平成19年(ワ)第5431号損害賠償請求事件判決主文 被告は,原告に対し,2億7972万円及びこれに対する平成12年4月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,5分の4を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。 この判決は第1項に限り仮に執行することができる。 事実及び理由 第1請求被告は,原告に対し,3億4194万6255円及びこれに対する平成12年4月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,新城広域事務組合(以下「本件事務組合」という。)が発注したごみ焼却施設(新城広域クリーンセンター)の建設工事(別紙1・番号79。以下「本件工事」という。)の指名競争入札(以下「本件入札」という。)に際し,被告,B1株式会社(平成15年4月1日付けでB2株式会社と商号変更した。以下「B1」という。),B3株式会社(以下「B3」という。),株式会社B4(以下「B4」という。),B5株式会社(以下「B5」といい,以上の5社を「本件5社」という。)が事前に被告を受注予定者とすることを合意し,これに株式会社B6(以下「B6」という。),B7株式会社(以下「B7」という。),B8株式会社(以下「B8」といい,これら3社を「本件アウトサイダー3社」という。)が協力した結果,被告(中部支社)を代表構成員とする共同企業体(以下「被告JV」という。)が34億9650万円(税込み)(以下「本件落札価格」という。)で落札し,本件事務組合が被告JVとの間で本件落札価格で本件工事に関する請負契約(以下「本件請負契約」という。)を締結し,本件落札価格を請負代金として支払ったが,本件落札価格は,正常な想定落札価格と比較して不当に高い価格であり,被告は本件 件落札価格で本件工事に関する請負契約(以下「本件請負契約」という。)を締結し,本件落札価格を請負代金として支払ったが,本件落札価格は,正常な想定落札価格と比較して不当に高い価格であり,被告は本件事務組合に損害を与えたとして,本件事務組合の事務を引き継いだ原告が,被告に対し,不法行為による損害賠償請求権に基づき,少なくとも,本件落札価格と想定落札価格との差額相当額分である予定価格(35億1435万円)に,本件工事の落札率(99.49パーセント)と本件5社以外の者が落札した別の工事の平均落札率(89.76パーセント)との差である9.73パーセントを乗じた金額の損害を被ったとして,3億4194万6255円及びこれに対する上記請負代金の支払が完了した日である平成12年4月10日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 前提事実(当事者間に争いがないか,括弧内に掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者等ア本件事務組合は,新城市,鳳来町及び作手村で組織された地方自治法284条1項の規定による一部事務組合である。 本件事務組合は,上記3市町村の合併に伴い,地方自治法288条の手続を経て平成17年9月30日をもって解散し(甲3の1ないし3),本件事務組合の財産は,同法289条による上記3市町村の協議により原告に帰属した(甲4)。 イ本件5社は,それぞれ,ストーカ式燃焼装置を採用するごみ焼却施設(以下「ストーカ炉」という。)で,24時間連続稼働する全連続燃焼式(以下「全連」という。)のもの(以下「全連ストーカ炉」という。)及び1日当たり16時間稼働する准連続燃焼式(以下「准連」という。)のもの(以下「准連ストーカ炉」という。)を構成する機械及び装置(当該ごみ焼却施設と一体とし のもの(以下「全連ストーカ炉」という。)及び1日当たり16時間稼働する准連続燃焼式(以下「准連」という。)のもの(以下「准連ストーカ炉」という。)を構成する機械及び装置(当該ごみ焼却施設と一体として発注されるその他のごみ処理施設を含む。以下「全連及び准連ストーカ炉」という。)の製造業並びに建設業法の規定に基づき建設大臣の許可を受けた清掃施設工事業を営む者である(ただし,被告は,平成20年4月1日に建設業法上の清掃施設工事業を廃止した。)。 ごみ焼却施設は,焼却処理設備,電気・計装設備,建築物及び建築設備並びに外構施設から構成されるが,本件5社及び本件アウトサイダー3社は,全連及び准連ストーカ炉を構成する機械及び装置を製造し,これらを有機的に機能させるための据付工事を行うほか,設備機器を収容する工場棟の建設その他の土木建築工事などごみ焼却施設及びその関連施設工事の建設を行っており,プラントメーカーともいわれている。 ウ被告JVは,被告の出資割合を65パーセント,B11株式会社の出資割合を35パーセントとし,被告(中部支社)を代表構成員とする共同事業体(ジョイントベンチャー。以下「JV」という。)である(甲13)。 (2) 本件工事における受注者決定の経緯ア入札までの経緯(ア) 発注手続実施前本件事務組合は,平成7年8月,「ごみ処理基本計画書」を作成し,平成8年12月24日,B12株式会社(名古屋支店)との間で,新城広域クリーンセンター建設設計業務及び敷地造成設計業務について,委託業務請負契約を締結した(甲5)。 本件事務組合は,平成9年5月22日,新城市長に対し,参考見積参加者指名選定依頼を行った。新城市入札審査会は,本件5社及び本件アウトサイダー3社を選定し(甲6),新城市長は,同年6月6日,本件事務組合に対し,選定結果を回答 月22日,新城市長に対し,参考見積参加者指名選定依頼を行った。新城市入札審査会は,本件5社及び本件アウトサイダー3社を選定し(甲6),新城市長は,同年6月6日,本件事務組合に対し,選定結果を回答した(甲6)。 本件事務組合は,同年6月ころ,「参考見積金額」を徴するための「参考見積仕様書」(甲7)を作成した。 本件事務組合は,同年6月11日,本件5社及び本件アウトサイダー3社に対し,同年7月15日を提出期限とし,上記「参考見積仕様書」に基づき,参考見積書の提出を依頼したところ(甲8),本件5社及び本件アウトサイダー3社は,いずれも同年7月15日,参考見積書を提出した(甲9の1ないし8)。 (イ) 発注手続の実施本件事務組合は,次の内容のごみ焼却施設の建設工事(本件工事)を指名競争入札の方法により発注することとし,平成9年10月20日,新城市長に対し,新城広域クリーンセンター建設工事の指名選定依頼を行った(甲10)。 件名新城広域クリーンセンター建設工事工事概要焼却施設60t/24hストーカ方式ごみ焼却炉新城市入札審査会は,代表構成員として本件5社及び本件アウトサイダー3社を,第2構成員としてB11株式会社ほか12社を特別共同企業体の構成員として指名選定し,新城市長は,同月30日,本件事務組合に対し,選定結果を回答した(甲11)。 本件事務組合は,同年12月11日,上記回答に係る代表構成員8社並びに第2構成員である13社に対し,JV構成員を指名し,同月16日までにJVを構成のうえ指名競争入札参加申請書を提出するよう通知を行った。 本件5社及び本件アウトサイダー3社をそれぞれ代表構成員とするJV(以下,「本件JVら」という。)は,それぞれ,同月16日までに,本件事務組合に対し,指名競争入札参加申請書を提出した(甲12の1ないし 5社及び本件アウトサイダー3社をそれぞれ代表構成員とするJV(以下,「本件JVら」という。)は,それぞれ,同月16日までに,本件事務組合に対し,指名競争入札参加申請書を提出した(甲12の1ないし8)。特別共同企業体認定審査会は,同月16日,本件JVらを入札参加者として認定した(甲13)。 本件事務組合は,同月17日,本件JVらに対し,入札についての指名通知をした(甲14の1ないし8)。 (ウ) 本件入札の実施本件工事について,平成9年12月24日,入札会が行われ,本件入札の結果は次のとおりであり(入札額はいずれも消費税抜き),被告JV以外の入札参加者の入札価格は,いずれも予定価格33億4700万円(消費税込みで35億1435万円)を上回っており,被告JVの落札価格(本件落札価格)は以下のとおり33億3000万円(消費税込みで34億9650万円),落札率は,99.49パーセントであった(甲16,甲17の1ないし8,18)。 B23・B11共同企業体(被告JV)33億3000万円B1・B14特別共同企業体36億3500万円B5・B15特定建設工事共同企業体36億6000万円B26・B16特別共同企業体34億5000万円B4・B17特別共同企業体35億8000万円B8・B18特別共同企業体34億8500万円B6・B19共同企業体37億0000万円B20特別共同企業体35億2000万円イ本件請負契約の締結等本件事務組合は,上記入札結果に基づいて被告JVを受注者と決定し,平成9年12月25日,下記の工事請負契約(本件請負契約)を締結した(甲1)。 記工事名新城広域クリーンセンター建設工事工事場所新城市C1字C2地内請負金額34億9650万円(本件落札価格と同額)うち取引に係る消費税及び地方消費税の額1億665 を締結した(甲1)。 記工事名新城広域クリーンセンター建設工事工事場所新城市C1字C2地内請負金額34億9650万円(本件落札価格と同額)うち取引に係る消費税及び地方消費税の額1億6650万円工期着手平成9年12月26日完了平成12年3月10日発注仕様処理能力指定されたごみ質の範囲内で60t/24hの処理能力を有する。 炉数30t/24h×2炉炉方式ストーカ式連続燃焼焼却炉燃焼ガス冷却方式廃熱回収ボイラ+水噴射方式被告JVは,本件工事を工期内に完了し,本件事務組合に新城広域クリーンセンターを引き渡し,本件事業組合は,被告JVに対し,上記請負金額全額を支払った(なお,支払が完了した日については,後記第3の3(3)に記載するとおりである。)。 (3) 公正取引委員会による排除措置命令等ア公正取引委員会は,平成10年9月17日,プラントメーカーに対する立入検査等を行い,平成11年8月13日,本件5社に対し,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(平成17年法律第35号による改正前のもの。 以下「独禁法」という。)3条違反であるとして,独禁法48条2項により,その排除を内容とする勧告を行った(公正取引委員会平成11年(勧)第21号)。 本件5社は,いずれも勧告を応諾しなかったため,公正取引委員会は,平成11年9月8日,本件5社を被審人とする審判開始決定をした(公正取引委員会平成11年(判)第4号。以下,これにより開始された事件を「別件審判事件」という。)。 公正取引委員会は,平成18年6月27日,別件審判事件について,本件5社に対し,本件5社が全連及び准連ストーカ炉の新設,更新及び増設工事(以下「ストーカ炉の建設工事」という。)について受注予定者を決定し受注予定者が受注できるようにして ,別件審判事件について,本件5社に対し,本件5社が全連及び准連ストーカ炉の新設,更新及び増設工事(以下「ストーカ炉の建設工事」という。)について受注予定者を決定し受注予定者が受注できるようにしていた行為を平成10年9月17日以降行っていないことを確認すること,並びにそのために講じた措置等の地方公共団体への通知及び自社の従業員への周知徹底等の排除措置を命ずる審判(以下「別件審決」という。)を行った(甲2)。 別件審決は,本件5社が,遅くとも平成6年4月以降平成10年9月17日までの間(以下「本件対象期間」という。),共同して,市町村並びに地方自治法に定める地方公共団体の組合である一部事務組合及び広域連合(以下「地方公共団体」という。)が指名競争入札,一般競争入札又は指名見積り合わせ(以下「指名競争入札等」という。)の方法により発注するストーカ炉の建設工事の取引分野において,受注機会の均等化を図るため,予め受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにすることにより,公共の利益に反して,地方公共団体発注に係るストーカ炉の建設工事の取引分野における競争を実質的に制限しており,かつ,将来同様の違反行為が再び行われるおそれがあると認めることができることを根拠としている。 別件審判事件において問題とされた地方公共団体発注に係る全連及び准連ストーカ炉の建設工事は,別紙1記載のとおり合計87件であるが,別件審決は,本件工事を含む合計30件の工事については,具体的な証拠から,本件5社が受注予定者を決定したと推認される工事であるとしている。 本件5社は,別件審決を不服とし,東京高等裁判所にその取消しを求める取消訴訟を提起したが,同裁判所は,平成20年9月26日,本件5社の請求をいずれも棄却する判決をした(乙12)。本件5社は,これを不服として,最高裁 決を不服とし,東京高等裁判所にその取消しを求める取消訴訟を提起したが,同裁判所は,平成20年9月26日,本件5社の請求をいずれも棄却する判決をした(乙12)。本件5社は,これを不服として,最高裁判所に対し,上告及び上告受理申立てをした。 イ公正取引委員会は,平成19年3月23日,本件5社に対し,ストーカ炉の建設工事について受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにすることにより競争を実質的に制限していたとして,課徴金納付命令を行った。被告が納付を命ぜられた課徴金の額は64億9613万円であり,上記課徴金額算定の対象となった「当該商品又は役務」は8件の契約であるが,この中には本件請負契約が含まれている。本件5社は,上記課徴金納付命令に対し,審判開始請求をし,審判手続が開始された(甲20の1・2)。 争点 (1) 本件工事に関する談合(以下「本件談合」という。)の存在(2) 本件事務組合の損害及び損害額 当事者の主張(1) 争点(1)(本件談合の存在)について(原告の主張)ア基本合意の存在本件5社は,遅くとも平成6年4月以降,地方公共団体が指名競争入札等の方法により発注するストーカ炉の建設工事について,受注機会の均等化を図るため,以下の内容の合意(以下「本件基本合意」という。)をしていた。 (ア) 地方公共団体が建設を計画していることが判明した工事について,各社が受注希望の表明を行い,受注希望者が1名の工事についてはその者を当該工事の受注予定者とし,受注希望者が複数の工事については,受注希望者間で話し合い,受注予定者を決定する。 (イ) 本件5社の間で受注予定者を決定した工事については,アウトサイダーが指名競争入札等に参加した場合には,受注予定者は,自社が受注することができるようにアウトサイダーに協力を求める。 (ウ) 。 (イ) 本件5社の間で受注予定者を決定した工事については,アウトサイダーが指名競争入札等に参加した場合には,受注予定者は,自社が受注することができるようにアウトサイダーに協力を求める。 (ウ) 受注予定者は,受注しようとする価格を決め,受注予定者以外の者は,受注予定者が決めた価格で受注することができるように協力する。 イ本件5社は,本件基本合意のもと,次の方法(以下「本件実施方法」という。)で受注予定者を決定し,受注予定者が決めた価格で受注できるようにしてきた。 (ア) 本件5社は,平成6年4月以降,随時,本件5社の営業責任者クラスの者が集まる会合で,地方公共団体が建設を計画しているストーカ炉の建設工事について各社が把握している情報を,その1日当たりの処理能力の規模別等に区分してリストを作成した上,その情報を交換し,その情報を共通化する(リストアップする)。本件5社は,この情報交換により得られた情報を基に,受注希望表明の対象となる工事を確定する。 (イ) この情報交換の際の工事の処理能力の規模別等区分は,平成8年ころは,「大型」(全連400トン/日以上),「中型」(全連400トン/日未満)及び「准連」に区分され,平成9年ころからは「大型」(全連400トン/日以上),「中型」(全連400トン/日未満200トン/日以上)及び「小型」(全連200トン/日未満)の3つに区分され,このうち「小型」についてはさらに「全連200トン未満60トン超」(全連200トン/日未満60トン/日超)と「60トン以下」(60トン/日以下)に小分類されていた。 (ウ) 本件5社は,随時,本件5社の営業責任者の会合で,上記の処理能力の規模別等により3つに区分された工事ごとに,各社が受注を希望する工事を表明し,希望者が重複しなかった工事はその希望者を受注予定者とし, 本件5社は,随時,本件5社の営業責任者の会合で,上記の処理能力の規模別等により3つに区分された工事ごとに,各社が受注を希望する工事を表明し,希望者が重複しなかった工事はその希望者を受注予定者とし,希望者が重複した工事は希望者間で話し合い,受注予定者を決定する。 (エ) 受注予定者は,各社の受注の均等を念頭に置いて決定する。この受注の均衡は,各社が受注する工事のトン数を目安とする。 (オ) アウトサイダーが入札に参加した場合,受注予定者は,自社が受注することができるよう協力を求め,その協力を得るようにする。 (カ) 受注予定者は,自社の受注価格を決め,他社が入札する価格をも決めて各社に連絡する。受注予定者以外の者は,受注予定者から連絡を受けた価格で入札し,受注予定者が上記決めた価格で受注することができるように協力する。 ウ本件談合について本件工事について,本件基本合意のもと,遅くとも平成6年4月1日以降,本件入札の期日までの間に,①被告は,本件5社が会場を持ち回りで毎月1回程度開催していた受注調整の会議において,本件工事につき,受注表明を行って自社を受注予定者と決定させるとともに,受注価格を,被告において決め,他の4社に被告が決めた価格で受注できるよう協力してもらい,②被告は,本件アウトサイダー3社に対しては,被告が受注することができるよう協力を求め,その協力を得ることによって,本件入札に関する談合(本件談合)を行い,本件工事を予定どおり落札して,本件工事を受注した。 (被告の主張)ア本件基本合意について本件5社において,本件基本合意がなされたとの原告の主張は,否認する。 本件基本合意の存在を認める関係者の供述には信用性がないし,その他の証拠によっても,本件基本合意の存在は認められない。 イ本件談合について本件5社及び本件 意がなされたとの原告の主張は,否認する。 本件基本合意の存在を認める関係者の供述には信用性がないし,その他の証拠によっても,本件基本合意の存在は認められない。 イ本件談合について本件5社及び本件アウトサイダー3社において本件談合が行われたとの原告の主張は,否認する。 (ア) 原告の主張は,本件談合の具体的内容(日時・主体・場所・内容)を特定しておらず,不法行為に基づく損害賠償請求の要件事実の主張として不十分である。 (イ) 仮に本件基本合意が存在するとしても,「受注機会の均等化を図る」というのみで,その具体的な受注予定者決定のルールが明らかにされておらず,本件5社の間で話合いがつかない場合に誰が受注予定者になるかを自動的に決定するメカニズムが欠けている。このような合意では,話合いがつかない場合に本件5社を拘束するものがないため,本件5社の間で常に個別工事に関する談合が成立するものではないので,仮に本件基本合意が存在したとしても,本件談合の存在を推認することはできない。 (ウ) 本件入札には,本件アウトサイダー3社が参加しており,本件アウトサイダー3社の協力なくして受注はできないから,被告から本件アウトサイダー3社に対して本件工事を落札受注できるように協力要請し,本件アウトサイダー3社がこれに応じたことが必要であるが,本件では,本件アウトサイダー3社(特にB7及びB8)への協力要請等を裏付ける証拠はない。かえって,これを否定する証拠として,株式会社B21(平成6年10月にB22株式会社を吸収合併した。以下「B21」という。)及びB6が弁護士法23条の2第1項に基づく照会に対して本件5社からの協力要請等を否定した回答書(乙8の1・2.乙9の1・2)がある。 (エ) 本件入札の落札率が高いことなどは,談合の存在とは無関係であり,落札率から 3条の2第1項に基づく照会に対して本件5社からの協力要請等を否定した回答書(乙8の1・2.乙9の1・2)がある。 (エ) 本件入札の落札率が高いことなどは,談合の存在とは無関係であり,落札率から本件談合の存在を推認することはできない。 (オ) 本件のように,プラントメーカーと建設会社とがJVを結成し,JVの名で応札することが求められる場合,プラントメーカーと建設会社とは対等な関係にあるし,また,本件では予め本件事務組合の指定した建設会社13社の中から見積り合わせに先立ってJV構成員を指名しなければならないことからも,仮にプラントメーカーである本件5社及び本件アウトサイダー3社間において入札価格の連絡が行われたとしても,各プラントメーカーにおいて建設会社の価格をコントロールすることができず,連絡を受けた入札価格で必ずしも入札することができないから,JV方式による発注である本件工事については,プラントメーカー間における談合は実効性が欠けるものである。 (2) 争点(2)(本件事務組合の損害及び損害額)について(原告の主張)ア本件事務組合は,被告JVが正常な想定落札価格と比較して不当に高い価格で落札し,本件請負契約を締結し,当該価格を代金として支払った結果,談合行為が行われず適正な競争入札が行われた場合に形成されたであろう落札価格(想定落札価格)と現実の落札価格との差額相当額の損害を負った。 イ本件では,違反行為がなされる直前の落札価格や違反行為終了後の落札価格を基に想定落札価格を推定するのは適当でないから,本件基本合意の対象期間内におけるアウトサイダーが受注した他の類似工事の平均落札率を基に想定落札価格を推定すべきである。 そうすると,本件においては,予定価格である35億1435万円に,アウトサイダーが受注した工事の平均落札率89. ウトサイダーが受注した他の類似工事の平均落札率を基に想定落札価格を推定すべきである。 そうすると,本件においては,予定価格である35億1435万円に,アウトサイダーが受注した工事の平均落札率89.76パーセントを乗じた額が想定落札価格であり,本件落札価格(落札率99.49パーセント)のこれを超える部分(9.73パーセント)が原告の被った損害である。 ウ仮に,想定落札価格が具体的に特定できない場合には,民事訴訟法(以下「民訴法」という。)248条の「損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるとき」に該当するので,本件事務組合の損害額として相当な損害額が認定されるべきである。 そして,アウトサイダーが受注した工事の平均落札率,別件審決において談合の対象から除外した工事の落札率,日本弁護士連合会の平成15年7月の入札制度改革に関する調査報告書,平成15年10月に公正取引委員会独占禁止法研究会がまとめた「独占禁止法研究会報告書」,平成16年5月19日公表の公正取引委員会の「独占禁止法改正について」等において,談合が困難になれば落札率ないし落札価格は15ないし20パーセント程度下がるといった報告がされていること,平成17年法律第35号による改正後の独禁法による課徴金の引き上げに関し,公正取引委員会が,過去の違反事例について実証的に不当利得を推計したところ,平均して売上額の16.5パーセント程度の不当利得が存在するとの結果が得られたとしていること等からすれば,本件入札において入札参加者間の公正な競争が確保されたならば,現実の落札価格と比べて控えめにみても10パーセント以上低い水準で落札する業者が出現していたはずであり,本件事務組合は,本件談合によって,現実の契約金額の少なくとも10パーセントに相当する3億5100万円の損害を被ったものと めにみても10パーセント以上低い水準で落札する業者が出現していたはずであり,本件事務組合は,本件談合によって,現実の契約金額の少なくとも10パーセントに相当する3億5100万円の損害を被ったものというべきであり,原告の請求額(3億4194万6255円)は,この範囲内にあるから,全部認容されるべきである。 (被告の主張)原告の主張は,否認ないし争う。 ア本件は,不法行為に基づく損害賠償請求であるから,損害の発生については,本件工事の具体的事情に鑑みて想定落札価格が実際の落札金額を下回ること,自由競争であれば,その想定落札価格で落札されたことが具体的に主張・立証される必要がある。そして,被告JVが本件工事を落札することができたのは,①本件工事については,B13株式会社を通じて地元の情報を早い段階から入手して,検討を進めることができたこと,②地元の有力建設会社の一つであるB11とJVのパートナーを組めたこと,③小規模ながら,全連続炉かつ廃熱回収ボイラ付きという前例の乏しい技術的課題に対して,被告の技術力や調達力を発揮してこれをクリアできたこと,また,④被告が本件工事の受注に向けて強い意欲をもって,コストダウンに努力したこと等の結果であって,その落札価格も適正なものであるから,仮に本件談合が行われたとしても,本件事務組合には損害がない。 イアウトサイダーが受注した他の類似工事の平均落札率は,多種多様な要因が複雑に絡み合って形成された結果にすぎず,他の工事における結果をそのまま本件工事にあてはめることは不可能であるから,上記原告主張の平均落札率によって,本件工事についての談合による損害額を根拠付けることはできない。 第3当裁判所の判断 前記前提事実のほか,括弧内に掲記の証拠及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実を認めることができる。 よって,本件工事についての談合による損害額を根拠付けることはできない。 第3当裁判所の判断 前記前提事実のほか,括弧内に掲記の証拠及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実を認めることができる。 (1) ごみ焼却施設の概要及び種類アごみ焼却施設の概要ごみは,家庭生活の営みに伴って排出される一般廃棄物と,事業者の事業活動に伴って排出される産業廃棄物とに区分され,廃棄物の処理及び清掃に関する法律により,一般廃棄物は原則として市町村が処理することになっている。 このため,市町村は,その区域内で排出される一般廃棄物を処理するために,単独で又は他の市町村とともに一部事務組合又は広域連合(地方公共団体)を結成してごみ処理施設を整備しており,国は,地方公共団体が一般廃棄物を円滑かつ適正に処理するために行うごみ処理施設の整備事業について,補助金を交付している。 地方公共団体が整備するごみ処理施設は,ごみ処理方法により,①ごみ焼却施設,②ごみ燃料化施設,③粗大ごみ処理施設,④廃棄物再生利用施設及び⑤高速堆肥化施設に区分される。 このうち,①のごみ焼却施設は,燃焼装置である焼却炉を中心に,ごみ供給装置,灰出し装置,排ガス処理装置等の焼却処理設備を配置し,ごみの焼却処理を行う施設であり,その施設には灰溶融設備や余熱利用設備が付帯している場合がある。また,地方公共団体は,①のごみ焼却施設を建設するに当たって,③の粗大ごみ処理施設及び④の廃棄物再生利用施設を併設することもあり,その場合には,これらの施設を,ごみ焼却施設と一体のものとして発注することがある。 イごみ焼却施設の種類ごみ焼却施設は,1日当たりの稼働時間により,24時間連続稼働する全連続燃焼式(全連),16時間稼働する准連続燃焼式(准連)及び8時間稼働するバッチ燃焼式に区分される。 また,ごみ み焼却施設の種類ごみ焼却施設は,1日当たりの稼働時間により,24時間連続稼働する全連続燃焼式(全連),16時間稼働する准連続燃焼式(准連)及び8時間稼働するバッチ燃焼式に区分される。 また,ごみ焼却施設は,採用される燃焼装置の燃焼方式により,ストーカ式燃焼装置(ごみをストーカ(火格子)の上で乾燥させて焔燃焼させ,次におき燃焼させて灰にする装置)を採用する焼却施設(ストーカ炉),流動床式燃焼装置(けい砂等の不活性粒子層の下部から,加圧した空気を分散供給して,不活性粒子を流動させ,その中でごみを燃焼させ,灰にする装置)を採用する焼却施設(以下「流動床炉」という。)及びガス化溶融式焼却施設(以下「ガス化溶融炉」という。)があり,ストーカ炉及び流動床炉が主要機種であるが,ガス化溶融炉も導入されるようになってきている。 ウごみ焼却施設建設工事の種類地方公共団体が発注するストーカ炉の建設工事には,新設,更新,増設,改造及び補修工事がある。 「新設工事」とは,ごみ焼却施設を新たに建設することであり,「更新工事」とは,老朽化したごみ焼却施設の建替えや老朽化した焼却炉等の入替えを行うことであり,「増設工事」とは,既設のごみ焼却施設の処理能力を増加させるため,当該施設の一部として焼却炉等を新たに増設することであって,新設,更新及び増設工事については,いずれも,ごみの焼却処理に必要な施設又は設備を新たに建設又は整備することになる。 (2) ごみ焼却施設の発注方法等ア発注までの概略地方公共団体は,ごみ処理施設を建設する実行年度の前々年度以前に「ごみ処理基本計画」を策定する。ごみ処理基本計画において,地方公共団体は,将来の人口の増減予測に基づいてごみの種別ごとの排出量を推計し,リサイクルできるごみの量や地域内で処理が必要なごみの量等を把握した上,その処 画」を策定する。ごみ処理基本計画において,地方公共団体は,将来の人口の増減予測に基づいてごみの種別ごとの排出量を推計し,リサイクルできるごみの量や地域内で処理が必要なごみの量等を把握した上,その処理のために設置すべき施設の整備計画の概要を取りまとめている。 地方公共団体は,その後,ごみ処理施設の建設用地の選定,環境アセスメント,都市計画決定等の手続を経た上で,実行年度の前年度に「ごみ処理施設整備計画書」を作成し,これを都道府県を経由して国に提出する。その際,工事費用を把握するため,将来の入札に参加させられる施工業者を選定し,工事の仕様を提示して「参考見積金額」を徴する。そして,国が国庫補助事業として予算計上した地方公共団体のごみ処理施設整備事業については,予算計上後に内示が行われ,当該地方公共団体は,この内示を受けた後に,一般競争入札,指名競争入札,指名見積り合わせ又は特命随意契約のいずれかの方法により,発注している。 地方公共団体は,整備すべきごみ処理施設が焼却施設である場合,通常,「ごみ処理施設整備計画書」の作成時点までに,予め当該施設の燃焼方式をいずれとするかを定めるが,燃焼方式を一つに定めずに発注手続を実施する場合もある。 イ発注方法地方公共団体は,ストーカ炉の建設工事を,指名競争入札,一般競争入札,指名見積り合わせ又は特命随意契約のいずれかの方法により発注しているが,ほとんどの場合は指名競争入札等(指名競争入札,一般競争入札又は指名見積り合わせ)の方法によっている。 また,地方公共団体は,ストーカ炉の建設工事の発注に当たり,ほとんどの場合,ごみ焼却施設を構成する機械,装置の製造及び据付工事並びに土木建築工事を一括して,プラントメーカー又はプラントメーカーと土木建築業者による共同企業体(JV)に発注しているが,ごみ焼却施設 どの場合,ごみ焼却施設を構成する機械,装置の製造及び据付工事並びに土木建築工事を一括して,プラントメーカー又はプラントメーカーと土木建築業者による共同企業体(JV)に発注しているが,ごみ焼却施設を構成する機械,装置の製造及び据付工事と土木建築工事とを分離して,前者を本件5社等プラントメーカーに,後者を土木建築業者に,それぞれ発注する場合もある。 地方公共団体は,指名競争入札又は指名見積り合わせの方法で発注するに当たっては,入札参加資格申請をした者のうち,地方公共団体が競争入札参加の資格要件を満たす者として登録している有資格者の中から指名競争入札又は指名見積り合わせの参加者を指名している。 また,一般競争入札に当たっても,資格要件を定め,一般競争入札に参加しようとする者の申請を受けて,その者が当該資格要件を満たすか否かを審査し,資格を有する者だけを一般競争入札の参加者としているため,プラントメーカーであるというだけで容易に参加できるわけではない(甲サ12,14,17,29)。 ウ発注件数及び金額平成6年度から平成10年度までの間に,地方公共団体が指名競争入札等の方法により発注したストーカ炉の建設工事の契約件数は87件,発注トン数(1日当たりのごみ処理能力トン数。以下同じ。)は合計2万3529トンであり,発注金額(受注業者の落札金額による。以下同じ。)は合計約1兆1031億円である。このうち本件5社が受注した件数は,87件中66件であり,その割合は受注トン数で約87.3パーセント(2万0534トン),受注金額(落札金額による。以下同じ。)で約87.0パーセント(約9601億円)である(甲サ29)。 プラントメーカーは,ごみ焼却施設等の環境関連製品は,政府(当時の厚生省)の予算に左右され,政府主導の発注形態が形成されているため,「厚生省 87.0パーセント(約9601億円)である(甲サ29)。 