平成19(行コ)368 私立学校法による学校法人解散命令取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成16年(行ウ)第537号)

裁判年月日・裁判所
平成20年3月26日 東京高等裁判所 公物・公企業など
ファイル
hanrei-pdf-36895.txt

判決文本文4,133 文字)

- 1 -主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1当事者の求める裁判 控訴の趣旨(1)原判決を取り消す。 (2)被控訴人が控訴人に対し平成16年12月17日付けでした学校法人の解散命令(××生文私行第××××号)を取り消す。 (3)訴訟費用は第1,2審とも被控訴人の負担とする。 控訴の趣旨に対する答弁主文同旨第2事案の概要 事案の要旨(1)本件は,専修学校を設置し,私立学校法に基づく法人であった控訴人に対し,被控訴人が,控訴人が同法25条1項の資産保有義務に違反することを理由に,同法に基づき平成16年12月17日付け解散命令(以下「本件解散命令」という。)を行ったことから,控訴人がその処分の取消しを求める事案である。 (2)原審は,ア控訴人は,本件解散命令当時において,校地及び校舎はもとより,これを取得するに足りる資金を保有していなかったと認められるから,法25条の資産保有義務に違反していたと認められ,被控訴人が,控訴人につき本件解散命令を行う以外に監督の目的を達することができないと判断したことについては,裁量権の逸脱又は濫用があったとは到底認められないから本件解散命令を違法であるということはできず,イ本件解散命令に先立つ東京都私立学校審議会の意見聴取手続を違法ということもできないと- 2 -して,控訴人の本件請求を棄却した。 (3)そこで,控訴人がこの認定判断を不服として,本件控訴を提起した。 争いのない事実等及び法令の定め原判決の「事実及び理由」中の「第2事案の概要」1及び2(原判決2頁6行目から4頁18行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する(ただし,原判決2頁10行目の「認可」の次に「(なお,設立は昭和47年1月7日である。)」 事案の概要」1及び2(原判決2頁6行目から4頁18行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する(ただし,原判決2頁10行目の「認可」の次に「(なお,設立は昭和47年1月7日である。)」を加える。)。 争点及びこれに関する当事者の主張(1)次項に「控訴人の補足主張」を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第2事案の概要」3及び4(原判決4頁19行目から7頁7行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 (2)控訴人の補足主張ア控訴人の資産について(ア)控訴人の元顧問であるAは,平成11年10月の破産宣告後に数億円の収入を得るなどしており,控訴人のAに対する損害賠償請求訴訟の勝訴が確定した場合には,控訴人は同訴訟において認容された請求額の金員を回収することができる。 (イ)控訴人のB・C元理事に対する不当利得返還請求訴訟は,控訴人が一審及び控訴審で敗訴したものの,新たに判明した事実があるため,最高裁判所によって審理が差し戻され,請求が認容される可能性は十分にある。 イ控訴人の再建計画について控訴人の再建計画(控訴理由書添付のもの,以下「本件再建計画」という。)が策定されており,十分な再建可能性を有している。 ウ経営破たんの原因等について前記(原判決引用部分)のとおり,被控訴人は本件認可基準を平成16- 3 -年3月に改正したことを控訴人に隠蔽した。また,同年6月21日付文部科学省生涯学習政策局長「専修学校設置基準の一部を改正する省令及び各種学校規程の一部を改正する省令の施行について(通知)」及び同日付同局生涯学習推進課長「専修学校設置認可基準第27条及び各種学校規程第10条第4項中の他の学校等の施設及び設置に関する取り扱い」(以下「本件各通知」という。)もまた控訴人に通知しなかったが, 同日付同局生涯学習推進課長「専修学校設置認可基準第27条及び各種学校規程第10条第4項中の他の学校等の施設及び設置に関する取り扱い」(以下「本件各通知」という。)もまた控訴人に通知しなかったが,これが控訴人に知らされていれば校舎取得の幅が広がっていたことは疑いがない。 控訴人が校地及び校舎を失い再取得ができないことは,これまでの東京都関係者の放漫経営及び悪質な指導が原因であるから,被控訴人が控訴人の校地及び校舎が存在しないことを主張するのは信義則に反する。 第3当裁判所の判断 当裁判所も,本件解散命令は適法なものであって,控訴人による同命令の取消請求は理由がなく棄却すべきものと判断するが,その理由は,原判決の「事実及び理由」中の「第3当裁判所の判断」(原判決7頁8行目から12頁8行目まで)に記載のとおりであるからこれを引用することとし,なお次項に「補足判断」を付加する。 