平成18年12月19日宣告平成17年(わ)第1919号,第2100号,第2602号,平成18年(わ)第439号住居侵入,強盗殺人,現住建造物等放火,電磁的公正証書原本不実記録,同供用,電磁的公正証書原本不実記録幇助,同供用幇助,有印私文書偽造幇助,同行使幇助,旅券法違反幇助被告事件主文被告人を死刑に処する。 理由 第1被告人の身上経歴等被告人は,昭和25年10月17日,鹿児島県伊佐郡において出生し,幼少時における父母の離婚後は父の家庭で成育した。被告人は,中学卒業後,父が教員として勤務する鹿児島県内の私立高校に進学したが,中途退学し,大阪市内の会社に勤務する傍ら定時制の高校に通って卒業し,昭和52年に,勤務先で知り合った女性と婚姻して一男をもうけた。しかし,被告人は,その後,競馬等のギャンブルにのめり込み,借金を重ね,昭和54年ころ,退職し,その後,妻とも離婚し,転職や転居を繰り返すようになった。被告人は,自動車の無免許運転等で,昭和58年3月25日,有印私文書偽造,同行使,道路交通法違反の罪により懲役10月(3年間執行猶予)に処せられ,その後,同居していた女性の金品を盗むなどして,昭和61年12月1日,窃盗の罪により懲役1年4月に処せられ,A医療刑務所に服役し,さらに,交際相手のタイ人女性が所属する売春クラブの使用者のタイ人女性と,交際相手の女性を束縛から解放するための話合いをした際,口論となり,激情にかられて同女を電話コードで絞殺し,同女の部屋にあった現金等を盗んだことで,平成元年10月11日,殺人,窃盗の罪により懲役12年に処せられた。 第2B株式会社社長宅における住居侵入・強盗殺人・現住建造物等放火事件(以下「B事件」という。平成17年11月11日付け起訴状記載の公訴事実) (犯行に至る経緯)被告人は, 2年に処せられた。 第2B株式会社社長宅における住居侵入・強盗殺人・現住建造物等放火事件(以下「B事件」という。平成17年11月11日付け起訴状記載の公訴事実) (犯行に至る経緯)被告人は,上記のとおり,殺人,窃盗の罪により懲役12年に処せられ,平成元年10月26日からC刑務所に服役することになった。丙は,共犯者と資産家の会社社長らを監禁するなどして現金約3億円を強奪したことにより,平成3年11月28日,強盗,監禁の罪により懲役12年に処せられ,平成4年2月18日から同刑務所に服役することになった。 被告人は,同刑務所の印刷工場に配属されていたが,同年3月12日から丙が同じ工場の被告人と同じ班に配属され,平成7年12月14日からは,丙と同房になり,次第に親しくなっていった。丙は,まわりの同房者等に対し,前は,資産家の家に押し入って人質を取って3億円を奪い,海外で豪遊して帰ってきたなどと繰り返し自慢したり,出所後は金持ちの社長の家を襲って億単位の金を奪う,証拠を残さないように家人を皆殺しにして火を点ける,成功したら他人名義の偽造パスポートを作って海外に行き遊んで暮らす,などと将来の犯行計画について話したりしていたが,多くの者は非現実的な話と考え,軽く聞き流していた。 被告人も,当初,丙の話に半信半疑であったが「すごいですね」などと言,って適当に話を合わせているうちに,丙から,B株式会社をはじめとする多数の会社の名称,住所,取締役の名前,資本金,株価,借金状況,大株主の持ち株比率等の情報を雑誌等を読んで研究し,これを詳細にメモしたノートを見せられ,大金を動かすことができるワンマンの経営者を狙っていること,会社の負債や持ち株比率などからBが有力候補であること,同社からは10億円くらい取れそうであることなど具体的な話をされるようになり せられ,大金を動かすことができるワンマンの経営者を狙っていること,会社の負債や持ち株比率などからBが有力候補であること,同社からは10億円くらい取れそうであることなど具体的な話をされるようになり「甲さん,一緒に,やらないか。奪った金は折半しよう」などと犯行を持ち掛けられたため,研。 究熱心な丙に感心し「やります」と答えたが,出所は先の話でもあり,ま,。 だ本気で考えてはいなかった。しかし,被告人は,その後も,丙から繰り返し上記ノートを見せられたり事件の計画について話をされ,何度も一緒にやろう と誘われ,丙が本気で自分と一緒に犯行を行おうと考えていると思うようになった。被告人は,当時,自分のように殺人事件を起こし,10年以上も刑務所に服役する人間は,世間から冷たく見られると思い,出所後の生活に夢も希望も持てずにいたところ,丙から億単位の大金を手に入れる事件をやろうと誘われたことで,丙と事件を起こして大金を得れば,好きな旅行や女遊びに金を使うことができるようになると考えるようになり,この際丙を信頼して勝負に出るしかないと考え,平成8年終わりころまでには,丙と犯行計画を実行する意思を固め,その旨丙に伝えた。 被告人は,その後も,印刷工場の暗室で作業している時や食事の時などに,丙と,事件をどのような方法でやるかについて,Bの社長など東京周辺の資産家を狙い,家に押し入って家人に銀行等から大金を用意させてこれを強奪し,証拠を残して捕まらないよう家人を皆殺しにして家に放火することなどを何度も話し合い,平成9年12月ころ,丙と別の房に移ることが分かると,丙と出所後の連絡先を交換し,丙から,被告人が先に出所したら,犯行に使用するためのアパート,自動車及び資金100万円を用意しておくよう頼まれた。 被告人は,同月12日,丙とは別の房に移り,平成1 と,丙と出所後の連絡先を交換し,丙から,被告人が先に出所したら,犯行に使用するためのアパート,自動車及び資金100万円を用意しておくよう頼まれた。 被告人は,同月12日,丙とは別の房に移り,平成10年3月23日,働く工場も別になったため,刑務所内で丙と会うことはなくなった。 被告人は,平成12年5月23日,仮出獄によりC刑務所を出所し,しばらくは更生保護施設に寄宿して職を転々とし,保護観察期間終了後は施設を出てアパートの一室を借り,知人らと浮浪者の名義を利用して携帯電話を購入し,外国人等に転売するなどして金を稼いだ。 その後,被告人は,その仕事から手を引くことにしたが,その際,Dを含む数名の浮浪者の個人情報及び印鑑を入手した。 