平成24(行コ)14 埋立承認処分取消請求控訴事件(原審・山口地方裁判所平成20年(行ウ)第6号)

裁判年月日・裁判所
平成25年11月13日 広島高等裁判所 公物・公企業など
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判決文本文41,544 文字)

平成25年11月13日判決言渡平成24年(行コ)第14号埋立承認処分取消請求控訴事件 主文 1 原判決を取り消す。 2 控訴人らの訴えをいずれも却下する。 3 訴訟費用は,第1,2審とも控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 控訴人ら(1) 原判決を取り消す。 (2) (主位的請求)山口県知事が平成8年11月28日付けで国に対してなした別紙「公有水面埋立承認目録」記載の埋立承認処分を取り消す。 (3) (予備的請求)山口県知事が平成20年2月12日付けで国に対してなした別紙「公有水面埋立承認目録」記載の埋立承認処分を変更した処分を取り消す。 (4) 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 2 被控訴人(1) 本件控訴を棄却する。 (2) 控訴費用は,控訴人らの負担とする。 第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は,山口県岩国市在住の控訴人らが,米海兵隊と海上自衛隊が使用する岩国飛行場(同市α町所在。以下「岩国飛行場」という。)の沖合移設(以下「本件沖合移設」という。)に伴う同町地先の公有水面(以下「本件公有水面」という。)の埋立事業(以下「本件埋立事業」という。)に係る山口県知 事による別紙「公有水面埋立承認目録」記載の埋立承認処分(以下「本件承認処分」という。)について,主位的に,本件承認処分は,本件埋立事業においては,当初から基地機能の強化を目論んでいたのに,本件公有水面の埋立承認に係る出願に際し,本件沖合移設の目的が岩国飛行場における安全の確保と航空機騒音の緩和にあると偽ったなどの国の脱法行為を看過してなされたものであるなどと主張して んでいたのに,本件公有水面の埋立承認に係る出願に際し,本件沖合移設の目的が岩国飛行場における安全の確保と航空機騒音の緩和にあると偽ったなどの国の脱法行為を看過してなされたものであるなどと主張して,山口県知事が所属する地方公共団体である被控訴人に対し,本件承認処分の取消しを求め,予備的に,控訴人らが,山口県知事による平成20年2月12日の添付図書の変更承認(以下「本件変更承認」という。)について,同承認が行政処分に該当することを前提として,本件変更承認に係る添付図書の変更内容は実質的には公有水面埋立法(以下「埋立法」という。)13条の2が規定する「用途の変更」に該当するにもかかわらず,埋立法所定の用途変更手続(審査)が行われないまま本件変更承認がなされたなどと主張して,被控訴人に対し,本件変更承認の取消しを求める事案である。 原審は,本件埋立事業に係る本件公有水面の埋立工事(以下「本件埋立工事」という。)は既に竣功しており,本件埋立事業に係る埋立地(以下「本件埋立地」という。)を海面に回復して原状回復を図ることは社会通念に照らして法律上不可能であり,また,埋立法の建前によれば,国が行う埋立ての場合,埋立承認の効力が消滅しても,国は原状回復義務を負わないとして,本件承認処分及び本件変更承認の各取消しを求める訴えの利益は存しないとして,主位的請求及び予備的請求いずれについても訴えを不適法として却下した。 これに対し,原審の判決を不服とする控訴人らが控訴した。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実,掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者ア控訴人らは,いずれも山口県岩国市に在住する者らであり,防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律(以下「周辺整備法」という。)にい う第1種区域(騒音値 れる事実)(1) 当事者ア控訴人らは,いずれも山口県岩国市に在住する者らであり,防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律(以下「周辺整備法」という。)にい う第1種区域(騒音値75WECPNL〔加重等価継続感覚騒音レベル。 以下「W値」という。〕以上。以下,単に「第1種区域」という。)に指定された区域内及びその周辺地域に現に居住する者らである。(甲4)イ被控訴人は,本件公有水面について埋立法上の公有水面埋立承認権限を有する山口県知事が所属する地方公共団体である。 (2) 本件埋立事業の概要及び埋立承認出願に係る経緯等岩国飛行場は,岩国市街地の東端部に位置し,錦川下流の今津川と門前川に挟まれた三角州に立地する飛行場で,その北側には工場地,西側には住宅地が広がっている。岩国飛行場は,海上自衛隊が岩国航空基地として使用しているほか,在日米軍が米海兵隊岩国航空基地として使用している。 本件埋立事業は本件沖合移設に伴うものであり,本件埋立事業の概要は,国を実施主体として,飛行場の東側に隣接する本件公有水面を埋め立てて滑走路を東側(沖合)へ約1000メートル移設するというものである。本件沖合移設に関する調査は昭和48年度以降進められ,防衛施設中央審議会が昭和57年7月に,滑走路を東側へ約1000メートル移設する方法が適当との答申を行い,防衛施設庁(当時。以下,官庁名及び官職名については,全て当時のものを記す。)が平成4年8月に本件沖合移設を決定した。(乙14)その後,本件埋立事業について,平成6年9月から平成7年8月まで,閣議決定要綱に基づく環境影響評価の手続が執られた。同手続の中で,山口県知事は,本件埋立工事によって,藻場が41ヘクタール,干潟が42ヘクタール,それぞれ消失するところ,工法や汚濁防止策に配慮 で,閣議決定要綱に基づく環境影響評価の手続が執られた。同手続の中で,山口県知事は,本件埋立工事によって,藻場が41ヘクタール,干潟が42ヘクタール,それぞれ消失するところ,工法や汚濁防止策に配慮し,残存区域の保全に努めること,藻場については新たな造成や回復に向けての試験・研究をすること,干潟については周辺海域の適地での新たな造成をすること,滑走路の移設によって付近の騒音がどう変わるかの調査をするこ と,また,自然環境全般をチェックする監視委員会を設置することなどを求める旨の意見書(以下「県知事意見」という。)を提出した。(甲25の1~3,乙14)(3) 埋立承認出願,告示縦覧,主務大臣の認可及び本件処分ア以上の経過を経て,国は,埋立法42条1項に基づき,平成7年9月22日,山口県知事に対し,同日付けの公有水面埋立承認願書(以下「本件願書」という。)を提出して,本件公有水面の埋立ての承認について出願した(以下「本件承認出願」という。なお,国は,山口県知事に対する本件承認出願の外,岩国港港湾管理者の長である山口県知事に対しても,同様の承認出願手続を行い,埋立ての承認を得ているところ,本件訴訟と直接関連しないため,以後は言及しない。)。 本件願書には,「埋立地の用途」については飛行場用地と記載され,「設計の概要」として,埋立地の地盤の高さ,護岸・堤防・岸壁その他これらに類する工作物の種類及び構造,埋立てに関する工事の施行方法が記載され,配置される公共施設は該当がないと記載されている。 そして,本件願書に添付された埋立必要理由書(以下「本件埋立理由書」という。)には,「埋立ての必要性」について「本事業は,現飛行場の東側の海面を埋め立てて,そこに滑走路,誘導路,ヘリコプターエプロン,航空灯火,レーダー等の飛行場施設 理由書(以下「本件埋立理由書」という。)には,「埋立ての必要性」について「本事業は,現飛行場の東側の海面を埋め立てて,そこに滑走路,誘導路,ヘリコプターエプロン,航空灯火,レーダー等の飛行場施設や港湾施設及びそれに伴う各種施設の移設,遊水池,緑地の新設を行うものである。」,「本計画の主となるものは滑走路,誘導路等の移設である。」と記載され,「利用計画」は,「着陸帯,着陸帯付帯緑地,過走帯・過走帯付帯緑地,誘導路敷」,「ヘリコプターエプロン,飛行艇誘導路,付帯緑地敷」など,全部で12の区分に分けられていると記載され,「埋立ての規模」は,埋立区域が215万4363.15平方メートルであり,埋立区域外も含めた利用計画対象の土地面積は237万2976.40平方メー トルと記載されている。(甲2,乙19)イ本件願書を受理した山口県知事は,埋立法3条1項の規定に基づき,平成7年10月13日から同年11月2日まで,出願事項等を告示縦覧に供するとともに,同項の規定に基づき地元市町村長の意見を徴するなどした上,埋立法47条1項,埋立法施行令32条に基づき,建設大臣及び運輸大臣に対し,本件公有水面の埋立承認に係る認可申請を行った。 そして,山口県知事は,平成8年11月26日,建設大臣及び運輸大臣の各認可を受け,同月28日,本件埋立事業にかかる本件埋立工事を承認する本件承認処分を行った。(甲1)建設大臣及び運輸大臣は,上記認可に当たり,環境庁長官の意見を徴したところ,同長官は,各大臣に対し,本件埋立事業は,埋立て等について環境保全上特別な配慮が必要な瀬戸内海海域における事業であることから,①本件埋立事業の実施により,藻場及び干潟が一部消滅することから,専門家の指導,助言を得て,本埋立計画地周辺海域において,最大限,新たに藻場及び干潟の造成 な瀬戸内海海域における事業であることから,①本件埋立事業の実施により,藻場及び干潟が一部消滅することから,専門家の指導,助言を得て,本埋立計画地周辺海域において,最大限,新たに藻場及び干潟の造成に努めるとともに,藻の定着状況及び干潟の形成状況を計画的に監視する等により極力維持に努めること,また,藻場及び干潟が一部消滅することにより,本埋立計画地周辺海域の自浄能力が低下するおそれがあることから,岩国飛行場内における既存汚水処理施設への高度処理の導入等の環境対策を講じること,その他,本件埋立事業の実施により,本埋立計画地周辺海域に残存する藻場及び干潟の保全に支障が生じないよう,埋立工事の工法等に配慮するとともに,藻場等の保全状況を計画的に監視し,その結果を踏まえ,適切な措置を講じること,②工事中及び埋立地利用時における環境監視を計画的に実施し,その結果を踏まえ,適切な措置を講じることなどの措置(以下「本件措置」という。)を講じる必要があること,今後,本埋立計画地に設置する滑走路を使用する機種に変更が生じた場合において は,本滑走路を使用する機種及びその運用形態が明確になった段階で,今回実施した航空機騒音に係る環境影響評価の予測結果についてレビューを行い,その結果を踏まえ,必要に応じて適切な環境保全上の措置を講じる必要があることを内容とした意見(以下「環境庁意見」という。)を提出するとともに,当意見に関し講じた環境保全上の措置について環境庁に報告するよう求めた。これを受けて,建設省河川局長は,山口県知事に対し,環境庁意見に十分配慮するよう勧告するなどした。 (甲26,乙15)山口県知事は,本件承認処分に当たり,「願書の添付図書のうち,埋立てに用いる土砂等の採取場所及び採取量を記載した図書,埋立地の用途及び利用計画の概要を表示し 勧告するなどした。 (甲26,乙15)山口県知事は,本件承認処分に当たり,「願書の添付図書のうち,埋立てに用いる土砂等の採取場所及び採取量を記載した図書,埋立地の用途及び利用計画の概要を表示した図面及び環境保全に関し講じる措置を記載した図書を変更して実施する場合には,山口県知事及び岩国港港湾管理者の長山口県知事の承認を受けること」との事項を含め,計6項目の留意事項(別紙「留意事項」のとおり。以下「本件留意事項」という。)を付した。(甲1)ウ国は,平成20年1月8日,山口県知事に対し,本件留意事項に基づくものとして,「埋立地の用途及び利用計画の概要を表示した図面」並びに「環境保全に関し講じる措置を記載した図書」の変更(以下「本件変更」という。)に係る承認を受けたいとして,添付図書の変更承認申請書等を提出した(以下「本件変更承認申請」という。)