平成26年(行ウ)第46ないし57号生活保護変更決定処分取消請求事件令和5年5月26日千葉地方裁判所民事第3部判決口頭弁論終結日令和4年12月2日 主文 1 別紙処分一覧表「処分庁」欄記載の各処分行政庁が同表「原告名」欄記載の各原告に対して同表「処分日」欄記載の各日付でした生活保護法25条2項の規定による保護変更決定のうち減額部分を取り消す。 2 訴訟費用は被告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求の趣旨主文同旨第2 事案の概要本件は、千葉県内において生活保護法による保護を受けている原告らが、厚生労働大臣は、平成25年5月16日厚生労働省告示第174号(以下「平成25年告示」 という。)、平成26年3月31日厚生労働省告示第136号(以下「平成26年告示」という。)、平成27年3月31日厚生労働省告示第227号(以下「平成27年告示」という。)により「生活保護法による保護の基準」(昭和38年厚生省告示第158号。以下「保護基準」という。)に定める生活扶助の基準の改定を行った(以下、上記各告示による改定をそれぞれ「平成25年改定」「平成26年改定」「平成27年 改定」といい、これらを併せて「本件改定」という。)ところ、平成25年改定に伴い各処分行政庁から平成25年8月1日以降の生活扶助費を減額する保護変更決定(以下「本件各変更決定」という。)をそれぞれ受けたことから、本件各変更決定は、憲法25条、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(昭和54年条約第6号。以下「社会権規約」という。)9条、生活保護法3条、8条、56条に違反 するも けたことから、本件各変更決定は、憲法25条、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(昭和54年条約第6号。以下「社会権規約」という。)9条、生活保護法3条、8条、56条に違反 するものであると主張して、各処分行政庁が所属する被告らに対し、本件各変更決定 のうち減額部分の取消しを求める事案である。 1 関係法令の定め等⑴ 憲法ア 25条すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。(1項) 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。(2項)イ 98条2項日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。 ⑵ 社会権規約ア 2条この規約の各締約国は、立法措置その他のすべての適当な方法によりこの規約において認められる権利の完全な実現を漸進的に達成するため、自国における利用可能な手段を最大限に用いることにより、個々に又は国際的な援助及び協 力、特に、経済上及び技術上の援助及び協力を通じて、行動をとることを約束する。(1項)この規約の締約国は、この規約に規定する権利が人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位によるいかなる差別もなしに行使されることを保障することを約束す る。(2項)イ 9条この規約の締約国は、社会保険その他の社会保障についてのすべての者の権利を認める。 ウ 11条1項 この規約の締約国は、自己及びその家族のための相当な食糧、衣類及び住居を 内容とする相 会保険その他の社会保障についてのすべての者の権利を認める。 ウ 11条1項 この規約の締約国は、自己及びその家族のための相当な食糧、衣類及び住居を 内容とする相当な生活水準についての並びに生活条件の不断の改善についてのすべての者の権利を認める。締約国は、この権利の実現を確保するために適当な措置をとり、このためには、自由な合意に基づく国際協力が極めて重要であることを認める。 ⑶ 生活保護法 ア 1条(この法律の目的)この法律は、日本国憲法25条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。 イ 2条(無差別平等) すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護を、無差別平等に受けることができる。 ウ 3条(最低生活)この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。 エ 4条(保護の補足性)保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。 (1項)民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律 による保護に優先して行われるものとする。(2項)前2項の規定は、急迫した事由がある場合に、必要な保護を行うことを妨げるものではない。(3項)オ 5条(この法律の解釈及び運用)前4条に規定するところは、この法律の基本原理であって、この法律の 急迫した事由がある場合に、必要な保護を行うことを妨げるものではない。(3項)オ 5条(この法律の解釈及び運用)前4条に規定するところは、この法律の基本原理であって、この法律の解釈及 び運用は、すべてこの原理に基いてされなければならない。 カ 7条(申請保護の原則)保護は、要保護者、その扶養義務者又はその他の同居の親族の申請に基いて開始するものとする。但し、要保護者が急迫した状況にあるときは、保護の申請がなくても、必要な保護を行うことができる。 キ 8条(基準及び程度の原則) 保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする。(1項)前項の基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分な ものであって、且つ、これをこえないものでなければならない。(2項)ク 9条(必要即応の原則)保護は、要保護者の年齢別、性別、健康状態等その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効且つ適切に行うものとする。 ケ 10条(世帯単位の原則) 保護は、世帯を単位としてその要否及び程度を定めるものとする。但し、これによりがたいときは、個人を単位として定めることができる。 コ 11条(種類)保護の種類は、次のとおりとする。(1項)一生活扶助 二教育扶助三住宅扶助四医療扶助五介護扶助六出産扶助 七生 とおりとする。(1項)一生活扶助 二教育扶助三住宅扶助四医療扶助五介護扶助六出産扶助 七生業扶助 八葬祭扶助前項各号の扶助は、要保護者の必要に応じ、単給又は併給として行われる。 (2項)サ 12条(生活扶助)生活扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対し て、左に掲げる事項の範囲内において行われる。 一衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なもの二移送シ 13条(教育扶助)教育扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対し て、左に掲げる事項の範囲内において行われる。 一義務教育に伴って必要な教科書その他の学用品二義務教育に伴って必要な通学用品三学校給食その他義務教育に伴って必要なものス 14条(住宅扶助) 住宅扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。 一住居二補修その他住宅の維持のために必要なものセ 15条(医療扶助) 医療扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。 一診察二薬剤又は治療材料三医学的処置、手術及びその他の治療並びに施術 四居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護 五病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護 、手術及びその他の治療並びに施術 四居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護 五病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護六移送ソ 25条(職権による保護の開始及び変更)保護の実施機関は、要保護者が急迫した状況にあるときは、すみやかに、職権をもって保護の種類、程度及び方法を決定し、保護を開始しなければならない。 (1 項)保護の実施機関は、常に、被保護者の生活状態を調査し、保護の変更を必要とすると認めるときは、速やかに、職権をもってその決定を行い、書面をもって、これを被保護者に通知しなければならない。(以下省略。2項)タ 31条(生活扶助の方法) 生活扶助は、金銭給付によって行うものとする。但し、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によって行うことができる。(1項)チ 32条(教育扶助の方法)教育扶助は、金銭給付によって行うものとする。但し、これによることができ ないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によって行うことができる。(1項)ツ 33条(住宅扶助の方法)住宅扶助は、金銭給付によって行うものとする。但し、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するため に必要があるときは、現物給付によって行うことができる。(1項)テ 34条(医療扶助の方法)医療扶助は、現物給付によって行うものとする。但し、これによることができないとき、これに 必要があるときは、現物給付によって行うことができる。(1項)テ 34条(医療扶助の方法)医療扶助は、現物給付によって行うものとする。但し、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、金銭給付によって行うことができる。(1項) ト 56条(不利益変更の禁止) 被保護者は、正当な理由がなければ、既に決定された保護を、不利益に変更されることがない。 ⑷ 保護基準(乙1、弁論の全趣旨)ア一ないし三生活扶助、教育扶助、住宅扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助及 び葬祭扶助の基準はそれぞれ別表第1から別表第8までに定めるところによる。(一)要保護者に特別の事由があって、前項の基準によりがたいときは、厚生労働大臣が特別の基準を定める。(二)別表第1、別表第3、別表第6及び別表第8の基準額に係る地域の級地区分 は、別表第9に定めるところによる。(以下省略)(三)イ生活扶助の基準(別表第1。以下「生活扶助基準」という。)の概要は、次のとおりである。 生活扶助基準は、衣食などの日常生活に必要な基本的かつ経常的経費についての最低生活費を定めるものである。この生活扶助基準は、基準生活費(別表 第1第1章)と加算(同表第1第2章)に大別される。 基準生活費は、個人単位に消費される経費(例えば、飲食費、被服費)に対応する基準として年齢別に定められた第1類の表に定める個人別の額を合算した額(以下「第1類費」という。)と、世帯全体としてまとめて支出される経費(例えば、光熱水費、家具什器費)に対応する基準として世帯人員数別に定められ められた第1類の表に定める個人別の額を合算した額(以下「第1類費」という。)と、世帯全体としてまとめて支出される経費(例えば、光熱水費、家具什器費)に対応する基準として世帯人員数別に定められ た第2類の表に定める世帯別の額(以下「第2類費」という。)との合計額とされる。第2類の表に定める額には、冬季(11月から翌年3月まで)の暖房費等の経費に対応する基準として冬季加算基準額が含まれるが、この額は、都道府県を単位とした区分(Ⅰ区ないしⅥ区)を基に定められている。12月の基準生活費には、上記により算定された額に世帯人員数別に定められた期末一時扶 助費を加えることとされている。千葉県はⅥ区に区分されている。 加算は、障害があるため最低生活を営むためには健常者に比してより多くの費用を必要とする障害者や、通常以上の栄養補給を必要とする在宅患者、胎児のための栄養補給を必要とする妊婦等のように、特別な需要を有する者について、これらの特別需要に対応できるように、基準生活費に加算して支給されるものである。 ウ級地(別表9)の概要は、次のとおりである。 保護基準は、全国の市町村を1級地-1、1級地-2、2級地-1、2級地-2、3級地-1及び3級地-2の6区分の級地に分類した上、各級地に応じて定められ、当該市町村内に居住する各生活保護受給世帯に適用される。 原告らの居住地のうち、千葉市、習志野市、市川市、船橋市及び松戸市の級地 は1級地-2であり、鎌ケ谷市、市原市及び流山市の級地は2級地-1であり、富里市の級地は3級地-2である。 ⑸ 厚生労働省設置法ア 6条(設置)本省に、次の審議会等を置く。(1項) 社会保障審議会(以下省略) であり、富里市の級地は3級地-2である。 ⑸ 厚生労働省設置法ア 6条(設置)本省に、次の審議会等を置く。(1項) 社会保障審議会(以下省略)イ 7条(社会保障審議会)社会保障審議会は、次に掲げる事務をつかさどる。(1項)一厚生労働大臣の諮問に応じて社会保障に関する重要事項を調査審議すること。 二省略三前2号に規定する重要事項に関し、厚生労働大臣又は関係行政機関に意見を述べること。 四省略前項に定めるもののほか、社会保障審議会の組織、所掌事務及び委員その他の 職員その他社会保障審議会に関し必要な事項については、政令で定める。 (2項) ⑹ 社会保障審議会令(平成12年政令第282号。令和4年政令第25号による改正前のもの)ア 1条(組織)社会保障審議会は、委員30人以内で組織する。(1項)イ 2条(委員等の任命) 委員及び臨時委員は、学識経験のある者のうちから、厚生労働大臣が任命する。(1項)ウ 6条(部会)審議会及び分科会は、その定めるところにより、部会を置くことができる。 (1項) エ 11条(雑則)この政令に定めるもののほか、議事の手続その他審議会の運営に関し必要な事項は、会長が審議会に諮って定める。 ⑺ 社会保障審議会運営規則(平成13年1月30日社会保障審議会決定。甲90の3) ア 1条(会議)社会保障審議会は、会長が召集する。(1項)イ 2条(審議会の部会の設置)会長は、必要があると認めるときは、審議会に諮って部会 3) ア 1条(会議)社会保障審議会は、会長が召集する。(1項)イ 2条(審議会の部会の設置)会長は、必要があると認めるときは、審議会に諮って部会(分科会に置かれる部会を除く。)を設置することができる。(1項) 会長は、必要があると認めるときは、2以上の部会を合同して調査審議させることができる。(2項)ウ 8条(委員会の設置)分科会長又は部会長は、必要があると認めるときは、それぞれ分科会又は部会に諮って委員会を設置することができる。 2 前提事実(当事者間に争いがない事実又は各項に掲記の証拠若しくは弁論の全趣旨 により容易に認めることができる事実)⑴ 当事者原告らは、本件各変更決定の時において、被保護者であった者である。(弁論の全趣旨)各処分行政庁は、保護の実施機関である市長又は同市長から保護の決定及び実 施に関する事務の委任を受けたものである。被告らは、各処分行政庁が所属する普通地方公共団体である。(公知の事実)⑵ 社会保障審議会社会保障審議会は、厚生労働省の本省に置かれた審議会であり(厚生労働省設置法6条1項)、厚生労働大臣の諮問に応じて社会保障に関する重要事項を調査審議 することや、上記重要事項に関し、厚生労働大臣又は関係行政機関に意見を述べること等を所掌事務とする(同法7条1項)。なお、厚生労働省の設置前においては、社会福祉事業法6条1項の規定により、厚生省に中央社会福祉審議会が置かれており、同審議会に、生活保護法の施行に関する事項を調査審議するため、生活保護専門分科会が置かれていた。(公知の事実) ⑶ 生活扶助基準の改定方式の変遷ア水 祉審議会が置かれており、同審議会に、生活保護法の施行に関する事項を調査審議するため、生活保護専門分科会が置かれていた。(公知の事実) ⑶ 生活扶助基準の改定方式の変遷ア水準均衡方式の採用に至る経過生活扶助基準は、衣食などの日常生活に必要な基本的かつ経常的経費についての最低生活費を定めたものであるところ、その改定に当たり、基準生活費の算出方式として、① 当初は、マーケットバスケット方式(最低生活を営むた めに必要な飲食物費や衣類、家具什器、入浴料といった個々の品目を一つ一つ積み上げて最低生活費を算出する方式)が、② 昭和36年からは、エンゲル方式(栄養審議会の答申に基づく栄養所要量を満たし得る食品を理論的に積み上げて計算し、別に低所得世帯の実態調査から、この飲食物費を支出している世帯のエンゲル係数の理論値を求め、これから逆算して総生活費を算出する方 式)が、③ 昭和40年からは、格差縮小方式(政府経済見通しにおける個人 消費の伸び率に格差縮小分を上乗せし、一般国民の消費水準の伸び率以上に生活扶助基準を引き上げ、一般国民と生活保護受給世帯の消費水準の格差の縮小を図る方式)が、それぞれ採用された。(乙7の2)イ水準均衡方式の採用中央社会福祉審議会は、昭和58年12月23日、「生活扶助基準及び加算の あり方について(意見具申)」(以下「昭和58年意見具申」という。)を取りまとめ、厚生大臣に提出した。(乙8)厚生大臣は、昭和58年意見具申を受けて、昭和59年度から、水準均衡方式を採用した。水準均衡方式は、当該年度に想定される一般国民の消費動向を踏まえると同時に、前年度までの一般国民の消費実態との調整を図る方式である。 水準均衡方式は、政府 9年度から、水準均衡方式を採用した。水準均衡方式は、当該年度に想定される一般国民の消費動向を踏まえると同時に、前年度までの一般国民の消費実態との調整を図る方式である。 水準均衡方式は、政府経済見通しにおける個人消費の伸びに準拠して翌年度の改定率を算定する点においては格差縮小方式と異ならないが、格差縮小分を上乗せせず、個人消費の伸びに関する指標の実績値との調整を図ることとしている点において格差縮小方式と異なる。(乙7の2、弁論の全趣旨)⑷ 水準均衡方式における生活扶助基準の設定 ア最低生活費の算出現在、世帯員の年齢や世帯人員数に応じた最低生活費は、次のないしの方法により算出されている。(乙10、21、弁論の全趣旨) 一定の基準となる世帯(昭和61年4月以降、夫婦子1人(33歳、29歳、4歳)の3人世帯。以下「標準世帯」といい、特に断らない限り1級地-1の ものを指す。)の生活扶助基準額を決定する。 一般世帯の消費実態における第1類費に相当する支出額(飲食物費、被服費等が相当)と第2類費に相当する支出額(光熱水費、家具什器費等が相当)の構成割合を参考として、上記の生活扶助基準額を第1類費と第2類費に分割する。 上記により得られた標準世帯の第1類費については、これに基づき、20 ~40歳の栄養所要量を100とした場合の年齢階級別の指数を乗ずることにより、世帯員の年齢階級別の第1類費の基準額を算出する。 上記により得られた標準世帯の第2類費については、これを100として、世帯人員別に定めた換算率(一般低所得世帯における世帯人員別の消費支出を参考とした指数)を乗ずることにより、世帯人員別の第2類費の基準 額を算出 準世帯の第2類費については、これを100として、世帯人員別に定めた換算率(一般低所得世帯における世帯人員別の消費支出を参考とした指数)を乗ずることにより、世帯人員別の第2類費の基準 額を算出する。 世帯ごとの最低生活費は、上記により得られた第1類費の基準額と上記により得られた第2類費の基準額を、当該世帯における世帯員の年齢及び世帯人員数に応じて組み合わせることにより算出する。 イ生活扶助基準の改定方法 水準均衡方式における生活扶助基準の改定に当たっても、標準世帯の生活扶助基準額に水準均衡方式により算定される改定率を乗じた上、この改定された基準額を起点として、上記アの方法により第1類費及び第2類費を設定し、1級地-1以外の級地については、さらに1級地-1の基準額を起点に級地間格差をもって基準額を設定することにより、各世帯に対応する改定後の基準生活費が 算出されている(以下、標準世帯における生活扶助基準額から、年齢階級別、世帯人員別、級地別の最低生活費を算出する過程の全部又は一部を「展開」という。)。(乙10、弁論の全趣旨)⑸ 本件改定に至る経過ア平成16年検証 平成15年7月、社会保障審議会福祉部会の下に、保護基準の在り方を始め生活保護制度全般についての検討を目的とする「生活保護制度の在り方に関する専門委員会」(以下「専門委員会」という。)が設置された。(乙12の1)専門委員会は、平成15年12月16日付け「生活保護制度の在り方についての中間取りまとめ」(以下「平成15年中間取りまとめ」という。)において生活 扶助基準についての考え方を示し(乙13)、平成16年12月15日付け「生 活保護制度の在り方に関する専門委員会 取りまとめ」(以下「平成15年中間取りまとめ」という。)において生活 扶助基準についての考え方を示し(乙13)、平成16年12月15日付け「生 活保護制度の在り方に関する専門委員会報告書」(以下「平成16年報告書」という。)を取りまとめた(乙4)。専門委員会は、平成16年報告書において、「勤労3人世帯の生活扶助基準について、低所得世帯の消費支出額との比較において評価検証した結果、その水準は基本的に妥当であったが、今後、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているかを定期的に見 極めるため、全国消費実態調査等を基に5年に一度の頻度で検証を行う必要がある」とした。(以下、専門委員会による検証を「平成16年検証」という。)イ平成19年検証平成19年10月、厚生労働省社会援護局長の下に、生活扶助基準について、学識経験者により全国消費実態調査の結果を用いて専門的な分析検討を行うこ とを目的とする「生活扶助基準に関する検討会」(以下「検討会」という。)が設置された。(乙14の1)検討会は、平成19年11月30日付け「生活扶助基準に関する検討会報告書」(以下「平成19年報告書」という。)を取りまとめた(乙5)。検討会は、平成19年報告書において、生活扶助基準の水準について、保護を受給してい ない低所得世帯における消費実態との均衡が適切に図られているかを評価検証し、① 標準世帯の年間収入階級第1十分位層(対象世帯を収入が低い方から順に並べ、世帯数が等しくなるよう十等分したもの。以下、収入が低い層から第1ないし第10の序数を付して「第1十分位」などといい、五等分したものについても同様に「第1五分位」などという。)の消費水準と生活扶助基準額を 比較して均衡が たもの。以下、収入が低い層から第1ないし第10の序数を付して「第1十分位」などといい、五等分したものについても同様に「第1五分位」などという。)の消費水準と生活扶助基準額を 比較して均衡が図られているか、② 単身世帯の第1十分位の消費水準と生活扶助基準額を比較して、均衡が図られているかを検討したところ、上記①の標準世帯の第1十分位における生活扶助相当支出額よりもそれらの世帯の平均の生活扶助基準額の方がやや高めとなっており、上記②の単身世帯の第1十分位における生活扶助相当支出額よりもそれらの世帯の平均の生活扶助基準額の方 が高めとなっているとした。(以下、検討会による検証を「平成19年検証」と いう。)ウ平成25年検証平成23年2月、学識経験者による専門的かつ客観的な検証を行うため、社会保障審議会の下に、保護基準の定期的な評価検証について審議するための常設の部会として、生活保護基準部会(以下「基準部会」という。)が設置された。 (乙 6)基準部会は、平成25年1月18日付け「社会保障審議会生活保護基準部会報告書」(以下「平成25年報告書」という。)を取りまとめた(乙6)。基準部会は、平成25年報告書において、① 年齢階級別(第1類費)の基準額の水準について、年齢階級別の生活扶助基準額による指数と第1十分位の消費実態に よる指数を比べると、年齢階級間の指数に乖離があること、② 世帯人員別(第1類費及び第2類費)の基準額の水準について、第1類費における世帯人員別の生活扶助基準額による指数と第1十分位の消費実態による指数を比べると、世帯人員数が増えるにつれて乖離が拡大する傾向があり、第2類費における世帯人員別の生活扶助基準額による指数と第1十分位の消費実態による指数を比 による指数と第1十分位の消費実態による指数を比べると、世帯人員数が増えるにつれて乖離が拡大する傾向があり、第2類費における世帯人員別の生活扶助基準額による指数と第1十分位の消費実態による指数を比 べると、世帯人員数が増えるにつれて乖離が拡大する傾向があること、③ 級地別の基準額の水準について、級地別の生活扶助基準額による指数と第1十分位の消費実態による指数を比べると、消費実態の地域差の方が小さくなっていることを指摘した上、年齢階級別、世帯人員別、級地別の指数を反映した場合の影響を検証し、④ 世帯員の年齢、世帯人員数、居住する地域の組み合わせ により、世帯への影響が様々であることを指摘した。(以下、基準部会による上記の検証を「平成25年検証」という。)⑹ 本件改定の実施ア本件改定厚生労働大臣は、平成25年告示、平成26年告示及び平成27年告示により 生活扶助基準を改定した。(弁論の全趣旨) 本件改定は、生活扶助基準について、主に、① 平成25年検証の結果を踏まえて、年齢、世帯人員、地域差による影響を調整する「ゆがみ調整」を行うとともに、② 前回の基準額の見直し後、デフレ傾向が続いていることから、実質的な購買力を維持しつつ、客観的な経済指標である物価の動向を勘案して生活扶助基準額を見直す「デフレ調整」を行い、併せて、③ 激変緩和措置を行う ものであり、その内容は、次のとおりである。(乙16)イゆがみ調整ゆがみ調整は、平成25年検証が生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているかについて年齢階級間、世帯人員間、級地間の相対関係を指数により比較して乖離の有無を分析した結果によれば、① 年齢 階級別でみると基準が想定 般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているかについて年齢階級間、世帯人員間、級地間の相対関係を指数により比較して乖離の有無を分析した結果によれば、① 年齢 階級別でみると基準が想定する相対関係と消費実態の相対関係の間に乖離が認められたこと、② 世帯人員別でみても基準が想定する相対関係と消費実態の相対関係の間の乖離が世帯人員の増加に従い拡大する傾向が認められたこと、③ 級地別でみても基準が想定する地域差より消費実態の地域差の方が小さいと認められたことを踏まえて、生活扶助基準の体系(年齢、世帯人員)及び級 地のゆがみを調整することを目的として行われたものであり、平成25年検証の結果を生活扶助基準の展開部分に反映することにより行われた。ただし、平成25年検証の結果を完全に反映するのでなく、その反映比率は2分の1とされた。(乙16、17、弁論の全趣旨)ゆがみ調整により、① 第1類費の基準額について、年齢階級間の基準額の差 が小さくなる、② 第1類費の基準額に係る逓減率(世帯人員の増加に応じて第1類費の基準額の合計額に乗ずる割合)について、逓減割合が大きくなる、③ 第2類費の基準額について、世帯人員の増加に応じた世帯人員別の基準額の増額幅が大きくなる、④ 第1類費及び第2類費の基準額について、それぞれ各級地間の基準額の差が小さくなるという影響が生じた。 ウデフレ調整 デフレ調整は、平成19年検証の結果を踏まえて平成20年に前回の基準額の見直しが行われた後、デフレ傾向が続いているにもかかわらず、基準額が据え置かれてきていることから、実質的な購買力を維持しつつ、前回の見直し以降の物価の動向を勘案して生活扶助基準額を見直すことを目的として行われたものであり、客観的な経済 いるにもかかわらず、基準額が据え置かれてきていることから、実質的な購買力を維持しつつ、前回の見直し以降の物価の動向を勘案して生活扶助基準額を見直すことを目的として行われたものであり、客観的な経済指標である消費者物価指数(生活扶助に相当する品目(以 下「生活扶助相当品目」という。)を対象とする消費者物価指数。以下「生活扶助相当CPI」という。)を用いて、平成20年から平成23年までの物価変動率を-4.78%と算出し、ゆがみ調整後の基準額に0.9522を乗ずることにより行われた。生活扶助相当CPIは、総務省の消費者物価指数(以下「総務省CPI」という。)を基に、全ての指数品目から、① 生活扶助以外の他扶助 により賄われる品目(家賃、教育費、医療費など)、② 原則として保有が認められておらず、又は免除されるため生活保護受給世帯において支出することが想定されていない品目(自動車関係費、NHK受信料など。以下「除外品目」という。)を除いて算出した消費者物価指数である。平成20年から平成23年までの物価変動率は、平成20年の年平均の生活扶助相当CPI(以下「平成2 0年生活扶助相当CPI」といい、平成23年のものも同様に表記する。)と平成23年生活扶助相当CPIを用いて算出したものである。(乙16、18、弁論の全趣旨)デフレ調整は、平成25年検証に基づくものでなく、基準部会による審議検討を経ることなく行われたものである。 エ激変緩和措置生活保護受給世帯に対する激変緩和の観点から、① 基準額の見直しの幅の上下限を設定する(改定の影響を一定程度に抑えるため、現行の基準額からの増減幅は±10%を超えないものとする)とともに、② 基準額の見直しを段階的に行う(改定は平成25年度から3年の経過期 しの幅の上下限を設定する(改定の影響を一定程度に抑えるため、現行の基準額からの増減幅は±10%を超えないものとする)とともに、② 基準額の見直しを段階的に行う(改定は平成25年度から3年の経過期間を設けて段階的に行う) という激変緩和措置を講ずることとされた。(乙16、17) 上記②は、本件改定前の生活扶助基準の第1類費、第2類費及び逓減率により算定される額を「A」と、本件改定後の第1類費、第2類費及び逓減率により計算される額(いずれも地区別冬季加算を除き、後記オの2.9%の引上げを考慮しない額)を「B」として、平成25年改定後の基準額を「A×2/3+B×1/3」とし、平成26年改定後の基準額を「A×1/3+B×2/3」とし、平成 27年改定後の基準額を「B×1」とするものである。 オ平成26年改定及び平成27年改定平成26年改定においては、ゆがみ調整及びデフレ調整の2年次分の反映に加えて、生活扶助基準額を2.9%引き上げることを内容とする改定(上記エのうち、平成26年改定後の基準額の「A」及び「B」のいずれについても一律2. 9%引き上げる改定)が行われた。これは、平成26年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられたことに伴い、消費税率の引上げの影響を含む国民の消費動向等を総合的に勘案して行われたものである。平成27年改定後の「B」もこの引上げ後のものである。(乙31、弁論の全趣旨)⑺ 本件各変更決定 別紙処分一覧表「処分庁」欄記載の各処分行政庁は、同表「処分日」欄記載の各日に、同表「原告名」欄記載の各原告(原告ら)に対し、生活保護法25条2項の規定により、平成25年改定に伴う本件各変更決定をした。本件各変更決定により引き下げられた生活扶助基準額 処分日」欄記載の各日に、同表「原告名」欄記載の各原告(原告ら)に対し、生活保護法25条2項の規定により、平成25年改定に伴う本件各変更決定をした。本件各変更決定により引き下げられた生活扶助基準額(月額)は、別紙各個別事情書「処分による引下げ額」欄記載のとおりである。(乙111、弁論の全趣旨) ⑻ 審査請求原告らは、別紙各個別事情書「審査請求日」欄記載の日に各審査請求をし、同書「裁決日」欄記載の日に各棄却裁決を受けた。(乙111、弁論の全趣旨)⑼ 本件訴えの提起原告らは、平成26年11月28日、本件訴えを提起した。(顕著な事実) ⑽ 平成29年検証 基準部会は、本件改定後、平成29年12月14日付け「社会保障審議会生活保護基準部会報告書」(以下「平成29年報告書」という)を取りまとめた(乙62)。 基準部会は、平成29年報告書において、① 生活扶助基準に関する検証、② 有子世帯の扶助・加算に関する検証、③ 勤労控除及び就労自立給付金の見直し効果の検証、④ 級地制度に関する検証、⑤ その他の扶助・加算に関する検証、⑥ これまでの基準見直しによる影響の把握を行ったところ、生活扶助基準の検証の結果として、一般低所得世帯の消費水準との均衡を図る水準均衡方式を前提に、夫婦子1人世帯の第1十分位の生活扶助相当支出と生活扶助基準額がおおむね均衡すると報告した。 (以下、基準部会による本件改定後の検証を「平成29年検証」という。) ⑾ 消費者物価指数ア物価、物価指数、消費者物価指数(乙26、27、弁論の全趣旨)一般に、物価は、商品の価格を総合的、平均的にみたもの、すなわち、商品の平均価格を指すものである。 物価指数は、物価変 、物価指数、消費者物価指数(乙26、27、弁論の全趣旨)一般に、物価は、商品の価格を総合的、平均的にみたもの、すなわち、商品の平均価格を指すものである。 物価指数は、物価変動を表示する統計数字である。通常、物価指数は、品目と 呼ばれる最小単位の価格指数を、各品目のウエイト(家計の消費支出全体に占める各品目の支出金額の割合)で加重平均することから成り立っている。具体的には、① 互いに性質が似た商品(又はサービス。以下同じ。)を「品目」として分類し、その取引金額シェアから加重ウエイトを計算する、② 各品目に属する商品の価格の動きを代表するような商品を選出し、その価格を継続的に 調査し、「品目指数」を作成する、③ 個々の品目指数を当該品目のウエイトで加重平均して「総平均」を算出するという計算手続をとる。ウエイトで加重平均するのは、単純平均の場合、ある品目の指数の変化率が大きくても、その品目の取引金額が小さければ、物価変動に与える影響は必ずしも大きくないからであり、世帯が購入する商品の価格の平均的な変動を正しく測定するためには、 個々の商品の価格指数にそれぞれの取引量に応じたウエイトをつけて平均する 加重平均をすることが一般的である。 消費者物価指数は、全国の世帯が購入する財及びサービスの価格変動を総合的に測定し、物価変動を時系列的に表すものである。すなわち、家計の消費構造(品目及びウエイト)を一定の指数(100)に固定し、これに要する費用が物価変動によりどのように変化するかを指数値で示したものである。したがっ て、消費者物価指数は、消費者が購入する財とサービスの種類、品質又は購入数量の変化を伴った生計費の変化を測定するものでない。 イロウ指数、ラスパイレス指数、パー たものである。したがっ て、消費者物価指数は、消費者が購入する財とサービスの種類、品質又は購入数量の変化を伴った生計費の変化を測定するものでない。 イロウ指数、ラスパイレス指数、パーシェ指数(乙26、27、53)物価指数のうち本件と関連するものとして、ロウ指数、ラスパイレス指数、パーシェ指数がある。 ロウ指数は、比較される時点間において、一般に「買い物かご」と呼ばれる一定量の財又はサービスを購入するために要する全費用の割合の変化を表す指数をいう。ロウ指数において、買い物かごを固定する時点(ウエイト参照時)は、物価算定の基準となる時点(基準時)と比較の対象となる時点(比較時)の間のいずれの時点でもよい。 ラスパイレス指数は、基準時をウエイト参照時とする指数をいう。ライスパイレス指数は、速報性やコスト面で優れているが、その後の消費構造(品目及びウエイト)の変化による影響が加味されないという欠点がある。 パーシェ指数は、比較時をウエイト参照時とする指数をいう。パーシェ指数は、経済の変化に応じて最新のウエイトが反映される利点があるが、速報性やコス ト面で劣るという欠点がある。 ウ総務省CPI(乙27、28)総務省CPIの概要は次のとおりである。 指数算式を、ラスパイレス式(基準時をウエイト参照時とする固定基準年方式のラスパイレス指数)とする。 基準時を、西暦年の末尾が0と5の年を基準時(基準年)として、5年ごと に改定している。 指数品目は、消費生活上重要な商品(財及びサービス)を選ぶ必要があることから、家計調査の結果を基に、家計の消費支出の中で支出額の大きな品目であること、同じ種類の に改定している。 指数品目は、消費生活上重要な商品(財及びサービス)を選ぶ必要があることから、家計調査の結果を基に、家計の消費支出の中で支出額の大きな品目であること、同じ種類の商品の値動きに対して代表性がある品目であることという観点から選ばれる。 平成22年基準総務省CPIにおける指数品目は、平成17年基準総務省CPIにおける指数品目に28品目が追加され、22品目が廃止されるなどして、588品目となった。 指数品目は、10大費目(食料、住居、光熱・水道、家具・家事用品、被服及び履物、保健医療、交通・通信、教育、教育娯楽、諸雑費)に分類され、各 大分類内において中分類に、中分類内において小分類に分類される。このうち教育娯楽内の中分類として教養娯楽用耐久財があり、教養娯楽用耐久財には、テレビ、パソコン(デスクトップ型)、パソコン(ノート型)、カメラが含まれる。 数品目別のウエイトは、家計調査の結果を基にして、1年間の消費支出金額 から、世帯で購入した個々の品目ごとに、いくら支出したかを調査し、次に、消費支出金額全体に対してどのくらいの割合を占めているのかを計算して個々の品目ごとに算出する。ウエイトは、消費支出金額全体を1万として、各品目の支出額を1万分比により表示する。 価格調査は、指定品目について、調査する銘柄を定めて、毎月同じ銘柄のも のを調査する。調査銘柄は、指定品目の価格変動を代表するものであることから、全国の消費者が最も多く購入しているとみられる商標や商品の特性を有するものを基本銘柄とする。価格には、小売物価統計調査により得られた市町村別、品目別の小売価格を用いるが、「パソコン(デスクトップ型)」「パソコン(ノート型)」「カメラ」に れる商標や商品の特性を有するものを基本銘柄とする。価格には、小売物価統計調査により得られた市町村別、品目別の小売価格を用いるが、「パソコン(デスクトップ型)」「パソコン(ノート型)」「カメラ」については、全国の主要な家電量販店で販売 された全製品のPOS情報(パソコン販売店などのレジで商品のバーコード を読み取りながら取集される販売価格及び販売数量データを基にした情報)による販売価格、販売数量を用いる。 品質調整について、小売物価統計調査においては、調査品目ごとに調査対象銘柄を指定し、同じ品質の財及びサービスを毎月調査している。しかし、現実には、商品の製造中止や出回りの変化などに伴う銘柄の改正、あるいは調 査地区の変更などが行われる。このような場合、当月価格と前月価格の間に生ずる価格差の中に、品質の変化など物価変動以外の要因による価格差が含まれることがあるため、このような物価変動以外の要因による価格差を除去して比較時価格を算出する必要がある(品質調整)。比較時価格の算出に当たっては、新旧の財又はサービスの品質差の有無、品質差の態様、市場の価格 形成の状況などをよく吟味して、適切な品質調整方法を適用する必要がある。 平成22年指数品目のうち、「パソコン(デスクトップ型)」「パソコン(ノート型)」「カメラ」の3品目については、技術革新が著しく、市場の製品サイクルが極めて短いため、従来の価格収集方法によっては同質の製品を継続的に調査することが困難である。そこで、これらについては、POS情報に よる全機種の販売価格のほか、販売台数、各機種の特性などを用いて、ヘドニック法により品質調整を行い品目別価格指数を算出する。すなわち、① 上記3品目それぞれについて、各機種の平均販売価格を被説明 よる全機種の販売価格のほか、販売台数、各機種の特性などを用いて、ヘドニック法により品質調整を行い品目別価格指数を算出する。すなわち、① 上記3品目それぞれについて、各機種の平均販売価格を被説明変数とし、ハードディスクの容量や実装メモリ容量、光学ズームの倍率など各機種の特性及び販売時点などを説明変数とする片対数型の回帰モデルを設定する、② 全 国で当月と前月に販売された全機種について、同回帰モデルにより各機種の総販売台数をウエイトとして回帰計算を行い、各月の価格推計式を求める、③ 求めた価格推計式から、前月を基準とする連環指数(ある時点についてその直前の時点を基準とする指数をいう。)を算出する、④ 算出した連環指数を前月の指数(平成22年=100)に乗じて当月の連鎖指数を算出する。 指数の計算について、指数は、比較時の指数品目の価格を基準時の指数品目 の価格で除して基準時に対する比較時の価格比を計算し、この価格比に各品目の基準時のウエイトを乗じ、それを各品目の基準時のウエイトの合計で除して加重平均することにより計算される。これを基準時加重相対法算式(ラスパイレス型)という。 指数の作成系列について、平成22年基準総務省CPIにおいては、基本分 類指数、財・サービス分類指数、世帯属性別指数、品目特性別指数などの各指数が作成されている。これらのうち基本分類指数は、全体の物価の動きを総合した「総合指数」と、その内訳を消費の目的により費目別(上記)に分類した指数から成る。 