とあるから、「SUS母材1上にレジストをラミネートし、所要 の露光、現像処理を行い」(本件明細書等2の段落【0015】)に相当する工程が記載されており、乙7製造方法が「SUS母材上に突起形成用のレジスト層を形成する工程」を備えていることが示されている。 イ構成要件2E乙7には、「ランド付きフタめっき工程」と「本めっき工程」の2段階 工程が記載されているから、乙7製造方法が、構成要件2Eの「SUS母材上にメッキすることにより、一次メッキ層を形成する工程」を備えることを示している。また、乙6及び乙7は、メッキの時間(「AH」)を指定するものであるが、構成要件2Eの「所定の高さ」には特段の限定が存在しないから、これも示されているといえる。 ウ構成要件2F 乙7には、「剥離」の工程として、「新アミン2時間」という記載があり、有機溶剤であるアミンにより、レジスト層を剥離する工程が記載されている。したがって、乙7製造方法は、構成要件2Fの「突起形成用 乙7には、「剥離」の工程として、「新アミン2時間」という記載があり、有機溶剤であるアミンにより、レジスト層を剥離する工程が記載されている。したがって、乙7製造方法は、構成要件2Fの「突起形成用のレジスト層を除去する工程」を備えている。 なお、乙6には、「一次メッキ」の行の「剥離槽」欄に「なし」と記載 されているが、これは製造作業者のミスを防ぐための措置である。 すなわち、上記「剥離」の工程には、乙6の「前処理」の行にあるとおり、「LDIマーク」、「外形線」、「テープ止め後」、「剥離」という手順が必須である。しかし、乙6の書式上、この手順を「一次メッキ」の行には記載し得ない。そのため、製造作業者が、「一次メッキ」の後、こ れらの手順を経ないまま、同じ行の「剥離槽」の工程に移るというミスを避けるため、「剥離槽」欄には、敢えて「なし」と記載し、「前処理」の行に「剥離」の手順を記載しているのである。 他方、「露光・現像」の行で形成したレジスト層を「一次メッキ」の行の前の「前処理」の行で剥離することは無意味である。乙7の上記記載と 併せ読めば、乙6の「前処理」の行にある「剥離」の記載が、「一次メッキ」をした後に「剥離」することを意味することは明らかである。 エ構成要件2G乙7には、「本めっき工程」の「パターニング」の段階において、「フタめっきを剥がしラミネート」との記載がある。乙7における「フタめっ き」とは、「ランド付きフタめっき工程」という用法からも明らかなとおり、最初に形成される一次メッキを意味する。したがって、乙7製造方法は、構成要件2Gの「突起以外の一次メッキ層を取り除き、SUS母材上に一次メッキ層による突起を残す工程」を備えている。 オ構成要件2H 乙7には、「本めっき工程」に「パタ 、乙7製造方法は、構成要件2Gの「突起以外の一次メッキ層を取り除き、SUS母材上に一次メッキ層による突起を残す工程」を備えている。 オ構成要件2H 乙7には、「本めっき工程」に「パターニング」との記載があるが、こ れはドライフィルムを焼き付けて、開口部や回路の配列を定めることを意味するから、乙7製造方法は、構成要件2Hの「複数の開口部形成用のレジスト層を形成する工程」を備えている。 そして、このような「開口部形成用のレジスト層」は、導電性ボールが挿通される開口部の前提となるものであり、導電性ボールは、突起により 支持されるメタルマスクの中間に挿通されるのが通常であるから、乙6及び乙7と一体管理されている製品仕様書(乙8)に記載されるとおり、その「レジスト層」は、「SUS母材上」の「突起間」に形成される。 カ構成要件2I乙7には、「本めっき工程」として、「フタめっきを剥がし」た後、レ ジスト層を「ラミネート」し、「めっき」することの記載がある。この記載は、工程全体との関係において、「フタめっき」を剥がした後の一次メッキ層の上に更に「二次メッキ」をすること、すなわち、残存した一次メッキ層により形成された突起に二次メッキ層を積層させることを意味するものと理解するのが自然である。そうすると、乙7には、「一次メッキ層 による突起上にメッキすることにより、二次メッキ層を形成する工程」が開示されているといえる。なお、「フタめっき」とは、被告独自の用語であるが、被告は、SUS母材に「フタ」をするように一次メッキが施されることから、このように呼称しているものである。 そして、乙7には、その二次メッキの「指定の厚さ」に相当するメッキ 条件も記載されているから、乙7製造方法は、「マスク本体が指定の厚さと されることから、このように呼称しているものである。 そして、乙7には、その二次メッキの「指定の厚さ」に相当するメッキ 条件も記載されているから、乙7製造方法は、「マスク本体が指定の厚さとなるようにSUS母材上及び突起上にメッキすることにより、二次メッキ層を形成する工程」を備えているといえる。 キ構成要件2J乙7には、2段階目の「本めっき工程」について、「剥離:●(省略) ●」とあり、これはレジスト層の除去工程を意味するから、乙7製造方法 は、「二次メッキ層の形成が終わったら、複数の開口部形成用のレジスト層を除去する工程」を備えている。 ク構成要件2Kメタルマスクについて、SUS母材が残存したままでは、開口部が適切な位置に形成されているか等の確認・検査ができない。したがって、乙7 製造方法は、「SUS母材から一次メッキ層及び二次メッキ層からなる突起とマスク本体のメッキ層を剥離する工程」を当然に備えている。 ⑵ また、乙7製造方法で製造された品番●(省略)●(乙9)のメタルマスク(以下「乙9マスク」という。)が、本件訂正発明2に係る工程で製造されるメタルマスクに該当することは、乙9マスクに係る不具合品解析結果報 告書(乙9)及び製造チェックシート(乙10)の記載から明らかである。 ア構成要件2A乙10には、「一次メッキ」、「二次メッキ」という記載があり、乙9には、「振り込まれた導電性ボールが挿通する複数の開口部」の形状を示す写真が掲載されている。したがって、乙9及び乙10には、「メッキに より形成され、振り込まれた導電性ボールが挿通する複数の開口部が形成されたマスク本体」という構成が開示されている。 イ構成要件2B’乙9には、「導電性ボールが振り込まれる側ではなく基板の電極と より形成され、振り込まれた導電性ボールが挿通する複数の開口部が形成されたマスク本体」という構成が開示されている。 イ構成要件2B’乙9には、「導電性ボールが振り込まれる側ではなく基板の電極と対向する側となるマスク本体裏面の開口部以外に部分的に突出され」た突起を 示す写真(以下「乙9写真」という。)が記載されている。乙7製造方法を使用したマスクは、メッキが施されているから、そして、これらの突起が、「メッキにより形成され」ていることも明らかである。 ウ構成要件2C乙9には、先端部に「周縁エッジ部が丸味を持ったR形状」を備えた突 起を示す乙9写真が掲載されている。したがって、乙9には、乙7製造方 法を使用したメタルマスクとして、「突起の先端部は、その周縁エッジ部が丸味を持ったR形状に形成されており、布拭き取り時の引っ掛かりを防止する配列用マスク」が開示されている。 なお、そもそも、本件明細書等2の段落【0015】によれば、突起がR形状となるのは、専ら一次メッキ層の上から二次メッキ層を施すことに よるものであるはずである。そうすると、前記⑴の乙7マスクの製造工程によって、一次メッキ層の上から二次メッキ層を施せば、必然的に乙9の写真のようなR形状のポストが完成することになる。 ⑶ そして、被告は、平成26年3月21日(乙7)までには、既に乙7製造方法を使用し、同月31日(乙11)までには、これを使用したマスクを完 成していた。そうすると、上記⑴及び⑵のとおり、乙7製造方法が本件訂正発明2と同一である以上、被告は、本件特許2の出願日である平成27年6月8日以前に、本件訂正発明2の内容を知らず、乙7製造方法を使用し、乙7製造方法を使用したメタルマスクを製造する事業を実施していたことになる。したがって、被 は、本件特許2の出願日である平成27年6月8日以前に、本件訂正発明2の内容を知らず、乙7製造方法を使用し、乙7製造方法を使用したメタルマスクを製造する事業を実施していたことになる。したがって、被告方法は、乙7製造方法と一致する以上、被告は、被告 方法に係る発明の先使用権を有する。 ⑷ これに対し、原告は、乙5及び乙6が、乙7製造方法に係る資料であることを争い、乙7が、乙5及び乙6の附属資料であることを争うが、以下のとおり、いずれも失当である。 ア原告は、乙5に「段堀り/総厚」との記載があることから、乙5及び乙 6が、乙7製造方法とは異なる「エリア抜き形状」に係るメタルマスクの製造工程を記載したものであると主張する。 しかし、「段堀り」とは、エッチングの工程があることを前提に、はんだペースト印刷用メタルマスクに用いられる表現である。これに対し、乙5は、少なくとも、「ハーフエッチング」を「無し」とし、品番に「Ba ll」を含むボール搭載用メタルマスクの製造工程に係る資料なのである から、いずれせよ、「段堀り」とは無関係な製品である。 それにもかかわらず、乙5に「段堀り」とあるのは、従前の書式が流用されたからにすぎず、「段堀り/総厚」の欄に「75/40」と記入することで、一次メッキ層と二次メッキ層の厚さの合計と二次メッキ層の厚さが指示される。このことは、前者の数字が、「メタル厚」の欄に記入され た「75㎛」の数字と一致することからも明らかである。 イ原告は、乙7が、被告の従業員が作成したメモにすぎないとして、これが乙5及び乙6の附属資料であることを争う。 しかし、乙7は、統一書式を使用した乙6の各欄に記入することができない詳細な工程等を明らかにしたものであり、そのような資料が存在する ことに不 れが乙5及び乙6の附属資料であることを争う。 しかし、乙7は、統一書式を使用した乙6の各欄に記入することができない詳細な工程等を明らかにしたものであり、そのような資料が存在する ことに不審点はない。乙7が、乙6を補充するための附属資料であることは、両者の作成日が近接し、これらがホッチキス止めで一体的に保管されていたことからも明らかである。(乙37)⑸ また、原告は、乙9の信用性を争い、乙9マスクが、乙7製造方法で製造されたとはいえず、また、乙7製造方法によって、R形状の突起が形成され るともいえないと主張するが、以下のとおり、いずれも失当である。 ア原告は、乙9が、乙9マスクの不具合の原因を調査した資料であり、その原因は「開口不良」であったとされるのに、乙9において、これと無関係な突起の形状が比較されていることに不審を示す。 しかし、被告は、当初、不具合の原因が不明であったことから、乙9マ スクの「総合的」な精査を実施した上、その結果の全てを乙9に記載したにすぎず、原告の示す不審は的外れである。 イ原告は、乙9写真が、R形状の突起を生成しない別の製造方法に係る別資料(甲15)にも掲載されていることを指摘し、乙9写真が、乙7製造方法に係る証拠となることを争う。 しかし、乙9写真は、当該資料において、「エリア抜き形状」によるメ タルマスクの形状との比較のために使用されているにすぎず、「エリア抜き形状」によるメタルマスクの製造工程に関するものではない。 ウ原告は、乙9マスクと乙7マスクとが異なる品番であると指摘する。しかし、品番は顧客の指示で付すものであり、例えば、「M」は、平成24年の開発依頼に係る製品であることを意味するにすぎない。 他方、乙9マスクと乙7マスクの製造チェックシート あると指摘する。しかし、品番は顧客の指示で付すものであり、例えば、「M」は、平成24年の開発依頼に係る製品であることを意味するにすぎない。 他方、乙9マスクと乙7マスクの製造チェックシートである乙6と乙10に記載された製造工程は同一である。そして、記載された「めっき槽」の管理番号は異なるが、メッキの種類に異なるところはない。 (原告の主張)⑴ 被告は、乙5ないし8の書類に記載された製造工程が、本件訂正発明2の 製造方法と同一であると主張する。しかし、これらの書類は、いずれも被告の社内資料にすぎない上、以下に指摘するとおり、被告による先使用の事実を客観的に明らかにするものとはいえない。 ア乙5には、「段堀り」との記載がある。しかし、「段堀り」とは、エッチングなどで段を作るという意味であり、二段メッキによる「エリア抜き 構造」や「ハーフエッチングにより段差の掘り込みを入れる構造」に使用される表現であって、本件訂正発明2のようなメタルマスクには使用されない表現である。したがって、乙7製造方法が、本件訂正発明2の製造方法と同一であるということはできない。 イまた、乙6をみても、「一次メッキ」の「剥離槽」欄には「なし」と記 入されているのに、「二次メッキ」の同欄には●(省略)●と記入されており、二次メッキの後、まとめてレジストを剥離することを特徴とする工程が採用されていることは明らかである。このような製造方法は、後述の甲15と同様に、二段メッキによる「エリア抜き構造」のメタルマスクを製造するものであり、本件訂正発明2の製造方法とは異なる。 ウこれに対し、被告は、乙6と一体的に保管されていたという乙7が、乙 6の記載を補完すると主張する。しかし、両者が、いつからホッチキス止めされていたのかな 2の製造方法とは異なる。 ウこれに対し、被告は、乙6と一体的に保管されていたという乙7が、乙 6の記載を補完すると主張する。しかし、両者が、いつからホッチキス止めされていたのかなど、その保管管理の実態は明らかとされておらず、本件特許2の出願時において、両者が一体の書類であったかどうかは不明である。上記イのとおり、乙7は、最初のメッキ後の「剥離」に係る記載を含み、乙6とは異なる工程を示すものであって、その付属書類といえるか 疑問である。 エそもそも、R形状のポスト(突起)を形成させることは、本件訂正発明2の大きな特徴とするところである。仮に、乙6の製造工程が、R形状のポストを形成させるメタルマスクに係るものであるとすれば、乙6において、そのための工程に係る記載が存在するはずである。しかるに、乙6に は、そのような記載は何ら存在せず、乙7の記載と一致しない。そうすると、両者は異なる工程を示すと考えるべきである。 オそして、乙7は、被告従業員の作成したメモにすぎず、被告も自認するとおり、「フタめっき」など、第三者に理解し得ない独自の言葉も使用されている。そのため、発明の構成が、具体的、客観的に構成されていると はいえず、当業者は、乙7を基に反復継続してメタルマスクを製造することはできない。まして、その記載時期も不明なのであるから、本件特許2の出願時において、その発明が完成していたとはいえない。 ⑵ 被告は、乙7製造方法によれば、乙9写真のようにR形状の突起が形成されると主張する。しかし、乙9は、被告の内部資料にすぎない上、以下のと おり、乙9写真が、乙7製造方法で製造されたメタルマスクに係る写真であるかどうかも疑問であることなどからすれば、当該主張も失当である。 ア乙9マスクの品番は●(省 料にすぎない上、以下のと おり、乙9写真が、乙7製造方法で製造されたメタルマスクに係る写真であるかどうかも疑問であることなどからすれば、当該主張も失当である。 ア乙9マスクの品番は●(省略)●であるのに対し、乙7マスクの品番は●(省略)●であるから、乙9マスクが、乙7製造方法で製造されたメタルマスクであるかは客観的に明らかであるとはいえない。 イ乙9マスクの製造工程とされる乙10は、乙7マスクの製造工程とされ る乙6と「めっき槽」の番号が異なり、両者が同一の製造工程であるかは明らかでない。また、単に一次メッキ及び二次メッキの工程があればR形状の突起が形成されるというものでもない。 ウ乙9マスクの不具合の原因は、「開口不良」にあるとされているのであるから、開口形状を分析すれば足り、突起形状を解析する意味はない。そ して、乙9写真は、乙9の「開口形状(3D観察)」欄に掲載されていることからすれば、これが事後に差し替えられた可能性がある。 エむしろ、乙9写真は、被告から開示された別の資料(甲15)にも掲載されているが、当該資料は、構成要件2Iを備えず、R形状の突起を形成しない製造方法に係るものである。そうすると、乙9マスクも、同様の製 造方法で製造されたと考えられ、これと乙9写真は整合しない。 ⑶ また、被告は、いずれにせよ、一次メッキ層の上に二次メッキ層を施せば、当然にR形状の突起が形成されるなどとも主張する。しかしながら、構成要件2G及び2Iによって、突起の先端はR形状になるのであり、一次メッキ層の上から二次メッキ層を施せば足りるということはない。