被告人は,平成13年9月ころ,C刑務所で知り合い同じころ出所した群馬県佐波郡に住むEを頼って,同人宅に居候するようになったが,まじめに働く気はなく,D名義を利用して消費者金融から借入れをするために,後記第5の 1の犯行に及び,Dの住民登録を不正にE方に異動させた上,国民健康保険証等を入手し,これを身分証明書として用いてD名義で借金をし,借りた金でフィリピンに旅行に行ったり,パチンコに興じるなど無為徒食の生活を送り,同年12月から,Eの紹介で運転手の仕事を始めたものの,楽をして大金を得ることはできないかなどと考えていた。 被告人は,平成14年5月中旬ころ,そろそろ丙が仮出獄してくるころだと考え,もし丙がまだC刑務所で話し合った犯行計画を被告人と実行する気持ちが残っていれば一緒にやりたいと思い,丙から出所後の連絡先として教えられていた同人の妻の父の電話番号に電話をかけ,丙の仮出獄が同年6月下旬であることを教えられると,自己の携帯電話の番号を教えて丙が出所したらその番号に連絡を寄こすように伝言を依頼し,同月11日,丙 られていた同人の妻の父の電話番号に電話をかけ,丙の仮出獄が同年6月下旬であることを教えられると,自己の携帯電話の番号を教えて丙が出所したらその番号に連絡を寄こすように伝言を依頼し,同月11日,丙を迎え入れるため,群馬県伊勢崎市内のアパートの一室を借りて,そこに住むようになった。 被告人は,同月25日,仮出獄した丙から電話連絡を受け,翌26日,同人をF駅に迎えに行き,同月27日未明,同人を連れて上記アパートに戻った。 被告人は,丙が,同アパートに到着して一息つくと「Bの社長の家をやる。 ,甲さん,気持ちは変わっていないか」などと切り出し,C刑務所の中で話し。 合った犯行計画を実行する気持ちに変化がないか確認し,改めて「10億くらいは手に入る」などと言ってきたことから,被告人としても,丙に計画を実行する気持ちが残っていればやるつもりでいたため,即座に「大丈夫だよ。やりましょう」と答え,その場で丙がC刑務所の中で立てていた計画を再度確認。 し,億単位の金員を強取できるものと期待した。被告人は,その際,丙から,事件を起こした後に警察からのマークを避けたり海外逃亡できるように他人名義のパスポートを作りたいと相談され,丙が逮捕されれば自分の身も危なくなると考えたことから,これに協力することにし,ちょうどD名義の住民票等を持っていたことから,後記第5の2の犯行に及んだ。 被告人は,丙がBの社長宅(以下「G宅」という)を下見するなどして収。 集した情報をもとに,同年7月下旬ころまでに,丙との間で,G宅を狙う計画を同年8月5日に実行すること,具体的な手順としては,昼間に,宅配業者を装ってG宅に侵入し,在宅している女性を人質に取り,社長が帰宅したら,電話で銀行から現金を持参させてこれを強取し,逃走する時は社長や家族を皆殺しにして家に火を点けることなど ては,昼間に,宅配業者を装ってG宅に侵入し,在宅している女性を人質に取り,社長が帰宅したら,電話で銀行から現金を持参させてこれを強取し,逃走する時は社長や家族を皆殺しにして家に火を点けることなどを取り決めた。被告人と丙は,犯行当日までに,犯行に使用する段ボール,刃物,布粘着テープ,缶入り混合ガソリン等を用意し,丙とともに犯行に使用する自動車を駐車しておく場所やG宅を下見するなどし,最寄りのH駅から離れたI駅近くの駐車場を使うこととするなどの準備を進めた。 被告人は,同月5日,丙と共に,被告人が運転する自動車で下見をしておいた駐車場に向かい,午前11時30分ころ,同駐車場に駐車して,そこから電車及び徒歩でG宅に向かった。 (罪となるべき事実)被告人は,丙と共謀の上,民家に押し入り家人に暴行脅迫を加えて金品を強取した上,その犯跡を隠ぺいするため,家人を殺害するとともに同民家に放火してこれを焼損しようと企て,平成14年8月5日午後3時ころ,千葉県松戸市a丁目b番地のc所在のG方を宅配業者を装って訪問し,応対に出たGの長女Jをして1階玄関ドアを開けさせて同居宅内に押し入った上, そのころ,同所において,前記J(当時40歳)及びその母K(当時66歳)に対し,所携の刃物ようの物を前記Jに突き付け,両名の両手首をネクタイようの物でそれぞれ縛り上げ,その各口部及び前記Jの眼部に布粘着テープを貼り付けるなどの暴行を加え,その反抗を抑圧して,前記Gほか1名所有に係る現金数十万円及び腕時計5個ほか5点(時価合計約966万円相当)を強取し,さらに,いずれも殺意をもって,(1)丙において,同所2階主寝室で,前記Jの頸部にネクタイを巻き付けて絞め付けるなどし,よって,そのころ,同室において,同人を頸部圧迫 により窒息死させて殺害し,(2)被告人におい をもって,(1)丙において,同所2階主寝室で,前記Jの頸部にネクタイを巻き付けて絞め付けるなどし,よって,そのころ,同室において,同人を頸部圧迫 により窒息死させて殺害し,(2)被告人において,同所1階居間で,前記Kの頸部にネクタイようの物を巻き付けて絞め付けるなどし,よって,そのころ,同室において,同人を頸部圧迫により窒息死させて殺害し, 同日午後3時30分ころ,同所において,同所2階主寝室ベッド上及び1階居間床上に混合ガソリンをまいた上,これらに所携のライターでそれぞれ点火して火を放ち,その火を1階居間の壁及び天井等に燃え移らせ,よって,現に前記Gらが住居に使用する同人方(鉄筋コンクリート造亜鉛メッキ鋼板葺2階建,床面積合計約214.81平方メートル)1階居間の壁及び天井等合計約83平方メートルを焼損したものである。 第3東京都目黒区内の歯科医師宅における住居侵入・強盗殺人事件(以下「L事件」という。平成18年2月3日付け起訴状記載の公訴事実)(犯行に至る経緯)B事件では,当初の計画とは異なり,G宅にある金品を強取しただけで,予想していたほどの大金を得られなかったため,被告人は,強取した金員を旅行やフィリピン女性との交際,パチンコなどの遊興費等に費消してしまうと,再びB事件のような事件を起こして大金を手に入れたいと思うようになり,平成14年9月ころ,丙に対し,また資産家を狙おうと誘った。被告人は,丙から,すぐには計画を立てられないと言われたことから,しばらくは,丙とマンション等への空き巣狙いによる窃盗を繰り返して生活していたが,どうせ捕まる危険を冒すのであれば,資産家の家に押し入り,家人を縛り上げて大金を奪う方がよいと思い,再び丙に資産家を狙おうと催促するようになった。 被告人と丙は,当初,丙が選定したゲームソフト会 が,どうせ捕まる危険を冒すのであれば,資産家の家に押し入り,家人を縛り上げて大金を奪う方がよいと思い,再び丙に資産家を狙おうと催促するようになった。 