欠測値の処理について、ある指数品目がある調査市町村において一時的に出 回りが途切れるなど、比較時価格がやむを得ず「欠」となった場合、その品目の指数(比較時価格が「欠」となっているので計算することが の処理について、ある指数品目がある調査市町村において一時的に出 回りが途切れるなど、比較時価格がやむを得ず「欠」となった場合、その品目の指数(比較時価格が「欠」となっているので計算することができない。)及びウエイトは除外して計算する。比較時の価格が「欠」となった品目の価格変動は、品目から類への合算段階においては、結果として類内の他の品目より求められた類指数により代替されることとなる。なお、下位類から上位 類への計算においては、各類のウエイトが変動しないよう、「欠」となった品目のウエイトも含めた類ウエイトを用いる。 変化率(物価変動率)の計算について、ある時点の指数をA、それより前の時点の指数をBとすると、これらの時点間の変化率(物価変動率)は、次の計算式により算出される。 変化率(物価変動率(%))=(A-B)/B×100=(A/B-1)×10 寄与度は、各指数品目のウエイトを加味して、各項目の動きが物価全体の動きに対してどの程度影響しているかを示すものである。寄与度は、次の計算式により算出される。 指数品目Aの寄与度=(「当期のAの指数」-「前期のAの指数」)×(Aの ウエイト/総合のウエイト)/前期の総合指数×100 指数の接続について、総務省CPIは、5年ごとに基準時及びウエイトが改定される。消費者物価指数は時間の経過による物価の動きをみるものであり、改定前にさかのぼって指数を比較することができるようにするため、基準時及びウエイトの改定の都度新たな基準時に合わせて過去の指数系列を換算し、 接続している。指数の接続は、改定前の指数(平成17年=100)を、100で割り戻した平成17年基準による平成22年平均指数で割るという 改定の都度新たな基準時に合わせて過去の指数系列を換算し、 接続している。指数の接続は、改定前の指数(平成17年=100)を、100で割り戻した平成17年基準による平成22年平均指数で割るという比例換算の方法によっている。 エ総務省CPIの推移(乙29)総務省CPI(全国・総合)の平成17年から平成23年までの推移について、 平成22年を100として計算すると、次のとおりとなる。 総合食料光熱・水道教養娯楽平成16年 100.7 97.7 93.7 108.8平成17年 100.4 96.8 94.4 107.9平成18年 100.7 97.3 97.8 106.3 平成19年 100.7 97.6 98.6 104.9平成20年 102.1 100.1 104.5 104.3平成21年 100.7 100.3 100.2 101.7平成22年 100.0 100.0 100.0 100.0平成23年 99.7 99.6 103.3 96.0 これによれば、総務省CPIにおける平成20年から平成23年までの物価変動率は、-2.35%((99.7÷102.1-1)×100)となる。 ⑿ 生活扶助相当CPIの物価変動率(-4.78%)の算出過程ア生活扶助相当CPI(乙18、29、30、弁論の全趣旨)生活扶助相当CPIは、生活扶助に相当する指数品目の物価の動向を勘案す るため、同品目を対象とする消費者物価指数として、厚生労働省が独自に考案 した指数である。具体的には、総務省CPIの算出の基礎 PIは、生活扶助に相当する指数品目の物価の動向を勘案す るため、同品目を対象とする消費者物価指数として、厚生労働省が独自に考案 した指数である。具体的には、総務省CPIの算出の基礎となっている指数品目から、① 生活扶助以外の他扶助により賄われる品目(家賃、教育費、医療費など)、② 原則として保有が認められておらず、又は免除されるため生活保護受給世帯において支出することが想定されていない品目(自動車関連費、NHK受信料など(除外品目))を除いた品目(生活扶助相当品目)について、総 務省CPIの算出に当たり用いられている品目別価格指数とウエイトを用いて指数化したものである。 イ平成20年生活扶助相当CPI(乙18、29、30、弁論の全趣旨)平成20年生活扶助相当CPIの算出の基礎とされた指数品目は、平成22年指数品目のうち平成20年においても総務省CPIの算出に当たり指数品目と されていた品目(平成17年の指数品目)から除外品目を除いた485品目である。そして、平成22年をウエイト参照時として、上記485品目ごとの平成22年の価格を100とした場合の平成20年時点の価格指数に、当該品目の平成22年基準におけるウエイトを乗じ、その合計を平成22年のウエイトの総和で除することにより、平成20年生活扶助相当CPIが算出された。 総務省CPIにおいては、全指数品目のウエイトの総和は1万となるところ、上記485品目により算出される平成22年ウエイトの総和は6189となり、上記485品目に係る品目ごとの平成22年の価格を100とした場合の平成20年時点の価格指数に当該品目の平成22年ウエイトを乗じたものの総和は64万6627.9となることから、これを平成22年ウエイトの総和である6 品目ごとの平成22年の価格を100とした場合の平成20年時点の価格指数に当該品目の平成22年ウエイトを乗じたものの総和は64万6627.9となることから、これを平成22年ウエイトの総和である6 189で除することにより、平成20年生活扶助相当CPIは104.5と算出された。 ウ平成23年生活扶助相当CPI(乙18、29、30、弁論の全趣旨)平成23年生活扶助相当CPIの算出の基礎とされた指数品目は、平成22年指数品目から除外品目を除いた517品目である。そして、平成22年をウエ イト参照時として、上記517品目ごとの平成22年の価格を100とした場 合の平成23年時点の価格指数に、当該品目の平成22年ウエイトを乗じ、その合計を平成22年ウエイトの総和で除することにより、平成23年生活扶助相当CPIが算出された。 上記517品目により算出される平成22年ウエイトの総和は6393となり、上記517品目に係る品目ごとの平成22年の価格を100とした場合の 平成23年時点の価格指数に当該品目の平成22年ウエイトを乗じたものの総和は63万5973.1となることから、これを平成22年ウエイトの総和である6393で除することにより、平成23年生活扶助相当CPIは99.5と算出された。 エ生活扶助相当CPIの変化率 平成20年から平成23年までの生活扶助相当CPIの物価変動率は、上記イ及びウにより、-4.78%((99.5-104.5)/104.5×100)と算出された。 ⒀ 家計調査及び社会保障生計調査ア家計調査(乙83、84) 家計調査は、総務省統計局が、国民生活における家計収支の実態を把握し、国の経済政策、社会政策の立案の ⒀ 家計調査及び社会保障生計調査ア家計調査(乙83、84) 家計調査は、総務省統計局が、国民生活における家計収支の実態を把握し、国の経済政策、社会政策の立案のための基礎資料を提供することを目的とするものである。 家計調査は、毎月実施される標本調査であり、全国の世帯(世帯としての収入と支出を正確に計ることが難しい世帯などの理由から一部の世帯は除外される。) を調査対象とし、全国の世帯をその特性に応じて168層に分け、各層から1市町村ずつ選出し、そこから選出された約9000世帯を対象に調査票を配布し、それを回収、集計する方法により行われている。 イ社会保障生計調査(乙85)社会保障生計調査は、厚生労働省が実施する一般統計調査であり、生活保護受 給世帯の生活実態を明らかにすることにより、保護基準の改定等生活保護制度 の企画運営のために必要な基礎資料を得るとともに、厚生労働行政の企画運営に必要な基礎資料を得ることを目的とするものである。 社会保障生計調査は、全国の生活保護受給世帯を対象として全国を地域別に10ブロックに分け、ブロックごとに都道府県、指定都市、中核市のうち1ないし3か所を調査対象自治体として選出し、そこから1110世帯を対象とし て(ただし、生活扶助を受けていない世帯等は除外されている。)、家計簿を記入してもらうなどの方法により行われている。 3 争点⑴ 生活扶助基準の改定が違法となる場合⑵ 保護基準の引下げの可否 ⑶ 基準部会等の審議検討を経ていないことの適否⑷ ゆがみ調整の適否⑸ デフレ調整の適否⑹ 本件改定は不当な目的によるものか否か 4 原告らの主張 ⑶ 基準部会等の審議検討を経ていないことの適否⑷ ゆがみ調整の適否⑸ デフレ調整の適否⑹ 本件改定は不当な目的によるものか否か 4 原告らの主張 ⑴ 生活扶助基準の改定が違法となる場合生活保護法は、憲法25条に定める生存権の保障のため制定された法律であるところ、保護基準は、厚生労働大臣の裁量により具体的な内容が定められる(生活保護法8条)。保護基準は、被保護者の憲法上の権利である生存権と直結するとともに、国民の生活水準全体を底支えするナショナルミニマムとしての重要性を有 すること、他方、保護基準の内容は、厚生労働大臣により定立されるものであり、生存権は行政の恣意的な判断により容易に侵害され得るものであることによれば、その委任命令の適法性を審査するに当たっては、委任規定の趣旨を厳格に解するべきである。同条1項が保護基準の設定及び改定を厚生労働大臣に委任する一方、同条2項は、その基準が「最低限度の生活の需要を満たすに十分なもの」でなけれ ばならないとした上、そのための考慮要素を「要保護者の年齢別、性別、世帯構成 別、所在地域別、その他保護の種類に応じて必要な事情」と具体的に列挙することにより(法定考慮要素)、厚生労働大臣による保護基準の設定及び改定についての裁量の範囲を制限している。保護基準の設定及び改定についての厚生労働大臣の裁量権は限定的である。 これらを踏まえると、厚生労働大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用が 認められるかの判断においては、その判断の過程及び手続に過誤、欠落があるかの見地から、統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無等について審査されるべきであり、まず基準の引下げの内容(ゆがみ調整、デ は、その判断の過程及び手続に過誤、欠落があるかの見地から、統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無等について審査されるべきであり、まず基準の引下げの内容(ゆがみ調整、デフレ調整)を特定し、その引下げの根拠とされた統計及び知見の内容を事実として認定し、その統計及び知見が基準の引下げの根拠として合理性を有するもの であるかが判断されなければならない。 そして、厚生労働大臣の判断過程において、本来最も重視すべき要素を不当に軽視し、当然尽すべき考慮を尽さず、又は本来考慮するべきでない事項を考慮し、若しくは本来過大に評価するべきでない事項を過大に評価し、それにより保護基準の引下げの判断が左右された場合には、厚生労働大臣の判断過程に過誤があると いうべきである。そして、法定考慮事項を考慮せず、不可考慮事項を考慮し、又は劣後的考慮事項を優先的に考慮した場合、当該判断は裁量判断の過程に誤りがあるものとして違法となる。生活保護法8条2項は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別の事情、保護の種類に応じて必要な事情を義務的考慮事項とし、同法9条は、要保護者の健康状態、個人又は世帯の実際の必要の相違を義務 的考慮事項とする一方、国の財政事情や国民感情等の生活外的要素を挙げていないのであり、同法は、厚生労働大臣が保護基準の設定に当たり、国の財政事情、国民感情、政権与党の公約等の生活外的要素を考慮することを禁じ、又は上記義務的考慮事項に劣後するとしていると解すべきである。 ⑵ 保護基準の引下げの可否 憲法25条1項及び2項、社会権規約2条1項、9条、11条及び生活保護法5 6条の各規定によれば、保護基準の引下げは原則として許されないものであり、保護基準の引下げがあった 憲法25条1項及び2項、社会権規約2条1項、9条、11条及び生活保護法5 6条の各規定によれば、保護基準の引下げは原則として許されないものであり、保護基準の引下げがあった場合、国の側が、厚生労働大臣の判断の過程、手続を明らかにし、事実の調査方法が合理性を有することや、必要な考慮要素を適切なバランスで考慮したことなど、上記過程、手続に過誤、欠落がないことを相当の根拠、資料に基づいて主張立証することを要し、国の側がその主張立証を尽くさな い場合には、厚生労働大臣の判断に不合理な点があることが事実上推認され、生活保護法8条1項及び2項が制限する委任命令の範囲を逸脱し、又は濫用したものとして違法となり、憲法25条に違反して違憲となる。 ⑶ 基準部会等の審議検討を経ていないことの適否生活保護法8条1項の立法過程においては、厚生労働大臣が保護基準を定めるに 当たり、専門家による審議会の検討を経た上、その結果に基づいて保護基準を定めることが当然の前提とされており、専門家の判断を必ず踏まえることにより厚生労働大臣の裁量判断の正当性が根拠付けられるとされていた。すなわち、生活保護法の制定の翌年である昭和26年には、厚生省に中央社会福祉審議会が置かれ、同審議会に生活保護専門分科会が置かれており、生活保護法の改正、保護基 準の改定等の重要事項については、生活保護専門分科会に諮問し、その意見を聴くものとされていた。厚生大臣は、生活保護専門分科会による昭和39年12月16日付け中間報告(以下「昭和39年中間報告」という。)を受けて、格差縮小方式を採用し、中央社会福祉審議会による昭和58年意見具申を受けて、水準均衡方式を採用した。昭和58年意見具申は、生活扶助基準の妥当性についての検 証を定期的に行 という。)を受けて、格差縮小方式を採用し、中央社会福祉審議会による昭和58年意見具申を受けて、水準均衡方式を採用した。昭和58年意見具申は、生活扶助基準の妥当性についての検 証を定期的に行う必要があるとしているのであり、水準均衡方式の下における生活扶助基準の設定に際しては、専門家による審議会の検証の結果を踏まえることが一層要請されている。平成16年報告書においても、5年に1度の頻度で検証を行う必要があるとされ、これらの検証に際しては、調査方法及び評価手法についても専門家の知見を踏まえることが妥当とされた。このように、保護基準の改 定は専門家による審議会の検討を踏まえて行われてきたという歴史的事実があり、 厚生労働大臣がその独自の専門的知見に基づいて保護基準の改定を行ってきたものでない。特に、基準部会は、専門委員会以来、保護基準についての常設専門部会の設置の必要性が認識されたことから、学識経験者による定期的な保護基準の専門的かつ客観的な評価検証を行うことを目的として社会保障審議会の下に直接置かれた常設の専門部会であり、その報告は、社会保障審議会の正式の見解が集約 されたものとして、専門委員会の報告と比べると格段の重みがある。そして、社会保障審議会は、厚生労働省内部の審議会であり、社会保障審議会及びその部会は、その構成員、審議時期及び審議内容を全て厚生労働省がコントロールしている上、基準部会は、厚生労働省保護課が事務局を務めて議題を設定し、様々な資料を提出して議論が行われるのであり、専門的審議それ自体が保護行政の一定の政策的 枠組みに取り込まれ、膨大な個票データを扱う具体的作業のため、シンクタンクへの委託、作業部会の設置などに多大な財源や保護課、部会委員の労力を投入していることからしても、単なる参考資料を 策的 枠組みに取り込まれ、膨大な個票データを扱う具体的作業のため、シンクタンクへの委託、作業部会の設置などに多大な財源や保護課、部会委員の労力を投入していることからしても、単なる参考資料を外部の専門家が提出しているものでない。このような経緯によれば、保護基準の改定に当たり基準部会等の専門家による審議会の審議検討を経ることは確立した行政慣行となっていたというべきであ る。 本件改定は、ゆがみ調整とデフレ調整により、3年間で671億円の保護費削減を行うものであるところ、ゆがみ調整について、平成25年検証の結果の反映比率を生活扶助費が減額となる場合のみならず増額となる場合についても一律2分の1とすることは、基準部会に報告されていないのであり、これにより、本来増額 となる単身高齢者世帯(生活保護受給世帯の過半数を占める。)の保護費が減額された。デフレ調整については基準部会を経ていない。このように、厚生労働大臣は、基準部会の審議検討を経ることなく、ゆがみ調整について平成25年検証の結果の反映比率を2分の1とし、デフレ調整を行っており、ゆがみ調整により580億円、デフレ調整により91億円もの保護費を削減した。これは、厚生労働大 臣の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用であり、少なくとも、基準部会による高度 の専門技術的な考察を経ていないのであるから、いかなる専門技術的な考察を経たのか統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性が一層厳しく審査されなければならない。 ⑷ ゆがみ調整の適否ア平成25年検証の合理性について ゆがみ調整は、平成25年検証の結果を反映したものである(反映比率は2分の1)ところ、平成25年検証は、次のとおり、合理性を有しない。 ア平成25年検証の合理性について ゆがみ調整は、平成25年検証の結果を反映したものである(反映比率は2分の1)ところ、平成25年検証は、次のとおり、合理性を有しない。 第1十分位を比較の対象としたことについて、平成25年検証は、単純に第1十分位の消費支出に生活扶助基準を合わせるものであるところ、水準均衡方式は、単純に第1十分位の消費支出に生活扶助基準を合わせるものでなく、平均 的な一般世帯の消費支出、低所得世帯(第1五分位と第2五分位)の消費支出、生活保護受給世帯の消費支出との均衡に留意するものである。保護基準以下の生活を余儀なくされている漏給層(保護の受給資格を有するが現に受給していない者)が大量に存在する現状において、低所得世帯の消費支出が保護基準以下となるのは当然であり、最下位層の消費水準との比較を根拠に生活扶助基準 の引下げを行うことを許せば、際限なく引下げを行うことができることとなるから、合理性を有しないことは明らかである。基準部会も、平成25年検証の検証結果に関する留意事項において、「具体的にどのような要因がどの程度消費に影響を及ぶすかは現時点では明確に分析ができないこと、また、特定の世帯構成等に限定して分析する際にサンプルが極めて少数となるといった統計上 の限界があることなどから、全ての要素については分析・説明に至らなかった」「今後、政府部内において具体的な基準の見直しを検討する際には、今回の検証結果を考慮しつつも、同時に検証方法について一定の限界があることに留意する必要がある」「とりわけ第1十分位の者にとっては、全所得階層における年間収入総額に占める当該分位の年間収入総額の構成割合にわずかな減少があっても、 その影響は相対的に大きいと考えられることに留意すべきであ 「とりわけ第1十分位の者にとっては、全所得階層における年間収入総額に占める当該分位の年間収入総額の構成割合にわずかな減少があっても、 その影響は相対的に大きいと考えられることに留意すべきである。また、現実 には第1十分位の階層には保護基準以下の所得水準で生活している者も含まれることが想定される点についても留意が必要である」「今般、生活扶助基準の見直しを具体的に検討する際には、現在生活保護を利用している世帯及び一般低所得世帯、とりわけ貧困の世代間連鎖を防止する観点から、子どものいる世帯への影響にも配慮する必要がある」とし、第1十分位を比較の対象とすること について消極的な姿勢を示している。 第1十分位から生活保護受給世帯を除外していないことについて、平成25年検証は、生活保護受給世帯との比較の対象である第1十分位から生活保護受給世帯を除外していないところ、比較される基準であるべき対象群の中に、比較する実験群の対象が含まれているとすれば、統計学的に意味を成さない。平成 25年当時、全世帯の第1十分位を母数とした生活保護受給世帯は20%程度であったから、第1十分位から生活保護受給世帯が除外されることにより、第1十分位の20%程度がより高い消費支出を示す分位に置き換わり、第1十分位の消費支出は、格段に高く算出される。ゆがみ調整に当たり第1十分位から生活保護受給世帯を除外していないことは、統計学上の原則を逸脱し、確立し た専門的知見に反している上、仮に正しい手法が採用されていたのであれば、比較の対象である第1十分位の消費水準が大幅に上昇し、又は世帯分布の変化に伴い基準額表の数値が変動するのであり、統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性を著しく欠く。 回帰分析の方法の合 十分位の消費水準が大幅に上昇し、又は世帯分布の変化に伴い基準額表の数値が変動するのであり、統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性を著しく欠く。 回帰分析の方法の合理性について、一般的に回帰分析とは、結果(被説明変 数)とその諸要因(説明変数)の関係を線形の関数関係として定式化(回帰モデル)する統計的方法であり、回帰係数(被説明変数に対する各説明変数の影響度)をデータから推定した(第1段階)上、データから与えられる説明変数の観測値を推定された回帰モデルに代入し、結果の予測値を求める(第2段階)ことを内容とする。基準部会は、平成25年検証において、生活扶助基準額と 第1十分位の消費支出の乖離を検証するに当たり、回帰分析を用いて第1十分 位の消費支出額を算出しているところ、① その結果得られた回帰モデルは、現実のデータとの適合の良さ(当てはまりの良さ)を示す数値である決定係数が約0.3と低く(0から1の値をとり、0は「完全なはずれ」として説明変数に被説明変数の変動を説明するのに全く役に立たないことを意味し、1は「完全な当てはまり」として説明変数が被説明変数の変動を完全に説明することが できていることを意味する。乙69、70)、現実の消費実態を反映するものでない、② 回帰係数のt検定(説明変数が被説明変数を説明するに足る変数であるかを判断するもの)により不要であると判定された説明変数が多数存在したにもかかわらず、これらの説明変数を除外することなく検証結果を求めており、回帰係数のt検定の結果を全く反映させていないなど、回帰分析の手法に 問題がある。 イ平成25年検証の結果の反映比率を2分の1としたことの合理性について厚生労働大臣は、ゆがみ調整について、平成2 全く反映させていないなど、回帰分析の手法に 問題がある。 イ平成25年検証の結果の反映比率を2分の1としたことの合理性について厚生労働大臣は、ゆがみ調整について、平成25年検証の結果を完全に反映せず、反映比率を2分の1としたところ、反映比率を2分の1とすることは基準部会に報告されていない。平成25年検証の結果が完全に反映されれば生活扶 助費が増額される世帯、特に生活保護受給世帯の過半数を占める「60~69歳」「70歳~」の単身世帯の生活扶助費の増額を、反映比率を2分の1とすることにより大幅に圧縮し、その結果、平成25年度の生活扶助基準のうち、第1類費の基準額について440億5900万円、第2類費の基準額について9億3800万円、合計449億9700万円もの極めて多額の生活扶助費の削 減効果を追加的に得たものである。すなわち、平成25年検証の結果が完全に反映されれば、第1類費は、「60~69歳」で1.76倍に、「70歳~」で1.19倍に、それぞれ増額されたが、反映比率を2分の1とすることにより、第1類費は、「60~69歳」で1.38倍に、「70歳~」で1.09倍になるにとどまった。平成25年当時、生活保護受給世帯に占める「60~69歳」「70 歳~」の単身世帯の割合は、53.4%程度にも及んだのであり、反映比率を2 分の1とすることにより、多数の生活保護受給世帯に多大な不利益を与えたことは明らかである。また、ゆがみ調整の目的は、年齢階級別、世帯人員別、級地別に、生活扶助基準額と一般低所得世帯の消費実態との乖離を指数化して分析し、その乖離を是正することにあったが、平成25年検証の結果の反映比率を2分の1とすることにより、ゆがみが残り、改めてその是正を行う必要が生じ た。すなわち 帯の消費実態との乖離を指数化して分析し、その乖離を是正することにあったが、平成25年検証の結果の反映比率を2分の1とすることにより、ゆがみが残り、改めてその是正を行う必要が生じ た。すなわち、反映比率を2分の1とすることにより、平成25年検証が目指したゆがみ調整の趣旨を没却することとなった。 被告らは、平成25年検証の結果を完全に反映すると世帯により生活扶助費の減額幅が大きくなることが想定されたことから、反映比率を2分の1としたと主張する。しかし、本件改定には、増減幅が±10%を超えないよう調整する 激変緩和措置が講じられており、これにより生活扶助費の減額幅が大きくなる世帯は救済されることから、反映比率を2分の1とすることにより救済される世帯は少数であり、その額も少額にとどまるのであって、その効果は極めて限定的である。生活保護受給世帯の過半数は、平成25年検証の結果が完全に反映されれば生活扶助費が増額される単身高齢者世帯であるのに、反映比率を2 分の1としたことにより多大な不利益を与える一方、その効果が限定的であることに照らせば、平成25年検証の結果の反映比率を2分の1としたことは合理性を有しない。 ウゆがみ調整の適否このように、ゆがみ調整は、統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門 的知見との整合性を欠き、厚生労働大臣の判断の過程及び手続には過誤、欠落があり、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるというべきである。 ⑸ デフレ調整の適否アデフレ調整の目的の合理性について物価を考慮したことについて、昭和59年度から、保護基準の改定方式とし て、水準均衡方式が採用され、今日に至るまで継続しているところ、水準均衡 方式とは、生活扶助基準 て物価を考慮したことについて、昭和59年度から、保護基準の改定方式とし て、水準均衡方式が採用され、今日に至るまで継続しているところ、水準均衡 方式とは、生活扶助基準と消費実態との均衡を意味しており、水準均衡方式において物価を考慮することは許されない。昭和59年から本件改定に至るまで水準均衡方式が採用されており、物価指数を用いた改定が行われていないことからすれば、保護基準の改定において、水準均衡方式を採用することとし、物価を考慮しないことは、確立した行政慣行になっていた。本件改定におけるデ フレ調整は、物価を考慮するものであり、確立した行政慣行に反する。 ゆがみ調整と併せて行うことについて、基準部会は、デフレ調整を行うことを前提としておらず、水準の検証をゆがみ調整の中で一体化して行ったのであり、ゆがみ調整は、相対水準の調整に留まるものでなく、絶対水準の調整も含まれている。ゆがみ調整は、平成21年全国消費実態調査の個票データを基礎とし て、生活扶助基準と第1十分位の消費支出との比較検証を行ったところ、全国消費実態調査の個票データは、対象世帯の消費支出の実額が記載された生データなのであるから、物価変動の影響を反映した統計値である。ゆがみ調整は、絶対水準の調整も考慮され、物価変動の影響が反映した消費支出の統計値に基づき保護基準を調整するものであるから、これにさらに物価を本格的に考慮し たデフレ調整を行うことは、物価の二重評価である。 イデフレ調整の方法の合理性について デフレ調整は、平成22年を基準時及びウエイト参照時として、平成20年から平成23年までの物価変動率を-4.78%と算出し、これを勘案して、生活扶助基準の見直しをしたものであるところ、生活扶助相当CP フレ調整は、平成22年を基準時及びウエイト参照時として、平成20年から平成23年までの物価変動率を-4.78%と算出し、これを勘案して、生活扶助基準の見直しをしたものであるところ、生活扶助相当CPIは、次 のとおり合理性を有しない。 対象期間の始期を平成20年としたことについて、総務省CPIによると、平成20年まで横ばいであった消費者物価指数は、原油高の影響等により物価が高騰し、同年に突如として前年より1%以上上昇し、平成21年には、逆に1%以上下落して元の水準に戻っている。総務省CPIについて、昭和 45年から平成27年までの45年間で下落率が最も高いのが平成20年か ら23年の3年間であり、厚生労働大臣は、生活扶助費の削減の結論を導くため恣意的に、物価が著しく高騰し、その後大きく下落することとなる平成20年を始期として選択したものである。 被告らは、本来、平成19年検証に基づき生活扶助基準の見直しを行うべきであったが、平成20年度における生活扶助基準は据え置くこととされ、そ の後も平成19年検証の結果を踏まえた生活扶助基準の見直しが行われず、平成25年改定時の生活扶助基準の水準が第1十分位における生活扶助相当支出額よりも高かったことから、デフレ調整を行うこととしたと主張するところ、これを前提とすると、平成19年検証がされた平成19年を始期とすべきである。そして、平成19年から平成20年にかけてインフレ(年平均 1.4ポイント)となっていたのであるから、平成19年を始期としていれば、平成20年を始期とするほどの物価の下落が生じていない。 平成20年と平成23年の生活扶助相当CPIを比較したことについて、厚生労働大臣は、平成20年から平成23年までの物価変動率の算 平成20年を始期とするほどの物価の下落が生じていない。 平成20年と平成23年の生活扶助相当CPIを比較したことについて、厚生労働大臣は、平成20年から平成23年までの物価変動率の算出に当たり、平成20年生活扶助相当CPIは485品目、平成23年生活扶助相当CP Iは517品目を指数品目とし、いずれも平成22年を基準時及びウエイト参照時とした(前提事実⑿)。これによると、平成20年生活扶助相当CPIの総合指数はパーシェ式によるのと同じ結果となるのに対して、平成23年生活扶助相当CPIの総合指数はラスパイレス式によるのと同じ結果になる。 このように、平成20年生活扶助相当CPIの総合指数104.5と平成23 年生活扶助相当CPIの総合指数99.5は、指数品目の数及びその算出方法を異にするのであり、比較することはできない。 平成20年生活扶助相当CPIの算定について、上記のとおり、平成20年生活扶助相当CPIの総合指数は、パーシェ式により求められるのと同じ結果をとなるところ、一般に、ある特定の年を基準年として数年間固定する 固定基準年方式のパーシェ指数は、物価が持続的に下落している局面におい て、数量が大幅に増加するようなIT関連財などが存在する場合、基準時点から時間が経過するほどその乖離が大きくなることから、国際規準から排除されている。 指数品目の選定について、パソコン及びテレビは、価格が低下し、購入量が増加しており、物価下落に大きく寄与したが、生活保護受給世帯は、家電製 品を購入する金銭的余裕がなく、パソコン及びテレビの価格の低下の恩恵を受ける割合は極めて小さい。生活扶助相当CPIの指数品目は総務省CPIの算出に当たり基準とされる指数品目が使用されているところ、 品を購入する金銭的余裕がなく、パソコン及びテレビの価格の低下の恩恵を受ける割合は極めて小さい。生活扶助相当CPIの指数品目は総務省CPIの算出に当たり基準とされる指数品目が使用されているところ、生活扶助相当CPIの設定における指数品目の選定は合理性を有しない。 ウエイトの合理性について、物価動向により生活保護受給世帯の可処分所得 が実質的に増加しているかを判断するには、生活保護受給世帯の消費実態を考慮しなければならない。ところが、生活扶助相当CPIを算出するに当たり用いられたウエイトは、総務省が行う家計調査における一般世帯(2人以上の世帯)の品目別消費支出金額を基に作成されており、生活保護受給世帯の品目別消費支出金額を基に作成されていない。仮に家計調査によるとして も、一般世帯(2人以上世帯)の消費構造でなく、生活保護受給世帯に近接した第1十分位の消費構造によるべきである。 被保護者の消費実態を示す公的な調査として、社会保障生計調査がある。社会保障生計調査は、生活保護受給世帯の生活実態を明らかにすることにより、保護基準の改定等生活保護制度の企画運営のために必要な基礎資料を得ると ともに、厚生労働行政の企画運営に必要な基礎資料を得ることを目的として、厚生労働省が行っている調査であり、生活保護受給世帯の生活実態に即したものである。生活扶助相当CPIの物価変動率は-4.78%であるところ、社会保障生計調査の個別データを基に計算すると、生活扶助相当CPIでも、平成20年から平成23年の物価変動率は-0.64%にとどまり、総務省C PIの物価変動率も-2.35%であって、生活扶助相当CPIの物価変動率 は、実態と乖離している。 国際規準からの逸脱について、国際規準1は、 4%にとどまり、総務省C PIの物価変動率も-2.35%であって、生活扶助相当CPIの物価変動率 は、実態と乖離している。 国際規準からの逸脱について、国際規準1は、基準時は比較時より過去の時点となるとし、国際規準2は、基準時の指数値は100となるとするところ、平成20年生活扶助相当CPIの総合指数は、基準時を平成22年とし、比較時を平成20年とするものであり、国際規準1に反し、仮に基準時を平成 20年とするものとみると、国際規準2に反する。 国際規準3は、マーケットバスケット方式により消費者物価指数は作成されなければならないとし、国際規準4は、基準時と比較時の品目は完全に同一で対応していなければならないとするところ、生活扶助相当CPIは、指数品目の数及び算出方法を異にするのであり、国際規準3及び4に反する。 被告らは、生活扶助相当CPIは、ロウ指数により算出されており、国際基準に沿うものであると主張する。しかし、ロウ指数は、固定バスケット方式(固定ウエイト方式)を採用する指数全般の総称であり、基準時と比較時の物価を固定買い物かご方式により比較するものであるから、買い物かごを固定しない計算はロウ指数でない。生活扶助相当CPIは、指数品目の数を異にす るのであり、買い物かごを固定しない計算であるから、ロウ指数でない。国際規準に従い算出すると生活扶助相当CPIの物価変動率は-2.26%となるのであり、-4.78%は過大である。 ウデフレ調整の適否このように、デフレ調整は、統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門 的知見との整合性を欠き、厚生労働大臣の判断の過程及び手続には過誤、欠落があり、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるというべき うに、デフレ調整は、統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門 的知見との整合性を欠き、厚生労働大臣の判断の過程及び手続には過誤、欠落があり、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるというべきである。 ⑹ 本件改定は不当な目的によるものか否か自由民主党は、平成24年12月16日の総選挙において、「生活保護給付水準の10%引下げ」を選挙公約としており、本件改定は、政権公約を実現するという 政治的意図に基づいて、あえてデフレ調整を基準部会に付議することを回避して 行われた。本件改定について、権限の濫用ないし動機の不正があるというべきであるから、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用がある。 5 被告らの主張⑴ 生活扶助基準の改定が違法となる場合ゆがみ調整及びデフレ調整の適法性は、厚生労働大臣の判断に最低限度の生活の 具体化に係る判断の過程及び手続における過誤、欠落の有無等の観点からみて裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があると認めることができるか否かという判断枠組みにより判断されるべきであり、具体的には、論証過程の追試的検証として、被告らが説明するゆがみ調整及びデフレ調整に係る厚生労働大臣の判断過程について、それが一応納得することができるものか否か、現に用いられた統計等の客観的 な数値等や専門的知見を前提に、これらと厚生労働大臣の判断過程の間に論理の飛躍や連関を欠くところがあるか否かという観点から、その適否が判断されるべきである。そして、厚生労働大臣が、専門家による審議検討を経ることなく判断した場合は、判断の前提となる課題に関する事実認識やそれに対する評価、対策の課題解決手段としての適合性に一定の合理性があると認められるのであれば、裁 量権の範囲の逸脱又はその濫用があるということ た場合は、判断の前提となる課題に関する事実認識やそれに対する評価、対策の課題解決手段としての適合性に一定の合理性があると認められるのであれば、裁 量権の範囲の逸脱又はその濫用があるということはできず、専門家による審議検討を経て判断した場合であっても、その判断が、上記審議検討に係る結果ないし意見等と積極的に抵触するものであることが明らかであり、かつ、その判断過程について一応の合理的理由すら認められないようなときでない限り、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるということはできない。 激変緩和措置の適法性については、政策的判断による広範な裁量が認められる場面であり、被保護者の期待ないし信頼の程度も勘案して、保護基準の改定等に当たり激変緩和措置を採るか否かについての方針及びこれを採る場合において現に選択した措置が相当であるとした厚生労働大臣の判断に著しい過誤、欠落があるか、当該判断が明らかに合理性を欠くと認めることができる場合に限り、裁量権 の範囲の逸脱又はその濫用があるというべきである。 原告らは、憲法及び生活保護法の趣旨によれば、保護基準の設定や改定に係る厚生労働大臣の裁量権の範囲は限定的なものであると主張する。しかし、保護基準の設定及び改定についての厚生労働大臣の裁量権が広範なものであり、その判断については、法の趣旨、目的を逸脱しない限り、当不当の問題はあっても直ちに違法の問題が生ずるものでないことは既に判例法理として確立されているのであ り、原告らの上記主張は独自の見解である。 原告らは、生活保護法8条、9条は、義務的考慮事項を規定する一方、厚生労働大臣が保護基準の設定に当たり、国の財政事情、国民感情、政権与党の公約等の「生活外的要素」を考慮することを禁じており、仮に禁じて 告らは、生活保護法8条、9条は、義務的考慮事項を規定する一方、厚生労働大臣が保護基準の設定に当たり、国の財政事情、国民感情、政権与党の公約等の「生活外的要素」を考慮することを禁じており、仮に禁じているとまでいうことができないとしても、その考慮に当たっての優先順位や重み付けは、上記法定の義務 的考慮事項と比べれば劣後すると主張する。しかし、健康で文化的な最低限度の生活は極めて抽象的相対的な概念であり、その具体的な内容は多数の不確定的要素を総合考慮して初めて決定できるものであるから、保護基準の設定についての厚生労働大臣の裁量は極めて広範なものと解すべきであり、個々の被保護者の具体的な生活状況自体を考慮しないからといって、そのことが直ちに保護基準の改 定に係る厚生労働大臣の判断における裁量権の範囲の逸脱又はその濫用を基礎付ける事情となるものでなく、厚生労働大臣には、要保護者の需要を把握する方法の選択についても広範な裁量が与えられている。 ⑵ 保護基準の引下げの可否原告らは、憲法25条1項、2項、社会権規約2条1項、9条、11条及び生活 保護法56条を根拠として、保護基準の引下げは原則として許されず、国側が厚生労働大臣の判断の過程、手続に過誤、欠落がないことを主張立証しない限り、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用が認められると主張する。 しかし、憲法25条1項は、国民に具体的権利を付与したものでなく、そもそも健康で文化的な最低限度の生活は、極めて抽象的相対的な概念であり、その具体 的な内容は、多数の比較的要素を総合考慮して初めて決定することができるもの であるから、何が健康で文化的な最低限度の生活であるかの認定判断は厚生労働大臣の合目的的裁量に委ねられていると解すべきである。憲法25条2項 素を総合考慮して初めて決定することができるもの であるから、何が健康で文化的な最低限度の生活であるかの認定判断は厚生労働大臣の合目的的裁量に委ねられていると解すべきである。憲法25条2項は、国に対し、社会福祉、社会保障等の向上及び増進に努めなければならないと規定しているにとどまり、社会福祉等の水準を常に増進させなければならず、これを後退させることを原則として禁止するものとは解し難い。一度設定した保護基準で あっても、その後の社会経済情勢の変化等により削減することは憲法上及び生活保護法上、当然に想定されているというべきである。 原告らが指摘する社会権規約の各規定は、締結国において、社会保障についての権利その他社会権規約規定の各条項所定の権利が、国の社会政策により保護されるに値するものであることを確認し、当該権利の実現に向けて積極的に社会保障 政策を推進すべき政治的責任を負うことを宣明したものであり、個人に対し、具体的権利を付与すべきことを定めたものでない。