主文 被告人を懲役1年10月に処する。 未決勾留日数中150日をその刑に算入する。 理由 【認定事実(罪となるべき事実)】被告人は,第1 A,B,C,D,Eと共謀の上,平成15年9月22日午前2時ころ,金品窃取の目的で,山梨県北巨摩郡a町bc番地所在のF方の玄関から屋内に忍び込んで侵入し,そのころ,同所において,同人所有に係る現金約9万2000円及びキャッシュカード2点,運転免許証1点在中の財布1個(時価約1000円相当),現金約3000円在中のたばこ入れ1個(時価約500円相当)並びに旧紙幣約1万6800円及び記念硬貨約8万円在中の手提げ金庫1個(時価約500円相当)を窃取した第2 A,B,C,D,E,Gと共謀の上,平成15年9月23日午前2時30分ころ,金品窃取の目的で,山梨県東八代郡d町ef番地所在のH株式会社売店事務所の西側高窓から建物内に忍び込んで侵入し,そのころ,同所において,同社代表取締役I管理に係るたばこ約1000個(販売価格合計約27万円相当)を窃取した第3 A,B,C,D,E,Gと共謀の上,前同日午前3時30分ころ,金品窃取の目的で,前記H株式会社売店事務所の裏口片開き戸から建物内に忍び込んで侵入し,そのころ,同所において,同社代表取締役I管理に係る現金合計約70万円,記念硬貨約55万円及び土地権利証4通ほか57点くらい在中の耐火金庫1台(時価約10万円相当)を窃取した第4 A,B,C,D,Eと共謀の上,平成15年10月3日午後1時20分ころ,金品窃取の目的で,甲府市gh丁目i番j号所在のJ方の1階南側縁側掃き出し窓から屋内に忍び込んで侵入し,そのころ,同所において,同人所有に係る現金約141万円を窃取した第5 B,C,D,Eと共謀の上,平成15年10 甲府市gh丁目i番j号所在のJ方の1階南側縁側掃き出し窓から屋内に忍び込んで侵入し,そのころ,同所において,同人所有に係る現金約141万円を窃取した第5 B,C,D,Eと共謀の上,平成15年10月7日午後2時過ぎころ,金品窃取の目的で,山梨県東八代郡k村lm番地所在のK方の北側アルミ製一枚開きドアから屋内に忍び込んで侵入し,そのころ,同所において,たんすの引き出しを開けるなどして金品を物色したが,金品を発見できなかったため,その目的を遂げなかった第6 B,C,D,Eと共謀の上,判示第5記載の日時ころ,金品窃取の目的で,同記載の番地所在のL方の1階南側縁側アルミ製一枚開きドアから屋内に忍び込んで侵入し,そのころ,同所において,同人所有に係る現金約89万7200円を窃取した第7 C,D,Eと共謀の上,平成15年10月10日午後1時過ぎころ,金品窃取の目的で,山梨県甲府市no丁目p番q号所在のM方の1階北側勝手口スチール製片開きドアから屋内に忍び込んで侵入し,そのころ,同所において,同人管理に係る登記済権利証1点在中の耐火金庫1台(時価約1万円相当)を窃取した第8 A,Eと共謀の上,平成15年10月12日午後1時ころ,金品窃取の目的で,山梨県甲府市r町s番地のt所在のN方の1階和室掃き出し窓から屋内に忍び込んで侵入し,そのころ,同所において,同人所有に係る現金22万6000円並びにO所有に係る現金2万5000円在中の財布1個(時価約1万円相当)及び現金約1000円在中の小銭入れ1個(時価約1000円相当)を窃取したものである。 【法令の適用】被告人の判示第1,第4,第6ないし第8の各所為のうち各住居侵入の点はいずれも刑法60条,130条前段に,各窃盗の点はいずれも同法60条,235条に,判示第2及び第3の各所為のうち各建造物侵 用】被告人の判示第1,第4,第6ないし第8の各所為のうち各住居侵入の点はいずれも刑法60条,130条前段に,各窃盗の点はいずれも同法60条,235条に,判示第2及び第3の各所為のうち各建造物侵入の点はいずれも同法60条,130条前段に,各窃盗の点はいずれも同法60条,235条に,判示第5の所為のうち住居侵入の点は同法60条,130条前段に,窃盗未遂の点は同法60条,243条,235条にそれぞれ該当するところ,判示第1,第4及び第6ないし第8の各住居侵入と各窃盗との間,判示第2及び第3の各建造物侵入と各窃盗との間並びに判示第5の住居侵入と窃盗未遂との間にはそれぞれ手段結果の関係があるので,同法54条1項後段,10条によりいずれも1罪として重い罪の刑,すなわち,判示第1ないし第4及び第6ないし第8の各所為についてはいずれも窃盗罪の,判示第5の所為については窃盗未遂罪の刑でそれぞれ処断することとし,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により犯情の最も重い判示第4の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で,被告人を懲役1年10月に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中150日をその刑に算入することととする。 