被告人と丙は,当初,丙が選定したゲームソフト会社の社長宅を狙おうと考えたが,同月10日ころ,同宅の下見に行ったところ,防犯設備が整っていたことから,同宅を狙うことを断念した。しかし,その帰宅中,丙が,医者であ れば金を持っているであろうと考え,立ち寄ったコンビニエンスストアの前の公衆電話から取ってきた職業別電話帳を調べ,M歯科医院(以下,単に「歯科医院」という)を経営するNの自宅(以下「N宅」という)を狙うことを。 。 提案すると,被告人はこれを承諾した。 被告人は,同月19日,丙と歯科医院やN宅周辺を下見し,その後,丙において具体的な計画を立て,夕方,歯科医院の前でNが帰宅するために出てくるのを待ち,家まであとをつけて,Nが家に入るときにナイフで脅して家に押し込み,監禁して金を出させることとし,金を奪った後,家人を殺して逃走することについても当然に計画の内容とされた。被告人と丙は,その後,犯行に使用するナイフと手袋を用意し,同月23日,翌日に計画を実行することを決めた。 被告人と丙は,同月24日,被告人が運転する車で歯科医院に赴き,少し離れた場所に車を駐車すると,再度N宅を下見し,歯科医院の診療終了時刻が近づくと,歯科医院付近でNが帰宅するため出てくるのを待っていた。しかし,Nが一向に出てこなかったことから,被告人と丙は,Nが出てきたのを見逃したかもしれないと考え,丙はN宅に向かい,被告人は歯科医院の前に残って丙からの電話連絡を待つことにした。 (罪となるべき事実)被告人は,丙と共謀の上,民家に押し入り,家人に暴行脅迫を加えて金品を強取した上,口封じのため家人を殺害しようと企て,平 歯科医院の前に残って丙からの電話連絡を待つことにした。 (罪となるべき事実)被告人は,丙と共謀の上,民家に押し入り,家人に暴行脅迫を加えて金品を強取した上,口封じのため家人を殺害しようと企て,平成14年9月24日午後6時30分ころ,東京都目黒区d丁目e番f号N方勝手口ドアから同居宅内に押し入り,同所において,上記N(当時71歳)に対し,丙において,殺意をもって,所携の刃物で同人の左側胸部を突き刺すなどしてその反抗を抑圧し,同人所有の現金約35万円及びカレッジリング1個(時価3万円相当)を強取した上,更に被告人において,殺意をもって,同人の頸部をタオルで締め付け,よって,そのころ,同所において,同人を左側胸部刺創による左肺損傷に起因 した胸腔内出血及び絞頸による窒息により死亡させて殺害したものである。 第4千葉県我孫子市内の会社社長宅における住居侵入・強盗殺人事件(以下「O事件」という。平成17年12月28日付け起訴状記載の公訴事実)(犯行に至る経緯)被告人は,L事件で手に入れた強取金を数週間で費消すると,金銭に窮し,再び丙と空き巣狙いによる窃盗を繰り返す生活をしていたが,どうせ警察に捕まる危険を冒すのであれば大金を得たい,B事件をやっている以上,あと1人,2人殺しても死刑になるのは変わらないなどと考え,同年10月上旬ころ,再び丙に資産家を狙おうと誘った。丙は,以前来店した時に活況ぶりが印象に残っていたPが経営する株式会社Pコインの金券ショップを狙うことを思いつき,同年11月15日ころ,被告人にその旨提案すると,被告人はこれに賛成した。 被告人と丙は,同月18日ころ,上記金券ショップを下見したところ,同店は防犯設備があってそのまま押し入るのが難しそうであったため,Pを拉致して同店に連れて行き,同人に鍵を開けさせて押し入ることとし, 被告人と丙は,同月18日ころ,上記金券ショップを下見したところ,同店は防犯設備があってそのまま押し入るのが難しそうであったため,Pを拉致して同店に連れて行き,同人に鍵を開けさせて押し入ることとし,Pを拉致する方法としては,帰宅途中のPを襲う方法をとり,それが無理であれば,B事件と同様に,先に家に押し入って家人を監禁して人質にし,帰宅したPを捕まえる方法をとることとした。そこで,被告人らは,同日,帰宅するPを尾行して同人が住むアパート(以下「P宅」という)を突き止め,現場付近の状況を下。 見し,Pの下車駅からP宅までの間に同人を拉致することを決めた。また,被告人と丙は,同月19日,犯行に使用する手錠と催涙スプレーを購入し,P宅に侵入する場合は警察官を装うこと,翌日に計画を実行することなどを決めた。 被告人と丙は,同月20日朝,警察官を装うためスーツを着用し,包丁や催涙スプレーを封筒に入れて持ち,被告人の運転する自動車で現場に向かい,P宅を再度確認した上,午後7時ないし8時ころ,Pの下車駅で同人が出てくるのを待ったが,午後11時を過ぎてもPを見つけることができなかったため,その日に計画を実行することを断念し,警察官を装ってP宅に押し入る方法に計 画を変更した上,翌日にこれを実行することとし,その夜は,アパートまで戻らず,高速道路のサービスエリアに駐車した車の中で仮眠をとり,翌日,再びP宅に戻り,同宅及びその周辺を下見した上,B事件と同様に同宅の最寄りのQ駅から離れたR駅前の駐車場に駐車し,そこから電車及び徒歩でP宅へ向かった。 (罪となるべき事実)被告人は,丙と共謀の上,民家に押し入り,家人に暴行脅迫を加えて金品を強取した上,口封じのため家人を殺害しようと企て,平成14年11月21日午後6時10分ころ,千葉県我孫子市g丁目h番i所在の 実)被告人は,丙と共謀の上,民家に押し入り,家人に暴行脅迫を加えて金品を強取した上,口封じのため家人を殺害しようと企て,平成14年11月21日午後6時10分ころ,千葉県我孫子市g丁目h番i所在のj館k号P方を警察官を装って訪問し,応対したPの妻Sをして玄関ドアを開けさせて同居宅内に押し入った上,そのころ,同所において,上記S(当時65歳)に対し,その顔面を手拳で殴打し,後ろ手錠をかけるなどの暴行を加え,その反抗を抑圧して,上記Pほか1名所有に係る現金百数万円及び財布1個(時価約2000円相当)等を強取した上,さらに,殺意をもって,上記Sの頸部にアース用コードを巻き付けて絞め付けるなどし,よって,そのころ,同所において,同人を頸部圧迫により窒息死させて殺害したものである。 