このことは、社会権規約2条1項が、締結国において、立法措置その他の全ての適当な方法によりこの規約において認められる権利の完全な実現を漸進的に達成することを求めていることから明らかである。 生活保護法56条は、同法8条の基準及び程度の原則に基づき被保護者に対して個別的な保護の決定をする保護の実施機関と、当該被保護者との関係を定めたものであり、その意味するところは、法の定める変更の事由が生じ、保護の実施機関が法の定める変更の手続を正規に執るまでは、既に決定された内容の保護の実施を受ける法的地位を保障するというものにとどまる。保護の実施機関は、同法 8条にいう保護の基準及び程度に基づき、個別の被保護者に対し、個別の保護の決定を行うが、保護 決定された内容の保護の実施を受ける法的地位を保障するというものにとどまる。保護の実施機関は、同法 8条にいう保護の基準及び程度に基づき、個別の被保護者に対し、個別の保護の決定を行うが、保護の基準及び程度の原則そのものである保護基準自体の減額改定は、同法56条による禁止の対象に含まれない。 ⑶ 基準部会等の審議検討を経ていないことの適否原告らは、ゆがみ調整について平成25年検証の結果の反映比率を2分の1とし たこと及びデフレ調整について、基準部会等の審議検討を経ておらず、厚生労働 大臣の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があり、少なくとも、いかなる専門技術的な考察を経たのか、統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性が一層厳しく審査されなければならないと主張するが、厚生労働大臣が、保護基準を設定するに際して、専門家により構成される審議会等の意見を聴くことが法令上の要件とされているものでないのであり、審議会等による検討は厚生 労働大臣の判断を拘束するものでなく、考慮要素とされるにすぎない。 ⑷ ゆがみ調整の適否ア厚生労働大臣の判断過程生活扶助基準は、標準世帯の最低生活費を生活扶助基準の水準として設定し、その最低生活費を第1類費と第2類費に分解した上、年齢階級別、世帯人員別、 級地別に、標準世帯との最低生活費の差を踏まえて設定された指数を適用して展開することによりあらゆる世帯に適用可能な基準として設定されるところ、展開のための指数は、栄養所要量を参考として個人的経費(第1類費)の指数が設定されるなど、標準世帯との比較において、最低生活に要する費用を示すものとして必ずしも適切なものとなっていなかった。 平成16年検証においては、生活扶 的経費(第1類費)の指数が設定されるなど、標準世帯との比較において、最低生活に要する費用を示すものとして必ずしも適切なものとなっていなかった。 平成16年検証においては、生活扶助基準の展開部分に関して、「現行の生活扶助基準の設定は3人世帯を基軸としており、また、算定については、世帯人員数分を単純に足し上げて算定される第1類費(個人消費部分)と、世帯規模の経済性(スケールメリット)を考慮し、世帯人員数に応じて設定されている第2類費(世帯共同消費部分)とを合算する仕組みとされているため、世帯人 員別にみると、必ずしも一般低所得世帯の消費実態を反映したものとなっていない」という指摘がされた。厚生労働大臣は、このような指摘を踏まえて、平成17年度以降、第1類費について4人世帯の場合に0.95、5人以上世帯の場合に0.90の逓減率を導入し、第2類費について4人以上世帯の生活扶助基準を抑制するという見直しを行った。平成16年検証においては、「今後、生活扶 助基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているかを定期的 に見極めるため、全国消費実態調査等を基に5年に一度の頻度で検証を行う必要がある」という指摘もされた。 平成19年検証においては、平成16年検証と同様に、生活扶助基準の評価検証の方法として、「国民の消費実態を詳細に分析する必要があり、そのためには、全国消費実態調査を基本とし、収入階級別、年齢階級別、世帯人員別、地域別 などの様々な角度から詳細に分析することが適当である」という考え方が示されるとともに、水準の妥当性(生活扶助基準の水準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか)のほか、年齢階級別、世帯人員別、級地別の体系の妥当性(第1類費と第2類費との合算 え方が示されるとともに、水準の妥当性(生活扶助基準の水準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか)のほか、年齢階級別、世帯人員別、級地別の体系の妥当性(第1類費と第2類費との合算により定められる生活扶助基準額が消費実態を適切に反映しているか。具体的には、年齢階級別、世帯人員 別の基準額が妥当か)、地域差の妥当性(現行の級地制度が級地間の生活水準の差を反映しているか)についても評価検証が行われた。平成19年検証においては、生活扶助基準の展開部分について、「生活扶助基準の体系に関する評価検証に当たっては、世帯構成などが異なる生活保護受給者の間において実質的な給付水準の均衡が図られる体系としていくべきという観点から行い、その上で、 必要な見直しを行っていくことが必要である」という基本的な考え方が示されるとともに、一般低所得世帯と比較して、年齢階級別にみると、20~39歳、40~59歳では生活扶助基準額が相対的にやや低めであるのに対して、70歳以上では相対的にやや高めであるなど消費実態から乖離していること、世帯人員別にみると、世帯人員4人以上の多人数世帯に有利であるのに対して、世 帯人員が少ない世帯に不利である実態がみられることのほか、地域別にみると、現行の級地制度における地域差を設定した当時と比較して、地域間の消費水準の差が縮小していることなどが明らかにされた。そのため、平成19年検証を踏まえて、年齢階級別、世帯人員別、級地別の展開部分について見直しを行うことが考えられたものの、厚生労働大臣は、平成20年度の予算が編成された 平成19年12月当時、原油価格の高騰等が消費に与える影響等の当時の社会 経済情勢を見極める必要性等を勘案し、平成19年検証に基づく展開部分の見直しは見送ることとした が編成された 平成19年12月当時、原油価格の高騰等が消費に与える影響等の当時の社会 経済情勢を見極める必要性等を勘案し、平成19年検証に基づく展開部分の見直しは見送ることとした。 平成25年検証においては、平成19年検証の「世帯構成などが異なる生活保護受給者の間において実質的な給付水準の均衡が図られる体系としていくべきとの観点から行い、その上で、必要な見直しを行っていくことが必要である」 という指摘を踏まえて、生活保護受給世帯の間の実質的な公平を図る観点から、年齢階級別、世帯人員別、級地別の展開のための指数について、評価検証が行われた。基準部会は、平成19年検証における「生活扶助基準の評価検証を適切に行うためには、国民の消費実態を詳細に分析する必要があり、そのためには、全国消費実態調査を基本とし、収入階級別、年齢階級別、世帯人員別、地 域別などの様々な角度から詳細に分析することが適当である」という指摘を踏まえて、平成21年全国消費実態調査を用いて、一般低所得世帯の年齢階級別、世帯人員別、級地別の消費実態の違いを把握し、その世帯構成による消費実態の相違により生活扶助基準の展開の検証を行うこととした。具体的には、全国消費実態調査を用いて、一般低所得世帯の年齢階級別、世帯人員別、級地別の 消費実態の相違を示す一般低所得世帯の消費実態による指数を把握し、それと生活扶助基準額による指数とを比較することとした。そして、基準部会は、①平成25年検証においても、過去の検証にならい、生活保護受給世帯と隣接する一般低所得世帯の消費実態を用いることが現実的であること、② 第1十分位の平均消費水準は中位所得階層の約6割に達していること、③ 国民の過半 数が必要であると考える必需的な耐久消費財について、第 般低所得世帯の消費実態を用いることが現実的であること、② 第1十分位の平均消費水準は中位所得階層の約6割に達していること、③ 国民の過半 数が必要であると考える必需的な耐久消費財について、第1十分位における普及状況は、中位所得階層と比べておおむね遜色なく充足されている状況にあること、④ 全所得階層における年間収入総額に占める第1十分位の年間収入総額の構成割合はやや減少傾向にあるものの、第1十分位のみが減少しているわけでないこと、⑤ 第1十分位の大部分は経済協力開発機構(以下「OECD」 という。)の基準においては相対的貧困線以下にあること、⑥ 分散分析等の統 計的手法による検証からは、各十分位間の中で、第1十分位と第2十分位の間において消費が大きく変化しており、他の十分位と比べて消費の動向が大きく異なると考えられることから、生活保護受給世帯の比較の対象としての一般低所得世帯として、第1十分位を用いることとした。 基準部会の検証の結果、年齢階級別、世帯人員別、級地別のいずれにおいても、 生活扶助基準額による各指数の分布と一般低所得世帯の消費実態による各指数の分布の間に乖離が認められた。基準部会は、上記の検証結果に関する留意事項として、「今後、政府部内において具体的な基準の見直しを検討する際には、今回の検証結果を考慮しつつも、同時に検証方法について一定の限界があることに留意する必要がある」「今般、生活扶助基準の見直しを具体的に検討する際 には、現在生活保護を受給している世帯及び一般低所得世帯、とりわけ貧困の世代間連鎖を防止する観点から、子どものいる世帯への影響にも配慮する必要がある」とした。 以上の経緯を踏まえて、厚生労働大臣は、基準部会による平成25年検証に基づき、生活保護受給世帯 の世代間連鎖を防止する観点から、子どものいる世帯への影響にも配慮する必要がある」とした。 以上の経緯を踏まえて、厚生労働大臣は、基準部会による平成25年検証に基づき、生活保護受給世帯の間の公平を図るため、ゆがみ調整を行うことにより、 一般低所得世帯の消費実態を展開のための指数に反映させて(ただし、反映比率は2分の1)、生活扶助基準の展開部分の適正化を図った。平成25年検証においては、仮に第1十分位の全世帯が生活保護を受給した場合の平均受給額が不変となるようにして、年齢階級別、世帯人員別、級地別の基準額の水準への影響を評価する方法が用いられ、ゆがみ調整においては、このような検証によ り算出された年齢階級別、世帯人員別、級地別の指数による展開のための指数の改定率を、本件改定前の年齢階級別、世帯人員別、級地別の第1類費及び第2類費の額に直接乗ずる改定手法が用いられた。すなわち、ゆがみ調整は、このような改定手法により、平成25年検証において平均受給額が不変となるようにして算出された指数を基準額に反映させ、その結果として、これら第1類 費及び第2類費を積み上げることにより算出される各世帯(標準世帯を含む。) の生活扶助費が変更されることになる。そのため、毎年度の改定において採用されていた消費を基礎とする水準均衡方式のように、標準世帯の生活扶助基準額に改定率を乗じた上で生活扶助基準全体の水準(高さ)として設定し、当該標準世帯の基準額を基軸としてこれを他の世帯類型に展開する改定手法は、そもそも用いられていない。 そして、平成25年検証において、具体的にどのような要因がどの程度消費に影響を及ぼすかを明確に分析することができないこと、特定の世帯構成等に限定して分析する際にサンプルが極めて少数と そして、平成25年検証において、具体的にどのような要因がどの程度消費に影響を及ぼすかを明確に分析することができないこと、特定の世帯構成等に限定して分析する際にサンプルが極めて少数となるといった統計上の限界があること、平成25年検証で採用した年齢階級、世帯人員、地域の影響を検証する手法について、これが唯一の方法でないことがそれぞれ指摘されていたこと、 平成25年検証の結果をそのまま反映させた場合、子供のいる世帯においては、夫婦子1人世帯(子は18歳未満)8.5%、夫婦子2人世帯(子は18歳未満)14.2%、母子世帯(18歳未満の子1人)5.2%の減額率となることから、子どものいる世帯への影響が大きくなることが予想されたこと、平成25年検証において、生活扶助基準の見直しを具体的に検討する際には、現在生活保護 を受給している世帯及び一般低所得世帯、とりわけ貧困の世代間連鎖を防止する観点から、子どものいる世帯への影響にも配慮する必要があるとされており、激変緩和措置を講ずることが予定されていたことから、厚生労働大臣は、平成25年検証の結果の反映比率を2分の1とした。 イ厚生労働大臣の判断の過程及び手続に過誤、欠落がないこと 上記アのとおり、ゆがみ調整は、基準部会による平成25年検証の結果を踏まえて、生活扶助基準の展開のための指数の適正化を図ったものである。 基準部会は、保護基準につき専門的かつ客観的に評価検証を行うため、法令に基づき設置された機関であり、学識経験者により構成されていることから、その検証結果は基本的に信頼性が高いところ、基準部会による平成25年検証は、 年齢階級別、世帯人員別、級地別の展開のための指数について、平成19年検 証においても是正の必要が指 ら、その検証結果は基本的に信頼性が高いところ、基準部会による平成25年検証は、 年齢階級別、世帯人員別、級地別の展開のための指数について、平成19年検 証においても是正の必要が指摘されていたことなどを踏まえて、一般低所得世帯の消費構造を手掛かりとして、それを生活扶助基準の展開部分に反映させることにより、世帯構成などが異なる生活保護受給者間において実質的な給付水準の均衡を図る観点から行われたものであり、その検証結果を踏まえて、生活扶助基準の展開に関する指数を見直す必要性は高かった。そして、基準部会は、 一般低所得世帯の年齢階級別、世帯人員別、級地別の消費実態の違いを把握するに当たり、第1十分位を用いたが、生活保護受給世帯の間の公平が図られているかを検証するという平成25年検証の目的に照らすと、その手掛かりとする一般低所得世帯としては、生活保護受給世帯と消費構造が近い世帯とするのが相当と考えられ、そのような観点からみると、基準部会が生活保護受給世帯 に近い消費構造を持つものとして第1十分位を用いることに相応の根拠があった。そして、平成25年改定の検証の手法等をみても、過誤、欠落等をうかがわせる事情は見当たらない。 これらを踏まえて、厚生労働大臣は、基準部会の平成25年検証に基づき、専門家の分析により収集された消費実態に関する事実関係を前提に、専門家が示 した方向性に沿う形で、生活扶助基準の展開のための指数について適正化を図ることとしたのであり、このような厚生労働大臣の判断過程について被告らが掲げる理由に論理の飛躍や連関を欠くところはない。本件改定におけるゆがみ調整に係る厚生労働大臣の判断過程に統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性を欠くところがあるということはできず、上記 に論理の飛躍や連関を欠くところはない。本件改定におけるゆがみ調整に係る厚生労働大臣の判断過程に統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性を欠くところがあるということはできず、上記判断 の過程及び手続に過誤、欠落があるということはできない。 ウ平成25年検証の合理性に関する原告らの主張について 第1十分位を比較の対象としたことについて、原告らは、① 平成25年検証は、単純に第1十分位の消費支出に生活扶助基準を合わせるものであるところ、水準均衡方式は、単純に第1十分位の消費支出に生活扶助基準を合わ せるものでなく、平均的な一般世帯の消費支出、低所得世帯(第1五分位と 第2五分位)の消費支出、生活保護受給世帯の消費支出との均衡に留意するものであること、② 漏給層が大量に存在する現状において、最下位層の消費水準との比較を根拠に生活扶助基準の引下げを行うことを許せば、際限なく引下げを行うことができることとなること、③ 基準部会も平成25年検証の検証結果に関する留意事項において、第1十分位を比較の対象とするこ とについて消極的な姿勢を示していることから、第1十分位を比較の対象とすることは合理性を有しないと主張する。 しかし、上記①について、平成25年検証は、年齢階級別、世帯人員別、級地別に生活扶助基準額と一般低所得世帯の消費実態との乖離を詳細に分析し、様々な世帯構成に展開するための指数について検証を行ったものであり、単 純に第1十分位の消費支出と生活扶助基準を比較したものでない。そして、生活扶助基準の改定方式である水準均衡方式とは、政府経済見通しにおける個人消費の伸びに準拠して生活扶助基準の改定率を決定する方式であり、昭和58年意見具申において妥当な水準に達して でない。そして、生活扶助基準の改定方式である水準均衡方式とは、政府経済見通しにおける個人消費の伸びに準拠して生活扶助基準の改定率を決定する方式であり、昭和58年意見具申において妥当な水準に達していると評価された当時の生活扶助基準の水準を一般国民の消費水準の動向に即して改定することにより維 持しようとするものであるのに対して、生活扶助基準の妥当性の検証においては、保護基準が最低限度の生活の需要を満たしつつこれを超えてはならないとされているため、過去から一貫して、低所得世帯の消費実態や生活様式に着目して基準の設定ないし検証が行われてきたところであり、生活扶助基準の改定方式と生活扶助基準の妥当性の検証手法とでは、その目的及び内容 が異なる。 上記②について、生活保護制度は、国が生活に困窮する国民に対して最低限度の生活を保障することを目的とし、生活保護法8条の規定による保護基準は、生活保護において保障すべき最低生活の水準は一般国民の生活水準との関連において捉えられるべき相対的なものであるという考え方に立脚して定 められているのであり、生活扶助基準の妥当性については、従前から一貫し て低所得世帯の消費実態に着目して検証されている。 上記③について、基準部会は、平成25年検証の検証結果に関する留意事項において、「今回試みた検証手法は、平成19年検証の報告書において指摘があった年齢階級別、世帯人員別、級地別に、生活扶助基準の展開と一般低所得世帯の消費実態の間にどの程度乖離が生じているかを詳細に分析したも のである。これにより、個々の生活保護受給世帯を構成する世帯員の年齢、世帯人員、居住する地域の様々な組み合わせによる生活扶助基準の妥当性について、よりきめ細かな検証が行われたことになる」「 も のである。これにより、個々の生活保護受給世帯を構成する世帯員の年齢、世帯人員、居住する地域の様々な組み合わせによる生活扶助基準の妥当性について、よりきめ細かな検証が行われたことになる」「今回の本部会で採用した年齢、世帯人員、地域の影響を検証する手法についても委員による専門的議論の結果得られた透明性の高い一つの妥当な手法である」としているほか、 平成25年検証の検証結果において、「厚生労働省において生活扶助基準の見直しを検討する際には、本報告書の評価検証の結果を考慮し、その上で他に合理的説明が可能な経済指標などを総合的に勘案する場合は、それらの根拠についても明確に示されたい」としているのであり、基準部会が第1十分位を比較の対象とすることについて消極的な姿勢を示した事実はない。 第1十分位から生活保護受給世帯を除外していないことについて、原告らは、平成25年検証は、生活保護受給世帯との比較の対象である第1十分位から生活保護受給世帯を除外しておらず、統計学的に意味を成さないと主張する。しかし、ゆがみ調整は、一般低所得世帯と生活保護受給世帯の同一世帯同士、同一年齢層同士のそれぞれの消費支出の額を比較して、その間のゆ がみを調整しようとしたものでなく、年齢構成や世帯構成、地域が異なる生活保護受給世帯の間の給付のゆがみを調整するものである。原告らが、ゆがみ調整の目的を、生活保護受給世帯の階層別消費支出分布を非生活保護受給世帯の階層別消費支出分布に適合させることと解しているのであれば、そもそもゆがみ調整の目的、内容を正解していない。また、平成25年検証は、 上記の観点から、生活扶助基準額に一般低所得世帯の消費実態が適切に反映 されているかを検証するため、平成21年全消調査の第1十分位のデー 容を正解していない。また、平成25年検証は、 上記の観点から、生活扶助基準額に一般低所得世帯の消費実態が適切に反映 されているかを検証するため、平成21年全消調査の第1十分位のデータを使用し、その消費実態の年齢階級別、世帯人員別、級地別の各指数の分布と、それらの各世帯が実際に当時の基準により生活保護を受給した場合の生活扶助基準額の年齢階級別、世帯人員別、級地別の各指数の分布を比較したものである。すなわち、サンプル世帯である第1十分位の消費実態の各指数の分 布を基準とし、その比較の対象としているのは、同じ集団である第1十分位全てが当時の基準による生活扶助基準額を受給した場合の生活扶助基準の各指数の分布であり、実際の生活保護受給世帯の生活扶助相当支出を比較の対象としたものでない。平成25年検証は、「2つの集団」及び2つの集団におけるそれぞれの「消費支出」を比較したものでなく、比較項目以外において 可能な限り等質的であることが求められるとか、比較の対象とする要因に関し厳密に区別されなければならないというものでない。 回帰分析の方法の合理性について、原告らは、平成25年検証の回帰分析について、回帰モデルの決定係数が低いと主張し、ゆがみ調整は、現実の消費実態を反映しない予測値に基づくものであり、合理性がないと主張する。 しかし、決定係数は、回帰分析における当てはまりの良さ、すなわちその回帰分析が実態に近似する程度を示す指標であり、決定係数の値が「0」(説明変数に被説明変数の変動を説明するのに全く役にたたない場合)であればともかく、どの程度の値であれば実態に近似したものとして妥当と評価されるかについて一般的な基準は存在せず、特定の決定係数の値以上でなければ採 用し得ないといった統計的知見は存在 場合)であればともかく、どの程度の値であれば実態に近似したものとして妥当と評価されるかについて一般的な基準は存在せず、特定の決定係数の値以上でなければ採 用し得ないといった統計的知見は存在しない。そして、平成25年検証の回帰分析における決定係数の値は、その採用が統計的に誤りということができるような極端に低いものでない。そうすると、平成25年検証の決定係数の値のみをもって、その回帰分析が不合理であると指摘する原告らの上記主張は、統計的分析の当不当を指摘するものにすぎず、厚生労働大臣の判断が裁 量権の範囲を逸脱し、又はそれを濫用していることを基礎付けるものでない。 また、原告らは、平成25年検証の回帰分析について、回帰係数のt検定により不要であると判定された説明変数が多数存在したにもかかわらず、これらの説明変数を除外することなく検証結果を求めていることを指摘し、このような回帰分析に基づく消費支出額の予測値が現実の消費実態を反映したものということはできないとする。しかし、回帰係数のt検定により不要であ ると判定された説明変数は、これが除外されなければ、その回帰分析が統計的に誤っているということになるものでなく、原告らの上記主張は、回帰係数のt検定に係る統計的解釈を誤るものであるから、厚生労働大臣の判断が裁量権の範囲を逸脱し、又はそれを濫用していることを基礎付けるものでない。 エ平成25年検証の結果の反映比率を2分の1としたことの合理性原告らは、ゆがみ調整について平成25年検証の結果の反映比率を2分の1としたことは合理性を有しないと主張する。 しかし、原告らの主張は、平成25年検証について統計等の専門的知見に反することを指摘するものでなく、厚生労働大臣の政策判 結果の反映比率を2分の1としたことは合理性を有しないと主張する。 しかし、原告らの主張は、平成25年検証について統計等の専門的知見に反することを指摘するものでなく、厚生労働大臣の政策判断の当不当を指摘するに すぎないから、ゆがみ調整に係る厚生労働大臣の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用を基礎付けるものでない。 この点を措いても、平成25年検証の結果は、生活扶助基準の改定に当たり、考慮要素になるものの、それを踏まえた改定の要否及び内容に係る厚生労働大臣の判断を拘束するものでなく、それを用いて改定を行うか否か、どのように 用いるかなどの判断は、厚生労働大臣の高度の専門技術的な考察に基づく政策的裁量に委ねられている。厚生労働大臣は、基準部会が平成25年検証の検証結果に関する留意事項において、平成25年検証には一定の限界があるとしており、平成25年以降も更に検証をすることが予定されていたことに加えて、平成25年検証の結果を完全に反映すると世帯により生活扶助費の減額幅が大 きくなることが想定されたことから、反映比率を2分の1とした。このように、 生活扶助基準の改定の影響を受ける生活保護受給世帯の間の公平の観点なども勘案した上、平成25年検証の結果の反映比率を2分の1とした厚生労働大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用はない。 ⑸ デフレ調整の適否アデフレ調整の目的の合理性 平成19年検証において、生活扶助基準は一般低所得世帯の消費実態と比較して高いとされていたが、減額改定が行われなかったことから、平成20年当時、生活扶助基準の水準と一般低所得世帯の消費実態の均衡が崩れ、生活扶助基準の水準が一般低所得世帯の消費実態に比較して高くなっていた。このような状況の中、同 定が行われなかったことから、平成20年当時、生活扶助基準の水準と一般低所得世帯の消費実態の均衡が崩れ、生活扶助基準の水準が一般低所得世帯の消費実態に比較して高くなっていた。このような状況の中、同年9月のリーマンショックに端を発する世界金融危機により、 賃金、物価、家計消費等が落ち込み、一般国民の消費水準等が下落する一方、生活扶助基準については、その間の経済動向を踏まえた減額改定が行われず、据え置かれてきた結果、生活保護受給世帯の可処分所得が相対的実質的に増加した状況にあり、生活扶助基準の水準と一般国民の消費実態の不均衡は一層顕著となっていた。そして、平成24年6月の自由民主党、公明党及び民主党の 合意に基づき国会に提出され、同年8月に成立した社会保障制度改革推進法附則2条1項により、生活扶助基準の適正化を早急に行うことが明記された。消費の動向は、物価のほか、賃金の動向やこれらを踏まえた主観的な要素を含む将来の予測等の様々な要素に影響されるのであり、リーマンショック後の賃金、物価、家計消費等が落ち込んでいる状況においては、収入が安定しないことか ら消費を減らすことなどが考えられ、消費を基礎として生活扶助基準を改定すれば減額幅が必要以上に大きくなると想定された。現に、全国消費実態調査によれば、平成16年から平成21年にかけて、夫婦子1人世帯を含む2人以上世帯の消費支出が6.0%下落していた。水準均衡方式が採用された昭和58年当時は、我が国の経済が右肩上がりに成長を続けており、一般国民の消費支出 の増加に伴い、生活扶助基準も増額改定がされることが見込まれたところ、そ の後、社会経済情勢が大きく変化し、平成15年中間取りまとめにおいて、昭和59年度以降、毎年度の政府経済見通しにおける個人消費の伸びに準拠する も増額改定がされることが見込まれたところ、そ の後、社会経済情勢が大きく変化し、平成15年中間取りまとめにおいて、昭和59年度以降、毎年度の政府経済見通しにおける個人消費の伸びに準拠する改定方式が採られてきたが、最近の経済情勢はこの方式を採用した当時と異なると指摘されていた。水準均衡方式は、消費を基礎とするが、消費のほかに、物価や賃金等の経済指標を基礎として生活扶助基準を改定することも考えられる のであり、平成15年中間取りまとめにおいても、最近の経済情勢を踏まえて、消費を指標とすることの課題や指標の在り方について検討する必要が示され、物価を指標とすることも選択肢の一つとされていたことなどによれば、生活扶助基準の水準の調整に当たり、デフレ傾向に伴う生活保護受給世帯の可処分所得の実質的増加に着目し、これを表す指標として物価を用いることにも合理性 があった。これらの経緯を踏まえて、厚生労働大臣は、平成20年以降の生活保護受給世帯の可処分所得の相対的実質的な増加(生活扶助基準の水準の実質的な引上げ)により生じた生活保護受給世帯と一般国民の不均衡の是正を図るため、同年以降の物価変動を生活扶助基準に反映させるデフレ調整を行ったものである。 イデフレ調整の方法の合理性 物価を指標としたことの合理性毎年度の生活扶助基準の改定は、従前、消費を基礎とする水準均衡方式により行われてきたが、法令上定められたものでなく、厚生労働大臣が昭和58年意見具申以降採用している事実上の改定指針にすぎないのであり、保護基 準の改定に係る厚生労働大臣の判断を拘束しないところ、水準均衡方式の採用当時と社会経済情勢が大きく変化しているのであり、平成15年中間取りまとめもそのことを指摘していた。そして、本 、保護基 準の改定に係る厚生労働大臣の判断を拘束しないところ、水準均衡方式の採用当時と社会経済情勢が大きく変化しているのであり、平成15年中間取りまとめもそのことを指摘していた。そして、本件改定に際し、消費を基礎とする改定を行えば、減額幅が必要以上に大きくなることが想定されたのに対して、一般国民の生活水準との均衡を図るという水準均衡方式の考え方によ りつつ、消費のほかに、物価や賃金等の経済指標を基礎とする改定を行うこ とも考えられた。そこで、厚生労働大臣は、生活扶助基準の水準の改定について、水準均衡方式の考え方を堅持しつつも、平成20年以降のデフレ傾向により生活保護受給世帯の可処分所得が相対的実質的に増加し、生活保護受給世帯と一般国民の不均衡が生じていることから、それを是正するため、上記のデフレ傾向による生活保護受給世帯の可処分所得の相対的実質的な増加 に着目した生活扶助基準の水準の見直しを行うのが直截的かつ相当であると判断し、客観的な経済指標である物価を基にして生活扶助基準の水準の見直しを行うこととした。 基準部会等の審議検討を経ることなく行った事情平成19年検証の結果及びその後の社会経済情勢に照らして生活扶助基準 の水準の改定の必要が認められたが、平成25年検証においては生活扶助基準の水準について検証が行われていなかったため、基準部会の審議検討を経て改定を行うことは断念せざるを得なかった。そこで、厚生労働大臣は、自らの専門技術的知見に基づいてデフレ調整を行うこととしたところ、デフレ調整は、生活扶助基準の改定の基本的な考え方に立脚したものであり、それ までの専門家による検証の考え方と齟齬するものでない。そして、平成24年8月に成立した社会保障制度改革推進法の附則に フレ調整は、生活扶助基準の改定の基本的な考え方に立脚したものであり、それ までの専門家による検証の考え方と齟齬するものでない。そして、平成24年8月に成立した社会保障制度改革推進法の附則において、生活扶助基準について必要な見直しを早急に行うことが厚生労働大臣に求められていたところ、保護基準の改定に当たり専門家の意見を求める法令の規定はない上、厚生労働大臣が行おうとするデフレ調整の当否等について審議検討することは 基準部会の設置の趣旨及び審議事項でない。専門家の意見聴取には相当の期間を要することが見込まれたのであり、厚生労働大臣は、このようなことから、デフレ調整について基準部会等の専門家の意見を求めなかった。 具体的な指標の設定の合理性厚生労働大臣は、平成20年以降の物価の動きを把握するため、総務省CP Iのうち生活扶助による支出が想定される品目のデータである生活扶助相当 CPIを用いて、平成20年から平成23年までの物価変動率を-4.78%と算定した。 a 総務省CPIのうち生活扶助による支出が想定される品目のデータを用いたことの合理性物価及びその変動率を算定するには、指数品目を選定し、その品目の価格 指数及びウエイトを把握する必要があるところ、本件改定が行われた平成25年当時、生活扶助による支出が想定される品目の価格指数及びウエイトを網羅した信頼性の高い客観的なデータは、総務省CPIのほかに見当たらなかった。もっとも、総務省CPIの指数品目には、家賃、教育費、医療費、自動車関係費、NHK受信料等の生活扶助による支出がおよそ想 定されない品目が含まれており、生活保護受給世帯の可処分所得の相対的実質的な増加の程度を正確に把握するには、上記品 教育費、医療費、自動車関係費、NHK受信料等の生活扶助による支出がおよそ想 定されない品目が含まれており、生活保護受給世帯の可処分所得の相対的実質的な増加の程度を正確に把握するには、上記品目を除いて算定することが相当であると考えられた。被保護者の需要の有無及び程度を判断するため、一般低所得者が支出する品目のうち生活扶助相当品目を用いるという手法は、従前から行われており、かつ、専門家にも是認されていた。す なわち、老齢加算の廃止を提言した専門委員会は、生活扶助相当消費支出額に基づき被保護者の需要の有無等について検討しているところ、生活扶助相当消費支出額とは、一般低所得者の消費支出から、生活扶助による支出がおよそ想定されない品目を除くことにより算出したものである。そして、品目の選定については、生活扶助において捕捉され得るかという客観 的かつ明確な基準に従い判断されたものであり、恣意的判断が入り込む余地がない。これらの理由から、厚生労働大臣は、総務省CPIの指数品目のうち生活扶助による支出が想定される品目(生活扶助相当品目)の価格指数及びウエイトのデータ(生活扶助相当CPI)を用いて、物価変動率を算定した。 b 対象期間の始期を平成20年としたことの合理性 厚生労働大臣が対象期間すなわち物価変動率を算定する期間の始期を平成20年としたのは、デフレ調整の目的が平成20年以降のデフレ傾向による生活保護受給世帯の可処分所得の相対的実質的な増加による一般国民との不均衡を是正することにあったためである。 すなわち、平成19年検証において生活扶助基準が一般低所得世帯の消 費実態と比較して高いという見解が示され、生活扶助基準の水準と一般低所得世帯の消費実態の均衡が崩れ ためである。 すなわち、平成19年検証において生活扶助基準が一般低所得世帯の消 費実態と比較して高いという見解が示され、生活扶助基準の水準と一般低所得世帯の消費実態の均衡が崩れている状況にあったが、平成20年の時点においては減額改定が行われず、その後、同年9月のリーマンショックに端を発した世界金融危機が我が国の消費等の実体経済に大きな影響を与え、賃金、物価、家計消費等がいずれも大きく下落する状況に至ったとこ ろ、厚生労働大臣は、このような平成20年以降のデフレ傾向により生活保護受給世帯の可処分所得が相対的実質的に増加した(生活扶助基準の水準が実質的に引き上げられた)状況にあり、生活扶助基準の水準と一般国民の消費実態の不均衡が一層顕著となったことから、平成20年以降のデフレ傾向により拡大した生活扶助基準の水準と一般国民の消費実態の不均 衡を是正するためデフレ調整を行った。消費者物価指数は、平成19年から平成20年にかけて1%を超える上昇をしていたが、上記のとおり、既に平成19年検証において、生活扶助基準と一般低所得世帯の不均衡(夫婦子1人世帯において約1.1%、単身高齢者世帯において約13%)が確認されていたのであり、平成20年を始期とすることにより平成19年か ら平成20年にかけての物価変動が反映されないとしても、これによりデフレ調整後の生活扶助基準の水準と一般国民の消費実態の均衡を図ることができなくなるものでない。そこで、厚生労働大臣は、デフレ調整の目的を踏まえて、物価変動率の算定の始期を平成20年とした。なお、平成25年改定当時の最新の総務省CPIのデータが平成23年のものであった ことから、対象期間の終期を平成23年とした。 c 平成22年基準のウエイトを用い した。なお、平成25年改定当時の最新の総務省CPIのデータが平成23年のものであった ことから、対象期間の終期を平成23年とした。 c 平成22年基準のウエイトを用いたことの合理性平成25年当時、家計調査(総務省CPI)のウエイトのデータとしては、平成17年基準のものと、平成22年基準のものが存在したところ、国民の消費の内容は経時的に変化することから、現実の消費実態を反映した物価指数を算定するには、物価指数の算定時に可能な限り近接した時点の消 費構造を示すデータを用いるのが相当であり、このような観点から、対象期間に接着した平成22年基準によるウエイトのデータが平成20年から平成23年までの物価変動率を算定するに当たり用いられたものである。 このように対象期間の中の任意の時点のウエイトを採る方法は「中間年指数」と紹介される方法であり、合理性を有するものである。 d 家計調査により算出されたウエイトを用いたことの合理性物価指数は、現実の消費実態を反映させるため、指数品目の価格指数に各品目のウエイトを乗じて加重平均して算定されるところ、総務省CPIの算定には家計調査から算出されたウエイトが用いられる。家計調査は、総務省統計局が、国民生活における家計収支の実態を把握するため、一般国 民の家計上の支出、収入、貯蓄等を調査する基幹統計の一つであり、詳細な品目別の支出額が調査の対象となっている。そして、その調査対象世帯の選定は、居住地域等による偏りを避け、国民全体の支出等が推計できるよう統計上配慮されており、このように選定された約9000世帯を対象に調査票を配布、回収、集計することにより行われる。家計調査の結果は、 一般国民の消費等の分析に広く用いられ 出等が推計できるよう統計上配慮されており、このように選定された約9000世帯を対象に調査票を配布、回収、集計することにより行われる。家計調査の結果は、 一般国民の消費等の分析に広く用いられており、総務省CPIはもとより、官公庁のほか、民間においても広く利用されている。統計法上の基幹統計である家計調査は、統計資料としての精度が高いだけでなく、家計上の支出(詳細な品目ごとの支出額)の把握を目的とする調査であるから、生活扶助相当CPIの算定に用いられる各品目のウエイトを把握するのに最も 適したデータである。さらに、生活扶助基準の水準は、一般国民の生活水 準との関連において捉えられるべき相対的なものであるという考え方により改定が行われており、一般国民の消費を表す家計調査により算出された消費者物価指数のウエイトデータを用いることは、従来の改定の考え方とも整合する。 一方、社会保障生計調査は、厚生労働省が実施する一般統計調査であり、 生活保護受給世帯の生活実態を明らかにすることにより、保護基準の改定等生活保護制度の企画運営のために必要な基礎資料を得るとともに、厚生労働行政の企画運営に必要な基礎資料を得ることを目的とするものであって、全国の生活保護受給世帯を対象として全国を地域別に10ブロックに分け、ブロックごとに都道府県、指定都市、中核市のうち1ないし3か所 を調査対象自治体として選出し、そこから1110世帯を対象として、家計簿を記入してもらうなどの方法により行われているものであり、保護基準の改定等に用いられる統計資料であるものの、調査世帯の選定において地域等による偏りが生ずる可能性があることや、サンプル数が必ずしも多くないことなどを踏まえると、生活保護受給世帯全体の家計支出の状況を 推 いられる統計資料であるものの、調査世帯の選定において地域等による偏りが生ずる可能性があることや、サンプル数が必ずしも多くないことなどを踏まえると、生活保護受給世帯全体の家計支出の状況を 推測する精度に一定の限界がある。その上、社会保障生計調査は、生活保護受給世帯の生活実態を把握する調査であり、生活保護受給世帯の詳細な支出先や支出額を把握するものでないから、調査の手法としても、個別品目の消費支出の割合等を正確かつ詳細に記載させるための措置が講じられておらず、その調査結果の分析により、おおまかなウエイトを把握するこ とができても、家計調査のように詳細な品目ごとのウエイトを把握することはできない(例えば、食料(外食)のウエイトを把握することはできても、食料(一般外食(うどん))のウエイトを把握することはできない。)。 そのため、社会保障生計調査のウエイトを用いた場合には、消費者物価指数の詳細な品目ごとの価格データが存在するにもかかわらず、その詳細な 品目ごとの消費の支出の割合を反映した物価指数を算出することができな くなると予想された。家計調査には、収入階層別のウエイトのデータもあるが、これについては、いくつかの品目をまとめた類レベルでのウエイトのデータのみが存在し、品目別のウエイトのデータは存在しない。そのため、家計調査の収入階層別のウエイトを用いた場合にも、消費者物価指数の詳細な品目ごとの消費の支出の割合を反映した物価指数を算出すること ができなくなると予想された。 このとおり、厚生労働大臣は、社会保障生計調査の結果を分析したウエイトを用いて物価変動率を算出することが可能であったとしても、家計調査の統計資料としての精度や適格性、従来の改定の考え方との整合性等を総合的に勘案し、家計調査によ 会保障生計調査の結果を分析したウエイトを用いて物価変動率を算出することが可能であったとしても、家計調査の統計資料としての精度や適格性、従来の改定の考え方との整合性等を総合的に勘案し、家計調査により算出された消費者物価指数のウエイトデー タを用いる判断をしたものである。 