昭和31(し)49 公訴棄却決定に対する抗告につきなした棄却決定に対する特別抗告

裁判年月日・裁判所
昭和32年6月12日 最高裁判所大法廷 決定 棄却 大阪高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件抗告を棄却する。          理    由  本件記録によると、所論の起訴状謄本は、昭和三一年三月一五日執行吏代理によ り、当時被告人が在監していた大阪拘置所の所長宛

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判決文本文1,740 文字)

主    文      本件抗告を棄却する。          理    由  本件記録によると、所論の起訴状謄本は、昭和三一年三月一五日執行吏代理によ り、当時被告人が在監していた大阪拘置所の所長宛で同拘置所長の代理者に送達さ れたが、右謄本は同拘置所の係官が誤つて当時在監中の被告人と同姓同名の者に交 付され、本件被告人は遂にこれが交付を受けなかつた事実を認めることができる。  在監者に対する書類の送達は刑訴五四条によつて準用される民訴一六八条に従い、 監獄の長にこれを為すべきものであり、刑訴二七一条の起訴状の謄本の送達につい ても右民訴一六八条の準用のあることは言を俟たないところである。しかし、起訴 状の謄本を被告人に送達するのは、予め被告人に起訴状の内容を了知せしめ公判期 日における防禦のための準備を十分につくさせるためであり、若し所定の期間内に その送達がなされないときは刑訴二七一条二項において公訴提起の効力を失う効果 を附したのも被告人の防禦権を保障する趣旨にあることが明らかである。しかるに、 本件のように起訴状の謄本が拘置所長の代理者に送達されたが、係官の過誤により 被告人には全然交付されず、被告人の責に帰すべきなんらの事由もないのに全くそ の内容を知ることも得なかつた特殊の場合にも、なお、有効に公訴提起が持続する ものとして、被告人が無防禦のまま公判期日に臨まなければならないとすることは、 被告人にとつて酷であつて、前記起訴状の謄本送達に関する法意に副わないものと いわなければならない。然らば、本件においては、被告人が起訴状の内容を知らさ れず、これが防禦のための準備の機会をも与えられなかつたことは、起訴状の謄本 の送達のなかつた場合と同様であるから、本件公訴の提起はさかのぼつて、その効 力を失つたものといわなければならない。原決定の理由として判示するところは 準備の機会をも与えられなかつたことは、起訴状の謄本 の送達のなかつた場合と同様であるから、本件公訴の提起はさかのぼつて、その効 力を失つたものといわなければならない。原決定の理由として判示するところは、 必ずしも相当といえない部分があるが、本件に関するかぎり、その結論においては - 1 - 結局正当なるに帰する。抗告理由が判例違反の主張に引用する当裁判所判例は、上 告趣意書提出最終日指定通知に関するものであつて本件に適切でなく、従つて本件 抗告の適法な理由とするに足りない。  よつて本件抗告を棄却すべきものとし、刑訴四三四条、同四二六条一項により主 文のとおり決定する。  この決定は全裁判官一致の意見である。   昭和三二年六月一二日      最高裁判所大法廷          裁判長裁判官    田   中   耕 太 郎             裁判官    真   野       毅             裁判官    小   谷   勝   重             裁判官    島           保             裁判官    斎   藤   悠   輔             裁判官    藤   田   八   郎             裁判官    河   村   又   介             裁判官    小   林   俊   三             裁判官    入   江   俊   郎             裁判官    池   田       克             裁判官    垂   水   克   己             裁判官    河   村   大   助             裁判官    下 飯 坂   潤   夫             裁判官    奥   野   健   一               裁判官    河   村   大   助             裁判官    下 飯 坂   潤   夫             裁判官    奥   野   健   一             裁判官    高   橋       潔 - 2 -

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