第5有印私文書偽造幇助等事件(罪となるべき事実)被告人は, Dの住民登録を不正に異動させようと企て,平成13年9月28日,群馬県佐波郡l番地m所在のT村役場(当時)において,同村役場住民課係員に対し,上記Dが同村n番地oハイツp号に転入した旨内容虚偽の転居・世帯変更届出書を提出するなどして虚偽の申立てをし,情を知らない上記係員らをして,上記T村役場に設置されている権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録である住民基本台帳ファイルにその旨不実の記録をさせた上,そのころ,同所に備え付けさせて公正証書の原本とし ての用に供し, 丙が,(1)上記Dの住民登録を不正に異動させようと企て,平成14年7月12日,同県伊勢崎市q丁目r番地所在の伊勢崎市役所において,同市役所市民課戸籍係員に対し,上記Dが同市s町t番地uに転入した旨内容虚偽の住民異動届を提出するなどして虚偽の申立てをし,情を知らない上記係員らをして,上記U市役所に設置されて 崎市役所において,同市役所市民課戸籍係員に対し,上記Dが同市s町t番地uに転入した旨内容虚偽の住民異動届を提出するなどして虚偽の申立てをし,情を知らない上記係員らをして,上記U市役所に設置されている権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録である住民基本台帳ファイルにその旨不実の記録をさせた上,そのころ,同所に備え付けさせて公正証書の原本としての用に供し,(2)上記Dの氏名を冒用して一般旅券発給申請書を偽造するなどの不正の行為により同人名義の一般旅券の交付を受けようと企て,同月26日,前橋市v町w丁目x番y号所在の群馬県パスポートセンターにおいて,行使の目的をもって,ほしいままに,外務大臣あての一般旅券発給申請書用紙の氏名欄に「D,現住所欄に「群馬県伊勢崎市s町t番地u」などと各」記入し,申請者署名欄に「D」と冒書し,これに丙の顔写真を貼付し,もってD作成名義の一般旅券発給申請書1通を偽造し,即時,同所において,同パスポートセンター係員に対し,偽造に係る上記一般旅券発給申請書を真正に作成されたもののように装い上記Dの戸籍謄本等と共に提出して行使し,群馬県知事を経由して外務大臣に一般旅券の発給を申請し,同年8月6日,同パスポートセンターにおいて,同パスポートセンター係員から,外務大臣が発行し丙の顔写真が転写された上記申請に係る上記D名義の一般旅券(旅券番号TG2422125)の交付を受け,もって不正の行為によって旅券の交付を受けた際,あらかじめその情を知りながら,同年6月27日ころ,同県伊勢崎市s町t番地u所在の被告人方(当時)において,丙に対し,上記D名義の国民健康保険被保険者証及び住民票等を手交 して上記各犯行を遂げるために必要な上記Dの氏名,生年月日,登録住居地等の個人情報を教示するなどし,もっ 告人方(当時)において,丙に対し,上記D名義の国民健康保険被保険者証及び住民票等を手交 して上記各犯行を遂げるために必要な上記Dの氏名,生年月日,登録住居地等の個人情報を教示するなどし,もって丙の各犯行を容易にさせてこれを幇助したものである。 (事実認定の補足説明) 弁護人は,判示第3のL事件について,被告人が殺意をもってNの首を絞めたとしても,丙が刃物でNの左側胸部を突き刺した行為については殺意があったとは認められず,Nがいずれの行為により死亡したか判然としない本件においては,「疑わしきは被告人の利益に」の原則に基づき,被告人にとって有利に,Nは殺意を有していない丙が刃物で突き刺した行為により死亡したと認定すべきであり,結局,Nに対しては,強盗殺人罪ではなく,強盗致死罪が成立するにとどまる旨主張する。 そこで,まず,丙が刃物でNの左側胸部を突き刺した行為につき,殺意があったか否かを検討する。 (1)弁護人は,Nの刺創は,丙がNを同人宅に押し込む際,Nからの抵抗に遭い,もみ合いの末に生じたもので,丙がまったく予期していない状況下で生じたものであるから,丙には殺意が認められない旨主張する。 (2)しかし,丙及び被告人の各供述によれば,同人らは,Nが歯科医院から帰宅するあとをつけ,Nが家に入るときに持参したナイフを示して脅し,家に押し込むことを計画していたと認められるところ,ナイフを示せば相手が抵抗しないなどといえるはずはなく,むしろ相手が抵抗する可能性は十分あるのであって,被告人らにおいても,Nから抵抗された場合にこれを排除するためにナイフを使う状況があり得ることは当然に予測していたというべきであるから,丙の刺突行為が丙のまったく予期していない状況下で生じたとの弁護人の主張は採用し得ない。 (3)かえって,関係各証拠によれ にナイフを使う状況があり得ることは当然に予測していたというべきであるから,丙の刺突行為が丙のまったく予期していない状況下で生じたとの弁護人の主張は採用し得ない。 (3)かえって,関係各証拠によれば,本件の刺突状況は,丙が,帰宅したNを 勝手口から家に押し込んだとたん,Nから両手で右手首を掴まれ,持っていたナイフを奪われそうになったためもみ合いになり,その際に上記ナイフによりNの身体に数か所の刺切創が形成されたこと,Nの主な受傷は,3か所の左側胸部刺創,後頭部から左側頭部にかけての切創及び左肘頭部を中心とした切創等であり,このうち左側胸部の各刺創は,創洞がいずれも内方に向かい,深さがそれぞれ約7センチメートル,約5.3センチメートル,約2.8センチメートルであり,最も深い刺創は,左胸腔内に入り左肺損傷を伴い,単独で致命傷となるものであること,成傷器は,刃体の長さが7.0センチメートル内外またはそれ以上,刃幅が先端から約7センチメートルのところで3センチメートル内外の先端の尖った片刃の刃器であると考えられ,被告人が供述する全長20センチメートル余り,刃体の長さ10センチメートル内外のナイフによるとしても矛盾はないことが認められ,かかる創傷の部位・程度,個数,成傷器の形状,刺突の方向等を総合すれば,丙は,十分な殺傷能力を有するナイフを用い,Nの身体の枢要部である左側胸部を刺突しているものであり,しかも3回にわたり身体の中心部に向けて刺突行為がなされていることに徴すると,これらの創傷が偶然に生成されたとは考え難く,丙が意識的に左側胸部を狙って刺突行為をくり返した事実を優に認定できるから,同人に確定的殺意があったことは明らかである。 なお,丙は,犯行後,被告人に対し,もみ合いになって倒れた際にNの腹にナイフが刺さった,1回しか刺してない 刺突行為をくり返した事実を優に認定できるから,同人に確定的殺意があったことは明らかである。 なお,丙は,犯行後,被告人に対し,もみ合いになって倒れた際にNの腹にナイフが刺さった,1回しか刺してないなどと説明し,捜査段階においても「告白書」と題する書面(甲263)において同旨の記述をしているが,上記の創傷の個数,形状等と矛盾するから,信用できない。 