- 1/6 -主文 本件各控訴をいずれも棄却する。 控訴費用は,控訴人らの負担とする。 事実 及び理由第1当事者の求めた裁判 控訴の趣旨( )原判決を取り消す。 ( )被控訴人A,同B及び同静岡県元県議会議員会は,連帯して,静岡 県に対し,469万0992円及びこれに対する平成12年1月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ( )被控訴人A,同C及び同静岡県元県議会議員会は,連帯して,静岡 県に対し,244万0146円及びこれに対する平成13年3月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ( )訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人らの負担とする。 控訴の趣旨に対する答弁(被控訴人ら共通)主文と同旨。 第2本案の概要事実の概要は,原判決2頁15行目の「静岡県」の次に「以下,単に(「県」ともいう」を加え,同3頁5行目,同10行目及び同13行目の。)各「もの」をいずれも「者」に改め,同9頁1行目の「却下ないし」を削るほかは,原判決の事実及び理由欄の「第2事案の概要」に記載のとおりであるから,これをここに引用する。 第3当裁判所の判断 当裁判所も,控訴人らの本件請求はいずれも理由がないから棄却すべきものと判断する。その理由は,次のとおり訂正し,付加し,又は削除するほかは,原判決の事実及び理由欄の「第3争点に対する判断」に記載の- 2/6 -とおりであるから,これをここに引用する。 ( )原判決25頁11行目から同26頁19行目までを次のとおりに改 める。 「( )普通地方公共団体は,その公益上必要がある場合においては補 助をすることができるところ(地方自治法232条の2,静岡県)においては,補助金の予算執行の適正化を図ることを目的として る。 「( )普通地方公共団体は,その公益上必要がある場合においては補 助をすることができるところ(地方自治法232条の2,静岡県)においては,補助金の予算執行の適正化を図ることを目的として交付規則を定めており(乙3,これが補助金交付の手続一般を定め)る規定となっているが,実施の細目は,交付規則に定めるもののほか知事が別に定めることとされている(交付規則22条。交付要)綱は,交付規則を承けて,被控訴人元議員会に対する補助金交付の実施細目を定めたものである。 そして,本件各補助金は,交付規則及び交付要綱に基づいて交付されることとされ,一般予算に組み込まれ,議会の議決を経て,支出されている(甲2。 )( )ところで,控訴人らは,交付要綱は礼遇規程に,礼遇規程は功 労者条例にそれぞれ準拠しているところ,功労者条例は平成9年3月28日に廃止されているから,礼遇規程及び交付要綱はその時点で失効しており,失効した交付要綱に基づいてされた本件各補助金の支出は根拠を欠き,違法であると主張する。そして,功労者条例が平成9年3月28日に廃止されたことは,前記前提事実のとおりである。 しかしながら,交付要綱自体は,前述のとおり被控訴人元議員会に対する補助金交付の実施細目を定めたものにすぎないのであるから,被控訴人元議員会に対する補助金交付を正当化する根拠となるものではないと解されるが,その点はしばらく措くとしても,礼遇規程が功労者条例に準拠し,それゆえその廃止により礼遇規定及び- 3/6 -交付要綱も失効したとの控訴人らの主張は,にわかに採用し難い。 なるほど,功労者条例も礼遇規程も共に元静岡県の公職にあり,県政に功労のあった者に対するものとはいえるのであるが,その内容を比較すれば,両者の間に大きな違いがあることは明らかである。 すな し難い。 なるほど,功労者条例も礼遇規程も共に元静岡県の公職にあり,県政に功労のあった者に対するものとはいえるのであるが,その内容を比較すれば,両者の間に大きな違いがあることは明らかである。 すなわち,功労者条例は,静岡県の公務員として静岡県政に功労のあった者に対して知事が選考して県政功労者として指定し,指定された県政功労者に対しては一定の特典を与えるというものであるが,他方,礼遇規程は,県知事と県議会議長の決裁によって定められたものであり(甲11,その内容も,静岡県議会議員として在職し)たことがあり,引き続き県政に貢献している者(元議員)に対し,知事及び議長が一定の礼遇をすることとしているのであって,功労者条例のように知事による選考・指定は予定されていない。また,礼遇規程には補助金の交付を予定した条項があるが(2条6号,)功労者条例中には県政功労者に対しては予算の範囲内において慰労),等の方途を講ずることができるとの条項はあるものの(3条2項補助金の交付を予定した条項はないのである。このような両者の違いや礼遇規程の中には礼遇規程が功労者条例に基づくものであることを示す文言がないことに照らすと,礼遇規程が功労者条例に準拠し,功労者条例の廃止によって当然に礼遇規程及び交付要綱が失効したとする控訴人らの主張は,採用し難いといわざるを得ないのである。 ( )したがって,交付要綱が礼遇規程を承けて定められ,本件各補 助金がこの交付要綱に則って支出されたとしても,これをもって本件各補助金の支出が違法であるとする控訴人らの主張は,採用することができない」。 ( )原判決28頁13行目から同29頁6行目までを次のとおりに改め - 4/6 -る。 「しかしながら,交付要綱は,礼遇規程と併せて読めば,被控訴人元議員会の会員とな ことができない」。 ( )原判決28頁13行目から同29頁6行目までを次のとおりに改め - 4/6 -る。 「しかしながら,交付要綱は,礼遇規程と併せて読めば,被控訴人元議員会の会員となるべき元議員が引き続き県政発展に寄与・貢献し,そのような会員によって構成される被控訴人元議員会も県政の発展に寄与し得るとの認識に立ち,被控訴人元議員会の運営事業に要する経費を補助することによって,被控訴人元議員会とその構成員の更なる県政発展への寄与・貢献を促し,もって現在及び将来の県政に役立たせることを企図しているものと解することができるのであって,改正前交付要綱に「県政貢献者の功労に報いるため」の文言があることをもって,交付要綱が地方自治法232条の2の規定に違反するということはできない」。 ( )原判決29頁8行目の「当該地方公共団体」を「当該普通地方公共 団体」に,同9行目の「当該団体」を「補助を受ける団体」に,同10行目の「その団体の」を「補助を受ける者の」にそれぞれ改める。 ( )原判決31頁17行目の「存在が寄与している」を「存在も寄与す るところがある」に改める。 ( )原判決32頁8行目の「第一義的に」から同9行目までを「第一次 的には普通地方公共団体の長がその裁量によって判断すべきであるが,その裁量も全くの自由ではなく,その判断に裁量権の濫用又は逸脱があるとされる場合には当該補助金の支出は違法となるものと解すべきである。そして,一般に,客観的にみれば公益上の必要が認められないのに公益上の必要があると判断することは違法であるといえるが,公益上の必要が認められる場合であっても,その必要性の程度と支出する補助金の額とが著しく均衡を欠くなどの事情があるときには裁量権の行使を誤ったものとして違法になるというべきである」 あるといえるが,公益上の必要が認められる場合であっても,その必要性の程度と支出する補助金の額とが著しく均衡を欠くなどの事情があるときには裁量権の行使を誤ったものとして違法になるというべきである」に改める。 。 ( )原判決32頁15行目から同25行目までを次のとおりに改める。 - 5/6 -「( )もっとも,甲第13号証,第51号証によれば,本件各補助金 支出当時の静岡県の財政は,県税収入の伸び悩み,県債残高の増嵩,基金残高の滅少など極めて厳しい状況にあったこと,他方,平成12年度において,都道府県議会の元議員で構成される団体に補助金を支出している都道府県は,全国でも北海道,東京都,千葉県,群馬県,愛知県,石川県,奈良県,和歌山県,大分県及び静岡県の10都道県しかなく,その中でも被控訴人元議員会に対する平成12年度の補助金予算額405万円は,東京都の600万円,愛知県の580万円に次ぐ高額なものであることが認められる。そして,被控訴人元議員会の事業内容が公益性を有しているとはいえ,それが個々の会員を直接の目的としており,間接的には県政の発展に寄与し得るといっても,被控訴人元議員会の公益的活動として直接県民の目に見えるものとはなっていないことにも照らすと,全国的にみても高額な補助金を被控訴人元議員会に交付することには,上記のような厳しい財政状況にある県民の理解を得られにくい面があることは否定し難いといえよう。 しかしながら,他の都道府県における元議員で構成される団体の活動内容,会員数,歴史的背景等は証拠上不明であるし,最終的に支出された平成12年度の被控訴人元議員会に対する補助金額は241万1026円であったことに照らせば,公益上の必要性の程度と支出する補助金の額とが著しく均衡を欠いているということもできないというべき 出された平成12年度の被控訴人元議員会に対する補助金額は241万1026円であったことに照らせば,公益上の必要性の程度と支出する補助金の額とが著しく均衡を欠いているということもできないというべきである」。 ( )原判決33頁7行目の「著しい」を削る。 ( )原判決34頁20行目末尾に「もっとも,前述のように,県は当時 厳しい財政状況にあったのであるから,そのような中で参加者にも費用の一部を負担させるとはいえ,多大の費用を使って県外視察,しかも主- 6/6 -に観光地へ視察に赴くことについては県民の理解を得られにくい面があることに被控訴人元議員会及び県当局も十分意を用いる必要はあるものと思われる」を加える。 。 よって,当裁判所の上記判断と同旨の原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第20民事部裁判長裁判官久保内卓亞裁判官大橋弘裁判官長谷川誠
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