。 本件変更は,主として,①平行誘導路等の配置及び規模の変更,②埋立地の利用に係る大気質及び騒音予測の変更等を内容とするものであり,本件埋立地の用途については飛行場用地のままで,変更の対象ではなかった。(乙3)エ控訴人らは,平成20年2月7日,本件訴訟を提訴した。ただし,同提訴時の請求の趣旨は,主位的に本件承認処分の取消しを求め,予備的に 山口県知事の本件変更承認申請に係る承認の差止めを求めるというものであり,訴状においては,審査請求を省略した理由として,近日中に山口県知事が本件変更承認申請を承認する可能性があるという事情が挙げられていた。 オ山口県知事は,平成20年2月12日,本件留意事項に基づくものとして,本件変更承認申請を承認する旨の本件変更承認を行った(ただし,後述のとおり,本件変更承認の根拠を本件留意事項に基づくものとすることの妥当性について,控訴人らは争っ ,本件留意事項に基づくものとして,本件変更承認申請を承認する旨の本件変更承認を行った(ただし,後述のとおり,本件変更承認の根拠を本件留意事項に基づくものとすることの妥当性について,控訴人らは争っている。)。(乙5)本件変更承認がなされたことを受け,控訴人らは,同月25日,本件訴訟における請求の趣旨のうち,山口県知事の本件変更承認申請に係る承認の差止めを求める部分について,本件変更承認の取消しを求める旨に変更した。 カ国は,平成20年5月14日,山口県知事に対して,埋立法42条2項に基づき,本件埋立工事についての竣功通知を行った(以下「本件竣功通知」という。)(ただし,本件埋立工事の竣功という事実の有無については,争いがある。)。(乙1) 3 争点(主位的請求関係)(1) 本案前の争点ア訴えの利益の有無イ出訴期間経過の有無ウ原告適格の有無(2) 本案の争点本件承認処分の違法性(予備的請求関係)(1) 本案前の争点 ア本件変更承認の処分性の有無イ訴えの利益の有無ウ原告適格の有無(2) 本案の争点本件変更承認の違法性 4 争点に対する当事者の主張(主位的請求関係)(1) 本案前の争点ア訴えの利益の有無(控訴人らの主張)(ア) 国が行う埋立てについて規定した埋立法42条3項が原状回復義務について規定した埋立法35条を準用していないとしても,国が行う埋立ての場合において埋立承認が取り消されてその効力が消滅したときには,以下のとおり国は原状回復義務を負うから,本件竣功通知後も,本件承認処分について取消しを求める訴えの利益は存する。 a 法治国家の下で法律は国及び国の機関をも拘束するから,法が定めた都道府県 以下のとおり国は原状回復義務を負うから,本件竣功通知後も,本件承認処分について取消しを求める訴えの利益は存する。 a 法治国家の下で法律は国及び国の機関をも拘束するから,法が定めた都道府県知事による埋立承認の性質については,行政主体たる国に対し,特定の公有水面を埋め立てて土地を造成し,竣功通知の日において埋立地の所有権を取得させる権利を設定する行為と解すべきである。 埋立法制定時の通達では,国による埋立ての場合の承認及び竣功通知について,私人による埋立ての場合の免許及び竣功認可の場合に準じて必要な手続を履践すべきこととされていた。そして,私人による埋立ての場合の竣功認可と国による埋立ての場合の竣功通知も,都道府県知事による確認行為という意味で同じである。これらのことからすれば,私人による埋立てと国による埋立ての法構造は同じというべ きである。 私人による埋立地の所有権取得は,都道府県知事の埋立免許によって,竣功認可を条件とし,原始取得として生ずる。すなわち,私人については,都道府県知事の免許により公有水面の埋立権が設定されると解される。私人による埋立てと国による埋立ての法構造は同じものとするなら,国についても,都道府県知事の承認により埋立権が設定されると解すべきである。 そうだとすれば,私人の場合と異なって,国が都道府県知事による埋立承認を得る前から本来的に埋立権限を有していると解すべき根拠はなく,国による埋立ての場合も,私人の場合と同様に,埋立承認の効力が消滅すれば土地所有権取得の根拠が失われることになり,その場合,国は原状回復義務を負うと解すべきである。また,国が竣功通知によって届け出た埋立工事の内容を都道府県知事が確認し,それが埋立承認の内容と異なっていれば,当該埋立工事は当然違法であり,原状回復等の措置 は原状回復義務を負うと解すべきである。また,国が竣功通知によって届け出た埋立工事の内容を都道府県知事が確認し,それが埋立承認の内容と異なっていれば,当該埋立工事は当然違法であり,原状回復等の措置が執られるべきである。 b 海に関する公物管理法は制定されていない。海は,その性質上,代表的な自然公物であり,法定外公共物であって,その管理は公物法一般理論によることになる。公共物については,所有権の国有という思想を排除し,むしろ一般公衆に帰属すべきものという意味で,国有財産の範疇から除外したものである。埋立法1条が公有水面を国の所有に属するものとしていることについても,単に地方公共団体又は私人等の所有に属しないものという意味に解すべきである。そして,地方公共団体の管轄の海域には,当該地方公共団体の自治権に由来する機能が当然に及び,管理権に基づいて条例によって管理すべきものである。 被控訴人は,国が元々所有権者として自然公物である公有水面を排 他的に管理している旨を主張するものの,誤りである。 c 以下のとおり,都道府県知事の埋立承認権が自主的・自律的な判断に基づき行使されるべきものであり,また,都道府県知事は埋立承認後も埋立ての結果について管理権限を有するといえることからすれば,一旦承認した後に基準を満たさないことが判明すれば,都道府県知事において承認を取り消すべきであり,その場合,国は原状回復義務を負うというべきである。 (a) 埋立法は大正10年に成立したものであるから,現在においては,地方自治体に地方自治権を認めた日本国憲法,及び機関委任事務を廃止したいわゆる地方分権一括法に適合する解釈をしなければならない。 埋立法制定当時,国による埋立承認について,都道府県知事に当たる地方長官と判断が相違する事態は想定さ 国憲法,及び機関委任事務を廃止したいわゆる地方分権一括法に適合する解釈をしなければならない。 埋立法制定当時,国による埋立承認について,都道府県知事に当たる地方長官と判断が相違する事態は想定されておらず,だからこそ,埋立法42条3項は埋立法35条を準用しなかったと考えられる。しかし,現在においては,都道府県知事による承認権限の行使は法定受託事務として自主的・自律的になされるべきであり,「免許」と「承認」という用語の相違自体に積極的な意味合いを持たせて解釈すべきでない。 (b) 埋立法42条3項が埋立法4条を準用したことにより,埋立承認に当たって,免許基準と同一の承認基準が採用された。埋立法4条1項3号では,埋立地の用途が環境保全に関する国又は地方公共団体の法律に基づく計画に違背しないことが要件とされている。環境保全に関する国又は地方公共団体の法律に基づく計画となる法令としては環境基本法が存し,同法に基づく公害防止計画は環境大臣が示す基本方針を参酌した上で,都道府県知事が策定する権限を有する。このような都道府県知事が策定する権限を有 する公害防止計画に違背しないことが埋立承認の要件とされていることの意義に照らせば,国による埋立ての承認について,都道府県知事が自律的な判断権限を有していることは,明白である。 (c) 埋立法42条による埋立法13条の2の準用により,都道府県知事は,国が行う埋立工事について,埋立地の用途,設計概要の変更の承認の権限を有していることに照らせば,都道府県知事は埋立ての結果についても管理権限を有するといえる。 d 国が行う埋立ての場合に埋立法42条3項が埋立法35条を準用していないことを根拠として,承認が取り消されたとしても国が原状回復義務を負わないという解釈によれば,国が無承認で埋立てを いえる。 d 国が行う埋立ての場合に埋立法42条3項が埋立法35条を準用していないことを根拠として,承認が取り消されたとしても国が原状回復義務を負わないという解釈によれば,国が無承認で埋立てを行ったとしても,原状回復義務を負わないことになる。しかし,このような解釈は,国が行う埋立ての承認基準について,私人が行う埋立ての場合の免許基準と同一の基準を採用した上,判断権限を都道府県知事に付与した埋立法の趣旨を没却するものであり,許されない。 e 国が行う埋立ての場合に一次的に埋立承認の許否の判断権限を持つ都道府県知事が,その権限を適法に行使せずに違法な埋立てが進められる場合に,訴えの利益が否定されて行政訴訟によって埋立承認を取り消すことができないとなれば,国が行う埋立てをフリーハンドで認めたに等しくなってしまう。 原状回復義務はクリーンハンズという普遍的な法理から導かれる実体規定というべきであるから,埋立法が,国の行う埋立てについて,私人の行う埋立てと別の手続規定を設けて便宜を図っているとしても,原状回復義務を国が負わないと解する合理的根拠はない。すなわち,国が都道府県知事に届け出た内容が,承認を受けた内容と異なれば,その埋立工事は違法な行為であり,クリーンハンズの法理により,原状回復のために必要な措置が執られるべきである。 f 原状回復義務を定めた埋立法35条は,上記a~cで述べた趣旨に基づいて実体的な義務を定めた規定であって,法治主義に照らせば,特例としての適用除外規定がない限り,当然に行政主体としての国の機関をも拘束する規定と解すべきである。すなわち,埋立法35条は確認規定にすぎず,同条の存在によって初めて生じる義務ではない。 (イ) 本件埋立工事は,以下のとおり,本件竣功通知時点において,竣功し 拘束する規定と解すべきである。すなわち,埋立法35条は確認規定にすぎず,同条の存在によって初めて生じる義務ではない。 (イ) 本件埋立工事は,以下のとおり,本件竣功通知時点において,竣功していなかった。 a 本件埋立工事が竣功したといえるためには,本件願書及び同添付図面どおりの工事が完成していること,並びに県知事意見及び本件留意事項の記載内容についても完了していることが必要である。 b しかし,本件竣功通知後の時点においても,埋立自体が完了していない水面が残存していた上,地盤改良工事が至るところで実施されており,埋立地として完工したというには程遠い状況であった。 また,本件承認出願の際には,本件埋立地の用途,利用計画の概要も示している。滑走路や誘導路の建設工事は利用計画の概要に含まれるから,埋立法42条2項の「埋立に関する工事」に当たるといえる。しかし,現在までのところ,本件埋立地上に設置される西側の平行誘導路,北側の東西誘導路,パブリック・アクセスロードの建設が完了していない。 c 県知事意見の内容に加え,環境庁意見の中で本件措置について言及されていることに照らせば,本件埋立工事が竣功したというためには,藻場・干潟の回復措置が完成することが必要というべきである。しかし,現在までのところ,藻場・干潟の回復措置は完全には履行されていない。 d 県知事意見では,滑走路の移設によって付近の騒音がどう変わるか調査することを求めているにもかかわらず,十分な調査がされていな い。 また,環境庁意見では,滑走路を使用する機種が変化した場合は,航空機騒音に係る環境影響評価の予測結果についてレビューを行うことが求められているところ,平成22年5月に新滑走路の運用が開始されてから,厚木飛行場からの空母艦載機移 使用する機種が変化した場合は,航空機騒音に係る環境影響評価の予測結果についてレビューを行うことが求められているところ,平成22年5月に新滑走路の運用が開始されてから,厚木飛行場からの空母艦載機移駐により滑走路を使用する機種が変化することは明らかである。そして,実際に付近の騒音が変化しているという現状があるから,竣功したというためには,付近の騒音について改めて調査する必要がある。 e 山口県知事は,本件承認処分に当たり本件留意事項を付しており,このような留意事項を付す権限を持つにもかかわらず,本件承認処分に当たって厳正な審査を行っていない。また,本件竣功通知について,本件埋立地が本件埋立事業の目的に沿った用途であるか,利用計画に沿っているかについて,厳正に審査する権限があるにもかかわらず,行っていない。 (ウ) 本件埋立工事の原状回復の可能性仮に本件埋立工事が竣功しているとしても,以下のとおり,本件埋立地を海面に回復して原状回復を図ることが法律上不可能とはいえない。 a 本件埋立地を海面に回復することは,物理的に全く不可能とまでいえないし,社会通念に照らし原状回復が不可能といえるか否かは,係争処分の適否,被害の程度及び原状回復による影響の大小についての一定の判断が不可欠であり,本案審理が前提とならざるを得ないのであって,訴えの利益を否定すべきでない。 b 原状回復の現実的可能性が少ないとしても,事情判決をなすか否かにおいて考慮される事柄にすぎず,訴えの利益に消長を来す事柄ではない。 c 平成17年以降明らかになった米軍基地再編の一環として,厚木 基地から岩国基地に空母艦載機部隊が移駐することが計画されて本件変更承認がなされたなどの事情変更を踏まえ,再度環境悪化についての再検討を行うべきである。 米軍基地再編の一環として,厚木 基地から岩国基地に空母艦載機部隊が移駐することが計画されて本件変更承認がなされたなどの事情変更を踏まえ,再度環境悪化についての再検討を行うべきである。 (被控訴人の主張)(ア) 国が行う埋立てについて規定した埋立法42条3項が,国以外の者が行う埋立ての場合に埋立免許の効力が消滅したとき免許権者が負担することとなる原状回復義務を規定した埋立法35条をあえて準用していないことに照らせば,本件承認処分の取消しを求める訴えの利益は,平成20年5月14日の本件竣功通知によって消滅したというべきである。 a(a) 私人が行う埋立ての場合には,都道府県知事の埋立ての免許により免許を受けた者に埋立権が設定される。これに対し,国が行う埋立ての場合には,国は本来,公有水面を直接排他的に支配し管理する権能を有しており,都道府県知事の承認の効力がなくなっても,国はこの支配権に基づき,公有水面について適法に埋立てをなし得るのであり,都道府県知事の埋立承認によって国の埋立権が設定されるわけではない。 (b) 埋立法42条1項により国が行う埋立ての場合に都道府県知事の承認権限を認める一方で,国が行う埋立ての場合に埋立工事が竣功したときについては,法の建前上,都道府県知事は国からの竣功通知を受領すること以外に権限行使の機会がなく,竣功したか否かの判断を国に任せている。国が行う埋立ての場合,埋立法13条,32条及び33条が準用されていないことからも明らかなとおり,承認以後において都道府県知事による法的統制はないのであって,1段階限りの行政行為である。これは,私人が行う埋立ての場合に,免許と竣功認可という2段階の行政行為によって法的統制がな され,その前後においても埋立ての過程に応じ 法的統制はないのであって,1段階限りの行政行為である。これは,私人が行う埋立ての場合に,免許と竣功認可という2段階の行政行為によって法的統制がな され,その前後においても埋立ての過程に応じて都道府県知事の監督権限が及ぶこと(埋立法32条~36条)と比べ,明らかに異なっている。 これらのことからすれば,埋立法42条1項により国が行う埋立ての場合に都道府県知事の承認が必要とされる趣旨は,国が本来公有水面を直接排他的に支配し管理する権能を有していることを前提としつつ,ただし,国が行う埋立工事が公有水面の管理上何らかの支障を生ずるものであるか否かについては都道府県知事の判断に任せたことにあると解され,私人が行う埋立ての場合のように都道府県知事の埋立承認によって国の埋立権が設定されると解すべきではない。 このように埋立承認時と埋立工事竣功時とで都道府県知事の権限の違いがあることについて,埋立法42条1項についての上記のような解釈によれば矛盾が生じない。すなわち,埋立開始前ないし埋立工事中は,都道府県知事が公有水面の管理上の支障の有無をチェックする必要はあるとしても,埋立工事が竣功した場合にはその必要性すら消滅するため,竣功したか否かの判断を国に任せたものと考えられるのである。 以上によれば,国が行う埋立てについては,竣功通知後に都道府県知事による法的統制が及ぶ余地がなく,原状回復義務を負う余地もない。 b 埋立法35条の原状回復義務は,公有水面の公共性を回復するために埋立てをした者に課せられる義務である。元々,自然公物である公有水面を排他的に管理している国は,埋立ての状況に応じて然るべき埋立海域の管理をなし得る立場にあるから,原状回復義務を課す必要がない。 原状回復義務の根拠を公物管理権の一作用に 公有水面を排他的に管理している国は,埋立ての状況に応じて然るべき埋立海域の管理をなし得る立場にあるから,原状回復義務を課す必要がない。 原状回復義務の根拠を公物管理権の一作用に求めるとしても,公物管理権の根拠は国の所有権に基づくのであるから,やはり国に原状回復義務を課す必要がないことになる。 そして,竣功後は,国の埋立目的に従った新たな公物管理が始まり,その管理に違法があれば,国民は個別公物管理法に則って,別途争うことができる。この点からも,国に原状回復義務を課す必要は生じない。 (イ) 本件埋立工事は,以下のとおり,本件竣功通知時点において,竣功していた。 a 埋立法42条2項の「埋立ニ関スル工事竣功シタルトキ」の内容,意義については施行令及び施行規則においても特段の規定が設けられておらず,承認権者の広範な裁量に委ねたものと解される。ただし,上記(ア)a(b)で述べたとおり,国が行う埋立てにおいては,承認以後都道府県知事による法的統制がないことからすれば,竣功したか否かの一次的な判断権者は国というべきである。 国においては,「埋立ニ関スル工事竣功シタルトキ」について,埋立工事及び完成の状態が,承認及びこれに付した条件に定める埋立て及びその工事の計画に適合している状態と解している。国が竣功通知をしている以上,国が上記状態にあることを確認したことが推認される。そして,本件埋立地は,飛行場としての供用が開始されている。 b 本件埋立工事は,飛行場用地として利用するために,公有水面を埋め立てて土地を造成するものである。本件願書の中の「設計の概要」として記載されない限り,埋立地の用途に従った土地利用に基づく施設や工作物の建築工事は「埋立に関する工事」に含まれない。誘導路等の建設 め立てて土地を造成するものである。本件願書の中の「設計の概要」として記載されない限り,埋立地の用途に従った土地利用に基づく施設や工作物の建築工事は「埋立に関する工事」に含まれない。誘導路等の建設工事は埋立地の用途に従った土地利用に基づく施設や工作物 の建築工事であるから,「埋立に関する工事」には当たらないのであり,控訴人らが主張する西側の平行誘導路,北側の東西誘導路,パブリック・アクセスロードの建設が完了していないとしても,本件埋立工事は竣功していたといえる。 c 山口県知事が平成8年11月28日に防衛施設庁広島防衛施設局長に対して環境庁意見及び県知事意見に基づいて行った要請は,埋立法に基づく権限の行使として行ったものではなく,行政指導として行ったものにすぎない。かかる行政指導を受けて,国は藻場及び干潟の造成を実施しているものの,藻場及び干潟の回復措置は本件埋立工事には含まれないから,造成によって藻場及び干潟の回復にまで至っていないとしても,本件埋立工事は竣功していたといえる。 d 付近の騒音調査と本件埋立工事の竣功は,全く別の問題である。 (ウ) 本件埋立工事の原状回復の可能性についての控訴人らの主張は,争う。 イ出訴期間経過の有無(控訴人らの主張)本件埋立事業の目的は,周辺の安全確保と航空機騒音の緩和にあった。 しかし,本件変更承認によって,本件埋立事業の動機が基地機能を強化して厚木飛行場からの空母艦載機の移駐を可能にすることに変更され,本件埋立地の利用計画も変更された。このため,本件変更承認後は,常駐機数が倍増して発着回数が増え,航空機事故発生の可能性が増大するから,周辺の安全確保は達成できなくなり,また,航空機騒音の緩和も達成できなくなり,その結果,本件承認処分は違法となった。 認後は,常駐機数が倍増して発着回数が増え,航空機事故発生の可能性が増大するから,周辺の安全確保は達成できなくなり,また,航空機騒音の緩和も達成できなくなり,その結果,本件承認処分は違法となった。この本件埋立事業の目的の変更は,平成20年2月12日に本件変更承認がなされたことにより最終的に確定した。 したがって,出訴期間の制限の起算日は平成20年2月12日であると いうべきである。 (被控訴人の主張)行政事件訴訟法14条2項の「処分の日」とは,行政行為の効果の発生した日と同義であり,これにより相手方の現実の知・不知を問わず,1年の経過によって出訴期間は満了する。本件承認処分がなされたのは平成8年11月28日であり,本件訴訟提起日である平成20年2月7日までには1年以上を経過している。 したがって,主位的請求については出訴期間が経過した。 ウ原告適格の有無(控訴人らの主張)(ア) 控訴人らは,本件承認処分の相手方に当たらない。このような場合,行政事件訴訟法9条2項によれば,原告適格の有無を判断するに当たり,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮する必要があり,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし,当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとされている。 (イ) 本件承認処分の根拠となる法令は埋立法であるところ,埋立法42条3項が準用する埋立法4条1項2号・3号(以 利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとされている。 (イ) 本件承認処分の根拠となる法令は埋立法であるところ,埋立法42条3項が準用する埋立法4条1項2号・3号(以下「環境保全条項」という。)は,都道府県知事による承認基準として環境保全に配慮する承認基準を定めていることに照らせば,埋立法は埋立ての実施に伴う環境の保全を第一の目的としていると解される。また,埋立法42条3項が準用する埋立法3条1項は,承認出願があったときは遅 滞なく出願事項等を告示縦覧に供し,地元市町村長の意見を徴するとともに,利害関係人の意見提出権を規定して,もって地元及び周辺住民の意見との調整の機会を付与していることに照らせば,埋立法は埋立地周辺の住民の環境利益を具体的に保護することを目的としているといえる。 (ウ) 埋立法が埋立ての実施に伴う環境の保全を第一の目的とし,また,埋立地周辺の住民の環境利益を具体的に保護することを目的としていることからすれば,かかる目的を共通にする環境基本法,周辺整備法及び環境影響評価法の趣旨及び目的も参酌する必要がある。 環境基本法の趣旨及び目的は,相当範囲にわたる騒音,振動等により健康又は生活環境に係る著しい被害が発生するおそれのある地域について,その発生を防止するために総合的な施策を講ずることにあると解すべきである。周辺整備法の趣旨及び目的は,自衛隊等の航空機の離陸,着陸等の頻繁な実施により生ずる音響に起因する障害により,防衛施設周辺地域の住民につき,健康又は生活環境に係る著しい被害が発生することを防止するために具体的な施策を定めることにあると解すべきである。環境影響評価法の趣旨及び目的は,環境影響評価等の手続を通じて公害の防止等に適正な配慮が図られるようにすることに 被害が発生することを防止するために具体的な施策を定めることにあると解すべきである。環境影響評価法の趣旨及び目的は,環境影響評価等の手続を通じて公害の防止等に適正な配慮が図られるようにすることにあると解すべきである。 (エ) 上記(ウ)で述べた3つの法律の趣旨及び目的を参酌すれば,埋立法の趣旨及び目的には,埋立てやその用途によって,埋立地の周辺地域に居住する住民に健康又は生活環境の被害が発生することを防止し,もって健康で文化的な生活を確保し,良好な生活環境を保全することが含まれるというべきである。 (オ) 埋立地の用途を飛行場用地とする本件承認処分が法に違反してなされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害 される態様及び程度についてみると,埋立地周辺の一定範囲に居住する住民のみが埋立地の用途に起因する騒音,振動等による被害を直接的に受けることになるのであって,このような被害を反復継続して受けた場合,健康や生活環境にかかる著しい被害に至りかねないものであり,このような著しい被害を受けないという具体的利益は,一般的公益に吸収解消されることが困難なものである。 (カ) 以上のとおり,埋立法の規定の文言の外,埋立法の趣旨及び目的,関連法令の趣旨及び目的,本件承認処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮すれば,飛行場用地を埋立地の用途とする埋立事業の実施に起因して,騒音,振動等による健康や生活環境にかかる著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は,本件承認処分の取消しを求める適格を有するというべきである。 (キ) 控訴人らは,第1種区域に指定された区域内及びその周辺地域に現に居住している者らである。また,控訴人らは,環境影響評価書の準備書の縦覧,住民説明会の開催,及び意見書の提出などの機会を与えら (キ) 控訴人らは,第1種区域に指定された区域内及びその周辺地域に現に居住している者らである。また,控訴人らは,環境影響評価書の準備書の縦覧,住民説明会の開催,及び意見書の提出などの機会を与えられるべき関係地域の関係住民に含まれるものと取り扱われている。これらに照らせば,控訴人らは,飛行場用地を埋立地の用途とする埋立事業の実施に起因して,騒音,振動等による健康や生活環境にかかる著しい被害を直接的に受けるおそれのある者といえ,原告適格を有するといえる。 (被控訴人の主張)(ア) 環境保全条項は,環境保全の具体的基準を明示していない。したがって,これらの規定が控訴人らのような埋立地周辺の住民の環境利益を具体的に保護することを目的としているとは解し難い。 すなわち,埋立法4条1項2号が規定する環境保全に関する基準は,埋立てそのものに特有の配慮事項として,環境問題及び災害問題 につき一般的・公益的な見地から,現況及び影響を的確に把握した上でこれに対する措置を適正に講ずることを免許基準としたものであり,一定水準以上の環境・安全性を確保するという行政目的達成のための一般的・抽象的基準にすぎない。また,同項3号は埋立地の用途と土地利用又は環境保全に関する国または地方公共団体の法律に基づく計画との整合性を要求しているところ,同号により遵守を求められる環境基本法上の環境基準や公害防止計画等の許容基準は,人の健康を保護し生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準であって,行政の努力目標を示す指標にすぎない。さらに,埋立法3条は行政の正当性を担保するため国民の行政参加の一環として利害関係人の意見等を反映させるものであるところ,提出された意見書の取扱いについては何ら明文による規律がなされていない上,免許権者が同意見に直ちに拘 の正当性を担保するため国民の行政参加の一環として利害関係人の意見等を反映させるものであるところ,提出された意見書の取扱いについては何ら明文による規律がなされていない上,免許権者が同意見に直ちに拘束されるものでも,意見に対して回答すべき法律上の義務を負うものでもない。 そうすると,これらの規定は専ら一般的な公益を保護する趣旨のものと解するのが相当であり,周辺住民の有する健康や生活環境上の利益を,一般的公益の中に吸収解消されない個別的利益として具体的に保護すべきものとする趣旨を含むものと解することはできない。 (イ) そして,他に,埋立法の趣旨・目的,控訴人らの指摘にかかる関連法令の趣旨及び目的,本件承認処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮すれば,周辺住民等の健康や生活環境上の利益を個別的利益として保護すべきものとする趣旨を含むと解することのできる理由は見当たらない。 (ウ) 控訴人A,同B,同C,同D以外の控訴人らは,第1種区域に指定された区域内に居住するものの,上記4名の控訴人らは同区域内に居住していない。 (2) 本案の争点-本件承認処分の違法性(控訴人らの主張)ア本件埋立事業は,表向きには岩国飛行場周辺における安全の確保と航空機騒音の緩和を目的として計画・実行されてきたところ,国は当初から基地機能の強化を目論んでいた。本件承認処分は,国のこのような意図を看過してなされたものであるから,取り消されるべきである。 イ本件埋立事業が表向きには岩国飛行場周辺における安全の確保と航空機騒音の緩和を目的として計画・実行されてきたことは,本件埋立理由書において明記されている。すなわち,新滑走路の配置計画について,周辺地域や航空機の安全性の確保及び周辺地域の騒音軽減という観点から複数の案が比較検 的として計画・実行されてきたことは,本件埋立理由書において明記されている。すなわち,新滑走路の配置計画について,周辺地域や航空機の安全性の確保及び周辺地域の騒音軽減という観点から複数の案が比較検討された結果,「周辺地域の騒音も75W値以上の範囲が市街地より概ね外れる」等の理由から,滑走路の東側の海面を埋め立てて新滑走路を並行に移設する案を採用した旨記述されている。 ウしかし,平成18年5月1日に発表された日米安全保障協議委員会による「再編実施のための日米のロードマップ」(以下「ロードマップ」という。)によれば,スーパーホーネット等の57機に加え,新たにC-2輸送機2機の合計59機の空母艦載機を平成26年までに厚木基地から岩国飛行場に移駐させること等が表明され,同月30日にはこれらが閣議決定されて基地機能の強化が図られたところ,このような基地機能の強化は,実は本件沖合移設の決定当初から目論まれていたものである。 すなわち,防衛施設庁と山口県,岩国市との間では,平成4年6月18日,岩国飛行場における将来のNLP(米空母艦載機夜間離着陸訓練)受入れについて,「NLPについては,将来とも受け入れてもらえることを前提に,今回の照会内容には含めず。」(防衛施設庁),「今回の照会内容に含めないことは評価。なお,NLPについては,将来と も受け入れざるを得ないと思料。」(山口県・岩国市)とのやり取りがなされていたところ,このことは長年,市民に公にされることなく隠蔽されてきた。そして,このような「密約」ともいうべき対応がなされたのは,本件埋立事業がNLPの受入れを前提とするものであることが市民に知られるところとなれば,同事業が,実際には将来,在日米軍の移駐の受け皿として岩国飛行場の機能を拡張するものであるという目的が露見しかねないと懸 業がNLPの受入れを前提とするものであることが市民に知られるところとなれば,同事業が,実際には将来,在日米軍の移駐の受け皿として岩国飛行場の機能を拡張するものであるという目的が露見しかねないと懸念されたがためにほかならない。 エ以上のとおり,当初から,国は,本件沖合移設後の岩国飛行場が,厚木飛行場の空母艦載機とNLPの受入先(受け皿)となることを見込んでいたにもかかわらず,これを秘匿したまま,岩国市民の安全の確保と航空機騒音の緩和のためであると偽って本件沖合移設に伴う本件埋立事業の出願をし,本件承認処分を受けたものである。同処分は,このような国の脱法行為を看過してなされたものであるから,取り消されるべきである。 (被控訴人の主張)争う。 (予備的請求関係)(1) 本案前の争点ア本件変更承認の処分性の有無(控訴人らの主張)(ア) 行政処分とは,一般的に,公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち,その行為によって,直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することを法律上認められているものをいうと理解されている。ただし,上記内容は処分性の概念の中核部分を記述したものに過ぎず,上記内容を演繹的に適用して問題となる具体的な行為の処分性を決することはできないのであって,国民の権利救済の観点等を重視して判断する必要がある。 (イ) 本件変更承認は,以下のとおり,実質的に埋立法42条3項,13条の2の「埋立地の用途の変更」の承認に該当し,処分性を有する。 環境保全条項を含む承認基準の内容審査に当たっては,埋立地の用途のみならず,埋立ての動機,埋立地の具体的な利用計画をも勘案しなければ審査できない。埋立法13条の2の「埋立地の用途の変更」の許可に当たっても,環境保全条項を 準の内容審査に当たっては,埋立地の用途のみならず,埋立ての動機,埋立地の具体的な利用計画をも勘案しなければ審査できない。埋立法13条の2の「埋立地の用途の変更」の許可に当たっても,環境保全条項を含む承認基準が準用される(埋立法13条の2第2項,4条1項)から,やはり埋立ての動機,埋立地の具体的な利用計画をも勘案しなければ審査できない。そうすると,「用途の変更」が,願書に記載された「埋立地の用途」に変更があった場合に限られると解釈するのは合目的的ではなく,埋立ての動機や埋立地の具体的な利用計画に重要な変更があった場合についても,埋立法13条の2第2項所定の手続・審査が求められていると解釈されるべきである。そして,埋立ての動機・埋立地の利用計画につき重要な変更があったか否かは,当該埋立承認の可否判断において,埋立ての動機・埋立地の利用計画が有していた意義等が考慮されるべきである。 本件埋立事業の動機は岩国飛行場周辺における安全の確保と航空機騒音の緩和とされ,重要な意義を有していた。しかし,本件変更承認においては,本件承認処分においては建設が予定されていなかった東側誘導路が新設されることになり,しかも同誘導路には,艦載機等の尾部のフックを引っ掛けて航空機を制動するアレスティング・ギア(拘束制動装置)が設置されることになっていた。これにより,本件埋立地に移設した後の岩国飛行場においては,2機の戦闘機が同時に離発着できることになる。この結果,厚木飛行場から岩国飛行場への空母艦載機の移駐が可能となり,常駐機数も倍増することになる。このような基地機能強化に伴い,航空機事故発生の可能性が増大し,また,航空機騒音が増加することは明らかである。 したがって,本件変更承認により,岩国飛行場周辺における安全の確保と航空機騒音の緩和とい 地機能強化に伴い,航空機事故発生の可能性が増大し,また,航空機騒音が増加することは明らかである。 したがって,本件変更承認により,岩国飛行場周辺における安全の確保と航空機騒音の緩和という当初の埋立ての動機は,空母艦載機等の移駐を可能にする基地機能強化という動機に変更されたといえ,この変更は重大である。よって,本件変更承認は,実質的に埋立法42条3項ただし書で準用される埋立法13条の2の「埋立地の用途の変更」の承認に当たるといえる。 (ウ) 仮に,本件変更承認が埋立法42条3項ただし書で準用される埋立法13条の2の「埋立地の用途の変更」の承認に該当せず,本件留意事項に基づくものであったとしても,本件留意事項に基づく承認が山口県知事によってなされなければ,国が本件変更に基づく工事を適法に行うことはできない。すなわち,本件留意事項に基づく本件変更承認は,国に対し,変更内容に沿った工事を適法に実施させ得るという法的効果を直接もたらすものといえ,上記(ア)の処分性の要件を満たす。 (エ) 本件変更承認は,厚木飛行場からの空母艦載機の移駐に伴う長大な東側誘導路の新設等をその内容とするものであるから,岩国飛行場の周辺住民に対し,現状以上の騒音や大気汚染,航空機の墜落の危険性を受忍させるものである。上記(ア)のとおり,処分性の判断について国民の権利救済の観点等を重視して判断する必要があることに照らせば,本件変更承認は,周辺住民との関係において,公権力の行使に該当し,処分性の要件を満たすというべきである。 (被控訴人の主張)(ア) 本件変更承認は,埋立法42条3項,13条の2の「埋立地の用途の変更」の承認に該当しない。 すなわち,同条によれば,「埋立地の用途」又は「設計の概要」に係る変更には都道府県知事の承認が必要とされ 本件変更承認は,埋立法42条3項,13条の2の「埋立地の用途の変更」の承認に該当しない。 