なお,丙は,上記「告白書」において,刺突後,Nを居間まで連行して金の所在を聞き出すなどした旨記述しているが,このことをもって丙がNの死を予期していなかったとはいえず,Nの出血状況等からすれば,当然その死を予期しうるにもかかわらず,救命措置を講じようともせず,さらに同人の両手を電 気コードで縛るなどし,その上,刺突行為後に呼び寄せた被告人に指示してNの頸部を絞めさせていること,そもそも,丙は,当初から口封じのため家人を殺害する計画であったことなどからすると,Nから抵抗された際に,これを排除するために確定的殺意をもって本件刺突行為に及んだことを認定するのに十分である。 次に,丙がNの左側胸部を刃物で刺した行為及び被告人がNの頸部を締め付けた行為とNの死亡との因果関係の有無について検討する。 (1)関係各証拠によれば,Nは,平成14年9月24日午後6時30分ころ,丙にナイフで左側胸部等を刺され,肺損傷を伴う刺創を負ったこと,その直後に丙から電話連絡を受けた被告人が歯科医院から徒歩約10分の距離にあるN宅に来た時,Nは,腹部から大量の血を流しながら,居間の床の上に倒れ,弱い呼吸をしていたこと,その後,被告人から,タオルで首を力一杯絞められると,Nは,あごが少し上がった状態で「うっ」と苦しそうな声を出し,体が。 緊張した状態になり,そのまま首を絞め続けると,カクッと首の力が抜け,その後,力が抜 被告人から,タオルで首を力一杯絞められると,Nは,あごが少し上がった状態で「うっ」と苦しそうな声を出し,体が。 緊張した状態になり,そのまま首を絞め続けると,カクッと首の力が抜け,その後,力が抜けてだらんとした状態のまま身動きをしなくなったことが認められる。 (2)一方,Nの死体を解剖し,その死因等の鑑定をした医師Uの鑑定書謄本(甲231)及び同人の検察官調書謄本(甲233)によれば,Nが絞頸時にはまだ生存しており,被告人が首を絞めると死亡したことからすれば,Nがその時点で死亡したことの直接的な原因としては,絞頸による窒息が考えられること,他方,左側胸部の刺創も単独で致命傷となりうるもので,しかも絞頸後死亡までの時間を早めた可能性があり,さらに,Nは,首を絞められている途中で,窒息死する前に失血死していた可能性や,失血死と窒息死が同時に起きた可能性も否定できない,というのである。 (3)U医師の上記説明は,絞頸による窒息と左胸部刺創による失血がいずれも単独でも死因になり得るものであるが,本件においては,絞頸行為後死亡した ことから絞頸による窒息死の可能性が高いが,その前に失血死していた可能性も否定できない,というものであるが,その場合でも,絞頸行為の影響を否定できないというべきであり,かかる意味で死因が競合しているという趣旨として合理的なものと認められるから,上記各行為はいずれもNの死亡という結果と因果関係を有すると認められる。 以上によれば,丙が刃物でNの左側胸部を突き刺した行為及び被告人がNの首を絞めた行為には,いずれも殺意が認められ,上記各行為によりNの死亡という結果が発生したと認められるから,被告人につき強盗殺人罪が成立する。 (累犯前科及び確定裁判) 累犯前科の表示宣告日・宣告裁判所平成元年10月11日・東京地 られ,上記各行為によりNの死亡という結果が発生したと認められるから,被告人につき強盗殺人罪が成立する。 (累犯前科及び確定裁判) 累犯前科の表示宣告日・宣告裁判所平成元年10月11日・東京地方裁判所罪名殺人,窃盗宣告刑懲役12年刑執行終了の日平成13年6月12日 確定裁判の表示宣告日・宣告裁判所平成17年6月29日・前橋簡易裁判所罪名窃盗幇助宣告刑懲役2年8月確定日平成17年7月14日 証拠 検察事務官作成の前科調書(乙27)(法令の適用)罰条判示第2の所為のうち住居侵入の点につき刑法60条,130条前段J及びKに対する各強盗殺人の点につき 各被害者ごとに,刑法60条,平成16年法律第156号附則3条1項により同法による改正前の刑法240条後段現住建造物等放火の点につき刑法60条,108条(有期懲役刑の刑の長期は,行為時においては平成16年法律第156号による改正前の刑法12条1項に,裁判時においてはその改正後の刑法12条1項によることとなるが,これは犯罪後の法令によって刑の変更があったときに当たるから刑法6条,10条により軽い行為時法の刑による)。 判示第3及び第4の各所為のうち各住居侵入の点につきいずれも刑法60条,130条前段各強盗殺人の点につきいずれも刑法60条,平成16年法律第156号附則3条1項により同法による改正前の刑法240条後段判示第5の1の所為のうち電磁的公正証書原本不実記録の点につき刑法157条1項不実記録電磁的公正証書原本供用の点につき刑法158条1項,157条1項判示第5の2の所為のうち電磁的公正証書原本不実記録幇助の点につき刑法62条1項,157条1項不実記録電磁的公正証書原本供用幇助の点につき刑法62条1項,158条1項,157 1項,157条1項判示第5の2の所為のうち電磁的公正証書原本不実記録幇助の点につき刑法62条1項,157条1項不実記録電磁的公正証書原本供用幇助の点につき刑法62条1項,158条1項,157条1項有印私文書偽造幇助の点につき刑法62条1項,159条1項偽造有印私文書行使幇助の点につき刑法62条1項,161条1項,159条1項不正旅券受交付幇助の点につき刑法62条1項,平成17年法律第55号附則7条により同法による改正 前の旅券法23条1項1号科刑上一罪の処理判示第2につき刑法54条1項後段,10条(住居侵入とJ及びKに対する各強盗殺人並びに現住建造物等放火との間にはそれぞれ手段結果の関係があるので,結局以上を1罪として刑及び犯情の最も重いKに対する強盗殺人罪の刑で処断)判示第3及び第4につきいずれも刑法54条1項後段,10条(各住居侵入と強盗殺人との間にはそれぞれ手段結果の関係があるので,1罪として重い各強盗殺人罪の刑で処断)判示第5の1につき刑法54条1項後段,10条(電磁的公正証書原本不実記録と同供用との間には手段結果の関係があるので,1罪として犯情の重い不実記録電磁的公正証書原本供用罪の刑で処断)判示第5の2につき刑法54条1項前段・後段,10条(丙の判示第5の2㨯の電磁的公正証書原本の不実記録とその供用との間には手段結果の関係が,判示第5の2㨯の有印私文書の偽造とその行使と不正旅券受交付との間には順次手段結果の関係があり,被告人は,1個の行為により丙の上記各犯罪を幇助したので,結局1罪として刑及び犯情の最も重い偽造有印私文書行使幇助罪の刑で処断)刑種の選択判示第2ないし第4の各罪につきいずれも死刑判示第5の1の罪につき懲役刑累犯加重判示第5の1及び2の各罪の刑につきいずれも刑法56条1項 