プラントメーカーは,ごみ焼却施設等の環境関連製品は,政府(当時の厚生省)の予算に左右され,政府主導の発注形態が形成されているため,「厚生省の『国庫補助金』を基本に『起債』『府県補助金』,そして各自治体の一般財源で構成される財源を『いかに多額に組ませて』獲得することである。」などとしていた(甲サ14)。 (3) ストーカ炉の建設工事市場における本件5社の地位アプラントメーカー平成6年度から平成10年度までの間に,本件5社の他に,ストーカ炉のプラントメーカーとしては,B21,B6,B7,B9株式会社(現商号は株式会社B10である。以下「B9」という。),B8,株式会社B24(以下「B24」という。),B25株式会社(以下「B25」という。)等が存在していた(以下,本件5社以外のプラントメーカーを総称して「アウトサイダー」ということがある。)(甲サ20,29,31,33,45)。 イ本件5社は「大手5社」と称される存在であること本件5社は,ストーカ炉の建設工事の施工実績の多さ,施工経歴の長さ,施工技術の高さからストーカ炉の建設工事について,プラントメーカーの中にあって「大手5社」と称されていた(甲サ14,18,20,28,31,33)。 (ア) 本件5社の事業能力本件5社は,平成10年9月17日までの間,ストーカ炉の建設工事について,製造能力,情報収集能力等において,以下のとおりアウトサイダーと比べて優位にあった。 a本件5社の製造能力本件5社は,ストーカ炉を製造する技術能力が高く,特に1炉につき1日当たりのごみ処理能力トン数が200トン以上の焼却炉を製造する能力については他のプラントメーカーと比べて優位性を有していた(甲サ29,34,45)。 b本件5社の情報収集能力 ,特に1炉につき1日当たりのごみ処理能力トン数が200トン以上の焼却炉を製造する能力については他のプラントメーカーと比べて優位性を有していた(甲サ29,34,45)。 b本件5社の情報収集能力本件5社は,地方公共団体のごみ焼却施設の建設計画や保有するごみ焼却施設の稼働状況等の情報が掲載された業界紙等を基に,各地方公共団体ごとのごみ焼却施設の建設計画の有無及びその既存施設の耐用年数による概ねの更新時期を把握していた。 また,本件5社は,これらの情報を基に,本社及び支店等の営業担当者が,直接あるいは関連会社や代理店を介して,地方公共団体のごみ処理施設の建設に関係する部署の担当者,地方公共団体がごみ処理基本計画などの作成を委託しているコンサルタント会社,建設計画に影響力のある政治家や地元の有力者等から,地方公共団体のごみ焼却施設の建設計画について情報収集をしていた。 さらに,本件5社は,地方公共団体がごみ焼却施設整備計画書を作成するに当たり,その地方公共団体から当該計画に係る参考見積書又は見積設計図書の作成依頼を受けることにより,ごみ焼却施設の建設計画についてより詳細な情報を収集していた。 このようにして,本件5社は,地方公共団体のごみ焼却施設の建設計画について,建設計画が判明した初期の段階から具体化されていく過程において,ごみ焼却施設の機種(ストーカ炉か流動床炉かなど),処理能力,建設予定時期等様々な情報を収集し,把握していた。(甲サ13,18,24,42,47,50ないし53,120,123,156ないし159)(イ) 本件5社の指名実績a地方公共団体は,ごみ焼却施設に係る「整備計画書」を厚生省(本件当時)に提出するに当たり,その資料の一つとして見積設計図書を作成する必要がある。 プラントメーカーは,見積設計図書の作成依頼を 績a地方公共団体は,ごみ焼却施設に係る「整備計画書」を厚生省(本件当時)に提出するに当たり,その資料の一つとして見積設計図書を作成する必要がある。 プラントメーカーは,見積設計図書の作成依頼を受けることで,施設の規模(1日当たりのごみ処理能力トン数),選定機種(ストー力炉,流動床炉,ガス化溶融炉等),稼働時間(全連・准連等)等が把握でき,発注仕様書に自社が製造するストーカ炉の仕様を反映できる可能性がある上,当該ごみ焼却施設に係る指名競争入札等が実施される場合に入札参加業者として指名を受ける確率が高まることから,非常に重要なものとして,見積設計図書の作成依頼を受けられるようにすることをまず目標として営業活動を行っていた。 実際,本件5社は,ごみ焼却施設の建設を計画する地方公共団体から,見積設計図書の作成依頼を受けることが多かった(甲サ18,20,23,34,乙35)。 b本件5社は,地方公共団体が実施するストーカ炉の建設工事の指名競争入札等において指名を受ける機会が多く,指名競争入札等に数多く参加していた。一方,アウトサイダーは指名を受ける機会が少なく,本件5社とアウトサイダーとの間には格差があった。 もっとも,平成3年度から平成6年度までは,本件5社は70パーセント台ないし90パーセント台の物件に指名され,B21及びB6は20パーセント台ないし30パーセント台の指名率にとどまっていたが,平成7年度から平成9年度は,本件5社が依然として高い指名率を維持する一方,B21及びB6の指名率も50パーセント台ないし70パーセント台と上昇し,平成9年度においては,B5の指名率は,B6の指名率を下回り,B21と同率であった(甲サ29,149)。 本件5社は,地方公共団体に対する営業活動について,本社から「大手5社に絞り込め。」等という指示を 9年度においては,B5の指名率は,B6の指名率を下回り,B21と同率であった(甲サ29,149)。 本件5社は,地方公共団体に対する営業活動について,本社から「大手5社に絞り込め。」等という指示を出し,地方公共団体に対し,理由を書き並べた上,「以上のような理由から,技術力(特にダイオキシン対策)に優れ実績が豊富で,過去に事件性の無い健全企業の中から5社程度に絞り込むことが重要である」と記載した文書を渡すなどして,できる限り指名される業者を少なくし,さらには本件5社のみを指名させるよう働きかけていた(甲サ108,121,122)。 (ウ) 本件5社の受注実績a本件5社は,地方公共団体が指名競争入札等の方法により発注するストーカ炉の建設工事を数多く受注していた。 平成6年度ないし平成10年度の地方公共団体の前記ストーカ炉の契約における本件5社の受注トン数及び受注金額に占める割合は前記(2)ウのとおりであり,アウトサイダーが同工事を受注することは少なく,本件5社とアウトサイダーとの間には格差があった。(甲サ29,160)bごみ焼却施設の規模(1日当たりのごみ処理能力トン数)は,当該施設を設置する地方公共団体の区域内の住民からのごみ排出量等に基づいて算出されることから,当該地方公共団体の人口に比例して大型化する。 東京都や政令指定都市などが発注する規模の大きなストーカ炉の建設工事は,平成6年度から平成10年9月17日までの間,これを受注したのは本件5社だけであった。 そして,東京都や政令指定都市以外の地方公共団体は,ストーカ炉の建設工事を発注するに当たって,東京都や政令指定都市の発注動向をみて発注内容を検討する傾向にあることから,本件5社だけが東京都や政令指定都市の発注するストーカ炉の建設工事を受注していたことは,本件5社にとり,ごみ焼 に当たって,東京都や政令指定都市の発注動向をみて発注内容を検討する傾向にあることから,本件5社だけが東京都や政令指定都市の発注するストーカ炉の建設工事を受注していたことは,本件5社にとり,ごみ焼却施設の建設を計画するその他の地方公共団体に対する営業活動を行う上で有利であった。(甲サ11,29,34,118)(エ) アウトサイダーの地位アウトサイダーも,本件5社と同様,地方公共団体発注のストーカ炉の建設工事の入札に参加すべく営業活動を行っており,前記(イ)bのとおり,平成7年度以降,指名率は上昇したが,受注実績には結びついておらず,平成8年ないし平成10年ころ,本件5社と協調した行動をとることによりストーカ炉の受注実績を得ることを検討していたプラントメーカーもあった(甲サ39,48,110ないし112,114ないし118)。 争点(1)(本件談合の存在)について(1) 本件5社担当者による会合前記認定事実のほか,証拠(甲サ28,33,46,104,105,139)及び弁論の全趣旨によると,本件5社は,遅くとも平成6年4月以降,各社のごみ焼却施設に関する営業担当者が出席する会合を,開催場所各社持ち回りで月1回程度開催していたこと,この会合には,被告からは本社機械事業本部環境装置第一部環境装置一課長であるA1(以下「A1」という。)(平成8年4月就任),B3からは環境・プラント事業本部環境東京営業部長であるA2(以下「A2」という。),B1からは環境第一営業部第一営業室長であるA3(以下「A3」という。),B4からは環境プラント統轄本部東京環境プラント部第二課長であるA4,B5からは平成8年4月から本社機械・環境・エネルギー事業本部環境装置営業本部環境装置第一営業部長であるA5(以下「A5」という。)(平成8年4月以前はA6)がそ 環境プラント部第二課長であるA4,B5からは平成8年4月から本社機械・環境・エネルギー事業本部環境装置営業本部環境装置第一営業部長であるA5(以下「A5」という。)(平成8年4月以前はA6)がそれぞれ出席していたこと,平成6年4月以降における上記会合に出席する営業担当者について,上記A6からA5への交代以外には,メンバーの変更はなく,これらの者は,本件5社の各本社のごみ焼却施設の営業担当部署の部長若しくは課長又はこれらとほぼ同等待遇の者であることが認められる。 (2) 本件5社の担当者の供述等以下に上記会合の出席者であるA1及び,会合出席者以外の本件5社の担当者の供述等を検討する。 ア被告・A1(甲サ28,46)(ア) A1は,昭和61年10月から被告本社環境装置一課に所属し,平成8年4月からは同課課長であった(甲サ28)。 公正取引委員会審査官は,同委員会がプラントメーカーに対し立入検査を実施した当日(平成10年9月17日),A1から事情聴取し,同人が供述した内容を録取し,A1に内容を読み聞かせて誤りがないことを確認した上で署名,押印させ,供述調書として完成させた(甲サ28,46。以下,これらの供述調書によるA1の供述のみを「A1当初供述」という。)。A1当初供述の概要は,次のとおりである。 ①本件5社は,ごみ処理施設の発注が予定される物件の受注調整を行うため,毎月1回程度,各社の営業責任者クラスの者が集まり,出席各社の持ち回りで各社の会議室で会合を開催している。 ②A1は,平成6年4月以降,前任者A7(以下「A7」という。)に代わってその会合に出席するようになった。A1は,ごみ処理施設の官公需部門の営業に関する実質的な責任者として,受注物件,販売価格等を決定する立場にあり,各支社のごみ処理プラント部門を統括して受注計画を策 ってその会合に出席するようになった。A1は,ごみ処理施設の官公需部門の営業に関する実質的な責任者として,受注物件,販売価格等を決定する立場にあり,各支社のごみ処理プラント部門を統括して受注計画を策定したりするため,各支社の担当者からヒアリングなどを行い,その中で各支社の営業活動について指示したりしている。 ③会合の出席者は,発注が予定される物件については,大分前から情報をつかんでおり,どのような物件があるかは全員が共通の認識を持っている。 ④会合では,ごみ処理施設の発注が予定されている物件について,各出席者がそれぞれ受注を希望するか否かを表明し,受注希望者が1社の場合には,当該社が受注予定者(チャンピオン)となり,受注希望者が2社以上の場合は,希望者同士が話し合って受注予定者を決める。 ⑤受注予定者を決める基本は各社が平等に受注することであり,ごみ処理プラントの場合は,1日のごみ処理能力で計算しており,各社が受注するごみ処理施設の処理能力の合計が平等になるように受注予定者を決めるという方法で行っている。 ⑥受注希望者が2社以上になり,話合いによっても決められない場合には,最終的にはどちらが多く受注しているかで判断することになるが,A1が会合に出席するようになってからは,受注希望がかちあっても希望者同士の話合いですべて受注予定者が決まっている。 ⑦会合での話合いによりごみ処理施設の発注予定物件の受注予定者を決めるに当たっては,ごみ処理プラントの処理能力によって,1日の処理能力が400トン以上の「大」,200トン以上の「中」,200トン未満の「小」の3つに分けており,「大」,「中」,「小」それぞれに分けて,受注希望物件を確認して受注予定者を決めている。 ⑧会合で決めた受注予定者は,物件が発注された段階で会合のメンバーである本件5 の「小」の3つに分けており,「大」,「中」,「小」それぞれに分けて,受注希望物件を確認して受注予定者を決めている。 ⑧会合で決めた受注予定者は,物件が発注された段階で会合のメンバーである本件5社以外の者(アウトサイダー)が一緒に指名された場合には,相指名業者と個別に会って,自社が受注できるように協力を求め,相指名業者に物件を受注させる必要が生じたときは,受注予定者が会合で了承を受けた後,相指名業者に受注させていた。 ⑨受注予定者は,指名を受けた物件について積算し,会合のメンバー(本件5社)の各相指名業者に入札の際に書き入れる相手方の金額を電話等で連絡して協力を求め,会合のメンバー以外(アウトサイダー)の相指名業者についても,だいたい顔を知っているので,各社の営業責任者クラスの者に連絡し,受注予定者が受注できるよう協力してもらっている。 ⑩A1が会合に出席するようになってからは,被告が受注予定者となった物件のほとんど全ては予定どおり被告が受注している。 (イ) 被告においては,課長級のものは1億円を超える案件は最終的な決裁権限を有していたわけではなかったが,上記したところによれば,上記会合の出席者は各社において相応の地位を有する者であり,A1を含め上記会合出席者は事前に各社内で検討したところに基づいて受注に関する希望を述べ,交渉することは委ねられていたと推認することができる。 (ウ)aA1は,被告において,ごみ処理プラントの官公需部門の営業に直接従事していた者であるところ,A1当初供述は,そのような立場において自らが直接体験した事柄を,公正取引委員会の立入検査が実施された当日にありのまま述べたものと考えられるし,その供述も前記のとおり具体的なものであって,その内容にも不自然,不合理な点はみられない。 そして,後記のとおり,本件にお 正取引委員会の立入検査が実施された当日にありのまま述べたものと考えられるし,その供述も前記のとおり具体的なものであって,その内容にも不自然,不合理な点はみられない。 そして,後記のとおり,本件においては,本件5社が将来発注が予定されるストーカ炉の建設工事について,情報交換によって共通認識を有していたことや,これを踏まえ,受注調整が行われたことを推認させるリストが存在すること(後記(3)),本件5社が,受注希望表明の対象となる工事を確定し,ストーカ炉の建設工事の受注予定者を決めるための会合を開催したことや,この会合において,発注予定のストーカ炉の建設工事を規模別に分類して受注希望表明を行い,具体的に受注予定者を決定したことを推認させるA1自身のノート(甲サ67)等が存在すること(後記(4)),本件5社の会合で決定された受注予定者の受注を実現するため,入札の実施前において,本件5社の間で,入札価格等の連絡が行われたことを示す証拠があること(後記(5)),本件5社の営業担当者の中には,本件5社のストーカ炉の建設工事に関し,ストーカ炉の処理能力を基にした数値を加算するなどして継続的に各社の受注状況を把握していた者がいたこと(後記(6))等のA1当初供述を裏付ける客観的事情が認められるところ,A1当初供述は,これらの事実等と符合するのであって,これらを全体的に考察すると,一連の事態の推移に関する説明として合理的なものと評価することができる。 bさらに,公正取引委員会審査官が取調べに当たりA1を威迫したなどのA1当初供述の任意性や信用性を左右する事実を認めるに足りる証拠もない。A1は,審査官が作成した供述調書につき,内容がよく分からないまま署名してしまったという趣旨の供述もしているが(例えば,甲サ182ないし186),その供述はそれ自体にわ を認めるに足りる証拠もない。A1は,審査官が作成した供述調書につき,内容がよく分からないまま署名してしまったという趣旨の供述もしているが(例えば,甲サ182ないし186),その供述はそれ自体にわかに首肯し難いものである上,B1のA3がA1から審査官の取調状況を聞き,その内容を書き記したメモ(甲サ36,80)の内容が,A1当初供述の内容と概ね合致することからしても,A1は調書の内容を把握して署名したことがうかがわれるのであって,上記供述は採用し難い。 