実際、被告が乙 7マスクの製造方法に係る資料であるとする乙8の図面及び写真をみても、黒い点が記載されているにすぎず、それがポスト(突起)である から二次メッキ層を施せば足りるということはない。実際、被告が乙 7マスクの製造方法に係る資料であるとする乙8の図面及び写真をみても、黒い点が記載されているにすぎず、それがポスト(突起)であるかも不明である。 5 争点5(本件訂正発明2に係る進歩性欠如の有無)について(被告の主張) 本件訂正発明2は、以下のとおり、乙20公報に記載された発明に乙21公報ないし乙23公報に記載された発明を適用することにより、当業者が容易に想到し得たものであったから、進歩性欠如の無効事由を有する。 ⑴ 乙20公報に記載された発明及び相違点ア乙20公報には、以下の乙20発明(以下「乙20発明」という。)が 記載されている。 (乙20発明)20A 電鋳により形成され、振り込まれた導電性ボールが挿通する複数の開口部が形成されたマスク本体と、20B’電鋳により形成され、導電性ボールが振り込まれる側ではなく基板の電極と対向する側となる前記マスク本体裏面の前記開口部を含む部 位に形成された凹部と、前記凹部以外の部位に形成された凸部とを備え、20C 前記凹部の縁部は下方に向かった略円弧状に形成されており、20D’前記凹部の縁部の突出を抑えたボール配列用マスクの製造方法であって、20ESUS母型上に前記凸部形成用のレジスト層を形成する工程と、 20F 前記凸部が所定の高さとなるようにSUS母型上に電着することにより、1次電着層を形成する工程と、20G 1次電着層の形成が終わったら、前記凸部形成用のレジスト層を除去する工程と、20H 前記凸部以外の1次電着層を取り除き、SUS母型上に1次電着 層による凸部を残す工程と、20I 前記SUS母型上の前記凸部間に複数の開口部形成用のレジスト ト層を除去する工程と、20H 前記凸部以外の1次電着層を取り除き、SUS母型上に1次電着 層による凸部を残す工程と、20I 前記SUS母型上の前記凸部間に複数の開口部形成用のレジスト層を形成する工程と、20J 前記マスク本体が指定の厚さとなるようにSUS母型上及び前記凸部上に電着することにより、2次電着層を形成する工程と、 20K 2次電着層の形成が終わったら、前記複数の開口部形成用のレジスト層を除去する工程と、20L 前記SUS母型から、一体化した1次電着層と2次電着層を剥離する工程と、20M を備えたことを特徴とするボール配列用マスクの製造方法。 イ乙20発明と本件訂正発明2は、以下の相違点1及び2で相違するが、 その余は一致する。 (相違点1)構成要件2B’と構成要件20B’について、突起(凸部)がマスク本体裏面に互いに分離独立して形成されているか否かが明らかでない点(相違点2) 構成要件2C’は、「布拭き取り時の引っ掛かりを防止するボール配列用マスク」であるのに対し、構成要件20D’は、「凹部の縁部の突出を抑えたボール配列用マスク」である点ウこれに対し、原告は、相違点1について、乙20発明には、本件訂正発明2の「突起」が存在しない点でも相違すると主張する。 しかし、乙20発明は、複数回の「電気めっき」で「凹部」を形成するものである(乙20公報の段落【0002】や【0007】)。この技術は、1次電着層の上に2次電着層が形成された部分を凸部とし、1次電着層がなく2次電着層のみで形成された部分を凹部とするから、凹部があるのに、凸部が存在しないということはあり得ず、開口部を除けば、マスク 裏面は、凹部又は凸部のいずれかになる。 そして、本件明細書等 く2次電着層のみで形成された部分を凹部とするから、凹部があるのに、凸部が存在しないということはあり得ず、開口部を除けば、マスク 裏面は、凹部又は凸部のいずれかになる。 そして、本件明細書等2は、本件訂正発明2の「突起」が、「突条」であれば足りることを明記する(【0007】、【0016】)。この点につき、原告が、他の特許出願において、平面的な連続した枠状のリブ(突条)の存在を予定した開示をしていることからすれば(乙50)、乙20 発明における前記凸部が、凹部を囲う枠状のものであったとしても、これは本件訂正発明2の「突起」に相当し、実質的な相違点は存在しない。 また、原告は、乙20公報に、凸部に係る明示がないと主張する。しかし、技術常識を考慮すれば、例えば、その【図1】が、下図のように、マスク全体の一部分のみを示したものであることは明らかであり、実際のマ スクの多くは、複数の凹部と複数の凸部を備える。そのため、原告が指摘 する段落【0012】は一個の実施例にすぎず、凹凸の形状や数、配置パターンには様々な種類があり、それは単なる設計事項にすぎない。 ⑵ 相違点1の検討ア乙21公報の段落【0089】や【図2】には、マスク本体裏面に部分的に突出された突起部が形成され、これらの突起が互いに分離独立してい る発明(以下「乙21発明」という。)が開示されている。 そして、乙20発明と乙21発明は、いずれも、マスク及びマスクの製造方法に関する技術であり、被搭載体に導電性ボールを搭載する際に搭載不良の問題が発生するという課題を解決するため、被搭載体とマスクの間隔を確保するという作用や機能を有するものである点でも共通する。した がって、後者を前者に適用する動機付けがあり、当業者は、相違点1に係る構成に至るこ 課題を解決するため、被搭載体とマスクの間隔を確保するという作用や機能を有するものである点でも共通する。した がって、後者を前者に適用する動機付けがあり、当業者は、相違点1に係る構成に至ることを容易に想到したといえる。 なお、その具体的な適用方法としては、乙20公報の【図1】⒨において、①1次電着層と2次電着層の合計の厚さを有する部分の形状・構造について、これを2次電着層の厚さのみから成る部分と上記合計の厚さを有 する「突起」となる部分とを含むものに変更する方法と、②1次電着層と2次電着層の合計の厚さを有する部分の形状・構造は変更せず、凹部中央部の裏側の部分に、「突起」を新たに形成する方法がある。 【図1】 前記① 前記② この点について、原告は、上記②の方法に対し、凹部中央部にレジスト膜を加えることになり、電着層の厚みのばらつきを助長すると主張する。 しかし、メッキ槽における電流密度の粗密さは、マスク上に形成される絶縁物であるレジスト膜の配置形態により影響を受けるものであり、レジスト膜が形成される部位と形成されない部位との配置形態が平準化されてい ることこそが重要であるから、原告の当該指摘は失当である。 イ原告は、乙21公報に電着層による突起構造の記載がないことから、乙21発明を乙20発明に適用することは容易ではないと主張する。 しかし、相違点1の容易想到性の検討において、電着層の有無は無関係である。この点について、被告は、乙21発明の突起構造を乙20発明の 突起に置換することが可能であると主張しているにすぎず、その突起を形成する過程や突起の素材を問題としていない。前記アのとおり、乙20発明と乙21発明の技術分野や作用効果が共通する以上、当業者において、前者に後者を適用し、相違点1 主張しているにすぎず、その突起を形成する過程や突起の素材を問題としていない。前記アのとおり、乙20発明と乙21発明の技術分野や作用効果が共通する以上、当業者において、前者に後者を適用し、相違点1に至ることは容易であったというべきである。 ウ原告は、乙21発明を適用すると、マスクの厚みが低下し、耐久性の向上という乙20発明の目的に照らし、その阻害要因となると主張する。 しかし、乙20公報は、①凹部の厚み制御の容易性、②マスク全体の厚みの均一化、③作業の短縮化・効率化、④マスクの耐久性向上、⑤洗浄等の容易性という複数の課題を挙げた上(【0007】)、上記②を主たる 課題と記載するものである(【0004】)。他方、乙21発明の部分的に形成された突起を乙20発明に適用したとして、これらの課題は何ら阻害されないのであるから、その適用に阻害要因はない。 そもそも、乙20公報は、耐久性低下について、「従来技術は、…必要のない部分にもダミーパターンを形成しなければならないため、ダミーパ ターンがないマスクと比較すると第1の金属のみの部分が多くなってしまう。すると、・・・耐久性が低下するという問題があった。」(【0004】)と記載されている。すなわち、耐久性低下は、ダミーパターンを設ける場合の課題であり、これを設けない乙20発明の課題ではない。 また、印刷用マスクの場合、印刷スキージを用いて半田ペーストを開口 部へ充填するため、マスクに大きなストレスが掛かるため、その厚みに相当程度のものが要請される。これに対し、ボール搭載用マスクの場合、単にブラシ等を用いて半田ボールを開口部へ重力により挿入するにすぎないため、これに掛かるストレスは極めて小さく、マスク本体の厚さが薄いことによる寿命低下は問題視されない。この点か 載用マスクの場合、単にブラシ等を用いて半田ボールを開口部へ重力により挿入するにすぎないため、これに掛かるストレスは極めて小さく、マスク本体の厚さが薄いことによる寿命低下は問題視されない。この点からも、ボール搭載用マスク としての乙20発明に対し、原告指摘の点は阻害要因とならない。 もとより、マスク本体に厚みがある方が、相対的な耐久性は高いことは確かである。しかし他方で、乙21発明のような分離独立した突起である方が、基盤に対する追随性が高いという有利な点があることも公知であった(乙51)。そのため、当業者は、追随性の向上という利点を享受する ため、分離独立した突起を採用し、耐久性の低下に対しては、突起の数を増やすことなどで対応することも可能であったのであり、耐久性の低下という問題点があるからといって、突起形状の採用を諦めることはない。 ⑶ 相違点2の検討アそもそも、構成要件2C’のうち、「布拭き取り時の引っ掛かりを防止 する」という部分は、本件訂正発明2の構成を何ら限定するものではないから、相違点2は、実質的な相違点に当たらない。 仮に、これが実質的な相違点になるとしても、乙22公報には、布が配列マスクの突起部に引っ掛かることを防止するため、突起部をR状とする発明(以下「乙22発明」という。)が開示されており、乙23公報にも 同様の発明(以下「乙23発明」という。)が開示されている。これらの 発明は、配列用マスクに関する技術であり、乙20発明と技術分野を同一にし、いずれも突起部を洗浄する際の作用効果に関するものである。したがって、乙22発明又は乙23発明の構成を乙20発明に適用し、相違点2に係る構成に至ることは、当業者に容易であった。 イこれに対し、原告は、乙22公報や乙23公報に電着層の記載 るものである。したがって、乙22発明又は乙23発明の構成を乙20発明に適用し、相違点2に係る構成に至ることは、当業者に容易であった。 イこれに対し、原告は、乙22公報や乙23公報に電着層の記載がないこ とから、これらを乙20発明に適用することは容易であるとはいえず、また、耐久性の向上という目的との関係で阻害要因があると主張する。 しかし、前者については、その容易想到性を否定する理由とならず、また、後者についても、乙20発明の主たる課題を阻害するものではなく、適用の阻害要因とならないことは、上記⑵と同様である。 ウまた、原告は、乙20発明には布などの引っ掛かりが生じるという課題が存在せず、乙22発明や乙23発明を適用する動機付けがないと主張する。 しかし、マスクの凹部や凸部のパターンは種々あり、例えば、T字型のように凹部の縁部の輪郭が内側に窪む形であることもある。そして、乙2 0公報の【図2】には、凹部の縁部に突出部が形成されることが示されているのであるから、原告主張の実施態様を前提にしても、布などの引っ掛かりという問題は生じる。そうすると、凹部の縁部に凸部が形成される以上、これに布などが引っ掛かるという課題は容易に想定可能である。 (原告の主張) ⑴ 相違点の認定についてア被告は、乙20発明が「凸部」を備えることを前提に、相違点1を認定するが、乙20公報には、そのような記載は存在せず、「凹部が形成されたマスク」(【0002】)が開示されるのみである。 むしろ、段落【0004】が、マスクの耐久性向上を課題として挙げる ことからすれば、乙20公報が開示する発明は、開口部周辺にだけ凹部が 形成され、凹部を除く部分には、優れた耐久性を確保するため、一律に安定した厚みが与えられたマスクを 課題として挙げる ことからすれば、乙20公報が開示する発明は、開口部周辺にだけ凹部が 形成され、凹部を除く部分には、優れた耐久性を確保するため、一律に安定した厚みが与えられたマスクを製造するための方法であり、被告が主張するような「凸部」の存在は想定されていないというべきである。 この点につき、被告の主張は、凹部ではないところは全て凸部であるというものと理解される。しかし、凸部(突起)とは、周囲より部分的に高 く突き出たところをいい、凹部とは、周囲よりも部分的に低くなったところをいう。このような一般常識に照らせば、乙20発明は、被告のいう「凸部」を基準面として、部分的に凹部を形成するものと理解するのが相当である。 また、被告は、乙20公報の【図1】を加工し、「凸部」があると説明 するが、凹部に「輪郭」(【0012】)があることも考慮すれば、被告のいう「凸部」が、マスクの大部分を占めているはずである。そのため、被告の加工した図を平面視すれば、例えば、次頁の図のようになると考えられ、これに「凸部」があるというのは、技術常識・言葉の用法から外れる。 さらに、被告は、同図のような枠状のものも、「突条」に当たるから、「突起」に当たるなどと主張する。しかし、「条」とは、「すじ。すじ状のもの」を意味するのであるから、「突条」が、筋状の突起を意味することは明らかであり、本件明細書等2においても、これが枠状のものを指すような記載はない。したがって、この点に係る被告の主張も失当である。 むしろ、本件訂正発明2の「突起」は、分離独立しているため、水平方向の張力に対し、それぞれ別個に変位し、もって、本体の撓みや弛みを防止する効果を有するのに対し、上記の図において、開口部を取り囲む一様な厚さの部分は、 明2の「突起」は、分離独立しているため、水平方向の張力に対し、それぞれ別個に変位し、もって、本体の撓みや弛みを防止する効果を有するのに対し、上記の図において、開口部を取り囲む一様な厚さの部分は、そのような効果を有しないのであるから、作用効果とい う観点からも、これを「突起」ということはできない。 イなお、被告は、乙20発明の「略円弧状」(構成要件20C)と本件訂正発明2の「周縁エッジ部が丸味を持ったR形状」(構成要件2C’)との相違点2が、実質的な相違点に当たらないとも主張する。 しかし、乙20公報に記載されたマスクは、上記アのとおり、突起部を 備えていないから、その凹部の縁部における布やスポンジなどの引っ掛かりは、それほど生じるものではない。したがって、これを「略円弧状」としたとして、「周縁エッジ部が丸味を持ったR形状」と同等の解決を与えるものではないから、相違点2は実質的な相違点である。 ⑵ 相違点1の容易想到性について アまた、乙21公報には、1次電着層に2次電着層を重ねた突起構造について、開示や示唆は一切されていない。 他方、物の製造方法は、製造すべき構造から遡って工程設計されるもの であり、製造すべき構造に想到していない段階で、その想到していない構造を製造するための製造方法が設計されることはない。したがって、乙21公報に記載された構造を乙20公報に記載された製造方法に適用することが、当業者にとって容易であるはずはない。 イ乙20公報に記載されたマスクは、安定した厚みを得て、耐久性を高め ることを目的とするものである(【0004】、【0007】)。 しかるに、乙20公報に記載されたマスクに乙21公報に記載された突起群を当てはめると、元のマスクの大部分が薄くなり、耐久性が低下することは とを目的とするものである(【0004】、【0007】)。 しかるに、乙20公報に記載されたマスクに乙21公報に記載された突起群を当てはめると、元のマスクの大部分が薄くなり、耐久性が低下することは明らかである。したがって、乙21公報に記載された構造を乙20公報に記載された構造に適用することは、乙20公報に記載された発明の 技術思想に反し、その阻害要因となるというべきである。 これに対し、被告は、ダミーパターンを形成しなければ、耐久性の低下という課題は生じないと主張する。しかし、ダミーパターンのあるマスクを複数の突起に置き換えた場合を想定すれば、更に金属膜の薄い部分が多くなるから、元のダミーパターンのあるマスクに比してさえ、耐久性が低 下することは明らかであり、被告の当該主張は失当である。 