重い偽造有印私文書行使幇助罪の刑で処断)刑種の選択判示第2ないし第4の各罪につきいずれも死刑判示第5の1の罪につき懲役刑累犯加重判示第5の1及び2の各罪の刑につきいずれも刑法56条1項,57条(前記累犯前科との関係でぞれぞれ再犯の加重) 法律上の減軽判示第5の2の罪につき刑法63条,68条3号併合罪の処理刑法45条後段,50条,45条前段,46条1項本文,10条(刑及び犯情の最も重い判示第2の罪の刑で処断し他の刑を科さない)訴訟費用の不負担刑事訴訟法181条1項ただし書(量刑の理由) 事案の概要本件は,被告人が,刑務所仲間と共謀の上,平成14年8月5日,会社社長宅に押し入り,家人2名に暴行を加えて現金等を強取した上,口封じと犯跡隠ぺい),のため,同人らを絞頸して殺害し,さらに同居宅に放火し(判示第2のB事件同年9月24日,歯科医師宅に押し入り,同医師をナイフで刺突するなどの暴行を加えて現金等を強取した上,同人を絞頸して殺害し(判示第3のL事件,同)年11月21日,別の会社社長宅に押し入り,家人1名に暴行を加えて現金等を強取した上,同人を絞頸して殺害し(判示第4のO事件,単独で,判示第2の)犯行以前に,従前入手していた浮浪者の個人情報を融資等の際に利用しようと企て,村役場に虚偽の申立てをして住民基本台帳ファイルに不実の記録をさせた上,これを同所に備え付けさせ(判示第5の1,上記強盗殺人等事件の共犯者が,)その犯行後上記浮浪者に成り代わって生活するため,上記浮浪者の個人情報を教示するなどして,共犯者が,上記浮浪者の住民登録を不正に異動させ,また,上記浮浪者名義の一般旅券を入手するのを容易にした(判示第5の2,という住)居侵入,強盗殺人,現住建造物等放火,電磁的公正証書原本不実記録,同供用,電磁的 浮浪者の住民登録を不正に異動させ,また,上記浮浪者名義の一般旅券を入手するのを容易にした(判示第5の2,という住)居侵入,強盗殺人,現住建造物等放火,電磁的公正証書原本不実記録,同供用,電磁的公正証書原本不実記録幇助,同供用幇助,有印私文書偽造幇助,同行使幇助,旅券法違反幇助の事案である。 犯行に至る経緯及び犯行の動機 本件各強盗殺人等の犯行に至る経緯及び動機は,判示第2ないし第4の各犯行に至る経緯において認定したとおりであり,被告人は,前刑で服役中,共犯者の丙に出会い,同人から資産家を狙って億単位の金員等を奪おうなどと犯行計画を持ち掛けられると,大金を手にして遊んで暮らすことを夢見て,丙と強盗殺人等を行おうと決意し,その後,仮出所して,知人の援助により更生の機会を与えられたにもかかわらず,職を転々としつつなお楽をして大金を得ることを目論み,浮浪者の住民登録を不正に異動させてその名義で借金をするなどしながら怠惰な生活を送り,丙の出所を見計らい,自ら同人の縁戚を介して接触を図った上,同人と約4年ぶりに再会するや,前記犯行計画を確認し合い,共謀を遂げ,わずか1か月余りのうちにB事件の犯行に及んだものである。そして,被告人は,10億円くらいという当初の思惑をはるかに下回ったB事件の強取金を短期間で遊興費等に費消してしまうと,再び一攫千金を狙って,B事件と同様の強盗殺人等事件を敢行するよう執拗に丙を誘い,L事件,次いでO事件の各犯行に及んでいる。 被告人は,楽に金を稼ぐためだけに本件各犯行に及んだものであり,その動機,経緯は,極めて自己中心的かつ利欲的で生命の尊厳に全く思いを致すことがないものであり,酌量の余地はない。とりわけ,B事件においては,贖罪の場である刑務所において,丙の誘いに乗って犯行への加担を決意し,丙と共に犯行計画を 的かつ利欲的で生命の尊厳に全く思いを致すことがないものであり,酌量の余地はない。とりわけ,B事件においては,贖罪の場である刑務所において,丙の誘いに乗って犯行への加担を決意し,丙と共に犯行計画を立て,出所後年数が経過しても丙の出所が近付くと自ら接触を図り,犯行意思を再確認し,遂には犯罪を実現するに至ったものであり,長期間にわたり犯意を持続した上での犯行であって,犯行実現に向けた意思は極めて強固で執ようなものである。また,L事件及びO事件においても,被告人は,B事件の被害者を殺害したことにより罪の意識にさいなまれたといいながら,丙に対し,犯行を催促し,犯行を実行するに当たって何らちゅうちょするところはなかったのであり,自らの利得のためには殺害をも意に介さない人命無視の態度が著しい。 犯行の計画性及び態様被告人は,丙の出所に備えて,謀議をするためのアパートを借り,犯行に使用 する自動車を用意し,丙の出所後は,保護観察中の丙が他人に成り済まして動き回れるよう他人の個人情報を提供し,各犯行に当たっては,まず,丙において犯行対象を選定し,丙が単独で,あるいは,被告人が同行して,現場周辺を下見して在宅状況等を下調べし,これに基づいて丙が移動手段,犯行手順,逃走経路等を計画すると,打合せの上,丙とともに,ナイフ,手袋,手錠等犯行に使用する道具を準備し,犯行当日には現場付近の状況を最終確認するなどしているのであって,本件各犯行は周到な準備の上敢行された極めて計画性の高い犯行である。 本件各犯行態様をみるに,B事件においては,宅配便業者を装って被害者に玄関の戸を開けさせ,ナイフを突き付けて居宅内に押し込み,被害者らの顔面及び手首をガムテープなどで緊縛し,被害者らから金のありかを聞き出して家中を物色して金品を強取すると,ネクタイようの物で被害者ら 関の戸を開けさせ,ナイフを突き付けて居宅内に押し込み,被害者らの顔面及び手首をガムテープなどで緊縛し,被害者らから金のありかを聞き出して家中を物色して金品を強取すると,ネクタイようの物で被害者らの首を絶命するまで力一杯絞め続けて被害者らを殺害し,さらに,犯跡隠ぺいのため,同居宅に火を点けたものであり,L事件においては,丙において,被害者宅に侵入する際,もみ合いになり被害者の左側胸部付近をナイフで3回刺突して同人に致命傷を負わせ,さらに,被告人において,腹部から血を流し,ひん死の状態の被害者の背後にまわり,細く絞ったタオルで被害者の首を締め付け,そのまま数分間渾身の力を込めて絞め続け,被害者が動かなくなった後も確実を期するためタオルを首に強く縛り付け,さらに別のタオルで再び首を絞め続けて殺害し,O事件においては,警察官を装って被害者に玄関の戸を開けさせ,ナイフを突き付けて居宅内に押し込み,被害者に手錠や猿ぐつわをし,抵抗する被害者の顔面を殴り,催涙スプレーを吹き付けるなどの暴行を加え,被害者から金品のありかを聞き出してこれを強奪すると,被告人において,電気コードで被害者の首を絶命するまで数分間締め続け,さらに電気コードを首に結んで固定したというものである。 