また,A1は,A1当初供述の後,受注調整のため本件5社の担当者が集まった会合は存在しない等と供述を変遷させ,自らがしたA1当初供述の内容を否定するに至っているが(特に,甲サ176,183ないし189),後の供述の内容は,例えば,自らがノートに記した受注調整のための会合と疑われる記載の意味すら説明しないなど,不自然極まりないものであって,上司等に取調べの様子を報告し,その指示を受けて供述内容を変遷させた疑いが濃いもので,およそ信用できないものといわざるを得ず,A1当初供述の信用性を揺るがすものではない。 イB1・A8(甲サ35,44)(ア) A8(以下「A8」という。)は,昭和49年4月にB1に入社し,平成8年7月から,大阪支社機械プラント部環境プラント営業室長として,近畿一円の官公庁が発注するごみ処理プラントの受注業務等に関する責任者であった(ただし,指名競争入札等の見積価格や入札価格については,B1本社環境プラント第2営業部第1営業室から指示された価格で対応することとされていた。)。 A8は,平成8年の秋から冬にかけて,上司である本社環境プラント営業部のA9第2営業部長,A10第1営業室長等から,ストーカ炉の建設工事に関する本件5社の受注調整について聞いた内容を取りまとめ,ごみ処理 は,平成8年の秋から冬にかけて,上司である本社環境プラント営業部のA9第2営業部長,A10第1営業室長等から,ストーカ炉の建設工事に関する本件5社の受注調整について聞いた内容を取りまとめ,ごみ処理関係について部下を指導するためにメモ(以下「A8メモ」という。)を作成し,後日,内密にその内容を部下に伝えた(甲サ44)。 A8メモ(甲サ35)には,ストーカ炉は,大手5社(本件5社)が中核メンバーで,B21及びB6が準メンバーであり,B7,B8等は話合いの余地はあるとされ,大手5社のルールとして,本件5社は,対象工事を,1日のごみ処理能力が400トン以上の「大」,399トン以下の「その他全連」,「准連」の3つに分けて,1年に1回,張り付け会議を行う,張り付け会議では,その時点で明確となっている物件をほぼ各社1個ずつ指定し,その後は,その会社が受注する権利を有するとともに本件5社指名を守る義務があり,その物件の入札が何年後であるかは関係がない,本件5社のシェアは平等の20%とし,20%のシェアを維持する方法は,受注トン数を指名件数で除したもの(受注トン数/指名件数)であり,そのためには指名に数多く入った方がよい,その物件に,アウトサイダーが入ったときは,たたき合いとなるが,補填等はされない旨が記載されている。 (イ) 被告は,A8のメモ及び供述(以下「A8メモ等」という。)は自ら体験した事項を供述したものではないから,その信用性には疑問があるなどと主張する。 しかし,A8メモ等は,後記(ウ)のとおりA1当初供述の内容と概ね符合している上,A8は,B1大阪支社機械プラント部環境プラント営業室長であり,ストーカ炉の営業担当者であった者で,その職務の性質上,ストーカ炉の受注に関し相当の関心があり,かつ知識を有しており,本社の指示に従って実際に営業 大阪支社機械プラント部環境プラント営業室長であり,ストーカ炉の営業担当者であった者で,その職務の性質上,ストーカ炉の受注に関し相当の関心があり,かつ知識を有しており,本社の指示に従って実際に営業活動を行う立場にあって,そのような関心と知識の下に,職務の必要上,上司から聞き取った内容をそのまま記載したメモ及びこれに関する供述であるし,後記(3)以降に認定判断する本件5社の受注調整を巡る客観的な事実関係と良く符合するものと評価することができるから,その信用性は十分に認められるものである。 (ウ) もっとも,対象物件の区分という点のほか,受注予定者の決め方(受注に係るストーカ炉の処理能力トン数の合計か,受注したストーカ炉の処理能力トン数を指名件数で除したものか),アウトサイダーとの関係(協力を求めるか否か)という点において,A8メモ等とA1当初供述とは必ずしも符合しない点があるとみえないではない。 しかし,A1が本件5社の会合の出席者として自ら体験した事実に基づいて供述しているのに対し,A8メモ等はA8自らが体験した事実ではないから,前者に比べその正確性には自ずから限界があること,また,A8が本件5社の受注調整のためのルールを上司から聞き,A8メモを作成したのが,平成8年であるから,時期の違いを考慮する必要があること,A1当初供述とA8メモ等とは,本件5社が会合を開いて張り付け会議を行い受注予定者を決定し,本件5社間で受注機会が均等になるようにしていた,対象物件につきトン数等による区分を設けて受注調整を行っていたとの重要な部分については一致しており,また,アウトサイダーとの関係についても,A1当初供述は,アウトサイダーとの調整が失敗した場合の対応について言及していないのに対して,A8メモ等は,上記の記載内容等からすると,アウトサイダーと り,また,アウトサイダーとの関係についても,A1当初供述は,アウトサイダーとの調整が失敗した場合の対応について言及していないのに対して,A8メモ等は,上記の記載内容等からすると,アウトサイダーとの間で調整のための努力をすることは当然の前提として,それが失敗した場合について触れたもので,そのため表面上の差異が生じたにすぎないとの理解が可能であり,そうであれば,A1当初供述とA8メモ等とが実質的に矛盾しているということはできない。両者の一致点はストーカ炉の建設工事の営業の重要な要素となる部分であり,この一致点からみれば,その他の食い違いがあることは,両証拠の信用性を否定する根拠となるものではない。 ウ被告・A11(甲サ42,43,49,102)A11(以下「A11」という。)は,平成8年3月,被告中国支社機械一課に配属された後,同年4月1日付けで同課課長となり,官公庁向けのごみ焼却施設等の営業を担当している。 A11は,平成8年3月,前任者のA12から被告中国支社機械一課の業務内容の引継を受けた際,聞き取った内容をメモにした。このメモ(以下「A11メモ」という。甲サ40)には,官庁業務のうちごみ処理については,本件5社が,全連及び准連のストーカ炉について受注機会の均等を図るため仲良く話合いをする旨の記載がある。 A11は,本件5社は,受注機会の均等を図るため,受注予定者(チャンピオン)を決めて,受注予定者が受注できるようにしており,実際の入札での受注予定者を決める話合いは本件5社の本社レベルで行われていると認識している旨述べている。 エ被告・A13(甲サ47,103,108)A13(以下「A13」という。)は,平成元年4月,被告中国支社化学環境装置課(後に,機械一課と名称が変更された。)に配属となり,官公庁向けのごみ焼却施設等の営 ・A13(甲サ47,103,108)A13(以下「A13」という。)は,平成元年4月,被告中国支社化学環境装置課(後に,機械一課と名称が変更された。)に配属となり,官公庁向けのごみ焼却施設等の営業を担当しているが,同課に配属となった際,前任者のA22から「業界(機種別)の概況について」との書き出しの文書(甲サ37)を引き継いだ。 この文書には,ごみ焼却炉について,全連のストーカ炉の大手5社には受注調整のための協定があり,それにより,受注機会を均等化(山積み)しており,極力5社のメンバーセットが必要である(他社介入のときには条件交渉を伴う)こと,必注案件は強力な営業事情をベースに本社において主張させるべきバックグラウンド作りが肝要であること,他社案件でも指名入りで分母の積み上げを図る必要があること等が記載されている。 A13は,自分が営業担当となってからも,本社レベルで受注調整行為が行われていると認識している旨供述している。 オB4・A14(甲サ45)A14は,平成10年6月からB4の環境プラント本部長を務め,西日本におけるごみ焼却炉の営業の責任者であるが,同社環境プラント本部営業部長から,同社が受注を獲得するための営業方針について,1番目はコストである,2番目は同社の焼却炉の技術が発注者に認められる,3番目は発注者に認められたことをメーカー各社に認められれば協力を得られるチャンスがあるということを聞いたことがある,3番目の営業方針は,具体的には,同社がどうしても受注したい物件については,他社との間で話合いを行い,他社の協力を得て,同社の入札価格よりも高い価格で他社が入札することに応じてもらうことである,一方,他社が発注者から認められているような物件でどうしても受注したい物件については自社が協力することになる旨述べている。 カ小括 札価格よりも高い価格で他社が入札することに応じてもらうことである,一方,他社が発注者から認められているような物件でどうしても受注したい物件については自社が協力することになる旨述べている。 カ小括以上のとおり,本件5社間における談合に関して,少なくとも,被告,B1及びB4の3社の関係者から,これを肯定する供述が得られており,その中でも,A1当初供述及びA8のメモ等は具体性をもったものであり,他の関係者の供述もこの両名の供述に概ね合致している。 このような関係者の供述の存在は,談合の存在を推認させる有力な根拠となるものである。 被告は,これらの供述等の信用性に関して以上でふれた他にも諸々の主張をするが,いずれも採用することができず,他に上記認定を左右するに足りる証拠はない。 (3) 本件5社が受注予定者を記載したことがうかがわれるリスト証拠(各掲記のもの)及び弁論の全趣旨によれば,以下のとおり,本件5社が受注予定者を記載したことがうかがわれるリストを作成していたことが認められ,後記のように,前記(2)のA1当初供述等の内容を裏付けるものと評価することができる。 アB5・A15のメモ(甲サ89)(ア) 記載内容B5の機械・環境・エネルギー事業本部環境装置営業本部のA15(以下「A15」という。)は,「年度別受注予想H07.09.28」と題する印刷文字で記載された表とこれを作成するための原稿とみられる手書きの表等からなる書面(以下これらを併せて「A15リスト」という。)を所持していた(甲サ89,140)。 A15リストの内容は,別紙2(甲サ89)のとおりであるが,A15リストは,平成7年9月28日ころ,平成8年度から平成11年度まで及び平成12年度以降に発注が見込まれるストーカ炉の建設工事(同表の各「S」欄)を記載したものと推認され 9)のとおりであるが,A15リストは,平成7年9月28日ころ,平成8年度から平成11年度まで及び平成12年度以降に発注が見込まれるストーカ炉の建設工事(同表の各「S」欄)を記載したものと推認される。 これらの工事は,各年度(「年度」欄)及び本件5社(「K」,「M」,「H」,「N」及び「T」とあるのは,それぞれ,B5,被告,B3,B1及びB4を指すと認められる。)ごとに,ストーカ炉の建設工事の発注者である地方公共団体及びそのトン数が分類されて記載されている。 そして,A15リストに記載されたストーカ炉の建設工事と,平成8年度から平成10年度までのストーカ炉の発注状況(甲サ29)とを比較すると,次のとおり,A15リストに記載された工事については,作成後約3年間にわたり,うち22件が実際に発注された工事と合致し,しかも,そのうち18件の工事がA15リストの分類どおりに本件5社によって受注されている。 すなわち,平成8年度に発注された工事(全15件)のうちA15リストには12件が記載されており(A15リスト中の発注予想年度は平成8年度ないし平成11年度に分布する。以下同じ。),B6が落札した2件(「日南地区衛生センター管理組合」(別紙1・番号46)及び「久居地区広域衛生施設組合」(別紙1・番号52)の各工事)を除く10件について,それぞれ,A15リストに記載された本件5社が,同リストの分類どおりに落札している。 また,平成9年度に発注された工事(全21件)のうちA15リストには9件が記載されており,このうちB6が落札した1件(「函南町」工事(別紙1・番号71)。A15リストでは,同工事にB1を示す「N」が付されている。)及びB3が落札した1件(「東京都(中央地区清掃工場)」工事(別紙1・番号80)。A15リストでは,同工事にB4を示す「T」が付 号71)。A15リストでは,同工事にB1を示す「N」が付されている。)及びB3が落札した1件(「東京都(中央地区清掃工場)」工事(別紙1・番号80)。A15リストでは,同工事にB4を示す「T」が付されている。)の2件を除く7件について,A15リストに記載された本件5社がそれぞれA15リストの記載どおりに落札し,A15リスト「M」欄にある「新城市」(本件工事)についても,被告が,A15リストの記載どおりに落札している。 さらに,平成10年度に発注された工事(全7件)のうちA15リストには1件(「M」欄にある「名古屋五条」(「名古屋市(五条川工場)」工事(別紙1・番号85))が記載されており,同工事については,被告が,A15リストの記載どおりに落札している(なお,A15リストに記載されたその余の工事名の工事については,平成10年度までには発注されていない。甲サ29,194)。 なお,A15リストに記載された工事のトン数をみると,本件5社において,完全にトン数が均衡となるように分類されているとは認められないものの,前年度の欄に記載されたストーカ炉の建設工事のトン数の合計が多い企業については,他の企業と比較して,次年度におけるストーカ炉の建設工事のトン数が少なくなっていることがうかがわれ,逆に,前年度のストーカ炉の建設工事のトン数合計が少なかった企業については,次年度のストーカ炉の建設工事のトン数が増加していることがうかがわれるなど,全体として,トン数の均衡に配慮している様子がうかがわれる。 (イ) 評価被告は,A15リストは,そのタイトルが「年度別受注予想」とあるように,あくまでもB5が平成7年の時点において将来的なストーカ炉の建設工事の受注を予想したものにすぎない旨主張する。 しかし,前記のとおり,A15リストに記載されたストーカ炉の建 別受注予想」とあるように,あくまでもB5が平成7年の時点において将来的なストーカ炉の建設工事の受注を予想したものにすぎない旨主張する。 しかし,前記のとおり,A15リストに記載されたストーカ炉の建設工事については,作成後約3年間にわたり,うち22件が実際に発注された工事と合致し,しかも,そのうち18件の工事がA15リストの分類どおりに本件5社によって受注される結果となっているのである。そして,被告は,A15リストは単なる受注予測にすぎないと主張するが,上記工事の受注者の決定は,将来的なことを含む様々な事情に基づき競争原理に左右される性質の事柄であるから,本件5社がストーカ炉の建設工事の市場において大手5社としての地位を占めており,かつ,B5が大手プラントメーカーとして高度な情報収集能力を有していたと認められることを考慮に入れたとしても,本件5社ごとに,しかも,約3年も先の受注結果を概ね正確に予想することはおよそ不可能というべきである。 また,仮にA15リストが,被告の受注予測を記載したものにすぎないとすれば,B21,B6など本件5社に次ぐ受注実績を有するアウトサイダーについて一切の記載がないというのも不自然である。 そうすると,上記結果については,本件5社において,A15リストに記載されたストーカ炉の建設工事の受注者を本件5社のうち誰にするかについて予め合意した,つまり受注予定者の決定がされたと理解することが自然というべきであるから,上記被告の主張は理由がない。 イ本件5社のその他のリスト及びその解釈上記アで説示した事情に,証拠(各掲記のもの)及び弁論の全趣旨を総合すると,下記(ア)のとおり,A15リスト以外にも,本件5社において,未発注のストーカ炉を取りまとめ,これに受注予定者を記載したとみられるリストが存在しているところ,A1 の)及び弁論の全趣旨を総合すると,下記(ア)のとおり,A15リスト以外にも,本件5社において,未発注のストーカ炉を取りまとめ,これに受注予定者を記載したとみられるリストが存在しているところ,A15リストを含め,これらのリストに記載されたストーカ炉の建設工事は相当程度一致していることが認められ,しかも,下記(イ)のとおり,本件5社のいずれかが受注する予定である旨の記載がなされた工事については,作成等された時点では未だ入札が行われていないにもかかわらず,その後のリストからは除外されていることが認められる。これを具体的に述べると,次のとおりである。 (ア) 本件5社においては,A15リスト以外にも,将来発注が予想されるストーカ炉の建設工事を規模別に分類し,具体的に記載したリストが作成され,A15リストを含め,これらのリストに記載されたストーカ炉の建設工事は相当程度一致していることが認められる。 すなわち,①B5の平成9年9月ころのリスト(甲サ155。「全連400T以上」,「全連200-400T未満」,「全連60-200T未満」,「全連60T未満」の4つに分類している。)には,このうち小型物件(「全連60-200T未満」)のリストの左端欄に手書きで,14工事について本件5社の略称が記載されているところ,当該リスト(甲サ155)に記載されたごみ処理施設は,B1の平成9年9月11日付けのリスト(甲サ62,63。「全連400t以上」,「全連200t以上400t未満」,「全連200t未満」のほか,「60t以下の物件は超小型の為,別枠とする。」との記載がある。)との間で,「千葉八千代市」工事ほか4工事を除きほぼ一致する,②B1の環境第一営業部のスタッフが所持していた平成9年12月17日付けのストーカ炉のリスト(甲サ58)及び同日付けのリスト(甲サ5 。)との間で,「千葉八千代市」工事ほか4工事を除きほぼ一致する,②B1の環境第一営業部のスタッフが所持していた平成9年12月17日付けのストーカ炉のリスト(甲サ58)及び同日付けのリスト(甲サ59。いずれのリストも,「全連400t以上」,「全連200t以上400t未満」,「全連200t未満」のほか,60トン以下の工事については別枠とされている。)に記載された物件と,B3の環境事業本部東京営業部から平成10年1月27日にファクシミリ送信されたストーカ炉のリスト(甲サ55。「大型」,「中型」,「小型」の3つに分類し,それぞれ,400トン以上,400トン未満200トン以上,200トン未満の工事を記載している。)に記載された物件のうち,中型物件については,「川口」工事等数件を除きほぼ一致する,③B3の平成10年3月24日付けストーカ炉のリスト(甲サ56。「大型」,「中型」,「小型」の3つに分類し,それぞれ,400トン以上,400トン未満200トン以上,200トン未満の工事を記載している。)のうち,5工事について本件5社の略称が付されており,この5工事は,被告の環境装置一課主務であるA16(以下「A16」という。)が所持していたメモ帳(甲サ77,78)に本件5社の略称名と工事が記載された工事とほぼ一致することなどが認められる。 (イ) A15リスト及び上記(ア)の各リスト(以下,これらを併せて「A15リスト等」という。)の各記載を照らし合わせると,以下に例示するとおり,A15リスト等において,工事ごとに本件5社のいずれかに分類されるなど将来本件5社のいずれかが受注する旨をうかがわせる記載がされた工事については,上記各リストが作成等された時点では未だ入札が行われていないにもかかわらず,その後作成等されたリストには掲載されないという特徴があるこ いずれかが受注する旨をうかがわせる記載がされた工事については,上記各リストが作成等された時点では未だ入札が行われていないにもかかわらず,その後作成等されたリストには掲載されないという特徴があることを認めることができる。 すなわち,平成7年9月28日ころ,平成8年度以降ストーカ炉の建設工事として発注が見込まれる工事として,各工事を本件5社に振り分けて記載したA15リスト(甲サ89)に記載された工事は,その後作成された本件5社のリスト(B3について甲サ54ないし56,B1について甲サ58,59,61ないし63,B5について甲サ65,153,155,被告について甲サ66,67)には記載されていない。 同様に,B5が,平成9年9月当時のごみ処理施設の計画を大型物件,中型物件及び小型物件に分け,このうちの小型物件リストの右端欄に手書きで,14工事名について本件5社の略称を記載したリスト(甲サ155(前記(ア)①))に記載された14工事は,その後作成された本件5社のリスト(B1について甲サ58,59及び61,B3について甲サ54ないし56)には記載されていない。 (ウ) 被告は,A15リスト等が,本件5社それぞれにおいて当該企業自身の希望物件に関する内部的な検討結果を記載したにすぎず,A15リスト等は受注予定者を決定したことを示すものではないなどと主張する。 しかし,被告が主張するとおり,A15リスト等が,本件5社それぞれにおいて当該企業自身の希望物件に関する内部的な検討結果を記載したにすぎないのであれば,当該希望物件に関する記載がその後別の会社で作成されたリストから除外されるという経過は通常あり得ないことである。 むしろ,以上に認定したとおり,A15リスト等において受注予定物件として記載された工事が他のリストから除外されていたという特異な経過(上 たリストから除外されるという経過は通常あり得ないことである。 むしろ,以上に認定したとおり,A15リスト等において受注予定物件として記載された工事が他のリストから除外されていたという特異な経過(上記(イ))に加えて,A15リストにおいて本件5社ごとに分類されて記載された工事の多くが,その後当該記載どおりに本件5社に落札されたという特徴的な事情(上記ア)を併せ考慮すると,A15リスト等において本件5社の受注予定物件として記載された工事については,本件5社間において当該企業が受注する旨の合意が形成されていたために,その後のリストから除外されて対象外とされ,その余の工事が更なる希望表明ないし調整の対象とされたと理解することが自然である。 (エ) 被告は,A15リスト等に記載された工事については,①B5の平成10年8月31日付け「全国規模別主要案件表」(甲サ24の添付資料5,6枚目),②B1の平成10年5月8日付け「年度別物件一覧表」(甲サ50),③B4の平成10年8月31日付け「平成11年度以降計画予想物件調査依頼の件」(甲サ51),④B1の「H10・11年度重点及び準重点物件について」(甲サ123),⑤被告の「受注計画工事調査表(秘)」(甲サ179の添付資料),及び,⑥B5の「ごみ処理施設受注状況表」(甲サ18の添付資料3枚目)のリスト中に記載があり,後に作成されたリストにも記載があると主張する。 しかし,上記①ないし③,⑤,⑥の各リストは,B5,B1,B4及び被告がそれぞれ全社的にごみ処理施設の建設計画等を取りまとめた営業用の表向きの資料であり(甲サ18,24,53,179),上記④のリストも同様の,社内における営業活動のためのリストであると認められ(乙35),会社内の複数の者が閲覧する可能性のある表向きの営業用の文書には,裏のや あり(甲サ18,24,53,179),上記④のリストも同様の,社内における営業活動のためのリストであると認められ(乙35),会社内の複数の者が閲覧する可能性のある表向きの営業用の文書には,裏のやりとりで受注予定者が決定した工事であっても,むしろこれを除外しないで記載するのが通常と考えられるところであり,したがって,A15リスト等で上記の本件5社の略称を付した工事が,その後の表向きの営業用の各社のリストに記載されているからといって,上記推認を妨げるものということはできず,むしろ裏の取引を推認させるものである。 ウ小括したがって,本件5社が,A15リスト等を作成し,これに受注予定者とみられる者を記載していたことは,本件5社において,地方公共団体が将来発注を予定するストーカ炉の建設工事に関し相当程度認識が一致しており,A15リスト等に記載された工事(本件工事を含む。)について,予め,本件5社のうちいずれが工事を受注するかについて合意が形成されていたこと,すなわち受注予定者の決定がされたことをうかがわせるものというべきであり,前記(2)のA1当初供述等の内容を客観的に裏付けるものと評価することができる。 (4) 受注希望を表明し,又は受注予定者を決定した会合に関係するメモ等本件5社の関係者の資料には,以下のとおり,本件5社が,受注希望表明の対象となる工事を確定し,ストーカ炉の受注予定者を決めるための会合を複数回開催して,発注予定のストーカ炉の建設工事を規模別に受注希望表明を行っていたこと,あるいは,このような受注希望表明に基づき,当該会合において具体的に受注予定者を決定したことを推認させる記載があり,前記(2)のA1当初供述等の内容を裏付けるものと評価することができる。 ア平成8年12月9日開催の会合に係るメモ被告のA1が所持していたノ 体的に受注予定者を決定したことを推認させる記載があり,前記(2)のA1当初供述等の内容を裏付けるものと評価することができる。 ア平成8年12月9日開催の会合に係るメモ被告のA1が所持していたノート(甲サ67)には,400トン未満のごみ処理施設を列挙したとみられるリストのわきに,「1順目は自由,2順目は自由,3順目は200T/日未満,12/9」,「バッティングしたら12/18までに結着」と記載されているところ,上記手帳の「12/9」は,手帳の前からの記載によれば平成8年12月9日を指すと推認される(甲サ179。 なお,「結着」は「決着」の誤記と認められる。)。 また,B1の環境第二営業部のA17(以下「A17」という。)が所持していた平成8年の手帳(甲サ76)には,400トン未満のごみ処理施設を列挙したとみられるリスト(合計9件の工事が記載されている。)の下に,「①200t/日以上」,「②200t/日未満」,「12/9,2件①,②双方から」,「さらに1件②から」「合計3件」,「最初2件で選択されず残った場合は最後の1件(②区分)で選択可」と記載されている。 A1の上記ノートの記載とA17の上記手帳の記載は,相互に良く符合するものであって,このことに,前記(2)ア(ア)認定のとおり,A1が,本件5社が,ストーカ炉の建設工事を,1日の処理能力が400トン以上の大型工事,200トン以上の中型工事,200トン未満の小型工事の3つに分けて,受注希望物件を確認し,受注予定者を決めている旨A1当初供述をしていることを併せ考慮すると,上記各記載によれば,本件5社は,平成8年12月9日に,中型工事及び小型工事について会合を開催し,その中で,自社が受注を希望する物件を,最初,規模の区分にかかわらず1件ずつ2巡にわたって自由に選択し,さらに,3巡目につい 5社は,平成8年12月9日に,中型工事及び小型工事について会合を開催し,その中で,自社が受注を希望する物件を,最初,規模の区分にかかわらず1件ずつ2巡にわたって自由に選択し,さらに,3巡目については200トン未満の小型工事から1件を選択するという方法で受注調整を行ったことを推認することができる。 イ平成9年9月29日,同年10月16日及び同月29日各開催の会合に係るメモ(ア) B1は,ストーカ炉の建設工事を,全連400トン以上の大型工事,全連200トン以上400トン未満の中型工事,全連200トン未満の小型工事に区分して作成したリストを所持していた(甲サ57ないし63,69,140)ところ,このうち,B1のA17が所持していた平成9年9月1日付けのストーカ炉に関するリスト(甲サ60)の上部余白には,「全連小型(200T未満)9/292~3件,大型10/161件,中型 0/292件?」,「9/11大・中・小対象物件確定」との記載があるほか,「一緒になった場合規模,管理者,建設用地(企業城下町)これらの指標をみて話し合い」,「救済措置あり同規模追加できる」,「増えた会社次回調整」との記載がある。 また,同月11日付けのリスト(甲サ62,63)の各表紙には,「全連200t未満3件9/29(月),〃200t以上~400t未満2件10/29(水),〃400t以上1件10/16(木)」と記載されている。 そして,上記記載内容にA1当初供述の内容を総合すると,上記記載の意味は,本件5社は,平成9年9月11日ころまでに,ストーカ炉の建設工事を大型工事,中型工事及び小型工事に区分して受注調整を伴う予定物件を業者間で確定した上,同月29日には小型工事3件に関する受注調整を,同年10月29日には中型工事2件に関する受注調整を 炉の建設工事を大型工事,中型工事及び小型工事に区分して受注調整を伴う予定物件を業者間で確定した上,同月29日には小型工事3件に関する受注調整を,同年10月29日には中型工事2件に関する受注調整を,同月16日には大型工事1件に関する受注調整を行うための会合を開催したことが推認できる。 (イ) そして,このことに,①B5の平成9年9月ころの大型物件,中型物件及び小型物件のリスト(甲サ155)には,このうち小型物件リストの左端欄に手書きで,14工事について本件5社の略称が記載されているところ,当該リスト(甲サ155)に記載されたごみ処理施設は,B1の平成9年9月11日付けのリスト(甲サ62,63)との間で,「千葉八千代市」工事ほか4工事を除きほぼ一致すること(前記(3)イ(ア)①),②上記14工事は,その後に作成されたB1の環境第一営業部のスタッフが所持していた平成9年12月17日付けのストーカ炉のリスト(甲サ58)及びB3の環境事業本部東京営業部から平成10年1月27日にファクシミリ送信されたストーカ炉のリスト(甲サ55)には,いずれも記載がないか又は記載が抹消されていること(前記(3)イ(イ)),③B5の上記リスト(甲サ155)には,本件5社の記載(「T」など)のほか,物件の個数又は1巡目ないし3巡目であることを示唆する記載(「1」ないし「3」)が存することを併せ考慮すると,本件5社は,上記(ア)の平成9年9月29日の小型工事3件に関する受注調整を行うための会合において,受注希望表明を行い,それぞれ受注予定者を確定したことが推認できる。 ウ平成10年1月30日開催の会合に係るメモ①B1の環境第一営業部第二営業室統括スタッフであるA18が所持していた平成9年12月17日付けのリスト(甲サ58)のうち「全連200T以上400T未満」の 平成10年1月30日開催の会合に係るメモ①B1の環境第一営業部第二営業室統括スタッフであるA18が所持していた平成9年12月17日付けのリスト(甲サ58)のうち「全連200T以上400T未満」のリストの欄には,「1/20対象物件見直し」,「1/30張付け」との記載があり,②B3の環境事業本部東京営業部から平成10年1月27日にファクシミリ送信されたストーカ炉の建設工事のリスト(甲サ55)の送信文書には,「中型の対象物件送付します」,「1/30ハリツケする予定です」との記載がある。 上記①及び②の各記載は,中型(全連200トン以上400トン未満)のストーカ炉の建設工事について,平成10年1月30日に張り付け会議を行う点において共通するのであって(なお,上記①のリストと②のリストにそれぞれ記載された中型工事が,概ね一致すると認められることは,前記(3)イ(ア)②のとおりである。),このことに,A1当初供述の内容等を総合すると,本件5社は,平成10年1月30日,ストーカ炉の建設工事のうち,中型工事について,「張り付け会議」と呼ばれる受注調整のための会議を開催したことが推認できる。 エ平成10年3月26日開催の会合に係るメモ等①B1の環境第一営業部長のA19が所持していた平成10年の手帳(甲サ73)には,同年3月26日の欄に,「○<中小型物件はりつけ>」との記載が業あり,②被告の環境装置第一部次長のA7が所持していた1998年版手帳(甲サ79)のうち,平成10年3月26日の欄には,「最終決定」との記載がある。 また,これに関連して,被告中国支社のA11が平成10年3月26日にA1からの連絡内容を記載したメモ(甲サ96。「A1K:3/26日.○会合で秘中国五県の話は出なかった」との記載がある。)及びA11の供述(甲サ102)を併 国支社のA11が平成10年3月26日にA1からの連絡内容を記載したメモ(甲サ96。「A1K:3/26日.○会合で秘中国五県の話は出なかった」との記載がある。)及びA11の供述(甲サ102)を併せ考慮すると,本件5社は,平成10年3月26日に,ストーカ炉の建設工事のうち,中型工事及び小型工事について,「張り付け会議」と呼ばれる受注調整のための会合を開催したことが推認できる。 (5) 入札実施前に入札価格等の連絡を行ったことを推認させる資料アB1・A9のメモ(甲サ124)B1の環境エンジニアリング本部環境第二営業部長であるA9(以下「A9」という。)が所持していた「物件調査および希望物件のリストアップ」と題する文書等在中の袋内にあるメモには,以下の記載がある(甲サ124,140)。 