また、被告は、耐久性の低下は、乙20公報における主たる課題ではないと主張する。しかし、被告が根拠とする段落【0004】は、耐久性の低下を含む課題を「解決しつつ」、厚みの均一化という課題を解決しようというものである。この場合にいう「つつ」は、動作作用を同時並行する ことを意味する言葉であり、その前後の課題に優劣はないというべきである。 さらに、被告は、ボール搭載用マスクは、大きなストレスを受けないから、マスク本体の厚さが薄いことによる寿命低下は問題視されていないなどと主張する。しかし、ボール搭載用マスクは、常に変形防止のために張力が掛けられているものであり、洗浄時の水圧等のストレスもあるのであるから、被告の当該主張は、全くもって考慮に値しない。 ウ被告は、乙20公報に記載されたマスクの「凹部中央部」に、新たに突起を形成するという方法もあると主張する。 しかし、乙20発明は、開口部を取り囲むように、板厚の安定した一 慮に値しない。 ウ被告は、乙20公報に記載されたマスクの「凹部中央部」に、新たに突起を形成するという方法もあると主張する。 しかし、乙20発明は、開口部を取り囲むように、板厚の安定した一様な厚さの肉厚の部分を設けることで、マスク本体裏面へのフラックス等の付着を防ぐものであり、その内側である「凹部中央部」に、同じくフラッ クス等の付着を防止する手段である突起を設けるべき理由は存在せず、乙20公報を見ても、そのような示唆は全く存在しない。 むしろ、新たに「凹部中央部」に突起を形成するため、絶縁物であるレジスト膜を加える行為は、電流密度の粗密に起因する電着層の厚みのばらつきを助長するものであり、乙20発明が、そのような事態を抑制する効 果を有するものとされていることからすると(乙20公報の段落【0012】)、あえて上記の方法を採用するには阻害要因がある。 なお、このような形で突起を形成したとしても、開口部を取り囲む肉厚の部分がその張力に抵抗するため、当該突起は、水平方向の張力に対し、本体の撓みや弛みを防止する効果を有しない。したがって、本件訂正発明 2の「突起」の作用効果は生じず、これと同一の「突起」であるとはいえないから、いずれにせよ相違点1は解消されない。 ⑶ 相違点2の容易想到性についてア乙22公報や乙23公報にも電着層に係る記載は存在せず、これらを乙20発明に適用することは容易であるとはいえず、また、耐久性の向上と いう目的との関係で阻害要因があることは、相違点1と同様である。 イまた、乙20公報には、凸部の引っ掛かりを防止するという動機は開示されていないから、これに乙22公報や乙23公報に記載された解決手段を適用するという動機付けも存在しない。 すなわち、突起の場合、その縁部 乙20公報には、凸部の引っ掛かりを防止するという動機は開示されていないから、これに乙22公報や乙23公報に記載された解決手段を適用するという動機付けも存在しない。 すなわち、突起の場合、その縁部は突起の外側を向くのに対し、凹部の場合、その縁部は凹部の内側を向くことから、マスクの裏面を布で拭いた ような場合、突起の縁部は布の方向に対して直角から鋭角をなすのに対し、凹部の縁部は布の方向に対して直角から鈍角をなす。そのため、当業者であれは、このような立体的な形状の違いにより、乙20公報の凹部の縁部は、乙22公報や乙23公報の突起の縁部に比し、通常、それほどの引っ掛かりを生じさせないことを容易に理解するからである。 6 争点6(本件訂正発明1に係る原告の損害の額)について(原告の主張)⑴ 被告製品1の売上高ア被告の年間売上金額は少なくとも15億円であり、そのうちメタルマスク製造が占める割合は70%であるから(甲11)、被告が製造販売する メタルマスクの年間売上金額は、10億5000万円である。 そして、上記売上金額のうち、被告製品1の占める割合は、競業関係にある原告と同様であると考えられるから、原告における電解マーキングの使用割合である35%を下らないと推測される。 したがって、被告製品1の売上高は、平成20年10月1日から令和2 年8月31日(現在)まで、合計43億7913万円(=10.5億円×0.35×11年11か月)を下らない。 イこれに対し、被告は、乙78を提出し、被告製品1の売上高が合計5億2092万1204円にすぎないと主張する。 しかし、樹脂埋めによる認識マークの脱落が頻繁に生じることは、当業 者に共通する問題であった。そのような状況下、被告は、遅くとも平成2 3年1月に 2万1204円にすぎないと主張する。 しかし、樹脂埋めによる認識マークの脱落が頻繁に生じることは、当業 者に共通する問題であった。そのような状況下、被告は、遅くとも平成2 3年1月には、これを電解認識マークに切り替えることを相応に進めていたと考えられるが、そうであるとすれば、被告提出資料から集計される電解認識マーク製品の割合は過少というべきである。 また、被告は、平成30年12月17日、メタルマスクの認識マークについて、電解マーキングの採用を停止し、●(省略)●による処理を採用 したと主張し、それを前提とする集計をするが、その根拠とされる乙73は、作業手順書にすぎず、乙74も、被告の社内資料にすぎないのであるから、客観的な立証がされているとはいえない。 ウ被告は、乙75において、●(省略)●に対する3年間の受注数が、●(省略)●にすぎなかったと集計する。 しかし、●(省略)●のボール搭載マスク(植球鋼板)の発注量は、平成29年に約750版であり、平成30年には1200版を超える規模であり(甲25)、被告は、平成28年に他社の半額程度の価格で新規参入し、その発注の大部分を引き受けるようになった。そして、●(省略)●は、その発注に電解処理による認識マークを採用しており、これを途中で 変更する理由もないのであるから、被告の受注は全て損害の算定対象となる。 なお、被告提出の乙79には、その品番からして、Fluxマスクであるものを「PKG」と誤記されているものがあり、また、乙75及び乙78には、Fluxマスクに係る受注数が全く申告されていないと考えられ る部分がある。したがって、被告提出資料の数字を信用することはできない。 エ被告は、乙75において、●(省略)●との間の取引記録はなかったと整理 る受注数が全く申告されていないと考えられ る部分がある。したがって、被告提出資料の数字を信用することはできない。 エ被告は、乙75において、●(省略)●との間の取引記録はなかったと整理する。 しかし、被告は、平成30年1月まで、●(省略)●に対し、Flux マスクを独占供給していたはずである。実際、原告の子会社の営業担当者 は、平成27年2月、●(省略)●において、被告製のFluxマスクを撮影する機会を得たが(甲26)、その際の記憶によれば、当該Fluxマスクには黒色の認識マークがあったということである。 オ被告は、乙78において、●(省略)●との間の取引が、●(省略)●にすぎなかったと集計する。 しかし、被告は、平成28年に原告に取って代わられるまで、シ社と長期間の取引関係があり、原告とシ社との取引実績からして、月に20版程度の受注はあったはずである。これに対し、被告は、●(省略)●との取引では色を付けないハーフエッチングの方式が採用されていた旨の資料(乙104)を提出するが、●(省略)●のマスクは、表面がくすんだ灰 色である無光沢メッキであるため、そのような方式では認識マークの読み取りが困難であり、信用し難い。実際、●(省略)●のようなマスクにおいて、色を付けないハーフエッチングの方式を採用する企業は存在しない。 カ被告は、乙75において、●(省略)●との取引が●(省略)●であったと集計する。 しかし、原告の子会社が、●(省略)●から入手した●(省略)●におけるBallマスク及びFluxマスクの発注実績の情報によれば(甲27)、●(省略)●は、平成29年及び平成30年の2年間のみでも、被告外1社に対し、合計820版ものFluxマスクを発注していたと推計される。その他の事情も併 xマスクの発注実績の情報によれば(甲27)、●(省略)●は、平成29年及び平成30年の2年間のみでも、被告外1社に対し、合計820版ものFluxマスクを発注していたと推計される。その他の事情も併せ考えると、被告提出資料の数字を信用するこ とはできない。 ⑵ 相当実施料率ア本件訂正発明1に関する実施許諾契約は存在しないが、株式会社帝国データバンクが作成した特許庁の調査報告書において、「精密機器」の分野における特許のロイヤルティ率は、平均3.5%(最大値9.5%、最低 値0.5%)であること、また、「その他」の分野における司法決定のロ イヤルティ料率は平均7.3%(最大値12.0%、最小値3.0%)であることが報告されている。(甲22)また、原告は、本件訂正発明1と同一の技術分野において、その発明の名称を「導電性ボール配列用マスク及びその製造方法」とする特許について、製品の販売先を限定した上、実施料率を10%とする裁判外の和解を したことがあり(甲23)、その発明の名称を「クリーム半田用メタルマスクおよびスクリーン印刷用スキージ技術」とする特許について、実施料率を20%とする合意をしたことがある。 イ本件訂正発明1は、認識マークの脱落を確実に防止するとともに、箔物に対しても容易に認識マークを形成することができるという顕著な作用効 果を有し、廃液に係る環境負荷も低減する。従来技術であれば、凹部を形成し、樹脂等を充填して乾燥させる複数の工程が必要であった上、微細メタルマスクの大半は、このような方法の適用が困難な箔物であった。したがって、本件訂正発明1は代替性のない技術である。 これに対し、原告は、エッチングによる処理によっても、樹脂の脱落を 防止し得ると主張するが、そうであるとしても、現実に 難な箔物であった。したがって、本件訂正発明1は代替性のない技術である。 これに対し、原告は、エッチングによる処理によっても、樹脂の脱落を 防止し得ると主張するが、そうであるとしても、現実には市場に普及していない技術である。また、乙12、14ないし19の方法は、これを箔物マスクに適用することには困難がある。実際、被告の主張によれば、被告自身、本件訴訟が提起された後、これらの代替技術を採用せず、「エッチングペン」という別個の処理方法を採用している。 また、被告は、貫通認識マーク(樹脂埋め)の方式が、代替手段になり得るかのようにも主張する。しかし、被告提出の乙99によっても、当該方式に対応する「貫通+黒」の売上金額及び売上比率は全体の●(省略)●であり、しかも、箔物マスクが使用される「PKG」、「Flux」の売上げは皆無である。そして、電解マーキング法の売上割合が●(省略) ●であることからしても、代替手段になり得ないことは明らかである。 なお、本件訂正発明1が既知であったとする被告の主張は、先使用の抗弁及び進歩性欠如による無効の抗弁の繰り返しであり、時機に後れた攻撃防御方法として却下されるべきである。 ウ本件訂正発明1がなければ、被告は、高価格帯の箔物メタルマスクの製造販売による売上げの恩恵を得られなかった。また、本件訂正発明1の技 術は、認識マークの脱落を確実に防止できる効果を有するため、顧客の購入動機に大いに影響を与えるものであり、さらに、複雑な工程を必要としないため、原告や被告のようなメタルマスクの製造販売業者の売上高及び利益に大いに貢献するものであるといえる。 実際、原告の台湾における売上高は、本件訂正発明1を出願し、その実 施を始めた平成19年に前年比2倍となり、翌年には前々年比 製造販売業者の売上高及び利益に大いに貢献するものであるといえる。 実際、原告の台湾における売上高は、本件訂正発明1を出願し、その実 施を始めた平成19年に前年比2倍となり、翌年には前々年比3倍に達した。また、台湾市場の箔物マスク市場は、平成18年当時、原告の外に2社が競合していたが、リーマンショック後、これらの2社はシェアの大部分を失い、当該市場においては、本件訂正発明1を実施する原告の外、本件訂正発明1を実施し、新た参入した被告のみが残っている。 これに対し、被告は、被告において本件訂正発明1以外の要素も営業上の利点としていたと主張する。しかし、仮に、被告のメタルマスクの性能が高かったとして、被告が、本件訂正発明1によって、認識マークを施すことができなければ、顧客は、印刷マスクを設備に装着して被印刷物の位置合わせをすることができず、これを生産に使用することができないので あるから、この点は結論を左右するものではない。 エ原告と被告は、いずれもメタルマスクの製造販売業者であり、競業関係にあるところ、被告製品1の製造販売は、原告の差別化戦略を無にして顧客を奪う行為である。また、メタルマスクは受注生産品であるため、侵害品の販売等の事実を発見することが相対的に困難である。そして、本件の ように発見された場合でも事後的に低額の実施料相当額を支払えば済むこ とになれば、被告の違法行為に対するインセンティブを与えるに等しい。 オ以上のとおり、①本件訂正発明1と同じ分野において、実施料率を20%とした事例があること、②本件訂正発明1は、重要で代替性のない技術であり、③その実施は、被告製品の売上げ及び利益に大いに貢献するものであること、④原告と被告は競業関係にあり、被告の違法行為に対する インセンティブ 、②本件訂正発明1は、重要で代替性のない技術であり、③その実施は、被告製品の売上げ及び利益に大いに貢献するものであること、④原告と被告は競業関係にあり、被告の違法行為に対する インセンティブを与えるべきではないこと、特許法102条4項の新設規定の趣旨などを考慮すれば、実施料率は、20%とするのが相当である。 ⑶ 消滅時効の抗弁についてこれに対し、被告は、原告が、平成22年7月6日の時点において、被告製品1の存在及び被告製品1が本件訂正発明1の技術的範囲に属することを 知っていたとし、消滅時効の抗弁を主張する。 しかし、原告が指摘する資料は、原告の担当取締役が、顧客の担当者から競合会社である被告の状況を耳にしたという程度のものにすぎない。同取締役は、平成22年7月6日頃の時点では、被告の方式は、「樹脂を埋めている」(甲3)ものであると推測されており、平成23年2月25日頃に至っ ても、新しい方式に切り替えたという情報は得たものの、「どのようにやっているのか確認が必要」(甲4)という段階であった。 そして、被告製品1は、市場から製品を入手した上で分析することができないため、原告は、平成30年6月14日付けの実験結果報告書(甲5)を得るまで、被告製品1が本件特許1を侵害していることを認識していたわけ ではない。したがって、被告の消滅時効の抗弁は失当であり、原告の損害賠償請求権の消滅時効は完成していない。 ⑷ 原告に生じた損害の額アそうすると、本件訂正発明1について、原告に生じた損害は、前記⑴の売上高43億7913万円に同⑵の実施料率20%を乗じた8億7582 万6000円(特許法102条3項)に、弁護士費用相当損害額8700 万円を加えた9億6282万6000円となる。したがって、被告は、民 万円に同⑵の実施料率20%を乗じた8億7582 万6000円(特許法102条3項)に、弁護士費用相当損害額8700 万円を加えた9億6282万6000円となる。したがって、被告は、民法709条に基づき、原告に対し、この損害を賠償する義務を負う。 イ仮に、消滅時効の抗弁が成立するとしても、被告は、被告製品1が本件特許発明1の技術的範囲に属していることを知りながら、実施料の支払を免れ、原告に損失を及ぼしたのであるから、不当利得の返還として、民法 703条、704条に基づき、原告に対し、少なくとも1億5166万円の実施料相当額を返還する必要がある。 (被告の主張)⑴ 被告製品1の売上高ア被告製品1の売上高は、平成23年1月31日から平成31年2月28 日まで、5億2092万1204円である。(乙78)この金額は、被告の生産管理システム上の売上げのうち、「認識マーク区分」が、電解マーキングを意味する「B方式」又は電解マーキング若しくは樹脂埋めを意味する「黒」であるもの及び「備考欄指示」の記載があるものを抽出集計したものである。 ただし、被告は、平成30年12月17日、メタルマスクの認識マークについて、電解マーキングの採用を停止し、新たに●(省略)●による処理を採用した(乙73、74)。そのため、上記抽出集計における最終受注日は、平成31年2月28日となっている(乙79)。 イ原告は、甲25に記載された●(省略)●の発注実績を基に、乙75に 集計した●(省略)●に対するFluxマスクの版数が過少であると主張する。 しかし、甲25記載の「植球鋼板」は、●(省略)●において、FluxマスクとMicroBallマスクの両方を含む言葉であり(乙101)、原告の主張は、その誤った読み方に基づくも あると主張する。 