これらの各犯行は,言葉巧みに家人を欺いて自宅の玄関の戸を開けさせ,あるいはナイフを突き付けるなどして脅すなどして居宅内に侵入し,ガムテープや手錠で拘束するなどして,室内を物色し,あるいは暴行脅迫により現金の保管場所 を聞き出すなどし,金品強取後は,情け容赦なく殺害行為に及び,長時間首を絞め続け,動かなくなった後も頸部を締め付けたタオル等を結んで固定するなどしたものであり,巧妙かつ粗暴な犯行であるばかりでなく,殺害行為については,当初から犯跡隠ぺいや口封じのために殺害する意思であ め続け,動かなくなった後も頸部を締め付けたタオル等を結んで固定するなどしたものであり,巧妙かつ粗暴な犯行であるばかりでなく,殺害行為については,当初から犯跡隠ぺいや口封じのために殺害する意思であって,確実に殺害するために執ように絞頸行為に及んでいるのであり,極めて冷酷非情で残虐な凶悪事犯というほかないのであり,そこには人間性の片りんもうかがわれないところである。 結果本件各犯行により何ら落ち度のない4名の尊い生命が奪われた結果はいうまでもなく極めて重大である。B事件の被害者であるKは,病を患いながらも夫を支え,家族との食事会や孫の成長を楽しみにしていたものであり,娘のJは,病気の母を支えながら家事を手伝い,温かい家庭の中で生活していたものである。L事件の被害者であるNは,現役の歯科医師として精力的に仕事をし,家庭では一家の支柱として頼られ,間近に控えた長男の結婚式を楽しみにしていたものである。O事件の被害者であるSは,夫を支えて家事を切り盛りする傍ら,多彩な趣味を持ち,夫婦で仲むつまじく生活していたものである。このように,いずれの被害者も,その家族と共に幸福な生活を送っていたにもかかわらず,最も安全であるべき自宅において突然襲われ,理不尽な暴行脅迫を受け,非業の死を遂げたのであるから,被害者らの受けた恐怖感,絶望感は筆舌し難く,肉体的苦痛も甚大で,大切な家族を残してその生命を断たれた無念さは察するに余りある。 B事件,L事件及びO事件の3つの事件を併せると,現金合計百数十万円のほか,時価合計約970万円相当の腕時計や貴金属類が奪われており,財産的損害も大きい。 遺族らは,最愛の家族の死という突然の悲報にさらされ,変わり果てた姿の被害者と対面させられたものであり,その悲しみと苦しみは計り知れない。各遺族らは,B事件において,いつ り,財産的損害も大きい。 遺族らは,最愛の家族の死という突然の悲報にさらされ,変わり果てた姿の被害者と対面させられたものであり,その悲しみと苦しみは計り知れない。各遺族らは,B事件において,いつも座っているソファの上でかろうじて人と判別でき るほどに焼け焦げた状態の,あるいは,ガムテープで顔面を覆われ,絞殺時に利用されたネクタイが首に巻かれたままベッドの上に倒れた状態の変わり果てた肉親の姿を目の当たりにし,L事件においては,腹部から大量の血を流して床に倒れている状態の義父を発見し,O事件においては,猿ぐつわをはめられ,首に電気コードを巻き付けられて死亡している妻の姿を発見したものであり,いずれも無惨というほかなく,遺族らの受けた衝撃は想像を絶するものがある。上記各事件は2年以上犯人が判明せず,その間遺族らは怒りと憎しみのやり場なく過ごしてきたものであり,その各処罰感情はしゅん烈を極めており,いずれも被告人に対する極刑を求めている。一方,これに対する慰謝の措置は全く講じられていない。 本件各強盗殺人事件は,4か月足らずの間に連続して敢行されたもので,特にB事件にあっては著名な企業の社長宅が襲われ,家人が2名も殺害され,居宅に放火されるなど凶悪さが際立っていたことなどからして,社会に与えた衝撃は大きい。 被告人の関与の程度弁護人は,①本件各犯行のすべての発端を作ったのも,各犯行計画を立案したのも,すべて丙であり,被告人は終始丙からの指示を受けて行動していたに過ぎず,丙と被告人との間には完全な主従関係があり,被告人の全ての行動は,丙の強い影響下,支配下にあった,②本件各犯行は,被告人のみでは行えず,丙がいたからこそ実行し得た犯行であり,その点において,被告人と丙が本件で果たした役割,重要度には決定的な差異が認められ,これらの点は い影響下,支配下にあった,②本件各犯行は,被告人のみでは行えず,丙がいたからこそ実行し得た犯行であり,その点において,被告人と丙が本件で果たした役割,重要度には決定的な差異が認められ,これらの点は最大限考慮されなければならない,などと主張する。 上記①については,B事件を発案し,刑務所内で被告人を犯行計画に執ように誘ったのは丙ではあるものの,被告人は,丙と刑務所内で別れ,先に出所して丙とも疎遠となり,その直接の影響力も及んでいなかったのであるから,その機に更生の努力をして犯行の計画については刑務所内限りのざれ言として,これを無 視することは容易であったのに,一攫千金を目論み,出所後2年間も経過した後に,自ら丙と接触を図り,再会を果たしているのであるし,L事件及びO事件に至っては,被告人の方から再三にわたり新たな犯行を持ち掛けているのであるから,本件各犯行の発端がすべて丙にあるということはできず,被告人の方から積極的に働きかけたという側面も多分にある。また,各事件において,丙が具体的な犯行対象の選定や犯行計画の立案,現場での意思決定,それに基づく被告人への指示等をしているものの,これは,丙が一方的に指揮命令を下しているというわけではなく,被告人としても丙に任せた方がよいと主体的に判断してこれらの役割を丙に任せたにすぎず,被告人がそれ以外の準備や現場での実行役を担当したことによるのであって,相互に役割分担をしたものとみるべきであるから,この点をもって丙と被告人との間に主従関係があったということはできない。 