「①②③④62.5億(61億)(60億)M 最低より7000万円引き同左辞退K 〃4000万円引き〃辞H 〃3000万円引き〃辞T 〃5000万円引き〃辞69.5」上記のアルファベットはそれぞれ本件5社を指すと推認されるところ(なお,最上段にはアルファベットの記載がないが,B1を意味すると解される。),上記のメモが入札価格等に関し記載したものであることは,その記載内容に照らし明らかというべきである。 他方,証拠(甲サ29)及び弁論の全趣旨によれば,平成10年8月31日に指名競争入札が行われた賀茂広域行政組合工事(別紙1・87)は,予定価格が63億5679万円であったこと,第1回の入札金額はB1が62億円,被告が65億円,B5が67億円,B3が69億円,B4が69億5000万円であり,B1が第1回の入札で上記金額で落札したことが認められる(このような金額及び経過で入札に至った物件は,他に存 2億円,被告が65億円,B5が67億円,B3が69億円,B4が69億5000万円であり,B1が第1回の入札で上記金額で落札したことが認められる(このような金額及び経過で入札に至った物件は,他に存しない(甲サ29)。)。 この入札の経過と上記メモの記載とを比較検討すると,B1の第1回入札額は若干異なるものの,その他の入札額や第1回でB1が落札したという経過については完全に一致しているから,上記メモは,賀茂広域行政組合工事の入札に関し記載されたものであることが推認できる。 そして,上記メモの記載によれば,B1が第3回目の入札に至っても落札できない場合には,第4回目の入札において,B1以外の入札者がいずれも辞退することによって受注できる旨の記載があるところ,事前の話合いがなければ,A9らB1の担当者において,真実このような経過で入札できることを予想したとは到底考え難いし,他社の第1回目の入札価格が完全に一致したという経過(しかも,B4の入札価格は,訂正された金額が一致している。)も通常想定し難いものといわざるを得ない。そうすると,上記メモの記載の理解としては,本件5社の間において,賀茂広域行政組合工事についてB1が入札予定者となることはもとより,入札金額や入札の経過についても事前に共通の認識が形成されていたために,B1の担当者において上記のような記載が可能になったと推認することができる。 イB5・A20のメモ(甲サ125)B5の機械・環境・エネルギー事業本部環境装置営業本部東部営業部参事であるA20(以下「A20」という。)は,「95-5-2」の日付のあるメモ(甲サ125)を所持していた(甲サ125,140)。このメモには,焼却炉工事の見積原価額が積算過程とともに示されており,「出し値」として,第1回目から第3回目までの入札価格が記載さ 日付のあるメモ(甲サ125)を所持していた(甲サ125,140)。このメモには,焼却炉工事の見積原価額が積算過程とともに示されており,「出し値」として,第1回目から第3回目までの入札価格が記載され,「不調の場合の予定価格と最低入札額の想定」をした上,「入札結果に至る過程」として2つの案が検討された上で最終案が示されており,以下のとおり,この最終案に沿った金額が,本件5社の第1回目から第3回目までの入札金額として記載されている。 K①6,220,000,000②6,150,000,000③6,050,000,000H①6,460,000,000②6,190,000,000③6,100,000,000T①6,310,000,000②6,195,000,000③6,105,000,000M①6,600,000,000②6,200,000,000③6,125,000,000N①6,690,000,000②6,215,000,000③6,140,000,000そして,B5は,平成7年5月9日に指名競争入札が行われた佐渡広域市町村圏組合工事(別表1・番号26)において,第3回目の入札において,60億5000万円で入札しているところ,上記入札における第1回目ないし第3回目の入札金額は,上記メモに記載された上記金額と完全に一致するから(甲サ29,125)。上記メモは,佐渡広域市町村圏組合工事の入札に関し作成されたものと推認できる。 そうすると,アで説示したのと同様に,このような結果の理解としては,佐渡広域市町村圏組合工事についてB5が入札予定者となることはもとより,入札金額や入札の経過についても事前に共通の認識が形成されていたために,B5の担当者において,上記のような検討及びその結果の記載が可能になったと推認することが B5が入札予定者となることはもとより,入札金額や入札の経過についても事前に共通の認識が形成されていたために,B5の担当者において,上記のような検討及びその結果の記載が可能になったと推認することができる。 ウB3・A2のファックス(甲サ129)B3のA2は,平成10年9月16日,B5のA5にあてて,「西海岸の件」と題する送信票とともに,サンプルとして自社の見積金額をファクシミリ送信している(甲サ129)ところ,この事実は,B3が,「西海岸」工事について,入札価格の算定の基礎となる見積金額を連絡することにより,B5に対しB3が受注できるよう協力を求めていたことを推認させるものである。 (6) ストーカ炉の建設工事の受注等に基づく計算式又は数値ア被告・A13供述(甲サ108)被告中国支社のA13が引き継いだ「業界(機種別)の概況について」との書き出しの文書(甲サ37)には,ごみ焼却炉について,全連のストーカ炉の大手5社には受注調整のための協定があり,それにより,受注機会を均等化(山積)しており,極力5社のメンバーセットが必要である(他社介入のときには条件交渉を伴う)こと,「他社案件でも指名入りで分母積み上げを図る要あり」こと等が記載されていること,A13は,自分が営業担当となってからも,本社レベルで受注調整行為が行われていると認識している旨供述していることは前記(2)エに認定のとおりである。 A13は,上記の「他社案件でも指名入りで分母積み上げを図る要あり」との記載の意味について,本件5社の間では,指名を得た件数又は処理トン数を分母とした一定の計算式があり,分子となるべき数値は受注した件数又は処理トン数であって,このような計算式により割り出した一定の数値が均等になるように本件5社の間で調整しているのではないかと考えている旨述べている( の計算式があり,分子となるべき数値は受注した件数又は処理トン数であって,このような計算式により割り出した一定の数値が均等になるように本件5社の間で調整しているのではないかと考えている旨述べている(甲サ108)。 イA16が所持していたノート(甲サ106・2枚目。以下「A16ノート①」という。)の記載A16ノート①には,左側に,本件5社を示すアルファベットの略称(例えば,「M」は被告を指すと推認される。)の右隣に,それぞれの会社に対応した分数値(例えば,被告については,「14800/74456」)の記載がある。 A16ノート①の右側には,左側に記載された分数値よりも分母及び分子ともに増加した分数値が記載されており(被告の欄に記載された分数値は「15174/76743」であって,分母が2287,分子が374それぞれ増加している。),その列の右側に各社の分数値を小数値にして示されており,その小数値が小さいものから順位を示す番号が付されている。 そして,A16ノート①の上部及び下部には,日付と地方公共団体による発注物件名とみられる記載(「12/24新城」「1/26中央」「5/1千葉」「5/11富山」「5/24賀茂」「6/2米子」「6/5春日井」「7/2名古屋」「高知」)及び数値の記載があり(なお,「高知」には日付と数値の記載はない。),その数値は,一部の物件については,基本となる数値に0. 7が乗じられ(このような処理は,JV工事や土建分離工事について行われたと推測される。甲サ95),また,減算値だけが記載されたもの(なお,減算されているものは,以前に加算処理がされていたものを,その後の事情変更等により調整したものと推認できる。)もあるが,冒頭の「12/24」の「新城」から最後の「7/2」の「名古屋」までの数値を合計すると2287となり,表 に加算処理がされていたものを,その後の事情変更等により調整したものと推認できる。)もあるが,冒頭の「12/24」の「新城」から最後の「7/2」の「名古屋」までの数値を合計すると2287となり,表中の加算すべき分母の数値と一致し,また,各社の分子の増加数値を合計したものと一致する(なお,「新城」の前に「秋」として「410」の数値が記載されているが,これには日付の記載がなく,また,その後に記載された「新城」との間は縦線で区切られていることからすると,加算前のものを記載したものとみられる。)。 この物件名等を,実際の発注状況(甲サ29,194)と対比すると,「新城」,「中央」,「米子」の各工事については,同メモに記載された日付が入札日と同一であるが,その他の「千葉」,「富山」,「賀茂」,「春日井」,「名古屋」及び「高知」の各工事について,A16ノート①に記載された日付は入札日よりも前の日付が記載されていること,A16ノート①の各工事名に記載された数値は,マイナスを付された「新城」及び「米子」を除き実際の工事の発注トン数と一致することからすると,A16ノート①は,平成10年6月2日から,公正取引委員会に留置された同年9月17日までの間に作成されたものであり,その作成時期において,平成9年12月24日に発注されていた「新城広域事務組合」工事(本件工事)以降,既に発注されていた工事及び発注が予定されていた工事について,本件5社の数値の分母にその工事の合計トン数を加算し,本件5社の数値の分子に各工事のトン数を予め加算したものであると認められる(例えば,被告についてみると,「新城」(本件工事)を平成9年12月24日に,「名古屋」(名古屋市(五条川工場)工事。別紙1・番号85)を平成10年7月30日にそれぞれ落札して受注しているところ,これら2つの 告についてみると,「新城」(本件工事)を平成9年12月24日に,「名古屋」(名古屋市(五条川工場)工事。別紙1・番号85)を平成10年7月30日にそれぞれ落札して受注しているところ,これら2つの工事についてA16ノート①に記載されたトン数に従い計算すると(なお,「新城」(本件工事)については,△の表記があるので減算する。)374であって,被告の分子の増加分に合致する。)。 また,A16ノート①が,上記分数値を小数値で示して, 小数値の小さいものから順に番号を付していることからすれば, その当時における本件5社の受注及び受注予定の全体的な状況を把握するために作成されたものと推認することができる。 さらに,A16が所持していたノートの別のページに記載された手書きのメモ(甲サ95)には,略称による5社の数値として,A16メモ①の左端の各社の数値と同一の分数値(ただし,B4の分子は,A16メモ①には「14262」とあるが,甲サ95号証には「14252」とある。)が記載され,この分数値を小数値に改めて記載した上で,その小数値の少ないものから順番に番号を付してあることからすると,A16は,このような各社の受注及び受注予定の全体的な状況の把握をある程度継続的に行っていたことが推認できる。 ウA16が所持していたノート(甲サ106・3枚目。以下「A16ノート②」という。)の記載また,A16ノート②には,上記イに類似する計算結果が示されているが,このページには,本件5社のほか,B21及びB6を示すアルファベットの略称が加えられ,合計7社について分数値及び順位を示す番号が記載されている。 A16ノート②には,「西村山」(西村山広域行政事務組合工場工事(別紙1・番号81)。平成10年5月25日,B3が落札),「米子」(米子市工場工事(別紙1・番号83)。 を示す番号が記載されている。 A16ノート②には,「西村山」(西村山広域行政事務組合工場工事(別紙1・番号81)。平成10年5月25日,B3が落札),「米子」(米子市工場工事(別紙1・番号83)。平成10年6月2日,B1が落札),「津島」(津島市ほか十一町村衛生組合工場工事(別紙1・番号84)。平成10年6月10日,被告が落札)の3工事のトン数が記載されている(なお,これら3工事の処理能力の合計は700トンであり,各社の分数値の分母に加えられた数値と合致する。)。上記の各工事の落札者について,当該工事の分子の数値をトン数分加えている点も,同様である。(甲サ29)そして,これら3工事は,いずれも上記7社が指名されている(なお,米子市工場工事は,7社に加え,B8及びB7の合計9社)ことからすると,A16ノート②は,A16が,これらの工事について,7社が指名された工事につき,その処理能力トン数を分母に加え,落札者の分子にのみ処理能力トン数を加算することにより,7社の入札の状況を数値化して把握していたものと推認することができる。 エB5・A15の書類(甲サ107)B5のA15の所持していた「H07.11.30現在(H8/2調整済)」と題する2枚の表(甲サ107)には,本件5社にB21及びB6を加えた7社ごとに小数値が記載されている。この表には,前回と現状との数値の変更内容は,平成7年11月30日に行われた東金市外三町清掃組合工事(別紙1・番号44)の入札に参加した会社の「A」欄に,同工事の処理能力トン数に他の物件による修正等をした数値を加算するなどし,「B」欄には,これを落札したB4につき,受注した処理能力トン数である210を加算するなどし,その結果,算出された平成7年11月30日時点の各社の「Q」の数値の少ないものから順番に「①」から どし,「B」欄には,これを落札したB4につき,受注した処理能力トン数である210を加算するなどし,その結果,算出された平成7年11月30日時点の各社の「Q」の数値の少ないものから順番に「①」から「⑦」の番号を付して比較したことを示すものと推認される。 そして,同表には,東金市外三町清掃組合工事を含め,合計19件の工事が記載されているが,これらは,いずれも,本件5社のうちいずれかの者並びにB21及びB6の双方又はいずれかの者が指名され,受注した工事である(甲サ29)ところ,東金市外三町清掃組合工事と同様に,入札参加者の「A」欄の数値に各工事の処理能力トン数を基にした数値を加え,落札者の「B」欄の数値に当該工事の処理能力トン数を基にした数値を加えて,7社の受注状況を把握しようとしたものであると推認することができる。 オ小括以上のとおり,被告及びB5は,いずれも,本件5社ないしは7社の受注状況及び受注予定を継続的に数値によって把握していたと認められる。そして,このことに,本件5社においては,各社の受注の均衡を考慮して受注調整を行っていた旨のA1当初供述等の内容(前記(2))や,A13の上記供述(前記ア)の内容を併せ考慮すると,本件5社は,受注調整に当たり,上記数値によって表される各社の受注状況及び受注予定を考慮していたことがうかがわれる。 そして,本件5社の営業担当者の中に本件5社の受注及び受注予定の全体的な状況を数値化して積み上げる作業をするほか,本件5社にB6及びB21を加えた7社の受注状況を数値化して積み上げている者が存在することは,前記(2)ア(ア)の⑧会合で決めた受注予定者は,物件が発注された段階で会合のメンバーである本件5社以外の者(アウトサイダー)が一緒に指名された場合には,相指名業者と個別に会って,自社が受注できるように (2)ア(ア)の⑧会合で決めた受注予定者は,物件が発注された段階で会合のメンバーである本件5社以外の者(アウトサイダー)が一緒に指名された場合には,相指名業者と個別に会って,自社が受注できるように協力を求め,相指名業者に物件を受注させる必要が生じたときは,受注予定者が会合で了承を受けた後,相指名業者に受注させていた,⑨受注予定者は,指名を受けた物件について積算し,会合の出席者同士では,メンバーの本件5社を含めた各相指名業者に入札の際に書き入れる相手方の金額を電話等で連絡して協力を求め,会合のメンバー以外の相指名業者(アウトサイダー)についても,だいたい顔を知っているので,各社の営業責任者クラスの者に連絡し,受注予定者が受注できるよう協力している旨のA1当初供述を裏付けるものと評価することができる。 (7) アウトサイダーに協力を依頼していたことをうかがわせる具体的な資料アB8のエンジニアリング事業本部のA21が所持していた平成9年7月1日付けの社内検討メモ(甲サ109,140)には,「河内長野の件」の検討内容が記載されているが,この工事は,平成9年8月8日入札の「南河内清掃施設組合(第2清掃工場)」工事(別紙1・番号75)で,B3が指名競争入札から随意契約に変更された上で受注したものである(甲サ29)と推認される。 