しかし、甲25記載の「植球鋼板」は、●(省略)●において、FluxマスクとMicroBallマスクの両方を含む言葉であり(乙101)、原告の主張は、その誤った読み方に基づくものにすぎない。また、 被告が、他社の半額程度の価格で新規参入したという情報は虚偽であり、 顧客が、電解マーキングを採用した以上、これを中途で変更しないというのも事実に反する(乙103、108)。したがって、原告の当該主張は失当である。 なお、原告は、乙59に誤記があるなどとして、被告提出資料の正確性を論難するが、被告における製品分類を正解しないものであり、被告によ る製品の抽出集計の結果は正当である。 ウ原告は、被告が●(省略)●に納入したマスクに黒色の認識マーク(甲26)があることを根拠に、●(省略)●に対する売上げの存在を主張する。 しかし、甲26の認識マークは、本件特許1の技術的範囲に属さず、ま た、本件訴訟の対象から除かれた「エリアブラック工法」で形成されたものであるから、原告の主張は失当である。 エ原告は、原告と●(省略)●との間の取引実績を根拠に、乙78における●(省略)●に対する売上げが過少であると主張する。 しかし、被告が●(省略)●に納入するマスクは、電解マーキングを使 用しないで認識マークを形成したものであったから(乙104)、原告の当該主張は根拠がない。これに対し、原告は、乙104にあるような色を付けないエッチング方式では、●(省略)●の使用するマスクの場合、認識マークを読み取ることができなくなるなどと主張するが、そのような事実はない(乙110)。 オ原告は、乙75や乙78における被告の●(省略)●に対する売上げが過少であるなどと主張する。 しかし、被告の生産管理シス なくなるなどと主張するが、そのような事実はない(乙110)。 オ原告は、乙75や乙78における被告の●(省略)●に対する売上げが過少であるなどと主張する。 しかし、被告の生産管理システムにおいて、例えば、平成30年度以降について、●(省略)●における売上実績を検索してみても、その版数はゼロという結果になる。(乙105) ⑵ 相当実施料率 ア原告は、相当実施料率を算定する際の考慮要素として、他の特許に係るライセンス契約の事例を挙げる(甲23、24)。しかし、それらの特許は、認識マークの電解処理と関わるものではなく、本件訂正発明1と課題も異にするものであって、本件特許1に係るライセンス料率を定める上では、全く参考にならない。したがって、原告の主張は、このような無関係 な技術分野を抽象的に一括することを前提にするものであって、失当である。 イ原告は、本件特許が代替性のない技術であると主張する。しかし、認識マークの形成方法としては、電解マーキングによる以外に、樹脂埋め及びエッチングが知られていた。そして、本件明細書等1によっても、電解マ ーキンのエッチングに対する技術的優位性は示されておらず、顧客によっては、樹脂埋め(貫通認識マーク)を指示する場合もあった(乙95、96、99)。すなわち、電解マーキングには有用な代替技術があり、競合他社が、本件訂正発明1を回避することは可能であった。したがって、その相当実施料率が高額となることはあり得ない。 しかも、本件特許1に係る認識マークの技術は、その出願前から既知であり、被告が、先使用していたものである。このことは、先使用の抗弁の根拠とした製品以外の製品からも立証することができる(乙83ないし85)。また、仮に、電解マーキング法を印刷用メタルマ 前から既知であり、被告が、先使用していたものである。このことは、先使用の抗弁の根拠とした製品以外の製品からも立証することができる(乙83ないし85)。また、仮に、電解マーキング法を印刷用メタルマスクの認識マーク形成に転用したことに進歩性を認めるとしても、周知の技術(乙32、3 3)を周知の課題(乙12、14、15ないし19)に適用したというにすぎず、その技術的価値は限定的である。したがって、その相当実施料率は自ずと低額になるというべきである。 ウ被告は、「はんだバンプ」の大きさや位置精度、開口部の開口精度、メッキの硬度等を「売り」とし、その営業活動をしている(乙91)。その ため、被告製品1の売上げが、直ちに本件特許1による認識マーク形成方 法の採用に由来するということはできない。 実際、顧客が、被告に対し、電解マーキング法によるよう指示する例は少なく、むしろ、樹脂埋め法によるよう指示した例もある(乙95)。実際、電解マーキング法は、被告の印刷用メタルマスクの売上げの約4分の1を占めるにすぎず、被告の売上げに寄与していない。 これに対し、原告は、本件訂正発明1を実施しなければ、完璧な認識マークを形成することができず、これを受注し得なかったように主張するが、その客観的な証拠はない。その上、原告は、原告自身が、本件訂正発明1によって、その売上げを向上させたことの具体的な立証をしない。 エむしろ、原告は、そのウェブサイトにおいて、「電解処理」に関する表 示をしておらず、これを押し出していない。すなわち、原告は、本件特許1の実施品を営業の主軸に据えていないのであり、これをライセンスする場合の料率が高額になるとは考え難い。 オ以上のとおり、電解マーキング法が、既知、既使用の一般的な技術であり、代替技 、本件特許1の実施品を営業の主軸に据えていないのであり、これをライセンスする場合の料率が高額になるとは考え難い。 オ以上のとおり、電解マーキング法が、既知、既使用の一般的な技術であり、代替技術も存在すること、被告及び原告が、電解マーキング法に力点 を置いた営業活動は行っていないことなどからすれば、本件特許1のライセンス料率は1%程度と算定するのが相当である。 ⑶ 消滅時効の抗弁原告は、遅くとも平成23年1月から被告製品1が製造販売されていたと推測されることを立証趣旨として、甲3及び甲4を証拠提出するが、甲3の 作成日は、平成22年7月6日である。 そうすると、原告は、平成22年7月6日の時点で、被告製品1の存在及び被告製品1が本件特許1の技術的範囲に属することを知っていたといえるから、当該時点において「加害者及び損害を知った」といえる。 したがって、原告の請求の対象である損害賠償請求権は、平成25年7月 6日から順に消滅時効が完成することになる。そこで、被告は、令和2年1 1月2日付け準備書面もって、上記時効を援用する。 7 争点7(本件訂正発明2に係る原告の損害の額)について(原告の主張)⑴ 被告は、遅くとも平成30年3月9日から現在まで、被告方法を使用して被告製品2を生産し、販売等している。その売上げは、月15枚程度である と考えられ、その価格は1枚28万円である。(甲12)⑵ したがって、被告が被告方法によって生産した被告製品2を販売等したことにより得た売上高は、合計1680万円(28万円×15枚×12か月×4/12)を下らないと計算される。 ⑶ 本件訂正発明2の技術分野、市場、コスト構造、類似事例、実務慣行に鑑 みれば、特許法102条3項の損害額算定の基礎となる本件特許発 ×15枚×12か月×4/12)を下らないと計算される。 ⑶ 本件訂正発明2の技術分野、市場、コスト構造、類似事例、実務慣行に鑑 みれば、特許法102条3項の損害額算定の基礎となる本件特許発明2の相当実施料率は30%を下らないというべきである。 ⑷ よって、本件訂正発明2について、原告は、上記1680万円に相当実施料率30%を乗じた504万円の損害を受けたといえ、これに対する弁護士費用相当損害としては、その10%を認めるのが相当である。 (被告の主張)否認し、又は争う。 第4 当裁判所の判断 1 本件訂正発明1の内容⑴ 本件明細書等1(甲2)には、次のとおりの記載(ただし、下線部は訂正 請求による訂正部分である。)があることが認められる。 ア技術分野「この発明は、認識マークを備えたメタルマスクとその製造方法に関するものである。」(【0001】)イ背景技術 「各種電子部品をプリント配線板に実装するため、従来から、メタルマ スクを使用したスクリーン印刷法によって、半田ペースト(クリーム半田)等をプリント配線板に塗布形成する方法が採用されている。一般に、メタルマスクを使用したスクリーン印刷法では、コンベヤ等によってメタルマスクの下方を移動、停止する各プリント配線板に対して、順次半田ペースト等の塗布形成が実施される。このため、メタルマスクには、その片面或 いは両面に、プリント配線板への位置合わせ用の認識マークが形成されており、半田ペースト等の塗布前に、上記認識マークを基準として、メタルマスクと各プリント配線板との位置合わせが行われている。」(【0002】)「従来では、メタルマスクに認識マークを形成するに際し、半田ペース ト等をプリント配線板に塗布するための開口部(開口パ スクと各プリント配線板との位置合わせが行われている。」(【0002】)「従来では、メタルマスクに認識マークを形成するに際し、半田ペース ト等をプリント配線板に塗布するための開口部(開口パターン)をメタルマスクに形成した後、メタルマスクの所定位置にエッチング液を用いて凹部を形成(ハーフエッチング)し、この凹部にトナー(カーボンの微粉末と接着剤との混合物)を詰めて乾燥させる方法が採用されていた。」(【0003】) 「また、メタルマスクに認識マークを形成するための従来技術として、電鋳法によって製造されるメタルマスクにおいて、開口部の形成と同時に認識マークの凹部を形成するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。なお、特許文献1記載の方法は開口部と認識マークとの相対位置精度を向上させるためのものであるが、上記方法によってメタルマスクの 所定位置に凹部を形成した場合であっても、認識マークを完成させるためには、この凹部にトナーを充填して乾燥させる工程が更に必要であった。」(【0004】)ウ発明が解決しようとする課題「特許文献1記載のものを含め、トナーを用いて認識マークを形成する 従来のメタルマスクでは、認識マークの凹部からトナーが取れてしまう場 合があり、かかる場合に、プリント配線板への位置合わせができなくなるといった問題が生じていた。」(【0006】)「なお、上記トナーの凹部からの脱落は、メタルマスクの洗浄時に発生することが多い。特に近年では、メタルマスクの開口部が密集しているため、半田ペースト等の除去に超音波洗浄が多く用いられている。このため、 キャビテーション効果等によってトナーが凹部から脱落し易くなり、上記問題が多発する要因となっていた。」(【0007】)「また、メタルマス 等の除去に超音波洗浄が多く用いられている。このため、 キャビテーション効果等によってトナーが凹部から脱落し易くなり、上記問題が多発する要因となっていた。」(【0007】)「また、メタルマスクが製造ラインに組み込まれた後に、認識マークのトナーが脱落してしまうと、製造ラインを停止させて、トナーを再度凹部に充填する作業が必要となってしまう。更に、メタルマスクの使用者が上 記充填作業を行うことができない場合には、例えば、メタルマスクの製造元の技術者を呼び寄せて上記充填作業を行ってもらう必要がある。このため、一旦トナーの脱落が発生すると、メタルマスクをその一部に含む製造ラインの生産性が著しく低下するといった問題もあった。」(【0008】) 「また、従来の方法では、認識マークの凹部を形成するためにエッチング液を使用するため、廃液が出て環境的にも好ましいものではなかった。」(【0009】)「更に、従来の方法では、凹部にトナーを充填して認識マークを形成するため、この凹部にはトナーを充填するための所定の深さ(例えば、50 ㎛以上の深さ)が必要となる。したがって、トナーを用いて認識マークを形成する方法は、箔物メタルマスクに適用することが困難であり、特に両面に認識マークを形成する必要がある場合には、その適用は不可能であった。」(【0010】)「この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、そ の目的は、認識マークの脱落を確実に防止することができるとともに、箔 物に対しても容易に認識マークを形成することができるメタルマスク、並びに、その製造方法を提供することである。」(【0011】)エ課題を解決するための手段「この発明に係るメタルマスクは、半田ペーストをプリント配線板に塗布形成するため ができるメタルマスク、並びに、その製造方法を提供することである。」(【0011】)エ課題を解決するための手段「この発明に係るメタルマスクは、半田ペーストをプリント配線板に塗布形成するために形成された開口パターンと、プリント配線板への位置合 わせ用のために開口パターンに近接して設けられ、交流電源による電解マーキングによって刻印された複数の認識マークと、を備えたものである。」(【0012】)「また、この発明に係るメタルマスクは、開口パターンと、スクリーン印刷の位置合わせ用のために開口パターンに近接して設けられ、交流電源 による電解マーキングによって刻印された複数の認識マークと、を備えたものである。」(【0013】)オ発明の効果「この発明によれば、半田ペーストをプリント配線板に塗布形成する際に用いられるメタルマスクにおいて、認識マークの脱落を確実に防止する ことができるとともに、箔物に対しても容易に認識マークを形成することができる。」(【0016】)「また、この発明によれば、スクリーン印刷に用いられるメタルマスクにおいて、認識マークの脱落を確実に防止することができるとともに、箔物に対しても容易に認識マークを形成することができる。」(【001 7】)カ発明を実施するための最良の形態「先ず、電鋳法やレーザ加工により、メタルマスク1の所定位置に、半田ペースト等をプリント配線板に塗布形成するための開口部(開口パターン)…を形成する。そして、…メタルマスク1の両面(認識マークを形成 する面)上に、レジスト液或いはドライフィルム等を使用して、それぞれ 薄膜状のレジスト2(感光膜)を形成する…」(【0020】)「次に、メタルマスク1の両面に形成された各レジスト2上に、ポジタイプ用の 、レジスト液或いはドライフィルム等を使用して、それぞれ 薄膜状のレジスト2(感光膜)を形成する…」(【0020】)「次に、メタルマスク1の両面に形成された各レジスト2上に、ポジタイプ用の認識マーク部3aが設けられたフィルム3を乗せて焼き付ける…。 なお、上記工程においては、当然のことながら、フィルム3に設けられた認識マーク部3aをメタルマスク1の認識マークを形成する位置に合わせ てフィルム3を配置し、その後、露光する。」(【0021】)「上記露光工程が終了した後、フィルム3を各レジスト2上から剥離し、レジスト2のうち、上記露光工程において硬化しなかった部分(未硬化レジスト部2a)のみを現像液によってメタルマスク1の両面上から除去する…。…メタルマスク1の両面上に、認識マーク形成部1aの部分のみ開 口したレジスト2が完成する…」(【0023】)「次に、メタルマスク1の所定位置(認識マーク形成部1a)に、認識マークを電解処理によって刻印(電解マーキング)する。具体的な工程は以下の通りである。先ず、図7に示すように、電極4とメタルマスク1表面の認識マーク形成部1aとを電解液5に浸し、上記電極4及びメタルマ スク1を交流電源6に接続する。すると、メタルマスク1側が陽極となった際に、認識マーク形成部1aの表面から金属イオンが電解液5に溶け出す。電解液5に溶け出した上記金属イオンは、電解液5中でOH基と反応、化学変化を起こし、黒色等の濃い色に変化する」(【0024】) 【図7】【図8】「そして、極性が切り換わりメタルマスク1側が陰極になると、電解液 5中で黒色等に変化した金属イオンがメタルマスク1に戻り、これによって、メタルマスク1の所定位置(上記認識マーク形成部1aであった位置) に、 りメタルマスク1側が陰極になると、電解液 5中で黒色等に変化した金属イオンがメタルマスク1に戻り、これによって、メタルマスク1の所定位置(上記認識マーク形成部1aであった位置) に、他の部分よりも濃い色の皮膜1bが形成される。即ち、上記皮膜1bが認識マークとなる(図8参照)。なお、図8にも示したように、皮膜1bを形成する工程では、メタルマスク1の表面から金属イオンが電解液5中に溶け出すため、認識マークが形成される部分は、極浅く掘り込まれた状態になる。例えば、皮膜1bの表面は、メタルマスク1の他の部分の表 面よりもt=5~10㎛程度深い位置に配置される。」(【0025】)「上記工程によってメタルマスク1の表面に認識マーク(皮膜1b)を形成した後、同様の手順、即ち、上記電解マーキング工程によって、メタルマスク1の裏面にも認識マークを形成する。