【量刑の理由】本件は,無為徒食の生活を送っていた被告人が,共犯者とともに,遊ぶ金欲しさに,昨年の9月から10月にかけて立て続けに,民家や会社事務所に忍び込んで窃盗を繰り返したという事案である。 忍び込みという類型の窃盗事犯は,他人の生活の場である住居などを土足で踏み荒らすもので,単に財産的被害にとどまらない損害を被害者に与える点において窃盗の中でも殊に悪質な部類に属する犯罪であるし,偶々居合わせた家人に発見されたような場合,逮捕を免れるために家人に乱暴を働いて重大な結果を発生させかねない点においても,悪 被害者に与える点において窃盗の中でも殊に悪質な部類に属する犯罪であるし,偶々居合わせた家人に発見されたような場合,逮捕を免れるために家人に乱暴を働いて重大な結果を発生させかねない点においても,悪質な犯罪である。しかも,昨年の10月になってから立て続けに敢行された5件の侵入盗事犯は,いずれも新聞のお悔やみ欄を見て,葬儀のために家人が家を留守にせざるを得ない家を狙って,白昼堂々と計画的に実行したものであり,まことに卑劣であって,人倫にもとる許し難い犯行といわなければならず,各被害者の受けた精神的衝撃には相当に大きなものがあったと推察される上,地域社会に与えた衝撃も軽視できない。また,本件の一連の犯行による被害額は,判示のとおり甚大であって,結果もまことに重大である。このように本件の一連の犯行の犯情は,まことに悪質である。 被告人は,暴力団組員として無為徒食の生活を送ったあげく,遊ぶ金欲しさに,上記のような悪質な犯罪を常習的に繰り返したものであるばかりか,本件の一連の犯行を積極的に主導して,嫌がる未成年者を犯罪に引き込み,自らは安全な屋外で見張り行為をしながら,立場の弱い未成年の共犯者らをして危険な侵入行為をさせ,未成年の共犯者らよりも多くの分け前を得ていたのであるから,厳しい非難を免れない。 以上の事情に照らすと,被告人の刑事責任は重大であり,模倣性の高い犯行態様にかんがみ,同種事犯の再発を防止するためにも厳しい処罰が必要といわなければならない。 もっとも,被告人のために酌むべき事情として,①判示第7の事件にかかる被害者を除く各被害者との間で,被告人が反省の気持ちを綴った手紙を送付して慰謝に努め,また,被告人の家族が被害金額の全てを弁償したこともあって,いずれも示談が成立し,各被害者から被告人を宥恕する旨の意思が表明されていること 間で,被告人が反省の気持ちを綴った手紙を送付して慰謝に努め,また,被告人の家族が被害金額の全てを弁償したこともあって,いずれも示談が成立し,各被害者から被告人を宥恕する旨の意思が表明されていること,②判示第7の事件の被害者との間では,被害者の所在が不明であることもあって示談は成立していないものの,被害品が全て被害者に還付されており,被害回復がなされていること,③被告人の家族が,実家の庭にプレハブの建物を建てて,被告人の社会復帰後の住処を確保するなど,被告人の更生を積極的に支えていく姿勢を示していること,④被告人の義兄が情状証人として出廷し,今後の指導監督を誓約していること,⑤被告人自身,当公判廷において,本件の一連の犯行を真摯に反省する態度を見せ,暴力団とも縁を切って,人生をやり直す決意を述べていること,⑥被告人には,傷害罪により罰金刑に処せられた前科があるのみで,懲役刑に処せられた前科はないこと,その他,⑦被告人の健康状態や年齢などの諸事情が認められる。 しかしながら,これら被告人に有利な諸事情を十分に斟酌しても,被告人の刑事責任の重大性や他の共犯者との刑の均衡を考慮すれば,本件において刑の執行を猶予するのは相当でなく,本件については実刑をもって臨むほかないと考える。ただし,その刑期については,被告人の家族の尽力によって,完全な被害回復がなされて,被害者の宥恕も得られていることを考慮して,検察官の求刑を大幅に減ずることとした。 よって,主文のとおり判決する。 (出席した検察官鈴木健一,私選弁護人梶原等)(検察官の求刑懲役4年)平成16年7月13日甲府地方裁判所刑事部裁判官柴田誠 平成16年7月13日 甲府地方裁判所 刑事部 裁判官 柴田誠
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