【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人前堀政幸、同折田泰宏、同中村広明、同加地和、同三谷健の上告理由 につ
主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人前堀政幸、同折田泰宏、同中村広明、同加地和、同三谷健の上告理由 について 原審は、(一) 被上告人らの二男である亡Dは、上告人が設置するA大学に昭和 五八年四月に入学し、応援団に入団したが、同年八月二八日、二九日に学外で実施 された応援団の夏期合宿練習において、上級生から気合入れの名の下に違法な暴行 を受け、右暴行に起因する急性硬膜下血腫に基づく脳圧迫により同年九月六日死亡 した、(二) 応援団は、学生の自治組織である学友会から公認されない有志団体と して結成され、大学構内の建物の一部を上告人に無断で占拠し、部室として使用し ていたが、上告人から黙認されており、構内において練習を続けていたほか、年一 回講堂を借り、乱舞祭と名付けて、学長の挨拶文も掲載されたパンフレットまで用 意し、練習の成果を学内で発表していた、(三) 昭和四六年ころ以降大学の非常勤 講師が応援団相談役に就任しており、また、昭和五六年に学内で開催された講演会 を一部の学生が妨害する挙に出た際、大学当局が応援団に当該講演者の警護を依頼 したこともあった、(四) 応援団においては、気合入れの名の下に、上級生から下 級生に対する、手拳で顔面を殴る、腹部などを足蹴りし、竹刀で臀部を殴るなどの、 度を超える違法な暴力行為が恒常的に公然と行われ、大学当局もこれを十分に承知 していた、(五) Dが入団した昭和五八年四月以降、大学当局に対し、応援団に入 団した新入生の退団希望を認めてもらえない等の苦情が持ち込まれ、顔面打撲の診 断書を示す者さえあったので、同年六月、大学の各部長を構成員とする執行部会議 は、自由な退団を認めるよう応援団を指導することを決め、学生部長が応援団の幹 - 1 - 部 の苦情が持ち込まれ、顔面打撲の診 断書を示す者さえあったので、同年六月、大学の各部長を構成員とする執行部会議 は、自由な退団を認めるよう応援団を指導することを決め、学生部長が応援団の幹 - 1 - 部である上級生らにその旨を伝え善処を求めたが、右幹部らは、殴ることも練習の 一部で暴力ではないと弁明し、その論は社会的に通用しないという同部長の説得に も応じなかった、(六) そして、応援団は、その後も気合入れを伴う練習を続け、 大学当局側は直接これを是正させる措置を採らなかったところ、本件死亡事故が発 生した――以上の事実を確定した上、右事実関係の下においては、同大学の執行部 会議、教授会等は、応援団に対し、暴力行為を止めるよう強く要請、指導し、応援 団がこれに従わない場合には、部室として使用されている建物の明渡しを求め、あ るいは練習のための学内施設の使用を禁止し、応援団幹部に対する懲罰処分(停学、 退学など)を行うなどの具体的措置を採る義務があったのに、これを怠った過失が あり、したがって、上告人は不作為による不法行為に基づく責任を負うと判示した。 原審の右事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯するに足りるところ、 右事実関係の下においては、上告人の被用者である前記執行部会議、教授会等の構 成員たる職員は、原判示の具体的な作為義務を負うに至ったものであり、かつ、こ のような措置を採ることは上告人の事業の範囲に属するものと解されるから、上告 人には民法七一五条一項に基づく責任があるというべきである。上告人の責任を肯 定した原判決の判示中には、学校法人自身の在学契約上の義務と当該学校法人の被 用者の不法行為法上の注意義務とを混同しているかのような部分があって、その説 示において必ずしも適切でない憾みがあるが、以上の趣旨をいうものとしてこれを 是認することができる。論旨 務と当該学校法人の被 用者の不法行為法上の注意義務とを混同しているかのような部分があって、その説 示において必ずしも適切でない憾みがあるが、以上の趣旨をいうものとしてこれを 是認することができる。論旨は、採用することができない。 よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主 文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷 裁判長裁判官 坂 上 壽 夫 裁判官 貞 家 克 己 - 2 - 裁判官 園 部 逸 夫 裁判官 佐 藤 庄 市 郎 裁判官 可 部 恒 雄 - 3 -
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