そして、メタルマスク1の両面の所定位置に認識マークを形成した後、剥離液によってメタルマスク 1の両面上から全てのレジスト2を除去し(図9参照)、図10及び図11に示すメタルマスク1を完成させる。」(【0026】) 【図9】【図10】【図11】「なお、図11は本発明の実施の形態1におけるメタルマスを示す平面図である。図11に示すメタルマスク1では、半田ペースト等をプリント配線板に塗布形成するための開口部(開口パターン)1cの近傍に、上記 プリント配線板への位置合わせ用の複数の認識マークが配置されており、これらの認識マークは、上述の通り、電解処理によって刻印されている。」(【0027】)「この発明の実施の形態1によれば、認識マークは、電解処理によってメタルマスク1に刻印されるため、メタルマスク1の洗浄時であっても決 して脱落することはない されている。」(【0027】)「この発明の実施の形態1によれば、認識マークは、電解処理によってメタルマスク1に刻印されるため、メタルマスク1の洗浄時であっても決 して脱落することはない。したがって、超音波洗浄が必要なものに対しては、特に有効な手段となる。また、従来のように認識マークを形成するた めにエッチング液を使用することはないため、環境的にも優しく、廃液の後処理等も不要になる。なお、電解液としてほぼ中性のものを使用すれば、中和等の後処理も不要になる。」(【0028】)「更に、t=5~10㎛程度の厚みがあれば認識マークを形成することができるため、箔物メタルマスクに対しても容易に適用が可能である。し たがって、箔物メタルマスクの両面に認識マークを形成する必要がある場合には、有効な手段となる。特に、メタルマスク1の両面(プリント配線板への対向面とこの対向面の反対面)に刻印された認識マークの一部が、平面視重なって配置されている場合には、好適である。」(【0029】)⑵ 本件訂正発明1の技術的特徴 本件訂正発明1の特許請求の範囲及び上記⑴の記載内容によれば、本件訂正発明1は、位置合わせ用の認識マークを備えたメタルマスクに関するものであり、トナーを用いて認識マークを形成する従来の技術では、特に洗浄時において認識マークとして充填したトナーが凹部から脱落するという問題があり、また、トナーを充填する凹部に所定の深さが必要なため、箔物メタル マスクに適用することが困難であるという問題があった。そのため、本件訂正発明1は、交流電源による電解マーキングで極浅く彫り込まれた部分に認識マークとなる皮膜を形成する方法を採用することによって、上記技術的課題を解決するものであり、箔物メタルマスクを含め、認識マークが脱落す 1は、交流電源による電解マーキングで極浅く彫り込まれた部分に認識マークとなる皮膜を形成する方法を採用することによって、上記技術的課題を解決するものであり、箔物メタルマスクを含め、認識マークが脱落することがないメタルマスクを提供するものである。 2 争点1(被告製品1の「近接」該当性)について本件明細書等1の記載によれば、本件訂正発明1は、位置合わせ用の認識マークを備えたメタルマスクに関するものであり、構成要件1B’及び1E’には「位置合わせ用のために前記開口パターンに近接して設けられ」と記載されている。そうすると、上記にいう「近接」とは、位置合わせとしての機能を果 たすことができるだけの近さにあることをいうものと解するのが相当である。 これを本件についてみると、別紙被告製品説明書の写真5ないし9及び弁論の全趣旨によれば、被告製品1の開口部付近に、位置合わせとしての機能を果たし得る程度の位置に、黒色の印があることが認められる。そうすると、被告製品1の認識マークは、位置合わせとしての機能を果たすことができるだけの近さにあるといえるから、構成要件1B’及び1E’の「近接」を充足するも のと認めるのが相当である。 これに対し、被告の主張は、構成要件1B’及び1E’の「近接」が「近くにあること」を意味すること自体を争うものではなく、また、被告製品1が上記黒色の印を備え、これが位置合わせ用の認識マークとして機能していることを争うものではないことからすると、上記判断を左右するものとはいえない。 したがって、被告の主張は、採用することができない。 3 争点2(被告製品1に係る先使用の抗弁の成否)について⑴ 証拠(乙1、2、52、53)及び弁論の全趣旨によれば、被告は、平成30年6月5日、●(省略)●において、 、採用することができない。 3 争点2(被告製品1に係る先使用の抗弁の成否)について⑴ 証拠(乙1、2、52、53)及び弁論の全趣旨によれば、被告は、平成30年6月5日、●(省略)●において、乙2メタルマスクを受け取ったこと、乙2メタルマスクには、●(省略)●との記載があること、被告は、顧 客の指示に応じ、乙2メタルマスク上に、製品の品番や作成日などをマーキングすることがあること、乙2メタルマスクには、円形で黒色に観察される部分(以下「被告認識マーク」という。)があること、以上の事実を認めることができる。 ⑵ 上記認定事実を前提として、被告は、被告認識マークが交流電源による電 解マーキングによって刻印されたものであると主張する。 しかし、被告が提出する証拠によっても、被告認識マークがどのような処理によって着色されたものかは明らかではなく、被告認識マークを走査型電子顕微鏡(SEM)等で観察した画像(乙2)が、樹脂埋めやエッチングによる認識マークを観察した画像(乙3)よりも、電解マーキングによる認識 マークを観察した画像(乙3)に相対的に類似することを認め得るにすぎな い。そうすると、被告認識マークは、電解マーキング以外の方法によって形成された可能性が残るものといえる。 のみならず、証拠(甲13)及び弁論の全趣旨によれば、被告は、顧客に対し、被告認識マークの形成方法を「ハーフエッチング後カーボン処理」(甲13)であると説明していたことが認められる。このような説明を前提 とすれば、被告認識マークの製造は2つの工程を要するのに対し、電解マーキングによる認識マークの製造は、金属イオンの溶出と化学変化した金属イオンの付着とが交互になされる1つの工程で足りることになるため、被告認識マークの製造と電解マーキングに を要するのに対し、電解マーキングによる認識マークの製造は、金属イオンの溶出と化学変化した金属イオンの付着とが交互になされる1つの工程で足りることになるため、被告認識マークの製造と電解マーキングによる認識マークの製造とは、技術的に異なるものである可能性が極めて高い。 これらの事情に加え、被告が、電解マーキング以外の方法によっては、被告認識マークのようなものが形成されないことにつき、具体的に立証していないという事情をも踏まえると、被告認識マークが、交流電源による電解マーキングによって刻印されたことを認めるに足りないというべきである。 ⑶ これに対し、被告は、「ハーフエッチング後カーボン処理」という記載に つき、電解処理による金属の溶出を「ハーフエッチング」と表現し、その際の電極にカーボンを用いることを「カーボン処理」と表現したにすぎないと主張するが、本件明細書等1の記載によれば、電解マーキングという技術自体は、エッチングで認識マークを形成するという従来技術のほかに、当時から知られていたものであるから、被告が、被告認識マークの生成方法につい て、電解マーキングと直截に記載せずに、あえてこれを「ハーフエッチング後カーボン処理」と記載することは、当時の技術常識に照らし、極めて不自然である。そうすると、被告の主張は、上記判断を左右するに至らない。 ⑷ したがって、被告認識マークは「交流電源による電解マーキング」(構成要件1B’及び1E’)によるものと認めることはできず、その余の点を検 討するまでもなく、乙2メタルマスクを理由とする先使用の抗弁は理由がな い。 4 争点3(本件訂正発明1に係る進歩性欠如の有無)について⑴ 乙12発明の内容ア乙12公報には、以下の記載がある(ただし、明らかな誤記と認められ とする先使用の抗弁は理由がな い。 4 争点3(本件訂正発明1に係る進歩性欠如の有無)について⑴ 乙12発明の内容ア乙12公報には、以下の記載がある(ただし、明らかな誤記と認められる部分は訂正している。)。 「本発明は、印刷用マスクおよびそれを用いたプリント配線板の半田印刷方法に関する。さらに詳しくは、プリント配線板上の半導体素子実装部分にクリーム半田を印刷する際に用いられる印刷用マスク、および該印刷用マスクを用いたプリント配線板の半田印刷方法に関する。」(【0001】) 「従来、半田バンプを形成する方法として、メタルマスクやプラスチックマスク等の印刷用マスクおよびプリント配線板に、それぞれ該印刷用マスクと該プリント配線板との位置決めのためのアライメントマークをあらかじめ形成させておき、所定の位置に印刷用マスクとプリント配線板とが積層するように両者のアライメントマーク同士を整合させたのち、クリー ム半田を印刷する方法が採用されている。」(【0003】)「しかしながら、前記印刷方法では、印刷用マスクのアライメントマークは、印刷用マスクに設けられた凹部または貫通孔に、カーボン樹脂等の顔料を練り込んで着色された樹脂を充填して形成されているため、印刷後に印刷用マスクに付着した半田粒子を洗浄した際には、顔料自体が有する 離型性によってカーボン樹脂が剥がれるという欠点がある。」(【0005】)「本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、アライメントマークに充填された充填物質の離脱等が発生しがたく、該アライメントマークを確実にしかも容易に認識することができる印刷用マスク、およびそ れを用いたプリント配線板の半田印刷方法を提供することを目的とする。」 (【0009】)「本 く、該アライメントマークを確実にしかも容易に認識することができる印刷用マスク、およびそ れを用いたプリント配線板の半田印刷方法を提供することを目的とする。」 (【0009】)「本発明の印刷用マスクは、半田印刷用の開口部が設けられた印刷用マスクであって、その一方の面にプリント配線板との位置決めのためのアライメントマークとして凹部が形成され、前記凹部の少なくとも底面に、前記一方の面の色と異なる色を有する金属層が形成されたものである。」 (【0011】)「また、前記凹部は、前記基板において、通常、プリント配線板に設けられているアライメントマークと対応する位置に設けられる。かかる凹部を設ける位置およびその数は、任意であり、プリント配線板に応じて適宜選定すればよい。」(【0018】) 「前記凹部の形状、大きさ、深さ等は、特に限定がなく、任意である。 その一例として、例えば、形状および大きさとして直径50~100μm程度の円形があげられ、また深さとして5~20μm程度があげられる。」(【0019】)「前記凹部は、例えば、エッチング法、レーザー加工法等によって形成 させることができる。」(【0020】)「本発明においては、前記凹部の少なくとも底面に、該凹部が設けられる面の色と異なる色を有する金属層が形成されている点に、1つの大きな特徴がある。」(【0021】)「このように、前記凹部の少なくとも底面に前記金属層が形成されてい る場合には、該金属層は、前記基板との接着強度に優れているので、例えば印刷用マスクを洗浄する際などに外的応力が加わった場合であっても、該金属層が離脱するなどの不都合が発生することがない。」(【0022】)「本発明において、印刷用マスクの一方の面に設けられた凹部に金属層 クを洗浄する際などに外的応力が加わった場合であっても、該金属層が離脱するなどの不都合が発生することがない。」(【0022】)「本発明において、印刷用マスクの一方の面に設けられた凹部に金属層 を形成する方法としては、例えば、化学蒸着法、電解めっき法、無電解め っき法等によって金属層を形成する方法があげられるが、本発明はかかる方法のみに限定されるものではない。なお、これらの方法のなかでは、作業性、コスト等の点から、電解めっき法等のめっき法によって金属層を形成する方法が好ましい。」(【0024】)イ乙12発明の技術的意義 上記アの記載によれば、乙12公報には、被告の主張する乙12発明が開示されているといえる。そして、乙12発明は、メタルマスクやプラスチックマスク等の印刷用マスクに関し、樹脂等を凹部に充填するという従来の位置合わせ用のアライメントマーク(認識マーク)では、洗浄時に樹脂が剥がれるという課題があったことから、これを解決するために、電解 めっき法で金属層を凹部に形成し、確実で容易に認識し得るアライメントマークを形成するものであると認めることができる。 ⑵ 相違点1及び4の検討乙12発明と本件訂正発明1とは、乙12発明にはアライメントマークが開口部に近接して設けられているか否かが明らかではないから、前記相違点 1及び4において相違するといえる。しかし、争点1において説示したとおり、本件訂正発明1の「開口部」との「近接」とは、位置合わせとしての機能を果たすことができるだけの近さにあれば足りると解される。そうすると、乙12発明においても、アライメントマークを「開口部」に「近接」して設けることは、技術常識に照らし、当業者が適宜になし得る事項にすぎない。 したがって、相違点1及び4は、実質 る。そうすると、乙12発明においても、アライメントマークを「開口部」に「近接」して設けることは、技術常識に照らし、当業者が適宜になし得る事項にすぎない。 したがって、相違点1及び4は、実質的相違点には当たらないというべきであって、原告も、この点については積極的に争うものではない。 ⑶ 相違点2及び5の検討乙12発明と本件訂正発明1とは、乙12発明にはアライメントマークが複数設けられるか否かが明らかではないから、前記相違点2及び5において 相違するといえる。しかし、乙12発明において、アライメントマークは位 置合わせに用いるものであり、印刷用マスクが回転する場合などに対処するには、複数のアライメントマークを設ける必要があることは、技術常識からも明らかである(乙13)。そうすると、乙12公報にアライメントマークが「複数」であることが明示されていないとしても、技術常識に照らし、相違点2及び5は、実質的相違点に当たらないというべきであって、原告も、 この点については積極的に争うものではない。 ⑷ 相違点3及び6の検討ア乙12発明が、少なくとも相違点3及び6において、本件訂正発明1と相違することは、当事者間に争いがなく、原告は、包括的に相違点Ⅰ及びⅡを主張するものの、これには相違点3及び6が含まれるものと解される。 そして、被告は、これを前提に、相違点3及び6は、乙26記載事項の適用によって、当業者が容易に想到し得た事項にすぎない旨主張する。 イそこで検討するに、乙26公報は、産業上の利用分野を「高速度鋼や超鋼合金製の工具類に文字や数字等のパターンを表示するためのマー キング方法の改良に関する」発明に係る公開特許公報であり、乙26公報には、「金属製の被加工物にマークを施すには、一般に電解マー 鋼合金製の工具類に文字や数字等のパターンを表示するためのマー キング方法の改良に関する」発明に係る公開特許公報であり、乙26公報には、「金属製の被加工物にマークを施すには、一般に電解マーキング法が採用されている。 この電解マーキング法は、第5図に示すようにステンシル1の孔部に電解液2と被加工物3を接触させ、電解液2に接触するカーボン電極4と被加 工物3との間に交流を印加することによって、被加工物の表面に皮膜5を生成するものである。そして、生成される皮膜は被加工物3の酸化物、或いは被加工物3と電解液2との反応生成物である。」と記載されており、従来技術として「電解マーキング法」を紹介する記載があることが認められる。 そして、乙26公報は、上記にいう「電解マーキング法」について、 「⑴得られるマーキング皮膜は被加工物の酸化物、或いは反応生成物に限られるため、物理的及び化学的に安定した黒色皮膜を得ることが困難であり、皮膜の退色、離脱、溶出等の問題がある。⑵同法では原理上表面がエッチングされ、その上に黒色皮膜が生成されるので、エッチング深さの制御及び皮膜厚さの制御は事実上不可能であり、ドリル等のような高精度を 要求される工具類のマーキングには不適当である。⑶電解液の補充が多すぎるとマーキングパターンに滲みが発生する一方、少なすぎると掠れが発生し、かつ、表面がエッチングされて傷が残るため、再度マーキングすることはできない。⑷解像度に限度があり、同法では0.2㎜幅の線が限界であるし、また、上記⑶の理由によって明瞭さに欠ける。」