e 特定の品目について他の品目と異なる取扱いをすることの可否多数ある指数品目のうち、ある特定の品目(例えば、教養娯楽費)に限り生活扶助相当CPIの算定から除外し、又はウエイトを調整する場合には、その必要性や合理性について統計等の根拠に基づいて的確に説明する必要 があるところ、生活扶助相当CPIで用いられた家計調査のウエイトのデータと社会保障生計調査に基づくウエイトのデータを比較すると、両者のウエイトの違いは特定の品目(例えば、教養娯楽費)に限られるものでなく、その違いの程度も一様でない。 また、厚生労働省が平成22年に実施した家庭の生活実態及び生活意識 に関する調査によれば、例えば、生活保護受給世帯のパソコンの普及率は約4割、ビデオレコーダは約7割、電子レンジや洗濯機は約9割、カラーテレビや冷蔵庫はほぼ10割となっている。これらの事情に照らせば、生活保護受給世帯においても、テレビやパソコン等の教養娯楽用耐久財は一般世帯と同様に普及しているということができ、生活保護受給世帯におい て教養娯楽用耐久財を生活扶助で購入することも十分予想されるところ、 保護費のうちどの程度をテレビやパソコン等の教養娯楽用耐久財に充てるかは当該世帯ごとの個別の事情によるものであって、この点は教養娯楽用耐久財以外の生活扶助相当品目と変わりがない。 このように、仮に、多数ある指数品目のうち特定の品目(例えば 財に充てるかは当該世帯ごとの個別の事情によるものであって、この点は教養娯楽用耐久財以外の生活扶助相当品目と変わりがない。 このように、仮に、多数ある指数品目のうち特定の品目(例えば、教養娯楽費)に限り生活扶助相当CPIの算定から除外し、又はウエイトを調整 することを検討したとしても、その必要性や合理性について統計等の根拠に基づいて的確に説明することは必ずしも容易でなかったということができる。 生活扶助相当CPIの設定に当たっては、これにより算出される物価変動率の正確性が重要な考慮要素の一つであるものの、唯一絶対のものという ことはできない。恣意的な判断が介在しないという意味での合理性や、国民に対する説明可能性(説明の分かり易さという意味での簡便さ)も考慮要素となり得るものであり、厚生労働大臣は、これらも考慮した。 f 具体的な物価変動率(-4.78%)の算定過程厚生労働大臣は、総務省CPIのデータ(生活扶助による支出が想定され る品目の平成20年と平成23年の各価格指数のデータ及び平成22年基準によるウエイトのデータ)を用いて、平成20年から平成23年までの物価変動率を算定することとした。その具体的な算定過程は、次のとおりである。 まず、総務省統計局のホームページで公表されている平成22年基準消費 者物価指数に係る年報の「第7表-1 品目別価格指数(全国)」から、生活扶助による支出が想定される平成20年及び平成23年の各品目の価格指数及び平成22年基準によるウエイトを抜き出す。次に、各品目別の価格指数に、ウエイトの値を乗じ、乗じた数値を合計する(その結果は、平成20年が646627.9、平成23年が635973.1である。)。 年基準によるウエイトを抜き出す。次に、各品目別の価格指数に、ウエイトの値を乗じ、乗じた数値を合計する(その結果は、平成20年が646627.9、平成23年が635973.1である。)。 これらの数値を生活扶助相当品目のウエイトの合計である6189(平成 20年)及び6393(平成23年)でそれぞれ除する。 そうすると、以下の計算式のとおり、平成20年の生活扶助相当CPIは104.5、平成23年の生活扶助CPIは99.5となる。 平成20年:646627.9÷6189=104.5平成23年:635973.1÷6393=99.5 そして、平成20年から平成23年までの生活扶助相当CPIの変化率は、次の計算式のとおり、-4.78%と算定される。 {(99.5-104.5)÷104.5}×100=-4.78%ウデフレ調整に係る判断の過程及び手続に過誤、欠落がないこと平成19年検証の結果、生活扶助基準の水準は一般低所得世帯の消費実態と 比較して高いとされながら、平成19年検証に基づく減額改定が行われなかったことにより、平成20年当時、生活扶助基準の水準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が既に崩れており、生活扶助基準の水準が一般低所得世帯の消費実態と比較して高くなっていた。このような状況の中、平成20年9月のリーマンショックに端を発する世界金融危機により、賃金、物価、家計消費等が落 ち込み、一般国民の消費水準が下落する一方、同年以降、経済動向を踏まえた生活扶助基準の減額改定が行われずに据え置かれてきた結果、生活保護受給世帯の可処分所得が相対的実質的に増加した(生活扶助基準の水準が実質的に引き上げられた 下落する一方、同年以降、経済動向を踏まえた生活扶助基準の減額改定が行われずに据え置かれてきた結果、生活保護受給世帯の可処分所得が相対的実質的に増加した(生活扶助基準の水準が実質的に引き上げられた)と評価することができる状況となり、生活保護受給世帯と一般国民との均衡は一層崩れていた。そこで、厚生労働大臣は、平成20年以降の 生活保護受給世帯の可処分所得の相対的実質的な増加(生活扶助基準の水準の実質的な引上げ)により生じた生活保護受給世帯と一般国民との不均衡の是正を図るため、同年以降の物価変動を生活扶助基準の水準に反映させるデフレ調整を行うこととしたものであって、デフレ調整を行うこととした判断の根拠となる社会経済情勢等の評価に誤りはなく、これを踏まえてデフレ調整を行うと した判断には合理性が認められる。 また、デフレ調整を行うに当たり設定した生活扶助相当CPIは、平成20年以降のデフレの状況を生活扶助基準の水準に反映させることによりその適正化を図るというデフレ調整の目的に即したものとなっていた上、その結果得られた平成20年から平成23年までの物価変動率(-4.78%)をもってデフレ調整における改定率とした判断もまた当時の社会経済情勢等に照らし合理的か つ相当なものである。そして、これはこれまでの専門的知見に基づく保護基準改定における改定の手法や一般的な統計学の手法に沿ったものであるから、以上のような厚生労働大臣の判断過程について過誤、欠落があるということはできない。 さらに、平成16年以降、生活扶助基準額が基本的に据え置かれてきた状況の 下において、全国消費実態調査によれば、夫婦子1人世帯(第1十分位)の生活扶助相当支出額が、平成16年から平成21年にかけて約11.6%も下落して 扶助基準額が基本的に据え置かれてきた状況の 下において、全国消費実態調査によれば、夫婦子1人世帯(第1十分位)の生活扶助相当支出額が、平成16年から平成21年にかけて約11.6%も下落していたことによれば、仮に平成19年検証と同様の方法で生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態とを比較し、消費を基礎とした生活扶助基準の水準を調整しようとすれば、相当大幅な減額になっていたことが見込まれる。また、本 件改定後の平成26年全国消費実態調査においても、夫婦子1人世帯(第1十分位)の生活扶助相当支出額が平成16年に比べて約8.2%低下していた。これらの事情に照らせば、本件改定に係る厚生労働大臣の判断について、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用がないことが一層明らかとなる。 デフレ調整に係る厚生労働大臣の判断過程に統計等の客観的な数値等との合 理的関連性や専門的知見との整合性に欠けるところはなく、上記判断の過程及び手続に過誤、欠落はない。 エ平成29年検証について平成29年検証においては、一般低所得世帯の消費水準との均衡を図る水準均衡方式を前提に、夫婦子1人世帯の第1十分位の生活扶助相当支出と生活扶 助基準額がおおむね均衡することが確認されているのであり、デフレ調整に係 る厚生労働大臣の判断過程に過誤、欠落等がなかったことが裏付けられている。 オ原告らの主張について デフレ調整を行うこととした判断の合理性原告らは、保護基準の設定(改定)において、水準均衡方式を採用することとし、物価を考慮しないことは、確立した行政慣行になっていたというべき であるとし、本件改定におけるデフレ調整は、物価を考慮するものであり、確立した行政慣行に反すると主張する。しか 採用することとし、物価を考慮しないことは、確立した行政慣行になっていたというべき であるとし、本件改定におけるデフレ調整は、物価を考慮するものであり、確立した行政慣行に反すると主張する。しかし、毎年度の生活扶助基準の改定方式は、法令上規定されたものでなく、厚生労働大臣が昭和58年意見具申以降採用している事実上の改定指針にすぎないのであり、保護基準の改定に係る厚生労働大臣の判断を拘束するものでないところ、水準均衡方式が採 用された当時とは社会経済情勢が大きく変化しており、平成15年中間取りまとめにおいてもその旨の指摘がされ、本件改定に当たり、仮に消費を基礎とする改定を行った場合、減額幅が必要以上に大きくなることが想定されたのに対して、一般国民の生活水準との均衡を図るという水準均衡方式の前提とする考え方の下においては、消費支出のほかに、物価や賃金等の経済指標 を基礎として生活扶助基準を改定することも考えられた。そこで、厚生労働大臣は、生活扶助基準の水準の改定について、それまで行われてきた消費を基礎とする水準均衡方式の考え方を堅持しつつも、平成20年以降のデフレ傾向により生活保護受給世帯の可処分所得が相対的実質的に増加したことにより、生活保護受給世帯と一般国民との不均衡が生じていることから、生活 保護受給世帯と一般国民との不均衡を是正するためには、その原因の一つである平成20年以降のデフレ傾向による生活保護受給世帯における可処分所得の相対的実質的な増加に着目した生活扶助基準の水準の見直しを行うのが直截的かつ相当であると判断し、客観的な経済指標の一つである物価を基にして生活扶助基準の水準の見直しを行うこととしたものである。 原告らは、ゆがみ調整は、生活扶助基準の絶対水準の調整も考慮され、物価 し、客観的な経済指標の一つである物価を基にして生活扶助基準の水準の見直しを行うこととしたものである。 原告らは、ゆがみ調整は、生活扶助基準の絶対水準の調整も考慮され、物価 変動の影響が反映した消費支出の統計値に基づき保護基準を調整するものであるから、これにさらに物価を考慮したデフレ調整を行うことは、物価の二重評価であると主張するが、ゆがみ調整は生活扶助基準の絶対水準を調整したものでない上、ゆがみ調整は、物価変動を評価するものとはなっておらず、デフレ調整とゆがみ調整が物価変動を二重に評価することとなるものでない。 本件改定に当たり、物価変動を考慮した点に関する厚生労働大臣の判断の過程及び手続に過誤、欠落はない。 対象期間の始期を平成20年としたこと原告らは、厚生労働大臣は、生活扶助費削減の結論を導くため恣意的に、物価が著しく高騰し、その後大きく下落することとなる平成20年を始期とし て選択したと主張するが、厚生労働大臣が生活扶助相当CPIの設定に当たり対象期間の始期を平成20年とした理由は、上記イbのとおりであり、厚生労働大臣の判断の過程及び手続に過誤、欠落はない。 平成20年と平成23年の生活扶助相当CPIを比較すること原告らは、平成20年と平成23年の生活扶助相当CPIの総合指数は、指 数品目の数及びその算出方法を異にするものであり、比較することができないと主張する。しかし、厚生労働大臣が生活扶助相当CPIの設定に当たり平成22年基準のウエイトを用いた理由は上記イcのとおり、平成25年当時、家計調査(総務省CPI)のウエイトのデータとしては、平成17年以前の基準によるものと平成22年基準によるものが存在したところ、 22年基準のウエイトを用いた理由は上記イcのとおり、平成25年当時、家計調査(総務省CPI)のウエイトのデータとしては、平成17年以前の基準によるものと平成22年基準によるものが存在したところ、国民 の消費の内容は経時的に変化することから、現実の消費実態を反映した物価指数を算定するためには、物価指数の算定時に可能な限り近接した時点の消費構造を示すデータを用いるのが相当と判断したためである。そして、物価指数の算出において、実務的、学術的に正解となる唯一の算出方式というものは存在しない。デフレ調整の物価変動率の算出において用いられた平成2 0年及び平成23年の生活扶助相当CPIは、いずれも消費者物価指数マニ ュアルの「ロウ指数」であり、国際的に妥当とされるものである。この点について、厚生労働大臣の判断の過程及び手続に過誤、欠落はない。 平成20年生活扶助相当CPIの算出原告らは、平成20年生活扶助相当CPIは、平成20年から平成22年までの物価指数の変化を基に算出したものであり、これはパーシェ式により求 められるのと同じ結果となるところ、パーシェ式は国際規準から排除されていると主張する。しかし、総務省CPIにおいては、消費者物価指数を算出する際に、速報性やコスト面から、ウエイトを指数算出対象期間の期首に設定するラスパイレス式を採用しているが、これは、直近時点の取引ウエイトを知ることが困難であるという実務上の理由によるものにすぎず、消費者物 価指数を算出するための指数としてラスパイレス指数が唯一正しいものであることや他の指数が誤っていることを意味するものでない。また、ウエイトは、5年間同じウエイトを用い続けなければ消費者物価指数の算出方法として合理性を欠くわけでなく、直近のウエ 数が唯一正しいものであることや他の指数が誤っていることを意味するものでない。また、ウエイトは、5年間同じウエイトを用い続けなければ消費者物価指数の算出方法として合理性を欠くわけでなく、直近のウエイトを用いる方が望ましい。この点について、厚生労働大臣の判断の過程及び手続に過誤、欠落はない。 指数品目の選定原告らは、パソコン及びテレビは、価格が低下し、購入量が増加しており、これが物価下落に大きく寄与しているところ、生活保護受給世帯は、家電製品を購入する金銭的に余裕がなく、パソコン及びテレビの価格の低下の恩恵を受ける割合が小さいとして、生活扶助相当CPIの算定における指数品目 の選定が不合理であると主張する。 しかし、厚生労働大臣が生活扶助相当CPIの設定に当たり総務省CPIのうち生活扶助による支出が想定される品目のデータを用いて物価変動率を算定することとした理由は、上記イaのとおりである。生活扶助相当CPIの設定に当たり生活扶助相当品目以外の品目を除外することにより除外され なかった電化製品のウエイトが相対的に上昇するとしても、このようなウエ イトの上昇は、除外されなかった品目全てについて同じ割合で発生するものであるから、電化製品のウエイトの上昇のみを取り上げて殊更に強調するのは相当でない。生活扶助相当CPIは、総務省の専門的知見を踏まえて客観的に集計及び算定された結果である消費者物価指数を基に、全ての消費品目から、① 家賃や教育費、医療費といった生活扶助以外の他扶助により賄わ れる品目や、② 自動車関係費、NHK受信料といった生活扶助で支出することが想定されていない品目を除外して算出しているところであり、その算出方法は合理的なものである。 また 賄わ れる品目や、② 自動車関係費、NHK受信料といった生活扶助で支出することが想定されていない品目を除外して算出しているところであり、その算出方法は合理的なものである。 また、厚生労働省が平成22年に実施した「家庭の生活実態及び生活意識に関する調査」によれば、例えば、生活保護受給世帯のパソコンの普及率は約 4割、ビデオレコーダは約7割、電子レンジや洗濯機は約9割、カラーテレビや冷蔵庫はほぼ10割となっているように、生活保護受給世帯においても相当程度電化製品を所持して生活を営んでいるのであり、生活扶助で購入することもある。 この点について、厚生労働大臣の判断の過程及び手続に過誤、欠落はない。 ウエイトの合理性原告らは、生活扶助相当CPIを算出するに当たり、社会保障生計調査でなく家計調査により算出された消費者物価指数のウエイトを用いた厚生労働大臣の判断には裁量権の範囲の逸脱、濫用があると主張する。しかし、厚生労働大臣が生活扶助相当CPIの設定において家計調査に基づくウエイトを用 いた理由は上記イdのとおりであり、原告らの上記主張を踏まえたとしても、このような厚生労働大臣の判断の過程及び手続に過誤、欠落があるとはいうことができない。 国際規準からの逸脱の有無原告らは、生活扶助相当CPIの算出方法及びその変化率の算出方法は国 際規準から逸脱するものであると主張する。しかし、原告らの主張する「国 際規準」はいずれもその趣旨や内容が不明確であり、生活扶助相当CPIの算出方法、その変化率の算出方法がそれらの国際規準に反するという根拠は明らかでない。合理的に推測されるいずれの趣旨と解しても、生活扶助相当CPIの合理性を左右 容が不明確であり、生活扶助相当CPIの算出方法、その変化率の算出方法がそれらの国際規準に反するという根拠は明らかでない。合理的に推測されるいずれの趣旨と解しても、生活扶助相当CPIの合理性を左右するような国際規準はおよそ存在しない。デフレ調整の物価変動率の算出において用いられた平成20年及び平成23年の生活扶 助相当CPIは、いずれも消費者物価指数マニュアルの「ロウ指数」であり、消費者物価指数マニュアルに掲載される国際的に妥当性がある算式によるものである。 原告らは、ロウ指数とは、「固定バスケット方式」(固定ウエイト方式)を採用する指数全般の総称であり、ロウ指数は、基準時と比較時の物価を固定買 い物かご方式で比較するものであるから、買い物かごを固定しない計算はロウ指数でないところ、生活扶助相当CPIは、上記のとおり品目数が異なるものであり、買い物かごを固定しない計算であるから、ロウ指数でないと主張する。この点について、平成20年及び平成23年の生活扶助相当CPIは、総務省CPIの価格指数及びウエイトのデータを用いて算出していると ころ、総務省CPIの平成22年基準改定により新たに採用された32品目(新規採用品目)については、平成20年の価格指数のデータが存在しないため、平成20年の生活扶助相当CPIは485品目、平成23年の生活扶助相当CPIは517品目の価格指数のデータを用いて計算されている。もっとも、一部の品目の価格が観察することができないという状況は、物価指数の作成 実務においてしばしば発生するものであり(これは「欠価格」の問題と呼ばれる。)、一部の価格が観察することができないからといって、物価指数及びその指数を用いた物価変動率が計算できなくなるものでない。すなわち、消費者物価指数マニュア であり(これは「欠価格」の問題と呼ばれる。)、一部の価格が観察することができないからといって、物価指数及びその指数を用いた物価変動率が計算できなくなるものでない。すなわち、消費者物価指数マニュアルには、欠価格の問題が生じ得ることを前提に、その処理方法の例が紹介され、総務省統計局の「消費者物価指数の解説」にも、「一 時的に出回りが途切れるなど、比較時価格がやむを得ず「欠」となった場合 は、その品目の指数(比較時価格が「欠」になっているので計算できない。)及びウエイトは除外して計算する」と記載されているのであり、一部の価格が観察することができない状況(欠価格)にあっても、物価指数を作成することができる。そして、その欠価格の具体的な処理方法に関し、総務省統計局の消費者物価指数の作成においては、欠価格の問題が生じた場合には、「類 似品目の物価動向」により「欠価格品目の物価動向」を推測する方法、すなわち「欠価格品目の価格動向」について「類似品目の価格動向」と同一であったと仮定する方法が採用されている。また、欠価格の処理方法は、上記のような方法に限られず、欠価格となった品目を計算上除外して物価指数を作成することも可能である。そして、欠価格品目の価格を計算上除外して物価 指数を算出した場合、欠価格品目の価格動向については「他の全ての品目の価格動向」と同じと仮定したことになる。このように、欠価格の処理として、欠価格品目の価格を「計算上」除外することは、欠価格品目の価格動向を他の全ての品目の価格動向と同じと仮定することを意味し、買い物かごの内容を変えることを意味するものでない。デフレ調整においては、平成22年の 基準改定による新規採用品目(32品目)の価格が観察することができなかったことから、新規採用品目の価格指数 い物かごの内容を変えることを意味するものでない。デフレ調整においては、平成22年の 基準改定による新規採用品目(32品目)の価格が観察することができなかったことから、新規採用品目の価格指数を除外して平成20年生活扶助相当CPIを算定しており、平成20年生活扶助相当CPIと平成23年生活扶助相当CPIとでは計算上の品目数が異なっている。そして、新規採用品目の価格動向(32品目)は、他の全ての品目の価格動向(485品目)と同 じであったと仮定(-4.78%)して算出の根拠となっているのであり、平成20年を基準とする平成23年の生活扶助相当CPIは、固定された同じ買い物かご(517品目)を購入するために必要な全費用の変化を表したロウ指数(固定買い物かご指数)である。このように、平成20年及び平成23年の生活扶助相当CPIを算出する計算上の品目(485品目、517品 目)が異なることは、平成20年を基準とする平成23年の生活扶助相当C PIが、一定の買い物かご(517品目)により算出された固定買い物かご指数(ロウ指数)であることを何ら否定するものでない。 ⑹ 本件改定は不当な目的によるものか否か原告らは、本件改定は、自民党の政権公約を実現するという政治的意図に基づいて、あえてデフレ調整について基準部会に付議することを回避して行われたもの であり、本件改定について、権限の濫用ないし動機の不正があるというべきであるから、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があると主張する。しかし、本件改定に係る生活扶助基準の見直しは、その必要性に応じて適切に行われたものであって、政治的な意図を考慮して行われたものでない。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前提事実に加えて、各項に掲記の証拠及び弁論 直しは、その必要性に応じて適切に行われたものであって、政治的な意図を考慮して行われたものでない。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前提事実に加えて、各項に掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実を認めることができる。 ⑴ 生活扶助基準の改定方式の変遷生活扶助基準は、衣食などの日常生活に必要な基本的かつ経常的経費についての 最低生活費を定めたものであるところ、その改定に当たり、基準生活費の算出方式として、① 当初は、マーケットバスケット方式(最低生活を営むために必要な飲食物費や衣類、家具什器、入浴料といった個々の品目を一つ一つ積み上げて最低生活費を算出する方式)が、② 昭和36年からは、エンゲル方式(栄養審議会の答申に基づく栄養所要量を満たし得る食品を理論的に積み上げて計算し、別に 低所得世帯の実態調査から、この飲食物費を支出している世帯のエンゲル係数の理論値を求め、これから逆算して総生活費を算出する方式)が、それぞれ採用された。昭和40年からは、格差縮小方式(政府経済見通しにおける個人消費の伸び率に格差縮小分を上乗せし、一般国民の消費水準の伸び率以上に生活扶助基準を引き上げ、一般国民と生活保護受給世帯との消費水準の格差の縮小を図る方式) が採用されたところ、この採用に当たっては、生活保護専門分科会がそれまでの 生活保護水準についての検討内容を取りまとめた昭和39年中間報告が踏まえられた。(乙7の2、乙34、弁論の全趣旨)⑵ 昭和55年中間取りまとめ生活保護専門分科会は、昭和55年12月、生活保護の水準の評価、生活扶助基準の改定方式の適否等についての検討の状況を中間的に整理し、今後の検討の方 向性を明らかにする「生活保護専門分科会審議状況の中間 護専門分科会は、昭和55年12月、生活保護の水準の評価、生活扶助基準の改定方式の適否等についての検討の状況を中間的に整理し、今後の検討の方 向性を明らかにする「生活保護専門分科会審議状況の中間的取りまとめ」(以下「昭和55年中間取りまとめ」という。)を公表した。その内容は次のとおりである。 (乙9)ア生活保護の水準生活保護受給世帯の消費支出水準については、昭和40年度以降、格差縮小方 式により生活扶助基準が改定されてきた結果、相当の改善が図られた点は評価されるべきである。しかし、栄養の摂取の態様については主食の比率が高いこと等未だ貧困性が強く認められ、さらに、地域社会の成員としてふさわしい生活を営むために不可欠な交通費、教養費、交際費等社会的経費は、一般世帯のみならず第1十分位と比較しても著しい開きがあることなどを勘案すると、生 活保護受給世帯の消費支出の水準は今後更に改善を要する。 イ生活扶助基準の改定方式生活保護の目的は国民の最低生活、すなわち、最低限度の消費支出を保障することであり、その具体的な保障水準を表す生活扶助基準は、当該年度に予想される一般国民の消費生活の動向に対応して設定しなければならない。そのため、 生活扶助基準の改定方式としては、消費支出を指標とし、かつ、予想される生活水準に対応することができるものであることが前提となる。 格差縮小方式は、格差縮小が十分でない現状においては、その考え方は妥当性を有する。 ⑶ 昭和58年意見具申 中央社会福祉審議会は、生活保護専門分科会における検討を踏まえて、昭和58 年12月23日、生活扶助基準の在り方等についての昭和58年意見具申を取りまとめ、厚生大臣に提出した。その 中央社会福祉審議会は、生活保護専門分科会における検討を踏まえて、昭和58 年12月23日、生活扶助基準の在り方等についての昭和58年意見具申を取りまとめ、厚生大臣に提出した。その内容は次のとおりである。(乙8)ア生活扶助基準の評価生活保護において保障すべき最低生活の水準は、一般国民の生活水準との関連において捉えられるべき相対的なものである。 国民の生活水準が著しく向上した今日における最低生活の保障の水準は、単に肉体的生存に必要な最低限の衣食住を充足すれば十分というものでなく、一般国民の生活水準と均衡のとれた最低限度のもの、すなわち家族全員が必要な栄養量を確保するのはもちろんのこと、被服及びその他の社会的費用についても、必要最低限の水準が確保されるものでなければならない。 このような考え方により、総理府家計調査を所得階層別に詳細に分析検討した結果、現在の生活扶助基準は、一般国民の消費実態との均衡上おおむね妥当な水準に達しているという所見を得た。しかし、国民の生活水準は今後も向上すると見込まれるので、生活保護受給世帯及び低所得世帯の生活実態を常時把握しておくことはもちろんのこと、生活扶助基準の妥当性についての検証を定期 的に行う必要がある。 イ生活扶助基準の改定方式生活保護において保障すべき最低生活の水準は、一般国民生活における消費水準との比較における相対的なものとして設定すべきであり、生活扶助基準の改定に当たっては、当該年度に想定される一般国民の消費動向を踏まえると同時 に、前年度までの一般国民の消費水準との調整が図られるよう適切な措置をとることが必要である。 また、当該年度に予想される国民の消費動向に対応する見地か 民の消費動向を踏まえると同時 に、前年度までの一般国民の消費水準との調整が図られるよう適切な措置をとることが必要である。 また、当該年度に予想される国民の消費動向に対応する見地から、政府経済見通しにおける民間最終消費支出の伸びに準拠することが妥当である。 なお、賃金や物価は、そのままでは消費水準を示すものでないので、その伸び は、参考資料にとどめるべきである。 ⑷ 水準均衡方式の採用厚生大臣は、昭和58年意見具申を受けて、昭和59年度から、生活扶助基準の改定方式として水準均衡方式を採用した。水準均衡方式は、当該年度に想定される一般国民の消費動向を踏まえると同時に、前年度までの一般国民の消費実態との調整を図る方式である。水準均衡方式は、政府経済見通しにおける個人消費の 伸びに準拠して翌年度の改定率を算定する点においては格差縮小方式と異ならないが、格差縮小分を上乗せせず、個人消費の伸びに関する指標の実績値との調整を図ることとしている点において格差縮小方式と異なる。水準均衡方式における生活扶助基準の改定は次のとおりであった。(乙7の2、弁論の全趣旨)ア生活扶助基準の改定は、標準世帯(夫33歳、妻29歳、子4歳)の改定前の 生活扶助基準額に水準均衡方式により算定される改定率を乗じ、当該改定後の標準世帯の生活扶助基準額を起点として、次のイないしオの方法により、様々な世帯構成の改定後の生活扶助基準額を算出する。 イ上記アの標準世帯の生活扶助基準額を、一般世帯の消費実態における第1類費相当支出額(食費、被服費等)と第2類費相当支出額(光熱水費、家具家事 用品等)の構成割合により展開し、第1類費と第2類費に区分する。 ウ上記イにより得られた第1類 態における第1類費相当支出額(食費、被服費等)と第2類費相当支出額(光熱水費、家具家事 用品等)の構成割合により展開し、第1類費と第2類費に区分する。 ウ上記イにより得られた第1類費を、年齢階級別の栄養所要量を参考とした指数により展開し、年齢階級別の第1類費の基準額を算出する。 エ上記イにより得られた第2類費を、一般世帯における世帯人員別の消費支出の第2類費相当支出額を参考とした指数により展開し、世帯人員別の第2類費の 基準額を算出する。 オ上記ウにより得られた年齢階級別の第1類費及び上記エにより得られた世帯人員別の第2類費を、それぞれ、1級地-1を起点に級地間格差をもって設定した指数により展開し、級地別の基準額を算出する。 ⑸ 平成16年検証 ア水準均衡方式の採用後の経過 バブル経済の崩壊に伴い、平成4年頃から、賃金、物価及び家計消費がいずれも継続的に下落するデフレとなった。そのような社会経済情勢の中において、平成12年5月のいわゆる社会福祉基礎構造改革法案についての衆議院及び参議院の附帯決議により生活保護の在り方について検討することとされ、平成15年6月の社会保障審議会意見及び財政制度等審議会建議においても同様に生 活保護制度の在り方の検討の必要性が指摘された。同月27日に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」において、生活保護についても、物価、賃金動向、社会経済情勢の変化、年金制度改革などとの関係を踏まえて、老齢加算等の生活扶助基準など制度、運営の両面にわたる見直しが必要であるとされた。(乙11、乙12の2、弁論の全趣旨) イ専門委員会の設置このような動向を踏まえて、平成15年7月、社会 扶助基準など制度、運営の両面にわたる見直しが必要であるとされた。(乙11、乙12の2、弁論の全趣旨) イ専門委員会の設置このような動向を踏まえて、平成15年7月、社会保障審議会福祉部会の下に、保護基準の在り方を始め生活保護制度全般についての検討を目的とする専門委員会が設置された。(乙12の1)ウ平成15年中間取りまとめ 専門委員会は、平成15年12月16日、平成15年中間取りまとめを公表し、生活扶助基準についての考え方を示した。その内容は次のとおりである。 (乙13) 生活扶助基準の評価生活保護において保障すべき最低生活の水準は、一般国民の生活水準との 関連において捉えられるべき相対的なものであり、具体的には、第1十分位の消費水準に着目することが適当である。このような考え方により第1十分位の勤労者3人世帯の消費水準について詳細に分析して勤労3人世帯の生活扶助基準額と比較した結果は次のとおりである。 ① 第1十分位の消費水準と生活扶助基準額とを比較すると、後者が高い。 ② 第1十分位(第1~第5五十分位)のうち、食費、教養娯楽費等の減少が 顕著な分位である第1~第2五十分位の消費水準と生活扶助基準額とを比較すると、後者が高い。 ③ 第1十分位のうち、残りの第3~第5五十分位の消費水準と勤労控除額を除いた生活扶助基準額とを比較すると均衡が図られているが、生活保護受給世帯の消費可能額である勤労控除額を含めて比較すると、後者が高い。 生活扶助基準の第1類費及び第2類費の設定の在り方標準世帯(夫婦子1人世帯)を基準として具体的な世帯類型別に展開してみると、いくつかの問題 比較すると、後者が高い。 生活扶助基準の第1類費及び第2類費の設定の在り方標準世帯(夫婦子1人世帯)を基準として具体的な世帯類型別に展開してみると、いくつかの問題がみられる。 ① 第1類費の年齢別格差について、マーケットバスケット方式当時の栄養所要量を基準として設定されている現行の第1類費の年齢別格差について、 直近の年齢別栄養所要量及び一般低所得世帯の年齢別消費支出額と比較して検証したところ、おおむね妥当であるが、年齢階級の幅の在り方については引き続き検討することが必要であり、また、0歳児については、人工栄養費の在り方を含めた見直しが必要である。 ② 世帯人員別の生活扶助基準については、第1類費と第2類費の割合は一 般低所得世帯の消費実態と比べると第1類費が相対的に大きい。また、このように相対的に大きな第1類費が年齢別に組み合わされるため、多人数世帯ほど基準額が割高になることが指摘されている。 これを是正するため、3人世帯の生活扶助基準額の第1類費と第2類費の構成割合を一般低所得世帯の消費実態に均衡させるよう第2類費の構成割 合を高めることが必要である。また、世帯人員別に定めた第2類費の換算率については、一般低所得世帯における世帯人員別第2類費相当支出額の格差を踏まえて、多人数世帯の換算率を小さくする方向で見直しを行うことが必要である。 ③ 単身世帯の生活扶助基準については、第1類費及び第2類費の構成割合 について、現在の3人世帯を基軸とする基準設定においては、必ずしも一 般低所得世帯の消費実態を反映したものとなっていない。したがって、生活保護受給世帯の約7割が単身世帯であること、単身世帯における第1類費及び第2類費 とする基準設定においては、必ずしも一 般低所得世帯の消費実態を反映したものとなっていない。したがって、生活保護受給世帯の約7割が単身世帯であること、単身世帯における第1類費及び第2類費については一般世帯の消費実態からみてこれらを区分する実質的な意味に乏しいことも踏まえて、単身世帯については、一般低所得世帯との均衡を踏まえて別途の生活扶助基準を設定することについて検討 することが望ましい。 生活扶助基準の在り方① 昭和59年度以降採用されている水準均衡方式はおおむね妥当であると認められてきたが、最近の経済情勢はこの方式を採用した当時と異なることから、例えば5年間に1度の頻度で、生活扶助基準の水準について定期 的に検証を行うことが必要である。 ② 定期的な検証を行うまでの毎年の改定については、近年、民間最終消費支出の伸びの見通しがプラス、実績がマイナスとなるなど安定しておらず、また、実績の確定も遅いため、これによる生活保護受給世帯への影響が懸念されることから、改定の指標の在り方についても検討が必要である。こ の場合、国民にとってわかりやすいものとすることが必要なので、例えば、年金の改定と同じように消費者物価指数の伸びも改定の指標の一つとして用いることなども考えられる。 ③ 急激な経済変動があった場合には、機械的に改定率を設定するのでなく、最低生活水準確保の見地から別途対応することが必要である。 エ平成16年報告書専門委員会は、平成16年12月15日、「生活保護制度の在り方に関する専門委員会報告書」を取りまとめた。その内容は次のとおりである。(乙4) 生活扶助基準の評価検証平成15年中間取りまとめにおいて報告 15日、「生活保護制度の在り方に関する専門委員会報告書」を取りまとめた。その内容は次のとおりである。(乙4) 生活扶助基準の評価検証平成15年中間取りまとめにおいて報告したとおり、水準均衡方式を前提と する手法により、勤労3人世帯の生活扶助基準について、低所得世帯の消費 支出額との比較において評価検証した結果、その水準は基本的に妥当であったが、今後、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているかを定期的に見極めるため、全国消費実態調査等を基に5年に1度の頻度で検証を行う必要がある。なお、生活扶助基準の検証に当たっては、平均的にみれば、勤労基礎控除も含めた生活扶助基準額が一般低所得世帯の 消費における生活扶助相当支出額よりも高くなっていること、また、各種控除が実質的な生活水準に影響することも考慮する必要がある。これらの検証に際しては、地域別、世帯類型別等に分けるとともに、調査方法及び評価手法についても専門家の知見を踏まえることが妥当である。 生活扶助基準の設定及び算定方法 現行の生活扶助基準の設定は3人世帯を基軸としており、算定については、世帯人員数分を単純に足し上げて算定される第1類費(個人消費部分)と、世帯規模の経済性(スケールメリット)を考慮し、世帯人員数に応じて設定されている第2類費(世帯共同消費部分)とを合算する仕組みとされているため、世帯人員別にみると、必ずしも一般低所得世帯の消費実態を反映した ものとなっていない。このため、特に次の点について改善が図られるよう、設定及び算定方法について見直しを検討する必要がある。 ① 多人数世帯基準の是正生活扶助基準は多人数になるほど割高になるという指摘 、特に次の点について改善が図られるよう、設定及び算定方法について見直しを検討する必要がある。 ① 多人数世帯基準の是正生活扶助基準は多人数になるほど割高になるという指摘があるが、これは人数が増すにつれて第1類費の比重が高くなり、スケールメリット効果が 薄れるためである。このため、第2類費の構成割合及び多人数世帯の換算率に関する見直しのほか、世帯規模の経済性を高めるような設定等について検討する必要がある。 ② 単身世帯基準の設定単身世帯の生活扶助基準についても、多人数世帯の基準と同様、必ずしも 一般低所得世帯の消費実態を反映したものとなっていない。また、生活保 護受給世帯の7割は単身世帯が占めていること、高齢化の進展や扶養意識の変化に伴って高齢単身世帯の増加が顕著となっており、今後もさらにその傾向が進むと見込まれることに鑑み、単身世帯については、一般低所得世帯との均衡を踏まえて別途の生活扶助基準を設定することについて検討することが必要である。 ③ 第1類費の年齢別設定の見直し人工栄養費の在り方も含めた0歳児の第1類費や、第1類費の年齢階級の幅の拡大などについても見直しが必要である。 級地現行級地制度については昭和62年度から最大格差22.5%、6区分制と されているが、現在の一般世帯の生活扶助相当支出額をみると、地域差が縮小する傾向が認められたところである。このため、市町村合併の動向にも配慮しつつ、さらに今後詳細なデータによる検証を行った上、級地制度全般について見直しを検討することが必要である。 オ平成16年検証後の生活扶助基準の見直し 厚生労働大臣は、一般世帯の さらに今後詳細なデータによる検証を行った上、級地制度全般について見直しを検討することが必要である。 オ平成16年検証後の生活扶助基準の見直し 厚生労働大臣は、一般世帯の消費実態との均衡を図るため、平成17年度以降、第1類費について4人世帯の場合に0.95、5人以上世帯の場合に0.90の各逓減率を導入し(3年をかけて段階的に実施)、第2類費について4人以上世帯の生活扶助基準の基準額を抑制する見直しを行った。(乙7の3)⑹ 平成19年検証 ア検討会の設置平成16年報告書において、生活扶助基準と一般低所得世帯との均衡が適切に図られているかについて定期的に検証を行う必要があると指摘されたこと、平成18年7月に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」においても、生活扶助基準について、低所得世帯の消費実態等を踏 まえた見直し及び級地の見直しを行うこととされたことなどを踏まえて、平成 19年10月、厚生労働省社会援護局長の下に、生活扶助基準について、学識経験者により全国消費実態調査の結果を用いて専門的な分析検討を行うことを目的とする検討会が設置された。 イ平成19年報告書検討会は、平成19年11月30日、「生活扶助基準に関する検討会報告書」 を取りまとめた。その内容は次のとおりである。(乙5) 検討項目① 水準の妥当性生活扶助基準の水準が、保護を受給していない低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているかに関する評価検証 ② 体系の妥当性第1類費と第2類費の合算により算出される生活扶助基準額が消費実態を反映しているかに関する評価検証 衡が適切に図られているかに関する評価検証 ② 体系の妥当性第1類費と第2類費の合算により算出される生活扶助基準額が消費実態を反映しているかに関する評価検証③ 地域差の妥当性現行の級地制度においては、最も高い級地と最も低い級地の基準額の較差 が22.5%となっているが、これが地域間における生活水準の差を反映しているかに関する評価検証④ その他働いて得た収入がある場合に、その収入の額に応じて行って額が手元に残る仕組みである勤労控除が妥当なものとなっているかに関する検討 評価検証の方法国民の消費水準との格差を縮めるため、民間最終消費支出の伸び率を基礎に、その伸び率以上に基準額を引き上げる格差縮小方式の導入の結果、国民の消費実態との均衡上おおむね妥当な水準に達したことから、昭和59年、その均衡した水準を維持調整する水準均衡方式が採用され、現在に至ってい るという経緯の中において、生活扶助基準の評価検証を適切に行うためには、 国民の消費実態を詳細に分析する必要があり、そのためには、全国消費実態調査を基本とし、収入階級別、世帯人員別、年齢階級別、地域別などの様々な角度から詳細に分析することが適当である。 