そして,同メモの記載内容によれば,この工事について,B8が,平成9年7月7日の発注者への見積書の提出に関して他社と協調するかフリーで入札するかを検討して,今回,最終的に他社の意向に従ったとしても,次回は,B3に対して他物件の要請をしやすくなるとの検討がされたことが推認される。このことから,B8は,「南河内清掃施設組合(第2清掃工場)」工事について,受注予定者であるB3から受注の協力要請を受けていたものと推認することがで をしやすくなるとの検討がされたことが推認される。このことから,B8は,「南河内清掃施設組合(第2清掃工場)」工事について,受注予定者であるB3から受注の協力要請を受けていたものと推認することができる。 イ平成10年1月26日入札の「東京都(中央地区清掃工場)」工事(別紙1・番号80)は,本件5社,B6,B21,B7及びB9が指名競争入札に参加し,B3(JV)が落札したものである(甲サ29)。同工事については,A15リスト(甲サ89)に記載のとおり,平成7年9月28日以前においてB4が受注予定者とされていたものと推認されるところ,平成10年1月中旬の時期においても,アウトサイダーであるB9が,その建設予定地が同社の豊洲工場の目と鼻の先にあることなどを理由に受注を希望し,B4とB9の双方の営業担当部長の間で,電話による話合いなどが行われたが,話合いがつかないことから,B3とB9との間で話合いが行われ,同月21日にB9,被告,B5,B4,B21,B6及びB7の間で,同月23日午前に,B9,B1,B3及びB4との間でそれぞれ話合いが行われ,その結果,B9が,「東京都(中央地区清掃工場)」工事についてB3が受注予定者とされていた「東京都(足立工場)」工事とのバーターに乗ることで「東京都(中央地区清掃工場)」工事についての受注の希望を取り下げるなどすることとされ,同日午後に行われた上記9社の会議で,B9が「東京都(足立工場)」工事の受注予定者となり,「東京都(中央地区清掃工場)」工事についてはB3が受注予定者となり,他社はこれに協力することが確認されたものと認められる。(甲サ29,111,112,114ないし118)ウ以上によれば,本件5社はストーカ炉の建設工事における従来からの優位な立場に基づき,実際にアウトサイダーに対しても協力を依頼 たものと認められる。(甲サ29,111,112,114ないし118)ウ以上によれば,本件5社はストーカ炉の建設工事における従来からの優位な立場に基づき,実際にアウトサイダーに対しても協力を依頼していたことが明らかである。 (8) 落札率等ア本件対象期間平成6年4月から平成10年9月17日までの間(本件対象期間)に,地方公共団体が指名競争入札等の方法により発注したストーカ炉の建設工事は87件(本件5社のいずれかが落札した工事が66件,アウトサイダーが落札した工事は21件)あり,そのうち予定価格が判明している84件(本件5社のいずれかが落札した工事のうち3件については,予定価格が不明である。)について落札率(予定価格に対する落札価格の比率)をみると,アウトサイダーが受注した工事の平均落札率は89.76パーセントであるのに対し,本件5社のうちのいずれかが受注した物件(予定価格が不明なものを除く。)の平均落札率は,96.6パーセントであった。(甲サ29,146)また,本件工事については,落札率が99.49パーセントであり,被告JV以外の入札参加者の入札価格は,いずれも予定価格を上回っていた。 イ本件対象期間以降本件対象期間以降に地方公共団体が指名競争入札等の方法により発注したストーカ炉の建設工事48件の平均落札率は91.9パーセント,そのうち本件5社が受注した工事31件の平均落札率は90.1パーセント,アウトサイダーが受注した17件の平均落札率は95.2パーセントで後者が上回っている。 (9) 本件談合の存在ア前記(2)アの被告のA1当初供述及び同イないしオのB1のA8,被告のA11,A13,B4のA14の各供述に加え,それぞれ異なった証拠等から認定することのできる前記(3)ないし(8)の各事実の存在は,本件基本合意の存在なしに 初供述及び同イないしオのB1のA8,被告のA11,A13,B4のA14の各供述に加え,それぞれ異なった証拠等から認定することのできる前記(3)ないし(8)の各事実の存在は,本件基本合意の存在なしには到底起こり得ないことであり,以上によれば,本件5社は,ストーカ炉の建設工事における従来からの優位な立場を背景として,少なくとも平成6年4月以降平成10年9月17日までの間(本件対象期間),地方公共団体が指名競争入札等の方法により発注するストーカ炉の建設工事について,受注機会の均等化を図るため,本件基本合意をし,本件基本合意のもと,本件実施方法によって,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしてきたものと認められる。 そして,⑩A1が会合に出席するようになってからは,被告が受注予定者となった物件のほとんど全ては予定どおり被告が受注している旨のA1当初供述(前記(2)ア(ア))及び本件対象期間におけるストーカ炉の建設工事の市場の状況(前記(8)ア)を考慮すれば,本件基本合意は,本件5社において相当程度拘束力を有するものであったと認められる。 そこで,本件工事について,本件基本合意に基づく本件談合が行われたと認められるか否かを検討する。 イ本件5社が,本件対象期間に本件基本合意を行っていたと認められることは前記アのとおりであって,本件入札も本件対象期間内である平成9年12月24日に実施されたものであるところ,前記(3)ウのとおり,A15リスト(甲サ89)で本件5社の略称が付されたストーカ炉の工事は,本件5社が受注予定者を決定したものであることが推認されるから,被告の略称の付された本件工事については,本件5社が被告を受注予定者として決定したと認めることができる。 そして,以上によれば,本件5社は,本件基本合意に基づいて,本件工事につい が推認されるから,被告の略称の付された本件工事については,本件5社が被告を受注予定者として決定したと認めることができる。 そして,以上によれば,本件5社は,本件基本合意に基づいて,本件工事について受注予定者である被告に受注できるよう協力していたものと推認することができ,これを覆すに足りる証拠はない。 ウ本件アウトサイダー3社に対する協力要請等(ア) 本件工事については,本件5社のほか,本件アウトサイダー3社が指名業者として本件入札に参加しているが,前記認定のとおり,本件基本合意は,アウトサイダーが入札に参加した場合,受注予定者は,自社が受注できるよう協力を求め,その協力を得るようにするという内容を含むものであった。 (イ) そして,本件5社が,本件基本合意に基づき,アウトサイダーから協力を得ていたことは,以下の証拠等から明らかである。 a被告のA1は,⑧会合で決めた受注予定者は,物件が発注された段階で会合のメンバーである本件5社以外の者(アウトサイダー)が一緒に指名された場合には,相指名業者と個別に会って,自社が受注できるように協力を求め,相指名業者に物件を受注させる必要が生じたときは,受注予定者が会合で了承を受けた後,相指名業者に受注させていた,⑩A1が会合に出席するようになってからは,被告が受注予定者となった物件のほとんど全ては予定どおり被告が受注している旨供述している(甲サ28,46)(前記(2)ア(ア))。 bB1のA8は,本件5社のほかに,B21,B6,B7又はB8が参加して指名競争入札が行われ,B1が受注予定者となっている場合には,その4社とも話合いを行う旨供述する(甲サ44)とともに,A8メモ(甲サ35)には,本件5社が中核メンバー,B21とB6が準メンバーで,B7とB8等は話合いの余地がある旨の記載がある(前記( には,その4社とも話合いを行う旨供述する(甲サ44)とともに,A8メモ(甲サ35)には,本件5社が中核メンバー,B21とB6が準メンバーで,B7とB8等は話合いの余地がある旨の記載がある(前記(2)イ(ア))。 A8メモには,本件5社が受注予定者を決定した物件に,アウトサイダーが入ったときは,たたき合いとなるが,補填等はされない旨が記載されているが,これは,上記のA8メモ等の記載を考慮すると,アウトサイダーとの間で調整のための努力をすることを当然の前提とするものと解される(前記(2)イ(ウ))。 c被告のA16やB5のA15が,本件5社にB6,B21を加えた7社の入札状況を数値化して,その受注及び受注予定の全体的な状況を把握しており,本件5社が,受注調整に当たり,上記数値によって表される各社の受注状況及び受注予定を考慮していたことがうかがわれる(甲サ106・3枚目(A16ノート②),107)(前記(6)オ)。 d本件5社及びB6,B21,B8,B7の合計8社が指名業者として入札に参加した南河内清掃施設組合第2清掃工場工事において,B8が本件5社及びB6,B21,B7と受注調整を行っていたことをうかがわせる文書が存在し(甲サ109)(前記(7)ア),本件5社及びB6,B7,B21,B9が指名業者として参加した東京都(中央地区清掃工場)工事において,B9が本件5社やB6,B7,B21と受注調整を行っていたことをうかがわせる文書等が存在する(甲サ111,112,114ないし118。甲サ117号証には,「機械炉業界のルールの調査。新ざん者のひあいがあるか」などと記載されている。)(前記(7)イ)。 (ウ) また,本件対象期間に発注された工事87件のうち66件を本件5社のいずれかのものが受注しており(66件のうちアウトサイダーが入札に加わ があるか」などと記載されている。)(前記(7)イ)。 (ウ) また,本件対象期間に発注された工事87件のうち66件を本件5社のいずれかのものが受注しており(66件のうちアウトサイダーが入札に加わった工事は57件であった(甲サ29)。),アウトサイダーが落札した工事の平均落札率に比べて,本件5社のいずれかが落札した工事の平均落札率の方が高いことからすると,本件5社は,以上に説示した従来からのストーカ炉の建設工事における優位性から,アウトサイダーへの協力依頼により相当程度アウトサイダーをコントロールし,その協力を得ることが可能であったということができる。 (エ) 以上のとおり,本件5社は,本件基本合意に基づき,本件5社の間で,受注予定者を決定した工事について,アウトサイダーが入札に参加した場合,受注予定者は,自社が受注できるよう協力を求め,その協力を得るようにしていたのであり,本件5社は,アウトサイダーへの協力依頼により相当程度アウトサイダーをコントロールして,その協力を得ることが可能であった。 したがって,本件5社において被告を受注予定者として決定していた本件工事についても,本件アウトサイダー3社の協力が得られずにたたき合いになったことをうかがわせる特段の事情がない限り,受注予定者とされた被告が,本件アウトサイダー3社に対して協力を求め,その協力を得たと推認することができる。 この点,本件工事と同様にA15リスト(甲サ89)によって,本件5社が受注予定者を決定したと推認される工事のうち,「日南地区衛生センター管理組合」工事(別紙1・番号46),「久居地区広域衛生施設組合」工事(別紙1・番号52)及び「函南町」工事(別紙1・番号71)は,アウトサイダーであるB6が受注しているが,⑧会合で決めた受注予定者は,物件が発注された段階で会合のメ 「久居地区広域衛生施設組合」工事(別紙1・番号52)及び「函南町」工事(別紙1・番号71)は,アウトサイダーであるB6が受注しているが,⑧会合で決めた受注予定者は,物件が発注された段階で会合のメンバーである本件5社以外の者(アウトサイダー)が一緒に指名された場合には,相指名業者と個別に会って,自社が受注できるように協力を求め,相指名業者に物件を受注させる必要が生じたときは,受注予定者が会合で了承を受けた後,相指名業者に受注させていた旨のA1当初供述(前記(2)ア(ア)),B6が本件5社に次ぐとされる2社のうちの1社であること,A8メモにB6が準メンバーとの記載があること(前記(2)イ(ア)),A15メモによるとB4が受注予定者とされていた東京都(中央地区清掃工場)工事(別紙1・番号80)について,B3を幹事社とする共同企業体(JV)が落札した経緯(前記(7)イ)などによると,これらは,本件5社がアウトサイダーと協議し,アウトサイダーであるB6を受注予定者と決め,B6が落札したと推認されるのであり,本件5社がアウトサイダーの落札に協力したということは,少なくともその見返りあるいはバーターの元となった他のいずれかの物件の受注にアウトサイダーに協力してもらったと考えるのが合理的であり,上記推認を妨げるものではない。 これに加え,本件入札において,本件アウトサイダー3社を含め被告JV以外の入札参加者の入札価格はいずれも予定価格を上回っていたものであり,唯一予定価格の範囲内であった被告JVの落札率は99.49パーセントという著しく高い割合であったなどの事情は,本件アウトサイダー3社の協力を得たことを推認させるものであり,本件入札において本件アウトサイダー3社の協力が得られずにたたき合いになったことをうかがわせる事情はないから,被告は,本件ア の事情は,本件アウトサイダー3社の協力を得たことを推認させるものであり,本件入札において本件アウトサイダー3社の協力が得られずにたたき合いになったことをうかがわせる事情はないから,被告は,本件アウトサイダー3社に対して協力を求め,その協力を得たと認めるのが相当である。 エ被告の主張について(ア) 被告は,原告の主張は,本件談合の具体的内容(日時・主体・場所・内容)を特定しておらず,不法行為に基づく損害賠償請求の要件事実の主張として不十分である旨主張する。 しかし,まず,本件訴えの対象とされた本件事務組合の被告に対する不法行為による損害賠償請求権は,談合の対象となった工事及び当該工事の受注予定者が入札参加者間の合意により事前に決定されたこと等が主張されており,他の談合行為に関する事実と識別することが可能であるから,請求の特定に欠けるところはなく,これらの事実を主張すれば,競争原理が働かない状況下で本件工事を不正に落札したものであるということができ,請求を基礎付ける事実の主張としても十分である。 そして,被告の主張のように,請求原因事実として,原告が,個別の工事に関する談合の日時・場所等を明確に主張することが可能な事案であれば,原告はより具体的な主張をすることができ,被告も原告の主張に対応して,防御の対象や方法がより明確になり,裁判所にとっても審理の対象がより明確になり望ましいものであるが,談合行為は入札参加者間で秘密裡に行われる性質のものであることなどに照らせば,原告が個別談合の日時・場所あるいは連絡方法を具体的に特定して主張することは極めて困難であるし,仮に上記特定がなかったとしても,被告は,個別の工事に関する諸々の状況を把握し,資料も保有しているのであって,被告において,個別の工事に関する談合がなかったことを示す間接事実などを て困難であるし,仮に上記特定がなかったとしても,被告は,個別の工事に関する諸々の状況を把握し,資料も保有しているのであって,被告において,個別の工事に関する談合がなかったことを示す間接事実などを具体的に主張立証することによって防御することが可能であるから,被告に不相当な不利益を強いるものではなく,被告の上記主張は理由がない。 (イ) また,被告は,本件基本合意を前提とした場合には,本件5社の間で話合いがつかない場合に次に誰が受注予定者になるかが自動的に決まってくるメカニズム(受注機会の均等化を図るとしても,何を基準に均等にするかの受注予定者決定基準)が欠けているから,このような合意では,話合いがつかない場合に本件5社を拘束するものがないため,本件5社の間で常に個別工事に関する談合が成立するものではないので,仮に本件基本合意が存在したとしても,本件談合の存在を推認することはできないと主張する。 しかし,前記のとおり,本件基本合意は本件5社において相当程度拘束力を有していたと認められ,本件工事について,本件5者の間で話合いがつかなかったと認めるに足りる証拠はないし,本件工事について,本件5社が受注予定者を決定していたことは,A15リストの記載等からして明らかに認められるから,被告の上記主張は理由がない。 (ウ) 被告は,本件入札の落札率が高いことなどは,談合の存在とは無関係であり,落札率から本件談合の存在を推認することはできないと主張する。 