という欠点が あることを指摘し、このような問題を解決するために、「ホルダー内に収容した被鍍金物の周面上にステンシルを密着させ、このステンシルに表現されている数字や文字等のパターン 欠ける。」という欠点が あることを指摘し、このような問題を解決するために、「ホルダー内に収容した被鍍金物の周面上にステンシルを密着させ、このステンシルに表現されている数字や文字等のパターンにしたがって、上記被鍍金物の周面上の被鍍金部分に流動する鍍金液を接触させて電気鍍金するマーキング法」を開示する文献であることが認められる。 ウ上記認定事実によれば、乙12発明が、印刷用マスクの位置合わせ用のアライメントマークに係る発明であり、形成されたマークの位置や輪郭の寸法に係る精度が強く求められるものであるのに対し、乙20公報に記載された電解マーキング法は、ドリル等の工具類に識別情報としての文字や数字等をマーキングする際の従来技術であり、それらの文字や数字等の明 瞭さや解像度が強く求められるものである。そうすると、乙12発明の技術と乙20公報に記載された上記の各技術は、求められる機能自体が全く異なるため、その属する分野を異にするというべきである。 また、原告が、相違点Ⅰ及びⅡとして指摘するように、乙12発明におけるアライメントマークの形成方法は、印刷用マスクに用いられる基板に エッチング法やレーザー加工法等によって凹部を設けた上で、当該凹部の 底部等に電解めっき法等によって金属層を形成するというものである。他方、乙20公報に記載された上記電解マーキング法は、本件明細書等1の段落【0024】及び【0025】にも記載されるように、交流電源の陽極と陰極の切り替わりによって、金属イオンの溶出による凹部の形成と溶出した金属イオンの再付着による皮膜の形成とを同一の工程で行うものと 評価すべきものである。そうすると、両者は、アライメントマークとなるべき金属層又は皮膜の形成方法として、あらかじめ凹部を形成する工程を経 オンの再付着による皮膜の形成とを同一の工程で行うものと 評価すべきものである。そうすると、両者は、アライメントマークとなるべき金属層又は皮膜の形成方法として、あらかじめ凹部を形成する工程を経るか否かという点で実質的にも異なるのであるから、その技術の内容をも異にするというべきである。 したがって、乙12発明と乙20公報の電解マーキング法は、異なる技 術分野に属するものといえ、技術の内容自体も異なるものであり、その他に、乙12発明に対し、乙20公報の電解マーキング法を適用し得ることにつき、示唆する文献等の存在も認められないことからすると、当業者において、その適用をするための動機付けがあったものと認めることはできない。 エのみならず、乙12発明は、「アライメントマークに充填された充填物質の離脱等が発生しがたく、該アライメントマークを確実にしかも容易に認識することができる印刷用マスク」(【0009】)等を目的とするものである。これに対し、乙20公報に記載された「電解マーキング法」の前記欠点は、「得られるマーキング皮膜は被加工物の酸化物、或いは反応 生成物に限られるため、物理的及び化学的に安定した黒色皮膜を得ることが困難であり、皮膜の退色、離脱、溶出等の問題がある。」、「電解液の補充が多すぎるとマーキングパターンに滲みが発生する一方、少なすぎると掠れが発生し、…明瞭さに欠ける。」というものである。そうすると、乙12発明に接した当業者が、離脱等の発生を防ぎ、かつ、容易に認識可 能なものを目的とする乙12に対し、離脱等の問題があり、かつ、明瞭さ に欠ける旨正面から明示的に指摘されている乙20公報の「電解マーキング法」を適用するとはいえないことは、明らかである。しかも、乙12公報は、アライメントマークとな の問題があり、かつ、明瞭さ に欠ける旨正面から明示的に指摘されている乙20公報の「電解マーキング法」を適用するとはいえないことは、明らかである。しかも、乙12公報は、アライメントマークとなる金属層を形成する方法として、電解めっき法等が好ましいとするのに対し、前記イによれば、乙20公報は、電解マーキング法の欠点を解決するために、「電気鍍金」(電気めっき)を採 用することを記載するものである。 したがって、当業者が、乙12公報で好ましい技術とされる乙12発明の電解めっき法に代え、あえて、乙20公報で電解めっき法に劣る技術と指摘されている電解マーキング法を採用することには、明らかに阻害要因があるというべきである。 以上によれば、乙12発明に乙20公報の「電解マーキング法」を適用することには、その動機付けがなく、かえって阻害要因があることからすると、本件特許1の出願時の当業者において、これを容易に想到し得たものと認めることはできない。 オこれに対し、被告は、乙12発明の技術の対象となるドリル等の工具類 と乙20公報の技術の対象となるメタルマスクは、いずれも治工具に分類されるものあり、技術分野が密接に関連し、電解マーキング法自体は、広く知られた技術であったなどとして、当業者において、乙12発明に乙20記載事項を適用する動機付けがあると主張する。 しかし、乙12発明の被加工物と乙20の「電解マーキング法」の被加 工物に一定の関連があるとしても、これに求められる機能や技術の内容が大きく異なることは、前記ウにおいて説示したとおりである。また、電解マーキング法という技術自体は従来技術であったとしても、被告提出の証拠によっても、これを乙12発明のようなアライメントマークに適用することを示唆するような文献等を見出す したとおりである。また、電解マーキング法という技術自体は従来技術であったとしても、被告提出の証拠によっても、これを乙12発明のようなアライメントマークに適用することを示唆するような文献等を見出すことはできない。そうすると、被告 の主張を考慮しても、乙12発明に乙20記載事項を適用する動機付けを 認めることができない。 カまた、被告は、前記イに引用した電解マーキング法の欠点のうち、課題⑴及び⑶は、当業者の創意工夫等で解消可能な設計事項にすぎず、課題⑵及び⑷は、メタルマスクに認識マークを形成する場合には妥当しない点であるとして、これらの点は、当業者において、乙12発明に乙20記載事 項を適用することを阻害する要因にはならないと主張する。 しかし、乙20公報は、前記イに引用した電解マーキング法の欠点を同法一般の問題として記載していると認められるのであり、本件特許1の出願時において、それが当業者の創意工夫等で解消可能であり、また、メタルマスクに認識マークを形成する場合には問題とならないことが技術常識 又は周知の事項であったことを認めるに足りる的確な立証はない。そうすると、乙20公報の「電解マーキング法」には、離脱等の問題があり、かつ、明瞭さに欠ける旨正面から明示的に指摘されているのであるから、乙12発明に接した当業者が、乙12発明の目的に正面から抵触し、乙12発明で採用する技術よりも明らかに劣ると指摘されている「電解マーキン グ法」につき、あえてこれを適用するものとはいえないことは、上記において説示したとおりである。 したがって、被告の主張は、いずれも採用することができない。 キ以上のとおり、本件特許1の出願時の当業者において、乙12発明に乙20公報に記載された電解マーキング法を適用する動機付けがあった 。 したがって、被告の主張は、いずれも採用することができない。 キ以上のとおり、本件特許1の出願時の当業者において、乙12発明に乙20公報に記載された電解マーキング法を適用する動機付けがあったとは いえず、むしろ、その阻害要因があるものと認められ、被告の提出する準備書面及び証拠を改めて検討しても、上記判断を左右するに至らない。 ⑸ 小括そうすると、乙12発明と本件訂正発明1とは、少なくとも相違点3及び6で相違し、本件特許1の出願時の当業者が、これを容易に想到し得たとい うことはできない。したがって、本件訂正発明1に係る進歩性欠如を理由と する無効の抗弁は、理由がない。 5 本件訂正発明2の内容⑴ 本件明細書等2(甲7)には、次のとおりの記載があることが認められる。 ア技術分野「この発明は、導電性ボールを搭載するためのボール配列用マスク及び その製造方法に関するものである。」(【0001】)イ背景技術「従来、基板上に複数の貫通孔を有する振込プレート(配列用マスク)を配置し、基板の電極と振込プレート(配列用マスク)の貫通孔とを位置合わせし、複数の貫通孔に導電性ボールを振り込むことで所定の位置に導 電性ボールを搭載するものであって、振込プレート(配列用マスク)の裏面には、振込プレート(配列用マスク)と基板との間の所定の隙間を設けるためのスペーサ(柱状突起)が突設された振込プレート(配列用マスク)が知られている(例えば、特許文献1参照)。」(【0002】)ウ発明が解決しようとする課題 「従来の配列用マスクでは、マスクをメッキで作製した場合、マスク裏面に突設される柱状突起の先端部の周縁エッジ部が角張った形状となってしまうため、マスク裏面の汚れや不純物をウエス(布切れ)等で拭き 「従来の配列用マスクでは、マスクをメッキで作製した場合、マスク裏面に突設される柱状突起の先端部の周縁エッジ部が角張った形状となってしまうため、マスク裏面の汚れや不純物をウエス(布切れ)等で拭き取る際、柱状突起の先端部の周縁エッジ部にウエス等が引っ掛かってしまい、作業性が悪くなるという課題があった。また、メッキにより柱状突起を形 成する場合、柱状突起の高さ調整に高度な技術力を必要とするため、高度の作業を経験、習得した熟練の技術者が必要であった。」(【0004】)「この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、マスク裏面に突設される突起の先端部の周縁エッジ部をR形状とし、かつ突起の高さ調整に高度な技術力を必要としないボール配列用マスク及びその 製造方法を提供するものである。」(【0005】) エ課題を解決するための手段「この発明に係るボール配列用マスクにおいては、メッキにより形成され、振り込まれた導電性ボールが挿通する複数の開口部が形成されたマスク本体と、メッキにより形成され、導電性ボールが振り込まれる側ではなく基板の電極と対向する側となるマスク本体裏面の開口部以外に部分的に 突出された突起とを備え、突起の先端部は、その周縁エッジ部が丸味を持ったR形状に形成されており、布拭き取り時の引っ掛かりを防止するものである。」(【0006】)「また、突起の形状は、円柱状、多角形状、連続した突条、間欠的な突条のいずれか一つである。」(【0007】) 「また、突起は、一次メッキ層により形成された内部突起と、この内部突起の表面に二次メッキ層により形成され、基板の電極と対向する側となる外部突起とからなり、マスク本体は、二次メッキ層により外部突起と一体的に形成されており、外部突起は、その周縁エ 部突起と、この内部突起の表面に二次メッキ層により形成され、基板の電極と対向する側となる外部突起とからなり、マスク本体は、二次メッキ層により外部突起と一体的に形成されており、外部突起は、その周縁エッジ部が丸味を持ったR形状に形成されているものである。」(【0008】)」 オ発明の効果「この発明によれば、突起の先端部の周縁エッジ部が丸味を持ったR形状に形成されているので、マスク裏面の汚れや不純物をウエス等で拭き取る際、突起の先端部の周縁エッジ部にウエス等が引っ掛かり、作業性が悪くなるという問題を解消することができる。また、ある程度の作業を習得 している者であれば特に高度な技術力を必要としなくても、突起を作製することができるので、熟練技術を必要とせず、誰がやっても同じような形状の突起を得ることができる。」(【0013】)カ発明を実施するための形態 「この発明の実施例1におけるボール配列用マスクの製造方法を図1により説明する。 先ず、SUS母材1上にレジストをラミネートし、所要の露光、現像処理を行い、SUS母材1上に突起形成用のレジスト層 2を部分的に形成する(図1⒜参照)。この突起形成用のレジスト層2は、例えば円柱状等であるが、多角形状等でも良く円柱状に限ることはない。次に、例えば円柱状の突起3aが所定の高さ(厚さ)となるよ うにSUS母材1上の全体にメッキすることにより、一次メッキ層3を形成する(図1⒝参照)。そして、一次メッキ層3の形成が終わったら、突起形成用のレジスト層2を除去する(図1⒞参照)。 次に、円柱状の突起3a以外の一次メッキ層3を全て取り除き、SUS母材1上に一次メッキ層3による円柱状の突起3aのみを残す(図1⒟参照)。すなわち、ある程度の作業を習得し (図1⒞参照)。 次に、円柱状の突起3a以外の一次メッキ層3を全て取り除き、SUS母材1上に一次メッキ層3による円柱状の突起3aのみを残す(図1⒟参照)。すなわち、ある程度の作業を習得している者であれば特に高度な技術力を必要としなくても、円柱状の突起3aを作製することができる。そして、SUS母材1上に開口部形成用のレ ジスト4を貼り(図1⒠参照)、所要の露光、現像処理を行い、SUS母材1上の円柱状の突起3a間に複数の開口部形成用のレジスト層4aを形成する(図1⒡参照)。次に、マスク本体が指定の厚さとなるようにSUS母材1上及び円柱状の突起3a上にメッキすることにより、二次メッキ層5を形成する(図1⒢参照)。すなわち、ある程度の作業を習得してい る者であれば特に高度な技術力を必要としなくても、円柱状の突起3aを【図1】 作製することができ、かつその後に、高度な技術力を必要としないマスク本体を作製することがこの発明の特徴である。そして、複数の開口部形成用のレジスト層4aを除去すると、円柱状の突起3a間に導電性ボールが挿通する複数の開口部5aが形成された二次メッキ層5となる(図1⒣参照)。 最後に、SUS母材1から一次メッキ層3及び二次メッキ層5からなる円柱状の突起とマスク本体を剥離する(図1⒤参照)。以上により、この発明のボール配列用マスクが完成する。導電性ボールが挿通する複数の開口部5aが形成された部分がボール搭載領域である。完成したボール配列用マスクの円柱状の突起3aの先端部は、その周縁エッジ部が、図2に示 すように、角張った形状ではなく、丸味を持ったR形状となる。その理由は、一次メッキ層の円柱状の突起3aの周囲に二次メッキ層5が成長するためと考えられる。したがって、マスク裏面の汚れ 図2に示 すように、角張った形状ではなく、丸味を持ったR形状となる。その理由は、一次メッキ層の円柱状の突起3aの周囲に二次メッキ層5が成長するためと考えられる。したがって、マスク裏面の汚れや不純物をウエス等で拭き取る際、円柱状の突起の先端部の周縁エッジ部にウエス等が引っ掛かり、作業性が悪くなるという問題を解消することができる。また、ある程 度の作業を習得している者であれば特に高度な技術力を必要としなくても、円柱状の突起3aを作製することができ、かつその後に、高度な技術力を必要としない配列用マスク本体を作製することにしているので、熟練技術を必要とせず、誰がやっても同じような形状の円柱状の突起を得ることができる。更に、円柱状の突起3aは強度的に強くなるので、マスク本体か ら脱落するようなことがない。」(【0015】)⑵ 本件訂正発明2の特許請求の範囲及び上記⑴の本件明細書等2の記載内容によれば、本件訂正発明2は、導電性ボールを搭載するためのボール配列用マスクの製造方法に関するものであり、従来の配列用マスクでは、マスクをメッキで作製した場合、マスク裏面に突設される柱状突起の先端部の周縁エ ッジ部が角張った形状になるため、マスク裏面の汚れや不純物をウエス等で 拭き取る際、上記周縁エッジ部にウエス等が引っ掛かってしまい、作業性が悪くなるという問題があり、また、メッキにより柱状突起を形成する場合、その高さ調整に高度な技術力を必要とするという問題があった。そのため、本件訂正発明2は、これらの問題を解決するために、構成要件2D’ないし2Kの工程を採用することによって、突起の先端部の周縁エッジ部が丸味を 持ったR形状に形成して、汚れや不純物を拭き取る際にウエス等が引っ掛かるという問題を解消し、しかも、ある程度の 2D’ないし2Kの工程を採用することによって、突起の先端部の周縁エッジ部が丸味を 持ったR形状に形成して、汚れや不純物を拭き取る際にウエス等が引っ掛かるという問題を解消し、しかも、ある程度の作業を習得している者であれば、誰が行っても同じような形状の突起を得ることができるボール配列用マスクの製造方法を提供するものである。 6 争点4(被告製品2に係る先使用の抗弁の成否)について ⑴ 証拠(後掲証拠及び乙62)及び弁論の全趣旨によれば、乙7マスクは、ボール搭載用のマスクであること(乙39)、乙5ないし8(ただし、乙8は、乙8の1枚目に限る。)