直近に行われた平成16年全国消費実態調査の結果を用いて、主に統計的な分析を基に、専門的かつ客観的に評価検証を行う。 生活扶助基準の水準生活保護受給世帯のうち3人世帯は5.5%にすぎないことを踏まえて、標準世帯だけでなく、生活保護受給世帯の74.2%を占める単身世帯にも着目して、評価検証を行った。 夫婦子1人世帯の第1十分位における生活扶 3人世帯は5.5%にすぎないことを踏まえて、標準世帯だけでなく、生活保護受給世帯の74.2%を占める単身世帯にも着目して、評価検証を行った。 夫婦子1人世帯の第1十分位における生活扶助相当支出額は世帯当たり1 4万8781円であったのに対して、それらの世帯の平均の生活扶助基準額は世帯当たり15万0408円であり、生活扶助基準額がやや高めとなっている。第1五分位で比較すると、前者が15万3607円、後者が15万0840円であり、生活扶助基準額がやや低めとなっている。 単身世帯(60歳以上の場合)の第1十分位における生活扶助相当支出額は 世帯当たり6万2831円であったのに対して、それらの世帯の平均の生活扶助基準額は世帯当たり7万1209円であり、生活扶助基準額が高めとなっている。第1五分位で比較すると、前者が7万1007円、後者が7万1193円であり、均衡した水準となっている。 生活扶助基準額は、これまで第1十分位の消費水準と比較することが適当と されてきたが、① 第1十分位の消費水準は、平均的な世帯の消費水準に照らして相当程度に達していること、② 第1十分位における必需的な耐久消費財の普及状況は、平均的な世帯と比べて大きな差はなく、また、必需的な消費品目の購入頻度は、平均的な世帯と比較してもおおむね遜色ない状況にあることから、平成19年検証において、これを変更する理由は特段ないと 考える。ただし、これまで比較の対象としてきた夫婦子1人世帯の第1十分 位の消費水準は、第3五分位の消費水準の7割に達しているが、単身世帯(60歳以上)については、その割合が5割(第1五分位でみると約6割)にとどまっている点に留意する必要がある。 生活扶助基準の体系 五分位の消費水準の7割に達しているが、単身世帯(60歳以上)については、その割合が5割(第1五分位でみると約6割)にとどまっている点に留意する必要がある。 生活扶助基準の体系生活扶助基準の体系に関する評価検証に当たっては、世帯構成などが異なる 生活保護受給者の間において実質的な給付水準の均衡が図られる体系としていくべきという観点から評価検証を行い、その上で必要な見直しを行っていくことが必要である。平成16年報告書においては、消費実態との比較において、世帯人員別にみた課題として、① 人数が増すにつれ第1類費の比重が高くなり、割高となっていること、② 単身世帯について、消費実態を反 映したものとなっておらず、第1類費と第2類費に区分する実質的意味が乏しいことも踏まえて、別途の基準を設定することについて検討することが望ましいことが指摘されたことから、平成17年度から、第1類費について4人以上の世帯の場合に一定程度規模の経済(スケールメリット)を考慮に入れて設定しているところであるが、今回は、その見直し後の世帯人員別、年 齢階級別の基準額について、改めて消費実態を反映しているか評価検証を行った。 世帯人員別の基準額の水準については、生活扶助基準額を第1五分位における世帯人員別の生活扶助相当支出額と比較すると、世帯人員が1人の世帯の生活扶助基準額及び生活扶助相当支出額を、それぞれ1としたときの比率 で、4人世帯は生活扶助基準額が2.27と、生活扶助相当支出額の1.99と比べて相対的にやや高め、5人世帯でも生活扶助基準額が2.54と、生活扶助相当支出額の2.14と比べて相対的にやや高めとなっており、世帯人員別に設定された生活扶助基準額は、世帯人員が4人以上の多人数世帯に有利であり 高め、5人世帯でも生活扶助基準額が2.54と、生活扶助相当支出額の2.14と比べて相対的にやや高めとなっており、世帯人員別に設定された生活扶助基準額は、世帯人員が4人以上の多人数世帯に有利であり、世帯人員が少ない世帯に不利である実態がみられる。 年齢階級別の基準額の水準については、生活扶助基準額を単身世帯の第1 ないし第3五分位における年齢階級別の生活扶助相当支出額と比較すると、60歳台の生活扶助基準額及び生活扶助相当支出額を、それぞれ1としたときの比率で、20~39歳においては生活扶助基準額が1.05と、生活扶助相当支出額の1.09に比べて相対的にやや低め、40~59歳においては生活扶助基準額が1.03と、生活扶助相当支出額の1.08と比べて相対的にや や低めとなっている。一方、70歳以上においては生活扶助基準額が0.95と、生活扶助相当支出額の0.88より相対的にやや高めであるなど、年齢階級別に設定された生活扶助基準額は消費実態からやや乖離している。 第1類費と第2類費の区分については、年齢階級別に設定された個人的経費である第1類費と、世帯人員別に設定された世帯共通経費である第2類費 を分ける生活扶助基準の考え方に、実際の消費実態が当てはまるか評価検証を行った結果、第1類費相当支出額についても世帯人員によるスケールメリットがみられ、また、第2類費相当支出額についてもその世帯員の年齢階級別で差がみられた。したがって、第1類費と第2類費に区分された基準額が実際の消費実態を反映しているということはできない状況となっている。こ のため、世帯人員別のスケールメリットを消費実態に合わせて反映させるには、必ずしも第1類費、第2類費に区分する必要性はない。また、仮に第1類費と第2類費用 ことはできない状況となっている。こ のため、世帯人員別のスケールメリットを消費実態に合わせて反映させるには、必ずしも第1類費、第2類費に区分する必要性はない。また、仮に第1類費と第2類費用の区分を廃止した場合には、単身世帯を基礎において世帯人数に応じて増加額が逓減する体系とすることにより、世帯の消費実態を生活扶助基準に反映させることが可能である。 標準世帯については、生活扶助基準の改定に当たり生活扶助基準の基軸として利用するもの、国民に生活保護の基準をわかりやすく説明する際にモデルとして利用するものという2つの役割があるところ、前者については、生活扶助基準の体系が消費実態と整合性がとれているのであれば、必ずしも3人世帯を基軸として基準額を設定する方式をとる必要はなく、要保護者の保 護の基準の設定という点においては、複数人員世帯より単身世帯に着目して 生活扶助基準を設定することが可能である。 生活扶助基準の地域差に関する検証現行の級地制度の地域差を設定した昭和59年当時の消費実態と、直近の平成16年の消費実態を比較すると、地域差が縮小している傾向がみられる。 世帯類型、年齢階層などで実際の生活様式は異なるとしても、平均的には、 現行の地域差を設定した当時と比較して、地域間の消費水準の差は縮小してきているということができる。 ⑺ 平成19年検証後の生活扶助基準の改定厚生労働大臣は、平成19年検証の結果、平成16年度の生活扶助基準額は第1十分位の生活扶助相当支出額と比べて、夫婦子1人世帯においてやや高め、単身 高齢者世帯において高めという知見が得られたが、平成20年度の予算編成当時、原油価格が高騰していたことから、それが消費に与える影響等を見極め 出額と比べて、夫婦子1人世帯においてやや高め、単身 高齢者世帯において高めという知見が得られたが、平成20年度の予算編成当時、原油価格が高騰していたことから、それが消費に与える影響等を見極めるため、平成20年度の生活扶助基準の改定をすることなく据え置いた。厚生労働大臣は、平成21年度の予算編成当時においても、生活関連物資を中心とした物価の上昇が国民の家計へ大きな影響を与えていたこと、世界的な金融危機であるリーマン ショックが実体経済へ深刻な影響を及ぼしており、国民の将来不安が高まっている状況にあると考えられたことから、平成21年度の生活扶助基準の改定をすることなく据え置いた。厚生労働大臣は、平成22年度について、完全失業率が高水準で推移するなど、現下の厳しい経済雇用情勢を踏まえて、国民生活の安心が確保されるべき状況にあることに鑑み、生活扶助基準の改定をすることなく据え置 き、平成23年度及び平成24年度についても、それまでの経緯を踏まえて、経済雇用情勢等を総合的に勘案し、生活扶助基準の改定をすることなく据え置いた。 (乙7の1、乙15、73ないし80、弁論の全趣旨)⑻ 平成25年検証に至る経過ア平成19年検証後の経過 平成20年9月のリーマンショック後、完全失業率は、平成20年平均4.0%、 平成21年平均5.1%、平成22年平均5.0%、平成23年4.6%、平成24年4.3%と推移した。一般勤労者世帯の賃金は、事業所規模5人以上の調査産業計の1人平均月間現金給与総額が、平成20年0.3%の減少、平成21年3.9%の減少、平成22年0.5%の増加、平成23年0.2%の減少、平成24年0.7%の減少と推移した。消費者物価は、総務省CPIが、平成20年1.4% の上昇、 年0.3%の減少、平成21年3.9%の減少、平成22年0.5%の増加、平成23年0.2%の減少、平成24年0.7%の減少と推移した。消費者物価は、総務省CPIが、平成20年1.4% の上昇、平成21年1.4%の下落、平成22年0.7%の下落、平成23年0.3%の下落と推移し、平成24年は横ばいであった。全国勤労者世帯の家計消費支出は、平成20年0.5%の増加(名目値)、平成21年1.8%の減少、平成22年0.2%の減少、平成23年3.0%の減少と推移し、平成24年は1.6%の増加に転じた。(乙11、弁論の全趣旨) イ基準部会の設置平成23年2月、学識経験者による専門的かつ客観的な検証を行うため、社会保障審議会の下に、保護基準の定期的な評価検証について審議するための常設の部会として、基準部会が設置された。 ウ平成25年報告書 基準部会は、平成21年全国消費実態調査のデータを用いて、国民の消費動向、特に一般低所得世帯の生活実態を勘案しながら、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか等について検証を行い、平成25年1月18日、「社会保障審議会生活保護基準部会報告書」を取りまとめた。その内容は次の⑼のとおりである。(乙6) この平成25年検証は、① 生活扶助基準の水準は、その時々の経済的文化的な生活状況や国民の社会通念などの影響を受けるものであり、また、生活扶助基準額の設定に当たっては水準均衡方式が採用されていることから、その水準は、国民の消費実態との関係で相対的に決まるものであるという認識に基づき、② 生活扶助基準の算定は、世帯員の年齢階級に応じて設定さ れる第1類費(食費や被服費などの個人的経費に相当)と、世帯規模の経済 費実態との関係で相対的に決まるものであるという認識に基づき、② 生活扶助基準の算定は、世帯員の年齢階級に応じて設定さ れる第1類費(食費や被服費などの個人的経費に相当)と、世帯規模の経済 性(スケールメリット)を考慮し世帯人員に応じて設定される第2類費(水道光熱費や家具などの世帯共通経費に相当)とを合算する仕組みとなっているが、平成16年検証においては、世帯人員別にみると必ずしも一般低所得世帯の消費実態を反映したスケールメリットとなっていないため、体系の設定及び算定方法について見直しを検討する必要があるという指摘があったこ と、及び、③ 平成19年検証においても、世帯構成などが異なる生活保護受給者の間において実質的な給付水準の均衡が図られる体系とする観点から、必要な見直しを行うことが必要であるという考え方が示され、具体的には、生活扶助基準の評価検証を適切に行うためには、国民の消費実態を詳細に分析する必要があり、そのためには、全国消費実態調査を基本とし、収入階級 別、年齢階級別、世帯人員別、地域別などの様々な角度から詳細に分析することが適当であるという指摘があったことを踏まえて、年齢階級別、世帯人員別、級地別に基準額と消費実態の乖離を詳細に分析し、様々な世帯構成に展開するための指数について検証を行ったものである。 ⑼ 平成25年検証 平成25年報告書の内容は、次のとおりである。 ア検証方針と検証概要生活保護において保障すべき健康で文化的な最低限度の生活の水準は、一般国民の生活水準との関連において捉えられるべき相対的なものであることから、生活扶助基準と対比する一般低所得世帯として、第1十分位を設定した。その 上で、様々な世帯構成の基準額を算出する際に基本となる年 活水準との関連において捉えられるべき相対的なものであることから、生活扶助基準と対比する一般低所得世帯として、第1十分位を設定した。その 上で、様々な世帯構成の基準額を算出する際に基本となる年齢、世帯人員及び地域別の基準額が第1十分位の消費実態を十分反映しているかについて、より詳細な検証を行うこととした。その際に、仮に第1十分位の全世帯が生活保護を受給した場合の平均受給額が不変となるようにして、年齢、世帯人員体系及び級地の基準額の水準への影響を評価する方法を採用した。 平成25年検証において、一部統計的分析手法である回帰分析を採用した。そ の理由は、① 平成19年検証においては、各年齢階級の単身世帯のデータを用いて年齢階級別の平均消費水準を分析したが、全国消費実態調査の調査客体には10代以下の単身世帯がほとんどいないため、10代以下の消費水準を正確に計測することができないという限界があったこと、② 平成25年検証の結果の妥当性を補強するため、回帰分析を用いた結果とおおむね遜色がないか を確認することとしたことである。 イ検証に使用した統計データ国民の消費実態を世帯構成別に細かく分けて分析する必要があるため、平成21年全国消費実態調査の個票データを用いた。 平成25年検証は、様々な世帯構成に対する基準の展開の妥当性を指数により 把握しようとするものであるところ、この指数は第1十分位の生活扶助相当支出を用いて算出した。その理由は、① 生活扶助基準を国民の健康で文化的な最低限度の生活水準として考えた場合、指数を全分位の所得階層(全世帯)あるいは中位所得階層(第3五分位)等から算出することも可能であるが、これまでの検証にならい、生活保護受給世帯と隣接する一般低所得世帯 限度の生活水準として考えた場合、指数を全分位の所得階層(全世帯)あるいは中位所得階層(第3五分位)等から算出することも可能であるが、これまでの検証にならい、生活保護受給世帯と隣接する一般低所得世帯の消費実態 を用いることが現実的であると判断したこと、② 第1十分位の平均消費水準は中位所得階層の約6割に達していること、③ 国民の過半数が必要であると考える必需的な耐久消費財について、第1十分位における普及状況は、中位所得階層と比べておおむね遜色なく充足されている状況にあること、④ 全所得階層における年間収入総額に占める第1十分位の年間収入総額の構成割合はや や減少傾向ではあるものの、高所得階層を除く他の十分位の傾向をみても等しく減少しており、特に第1十分位が減少しているわけではないこと、⑤ OECDの国際的基準によれば、等価可処分所得(世帯の可処分所得をスケールメリットを考慮して世帯人員数の平方根で除したもの)の中位値(全データの真中の値)の半分に満たない世帯は相対的貧困層にあるとされるところ、平成2 1年全国消費実態調査によれば、第1十分位の等価可処分所得は、平均が92 万円、最大が135万円となっており、全所得階層の等価可処分所得の中位値は270万円であるから、OECDの基準によれば、第1十分位の大部分は相対的貧困線以下にあること、⑥ 分散分析等の統計的手法により検証したところ、各十分位間のうち、第1十分位と第2十分位の間において消費が大きく変化しており、他の十分位に比べて消費の動向が大きく異なると考えられること である。 ウ検証手法 年齢階級別の基準額の水準年齢階級別に設定されている生活扶助基準の第1類費について、異なる年齢階級の間の比率(以下「年齢階級指数」と である。 ウ検証手法 年齢階級別の基準額の水準年齢階級別に設定されている生活扶助基準の第1類費について、異なる年齢階級の間の比率(以下「年齢階級指数」という。)が、消費実態と比べてどれ ほどの乖離があるかを検証した。その際には、平成19年検証においては、各年齢階級の単身世帯のデータを用いて、年齢階級別の平均消費水準を分析したが、全国消費実態調査の調査客体には、そもそも10代以下の単身世帯がほとんどないため、10代以下の消費水準を正確に計測することができないという限界があった。そのため、平成25年検証においては、10代以下 の者がいる複数人世帯のデータも用いて、10代以下の者も含む各年齢階級の消費水準を計測することができるよう統計的分析手法である回帰分析が採用された。 分析に際しては、スケールメリットが最大に働く場合(単純に世帯年収に着目)と最小に働く場合(1人当たりの世帯年収に着目)のそれぞれの想定に 応じた2種類の第1十分位を設定し、それぞれを用いて算出された指数の平均値を採用した。 世帯人員別の基準額の水準現行の生活扶助基準の第2類費については、スケールメリットが働くと考えられ、それを前提に世帯人員別に設定されている。また、第1類費について も、4人以上世帯についてはスケールメリットが存在することが平成16年 検証において指摘され、現行制度は一定程度これを考慮して設定されている。 平成25年検証においては、第1類費相当支出額及び第2類費相当支出額ごとに、各世帯人員別の平均消費水準を指数化し(単身世帯を1とする。以下「世帯人員指数」という。)、現行の基準額を同様に指数化したものと比較した。第1類費相当 1類費相当支出額及び第2類費相当支出額ごとに、各世帯人員別の平均消費水準を指数化し(単身世帯を1とする。以下「世帯人員指数」という。)、現行の基準額を同様に指数化したものと比較した。第1類費相当支出額のスケールメリットについては、上記において 求められた年齢階級指数を用いて、世帯人員全員が実際の年齢にかかわらず平均並みの消費をする状態に補正することにより年齢の影響を除去し、世帯人員による影響のみを評価することができるようにした。 生活扶助基準の地域差現行の級地制度は、地域における生活様式や物価差による生活水準の差を 生活扶助基準額に反映させることを目的とするものである。 平成25年検証においては、世帯人員別の検証と同様に、平成19年検証の考え方を用いて集計データから平均値を求め、各級地別に1人当たり生活扶助相当の平均消費水準を指数化したもの(1級地-1を1とする。以下「級地指数」という。)と、現行の基準額を同様に指数化したものとを比較した。指 数化に当たっては、第1類費相当支出額については世帯人員体系の検証と同様に年齢の影響を除去するとともに、世帯人員指数により第1類費相当支出額及び第2類費相当支出額の合計の消費を調整することにより世帯人員数による消費水準の相違の影響を除去し、地域差による影響のみを評価することができるようにした。 エ検証結果 年齢階級別(第1類費)の基準額の水準0~2歳の生活扶助相当支出額を1としたときの年齢階級別の指数は、生活扶助基準額においては0~2歳が0.69、3~5歳が0.86、6~11歳が1.12、12~19歳が1.37、20~40歳が1.31、41~59歳が1. 26、60~69歳が1.19、7 、生活扶助基準額においては0~2歳が0.69、3~5歳が0.86、6~11歳が1.12、12~19歳が1.37、20~40歳が1.31、41~59歳が1. 26、60~69歳が1.19、70歳以上が1.06であるのに対して、生活 扶助相当支出額においてはそれぞれ1.00、1.03、1.06、1.10、1.12、1.23、1.28、1.08である。 このように、年齢階級別の生活扶助基準額による指数と第1十分位の消費実態による指数を比べると、年齢階級間の指数に乖離が認められた。 世帯人員別(第1類費及び第2類費)の基準額の水準 第1類費の場合、単身世帯の生活扶助相当支出額を1としたときの各世帯人員別の指数は、生活扶助基準額においては単身世帯が0.88、2人世帯が1.76、3人世帯が2.63、4人世帯が3.34、5人世帯が3.95であるのに対して、生活扶助相当支出額においてはそれぞれ1.00、1.54、2.01、2.34、2.64である。 このように、第1類費における世帯人員別の生活扶助基準額による指数と第1十分位の消費実態による指数を比べると、世帯人員が増えるにつれて乖離が拡大する傾向が認められた。 第2類費の場合、単身世帯の生活扶助相当支出額を1としたときの各世帯人員別の指数は、生活扶助基準額においては単身世帯が1.06、2人世帯が 1.18、3人世帯が1.31、4人世帯が1.35、5人世帯が1.36であるのに対して、生活扶助相当支出額においてはそれぞれ1.00、1.34、1.67、1.75、1.93である。 このように、第2類費における世帯人員別の生活扶助基準額による指数と第1十分位の消費実態による指数を比べると、世帯人員 それぞれ1.00、1.34、1.67、1.75、1.93である。 このように、第2類費における世帯人員別の生活扶助基準額による指数と第1十分位の消費実態による指数を比べると、世帯人員が増えるにつれて乖離 が拡大する傾向が認められた。 級地別の基準額の水準1級地-1の生活扶助相当支出額を1としたときの各級地別の指数は、生活扶助基準額においては1級地-1が1.02、1級地-2が0.97、2級地-1が0.93、2級地-2が0.88、3級地-1が0.84、3級地-2が0.79であ るのに対して、生活扶助相当支出額においてはそれぞれ1.00、0.96、0. 90、0.90、0.87、0.84となっている。 このように、級地別の生活扶助基準額による指数と第1十分位の消費実態による指数を比べると、消費実態の地域差の方が小さくなっている。 年齢、世帯人員、地域の影響を考慮した場合の水準上記ないしの検証結果を踏まえて、年齢階級別、世帯人員別、級地別の 指数を反映した場合の影響は、次のとおりとなった。 例えば、現行の基準額(第1類費、第2類費、冬季加算、子どもがいる場合は児童養育加算、1人親世帯は母子加算を含む。)と検証結果を完全に反映した場合の平均値を個々の世帯構成ごとにみると、夫婦と18歳未満の子1人世帯(標準世帯)においては、年齢による影響が現行の基準額と比べて-2. 9%、世帯人員による影響が-5.8%、地域による影響が+0.1%、これらを合計した影響が-8.5%となった。 同様に、夫婦と18歳未満の子2人世帯においては、順に-3.6%、-11.2%、+0.2%、合計-14.2%となった。 %、これらを合計した影響が-8.5%となった。 同様に、夫婦と18歳未満の子2人世帯においては、順に-3.6%、-11.2%、+0.2%、合計-14.2%となった。 60歳以上の単身世帯においては、順に+2.0%、+2.7%、-0.2%、 合計+4.5%となった。 60歳以上の高齢夫婦世帯においては、順に+2.7%、-1.9%、0.7%、合計+1.6%となった。 20~50代の若年単身世帯においては、順に-3.9%、+2.8%、-0.4%、合計-1.7%となった。 母親と18歳未満の子1人の母子世帯においては、順に-4.3%、-1.2%、+0.3%、合計-5.2%となった。 このように、世帯員の年齢、世帯人員、居住する地域の組み合わせにより、各世帯への影響は様々である。 その他 厚生労働省において生活扶助基準の見直しを検討する際には、平成25年検 証の評価検証の結果を考慮し、その上で他に合理的説明が可能な経済指標などを総合的に勘案する場合は、それらの根拠についても明確に示されたい。 なお、その際には現在保護を受給している世帯及び一般低所得世帯への見直しが及ぼす影響についても慎重に配慮されたい。 オ検証結果に関する留意事項 平成25年検証において試みた検証手法は、平成19年検証において指摘があった年齢階級別、世帯人員別、級地別に、生活扶助基準の展開と一般低所得世帯の消費実態の間にどの程度乖離が生じているかを詳細に分析したものである。これにより、個々の生活保護受給世帯を構成する世帯員の年齢、世帯人員、居住する地域の様々な組み合わせによる生活扶助基準の妥当性につ いて、より 度乖離が生じているかを詳細に分析したものである。これにより、個々の生活保護受給世帯を構成する世帯員の年齢、世帯人員、居住する地域の様々な組み合わせによる生活扶助基準の妥当性につ いて、よりきめ細やかな検証が行われたことになる。 しかし、年齢、世帯人員の体系、居住する地域の組み合わせによる基準の展開の相違を消費実態に基づく指数に合わせたとしても、なお、その値と一般低所得世帯の消費実態の間には、世帯構成により様々に異なる差が生じ得る。 こうした差は金銭的価値観や将来見込みなど、個々人や個々の世帯により異 なり、かつ、消費に影響を及ぼす極めて多様な要因により生ずると考えられる。しかし、具体的にどのような要因がどの程度消費に影響を及ぼすかは現時点においては明確に分析することができないこと、また、特定の世帯構成等に限定して分析する際にサンプルが極めて少数となるといった統計上の限界があることなどから、全ての要素については分析説明に至らなかった。 平成25年検証において採用した年齢、世帯人員、地域の影響を検証する手法についても、委員による専門的議論の結果得られた透明性の高い一つの妥当な手法である一方、これまでの検証方法との継続性、整合性にも配慮したものであることから、これが唯一の手法ということでもない。さらに、基準部会の議論においては、国際的な動向も踏まえた新たな最低基準についての 探索的な研究成果の報告もあり、将来の基準の検証手法を開発していくこと が求められる。今後、政府部内において具体的な基準の見直しを検討する際には、平成25年検証の結果を考慮しつつも、同時に検証方法について一定の限界があることに留意する必要がある。 全所得階層における年間収入総額に占める各所得五分位及 準の見直しを検討する際には、平成25年検証の結果を考慮しつつも、同時に検証方法について一定の限界があることに留意する必要がある。 全所得階層における年間収入総額に占める各所得五分位及び十分位の年間収入総額の構成割合の推移をみると、中位所得階層である第3五分位の占め る割合及び第1十分位の占める割合がともに減少傾向にあり、その動向に留意しつつ、これまで生活扶助基準の検証の際に参照されてきた一般低所得世帯の消費実態については、なお今後の検証が必要である。とりわけ、第1十分位の者にとっては、全所得階層における年間収入総額に占める当該分位の年間収入総額の構成割合にわずかな減少があっても、その影響は相対的に大 きいと考えられることに留意すべきである。また、現実には第1十分位の階層には保護基準以下の所得水準で生活している者も含まれることが想定される点についても留意が必要である。 今般、生活扶助基準の見直しを具体的に検討する際には、現在生活保護を受給している世帯及び一般低所得世帯、とりわけ貧困の世代間連鎖を防止する 観点から、子どものいる世帯への影響にも配慮する必要がある。 さらに、基準額の見直しによる影響の実態を把握し、今後の検証の際には参考にする必要がある。 ⑽ 本件改定の実施ア本件改定の経済効果 厚生労働大臣は、本件改定に先立ち、本件改定による財政効果は、ゆがみ調整による財政効果が90億円、デフレ調整による財政効果が580億円(本体分が510億円、加算分が70億円)であり、合計670億円(平成27年度までの3年間の合計)であるとした。(乙16、18)イ本件改定 厚生労働大臣は、平成25年告示、平成26年告示及び平成27年告 億円)であり、合計670億円(平成27年度までの3年間の合計)であるとした。(乙16、18)イ本件改定 厚生労働大臣は、平成25年告示、平成26年告示及び平成27年告示により 生活扶助基準を改定した。(弁論の全趣旨)その具体的な内容は前提事実⑹のとおりである。 ⑾ 平成29年検証ア基準部会は、本件改定後、① 生活扶助基準に関する検証、② 有子世帯の扶助・加算に関する検証、③ 勤労控除及び就労自立給付金の見直し効果の検証、 ④ 級地制度に関する検証、⑤ その他の扶助・加算に関する検証、⑥ これまでの基準見直しによる影響の把握を行った。(乙62)イ平成29年報告書基準部会は、平成29年12月14日、「社会保障審議会生活保護基準部会報告書」を取りまとめた。その内容は次のとおりである。(乙62) 生活扶助基準の検証の結果平成29年検証においては、一般低所得世帯の消費水準との均衡を図る水準均衡方式を前提に、夫婦子1人世帯の第1十分位の生活扶助相当支出と生活扶助基準額がおおむね均衡することを確認した。 検証の結果に対する留意事項 平成29年検証においては、夫婦子1人世帯について、生活扶助基準額と第1十分位の生活扶助相当支出額の均衡を確認したのみであり、そこから展開した様々な世帯類型における生活扶助基準額と一般低所得世帯の生活水準の均衡を確認するには至らなかった。この意味するところは、単に消費水準との均衡を図ることが最低生活保障水準を満たすものということができるのか、 水準均衡方式の在り方が問われる本質的な課題であることに留意する必要がある。 水準均衡方式の課題 準との均衡を図ることが最低生活保障水準を満たすものということができるのか、 水準均衡方式の在り方が問われる本質的な課題であることに留意する必要がある。 水準均衡方式の課題夫婦子1人世帯においては、展開により機械的に得られる基準額が第3五分位の生活扶助相当支出額の6割を超える見込みである一方、高齢者世帯にお いては5割台となる見込みであり、一般低所得世帯の消費水準との均衡をど う考えるのか留意が必要である。 ⑿ 生活扶助相当CPIのウエイトと社会保障生計調査の結果等ア総務省CPI、生活扶助相当CPIのウエイトの比較 10大費目について、平成22年基準改定時の総務省CPIのウエイト、平成20年生活扶助相当CPI及び平成23年生活扶助相当CPIのウエイト は次のとおりである。(乙30)総務省CPI 生活扶助相当CPI総務省CPI 平成20年平成23年食料 2525 2415 2498(25.25%) 住居 2122 10 10光熱・水道 704 704 704家具・家事用品 345 329 345被服及び履物 405 380 397保健医療 428 187 197 交通・通信 1421 538 543教育 334 102 102教養娯楽 1145 1024 1091諸雑費 569 1421 538 543教育 334 102 102教養娯楽 1145 1024 1091諸雑費 569 500 506合計 10000 6189 6393 平成20年価格指数と平成23年の価格指数(基準時である平成22年の価格を100とした場合の価格指数)を比較すると、教養娯楽用耐久財のうち「テレビ」「パソコン(デスクトップ型)」「パソコン(ノート型)」について、次のとおり、顕著な下落がみられる。(乙30)「テレビ」について、平成20年価格指数は205.8、平成23年価格指 数は69.1である。ウエイトは97である。 「パソコン(デスクトップ型)」について平成20年価格指数は237.2、平成23年価格指数は60.1である。ウエイトは10である。 「パソコン(ノート型)」について、平成20年価格指数は281.6、平成23年価格指数は76である。ウエイトは20である。 イ社会保障生計調査に基づく生活保護受給世帯(総数)の消費支出金額(実数) 及び構成割合平成22年度(平成22年4月1日から平成23年3月31日まで)の社会保障生計調査に基づく生活保護受給世帯(総数)の10大費目別の消費支出金額(実数)及び構成割合は、次のとおりである。(乙85)2人以上世帯単身世帯 消費支出構成割合消費支出構成割合食料 5万1912円 29.9% 3万1535円 29.3%住居 3万0766円 消費支出構成割合消費支出構成割合食料 5万1912円 29.9% 3万1535円 29.3%住居 3万0766円 17.7% 3万3732円 31.3%光熱・水道 1万7718円 10.2% 9190円 8.5%家具・家事用品 8511円 4.9% 4221円 3.9% 被服及び履物 8333円 4.8% 2790円 2.6%保健医療 3602円 2.1% 2156円 2.0%交通・通信 1万6700円 9.6% 7319円 6.8%教育 5838円 3.4% - -教養娯楽 1万1030円 6.4% 6057円 5.6% その他 1万9210円 11.1% 1万0619円 9.9%合計 17万3620円 100% 10万7618円 100% 2 生活扶助基準の改定が違法となる場合生活保護法は、憲法25条に規定する理念に基づき、国が、生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保 障するとともに、その自立を助長することを目的とするものである(1条)ところ、 その定めにより保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならず(3条)、厚生労働大臣の定める保護基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、かつ、これを超 3条)、厚生労働大臣の定める保護基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、かつ、これを超えないものでなければならないと定めているのであり(8条2項)、生活保護法は、 これらの規定を通じて、憲法25条の規定を具体化し、その趣旨の実現を図ろうとしているものであると解される。ところで、これらの規定にいう最低限度の生活は、抽象的かつ相対的な概念であって、その具体的な内容は、その時々における経済的社会的条件、一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであるとともに、これを保護基準において具体化するに当たっては、国の財政事情を 無視することができず、また、多方面にわたる複雑多様な高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断を必要とするものである(最高裁判所昭和57年7月7日大法廷判決・民集36巻7号1235頁参照)。そうすると、保護基準のうち生活扶助基準の改定に係る、改定前の生活扶助基準が衣食その他日常生活について最低限度の生活におけるそれらの需要を満たすに足りる程度を超えるものとなっていた か否かの判断、及び、改定後の生活扶助基準が健康で文化的な生活水準を維持することができるものであるか否かの判断(以下「改定前の需要超過に係る判断」「改定後の水準維持に係る判断」ともいう。)については、厚生労働大臣に上記のような専門技術的かつ政策的な見地からの裁量権が付与されていると解するべきである。 また、生活扶助は、衣食その他日常生活の需要に応じて行われるものであり、特に、 そのうち基準生活費に係る部分は、飲食物費や被服費、光熱水費や家具什器費等、日常生活において不可欠な支出に係る需要を満たすための は、衣食その他日常生活の需要に応じて行われるものであり、特に、 そのうち基準生活費に係る部分は、飲食物費や被服費、光熱水費や家具什器費等、日常生活において不可欠な支出に係る需要を満たすためのものであって、生活に困窮する者が営む日常生活の基礎となるものであるから、生活扶助基準の引下げを内容とする保護基準の改定は、当該改定前の生活扶助基準が最低限度の生活の需要を満たすに足りる程度を超えるものとなっていたか否かにかかわらず、現に保護を受けて日 常生活を営む被保護者との関係においては、保護基準により具体化されていた日常 生活に係る期待的利益の喪失を招く事実上の効果がある。そうすると、厚生労働大臣に付与された上記のような専門技術的かつ政策的な見地からの裁量権には、改定前の生活扶助基準が最低限度の生活の需要を満たすに足りる程度を超えるものとなっていた場合であっても、その超える程度や国の財政事情の見地からの生活扶助基準の引下げの必要性を踏まえつつ、被保護者の期待的利益についても可及的に配慮す るため、生活扶助基準の引下げの具体的な方法等について激変緩和措置の要否などを判断する権限が含まれるというべきである。 このように、生活扶助基準の改定に係る判断については、厚生労働大臣に専門技術的かつ政策的な見地からの裁量権が付与されているところ、その判断の前提となる最低限度の生活の需要に係る評価や、被保護者の期待的利益についての可及的な配慮 が、上記のような高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断であることや、生活扶助基準の改定に当たっては、従前から、各種の統計や専門家の作成した資料等に基づく専門技術的な検討を経てきたという経緯に鑑みると、生活扶助基準の引下げを内容とする保護基準の改定は、① 当該改定の時点において の改定に当たっては、従前から、各種の統計や専門家の作成した資料等に基づく専門技術的な検討を経てきたという経緯に鑑みると、生活扶助基準の引下げを内容とする保護基準の改定は、① 当該改定の時点において、改定前の生活扶助基準が最低限度の生活の需要を満たすに足りる程度を超えるものとなっており、 改定後の生活扶助基準が健康で文化的な生活水準を維持することができるものであるとした厚生労働大臣の判断に、最低限度の生活の具体化に係る判断の過程及び手続における過誤、欠落の有無の観点からみて裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があると認められる場合、あるいは、② 生活扶助基準の引下げに際し激変緩和措置を採るか否かについての方針及びこれを採る場合において現に選択した措置が相当であ るとした厚生労働大臣の判断に、被保護者の期待的利益や生活への影響等の観点からみて裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があると認められる場合に限り、生活保護法3条、8条2項の規定に違反し、同条1項による委任の範囲を逸脱するものとして違法となると解するべきであり、加えて、裁判所が、当該生活扶助基準の改定が上記①又は②の場合であるか否かを判断するに当たっては、統計等の客観的な数値等と の合理的関連性や専門的知見との整合性(以下「客観的な数値との合理的関連性等」 ともいう。)の有無の観点から検討するのが相当である。(以上について、最高裁判所平成24年2月28日第三小法廷判決・民集66巻3号1240頁参照)そこで、上記の生活扶助基準の改定の適否の判断に専門家の検討を経たことが及ぼす影響についてみると、基準部会の設置以降における生活扶助基準の改定(水準均衡方式において年度ごとに行われる政府経済見通しにおける個人消費の伸びに準拠し た翌年度の基準の改定や、消費税率の 及ぼす影響についてみると、基準部会の設置以降における生活扶助基準の改定(水準均衡方式において年度ごとに行われる政府経済見通しにおける個人消費の伸びに準拠し た翌年度の基準の改定や、消費税率の変更に伴う改定など、改定に当たり特別の検討を要しないものを除く。)について、裁判所が、改定前の需要超過及び改定後の水準維持に係る厚生労働大臣の判断の過程及び手続における過誤、欠落の有無を判断するに当たり、① 当該改定が基準部会による審議検討を経て行われた場合には、基準部会においていかなる統計等の数値等を基礎としていかなる審議検討が行われたの かを踏まえて、その検証手法等の合理性について客観的な数値との合理的関連性等の有無の観点から検討し、② 当該改定が基準部会による審議検討を経ることなく行われた場合には、国の側の十分な説明に基づいて、当該改定が専門的知見に基づいた高度の専門技術的な考察を経て合理的に行われたことについて客観的な数値との合理的関連性等の有無の観点から検討するのが相当である(なお、裁判所の判断の前 提として、国の側が、当該改定が上記のとおり合理的に行われたことについて十分な説明をすることを要すると解される。)。何故ならば、最低限度の生活を保護基準において具体化するに当たっては、国の財政事情を無視することができず、また、多方面にわたる複雑多様な高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断を必要とすることから、生活扶助基準の改定に係る判断については、厚生労働大臣に専門技術 的かつ政策的な見地からの裁量権が付与されていることは、上記のとおりであるところ、生活保護法は、生活扶助基準の改定に当たり必要となる専門技術的な考察について、専門家により構成される審議会への諮問を経なければならないとするなど、具体的に規定していな は、上記のとおりであるところ、生活保護法は、生活扶助基準の改定に当たり必要となる専門技術的な考察について、専門家により構成される審議会への諮問を経なければならないとするなど、具体的に規定していないのであり、厚生労働大臣が生活扶助基準の改定に当たり、専門家の検討を経ず、又はそれを経たがその結果に従わなかったとしても、直ちにその判断 の過程及び手続に過誤、欠落があることとならないが、上記のような生活扶助基準の 改定に係る判断の性質に鑑みると、改定前の需要超過及び改定後の水準維持に係る厚生労働大臣の判断に当たっては、まず多方面にわたる専門家の専門的知見に基づいた高度の専門技術的な考察を経た上、その考察に基づいた政策的判断が行われることが、憲法25条の理念を具体化する生活保護法の趣旨により要請されると解されるからである。 以下においては、まず、保護基準の引下げの可否(いわゆる制度後退禁止原則の有無)及び基準部会等の審議検討を経ていないことの適否について検討した(後記3及び4)上、次に、ゆがみ調整の適否及びデフレ調整の適否について検討し(後記5及び6)、最後に、本件改定の適否について検討する(後記7)。