確かに,落札率が高いからといってそのことのみで当該入札案件において談合の存在を推認することはできないが,逆に,当該案件について談合が行われていれば,落札率が高くなるということができるので,落札率が高いことは談合の存在を推認する一つの事情ということができるし,前記説示から明らかなように,本件基本合意が に,当該案件について談合が行われていれば,落札率が高くなるということができるので,落札率が高いことは談合の存在を推認する一つの事情ということができるし,前記説示から明らかなように,本件基本合意が存在するという前提の下で,本件入札の落札率のほかに,諸々の事情から本件談合の存在が推認できるのであって,被告の上記主張は理由がない。 (エ) 被告は,本件入札には,本件アウトサイダー3社が参加しており,本件アウトサイダー3社の協力なくして受注はできないから,被告から本件アウトサイダー3社に対して本件工事を落札受注できるように協力要請し,本件アウトサイダー3社がこれに応じたことが必要であるが,本件では,本件アウトサイダー3社(特にB7及びB8)への協力要請等を裏付ける証拠はなく,かえって,これを否定する証拠として,B21及びB6が弁護士法23条の2第1項に基づく照会に対して本件5社からの協力要請等を否定した回答書(乙8の1・2,乙9の1・2)があると主張する。 しかし,前記説示から明らかなように,本件入札においては,被告は,本件アウトサイダー3社に対して協力を求め,その協力を得たと認めるのが相当であり,また,談合に加わっていたとしても,これを会社として任意に認めるものということは,直ちにいえるものではなく(被告自身,以上のとおり談合の存在が明らかに認められる状況の下でも,本件のように談合の存在を争っているのである。),上記回答書はいずれも措信し難く,前記認定を左右するに足りないというべきである(なお,B21は,本件アウトサイダー3社には含まれていない。)。 (オ) 被告は,本件のように,プラントメーカーと建設会社とがJVを結成し,JVの名で応札することが求められる場合,プラントメーカーと建設会社とは対等な関係にあるし,また,本件では予め本件事務 )。 (オ) 被告は,本件のように,プラントメーカーと建設会社とがJVを結成し,JVの名で応札することが求められる場合,プラントメーカーと建設会社とは対等な関係にあるし,また,本件では予め本件事務組合の指定した建設会社13社の中から見積り合わせに先立ってJV構成員を指名しなければならないことからも,仮にプラントメーカーである本件5社及び本件アウトサイダー3社間において入札価格の連絡が行われたとしても,各プラントメーカーにおいて建設会社の価格をコントロールすることができず,連絡を受けた入札価格で必ずしも入札することができないから,JV方式による発注である本件工事については,プラントメーカー間における談合は実効性が欠けるものであると主張する。 確かに,本件JVらの各入札参加申請書(甲12の1ないし8)には「特別共同企業体協定書」が添付されているが,本件訴訟においてはいずれも提出されておらず,本件入札の入札参加者である本件JVらにおける各構成員の関係が証拠上明らかでない部分もあり,また本件入札について本件JVらが入札価格をどのようにして決定したかの経過は明らかでない。 しかし,別紙3(甲13)のとおり,本件JVらにおいて本件5社及び本件アウトサイダー3社はいずれも代表構成員であり,出資割合はいずれも65パーセントを超えていること,本件JVらにおいて出資割合の定めがあることからすると,本件JVらはいわゆる甲型共同企業体であると推測され,甲型共同企業体においてはJV構成員が予め定めた出資の割合に応じて資金,人員等を拠出して,いわば渾然一体となって工事を施工する方式であり,損益計算も構成員一体となった合同計算で行われ,利益(欠損)金の配分も,各構成員の出資の割合に従い配分されること,前記前提事実記載のとおり,本件5社及び本件アウトサイダー3社は 施工する方式であり,損益計算も構成員一体となった合同計算で行われ,利益(欠損)金の配分も,各構成員の出資の割合に従い配分されること,前記前提事実記載のとおり,本件5社及び本件アウトサイダー3社は,いずれも本件入札のためのJVの代表構成員に指名される以前に参考見積書を本件事務組合に提出していること,JVの第2構成員になる建設会社として13社が指名されていることなどからすると,本件5社及び本件アウトサイダー3社において本件工事がJV方式の発注であることが,本件談合における本件実施方法の妨げになったとは考えられず,他に被告の主張を裏付けるに足りる証拠はなく,被告の上記主張は理由がない。 (カ) 被告は,上記の他,本件基本合意あるいは本件談合が認められないとして諸々の主張をしているが,以上に説示したメモ等の客観的証拠は本件基本合意及び本件談合の存在を強く基礎付けるものであり,これらを核とした以上の認定を覆すに足りる証拠はない。 (10) 結論以上のとおり,本件工事については,本件基本合意に基づき,遅くとも本件入札の実施日である平成9年12月24日以前に,被告を含む本件5社の間で,被告を受注予定者とする決定をし,本件実施方法により,被告以外の本件5社において受注予定者である被告が受注できるよう協力し,被告において本件アウトサイダー3社に協力を求め,その協力を得ることにより,競争原理が働かない状況下で本件工事を不正に落札したものであり,このような被告の行為は,本件事務組合に対する不法行為を構成するものである。 争点(2)(本件事務組合の損害及び損害額)について(1) 損害の発生ア以上の認定事実によれば,本件入札において,被告は,本件談合によって,本来他の指名業者との健全な競争関係を前提として決定すべき入札価格を,競争関係を意識すること 額)について(1) 損害の発生ア以上の認定事実によれば,本件入札において,被告は,本件談合によって,本来他の指名業者との健全な競争関係を前提として決定すべき入札価格を,競争関係を意識することを全く必要とせずに,自社の利益を最大限にしながら他社との関係で最低金額となるように設定し,被告JVにおいて,最低価額で入札し,本件事務組合との間で本件請負契約を締結したことが認められる。現に,本件工事における被告JVの落札率は,99.49パーセントという著しく高い割合になっている。 したがって,本件事務組合は,本件談合によって談合行為がなく他の指名業者との健全な競争関係を前提とした場合と比べてつり上げられた本件落札価格を前提として,被告JVと本件請負契約を締結したものと認められ,本件事務組合は,被告の前記不法行為により,公正な競争を前提とする想定落札価格と本件事務組合が本件請負契約に基づき支払った価格(本件落札価格)との差額相当分の損害を被ったというべきである。 イ被告は,被告JVが本件工事を落札することができたのは,①本件工事については,B13株式会社を通じて地元の情報を早い段階から入手して,検討を進めることができたこと,②地元の有力建設会社の一つであるB11とJVのパートナーを組めたこと,③小規模ながら,全連続炉かつ廃熱回収ボイラ付きという前例の乏しい技術的課題に対して,被告の技術力や調達力を発揮してこれをクリアできたこと,④被告は本件工事の受注に向けて強い意欲をもって,コストダウンに努力したこと等の結果であって,その落札価格も適正なものであるから,仮に本件工事について本件談合が行われたとしても,本件事務組合に損害は認められないと主張する。 しかし,被告が主張する各事実を裏付けるに足りる的確な証拠はないし,仮に被告の主張する事実を考慮し から,仮に本件工事について本件談合が行われたとしても,本件事務組合に損害は認められないと主張する。 しかし,被告が主張する各事実を裏付けるに足りる的確な証拠はないし,仮に被告の主張する事実を考慮したとしても,むしろ,被告が高い情報収集能力等を駆使して,落札率を高め,被告の利益を極大化するのに役立ったであろうことがいえるだけであり,本件入札において公正な競争が行われた場合に,被告JV以外の入札参加者が,被告JVの落札価格を下回る価格で入札をする可能性がなかったことをうかがわせる事情も認められないから,被告の上記主張は理由がない。 (2) 損害額ア本件入札において,談合が行われなかった場合に形成されたであろう公正な競争を前提とする価格(想定落札価格)は,本件入札と同一の条件の下で公正な競争を前提として入札をしないことには明らかにならないものであるところ,健全な競争入札が行われた場合における落札価格は,入札に係る具体的な工事の種類・規模・場所・内容,入札当時の経済情勢及び各社の財務状況,当該工事以外の工事の数・請負金額,当該工事に係る入札の参加者数,地域性等の多種多様な要因が複雑に絡み合って形成されるものであるから,実在しない想定落札価格を立証することは性質上極めて困難であり,談合が立証された場合の損害賠償額の予定を予め請負契約で合意しておくことが望まれるが,本件ではこのような合意はない。 イ原告は,本件対象期間内におけるアウトサイダーが受注した他の類似工事の平均落札率を基に想定落札価格を認定すべきであり,本件においては,予定価格である35億1435万円に,アウトサイダーが受注した工事の平均落札率89.76パーセントを乗じた額が想定落札価格であり,本件落札価格(落札率99.49パーセント)のこれを超える部分(9.73パーセント)が原告 1435万円に,アウトサイダーが受注した工事の平均落札率89.76パーセントを乗じた額が想定落札価格であり,本件落札価格(落札率99.49パーセント)のこれを超える部分(9.73パーセント)が原告の被った損害であると主張する。 しかし,前記のように健全な競争入札が行われた場合における落札価格は,多種多様な要因が複雑に絡み合って形成されるものであるから,アウトサイダーが受注した他の類似工事の平均落札率を基準として,直ちに別の工事におけるあるべき落札価格を推認することはできず,本件工事に関する個別的な事情を考慮に入れることなく想定落札価格を認定することはできない。 現に,別紙1のうち,アウトサイダーが受注した工事(別紙1の番号7,8,12,16,23,25,30,37,42,46,48,52,63ないし65,68ないし72,78)の落札率をみると,大村市(別紙1・番号12)の52.32パーセントから比謝川行政事務組合(別紙1・番号23)の100パーセントまで相当幅のある数値となっているのであるから,これらの工事に関する個別的事情を何ら考慮することなく,単純にこれらの平均値を基に本件工事の想定落札価格を推認することはできず,原告の上記主張は理由がない。 ウ本件においては,本件事務組合に損害が生じたことは認められるものの,仮定的事実である想定落札価格の証明は,上記のとおり極めて困難であるから,損害の性質上その額を立証することが極めて困難である場合に該当するものと認められ,民訴法248条を適用して,弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき,相当な損害額を認定すべきである。上記のとおり,健全な競争入札が行われた場合における落札価格は,多種多様な要因が複雑に絡み合って形成される上,実際に工事に要した費用など損害額の立証に役立つ証拠も被告ないし談合 を認定すべきである。上記のとおり,健全な競争入札が行われた場合における落札価格は,多種多様な要因が複雑に絡み合って形成される上,実際に工事に要した費用など損害額の立証に役立つ証拠も被告ないし談合を行った側に偏在しているから,談合が価格形成に及ぼした影響を明らかにすることは容易なものではない。したがって,このような損害の額について高度の蓋然性を要求することは民訴法248条の趣旨を没却することになりかねない上,そもそも不法行為に基づく損害賠償請求権が,社会に生起した損害の公平な分担という見地から認められていること,民訴法248条は自由心証主義(民訴法247条)のもとにおける証明度の低減を図ったものであると解されること等に鑑みると,民訴法248条による損害額の認定に当たっては確実に発生したであろうと考えられる範囲に抑えた額に限定するのは相当でなく,訴訟上提出された資料等から合理的に考えられる中で,実際に生じた損害額に最も近いと推測できる額を認定すべきである。 平成17年法律第35号による改正後の独禁法による課徴金の引き上げに関し,公正取引委員会が,過去の違反事例について実証的に不当利得を推計した結果(乙5の1・2)によると,過去の入札談合事件における,公正取引委員会の審査開始後の落札価格の下落率を算出(公正取引委員会が立入検査を行った月に実施された入札を除いて落札価格の下落率を算出)した入札談合事件による不当利得の推計値が19パーセントであること,過去のカルテル事件を含めた場合の不当利得の推計値が売上額の16.5パーセントであり,過去の入札談合・カルテル事件の約9割の事件において不当利得の推計値が売上額の8パーセント以上であること,この推計の基となったデータは公正取引委員会の違反事件審査において発注官庁等から提供された資料等を基に作成され カルテル事件の約9割の事件において不当利得の推計値が売上額の8パーセント以上であること,この推計の基となったデータは公正取引委員会の違反事件審査において発注官庁等から提供された資料等を基に作成されたものであること,それには多種多様な事件が含まれていることが認められ,前記のように不確定要素の多い中,損害額を算定するに当たっては,公正取引委員会のかかる推計結果は重要な判断資料として斟酌すべきである。 これに加えて,本件においては,上記のとおり,被告は,本件談合により,競争関係を意識することを全く必要とせずに,自社の利益を最大限にしながら他社との関係で最低金額となるように設定し,また,高い情報収集能力等を駆使して,落札率を高め,被告の利益を極大化させていたこと,実際に,被告JVの落札率は99.49パーセントという著しく高い割合であったこと,本件対象期間内におけるアウトサイダーが受注した他の類似工事の平均落札率が89.76パーセントであること(上記2(8)ア),本件対象期間以降に地方公共団体が指名競争入札等の方法により発注したストーカ炉の建設工事48件の平均落札率は91.9パーセントであり,そのうち本件5社が受注した工事31件の平均落札率は90.1パーセント,アウトサイダーが受注した17件の平均落札率は95. 2パーセントであること(上記2(8)イ),被告は,被告JVが本件工事の受注により得た利益を原価を明らかにするなどして具体的に主張立証していないこと,その他本件に現れた一切の諸事情を考慮すれば,本件において実際に生じた損害額に最も近いと推測できる額は,契約金額の8パーセントに相当する額というべきである。 (3) そうすると,本件談合により本件事務組合に生じた損害は,本件請負契約の契約金額である34億9650万円の8パーセントに相当する2億 額は,契約金額の8パーセントに相当する額というべきである。 (3) そうすると,本件談合により本件事務組合に生じた損害は,本件請負契約の契約金額である34億9650万円の8パーセントに相当する2億7972万円をもって相当と認められる。 そして,本件事務組合が,本件請負契約の契約代金全額の支払を終えた日については,平成12年4月10日と認めるのが相当である(被告は,答弁書(平成20年1月12日付け)2頁で平成12年4月10日までに請負金額全額の支払が完了した事実を認めていたので,同日までの支払について自白が成立しており,準備書面(1)(平成20年5月19日付け)4頁で,平成12年4月10日の支払を否認しているが,上記自白の撤回が許容される事情はない。)。 したがって,被告は,不法行為に基づく損害賠償として,原告に対し,2億7972万円及びこれに対する請負代金の支払が完了した日である平成12年4月10日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。 結論 よって,原告の請求は,被告に対し,2億7972万円及びこれに対する請負代金の支払が完了した日である平成12年4月10日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから,これを認容することとし,上記金額を超える額の支払を求める部分は,理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第8部裁判長裁判官長谷川恭弘裁判官濱本章子裁判官鈴木喬(別紙及び別表添付省略)
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