は、その写しが、被告において、乙7マスクに係る資料として、一体的に保管されていたものであること(乙37)、乙5及び6は、被告の統一的な書式を利用した書類であること(乙10、69)、 乙7及び67(以下、単に「乙7」という。)は、被告の担当者が、製造工程の詳細を記載したメモであること(乙63)、乙8の1枚目は、被告の担当者が、CADソフトで作成した社内工程確認用図面であること(乙64)、その2枚目は、その際のCADデータに基づき、原告との紛争が生じた後に作成された図面であること(乙65)、以上の事実を認めることができる。 そして、後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば、乙6には、上から順に、「露光・現像」、「前処理」、「一次メッキ」、「露光・現像」、「中間処理」、「二次メッキ」、「後処理」という工程とメッキを施す時間(「Ah」)などが記載され、乙7には、「ランド付きフタめっき工程」と「本メッキ工程」という2個の段階があり、各段階において、「SUS」、「DF R」(レジスト)、「ラミネート」、「LDI」(露光)及び「現像」に係 る条件を定めた「パターニング」の工程の後 メッキ工程」という2個の段階があり、各段階において、「SUS」、「DF R」(レジスト)、「ラミネート」、「LDI」(露光)及び「現像」に係 る条件を定めた「パターニング」の工程の後に、「剥離」などに係る条件を定めた「めっき」の工程を経ることが記載され、さらに、乙7には、第2段階の前に、「フタめっき」を剥離する旨の記載があり、乙6には、「一次メッキ」の欄の上の行に、「LDIマーク」、「外形線」、「テープ止め後」、「剥離」という記載がある。 ⑵ 上記認定事実及び当業者の技術常識によれば、乙7の「パターニング」は、乙6の「露光・現像」に対応し、乙7の「めっき」は、乙6の「一次メッキ」及び「二次メッキ」に対応するものであり、結局、乙6及び7には、第1段階の「ランド付きフタめっき工程」として、SUS母材上に、レジスト層を製膜し、露光及び現像による「パターニング」をし、「一次メッキ」を施し た上、これを「剥離」するが、その際の剥離は、「フタめっき」を「LDIマーク」及び「外形線」を「テープ止め後」にするものであり、その後、第2段階の「ランド付きフタめっき工程」として、同様の手順で「パターニング」をし、「二次メッキ」を施した上、これを「剥離」するという工程が記載されていると認めるのが相当である。 そして、上記「フタめっき」は、「一次メッキ」によるメッキのうち、何らかの一部を意味すると考えるのが自然であり、他方、乙8が、メタルマスクのボールを搭載する開口部及び分離独立した複数の突起のパターニングと理解し得る図面であり、そのようなパターニングを前提に、上記の工程を経ることを考慮すれば、乙6及び7には、「SUS母材上に分離独立した複数 の突起形成用のレジスト層を形成する工程」(パターニング)、「分離独立した そのようなパターニングを前提に、上記の工程を経ることを考慮すれば、乙6及び7には、「SUS母材上に分離独立した複数 の突起形成用のレジスト層を形成する工程」(パターニング)、「分離独立した複数の突起が所定の高さとなるようにSUS母材上にメッキすることにより、一次メッキ層を形成する工程」(一次メッキ)、「一次メッキ層の形成が終わったら、突起形成用のレジスト層を除去する工程」及び「突起以外の一次メッキ層を取り除き、SUS母材上に一次メッキ層による突起を残す 工程」(フタめっきの剥離)、「SUS母材上の突起間に複数の開口部形成 用のレジスト層を形成する工程」(パターニング)、「マスク本体が指定の厚さとなるようにSUS母材上及び突起上にメッキすることにより、二次メッキ層を形成する工程」(二次メッキ)、「二次メッキ層の形成が終わったら、複数の開口部形成用のレジスト層を除去する工程」(剥離)という構成要件2D’ないし2Kの工程が記載されていると認めるのが相当である。 ⑶ そして、このような製造工程を経て製造されるボール搭載用マスクが、「メッキにより形成され、振り込まれた導電性ボールが挿通する複数の開口部が形成されたマスク本体」(構成要件2A)と、「メッキにより形成され、導電性ボールが振り込まれる側ではなく基板の電極と対向する側となる前記マスク本体裏面の前記開口部以外に部分的に突出され、互いに分離独立した 複数の突起」(構成要件2B’)を備えることは明らかである。 また、本件明細書等2の段落【0015】によれば、本件訂正発明2の突起が「R形状」(構成要件2C’)となるのは、「一次メッキ層の円柱状の突起3aの周囲に二次メッキ層5が成長するため」であると認められ、メッキを多層とした場合に、先端部が「R形状」になるという 2の突起が「R形状」(構成要件2C’)となるのは、「一次メッキ層の円柱状の突起3aの周囲に二次メッキ層5が成長するため」であると認められ、メッキを多層とした場合に、先端部が「R形状」になるというのも自然であるか ら、上記の製造方法で形成される突起は、先端部が「R形状」になるものであると認められる。この点について、原告は、突起が「R形状」となるのは、構成要件2G及び2Iの工程を経るからであると主張するが、原告の主張を前提としても、乙7製造方法が、構成要件2G及び2Iの工程を経ることは、上記⑵において説示したとおりであるから、原告の主張は、結論を左右する ものではない。 現に、証拠(乙9ないし11、39)によれば、被告は、遅くとも平成26年3月31日までに、乙7マスクの発注元と同じ取引先に対して、ボール搭載用のメタルマスクである乙9マスクを納入し、当該マスクの分離独立した突起は、乙9写真のとおり、「R形状」であったことが認められる。この ことは、被告が、当時、同種のマスクにおいて「R形状」の突起を形成する 製造方法を採用し得たことを裏付けるものといえる。そして、メタルマスクに形成された分離独立した複数の突起の先端が「R形状」であれば、布拭き取り時の引っ掛かりが抑制されるのは自明であるから、乙7マスクに係る前記⑵の製造方法は、「分離独立した複数の突起の先端部は、その周縁エッジ部が丸味を持ったR形状に形成されており、布拭き取り時の引っ掛かりを防 止する配列用マスクの製造方法」(構成要件2C’)に該当するということができる。 ⑷ そうすると、乙7製造方法は、構成要件2Aないし2Kを「備えたことを特徴とするボール配列用マスクの製造方法」(構成要件2L)であり、本件訂正発明2と一致する。そして、乙7マスクの指定納 きる。 ⑷ そうすると、乙7製造方法は、構成要件2Aないし2Kを「備えたことを特徴とするボール配列用マスクの製造方法」(構成要件2L)であり、本件訂正発明2と一致する。そして、乙7マスクの指定納期が、平成25年12 月11日とされることからすると、被告は、遅くとも本件特許2の出願日である平成27年6月8日以前に、乙7製造方法を使用し、これを使用したメタルマスクの製造を行っていたものと推認することができる。 したがって、被告方法が、本件訂正発明2と一致することに争いはない以上、同様に本件訂正発明2と一致すると認められる乙7製造方法とも一致す るものと認めるのが相当である。 以上によれば、被告は、本件訂正発明2との関係において、被告方法に係る発明の先使用権を有するというべきである。 ⑸ これに対し、原告は、乙5ないし8の書類に記載された製造工程が、被告による先使用の事実を客観的に明らかにするものとはいえないとし、種々の 指摘をするが、以下のとおり、いずれも採用することができない。 ア原告は、乙5にある「段堀り」という記載は、これが本件訂正発明2のようなメタルマスクには使用されない表現であると指摘する。 しかし、上記において認定したとおり、乙5は、被告の統一的な書式を利用した書類であって、原告指摘の「段堀り」とは、当該書式に共通して 既に印刷されている項目欄の記載にすぎない。しかも、乙68ないし72 及び弁論の全趣旨によれば、当該項目は、本来「ハーフエッチング」などの処理を前提とする半田ペースト印刷用メタルマスクを製造する際に使用される項目であることが認められるのに対し、乙5の「ハーフエッチング」の欄には「無し」と記載されているのであるから、「段堀り」の項目は、共通書式として既に印刷されているものの、 クを製造する際に使用される項目であることが認められるのに対し、乙5の「ハーフエッチング」の欄には「無し」と記載されているのであるから、「段堀り」の項目は、共通書式として既に印刷されているものの、本件訂正発明2のようなメタ ルマスクには、不必要な項目であったにすぎないものいえる。 もっとも、乙5には、「段堀り/残厚」の項目に「75/40」と記入されているものの、「メタル厚」の項目に同数字の「75㎛」が記載されていることに加え、乙39の写真⑫の資料にも上記各数値にそれぞれ近接する数値が記載されていることをも併せ考慮すれば、当該記入は、一次メ ッキ層と二次メッキ層の厚さの合計と二次メッキ層の厚さを指示したものと認めることができる。 したがって、原告の主張は、上記結論を左右するものとはいえない。 イ原告は、乙6の「一次メッキ」の「剥離槽」欄に「なし」とあることを指摘し、乙7製造方法に一次メッキ後の剥離工程が存在することを争って いる。 しかし、上記において認定したとおり、乙6と乙7は、乙7マスクの製造工程に係る書類として一体的に保管されていた書類であるところ、乙7には、第1段階のメッキ後の「剥離」の工程が記載されているのであるから、乙7製造方法には、一次メッキ後の剥離工程が存在すると認めるのが 相当である。 そして、乙6の「一次メッキ」の「剥離槽」欄には、確かに「なし」と記入されているものの、同時に、その上の行において、「LDIマーク」、「外形線」、「テープ止め後」(以下、併せて「剥離前処理」という。)、「剥離」という記入があることは、前記認定のとおりである。そして、剥 離前処理は、「剥離」のために必須の作業であり、乙6の書式上「一次メ ッキ」の行に剥離前処理を記載する場所がないことからすると、剥 う記入があることは、前記認定のとおりである。そして、剥 離前処理は、「剥離」のために必須の作業であり、乙6の書式上「一次メ ッキ」の行に剥離前処理を記載する場所がないことからすると、剥離前処理の見落としを防ぐため、「一次メッキ」の「剥離槽」欄には、あえて「なし」と記入し、他方、その上段付近に、剥離前処理と連続して「剥離」を記載することで、剥離前処理の見落としを防ごうとしたとする被告の説明は、格別不自然なものとはいえず、剥離前処理の重要性を踏まえると合 理性があるものといえる。 したがって、原告の主張は、上記判断を左右するものとはいえない。 ウ原告は、乙6と乙7が、いつから一体的に保管されていたかも不明であるなどとして、これらが同一の製造工程に係る書類であることを争っている。 しかし、乙6と乙7は、いずれも同一の品番を記載した書類であり、前記⑵のとおり、乙7マスクの製造方法を記載したものとして、統一的に理解し得るものである。この点について、被告は、乙6には、一次メッキ後の剥離工程に係る記載がないことを理由に、乙6と乙7が同一の製造工程を記載した書類であることに不審があるというが、乙6が、別の近接する 箇所において一次メッキ後の剥離工程に係る記載をしていると理解すべきことは、前記イに補足的に説明したとおりである。したがって、この点に係る原告の主張も失当である。 エ原告は、乙6と乙7に、本件訂正発明2の大きな特徴であるはずのR形状の突起を形成することに係る記載がないことを指摘する。 しかし、前記⑶のとおり、R形状の突起は、「一次メッキ層の円柱状の突起3aの周囲に二次メッキ層5が成長するため」(本件明細書等2の段落【0015】)、当然に形成されるものであるから、乙6や乙7のような製造工程を指 とおり、R形状の突起は、「一次メッキ層の円柱状の突起3aの周囲に二次メッキ層5が成長するため」(本件明細書等2の段落【0015】)、当然に形成されるものであるから、乙6や乙7のような製造工程を指示する書類において、R形状の突起に係る記載がないことに格別不自然なところはなく、このことによって乙7製造方法が完成して いないということもできない。したがって、原告の指摘は、上記の結論を 左右するものとはならない。 オ原告は、乙7が、「フタめっき」などの独自の用語を使用したメモにすぎず、乙7製造方法は、発明として完成していないと主張する。 しかし、前記⑶のとおり、当業者の技術常識を前提に、乙5ないし8をみれば、乙7製造方法の内容を理解することができるのであるから、部分 的に理解が困難な用語等があるとしても、乙7製造方法に係る発明が完成していないとはいえない。また、乙7は、被告の担当技術者が、プリンターなどで印刷したフロー図であって、これが乙5や乙6のように、被告の統一的な書式を用いた書類でないことは、乙7製造方法に係る発明の完成を妨げるものでもない。したがって、この点に係る原告の主張は、失当で ある。 ⑹ 原告は、乙9マスクが、乙7製造方法で製造されたことが客観的に明らかでないと主張する。しかし、乙7製造方法と、乙9マスクに係る乙10に記載された製造工程とは、「めっき槽」の番号が異なる程度しか相違せず、「めっき槽」の相違は、前記⑶の判断に影響する部分ではないため、乙9マ スクは、実質的には乙7製造方法で製造されたものといえるから、前記⑷の判断に直接影響するものではない。したがって、原告の主張は、結論を左右するものではない。 また、原告は、乙9マスクの不具合の原因は「開口不良」にあるとされているのであるから といえるから、前記⑷の判断に直接影響するものではない。したがって、原告の主張は、結論を左右するものではない。 また、原告は、乙9マスクの不具合の原因は「開口不良」にあるとされているのであるから、開口形状を分析すれば足り、突起形状までを解析する意 味はなく、乙9写真は、乙9の「開口形状(3D観察)」欄に掲載されていることからすれば、これが事後に差し替えられた可能性があると主張する。 しかし、証拠(乙11)及び弁論の全趣旨によれば、乙9は、乙9マスクの不具合の原因について、総合的な調査結果を説明するために、結果的には、不具合に影響しないと判明した乙9写真をも掲載したものであることが認め られ、また、「開口形状(3D観察)」(乙9・8頁)として掲載されてい ることについても、「ポスト形状」(乙9・2頁)とすべきところの誤記であることは明らかであるから、原告の主張は、いずれも証拠の信用性に影響するものとはいえない。また、乙9写真が、甲15にも掲載されているとしても、甲15記載の製造方法とは異なる製造方法の比較例として、掲載されたにすぎないといえるから、この点についても、乙9写真に事後の差し替え があることの根拠とすることはできない。したがって、この点に係る原告の主張も失当である。 ⑺ 以上に加え、原告提出の準備書面及び書証を改めて検討しても、前記⑷の結論を左右するに至らない。したがって、被告製品2に係る先使用の抗弁は理由があるから、その余の点を検討するまでもなく、本件訂正発明2に係る 原告の請求は理由がない。 7 争点6(本件訂正発明1に係る原告の損害の額)について⑴ 被告製品1の売上高被告提出の売上資料等(乙78、79)及び弁論の全趣旨によれば、被告製品1は、平成23年1月1日から平成31年2月2 争点6(本件訂正発明1に係る原告の損害の額)について⑴ 被告製品1の売上高被告提出の売上資料等(乙78、79)及び弁論の全趣旨によれば、被告製品1は、平成23年1月1日から平成31年2月28日まで、●(省略) ●を売り上げたものと認めることができる。これに対し、原告は、当該資料における集計が過少であると主張し、被告が提出する売上資料の不審点を指摘し、実際の売上高は合計43億7913万円を下らないとする推計をするが、以下のとおり、いずれも失当である。 ア原告は、被告の主張によれば、メタルマスク全体の売上げのうち、電解 マーキング法によるものの割合が過少になると主張する。 しかし、原告が、原告における電解マーキングの使用割合は35%であると主張するのに対し、被告における電解マーキングによるものの売上割合は●(省略)●であることが認められる(乙93、99)。それにもかかわらず、原告は、これが過少であると考えるべき具体的な主張立証をし ないのであるから、原告の主張は、上記判断を左右するに至らない。 イ原告は、被告が、電解マーキングによる製品を●(省略)●による製品に切り替えたことの客観的立証がないと指摘する。 