そして、ゆがみ調整が、基準部会による平成25年検証を経て行われたものであるのに対して、デフレ調整 は、平成25年検証ほかの基準部会による審議検討を経ることなく行われたものであることから、ゆがみ調整は、平成25年検証の合理性について客観的な数値との合理的関連性等の有無の観点から検討し、デフレ調整は、それが専門的知見に基づいた高度の専門技術的な考察を経て合理的に行われたとする国の側の説明に基づいて、そのことについて客観的な数値との合理的関連性等の有無の観点から検討することと する。 3 保護基準の引下げの た高度の専門技術的な考察を経て合理的に行われたとする国の側の説明に基づいて、そのことについて客観的な数値との合理的関連性等の有無の観点から検討することと する。 3 保護基準の引下げの可否(いわゆる制度後退禁止原則の有無)原告らは、憲法25条1項及び2項、社会権規約2条1項、9条、11条及び生活保護法56条の各規定によれば、保護基準の引下げは原則として許されないものであり、保護基準の引下げがあった場合、国の側が、厚生労働大臣の判断の過程、手続を 明らかにし、事実の調査方法が合理性を有することや、必要な考慮要素を適切なバランスで考慮したことなど、上記過程、手続に過誤、欠落がないことを相当の根拠、資料に基づいて主張立証することを要し、国の側がその主張立証を尽くさない場合には、厚生労働大臣の判断に不合理な点があることが事実上推認され、生活保護法8条1項及び2項が制限する委任命令の範囲を逸脱し、又は濫用したものとして違法と なり、憲法25条に違反して違憲となると主張する。 しかし、憲法25条1項は、個々の国民に国に対する関係において具体的な権利を付与するものでなく、「最低限度の生活」に係る具体的な権利は、憲法の規定の趣旨を実現するため制定された生活保護法により初めて与えられ、その権利の内容も、このような立法により初めて具体化されることとなるものである。同項にいう「健康で文化的な最低限度の生活」は、極めて抽象的相対的な概念であって、その具体的な内 容は、その時々における文化の発達の程度、経済的社会的条件、一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであるとともに、同条の規定の趣旨を現実の立法として具体化するに当たっては、国の財政事情を無視することができないから、憲法25 件、一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであるとともに、同条の規定の趣旨を現実の立法として具体化するに当たっては、国の財政事情を無視することができないから、憲法25条1項及び2項も、一旦立法により上記最低限度の生活に係る権利が具体化された場合であっても、上記の諸事情やこれに対する評価の変更に 伴い、当該具体的な権利の内容が権利者に不利益に変更される場合があることも、当然に予定しているというべきであり、同条がいわゆる制度後退禁止原則を定めたものと解することはできない。 また、生活保護法も、上記のような憲法25条1項にいう「健康で文化的な最低限度の生活」の理解を前提とした上、同法8条2項において、保護基準は、要保護者の 年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすのに十分なものを超えないものでなければならないとしており、保護基準が上記の諸要素を考慮した最低限度の生活を超えるに至った場合には、その引下げが行われることを許容しているというべきであって、同法56条が制度後退禁止原則を定めたものと解することはできない。 さらに、社会権規約9条は、締約国は、社会保険その他の社会保障についてのすべての者の権利を認めると規定し、11条1項は、締約国は、自己及びその家族のための相当な食糧、衣類及び住居を内容とする相当な生活水準についての並びに生活条件の不断の改善についてのすべての者の権利を認め、この権利の実現を確保するために適当な措置をとり、このためには、自由な合意に基づく国際協力が極めて重要であ ることを認めると規定するが、2条1項は、各締約国は、立法措置その他のすべての 適当な方法により同規約において認められ とり、このためには、自由な合意に基づく国際協力が極めて重要であ ることを認めると規定するが、2条1項は、各締約国は、立法措置その他のすべての 適当な方法により同規約において認められる権利の完全な実現を漸進的に達成するため、自国における利用可能な手段を最大限に用いることにより、個々に又は国際的な援助及び協力、特に、経済上及び技術上の援助及び協力を通じて、行動をとることを約束すると規定するのであり、これらの社会権規約における各規定の内容に照らせば、同規約2条1項は、同規約11条1項を始めとする各規定に定める権利が各締結 国の社会政策による保護に値するものであることを確認し、各締結国がその実現に向けて積極的に社会政策を推進すべき政治的責任を負うことを宣明するものであると解するのが相当であり、制度後退禁止原則を定めたものと解することはできない。 原告らの主張は採用することができない。 4 基準部会等の審議検討を経ていないことの適否 原告らは、ゆがみ調整について平成25年検証の結果の反映比率を2分の1とすることが基準部会に報告されていないこと、及び、デフレ調整について基準部会等の専門家から構成される会議体における審議検討を経ていないこと自体が厚生労働大臣の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用であると主張する。 まず、ゆがみ調整について平成25年検証の結果の反映比率を2分の1とすること が基準部会に報告されていないことについてみると、最低限度の生活を保護基準において具体化するに当たっては、国の財政事情を無視することができず、また、多方面にわたる複雑多様な高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断を必要とすることは、上記2のとおりであり、このような生活扶助基準の改定に係る厚生労働大臣の判断の性 することができず、また、多方面にわたる複雑多様な高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断を必要とすることは、上記2のとおりであり、このような生活扶助基準の改定に係る厚生労働大臣の判断の性質に鑑みると、その判断に当たっては、まず多方面にわたる専門家の 専門的知見に基づいた高度の専門技術的な考察を経た上、その考察に基づいた政策的判断が行われることが、憲法25条の理念を具体化する生活保護法の趣旨により要請されると解される(上記2)ところ、ゆがみ調整について平成25年検証の結果の反映比率を2分の1とする判断は、基準部会の専門技術的な考察ないしその考察の結果得られた知見でなく、その考察に基づいて、被保護者のうち、ゆがみ調整によ り保護費が減額されるものの期待的利益についての可及的な配慮の見地、及び、ゆが み調整により保護費が増額されるものについては国の財政事情の見地から厚生労働大臣が行った政策的判断であるから、ゆがみ調整について平成25年検証の結果の反映比率を2分の1とすることが基準部会に報告されていないからといって、ゆがみ調整が基準部会という専門家から構成される会議体における審議検討を経て行われたということに妨げなく、ゆがみ調整が専門家の専門的知見に基づいた高度の専門 技術的な考察を経ることなく行われたこととならない。 次に、デフレ調整について基準部会等の専門家から構成される会議体における審議検討を経ていないことについてみると、生活保護法は、生活扶助基準の改定に当たり必要となる専門技術的な考察について、専門家により構成される審議会への諮問を経なければならないとするなど、具体的に規定していないのであり、厚生労働大臣が 生活扶助基準の改定に当たり、専門家の検討を経なかったとしても、直ちにその判断の により構成される審議会への諮問を経なければならないとするなど、具体的に規定していないのであり、厚生労働大臣が 生活扶助基準の改定に当たり、専門家の検討を経なかったとしても、直ちにその判断の過程及び手続に過誤、欠落があることとならないことは、上記2のとおりである。 そうすると、デフレ調整について基準部会等の専門家から構成される会議体における審議検討を経ていないこと自体が厚生労働大臣の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用であるということはできない。 原告らの主張は採用することができない。 5 ゆがみ調整の適否⑴ ゆがみ調整の内容とその適否の検討方法本件改定は、厚生労働大臣が平成25年告示、平成26年告示及び平成27年告示により生活扶助基準を改定したものであり、主に、① 平成25年検証の結果 を踏まえて、年齢、世帯人員、地域差による影響を調整する「ゆがみ調整」を行うとともに、② 前回の基準額の見直し後、デフレ傾向が続いていることから、実質的な購買力を維持しつつ、客観的な経済指標である物価の動向を勘案して生活扶助基準額を見直す「デフレ調整」を行い、併せて、③ 激変緩和措置を行うものであるところ、ゆがみ調整は、平成25年検証が生活扶助基準と一般低所得世帯の 消費実態との均衡が適切に図られているかについて年齢階級間、世帯人員間、級 地間の相対関係を指数により比較して乖離の有無を分析した結果によれば、①年齢階級別でみると基準が想定する相対関係と消費実態の相対関係の間に乖離が認められたこと、② 世帯人員別でみても基準が想定する相対関係と消費実態の相対関係の間の乖離が世帯人員の増加に従い拡大する傾向が認められたこと、③級地別でみても基準が想定する地域差より消費実態の地域差の方が小さいと認め 人員別でみても基準が想定する相対関係と消費実態の相対関係の間の乖離が世帯人員の増加に従い拡大する傾向が認められたこと、③級地別でみても基準が想定する地域差より消費実態の地域差の方が小さいと認め られたことを踏まえて、生活扶助基準の体系(年齢、世帯人員)及び級地のゆがみを調整することを目的として行われたものであり、平成25年検証の結果を生活扶助基準の展開部分に反映することにより行われたが、平成25年検証の結果を完全に反映するのでなく、その反映比率は2分の1とされた。(前提事実⑹ア及びイ) ゆがみ調整により、① 第1類費の基準額について、年齢階級間の基準額の差が小さくなる、② 第1類費の基準額に係る逓減率(世帯人員の増加に応じて第1類費の基準額の合計額に乗ずる割合)について、逓減割合が大きくなる、③ 第2類費の基準額について、世帯人員の増加に応じた世帯人員別の基準額の増額幅が大きくなる、④ 第1類費及び第2類費の基準額について、それぞれ各級地間の 基準額の差が小さくなるという影響が生じた。(前提事実⑹イ)ゆがみ調整は、基準部会による平成25年検証を経て行われたものであるから、ゆがみ調整に係る厚生労働大臣の判断に、最低限度の生活の具体化に係る判断の過程及び手続における過誤、欠落の有無等の観点からみて裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があると認められるか否かは、基準部会においていかなる統計等の数 値等を基礎としていかなる審議検討が行われたのかを踏まえて、平成25年検証の検証手法等の合理性について統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無の観点から検討するのが相当である(上記2)。もっとも、平成25年検証は、専門家の専門的知見に基づいた高度の専門技術的な考察であり、平成25年検 な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無の観点から検討するのが相当である(上記2)。もっとも、平成25年検証は、専門家の専門的知見に基づいた高度の専門技術的な考察であり、平成25年検証の結果は、その考察の結果得られた知見であるのに対して、ゆ がみ調整について平成25年検証の結果の反映比率を2分の1とする判断は、基 準部会の専門技術的な考察ないしその考察の結果得られた知見でなく、その考察に基づいて被保護者の期待的利益についての可及的な配慮の見地及び国の財政事情の見地から厚生労働大臣が行った政策的判断である(上記4)から、ゆがみ調整について平成25年検証の結果の反映比率を2分の1としたことの適否は、平成25年検証の合理性とは別に検討することとする。 ⑵ 平成25年検証の合理性1平成25年検証の目的の合理性について、基準部会は、平成25年検証において、年齢階級別、世帯人員別、級地別に生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態の乖離を詳細に分析し、様々な世帯構成に展開するための指数について検証を行った(乙6)ところ、これは、平成16年検証及び平成19年検証における指摘 を踏まえたものである(乙6)。 すなわち、平成16年検証(認定事実⑸エ)においては、生活扶助基準の評価検証等について、① 水準均衡方式を前提とする手法により、勤労3人世帯の生活扶助基準について、低所得世帯の消費支出額との比較において評価検証した結果、その水準は基本的に妥当であったが、今後、生活扶助基準と一般低所得世帯の消 費実態との均衡が適切に図られているかを定期的に見極めるため、全国消費実態調査等を基に5年に1度の頻度で検証を行う必要がある、② なお、生活扶助基準の検証に当たっては、平均的にみれば、勤労基礎 費実態との均衡が適切に図られているかを定期的に見極めるため、全国消費実態調査等を基に5年に1度の頻度で検証を行う必要がある、② なお、生活扶助基準の検証に当たっては、平均的にみれば、勤労基礎控除も含めた生活扶助基準額が一般低所得世帯の消費における生活扶助相当支出額よりも高くなっていることも考慮する必要がある、③ 現行の生活扶助基準の設定は勤労3人世帯を基軸と しており、生活扶助基準額の算定方法は、世帯員の年齢階級に応じて設定される第1類費(食費や被服費などの個人的経費に相当するもの)と、世帯規模の経済性(スケールメリット)を考慮し世帯人員に応じて設定される第2類費(水道光熱費や家具などの世帯共通経費に相当するもの)とを合算する仕組みとなっている(乙6)が、世帯人員別にみると、必ずしも一般低所得世帯の消費実態を反映したス ケールメリットとなっていないことや、高齢化などに伴う生活保護受給者の世帯 構成の変化に対応していないことなどから、多人数世帯に係る基準の是正や、単身世帯に係る別途の基準の設定、第1類費の年齢別設定の見直しを検討する必要がある、④ 現行級地制度については、昭和62年度から、最大格差22.5%、6区分制とされているが、現在の一般世帯の生活扶助相当支出額をみると、地域差が縮小する傾向が認められるため、市町村合併の動向にも配慮しつつ、今後詳 細なデータによる検証を行った上、級地制度全般について見直しを検討する必要があると指摘されていた。 また、平成19年検証(認定事実⑹イ)においても、平成16年検証において定期的に行う必要があるとされた検証における検討項目が、生活扶助基準の水準の妥当性、生活扶助基準の体系の妥当性、地域差の妥当性と整理された上、① 評 価検証の方法について、格差 年検証において定期的に行う必要があるとされた検証における検討項目が、生活扶助基準の水準の妥当性、生活扶助基準の体系の妥当性、地域差の妥当性と整理された上、① 評 価検証の方法について、格差縮小方式の導入の結果、生活扶助基準が国民の消費実態との均衡上おおむね妥当な水準に達したことから、その水準を維持調整する水準均衡方式が採用され、現在に至っているという経緯において、生活扶助基準の評価検証を適切に行うためには、国民の消費実態を詳細に分析する必要があり、そのためには、全国消費実態調査を基本とし、収入階級別、年齢階級別、世帯人員 別、地域別などの様々な角度から詳細に分析することが適当であると指摘されていた。その上で、平成19年検証は、② 生活扶助基準の水準について、平成16年検証においては、従前から勤労3人世帯(夫33歳、妻29歳、子4歳)を標準として生活扶助基準の改定を行ってきたことを踏まえて、勤労3人世帯の生活扶助基準と第1十分位の消費水準を比較し、均衡が図られているかの検討が行われ たが、平成19年検証においては、生活保護受給世帯のうち3人世帯は5.5%にすぎないことを踏まえて、勤労3人世帯だけでなく、生活保護受給世帯の74.2%を占める単身世帯にも着目し、平成16年検証と同様に検討を行ったところ、勤労3人世帯の平均の生活扶助基準額は、同世帯の第1十分位における生活扶助相当支出額と比較するとやや高め、第1五分位において比較するとやや低めであり、 また、高齢単身世帯の平均の生活扶助基準額は、同世帯の第1十分位における生 活扶助相当支出額と比較すると高め、第1五分位において比較すると均衡した水準であったと報告し、③ 生活扶助基準の体系について、その検討の際には、世帯構成などが異なる生活保護受給者の間にお 活扶助相当支出額と比較すると高め、第1五分位において比較すると均衡した水準であったと報告し、③ 生活扶助基準の体系について、その検討の際には、世帯構成などが異なる生活保護受給者の間において実質的な給付水準の均衡が図られる体系とする観点から検討を行うことが必要であると指摘した上、平成16年検証の指摘(消費実態との比較において、世帯人員別にみると、人数が増すにつれ第 1類費の比重が高くなり割高となるという課題がある。単身世帯については、消費実態を反映したものとなっておらず、第1類費と第2類費に区分する実質的意味が乏しいことも踏まえて、別途の基準の設定を検討することが望ましい。)を受けて、平成17年度から一定の見直しが行われたが、平成19年検証においては、見直し後の年齢階級別、世帯人員別の基準額について、改めて消費実態を反映し ているかの検討を行ったと報告していた。そして、平成19年検証は、④ 年齢階級別に設定された生活扶助基準額の水準について、単身世帯の第1ないし第3五分位における年齢階級別の生活扶助相当支出額と比較すると、20~39歳においては生活扶助基準額が1.05と、生活扶助相当支出額の1.09に比べて相対的にやや低め、40~59歳においては生活扶助基準額が1.03と、生活扶助相当 支出額の1.08に比べて相対的にやや低めとなっている一方、70歳以上においては生活扶助基準額が0.95と、生活扶助相当支出額の0.88より相対的にやや高めであるなど、年齢階級別に設定された生活扶助基準額は消費実態からやや乖離していたと報告し、⑤ 世帯人員別に設定された生活扶助基準額の水準について、第1五分位における世帯人員別の生活扶助相当支出額と比較すると、4人世 帯は生活扶助基準額が2.27と、生活扶助相当支出額の1. 報告し、⑤ 世帯人員別に設定された生活扶助基準額の水準について、第1五分位における世帯人員別の生活扶助相当支出額と比較すると、4人世 帯は生活扶助基準額が2.27と、生活扶助相当支出額の1.99に比べて相対的にやや高め、5人世帯でも生活扶助基準額が2.54と、生活扶助相当支出額の2.14に比べて相対的にやや高めとなっており、世帯人員別に設定された生活扶助基準額は、世帯人員が4人以上の多人数世帯に有利であり、世帯人員が少ない世帯に不利である実態がみられたと報告し、⑥ 生活扶助基準の地域差について、現 行の級地制度における地域差を設定した昭和59年の消費実態と、直近の平成1 6年の消費実態を比較すると、地域差が縮小する傾向が認められたと報告していた。 次に、これらの指摘を踏まえた生活扶助基準の改定としては、厚生労働大臣が、平成17年度以降、第1類費について4人世帯の場合及び5人以上世帯の場合に逓減率を導入し、第2類費について4人以上世帯の生活扶助基準の基準額を抑制 するという見直しを行ったとどまり(認定事実⑸オ)、厚生労働大臣は、平成19年検証の結果、現行の生活扶助基準は一般低所得世帯(標準世帯における第1十分位)の消費実態と比べて高いという結果が得られたが、平成20年度の予算編成当時、原油価格が高騰していたことから、それが消費に与える影響等を見極めるため、平成20年度の生活扶助基準の改定をすることなく据え置き、その後、生 活扶助基準は、平成24年度まで、経済雇用情勢等を勘案して、改定することなく据え置かれた(認定事実⑺)。 このように、平成16年検証及び平成19年検証においては、① 生活扶助基準の設定は勤労3人世帯(夫33歳、妻29歳、子4歳)を標準としており、生活扶助基準額の算定方 かれた(認定事実⑺)。 このように、平成16年検証及び平成19年検証においては、① 生活扶助基準の設定は勤労3人世帯(夫33歳、妻29歳、子4歳)を標準としており、生活扶助基準額の算定方法は、世帯員の年齢階級に応じて設定される第1類費と、世帯 規模の経済性(スケールメリット)を考慮し世帯人員数に応じて設定される第2類費とを合算する仕組みとなっているが、世帯人員別にみると、必ずしも一般低所得世帯の消費実態を反映したスケールメリットとなっていないことや、高齢化などに伴う生活保護受給者の世帯構成の変化に対応していないこと、② 級地制度の前提である地域間における一般世帯の消費実態の差をみると、地域差が縮小 する傾向が認められること、③ 平均的にみれば、生活扶助基準額が保護を受給していない一般の低所得世帯の生活扶助相当支出額よりも高くなっていることが背景として挙げられた上、④ 水準均衡方式の下においては、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているかについて検証を行い、その水準を維持調整する必要があること、⑤ そのためには、全国消費実態調査 を基本とし、収入階級別、年齢階級別、世帯人員別、地域別などの様々な角度から 国民の消費実態を詳細に分析することにより、生活扶助基準の体系(年齢階級別、世帯人員別、級地別の設定)や生活扶助基準額の算定方法(第1類費と第2類費の区分と合算による方法)が国民の消費実態を反映した妥当なものであるかについて検証を行い、所要の見直しを検討する必要があること、これらに併せて、⑥生活扶助基準の体系の検討の際には、国民の消費実態との均衡だけでなく、様々 な世帯構成のそれぞれ需要が異なる生活保護受給者の間において実質的な給付水準の均衡が図られる体系とする観点か せて、⑥生活扶助基準の体系の検討の際には、国民の消費実態との均衡だけでなく、様々 な世帯構成のそれぞれ需要が異なる生活保護受給者の間において実質的な給付水準の均衡が図られる体系とする観点から検討を行うことが必要であることが指摘されていたところ、基準部会が設置された平成23年当時、それらの指摘を踏まえた生活扶助基準の改定は部分的にしか行われていない(平成17年度以降、第1類費について多人数世帯に逓減率が導入されるなどの見直しが行われたにとど まる)状況にあった上、それらの指摘を踏まえた国民の消費実態の詳細な分析(国民の消費実態を収入階級別、年齢階級別、世帯人員別、地域別などの様々な角度から詳細に分析したもの)も行われていなかったのであり、このような経緯に鑑みると、基準部会が、平成25年検証において、平成16年検証及び平成19年検証における指摘を踏まえて、年齢階級別、世帯人員別、級地別に生活扶助基準と一 般低所得世帯の消費実態の乖離を詳細に分析し、様々な世帯構成のそれぞれ需要が異なる生活保護受給者の間において実質的な給付水準の均衡が図られるよう適切に展開するための指数について検証を行ったことが合理性を欠くと認めることはできない。 なお、次の⑶のとおり、基準部会は、平成25年検証において、上記の生活扶 助基準の体系(年齢、世帯人員)及び級地の検証と併せて、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態の乖離(生活扶助基準額の水準)についても一体的に検証を行ったものであるところ、上記の経緯に鑑みると、このことについても合理性を欠くと認めることはできない。 ⑶ 平成25年検証の合理性2 平成25年検証の検証手法の合理性について、平成25年検証は、平成19年検 証の指摘(上記⑵の①の指 を欠くと認めることはできない。 ⑶ 平成25年検証の合理性2 平成25年検証の検証手法の合理性について、平成25年検証は、平成19年検 証の指摘(上記⑵の①の指摘)を踏まえて、① 健康で文化的な最低限度の生活の水準は一般国民の生活水準との関連において相対的に捉えられるものであることから、生活保護受給世帯と対比する一般低所得世帯として第1十分位を設定し、様々な世帯構成の基準額を算出する際に基本となる年齢階級別、世帯人員別、級地別の基準額が第1十分位の消費実態を十分反映しているかについて詳細な分析 を行い、様々な世帯構成に対する生活扶助基準の展開の妥当性を第1十分位の生活扶助相当支出を用いて算出した指数により把握することとし、併せて、その際には、仮に第1十分位の全世帯が生活保護を受給した場合の生活扶助基準額の平均額と、平成25年検証において把握した消費実態を反映した生活扶助基準額が均等になるようにして、年齢階級、世帯人員、級地の基準額の水準への影響を評 価する方法を採用することとし、② 平成19年検証においては、各年齢階級の単身世帯のデータを用いて年齢階級別の平均消費水準の分析がされたが、全国消費実態調査の調査客体には10代以下の単身世帯がほとんどないため、10代以下の消費水準を正確に計測することができないという限界があったことから、年齢階級別の基準額の水準について、様々な年代の世帯人員から成る世帯の消費の データから年齢階級別の世帯員1人当たりの消費額を推計するため、標本統計的な分析手法である回帰分析を採用し、併せて、世帯人員別の基準額の水準及び生活扶助基準の地域差についても、検証の結果の妥当性を補強するため、回帰分析を用いた結果とおおむね遜色がないかを確認することとした。ここで、平成 回帰分析を採用し、併せて、世帯人員別の基準額の水準及び生活扶助基準の地域差についても、検証の結果の妥当性を補強するため、回帰分析を用いた結果とおおむね遜色がないかを確認することとした。ここで、平成25年検証が生活保護受給世帯と対比する一般低所得世帯として第1十分位を設定した 理由を敷衍すると、次の③ないし⑧のとおりである。すなわち、③ 生活扶助基準を国民の健康で文化的な最低限度の生活水準として考えた場合、指数を全世帯や中位所得階層(第3五分位)から算出することも可能であるが、これまでの検証にならい、生活保護受給世帯と隣接する一般低所得世帯の消費実態を用いることが現実的である。④ 第1十分位の平均消費水準は中位所得階層の約6割に達し ている。⑤ 国民の過半数が必要であると考える必需的な耐久消費財について、 第1十分位における普及状況は中位所得階層と比べておおむね遜色なく充足されている状況にある。⑥ 全所得階層の年間収入総額に占める第1十分位の年間収入総額の構成割合はやや減少傾向にあるが、高所得階層を除く他の十分位も等しく減少傾向にあり、第1十分位のみの傾向でない。⑦ 平成21年全国消費実態調査によれば、第1十分位は、その大部分の等価可処分所得が全所得階層の等価 可処分所得の中位値の2分の1に満たないのであり、OECDの国際的基準によれば相対的貧困層である。⑧ 分散分析等の統計的手法によれば、第1十分位と第2十分位の間において消費が大きく変化しており、第1十分位は、他の十分位と比べて消費の動向が大きく異なると考えられる。 そして、平成25年検証は、上記①及び②の検証方針に基づく検証手法として、 生活扶助基準の体系(年齢、世帯人員)のうち、⑨ 年齢階級別の基準額の水準について、生活扶助基準の第1類 。 そして、平成25年検証は、上記①及び②の検証方針に基づく検証手法として、 生活扶助基準の体系(年齢、世帯人員)のうち、⑨ 年齢階級別の基準額の水準について、生活扶助基準の第1類費は年齢階級別に基準額が設定されていることから、第1類費が、第1十分位の消費実態と比べて、年齢階級指数(0~2歳の第1十分位の第1類費相当支出額(回帰分析により求められたもの)を1として、第1類費と第1十分位の第1類費相当支出額(回帰分析により求められたもの)をそ れぞれ年齢階級別に指数化したもの)において、どのように乖離しているかを検証することとし(平成19年検証は、各年齢階級の単身世帯のデータを用いて、年齢階級別の平均消費水準を計測し、分析したが、10代以下の年齢階級の単身世帯のデータを用いて、その平均消費水準を計測することは困難であることから、平成25年検証は、回帰分析を用いて、年齢階級別の消費水準を計測し、分析した。 また、平成25年検証は、スケールメリットが最大に働く場合と最小に働く場合の2種類の第1十分位(世帯年収により分位を設定したものと1人当たりの世帯年収により分位を設定したもの)を設定し、それぞれを用いて算出した指数の平均値を採用した。)、次に、⑩ 世帯人員別の基準額の水準について、世帯規模の経済性(スケールメリット)が働く第2類費は世帯人員別に基準額が設定されて おり、平成16年検証において4人以上世帯についてはスケールメリットが働く ことが指摘された第1類費についても一定程度スケールメリットを考慮して基準額が設定されている(逓減率)ことから、第1類費及び第2類費すなわち生活扶助基準額が、それぞれ、第1十分位の消費実態と比べて、世帯人員指数(単身世帯の第1十分位の平均消費水準(生活扶助相当支出 基準額が設定されている(逓減率)ことから、第1類費及び第2類費すなわち生活扶助基準額が、それぞれ、第1十分位の消費実態と比べて、世帯人員指数(単身世帯の第1十分位の平均消費水準(生活扶助相当支出額)を第1類費相当支出額及び第2類費相当支出額ごとにそれぞれ1として、第1類費及び第2類費と第1十分位 の第1類費相当支出額及び第2類費相当支出額をそれぞれ世帯人員別に指数化したもの)において、どのように乖離しているかを検証することとし(第1類費相当支出額については、世帯人員全員について、上記⑨において求められた年齢階級指数を用いて、年齢による影響を除去し、世帯人員による影響のみを評価することができるようにした。)、さらに、生活扶助基準の地域差について、⑪ 生活扶助 基準額が、第1十分位の消費実態と比べて、級地指数(1級地-1の第1十分位の平均消費水準(生活扶助相当支出額)を1として、生活扶助基準額と第1十分位の生活扶助相当支出額をそれぞれ級地別に指数化したもの)において、どのように乖離しているかを検証することとした(上記⑩の世帯人員別の検証と同様に、平成19年検証の考え方を用いて集計データから平均値を求めた。また、第1類 費相当支出額について、上記⑩の世帯人員別の検証と同様に、年齢による影響を除去するとともに、第1類費相当支出額及び第2類費相当支出額について、上記⑩において求められた世帯人員指数を用いて、世帯人員による影響を除去し、地域差による影響のみを評価することができるようにした。)(認定事実⑼アないしウ)。 平成25年検証の結果は次のアないしエのとおりである(認定事実⑼エ)ところ、基準部会が、平成25年検証において、平成16年検証及び平成19年検証における指摘を踏まえて、年齢階級別、世帯人員別、級地別 平成25年検証の結果は次のアないしエのとおりである(認定事実⑼エ)ところ、基準部会が、平成25年検証において、平成16年検証及び平成19年検証における指摘を踏まえて、年齢階級別、世帯人員別、級地別に生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態の乖離を詳細に分析し、様々な世帯構成のそれぞれ需要が異なる生活保護受給者の間において実質的な給付水準の均衡が図られるよう適切に 展開するための指数について検証を行ったことは、上記⑵のとおりであり、基準 部会が、そのような検証目的を達成するための検証手法として、① 生活保護受給世帯と対比する一般低所得世帯として第1十分位を設定し、年齢階級別、世帯人員別、級地別の生活扶助基準額が第1十分位の生活扶助相当支出を適切に反映しているかについて詳細に分析し、様々な世帯構成に対する生活扶助基準の展開の妥当性を第1十分位の生活扶助相当支出を用いて算出した指数により把握する こととしたこと、② 年齢階級別の基準額の水準について、様々な年代の世帯人員から成る世帯の消費のデータから年齢階級別の世帯員1人当たりの消費額を推計するため、標本統計的な分析手法である回帰分析を採用し、併せて、世帯人員別の基準額の水準及び生活扶助基準の地域差についても、検証の結果の妥当性を補強するため、回帰分析を用いた結果とおおむね遜色がないかを確認することと したことが合理性を欠くと認めることはできない。 何故ならば、まず、生活保護受給世帯と対比する一般低所得世帯として第1十分位を設定したことについて、最低限度の生活を保護基準において具体化するに当たっては、多方面にわたる複雑多様な高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断を必要とすることは、上記2のとおりであるところ、格差縮小方式の 導入の結果、生活 基準において具体化するに当たっては、多方面にわたる複雑多様な高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断を必要とすることは、上記2のとおりであるところ、格差縮小方式の 導入の結果、生活扶助基準が国民の消費実態との均衡上おおむね妥当な水準に達したことから、その水準を維持調整する水準均衡方式が採用され、現在に至っているという経緯によれば、水準均衡方式がその水準を維持調整しようとしているのは、国民のうち特定の収入階級の消費実態と同一の水準でなく、格差縮小方式の成果として得られた、国民全体の消費実態との均衡上おおむね妥当な水準であ ると解されるのであり、基準部会が生活保護受給世帯と対比する一般低所得世帯として第1十分位を設定したのは、生活扶助基準額が第1十分位の生活扶助相当支出と同一の水準ないし金額であることを求めたものでなく、第1十分位の生活扶助相当支出を比較の対象として専門技術的な考察を行うことにより、水準均衡方式の下において生活扶助基準が維持調整されるべき国民全体の消費実態との均 衡上おおむね妥当な水準を探ろうとしたものであると認めるのが相当である。そ して、① 生活扶助基準を国民の健康で文化的な最低限度の生活水準として考えた場合、指数を全世帯や中位所得階層(第3五分位)から算出することも可能であるが、これまでの検証にならい、生活保護受給世帯と隣接する一般低所得世帯の消費実態を用いることが現実的であること、② 第1十分位の平均消費水準は中位所得階層の約6割に達していること、③ 国民の過半数が必要であると考え る必需的な耐久消費財について、第1十分位における普及状況は中位所得階層と比べておおむね遜色なく充足されている状況にあること、④ 全所得階層の年間収入総額に占める第1十分位の年間収入総額の構成割 る必需的な耐久消費財について、第1十分位における普及状況は中位所得階層と比べておおむね遜色なく充足されている状況にあること、④ 全所得階層の年間収入総額に占める第1十分位の年間収入総額の構成割合はやや減少傾向にあるが、高所得階層を除く他の十分位も等しく減少傾向にあり、第1十分位のみの傾向でないこと、⑤ 平成21年全国消費実態調査によれば、第1十分位は、その大部分 の等価可処分所得が全所得階層の等価可処分所得の中位値の2分の1に満たないのであり、OECDの国際的基準によれば相対的貧困層であること、⑥ 分散分析等の統計的手法によれば、第1十分位と第2十分位の間において消費が大きく変化しており、第1十分位は、他の十分位と比べて消費の動向が大きく異なると考えられることは、上記のとおりであり、これらの事情に鑑みると、基準部会が、 水準均衡方式の下において生活扶助基準が維持調整されるべき国民全体の消費実態との均衡上おおむね妥当な水準を探る専門技術的な考察を行うに当たり、生活保護受給世帯と対比する一般低所得世帯として、生活保護受給世帯と消費構造が近く、中位所得階層と比べて平均消費水準及び必需的な耐久消費財の普及状況において相当な水準に達している第1十分位を設定したことが合理性を欠くと認め ることはできない。 次に、年齢階級別の基準額の水準について回帰分析を採用し、併せて、世帯人員別の基準額の水準及び生活扶助基準の地域差についても、回帰分析を用いた結果とおおむね遜色がないかを確認することとしたことについて、平成25年検証が、様々な世帯構成の基準額を算出する際に基本となる年齢階級別、世帯人員別、級 地別の基準額が第1十分位の消費実態を十分反映しているかについて詳細な分析 を行い、様々な世帯構成に対する生 々な世帯構成の基準額を算出する際に基本となる年齢階級別、世帯人員別、級 地別の基準額が第1十分位の消費実態を十分反映しているかについて詳細な分析 を行い、様々な世帯構成に対する生活扶助基準の展開の妥当性を第1十分位の生活扶助相当支出を用いて算出した指数により把握することとしたことは、上記のとおりであるところ、弁論の全趣旨によれば、平成19年検証においては、各年齢階級の単身世帯のデータを用いて年齢階級別の平均消費水準の分析がされたが、全国消費実態調査の調査客体には10代以下の単身世帯がほとんどないため、1 0代以下の消費水準を正確に計測することができないという限界があったと認めることができるのであり、基準部会が、様々な年代の世帯人員から成る世帯の消費のデータから年齢階級別の世帯員1人当たりの消費額を推計し、年齢階級別の消費水準の分析におけるデータの網羅性、正確性を確保するため、年齢階級別の基準額の水準について、標本統計的な分析手法である回帰分析を採用し、併せて、 平均消費水準により消費水準を分析することとしていた世帯人員別の基準額の水準及び生活扶助基準の地域差についても、検証の結果の妥当性を補強するため、回帰分析を用いた結果とおおむね遜色がないかを確認することとしたことが合理性を欠くと認めることはできない。 原告らは、平成25年検証は、単純に第1十分位の消費支出に生活扶助基準を合 わせるものであるところ、水準均衡方式は、そのようなものでなく、平均的な一般世帯の消費支出、低所得世帯(第1五分位と第2五分位)の消費支出、生活保護受給世帯の消費支出との均衡に留意するものであって、漏給層が大量に存在する現状において、低所得世帯の消費支出が保護基準以下となるのは当然であり、最下位層の消費水準との比較を根 )の消費支出、生活保護受給世帯の消費支出との均衡に留意するものであって、漏給層が大量に存在する現状において、低所得世帯の消費支出が保護基準以下となるのは当然であり、最下位層の消費水準との比較を根拠に生活扶助基準の引下げを行うことを許せば、 際限なく引下げを行うことができることとなるから、合理性を有しないことは明らかであると主張し、基準部会も、平成25年検証の検証結果に関する留意事項において、第1十分位を比較の対象とすることについて消極的な姿勢を示しているとする。しかし、最低限度の生活を保護基準において具体化するに当たっては、多方面にわたる複雑多様な高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断 を必要とすることは、上記2のとおりであるところ、水準均衡方式がその水準を維 持調整しようとしているのは、国民のうち特定の収入階級の消費実態と同一の水準でなく、格差縮小方式の成果として得られた、国民全体の消費実態との均衡上おおむね妥当な水準であると解されるのであり、基準部会が生活保護受給世帯と対比する一般低所得世帯として第1十分位を設定したのは、生活扶助基準額が第1十分位の生活扶助相当支出と同一の水準ないし金額であることを求めたもので なく、第1十分位の生活扶助相当支出を比較の対象として専門技術的な考察を行うことにより、水準均衡方式の下において生活扶助基準が維持調整されるべき国民全体の消費実態との均衡上おおむね妥当な水準を探ろうとしたものであると認めるのが相当であることは、上記のとおりである。生活扶助基準を特定の水準に設定する判断は、基準部会の専門技術的な考察ないしその考察の結果得られた知 見でなく、その考察に基づいて国の財政事情等の見地から厚生労働大臣が行う政策的判断であり、原告らが主張するように、平成25 する判断は、基準部会の専門技術的な考察ないしその考察の結果得られた知 見でなく、その考察に基づいて国の財政事情等の見地から厚生労働大臣が行う政策的判断であり、原告らが主張するように、平成25年検証が単純に第1十分位の消費支出に生活扶助基準を合わせるものであるということはできない。そして、基準部会が、水準均衡方式の下において生活扶助基準が維持調整されるべき国民全体の消費実態との均衡上おおむね妥当な水準を探る専門技術的な考察を行うに 当たり、生活保護受給世帯と対比する一般低所得世帯として第1十分位を設定したことが合理性を欠くと認めることはできないことは、上記のとおりである。第1十分位の消費水準との比較を根拠に生活扶助基準の引下げを行うことが適法であるとしても、際限なく引下げを行うことができることとなるものでなく、生活扶助基準の引下げに係る厚生労働大臣の政策的判断に裁量権の範囲の逸脱又はその 濫用が認められるのであれば、それが違法となることは当然である。平成25年検証の検証結果に関する留意事項は、生活扶助基準を特定の水準に設定する判断が、基準部会の専門技術的な考察ないしその考察の結果得られた知見でなく、その考察に基づいて国の財政事情等の見地から厚生労働大臣が行う政策的判断であることを前提として、基準部会が、その専門技術的な考察ないしその考察の結果 得られた知見に基づいて、政策的判断を行う厚生労働大臣に対する助言を行って いるものであり、第1十分位を比較の対象とすることについて消極的な姿勢を示しているものでない。