すなわち,同条によれば,「埋立地の用途」又は「設計の概要」に係る変更には都道府県知事の承認が必要とされているところ,本件埋立地の用途は「飛行場用地」のままであり,この点について本件変更承認の 中で変更されていない。また,設計の概要は,埋立法2条2項4号のとおり,申請に当たり願書に記載する必要がある事項であり,埋立法施行規則11条,16条,別表様式第一によると,「埋立地の地盤の高さ」「護岸,堤防,岸壁その他これらに類する工作物の種類及び構造」「埋立てに関する工事の施行方法」及び「公共施設の配置及び規模の概要」であるところ,これらについても変更されていない。 (イ) 本件変更承認は,山口県知事が本件承認処分の際に付した本件留意事項(前提事実(3)イ)に基づくものであるところ,本件留意事項は,以下のとおり,相手方である国に対して,行政庁の優越的な意思発動の結果を受忍させる一般的拘束を課するものといえない。 a 本件留意事項は,埋立法施行令6条に基づき,附款として法令外の権限を認めたものでしかない。そして,国がなす埋立ての場合,埋立てに関する法令により免許処分に付された条件に違反したときの権限について定めた埋立法32条が準用されていないため,国が本件留意事項に違反したとしても,山口県知事は国に対し何らの制裁措置も取り得ず,その外の埋立法の規定を見ても,本件留意事項によって都道府県知事が国に対し何らかの設権又は禁止の効果を与えることができる旨の規定はない。 b 埋立法施行令6条は,都道府県知事が行政処分を行うに当たり法律規定事項以外の条件を付することを認めているところ,どのような場合にどのような条件を付すべきかについては,都道府県知事の自 はない。 b 埋立法施行令6条は,都道府県知事が行政処分を行うに当たり法律規定事項以外の条件を付することを認めているところ,どのような場合にどのような条件を付すべきかについては,都道府県知事の自由裁量に委ねている。このような自由裁量に基づいて本件留意事項が定められていることは,本件留意事項に基づく承認の拘束力の弱さを裏付けるものである。 c 本件留意事項は,1項で「届け出ること」,2項で「掲げること」,3項で「維持修繕及び災害復旧は国の責任において行うこ と」,4項で「設置すること」,5項で「承認を受けること」,6項で「報告すること」「応じること」という負担を課している。しかし,5項も,1~4項及び6項と同一階層の規範であるから,効果も同一階層のものにすぎないのであって,5項を含め,いずれの留意事項も直接国の地位に変動を与えることにはならない。 d 以上のとおり,本件留意事項に基づく承認がなされなかった場合の不服申立制度も設けられていないこと,本件変更承認は,その効果としても極めて拘束力の弱く,承認の相手方である国の地位に直接的な変更をもたらさない効力しか有さないことに照らせば,処分性の要件を満たさない。 イ訴えの利益の有無(控訴人らの主張)主位的請求関係の訴えの利益の有無についての主張(上記4(1)ア)と同じ。 (被控訴人の主張)主位的請求関係の訴えの利益の有無についての主張(上記4(1)ア)と同じ。 ウ原告適格の有無(控訴人らの主張)(ア) 主位的請求関係の原告適格の有無についての主張(上記4(1)ウ)と同じ。 (イ) 本件願書に添付された本件埋立理由書では,本件埋立事業によって滑走路を1000メートル海上へ移動した場合,岩国市内の市街地から75W値以上の区域がほとんどなくなり,周 (1)ウ)と同じ。 (イ) 本件願書に添付された本件埋立理由書では,本件埋立事業によって滑走路を1000メートル海上へ移動した場合,岩国市内の市街地から75W値以上の区域がほとんどなくなり,周辺住民が被る航空機騒音による障害が大幅に軽減されるはずであった。すなわち,控訴人らは,本来,本件承認処分により騒音及び公害の軽減を享受できる具体的利益を有していた にもかかわらず,本件変更承認によりかかる具体的利益を失うことになるから,控訴人らは,本件変更承認の取消しを求める予備的請求について原告適格を有する。 (被控訴人の主張)主位的請求関係の原告適格の有無についての主張(上記4(1)ウ)と同じ。 (2) 本案の争点-本件変更承認の違法性(控訴人らの主張)本件変更承認は,上記(1)ア(控訴人らの主張)(イ)で述べたとおり,実質的には埋立法42条3項ただし書が準用する埋立法13条の2の「埋立地の用途の変更」の承認に当たるものであるにもかかわらず,本件変更承認に際しては,関係図書等の告示縦覧,地元市町村長の意見聴取,内容審査などの埋立法13条の2第2項所定の手続が履践されていない。 また,瀬戸内海環境保全特別措置法13条が,関係府県知事に対し,埋立承認に当たり瀬戸内海の特殊性につき十分配慮することを要求している趣旨に照らせば,周辺地域への環境影響評価を改めて実施検証するのでなければ,本件変更承認申請に対する内容を審査し,判断することは不可能だったにもかかわらず,再度の環境影響評価は実施されていない。 したがって,本件変更承認は違法である。 (被控訴人の主張)争う。 本件変更承認については上記(1)ア(被控訴人の主張)(ア)で述べたとおりであり,その内容は,埋立法42条3項,13条の2により都道府県知 承認は違法である。 (被控訴人の主張)争う。 本件変更承認については上記(1)ア(被控訴人の主張)(ア)で述べたとおりであり,その内容は,埋立法42条3項,13条の2により都道府県知事の承認を得ることを要する事項に該当しない。 第3 当裁判所の判断 1 前提事実に証拠(甲1,2,6,9,22の1・2,24,26,29,3 3,57,乙1~3,5~7,10の1・2,11~16,19)及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。 (1) 岩国飛行場は,岩国市街地の東端部に位置し,錦川下流の今津川と門前川に挟まれた三角州に立地する飛行場で,その北側には特別防災区域(石油及び高圧ガス等の危険性の高い物質が大量に貯蔵され取り扱われており,常に重大な事故が発生する危険性が内蔵されている地域として,石油コンビナート等災害防止法に基づき定められた地域)に指定された石油化学,化学繊維,製紙等の工場群を含む工場地,西側には住宅地が広がっている。 岩国飛行場の北側には上記特別防災区域があるために,万一の航空機墜落等の場合には重大な事故となる可能性があり,また,離陸した航空機は上記特別防災区域の上空を避けて飛行するため,離陸後1マイル以内での旋回を余儀なくされ,飛行場の運用上及び安全の確保上大きな制約を受けていた。 また,航空機から発生する騒音は,その大きさが自動車,鉄道等,他の交通騒音とは比較にならないほど大きいこと,1機の運航でも広範囲の飛行場周辺住民に影響を与えていること,他の騒音と比べて,騒音の継続時間が数秒から数十秒程度と短く,間欠的かつ瞬間的な騒音であること等の特徴があるところ,岩国飛行場の西側に位置する住宅地の相当な範囲において,騒音値70W値以上となっていた。 (2) このため,昭和46年以降, 秒程度と短く,間欠的かつ瞬間的な騒音であること等の特徴があるところ,岩国飛行場の西側に位置する住宅地の相当な範囲において,騒音値70W値以上となっていた。 (2) このため,昭和46年以降,山口県及び岩国市は,飛行場周辺の安全の確保及び航空機騒音の障害緩和のため,国に対し,岩国飛行場の沖合移設を要望し,近隣地方自治体が策定した諸計画(第四次県勢振興の長期展望〔山口県,昭和62年2月策定〕,岩国市総合計画〔岩国市,平成2年3月策定〕,第三次岩国地区広域市町村圏計画〔岩国地区広域市町村圏協議会,平成3年3月策定〕)においても,岩国飛行場の沖合移設早期実現が盛り込まれていた。 (3) 国(防衛施設庁)は,前記のような要望を受けて,昭和57年7月,防 衛施設中央審議会に対し「岩国飛行場の将来対策について」諮問したところ,岩国飛行場周辺における安全を確保し,航空機騒音の軽減を図るためには,飛行場の東側の海面を埋め立て,滑走路を約1000メートル移設する方法が適当である旨の答申を得た。国(防衛施設庁)は,この答申に従い,昭和58年度から平成2年度にかけて,沖合移設を実施する場合に必要となる環境影響評価に係る基礎調査を実施し,また,昭和61年度から昭和63年度にかけて,埋立予定区域の一部において工法試験を実施し,平成元年度以降,沈下量の観測を行うなどした上で,平成4年8月,本件沖合移設を正式決定した。 その後,平成6年9月から平成7年8月まで,閣議決定要綱に基づく環境影響評価の手続が執られ,同手続の中で,山口県知事が県知事意見を提出した。また,同手続の中で,本件沖合移設に伴う航空機騒音予測コンター(W値が70の範囲及び同75の範囲の分布図)が作成された(以下「環境アセス調査のW値コンター」という。)。 (4) 以上の経過 た。また,同手続の中で,本件沖合移設に伴う航空機騒音予測コンター(W値が70の範囲及び同75の範囲の分布図)が作成された(以下「環境アセス調査のW値コンター」という。)。 (4) 以上の経過を経て,国は,平成7年9月22日,山口県知事に対し,本件承認出願をした。本件承認出願に当たり提出された本件願書に添付された本件埋立理由書には,埋立ての動機及び埋立ての効果について,以下のような記載がなされていた。 ア埋立ての動機岩国市においては,岩国飛行場が存在することにより,日常生活上,安全上において次のような課題があり,早期に解決することが求められている。 ① 航空機による騒音航空機から発生する騒音は,その大きさが自動車,鉄道等,他の交通騒音とは比較にならない程大きいこと,一機の運航でも,広範囲の飛行場周辺住民に影響を与えていること,また,他の騒音と比べて,騒音の 継続時間が数秒から数十秒程度と短く,間欠的かつ瞬間的なものであることなどの特徴がある。 ② 航空機事故の危険性航空機が北に向けて出発する場合に,出発コースの下には「石油コンビナート等災害防止法」の規定に基づく特別防災区域に指定されている石油化学,化学繊維,製紙等の工場群があり,その上空を避けて飛行するため離陸後ただちに,東側海上に向かって急激な旋回を余儀なくされている。 この工場群に万一の航空機事故が発生した場合には大惨事となる危険性がある。 イ埋立ての効果現在の飛行場は市街地に近接しているため,航空機騒音による問題をかかえている。 これに対して,飛行経路の改善,民家・学校等の防音工事等の対策がなされているが,沖合に1000メートル滑走路を移設することにより,現時点の運用形態から予測すると騒音値75W値以上の区域が岩国市街地からほとん て,飛行経路の改善,民家・学校等の防音工事等の対策がなされているが,沖合に1000メートル滑走路を移設することにより,現時点の運用形態から予測すると騒音値75W値以上の区域が岩国市街地からほとんど外れ,周辺住民にとって航空機騒音の障害が大幅に軽減されることとなる。 また,現在の飛行場周辺の市街地では,航空機からの落下物や航空機の墜落等の危険にさらされており,それらが引き起こす災害が周辺住民の不安要素となっている。沖合に,1000メートル滑走路を移設することにより,不安要素の解消が図られると共に飛行場周辺住民の安全が確保される。 このように,滑走路の移設は,飛行場周辺住民の安全確保と,騒音障害の緩和を図るために有効な手段となる。 一方,現飛行場は工場地帯の中心部に位置し,工場地帯には石油化学, 化学繊維,製紙等の大工場群が林立している。特に,現在の飛行場の北側進入表面下には特別防災区域に指定された工場群があり,常に大惨事の危険にさらされている。また,離発着の障害となるため工場の拡張,増設,新設に際しても制約を受けている。工場立地を希望している岩国市にとって,市勢伸長の根本となる各工場の増設や新規工場の誘致に支障を来すだけでなく,人口の流出等,市政遂行上の損失となっている。このため,滑走路の沖合移設により,工場群が進入表面下から完全に外れ,万一の事故の場合にも,周辺住民と工場群の安全を確保することができる。また,滑走路の沖合移設に伴って工場群上空の制限が緩和され,飛行場周辺の産業,経済発展上の阻害要因を除去するための有効な手段となる。 さらに,本件埋立事業は,これまで20数年の永きにわたり,官民一体となった移設運動を展開してきた地域の要望に応えるものである。 (5) 本件願書を受理した山口県知事は,埋立法3条1項の となる。 さらに,本件埋立事業は,これまで20数年の永きにわたり,官民一体となった移設運動を展開してきた地域の要望に応えるものである。 (5) 本件願書を受理した山口県知事は,埋立法3条1項の規定に基づき,平成7年10月13日から同年11月2日まで,出願事項等を告示縦覧に供するとともに,同項の規定に基づき地元市町村長の意見を徴するなどした上,埋立法47条1項,埋立法施行令32条に基づき,建設大臣及び運輸大臣に対し,本件公有水面の埋立承認に係る認可申請を行った。そして,山口県知事は,平成8年11月26日,建設大臣及び運輸大臣の各認可を受け,同月28日,本件埋立事業にかかる本件埋立工事を承認する本件承認処分を行った。 建設大臣及び運輸大臣は,上記認可に当たり,環境庁長官の意見を徴したところ,同長官は,各大臣に対し,本件埋立事業は,埋立て等について環境保全上特別な配慮が必要な瀬戸内海海域における事業であることから,本件措置を講じる必要があることなどを含む環境庁意見を提出するとともに,当意見に関し講じた環境保全上の措置について環境庁に報告するよう求めた。これを受けて,建設省河川局長は,山口県知事に対し,環境 庁意見に十分配慮するよう勧告するなどした。 山口県知事は,本件承認処分に当たり,本件留意事項を付すとともに,同日,防衛施設庁広島防衛施設局長に対し,総合的な環境保全上の見地から,環境庁意見及び県知事意見に十分配慮の上,その達成を図られたい,なお,環境保全に関し講じられた措置及び環境監視結果については,速やかに報告されたい旨を通知した。 (6) 国は,平成9年6月,本件公有水面に係る海上工事に着手し,平成12年2月に南地区の埋立て,平成15年7月に北地区の埋立て,平成17年12月に中央地区の埋立てを開始した。平成19年 た。 (6) 国は,平成9年6月,本件公有水面に係る海上工事に着手し,平成12年2月に南地区の埋立て,平成15年7月に北地区の埋立て,平成17年12月に中央地区の埋立てを開始した。平成19年5月には,埋立土砂の投入が終了し,同年11月以降,新滑走路等の舗装工事に着手した。本件埋立事業に使用された埋立土量は,約2095万立方メートルであった。 (7) 日米両国政府は,自衛隊及び米軍の役割・任務・能力並びに在日米軍の兵力構成見直しについて協議を進め,平成17年10月29日,日米安全保障協議委員会による在日米軍再編に係る中間報告(以下「中間報告」という。)が公表された。中間報告は,本件沖合移設完了後,米空母艦載機(57機)が厚木飛行場から岩国飛行場に移駐されるとし,同飛行場の運用増大による影響を緩和するため,海上自衛隊のEP―3電子訓練機等(17機)の岩国飛行場から厚木飛行場への移駐等の措置を採ることとしていた。 (8) 平成18年5月1日,日米安全保障協議委員会においてロードマップが承認され,公表された。この中に厚木飛行場から岩国飛行場への空母艦載機の移駐が掲げられており,その具体的内容は,①第5空母航空団の厚木飛行場から岩国飛行場への移駐は,F/A-18,EA-6B,E-2C及びC-2航空機から構成され,必要な施設が完成し,訓練空域及び岩国レーダー進入管制空域の調整が行われた後,2014年までに完了すること,②厚木飛行場において,海上自衛隊EP-3,OP-3,UP-3飛行隊等の岩国飛行場からの移駐を受け入れること,③KC-130飛行隊は,司令部,整 備支援施設及び家族支援施設とともに,岩国飛行場を拠点とし,航空機は,訓練及び運用のため,海上自衛隊鹿屋基地及びグアムに定期的にローテーションで展開すること,④ -130飛行隊は,司令部,整 備支援施設及び家族支援施設とともに,岩国飛行場を拠点とし,航空機は,訓練及び運用のため,海上自衛隊鹿屋基地及びグアムに定期的にローテーションで展開すること,④海兵隊CH-53Dヘリは,第3海兵機動展開部隊の要員が沖縄からグアムに移転する際に,岩国飛行場からグアムに移転すること,などであった。 そして,政府は,平成18年5月30日,厚木飛行場から岩国飛行場への空母艦載機の移駐を含む再編関連措置については最終取りまとめに示された実施時期を踏まえつつ,着実に実施していくものとする旨の閣議決定をした。 (9) 国(防衛施設庁)は,平成17年12月,中間報告における米空母艦載機等の厚木飛行場からの岩国飛行場への移駐が完了した場合の航空機騒音が周辺地域に与える影響を把握するため,岩国飛行場に係る航空機騒音予測コンターを作成した。その作成に当たっては,まず平成2年度の騒音度調査データを基に算出した現状の騒音状況に基づくW値コンター(W値が70の範囲,同75の範囲及び同90の範囲の分布図)を作成し,さらに厚木飛行場からの移駐完了後のW値コンター(同上)を作成し,これらを環境アセス調査のW値コンター(W値が70の範囲及び同75の範囲の分布図)と比較した。その結果,移駐完了後のW値コンターに基づくW値70の範囲及び同75の範囲は,現状のW値コンターに基づくW値70の範囲及び同75の範囲や環境アセス調査のW値コンターに基づくW値70の範囲及び同75の範囲よりも拡大すると予測された。 国(防衛施設庁)は,平成18年4月にも,ロードマップにおいてKC-130等の岩国飛行場への移駐が定められることを踏まえて,騒音予測コンターの修正を行ったものの,大きな変更はなかった。 (10) 国は,平成20年1月8 8年4月にも,ロードマップにおいてKC-130等の岩国飛行場への移駐が定められることを踏まえて,騒音予測コンターの修正を行ったものの,大きな変更はなかった。 (10) 国は,平成20年1月8日,山口県知事に対し,本件留意事項に基づき,本件変更に係る承認を受けたいとして,本件変更承認申請をした。本件 変更は,主として,①平行誘導路等の配置及び規模の変更,②埋立地の利用に係る大気質及び騒音予測の変更等を内容とするものであり,その他,既設護岸等撤去工のうち北地区の既設護岸の撤去時期の変更,及び北地区の既設護岸前面の着陸帯,過走帯・過走帯付帯緑地の地盤高の変更も含むものであった。本件変更において,本件埋立地の用途は飛行場用地のままで,変更の対象ではなかった。 本件変更承認申請の申請書には,本件変更に係る経緯,変更後の考え方として,以下のような記載がなされていた。そして,山口県知事は,同年2月12日,本件留意事項に基づくものとして,本件変更承認をした。 ア変更するに至った経緯(ア) 平行誘導路等の配置及び規模の変更岩国飛行場の北側進入表面下には,石油コンビナート等災害防止法(昭和50年法律第84号)に基づき,石油コンビナート等特別防災区域に指定された工場群があり,航空機は離陸後1マイル以内での旋回を余儀なくされ,同飛行場の運用上及び安全の確保上大きな制約を受けている。また,同飛行場には市街地が近接し,騒音問題が生じている。 このため,昭和46年以降,地元岩国市等から同飛行場周辺における安全の確保と航空機騒音の緩和を図るため,同飛行場の滑走路を沖合移設するよう国に対して強い要望があった。 このような状況から,当局は,同飛行場の運用上,安全上及び騒音上の問題を解決し,米軍の駐留を円滑にするとともに,同飛行場の安 ため,同飛行場の滑走路を沖合移設するよう国に対して強い要望があった。 このような状況から,当局は,同飛行場の運用上,安全上及び騒音上の問題を解決し,米軍の駐留を円滑にするとともに,同飛行場の安定的使用を図るため,滑走路を東側(沖合)へ1000メートル程度移設する事業を平成5年度から推進し,平成8年度から工事を実施してきたところである。 他方,近年,平成13年9月11日の米国におけるテロに代表される国際テロなどの新しい脅威の台頭や,大量破壊兵器(核・生物・化学) の拡散,弾道ミサイル攻撃の危険など,アジア太平洋地域や世界において安全保障環境が変化しており,新たな安全保障環境に対応するための抑止力を維持するとともに,地元負担を軽減する観点から,在日米軍の兵力構成の見直しについて日米間で協議が行われ,平成18年5月1日の日米安全保障協議委員会(「2+2」)において「再編実施のための日米のロードマップ」が承認され,平成18年5月30日に閣議決定されたところである。 このような空母艦載機の岩国飛行場への移駐等に伴い必要となる施設整備については,日米間で細部を調整した結果,今般,新滑走路東側に整備する誘導路及び誘導路両端に整備する装備機材点検作業エリアについて,施設整備の位置等が確定したことから,「埋立地の用途及び利用計画の概要を表示した図面」の変更を行うものである。 (イ) 埋立地の利用に係る大気質及び騒音予測の変更等アで述べたとおり,厚木飛行場から岩国飛行場への空母艦載機の移駐等が実施され,航空機の機数及び構成に変化が生じることから,航空機の移駐後の埋立地の利用に係るN0x(窒素酸化物)の排出量及び騒音の状況について予測することとした。 イ変更後の考え方(ア) 平行誘導路等の配置及び規模の変更平行誘導路 ことから,航空機の移駐後の埋立地の利用に係るN0x(窒素酸化物)の排出量及び騒音の状況について予測することとした。 イ変更後の考え方(ア) 平行誘導路等の配置及び規模の変更平行誘導路については,滑走路移設事業において新滑走路の西側に計画していたが,空母艦載機等の移駐後における多数の航空機の安全かつ円滑な運用に資するため,新滑走路東側にも整備するものである。 当該誘導路を滑走路東側に整備することにより,離着陸時,特に離陸時の滑走路進入待機における航空機の分散を図り,同飛行場における航空機の円滑な運用と,より一層の安全に寄与しようとするものである。 また,東側平行誘導路を設置することにより,住宅地からより隔離し た位置での航空機の運用が一部可能となり,離陸前のエンジン調整等による地上音の軽減につながるものと考えている。 装備機材点検作業エリアについては,航空機の離陸前の機材の点検等のため,誘導路両端に整備するものである。 平行誘導路・装備機材点検作業エリアの規模については,これらは着陸帯及び過走帯・過走帯付帯緑地の中に含まれる施設として位置付けられており,着陸帯及び過走帯・過走帯付帯緑地の埋立面積に変更はない。 (イ) 埋立地の利用に係る大気質及び騒音予測の変更等大気質については,滑走路移設事業が完成し,空母艦載機等が移駐された場合に航空機数が増加することから,航空機のエンジンから排出されるN0x(窒素酸化物)を予測することとする。 また,騒音については,飛行機種及び飛行回数は滑走路移設事業が完了し,空母艦載機等が移駐された場合とし,飛行経路については滑走路移設事業に係る環境影響評価書作成の際に想定したものを用いて,航空機騒音の評価単位であるW値を求める方法により,騒音を予測することとする。 艦載機等が移駐された場合とし,飛行経路については滑走路移設事業に係る環境影響評価書作成の際に想定したものを用いて,航空機騒音の評価単位であるW値を求める方法により,騒音を予測することとする。 なお,空母艦載機等の移駐後の岩国飛行場の飛行経路は,この滑走路移設事業に係る環境影響評価書作成の際に想定したものと同様のものとなる見込みであり,このことは,日米間で確認しているところである。 (11) 国は,本件変更承認申請以外にも,以下のとおり,埋立法42条3項,13条の2第1項又は本件留意事項に基づいて出願事項の変更等の承認申請を行い,いずれも山口県知事の承認を得ているところ,その詳細は下記のとおりである。 