補足判断(1)控訴人の資産についてア控訴人は,Aから現実に損害賠償金を回収することができる旨主張するが,その根拠はおおむね「Aの事業全般の経理について掌握しているDから電話で聴取した事実」や,Aあるいはその親族が複数の会社の役員に就任していることを理由とするものである。しかし,Dが述べたことの客観的裏付けは十分なものではなく,同人が控訴人主張のような事実を述べたとしても,本件解散命令時において,それをもってAからの損害賠償金の回収可能性が高いということはできないし,また,Aあるいはその親族が会社の役員に就任しているとしてもそのことが直ちに同人らが資産を保有- 4 -していることにつながるものではないし,ましてAの親族が会社の役員に就任していることがAに対する損害賠償金回収の可能性が高いことの裏付けになるといえないことは明らかであり,控訴人の上記主 - 4 -していることにつながるものではないし,ましてAの親族が会社の役員に就任していることがAに対する損害賠償金回収の可能性が高いことの裏付けになるといえないことは明らかであり,控訴人の上記主張は本件解散命令の適法性を左右する事由として採用するに及ばないものである。 イ控訴人は,控訴人のB・C元理事に対する不当利得返還請求訴訟は一審及び控訴審で敗訴したものの,最高裁判所によって審理が差し戻され,請求が認容される可能性は十分にある旨主張するが,控訴人の希望的観測といわざるを得ず,それが確実性を有すること及び現実に金員を回収できる見込みがあることなどについては控訴人提出に係る証拠を検討してもこれを認めるに十分であるとはいえず,控訴人の上記主張は採用することができない。 ウ前記のとおり,当審における控訴人の主張を検討しても,本件解散命令当時において,控訴人が資産保有義務違反の状態にあり,これが近い将来に改善される見込みがない状態にあったという認定,判断が左右されるものではない。 (2)控訴人の再建計画について控訴人は,本件再建計画が策定されており控訴人の再建は可能である旨主張する。再建可能であったといえるかどうかの判断は,本件解散命令時点を前提として検討されるべきものであるが,その点はしばらく措いて本件再建計画を検討してみても,そこでの重要な再建資金は,前記各訴訟の勝訴による回収資金及び支援者からの支援金によるというのであるところ,上記回収資金については前記のとおり不確実なものといわざるを得ないし,上記支援金の取得の確実性,現実性も明らかではないというほかはなく,再建への控訴人の強い意欲をうかがうことはできても,本件再建計画をもって控訴人の再建が可能であると判断することは困難である。 (3)経営破たんの原因等について- 5 かではないというほかはなく,再建への控訴人の強い意欲をうかがうことはできても,本件再建計画をもって控訴人の再建が可能であると判断することは困難である。 (3)経営破たんの原因等について- 5 -控訴人は,控訴人が校地及び校舎を失い再取得できないことは,東京都関係者の放漫経営及び悪質な指導が原因であるから,被控訴人が控訴人の校地及び校舎が存在しないことを主張することは信義則に反して許されないなどと主張する。しかし,仮に元東京都職員や東京都の顧問弁護士が控訴人の経営破たんに関与した事実があったとしても,これを東京都あるいは被控訴人の行為と同視することは相当ではないし,また,本件において東京都が控訴人に対し違法な行政指導を行ったと認めるに足りる証拠はない。控訴人は,被控訴人は本件認可基準を平成16年3月に改正したことを控訴人に隠蔽し,本件各通知もまた控訴人に通知しなかったことを問題視する(前者についてはその通知がされたかどうか争いがあり,後者については通知がされなかったことに争いはない。)が,控訴人に上記通知がされていれば控訴人が資産保有できたとか,資産保有義務違反の状態の改善の見込みがあったとかの事実を認めることは困難であり(控訴人は,再建に要する資金が4,5億円と見込まれたことから再建が困難であったが,被控訴人から上記各通知を受けていれば校地及び校舎を取得できていたかのような主張をするが,この点を認めるに十分な証拠はない。),上記の点を理由として,被控訴人が控訴人の校地及び校舎が存在しないことを主張することが信義則に反するとはいえないし,上記の点が本件解散命令の違法を根拠付ける事情ということはできない(なお,そもそも前記(原判決引用部分)のとおり,被控訴人が意図的に本件認可基準の改正を控訴人に対して隠蔽した事実は認められないし, ,上記の点が本件解散命令の違法を根拠付ける事情ということはできない(なお,そもそも前記(原判決引用部分)のとおり,被控訴人が意図的に本件認可基準の改正を控訴人に対して隠蔽した事実は認められないし,また,東京都は本件各通知が従来からの東京都の取扱いに沿ったものであったことから各学校に通知しなかったと認められる(乙51ないし55,弁論の全趣旨)ところである。)。 以上と同旨の原判決は相当であり,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第15民事部- 6 -裁判長裁判官藤村啓裁判官佐藤陽一裁判官古久保正人

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る