原告らの主張は採用することができない。 原告らは、平成25年検証が生活保護受給世帯との比較の対象である第1十分位から生活保護受給世帯を除外していないことの違法を主張する。しかし、最低限度の 告らの主張は採用することができない。 原告らは、平成25年検証が生活保護受給世帯との比較の対象である第1十分位から生活保護受給世帯を除外していないことの違法を主張する。しかし、最低限度の生活を保護基準において具体化するに当たっては、多方面にわたる複雑多 様な高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断を必要とすることは、上記2のとおりであるところ、基準部会が生活保護受給世帯と対比する一般低所得世帯として第1十分位を設定したのは、生活扶助基準額が第1十分位の生活扶助相当支出と同一の水準ないし金額であることを求めたものでなく、第1十分位の生活扶助相当支出を比較の対象として専門技術的な考察を行うことにより、水 準均衡方式の下において生活扶助基準が維持調整されるべき国民全体の消費実態との均衡上おおむね妥当な水準を探ろうとしたものであると認めるのが相当であることは、上記のとおりである。平成25年検証が生活保護受給世帯との比較の対象である第1十分位から生活保護受給世帯を除外していないことにより、第1十分位の消費支出が低く算出され、基準部会の専門技術的な考察において比較の 対象とされる第1十分位の生活扶助相当支出が低く算出されたとしても、その水準ないし金額が直ちに生活扶助基準額となるものでなく、それを比較の対象として基準部会が行う専門技術的な考察と、その考察に基づいて厚生労働大臣が行う政策的判断により、水準均衡方式の下において生活扶助基準が維持調整されるべき国民全体の消費実態との均衡上おおむね妥当な水準が具体化され、生活扶助基 準が設定されるのであり、原告らが主張するように、平成25年検証が生活保護受給世帯との比較の対象である第1十分位から生活保護受給世帯を除外していないことが直ちに違法であるいうことはできない。 準が設定されるのであり、原告らが主張するように、平成25年検証が生活保護受給世帯との比較の対象である第1十分位から生活保護受給世帯を除外していないことが直ちに違法であるいうことはできない。そして、平成25年検証が生活保護受給世帯との比較の対象である第1十分位から生活保護受給世帯を除外していないことにより、水準均衡方式の下において生活扶助基準が維持調整されるべ き国民全体の消費実態との均衡上おおむね妥当な水準の具体化に有意な影響が及 ぼされたことを認めるに足りる証拠はないところ、基準部会が、水準均衡方式の下において生活扶助基準が維持調整されるべき国民全体の消費実態との均衡上おおむね妥当な水準を探る専門技術的な考察を行うに当たり、生活保護受給世帯と対比する一般低所得世帯として第1十分位を設定したことが合理性を欠くと認めることはできないことは、上記のとおりであり、従前の検証にならい、生活保護 受給世帯と隣接する一般低所得世帯の消費実態を用いることが現実的であることなど、上記①ないし⑥の事情に鑑みると、平成25年検証が生活保護受給世帯との比較の対象である第1十分位から生活保護受給世帯を除外していないことにより、第1十分位の生活扶助相当支出が低く算出されたとしても、そのことは、平成25年検証の検証手法の合理性を左右しないというべきである。原告らの主張 は採用することができない。 なお、被告らは、ゆがみ調整は、一般低所得世帯と生活保護受給世帯の同一世帯同士、同一年齢層同士のそれぞれの消費支出の額を比較して、その間のゆがみを調整しようとしたものでなく、年齢構成や世帯構成、地域が異なる生活保護受給世帯の間の給付のゆがみを調整するものであり、原告らが、ゆがみ調整の目的 を、生活保護受給世帯の階層別消費 間のゆがみを調整しようとしたものでなく、年齢構成や世帯構成、地域が異なる生活保護受給世帯の間の給付のゆがみを調整するものであり、原告らが、ゆがみ調整の目的 を、生活保護受給世帯の階層別消費支出分布を非生活保護受給世帯の階層別消費支出分布に適合させることと解しているのであれば、そもそもゆがみ調整の目的、内容を正解していないと主張する。しかし、平成25年検証に際しては、生活扶助基準額の水準の検証と生活扶助基準の体系(年齢、世帯人員)及び級地の検証が一体的に行われることに鑑みて、生活扶助基準の体系(年齢、世帯人員)及び級地 の検証についても第1十分位のデータが用いられたのであり(乙6の25頁)、平成25年検証においては、年齢階級別、世帯人員別、級地別に生活扶助基準を展開するための指数について検証が行われただけでなく、併せて、生活扶助基準額の水準と一般低所得世帯の消費実態の乖離についても一体的に検証が行われている。すなわち、平成25年検証は、平成16年検証において、平均的にみれば、 勤労基礎控除も含めた生活扶助基準額が一般低所得世帯の消費における生活扶助 相当支出額よりも高くなっていることも考慮する必要があると指摘されていたこと(上記⑵の②の指摘)を踏まえて、様々な世帯構成の基準額を算出する際に基本となる年齢階級別、世帯人員別、級地別の基準額が第1十分位の消費実態を十分反映しているかについて詳細な分析を行い、様々な世帯構成に対する生活扶助基準の展開の妥当性を第1十分位の生活扶助相当支出を用いて算出した指数によ り把握すること(生活扶助基準の体系及び級地の検証)と併せて、その際には、仮に第1十分位の全世帯が生活保護を受給した場合の生活扶助基準額の平均額と、平成25年検証において把握した消費実態を反映した生活扶 握すること(生活扶助基準の体系及び級地の検証)と併せて、その際には、仮に第1十分位の全世帯が生活保護を受給した場合の生活扶助基準額の平均額と、平成25年検証において把握した消費実態を反映した生活扶助基準額が均等になるようにして、年齢階級、世帯人員、級地の基準額の水準への影響を評価するという検証手法を採用し、生活扶助基準額の水準の検証を一体的に行ったのであり(後 記アないしエの年齢階級別、世帯人員別(第1類費、第2類費別)、級地別の基準額の水準の検証のうち、生活扶助基準額に平成25年検証において把握した消費実態を反映した理論上の水準としての生活扶助相当支出額と、生活扶助基準額の水準の相対関係についてみたもの)、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態の乖離についての検証に係る検証手法の合理性も平成25年検証の検証手法の合理 性に影響を及ぼすというべきである。 原告らは、基準部会は、平成25年検証において、生活扶助基準額と第1十分位の消費支出の乖離を検証するに当たり、回帰分析を用いて第1十分位の消費支出額を算出しているところ、① その結果得られた回帰モデルは、現実のデータとの適合の良さを示す数値である決定係数が約0.3と低く、現実の消費実態を反映す るものでない、② 回帰係数のt検定により不要であると判定された説明変数が多数存在したにもかかわらず、これらの説明変数を除外することなく検証結果を求めており、回帰係数のt検定の結果を全く反映させていないなど、回帰分析の手法に問題があると主張する。しかし、平成25年検証が、様々な世帯構成の基準額を算出する際に基本となる年齢階級別、世帯人員別、級地別の基準額が第1十 分位の消費実態を十分反映しているかについて詳細な分析を行い、様々な世帯構 成に対する生活扶 帯構成の基準額を算出する際に基本となる年齢階級別、世帯人員別、級地別の基準額が第1十 分位の消費実態を十分反映しているかについて詳細な分析を行い、様々な世帯構 成に対する生活扶助基準の展開の妥当性を第1十分位の生活扶助相当支出を用いて算出した指数により把握することとしたことは、上記のとおりであるところ、弁論の全趣旨によれば、平成19年検証においては、各年齢階級の単身世帯のデータを用いて年齢階級別の平均消費水準の分析がされたが、全国消費実態調査の調査客体には10代以下の単身世帯がほとんどないため、10代以下の消費水準を 正確に計測することができないという限界があったと認めることができるのであり、このことに鑑みると、基準部会が平成25年検証において採用した回帰分析が、その結果得られた回帰モデルの決定係数が約0.3と低く、また、回帰係数のt検定により不要であると判定された説明変数を除外することなく検証結果を求めているものであるという事情は、平成25年検証の検証手法の合理性を左右し ないというべきである。基準部会が、様々な年代の世帯人員から成る世帯の消費のデータから年齢階級別の世帯員1人当たりの消費額を推計し、年齢階級別の消費水準の分析におけるデータの網羅性、正確性を確保するため、年齢階級別の基準額の水準について回帰分析を採用し、併せて、平均消費水準により消費水準を分析することとしていた世帯人員別の基準額の水準及び生活扶助基準の地域差に ついても、検証の結果の妥当性を補強するため、回帰分析を用いた結果とおおむね遜色がないかを確認することとしたことが合理性を欠くと認めることはできないのであり、原告らの主張は採用することができない。 ア年齢階級別(第1類費)の基準額の水準年齢階級別の生活扶 がないかを確認することとしたことが合理性を欠くと認めることはできないのであり、原告らの主張は採用することができない。 ア年齢階級別(第1類費)の基準額の水準年齢階級別の生活扶助基準額(第1類費)の比率(指数)が、一般低所得世帯 の生活扶助相当支出額のうち第1類費相当支出額の年齢階級別の比率(指数)と合っているかを検証する。生活扶助相当支出額は、世帯年収により分位を設定したものと1人当たりの世帯年収により分位を設定したものの2種類の第1十分位の第1類費相当支出額(回帰分析により求められた推計値)による指数の平均値である。生活扶助基準額は、第1類費による指数である。生活扶助基 準額(第1類費)の年齢階級間の比率は、年齢階級別の栄養所要量に基づいて 設定されているところ、60~69歳を1.00とした指数により比較すると、第1類費相当支出額の年齢階級間の比率は、生活扶助基準が想定するよりフラットに近いものであるという実態が認められた。 生活扶助相当支出額生活扶助基準額0~2歳 0.78 0.58 3~5歳 0.81 0.736~11歳 0.82 0.9412~19歳 0.86 1.1720~40歳 0.87 1.1241~59歳 0.96 1.06 60~69歳 1.00 1.0070歳以上 0.84 0.90次に、生活扶助基準額に平成25年検証において把握した消費実態を反映 60~69歳 1.00 1.0070歳以上 0.84 0.90次に、生活扶助基準額に平成25年検証において把握した消費実態を反映した理論上の水準としての生活扶助相当支出額と、生活扶助基準額の水準の相対関係についてみる。仮に第1十分位の全世帯が生活保護を受給した場合の生活扶 助基準額の平均額と、平成25年検証において把握した消費実態を反映した生活扶助基準額が均等になるようにして、0~2歳の消費実態を1.00とした指数により比較すると、年齢階級別の栄養所要量に基づいて設定されている第1類費の水準は、年齢階級別に消費実態を反映した水準と差異がある。 生活扶助相当支出額生活扶助基準額 0~2歳 1.00 0.693~5歳 1.03 0.866~11歳 1.06 1.1212~19歳 1.10 1.3720~40歳 1.12 1.31 41~59歳 1.23 1.26 60~69歳 1.28 1.1970歳以上 1.08 1.06イ世帯人員別(第1類費)の基準額の水準世帯人員別の生活扶助基準額(第1類費、第2類費別)の比率(指数)が、一般低所得世帯の生活扶助相当支出額(第1類費相当支出額、第2類費相当支出 額別)の世帯人員別の比率(指数)と合っているかを検証する。生活扶助相当支出額は、第1十分位の第1類費相当支出額(平均 一般低所得世帯の生活扶助相当支出額(第1類費相当支出額、第2類費相当支出 額別)の世帯人員別の比率(指数)と合っているかを検証する。生活扶助相当支出額は、第1十分位の第1類費相当支出額(平均消費水準)による指数である。生活扶助基準額は、第1類費による指数である。単身世帯を1.00とした指数により比較すると、第1類費相当支出額の世帯人員間の比率は、生活扶助基準が想定するよりスケールメリットが働いている実態が認められた。 生活扶助相当支出額生活扶助基準額単身世帯 1.00 1.002人世帯 1.54 2.003人世帯 2.01 3.004人世帯 2.34 3.80 5人世帯 2.64 4.50次に、生活扶助基準額に平成25年検証において把握した消費実態を反映した理論上の水準としての生活扶助相当支出額と、生活扶助基準額の水準の相対関係についてみる。仮に第1十分位の全世帯が生活保護を受給した場合の生活扶助基準額の平均額と、平成25年検証において把握した消費実態を反映した生 活扶助基準額が均等になるようにして、単身世帯の消費実態を1.00とした指数により比較すると、単身世帯の消費実態を反映した水準は基準額の水準を上回るが、世帯人員が増えるに従い消費実態を反映した水準は基準額の水準を下回る状況となっている。 生活扶助相当支出額生活扶助基準額 単身世帯 1.00 0.88 2人世帯 1.5 る。 生活扶助相当支出額生活扶助基準額 単身世帯 1.00 0.88 2人世帯 1.54 1.763人世帯 2.01 2.634人世帯 2.34 3.345人世帯 2.64 3.95ウ世帯人員別(第2類費)の基準額の水準 世帯人員別の生活扶助基準額(第1類費、第2類費別)の比率(指数)が、一般低所得世帯の生活扶助相当支出額(第1類費相当支出額、第2類費相当支出額別)の世帯人員別の比率(指数)と合っているかを検証する。生活扶助相当支出額は、第1十分位の第2類費相当支出額(平均消費水準)による指数である。生活扶助基準額は、第2類費による指数である。単身世帯を1.00とした 指数により比較すると、第2類費相当支出額の世帯人員間の比率は、生活扶助基準が想定するスケールメリットが働いていない実態が認められた。 生活扶助相当支出額生活扶助基準額単身世帯 1.00 1.002人世帯 1.34 1.11 3人世帯 1.67 1.234人世帯 1.75 1.275人世帯 1.93 1.28次に、生活扶助基準額に平成25年検証において把握した消費実態を反映した理論上の水準としての生活扶助相当支出額と、生活扶助基準額の水準の相対関 係についてみる。仮に第 1.28次に、生活扶助基準額に平成25年検証において把握した消費実態を反映した理論上の水準としての生活扶助相当支出額と、生活扶助基準額の水準の相対関 係についてみる。仮に第1十分位の全世帯が生活保護を受給した場合の生活扶助基準額の平均額と、平成25年検証において把握した消費実態を反映した生活扶助基準額が均等になるようにして、単身世帯の消費実態を1.00とした指数により比較すると、単身世帯の消費実態を反映した水準は基準額の水準を下回るが、世帯人員が増えるに従い消費実態を反映した水準は基準額の水準を上 回る状況となっている。 生活扶助相当支出額生活扶助基準額単身世帯 1.00 1.062人世帯 1.34 1.183人世帯 1.67 1.314人世帯 1.75 1.35 5人世帯 1.93 1.36エ級地別の基準額の水準級地別の生活扶助基準額の比率(指数)が、一般低所得世帯の生活扶助相当支出額の級地別の比率(指数)と合っているかを検証する。生活扶助相当支出額は、第1十分位の第1類費相当支出額(世帯人員別の基準額の水準の検証の過 程において得られる、年齢の影響を除去したもの)と第2類費相当支出額の合計(世帯人員の影響を除去したもの)の世帯員1人当たりの実質年収による指数である。生活扶助基準額は、生活扶助基準額による指数である。全級地平均を1.00とした指数により比較すると、級地間較差があるが、生活扶助基準が想定するほどの較差でないという実態が認められた よる指数である。生活扶助基準額は、生活扶助基準額による指数である。全級地平均を1.00とした指数により比較すると、級地間較差があるが、生活扶助基準が想定するほどの較差でないという実態が認められた。 生活扶助相当支出額生活扶助基準額1級地-1 1.09 1.111級地-2 1.05 1.062級地-1 0.98 1.012級地-2 0.98 0.96 3級地-1 0.94 0.913級地-2 0.92 0.86次に、生活扶助基準額に平成25年検証において把握した消費実態を反映した理論上の水準としての生活扶助相当支出額と、生活扶助基準額の水準の相対関係についてみる。級地間の消費実態の較差は生活扶助基準が想定するほど大 きいものでなく、2級地-1までは消費実態を反映した水準が生活扶助基準額を 下回る一方、2級地-2からは消費実態を反映した水準が生活扶助基準額を上回る状況となっている。 生活扶助相当支出額生活扶助基準額1級地-1 1.00 1.021級地-2 0.96 0.97 2級地-1 0.90 0.932級地-2 0.90 0.883級地-1 0.87 0.843級地-2 0.84 0.79⑷ 平成25年 2 0.90 0.883級地-1 0.87 0.843級地-2 0.84 0.79⑷ 平成25年検証の結果の反映比率を2分の1としたことの適否 ゆがみ調整は、平成25年検証の結果を生活扶助基準の展開部分に反映することにより行われたが、平成25年検証の結果を完全に反映するのでなく、その反映比率は2分の1とされた(前提事実⑹イ)ところ、厚生労働大臣が、平成25年検証の結果の反映比率を2分の1としたのは、基準部会が、平成25年検証の検証結果に関する留意事項(認定事実⑼オ)において、① 年齢階級別、世帯人員 別、級地別に、生活扶助基準の展開と一般低所得世帯の消費実態の間にどの程度乖離が生じているかを詳細に分析し、様々な世帯構成への生活扶助基準の妥当性について、よりきめ細やかな検証を行ったが、消費に影響を及ぼす極めて多様な要因により、展開のための指数と一般低所得世帯の消費実態の間には、なお乖離が生じ得るところ、具体的にどのような要因がどの程度消費に影響を及ぼすかは現 時点においては明確に分析することができないこと、また、特定の世帯構成等に限定して分析する際にサンプルが極めて少数となるといった統計上の限界があることなどから、全ての要素については分析説明に至らなかった、② 平成25年検証において採用した年齢、世帯人員、地域の影響を検証する手法についても、委員による専門的議論の結果得られた透明性の高い一つの妥当な手法である一方、 これまでの検証方法との継続性、整合性にも配慮したものであることから、これが 唯一の手法ということでもなく、今後、政府部内において具体的な基準の見直しを検討する際には、平成25年検証 これまでの検証方法との継続性、整合性にも配慮したものであることから、これが 唯一の手法ということでもなく、今後、政府部内において具体的な基準の見直しを検討する際には、平成25年検証の結果を考慮しつつも、同時に検証方法について一定の限界があることに留意する必要がある、③ 生活保護受給世帯との比較の対象である第1十分位の者にとっては、全所得階層における年間収入総額に占める当該分位の年間収入総額の構成割合にわずかな減少があっても、その影響 は相対的に大きいと考えられることに留意すべきである、④ 平成25年検証の結果を完全に反映した場合、夫婦と18歳未満の子1人世帯において8.5%、夫婦と18歳未満の子2人世帯において14.2%、母親と18歳未満の子1人の母子世帯において5.2%の減額となり、子どものいる世帯への影響が大きくなることが予想されるため、平成25年検証に基づいて生活扶助基準の見直しを具体的 に検討する際には、現在生活保護を受給している世帯及び一般低所得世帯、とりわけ貧困の世代間連鎖を防止する観点から、子どものいる世帯への影響にも配慮する必要があるとしていることを踏まえたものである。 そして、上記のとおりの平成25年検証の検証結果に関する留意事項の指摘に加えて、① 平成25年検証においては、全国消費実態調査に、その調査客体に1 0代以下の単身世帯がほとんどないため、10代以下の消費水準を正確に計測することができないという限界があることから、年齢階級別の基準額の水準について、標本統計的な分析手法である回帰分析が採用されたことは、上記⑶のとおりであるところ、このような検証手法の限界が平成25年検証の結果を生活扶助基準に完全に反映した場合の影響の大きさに関与していると考えられること、② 弁 帰分析が採用されたことは、上記⑶のとおりであるところ、このような検証手法の限界が平成25年検証の結果を生活扶助基準に完全に反映した場合の影響の大きさに関与していると考えられること、② 弁論の全趣旨によれば、年齢階級別、世帯人員別、級地別に生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態の乖離を詳細に分析し、様々な世帯構成のそれぞれ需要が異なる生活保護受給者の間において実質的な給付水準の均衡が図られるよう適切に展開するための指数について検証を行うことは、平成25年検証の後も継続的定期的に行うことが予定されていたと認めることができるのであり、厚生労働 大臣が、平成25年検証に基づいて生活扶助基準の改定を行うに当たっては、平 成25年検証の結果を生活扶助基準に完全に反映し、展開のための指数の適正化を一挙に行うという選択肢のほか、一旦部分的に反映し、それが生活保護受給世帯に現実に及ぼす影響についての検証の結果やその後の社会経済の状況を踏まえて次回の改定を行い、展開のための指数の適正化を漸進的に行うという選択肢もあったこと、③ 平成25年検証の検証結果に関する留意事項の4つの指摘の うち、前2者は、改定により生活扶助費が減額される世帯についてのみならず、改定により生活扶助費が増額される世帯についても当てはまる指摘であり、後2者は、改定により生活扶助費が減額される世帯についてのみ当てはまる指摘であるところ、厚生労働大臣が、平成25年検証に基づいて生活扶助基準の改定を行うに当たっては、改定により生活扶助費が増額される世帯については平成25年 検証の結果を生活扶助基準に完全に反映し、改定により生活扶助費が減額される世帯については一旦部分的に反映するという選択肢もあったが、そのような改定を行った場合、生活扶助費の増額分につい 5年 検証の結果を生活扶助基準に完全に反映し、改定により生活扶助費が減額される世帯については一旦部分的に反映するという選択肢もあったが、そのような改定を行った場合、生活扶助費の増額分について満額の財源が必要となる一方、生活扶助費の減額分について不要となる財源は部分的となるのであり、国の財政負担が重くなることを考慮すると、厚生労働大臣が、平成25年検証に基づい て生活扶助基準の改定を行うに当たり、基準部会の平成25年検証の検証結果に関する留意事項を踏まえて、被保護者、特に子どものいる世帯の期待的利益についての可及的な配慮の見地及び国の財政事情の見地から、ゆがみ調整について、平成25年検証の結果を生活扶助基準に完全に反映するのでなく、その反映比率を2分の1として改定率を算出したことが合理性を欠くと認めることはできない。 原告らは、平成25年検証の結果が完全に反映されれば生活扶助費が増額される世帯、特に生活保護受給世帯の過半数を占める単身高齢者世帯の生活扶助費の増額を、反映比率を2分の1とすることにより大幅に圧縮し、多数の生活保護受給世帯に多大な不利益を与えた上、平成25年検証の結果の反映比率を2分の1とすることにより、ゆがみ調整が是正しようとしたゆがみが残り、ゆがみ調整の趣 旨を没却することとなったと主張し、平成25年検証の結果を完全に反映すると 世帯により生活扶助費の減額幅が大きくなることが想定されたことから反映比率を2分の1としたという被告らの主張について、本件改定には、増減幅が±10%を超えないよう調整する激変緩和措置が講じられており、これにより生活扶助費の減額幅が大きくなる世帯は救済されることから、反映比率を2分の1とすることによる効果は極めて限定的であると指摘する。しかし、平成25 いよう調整する激変緩和措置が講じられており、これにより生活扶助費の減額幅が大きくなる世帯は救済されることから、反映比率を2分の1とすることによる効果は極めて限定的であると指摘する。しかし、平成25年検証の結果 の反映比率を一律に2分の1とするのでなく、平成25年検証の結果を反映すると生活扶助費が減額される世帯についてのみ2分の1とする(平成25年検証の結果を反映すると生活扶助費が増額される世帯については完全に反映する)ならば、国の財政に少なくない負担が生ずるところ、最低限度の生活を保護基準において具体化するに当たっては、国の財政事情を無視することができないことは、上 記2のとおりであり、厚生労働大臣が、平成25年検証に基づいて生活扶助基準の改定を行うに当たり、国の財政事情の見地から、ゆがみ調整について平成25年検証の結果の反映比率を一律に2分の1として改定率を算出したことが合理性を欠くと認めることはできない。また、平成25年検証の結果の反映比率を2分の1とすることにより、ゆがみ調整が是正しようとしたゆがみが残ったとしても、 厚生労働大臣が、平成25年検証に基づいて生活扶助基準の改定を行うに当たり、ゆがみ調整について平成25年検証の結果の反映比率を2分の1として、展開のための指数の適正化を漸進的に行うこととしたことが合理性を欠くと認めることはできないことは、上記のとおりであり、平成25年検証が目指したゆがみ調整の趣旨が没却されたということはできない。次に、厚生労働大臣は、平成25年検 証に基づいて生活扶助基準の改定を行うに当たり、生活保護受給世帯に対する激変緩和の観点から、基準額の見直しを3年の経過期間を設けて段階的に行うとともに、改定の影響を一定程度に抑えるため、現行の基準額からの増減幅は±10%を超えないもの 当たり、生活保護受給世帯に対する激変緩和の観点から、基準額の見直しを3年の経過期間を設けて段階的に行うとともに、改定の影響を一定程度に抑えるため、現行の基準額からの増減幅は±10%を超えないものとするという激変緩和措置を講ずることとした(前提事実⑹エ)が、この措置により救済されるのは、減額幅が10%を超える世帯に限られるので あり、生活保護受給世帯との比較の対象である第1十分位の者にとっては、全所 得階層における年間収入総額に占める当該分位の年間収入総額の構成割合にわずかな減少があっても、その影響は相対的に大きいと考えられるという平成25年検証の検証結果に関する留意事項の指摘に照らしても、反映比率を2分の1とすることによる効果が極めて限定的であるということはできない。原告らの主張は採用することができない。 ⑸ ゆがみ調整の適否ゆがみ調整は、基準部会による平成25年検証を経て行われたものであるところ、平成25年検証の目的の合理性について、基準部会が、平成25年検証において、平成16年検証及び平成19年検証における指摘を踏まえて、年齢階級別、世帯人員別、級地別に生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態の乖離を詳細に分 析し、様々な世帯構成のそれぞれ需要が異なる生活保護受給者の間において実質的な給付水準の均衡が図られるよう適切に展開するための指数について検証を行ったことが合理性を欠くと認めることはできないことは、上記⑵のとおりであり、また、平成25年検証の検証手法の合理性について、基準部会が、そのような検証目的を達成するための検証手法として、① 生活保護受給世帯と対比する一般 低所得世帯として第1十分位を設定し、年齢階級別、世帯人員別、級地別の生活扶助基準額が第1十分位の生活扶助相当支出を 証目的を達成するための検証手法として、① 生活保護受給世帯と対比する一般 低所得世帯として第1十分位を設定し、年齢階級別、世帯人員別、級地別の生活扶助基準額が第1十分位の生活扶助相当支出を適切に反映しているかについて詳細に分析し、様々な世帯構成に対する生活扶助基準の展開の妥当性を第1十分位の生活扶助相当支出を用いて算出した指数により把握することとしたこと、② 年齢階級別の基準額の水準について、様々な年代の世帯人員から成る世帯の消費の データから年齢階級別の世帯員1人当たりの消費額を推計するため、標本統計的な分析手法である回帰分析を採用し、併せて、世帯人員別の基準額の水準及び生活扶助基準の地域差についても、検証の結果の妥当性を補強するため、回帰分析を用いた結果とおおむね遜色がないかを確認することとしたことが合理性を欠くと認めることはできないことは、上記⑶のとおりである。 そして、このように、平成25年検証が合理性を欠くと認めることはできない ところ、ゆがみ調整について平成25年検証の結果の反映比率を2分の1としたことの適否について、厚生労働大臣が、平成25年検証に基づいて生活扶助基準の改定を行うに当たり、基準部会の平成25年検証の検証結果に関する留意事項を踏まえて、被保護者、特に子どものいる世帯の期待的利益についての可及的な配慮の見地及び国の財政事情の見地から、ゆがみ調整について、平成25年検証 の結果を生活扶助基準に完全に反映するのでなく、その反映比率を2分の1として改定率を算出したことが合理性を欠くと認めることはできないことは、上記⑷のとおりである。 そうすると、ゆがみ調整に係る厚生労働大臣の判断に、最低限度の生活の具体化に係る判断の過程及び手続における過誤、欠落の有無等の観点 欠くと認めることはできないことは、上記⑷のとおりである。 そうすると、ゆがみ調整に係る厚生労働大臣の判断に、最低限度の生活の具体化に係る判断の過程及び手続における過誤、欠落の有無等の観点からみて裁量権の 範囲の逸脱又はその濫用があると認めることはできず、ゆがみ調整が違法であるということはできない。 6 デフレ調整の適否⑴ デフレ調整の内容とその適否の検討方法本件改定は、厚生労働大臣が平成25年告示、平成26年告示及び平成27年告 示により生活扶助基準を改定したものであり、主に、① 平成25年検証の結果を踏まえて、年齢、世帯人員、地域差による影響を調整する「ゆがみ調整」を行うとともに、② 前回の基準額の見直し後、デフレ傾向が続いていることから、実質的な購買力を維持しつつ、客観的な経済指標である物価の動向を勘案して生活扶助基準額を見直す「デフレ調整」を行い、併せて、③ 激変緩和措置を行うもので あるところ、デフレ調整は、平成19年検証の結果を踏まえて平成20年に前回の基準額の見直しが行われた後、デフレ傾向が続いているにもかかわらず、基準額が据え置かれてきていることから、実質的な購買力を維持しつつ、前回の見直し以降の物価の動向を勘案して生活扶助基準額を見直すことを目的として行われたものであり、客観的な経済指標である消費者物価指数(生活扶助相当品目を対象 とする生活扶助相当CPI)を用いて、その対象期間である平成20年から平成 23年まで(以下「本件対象期間」ということがある。)の物価変動率を-4.78%と算出し、ゆがみ調整後の基準額に0.9522を乗ずることにより行われた。なお、生活扶助相当CPIは、総務省の消費者物価指数である総務省CPIを基に、全ての指数品目から、除外品 変動率を-4.78%と算出し、ゆがみ調整後の基準額に0.9522を乗ずることにより行われた。なお、生活扶助相当CPIは、総務省の消費者物価指数である総務省CPIを基に、全ての指数品目から、除外品目(① 生活扶助以外の扶助により賄われる家賃、教育費、医療費などの品目、② 生活保護受給世帯には原則として保有が認めら れておらず、又は免除されるため、生活保護受給世帯において支出することが想定されていない自動車関係費、NHK受信料などの品目)を除いて算出した消費者物価指数である。また、平成20年から平成23年までの物価変動率は、平成20年の年平均の生活扶助相当CPI(以下「平成20年生活扶助相当CPI」のようにいう。)と平成23年生活扶助相当CPIを用いて算出したものである。 (前 提事実⑹ア及びウ)デフレ調整は、平成25年検証に基づくものでなく、基準部会による審議検討を経ることなく行われたものであるから、デフレ調整に係る厚生労働大臣の判断に、最低限度の生活の具体化に係る判断の過程及び手続における過誤、欠落の有無等の観点からみて裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があると認められるか否かは、 被告らの説明に基づいて、デフレ調整が専門的知見に基づいた高度の専門技術的な考察を経て合理的に行われたことについて客観的な数値との合理的関連性等の有無の観点から検討するのが相当である(上記2)。 ⑵ デフレ調整の合理性1デフレ調整の目的の合理性について、デフレ調整が、前回の基準額の見直し後、 デフレ傾向が続いていることから、実質的な購買力を維持しつつ、客観的な経済指標である物価の動向を勘案して生活扶助基準額を見直すものであり、平成19年検証の結果を踏まえて平成20年に前回の基準額の見直しが行われた後、デフレ傾向 ら、実質的な購買力を維持しつつ、客観的な経済指標である物価の動向を勘案して生活扶助基準額を見直すものであり、平成19年検証の結果を踏まえて平成20年に前回の基準額の見直しが行われた後、デフレ傾向が続いているにもかかわらず、基準額が据え置かれてきていることから、実質的な購買力を維持しつつ、前回の見直し以降の物価の動向を勘案して生活扶助 基準額を見直すことを目的として行われたことは、上記⑴のとおりであるところ、 バブル経済の崩壊に伴い、平成4年頃から、賃金、物価及び家計消費がいずれも継続的に下落するデフレとなった(認定事実⑸ア)という我が国のかねてからの社会経済情勢を背景として、平成16年検証において、平均的にみれば、勤労基礎控除も含めた生活扶助基準額が一般低所得世帯の消費における生活扶助相当支出額よりも高くなっていることも考慮する必要があると指摘されていたこと、及び、平成 19年検証が、生活扶助基準の水準について、勤労3人世帯の平均の生活扶助基準額は、同世帯の第1十分位における生活扶助相当支出額と比較するとやや高め、第1五分位において比較するとやや低めであり、また、高齢単身世帯の平均の生活扶助基準額は、同世帯の第1十分位における生活扶助相当支出額と比較すると高め、第1五分位において比較すると均衡した水準であったと報告していたこと は、上記5⑵のとおりである。 そして、このような経緯を踏まえた上、本件対象期間である平成20年から平成23年までの社会経済情勢についてみると、① 厚生労働大臣が、平成19年検証の結果、平成16年度の生活扶助基準額は第1十分位の生活扶助相当支出額と比べて、夫婦子1人世帯においてやや高め、単身高齢者世帯において高めとい う知見が得られたが、平成20年度の生活扶助基準の改定 果、平成16年度の生活扶助基準額は第1十分位の生活扶助相当支出額と比べて、夫婦子1人世帯においてやや高め、単身高齢者世帯において高めとい う知見が得られたが、平成20年度の生活扶助基準の改定をすることなく据え置いたのは、平成20年度の予算編成当時、原油価格が高騰していたことから、それが消費に与える影響等を見極めるためであり、また、平成21年度の生活扶助基準の改定をすることなく据え置いたのは、平成21年度の予算編成当時においても、生活関連物資を中心とした物価の上昇が国民の家計へ大きな影響を与えてお り、世界的な金融危機であるリーマンショックが実体経済へ深刻な影響を及ぼしていることから、国民の将来不安が高まっている状況にあると考えられたため、平成22年度の生活扶助基準の改定をすることなく据え置いたのは、完全失業率が高水準で推移するなど、現下の厳しい経済雇用情勢を踏まえて、国民生活の安心が確保されるべき状況にあることに鑑みたため、平成23年度及び平成24年度 の生活扶助基準の改定をすることなく据え置いたのは、それまでの経緯を踏まえ て、経済雇用情勢等を総合的に勘案したためで、それぞれあることは、認定事実⑺のとおりであり、② 本件対象期間の物価が、総務省CPI(総合)において、平成19年から平成20年にかけて1.4%上昇した後、平成20年から平成21年にかけて1.4%下落し、平成21年から平成22年にかけて0.7%下落し、平成22年から平成23年にかけて0.3%下落しており(本件対象期間の変化率は- 2.35%=(99.7÷102.1-1)×100である。)、総務省CPI(食料)において、平成19年から平成20年にかけて2.5%上昇し、平成20年から平成21年にかけて0.2%上昇した後、平成21年から平成22 9.7÷102.1-1)×100である。)、総務省CPI(食料)において、平成19年から平成20年にかけて2.5%上昇し、平成20年から平成21年にかけて0.2%上昇した後、平成21年から平成22年にかけて0.3%下落し、平成22年から平成23年にかけて0.4%下落し(本件対象期間の変化率は-0.50%=(99.6÷100.1-1)×100である。)、総務省CPI(光 熱・水道)において、平成19年から平成20年にかけて5.9%上昇した後、平成20年から平成21年にかけて4.3%下落し、平成21年から平成22年にかけて0.2%下落し、その後、平成22年から平成23年にかけて3.3%上昇している(本件対象期間の変化率は-1.15%=(103.3÷104.5-1)×100である。)こと(前提事実⑾エ)に加えて、③ 本件対象期間の完全失業率が、 平成20年平均4.0%、平成21年平均5.1%、平成22年平均5.0%、平成23年4.6%と推移し、一般勤労者世帯の賃金が、事業所規模5人以上の調査産業計の1人平均月間現金給与総額において、平成20年0.3%の減少、平成21年3.9%の減少、平成22年0.5%の増加、平成23年0.2%の減少と、全国勤労者世帯の家計消費支出が、平成20年0.5%の増加(名目値)、平成21年1.8% の減少、平成22年0.2%の減少、平成23年3.0%の減少と、それぞれ推移したこと(認定事実⑻ア)に照らしても、本件対象期間の一般低所得世帯を始めとする国民の消費実態にもデフレによる影響が及んでいたと認めるのが相当であり、このことに鑑みると、厚生労働大臣が、平成19年検証の結果を踏まえて平成20年に前回の基準額の見直しが行われた後、デフレ傾向が続いているにもかかわ らず、基準額が据え置かれてきている であり、このことに鑑みると、厚生労働大臣が、平成19年検証の結果を踏まえて平成20年に前回の基準額の見直しが行われた後、デフレ傾向が続いているにもかかわ らず、基準額が据え置かれてきていることから、水準均衡方式の下において生活 扶助基準が維持調整されるべき国民全体の消費実態との均衡上おおむね妥当な水準との乖離が生じているものとして、実質的な購買力を維持しつつ、社会経済情勢を勘案して生活扶助基準額を見直すため、デフレ調整を行ったことが合理性を欠くと認めることはできない。 ⑶ デフレ調整の合理性2 デフレ調整の調整手法のうち、調整の指標の設定の合理性について、デフレ調整が、平成19年検証の結果を踏まえて平成20年に前回の基準額の見直しが行われた後、デフレ傾向が続いているにもかかわらず、基準額が据え置かれてきていることから、実質的な購買力を維持しつつ、前回の見直し以降の物価の動向を勘案して生活扶助基準額を見直すことを目的として行われたものであることは、上記 ⑴のとおりであるところ、厚生労働大臣は、デフレ調整について、基準部会による審議検討を経ることなく、社会経済情勢を表す客観的な指標として消費者物価指数(生活扶助相当品目を対象とする生活扶助相当CPI)を設定し、それを用いて、本件対象期間である平成20年から平成23年までの物価変動率を-4.78%と算出し、ゆがみ調整後の基準額に0.9522を乗ずることにより、デフレ 調整を行った(上記⑴)。生活扶助相当CPIは、総務省の消費者物価指数である総務省CPIを基に、全ての指数品目から、除外品目(① 生活扶助以外の扶助により賄われる家賃、教育費、医療費などの品目、② 生活保護受給世帯には原則として保有が認められておらず、又は免除されるため、生活保護 PIを基に、全ての指数品目から、除外品目(① 生活扶助以外の扶助により賄われる家賃、教育費、医療費などの品目、② 生活保護受給世帯には原則として保有が認められておらず、又は免除されるため、生活保護受給世帯において支出することが想定されていない自動車関係費、NHK受信料などの品目) を除いて算出した消費者物価指数であり、また、平成20年から平成23年までの物価変動率は、平成20年生活扶助相当CPIと平成23年生活扶助相当CPIを用いて算出したものである(上記⑴)。 まず、調整の指標の設定の合理性のうち、厚生労働大臣が、デフレ調整について、社会経済情勢を表す客観的な指標として消費者物価指数(物価)を設定し、 物価変動率により調整を行ったことの適否についてみると、一般に、物価は、商 品の価格を総合的、平均的にみたもの、すなわち、商品の平均価格を指すものであり(前提事実⑾ア)、消費者物価指数は、全国の世帯が購入する財及びサービスの価格変動を総合的に測定し、物価変動を時系列的に表すものである(前提事実⑾ア)。そして、このように、消費者物価指数は、消費者が購入する財とサービスの種類、品質又は購入数量の変化を伴った生計費の変化を測定するものでなく(前 提事実⑾ア)、賃金と同様、物価は、そのままでは消費水準を示すものでないことから、昭和58年意見具申は、物価の伸びは、生活扶助基準の改定に当たり、参考資料にとどめるべきであるとしている(認定事実⑶イ)。