ア平成9年12月2日申請・平成10年2月12日承認分根拠規定埋立法42条3項,13条の2第1項 主な変更内容遊水池護岸,D護岸基礎のサンドドレーン工法取り止め排水渠位置変更イ平成10年11月18日申請・平成11年2月10日承認分根拠規定埋立法42条3項,13条の2第1項主な変更内容斜路の位置及び構造の変更埋立面積変更 -2万3954.98平方メートル防波堤の構造変更(地盤改良の追加)ウ平成12年10月20日申請・同年11月10日承認分根拠規定本件留意事項主な変更内容購入土(瀬戸内海沿岸の土砂採取場所)の追加土砂採取量の変更5ヘクタールの返還に伴い計画遊水池の一部埋立て計画遊水池の埋立部の地盤改良の追加土砂採取量の変更に伴う環境保全に関し講じる措置を記載した図書の変更エ平成14年10月2日申請・同年10月18日承認分根拠規定埋立法42条3項,13条の2第1項主な 土砂採取量の変更に伴う環境保全に関し講じる措置を記載した図書の変更エ平成14年10月2日申請・同年10月18日承認分根拠規定埋立法42条3項,13条の2第1項主な変更内容 F護岸の位置変更(セットバック)埋立面積変更 -4082.01平方メートル北地区遊水池からの排水渠位置変更及び予備排水渠の新設パブリックアクセスロードの新設地盤改良工事及び液状化対策範囲の拡大オ平成17年2月21日申請・同年3月1日承認分根拠規定埋立法42条3項,13条の2第1項主な変更内容 G護岸,K護岸の防潮堤の位置変更及び天端高さの変更 根拠規定本件留意事項主な変更内容防潮ゲートの数量追加浮桟橋の位置,寸法の変更カ平成17年11月1日申請・同年11月18日承認分根拠規定本件留意事項主な変更内容弾薬関連施設と駐機場・格納庫等との南北配置入れ替え連絡誘導路の配置変更キ平成18年4月27日申請・同年5月15日承認分根拠規定本件留意事項主な変更内容埋立土砂の採取場所の変更(12) 国は,本件公有水面の埋立て開始後,工事の進捗状況に合わせ,山口県知事に対し,平成15年2月24日,平成16年3月5日,同年6月23日,平成17年3月28日,平成18年3月10日,平成19年7月17日,同年11月5日,平成20年3月14日,計8回に分けて部分竣功通知を行った。 国は,同年5月14日,山口県知事に対して,埋立法42条2項に基づく本件竣功通知を行い,国が作成した埋立地の実測平面図及び求積平面図等を提出した。 (13) 平成22年4月15日,在日米軍に対し,岩国飛行場における新滑走路等の提供が行われ,同年 2条2項に基づく本件竣功通知を行い,国が作成した埋立地の実測平面図及び求積平面図等を提出した。 (13) 平成22年4月15日,在日米軍に対し,岩国飛行場における新滑走路等の提供が行われ,同年5月29日,本件埋立地上の新滑走路の運用が開始された。 2 主位的請求について(1) 本案前の争点ア(訴えの利益の有無)についてア行政処分の取消訴訟における訴えの利益の有無は,行政処分が取消判決によって除去すべき法的効果を有しているか否か,行政処分を取り消すことによって回復される法的利益が存在するか否かという観点から検討され るべきであるから,本件において,本件埋立工事の竣功後であったとしても,本件承認処分の効力が消滅することにより,国が原状回復義務を負うのであれば,主位的請求である本件承認処分の取消しを求める訴えの利益はなお存するといえる。 本件埋立工事の規模,構造,本件埋立地の利用状況,原状回復によって予測される社会的,経済的損失等を総合的に勘案した結果,本件埋立工事の原状回復が社会通念に照らして不可能と判断されるとしても,そのことによって直ちに訴えの利益が否定されるものでなく,それらは事情判決を検討するに当たっての考慮要素となるにすぎないというべきである。 そこで,本件承認処分の効力が消滅することにより国が原状回復義務を負うか否かについて,検討することとする。 イ埋立法は,1条において,公有水面は国の所有に属する旨を定めた上,2条以下に,国以外の者が行う埋立てについての定めを置くとともに,42条以下に,国が行う埋立てについて定め,国以外の者が行う埋立ての規定を準用している。 国が行う埋立てについての規定を,国以外の者が行う埋立てについての規定と比較すると,①国以外の者が埋立てを行う場合は都道府県知事の免 について定め,国以外の者が行う埋立ての規定を準用している。 国が行う埋立てについての規定を,国以外の者が行う埋立てについての規定と比較すると,①国以外の者が埋立てを行う場合は都道府県知事の免許を要する(2条1項)のに対し,国が埋立てを行う場合は都道府県知事の承認を要する(42条1項),②国以外の者が行う埋立工事の竣功後は,遅滞なく都道府県知事に竣功認可を申請し(22条1項),認可が下りれば遅滞なくその旨を告示し(同条2項),同告示日に埋立免許を受けた者が埋立地の所有権を取得する(24条1項)のに対し,国が行う埋立工事が竣功したら,当該官庁が直ちに都道府県知事に通知することが規定され(42条2項),その余の手続は規定されていない,③国以外の者が行う埋立工事については,免許時,竣功認可時に限らず,埋立ての過程に応じて都道府県知事の監督権限が及ぶ旨が規定されている(32条~36 条)のに対し,国が行う埋立工事については,これらの規定が準用されていない,などの相違が見られる。 そして,国が行う埋立ての場合の原状回復義務については,埋立法35条1項は,国以外の者が行う埋立てについて,埋立免許の効力が消滅した場合には,免許を受けた者が原状回復義務を負う旨を定めているのに対し,国が行う埋立ての場合の準用条文を定めた埋立法42条3項は,埋立法35条1項を準用しておらず,その外に,埋立法に埋立承認の効力が消滅した場合に国が原状回復義務を負うかについて言及した規定は存在しない。 この場合,埋立法は,国が行う埋立てについて,埋立承認の効力が消滅した場合に国が原状回復義務を負うかについては何ら規定していないにとどまり,このことから直ちに,国が原状回復義務を負わないと断ずることは相当ではない。 ウ埋立法では,他方で,国が行う埋立ての承認手 た場合に国が原状回復義務を負うかについては何ら規定していないにとどまり,このことから直ちに,国が原状回復義務を負わないと断ずることは相当ではない。 ウ埋立法では,他方で,国が行う埋立ての承認手続において,国以外の者による免許申請の場合に求められる記載事項及び添付図書についての規定(2条2項,3項)や,免許申請されたときの可否の判断基準(4条)についての規定が準用されており(42条3項),国が行う埋立てについての承認の判断は,国以外の者についての免許の場合と同じ枠組みないし基準に基づいてなされ,かつ,都道府県知事が国とは異なる独自の立場での裁量に基づき,埋立免許ないし承認の付与を判断するべきものとされている。 また,都道府県知事は,国が行う埋立てを承認した後も,埋立法42条が準用する埋立法13条の2により,埋立地の用途,設計概要の変更の承認権限を有している。 これらの規定は,埋立ての主体が国であったとしても,埋立工事として公有水面に何が行われているのか,都道府県知事に現状を把握させ,その 上で埋立工事が都道府県知事による公有水面の管理上支障を生ずるものであるか否かを判断させる機会を付与したものと解される。 そうだとすれば,国が行う埋立てについての都道府県知事の承認の法的性質については,公有水面を現実に管理する都道府県知事が,埋立事業の実施主体である国に対して,特定の公有水面を埋め立てて土地を造成し,竣功通知の日において当該実施主体に埋立地の所有権を取得させる権利(埋立権)を設定する行為と解するのが相当である。すなわち,埋立法1条は公有水面が国の所有に属する旨を規定するものの,ここでいう国とは,公権力としての行政権限を行使する主体としての国というべきであって,国が行う埋立てについての都道府県知事の承認の名宛人である,埋立 条は公有水面が国の所有に属する旨を規定するものの,ここでいう国とは,公権力としての行政権限を行使する主体としての国というべきであって,国が行う埋立てについての都道府県知事の承認の名宛人である,埋立事業の実施主体である国とは異なるから,埋立事業の実施主体である国が,埋立法1条の公有水面に対する所有権を有するものと解することはできず,それゆえ,公有水面を現実に管理する都道府県知事の承認により埋立権の設定を受けることで,初めて特定の公有水面の埋立工事を行うことが可能になるというべきである。 ちなみに,都道府県知事による国に対する埋立承認の性質に関連し,埋立法改正について審議された衆議院建設委員会において,「42条の示しておりますとおり,必ず都道府県知事の承認がなければ,端的に申し上げますと国は埋立てについて権利を設定でき得ないということになるわけですね。…公有水面埋立法でいえば42条にいうところの手続が必要になってくるわけでありますが,それについても関係府県知事の承認ということがなければならないということをここではっきりお認めになりますね。」という質疑に対し,運輸省港湾局長が「当然のことだと思います。」と答弁を行っている(乙22)。 以上のとおり解すべきものとすれば,一旦なされた都道府県知事の承認の効力がその後消滅したときは,国は特定の公有水面を埋め立てて土地を 造成し,埋立地の所有権を取得する権利を喪失することになり,国によって既に行われた埋立ては法的根拠を失って違法となり,その結果,国は原状回復義務を負うものと解すべきこととなる。 エこれに対し,被控訴人は,①国が行う埋立てと国以外の者が行う埋立てとを比べると上記イの相違点があることを踏まえて,国が行う埋立ての場合は,都道府県知事が埋立承認をした後,法的統制がないといえる エこれに対し,被控訴人は,①国が行う埋立てと国以外の者が行う埋立てとを比べると上記イの相違点があることを踏まえて,国が行う埋立ての場合は,都道府県知事が埋立承認をした後,法的統制がないといえるとして,このことからすれば,都道府県知事による埋立承認の性質については,国が行う埋立工事が公有水面の管理上何らかの支障を生ずるものであるか否かについて都道府県知事の判断に任せたにすぎず,都道府県知事による埋立承認によって国の埋立権が設定されると解すべきではない旨,及び,②自然公物である公有水面を排他的に管理している国は,元々,埋立ての状況に応じて然るべき埋立海域の管理をなし得るから,埋立法35条1項本文の原状回復義務を課す必要がない旨を主張する。 しかし,埋立法の規定において,国が行う埋立てが埋立権に基づくものであることを否定する規定はない。そして,埋立法の立法者である国が,国は都道府県知事の承認を受けない限り埋立てをなし得ないと定めている以上,都道府県知事の承認がない限り,埋立事業の実施主体である国が公有水面の埋立権を取得する余地はないというべきであるから,被控訴人の上記①の主張は失当である。また,上記ウに判示したところによれば,被控訴人の上記②の主張も採用できない。 オ以上のとおり,埋立法42条3項が埋立法35条1項本文を準用していないとしても,国が行う埋立てについて規定した埋立法の趣旨によれば,埋立承認の効力が消滅した場合,国が都道府県知事に対して原状回復義務を負うと解するのが相当である。そして,以上の判示は,埋立工事の竣功後に埋立承認の効力が消滅した場合にも等しく当てはまるといえるから,埋立工事の竣功後に埋立承認の効力が消滅した場合も,国は原状回復義務 を負うと解するのが相当である。 これに対し,被控訴人は,国が行う の効力が消滅した場合にも等しく当てはまるといえるから,埋立工事の竣功後に埋立承認の効力が消滅した場合も,国は原状回復義務 を負うと解するのが相当である。 これに対し,被控訴人は,国が行う埋立ての場合,竣功後は,その土地について,国の埋立ての目的に従った新たな公物管理が開始され,国民は埋立ての違法等を,別途当然に個別公物管理法に則って争うことができるから,埋立承認の取消請求について訴えの利益を認める必要がない旨を主張する。 しかし,被控訴人がいう個別公物管理法(国有財産法を指すことになると考えられる。)に則って争うことができるのは,埋立てによって生成された土地に関して国が行う処分についてであって,公有水面が同法の適用対象外であることは明らかであり(国有財産法2条1項),土地が生成される前の埋立てに関する処分を同法に基づく処分と見る余地はない。よって,被控訴人の上記主張は失当である。 カよって,埋立承認の効力が消滅した場合,その時点での竣功の有無にかかわらず,国は原状回復義務を負うと解すべきであるから,本件埋立工事の竣功の有無や原状回復の可能性の有無を検討するまでもなく,本件承認処分の取消しを求める主位的請求について訴えの利益が存するといえる。 これに対し,被控訴人は,本件竣功通知によって訴えの利益は消滅する旨を主張する。しかし,既に判示したところによれば,国が行う埋立てについての承認の効力の消滅が,竣功又は竣功通知よりも前か後かによって,国の原状回復義務の有無が直接影響を受けるとするのは相当でなく,竣功又は竣功通知の有無は,埋立法35条1項ただし書による免除の判断に影響を与えるにすぎないというべきである。よって,被控訴人の上記主張は採用できない。 (2) 本案前の争点イ(出訴期間経過の有無)についてア取消訴訟 立法35条1項ただし書による免除の判断に影響を与えるにすぎないというべきである。よって,被控訴人の上記主張は採用できない。 (2) 本案前の争点イ(出訴期間経過の有無)についてア取消訴訟の出訴期間は処分の日から1年と定められている(行政事件訴訟法14条2項)ところ,本件承認処分の日は平成8年11月28日 であり(前提事実(3)イ),本件承認処分の取消訴訟が提起されたのは平成20年2月7日である(同エ)。すなわち,本件の主位的請求は出訴期間経過後に訴訟提起されたものであるから,不適法である。 イこれに対し,控訴人らは,本件変更承認によって,本件埋立事業の目的が周辺の安全確保と航空機騒音の緩和から基地機能強化に変更され,本件埋立地の利用計画も変更されたため,周辺の安全確保と航空機騒音の緩和という当初の本件埋立事業の目的が達成できなくなったことにより,本件承認処分が違法になったから,出訴期間の起算日は本件変更承認がなされた平成20年2月12日である旨を主張する。 しかし,本件承認処分は,本件変更承認とは別個の行為であるから,仮に,控訴人らが主張するように,本件埋立事業の目的が本件変更承認によって事後的に変更されたといえるとしても,本件変更承認が処分性の要件を満たしている限りにおいて,本件変更承認の取消訴訟を提起できるに止まるというべきであって,本件承認処分の取消訴訟の出訴期間が伸長されるなどとは到底いえない。控訴人らの上記主張は,失当である。 3 予備的請求について(1) 本案前の争点ア(本件変更承認の処分性の有無)についてア取消訴訟の対象とされる行政処分とは,公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち,その行為によって,直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上 の有無)についてア取消訴訟の対象とされる行政処分とは,公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち,その行為によって,直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているものをいう(最高裁判所昭和39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁)。すなわち,行政庁の行為について処分性が認められるためには,当該行政庁の行為が公権力の行使に当たるといえることが必要であって,そのためには,当該行政庁の行為が個人の権利ないし法律上の利益に直接の影響を及ぼす法的効果を有するものでなければならないというべきである。また,ここでいう個人の権利ないし法律上の利益は,事実上の利益又 はいわゆる反射的利益では足りないというべきである。 本件変更承認は,山口県知事によって本件留意事項に基づくものとして行われた(前提事実(3)オ)ところ,本件留意事項は,埋立法施行令30条によって準用される同施行令6条(「都道府県知事ハ埋立ニ関スル法令ニ規定スルモノノ外埋立ノ免許ニ公益上又ハ利害関係人ノ保護ニ関シ必要ト認ムル条件ヲ附スルコトヲ得」との規定)に基づいて,本件承認処分に付された負担(法令に規定されている義務以外の義務を付加する附款)であると解される。そこで,本件変更承認について上記の処分性の要件を検討するに当たって,本件変更承認の根拠となっている本件留意事項について検討することとする。 イ本件留意事項は,工事の着手の年月日の届出(1項),工事の施工中の標灯の掲示(2項),護岸等の維持・修繕(3項),境界標の設置(4項),工事の進捗状況の報告(6項)とともに,本件願書の添付図書のうち,「埋立てに用いる土砂等の採取場所及び採取量を記載した図書,埋立地の用途及び利用計画の概要を表示した図面及び環境保 標の設置(4項),工事の進捗状況の報告(6項)とともに,本件願書の添付図書のうち,「埋立てに用いる土砂等の採取場所及び採取量を記載した図書,埋立地の用途及び利用計画の概要を表示した図面及び環境保全に関し講じる措置を記載した図書」の変更について,山口県知事の承認を受けること(5項)を求めている。 ところで,埋立法が,国が行う埋立てにおける「埋立地の用途」の変更については,変更承認を要するものと規定し(埋立法42条3項,13条の2第1項),その変更承認に当たっては,環境保全条項に適合することが要件となる旨を規定する(埋立法13条の2第2項)ことからすれば,上記の本件留意事項5のうち,埋立地の用途の変更及び環境保全に関し講じる措置の変更については,埋立法の上記規定によって規律されるのであって,都道府県知事が留意事項を定めることによって別途規律することは予定されていないと解される。すなわち,本件留意事項5に基づく承認の対象となるのは,埋立地の用途及び環境保全に関し講じる措置の変更の内 容そのものではなく,変更された図面・図書の記載が埋立地の用途及び環境保全に関し講じる措置の変更の内容を正確に表示しているかといった,図面・図書の記載自体であるというべきである。 また,本件留意事項5は,埋立地の利用計画の概要を表示した図面の変更についても,都道府県知事による承認の対象とするところ,そもそも埋立法は公有水面の埋立てを規律した法律であって,埋立地の利用について規律する法律ではなく,国が行う埋立てによって形成された埋立地の具体的な利用計画については,埋立地を対象とする個別公物管理法に基づく手続の中で規律されるべきであるから,本件留意事項5は埋立地の利用計画の変更の内容そのものを承認の対象としているのではなく,当該図面によって埋立地の利用 は,埋立地を対象とする個別公物管理法に基づく手続の中で規律されるべきであるから,本件留意事項5は埋立地の利用計画の変更の内容そのものを承認の対象としているのではなく,当該図面によって埋立地の利用計画の変更の内容を正確に表示しているかといった,図面の記載自体を対象としているにすぎないというべきである。 ウそうだとすれば,本件留意事項は,埋立地の用途及び利用計画自体を規制したり,埋立地の用途及び利用計画の内容を踏まえて環境保全に関して何らかの義務付けをすることを内容とするものとはいえない(なお,本件留意事項のうち,5項を除く各条項が,いずれも届出等の事実行為にすぎないことも,5項の承認の趣旨を以上のように解すべきことを裏付けるものといえる。)。 加えて,本件留意事項には,本件承認処分の撤回権を留保する旨の規定はない。 さらに,本件留意事項には,留意事項違反があった場合に山口県知事が執りうる手段について何ら定められておらず,国が行う埋立ての場合には,処分に付された条件に違反したときの権限について定めた埋立法32条も準用されていないから,本件留意事項に違反して,承認を受けるべきにもかかわらず未承認のままで工事が続行されたとしても,山口県知事は国に対し,本件留意事項そのものに基づいて何らの措置も執ることができ ない。 以上によれば,本件留意事項自体が,事実上の利益又は反射的利益を超えた,個人の権利ないし法律上の利益に直接の影響を及ぼす法的効果を有するとはいえず,本件留意事項に基づく承認について処分性を認めることはできないというべきであり,本件変更承認の取消しを求める予備的請求は不適法である。 エこれに対し,控訴人らは,本件留意事項に基づく本件変更承認は,国に対し,変更内容に沿った工事を適法に実施させ得るという法的効果を直接 り,本件変更承認の取消しを求める予備的請求は不適法である。 エこれに対し,控訴人らは,本件留意事項に基づく本件変更承認は,国に対し,変更内容に沿った工事を適法に実施させ得るという法的効果を直接もたらすものといえると主張するものの,上記判示に照らせば,かかる主張は採用できない。 さらに,控訴人らは,本件変更承認は,岩国飛行場の周辺住民に対し,現状以上の騒音や大気汚染,航空機の墜落の危険性を受忍させるものであるから,公権力の行使に当たり,処分性を認めるべきであると主張する。 確かに,騒音については,厚木飛行場から岩国飛行場への米空母艦載機等の移駐完了後のW値コンターに基づくW値70の範囲及び同75の範囲が,現状のW値コンターに基づくW値70の範囲及び同75の範囲や環境アセス調査のW値コンターに基づくW値70の範囲及び同75の範囲よりも拡大すると予測されている(上記1(9))。しかし,かかる騒音の拡大は,結局,厚木飛行場から岩国飛行場への米空母艦載機等の移駐を直接の原因とするものといわざるを得ず,本件変更承認の内容である平行誘導路等の配置及び規模の変更(上記1(10))を直接の原因とするものとはいい難いし,大気汚染,航空機の墜落の危険性についても,本件変更承認を直接の原因とするものでないというべきであるから,結局控訴人らの上記主張も失当である。 オなお,控訴人らは,本件変更承認は,埋立ての動機や埋立地の具体的な 利用計画に重要な変更があった場合であり,実質的に埋立法42条3項,13条の2の埋立地の用途の変更に該当するとして,本件変更承認に処分性を認めるべきであると主張する。 しかし,本件変更承認申請においては,本件埋立地の用途は本件願書と同じく飛行場用地のままであり,本件変更の対象に本件埋立地の用途は含まれていない 件変更承認に処分性を認めるべきであると主張する。 しかし,本件変更承認申請においては,本件埋立地の用途は本件願書と同じく飛行場用地のままであり,本件変更の対象に本件埋立地の用途は含まれていない(前提事実(3)ウ)。 また,確かに,埋立地の用途の変更の承認に当たって環境保全条項を含む承認基準が準用される結果,埋立ての動機,埋立地の具体的な利用計画を勘案する必要があることは否定できない。しかし,既に述べたとおり,埋立法は公有水面の埋立てを規律した法律であって,埋立地の利用について規律する法律ではない。加えて,環境保全条項の文言が「其ノ埋立ガ環境保全及災害防止ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト」,「埋立地ノ用途ガ土地利用又ハ環境保全ニ関スル国又ハ地方公共団体(港務局ヲ含ム)ノ法律ニ基ク計画ニ違背セザルコト」というものであることからすれば,環境保全条項の趣旨は,埋立工事そのものの問題点や,埋立地の用途自体と法律に基づく計画との整合性を確認することにあるというべきであって,埋立ての動機や埋立地の具体的な利用計画そのものを対象とするものではない。むしろ,控訴人らが主張するところの埋立ての動機や埋立地の具体的な利用計画についての問題点は,国が行う埋立ての場合,埋立工事の竣功後,埋立地について新たな公物管理が開始されることになるから,埋立地を対象とする個別公物管理法に基づく手続の中で検討されるべきものといえる。 以上によれば,埋立ての動機や埋立地の具体的な利用計画に重要な変更があった場合も,実質的に埋立地の用途の変更に該当するとして,本件変更承認の処分性を認めるべきであるとの控訴人らの上記主張は採用できない。 4 結論以上によれば,控訴人らの被控訴人に対する主位的請求について,訴えの利益は認められるものの,出訴期 件変更承認の処分性を認めるべきであるとの控訴人らの上記主張は採用できない。 4 結論以上によれば,控訴人らの被控訴人に対する主位的請求について,訴えの利益は認められるものの,出訴期間経過後に提訴されたもので不適法であるから,その余の点について判断するまでもなく訴えを却下すべきであり,予備的請求は処分性の要件を満たさないために不適法であるから,その余の点について判断するまでもなく訴えを却下すべきところ,これらと異なる理由で主位的請求及び予備的請求について訴えを却下した原判決は相当でないから,本件控訴に基づいてこれを取り消し,主文のとおり判決する。 広島高等裁判所第3部 裁判長裁判官筏津順子 裁判官曳野久男 裁判官木村哲彦 (別紙)公有水面埋立承認目録 1 埋立場所山口県岩国市α町地先の公有水面 2 埋立面積2,126,326.16㎡ 3 承認年月日平成8年11月28日(山口県知事発防衛施設庁広島防衛施設局長宛て指令港湾第496号)以上

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