令和7(わ)193 過失運転致死傷被告事件

裁判年月日・裁判所
令和7年9月24日 福岡地方裁判所
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判決文本文1,834 文字)

判決 主文 被告人を禁錮3年に処する。 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、令和6年8月18日午前11時9分頃、普通乗用自動車を運転し、福岡市a 区bc 丁目d 番e 号先道路をf 方面からa 方面に向かい時速約48kmで進行するに当たり、同所は左方に緩やかに湾曲する道路であったから、前方左右を注視し、ハンドル・ブレーキを的確に操作して進路を適正に保持しながら進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り、カーナビゲーションの画面に脇見をし、前方左右を注視せず、ハンドル・ブレーキを的確に操作しないで漫然前記速度で進行した過失により、自車を対向車線に進出させ、折から対向進行してきたA(当時47歳)運転の大型乗用自動車(路線バス)を前方約10mの地点に認めたが、急制動の措置を講じる間もなく、同車右前部に自車前部を衝突させ、よって、前記Aら4名に対し、別表記載(別表省略)の各傷害をそれぞれ負わせるとともに、自車同乗者B(当時7歳)に多臓器損傷の傷害を、同C(当時5歳)に交通外傷の傷害をそれぞれ負わせ、同日午前11時59分頃、福岡県春日市gh 丁目i 番地医療法人DE病院において、前記Bを前記多臓器損傷の傷害による出血性ショックにより死亡させ、同日午後2時24分頃、福岡市j 区kc 丁目l 番mF病院において、前記Cを前記交通外傷の傷害による循環血液量減少性ショックにより死亡させた。 (証拠の標目)省略(法令の適用)省略(量刑の理由) 被告人は、実子2名を後部座席に同乗させて普通乗用自動車を運転していた際、前方左右を注視して適切な運転操作をするという自動車運転者にとって最も基本的かつ重 省略(量刑の理由) 被告人は、実子2名を後部座席に同乗させて普通乗用自動車を運転していた際、前方左右を注視して適切な運転操作をするという自動車運転者にとって最も基本的かつ重要な義務を怠り、短くない時間、カーナビゲーションの画面に脇見して前方を注視せず、自車を対向車線に進出させて路線バスと正面衝突し、本件事故を発生させており、その過失は大きい。本件事故により、何ら落ち度のない路線バスの乗員及び乗客複数名が傷害を負ったほか、被告人車両に同乗していた当時7歳と5歳の実子2名が死亡した。とりわけ幼くして前途ある人生を絶たれた2名の実子の無念は察するに余りあり、被害結果は極めて重大である。 以上によれば、本件の犯情には重いものがあり、被告人に対し実刑をもって臨むことも十分に考えられるところである。 もっとも、路線バスの乗員及び乗客の傷害結果は幸いにしていずれも重傷とまではいえず、被告人車両が加入していた対人賠償無制限の任意保険により、既に複数人には賠償金が支払われて示談が成立し、残りの者についても相応の金銭的賠償が見込まれており、いずれの被害者も、被告人の処罰はお任せする、又は望まない旨述べている。死亡した実子2名の父親である被害者参加人も、我が子を失った深い悲しみを述べながらも、被告人に対する厳しい処罰感情までは示していない。 被告人は、当公判廷において反省の言葉を述べるとともに、負傷したバスの乗員乗客らに対する謝罪の言葉を述べ、今後自動車の運転はしない旨誓い、被告人の父親も、被告人が同じような事故を起こさないよう監督する旨述べている。 さらに、被告人は、自らの不注意により最愛の二人の我が子を失ったことで、自責の念や喪失感等極めて大きな精神的苦痛に苛まれ、今なお精神科受診を続けている上、自身も長期間の通院を要す る旨述べている。 さらに、被告人は、自らの不注意により最愛の二人の我が子を失ったことで、自責の念や喪失感等極めて大きな精神的苦痛に苛まれ、今なお精神科受診を続けている上、自身も長期間の通院を要する重傷を負っている。このように、自らの過失に起因するものではあるものの、本件事故により被告人が多大な打撃を受けたことは、量刑上一定程度考慮すべきである。 以上を踏まえると、被告人に対して直ちに実刑を科すことはためらわれるところであり、被告人に対しては、主文の禁錮刑を科すとともに、今回に限りその刑の 執行を猶予するのが相当と判断した。 (検察官の求刑:禁錮4年)令和7年9月24日福岡地方裁判所第1刑事部 裁判長裁判官今泉裕登 裁判官西木文香 裁判官高橋聡

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