しかし、被告が、本件訴訟の提起後である平成30年12月17日、電解マーキングによる方法に代え、●(省略)●による方法を採用することとし、前者の最終受注日が平成31年2月28日であったとする被告の主 張立証に格別不自然な点は見当たらず(乙73、74、79)、この点に係る原告の指摘も結論を左右するものとはいえない。 ウ原告は、被告が主張する●(省略)●からの受注数は、●(省略)●の当時の発注規模などに照らせば、過少であると主張する。 しかし、原告は、原告が指摘する●(省略)●の「植球鋼板」の はいえない。 ウ原告は、被告が主張する●(省略)●からの受注数は、●(省略)●の当時の発注規模などに照らせば、過少であると主張する。 しかし、原告は、原告が指摘する●(省略)●の「植球鋼板」の総発注 量(甲25)のうち、被告に対する発注が占めたであろう割合の程度を判断するための客観的証拠を何ら提出しないのであるから、原告の当該主張を考慮することはできない。原告は、そのほかに誤記等の存在を指摘するが、いずれにせよ、この点の判断を左右する事情とはならない。 エ原告は、被告が●(省略)●に納入したマスクの写真(甲26)を根拠 に、被告と●(省略)●との間にも取引があったはずであると主張する。 しかし、甲26によっても、その認識マークの有無及び形状等は明らかではなく、被告は、これが本件訴訟の対象から除外された「エリアブラック工法」による認識マークであったと主張する。そうすると、被告と●(省略)●との間に、本件訴訟の対象となる電解マーキングによる認識マ ークを刻印したメタルマスクの取引があったということはできない。 オ原告は、原告と●(省略)●との間の取引実績との比較を根拠に、被告の●(省略)●に対する売上げが過少であると主張する。 しかし、乙104によれば、被告と●(省略)●との間の取引の大部分は、ハーフエッチングによる処理のみで認識マークを刻印する方式であっ たと認められるから、原告の当該主張は根拠を欠くものである。また、原 告は、●(省略)●で使用する無光沢メッキによるマスクの場合、ハーフエッチングのみではマークを認識することができないと主張し、乙104の信用性を争うが、「高硬度3」(乙110)のメッキを使用した場合にも、その認識が困難であるかについて、何ら反証をしないのであるから、採用の限りで はマークを認識することができないと主張し、乙104の信用性を争うが、「高硬度3」(乙110)のメッキを使用した場合にも、その認識が困難であるかについて、何ら反証をしないのであるから、採用の限りではない。 カ原告は、被告が主張する●(省略)●からの受注数は、●(省略)●の総発注量などに照らせば、過少であるなどと主張する。 しかし、原告は、原告が入手した●(省略)●の総発注量(甲27)のうち、被告に対する発注が占めたであろう割合の程度を判断するための客観的証拠を何ら提出しないのであるから、原告の当該主張を考慮すること はできない。そのほかに、原告が●(省略)●との関係で指摘する点も、この点の判断を左右する事情とはいえない。 ⑵ 相当実施料率ア特許法102条3項の「受けるべき金銭の額」を算定する基礎となる相当実施料率については、①当該特許発明の実際の実施許諾契約における実 施料率や、それが明らかでない場合には業界における実施料の相場等も考慮に入れつつ、②当該特許発明自体の価値すなわち特許発明の技術内容や重要性、他のものによる代替可能性、③当該特許発明を当該製品に用いた場合の売上げ及び利益への貢献や侵害の態様、④特許権者と侵害者との競業関係や特許権者の営業方針等訴訟に現れた諸事情を総合考慮して、合理 的な料率を定めるべきである(知財高裁平成30年(ネ)第10063号令和元年6月7日特別部判決参照)。 イこれを本件についてみると、本件訂正発明1の実際の許諾例は存在しないものの、後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば、実施料の相場について、「精密機器」の特許の実施料率が、平均3.5%(最大値9.5%、最低 値0.5%)であり、「その他」の分野の司法決定の実施料率が、平均7. 3%(最大値12.0%、 施料の相場について、「精密機器」の特許の実施料率が、平均3.5%(最大値9.5%、最低 値0.5%)であり、「その他」の分野の司法決定の実施料率が、平均7. 3%(最大値12.0%、最小値3.0%)であると報告された例があること(甲22)、原告が、第三者との間で、その発明の名称を「導電性ボール配列用マスク及びその製造方法」とする特許について、実施料率を10%とする旨の合意をしたことがあり(甲23)、その発明の名称を「クリーム半田用メタルマスクおよびスクリーン印刷用スキージ技術」とする 特許について、実施料率を20%とする合意をしたことがあること(甲24)、以上の事実を認めることができる。 これに対し、被告は、これらの許諾例は、認識マークの電解処理とは無関係なものを抽象的に一括するものであると主張するが、特許発明の属する一定の範囲の分野を相当実施料率の考慮要素とすることは正当であり、 被告が指摘するような個別具体的な特許発明の内容については、特許発明自体の価値や技術内容の観点から考慮するのが相当である。 ウそして、本件訂正発明1は、前記1⑴のとおり、認識マークを形成する従来の技術が、認識マークとして充填したトナーが凹部から脱落し、また、箔物メタルマスクに適用することが困難であるという欠点があったため、 これを解消するものであって、本件訂正発明1と同一の作用効果を代替する技術があることを認めるに足りる証拠はない。ただし、現在においても、本件訂正発明1の電解マーキングよる認識マーク以外の認識マークの形成方法も相当な割合で使用されており(乙93、99)、顧客によっては、電解マーキング以外の方法を特に指示する場合があることも認められるこ とからすると、メタルマスクの認識マークに係る市場において、本件訂正 な割合で使用されており(乙93、99)、顧客によっては、電解マーキング以外の方法を特に指示する場合があることも認められるこ とからすると、メタルマスクの認識マークに係る市場において、本件訂正発明1の方法が、唯一の実用的な技術であるとまでいうことはできない。 エ上記のような本件訂正発明1の技術内容や重要性に照らせば、これを実施することは、原告及び被告にとって、相応に売上げや利益に貢献するものであるといえる。そして、原告が、本件訂正発明1に係る技術を広く宣 伝等しているとは認められないとしても(乙97)、原告と被告が、本件 訂正発明1に係るメタルマスクの分野で競合する会社同士であることを考慮すれば、仮に、原告が、被告に対し、本件訂正発明1の実施を許諾するとすれば、その実施料は相当に高額になったものといえる。 このような事情に加え、特許法102条3項の「受けるべき金銭の額」を算定する基礎となる相当実施料率は、特許権侵害をした者に対し事後的 に定められるものであって、通常の実施料率に比べて自ずと高額になることをも踏まえると、被告製品1による本件訂正発明1の侵害に係る実施料率としては、売上高の●(省略)●%を認めるのが相当である。 オなお、被告は、侵害論に係る裁判所の心証開示後、損害論の相当実施料率の考慮要素として、本件訂正発明1が、既知の技術であり、被告が、先 使用していたものであるなどとして、乙2メタルマスクとは別個の製品に係る分析結果などを証拠提出した。しかし、当該主張は、実質的には先使用の抗弁(争点2)の根拠となる事由を追加するものであり、訴訟の完結を遅延させると認められたことから、当裁判所は、被告に対し、上記証拠提出に係る主張を補充しないように訴訟指揮をした。そして、被告は、こ れを侵害論の となる事由を追加するものであり、訴訟の完結を遅延させると認められたことから、当裁判所は、被告に対し、上記証拠提出に係る主張を補充しないように訴訟指揮をした。そして、被告は、こ れを侵害論の段階で主張立証し得なかった理由を特に説明しないのであるから、当該主張立証は、時機に後れた攻撃防御方法(民事訴訟法157条1項)として、原告の申立てに基づき却下するのが相当である。 ⑶ 消滅時効の抗弁についてア民法724条前段の「損害及び加害者を知った時」とは、加害者に対す る賠償請求が事実上可能な状況の下に、その可能な程度にこれを知った時を意味し、そのためには、違法行為による損害の発生及び加害者を現実に了知したことを要すると解される。そうすると、物の製造販売による特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求においては、被害者である特許権者が、加害者による当該物の製造販売の事実及び損害発生の事実を認識し たことに加え、当該物が当該特許権に係る特許発明の技術的範囲に属する ことを認識したことも必要であるというべきである(知財高裁平成29年(ネ)第10071号同30年3月22日判決参照)。 イそこで検討するに、被告は、甲3及び4の記載を根拠に、原告が、甲3の作成日付である平成22年7月6日までには、損害及び加害者を知ったと主張する。しかし、甲3の記載内容を具体的に検討すると、原告の担当 者が●(省略)●との交渉において、「アテネでも認識のスキージ面ハーフが最近出来るようになったらしい」との情報を得たことを報告するものにすぎず、しかも、同時に、被告の方法は、「樹脂埋めしているらしく」、「取れないように認識マークの表面をコーティングしている様子」であると聴き取っているのであるから、原告が、このような記載によって、上記 かも、同時に、被告の方法は、「樹脂埋めしているらしく」、「取れないように認識マークの表面をコーティングしている様子」であると聴き取っているのであるから、原告が、このような記載によって、上記 アの意味における「損害及び加害者を知った」と認める余地がないことは明らかである。また、甲4の記載内容を具体的に検討しても、原告の担当者は、被告が「アテネもスキージ面ハーフ認識が出来るようになったらしいのでどのようにやっているか確認が必要」という認識であったにとどまるから、甲4を根拠に、原告が「損害及び加害者を知った」と認める余地 もない。 ウしたがって、この点に係る被告の主張は採用し得ず、そのほかに、原告が、原告が自認する平成30年6月14日付け実験結果報告書(甲5)の結果を得る以前に、前記アの意味における「損害及び加害者を知った」とすべき主張立証はないから、被告の消滅時効の抗弁は理由がない。 ⑷ 原告に生じた損害の額以上によれば、特許法102条3項による損害は、前記⑴の売上高●(省略)●に、前記⑵の相当実施料率●(省略)●を乗じた5209万2120円と算定される。そして、本件事案の内容、難易度、審理経過及び認容額等に鑑み、これと相当因果関係のある弁護士費用相当損害額は、520万92 12円と認めるのが相当である。そうすると、本件訂正発明1に係る特許侵 害による原告の損害額は、合計5730万1332円となる(ただし、遅延損害金の起算日は、最終の販売日である平成31年2月28日からの限度で認める。また、不当利得返還請求である予備的請求については、以上のとおり認定及び判断したところに照らせば、不法行為に対する損害賠償請求である主位的請求の認容額を上回らないことが明らかである。)。 8 結論よって、原 求である予備的請求については、以上のとおり認定及び判断したところに照らせば、不法行為に対する損害賠償請求である主位的請求の認容額を上回らないことが明らかである。)。 8 結論よって、原告の請求は、本件訂正発明1に係る請求について、主文記載の限度で理由があるから、その限度で認容し、その余は理由がないから、いずれも棄却することとし、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 中島基至 裁判官 𠮷野俊太郎 裁判官 齊藤敦 (別紙)被告製品目録 1 製品名メタルマスク型式番号「7F66-K40-4-BMP-ULA-RE06(L:0/S:0) S/FX:1.00000 Y:1.00000」構成a 半田ペーストをプリント配線板に塗布形成するための複数の開口部が形成されたメタルマスクであって、b 前記開口部から、それぞれ近接した箇所に複数の認識マークが設けられ、この認識マークは電解処理によって刻印されているc ことを特徴とするメタルマスク 2 製品名メタルマスク型式番号「2231354A01-U01H(REV-A) S/FX:1.000030 Y:1.000120」構成以下の被告方法によって生産されたメタルマスクa メッキにより形成され、複数の開口部が形成されたマスク本体と、b メッキにより形成され、マスク本体裏面の開口部以外に部分的に突出された突起とを備え、c 突起の先端部は、その周縁エッジ部が丸味を持ったR形状に形成されているボール配列用マスクの製造方法であって、d1 SUS板の上面にドライフィルムレジストをラミネートする工程 起とを備え、c 突起の先端部は、その周縁エッジ部が丸味を持ったR形状に形成されているボール配列用マスクの製造方法であって、d1 SUS板の上面にドライフィルムレジストをラミネートする工程d2 後で突起になる箇所(1段目POSTと呼ぶ)にメッキが付くよう露光現像を行う工程e 一次メッキを行う工程 f 一次メッキ後にレジストを剥離する工程g 突起以外の一次メッキ層を除去する工程h1 二次メッキ用のドライフィルムレジストをラミネートする工程h2 開口となりうる箇所が残るように露光現像する工程i 二次メッキを行う工程j 二次メッキ後にレジストを剥離する工程kSUS板より一次メッキと二次メッキにより一体になったメタルマスクを剥離する工程l 一次メッキの突起になる箇所に二次メッキを重ねることで突起が丸み(R形状)を帯びる工程を備えたことを特徴とするボール配列用のメタルマスクの製造方法※ なお、被告製品1及び2はいずれも受注生産された製品であることから、全ての型式番号を特定することは困難である。したがって、上記型式番号はそれぞれ被告製品1、2の具体例である。 (別紙)被告製品説明書 1 被告製品1の構成被告製品1の構成は、以下のとおりである。 ⑴ 構成a 半田ペーストをプリント配線板に塗布形成するための複数の穴(開口部)が開いている金属板(メタルマスク)であって、⑵ 構成b前記メタルマスクに形成された複数の開口部から、それぞれ近接した箇所に合計4個の認識マークが設けられ、この認識マークは、実験結果報告書(甲4) 記載のとおり、電解処理によって刻印されている。 ⑶ 構成cことを特徴とするメタルマスク。 2 被告製品1の写真(正面写真・裏面写真)⑴ れ、この認識マークは、実験結果報告書(甲4) 記載のとおり、電解処理によって刻印されている。 ⑶ 構成cことを特徴とするメタルマスク。 2 被告製品1の写真(正面写真・裏面写真)⑴ 被告製品1(メタルマスク)の正面に被告会社名と日付(2012/09/ 11)が確認できる。 (写真1)(写真2) ⑵ 2012年9月11日に製造された被告製品1(メタルマスク)の裏面上の開口部付近に黒色の認識マークが各角に1つずつ、合計4つ確認できる。 (写真3)(写真4) (写真5 全体) (図6 左上)(図7 右上) (図8 左下)(図9 右下) (別紙)被告方法目録ボール配列用マスクの製造方法 (別紙)被告方法説明書被告方法の構成は、以下のとおりである。 a メッキにより形成され、複数の開口部が形成されたマスク本体と、b メッキにより形成され、マスク本体裏面の開口部以外に部分的に突出された突 起とを備え、c 突起の先端部は、その周縁エッジ部が丸味を持ったR形状に形成されているボール配列用マスクの製造方法であって、d1 SUS板の上面にドライフィルムレジストをラミネートする。(図1)d2 後で突起になる箇所(1段目POSTと呼ぶ)にメッキが付くよう露光現像を 行う。(図1)e 一次メッキを行う。(図2)f 一次メッキ後にレジストを剥離する。(図3)g 突起以外の一次メッキ層を除去する。(図4)h1 二次メッキ用のドライフィルムレジストをラミネートする。(図5) h2 開口となりうる箇所が残るように露光現像する。(図6)i 二次メッキを行う。(図7)j 二次メ h1 二次メッキ用のドライフィルムレジストをラミネートする。(図5) h2 開口となりうる箇所が残るように露光現像する。(図6)i 二次メッキを行う。(図7)j 二次メッキ後にレジストを剥離する。(図8)kSUS板より一次メッキと二次メッキにより一体になったメタルマスクを剥離する。(図9) l 一次メッキの突起になる箇所に二次メッキを重ねることで突起が丸み(R形状)を帯びる。(図7~9)

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