ところで、生活保護の目的は国民の最低生活、すなわち、最低限度の消費支出を保障することであり、その具体的な水準を表す生活扶助基準は、当該年度に予想される一般国民の消費生 活の動向に対応して設定しなければならない(昭和55年中間取りまとめ。認定事実⑵イ)。生活保護に 障することであり、その具体的な水準を表す生活扶助基準は、当該年度に予想される一般国民の消費生 活の動向に対応して設定しなければならない(昭和55年中間取りまとめ。認定事実⑵イ)。生活保護において保障すべき最低生活の水準は、一般国民の生活水準との関連において捉えられるべき相対的なものである(昭和58年意見具申。認定事実⑶ア)。このような考え方から、生活扶助基準の改定方式については、消費支出を指標とし、かつ、予想される生活水準に対応することができるものであるこ とが前提となるとされ(昭和55年中間取りまとめ。認定事実⑵イ)、当該年度に想定される一般国民の消費動向を踏まえると同時に、前年度までの一般国民の消費水準との調整が図られるよう適切な措置をとることが必要であり、当該年度に予想される国民の消費動向に対応する見地から、政府経済見通しにおける民間最終消費支出の伸びに準拠することが妥当であるとされているのであり(昭和58 年意見具申。認定事実⑶ア)、厚生労働大臣は、この意見具申を受けて、昭和59年度から、生活扶助基準の改定方式として水準均衡方式(当該年度に想定される一般国民の消費動向を踏まえると同時に、前年度までの一般国民の消費実態との調整を図る方式)を採用した後も、格差縮小方式の採用当時と同じく、政府経済見通しにおける個人消費の伸びに準拠して翌年度の改定率を算定してきた(認定 事実⑷)。 このように、生活扶助基準の水準の調整は国民の消費実態、具体的には政府経済見通しにおける個人消費の伸びに準拠して行われてきた(認定事実⑷アの改定率が政府経済見通しにおける個人消費の伸びに準拠して算定されてきた)のであって、平成16年検証に先立ち公表された平成15年中間取りまとめにおいても、生活保護において保障 れてきた(認定事実⑷アの改定率が政府経済見通しにおける個人消費の伸びに準拠して算定されてきた)のであって、平成16年検証に先立ち公表された平成15年中間取りまとめにおいても、生活保護において保障すべき最低生活の水準は、一般国民の生活水準との関連に おいて捉えられるべき相対的なものであり、具体的には、第1十分位の消費水準に着目することが適当である(認定事実⑸ウ)と上記と同様の考え方が示されており、平成16年検証、平成19年検証及び平成25年検証においても、生活扶助基準の水準の調整は国民の消費実態に準拠して行われるべきであるという基本的な考え方に基づいて、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適 切に図られているかについて、全国消費実態調査を基本とし、検証が行われている(認定事実⑸エ、⑹イ及び⑼)。 このような経緯に照らせば、水準均衡方式において年度ごとに行われる政府経済見通しにおける個人消費の伸びに準拠した基準の改定は、改定に当たり特別の検討を要しないものとして、当該改定が基準部会による審議検討を経ることなく 行われた場合であっても、当該改定が基準部会による審議検討を経て行われた場合と同視され、かつ、その検証手法等の合理性が肯定されると解されるところ、物価は、これと異なり、そのままでは消費水準を示すものでないことは、上記のとおりであり、消費に影響を及ぼす極めて多様な要因の一つにすぎないと考えられるのであって、具体的にどの程度消費に影響を及ぼすかは現時点においては明確に 分析することが容易でないものである(平成25年検証の検証結果に関する留意事項。認定事実⑼オ)。もっとも、最低限度の生活を保護基準において具体化する判断については、厚生労働大臣に専門技術的かつ政策的な見地からの裁量権が付与されてい (平成25年検証の検証結果に関する留意事項。認定事実⑼オ)。もっとも、最低限度の生活を保護基準において具体化する判断については、厚生労働大臣に専門技術的かつ政策的な見地からの裁量権が付与されている(上記2)ところ、その裁量権の範囲は広範なものであって、厚生労働大臣は、国民の消費実態に準拠して生活扶助基準の水準の調整を行うに当た り、政府経済見通しにおける個人消費の伸びのように国民の消費実態そのものを 表す要因を指標として設定し、それに準拠して生活扶助基準の水準の調整を行うという直接的な手法をとることができることは当然であるが、そのような手法に加えて、物価のように国民の消費実態に関係する要因を指標として設定し、その要因により国民の消費実態を把握した上、それに準拠して生活扶助基準の水準の調整を行うという間接的な手法をとることも、次にみるように一定の範囲におい て許されるというべきであるから、平成15年中間取りまとめが、年金の改定と同じように消費者物価指数の伸びも改定の指標の一つとして用いることなども考えられるとしていること(認定事実⑸ウ)にも照らして、厚生労働大臣が、社会経済情勢を表す客観的な指標として消費者物価指数を設定し、その消費者物価指数による物価変動率により国民の消費実態を把握したものとして、そのようにし て把握した国民の消費実態に準拠して生活扶助基準の水準のデフレ調整を行ったことが直ちに合理性を欠くと認めることはできない(なお、生活保護の目的は国民の最低生活、すなわち、最低限度の消費支出を保障することであり、その具体的な水準を表す生活扶助基準は、一般国民の消費生活の動向に対応して設定しなければならず、生活保護において保障すべき最低生活の水準は、一般国民の生活水 準との関連において捉えられるべき その具体的な水準を表す生活扶助基準は、一般国民の消費生活の動向に対応して設定しなければならず、生活保護において保障すべき最低生活の水準は、一般国民の生活水 準との関連において捉えられるべき相対的なものであることは、上記のとおりであって、このことによると、生活扶助基準の水準の調整は国民の消費実態に準拠して行われるべきであるから、物価のように国民の消費実態に関係する要因を指標として設定して生活扶助基準の水準の調整を行うという手法をとることが、国民の消費実態に準拠して生活扶助基準の水準の調整を行うことを意味するもので なく、その要因そのもの又は国民の消費実態以外の要因に準拠して生活扶助基準の水準の調整を行うことを意味するものであるならば、そのようにして生活扶助基準の水準の調整を行ったことはそれ自体が合理性を欠くと認めることができるといわなければならない。)。 そこで、ここにおいて、物価のように国民の消費実態に関係する要因を指標とし て設定し、その要因により国民の消費実態を把握した上、それに準拠して生活扶 助基準の水準の調整を行うという間接的な手法をとることが許される範囲についてみると、最低限度の生活を保護基準において具体化する判断について厚生労働大臣に付与されている専門技術的かつ政策的な見地からの裁量権の行使の適否を、裁判所が判断するに当たっては、統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無の観点から検討するのが相当であることは、上記2の とおりであり、厚生労働大臣が、国民の消費実態に準拠して生活扶助基準の水準の調整を行うに当たり、このような間接的な手法をとることは、その要因による国民の消費実態の把握が統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無の観点 に準拠して生活扶助基準の水準の調整を行うに当たり、このような間接的な手法をとることは、その要因による国民の消費実態の把握が統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無の観点から首肯し得る場合に限り、許されるというべきである。 そして、一般に、物価は、そのままでは消費水準を示すものでないことから、物 価の伸びは、生活扶助基準の改定に当たり、参考資料にとどめるべきであるとされていること、物価は、政府経済見通しにおける個人消費の伸びと異なり、消費に影響を及ぼす極めて多様な要因の一つにすぎないと考えられるのであって、具体的にどの程度消費に影響を及ぼすかは現時点においては明確に分析することが容易でないものであることは、上記のとおりであり、物価変動率に準拠した基準の改 定が、改定に当たり特別の検討を要しないものとして、政府経済見通しにおける個人消費の伸びに準拠した基準の改定と同様に扱われる余地はない。そうすると、厚生労働大臣が、社会経済情勢を表す客観的な指標として消費者物価指数を設定し、その消費者物価指数による物価変動率により国民の消費実態を把握したものとして、そのようにして把握した国民の消費実態に準拠して生活扶助基準の水準 のデフレ調整を行ったことは、その消費者物価指数による国民の消費実態の把握が統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無の観点から首肯し得る場合に限り、許されるというべきであり、デフレ調整を基準部会による審議検討を経ることなく行った厚生労働大臣は、その消費者物価指数による国民の消費実態の把握が統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的 知見との整合性の有無の観点から首肯し得ることについて十分な説明をすること を要し、裁判所は、デフレ調整に係る厚 民の消費実態の把握が統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的 知見との整合性の有無の観点から首肯し得ることについて十分な説明をすること を要し、裁判所は、デフレ調整に係る厚生労働大臣の判断の過程及び手続における過誤、欠落の有無を判断するに当たり、その説明に基づいて、当該消費者物価指数及びその消費者物価指数による物価変動率により国民の消費実態が的確に把握され、デフレ調整がそのようにして把握された国民の消費実態に準拠して合理的に行われたことについて、統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知 見との整合性の有無の観点から首肯し得るかを検討するのが相当である。 加えて、基準部会が、平成25年検証において、生活扶助基準の体系(年齢、世帯人員)及び級地の検証と併せて、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態の乖離(生活扶助基準額の水準)についても一体的に検証を行ったことは、上記5⑶のとおりであり、ゆがみ調整による生活扶助基準の改定には、生活扶助基準の体 系(年齢、世帯人員)及び級地の改定と併せて、生活扶助基準額の水準の改定が含まれていることからするならば、上記の検討は、ゆがみ調整に含まれている生活扶助基準額の水準の改定との整合性の観点からも、行われなければならない(平成25年検証は、平成21年全国消費実態調査の個票データを用いているのであり(認定事実⑼イ)、検証に使用した統計データに、本件対象期間に含まれる平成20年 及び平成21年の物価変動の影響が及んでいるところ、この影響を除去することなく検証を行い、生活扶助基準の体系(年齢、世帯人員)及び級地の調整と併せて、生活扶助基準額の水準の調整も行っているのであるから、ゆがみ調整による生活扶助基準の改定には、本件対象期間の生活扶助基準額の水準の改定 い、生活扶助基準の体系(年齢、世帯人員)及び級地の調整と併せて、生活扶助基準額の水準の調整も行っているのであるから、ゆがみ調整による生活扶助基準の改定には、本件対象期間の生活扶助基準額の水準の改定が含まれているというべきである。)。 ⑷ デフレ調整の合理性3次に、調整の指標の設定の合理性のうち、厚生労働大臣が、デフレ調整について、社会経済情勢を表す客観的な指標として消費者物価指数(物価)を設定し、物価変動率により調整を行うに当たり、具体的な消費者物価指数として設定した、生活扶助相当品目を対象とする生活扶助相当CPIの適否についてみると、生活 扶助相当CPIは、総務省の消費者物価指数である総務省CPIを基に、全ての 指数品目から、除外品目(① 生活扶助以外の扶助により賄われる家賃、教育費、医療費などの品目、② 生活保護受給世帯には原則として保有が認められておらず、又は免除されるため、生活保護受給世帯において支出することが想定されていない自動車関係費、NHK受信料などの品目)を除いて算出した消費者物価指数であり、また、平成20年から平成23年までの物価変動率は、平成20年生 活扶助相当CPIと平成23年生活扶助相当CPIを用いて算出したものである(上記⑴)ところ、被告らないし厚生労働大臣は、生活扶助相当CPIによる国民の消費実態の把握が統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無の観点から首肯し得ることについて、十分な説明をせず(被告らないし厚生労働大臣は、総務省CPIを基に全ての指数品目から除外品目を除 いて生活扶助相当CPIを算出する過程において、生活保護受給世帯の消費構造を適切に反映していると説明しており、生活保護受給世帯の可処分所得の実質的増加として、低所 の指数品目から除外品目を除 いて生活扶助相当CPIを算出する過程において、生活保護受給世帯の消費構造を適切に反映していると説明しており、生活保護受給世帯の可処分所得の実質的増加として、低所得世帯の消費支出の減少という消費実態を裏から説明しているとみることもできるが、生活扶助相当CPIが生活保護受給世帯の消費構造を適切に反映していると認めることはできないことは、後記⑸のとおりである。)、ま た、デフレ調整がゆがみ調整に含まれている生活扶助基準額の水準の改定との整合性をもって行われたことについて、説明をしない(これは、被告らないし厚生労働大臣が、ゆがみ調整は、一般低所得世帯と生活保護受給世帯の同一世帯同士、同一年齢層同士のそれぞれの消費支出の額を比較して、その間のゆがみを調整しようとしたものでなく、年齢構成や世帯構成、地域が異なる生活保護受給世帯の 間の給付のゆがみを調整するものであると主張するためであるが、その主張を採用することはできず、基準部会が、平成25年検証において、生活扶助基準の体系(年齢、世帯人員)及び級地の検証と併せて、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態の乖離(生活扶助基準額の水準)についても一体的に検証を行ったことは、上記5⑶のとおりである。)。 一般に、物価は、そのままでは消費水準を示すものでないことから、物価の伸び は、生活扶助基準の改定に当たり、参考資料にとどめるべきであるとされていること、物価は、消費に影響を及ぼす極めて多様な要因の一つにすぎないと考えられるのであって、具体的にどの程度消費に影響を及ぼすかは現時点においては明確に分析することが容易でないものであることは、上記⑶のとおりであり、また、ゆがみ調整による生活扶助基準の改定には、生活扶助基準の体系(年齢、世 体的にどの程度消費に影響を及ぼすかは現時点においては明確に分析することが容易でないものであることは、上記⑶のとおりであり、また、ゆがみ調整による生活扶助基準の改定には、生活扶助基準の体系(年齢、世帯人員) 及び級地の改定と併せて、生活扶助基準額の水準の改定が含まれていることも、上記⑶のとおりである。そうすると、単純に、平成20年生活扶助相当CPIと平成23年生活扶助相当CPIを用いて算出した本件対象期間である平成20年から平成23年までの物価変動率である-4.78%をゆがみ調整後の基準額に乗ずることのみによっては、国民の消費実態を的確に把握することや、ゆがみ調整に 含まれている生活扶助基準額の水準の改定との整合性を図ることはできないと認めることができるところ、デフレ調整に係る厚生労働大臣の判断の過程及び手続において、このことについて十分な手当がされたことは、本件全証拠によるも認めることができないのであり(総務省CPIを基に全ての指数品目から除外品目を除いて生活扶助相当CPIを算出する過程において、生活保護受給世帯の消費構 造を適切に反映していると認めることはできないことは、上記のとおりである。)、生活扶助相当CPIにより国民の消費実態が的確に把握されたことについて、統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無の観点から首肯し得ると認めることは相当でなく、また、デフレ調整がゆがみ調整に含まれている生活扶助基準額の水準の改定との整合性をもって行われたと認めること も相当でない。 このように、生活扶助相当CPIによる国民の消費実態の把握が統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無の観点から首肯し得ると認めることはできず、また、デフレ調整がゆがみ調整に含まれている生 活扶助相当CPIによる国民の消費実態の把握が統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無の観点から首肯し得ると認めることはできず、また、デフレ調整がゆがみ調整に含まれている生活扶助基準額の水準の改定との整合性をもって行われたと認めることもできないので あり、このことによれば、厚生労働大臣が、社会経済情勢を表す客観的な指標と して消費者物価指数、具体的には生活扶助相当品目を対象とする生活扶助相当CPIを設定し、生活扶助相当CPIによる物価変動率により国民の消費実態を把握したものとして、そのようにして把握した国民の消費実態に準拠して生活扶助基準の水準のデフレ調整を行ったことは合理性を欠くと認めることができるといわなければならない。 ⑸ デフレ調整の合理性4被告らは、総務省CPIを基に全ての指数品目から除外品目を除いて生活扶助相当CPIを算出する過程において、生活保護受給世帯の消費構造(消費支出総額に占める各指数品目に係る支出額の割合。各指数品目のウエイト)を適切に反映していると説明しており、生活保護受給世帯の可処分所得の実質的増加として、 低所得世帯の消費支出の減少という消費実態を裏から説明しているとみることもできる。 そこで、この点について検討すると、生活扶助相当CPIは、指数品目は生活扶助による消費支出の対象となる品目と合致しているが、消費構造が生活保護受給世帯と大きく異なるのであれば(特に、物価変動率に大きな影響を及ぼしてい る品目において異なるのであれば)、生活扶助相当CPIによる物価変動率は、生活保護受給世帯の可処分所得の実質的増加の有無、程度を適切に反映するものでないこととなる。 テレビ、ビデオレコーダ、パソコン1及び2並びにカメラ( 、生活扶助相当CPIによる物価変動率は、生活保護受給世帯の可処分所得の実質的増加の有無、程度を適切に反映するものでないこととなる。 テレビ、ビデオレコーダ、パソコン1及び2並びにカメラ(以下「テレビ等」という。)について、本件対象期間の生活扶助相当CPIの変化率は-4.78%であ るところ、生活扶助相当品目について基準時である平成22年の価格指数を100とした場合における平成20年と平成23年の価格指数を比べると、教養娯楽用耐久財、特に、テレビ等において価格指数の顕著な下落がみられ、これらテレビ等のウエイト(合計147)が生活扶助相当CPIのウエイト総数(平成20年6189、平成23年6393)に占める割合も考慮すると、本件対象期間の物価変 動には、テレビ等の価格の下落が相応の影響を与えていることがうかがわれる。テ レビ等の価格の下落が本件対象期間の物価変動に与えた影響の程度について、本件対象期間の物価変動におけるテレビ等の寄与度は-3.28(本件対象期間にテレビ等についてのみ価格の変動が生じ、その余の生活扶助相当品目の価格の変動が生じなかったと仮定した場合の生活扶助相当CPIの変化率は-3.28%)であり、他方、本件対象期間にテレビ等を除く生活扶助相当品目についてのみ価格 の変動が生じ、テレビ等の価格の変動が生じなかったと仮定した場合の生活扶助相当CPIの変化率は-1.50%(=-4.78+3.28)であるから、本件対象期間の生活扶助相当CPIの変化率は、その相当部分がテレビ等の価格の下落の影響によるものである。このようなテレビ等の価格の下落の影響は、総務省CPIにも及んでいるが、総務省CPIのウエイト総数は1万であるため、本件対象期 間の総務省CPIの変動におけるテレビ等の寄与度は-2. のである。このようなテレビ等の価格の下落の影響は、総務省CPIにも及んでいるが、総務省CPIのウエイト総数は1万であるため、本件対象期 間の総務省CPIの変動におけるテレビ等の寄与度は-2.1である。すなわち、生活扶助相当品目のウエイト総数(平成23年)が6393であることから、分母の値が小さくなり、テレビ等の価格の下落による影響(寄与度)が総務省CPIに比べて増幅している。本件対象期間の総務省CPIの下落率が-2.35%であるのに対して、生活扶助相当CPIの下落率が-4.78%と高い下落率となってい るのも、このようなテレビ等の寄与度の増幅が大きな要因であると考えられる。 なお、テレビ等の価格指数が極めて大きな下落率を示していることに関して、総務省統計局は、平成23年の総務省CPIの説明として、テレビについて地上デジタル放送への移行により需要が減少したことを挙げるとともに、パソコン1及び2やカメラについても技術革新や性能向上を挙げているのであり、本件対象期 間のテレビ等の価格指数の大幅な下落は、地上デジタル放送への移行に伴うテレビの需要の減少や、技術革新や品質の向上に伴う品質調整の結果によるところが大きいと推認することができる。 生活扶助相当CPIのウエイトと生活保護受給世帯の消費構造との相違について、生活扶助相当CPIの算出の際に用いられた生活扶助相当品目別のウエイト は、総務省CPIの算出の際に用いられるウエイトのうち生活扶助相当品目に係 るものをそのまま利用したものであるところ、この総務省CPIの算出の際に用いられるウエイトは、家計調査によって得られたウエイト参照時となる年の平均1か月の1世帯当たりの品目別消費支出額を用いて作成されている。そして、家計調査は、統計法に基づく基幹統計調 Iの算出の際に用いられるウエイトは、家計調査によって得られたウエイト参照時となる年の平均1か月の1世帯当たりの品目別消費支出額を用いて作成されている。そして、家計調査は、統計法に基づく基幹統計調査の一つとして、国民生活における家計収支の実態を把握するために総務省統計局が毎月実施している統計調査であり、具 体的には、調査世帯が全国の世帯を代表するよう無作為に抽出された約9000世帯に調査票を交付、回収する方法により実施しているものである。そうすると、生活扶助相当CPIの算出の際に用いられたウエイトは、ウエイト参照時である平成22年の国民一般の消費構造を代表しているが、これが生活保護受給世帯の消費構造とも合致しているかについては更に検討する必要がある。一般に、低所 得世帯においては、その余の世帯に比べ、食費や光熱水費など日常生活の維持のために必要不可欠な品目に係る消費支出額が消費支出総額のうちに占める割合が大きくなる一方、教養娯楽費のような日常生活の維持に必ずしも不可欠でない品目に係る消費支出額の割合が小さくなると考えられ、このような経験則は一般に広く承認されている。このように、テレビ等又はこれを含む品目類(「教養娯楽」 ないし「教養娯楽用耐久財」)の支出が消費支出総額に占める割合については、デフレ調整において生活扶助相当CPIを算出する際に前提とされた消費構造(総務省CPIのウエイト)と、生活保護受給世帯の消費構造の間に、大きな乖離があると認めることができる。 以上によれば、本件対象期間のテレビ等の価格の下落が本件対象期間の物価変 動(生活扶助相当CPIの変化率に及ぼした影響(寄与度)は、テレビ等の価格指数の下落幅の大きさや、生活扶助相当CPIの算出の際に指数品目から除外品目を除いたことでウエイト総数が 期間の物価変 動(生活扶助相当CPIの変化率に及ぼした影響(寄与度)は、テレビ等の価格指数の下落幅の大きさや、生活扶助相当CPIの算出の際に指数品目から除外品目を除いたことでウエイト総数が減少し、寄与度が計算上増幅したことなどが相まって、大きな影響を及ぼす結果となったものであるところ、生活扶助相当CPIの算出の際に用いられたウエイト(一般世帯の消費構造)と生活保護受給世帯の消 費構造を比べると、テレビ等を含む品目類において大きく乖離しており、このよう な乖離の程度を前提とすると、テレビ等の価格の下落が大きな要因となって物価(生活扶助相当CPI)が下落したことによる消費実態への影響の程度(物価の下落をもって実質的な可処分所得の増加と評価し得る程度)は、生活保護受給世帯においては一般世帯と比べて相対的に小さいものというべきである。そうすると、本件対象期間のテレビ等以外の指数品目に係る価格の変動の状況やそれらが物価変 動及び消費実態に及ぼした影響について検討するまでもなく、生活保護受給世帯において-4.78%に相当するような可処分所得の実質的増加が生じたと認めることはできない。 したがって、厚生労働大臣がデフレ調整のために行った生活扶助相当CPIの設定は、本件対象期間の生活保護受給世帯の可処分所得の実質的増加の有無、程 度を正しく評価することができるものでなく、生活扶助相当CPIの消費構造と生活保護受給世帯の消費構造の異同について、生活扶助相当CPIが生活保護受給世帯の消費構造を適切に反映していると認めることはできない。 ⑹ デフレ調整の適否デフレ調整は、平成25年検証に基づくものでなく、基準部会による審議検討を 経ることなく行われたものであるところ、デフレ調整の目的の合理性 ことはできない。 ⑹ デフレ調整の適否デフレ調整は、平成25年検証に基づくものでなく、基準部会による審議検討を 経ることなく行われたものであるところ、デフレ調整の目的の合理性について、厚生労働大臣が、平成19年検証の結果を踏まえて平成20年に前回の基準額の見直しが行われた後、デフレ傾向が続いているにもかかわらず、基準額が据え置かれてきていることから、水準均衡方式の下において生活扶助基準が維持調整されるべき国民全体の消費実態との均衡上おおむね妥当な水準との乖離が生じているも のとして、実質的な購買力を維持しつつ、社会経済情勢を勘案して生活扶助基準額を見直すため、デフレ調整を行ったことが合理性を欠くと認めることはできないことは、上記⑵のとおりであり、また、デフレ調整の調整手法のうち、調整の指標の設定の合理性について、厚生労働大臣が、社会経済情勢を表す客観的な指標として消費者物価指数を設定し、その消費者物価指数による物価変動率により 国民の消費実態を把握したものとして、そのようにして把握した国民の消費実態 に準拠して生活扶助基準の水準のデフレ調整を行ったことが直ちに合理性を欠くと認めることはできない(なお、物価のように国民の消費実態に関係する要因を指標として設定して生活扶助基準の水準の調整を行うという手法をとることが、国民の消費実態に準拠して生活扶助基準の水準の調整を行うことを意味するものでなく、その要因そのもの又は国民の消費実態以外の要因に準拠して生活扶助基 準の水準の調整を行うことを意味するものであるならば、そのようにして生活扶助基準の水準の調整を行ったことはそれ自体が合理性を欠くと認めることができるといわなければならない。)が、生活扶助相当CPIによる国民の消費実態の把握が統計等の客 であるならば、そのようにして生活扶助基準の水準の調整を行ったことはそれ自体が合理性を欠くと認めることができるといわなければならない。)が、生活扶助相当CPIによる国民の消費実態の把握が統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無の観点から首肯し得ると認めることはできず、また、デフレ調整がゆがみ調整に含 まれている生活扶助基準額の水準の改定との整合性をもって行われたと認めることもできないのであり、このことによれば、厚生労働大臣が、社会経済情勢を表す客観的な指標として消費者物価指数、具体的には生活扶助相当品目を対象とする生活扶助相当CPIを設定し、生活扶助相当CPIによる物価変動率により国民の消費実態を把握したものとして、そのようにして把握した国民の消費実態に 準拠して生活扶助基準の水準のデフレ調整を行ったことは合理性を欠くと認めることができるといわなければならないことは、上記⑶及び⑷のとおりである。 そうすると、デフレ調整に係る厚生労働大臣の判断には、最低限度の生活の具体化に係る判断の過程及び手続における過誤、欠落の有無等の観点からみて裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があると認めることができ、デフレ調整は違法である ということができる。 7 本件改定の適否本件改定は、厚生労働大臣が平成25年告示、平成26年告示及び平成27年告示により生活扶助基準を改定したものであり、主に、① 平成25年検証の結果を踏まえて、年齢、世帯人員、地域差による影響を調整する「ゆがみ調整」を行うとともに、 ② 前回の基準額の見直し後、デフレ傾向が続いていることから、実質的な購買力を 維持しつつ、客観的な経済指標である物価の動向を勘案して生活扶助基準額を見直す「デフレ調整」を行い、併せて ② 前回の基準額の見直し後、デフレ傾向が続いていることから、実質的な購買力を 維持しつつ、客観的な経済指標である物価の動向を勘案して生活扶助基準額を見直す「デフレ調整」を行い、併せて、③ 激変緩和措置を行うものであるところ、ゆがみ調整に係る厚生労働大臣の判断に、最低限度の生活の具体化に係る判断の過程及び手続における過誤、欠落の有無等の観点からみて裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があると認めることはできず、ゆがみ調整が違法であるということはできないこと は、上記5⑸のとおりであるが、デフレ調整に係る厚生労働大臣の判断には、最低限度の生活の具体化に係る判断の過程及び手続における過誤、欠落の有無等の観点からみて裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があると認めることができ、デフレ調整は違法であるということができることは、上記6⑹のとおりである。そして、本件改定はゆがみ調整とデフレ調整を一体的に行うものであり、本件改定についてゆがみ 調整に係る部分とデフレ調整に係る部分を区分することはできないことによれば、本件改定は、全体として、本件改定の時点において、改定前の生活扶助基準が最低限度の生活の需要を満たすに足りる程度を超えるものとなっており、改定後の生活扶助基準が健康で文化的な生活水準を維持することができるものであるとした厚生労働大臣の判断に、最低限度の生活の具体化に係る判断の過程及び手続における過誤、 欠落の有無の観点からみて裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があると認めることができるのであり、生活保護法3条、8条2項の規定に違反し、同条1項による委任の範囲を逸脱するものとして違法となるというべきである。したがって、本件改定のうち平成25年改定に伴ってされた本件各変更決定はいずれも全部違法である。 第4 結論 条1項による委任の範囲を逸脱するものとして違法となるというべきである。したがって、本件改定のうち平成25年改定に伴ってされた本件各変更決定はいずれも全部違法である。 第4 結論 よって、原告らの請求は、いずれも理由があるからこれを認容することとし、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官内野俊夫裁判官塚原洋一裁判官内藤秀介)(別紙)番号原告名処分庁処分日裁決日①【A】千葉市長H25.7.22H26.7.10②【B】習志野市保健福祉部長H25.8.1H26.7.10③【C】富里市福祉事務所長H25.7.18H26.7.10④【D】市川市福祉事務所長H25.7.17H26.10.10⑤【E】船橋市福祉事務所長H25.7.9H26.5.27⑥【F】鎌ヶ谷市福祉事務所長H25.7.24H26.8.1⑦【G】船橋市福祉事務所長H25.7.9H26.6.11⑧【H】市原市福祉事務所長H25.7.30H26.7.10⑨【I】千葉市長H25.7.22H26.7.10⑩【J】松戸市福祉事務所長H25.7.2H26.7.10⑪【K】流山市健康福祉部長H25.7.18H26.7.17⑫【L】流山市健康福祉部長H25.7.24H26.7.17処分一覧表 別紙個別事情書原告番号①原告氏名【A】原告生年月日■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■世帯構成■■■■■■■■■■■■■■■ ■ 保護開始年月日2011(平成23)年9月5日処分庁千葉市長処分日2013(平成25 ■■■■■ ■ 保護開始年月日2011(平成23)年9月5日処分庁千葉市長処分日2013(平成25)年7月22日処分内容生活保護変更決定処分処分による引下げ額 2370円処分を知った日2013(平成25)年7月30日審査請求日2013(平成25)年9月18日裁決日2014(平成26)年7月10日裁決を知った日2014(平成26)年7月11日 別紙個別事情書原告番号②原告氏名【B】原告生年月日■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■世帯構成■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■保護開始年月日2012(平成24)年3月12日処分庁習志野市保健福祉部長処分日2013(平成25)年7月16日処分内容生活保護変更決定処分処分による引下げ額 3370円処分を知った日2013(平成25)年8月3日審査請求日2013(平成25)年9月18日裁決日2014(平成26)年7月10日裁決を知った日2014(平成26)年7月11日 別紙個別事情書原告番号③原告氏名【C】原告生年月日■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■世帯構成■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■保護開始年月日2012(平成24)年9月25日処分庁富里市福祉事務所長処分日2013(平成25)年7月18日処分内容生活保護変更決定処分処分による引下げ額 2280円処分を知った日 成24)年9月25日処分庁富里市福祉事務所長処分日2013(平成25)年7月18日処分内容生活保護変更決定処分処分による引下げ額 2280円処分を知った日2013(平成25)年8月 1日審査請求日2013(平成25)年9月18日裁決日2014(平成26)年7月10日裁決を知った日2014(平成26)年7月11日 別紙個別事情書原告番号④原告氏名【D】原告生年月日■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■世帯構成■■■■■■ ■■■■■■■■■■■保護開始年月日2010(平成22)年 3月10日処分庁市川市福祉事務所長処分日2013(平成25)年 7月17日処分内容生活保護変更決定処分処分による引下げ額 2180円処分を知った日2013(平成25)年7月24日審査請求日2013(平成25)年9月18日裁決日2014(平成26)年10月10日裁決を知った日2014(平成26)年10月14日 別紙個別事情書原告番号⑤原告氏名【E】原告生年月日■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■世帯構成■■■■■■■■■■■■■■■■保護開始年月日2010(平成22)年11月30日処分庁船橋市福祉事務所長処分日2013(平成25)年 7月 9日処分内容生活保護変更決定処分処分による引下げ額 2080円処分を知った日2013(平成25)年 7月31日審査請求日2013(平成25)年 9月 3(平成25)年 7月 9日処分内容生活保護変更決定処分処分による引下げ額 2080円処分を知った日2013(平成25)年 7月31日審査請求日2013(平成25)年 9月13日裁決日2014(平成26)年 5月27日裁決を知った日2014(平成26)年 5月28日 別紙個別事情書原告番号⑥原告氏名【F】原告生年月日■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■世帯構成■■■■■■■■■■■■■■■ ■保護開始年月日2011(平成23)年7月28日処分庁鎌ケ谷市福祉事務所長処分日2013(平成25)年7月24日処分内容生活保護変更決定処分処分による引下げ額 760円処分を知った日2013(平成25)年7月31日審査請求日2013(平成25)年9月13日裁決日2014(平成26)年8月1日裁決を知った日2014(平成26)年8月2日 別紙個別事情書原告番号⑦原告氏名【G】原告生年月日■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■世帯構成■■■■■■■■■■■■■■■ ■ 保護開始年月日2011(平成23)年12月20日処分庁船橋市福祉事務所長処分日2013(平成25)年7月9日処分内容生活保護変更決定処分処分による引下げ額 1120円処分を知った日2013(平成25)年7月11日審査請求日2013(平成25)年9月4日裁決日2014(平成26)年6月11日裁決を知った日 による引下げ額 1120円処分を知った日2013(平成25)年7月11日審査請求日2013(平成25)年9月4日裁決日2014(平成26)年6月11日裁決を知った日2014(平成26)年6月17日 別紙個別事情書原告番号⑧原告氏名【H】原告生年月日■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■世帯構成■■■■■■■■■■■■■■■ ■保護開始年月日2011(平成23)年10月21日処分庁市原市市福祉事務所長処分日2013(平成25)年7月16日処分内容生活保護変更決定処分処分による引下げ額 2190円処分を知った日2013(平成25)年7月31日審査請求日2013(平成25)年9月18日裁決日2014(平成26)年7月10日裁決を知った日2014(平成26)年7月11日 別紙個別事情書原告番号⑨原告氏名【I】原告生年月日■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■世帯構成■■■■■■■■■■■■■■■ ■保護開始年月日2009(平成21)年12月1日処分庁千葉市長処分日2013(平成25)年7月22日処分内容生活保護変更決定処分処分による引下げ額 1120 円処分を知った日2013(平成25)年7月22日審査請求日2013(平成25)年9月18日裁決日2014(平成26)年7月10日裁決を知った日2014(平成26)年7月11日 別紙個別事情書原告番号⑩原告氏名【J】原告生年月日■■■■■■■■■■ 成26)年7月10日裁決を知った日2014(平成26)年7月11日 別紙個別事情書原告番号⑩原告氏名【J】原告生年月日■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■世帯構成■■■■■■■■■■■■■■■ ■ 保護開始年月日2012(平成24)年12月6日処分庁松戸市福祉事務所長処分日2013(平成25)年7月2日処分内容生活保護変更決定処分処分による引下げ額 1120円処分を知った日2013(平成25)年7月5日審査請求日2013(平成25)年8月21日裁決日2014(平成26)年7月10日裁決を知った日2014(平成26)年7月11日 別紙個別事情書原告番号⑪原告氏名【K】原告生年月日■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■世帯構成■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■保護開始年月日2013(平成25)年1月11日処分庁流山市健康福祉部長処分日2013(平成25)年7月18日処分内容生活保護変更決定処分処分による引下げ額 2990円処分を知った日2013(平成25)年7月21日審査請求日2013(平成25)年9月13日裁決日2014(平成26)年7月17日裁決を知った日2014(平成26)年7月19日 別紙個別事情書原告番号⑫原告氏名【L】原告生年月日■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■世帯構成■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■ 個別事情書原告番号⑫原告氏名【L】原告生年月日■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■世帯構成■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■ ■■■■■■保護開始年月日2009(平成21)年9月3日処分庁流山市健康福祉部長処分日2013(平成25)年7月24日処分内容生活保護変更決定処分処分による引下げ額 5470円処分を知った日2013(平成25)年7月26日審査請求日2013(平成25)年9月13日裁決日2014(平成26)年7月17日裁決を知った日2014(平成26)年7月19日
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