また,上記②については,本件各犯行の対象を選定し,具体的な計画を立てたのは丙であって,犯行実現に対する丙の寄与度は大きいといえるが,被告人と丙は,共同して,資産家宅を襲い,金品を強奪した上,家人を殺害し,B事件においては更に居宅を放 象を選定し,具体的な計画を立てたのは丙であって,犯行実現に対する丙の寄与度は大きいといえるが,被告人と丙は,共同して,資産家宅を襲い,金品を強奪した上,家人を殺害し,B事件においては更に居宅を放火するとの犯行を遂行する意思の下,丙において指示を与え,被告人において各被害者を殺害するなどの重要な実行行為を分担し,相互に利用補完し合って本件各犯行を遂行したものであって,両名の役割において格段の差異があるとはいえないから,この点を殊更に強調して被告人の責任を軽くみることはできない。 一般情状被告人は,判示第1(被告人の身上経歴等)のとおり,平成元年にタイ人女性を殺害するなどして殺人,窃盗の罪により長期の服役をし,矯正教育を施され,更生の機会を与えられながら,反省を深めることなく,服役後の自己の年齢を考えて将来を悲観して投げやりな気持ちとなり,更生意欲を失い,前述のとおり服役中から丙と事件を起こすことを決意し,その計画を話し合うなどしていたものであり,かかる経緯に徴すると,被告人には,前刑の罪に係る尊い人命を奪った ことに対する真しな改悛の情も贖罪の意識もうかがわれない。 そして,丙出所後は,直ちにB事件を実行に移すことを決意し,平然とその犯行を敢行し,その後は人を殺害することに対する抵抗感も鈍麻し,自ら進んで丙に対し次の犯行を働きかけ,何ら臆することなく同様の手口を用いて2件の強盗殺人事件を敢行し,その後も空き巣狙いの現行犯人として逮捕されるまでの間,丙と共に空き巣狙いを繰り返していたものである。 これらの点からすると,被告人の冷酷非情な犯罪性向は極めて根深いといわざるを得ず,その改善更生の余地を見出すのは困難である。 また,被告人は,逮捕後,B事件について追及されると,自己の胸の内に秘めておくことがつらくなって,やむなく供述し始め 罪性向は極めて根深いといわざるを得ず,その改善更生の余地を見出すのは困難である。 また,被告人は,逮捕後,B事件について追及されると,自己の胸の内に秘めておくことがつらくなって,やむなく供述し始めたものであり,このことは被告人の心中にわずかに残っていた人間性のあらわれとも評価しうるが,一方で,否認や黙秘を貫くつらさから逃れるためといった側面も否定できず,L事件及びO事件については,丙が週刊誌に告白したことを知るまでは,丙に義理立てして捜査機関に対して隠し続けていたものであって,結局,本件各犯行を自白した経緯は,被告人が真しに反省を深めたことによるものとはいい難い面がある。 結論 以上の諸事情にかんがみて量刑について検討する。 死刑が冷厳な極刑であり,窮極の刑罰であることにかんがみると,その適用が慎重に行われなければならないことはいうまでもないが,犯行の罪質,動機,態様ことに殺害の手段方法の執よう性・残虐性,結果の重大性ことに殺害された被害者の数,遺族の被害感情,社会的影響,犯人の年齢,前科,犯行後の情状等各般の情状を併せ考察したとき,その罪責が誠に重大であって,罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑がやむを得ないと認められる場合には,死刑の選択も許されるものというべきである。 なお,弁護人は,死刑制度は,憲法13条,36条に違反するなどと主張するが,死刑制度が憲法13条,36条等憲法の諸条項に違反するものでないことは, 最高裁判所の判例(最高裁昭和23年3月12日大法廷判決・刑集2巻3号191頁,最高裁昭和30年4月6日大法廷判決・刑集9巻4号663頁等)とするところであり,当裁判所としても,現時点においてこれらの判例と異なった解釈を採るべき理由はない。 そこで,前記の諸事情を考慮すると,本件各強盗殺人等事件は,これまで説 ・刑集9巻4号663頁等)とするところであり,当裁判所としても,現時点においてこれらの判例と異なった解釈を採るべき理由はない。 そこで,前記の諸事情を考慮すると,本件各強盗殺人等事件は,これまで説示したとおり,極めて重大,悪質なものであり,特に,いずれも利欲目的の強盗犯人が,犯跡隠ぺい,口封じ等の目的で,押し入った居宅に居合わせた家人を情け容赦なく殺害し,B事件においては居宅に放火までしているのであって,その悪質性は際立っていること,身体が不自由のため,緊縛され,あるいはナイフで重傷を負わされるなどして抵抗のできない被害者らの頸部を,長時間にわたり執ように絞め付け,息を吹き返すことのないようにさらに頸部を縛り付けるなどしたものであり,著しく残虐かつ執ような態様であること,殺害された被害者の数は4名もの多数に上り,結果は極めて重大であり,社会に与えた影響も大きいことなどを勘案すれば,本件各強盗殺人事件の犯行対象の選定,具体的な犯行計画の立案及び現場での意思決定に関与しなかったという点において,本件各犯行の実現に対する被告人の寄与度が丙に比すれば小さいこと,本件各犯行について自白するに至った後は,一貫して事実を認め,素直に取調べに応じ,犯行に至る経緯,犯行状況等の詳細を明らかにして事案の解明に協力していること,当公判廷においても,自ら犯した罪の重さを受け止め,極刑に処せられることを覚悟した上,本件について記憶のある限り正直に話すことが自分のつとめであるなどと述べ,犯行に至る経緯,犯行状況等を具体的に供述し,被告人なりの方法で自ら犯した罪を償う気持ちを表明し,反省の態度を示していることなど,被告人のために酌むべき事情を十分に考慮しても,やはり被告人の罪責は余りにも重大であって,罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑をもって臨むほか 持ちを表明し,反省の態度を示していることなど,被告人のために酌むべき事情を十分に考慮しても,やはり被告人の罪責は余りにも重大であって,罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑をもって臨むほかない。 よって,主文のとおり判決する。 (求刑死刑) 平成18年12月19日千葉地方裁判所刑事第1部裁判長裁判官根本渉裁判官堀内有子裁判官国分史子
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